入力装置
【課題】スライド操作する操作子の特定の方向への操作ができやすく、併せて、その操作子の移動のガイド、操作子の移動の感触の付与、並びに移動させた操作子の復帰が、少ない部品点数でできて、構造を簡素に留め得るようにする。
【解決手段】操作子を移動操作するとき、磁石17が磁性体11の延長部11b〜11eに沿うことで操作子の移動がガイドされ、操作子の特定の方向への操作ができやすくなる。そのほか、磁石17の移動による磁性体11に対する磁気吸引力の変化で操作子に感触が与えられ、そして、移動した磁石17が磁性体11の中心部11aに及ぼす磁気吸引力で操作子を原位置に復帰させ得ることにより、操作子の移動のガイド、操作子の移動の感触の付与、及び移動させた操作子の原位置への復帰が、磁石17と磁性体11とを共通に使用して少ない部品点数ででき、構造を簡素に留め得るようにした。
【解決手段】操作子を移動操作するとき、磁石17が磁性体11の延長部11b〜11eに沿うことで操作子の移動がガイドされ、操作子の特定の方向への操作ができやすくなる。そのほか、磁石17の移動による磁性体11に対する磁気吸引力の変化で操作子に感触が与えられ、そして、移動した磁石17が磁性体11の中心部11aに及ぼす磁気吸引力で操作子を原位置に復帰させ得ることにより、操作子の移動のガイド、操作子の移動の感触の付与、及び移動させた操作子の原位置への復帰が、磁石17と磁性体11とを共通に使用して少ない部品点数ででき、構造を簡素に留め得るようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作子のスライド操作で所定の入力をする入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の入力装置として、操作子が傾動操作されるもので、該操作子の傾動操作に対する感触の付与並びに復帰を、ともにリング状の一組の磁石によって行わしめるようにしたものが存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−294271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のものは、操作した操作子に対する感触の付与並びに復帰を行わしめるものが、ともにリング状の一組の磁石であり、操作子周りの全方向に均等な荷重がかかるため、特定の方向への操作ができにくいという問題点を有していた。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、スライド操作する操作子の特定の方向への操作ができやすく、併せて、その操作子の移動のガイド、操作子の移動の感触の付与、並びに移動させた操作子の復帰が、少ない部品点数でできて、構造を簡素に留めることのできる入力装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の入力装置は、基台と、この基台に固定された磁気センサと、この磁気センサと対応する磁石と、この磁石を保持して、前記基台と平行な方向に移動操作可能に設けられた操作子と、前記基台に前記磁石と対応して固定され、中心部の密度を大きくして該中心部より前記操作子の移動方向に延長又は配列して設けられた磁性体とを具備し、前記操作子の移動を前記磁性体に沿う前記磁石の移動でガイドすると共に、その磁石の移動を前記磁気センサにより検知し、且つ、その磁石の移動による前記磁性体に対する磁気吸引力の変化で前記操作子に感触を与え、その移動した磁石が磁性体の前記中心部に及ぼす磁気吸引力で前記操作子を原位置に復帰させるようにしたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によれば、操作子を移動操作するとき、磁石が磁性体の延長部又は配列部分に沿うことで操作子の移動がガイドされることにより、操作子の特定の方向への操作ができやすくなる。そのほか、磁石の移動による磁性体に対する磁気吸引力の変化で操作子に感触が与えられ、そして、移動した磁石が磁性体の中心部に及ぼす磁気吸引力で操作子を原位置に復帰させ得るので、操作子の移動のガイド、操作子の移動の感触の付与、及び移動させた操作子の原位置への復帰が、磁石と磁性体とを共通に使用して少ない部品点数ででき、構造を簡素に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施例を示す、磁石と磁性体部分の作用説明図その1(a)〜その4(d)
【図2】全体の外観斜視図
【図3】全体の縦断面図
【図4】全体の分解斜視図
【図5】磁性体単体の斜視図
【図6】磁石単体の斜視図
【図7】操作子をプッシュ操作した状態の関係部分の斜視図
【図8】本発明の第2実施例を示す図1(a)相当図
