説明

全患者の流入の監視

【課題】患者が保健医療施設にいる間、患者への薬剤の全投与を監視するための監視システムおよび方法を提供すること。
【解決手段】このシステムは、薬剤投与データをデータ記憶ユニットに格納するプロセッサを含む。プロセッサはまた、遠隔データベースにアクセスして患者への薬剤投与に関する全ての追加データを獲得し、その追加データをデータ記憶ユニットに格納するように構成される。プロセッサはさらに、患者への全薬剤投与に関する格納されたデータを、医師により選択可能なデータの個々の選択的な編成を示す選択的なフォーマットで表示するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に薬液投与に関し、より詳細には、患者への薬液の全投与を監視するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者への薬液の静脈への注入は、異なる多くの疾患の治療で用いられる。医師にもよるが、流体は、外科的に挿入された本カテーテルによって、あるいは患者の腕または脚などの抹消部位で患者に投与される。多くの場合、患者の状態から、処方された投薬量が、指定された期間中に、処方された流量で投与されることが重要となる。
【0003】
多くの場合、輸液ポンプが患者に薬剤を投与するのに使用される。投与は、微量で不連続な薬液で行われることもあれば、実質的に連続してなされることもある。輸液ポンプによる療法は、正確な定量を厳密に一定のレベルで投与するために電子的に制御され、それにより患者への有益で緩徐な薬剤の注入を実現することができる。このように、輸液ポンプは、まさに連続時間に基づいて作用することにより、化学バランスが維持される自然過程を模倣することができる。
【0004】
患者が輸液療法を受ける場合、輸液に関するいくつかのデータを得て、それを病院職員の様々なメンバーが利用できるようにすることができる。患者の治療がより効率的に管理され得るように、患者に投与される薬剤に関する情報は比較的短時間で生成されるべきである。しかし、多くの場合、こうしたデータの一部または全てが、通常は、患者のベッドに貼られた紙の表に手書きで記録される。かかるデータを手書きで記録することの不利点は、それがまだるいことである。その結果、かかるデータは、判読困難、不完全となるが故に後の誤解を招き易く、記録、追跡されるデータが莫大な量であるが故に箇所を誤って記入されることさえある。人間による誤りが、このような不利益に大いに寄与している。したがって、輸液中の治療液投与に関するデータの記録の自動化を実現することが望ましいはずである。
【0005】
患者の過去の輸液療法に関する情報は、後の有効で時宜を得た治療のために絶対に不可欠である。遺憾ながら、この不可欠であるデータが、患者の記録から容易に検索可能でないことがある。必要なデータが、上記の理由、すなわち患者の紙の表で誤記あるいは誤った箇所に記入されていることにより、さらには他の理由で見過ごされることがある。状況によっては、患者の状態に関わる緊急性から、医療チームが、当該患者の特定の過去の治療データについての紙の表またはファイルを探す時間がないこともある。いずれにしろ、かかるデータに容易にアクセスできないことは、患者の現在および将来の治療計画を作成あるいは策定する際、過去の薬剤投与についてのかかる予備知識という便益を得られないことにもなり兼ねない。
【0006】
さらに、患者の治療計画が、治療の過程で変更する一連の指示から成ることがある。手書きで記録されるシステム、例えば患者のベッドに貼られた紙の表では、治療中に生じる指示への変更を含めた、治療計画の全詳細が記録されるようにすることはさらに困難である。かかる手書きで記録されたデータを追跡することもさらに困難である。患者の以前の治療について部分的に失するだけでも、不完全な実態を与えることになり有効性の劣る将来の治療戦略に繋がり兼ねない。その結果、後にさらなる治療が策定される際、かかるデータが利用できないことにもなり兼ねない。
【0007】
医療チームが患者に関する不可欠なデータに時宜を得て全面的にアクセスできない場合、患者への看護と治療の質および有効性が妥協されることもある。したがって、院内の患者から、かつ患者について得られる全データが、医療チームの様々な構成員により、それら構成員により果たされる職務に応じて、即座にアクセス可能であれば有益なはずである。それら構成員が特定のデータを選択し、はるかに有効なデータ利用となるよう、かかるデータを所望に応じてフォーマットできれば、さらなる有益性があるはずである。
【0008】
さらに、多くの病院が、サービスについて患者に料金を課す方法を変更している。以前であれば、患者は通常、入院日数に基づいて料金を課された。保健医療の管理と実務(health care management and practice)における近年の変更に伴い、患者は現在、受けた実際の治療に基づいて料金を課されることの方が多い。患者の治療におけるより高い効率が重視される。病院は、強化された監視、観察、および治療に対する患者の反応の記録により、患者への治療の効果を綿密に精査する。患者に関して記録されねばならないデータ量の増大が、既存の手書きで記入する紙の表というシステムを医療チームにとって極度に煩わしく時間を要するものとしている。同時に既述の理由から、正確さが、患者にとっても保健医療施設にとっても望ましい。
【0009】
保健医療施設はまた、絶えず効率的であり続けねばならないと同時に患者看護を向上させねばならない競争的な環境に直面している。保健医療の遂行者は、治療の種類や利用可能なサービスにおける増してゆく複雑さに直面し、なおかつ、そのような複雑な治療およびサービスを効率的に提供しなければならない。このためには、各患者ごとに完全で詳細な医療記録を保持しつつ複雑な治療を提供する施設の能力に重きが置かれる。薬剤の投与および患者の治療に要する供給品の使用についての重荷になるような記録システムは、精度の低下をもたらし、したがって、今日のより複雑な治療を考えれば、望ましくないであろう。
