入力装置、入力方法及びプログラム
【課題】誤入力をした文字と、その直前に入力された文字との関係を考慮することで、誤入力を防止する入力装置が、望まれる。
【解決手段】入力装置は、物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出部と、操作検出部が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出部と、第1の入力文字列における第1の相違点と、第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、第1及び第2の相違点に関する操作位置学習情報を補正する検出動作補正部と、を備えている。
【解決手段】入力装置は、物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出部と、操作検出部が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出部と、第1の入力文字列における第1の相違点と、第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、第1及び第2の相違点に関する操作位置学習情報を補正する検出動作補正部と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、入力方法及びプログラムに関する。特に、誤入力を防止する入力装置、入力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ゲーム機等の電子機器には、文字等を入力する手段が必要である。そのような情報入力手段としては、タッチパネル、タッチパッド等が用いられる。タッチパネル等を備える電子機器は、文字とタッチパネル上の座標(座標で規定される領域)を関連付け、入力された文字を判別する。
【0003】
ここで、ユーザが情報入力手段を用いて文字入力を行う場合に、タッチパネル上の領域の割当てが適切でなければ、意図したとおりの入力が行えない場合がある。さらに、全てのユーザが同じように電子機器を操作する訳ではなく、それぞれ固有の特性(操作時の癖)を持っている。そのため、タッチパネル等を用いて情報を入力する際に、誤入力を防止する様々な技術が存在する。
【0004】
特許文献1において、ソフトウェアキーボード上の釦位置に関する情報を自動補正する技術が開示されている。特許文献1が開示する入力装置は、ユーザがタッチパネルを操作した際に、その接触位置を記憶及び学習することで、ソフトウェアキーボード上の釦位置に関する情報を補正する。
【0005】
特許文献2において、一度入力したデータの修正を契機として、誤入力を学習するキーボード装置が開示されている。特許文献2が開示するキーボード装置は、学習結果を参照し、ユーザのキー操作を受け付ける範囲を調整する。
【0006】
特許文献3において、小型のタッチパネルを利用する場合に、誤入力を防止する技術が開示されている。特許文献3では、タッチパネル上で複数の操作キーが入力された場合に、入力時の物理量と統計モデルとを用いて最も確からしい操作キーを出力するデータ処理装置を開示している。その結果、ユーザによる誤入力を低減する。
【0007】
特許文献4において、複数のキーが押された場合であっても、正確にキーが押された位置を算出する仮想キーボードが開示されている。
【0008】
特許文献5において、入力文字列から誤入力箇所を検出し、ユーザに通知する文書作成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−242958号公報
【特許文献2】特開2000−066817号公報
【特許文献3】特開2011−090356号公報
【特許文献4】特開2002−229718号公報
【特許文献5】特開平11−025080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。
【0011】
上述のように、タッチパネル等の情報入力手段によって、文字を入力する際に、誤入力を防止する技術が各種存在する。しかし、ユーザが誤入力した文字を特定せずに、ユーザが接触した座標と入力文字の関係を学習したとしても、有効な誤入力防止手段にはならない。誤入力した文字と、タッチパネルへの接触位置の関係も記憶・学習してしまうためである。特許文献1及び3で開示された技術では、ユーザが誤入力した文字を特定していない。
【0012】
さらに、削除キー等を契機として、誤入力した文字を特定し、座標と入力文字の関係を学習する技術(例えば、特許文献2及び5が開示する技術)にも問題がある。誤入力した文字を特定すれば、より有効に誤入力を防止することができる。しかし、ユーザそれぞれが持つ固有の癖を考慮していないため、特定の文字列を入力する場合などに、誤入力が発生する場合がある。なお、特許文献4が開示する技術は、誤入力の防止に係る技術ではない。
【0013】
図2は、QWERTYキーボードの一部を示す図である。ユーザが、図2に示す文字「E」の一文字を入力しようと考えた場合には、文字「E」の中心を押すことが多いと考えられる。しかし、文字「W」を入力した後、文字「E」を入力するような場合に、それぞれのユーザが持つ固有の癖が顕著になる。例えば、ユーザによっては、文字「W」を入力した後の、文字「E」の入力では、文字「E」の中心ではなく、文字「W」に寄った側を押してしまうといった癖を持つ場合が考えられる。この場合、ユーザが押した領域が、文字「E」に割り当てられたタッチパネル上の領域に含まれるものでなければ、タッチパネルを備える電子機器は、ユーザが文字「E」を入力したものと認識することはできない。即ち、ユーザの意図通り文字入力がされない誤入力となる。
【0014】
このように、誤入力をした文字の前に入力された文字との関係を考慮しなければ、それぞれのユーザが持つ操作時の癖に対応した文字入力が行えない。そのため、誤入力をした文字と、その直前に入力された文字との関係を考慮することで、誤入力を防止する入力装置、入力方法及びプログラムが、望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の視点によれば、物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出部と、前記操作検出部が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出部と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正部と、を備える入力装置が提供される。
【0016】
本発明の第2の視点によれば、物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出工程と、前記操作検出工程が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出工程と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正工程と、を含む入力方法が提供される。
【0017】
本発明の第3の視点によれば、物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出処理と、前記操作検出処理が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出処理と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正処理と、をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の各視点によれば、ユーザの誤入力を防止する入力装置、入力方法及びプログラムが、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の概要を説明するための図である。
【図2】QWERTYキーボードの一部を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る入力装置を備えた電子機器1の全体構成の一例を示す平面図である。
【図4】図3に示す電子機器1の内部構成の一例を示す図である。
【図5】液晶パネル10に表示されたキーボード配置の一部を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る入力装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】表示文字列と入力座標との関係の一例を示す図である。
【図8】標準テーブルの一例を示す図である。
【図9】学習テーブルの一例を示す図である。
【図10】学習テーブルの補正動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】文字と文字認識領域との関係を説明するための図である。
【図12】操作キーの特定方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
初めに、図1を用いて一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0021】
