説明

入力装置、及び電子機器

【課題】キー各々に独立した表示デバイスを用い、キー操作時のたわみ、耐久性の問題を解消した上で、配線が簡素化でき、組立作業も簡素化できる入力装置と、その入力装置を搭載した電子機器を提供する。
【解決手段】キートップ40の下に配置する表示デバイス30をキーごとに分割して配置し、キーラバー20と一体成形された導通部22に、表示デバイス30の裏側に設けた電極33を異方性導電材50で貼り付けて配線する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キートップの下に表示デバイスを配置する入力装置と、その入力装置を搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話端末のキーには文字などが印刷されているが、機能の増加により操作が複雑化しキーの表示も多く必要となる。
また、特許文献1により、キーベース上に取り付けられたキートップの内部に表示装置を組み込んで構成したキー表示装置が知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−354079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、キートップ内部に表示装置を組み込んだり、また、例えばキー各々に独立した表示デバイスを用いたりすると、特許文献1に開示はないが、配線が煩雑になり、キー操作時のたわみ、耐久性の問題が生じたり、組立性やコストの面で不利になる。
【0005】
本発明の課題は、キー操作時のたわみ、耐久性の問題を解消した上で、配線が簡素化でき、組立作業も簡素化できる入力装置と、その入力装置を搭載した電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の入力装置は、キートップの下に配置する表示デバイスをキーごとに分割して配置し、キーラバーと一体成形された導通部に、前記表示デバイスの裏側に設けた電極を接続し、前記キーラバーの端部に、前記導通部を有する薄肉部を一体成形する一方、前記薄肉部を挿入するスリットを有するブロック状の押え部材を設け、この押え部材のスリットに前記薄肉部の中間部を挿入し、前記押え部材を横に倒して、その横に倒した押え部材の下に前記薄肉部を介して前記導通部を180度折り返した状態の接触部を位置させ、この接触部を、基板上の電極に接続したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明の電子機器は、請求項1に記載の入力装置を搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キー操作時のたわみ、耐久性の問題を解消でき、しかも、配線が簡素化でき、組立作業も簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用する電子機器に搭載される入力装置の実施形態1の構成を示すもので、キー押し込み前を示した縦断面図(a)と、キー押し込み時を示した縦断面図(b)である。
【図2】図1のキーラバー上のキートップ及び表示デバイス等を示した斜視図である。
【図3】図2の縦断面図である。
【図4】図3の分解拡大図である。
【図5】本発明を適用する電子機器に搭載される入力装置の実施形態2の構成を示すもので、キーラバーと押え部材との関係を示した縦断面図(a)と、キーラバーの押え部材による折り曲げ時を示した縦断面図(b)である。
【図6】図5のキーラバーと押え部材の斜視図である。
【図7】図5のキーラバー上のキートップ及び表示デバイス等を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1から図4は本発明を適用する電子機器に搭載される入力装置の実施形態1の構成を示すもので、10は基板、20はキーラバー、30は表示デバイス、40はキートップ、50は異方性導電材、60は透明接着剤である。なお、図2は、説明の便宜上、三個のキーのみを示したものである。
【0011】
図示のように、基板10の上面には、各キー位置に対応してメタルドーム11が設けられるとともに、各キーに対応する電極12が設けられている。そして、基板10上には、キーラバー20が配置されている。
【0012】
キーラバー20の下面には、各キー位置に対応して凸部21が一体成形されている。また、キーラバー20の上面には、各キーに対応する導通部22が一体成形されている。この導通部22は、複数本のパターン電極により構成されていて、キーラバー20の端面を経て下方に突出する接触部23に連続している。そして、キーラバー20の各キー位置には、各キーごとに分割された表示デバイス30が配置されている。
【0013】
表示デバイス30は、透明基材31内に液晶等の表示材料32を封入したものである。透明基材31の下面には、内部の表示材料32まで貫通する下電極33が一体成形されている。また、透明基材31内には、表示材料32上に位置する透明の上電極34が一体成形されている。この上電極34は、透明基材31の端面内を経て下面に露出している。そして、表示デバイス30上には、各キーに対応する透明なキートップ40が配置されている。
【0014】
以上において、図3及び図4に示すように、基板10上に、メタルドーム11及び凸部21の位置を合わせるとともに、電極12及び接触部23の位置を合わせてキーラバー20を重ねる。これにより、基板10上の電極12にキーラバー20下の接触部23が電気的接続状態となる。そして、キーラバー20上に、異方性導電材50を介装して表示デバイス30を貼り合わす。さらに、表示デバイス30上に、透明接着剤60によりキートップ40を貼り付ける。
【0015】
ここで、表示デバイス30とキーラバー20間で異方性導電材50を図略の電子機器の筐体で押圧することにより、キーラバー20上の導通部22に対し、表示デバイス30下の下電極33と上電極34の端子が、押圧された異方性導電材50を介してそれぞれ電気的接続状態となる。