【0010】
したがって、当業者は、薬剤の全患者の流入の監視(total patient input of medications)がいつでも監視され得、かつ即座に検討できるように表示され得る、改善されたシステムおよび方法の必要性を認識している。当業者はまた、全患者の薬剤データ(total patient medication data)を、データを検討する個々の保健医療職員の必要に応じた選択可能な様々なやり方でフォーマットする機能の必要性を認識している。かかるシステムおよび方法は、保健医療施設がより高い質の患者看護を提供するのを支援するはずである。患者に関するより正確な薬剤データが利用され得るようになり、それにより、より効果的な現在および将来の治療計画を選択する能力を高めるはずである。本発明は、以上およびその他の必要性を満たすものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
簡単に概括的な言葉で述べると、本発明は、患者が保健医療施設にいる間、患者への薬剤の全投与を監視するための監視システムを対象とする。このシステムは、患者ベースのものであり、単一の輸液ポンプまたは単一の輸液ポンプ群に限られるものではない。このシステムは、流体の注入、流体および錠剤の経口投与、ならびに薬剤のその他の投与を含めた、薬剤の投与に関する患者のデータを集め、オペレータが様々な方法で表示されるようにそのデータをフォーマットできるようにする。事前に選択的なプログラムをされたデータ・フォーマットを利用することもできるし、オペレータが、看護師または監視システムのオペレータの所望に応じて他の方法でデータをフォーマットすることもできる。
【0012】
本発明のいくつかの態様によれば、患者が保健医療施設にいる間、患者への薬剤投与を監視するためのシステムが提供され、この監視システムは、患者に関する識別データおよび患者に関する薬剤投与データが格納されるメモリと、患者に関する識別データおよび薬剤投与データが表示される表示装置と、患者に関する患者識別データおよび薬剤投与データを保健医療施設内の複数のソースから受け取り、その識別データおよび薬剤投与データをメモリに格納するプロセッサとを含み、プロセッサはまた、患者の識別データおよび薬剤投与データを、それらへの要求に応じてメモリから検索し、その検索されたデータをフォーマット要求に従ってフォーマットし、その検索されフォーマットされたデータを表示装置上に表示する。
【0013】
より詳細な態様によれば、このシステムは、その内部にメモリ、表示装置、およびプロセッサが置かれ、その内部でプロセッサが当該の輸液ポンプから薬剤投与データを受け取る輸液ポンプをさらに含む。また、プロセッサは、輸液ポンプを対象とする輸液プログラミング・コマンドを所定の限界を収めた薬品ライブラリと比較し、受け取った輸液プログラミング・コマンドが限界を逸脱している場合には警告を与える。
【0014】
他のより詳細な態様では、このシステムは輸液ポンプに接続された制御装置をさらに含み、メモリ、表示装置、およびプロセッサがその制御装置内に置かれる。プロセッサは、輸液ポンプから薬剤投与データを受け取る。プロセッサはまた、輸液ポンプを対象とする輸液プログラミング・コマンドを所定の限界を収めた薬品ライブラリと比較し、受け取った輸液プログラミング・コマンドが限界を逸脱している場合には警告を与える。
【0015】
他の詳細な態様では、メモリが患者に関する生命徴候データも格納し、表示装置が患者に関する生命徴候データも表示し、プロセッサが、患者が保健医療施設にいる間、患者の生命徴候データも受け取り、その識別データおよび薬剤投与データをメモリ内に格納し、プロセッサはまた、生命徴候データを、それへの要求に応じてメモリから検索し、その検索されたデータをフォーマット要求に従ってフォーマットし、その検索されフォーマットされたデータを表示装置上に表示する。プロセッサの受け取る薬剤投与データは、進行中の輸液についての輸液投与データを含み、プロセッサは、その進行中の輸液についての投与データをメモリに格納し、プロセッサはまた、進行中の輸液についての投与データを、それへの要求に応じてメモリから検索し、その検索されたデータをフォーマット要求に従ってフォーマットし、その検索されフォーマットされたデータを表示装置上に表示する。
【0016】
他の詳細な態様では、プロセッサは、ソースから無線接続を介して薬剤投与データを受け取る。プロセッサが薬剤投与データを受け取る元となる複数のデータ・ソースのうちの1つは、携帯データ・デバイスである。プロセッサは、携帯データ・デバイスから無線接続を介して薬剤投与データを受け取る。携帯データ・デバイスは、輸液ポンプから薬剤投与データを受け取り、その薬剤投与データをプロセッサに転送する。プロセッサはまた、患者識別データおよび薬剤投与データをメモリから検索し、その検索されたデータを携帯データ・デバイスに転送する。プロセッサが薬剤投与データを受け取る元となる複数のデータ・ソースのうちの1つは、サーバである。
【0017】
他の態様では、プロセッサは、検索された薬剤投与データを患者に投与された薬剤が時間ごとにまとめられて表示されるようにフォーマットする。プロセッサは、検索された薬剤投与データを患者に投与された薬剤が時間、交代勤務時間、日にちのうちの少なくとも1つで整理されて表示されるようにフォーマットする。他の態様では、プロセッサは、検索された薬剤投与データを患者に投与された薬剤が計量単位で整理されて表示されるようにフォーマットする。プロセッサは、検索された薬剤投与データを患者に投与された薬剤がミリグラム、マイクログラムのうちの少なくとも1つで整理されて表示されるようにフォーマットする。プロセッサは、検索されたデータを所定の選択可能なデータ・フォーマットに従ってフォーマットする。プロセッサは、検索されたデータをオペレータの作成による事前にプログラムされた以外のデータ・フォーマットに従ってフォーマットする。
【0018】
