説明

入力装置、表示装置、および電子機器

【課題】信頼性が向上する入力装置、表示装置、および電子機器を提供する。
【解決手段】入力装置X1は、基体2と、基体2上に設けられた検出電極3a,4aと、基体2上に設けられており、かつ検出電極3a,4aと電気的に接続された検出用配線6と、基体2上に設けられており、かつ検出用配線6よりも基体2の端面2c側に位置する補強部材9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、表示装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
入力装置としては、例えば、静電容量方式のタッチパネルが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。静電容量方式のタッチパネルは、指と検出電極との間で生じる静電容量の変化を捉えて入力位置を検出する。
【0003】
このような入力装置は、基体と、基体上に設けられた検出電極と、基体上に設けられており、かつ検出電極と電気的に接続された検出用配線と、を備えている。
【0004】
ここで、基体の端面に欠けが生じていた場合、この欠けが生じた部分から基体の内部へクラックが進展する可能性があった。また、基体の端面にクラックが生じていた場合、このクラックが生じた部分から基体の内部へさらにクラックが進展する可能性があった。
【0005】
基体の内部にクラックが進展すると、基体の強度が低下する。また、クラックが生じた部分から水分等が浸入し、浸入した水分等が検出用配線にまで到達することで、検出用配線が腐食する可能性があった。このように、基体の内部にクラックが進展すると、入力装置の信頼性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−97283号公報
【特許文献2】特開2008−310551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、信頼性が向上する入力装置、表示装置、および電子機器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の入力装置における一態様は、基体と、前記基体上に設けられた検出電極と、前記基体上に設けられており、かつ前記検出電極と電気的に接続された検出用配線と、前記基体上に設けられており、かつ前記検出用配線よりも前記基体の端面側に位置する補強部材と、を備える。
【0009】
本発明の入力装置における他の態様は、入力領域および非入力領域を有した入力装置であって、第1主面、該第1主面の反対側に位置する第2主面、および前記第1主面と前記第2主面との間に位置する端面を有した基体と、前記入力領域に対応する前記基体の前記第2主面上に設けられた検出電極と、前記非入力領域に対応する前記基体の前記第2主面上に設けられており、かつ前記検出電極と電気的に接続された検出用配線と、前記非入力領域に対応する前記基体の前記第2主面上に設けられており、かつ前記検出用配線と前記基体の前記端面の端部との間に位置する補強部材と、を備える。
【0010】
本発明の表示装置における一態様は、上記の入力装置と、前記入力装置に対向して配置された表示パネルと、前記表示パネルが収容された筐体と、を備える。
【0011】
本発明の電子機器における一態様は、上記の表示装置を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の入力装置、表示装置、および電子機器は、信頼性が向上する、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る入力装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1中に示した切断線I−Iに沿って切断した断面図である。
【図3】図1中に示した切断線II−IIに沿って切断した断面図である。
【図4】図1中に示した切断線III−IIIに沿って切断した断面図である。
【図5】本実施形態に係る表示装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】本実施形態に係る携帯端末の概略構成を示す斜視図である。
【図7】変形例1に係る入力装置の概略構成を示す平面図である。
【図8】図7中に示した切断線IV−IVに沿って切断した断面図である。
【図9】変形例2に係る入力装置の概略構成を示す平面図である。
【図10】図9中に示した切断線V−Vに沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材を簡略化して示したものである。したがって、本発明に係る入力装置、表示装置、および電子機器は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る入力装置X1は、投影型の静電容量方式のタッチパネルである。入力装置X1は、入力領域E1および非入力領域E2を有している。入力領域E1は、使用者が入力操作をすることができる領域である。非入力領域E2は、使用者が入力操作をすることができない領域である。本実施形態に係る非入力領域E2は、入力領域E1を取り囲むように当該入力領域E1の外側に位置しているが、これに限らない。例えば、入力領域E1内に非入力領域E2が位置していてもよい。
