説明

全有機炭素(TOC)流体センサー

全有機炭素(TOC)流体センサーが、本発明の実施形態により提供される。TOC流体センサー(100)は、第1酸化セル(101A)、第2酸化セル(101B)、第1酸化セル(101A)と第2酸化セル(101B)との間で二酸化炭素が平衡状態に達するよう構成されたガス透過膜(106)、第1導電率センサー(136A)及び第2導電率センサー(136B)を具える。TOC流体センサー(100)は、第1酸化セル(101A)の流体の一部を酸化させて二酸化炭素を生成し、第1酸化セル(101A)と第2酸化セル(101B)の間で二酸化炭素を平衡させ、第2セルの導電率情報を取得し、第1セルの酸化が実質的に完了したときに第2セルの導電率情報から供試流体のTOC量を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素センサーに関するものであって、特には、水中の炭素センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水の実用性は、しばしばその水の清浄度に左右される。洗浄に適する水が、飲用には適さない可能性がある。飲用に適する水が、経口薬や注射用の薬の製造に適さない可能性もある。それ故、清浄度の基準は、各々の用途に応じて規定される。
【0003】
炭素は全ての動植物に共通して存在する元素であるため、全有機炭素の測定は水の清浄度を評価するにあたり重要な測定であり、炭素レベルがμgC/l未満のものから数千mgC/lまでの範囲で使用される。炭素の含有量は、低レベルの超純水(UPW)から工業排水(IWW)レベルまで様々である。
【0004】
UPWは、生命科学産業での製品の処理、製剤及び製造において、原料物質、原材料及び溶媒として使用される。この産業において、水質規則は義務である。ヨーロッパ、日本、アメリカ合衆国及び中国は、特定の品質特性に関する指示付きで薬品をリストアップした公式文書を発行している。これらの刊行物は、薬局方として知られている。薬局方の基準は、水の等級を規定すると共に、特定の品質パラメータ及び試験手順を定めている。TOC及び導電率は、薬局方の要請に属するパラメータのうちの二つである。生命科学産業は、薬品及び他の製品の製造に使用する容器の洗浄手順を検証するための代理方法としてTOCを用いることに関心を寄せている。この用途で用いられる試料マトリクスは、使用現場の試料マトリクスよりも複雑であり高い導電率を有する。
【0005】
UPWは、繰り返しの作業で使用する水に不純物が含まれてはならない半導体ウエハーの製造産業において特に重要である。従って、不要な格子間分子構造物が半導体格子内に生成されて半導体製品の歩留まりを低下させることを避けるべく、UPWが使用される。水が実際にこれらの作業に使用するのに十分な清浄度を有することを保証するため、従来からUPWのTOC測定が使用されてきた。しかしながら、従来のTOC分析器では炭素のみしか測定できず、一方、半導体企業は近年、通常の測定ではTOC測定での干渉物と分類される他の種を測定することを望むようになった。
【0006】
それ故、炭素の含有量を測定する際、供試流体中の干渉物質を検出する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
発明の一態様において、全有機炭素(TOC)流体センサー(100)は、
供試流体を受け入れる第1酸化セル及び第2酸化セルと、
該第1酸化セルと該第2酸化セルとの間で二酸化炭素が平衡になるよう構成されたガス透過膜と、
該第1酸化セルの導電率を測定するよう構成された第1導電率センサーと、
該第2酸化セルの導電率を測定するよう構成された第2導電率センサーと、を具え、
該TOCセンサーは、流体の一部を酸化して二酸化炭素ガスを生成し、該第1酸化セルと該第2酸化セルとの間で二酸化炭素ガスを平衡させ、該第2セルの導電率情報を取得し、該第1セルの酸化が実質的に完了した時、該第2セルの導電率情報から該供試流体のTOC量を決定するよう構成される。
【0008】
好ましくは、平衡後の前記第2酸化セルが、前記第1酸化セルに存在し得る干渉物質を実質的に有さない。
【0009】