上述のように、誤入力をした文字の前に入力された文字との関係を考慮しなければ、それぞれのユーザが持つ操作時の癖に対応した文字入力が行えない。そのため、誤入力をした文字と、その直前に入力された文字との関係を考慮することで、誤入力を防止する入力装置が、望まれる。
【0022】
そこで、一例として図1に示す入力装置を提供する。図1に示す入力装置は、物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出部と、操作検出部が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出部と、第1の入力文字列における第1の相違点と、第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、第1及び第2の相違点に関する操作位置学習情報を補正する検出動作補正部と、を備えている。
【0023】
操作検出部で、ユーザがタッチパネル等を用いて行った操作を検出する。その際、操作検出部は、タッチパネル等が出力する操作位置(座標)と座標に関連付けられた操作位置学習情報を使用する。さらに、ユーザが、第1の入力文字列を修正するなどして、第2の入力文字列が生成された場合に、相違点抽出部は、これらの入力文字列から相違点を抽出する。
【0024】
ここで、第1の入力文字列を修正して第2の入力文字列が生成されている場合には、第1の相違点は誤入力であり、ユーザは第2の相違点に第1の相違点を修正していると考えられる。そこで、抽出された相違点が、所定の関係(例えば、相違点が隣接した文字である場合など)を持つ場合には、第1及び第2の相違点に関する操作位置学習情報を補正する。
【0025】
その際、第2の相違点に関する入力操作が容易に行われるように補正すれば、ユーザが再び同じ操作を行ったときには、誤入力(第1の相違点の入力)を防止することができる。その結果、誤入力をした文字と、その直前に入力された文字との関係を考慮することで、誤入力を防止する入力装置が、提供される。
【0026】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0028】
図3は、本実施形態に係る入力装置を備えた電子機器1の全体構成の一例を示す平面図である。
【0029】
電子機器1は、液晶パネル10と、タッチパネル20と、を備えている。
【0030】
液晶パネル10は、ユーザが電子機器1を操作する際に必要な情報を表示する。なお、電子機器1が備える表示手段は液晶パネルに限定する趣旨ではない。有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示手段であっても良い。
【0031】
タッチパネル20は、平板状のセンサによりユーザの操作を検出するデバイスである。タッチパネルの方式には、静電容量方式を初めとして各種存在するが、その方式は問わない。例えば、ユーザの指等の物体が近接したことを検出する近接検出型のタッチパネルを用いることも可能である。さらに、電子機器1が備える操作手段は、タッチパネルに限定する趣旨ではない。レーザを用いて机の上にキー配置を表現し、カメラによって指の動きを捉える仮想キーボード等の操作手段であっても良い。
【0032】
次に、電子機器1の内部構成について説明する。
【0033】
図4は、電子機器1の内部構成の一例を示す図である。
【0034】
図4に示す電子機器1は、液晶パネル10と、タッチパネル20と、操作部101と、表示部102と、制御部103と、メモリ104から構成されている。なお、図4には、簡単のため、本実施形態に係る電子機器1に関係するモジュールのみを記載する。液晶パネル10、タッチパネル20は上述のとおりであるので、さらなる説明を省略する。
【0035】
操作部101は、タッチパネル20と接続されており、タッチパネル20の設定・駆動を行うドライバとしての役割を担う。操作部101は、ユーザがタッチパネル20に触れた位置を検出し、その座標を制御部103に出力する。
【0036】
表示部102は、液晶パネル10と接続されており、液晶パネル10の設定・駆動を行うドライバとしての役割を担う。表示部102は、制御部103から送信されてくる画面表示情報から液晶パネル10を駆動するための信号を生成し、液晶パネル10に送信する。
【0037】
制御部103は、操作部101が検出したユーザ操作に基づいて動作モードの切り替えや、各アプリケーションに対する動作指示、ユーザが電子機器1を操作する際に必要な情報の生成及び表示などを実現する。なお、制御部103は、CPU(Central Processing Unit)上で動作するプログラムによって実現し得る。
【0038】
メモリ104は、制御部103の動作の際に必要となる情報を記憶する。
【0039】
ここで、ユーザがタッチパネル20を用いて文字入力を行う際の、操作部101、表示部102、制御部103の動作について概説する。
【0040】
制御部103が、ユーザが文字入力を行う必要がある動作モードであると判断した場合には、液晶パネル10にキーボード配置を模した表示を行う。
【0041】
図5は、液晶パネル10に表示されたキーボード配置の一部を示す図である。
【0042】
次に、操作部101は、ユーザがタッチパネル20に触れた位置を検出する。その後、操作部101は、検出した座標を制御部103に通知する。制御部103は、メモリ104に記憶された、文字と文字認識領域(図5の点線で示す領域)との関係が記述されたテーブルから入力された文字を検索する。文字を検索し、入力文字を特定した後、制御部103は、液晶パネル10に特定した文字を表示する指示を表示部102に行う。
【0043】
ここで、本実施形態に係る電子機器1では、文字認識領域の定義を、1点の座標とその座標からの距離で行うものとする。図5の文字「A」に示すように、文字「A」を表示する枠の中心の座標(X1,Y1)とその座標からの上下左右の距離L1〜L4により定まる領域を文字「A」の文字認識領域と定義する。なお、文字認識領域の定義を1点の座標とその座標からの距離に限定する趣旨ではなく、2点の座標から形成される領域としても良い。
【0044】
次に、電子機器1の動作について説明する。
【0045】
図6は、本実施形態に係る入力装置の動作の一例を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、ユーザが、既にタッチパネル20を使用して文字列を入力した後であって、入力した文字列を決定する前の動作を示すものである。例えば、ユーザが「WEST」といった文字列を既に入力し、入力した文字列を決定するまでの動作を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS01において、制御部103は、タッチパネル20及び操作部101を介して受け付けた座標から、操作キーを特定する。操作キーには、文字、カーソルキー、DELキー、CLRキー等が考えられる。本ステップにおける操作キーの特定方法は後述する。
【0047】
ステップS02において、制御部103は、ステップS01で特定した操作キーに基づいて、ユーザがカーソル移動動作を行ったか否かを判断する。制御部103は、ユーザがカーソル移動動作を行ったと判断した場合には、ステップS04に遷移する。制御部103は、ユーザがカーソル移動動作を行っていないと判断した場合には、ステップS03に遷移する。
【0048】
ステップS03において、制御部103は、ユーザがDELキーやCLRキー等を用いて入力文字削除動作を行ったか否かを判断する。制御部103は、ユーザが入力文字削除動作を行ったと判断した場合には、ステップS04に遷移する。制御部103は、ユーザが入力文字削除動作を行っていないと判断した場合には、ステップS07に遷移する。
【0049】
ステップS04において、制御部103は、入力文字列(例えば、「WEST」等)をメモリ104に記憶したか否かを判断する。なお、この場合における入力文字列は、ユーザが入力文字の修正を行う前の文字列である(上述の第1の入力文字列に相当する)。制御部103は、入力文字列をメモリ104に記憶したと判断した場合には、ステップS09に遷移する。制御部103は、入力文字列をメモリ104に記憶していないと判断した場合には、ステップS05に遷移する。
【0050】
ステップS05において、制御部103は、タッチパネル20及び操作部101を介して入力された座標と液晶パネル10に表示している表示文字列との関係を生成する。
【0051】
図7は、表示文字列と入力座標との関係の一例を示す図である。本ステップでは、図7に示すような表示文字列と入力座標との関係を生成する。
【0052】
ステップS06において、制御部103は、ステップS05において生成した表示文字列と入力座標との関係をメモリ104に記憶する。
【0053】
ステップS07において、制御部103は、ユーザが文字入力を完了する操作(例えば、決定キーの押下など)を行ったか否かを判断する。制御部103は、ユーザが文字入力を完了したと判断した場合には、ステップS08に遷移する。なお、制御部103がステップS08に遷移する際には、入力が完了した文字列(上述の第2の入力文字列に相当する)をメモリ104に記憶する。制御部103は、ユーザが文字入力を完了していない判断した場合には、ステップS09に遷移し、入力された文字列を表示して処理を終了する。
【0054】