【0017】
なお、入力装置X1は、投影型の静電容量方式のタッチパネルに限らず、表面型の静電容量方式のタッチパネルであってもよい。また、入力装置X1として、例えば、抵抗膜方式のタッチパネル、表面弾性波方式のタッチパネル、赤外線方式のタッチパネル、あるいは電磁誘導方式のタッチパネルであってもよい。
【0018】
図1〜図4に示すように、入力装置X1は、基体2を備えている。
【0019】
基体2は、入力領域E1において第1検出電極3a、第1接続電極3b、第2検出電極4a、および第2接続電極4bを支持する役割を有する。基体2は、非入力領域E2において検出用配線6を支持する役割を有する。基体2は、第1主面2a、第2主面2b、および端面2cを有している。第1主面2aは、後述する第1保護シート10を介して使用者によって操作される面である。第2主面2bは、第1主面2aの反対側に位置する面である。端面2cは、第1主面2aと第2主面2bとの間に位置する面である。
【0020】
基体2は、絶縁性を有する。基体2は、第1主面2aおよび第2主面2bに交差する方向に入射する光に対して透光性を有する。なお、本明細書において「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味する。また、本実施形態に係る基体2の外形状は、平面視して、
長方形状であるが、これに限らない。基体2の外形状は、平面視して、円形状、三角形状等であってもよい。基体2の構成材料としては、例えば、ガラスあるいはプラスチック等が挙げられる。基体2の構成材料がガラスである場合、強度向上のため、イオン交換によって化学強化されたガラスを用いることが好ましい。
【0021】
図2および図3に示すように、入力領域E1に対応する基体2の第2主面2b上には、第1検出電極3a、第1接続電極3b、第2検出電極4a、第2接続電極4b、および絶縁体5が設けられている。
【0022】
ここで、本明細書において「基体2の第2主面2b上には、第1検出電極3aが設けられている」とは、基体2の第2主面2bに直接的に第1検出電極3aが設けられていてもよいし、任意の部材を介して基体2の第2主面2bに間接的に第1検出電極3aが設けられていてもよい、という意味である。なお、第1接続電極3b、第2検出電極4a、第2接続電極4b、および絶縁体5についてもこれと同様である。また、以下で説明する構成部材においてもこれと同様である。
【0023】
第1検出電極3aは、指F1との間に静電容量を発生する機能を有する。第1検出電極3aは、入力領域E1に接近した使用者の指F1の、Y方向における入力位置の検出を行う役割を有する。第1検出電極3aは、基体2の第2主面2b上に、X方向に沿って所定の間隔を空けて設けられている。ここで、本実施形態に係る第1検出電極3aは、検出感度を向上する観点から、平面視形状が略ひし形とされているが、これに限らない。
【0024】
第1接続電極3bは、隣り合う第1検出電極3aを電気的に接続する役割を有する。第1接続電極3bは、基体2の第2主面2b上に設けられている。
【0025】
第2検出電極4aは、指F1との間に静電容量を発生する機能を有する。第2検出電極4aは、入力領域E1に接近した使用者の指F1の、X方向における入力位置の検出を行う役割を有する。第2検出電極4aは、基体2の第2主面2b上に、Y方向に沿って所定の間隔を空けて設けられている。ここで、本実施形態に係る第2検出電極4aは、検出感度を向上する観点から、平面視形状が略ひし形とされているが、これに限らない。
【0026】
第2接続電極4bは、隣り合う第2検出電極4aを電気的に接続する役割を有する。第2接続電極4bは、第1接続電極3bと電気的に絶縁するように、絶縁体5を跨ぐように、絶縁体5上に設けられている。ここで、絶縁体5は、第1接続電極3bを覆うように基体2の第2主面2b上に設けられている。絶縁体5の構成材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、あるいはウレタン樹脂が挙げられる。
【0027】
上記の第1検出電極3a、第1接続電極3b、第2検出電極4a、および第2接続電極4bの構成材料としては、例えば、透光性を有する導電性部材が挙げられる。透光性を有する導電性部材としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ATO(Antimony Tin Oxide)、AZO(Al-Doped Zinc Oxide)、酸化錫、酸化亜鉛、あるいは導電性高分子が挙げられる。
【0028】
図4に示すように、非入力領域E2に対応する基体2の第2主面2b上には、検出用配線6、絶縁層7、保護層8、および補強部材9が設けられている。
【0029】