【図9】本発明の第3実施例を示す図1(a)相当図
【図10】本発明の第4実施例を示す図1(a)相当図
【図11】本発明の第5実施例を示す図1(a)相当図
【図12】本発明の第6実施例を示す図1(a)相当図
【図13】本発明の第7実施例を示す図1(a)相当図
【図14】参考例を示す図1(a)相当図
【図15】異なる参考例を示す図1(a)相当図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1実施例(第1の実施形態)につき、図1ないし図7を参照して説明する。
まず、図2には、入力装置全体の外観を示しており、基台1に操作子2を被せ、操作子2の基台1側とは反対側(反基台1側)に覆い盤3を装着している。
【0010】
基台1は、詳細には図3及び図4に示すように、有底の短円筒状を成すもので、内部を下段1a、中段1b、及び上段1cの3段に段付き形成しており、そのうちの中段1bに回路基板4を載置して複数のねじ5により取付け固定している。
回路基板4は、この場合、十字状を成しており(図4参照)、上記基台1の中段1bには、その十字状の回路基板4を固定前に位置決めする凸部6を形成している。
【0011】
回路基板4の反基台1側の面(図で上面)もしくは基台1側の面(図で下面)には、あらかじめ必要な配線パターン(図示せず)を設けており、反基台1側の面の中央部に磁気センサ7を実装して固定し、ひいては回路基板4を介して磁気センサ7を基台1に固定している。この磁気センサ7は、この場合、縦(X)、横(Y)、及び高さ(Z)の3軸方向に有効な3軸磁気センサである。
【0012】
基台1の上段1cには、第1のホルダ8を載置して複数のねじ9により取付け固定している。この第1のホルダ8は円盤状のもので、中央部の基台1側の面に凹部10を有しており(図1参照)、この凹部10に磁性体11を嵌め込んで固定している。
【0013】
磁性体11は、この場合、図5に拡大して示すように十字状のもので、すなわち、中心部11aの密度(特には単位面積当たりの構成材の密度)を大きくして該中心部11aより前記縦及び横方向に十字状に延長したものであり(延長部11b〜11e)、その構成材は金属で、これを上述のように第1のホルダ8の凹部10に嵌め込んで固定し、その第1のホルダ8を前述のように基台1に固定していることにより、磁性体11は、第1のホルダ8を介して基台1に固定されている。
【0014】
第1のホルダ8の中央部周りには、複数(この場合、4個)の円形の孔12を形成しており、そのほか、第1のホルダ8の基台1側の面の中央部周りには、複数(この場合、4個)の突起13を形成している。
又、第1のホルダ8の基台1側には第2のホルダ14を配設している。この第2のホルダ14は第1のホルダ8より径小な円盤状のもので、中央部に孔15を有すると共に、その孔15に連ねて基台1側の面に凹部16を有しており、この凹部16に磁石17を嵌め込んで固定している。
【0015】
磁石17は、図1(a)に示すように、前記磁性体11の延長寸法より充分に径小な円盤状のもので、図6に示すように、基台1側と反基台1側とにN極とS極とを分けて着磁しており、図3に示すように、基台1側で前記磁気センサ7と対応し、反基台1側で前記磁性体11と対応している。この結果、磁石17が磁性体11を磁気吸引し、第1のホルダ8を第1のホルダ8の前記突起13に当接させている。
【0016】
更に、第2のホルダ14の反基台1側の面の周囲部には、複数(この場合、4個)の支柱18を突設しており、上記磁性体11に対する磁石17の磁気吸引力によって、この支柱18を前記第1のホルダ8の孔12を貫通させて反基台1側に突出させている。なお、支柱18に対して、第1のホルダ8の孔12は充分に径大で、それらの間(支柱18の周囲)には間隙G1を有している。
【0017】
第2のホルダ14及び第1のホルダ8の反基台1側には前記操作子2を配設している。この操作子2は基台1と対称的に有蓋の短円筒状を成すもので、基台1より径大であり、基台1に被せて複数のねじ19により第2のホルダ14の上記支柱18に取付けている。又、その結果、操作子2には前記磁石17が第2のホルダ14を介して保持されている。更に、その取付状態では、操作子2は基台1の周囲外方と反基台1側とに離間しており、すなわち、操作子2と基台1との間には、基台1の周囲外方に間隙G2を有し、反基台1側に間隙G3を有している。なお、操作子2はねじ19を通した取付孔20のほかに、幾つかの孔21,22を有するが、それらを覆い隠すように操作子2の反基台1側の面には前記覆い盤3を装着している。
【0018】
次に、上記構成の入力装置の作用を述べる。