ステップS08において、制御部103は、文字と文字認識領域とを記述するテーブルの補正を行う(学習を行う)。テーブルの補正については後述する。
【0055】
ステップS09において、制御部103は、文字入力が確定した文字列を液晶パネル10に表示する指示を表示部102に対して行う。
【0056】
ここで、テーブルの補正の説明に先立ち、電子機器1で使用する文字と文字認識領域とを記述するテーブルについて説明する。電子機器1は、2種類のテーブルを使用して文字と文字認識領域との関係を管理する。2種類のテーブルとは、標準テーブルと学習テーブル(上述の操作位置学習情報に相当する)である。
【0057】
標準テーブルは、文字と文字認識領域との関係において、初期値を定めるテーブルである。図8は、標準テーブルの一例を示す図である。図8に示す標準テーブルから、文字「A」の文字認識領域は、座標(Xa,Ya)、距離Laで定まる領域であることが分かる。なお、標準テーブルでは、中心座標(Xa,Ya)からの距離La1〜La4は全て等しいものとする。
【0058】
図9は、学習テーブルの一例を示す図である。図9の縦軸には入力文字を示し、横軸には縦軸に示す入力文字の直前に入力された文字を示している。文字「A」の入力の直前に入力された文字が、「B」である場合には、座標(Xa2,Ya2)と距離Lab1〜Lab4で規定される領域が文字「A」についての文字認識領域となる。同様に、文字「A」の入力の直前に入力された文字が、「C」である場合には、座標(Xa3,Ya3)と距離Lac1〜Lac4で規定される領域が文字「A」についての文字認識領域となる。なお、各文字認識領域を規定する座標及び距離の初期値は、標準テーブルが示す座標及び距離とする。
【0059】
次に、図6のステップS08におけるテーブルの補正について説明する。図6のステップS08では、上述の学習テーブルの内容を補正する。
【0060】
図10は、学習テーブルの補正動作の一例を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS11において、制御部103は、入力文字列が修正されたか否かを判断する。制御部103は、入力文字列が修正されたか否かを判断する際に、図6のステップS06で記憶した修正前の文字列と、図6のステップS07で記憶した文字列とを比較する。制御部103が、入力文字列の修正があると判断した場合にはステップS12に遷移する。制御部103が、入力文字列の修正はないと判断した場合には、処理を終了する。
【0062】
ステップS12において、制御部103は、修正前後の文字を抽出する。例えば、ユーザが、「WWST」という文字列を入力した後、カーソルキー、DELキー等を使用して、「WEST」という文字列に変更したとする。この場合、制御部103は、文字「W」を修正前の文字、文字「E」を修正後の文字と抽出する。
【0063】
ステップS13において、制御部103は、前ステップで抽出した文字同士が隣接するか否かを判断する。例えば、液晶パネル10にQWERTYキーボード型のキー配置を表示する場合には、文字「W」と文字「E」は隣接する文字となる。制御部103は、前ステップで抽出した文字が隣接すると判断した場合には、ステップS14に遷移する。制御部103は、前ステップで抽出した文字が隣接しないと判断した場合には、処理を終了する。
【0064】
ステップS14において、制御部103は、修正した文字の認識領域を修正する。より具体的には、上記の文字「E」について誤入力した文字座標に基づいて、新たな距離を演算して、文字「E」についての文字認識領域を修正する(更新する)。その際に、図6のステップS05において、生成した図7の情報を使用する。
【0065】
ステップS15では、制御部103は、修正した文字と隣接する文字の文字認識領域を修正する。
【0066】
図11は、文字と文字認識領域との関係を説明するための図である。例えば、制御部103が、文字「E」が修正された文字であると抽出した場合には、文字「E」の文字認識領域を定める距離であって、文字「W」側の距離を変更する。より具体的には、文字「E」の左側の距離Lew3を長くする(ステップS14で演算した距離に更新する)。その結果、文字「E」についての文字認識領域は、文字「W」側に近接することになる(文字「E」についての文字認識領域が文字「W」の側に偏重する)。
【0067】
なお、文字認識領域は必ずしも文字の表示枠内でなければならない訳ではないため、隣接する文字の文字認識領域は重複しないように修正する必要がある。図11では、文字「E」についての文字認識領域が、文字「W」についての文字認識領域に重ならないように、文字「W」についての文字認識領域を修正する(ステップS15)。
【0068】
制御部103は、各文字の文字認識領域について、学習テーブルを更新する。以上が、学習テーブルの補正動作についての説明である。
【0069】
次に、図6のステップS01における操作キーの特定方法について説明する。
【0070】
図12は、操作キーの特定方法の一例を示すフローチャートである。
【0071】
ステップS21において、制御部103は、前回の文字の入力から予め定められた時間が経過しているか否かを判断する。後述するように、制御部103は、文字の入力が完了するたびにタイマーを設定する。本ステップでは、制御部103が、タイマーを使用し、文字を入力する間隔が一定値以上か否かを判定している。制御部103が、前回の文字の入力から予め定められた時間を経過していると判断した場合には、ステップS22に遷移する。制御部103が、前回の文字の入力から予め定められた時間を経過していないと判断した場合には、ステップS23に遷移する。
【0072】
ステップS22において、制御部103は、タッチパネル20を介して受け付ける座標から入力文字を特定する際に使用するテーブルとして、標準テーブルを選択する。
【0073】
ステップS23において、制御部103は、タッチパネル20を介して受け付ける座標から入力文字を特定する際に使用するテーブルとして、学習テーブルを選択する。即ち、前回の文字入力から一定時間内に、次の入力が行われた場合には、直前の文字入力の影響があると、制御部103は判断する。そのため、標準テーブルではなく、直前に入力された文字との関係で文字認識領域が修正された学習テーブルを、入力文字の検索用テーブルとして採用する。
【0074】
ステップS24において、制御部103は、タッチパネル20及び操作部101を介して入力座標を受け付ける。
【0075】
ステップS25において、制御部103は、入力座標から入力文字を、ステップS22又はS23で選択したテーブル(標準テーブル又は学習テーブル)から検索する。
【0076】
ステップS26において、制御部103は、タイマーを再設定する。
【0077】
本実施形態に係る入力装置は、タッチパネル等により実現するソフトウェアキーボードに適用することができる。本実施形態に係る入力装置では、修正前後の文字列から誤入力した文字を特定している。さらに、誤入力した文字及び誤入力した文字に隣接する文字についての文字認識領域を修正する。より具体的には、誤入力した文字の文字認識領域を広げると共に、隣接する文字の文字認識領域を狭くする。その結果、隣接する文字を続けて入力する際に、誤入力を起こし易いユーザであっても、誤入力をせず、快適な操作が実現できる。
【0078】
このように、誤入力をした文字と、その直前に入力された文字との関係を考慮することで、誤入力を防止する入力装置が提供できる。また、学習した結果は、即座に、次の文字入力動作に反映されるため、学習効果が発揮されるまでに長い時間を要することもない。さらに、本実施形態に係る入力装置は、事前の調整操作処理は不要である。即ち、電子機器1を使用するユーザそれぞれが持つ固有の癖に対して、柔軟に対応できる(誤入力し易い文字を有効に学習することができる)。
【0079】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0080】
(付記1)物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出部と、前記操作検出部が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出部と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正部と、を備える入力装置。
【0081】
(付記2)前記操作位置学習情報は、前記操作位置と、前記操作位置が所定の領域内に含まれる場合に入力文字と判定する情報と、を含み、前記検出動作補正部は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域と、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域と、が互いに隣接している場合に、前記操作位置学習情報を補正する入力装置。
【0082】
(付記3)前記検出動作補正部は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域を狭め、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域を広げることで、前記操作位置学習情報を補正する入力装置。
【0083】