他の態様では、プロセッサは、将来の薬剤投与データを過去および現在の薬剤投与データと比較し、かかる将来の薬剤データを薬剤使用限度データベースと比較し、その比較により矛盾が指摘される場合には表示装置上に警告を表示する。
【0019】
本発明の方法態様によれば、患者が保健医療施設にいる間、その患者への薬剤投与を監視するための方法が提供され、この方法は、患者が保健医療施設にいる間、患者に関する患者識別データおよび薬剤投与データを保健医療施設内の複数のソースから受け取ること、患者に関する識別データおよび薬剤投与データを格納すること、格納された患者の識別データおよび薬剤投与データを、それらへの要求に応じて検索すること、その検索されたデータをフォーマット要求に従ってフォーマットすること、そのフォーマットされた患者についての識別データおよび薬剤投与データを表示することを含む。
【0020】
他のより詳細な態様では、患者への薬液の全投与または流入が監視され、他の態様では、患者による流体の全排出が監視され、正味流体合計が与えられる。
本発明の上記その他の利点は、以下のより詳細な説明を例示的な実施形態についての添付の図面と併せ読めば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の原理を取り入れた、ハードウェア要素の相互接続の詳細を示す、保健医療施設内の患者への全薬剤投与を監視するためのシステムのブロック図。
【図2】患者の名前をテキストで、その他の情報を光学式に読取り可能なバーコード形式で有する患者識別ブレスレットの1例を示す図。
【図3】薬品をテキスト形式で含み、薬品に関するその他の情報が光学式に読取り可能なバーコード形式で含まれる、薬品容器に貼られたラベルの図。
【図4】プログラミング・モジュールが、ボルメトリック輸液ポンプおよびシリンジ・ポンプなど様々な輸液モジュールを制御するモジュール式患者看護ユニットを示す図。
【図5】特定の保健医療施設での患者への全薬剤投与の表示用フォーマットの例を示す図。
【図6】特定の保健医療施設の患者への全薬剤投与の表示用フォーマットの例を示す図。
【図7】監視システムが、ブロック図の形で示されている薬剤投与データの遠隔データベースを監視することができる、薬剤投与を監視するための監視システムの他の実施形態を示す図。
【図8】データ転送を容易にするために携帯データ記憶ユニットが使用される、保健医療施設内の患者への薬剤投与を監視するためのシステムの他の実施形態を示す図。
【図9】同じ患者のデータを格納する移動携帯データ記憶ユニットの有効な動作、および保健医療施設全体でどのようにしてそのデータが異なる監視システムで利用可能となり得るかをより明確に示すために両システムを一緒に示す図。
【図10】図9の実施形態とは僅かに異なる実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
複数の図で使われている同じ番号が同じあるいは対応する要素を示す図面をより詳細に参照すると、図1には、患者12が保健医療施設にいる間、患者12への薬剤の投与を監視するための監視システム10が示されている。この監視システムは、監視システム10の様々な動作を処理するプロセッサ14を含む。適切なインターフェースを介して、プロセッサは様々な周辺装置と接続される。例えば、図1は、例えば、投与状況データ、治療に関する患者データ、医師、オペレータ、あるいは他のユーザの入力によるデータ、薬剤投与データ、およびその他監視システムを操作するのに必要なデータなどの薬剤投与に関連するデータを格納することができるデータ記憶ユニット16に動作可能な状態で接続されたプロセッサを示す。データ記憶ユニットは、当業者によく知られた、データを記憶するための如何なるタイプのメモリ・デバイスを含んでよい。さらに表示装置18も、プロセッサに動作可能な状態で接続される。患者の治療中に、医師は表示装置を利用して、監視システムの操作に関連する他のデータだけでなく、当該患者への薬剤投与に関する如何なるデータをも視覚的に観察する。表示装置は、当業者によく知られた数多くの形態をとってよい。例えば、LCDあるいはCRT表示装置が、その他の表示装置と同様に使用される。
【0023】
監視システム10はまた、医師が監視システムにアクセスするのを可能にする入力デバイス20を含む。かかる入力デバイス20は、キーパッド、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、あるいは医師が患者治療データまたは監視システムに指示を与えるための特定のコマンドを入力できるようにデータを入力する別の手段である。入力デバイスは、定置式で、プロセッサ、表示装置、あるいは他の装置の所に常にあってもよいし、移動式で、無線または有線でプロセッサ14と接続されてもよい。例としては、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ・コンピュータまたは他の移動式コンピュータ、定置式コンピュータ、多機能携帯電話、およびその他のデバイスを含む。プリンタ22も、やはり患者別全薬剤流入に関するハードコピーでの報告書を作成するために、監視システム10に含まれてよい。監視システム10はまた、所定の管理された方法で患者に薬剤を投与する手段として輸液ポンプ24、あるいは患者の看護または治療に要する他の医療器具または用具を含んでよい。例えば、1人の患者に複数の薬液を同時に注入する複数の輸液ポンプのような、複数の器具または用具が含まれてよい。
【0024】