上記構成においては、操作子2は、第1のホルダ8の孔12と第2のホルダ14の支柱18との間の間隙G1と、基台1の周囲外方の操作子2との間の間隙G2の分、基台1と平行な方向に移動操作可能であり、基台1の反基台1側の操作子2との間の間隙G3の分、基台と交差(特には直交)する方向に移動操作可能である。すなわち、操作子2は前記3軸方向に移動操作可能である。
【0019】
操作子2を基台1と平行な方向に移動(スライド)操作すると、第2のホルダ14が上記間隙G1及び間隙G2の寸法の範囲内で操作子2と移動をともにすることにより、図1(a)〜(d)に代表して示すように、磁石17が磁性体11から平行にずれる。
この場合、図1(a)〜(d)は操作子2(磁石17)を図で左方向に移動操作した状況を代表で示しており、磁石17が磁性体11の延長部11eを磁気吸引することで、磁石17は基本的に磁性体11のその延長部11eに沿って進み、操作子2の移動がガイドされる。
【0020】
又、磁石17は、移動前、図4(a)に示すように、磁性体11の密度の大きな中心部11aに対応していて最も強い磁力で磁性体11を吸引していたものが、4(b)に示すように、操作子2を図で左方向に少し(延長部11eの中間部まで)移動操作した状況では、磁石17が磁性体11の密度の大きな中心部11aから離間することにより、磁性体11に対する磁石17の磁気吸引力が弱まり、その弱まりを使用者が感じることで、操作子2のこのときの移動操作に対する感触が付与される。
このときには又、磁石17が磁気センサ7からも同方向にずれ、磁石17から磁気センサ7を通る磁束が変化することにより、操作子2のこのときの移動操作が検出される。
【0021】
そして、その状態から、操作子2に加えた操作力を解除すれば、磁石17が磁性体11の密度の大きな中心部11aに及ぼす磁力で原位置に戻り、それに伴って操作子2も原位置に復帰される。
【0022】
次いで、図4(c)に示すように、操作子2を図で左方向ヘ更に少し(延長部11eの先端まで)移動操作した状況では、磁石17が磁性体11の延長部11eから離間し始めることにより、磁性体11に対する磁石17の磁気吸引力が更に弱まり、その更なる弱まりを使用者が感じることで、操作子2のこのときの移動操作に対する感触が付与される。
このときには又、磁石17が磁気センサ7からも更に同方向にずれ、磁石17から磁気センサ7を通る磁束が更に変化することにより、操作子2のこのときの移動操作が検出される。
【0023】
そして、その状態から、操作子2に加えた操作力を解除すれば、磁石17が磁性体11の延長部11eに及ぼす磁力で上記前回の位置に戻り、更に磁性体11の中心部11aに及ぼす磁力で原位置に戻るので、それに伴い操作子2も原位置に復帰される。
【0024】
次いで、図4(d)に示すように、操作子2を図で上方向ヘ少し(延長部11eの先端から離れるまで)移動操作した状況では、磁性体11に対する磁石17の磁気吸引力が更に弱まり、その更なる弱まりを使用者が感じることで、操作子2のこのときの移動操作に対する感触が付与される。
このときには又、磁石17が磁気センサ7からも更に同方向にずれ、磁石17から磁気センサ7を通る磁束が更に変化することにより、操作子2のこのときの移動操作が検出される。
【0025】
そして、その状態から、操作子2に加えた操作力を解除すれば、磁石17が磁性体11の延長部11eに及ぼす磁力で上記前回の位置に戻り、更に磁性体11の中心部11aに及ぼす磁力で原位置に戻るので、それに伴い操作子2も原位置に復帰される。
【0026】
一方、操作子2を基台1と交差する方向に移動(プッシュ)操作すると、第2のホルダ14が前記間隙G3の寸法の範囲内で操作子2と移動をともにすることにより、図7に示すように、磁石17が磁性体11から離れ、磁気センサ7に近づく。これにより、磁性体11に及ぶ磁石17の磁気吸引力が弱まり、その弱まりを使用者が感じることで、操作子2の基台1と交差する方向の移動操作に対する感触が付与される。
又、このときには、磁石17が磁気センサ72近づいたことで、磁石17から磁気センサ7を通る磁束が変化し、それによって操作子2の基台1と交差する方向の移動操作が検出される。
【0027】
そして、その後、操作子2に加えた操作力を解除すれば、磁性体11に対する磁石17の磁気吸引力により、磁石17が磁性体11と近接する原位置に戻り、それに第2のホルダ14から操作子2が伴われることにより、操作子2が操作前の原位置(図1状態)に復帰される。
【0028】
このように上記構成の入力装置によれば、操作子2を基台1と平行な方向に移動操作するとき、磁石17が磁性体11の延長部11b〜11eに沿うことで操作子2の移動がガイドされることにより、操作子2の特定の方向への操作ができやすくなる。そのほか、磁石17の移動による磁性体11に対する磁気吸引力の変化で操作子2に感触が与えられ、そして、移動した磁石17が磁性体11の中心部に及ぼす磁気吸引力で操作子2を原位置に復帰させ得るので、操作子2の移動のガイド、操作子2の移動の感触の付与、及び移動させた操作子2の原位置への復帰が、磁石17と磁性体11とを共通に使用して少ない部品点数ででき、構造を簡素に留めることができる。