検出用配線6は、第1検出電極3aおよび第2検出電極4aに対して電圧を印加する役割を有する。また、検出用配線6は、第1検出電極3aおよび第2検出電極4aと指F1との間において発生した静電容量の変化を検出する役割を有する。本実施形態では、図1に示すように、検出用配線6は、基体2の一方の長辺側に位置する非入力領域E2、およ
び基体2の一方の短辺側に位置する非入力領域E2にそれぞれ複数設けられている。また、検出用配線6は、その一端部が第1検出電極3aおよび第2検出電極4aと電気的に接続され、その他端部が外部導通領域G1に位置している。外部導通領域G1には、図示しないフレキシブル基板が接続される。このフレキシブル基板には、例えば、後述する位置検出ドライバが設けられている。
【0030】
検出用配線6は、例えば、金属薄膜で構成されている。検出用配線6を金属薄膜で構成すると、硬質で高い形状安定性が得られるため、好ましい。金属薄膜としては、例えば、アルミニウム膜、アルミニウム合金膜、クロム膜とアルミニウム膜との積層膜、クロム膜とアルミニウム合金膜との積層膜、銀膜、銀合金膜、あるいは金合金膜が挙げられる。なお、金属薄膜を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、あるいは蒸着法等が挙げられる。
【0031】
絶縁層7は、検出用配線6を保護する役割を有する。検出用配線6を保護する役割としては、例えば、検出用配線6を水分の吸湿による腐食から保護する役割が挙げられる。絶縁層7は、検出用配線6を被覆する。絶縁層7の構成材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、あるいはウレタン樹脂が挙げられる。絶縁層7を形成する方法としては、例えば、転写印刷法、スピンコート法、あるいはスリットコート法が挙げられる。
【0032】
絶縁層7の構成材料は、絶縁体5の構成材料と同じであることが好ましい。絶縁層7の構成材料が絶縁体5の構成材料と同じであれば、入力装置X1の製造工程において、基体2の第2主面2b上に、絶縁層7および絶縁体5を同時に形成することができる。これにより、製造工程を増やすことなく、基体2の第2主面2b上に、絶縁層7および絶縁体5を形成することができる。
【0033】
保護層8は、絶縁層7を保護する役割を有する。絶縁層7を保護する役割としては、例えば、絶縁層7を水分の吸湿による腐食から保護する役割、あるいは、絶縁層7の材質が変質してしまう可能性を低減する役割が挙げられる。保護層8は、絶縁層7を被覆する。保護層8の構成材料としては、例えば、二酸化珪素、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、あるいはウレタン樹脂が挙げられる。保護層8を形成する方法としては、例えば、転写印刷法、スピンコート法、あるいはスリットコート法が挙げられる。
【0034】
なお、絶縁層7を保護する必要がない場合には、保護層8はなくともよい。
【0035】
補強部材9は、検出用配線6よりも基体2の端面2c側に位置する。本実施形態では、補強部材9は、検出用配線6と基体2の端面2cの端部21cとの間に位置する。また、補強部材9は、基体2の端面2cの端部21cに沿って設けられている。検出用配線6よりも基体2の端面2c側に補強部材9が位置しているため、入力領域E1に対応する基体2の内部にクラックが進展する可能性を低減することができる。以下、具体的に説明する。
【0036】
入力装置の製造工程において、基体の端面を研磨する際、基体の端面に欠けあるいはクラックが生じる可能性があった。また、表示装置に入力装置を組み込む際に、基体の端面が表示装置を構成する筐体に接触することで、基体の端面に欠けあるいはクラックが生じる可能性があった。基体の端面に欠けが生じると、この欠けが生じた部分から基体の内部へクラックが進展する可能性があった。また、基体の端面にクラックが生じると、このクラックが生じた部分から基体の内部へさらにクラックが進展する可能性があった。特に、入力装置は、使用者によって基体が繰り返し押圧されるため、基体の内部にクラックが進展し易い。
【0037】
これに対して、入力装置X1では、検出用配線6よりも基体2の端面2c側に補強部材9が設けられている。検出用配線6よりも基体2の端面2c側に補強部材9が設けられているので、基体2の端面2cに欠けあるいはクラックが生じた場合であっても、補強部材9によって、基体2に生じたクラックの進展が止まることになる。これにより、入力装置X1では、基体2の内部にクラックが進展する可能性を低減することができる。
【0038】
補強部材9の構成材料は、第1検出電極3aおよび第2検出電極4aの構成材料と同じであることが好ましい。補強部材9の構成材料が、第1検出電極3aおよび第2検出電極4aの構成材料と同じであれば、入力装置X1の製造工程において、基体2の第2主面2b上に、補強部材9および第1検出電極3a、あるいは、補強部材9および第2検出電極4aを同時に形成することができる。これにより、製造工程を増やすことなく、基体2の第2主面2b上に、補強部材9、第1検出電極3a、および第2検出電極4aを形成することができる。
【0039】