次に図2を参照すると、保健医療施設に入る患者12には通常、患者が意識不明あるいはそれ以外で応答がない場合でもその患者が識別され得るように、患者12に取り付けられる、例えばリストバンド、ネックレス、アンクルバンド、あるいは同様のデバイス25のような識別デバイスが与えられる。識別デバイス25には、患者の名前、年齢、アレルギー、あるいは患者の状態に関する他の生命データ(vital data)など患者データを含む。場合によっては、識別デバイスが、患者についての薬剤投与データを含み、その結果、患者の薬剤投与記録(medication administration record、MAR)を提供していると見なすこともできる。図2の場合では、患者識別デバイスが、人間に読めるテキスト23の患者の名前を含むだけでなく、光学式に読取り可能なバーコード27の患者データを格納もしている。バーコードは患者について大容量のデータを提供できるが、更新が難しく、新たにアレルギーが判明、あるいは患者に追加の薬剤が投与されるなど、患者についての情報が変更になるときには、多くの場合、単純に新しいバーコードに取り替えるしかない。バーコードの取替えは厄介な仕事である。患者データの更新がはるかに容易であるRF識別(RFID)など、他の識別デバイスが使用されてもよい。とはいえ、患者の名前および例えば保健医療施設により割り当てられる識別番号などのその他の情報は、安全措置として、人間に読める形でかかる識別デバイスに印字されてよい。将来的には、より容易な更新が可能な他のタイプのデータ記憶デバイスが利用できるようになることが期待される。
【0025】
患者12が保健医療施設に行くと、患者は通常、医師により検査を受け評価され、治療または看護の方針が処方される。医師は、患者への特定の薬剤の投与を要求する指令を準備することにより治療方針を処方する。通常は、院内薬局に提出される用紙を埋めるか紙片に指令を書くことにより要求がなされる。指令は、薬局で受理されると、評価され処理される。次いで薬局は、医師の必要に応じて薬剤を準備し、図3に示すような容器26にそれを詰める。薬剤投与データ、例えば、患者の名前、薬剤名、および適切な薬剤投与パラメータ、例えば、投与量、投与期間などがラベル28に表示されてよく、次いでそのラベルが薬剤容器に貼られる。
【0026】
先の場合と同様に、図3ではバーコード29がいくつかのデータを供給するために使用される。この場合でも、薬剤の名前31が、安全措置として、バーコードと並んで、読めるようにテキストで印字されている。バーコードは、薬剤の名前、ならびに例えば、患者の名前および薬剤についての詳細などの他の情報を含む。バーコードはまた、例えば、薬剤の投与パラメータのような追加データも含んでよい。かかる投与パラメータは、例えば、持続注入の流量および注入されるべき量のようなポンプ操作パラメータを含み、一定期間異なる流量で輸液が投与されることになる場合には複数の流量を含む。
【0027】
一般に、薬剤は、看護師が適切な患者に定時に薬剤を投与する適切な看護ユニットに届けられる。図1〜図3を再度参照すると、患者12への薬剤の投与に先立って、患者が監視システム10に照らして識別される。監視システムは、表示装置18を介して看護師に、患者識別デバイス25に見出だされるようなデータ、あるいは患者の状態に関する他の重要なデータなどのいくつかの患者データを入力するように指示を出す。データが入力デバイス20を介して入力されると、プロセッサ14によって分析され、次いでデータ記憶ユニット16に格納される。データ記憶ユニットは、患者が保健医療施設で治療を受けている間、患者のデータを収納している。その結果、監視システムは、特定の患者12に対し監視システムにより実施された全ての静脈内注射プロファイルおよび薬剤投与を配置し表示することができる。これは正確な記録を保持する上で有用である。
【0028】
患者が識別されると、監視システム10は、薬剤の投与を認める前に確認工程を実施する。監視システムは、投与されるべき薬剤に関する薬剤投与データ、および薬剤容器26のラベル28に見出されるパラメータなどの適切な薬剤投与パラメータを入力するよう看護師に指示を出す。かかるデータは、看護師によって手動で入力されてもよいし、バーコードなどの機械可読データの場合には、使用されている1つまたは複数のデータ記憶デバイスに応じて、バーコード・リーダまたはRFIDリーダまたは質問器(interrogator)を用いてデータが読み取られてもよい。特定の薬剤では、現在の生命徴候のような選択された1つまたは複数の患者パラメータを記述するデータを入力するように看護師が指示される。例えば薬剤を投与する前に患者の血圧の値を測定し入力するように看護師が指示される。
【0029】
薬剤が、例えば輸液ポンプ24を使用して投与される場合、看護師はまず、監視システム10に輸液の適切な構成パラメータを入力する。かかるパラメータは、薬剤容器26に貼られたラベル28に見出すことができ、バーコード・リーダ(図示せず)で、例えばバーコードを走査することによって読み取ることができる。あるいは適切な構成パラメータが、既にデータ記憶ユニット16に格納されていてもよい。かかる場合には、看護師は、データ記憶ユニットに入力デバイス20を介してアクセスし、表示装置18上でそのパラメータを閲覧する。目視確認が済むと、看護師はそのパラメータをセットしてポンプを設定し、パラメータはデータ記憶ユニットからポンプに通信される。別の方法では、看護師がポンプの所でポンプのキーパッドまたは他の手段を使ってパラメータを手動で入力する。輸液ポンプが構成されると、看護師は、輸液ポンプの適切な制御ボタンを押すか、あるいは入力デバイスでコマンドを入力することによって、輸液を開始することができる。輸液が開始されると、ポンプがプロセッサ14に輸液の開始を示す信号を伝送する。次いでプロセッサは、この情報をデータ記憶ユニットに記録する。流量の変更、輸液の終了、およびその他の情報など、情報は継続的に記録される。
【0030】