(付記4)前記相違点抽出部は、前記第1の入力文字列の一部が変更されたことに基づき、前記第2の入力文字列が生成された場合に、前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する入力装置。
【0084】
(付記5)前記操作検出部は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過する前に、操作位置の検出を行った場合に、前記操作位置学習情報を用いて入力文字を検出する入力装置。
【0085】
(付記6)前記操作検出部は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過した後に、操作位置の検出を行った場合は、前記操作位置学習情報に代えて、予め定めた情報に基づいて入力文字を検出する入力装置。
【0086】
(付記7)前記所定の領域は、1点の操作位置と前記1点の操作位置からの距離により定まる、又は、2点の操作位置により定まる入力装置。
【0087】
(付記8)物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出工程と、前記操作検出工程が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出工程と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正工程と、を含む入力方法。
【0088】
(付記9)前記操作位置学習情報は、前記操作位置と、前記操作位置が所定の領域内に含まれる場合に入力文字と判定する情報と、を含み、前記検出動作補正工程は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域と、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域と、が互いに隣接している場合に、前記操作位置学習情報を補正する入力方法。
【0089】
(付記10)前記検出動作補正工程は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域を狭め、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域を広げることで、前記操作位置学習情報を補正する入力方法。
【0090】
(付記11)前記相違点抽出工程は、前記第1の入力文字列の一部が変更されたことに基づき、前記第2の入力文字列が生成された場合に、前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する入力方法。
【0091】
(付記12)前記操作検出工程は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過する前に、操作位置の検出を行った場合に、前記操作位置学習情報を用いて入力文字を検出する入力方法。
【0092】
(付記13)前記操作検出工程は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過した後に、操作位置の検出を行った場合は、前記操作位置学習情報に代えて、予め定めた情報に基づいて入力文字を検出する入力方法。
【0093】
(付記14)物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出処理と、前記操作検出処理が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出処理と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【0094】
(付記15)前記操作位置学習情報は、前記操作位置と、前記操作位置が所定の領域内に含まれる場合に入力文字と判定する情報と、を含み、前記検出動作補正処理は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域と、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域と、が互いに隣接している場合に、前記操作位置学習情報を補正するプログラム。
【0095】
(付記16)前記検出動作補正処理は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域を狭め、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域を広げることで、前記操作位置学習情報を補正するプログラム。
【0096】
(付記17)前記相違点抽出処理は、前記第1の入力文字列の一部が変更されたことに基づき、前記第2の入力文字列が生成された場合に、前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出するプログラム。
【0097】
(付記18)前記操作検出処理は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過する前に、操作位置の検出を行った場合に、前記操作位置学習情報を用いて入力文字を検出するプログラム。
【0098】
(付記19)前記操作検出処理は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過した後に、操作位置の検出を行った場合は、前記操作位置学習情報に代えて、予め定めた情報に基づいて入力文字を検出するプログラム。
【0099】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0100】
1 電子機器
10 液晶パネル
20 タッチパネル
101 操作部
102 表示部
103 制御部
104 メモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、入力方法及びプログラムに関する。特に、誤入力を防止する入力装置、入力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ゲーム機等の電子機器には、文字等を入力する手段が必要である。そのような情報入力手段としては、タッチパネル、タッチパッド等が用いられる。タッチパネル等を備える電子機器は、文字とタッチパネル上の座標(座標で規定される領域)を関連付け、入力された文字を判別する。
【0003】
ここで、ユーザが情報入力手段を用いて文字入力を行う場合に、タッチパネル上の領域の割当てが適切でなければ、意図したとおりの入力が行えない場合がある。さらに、全てのユーザが同じように電子機器を操作する訳ではなく、それぞれ固有の特性(操作時の癖)を持っている。そのため、タッチパネル等を用いて情報を入力する際に、誤入力を防止する様々な技術が存在する。
【0004】
特許文献1において、ソフトウェアキーボード上の釦位置に関する情報を自動補正する技術が開示されている。特許文献1が開示する入力装置は、ユーザがタッチパネルを操作した際に、その接触位置を記憶及び学習することで、ソフトウェアキーボード上の釦位置に関する情報を補正する。
【0005】
特許文献2において、一度入力したデータの修正を契機として、誤入力を学習するキーボード装置が開示されている。特許文献2が開示するキーボード装置は、学習結果を参照し、ユーザのキー操作を受け付ける範囲を調整する。
【0006】
特許文献3において、小型のタッチパネルを利用する場合に、誤入力を防止する技術が開示されている。特許文献3では、タッチパネル上で複数の操作キーが入力された場合に、入力時の物理量と統計モデルとを用いて最も確からしい操作キーを出力するデータ処理装置を開示している。その結果、ユーザによる誤入力を低減する。
【0007】
特許文献4において、複数のキーが押された場合であっても、正確にキーが押された位置を算出する仮想キーボードが開示されている。
【0008】
特許文献5において、入力文字列から誤入力箇所を検出し、ユーザに通知する文書作成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−242958号公報
【特許文献2】特開2000−066817号公報
【特許文献3】特開2011−090356号公報
【特許文献4】特開2002−229718号公報
【特許文献5】特開平11−025080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。
【0011】
上述のように、タッチパネル等の情報入力手段によって、文字を入力する際に、誤入力を防止する技術が各種存在する。しかし、ユーザが誤入力した文字を特定せずに、ユーザが接触した座標と入力文字の関係を学習したとしても、有効な誤入力防止手段にはならない。誤入力した文字と、タッチパネルへの接触位置の関係も記憶・学習してしまうためである。特許文献1及び3で開示された技術では、ユーザが誤入力した文字を特定していない。
【0012】
さらに、削除キー等を契機として、誤入力した文字を特定し、座標と入力文字の関係を学習する技術(例えば、特許文献2及び5が開示する技術)にも問題がある。誤入力した文字を特定すれば、より有効に誤入力を防止することができる。しかし、ユーザそれぞれが持つ固有の癖を考慮していないため、特定の文字列を入力する場合などに、誤入力が発生する場合がある。なお、特許文献4が開示する技術は、誤入力の防止に係る技術ではない。