なお、補強部材9の構成材料は、検出用配線6の構成材料と同じであってもよい。このように構成しても、上記と同様の理由により、製造工程を増やすことなく、基体2の第2主面2b上に、補強部材9および検出用配線6を形成することができる。また、補強部材9の構成材料は、絶縁層7の構成材料と同じであってもよい。このように構成しても、上記と同様の理由により、製造工程を増やすことなく、基体2の第2主面2b上に、補強部材9および絶縁層7を形成することができる。
【0040】
なお、図1に示すように、補強部材9は、平面視して入力領域E1を取り囲むように設けられていることが好ましい。すなわち、補強部材9は、第1検出電極3a、第2検出電極4a、および検出用配線6を取り囲むように設けられていることが好ましい。このように構成すると、基体2の4つの端面2cのうちどの端面2cに欠けあるいはクラックが生じても、基体2の内部にクラックが進展する可能性を低減することができる。なお、本明細書において「取り囲むように」とは、補強部材9が入力領域E1を完全に取り囲む必要はなく、補強部材9の一部に開口が設けられていてもよい、という意味である。
【0041】
また、図4に示すように、補強部材9は、基体2の端面2aから所定距離L1以上離れて設けられていることが好ましい。なお、所定距離L1は、基体2の端面2cから補強部材9までの距離のうち最も近い距離を意味する。本実施形態では、所定距離L1は、0.4〜0.6μmである。補強部材9が基体2の端面2cから所定距離L1以上離れて設けられているので、入力装置X1を製造する際、基体2の端面2cを研磨しても、当該研磨とともに補強部材9が基体2の第2主面2bから剥がれる可能性を低減することができる。
【0042】
なお、基体2の端面2cの研磨とともに補強部材9が基体2の第2主面2bから剥がれる可能性を低減する必要がない場合には、補強部材9は、基体2の端面2cの端部21cに位置していてもよい。
【0043】
図2〜図4に示すように、入力領域E1および非入力領域E2に対応する基体2の第1主面2a上には、第1保護シート10が設けられている。
【0044】
第1保護シート10は、使用者の指F1の接触によって基体2の第1主面2aを傷付けないように保護する役割を有する。第1保護シート10は、接着層11を介して、基体2の第1主面2aの全面にわたって設けられている。なお、第1保護シート10は、入力領域E1に対応する基体2の第1主面2a上にのみ設けられていてもよい。第1保護シート10の構成材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、あるいはポリエチレンテレフ
タレートフィルムが挙げられる。また、接着層11の構成材料としては、例えば、アクリル系接着材、シリコーン系接着材、ゴム系接着材、あるいはウレタン系接着材が挙げられる。
【0045】
なお、非入力領域E2に対応する第1保護シート10に、着色層を設けてもよい。このように構成すると、入力装置X1の非入力領域E2を加飾することができる。
【0046】
図2および図3に示すように、入力領域E1に対応する基体2の第2主面2b上には、第2保護シート12が設けられている。
【0047】
第2保護シート12は、第1検出電極3a、第1接続電極3b、第2検出電極4a、および第2接続電極4bを保護する役割を有する。第2保護シート12は、接着層13を介して、基体2の第2主面2b上に設けられている。第2保護シート12の構成材料としては、第1保護シート10と同様のものが挙げられる。接着層13の構成材料としては、接着層11と同様のものが挙げられる。
【0048】
次に、入力装置X1の検出原理について説明する。
【0049】
図示しない位置検出ドライバは、外部導通領域G1に位置する検出用配線6と電気的に接続されている。なお、位置検出ドライバは、電源部を備えている。位置検出ドライバの電源部は、第1検出電極3aおよび第2検出電極4aに電圧を供給している。ここで、入力領域E1に対応する基体2の第1主面2aに、導電体である指F1が接近すると、指F1と第1検出電極3aおよび第2検出電極4aとの間において静電容量が発生する。位置検出ドライバは、第1検出電極3aおよび第2検出電極4aにおいて発生する静電容量を常時検出している。位置検出ドライバは、所定値以上の静電容量を検出した第1検出電極3aおよび第2検出電極4aの組合せによって、使用者が入力操作を行った入力位置を検出する。このようにして、入力装置X1は、入力位置を検出することができる。
【0050】
以上のように、入力装置X1では、基体2の内部にクラックが進展する可能性を低減することができる。このため、基体2の強度が低下する可能性を低減することができる。また、クラックが生じた部分から水分等が浸入しても、浸入した水分等が検出用配線6にまで到達する可能性を低減することができる。このため、検出用配線6が腐食する可能性を低減することができる。この結果、入力装置X1の信頼性が向上する。
【0051】
次に、入力装置X1を備えた表示装置Y1について、図5を参照しながら説明する。
【0052】
