説明

入力装置、入力方法およびプログラム

【課題】入力された数値が他者に認識され難く、数値の入力者が自ら入力した数値を確認可能な入力装置、入力方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】入力装置は、数値の入力を検出する検出手段と、前記数値を表す数字とは異なりかつ前記数値に基づいた文字列、または、前記数値を表す数字の図形とは異なりかつ前記数値に基づいた表示用図形を表示する表示実行手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、入力方法およびプログラムに関し、特には、数値の入力を受け付ける入力装置、入力方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、暗証番号を受け付ける暗証番号認証暗号装置が記載されている。特許文献1に記載の暗証番号認証暗号装置は、入力された暗証番号を表示する。このため、暗証番号の入力者は、表示された暗証番号を見ることで、自らが入力した数値を確認でき、暗証番号の入力ミスを行っていないかを確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−181316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の暗証番号認証暗号装置は、入力された暗証番号を表示するため、表示された暗証番号が、暗証番号の入力者以外の者(以下「他者」と称する)にて盗み見られた場合、暗証番号が他者にて容易に認識されてしまう。
【0005】
このため、入力された暗証番号等の数値が他者に認識され難く、数値の入力者が自らが入力した数値を確認でき数値の入力ミスをしたかを確認可能な入力装置が望まれるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を解決可能な入力装置、入力方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の入力装置は、数値の入力を検出する検出手段と、前記数値を表す数字とは異なりかつ前記数値に基づいた文字列、または、前記数値を表す数字の図形とは異なりかつ前記数値に基づいた表示用図形を表示する表示実行手段と、を含む。
【0008】
本発明の入力方法は、入力装置での入力方法であって、数値の入力を検出する検出ステップと、前記数値を表す数字とは異なりかつ前記数値に基づいた文字列、または、前記数値を表す数字の図形とは異なりかつ前記数値に基づいた表示用図形を表示する表示実行ステップと、を含む。
【0009】
本発明のプログラムは、コンピュータに、数値の入力を検出する検出手順と、前記数値を表す数字とは異なりかつ前記数値に基づいた文字列、または、前記数値を表す数字の図形とは異なりかつ前記数値に基づいた表示用図形を表示する表示実行手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力された数値が他者に認識され難く、数値の入力者が自らが入力した数値を確認でき数値の入力ミスをしたかを確認することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の入力装置の一例である電子機器1を示したブロック図である。
【図2】電子機器1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】事前表示文字の一例を示した図である。
【図4】本発明の第2実施形態の入力装置の一例である電子機器1Aを示したブロック図である。
【図5】電子機器1Aの外観を示した図である。
【図6】電子機器1Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】文字列の表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の入力装置の一例である電子機器1を示したブロック図である。
【0014】
電子機器1は、例えば、携帯電話機である。なお、電子機器1は、携帯電話機に限らず、携帯電話機と異なる電子機器でもよく、例えば、携帯型ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistants)、タブレット型PC(Personal Computer)、ノート型PC、または、現金自動預け払い機でもよい。
【0015】
電子機器1は、検出部11と表示実行部12とを含む。
【0016】
検出部11は、一般的に検出手段と呼ぶことができる。
【0017】
検出部11は、例えば、操作ボタンまたはタッチパネルである。検出部11は、少なくとも数値の入力を検出する。
【0018】
本実施形態では、検出部11は、「0」から「9」までの数字を表す数字キー110〜119と、入力の開始を表す開始キー11aと、入力の完了を表す決定キー11bと、入力の中断を表す中断キー11cと、を含む。
【0019】
なお、決定キー11bの操作および中断キー11cの操作は、一般的に、数値の入力を終了する旨の終了入力と呼ぶことができる。また、検出部11は、さらに、数字キー110〜119の操作を取り消す不図示の訂正キーを有してもよい。
