説明

入退室管理システムおよび方法

【課題】予め、トークンにゲート装置のロックを解除するための情報を記憶する必要がなく、更に、ゲート装置のロックの解除順序を考慮して、ロックの解除を制御できる入退室管理システムを提供する。
【解決手段】ゲート装置2は、ユーザがロックを解除するゲート装置2に辿りつくまでに、必ずロックを解除しなければならないゲート装置2を示す参照ゲート情報24a、24bを記憶している。ユーザは、ICカード3を所持し、ICカード3には解除したゲート装置2の識別番号を時系列で記憶するログファイルを備えている。ゲート装置2は、ICカード3に記憶されたログファイルの内容と参照ゲート情報24a或いは24bとを照合し、ゲート装置2のロックの解除を制御する。そして、ゲート装置2のロックを解除するごとに、ユーザが所持するICカード3のログファイルに、自機の識別番号を書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内の部屋への入退室を管理する技術に関し、更に詳しくは、施設内の部屋に設置されたゲート装置の解除順序を考慮した入退室管理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人情報などの機密情報の漏洩を防止するために、機密情報を取り扱う企業では情報セキュリティが重要視されている。例えば、機密情報を取り扱う企業などの出入り口には、許可されたユーザ以外の入退室を防止すべく、ICカードなどのトークンを用いた入退室管理システムが設置され、入退室するユーザが管理されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ユーザはトークンとしてICカードを所持し、入室又は退室する際のいずれか一方でICカードと接触で通信することで、入退室管理のセキュリティを高めた入退室管理システムが開示されている。
【0004】
この入退室管理システムでは、ユーザが所持するICカードをデュアルインターフェースICカードとすることで、入室又は退室のいずれか一方を、ICカードと非接触で通信することができ、入退室管理のセキュリティを高めるともに、ユーザの利便性を高めることができる。
【特許文献1】特開2001−323695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示されているように、一般的な入退室管理システムでは、ユーザが所持するトークン(例えば、ICカード)に、ゲート装置のロックを解除するための情報を必ず記憶していなければならなかった。加えて、施設内の各部屋ごとにゲート装置が設置されている場合、ゲート装置のロックの解除順序を考慮して、ゲート装置のロックの解除を制御することはできなかった。
【0006】
例えば、従来の技術では、常時、守衛が立っている箇所のゲート装置のロック解除が義務付けられている場合であっても、施設内の他の部屋に設置されたゲート装置は、守衛が立っている箇所のゲート装置のロックを解除したか否かを判定することはできない。
【0007】
そこで、本発明は、ユーザが所持するトークン(例えば、ICカード)に、予め、ゲート装置のロックを解除するための情報を必ずしも記憶する必要がなく、更に、施設内に複数のゲート装置が設置されている場合、ゲート装置のロックの解除順序を考慮して、ゲート装置のロックの解除を制御することができる入退室管理システム、入退室管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決する第1の発明は、施設内の部屋への入退室を管理する入退室管理方法であって、ユーザが所持するトークンに、ユーザがロックを解除した前記ゲート装置のログを記憶し、前記ログにはロックを解除した前記ゲート装置の識別番号が時系列で記述され、前記ゲート装置のロックを解除するときは、少なくとも、前記ゲート装置の配置に基づき、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置に辿りつくまでに、必ずロックを解除しなければならない前記ゲート装置を示す参照ゲート情報と前記ログの内容との照合結果に基づいて、前記ゲート装置のロックの解除を制御し、前記ゲート装置のロックを解除するときは、ロックを解除する前記ゲート装置の前記識別番号を前記トークンに書き込むことを特徴とする。
【0009】
更に、第2の発明は、第1の発明に記載の入退室管理方法であって、前記参照ゲート情報は入室用と退室用が設定され、入室時の前記ユーザ認証には、入室用の前記参照ゲート情報が用いられ、退室時の前記ユーザ認証には、退室用の前記参照ゲート情報が用いられることを特徴とする。
【0010】
更に、第3の発明は、第2の発明に記載の入退室管理方法において、入室用の前記参照ゲート情報及び退室用の前記参照ゲート情報は、ユーザが解除する前記ゲート装置の一つ前に解除されるべき前記ゲート装置の前記識別番号とすることを特徴とする。