【0013】
図2は、QWERTYキーボードの一部を示す図である。ユーザが、図2に示す文字「E」の一文字を入力しようと考えた場合には、文字「E」の中心を押すことが多いと考えられる。しかし、文字「W」を入力した後、文字「E」を入力するような場合に、それぞれのユーザが持つ固有の癖が顕著になる。例えば、ユーザによっては、文字「W」を入力した後の、文字「E」の入力では、文字「E」の中心ではなく、文字「W」に寄った側を押してしまうといった癖を持つ場合が考えられる。この場合、ユーザが押した領域が、文字「E」に割り当てられたタッチパネル上の領域に含まれるものでなければ、タッチパネルを備える電子機器は、ユーザが文字「E」を入力したものと認識することはできない。即ち、ユーザの意図通り文字入力がされない誤入力となる。
【0014】
このように、誤入力をした文字の前に入力された文字との関係を考慮しなければ、それぞれのユーザが持つ操作時の癖に対応した文字入力が行えない。そのため、誤入力をした文字と、その直前に入力された文字との関係を考慮することで、誤入力を防止する入力装置、入力方法及びプログラムが、望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の視点によれば、物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出部と、前記操作検出部が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出部と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正部と、を備える入力装置が提供される。
【0016】
本発明の第2の視点によれば、物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出工程と、前記操作検出工程が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出工程と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正工程と、を含む入力方法が提供される。
【0017】
本発明の第3の視点によれば、物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出処理と、前記操作検出処理が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出処理と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正処理と、をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の各視点によれば、ユーザの誤入力を防止する入力装置、入力方法及びプログラムが、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の概要を説明するための図である。
【図2】QWERTYキーボードの一部を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る入力装置を備えた電子機器1の全体構成の一例を示す平面図である。
【図4】図3に示す電子機器1の内部構成の一例を示す図である。
【図5】液晶パネル10に表示されたキーボード配置の一部を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る入力装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】表示文字列と入力座標との関係の一例を示す図である。
【図8】標準テーブルの一例を示す図である。
【図9】学習テーブルの一例を示す図である。
【図10】学習テーブルの補正動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】文字と文字認識領域との関係を説明するための図である。
【図12】操作キーの特定方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
初めに、図1を用いて一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0021】
上述のように、誤入力をした文字の前に入力された文字との関係を考慮しなければ、それぞれのユーザが持つ操作時の癖に対応した文字入力が行えない。そのため、誤入力をした文字と、その直前に入力された文字との関係を考慮することで、誤入力を防止する入力装置が、望まれる。
【0022】
そこで、一例として図1に示す入力装置を提供する。図1に示す入力装置は、物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出部と、操作検出部が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出部と、第1の入力文字列における第1の相違点と、第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、第1及び第2の相違点に関する操作位置学習情報を補正する検出動作補正部と、を備えている。
【0023】
操作検出部で、ユーザがタッチパネル等を用いて行った操作を検出する。その際、操作検出部は、タッチパネル等が出力する操作位置(座標)と座標に関連付けられた操作位置学習情報を使用する。さらに、ユーザが、第1の入力文字列を修正するなどして、第2の入力文字列が生成された場合に、相違点抽出部は、これらの入力文字列から相違点を抽出する。
【0024】
ここで、第1の入力文字列を修正して第2の入力文字列が生成されている場合には、第1の相違点は誤入力であり、ユーザは第2の相違点に第1の相違点を修正していると考えられる。そこで、抽出された相違点が、所定の関係(例えば、相違点が隣接した文字である場合など)を持つ場合には、第1及び第2の相違点に関する操作位置学習情報を補正する。
【0025】
その際、第2の相違点に関する入力操作が容易に行われるように補正すれば、ユーザが再び同じ操作を行ったときには、誤入力(第1の相違点の入力)を防止することができる。その結果、誤入力をした文字と、その直前に入力された文字との関係を考慮することで、誤入力を防止する入力装置が、提供される。
【0026】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0028】
図3は、本実施形態に係る入力装置を備えた電子機器1の全体構成の一例を示す平面図である。
【0029】
電子機器1は、液晶パネル10と、タッチパネル20と、を備えている。
【0030】
液晶パネル10は、ユーザが電子機器1を操作する際に必要な情報を表示する。なお、電子機器1が備える表示手段は液晶パネルに限定する趣旨ではない。有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示手段であっても良い。
【0031】
タッチパネル20は、平板状のセンサによりユーザの操作を検出するデバイスである。タッチパネルの方式には、静電容量方式を初めとして各種存在するが、その方式は問わない。例えば、ユーザの指等の物体が近接したことを検出する近接検出型のタッチパネルを用いることも可能である。さらに、電子機器1が備える操作手段は、タッチパネルに限定する趣旨ではない。レーザを用いて机の上にキー配置を表現し、カメラによって指の動きを捉える仮想キーボード等の操作手段であっても良い。
【0032】
次に、電子機器1の内部構成について説明する。
【0033】
図4は、電子機器1の内部構成の一例を示す図である。
【0034】
図4に示す電子機器1は、液晶パネル10と、タッチパネル20と、操作部101と、表示部102と、制御部103と、メモリ104から構成されている。なお、図4には、簡単のため、本実施形態に係る電子機器1に関係するモジュールのみを記載する。液晶パネル10、タッチパネル20は上述のとおりであるので、さらなる説明を省略する。
【0035】
操作部101は、タッチパネル20と接続されており、タッチパネル20の設定・駆動を行うドライバとしての役割を担う。操作部101は、ユーザがタッチパネル20に触れた位置を検出し、その座標を制御部103に出力する。
【0036】
表示部102は、液晶パネル10と接続されており、液晶パネル10の設定・駆動を行うドライバとしての役割を担う。表示部102は、制御部103から送信されてくる画面表示情報から液晶パネル10を駆動するための信号を生成し、液晶パネル10に送信する。
【0037】
制御部103は、操作部101が検出したユーザ操作に基づいて動作モードの切り替えや、各アプリケーションに対する動作指示、ユーザが電子機器1を操作する際に必要な情報の生成及び表示などを実現する。なお、制御部103は、CPU(Central Processing Unit)上で動作するプログラムによって実現し得る。
【0038】
メモリ104は、制御部103の動作の際に必要となる情報を記憶する。
【0039】
ここで、ユーザがタッチパネル20を用いて文字入力を行う際の、操作部101、表示部102、制御部103の動作について概説する。
【0040】