【0020】
表示実行部12は、一般的に表示実行手段と呼ぶことができる。
【0021】
表示実行部12は、検出部11が検出した数値を表す数字とは異なり、かつ、その数値に基づいた文字列(以下、単に「文字列」とも称する)を表示する。なお、文字列の大きさは、例えば、電子機器1の使用者本人のみが視認できる程度に小さいことが望ましいが、文字列の大きさについては特に限定されない。
【0022】
表示実行部12は、文字列として、例えば、検出部11が検出した数値を表す数字とは異なり、かつ、その数値が示す個数の文字にて構成された文字列を表示する。
【0023】
なお、表示実行部12は、1以上の個数の文字(以下、「事前表示文字」と称する)を表示している状況で、検出部11が数値の入力を検出すると、表示中の文字に加えて文字列を表示する。本実施形態では、表示実行部12は、検出部11が開始キー11aの操作を検出した場合に、事前表示文字として、それ自身は意味のない特定の記号(文字)が任意の個数分整列した文字列を表示する。
【0024】
表示実行部12は、表示部12aと制御部12bとを含む。
【0025】
表示部12aは、種々の表示を行う。
【0026】
制御部12bは、検出部11の検出結果に基づいて、表示部12aでの表示を制御する。
【0027】
次に、動作を説明する。
【0028】
図2は、電子機器1の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、電子機器1が暗証番号を認証する動作を例として説明する。なお、電子機器1が受け付ける数値は暗証番号に限らず適宜変更可能である。
【0029】
検出部11が、開始キー11aの操作を検出すると(ステップS201)、制御部12bは、表示部12aに事前表示文字を表示する(ステップS202)。
【0030】
図3は、事前表示文字の一例を示した図である。なお、図3において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0031】
図3では、事前表示文字12aXとして、33個のアスタリスク記号が表示されている。なお、制御部12bは、アスタリスク記号の個数を、認証の機会ごとに変更することが望ましい。また、事前表示文字12aXとして使用される文字も、アスタリスク記号に限らず適宜変更可能である。電子機器1の使用者Uは、事前表示文字12aXが表示された状況で、数字キーを操作して暗証番号を入力する。
【0032】
続いて、検出部11が、数字キー110〜119のいずれかの操作を検出すると(ステップS203)、制御部12bは、表示中の事前表示文字に加えて、操作された数字キーに対応する数値(例えば、数字キー116であれば「6」、数字キー118であれば「8」)が示す個数のアスタリスク記号(文字)にて構成された文字列を、表示部12aに表示する(ステップS204)。
【0033】
文字列が表示部12aに表示された後に、または、検出部11が数字キー110〜119のいずれかの操作を検出しなかった後に、検出部11が、中断キー11cの操作を検出せず(ステップS205)、かつ、決定キー11bの操作を検出しないと(ステップS206)、制御部12bは、ステップS203に戻る。
【0034】
このため、電子機器1の使用者が、数字キー110〜119を適宜用いて暗号番号を1桁ずつ順に入力するごとに、暗証番号が1桁ずつ入力されるごとに、表示部12aのアスタリスク記号は、その1桁の数字が示す個数ずつ増加する。
【0035】
暗証番号の入力が終了して、決定キー11bが操作されると、検出部11は、決定キー11bの操作を検出する(ステップS206)。
【0036】
検出部11が決定キー11bの操作を検出すると、制御部12bは、数字キーの操作にて入力された暗証番号を、予め登録されている暗証番号と照合し、その照合結果を表示部12aに表示する認証動作を行う(ステップS207)。なお、検出部11が中断キー11cの操作を検出すると(ステップS205)、制御部12bは、暗証番号を受け付ける動作を終了する。
【0037】
ここで、事前表示文字として33個のアスタリスク記号が表示されている状況で、暗証番号が「24680」という5桁の番号であった場合の例を説明する。なお、暗証番号は「24680」に限らず適宜変更可能である。
【0038】
この場合、数字キーの操作に伴って、表示部12aでのアスタリスク記号の個数は33個から順に35個、39個、45個、53個、63個と増加する。なお、数字キー110が操作されたとき、制御部12bは、アスタリスク記号10個増加するものとする。
【0039】
この状況で、電子機器1の使用者が、数字キー112を操作する際に誤って数字キー113を操作すると、アスタリスク記号の個数が、33の次に、35ではなく36に増加する。電子機器1の使用者は、アスタリスク記号の個数の増加分の違いに基づいて、入力誤りを知覚でき、中断キー11cを操作して認証をやりなおすことが可能になる。
【0040】
なお、本実施形態において、表示制御部12は、文字列の代わりに、検出部11が検出した数値を表す数字の図形とは異なり、かつ、その数値に基づいた表示用図形(以下、単に「表示用図形」と称する)を表示してもよい。
【0041】
