説明

入力装置

【課題】筐体の内部においてフレキシブル配線基板を複雑に折曲することなく、このフレキシブル配線基板を筐体の外部または内部に延出させることができるとともに、薄型化、入力側の平面化を図る。
【解決手段】筐体8の底壁10に、入力パネル4の底面の一部分を露出する開口部10aを形成し、反入力側に配置された第2基体4に、フレキシブル配線基板11を入力パネル4の反入力側に導く貫通孔6を、入力側に配置された第1基体3の平面形状における内側に相当する位置であって、開口部10aに対応する位置に形成し、フレキシブル配線基板11を、貫通孔6を介して筐体8の外部または内部に延出して配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線基板が接続されている入力パネル、およびこの入力パネルが筐体に収納されている入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペン形状の筆記具や指先等の入力手段を近接または接触等させることによりデータを入力可能なタッチパネルやタブレット等の入力パネルが、PDA(Personal Digital Assistant)やゲーム機器等の電気機器におけるデータ入力手段として多用されている。
【0003】
入力パネルにデータを入力するために座標情報を検出する方法としては、従来より抵抗膜式、電磁誘導式、静電式、超音波式、光学式等の検出方法が知られている。図11は、従来の抵抗膜式の入力パネルを備えた入力装置の一例を示す概略断面図であり、図11に示すように、この入力パネル24においては、平面形状が同じ大きさの一対の基体28、29が所定の間隙をもって対向して配置されている。両基体28、29の相互に対向する内面には、それぞれ光透過性の材料からなる抵抗膜により構成された複数の電極(図示せず)が形成されており、各電極は、両基体28、29のうち反入力側に配置される第2基体29の一端縁部分に延設されて電極端子とされている。
【0004】
そして、この入力パネル24は、図示しない筆記具等を用いて両基体28、29のうち入力側に位置する第1基体28の任意の位置が押圧操作されると、第1基体28が撓んで第1基体28の抵抗膜が反入力側に位置する第2基体29の電極と接触し、この接触点における両電極間の抵抗比によって、この接触点の座標情報を検出し、この座標情報に基づいてデータを入力するようになっている。
【0005】
入力パネル24には、当該入力パネル24の電極に電力を供給するためのフレキシブル配線基板32が接続されている。このフレキシブル配線基板32は、両基体28、29の間に配置されており、フレキシブル配線基板32の電極は、入力パネル24の電極端子に導電接続されている。
【0006】
この入力パネル24を備えた入力装置23は、入力パネル24を収納する筐体21を有している。この筐体21は、入力パネル24の側面に対向して配置される側壁25と、入力側の頂面における外周縁に対向して配置され入力パネル24の頂面を押さえる頂壁22と、反入力側の底面に対向して配置され入力パネル24を支持する底壁31とを備えている。底壁31には、入力パネル24における底面の中央部分を露出する開口部31aが形成されている。そして、筐体21は、内部に入力パネル24を収納・保持するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この入力装置23においては、入力パネル24の一端部分に接続されたフレキシブル配線基板32は、第2基体29の一端部分の先端縁29aと筐体21の側壁9に挟まれるように、筐体21の内部において第2基体の先端縁29aに沿って折曲されている。そして、フレキシブル配線基板32は、筐体21の底壁31および入力パネル24の底面に挟まれながら筐体21の底壁31に沿って配置された後、底壁31の開口部31aの開口縁に沿って折曲されて筐体21の外部に延出されている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−157150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、近年、前述のような入力装置23を備えるゲーム機器等の電気機器の小型化・薄型化にともない、前記入力装置23自体の薄型化が望まれている。そこで、筐体21の頂壁22を形成しないことにより、入力装置23の薄型化を図ることが考えられている。
【0010】
しかし、前述のような従来の入力装置23においては、フレキシブル配線基板32が第2基体29の先端縁29aと筐体21の側壁25とに挟まれるように位置しているので、筐体21の頂壁22を形成しないとフレキシブル配線基板32が入力側から視認されてしまう。このため、頂壁22を形成しないことにより、入力装置23の薄型化、入力側の平面化を図ることができなかった。
【0011】