【0011】
更に、第4の発明は、第2の発明に記載の入退室管理方法であって、入室用の前記参照ゲート情報は、前記施設の定められた区間内において、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置に辿りつくまでに、ロックを解除されるべき前記ゲート装置の前記識別番号とその順序が示されたルート情報で、退室用の前記参照ゲート情報は、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置の一つ前に必ず利用しなければならない前記ゲート装置の前記識別番号とすることを特徴とする。
【0012】
更に、第5の発明は、第1の発明から第4の発明のいずれかに記載の入退室管理方法であって、前記ユーザ認証では、ユーザが解除した前記ゲート装置を確認すると共に、パスワード照合或いは生体情報認証が実施されることを特徴とする。
【0013】
更に、第6の発明は、施設内の部屋への入退室を管理する入退室管理システムであって、入退室するユーザが所持するトークンと、部屋の入退室を管理するゲート装置とから構成され、前記トークンのメモリには、ユーザがロックを解除した前記ゲート装置の識別番号を時系列で記憶するログファイルが設けられ、前記ゲート装置は、前記トークンとデータ通信するインターフェース手段と、前記ゲート装置のロックの解除を制御するゲート制御手段とを備え、前記ゲート制御手段は、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置に辿りつくまでに、必ずロックを解除しなければならない前記ゲート装置を示す参照ゲート情報を記憶し、少なくとも、前記トークンから読みだした前記ログファイルの内容と前記参照ゲート情報との照合結果に基づいて、前記ゲート装置のロックの解除を制御し、前記ゲート装置のロックを解除するときは、ユーザが所持する前記トークンの前記ログファイルに、前記ゲート装置の前記識別番号を書き込むことを特徴とする。
【0014】
更に、第7の発明は、第6の発明に記載の入退室管理システムであって、前記ゲート装置の前記ユーザ認証手段は、入室用と退室用それぞれの前記参照ゲート情報を記憶し、入室時の前記ユーザ認証には、入室用の前記参照ゲート情報を用い、退室時の前記ユーザ認証には、退室用の前記参照ゲート情報を用いることを特徴とする。
【0015】
更に、第8の発明は、第7の発明に記載の入退室管理システムであって、入室用の前記参照ゲート情報及び退室用の前記参照ゲート情報は、ユーザが解除する前記ゲート装置の一つ前に解除されるべき前記ゲート装置の前記識別番号とすることを特徴とする。
【0016】
更に、第9の発明は、第8の発明に記載の入退室管理システムであって、入室用の前記参照ゲート情報は、前記施設の定められた区間内において、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置に辿りつくまでに、ロックを解除すべき前記ゲート装置の前記識別番号とその順序を示すルート情報で、退室用の前記参照ゲート情報は、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置の一つ前に必ず利用しなければならない前記ゲート装置の前記識別番号とすることを特徴とする。
【0017】
更に、第10の発明は、第6の発明から第9の発明のいずれかに記載の入退室管理システムであって、前記ゲート装置に備えられた前記ユーザ認証手段は、前記ユーザ認証では、ユーザがロックを解除した前記ゲート装置を確認すると共に、パスワード照合或いは生体情報認証を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明によれば、ユーザが所持するトークンに、ユーザがロックを解除したゲート装置のログを記憶し、このログを利用してゲート装置のロックの解除を制御することで、トークンには予めゲート装置のロックを解除するための情報を記憶する必要がなくなり、更に、施設内に複数のゲート装置が設置されている場合、ゲート装置の利用順序を考慮して、ゲート装置のロックの解除を制御することができる。
【0019】
なお、本発明においてトークンとは、外部の端末装置とデータ通信する機能を備え、ユーザを識別するためのIDデータを格納する携帯可能な装置を意味し、詳しくは、ICカード、USBトークンおよび携帯電話などの装置を意味する。
【0020】
更に、ユーザがロックを解除するゲート装置に辿りつくまでに、必ず解除しなければならないゲート装置を示す参照ゲート情報を入室用と退室用に分けて用意しておくことで、同じゲート装置であっても、入室と退室で異なる参照ゲート情報を設定できる。
【0021】
なお、参照ゲート情報としては、入退室共に、ユーザがロックを解除するゲート装置の一つ前にロックを解除すべきゲート装置の識別番号とすることができるが、入室用の参照ゲート情報を、施設の定められた区間内において、ユーザがロック解除するゲート装置に辿りつくまでに、ロックを解除すべきゲート装置の識別番号とその順序を示すルート情報とすることで、入室時のセキュリティを高めることができる。