表示制御部12は、例えば、表示用図形として、入力された数値を表す数字の図形とは異なり、かつ、その数値が示す個数の図形(例えば、多角形、円または楕円)にて構成された表示用図形を表示する。なお、表示用図形の元になる図形は、多角形、円または楕円に限らず、適宜変更可能である。また、表示用図形は、表示用図形の元になる図形が結合された図形でもよいし、表示用図形の元になる図形が並べられてなる図形でもよい。
【0042】
また、この場合、表示制御部12は、事前表示文字の代わりに、ある図形(例えば、表示用図形の元になる図形にて構成される図)を事前表示図形として表示してもよい。
【0043】
次に、本実施形態の効果を説明する。
【0044】
本実施形態によれば、検出部11は、数値の入力を検出する。表示実行部12は、検出部11が検出した数値を表す数字とは異なりかつその数値に基づいた文字列、または、検出部11が検出した数値を表す数字の図形とは異なりかつその数値に基づいた表示用図形を表示する。
【0045】
このため、電子機器1の使用者は、自らが入力した数値を表す数字とは異なるが、その数値に基づいた文字列を用いて、または、自らが入力した数値を表す数字を表す数字の図形とは異なるが、その数値に基づいた表示用図形を用いて、自らが入力した数値を確認することができる。よって、電子機器1の使用者は、数値の入力ミス、つまり、数字キーの操作(例えば、押下)誤りをしたかを確認することができる。
【0046】
また、文字列は、入力された数値を表す数字とは異なるので、他者が、入力された数値を、文字列に基づいて正確に迅速に認識することは困難となる。また、表示用図形は、入力された数値を表す数字の図形とは異なるので、他者が、入力された数値を、表示用図形に基づいて正確に迅速に認識することは困難となる。
【0047】
したがって、入力された数値が他者に認識され難く、数値の入力者が自ら入力した数値を確認することが可能になる。なお、この効果は、検出部11と表示実行部12からなる電子機器(図1参照)でも奏する。
【0048】
また、本実施形態では、文字列として、入力された数値を表す数字とは異なりその数値が示す個数の文字にて構成された文字列が用いられる。
【0049】
この場合、電子機器1の使用者は、数字キーを操作するごとに文字列を構成する文字(図3に示す例では、アスタリスク記号)を数える必要はない。なぜならば、電子機器1の使用者は、数字キーを操作する直前に、数字キーの操作にて表示部12aのどこまで文字列が表示されるかを予期でき、数字キーを操作した直後の表示部12aの表示が予期したものに一致したかどうかで、数字キーの操作に誤りが生じたかを判断できるからである。つまり、電子機器1の使用者は、文字数を数えるのではなく、文字列の長さの一致の判定という、容易な判定方法で、入力された数値が正しいかどうかを判定することが可能になる。
【0050】
一方、他者が、悪意を持って番号を覗き見ることを企図した場合、文字列は、入力された数値を表す数字とは異なるので、他者は、電子機器1の使用者が数字キーを押すごとに表示部12aで増加する文字の数を数えることになる。よって、他者は、表示された数字を見て入力された数値を判定する場合に比べて、入力された数値を判定することが難くなり、数値判定の正確さが落ちる。
【0051】
したがって、文字列として、入力された数値を表す数字とは異なりその数値が示す個数の文字にて構成された文字列を用いることで、入力された数値が他者に認識され難く、数値の入力者が自ら入力した数値を確認することが可能になる。なお、この効果は、文字列の代わりに表示用図形が用いられ、その表示用図形が、入力された数値を表す数字の図形とは異なり、かつ、その数値が示す個数の図形にて構成された表示用図形であっても奏する。この場合、電子機器1の使用者は、表示用図形の長さの変化、または、表示用図形の面積の変化に基づいて、入力された数値が正しいかどうかを判定することが可能になる。
【0052】
また、本実施形態では、検出部11は、数値の入力を終了する旨の終了入力(決定キー11bの操作または中断キー11cの操作)をさらに検出する。表示実行部12は、終了入力が検出されるまで、数値の入力を検出するごとに文字列を追加表示する。
【0053】
この場合、数字キーが複数回操作された時点で、他者が表示部12を覗き見た場合、複数の文字列が表示されているため、他者は、入力された数値を複数の文字列から認識することがさらに困難になる。なお、この効果は、文字列の代わりに表示用図形が用いられた場合にも奏する。
【0054】
また、本実施形態では、表示実行部12は、事前表示文字を表示している状況で、検出部11が数値の入力を検出すると、事前表示文字に加えて文字列を表示する。
【0055】
この場合、数字キーが操作される前に既に不定個数の文字(事前表示文字)が表示されており、数字キーの操作が終わった段階で、表示された文字の個数は、入力された番号の桁数や数字との関連性を有さない。このため、他者が入力された数値を推測することを企図しても、他者が入力された数値の桁数や数字を容易に推測することを防止することが可能になる。
【0056】
なお、この効果は、文字列の代わりに表示用図形が用いられ、事前表示文字の代わりに事前表示図形が用いられた場合、つまり、表示実行部12が、事前表示図形を表示している状況で、検出部11が数値の入力を検出すると、事前表示図形に加えて表示用図形を表示する場合にも奏する。