また、フレキシブル配線基板32は、筐体21の外部または内部に延出されるために筐体21と入力パネル24とに挟まれながら、複雑に折曲されており、このようにフレキシブル配線基板32が複数回複雑に折曲されていると、フレキシブル配線基板32の折曲部分が疲労し、フレキシブル配線基板32の電極が断線する等の不具合が生じるおそれがあるという問題を有していた。
【0012】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、薄型化、入力側の平面化を図ることができる入力パネルおよび入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明に係る入力パネルの特徴は、一対の基体と、前記両基体の相互に対向する面に設けられた電極と、前記両基体に接続され、前記電極に導通されるフレキシブル配線基板とを有してなり、前記両基体のうち反入力側に配置された反入力側基体に、前記フレキシブル配線基板を前記反入力側基体の反入力側に導く通過路を形成する点にある。
【0014】
この本発明に係る入力パネルによれば、フレキシブル配線基板を反入力側基体に形成された通過路を介して反入力側基体の反入力側に延出して配置させることにより、フレキシブル配線基板を入力側基体の平面形状における外側に配置させることなく、反入力側基体の反入力側に延出して配置させることができる。
【0015】
本発明に係る他の入力パネルの特徴は、前記通過路を貫通孔とし、前記フレキシブル配線基板を前記貫通孔を介して前記反入力側基体の反入力側に延出して配置する点にある。
【0016】
この本発明に係る他の入力パネルによれば、フレキシブル配線基板を反入力側基体に形成された貫通孔を介して反入力側基体の反入力側に配置させることにより、フレキシブル配線基板を入力側基体の平面形状における外側に配置させることなく、反入力側基体の反入力側に延出して配置させることができる。
【0017】
本発明に係る他の入力パネルの特徴は、前記通過路を、前記反入力側基体の一端部に形成された切り欠き溝とし、前記フレキシブル配線基板を前記切り欠き溝を介して前記反入力側基体の反入力側に延出して配置する点にある。
【0018】
この本発明に係る他の入力パネルによれば、フレキシブル配線基板を反入力側基体に形成された切り欠き溝を介して反入力側基体の反入力側に配置させることにより、フレキシブル配線基板を入力側基体の平面形状における外側に配置させることなく、反入力側基体の反入力側に延出して配置させることができる。
【0019】
本発明に係る他の入力パネルの特徴は、前記通過路のうち前記フレキシブル配線基板が接触する部分において、その断面形状が曲線状となるように形成する点にある。
【0020】
この本発明に係る他の入力パネルによれば、フレキシブル配線基板を通過路のうち前記フレキシブル配線基板が接触する部分を傷つけることなく折曲することができるので、フレキシブル配線基板の疲労による電極の断線をより軽減することが可能となる。
【0021】
本発明に係る他の入力パネルの特徴は、前記反入力側基体の前記フレキシブル配線基板が配置される部分に、凹部が形成されている点にある。
【0022】
この本発明に係る他の入力パネルによれば、両基体とフレキシブル配線基板とを導電接続するために両基体の間隙にフレキシブル配線基板を配置した場合に、フレキシブル配線基板を凹部に配置することにより、入力側基体の入力側の面を平坦にすることができる。これにより、入力パネル自体の平坦化、薄型化を図ることができる。
【0023】
本発明に係る他の入力パネルの特徴は、前記凹部が、前記フレキシブル配線基板が接続される位置から前記通過路に至るまで形成されている点にある。
【0024】
この本発明に係る他の入力パネルによれば、反入力側基体の入力側の面におけるフレキシブル配線基板が接続される位置から通過路に至るように形成された凹部にフレキシブル配線基板を配置することにより、前記接続される位置から通過路までの距離が離れている場合でも、その間のフレキシブル配線基板を凹部に配置することによって、確実に入力側基体の入力側の面の平坦化を図ることができる。
【0025】
本発明に係る他の入力パネルの特徴は、前記凹部が、前記フレキシブル配線基板の厚み寸法と同一の深さ寸法によって形成されている点にある。
【0026】
この本発明に係る他の入力パネルによれば、凹部をフレキシブル配線基板の厚み寸法と同一の深さ寸法に形成することにより、確実に入力側基体の入力側の面の平坦化を図ることができる。
【0027】
本発明に係る入力装置の特徴は、前記入力パネルと、該入力パネルの側面に対向して配置される側壁を有し、前記入力パネルを収納する筐体とを備えた入力装置において、前記フレキシブル配線基板を、前記通過路を介して前記筐体の外部または内部に延出して配置する点にある。
【0028】