【0022】
更に、例えば、パスワード照合や生体情報認証と組み合せることで、入退室時のセキュリティをより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
ここから、本発明に係る入退室管理システム及び入退室管理方法について、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る入退室管理システムの一実施の形態を示した図である。
【0024】
図1に示したように、施設1内にあるルーム10(ここでは、3つ)の入退室口にはゲート装置2が設置され、それぞれのゲート装置2は識別番号を有する。ルーム番号が「1」のルーム10には1台のゲート装置2が設置され、その識別番号は「1」である。ルーム番号が「2」のルーム10には1台のゲート装置2が設置され、その識別番号は「2」である。ルーム番号が「3」のルーム10には2台のゲート装置2が設置され、それぞれの識別番号は「3」及び「4」である。
【0025】
今後、それぞれのルーム10を明確に識別する必要があるとき、ルーム10の番号を()で括り表記する。例えば、ルーム番号が「1」のルーム10は、ルーム10(1)と表記する。また、それぞれのゲート装置2を明確に識別する必要があるとき、ゲート装置2の識別番号を()で括り表記する。例えば、識別番号が「1」のゲート装置2は、ゲート装置2(1)と表記する。
【0026】
本発明に係る入退室管理システムにおいては、各々のゲート装置2は、ゲート装置2の配置に基づき、ユーザがロックを解除するゲート装置2に辿りつくまでに、必ずロックを解除しなければならないゲート装置2を示す参照ゲート情報を記憶している。
【0027】
施設1に入退室するユーザは、トークンしてICカード3を所持し、ICカード3のメモリには解除したゲート装置2の識別番号を時系列で記憶するログファイルを備えている。
【0028】
各々のゲート装置2は、ゲート装置2を利用するユーザが所持するICカード3に記憶されたログファイルの内容と参照ゲート情報とを照合し、ゲート装置2のロックの解除を制御する。そして、ゲート装置2のロックを解除するごとに、ユーザが所持するICカード3のログファイルに、自機の識別番号を追加書込みする。
【0029】
例えば、正式なルートでユーザがゲート装置2(3)に辿りつくためには、ゲート装置2(2)のロックを解除していることが必要であるため、ゲート装置2(3)の参照ゲート情報としてゲート装置2(2)の識別番号「2」が記憶される。そして、ゲート装置2(3)は、ゲート装置2(3)を利用するユーザのICカード3からログファイルを読出し、最後に利用したゲート装置2の識別番号が「2」であった場合にのみ、ゲート装置2(3)はロックを解除する。
【0030】
図2は、ゲート装置2のブロック図である。図2に示したように、各々のゲート装置2は、ユーザが所持するICカード3とデータ通信する手段となり、入室側に設置されるリーダライタ21aと、退室側に設置されるリーダライタ21bと、ゲート装置2をロックするロック手段22と、ゲート装置2の全体を制御するゲート制御手段20を備え、情報として、ゲート装置2ごとに割り振られた識別番号23と、入室時に利用する参照ゲート情報24aと、退室時に利用する参照ゲート情報24bとを記憶している。
【0031】
図3は、ユーザが所持するICカード3のブロック図で、ユーザが所持するICカード3にログファイル30が設けられている。このログファイル30には、ユーザがロックを解除したゲート装置2の識別番号23が時系列で記憶される。
【0032】
図4は、ログファイル30の一例を示した図で、図4に図示したログファイル30は、循環順編成構造のレコードファイルで、ログファイル30は、ゲート装置2の識別番号23を記憶する5つのレコード31を有し、最後にゲート装置2の識別番号23を書き込んだレコード31には、1番のレコード番号が割り当てられる。
【0033】
図4において、#はレコード31のレコード番号を示し、最後に書き込まれたゲート装置2の識別番号23は#1のレコード31に記憶され、その前に書き込まれたゲート装置2の識別番号23は#2のレコード31に記憶され、最旧に書き込まれたゲート装置2の識別番号23は、識別番号23が記憶されたレコード31の中で、最もレコード番号の大きいレコード31に記憶される。
【0034】
ここから、図2および図3を参照しながら、ゲート装置2の動作について説明する。ユーザが入室する際、入室側のリーダライタ21aがICカード3を検知すると、ゲート装置2のゲート制御手段20は、リーダライタ21aを用いてICカード3からログファイル30のすべて或いは一部を読取り、読取ったログファイル30の内容と参照ゲート情報24aとを照合し、読取ったログファイル30の内容からゲート装置2のロックを解除できると判断したとき、リーダライタ21aを用いて自機の識別番号23をICカード3のログファイル30に書き込むと共に、ロック手段22にロックを解除する信号を送信し、ゲート装置2のロックを解除する。