【0057】
また、電子機器1は、コンピュータにて実現されてもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータにて読み取り可能なCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)のような記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、検出部11および表示実行部12として機能する。記録媒体は、CD−ROMに限らず適宜変更可能である。
【0058】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態の入力装置の一例である電子機器1Aを示したブロック図である。図5は、電子機器1Aの外観を示した図である。なお、図4および図5において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0059】
電子機器1Aは、例えば、携帯電話機である。なお、電子機器1Aは、携帯電話機に限らず、携帯電話機と異なる電子機器でもよく、例えば、携帯型ゲーム機、PDA、タブレット型PC、ノート型PC、または、現金自動預け払い機でもよい。
【0060】
電子機器1Aは、検出部11と、表示実行部121と、を含む。
【0061】
表示実行部121は、一般的に表示実行手段と呼ぶことができる。表示実行部121は、表示部12a1と、制御部12b1と、を含む。
【0062】
表示部12a1は、複数の表示領域(図5では、10個の表示領域12a1−0〜12a1−9)を有する。
【0063】
本実施形態では、表示領域12a1−0〜12a1−9は、それぞれ、数値の0〜9に対応づけられている。なお、表示領域の数は、10に限らず2以上であればよい。
【0064】
制御部12b1は、検出部11の検出結果に従って、表示領域12a1−0〜12a1−9の表示を制御する。
【0065】
次に、動作を説明する。
【0066】
図6は、電子機器1Aの動作を説明するためのフローチャートである。図6において、図2に示したステップと同一の処理内容のステップには同一符号を付してある。以下、図2に示した動作と異なる点を中心に動作を説明する。
【0067】
図6では、電子機器1Aが暗証番号を認証する動作を例として説明する。なお、電子機器1Aが受け付ける数値は暗証番号に限らず適宜変更可能である。
【0068】
検出部11が、表示領域12a1−0〜12a1−9のうち文字列が表示される1つの表示領域(以下「正当表示領域」と称する)を特定するための特定情報の入力を検出すると(ステップS601)、制御部12b1は、特定情報に従って正当表示領域を特定し、表示領域12a1−0〜12a1−9のうち正当表示領域以外の表示領域を、ダミー表示領域として特定する(ステップS602)。
【0069】
なお、本実施形態では、開始キー11aの操作と開始キー11aの操作に続く数字キー110〜119のいずれかの1回の操作との組み合わせが、特定情報の入力に対応する。
【0070】
また、本実施形態では、制御部12b1は、検出部11が開始キー11aの操作に続いて数字キー110〜119のいずれかの1回の操作を検出すると、表示領域12a1−0〜12a1−9のうち、その操作された数字キーに対応する数値に対応づけられている表示領域を正当表示領域として特定し、他の表示領域をダミー表示領域として特定する。
【0071】
続いて、制御部12b1は、表示領域12a1−0〜12a1−9の各々に事前表示文字を表示する(ステップS603)。なお、ステップS603は省略されてもよい。
【0072】
続いて、検出部11が、数字キー110〜119のいずれかの操作を検出すると(ステップS203)、制御部12b1は、ステップS602で特定された正当表示領域では、表示中の事前表示文字に加えて、操作された数字キーに対応する数値が示す個数のアスタリスク記号(文字)にて構成された文字列を追加表示し、ステップS602で特定されたダミー表示領域では、操作された数字キーに対応する数値とは無関係な個数分のアスタリスク記号(文字)にて構成される表示対象物を追加表示する(ステップS604)。その後、図2を用いて説明したステップS205以降の動作が実行される。
【0073】
このため、本実施形態では、数字キーが操作されるごとに、すべての表示領域では、記号(文字)が追加表示されるが、正当表示領域だけが、操作された数字キーに対応する個数分の記号(文字)を追加して表示し、ダミー表示領域は、操作された数字キーの数字とは無関係な個数分の記号(文字)を表示対象物として追加して表示する。
【0074】
電子機器1Aの使用者の操作ミスが発生し、電子機器1Aの使用者が最初に操作する数字キー(正当表示領域を特定するための数字キー)が、電子機器1Aの使用者が意図したものと異なっていると、電子機器1Aの使用者はダミー表示領域を見て暗証番号を確認することになる。この場合、その後に操作された数字キーに基づく文字列と、ダミー表示領域内の表示対象物とが一致しなくなる。この場合、電子機器1Aの使用者は、中断キー11cを操作して入力動作を最初からやり直せばよい。
【0075】