この本発明に係る入力装置によれば、フレキシブル配線基板を反入力側基体に形成された通過路を介して入力パネルの反入力側に延出して配置させることにより、フレキシブル配線基板を入力側基体の平面形状における外側に配置させることなく、筐体の外部または内部に延出して配置させることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上述べたように、本発明に係る入力パネルによれば、フレキシブル配線基板を入力側基体の平面形状における外側に配置させることなく、反入力側基体の反入力側に延出して配置させることができるので、この入力パネルを収納する筐体の頂壁を形成しなくても、フレキシブル配線基板が視認側から視認されることがない。これにより、頂壁が形成されていない筐体によって入力パネルを収納・保持することができるので、この入力パネルを備えた入力装置の薄型化、入力側の平面化を図ることができる。
【0030】
また、本発明に係る入力装置によれば、フレキシブル配線基板を入力側基体の平面形状における外側に配置させることなく、筐体の外部または内部に延出して配置させることができるので、筐体の頂壁を形成しなくても、フレキシブル配線基板が入力装置の視認側から視認されることがない。これにより、頂壁が形成されていない筐体によって入力パネルを収納・保持することができるので、入力装置自体の薄型化、入力側の平面化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る入力パネルを備えた入力装置の実施形態を図1から図10を参照して説明する。
【0032】
ここで、本実施形態においては、入力装置が有する入力パネルとして、抵抗膜式のタッチパネルを用いて説明するが、本発明の入力パネルはこれに限定されるものではない。
【0033】
図1は、第1の実施形態に係る入力装置を示す概略平面図であり、図2は、図1の2−2における断面図である。
【0034】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る入力装置1は、タッチパネル2を有し、タッチパネル2は、平面形状が同じ大きさの光透過性の材料からなる一対の基体3、4を有する。両基体3、4のうち入力側に配置される第1基体3は、ポリエステル等の材料からなる膜厚の薄い可撓性を有するフィルムにより構成され、一方、反入力側に配置される第2基体4は、ガラスやアクリル等の透明樹脂材料からなる基板により構成されている。両基体3、4は、所定の間隙をもって対向して配置され、第1基体3の内面における外周縁に配置された接着層(図示せず)を介して一体に形成されている。
【0035】
両基体3、4の相互に対向する内面には、それぞれ酸化インジウム錫等の光透過性の材料からなる抵抗膜により構成された複数の電極(図示せず)が形成され、各電極の端部は、第2基体4の一端部分に延設されて電極端子とされている。
【0036】
そして、このタッチパネル2は、図示しない筆記具や指等の入力手段によって第1基体3の任意の位置が押圧操作されると、第1基体3が撓んで第1基体3に形成された電極が、第2基体4に形成された電極と接触し、この接触点における両電極の間の抵抗比によって、この接触点の座標情報を検出し、この座標情報に基づいてデータが入力されるようになっている。
【0037】
タッチパネル2には、電極端子を介して電極にそれぞれ座標検出用の電圧を印加するためのフレキシブル配線基板11が両基体3、4の間に配置されて第2基体4の一端部分に接続されており、フレキシブル配線基板11の図示しない電極は、タッチパネル2の電極端子に導電接続されている。
【0038】
また、入力装置1は、タッチパネル2を収納する樹脂材料等からなる筐体8を有し、筐体8は、タッチパネル2の側面すなわち第1基体3、接着層および第2基体4の側面の全体に対向して配置される側壁9と、タッチパネル2の底面すなわち第2基体4の反入力側の面に対向して配置されてタッチパネル2を支持する底壁10とを有し、側壁9および底壁10は一体に形成されている。底壁10は、タッチパネル2の底面における外周縁部分に対向して配置されており、底壁10には、底面の中央部分を露出する開口部10aが形成されている。そして、タッチパネル2は、筐体8の内部に収納されるようになっている。
【0039】
このような入力装置1において、タッチパネル2の第2基体4におけるフレキシブル配線基板11が接続されている一端部分であって、筐体8の底壁10における開口部10aに対応する位置には、フレキシブル配線基板11が通過可能な通過路としての貫通孔6が形成されている。貫通孔6における第2基体4の内面側の開口縁、すなわちフレキシブル配線基板11を貫通孔6に通過させる際にフレキシブル配線基板11が接触する角部分は、断面形状が曲線状に形成されている。これにより、円滑にフレキシブル配線基板11を貫通孔6に通過させることができ、当接部分によるフレキシブル配線基板11の断線を軽減させることができる。そして、第2基体4の一端部分に接続されたフレキシブル配線基板11は、第2基体4の貫通孔6の開口縁に沿って折曲されて貫通孔6を通過して第2基体4の反入力側に延出された後、筐体8の底壁10における開口部10aを介して筐体8の外部に延出して配置されるようになっている。