図5に示すように、本実施形態に係る表示装置Y1は、入力装置X1、液晶パネル101、バックライト102、回路基板103、および第1筐体104を備えている。
【0053】
液晶パネル101は、表示のために液晶組成物を利用した表示パネルである。液晶パネル101は、空間S1を介して入力装置X1に対向して配置される。なお、液晶パネル101の代わりに、プラズマパネル、有機ELパネル、電子ペーパ等の表示パネルを用いてもよい。ここで、有機ELパネルは、電圧を印加すると発光する物質を利用した表示パネルである。具体的には、有機ELパネルは、ジアミン類等の有機物を用いた発光体を基板に蒸着し、5〜10Vの直流電圧を印加することで表示が行われる。なお、液晶パネル101の代わりに有機ELパネルを用いた場合には、バックライト102は不要となる。
【0054】
バックライト102は、光源102aおよび導光板102bを備えている。光源102aは、導光板102bに向けて光を出射する役割を有する。光源102は、例えば、LED(Light Emitting Diode)から構成される。なお、LEDの代わりに、冷陰極蛍光ラン
プ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、EL(Electro-Luminescence)であってもよい。導光板102bは、液晶パネル101の下面全体にわたって、光源102aからの光を略均一に導くための役割を有する。
【0055】
回路基板103は、IC(Integrated Circuit)、抵抗器、コンデンサ等の部品を表面に実装し、その部品間を配線で接続することで電子回路を構成する板状またはフィルム状の基板である。回路基板103は、バックライト102の背面側に配置されている。また、回路基板103にはコネクタが設けられている。このコネクタには、外部導通領域G1に接続されたフレキシブル基板が挿入される。
【0056】
第1筐体104は、液晶パネル101、バックライト102、および回路基板103を収容する役割を有する。第1筐体104の構成材料としては、例えば、ポリカーボネート等の樹脂、あるいは、ステンレス、アルミニウム等の金属が挙げられる。
【0057】
また、第1筐体104は、支持部材104aを含む。支持部材104aは、入力装置X1を支持する役割を有する。具体的には、支持部材104aは、入力領域E1を取り囲むように非入力領域E2を支持する。入力装置X1と支持部材104aとは、両面テープ等の接着部材によって接着される。ここで、入力装置X1における補強部材9は、支持部材104aよりも内側に設けられている。すなわち、補強部材9は、検出用配線6よりも基体2の端面2c側であって、かつ支持部材104aよりも内側に設けられている。具体的には、補強部材9は、検出用配線6と基体2の端面2cの端部21cとの間に位置し、かつ支持部材104aよりも内側に設けられている。
【0058】
このように、入力装置X1は、液晶パネル101を透視しながら入力領域E1を入力操作することによって、各種の情報を入力することができる。なお、各種の情報を入力する際に、情報を入力した使用者に対して、押圧感、なぞり感、肌触り感等の様々な触感を呈示する機能を入力装置X1に付与してもよい。この場合、入力装置X1における基体2に、1または複数の圧電素子を備え、所定の入力操作あるいは所定の押圧荷重を検知した場合に、当該圧電素子を所定の周波数で振動させることで実現することができる。
【0059】
表示装置Y1は、入力装置X1を備えているので、当該入力装置X1における基体2の内部にクラックが進展する可能性を低減することができる。このため、表示装置Y1の信頼性が向上する。
【0060】
次に、表示装置Y1を備えた携帯端末P1について、図6を参照しながら説明する。
【0061】
図6に示すように、本実施形態に係る携帯端末P1は、携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器である。携帯端末P1は、表示装置Y1、音声入力部201、音声出力部202、キー入力部203、および第2筐体204を備えている。
【0062】
音声入力部201は、例えば、マイク等により構成されており、使用者の音声等が入力される。音声出力部202は、スピーカ等により構成されており、相手方からの音声等が出力される。キー入力部203は、例えば、機械的なキーにより構成される。なお、キー入力部203は、表示画面に表示された操作キーであってもよい。第2筐体204は、表示装置Y1、音声入力部201、音声出力部202、およびキー入力部203を収容する役割を有する。
【0063】
他にも、携帯端末P1は、必要な機能に応じて、デジタルカメラ機能部、ワンセグ放送用チューナ、赤外線通信機能部等の近距離無線通信部、および各種インタフェース等を備
える場合もあるが、これらの詳細についての図示および説明は省略する。
【0064】
携帯端末P1は、表示装置Y1を備えているので、当該表示装置Y1が備える入力装置X1における基体2の内部にクラックが進展する可能性を低減することができる。このため、携帯端末P1の信頼性が向上する。
【0065】