【0029】
以上に対して、図8ないし図13は本発明の第2ないし第7実施例(第2ないし第7の実施形態)を示すもので、それぞれ、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べれば、磁性体11の形状を磁性体31,41,51,61,71,81に示すように変えた点にある。
【0030】
具体的には、図8に示す第2実施例の磁性体31では、中心部31aのみ十字状とし、該中心部31aより両横方向にのみ延長したものとしている(延長部31c,31e)。
図9に示す第3実施例の磁性体41では、中心部41aを幅広とし、該中心部41aより両横方向にのみ漸次幅狭となるよう(先細状)に延長したものとしている(延長部41c,41e)。
【0031】
図10に示す第4実施例の磁性体51では、中心部51aを縦、横ともに幅広とし、該中心部51aより縦方向及び横方向に漸次幅狭となるよう(先細状)にして十字状(星形)に延長したものとしている(延長部51b〜51e)。
図11に示す第5実施例の磁性体61では、中心部61aより縦方向と横方向及びそれらの各中間方向(全8方向)に延長したものとしている(延長部61b〜61i)。
【0032】
図12に示す第6実施例の磁性体71では、中心部71aを最も大きな(径大)部分とし、該中心部71aより漸次小さな(径小)部分71b〜71eを両横方向に配列したものとしている。なお、この場合、中心部71a以外の部分は横方向にだけでなく縦方向にも配列するようにしても良く、更にそれらの中間方向にも配列するようにしても良い。
図13に示す第7実施例の磁性体81では、中心部81aを円形で最も大きな部分とし、該中心部81aより漸次幅狭で且つ漸次径大なリング状部分81b,81cを同心状に配列したものとしている。
【0033】
以上の磁性体31〜81でも、中心部31a,41a,51a,61a,71a,81aの密度(特には単位面積当たりの構成材の密度)を大きくして該中心部31a,41a,51a,61a,71a,81aより前記操作子2の移動方向に延長又は配列して設けたものであり、これらのものでも、操作子2を基台1と平行な方向に移動操作するとき、磁石17が磁性体31〜61の延長部31c,31e、41c,41e、51b〜51e、61b〜61iに沿い、又、磁性体71,81の中心部71a,81a以外の部分71b〜71e、81b,81cの配列に沿うことで操作子2の移動がガイドされ、操作子2の特定の方向への操作ができやすくなる。
【0034】
そのほか、磁石17の移動による磁性体31〜81に対する磁気吸引力の変化で操作子2に感触が与えられ、そして、移動した磁石17が磁性体31〜81の中心部31a,41a,51a,61a,71a,81aに及ぼす磁気吸引力で操作子2を原位置に復帰させ得るので、操作子2の移動のガイド、操作子2の移動の感触の付与、及び移動させた操作子2の原位置への復帰が、磁石17と磁性体11とを共通に使用して少ない部品点数ででき、構造を簡素に留めることができる。
【0035】
なお、磁性体は、図14に示すような単なるバー状の磁性体91や、図15に示すような単なる方形板状の磁性体101など、密度変化のないものでは、第1実施例と同様の作用効果を得ることはできない。
【0036】
但し、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、特に操作子2は基台1と交差する方向に移動操作されるようになっていなくても良いなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0037】
図面中、1は基台、2は操作子、7は磁気センサ、11は磁性体、11aは中心部、11b〜11eは延長部、17は磁石、31は磁性体、31aは中心部、31c,31eは延長部、41は磁性体、41aは中心部、41c,41eは延長部、51は磁性体、51aは中心部、51b〜51eは延長部、61は磁性体、61aは中心部、61b〜61iは延長部、71は磁性体、71aは中心部、71b〜71eはその他の部分、81は磁性体、81aは中心部、81b,81cはその他の部分を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作子のスライド操作で所定の入力をする入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の入力装置として、操作子が傾動操作されるもので、該操作子の傾動操作に対する感触の付与並びに復帰を、ともにリング状の一組の磁石によって行わしめるようにしたものが存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−294271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のものは、操作した操作子に対する感触の付与並びに復帰を行わしめるものが、ともにリング状の一組の磁石であり、操作子周りの全方向に均等な荷重がかかるため、特定の方向への操作ができにくいという問題点を有していた。