【0040】
本実施形態においては、図2および図3に示すように、フレキシブル配線基板11の厚み寸法FTに対応する貫通孔6の幅寸法HWは、厚み寸法FTが0.1〜0.2mmのフレキシブル配線基板11を用いた場合、フレキシブル配線基板11の厚み寸法FT+0.1〜0.2mm程度であることが好ましい。一方、フレキシブル配線基板の幅寸法FWに対応する貫通孔6の長さ寸法HLは、幅寸法FWが2〜15mmのフレキシブル配線基板11を用いた場合、フレキシブル配線基板11の幅寸法FW+0.1〜1.0mm程度であることが好ましい。これにより、円滑にフレキシブル配線基板11を貫通孔6に通過させることができる。
【0041】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0042】
本実施形態によれば、フレキシブル配線基板11を第2基体4の貫通孔6を介してタッチパネル2の反入力側に延出して配置させることができる。これにより、フレキシブル配線基板11を、第2基体4の一端部分における先端縁4aに沿って折曲することなく、かつ、フレキシブル配線基板11を第1基体3の平面形状における外側に配置させることなく、筐体8における底壁10の開口部10aを介して筐体8の外部に延出して配置させることができる。
【0043】
したがって、フレキシブル配線基板11を第1基体3の平面形状における外側に配置させることなく筐体8の外部に配置させることにより、筐体8の頂壁を形成しなくても、フレキシブル配線基板11が入力装置1の視認側から視認されることがない。これにより、頂壁が形成されていない筐体8によってタッチパネル2を収納・保持することができるので、入力装置1自体の薄型化、入力側の平面化を図ることができる。
【0044】
また、貫通孔6が底壁10における開口部10aに対応する位置に形成されており、フレキシブル配線基板11を筐体8の側壁9と第2基体4の先端縁4aとの間に挟むことなく、筐体8の外部に配置させることができる。このため、フレキシブル配線基板11を複雑に折曲することなく筐体8の外部に配置させることができるので、フレキシブル配線基板11の疲労による断線を軽減し、入力装置1の長寿命化を図ることができる。
【0045】
さらに、貫通孔6におけるフレキシブル配線基板11が接触する開口縁は、断面形状が曲線状に形成されているので、フレキシブル配線基板11を貫通孔6の開口縁において傷つけることなく折曲することができ、これにより、フレキシブル配線基板11の疲労による電極の断線をより軽減することが可能となる。
【0046】
次に、本発明に係る入力装置の第2の実施形態について図4から図6を参照して説明する。
【0047】
ここで、第2の実施形態について、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。
【0048】
図4は、第2の実施形態における入力装置1を示す概略平面図、図5は図4の入力装置1の5−5における断面図である。
【0049】
図4および図5に示すように、第2基体4の一端部分には、フレキシブル配線基板11が通過可能な通過路としての切り欠き溝13が、第2基体4の一端部分における先端縁4aに切り欠き形成されており、切り欠き溝13における第2基体4の内面側の開口縁、すなわちフレキシブル配線基板11が当接する角部分は、断面形状が曲線状に形成されることが好ましい。これにより、円滑にフレキシブル配線基板11を切り欠き溝13に通過させることができ、当接部分によるフレキシブル配線基板11の断線を軽減させることができる。切り欠き溝13における切り欠き寸法CWは、筐体8の底壁10における開口部10aの開口縁から切り欠き溝13の開口縁までの間隙寸法BWがフレキシブル配線基板11の厚さ寸法FT以上となるように形成されていることが好ましい。
【0050】
そして、第2基体4の一端部分に接続されたフレキシブル配線基板11は、第2基体4の切り欠き溝13の開口縁に沿って折曲されて切り欠き溝13を介し、第2基体4の反入力側に延出された後、筐体8の底壁10における開口部10aを介して筐体8の外部に延出して配置されるようになっている。
【0051】
また、図6に示すように、切り欠き溝13を介して第2基体4の反入力側に延出されたフレキシブル配線基板11の他端部を、例えば両面テープ21等を用いて、第2基体4の反入力側の面に貼着してもよい。これにより、フレキシブル配線基板11と外部電極基板12とを接続させるために、フレキシブル配線基板11の他端部を筐体8の外部に延出させる必要がなく、フレキシブル配線基板11の長さ寸法を短くすることができるとともに、入力装置1の薄型化を図ることが可能となる。また、入力パネル2に接続されるフレキシブル配線基板11の電極端子が、入力パネル2の反入力側の面に配置されることとなるので、底壁10に開口部10aが形成された筐体8の内部にタッチパネル2を収納し、このタッチパネル2の反入力側の面を外部電極基板12に接触させてフレキシブル配線基板11の電極端子を外部電極基板12の電極端子に接触させることにより、タッチパネル2と回路基板とを容易に導電接続することが可能となる。