なお、本実施形態において、表示制御部121は、文字列の代わりに表示用図形を表示してもよい。この場合、表示制御部121は、ダミー表示領域内の表示対象物を、表示用図形と異なるものにする。また、この場合、表示制御部121は、事前表示文字の代わりに事前表示図形を表示してもよい。
【0076】
本実施形態では、表示実行部121は、複数の表示領域を有し、複数の表示領域のいずれか1つに、文字列または表示用図形を表示し、複数の表示領域のうちの他の表示領域に、文字列とも表示用図形とも異なる表示対象物を表示する。
【0077】
この場合、電子機器1Aの使用者は、正当表示領域だけを見て、入力された番号を確認すればよいが、他者はいずれの表示領域が正当表示領域であるかを知ることはできない。
【0078】
このため、他者が無作為あるいは何らかの根拠をもってどの表示領域が正当表示領域かを推測し、そこに表示される記号(文字)または図形を数えることができたとしても、例えば、表示領域が10個ある場合には、90%の確率でダミー表示領域の記号(文字)または図形を数えることになるため、表示領域が1個である場合に比べて、機密性は10倍に高められる。
【0079】
また、本実施形態では、検出部11は、複数の表示領域のうち文字列または表示用図形が表示される1つの表示領域を特定するための特定情報の入力をさらに検出する。表示実行部121は、複数の表示領域のうち特定情報にて特定される1つの表示領域に、文字列または表示用図形を表示する。
【0080】
この場合、正当表示領域が、複数の表示領域のうちから任意に選択されるため、他者が正当表示領域を特定することを困難にすることが可能になる。
【0081】
なお、本実施形態では、使用者が最初に正当表示領域を選択する構成になっているが、認証開始時に、電子機器1Aが、正当表示領域をランダムに決定する構成でもよい。ただし、この場合、どれが正当表示領域であるかを、電子機器1Aの使用者だけに知覚可能とし、他者には知覚不可能にする何らかの工夫が必要になる。例えば、電子機器1Aの近くにいる電子機器1Aの使用者だけが認識できるような小さい文字で、正当表示領域を電子機器1Aの使用者に知らせることになる。
【0082】
また、電子機器1Aは、コンピュータにて実現されてもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、検出部11および表示実行部121として機能する。
【0083】
上記各実施形態では、1つの数値が入力されるごとに、文字列または表示用図形が表示されたが、表示実行部12または121は、入力された複数の数値の組合せに基づいた文字列または表示用図形を表示してもよい。
【0084】
例えば、表示実行部121は、最初は、入力された数値に対応する表示領域を正当表示領域とし、以降は、前回入力された数値に対応する表示領域を正当表示領域としてもよい。
【0085】
一例をあげると、「6352」という数値が入力される場合、最初に、数字キー116が操作されると、表示実行部121は、表示領域12a1−6を正当表示領域として図6に示したステップS604を実行する。
【0086】
続いて、数字キー113が操作されると、表示実行部121は、正当表示領域を表示領域12a1−6に維持して図6に示したステップS604を実行する。
【0087】
続いて、数字キー115が操作されると、表示実行部121は、正当表示領域を表示領域12a1−6から表示領域12a1−3に変更して図6に示したステップS604を実行する。
【0088】
続いて、数字キー112が操作されると、表示実行部121は、正当表示領域を表示領域12a1−3から表示領域12a1−5に変更して図6に示したステップS604を実行する。
【0089】
また、上記各実施形態において、文字列を構成する文字を複数種類の文字にしてもよい。この場合、表示実行部12または121は、複数種類の文字として、例えば、“*”と“#”と“+”のように離れると区別しにくい記号(文字)を用い、文字列を構成する文字数を一定にし、入力された数値に対応する文字列内の位置に特定の記号(文字)を表示してもよい。
【0090】
例えば、表示実行部121は、0〜9の数値を表すため、文字列を構成する文字数を10とし、“*”を、入力された数値に対応する文字列内の位置(例えば、文字列を左端から数えたときの順番が、入力された数値となる位置)に表示し、“#”と“+”をダミーとして文字列内の、入力された数値に対応する位置以外の場所にランダムに表示してもよい。
【0091】
図7は、文字列を構成する文字数を10とし、“*”を、入力された数値に対応する文字列内の位置に表示し、“#”と“+”をダミーとして文字列内の、入力された数値に対応する位置以外の場所にランダムに表示する場合に、「639」が入力された際の表示例を示した図である。
【0092】
この場合、使用者は、“*”が現れる場所を予測することができるので、入力された数値の判定を容易に行うことが可能になる。しかしながら、他者は、入力された数値を、その文字列に基づいて判定することは困難となる。
【0093】
また、上記各実施形態において、検出部11としてタッチパネルが用いられた場合、タッチパネルは、タッチパネルに表示される数字キーの位置を、数字キーの操作を検出するごとに変更してもよい。この場合、他者は、数字キーの操作位置を用いて数値を推定することができなくなり、さらなる安全性の向上を図ることが可能になる。