監視システム10はまた、データ記憶ユニット16に格納されている、輸液ポンプ24の様々な運転パラメータの許容可能な値および/または薬剤の投与量の範囲を収めた薬品ライブラリ・データベースを含む。薬品ライブラリ・データベースには、プロセッサ14によりアクセスが可能となる。さらに、薬品ライブラリ・データベースは、投与されるべき特定の薬剤にリンクされた許容範囲内の運転パラメータの様々なデータ・セットを含んでもよい。例えば、NICU、CCU、一般外科などのデータ・セットである。この実施形態では、プロセッサが、特定の薬剤についての運転パラメータ値を薬剤データベースの許容値の範囲と比較する。運転パラメータの入力された値が許容値の範囲内であり、かつ/または薬剤の投与量が許容値の範囲内であれば、プロセッサはそのパラメータが輸液ポンプに入力されるのを許可し、輸液が開始される。そうでない場合には、オペレータに警告が与えられる。その場合、看護師は、正しいデータを入力して矛盾を訂正するよう指示される。矛盾は訂正不可能であるが、ただしその矛盾は些細であり薬剤投与の正確性および安全性に影響するものではないと看護師が判断した場合には、看護師は警告を無視することができる。しかし、矛盾が些細ではなく無視し得ない場合には、プロセッサが1つまたは複数の違反する運転パラメータのポンプへの入力を許可しないので、看護師がそのパラメータで患者に薬剤を与えることはできず、当該の薬剤療法について再評価が必要となる。
【0031】
錠剤などの経口投与式の薬剤、あるいは他の投与形式の薬剤の場合も、医師は同様に、同じく薬剤の識別、投与量など薬剤の詳細、およびシステムの求めるその他すべての情報をプロセッサ14または他の手段を介して監視システム10に指示する。それらの情報は、手動入力またはバーコードやRFIDなど走査工程によって、あるいは他の有線または無線データ転送工程によって入力される。監視システムはまた、それらの薬剤を薬品ライブラリに照らし検査して、投与されるべき薬剤における如何なる変則をも識別し、何らかの変則が発見された場合には警告を知らせる。
【0032】
プロセッサ14は、適正な薬剤が、適正な患者12に、適正な投与量で、適正な時間に与えられていることを、既知の患者データを既知の薬剤投与データと付き合わせて評価することによって確認する。さらに、薬剤を施薬する看護師の認証がプロセッサにより求められ、如何なる投薬であれその行われる前に、看護師によって入力デバイス20に入力される。これにより、権限を与えられた者が薬剤を投与しているという確認が可能になる。看護師の認証は、潜在的な将来の照会に備えてデータ記憶ユニット16に記録される。看護師データの入力もまた、上記のように実施されてよい。データは手動入力で入力されてもよいし、あるいはバーコード、RFIDデバイス、その他の付いた身分証に含まれているような機械可読看護師データの場合には、適切なリーダあるいは他の有線または無線データ転送工程によって読み取られる。
【0033】
ポンプ、プロセッサ、データ記憶ユニット、データ入力デバイス、および表示装置は、異なる形態をとってもよい。1実施形態では、Eggersの米国特許第5,713,856号明細書に示されるようなモジュール式制御装置が使用される。Eggersの米国特許第5,713,856号明細書は参照により本願明細書に組み込まれる。モジュール式制御装置または制御装置は、プロセッサ、メモリ、通信デバイス、およびその他の関連装置を含む。ここで図4を参照すると、かかる患者POC(point of care)システム40の1構成図が示されている。この患者看護ユニットでは、制御装置42が、チャネル「A」に指定されているボルメトリック輸液ポンプ・モジュール44、ならびにチャネル「B」および「C」に指定されている2つのシリンジ・ポンプ・モジュール46、およびチャネルDに指定されている別のボルメトリック輸液ポンプ・モジュールを制御するのに使用される。制御装置は、患者の全薬剤データを表示するのに適した表示装置50、ならびに入力デバイス、この場合はキーパッド52を含む。キーパッドは、「ハード」キー、すなわち専用の用途をもつキーと表示装置に平行な「ソフト」キーとを含む。ソフト・キーはプロセッサによってプログラムされ、そのプログラムされた機能は、表示装置により、キーに隣接する位置に示される。かかるキーのタイプおよびそのプログラミングは、当業者には周知であり、これ以上の情報をここで提供することはしない。図4では別々のデバイスとして示されているが、他の実施形態では、ポンプおよび制御装置が同一の筐体内に置かれることもある。また図4の場合では、制御装置がローカル・エリア・ネットワークまたは広域ネットワークと通信して患者および患者の薬剤投与に関するデータを別のデータ・ソースから受け取る。かかるネットワークあるいは1つまたは複数のサーバなど他のデバイスとの通信は、有線であっても無線であってもよい。
【0034】
上記図4の実施形態では、制御装置42が図1のプロセッサ14の要件を満たし、相互接続されたポンピング・モジュール44、46、および48が図1のポンプ24の要件を満たし、キーパッド52および54が、少なくとも部分的には、図1の入力デバイス20の要件を満たし、表示装置50が図1の表示装置18の要件を満たし、制御装置42の内部メモリ(図示せず)が、少なくとも部分的には、図1のデータ記憶ユニット16の要件を満たす。
【0035】
図1を再度参照すると、ポンプ24がこの実施形態の一部をなす監視システム10が、リアル・タイムで輸液処理を監視し、表示装置18上に警告を表示し、必要であれば看護師の診察を可能にする。プロセッサ14は、適切にプログラムされれば、監視システムを制御して、データ記憶ユニット16に、自動的に、輸液の開始時間を記録し、輸液期間を通じて定期的にポンプ24へ問合せを行い、輸液の継続的なログを保持し、かつ輸液の終了時間および輸液された量を記録する。他のデータ、例えば薬剤の名前、投与される薬剤の量、および輸液の進行と詳細に関するその他の重要なデータなども、データ記憶ユニットに記録されてよい。その結果、かかるデータを紙の表に手書きで記録する必要がなくなる。さらに、全データまたはデータの選択された一部が輸液期間を通じて表示装置18上に示されて、輸液の状況の視覚的な表示を実現することができる。
【0036】