【0052】
次に、第2の実施形態の作用について説明する。
【0053】
第2の実施形態によれば、第2基体4の切り欠き溝13を介してタッチパネル2の反入力側に配置させることにより、フレキシブル配線基板11を第2基体4の一端部分における先端縁4aに沿って折曲することなく、かつ、フレキシブル配線基板11を第1基体3の平面形状における外側に配置させることなく、筐体8における底壁10の開口部10aを介して筐体8の外部に配置させることができる。
【0054】
したがって、フレキシブル配線基板11を第1基体3の平面形状における外側に配置させることなく、筐体8の外部に配置させることにより、筐体8の頂壁を形成しなくても、フレキシブル配線基板11が入力装置1の視認側から視認されることがない。これにより、頂壁が形成されていない筐体8によってタッチパネル2を収納・保持することができるので、入力装置1自体の薄型化、入力側の平面化を図ることができる。
【0055】
また、切り欠き溝13における切り欠き寸法CWを、筐体8の底壁10における開口部10aの開口縁から切り欠き溝13の開口縁までの間隙寸法がフレキシブル配線基板11の厚さ寸法FT以上となるように形成することにより、フレキシブル配線基板11を複雑に折曲することなく筐体8の外部に配置させることができる。これにより、フレキシブル配線基板11の疲労による断線を軽減し、入力装置1の長寿命化を図ることができる。
【0056】
さらに、切り欠き溝13の開口縁を、断面形状が曲線状となるように形成することにより、フレキシブル配線基板11を切り欠き溝13の開口縁において傷つけることなく折曲することができるので、フレキシブル配線基板11の疲労による電極の断線をより軽減することが可能となる。
【0057】
次に、本発明に係る入力パネルを備えた入力装置の第3の実施形態について図7から図9を参照して説明する。
【0058】
ここで、第3の実施形態について、前述の各実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。また、前述の各実施形態と同一の作用、効果についても、詳説を省略する。
【0059】
図7は、第3の実施形態における入力パネルとしてのタッチパネル2を備えた入力装置1を示す概略断面図、図8は図7の入力装置1におけるタッチパネル2の第2基体4を示す概略平面図である。
【0060】
図7および図8に示すように、第3の実施形態に係る入力装置1のタッチパネル2は、一対の基体3、4を有しており、両基体3、4のうち入力側に配置される第1基体3は、反入力側の面にITO等の抵抗膜が所定の位置に形成された膜厚の薄い可撓性を有するフィルムにより構成され、一方、反入力側に配置される第2基体4は、ガラスやアクリル等の透明樹脂材料からなる基板により構成されている。両基体3、4は、所定の間隙をもって対向して配置され、両基体3、4の間隙における外周縁に配置された接着層16によって一体に形成されている。
【0061】
両基体3、4の相互に対向する内面には、それぞれ例えば銀等の金属材料から構成された電極15A、15B(15)が設けられており、各電極15の端部は、それぞれ両基体3、4の一端部分に延設されて電極端子22A、22B(22)とされている。また、両基体3、4の内面には、オーバーレジスト17A、17B(17)が各電極15を被覆するように設けられており、第1基体3に設けられたオーバーレジスト17Aは、第1基体3に形成された各電極端子22Aを被覆するように延設されている。
【0062】
また、タッチパネル2には、電極端子22を介して電極15にそれぞれ座標検出用の電圧を印加するためのフレキシブル配線基板11が、両基体3、4の間に配置されて両基体3、4の一端部分に接続されており、フレキシブル配線基板11の両面には、両基体3、4の各電極15における電極端子22それぞれ導電接続される図示しない電極が設けられている。
【0063】
そして、タッチパネル2の第2基体4におけるフレキシブル配線基板11が配置される部分には、凹部18が形成されており、凹部18における入力側の面のうちフレキシブル配線基板11の一端部が対向する一端縁と、第2基体4における凹部18を除く入力側の面の一端縁とは、傾斜面18aによって連結されている。第2基体4に設けられた電極端子22Bは、傾斜面18aを介して凹部18の入力側の面に配置されており、フレキシブル配線基板11における反入力側の面に形成された電極は、凹部18に延出された電極端子22Bに導電接着材(図示せず)を介して導電接続されている。
【0064】