【0016】
このような構造の入力装置としたので、キー押し込み時には、図1(a)から図1(b)に示したように、指で押し込まれたキートップ40及び表示デバイス30を介してキーラバー21の凸部21が、基板10上のメタルドーム11を押し込む。これにより、その押し込まれたキーに対応した所定の入力処理が行われると同時に、その押し込まれたキーに対応した表示デバイス30は、下電極33と上電極34間を流れる電流により表示材料32が駆動されて、所定の表示処理が行われる。
【0017】
以上のキー押し込み時において、図1(b)に示したように、各キーごとに分割された表示デバイス30には曲げ加重が加わらないか、加わりにくいものとなっている。従って、耐久性の問題を解消できる。
【0018】
以上、実施形態の電子機器に搭載される入力装置によれば、以下の効果が得られる。
(1)表示デバイス30に曲げ荷重が加わりにくく、表示デバイス30のフレキシブル性を問わない。
(2)表示デバイス30がキー押し込み時の抵抗にならないため、キー押し込み力を小さくできる。
(3)配線が簡素化でき、組立作業も簡略化できる。
【0019】
(実施形態2)
図5から図7は本発明を適用する電子機器に搭載される入力装置の実施形態2の構成を示すもので、前述した実施形態1と同様に、キーラバー20上に異方性導電材50を介装して表示デバイス30が貼り合わされて、表示デバイス30上に透明接着剤60によりキートップ40が貼り付けられているものであって、70は押え部材、80は筐体である。
この実施形態2は、前述した実施形態1と同様の構成の入力装置において、基板10上の電極12に対するキーラバー20の導通部22の接続構造を変更したものである。
【0020】
すなわち、実施形態2では、キーラバー20の端部に、図示のように、上面に導通部22を有する薄肉部25・26が一体成形されている。図示例では、キーラバー20と同じ幅に薄肉部25が形成されて、次に幅狭の薄肉部26が形成されており、また、この薄肉部26は薄肉部25のほぼ二倍の長さとなっている。なお、導通部22は、キーラバー20に導電性インクを印刷したり、蒸着やスパッタリングなどによって形成される。
【0021】
また、押え部材70は、キーラバー20とほぼ同じ幅でキーラバー20より高い高さを有し、基板10上において、薄肉部25の下に横に倒して配置されるブロック状のものである。このブロック状の押え部材70の上面に寄りには、薄肉部26をその上面の導通部22とともに挿入するスリット71が形成されている。
【0022】
以上の押え部材70のスリット71に、図5(a)及び図6に矢印で示すように、キーラバー20の薄肉部26を挿入する。このとき、薄肉部26はスリット71内に、薄肉部25の端面(境界部B参照)から先端側の中間部Cまで挿入状態となる。その挿入状態を維持したまま、図5(b)に示すように、薄肉部25に対し押え部材70を図示時計回りに90度回して横に倒し、押え部材70の端面をキーラバー20本体の端面(境界部A参照)に合致させるとともに、押え部材70の下に薄肉部26を介して導通部22を180度折り返した状態の接触部23を位置させる。
【0023】
そして、図7に示すように、基板10上の電極12に、キーラバー20の端部下の接触部23を重ねて、押え部材70を覆った状態の薄肉部25・26を、矢印で示したように、図略の電子機器の筐体80で押圧した状態に保持する。この筐体80の押圧は、押え部材70の上下の薄肉部25・26の圧縮変形により許容される。
【0024】
なお、以上の実施形態においては、透明基材内に液晶等の表示材料を封入した表示デバイスとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばELや電子ペーパー等、他の構造による表示デバイスであっても良い。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
10 基板
11 メタルドーム
12 電極
20 キーラバー
21 凸部
22 導通部
23 接触部
24 薄肉部
25 薄肉部
30 表示デバイス
31 透明基材
32 表示材料
33 下電極
34 上電極
40 キートップ
50 異方性導電材
60 透明接着剤
70 押え部材
71 スリット
80 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップの下に配置する表示デバイスをキーごとに分割して配置し、
キーラバーと一体成形された導通部に、前記表示デバイスの裏側に設けた電極を接続し、
前記キーラバーの端部に、前記導通部を有する薄肉部を一体成形する一方、
前記薄肉部を挿入するスリットを有するブロック状の押え部材を設け、
この押え部材のスリットに前記薄肉部の中間部を挿入し、
前記押え部材を横に倒して、その横に倒した押え部材の下に前記薄肉部を介して前記導通部を180度折り返した状態の接触部を位置させ、
この接触部を、基板上の電極に接続したことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置を搭載したことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−253828(P2011−253828A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177979(P2011−177979)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【分割の表示】特願2007−107096(P2007−107096)の分割
【原出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】