制御部103が、ユーザが文字入力を行う必要がある動作モードであると判断した場合には、液晶パネル10にキーボード配置を模した表示を行う。
【0041】
図5は、液晶パネル10に表示されたキーボード配置の一部を示す図である。
【0042】
次に、操作部101は、ユーザがタッチパネル20に触れた位置を検出する。その後、操作部101は、検出した座標を制御部103に通知する。制御部103は、メモリ104に記憶された、文字と文字認識領域(図5の点線で示す領域)との関係が記述されたテーブルから入力された文字を検索する。文字を検索し、入力文字を特定した後、制御部103は、液晶パネル10に特定した文字を表示する指示を表示部102に行う。
【0043】
ここで、本実施形態に係る電子機器1では、文字認識領域の定義を、1点の座標とその座標からの距離で行うものとする。図5の文字「A」に示すように、文字「A」を表示する枠の中心の座標(X1,Y1)とその座標からの上下左右の距離L1〜L4により定まる領域を文字「A」の文字認識領域と定義する。なお、文字認識領域の定義を1点の座標とその座標からの距離に限定する趣旨ではなく、2点の座標から形成される領域としても良い。
【0044】
次に、電子機器1の動作について説明する。
【0045】
図6は、本実施形態に係る入力装置の動作の一例を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、ユーザが、既にタッチパネル20を使用して文字列を入力した後であって、入力した文字列を決定する前の動作を示すものである。例えば、ユーザが「WEST」といった文字列を既に入力し、入力した文字列を決定するまでの動作を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS01において、制御部103は、タッチパネル20及び操作部101を介して受け付けた座標から、操作キーを特定する。操作キーには、文字、カーソルキー、DELキー、CLRキー等が考えられる。本ステップにおける操作キーの特定方法は後述する。
【0047】
ステップS02において、制御部103は、ステップS01で特定した操作キーに基づいて、ユーザがカーソル移動動作を行ったか否かを判断する。制御部103は、ユーザがカーソル移動動作を行ったと判断した場合には、ステップS04に遷移する。制御部103は、ユーザがカーソル移動動作を行っていないと判断した場合には、ステップS03に遷移する。
【0048】
ステップS03において、制御部103は、ユーザがDELキーやCLRキー等を用いて入力文字削除動作を行ったか否かを判断する。制御部103は、ユーザが入力文字削除動作を行ったと判断した場合には、ステップS04に遷移する。制御部103は、ユーザが入力文字削除動作を行っていないと判断した場合には、ステップS07に遷移する。
【0049】
ステップS04において、制御部103は、入力文字列(例えば、「WEST」等)をメモリ104に記憶したか否かを判断する。なお、この場合における入力文字列は、ユーザが入力文字の修正を行う前の文字列である(上述の第1の入力文字列に相当する)。制御部103は、入力文字列をメモリ104に記憶したと判断した場合には、ステップS09に遷移する。制御部103は、入力文字列をメモリ104に記憶していないと判断した場合には、ステップS05に遷移する。
【0050】
ステップS05において、制御部103は、タッチパネル20及び操作部101を介して入力された座標と液晶パネル10に表示している表示文字列との関係を生成する。
【0051】
図7は、表示文字列と入力座標との関係の一例を示す図である。本ステップでは、図7に示すような表示文字列と入力座標との関係を生成する。
【0052】
ステップS06において、制御部103は、ステップS05において生成した表示文字列と入力座標との関係をメモリ104に記憶する。
【0053】
ステップS07において、制御部103は、ユーザが文字入力を完了する操作(例えば、決定キーの押下など)を行ったか否かを判断する。制御部103は、ユーザが文字入力を完了したと判断した場合には、ステップS08に遷移する。なお、制御部103がステップS08に遷移する際には、入力が完了した文字列(上述の第2の入力文字列に相当する)をメモリ104に記憶する。制御部103は、ユーザが文字入力を完了していない判断した場合には、ステップS09に遷移し、入力された文字列を表示して処理を終了する。
【0054】
ステップS08において、制御部103は、文字と文字認識領域とを記述するテーブルの補正を行う(学習を行う)。テーブルの補正については後述する。
【0055】
ステップS09において、制御部103は、文字入力が確定した文字列を液晶パネル10に表示する指示を表示部102に対して行う。
【0056】
ここで、テーブルの補正の説明に先立ち、電子機器1で使用する文字と文字認識領域とを記述するテーブルについて説明する。電子機器1は、2種類のテーブルを使用して文字と文字認識領域との関係を管理する。2種類のテーブルとは、標準テーブルと学習テーブル(上述の操作位置学習情報に相当する)である。
【0057】
標準テーブルは、文字と文字認識領域との関係において、初期値を定めるテーブルである。図8は、標準テーブルの一例を示す図である。図8に示す標準テーブルから、文字「A」の文字認識領域は、座標(Xa,Ya)、距離Laで定まる領域であることが分かる。なお、標準テーブルでは、中心座標(Xa,Ya)からの距離La1〜La4は全て等しいものとする。
【0058】
図9は、学習テーブルの一例を示す図である。図9の縦軸には入力文字を示し、横軸には縦軸に示す入力文字の直前に入力された文字を示している。文字「A」の入力の直前に入力された文字が、「B」である場合には、座標(Xa2,Ya2)と距離Lab1〜Lab4で規定される領域が文字「A」についての文字認識領域となる。同様に、文字「A」の入力の直前に入力された文字が、「C」である場合には、座標(Xa3,Ya3)と距離Lac1〜Lac4で規定される領域が文字「A」についての文字認識領域となる。なお、各文字認識領域を規定する座標及び距離の初期値は、標準テーブルが示す座標及び距離とする。
【0059】
次に、図6のステップS08におけるテーブルの補正について説明する。図6のステップS08では、上述の学習テーブルの内容を補正する。
【0060】
図10は、学習テーブルの補正動作の一例を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS11において、制御部103は、入力文字列が修正されたか否かを判断する。制御部103は、入力文字列が修正されたか否かを判断する際に、図6のステップS06で記憶した修正前の文字列と、図6のステップS07で記憶した文字列とを比較する。制御部103が、入力文字列の修正があると判断した場合にはステップS12に遷移する。制御部103が、入力文字列の修正はないと判断した場合には、処理を終了する。
【0062】
ステップS12において、制御部103は、修正前後の文字を抽出する。例えば、ユーザが、「WWST」という文字列を入力した後、カーソルキー、DELキー等を使用して、「WEST」という文字列に変更したとする。この場合、制御部103は、文字「W」を修正前の文字、文字「E」を修正後の文字と抽出する。
【0063】
ステップS13において、制御部103は、前ステップで抽出した文字同士が隣接するか否かを判断する。例えば、液晶パネル10にQWERTYキーボード型のキー配置を表示する場合には、文字「W」と文字「E」は隣接する文字となる。制御部103は、前ステップで抽出した文字が隣接すると判断した場合には、ステップS14に遷移する。制御部103は、前ステップで抽出した文字が隣接しないと判断した場合には、処理を終了する。
【0064】
ステップS14において、制御部103は、修正した文字の認識領域を修正する。より具体的には、上記の文字「E」について誤入力した文字座標に基づいて、新たな距離を演算して、文字「E」についての文字認識領域を修正する(更新する)。その際に、図6のステップS05において、生成した図7の情報を使用する。
【0065】
ステップS15では、制御部103は、修正した文字と隣接する文字の文字認識領域を修正する。
【0066】
図11は、文字と文字認識領域との関係を説明するための図である。例えば、制御部103が、文字「E」が修正された文字であると抽出した場合には、文字「E」の文字認識領域を定める距離であって、文字「W」側の距離を変更する。より具体的には、文字「E」の左側の距離Lew3を長くする(ステップS14で演算した距離に更新する)。その結果、文字「E」についての文字認識領域は、文字「W」側に近接することになる(文字「E」についての文字認識領域が文字「W」の側に偏重する)。
【0067】
なお、文字認識領域は必ずしも文字の表示枠内でなければならない訳ではないため、隣接する文字の文字認識領域は重複しないように修正する必要がある。図11では、文字「E」についての文字認識領域が、文字「W」についての文字認識領域に重ならないように、文字「W」についての文字認識領域を修正する(ステップS15)。
【0068】
制御部103は、各文字の文字認識領域について、学習テーブルを更新する。以上が、学習テーブルの補正動作についての説明である。
【0069】
次に、図6のステップS01における操作キーの特定方法について説明する。
【0070】