【0035】
ユーザが退室する際も入室時と同様に、退室側のリーダライタ21bがICカード3を検知したとき、ゲート装置2のゲート制御手段20は、検知したICカード3からログファイル30のすべて或いは一部を読取り、読取ったログファイル30の内容と参照ゲート情報24bとを照合し、読取ったログファイル30の内容からゲート装置2のロックが解除できると判断したとき、リーダライタ24bを用いて自分の識別番号23をICカード3に書き込むと共に、ロック手段22にロックを解除する信号を送信し、ゲート装置2のロックを解除する。
【0036】
本発明において、ゲート装置2に記憶する参照ゲート情報24a、bとしては、ルーム10の見取り図などを参照し、一つ前にロックを解除すべきゲート装置2の識別番号23とすることができる。例えば、ゲート装置2(2)を用いてルーム10(2)に入室する際は、ユーザは必ずルーム10(1)に在室していることになり、ルーム10(1)に在室するためにロックを解除しなければならないゲート装置2の識別番号23は「1」であるため、ゲート装置2(2)の入室用の参照ゲート情報は「1」に設定される。
【0037】
すなわち、ゲート装置2(2)を利用して、ルーム10(1)からルーム10(2)に入室する際は、ICカード3のログファイル30に最後に記憶された識別番号23、例えば、図4では#1のレコード31に記憶された識別番号23が「1」であることが、ゲート装置2(2)のロックを解除する条件となる。
【0038】
また、退室時、ゲート装置2(3)を利用してルーム10(3)からルーム10(2)へ退室する際は、ユーザは必ずルーム10(3)に在室していることになる。ルーム10(3)に在室するためには、ゲート装置2(3)またはゲート装置2(4)を利用していなければならないため、ゲート装置2(3)の退室用の参照ゲート情報24bは「3」と「4」の2つが設定される。
【0039】
更に、ゲート装置2(2)を利用してルーム10(2)からルーム10(1)へ退室する際は、ルーム10(3)に入退室することなくルーム10(2)に在室していたか、或いは、ルーム10(3)から退室した後にルーム10(2)に在室していたことになるため、ゲート装置2(2)の参照ゲート情報24bは「2」、「3」及び「4」の3つが設定される。
【0040】
すなわち、ゲート装置2(3)を利用してルーム10(3)からルーム10(2)へ退室する際は、ICカード3のログファイル30に最後に記憶された識別番号23、例えば、図4において、#1のレコード31に記憶された識別番号23が「3」もしくは「4」のいずれかであることが、ゲート装置2(3)のロックを解除する条件となる。
【0041】
また、ゲート装置2(2)を利用してルーム10(2)からルーム10(1)へ退室する際は、ICカード3のログファイル30に最後に記憶された識別番号23、例えば、図4において、#1のレコード31に記憶された識別番号23が「2」、「3」もしくは「4」のいずれかであることが、ゲート装置2(2)のロックを解除する条件となる。
【0042】
入室時のセキュリティを向上させたい場合には、入室用の参照ゲート情報24aとして、一つ前に必ずロックを解除すべきゲート装置2の識別番号23ではなく、ユーザがロックを解除するゲート装置2に辿りつくまでに、ロックを解除すべきゲート装置2の識別番号23とその順序を記述したルート情報とするとよい。入室時には、入室までのルートを確認することで、入室時のセキュリティを向上させることができる。
【0043】
例えば、ルーム10(3)へ入室する時、ゲート装置2(3)を利用するときまでにロックを解除されるゲート装置2は、ゲート装置2(1)とゲート装置2(2)で、その順序はゲート装置2(1)が最初で、その次がゲート装置2(2)ある。このとき、ゲート装置2(3)の入室用の参照ゲート情報24aは、ゲート装置2(1)とゲート装置2(2)の識別番号23を利用する逆順に並べて「21」と設定される。
【0044】
このとき、ゲート装置2(3)を利用してルーム10(3)からルーム10(2)へ退室する際は、ICカード3のログファイル30に最後に記憶された識別番号23が「2」で、その前の識別番号23が「1」であることが、ゲート装置2(3)がゲート装置2を解除する条件となる。
【0045】
例えば、図4において、#1のレコード31に記憶された識別番号23が「2」で、かつ、#2のレコード31に記憶された識別番号23が「1」であることが、ゲート装置2(3)がロックを解除する条件となる。
【0046】