好ましくは、前記TOC量の決定工程が、前記第1セルの酸化が実質的に完了した時に前記第1セルの導電率情報及び前記第2セルの導電率情報からTOC量を決定することを更に含む。
【0010】
好ましくは、前記第1セルの導電率情報が実質的に変化しなくなった時、前記第1セルの酸化が実質的に完了する。
【0011】
好ましくは、前記第1セルの導電率情報及び前記第2セルの導電率情報が両方とも実質的に変化しなくなった時、前記第1セルの酸化が実質的に完了する。
【0012】
好ましくは、前記第1酸化セル、及び干渉物質が存在しない前記第2酸化セルの両方で酸化を行うことができる。
【0013】
好ましくは、前記TOC流体センサーは、前記第1セルの導電率の増加が前記第2セルの導電率の増加よりも大きい場合に供試流体中の干渉物質を検出するよう更に構成される。
【0014】
好ましくは、前記TOC流体センサーが、前記第1セルの導電率情報及び前記第2セル導電率情報を用いて供試流体中の干渉物質を定量化するよう更に構成され、該定量化が、前記第1酸化セルの導電率及び前記第2酸化セルの導電率のレシオメトリック分析を用いた炭素原子の量と非炭素原子の量の判定を特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記TOC流体センサーが、実質的に二酸化炭素を含まないキャリアガスを前記第1酸化セルに導入し、該キャリアガスによって二酸化炭素を実質的に除去し、前記第1セルの導電率情報を用いて該供試流体中の干渉物質を定量化するよう、更に構成される。
【0016】
好ましくは、前記第1酸化セル内の流体を再循環させるポンプを、更に具える。
【0017】
発明の一態様において、全有機炭素(TOC)流体測定方法は、
第1酸化セル内の供試流体の一部を酸化させて二酸化炭素を生成することと、
該第1酸化セルと第2酸化セルとの間で二酸化炭素を平衡させることと、
該第1セルの導電率情報及び該第2セルの導電率情報を取得することと、
該第1酸化セルの酸化が実質的に完了する時、該第2セルの導電率情報から該供試流体のTOC量を決定することと、を具える。
【0018】
好ましくは、前記TOC量の決定工程が、前記第1セルの酸化が実質的に完了した時に前記第1セルの導電率情報及び前記第2セルの導電率情報からTOC量を決定することを更に含む。
【0019】
好ましくは、前記第1セルの導電率情報が実質的に変化しなくなった時に前記第1セルの酸化が実質的に完了する。
【0020】
好ましくは、前記第1セルの導電率情報及び前記第2セルの導電率情報が両方とも実質的に変化しなくなった時、前記第1セルの酸化が実質的に完了する。
【0021】
好ましくは、前記第1酸化セル、及び干渉物質が存在しない前記第2酸化セルの両方で酸化を行うことができる。
【0022】
好ましくは、前記TOC流体測定方法が、前記第1セルの導電率の増加が前記第2セルの導電率の増加よりも大きい場合に該供試流体中の干渉物質を検出することを更に含む。
【0023】
好ましくは、前記TOC流体測定方法が、前記第1セルの導電率情報及び前記第2セル導電率情報を用いて該供試流体中の干渉物質を定量化することを更に含み、該定量化が、前記第1酸化セルの導電率及び前記第2酸化セルの導電率のレシオメトリック分析を用いた炭素原子の量と非炭素原子の量の判定を特徴とする。
【0024】
好ましくは、前記TOC流体測定方法が、実質的に二酸化炭素を含まないキャリアガスを前記第1酸化セルに導入し、該キャリアガスによって二酸化炭素を実質的に除去し、前記第1セルの導電率情報を用いて該供試流体中の干渉物質を定量化することを更に含む。
【0025】
好ましくは、前記TOC流体測定方法が、酸化工程の少なくとも一部において前記第1酸化セル内の流体を再循環させることを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
同じ参照番号は、全ての図で同じ要素を表している。
【図1】本発明の一実施形態による全有機炭素(TOC)流体センサーを示す。
【図2】本発明によるTOC流体測定法のフローチャートである。
【図3】本発明の別の実施形態によるTOC流体センサーを示す。