図12は、操作キーの特定方法の一例を示すフローチャートである。
【0071】
ステップS21において、制御部103は、前回の文字の入力から予め定められた時間が経過しているか否かを判断する。後述するように、制御部103は、文字の入力が完了するたびにタイマーを設定する。本ステップでは、制御部103が、タイマーを使用し、文字を入力する間隔が一定値以上か否かを判定している。制御部103が、前回の文字の入力から予め定められた時間を経過していると判断した場合には、ステップS22に遷移する。制御部103が、前回の文字の入力から予め定められた時間を経過していないと判断した場合には、ステップS23に遷移する。
【0072】
ステップS22において、制御部103は、タッチパネル20を介して受け付ける座標から入力文字を特定する際に使用するテーブルとして、標準テーブルを選択する。
【0073】
ステップS23において、制御部103は、タッチパネル20を介して受け付ける座標から入力文字を特定する際に使用するテーブルとして、学習テーブルを選択する。即ち、前回の文字入力から一定時間内に、次の入力が行われた場合には、直前の文字入力の影響があると、制御部103は判断する。そのため、標準テーブルではなく、直前に入力された文字との関係で文字認識領域が修正された学習テーブルを、入力文字の検索用テーブルとして採用する。
【0074】
ステップS24において、制御部103は、タッチパネル20及び操作部101を介して入力座標を受け付ける。
【0075】
ステップS25において、制御部103は、入力座標から入力文字を、ステップS22又はS23で選択したテーブル(標準テーブル又は学習テーブル)から検索する。
【0076】
ステップS26において、制御部103は、タイマーを再設定する。
【0077】
本実施形態に係る入力装置は、タッチパネル等により実現するソフトウェアキーボードに適用することができる。本実施形態に係る入力装置では、修正前後の文字列から誤入力した文字を特定している。さらに、誤入力した文字及び誤入力した文字に隣接する文字についての文字認識領域を修正する。より具体的には、誤入力した文字の文字認識領域を広げると共に、隣接する文字の文字認識領域を狭くする。その結果、隣接する文字を続けて入力する際に、誤入力を起こし易いユーザであっても、誤入力をせず、快適な操作が実現できる。
【0078】
このように、誤入力をした文字と、その直前に入力された文字との関係を考慮することで、誤入力を防止する入力装置が提供できる。また、学習した結果は、即座に、次の文字入力動作に反映されるため、学習効果が発揮されるまでに長い時間を要することもない。さらに、本実施形態に係る入力装置は、事前の調整操作処理は不要である。即ち、電子機器1を使用するユーザそれぞれが持つ固有の癖に対して、柔軟に対応できる(誤入力し易い文字を有効に学習することができる)。
【0079】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0080】
(付記1)物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出部と、前記操作検出部が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出部と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正部と、を備える入力装置。
【0081】
(付記2)前記操作位置学習情報は、前記操作位置と、前記操作位置が所定の領域内に含まれる場合に入力文字と判定する情報と、を含み、前記検出動作補正部は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域と、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域と、が互いに隣接している場合に、前記操作位置学習情報を補正する入力装置。
【0082】
(付記3)前記検出動作補正部は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域を狭め、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域を広げることで、前記操作位置学習情報を補正する入力装置。
【0083】
(付記4)前記相違点抽出部は、前記第1の入力文字列の一部が変更されたことに基づき、前記第2の入力文字列が生成された場合に、前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する入力装置。
【0084】
(付記5)前記操作検出部は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過する前に、操作位置の検出を行った場合に、前記操作位置学習情報を用いて入力文字を検出する入力装置。
【0085】
(付記6)前記操作検出部は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過した後に、操作位置の検出を行った場合は、前記操作位置学習情報に代えて、予め定めた情報に基づいて入力文字を検出する入力装置。
【0086】
(付記7)前記所定の領域は、1点の操作位置と前記1点の操作位置からの距離により定まる、又は、2点の操作位置により定まる入力装置。
【0087】
(付記8)物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出工程と、前記操作検出工程が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出工程と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正工程と、を含む入力方法。
【0088】
(付記9)前記操作位置学習情報は、前記操作位置と、前記操作位置が所定の領域内に含まれる場合に入力文字と判定する情報と、を含み、前記検出動作補正工程は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域と、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域と、が互いに隣接している場合に、前記操作位置学習情報を補正する入力方法。
【0089】
(付記10)前記検出動作補正工程は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域を狭め、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域を広げることで、前記操作位置学習情報を補正する入力方法。
【0090】
(付記11)前記相違点抽出工程は、前記第1の入力文字列の一部が変更されたことに基づき、前記第2の入力文字列が生成された場合に、前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する入力方法。
【0091】
(付記12)前記操作検出工程は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過する前に、操作位置の検出を行った場合に、前記操作位置学習情報を用いて入力文字を検出する入力方法。
【0092】
(付記13)前記操作検出工程は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過した後に、操作位置の検出を行った場合は、前記操作位置学習情報に代えて、予め定めた情報に基づいて入力文字を検出する入力方法。
【0093】
(付記14)物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出処理と、前記操作検出処理が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出処理と、前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【0094】
(付記15)前記操作位置学習情報は、前記操作位置と、前記操作位置が所定の領域内に含まれる場合に入力文字と判定する情報と、を含み、前記検出動作補正処理は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域と、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域と、が互いに隣接している場合に、前記操作位置学習情報を補正するプログラム。
【0095】
(付記16)前記検出動作補正処理は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域を狭め、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域を広げることで、前記操作位置学習情報を補正するプログラム。
【0096】
(付記17)前記相違点抽出処理は、前記第1の入力文字列の一部が変更されたことに基づき、前記第2の入力文字列が生成された場合に、前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出するプログラム。
【0097】