本発明による他の態様では、プロセッサ14がまた、表示装置18上の表示用の入力デバイス20から受け取った命令に従って、患者12に関連する薬剤投与データを複数の選択可能なフォーマットでフォーマットするようにプログラムされる。本願明細書では、「フォーマット」はその最も広い意味で用いられており、したがって「フォーマット」は、格納または表示されることになる情報を配列する如何なる方法をも指す。1実施形態では、プログラムされたフォーマットが表示装置のオペレータにより選択される。例えば、投与された全薬剤を時間に基づいたフォーマットで表示するようにプロセッサがプログラムされる。かかる場合には、表示は、毎時間ごとの、毎交代勤務時間ごとの、あるいは毎日ごとの投与された全薬剤でフォーマットされる。かかるデータはまた、他のやり方での時間単位で、例えば医師の交代勤務時間ごとの輸液された量などによってフォーマットされてもよい。看護師あるいは他のオペレータが、システムを使用して過去の特定の時間枠中に投与された薬剤の量を表示することもできる。このデータは、別の薬剤が投与される所定の時間枠内に与えられてはならない特定の薬剤を監視するのに有用である。他の実施形態では、投与される全薬剤を計量単位で整理して表示するようにプロセッサがプログラムされる。1例では、表示が、マイクログラム、ミリグラム、あるいはグラムで整理され、あるいはフォーマットされてよい。データが、他のやり方で特定の薬剤で整理されるようにフォーマットされてよい。他の実施形態では、看護師などのオペレータがプログラムされた以外のデータ・フォーマットを入力デバイスで作成できるようにプロセッサがプログラムされる。この場合、患者の薬剤投与データは、オペレータによりプロセッサにプログラムされた如何なるフォーマットでも表示され得る。
【0037】
患者の全薬剤のフォーマットのタイプの1例として、次に図5を参照する。テキストによるその名前と番号による識別子60の両方で識別される患者に関するデータが示されている。この場合、日付を表示したオペレータは求める日付62に04/03/95を選んでいる。日付64のいくつかの時間のブロック(1000から1400)が示され、それらの時間に対してSCHEDULED MEDS 66のリストおよびSCHEDULED IVS 68のリストが示されている。この場合、最終行の単語(MORE)で示されるように、SCHEDULED IVSは他にも在り、下向き矢印70の形をした「ページ・ダウン」タイプのコマンドが選択されるとさらに情報を見ることができる。画面には、表示可能な異なる情報間を移動するための数多くのナビゲーション矢印が含まれる。ナビゲーション矢印を使用する方法は当業者にはよく知られており、その使用および実装についてこれ以上の情報をここで提供することはしない。
【0038】
図6は、同じ患者に関する薬剤情報のより詳細な表示を示す。先程と同様、患者はテキストおよび番号識別子60で表示の上端部に示されている。しかし、今度の場合、72で3日間、すなわち4/28、4/29、および4/30が見渡せるように示されている。「Total Cum Dose」74(全蓄積投与量)の列が示され、「Volume」78の列も同様に示されている。投与回数が矢印80で示され、輸液期間が横線82で結ばれた矢印で示されている。輸液の流量84も示されている。
【0039】
図7は、異なるやり方でフォーマットされた別の薬剤データの表示を示す。この表示では、患者が表示の上端部60で識別される。データの日付86およびデータの時間88は上左端に示されている。この事例では、「All activity」90が表示されるべきデータとして選択されている。Fluid totalsが92で示され、プラスあるいはマイナス記号を用いて患者の流体における増減をそれぞれ示している。SpOを含む生命徴候94が示されている。患者に流入する全流体96および尿排出量98が示されている。流体の入出の時間99が示されている。
【0040】
上記の特徴により、看護師は、保健医療施設にいる期間全体の患者の全薬剤投与に関するデータを如何なるフォーマットでも選択でき、そのデータを、過去、現在、または将来の薬剤投与を考慮して評価することができる。また図1を再度再考すると、本発明による監視システム10により、看護師が記憶や書き込まれた紙の表を頼りに薬剤投与を策定する必要がなくなる。さらに、監視システムは、患者へ効率的に看護を施す中で、患者の過去、現在、および将来の薬剤投与への複数の問合せを実施する能力を提供することにより看護師を支援する。
【0041】
監視システム10はまた、プリンタ22に接続されて、看護師または他のオペレータが患者12への全薬剤投与の記載された記録を作成するのを可能にする。患者の全薬剤投与に関するデータのフォーマットが多様であることにより、看護師は、患者への適切な薬剤の確保に使用する様々な表示または印刷された報告を作成することができる。監視システム10はまた、自動的に動作して、特定の看護師または保健医療施設の必要に応じて決定された所定の間隔で標準フォーマットの報告を表示かつ/または印刷するようにプログラムされ得る。例えば、患者の全薬剤投与データの所定の表示が、例えば輸液の終了時などの時点で表示かつ印刷される。
【0042】
患者12が保健医療施設にいる間、プロセッサ14が、関連する輸液ポンプ24から得られる患者12の全薬剤投与データを表示するようにプログラムされるのに連動して、本発明の他の態様によれば、プロセッサはまた、患者に関する薬剤投与データを保健医療施設内の別のメモリ・デバイスから検索するようにもプログラムされる。例えば、プロセッサが輸液ポンプの一部であるか、あるいは図4に示されるように、そのポンプと通信する場合、プロセッサは、関連する輸液ポンプからデータを受け取る。しかし、保健医療施設内で、患者に対し別の時間に別の輸液ポンプが使用されていることがある。目下のプロセッサ14および恐らく目下の看護スタッフが、患者12へのそれら別の薬剤投与に気付いていないことがありうる。薬局は、薬剤は処方されたが投与に輸液ポンプが使用されなかった場合には特に、患者へ投与される薬剤についてさらに詳しい情報をもっていることがある。どちらの例でも、その後の薬剤投与のために目下のポンプを起動する前に、そのポンプの表示装置で全薬剤投与を見ることは看護スタッフにとって有用なはずである。本発明のこの態様によれば、プロセッサ14は、この患者の薬剤投与の別のデータベースにローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、あるいはプロセッサ14の関連する他の通信ネットワークを介してアクセスすることができる。別のデバイスによって生成された別の薬剤投与データが入手され、データ記憶ユニット16内に置かれて、このプロセッサ14に関連する輸液ポンプ24の1人または複数のオペレータにより使用される。