この凹部18の深さ寸法は、凹部18に配置されるフレキシブル配線基板11の厚み寸法と同一の寸法に形成されており、凹部18に配置されたフレキシブル配線基板11の入力側の面に設けられた電極が、第1基体3に設けられたオーバーレジスト17Aに接触するようになっている。第1基体3に設けられたオーバーレジスト17Aにおけるフレキシブル配線基板11の電極に接触する一部分には、第1基体3に設けられた電極端子22Aをオーバーレジスト17Aから露出させるための貫通孔19が形成されており、フレキシブル配線基板11の電極は、貫通孔19の内部に配置された導電接着材20を介して第1基体3の電極端子22Aに導電接続されている。
【0065】
この入力装置1において、タッチパネル2の第2基体4におけるフレキシブル配線基板11が接続されている一端部分であって、筐体8の底壁10における開口部10aに対応する位置には、フレキシブル配線基板11が通過可能な通過路としての貫通孔6が形成されている。そして、両基体3、4の一端部分に接続されたフレキシブル配線基板11は、第2基体4の貫通孔6の開口縁に沿って折曲されて貫通孔6を通過し、第2基体4の反入力側に延出し、さらに、筐体8の底壁10における開口部10aを介して筐体8の外部に延出して配置されるようになっている。
【0066】
このような入力装置1のタッチパネル2の製造工程は、第2基体4における入力側の面の所定の位置に電極15Bおよび電極端子22Bを印刷した後、オーバーレジスト17Bによって電極15Bを被覆する。続いて、フレキシブル配線基板11の一端部を導電接着材を介して凹部18に配置するとともに、フレキシブル配線基板11の他端部を貫通孔6を介して第2基体4の反入力側に延出させる。次に、フレキシブル配線基板11を第2基体4の凹部18に圧着することにより、第2基体4の電極15Aとフレキシブル配線基板11の電極とを導電接着材を介して導電接続した後、フレキシブル配線基板11の電極における第1基体3の電極端子15Aに対応する所定の位置に導電接着材20を塗布するとともに、第2基体4の外周縁に接着層16を配置する。そして、第1基体3のオーバーレジスト17Aに形成された貫通孔19を介してフレキシブル配線基板11の入力側の面に形成された電極と第1基体3の電極端子22Aとを導電接続するとともに、接着層16によって第1基体3を第2基体4に貼着する。その後、タッチパネル2を乾燥させて完成させる。
【0067】
次に、第3の実施形態の作用について説明する。
【0068】
本実施形態によれば、第2基体4の入力側の面におけるフレキシブル配線基板11を配置する位置に凹部18が形成されているので、両基体3、4とフレキシブル配線基板11とを導電接続するために両基体3、4の間隙にフレキシブル配線基板11を配置した場合に、第1基体3の入力側の面を平坦にすることができる。
【0069】
したがって、筐体8の頂壁を形成しなくても、第1基体3の入力側の面に両基体3、4の間隙にフレキシブル配線基板11が配置されたことによる凸部が形成されることがないので、頂壁が形成されていない筐体8によってタッチパネル2を収納・保持することができ、この結果、入力装置1自体の薄型化、入力側の平面化を図ることができる。また、タッチパネル2自体の薄型化、入力側の平面化を図ることができる。
【0070】
さらに、凹部18における入力側の面のうちフレキシブル配線基板11の一端部が対向する一端縁と、第2基体4における凹部18を除く入力側の面の一端縁とを傾斜面18aによって連結することにより、第2基体4における凹部18を除く入力側の面から傾斜面18aを介して凹部18における入力側の面に形成される電極15Bの電極端子22Bが断線してしまうのを防止することができる。
【0071】
さらにまた、凹部18の深さ寸法を、凹部18に配置されるフレキシブル配線基板11の厚みと同一の寸法に形成し、凹部18に配置されたフレキシブル配線基板11の入力側の面に設けられた電極が、第1基体3に設けられたオーバーレジスト17Aに接触する程度に形成することにより、確実に第1基体3の入力側の面の平坦化を図ることができる。
【0072】
また、図9に示すように、貫通孔6を、フレキシブル配線基板11の電極と両基体3、4の電極端子22との接続位置から離間した第2基体4の角部に形成する場合には、凹部18を、フレキシブル配線基板11の電極が両基体3、4の電極端子22に接続される位置から貫通孔6に至るまでのフレキシブル配線基板11が配置される位置に形成する。これにより、本実施形態に係るタッチパネル2によれば、確実に第1基体3の入力側の面の平坦化を図ることができる。
【0073】
次に、本発明に係る入力パネルを備えた入力装置の第4の実施形態について図10を参照して説明する。
【0074】
ここで、第4の実施形態について、前述の各実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。また、前述の各実施形態と同一の作用、効果については、詳説を省略する。
【0075】
図10は、第3の実施形態における入力パネルとしてのタッチパネル2を備えた入力装置1を示す概略断面図である。