【0094】
また、上記各実施形態において、表示実行部12または121は、直前に入力された数値と今回入力された数値との差が示す個数の文字にて構成された文字列、または、その差が示す個数の図形にて構成された表示用図形を表示してもよい。
【0095】
例えば、「6352」という数値が入力される場合、表示実行部12または121は、事前表示文字として、ある程度の数(例えば10)の文字にて構成された文字列を表示する。
【0096】
その後、数字キー116が操作されると、表示実行部12または121は、6個の文字にて構成された文字列を追加表示する。
【0097】
その後、数字キー113が操作されると、表示実行部12または121は、表示中の文字列から3個の文字を削除する。
【0098】
その後、数字キー115が操作されると、表示実行部12または121は、2個の文字にて構成された文字列を追加表示する。
【0099】
その後、数字キー112が操作されると、表示実行部12または121は、表示中の文字列から3個の文字を削除する。
【0100】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0101】
1、1A 電子機器
11 検出部
110〜119 数字キー
11a 開始キー
11b 決定キー
11c 中断キー
12、121 表示実行部
12a、12a1 表示部
12a1−0〜12a1−9 表示領域
12b、12b1 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値の入力を検出する検出手段と、
前記数値を表す数字とは異なりかつ前記数値に基づいた文字列、または、前記数値を表す数字の図形とは異なりかつ前記数値に基づいた表示用図形を表示する表示実行手段と、を含む入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記文字列は、前記数値を表す数字とは異なりかつ前記数値が示す個数の文字にて構成された文字列であり、
前記表示用図形は、前記数値を表す数字の図形とは異なりかつ前記数値が示す個数の図形にて構成された表示用図形である、入力装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の入力装置において、
前記検出手段は、前記数値の入力を終了する旨の終了入力をさらに検出し、
前記表示実行手段は、前記終了入力が検出されるまで、前記数値の入力を検出するごとに、前記文字列または前記表示用図形を追加表示する、入力装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の入力装置において、
前記表示実行手段は、文字を表示している状況で、前記検出手段が前記数値の入力を検出すると、表示中の文字に加えて前記文字列を表示する、入力装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の入力装置において、
前記表示実行手段は、図形を表示している状況で、前記検出手段が前記数値の入力を検出すると、表示中の図形に加えて前記表示用図形を表示する、入力装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の入力装置において、
前記表示実行手段は、複数の表示領域を有し、前記複数の表示領域のいずれか1つである正当表示領域に、前記文字列または前記表示用図形を表示し、前記複数の表示領域のうちの他の表示領域に、前記正当表示領域で表示されたものとは異なる表示対象物を表示する、入力装置。
【請求項7】
請求項6に記載の入力装置において、
前記検出手段は、前記正当表示領域を特定するための特定情報の入力をさらに検出し、
前記表示実行手段は、前記複数の表示領域のうち前記特定情報にて特定される正当表示領域に、前記文字列または前記表示用図形を表示する、入力装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の入力装置において、
前記数値は、暗証番号を構成する数値である、入力装置。
【請求項9】
入力装置での入力方法であって、
数値の入力を検出する検出ステップと、
前記数値を表す数字とは異なりかつ前記数値に基づいた文字列、または、前記数値を表す数字の図形とは異なりかつ前記数値に基づいた表示用図形を表示する表示実行ステップと、を含む入力方法。
【請求項10】
コンピュータに、
数値の入力を検出する検出手順と、
前記数値を表す数字とは異なりかつ前記数値に基づいた文字列、または、前記数値を表す数字の図形とは異なりかつ前記数値に基づいた表示用図形を表示する表示実行手順と、を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−185718(P2012−185718A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49070(P2011−49070)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】