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、スライド操作する操作子の特定の方向への操作ができやすく、併せて、その操作子の移動のガイド、操作子の移動の感触の付与、並びに移動させた操作子の復帰が、少ない部品点数でできて、構造を簡素に留めることのできる入力装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の入力装置は、基台と、この基台に固定された磁気センサと、この磁気センサと対応する磁石と、この磁石を保持して、前記基台と平行な方向に移動操作可能に設けられた操作子と、前記基台に前記磁石と対応して固定され、中心部の密度を大きくして該中心部より前記操作子の移動方向に延長又は配列して設けられた磁性体とを具備し、前記操作子の移動を前記磁性体に沿う前記磁石の移動でガイドすると共に、その磁石の移動を前記磁気センサにより検知し、且つ、その磁石の移動による前記磁性体に対する磁気吸引力の変化で前記操作子に感触を与え、その移動した磁石が磁性体の前記中心部に及ぼす磁気吸引力で前記操作子を原位置に復帰させるようにしたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によれば、操作子を移動操作するとき、磁石が磁性体の延長部又は配列部分に沿うことで操作子の移動がガイドされることにより、操作子の特定の方向への操作ができやすくなる。そのほか、磁石の移動による磁性体に対する磁気吸引力の変化で操作子に感触が与えられ、そして、移動した磁石が磁性体の中心部に及ぼす磁気吸引力で操作子を原位置に復帰させ得るので、操作子の移動のガイド、操作子の移動の感触の付与、及び移動させた操作子の原位置への復帰が、磁石と磁性体とを共通に使用して少ない部品点数ででき、構造を簡素に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施例を示す、磁石と磁性体部分の作用説明図その1(a)〜その4(d)
【図2】全体の外観斜視図
【図3】全体の縦断面図
【図4】全体の分解斜視図
【図5】磁性体単体の斜視図
【図6】磁石単体の斜視図
【図7】操作子をプッシュ操作した状態の関係部分の斜視図
【図8】本発明の第2実施例を示す図1(a)相当図
【図9】本発明の第3実施例を示す図1(a)相当図
【図10】本発明の第4実施例を示す図1(a)相当図
【図11】本発明の第5実施例を示す図1(a)相当図
【図12】本発明の第6実施例を示す図1(a)相当図
【図13】本発明の第7実施例を示す図1(a)相当図
【図14】参考例を示す図1(a)相当図
【図15】異なる参考例を示す図1(a)相当図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1実施例(第1の実施形態)につき、図1ないし図7を参照して説明する。
まず、図2には、入力装置全体の外観を示しており、基台1に操作子2を被せ、操作子2の基台1側とは反対側(反基台1側)に覆い盤3を装着している。
【0010】
基台1は、詳細には図3及び図4に示すように、有底の短円筒状を成すもので、内部を下段1a、中段1b、及び上段1cの3段に段付き形成しており、そのうちの中段1bに回路基板4を載置して複数のねじ5により取付け固定している。
回路基板4は、この場合、十字状を成しており(図4参照)、上記基台1の中段1bには、その十字状の回路基板4を固定前に位置決めする凸部6を形成している。
【0011】
回路基板4の反基台1側の面(図で上面)もしくは基台1側の面(図で下面)には、あらかじめ必要な配線パターン(図示せず)を設けており、反基台1側の面の中央部に磁気センサ7を実装して固定し、ひいては回路基板4を介して磁気センサ7を基台1に固定している。この磁気センサ7は、この場合、縦(X)、横(Y)、及び高さ(Z)の3軸方向に有効な3軸磁気センサである。
【0012】
基台1の上段1cには、第1のホルダ8を載置して複数のねじ9により取付け固定している。この第1のホルダ8は円盤状のもので、中央部の基台1側の面に凹部10を有しており(図1参照)、この凹部10に磁性体11を嵌め込んで固定している。