【0076】
図10に示すように、第4の実施形態に係る入力装置1のタッチパネル2は、一対の基体3、4を有しており、両基体3、4は、所定の間隙をもって対向して配置され、両基体3、4の間隙における外周縁に配置された接着層16によって一体に形成されている。
【0077】
両基体3、4の相互に対向する内面には、それぞれ例えば銀等の金属材料からなる抵抗膜により構成された電極15が設けられており、第1基体3に設けられた電極15Aは、第1基体3の一端部に延設されて電極端子22Aとされている。両基体3、4の内面には、オーバーレジスト17が各電極15を被覆するように設けられており、第1基体3に設けられたオーバーレジスト17Aは、第1基体3における電極端子22Aが設けられている部分に、各電極端子22Aを被覆するように延設されている。
【0078】
また、タッチパネル2には、電極15にそれぞれ座標検出用の電圧を印加するためのフレキシブル配線基板11が、両基体3、4の間に配置されて両基体3、4の一端部分に接続されており、フレキシブル配線基板11における入力側の面には、両基体3、4の各電極15にそれぞれ導電接続される図示しない電極が設けられている。
【0079】
タッチパネル2の第2基体4におけるフレキシブル配線基板11が配置される部分には、凹部18が形成されており、凹部の深さ寸法は、凹部18に配置されるフレキシブル配線基板11の厚み寸法と同一の寸法に形成されている。そして、第2基体4の凹部18に配置されたフレキシブル配線基板11の入力側の面には、第2基体4の電極15Bがフレキシブル配線基板11に形成された電極に対応して延設され、これにより、フレキシブル配線基板11の電極と第2基体4の電極端子22Bが導電接続されている。また、第2基体4の電極15Bを被覆するように設けられたオーバーレジスト17Bは、電極端子22Bの入力側の面に、各電極端子22Bを被覆するように延設されている。
【0080】
また、第1基体3に設けられたオーバーレジスト17Aにおけるフレキシブル配線基板11の電極に対向する一部分には、第1基体3に設けられた電極端子22Aをオーバーレジスト17Aから露出させるための貫通孔19が形成されており、フレキシブル配線基板11の電極は、貫通孔19の内部に配置された導電材20を介して第1基体3の電極端子22Aに導電接続されている。
【0081】
この入力装置1において、タッチパネル2の第2基体4におけるフレキシブル配線基板11が接続されている一端部分であって、筐体8の底壁10における開口部10aに対応する位置には、フレキシブル配線基板11が通過可能な通過路としての貫通孔6が形成されている。そして、両基体3、4の一端部分に接続されたフレキシブル配線基板11は、第2基体4の貫通孔6の開口縁に沿って折曲されて貫通孔6を通過し、第2基体4の反入力側に延出し、さらに、筐体8の底壁10における開口部10aを介して筐体8の外部に延出して配置されるようになっている。
【0082】
このような入力装置1のタッチパネル2の製造工程は、フレキシブル配線基板11の一端部を凹部18に配置するとともに、フレキシブル配線基板11の他端部を貫通孔6を介して第2基体4の反入力側に延出させる。次に、第2基体4における入力側の面の所定の位置に電極15Aを印刷するとともに、フレキシブル配線基板11の入力側の面に、第2基体4の各電極15Bをフレキシブル配線基板11に形成された電極に対応して印刷して電極端子22Bを形成した後、オーバーレジスト17Bによって電極15B被覆する。続いて、フレキシブル配線基板11の電極における第1基体3の電極端子22Aに対応する所定の位置に導電接続材20を塗布するとともに、第2基体4の外周縁に接着層16を配置する。そして、第1基体3のオーバーレジスト17Aに形成された貫通孔19を介してフレキシブル配線基板11の入力側の面に形成された電極と第1基体3の電極端子22Aとを導電接続するとともに、接着層16によって第1基体3を第2基体4に貼着する。その後、タッチパネル2を乾燥させて完成させる。
【0083】
次に、第4の実施形態の作用について説明する。
【0084】
本実施形態によれば、第2基体4の入力側の面におけるフレキシブル配線基板11を配置する位置に凹部18が形成されているので、両基体3、4とフレキシブル配線基板11とを導電接続するために両基体3、4の間隙にフレキシブル配線基板11を配置した場合に、第1基体3の入力側の面を平坦にすることができる。また、第2基体4の電極端子22Bをフレキシブル配線基板11の入力側の面であって、フレキシブル配線基板11の電極に対応する位置に形成することにより、電極が片面(入力側の面)のみに設けられたフレキシブル配線基板11を用いて、両基体3、4の電極端子22とフレキシブル配線基板11の電極との導電接続を行うことができる。これにより、タッチパネル2の一層の薄型化を図ることができる。
【0085】