入室用の参照ゲート情報24aとして、ユーザがロックを解除するゲート装置2に辿りつくまでに解除されるべきゲート装置2の識別番号23とその順序を記述したルート情報とする際、ルート情報に含む識別番号の数は任意でよい。例えば、一つのゲート装置2を利用するまでに5個のゲート装置2を利用しなければならないケースであっても、参照ゲート情報としては、直前に利用する3つのゲート装置2の識別番号23とその順序であってもよい。当然のことながら、ユーザがロックを解除するゲート装置2に辿りつくまでに複数のルートが存在する場合は、入室用の参照ゲート情報24aには複数のルート情報が記憶される。
【0047】
更に、本発明においては、別なユーザ認証手段と組み合せることで、更に、セキュリティを高められる。例えば、ログファイル30の内容の照合に加え、ゲート装置2にはパスワード照合や生体情報認証の機能を備えていてもよく、また、ログファイル30の内容の照合に失敗した場合、警告音を発信してもよい。
【0048】
このケースでは、パスワード照合もしくは生体情報認証に成功し、かつ、ログファイル30の内容の照合に成功することが、ゲート装置2のロックを解除する条件となる。
【0049】
ここから、本発明に係る入退室管理方法の手順について説明する。図5は、入退室管理方法の手順を示したフロー図である。この手順の最初のステップS1は、ユーザが所持するトークンをゲート装置が検知するステップである。例えば、図1で示した入退室管理システムにおいては、入室するときはリーダライタ21aがICカード3を検知し、退室するときはリーダライタ21bがICカード3を検知する。
【0050】
次のステップS2は、ステップS1で検知したトークンから、ユーザが利用したゲート装置の識別番号が時系列的に記憶されたログの内容をゲート装置が読取るステップである。例えば、図1で示した入退室管理システムにおいては、ゲート装置2は、ICカード3からログファイル30の内容を読取る。
【0051】
次のステップS3は、ステップS2で読取ったログファイルの内容を照合するステップである。図1で示した入退室管理システムにおいては、一つ前に解除すべきゲート装置2の識別番号23、或いは、ユーザが解除するゲート装置2に辿りつくまでに解除されるべきゲート装置2の識別番号23とその順序を示すルート情報などが記述された参照ゲート情報24a或いは24bとログファイル30の内容とが照合される。
【0052】
ステップS4において、ログの内容の照合に成功した場合は、ステップS4に進み、ステップS4では、ゲート装置は、ユーザが所持するトークンに自機の識別番号を書き込んだ後、ゲート装置はロックを解除し、この手順は終了する。
【0053】
また、ステップS5において、ログの内容の照合に失敗した場合は、ステップS5に進み、ステップS5では、ゲート装置は、ユーザが所持するトークンに自機の識別番号を書き込まず、照合に失敗したことを意味する警告音などを発信し、ゲート装置はロックを解除せずにこの手順は終了する。
【0054】
上述したように、本発明によれば、ユーザが所持するトークンに、ユーザが解除したゲート装置のログを記憶し、このログを利用してゲート装置の解除を制御することで、トークンには予めゲート装置のロックを解除するための情報を記憶する必要がなくなり、更に、施設内に複数のゲート装置が設置されている場合、ゲート装置のロックの解除順序を考慮して、ゲート装置のロックの解除を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】入退室管理システムの一実施の形態を示した図。
【図2】ゲート装置のブロック図。
【図3】ICカードのブロック図。
【図4】ログファイルの一例を示した図。
【図5】入退室管理方法の手順を示したフロー図。
【符号の説明】
【0056】
1 施設
10 ルーム、
2 ゲート装置
20 ゲート装置制御手段
21a、21b リーダライタ
23 ゲート装置の識別番号
24a、24b 参照ゲート情報
3 ICカード
30 ログファイル
31 レコード



【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の部屋への入退室を管理する入退室管理方法であって、ユーザが所持するトークンに、ユーザがロックを解除した前記ゲート装置のログを記憶し、前記ログにはロックを解除した前記ゲート装置の識別番号が時系列で記述され、前記ゲート装置のロックを解除するときは、少なくとも、前記ゲート装置の配置に基づき、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置に辿りつくまでに、必ずロックを解除しなければならない前記ゲート装置を示す参照ゲート情報と前記ログの内容との照合結果に基づいて、前記ゲート装置のロックの解除を制御し、前記ゲート装置のロックを解除するときは、ロックを解除する前記ゲート装置の前記識別番号を前記トークンに書き込むことを特徴とする入退室管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の入退室管理方法であって、前記参照ゲート情報は入室用と退室用が設定され、入室時の前記ユーザ認証には、入室用の前記参照ゲート情報が用いられ、退室時の前記ユーザ認証には、退室用の前記参照ゲート情報が用いられることを特徴とする入退室管理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の入退室管理方法において、入室用の前記参照ゲート情報及び退室用の前記参照ゲート情報は、ユーザが解除する前記ゲート装置の一つ前に解除されるべき前記ゲート装置の前記識別番号とすることを特徴とする入退室管理方法。