(付記18)前記操作検出処理は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過する前に、操作位置の検出を行った場合に、前記操作位置学習情報を用いて入力文字を検出するプログラム。
【0098】
(付記19)前記操作検出処理は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過した後に、操作位置の検出を行った場合は、前記操作位置学習情報に代えて、予め定めた情報に基づいて入力文字を検出するプログラム。
【0099】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0100】
1 電子機器
10 液晶パネル
20 タッチパネル
101 操作部
102 表示部
103 制御部
104 メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出部と、
前記操作検出部が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出部と、
前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正部と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記操作位置学習情報は、前記操作位置と、前記操作位置が所定の領域内に含まれる場合に入力文字と判定する情報と、を含み、
前記検出動作補正部は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域と、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域と、が互いに隣接している場合に、前記操作位置学習情報を補正する請求項1の入力装置。
【請求項3】
前記検出動作補正部は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域を狭め、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域を広げることで、前記操作位置学習情報を補正する請求項2の入力装置。
【請求項4】
前記相違点抽出部は、前記第1の入力文字列の一部が変更されたことに基づき、前記第2の入力文字列が生成された場合に、前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する請求項1乃至3のいずれか一に記載の入力装置。
【請求項5】
前記操作検出部は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過する前に、操作位置の検出を行った場合に、前記操作位置学習情報を用いて入力文字を検出する請求項1乃至4のいずれか一に記載の入力装置。
【請求項6】
前記操作検出部は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過した後に、操作位置の検出を行った場合は、前記操作位置学習情報に代えて、予め定めた情報に基づいて入力文字を検出する請求項1乃至5のいずれか一に記載の入力装置。
【請求項7】
前記所定の領域は、1点の操作位置と前記1点の操作位置からの距離により定まる、又は、2点の操作位置により定まる、請求項1乃至6のいずれか一に記載の入力装置。
【請求項8】
物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出工程と、
前記操作検出工程が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出工程と、
前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正工程と、
を含むことを特徴とする入力方法。
【請求項9】
前記操作位置学習情報は、前記操作位置と、前記操作位置が所定の領域内に含まれる場合に入力文字と判定する情報と、を含み、
前記検出動作補正工程は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域と、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域と、が互いに隣接している場合に、前記操作位置学習情報を補正する請求項8の入力方法。
【請求項10】
物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出処理と、
前記操作検出処理が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出処理と、
前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項1】
物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出部と、
前記操作検出部が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出部と、
前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正部と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記操作位置学習情報は、前記操作位置と、前記操作位置が所定の領域内に含まれる場合に入力文字と判定する情報と、を含み、
前記検出動作補正部は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域と、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域と、が互いに隣接している場合に、前記操作位置学習情報を補正する請求項1の入力装置。
【請求項3】
前記検出動作補正部は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域を狭め、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域を広げることで、前記操作位置学習情報を補正する請求項2の入力装置。
【請求項4】
前記相違点抽出部は、前記第1の入力文字列の一部が変更されたことに基づき、前記第2の入力文字列が生成された場合に、前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する請求項1乃至3のいずれか一に記載の入力装置。
【請求項5】
前記操作検出部は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過する前に、操作位置の検出を行った場合に、前記操作位置学習情報を用いて入力文字を検出する請求項1乃至4のいずれか一に記載の入力装置。
【請求項6】
前記操作検出部は、操作位置の検出を行った後、予め定められた時間が経過した後に、操作位置の検出を行った場合は、前記操作位置学習情報に代えて、予め定めた情報に基づいて入力文字を検出する請求項1乃至5のいずれか一に記載の入力装置。
【請求項7】
前記所定の領域は、1点の操作位置と前記1点の操作位置からの距離により定まる、又は、2点の操作位置により定まる、請求項1乃至6のいずれか一に記載の入力装置。
【請求項8】
物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出工程と、
前記操作検出工程が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出工程と、
前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正工程と、
を含むことを特徴とする入力方法。
【請求項9】
前記操作位置学習情報は、前記操作位置と、前記操作位置が所定の領域内に含まれる場合に入力文字と判定する情報と、を含み、
前記検出動作補正工程は、前記第1の相違点に対応する前記所定の領域と、前記第2の相違点に対応する前記所定の領域と、が互いに隣接している場合に、前記操作位置学習情報を補正する請求項8の入力方法。
【請求項10】
物体が接触又は近接する位置から操作位置を検出し、前記操作位置と関連付けられた操作位置学習情報とから入力文字を検出する操作検出処理と、
前記操作検出処理が連続して検出した複数の入力文字からなる第1の入力文字列と、前記第1の入力文字列の後に生成された複数の入力文字からなる第2の入力文字列と、から前記第1及び第2の入力文字列の間で異なる入力文字を抽出する相違点抽出処理と、
前記第1の入力文字列における第1の相違点と、前記第2の入力文字列における第2の相違点と、が所定の関係を持つ場合に、前記第1及び第2の相違点に関する前記操作位置学習情報を補正する検出動作補正処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−73317(P2013−73317A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210472(P2011−210472)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
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