【0013】
磁性体11は、この場合、図5に拡大して示すように十字状のもので、すなわち、中心部11aの密度(特には単位面積当たりの構成材の密度)を大きくして該中心部11aより前記縦及び横方向に十字状に延長したものであり(延長部11b〜11e)、その構成材は金属で、これを上述のように第1のホルダ8の凹部10に嵌め込んで固定し、その第1のホルダ8を前述のように基台1に固定していることにより、磁性体11は、第1のホルダ8を介して基台1に固定されている。
【0014】
第1のホルダ8の中央部周りには、複数(この場合、4個)の円形の孔12を形成しており、そのほか、第1のホルダ8の基台1側の面の中央部周りには、複数(この場合、4個)の突起13を形成している。
又、第1のホルダ8の基台1側には第2のホルダ14を配設している。この第2のホルダ14は第1のホルダ8より径小な円盤状のもので、中央部に孔15を有すると共に、その孔15に連ねて基台1側の面に凹部16を有しており、この凹部16に磁石17を嵌め込んで固定している。
【0015】
磁石17は、図1(a)に示すように、前記磁性体11の延長寸法より充分に径小な円盤状のもので、図6に示すように、基台1側と反基台1側とにN極とS極とを分けて着磁しており、図3に示すように、基台1側で前記磁気センサ7と対応し、反基台1側で前記磁性体11と対応している。この結果、磁石17が磁性体11を磁気吸引し、第1のホルダ8を第1のホルダ8の前記突起13に当接させている。
【0016】
更に、第2のホルダ14の反基台1側の面の周囲部には、複数(この場合、4個)の支柱18を突設しており、上記磁性体11に対する磁石17の磁気吸引力によって、この支柱18を前記第1のホルダ8の孔12を貫通させて反基台1側に突出させている。なお、支柱18に対して、第1のホルダ8の孔12は充分に径大で、それらの間(支柱18の周囲)には間隙G1を有している。
【0017】
第2のホルダ14及び第1のホルダ8の反基台1側には前記操作子2を配設している。この操作子2は基台1と対称的に有蓋の短円筒状を成すもので、基台1より径大であり、基台1に被せて複数のねじ19により第2のホルダ14の上記支柱18に取付けている。又、その結果、操作子2には前記磁石17が第2のホルダ14を介して保持されている。更に、その取付状態では、操作子2は基台1の周囲外方と反基台1側とに離間しており、すなわち、操作子2と基台1との間には、基台1の周囲外方に間隙G2を有し、反基台1側に間隙G3を有している。なお、操作子2はねじ19を通した取付孔20のほかに、幾つかの孔21,22を有するが、それらを覆い隠すように操作子2の反基台1側の面には前記覆い盤3を装着している。
【0018】
次に、上記構成の入力装置の作用を述べる。
上記構成においては、操作子2は、第1のホルダ8の孔12と第2のホルダ14の支柱18との間の間隙G1と、基台1の周囲外方の操作子2との間の間隙G2の分、基台1と平行な方向に移動操作可能であり、基台1の反基台1側の操作子2との間の間隙G3の分、基台と交差(特には直交)する方向に移動操作可能である。すなわち、操作子2は前記3軸方向に移動操作可能である。
【0019】
操作子2を基台1と平行な方向に移動(スライド)操作すると、第2のホルダ14が上記間隙G1及び間隙G2の寸法の範囲内で操作子2と移動をともにすることにより、図1(a)〜(d)に代表して示すように、磁石17が磁性体11から平行にずれる。
この場合、図1(a)〜(d)は操作子2(磁石17)を図で左方向に移動操作した状況を代表で示しており、磁石17が磁性体11の延長部11eを磁気吸引することで、磁石17は基本的に磁性体11のその延長部11eに沿って進み、操作子2の移動がガイドされる。
【0020】
又、磁石17は、移動前、図4(a)に示すように、磁性体11の密度の大きな中心部11aに対応していて最も強い磁力で磁性体11を吸引していたものが、4(b)に示すように、操作子2を図で左方向に少し(延長部11eの中間部まで)移動操作した状況では、磁石17が磁性体11の密度の大きな中心部11aから離間することにより、磁性体11に対する磁石17の磁気吸引力が弱まり、その弱まりを使用者が感じることで、操作子2のこのときの移動操作に対する感触が付与される。
このときには又、磁石17が磁気センサ7からも同方向にずれ、磁石17から磁気センサ7を通る磁束が変化することにより、操作子2のこのときの移動操作が検出される。
【0021】
そして、その状態から、操作子2に加えた操作力を解除すれば、磁石17が磁性体11の密度の大きな中心部11aに及ぼす磁力で原位置に戻り、それに伴って操作子2も原位置に復帰される。
【0022】