【請求項4】
請求項2に記載の入退室管理方法であって、入室用の前記参照ゲート情報は、前記施設の定められた区間内において、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置に辿りつくまでに、ロックを解除されるべき前記ゲート装置の前記識別番号とその順序が示されたルート情報で、退室用の前記参照ゲーム情報は、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置の一つ前に必ず利用しなければならない前記ゲート装置の前記識別番号とすることを特徴とする入退室管理方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の入退室管理方法であって、前記ユーザ認証では、ユーザが解除した前記ゲート装置を確認すると共に、パスワード照合或いは生体情報認証が実施されることを特徴とする入退室管理方法。
【請求項6】
施設内の部屋への入退室を管理する入退室管理システムであって、入退室するユーザが所持するトークンと、部屋の入退室を管理するゲート装置とから構成され、前記トークンのメモリには、ユーザがロックを解除した前記ゲート装置の識別番号を時系列で記憶するログファイルが設けられ、前記ゲート装置は、前記トークンとデータ通信するインターフェース手段と、前記ゲート装置のロックの解除を制御するゲート制御手段とを備え、前記ゲート制御手段は、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置に辿りつくまでに、必ずロックを解除しなければならない前記ゲート装置を示す参照ゲート情報を記憶し、少なくとも、前記トークンから読みだした前記ログファイルの内容と前記参照ゲート情報との照合結果に基づいて、前記ゲート装置のロックの解除を制御し、前記ゲート装置のロックを解除するときは、ユーザが所持する前記トークンの前記ログファイルに、前記ゲート装置の前記識別番号を書き込むことを特徴とする入退室管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の入退室管理システムであって、前記ゲート装置の前記ユーザ認証手段は、入室用と退室用それぞれの前記参照ゲート情報を記憶し、入室時の前記ユーザ認証には、入室用の前記参照ゲート情報を用い、退室時の前記ユーザ認証には、退室用の前記参照ゲート情報を用いることを特徴とする入退室管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の入退室管理システムであって、入室用の前記参照ゲート情報及び退室用の前記参照ゲート情報は、ユーザが解除する前記ゲート装置の一つ前に解除されるべき前記ゲート装置の前記識別番号とすることを特徴とする入退室管理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の入退室管理システムであって、入室用の前記参照ゲート情報は、前記施設の定められた区間内において、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置に辿りつくまでに、ロックを解除すべき前記ゲート装置の前記識別番号とその順序を示すルート情報で、退室用の前記参照ゲーム情報は、ユーザがロックを解除する前記ゲート装置の一つ前に必ず利用しなければならない前記ゲート装置の前記識別番号とすることを特徴とする入退室管理システム。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれかに記載の入退室管理システムであって、前記ゲート装置に備えられた前記ユーザ認証手段は、前記ユーザ認証では、ユーザがロックを解除した前記ゲート装置を確認すると共に、パスワード照合或いは生体情報認証を実施することを特徴とする入退室管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−7941(P2008−7941A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176091(P2006−176091)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】