なお、上記では、携帯端末P1に音声入力部201を備えている例について説明したが、これに限らない。すなわち、携帯端末P1には音声入力部201は備えられていなくともよい。
【0066】
また、上記では、携帯端末P1は、表示装置Y1、音声入力部201、音声出力部202、およびキー入力部203を収容する第2筐体204を備えている例について説明したが、これに限らない。第2筐体204を別個独立に設けることなく、表示装置Y1における第1筐体104が携帯端末P1の筐体となる態様であってもよい。
【0067】
さらに、表示装置Y1は、携帯端末P1の代わりに、産業用のプログラマブル表示器、車載用の表示器、電子手帳、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム用の端末装置、テレビ、デジタルカメラ等の様々な電子機器に備えられていてもよい。
【0068】
なお、上述した実施形態は、本発明の実施形態の一具体例を示すものであり、種々の変形が可能である。以下、いくつかの主な変形例を示す。
【0069】
[変形例1]
図7は、変形例1に係る入力装置X2の概略構成を示す平面図である。図8は、図7中に示した切断線IV−IVに沿って切断した断面図である。図7および図8において、図1および図4と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0070】
図7および図8に示すように、入力装置X2では、上述の実施形態で説明した補強部材9の代わりに、補強部材91を備えている。補強部材91は、検出用配線6よりも基体2の端面2c側に位置する。また、補強部材91は、導電性を有している。このため、補強部材91の構成材料は、第1検出電極3aおよび第2検出電極4aの構成材料と同じか、あるいは、検出用配線6の構成材料と同じである。また、補強部材91は、基準電位に設定されている。
【0071】
補強部材91が導電性を有しておりかつ基準電位に設定されているため、外部で発生したノイズを、補強部材91によって遮蔽することができる。補強部材91によって外部で発生したノイズを遮蔽することができるので、第1検出電極3a、第2検出電極4a、および検出用配線6に対する外部からのノイズの影響を低減させることができる。このため、入力装置X2の検出精度または検出感度が低下する可能性を低減することができる。
【0072】
なお、外部で発生したノイズを補強部材91によって効果的に遮蔽するためには、補強部材91は、グランド電位に設定されていることが好ましい。
【0073】
また、図7に示すように、補強部材91は、平面視して入力領域E1を取り囲むように設けられていることが好ましい。すなわち、補強部材91は、第1検出電極3a、第2検出電極4a、および検出用配線6を取り囲むように設けられていることが好ましい。このように構成すると、入力装置X2の周囲のどの方向からノイズが発生しても、補強部材91によって当該ノイズを遮蔽することができる。
【0074】
以上のように、入力装置X2では、基体2の内部にクラックが進展する可能性を低減することができる。このため、入力装置X2の信頼性が向上する。また、入力装置X2では、外部で発生したノイズを、補強部材91によって遮蔽することができる。このため、入力装置X2の検出精度または検出感度が低下する可能性を低減することができる。
【0075】
[変形例2]
図9は、変形例2に係る入力装置X3の概略構成を示す平面図である。図10は、図9中に示した切断線V−Vに沿って切断した断面図である。図9および図10において、図7および図8と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0076】
図9および図10に示すように、入力装置X3では、上述の変形例1で説明した補強部材91の代わりに、補強部材92を備えている。補強部材92は、補強部材91と同様、導電性を有しており、かつ基準電位に設定されている。但し、補強部材92は、補強部材91とは異なり、基体2の第2主面2b上から絶縁層7上に延在している。具体的には、補強部材92は、検出用配線6を覆うように、絶縁層7上に設けられた保護層8上に延在している。
【0077】
ここで、液晶パネルがアクティブマトリクス駆動方式にて動作する場合、データ配線の電圧振幅を抑えるため、液晶パネルの基板に設けられた共通電極の電圧を、低電圧および高電圧に交互に切り替えることが行われている。共通電極に対する電圧の切り替えに伴って液晶パネルからノイズが発生する。このため、表示装置に入力装置を組み込んだ後に、液晶パネルを交流駆動させると、液晶パネルで発生したノイズが、入力装置の検出用配線に対して影響を及ぼすことになる。そのため、入力装置X3の検出精度または検出感度が低下する。
【0078】
そこで、変形例2に係る入力装置X3のように、補強部材92が、基体2の第2主面2b上から絶縁層7上に延在していれば、補強部材92によって、液晶パネル101で発生したノイズを遮蔽することができる。補強部材92によって液晶パネル101で発生したノイズを遮蔽することができるので、検出用配線6に対する液晶パネル101からのノイズの影響を低減させることができる。このため、入力装置X3の検出精度または検出感度が低下する可能性を低減することができる。