次いで、図4(c)に示すように、操作子2を図で左方向ヘ更に少し(延長部11eの先端まで)移動操作した状況では、磁石17が磁性体11の延長部11eから離間し始めることにより、磁性体11に対する磁石17の磁気吸引力が更に弱まり、その更なる弱まりを使用者が感じることで、操作子2のこのときの移動操作に対する感触が付与される。
このときには又、磁石17が磁気センサ7からも更に同方向にずれ、磁石17から磁気センサ7を通る磁束が更に変化することにより、操作子2のこのときの移動操作が検出される。
【0023】
そして、その状態から、操作子2に加えた操作力を解除すれば、磁石17が磁性体11の延長部11eに及ぼす磁力で上記前回の位置に戻り、更に磁性体11の中心部11aに及ぼす磁力で原位置に戻るので、それに伴い操作子2も原位置に復帰される。
【0024】
次いで、図4(d)に示すように、操作子2を図で上方向ヘ少し(延長部11eの先端から離れるまで)移動操作した状況では、磁性体11に対する磁石17の磁気吸引力が更に弱まり、その更なる弱まりを使用者が感じることで、操作子2のこのときの移動操作に対する感触が付与される。
このときには又、磁石17が磁気センサ7からも更に同方向にずれ、磁石17から磁気センサ7を通る磁束が更に変化することにより、操作子2のこのときの移動操作が検出される。
【0025】
そして、その状態から、操作子2に加えた操作力を解除すれば、磁石17が磁性体11の延長部11eに及ぼす磁力で上記前回の位置に戻り、更に磁性体11の中心部11aに及ぼす磁力で原位置に戻るので、それに伴い操作子2も原位置に復帰される。
【0026】
一方、操作子2を基台1と交差する方向に移動(プッシュ)操作すると、第2のホルダ14が前記間隙G3の寸法の範囲内で操作子2と移動をともにすることにより、図7に示すように、磁石17が磁性体11から離れ、磁気センサ7に近づく。これにより、磁性体11に及ぶ磁石17の磁気吸引力が弱まり、その弱まりを使用者が感じることで、操作子2の基台1と交差する方向の移動操作に対する感触が付与される。
又、このときには、磁石17が磁気センサ72近づいたことで、磁石17から磁気センサ7を通る磁束が変化し、それによって操作子2の基台1と交差する方向の移動操作が検出される。
【0027】
そして、その後、操作子2に加えた操作力を解除すれば、磁性体11に対する磁石17の磁気吸引力により、磁石17が磁性体11と近接する原位置に戻り、それに第2のホルダ14から操作子2が伴われることにより、操作子2が操作前の原位置(図1状態)に復帰される。
【0028】
このように上記構成の入力装置によれば、操作子2を基台1と平行な方向に移動操作するとき、磁石17が磁性体11の延長部11b〜11eに沿うことで操作子2の移動がガイドされることにより、操作子2の特定の方向への操作ができやすくなる。そのほか、磁石17の移動による磁性体11に対する磁気吸引力の変化で操作子2に感触が与えられ、そして、移動した磁石17が磁性体11の中心部に及ぼす磁気吸引力で操作子2を原位置に復帰させ得るので、操作子2の移動のガイド、操作子2の移動の感触の付与、及び移動させた操作子2の原位置への復帰が、磁石17と磁性体11とを共通に使用して少ない部品点数ででき、構造を簡素に留めることができる。
【0029】
以上に対して、図8ないし図13は本発明の第2ないし第7実施例(第2ないし第7の実施形態)を示すもので、それぞれ、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べれば、磁性体11の形状を磁性体31,41,51,61,71,81に示すように変えた点にある。
【0030】
具体的には、図8に示す第2実施例の磁性体31では、中心部31aのみ十字状とし、該中心部31aより両横方向にのみ延長したものとしている(延長部31c,31e)。
図9に示す第3実施例の磁性体41では、中心部41aを幅広とし、該中心部41aより両横方向にのみ漸次幅狭となるよう(先細状)に延長したものとしている(延長部41c,41e)。
【0031】
図10に示す第4実施例の磁性体51では、中心部51aを縦、横ともに幅広とし、該中心部51aより縦方向及び横方向に漸次幅狭となるよう(先細状)にして十字状(星形)に延長したものとしている(延長部51b〜51e)。
図11に示す第5実施例の磁性体61では、中心部61aより縦方向と横方向及びそれらの各中間方向(全8方向)に延長したものとしている(延長部61b〜61i)。
【0032】
図12に示す第6実施例の磁性体71では、中心部71aを最も大きな(径大)部分とし、該中心部71aより漸次小さな(径小)部分71b〜71eを両横方向に配列したものとしている。なお、この場合、中心部71a以外の部分は横方向にだけでなく縦方向にも配列するようにしても良く、更にそれらの中間方向にも配列するようにしても良い。