【0043】
さらに詳細には、監視システム10は、特定の患者12に関するデータを得るのに、図8に示すように、遠隔データベース76にアクセスするように構成される。遠隔データベースは、保健医療施設内で生成される、患者12に提供される看護に関する、目下患者につながれているポンプ24以外の手段で収集されたデータの記憶ユニットとして働く複数のデータ・ソースの1つである。遠隔データベース76は、同じ患者12に投与される薬剤に関連するデータを格納することができる。遠隔データベース76はさらに、患者の状態に関する他のデータを格納することもできる。この遠隔データベース76は、別のポンプのメモリに常駐するデータ、薬局のデータベース、あるいは患者12に関するデータ用の他の記憶デバイスである。遠隔データベース76は、有線または無線の通信回線を介してプロセッサ14に連絡可能であるので、図7の番号10のブロック内に含まれる。したがって、遠隔データベース76は監視システム10の一部となる。したがって、ネットワークで結ばれたポンプおよび/またはプロセッサは患者12に関するデータを共用でき、したがって看護師あるいは他の専門家が、患者が保健医療施設にいる間、患者別全流入あるいは薬剤を評価できることがわかる。
【0044】
患者12に関する薬剤投与データの収集の工程は自動化される。例えば、患者にポンプ24がつなげられると直ぐに、そのポンプにやはり関連するプロセッサ14が、接続しているネットワーク上の他の全てのデバイスに薬剤投与データを要求する。次いで、この薬剤投与データは、そのプロセッサおよびポンプに関連するデータ記憶ユニット16に格納され、患者のそのポンプのオペレータによる使用が可能となる。
【0045】
したがって、プロセッサ14または医師により適切な治療を施すのに必要と思われれば、監視システム10は、それ自体のデータ記憶ユニット16内に見出されるデータ以外にも患者12の薬剤データにアクセスし、そのデータを医師の要求に応じてフォーマットし、遠隔データベースから検索されたデータを評価する。プロセッサ14による評価は、薬剤ライブラリ・タイプのデータベースおよび輸液パラメータが薬剤ライブラリ・タイプのデータベース内の許容範囲内の限界と比較されるプログラムに従って生じる。例えば、特定の薬剤の輸液の流量が、薬剤ライブラリ内のかかる許容範囲内の限界と比較され、プログラムされた輸液の流量が薬剤ライブラリ内の限界より高い場合、警告が与えられる。他の例としては、患者のアレルギーがデータベース内の情報と比較され、薬剤がかかるアレルギーをもつ患者には適当でない場合、医師が万一かかる薬剤を輸液しようとすると警告が与えられる。ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)ケーブル32、あるいは広域ネットワークなどの手段によって、監視システム10は、必要な全ての患者の薬剤履歴情報を遠隔データベース76から収集し、したがって医師が手入力でかかるデータを監視システム10に入力する必要をなくす。ポンプまたはプロセッサがつながれているネットワークは、有線であっても無線であってもよい。
【0046】
保健医療施設にネットワークがない場合、図9に示すように、監視システム10は、患者のいる場所まで持ち運び、患者の特定の薬剤投与データを収集、配布することのできる携帯データ記憶ユニット100を含む。携帯データ記憶ユニットは、携帯情報端末(PDA)、タブレット・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、あるいは適切なメモリ、処理能力、および通信機能を有するその他のデバイスの形態をとってよい。携帯データ記憶ユニットは、有線または無線接続を介してプロセッサ14と動作可能な状態で接続される。図9の実施形態は、無線接続を示している。データ記憶ユニット16とほぼ同様に、携帯データ記憶ユニット100も、ユーザにより入力された患者データ、薬剤投与データ、およびその他のデータを含む様々な情報を収集し、それをローカル・メモリ102に格納する。監視システムが薬剤投与を監視するとき、携帯データ記憶ユニットは、実施される全ての薬剤投与に関する全情報をそのメモリに記録し、メモリは固定ディスク、CD、DVD、フロッピ・ディスク、不揮発性フラッシュ・メモリ、あるいは他の適切な記憶媒体など携帯読取り/書込み可能媒体である。記憶媒体102は、携帯データ記憶ユニットから取り出し、別の類似デバイスで動作する。記録、伝送されたデータは、各患者の薬剤投与に関する全データを含む。
【0047】
携帯データ記憶ユニット100は、データを受け取り格納することができるだけでなく、その時点で監視システムのプロセッサが提供している患者に関するデータを求める監視システムからの要求にも応答する。携帯データ記憶ユニット100は、要求する監視システムにそのデータを伝送する。したがって、携帯データ記憶ユニットは、物理的に求めるプロセッサの近くにある場合、利用可能なネットワークとして効率よく働く。
【0048】
このことは、図9にブロック図の形で示されており、そこでは携帯データ記憶ユニット100が、2つの監視システム10および110の構成要素となっており、両方のシステムと無線で接続されている。図に示された実施形態では、第1の監視システム10のプロセッサ14が携帯データ記憶ユニット80と無線で接続されており、第2の監視システム110のプロセッサ112も同様である。第1の監視システムの輸液ポンプ24は患者12につながれ、第2の監視システム110の輸液ポンプ114も同じ患者12につながれることに留意されたい。両監視システムは、携帯データ記憶ユニット100に重なるように示されている。この図では一緒にされ、明らかに同じ患者12に同時に流体を注入しているように示されているが、実際には、携帯データ記憶ユニット100につなぐのは時間的に別々であってもよい。図9では、同じ患者のデータを格納する移動携帯データ記憶ユニットの有効な動作、および保健医療施設全体でどのようにしてそのデータが異なる監視システムで利用可能となり得るかをより明確に示すために両システムが一緒に示されている。