したがって、筐体8の頂壁を形成しなくても、第1基体3の入力側の面に両基体3、4の間隙にフレキシブル配線基板11が配置されたことによる凸部が形成されることがないので、頂壁が形成されていない筐体8によってタッチパネル2を収納・保持することができ、この結果、入力装置1自体の薄型化、入力側の平面化を図ることができる。また、タッチパネル2自体のより一層の薄型化を図ることができる。
【0086】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0087】
例えば、前記各実施形態においては、第2基体4は、第1基体3と平面形状において同一の大きさに形成されているが、これに限定されず、第1基体3よりも平面形状において小さく形成されていてもよい。
【0088】
また、前記各実施形態においては、フレキシブル配線基板11は、貫通孔6または切り欠き溝13を介して筐体8の外部に延出される構成となっているが、これに限定されず、貫通孔6または切り欠き溝13を介して筐体8の内部に延出されるようにしてもよい。
【0089】
また、前記各実施形態においては、オーバーレジスト17は、第1基体3および第2基体4の両方に形成された構成となっているが、これに限定されず、いずれか一方の基体3、4に形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る入力装置の一実施形態を示す概略平面図
【図2】図1の入力装置の2−2における概略断面図
【図3】図1の入力装置における反入力側基体の要部を示す概略平面図
【図4】本発明に係る入力装置の他の実施形態の要部を示す概略平面図
【図5】図4の入力装置の5−5における概略断面図
【図6】本発明に係る入力装置の他の実施形態を示す概略断面図
【図7】本発明に係る入力装置のさらに他の実施形態を示す概略断面図
【図8】図7の入力装置における概略平面図
【図9】本発明に係る入力装置のさらに他の実施形態を示す概略平面図
【図10】本発明に係る入力装置のさらに他の実施形態を示す概略断面図
【図11】従来の入力装置の一例を示す概略断面図
【符号の説明】
【0091】
1 入力装置
2 タッチパネル
3 第1基体
4 第2基体
4a 先端縁
6 貫通孔
8 筐体
9 側壁
10 底壁
10a 開口部
11 フレキシブル配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基体と、前記両基体の相互に対向する面に設けられた電極と、前記両基体に接続され、前記電極に導通されるフレキシブル配線基板とを有してなり、
前記両基体のうち反入力側に配置された反入力側基体に、前記フレキシブル配線基板を前記反入力側基体の反入力側に導く通過路を形成することを特徴とする入力パネル。
【請求項2】
前記通過路を貫通孔とし、前記フレキシブル配線基板を前記貫通孔を介して前記反入力側基体の反入力側に延出して配置することを特徴とする請求項1に記載の入力パネル。
【請求項3】
前記通過路を、前記反入力側基体の一端部に形成された切り欠き溝とし、前記フレキシブル配線基板を前記切り欠き溝を介して前記反入力側基体の反入力側に延出して配置することを特徴とする請求項1に記載の入力パネル。
【請求項4】
前記通過路のうち前記フレキシブル配線基板が接触する部分において、その断面形状が曲線状となるように形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の入力パネル。
【請求項5】
前記反入力側基体の前記フレキシブル配線基板が配置される部分に、凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の入力パネル。
【請求項6】
前記凹部が、前記フレキシブル配線基板が接続される位置から前記通過路に至るまで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の入力パネル。
【請求項7】
前記凹部が、前記フレキシブル配線基板の厚み寸法と同一の深さ寸法によって形成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の入力パネル。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の入力パネルと、該入力パネルの側面に対向して配置される側壁を有し、前記入力パネルを収納する筐体とを備えた入力装置において、
前記フレキシブル配線基板を、前記通過路を介して前記筐体の外部または内部に延出して配置することを特徴とする入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−21304(P2008−21304A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157376(P2007−157376)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】