図13に示す第7実施例の磁性体81では、中心部81aを円形で最も大きな部分とし、該中心部81aより漸次幅狭で且つ漸次径大なリング状部分81b,81cを同心状に配列したものとしている。
【0033】
以上の磁性体31〜81でも、中心部31a,41a,51a,61a,71a,81aの密度(特には単位面積当たりの構成材の密度)を大きくして該中心部31a,41a,51a,61a,71a,81aより前記操作子2の移動方向に延長又は配列して設けたものであり、これらのものでも、操作子2を基台1と平行な方向に移動操作するとき、磁石17が磁性体31〜61の延長部31c,31e、41c,41e、51b〜51e、61b〜61iに沿い、又、磁性体71,81の中心部71a,81a以外の部分71b〜71e、81b,81cの配列に沿うことで操作子2の移動がガイドされ、操作子2の特定の方向への操作ができやすくなる。
【0034】
そのほか、磁石17の移動による磁性体31〜81に対する磁気吸引力の変化で操作子2に感触が与えられ、そして、移動した磁石17が磁性体31〜81の中心部31a,41a,51a,61a,71a,81aに及ぼす磁気吸引力で操作子2を原位置に復帰させ得るので、操作子2の移動のガイド、操作子2の移動の感触の付与、及び移動させた操作子2の原位置への復帰が、磁石17と磁性体11とを共通に使用して少ない部品点数ででき、構造を簡素に留めることができる。
【0035】
なお、磁性体は、図14に示すような単なるバー状の磁性体91や、図15に示すような単なる方形板状の磁性体101など、密度変化のないものでは、第1実施例と同様の作用効果を得ることはできない。
【0036】
但し、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、特に操作子2は基台1と交差する方向に移動操作されるようになっていなくても良いなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0037】
図面中、1は基台、2は操作子、7は磁気センサ、11は磁性体、11aは中心部、11b〜11eは延長部、17は磁石、31は磁性体、31aは中心部、31c,31eは延長部、41は磁性体、41aは中心部、41c,41eは延長部、51は磁性体、51aは中心部、51b〜51eは延長部、61は磁性体、61aは中心部、61b〜61iは延長部、71は磁性体、71aは中心部、71b〜71eはその他の部分、81は磁性体、81aは中心部、81b,81cはその他の部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
この基台に固定された磁気センサと、
この磁気センサと対応する磁石と、
この磁石を保持して、前記基台と平行な方向に移動操作可能に設けられた操作子と、
前記基台に前記磁石と対応して固定され、中心部の密度を大きくして該中心部より前記操作子の移動方向に延長又は配列して設けられた磁性体とを具備し、
前記操作子の移動を前記磁性体に沿う前記磁石の移動でガイドすると共に、その磁石の移動を前記磁気センサにより検知し、且つ、その磁石の移動による前記磁性体に対する磁気吸引力の変化で前記操作子に感触を与え、その移動した磁石が磁性体の前記中心部に及ぼす磁気吸引力で前記操作子を原位置に復帰させるようにしたことを特徴とする入力装置。
【請求項1】
基台と、
この基台に固定された磁気センサと、
この磁気センサと対応する磁石と、
この磁石を保持して、前記基台と平行な方向に移動操作可能に設けられた操作子と、
前記基台に前記磁石と対応して固定され、中心部の密度を大きくして該中心部より前記操作子の移動方向に延長又は配列して設けられた磁性体とを具備し、
前記操作子の移動を前記磁性体に沿う前記磁石の移動でガイドすると共に、その磁石の移動を前記磁気センサにより検知し、且つ、その磁石の移動による前記磁性体に対する磁気吸引力の変化で前記操作子に感触を与え、その移動した磁石が磁性体の前記中心部に及ぼす磁気吸引力で前記操作子を原位置に復帰させるようにしたことを特徴とする入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−129461(P2011−129461A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289075(P2009−289075)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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