【0049】
次に図10を参照すると、僅かに異なる実施形態が示されており、ここでは不揮発性メモリ・デバイス120が、患者看護ユニットまたは監視ユニット間で運搬される。この図では、同じ患者12が、第1の監視システム10を用いた治療を受けているものとして示されており、第1のシステム10から切り離されると、続いて第2の監視システム122につなげられる。この実施形態では、読取り/書込み可能媒体120が、第1のシステム10の携帯データ記憶ユニット124から取り出され第2のシステムの携帯データ記憶ユニット126にマウントされると、第2の監視システム122は、第1のシステムの読取り/書込み可能な媒体120を読み取ることにより、第1の監視システム10により患者に施された薬剤投与について習得する。したがって、第2の監視システムの責任を負う医師が、第1のシステムの投与プロフィルを詳述した書き込まれた表を分析する必要はない。さらに、医師は、第2の監視システムが当該の患者12への全薬剤投与を包括的に表示できるようにするために第1の監視システム10の情報を第2の監視システム122に入力する必要もない。したがって、情報の転送が、より容易、より正確、かつより確実になされる。以上は、保健医療施設全体に複数の輸液ポンプが存在するような状況で生じる。
【0050】
他の実施形態では、第1の監視システム10および第2の監視システム122が、有線または無線直接接続を介して、あるいはサーバなどの中間データ転送装置、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、イーサネットなどを介して相互に接続されて、あるシステムから別のシステムまでデータを転送することが可能となる。
【0051】
以上、本発明が好適な構造という観点から説明されてきたが、本発明を逸脱することなく明白な修正がなされ得ることは当業者には明らかであろう。かかる修正の全ては、添付の特許請求の範囲によって定義、保護される本発明の技術思想および範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が保健医療施設にいる間、該患者への薬剤投与を監視するためのシステムであって、
患者に関する識別データ、該患者に関する薬剤投与データ、進行中の輸液についてのデータ、および該患者に関する生命徴候データが格納されるメモリと、
該患者に関する識別データ、薬剤投与データ、および生命徴候データが表示される表示装置と、
該患者が保健医療施設にいる間、進行中の輸液についての輸液投与データを含む、該患者に関する患者識別データ、薬剤投与データ、および患者生命徴候データを該保健医療施設内の複数のソースから受け取り、該識別データおよび薬剤投与データを該メモリに格納するプロセッサとを備え、
該プロセッサが、該患者識別データ、該薬剤投与データ、該進行中の輸液についての投与データ、および該生命徴候データを、それらへの要求に応じて該メモリから検索し、該検索されたデータをフォーマット要求に従ってフォーマットし、該検索されフォーマットされたデータを該表示装置上に表示する、システム。
【請求項2】
前記プロセッサが薬剤投与データを受け取る元となる複数のデータ・ソースのうちの1つが、携帯データ・デバイスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記携帯データ・デバイスから無線接続を介して薬剤投与データを受け取る、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記携帯データ・デバイスが、輸液ポンプから薬剤投与データを受け取り、該薬剤投与データを前記プロセッサに転送する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサがまた、患者識別データおよび薬剤投与データを前記メモリから検索し、該検索されたデータを前記携帯データ・デバイスに転送する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサが薬剤投与データを受け取る元となる複数のデータ・ソースのうちの1つが、サーバである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、検索された薬剤投与データを前記患者に投与された薬剤が時間ごとに表示されるようにフォーマットする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサが、検索された薬剤投与データを前記患者に投与された薬剤が計量単位で整理されて表示されるようにフォーマットする、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−189162(P2011−189162A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120515(P2011−120515)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【分割の表示】特願2007−543491(P2007−543491)の分割
【原出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(505403186)ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド (69)
【Fターム(参考)】