【0079】
なお、液晶パネル101で発生したノイズを補強部材91によって効果的に遮蔽するためには、補強部材91は、グランド電位に設定されていることが好ましい。
【0080】
以上のように、入力装置X3では、基体2の内部にクラックが進展する可能性を低減することができる。このため、入力装置X3の信頼性が向上する。また、入力装置X3では、液晶パネル101で発生したノイズを、補強部材91によって遮蔽することができる。このため、入力装置X3の検出精度または検出感度が低下する可能性を低減することができる。
【0081】
なお、図10に示すように、絶縁体7の端部7aは、曲面をなしていることが好ましい。絶縁体7の端部7aが曲面をなしていると、絶縁体7の端部7aに位置する補強部材92が、当該絶縁体7上に位置する保護層8から剥がれる可能性を低減することができる。
【0082】
[変形例3]
なお、上記では、第1保護シート10に指F1を接触させて入力操作を行う入力装置X1〜X3の例について説明したが、これに限らない。第2保護シート12に指F1を接触させて入力操作を行う入力装置であってもよい。
【0083】
[変形例4]
また、上記では、入力装置X1を備えた表示装置Y1の例について説明したが、入力装置X1に代えて、入力装置X2または入力装置X3を採用してもよい。また、入力装置X2または入力装置X3を採用した表示装置を備えた携帯端末を採用してもよい。さらに、上述した実施形態および上述した変形例は適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0084】
X1〜X3 入力装置
Y1 表示装置
P1 携帯端末(電子機器)
2 基体
2c 基体の端面
3a 第1検出電極(検出電極)
4a 第2検出電極(検出電極)
6 検出用配線
7 絶縁層
9,91,92 補強部材
101 液晶パネル(表示パネル)
104 第1筐体(筐体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体上に設けられた検出電極と、
前記基体上に設けられており、かつ前記検出電極と電気的に接続された検出用配線と、
前記基体上に設けられており、かつ前記検出用配線よりも前記基体の端面側に位置する補強部材と、を備える入力装置。
【請求項2】
前記補強部材は、前記検出電極および前記検出用配線を取り囲むように設けられている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記補強部材は、前記基体の前記端面から所定距離以上離れて設けられている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記補強部材は、導電性を有しており、かつ基準電位に設定されている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記補強部材は、前記検出電極および前記検出用配線を取り囲むように設けられている、請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記基体上に設けられており、かつ前記検出用配線を被覆する絶縁層をさらに備え、
前記補強部材は、前記基体上から前記絶縁層上に延在している、請求項4に記載の入力装置。
【請求項7】
入力領域および非入力領域を有した入力装置であって、
第1主面、該第1主面の反対側に位置する第2主面、および前記第1主面と前記第2主面との間に位置する端面を有した基体と、
前記入力領域に対応する前記基体の前記第2主面上に設けられた検出電極と、
前記非入力領域に対応する前記基体の前記第2主面上に設けられており、かつ前記検出電極と電気的に接続された検出用配線と、
前記非入力領域に対応する前記基体の前記第2主面上に設けられており、かつ前記検出用配線と前記基体の前記端面の端部との間に位置する補強部材と、を備える入力装置。
【請求項8】
前記補強部材は、前記基体の前記端面の前記端部に沿って設けられている、請求項7に記載の入力装置。
【請求項9】
請求項1に記載の入力装置と、
前記入力装置に対向して配置された表示パネルと、
前記表示パネルが収容された筐体と、を備えた表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルは、液晶パネルまたは有機ELパネルである、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
請求項9に記載の表示装置を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−12182(P2013−12182A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105996(P2012−105996)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】