【図4】本発明の別の実施形態によるTOC流体センサーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜3及び次の説明は、本発明の最良の形態をいかに構成し使用するかを当業者に教示すための特定の例を表す。発明の原理を示す目的で、従来の態様のいくつかは、簡略化又は省略されている。当業者であれば、本発明の範囲内で下記の例を変更可能なことを理解するであろう。当業者であれば、以下で述べる特徴を様々な方法で組み合わせることで本発明の多数の変更を形成できることを理解するであろう。結果として、本発明は、以下で述べる特定の例によって限定されず、添付の請求項と該請求項に均等なものによってのみ限定される。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による全有機炭素(TOC)流体センサー100を示す。TOC流体センサー100は、供試流体中の炭素を定量化する。供試流体は、水でも、水を含有する流体でも、あるいは他の流体でもよい。TOC流体センサー100は、供試流体中の炭素を酸化して二酸化炭素ガスを生成するように動作し、次いで生成した二酸化炭素ガスを定量化する。
【0029】
TOC流体センサー100は、試薬を必要としない。TOC流体センサー100は、酸化のための試薬を全く必要としない。TOC流体センサー100は、TOC量の計測のための試薬も全く必要としない。TOC流体センサー100は、干渉物質の検出又はその定量化のため試薬も全く必要としない。
【0030】
最も基本的な段階では、TOC流体センサー100は、供試流体の第1流体部及び第2流体部に対して動作する。本発明によるTOC流体センサー100は、通常、供試流体の第1流体部を酸化し第2流体部は酸化しないよう動作する。酸化工程により、炭素は二酸化炭素ガスに変化する。生成した二酸化炭素ガスは、2つの流体部の間で平衡となり、そのうちの第1流体部は、酸化された流体部と生成した二酸化炭素ガスの一部とを有する。第2流体部は、平衡後、酸化されていない流体部と生成した二酸化炭素ガスの一部とを有する。その違いは、第2流体部での変化が、生成した二酸化炭素ガスの第1流体部から第2流体部への移動(すなわち平衡)によってのみ生じた点にある。結果として、第2流体部での変化は、全て二酸化炭素の平衡によって生じる。この第2流体部での変化を、供試流体の炭素含有量を計測すべく定量化する。しかしこの定量化においては、TOCレベルを得る上で、生成した二酸化炭素ガスの分配量を補正する必要がある。
【0031】
有利な点として、TOC流体センサー100によれば正確なTOCレベルがもたらされる。TOC流体センサー100によれば、供試流体中の干渉物質の存在に影響されないTOCレベルがもたらされる。TOC流体センサー100によれば、干渉物質も全く含まないTOCレベルがもたらされる。結果として、TOC流体センサー100により、従来よりもはるかに正確なTOCの定量値がもたらされる。また、TOC流体センサー100により、供試流体中に存在する炭素のみを反映したTOCの定量値がもたらされる。
【0032】
もう一つの有利な点として、TOC流体センサー100は、TOCレベルを得ることに加え、供試流体中の干渉物質を検出できる。いくつかのケース、例えば供試流体の組成の変更が既知の場合(処理済み飲用水中に時として添加残滓が存在する場合等)において、TOC流体センサー100は、該供試流体中に存在する干渉物質の種類及び/又は量さえ測定できる。結果として、そうした予測された変更を検出でき、また応用例によっては実質的にリアルタイムでそうした変更や変化を検出できる。
【0033】
TOC流体センサー100は、少なくとも第1セル101A及び第2セル101Bを有する。各々のセル101A、101Bは、反応チャンバの一部または反応チャンバの完全な一式を有する。各々のセル101A、101Bは、供試流体の一部を受け入れるためのチャンバ103A、103Bを有する。チャンバ103A、103Bの寸法及び/又は形状は同一でも、異なっていてもよい。2つのセル101A、101Bは、供試の流体を受け入れることができ、これらのセルでの測定により該流体中の全有機炭素(TOC)の定量化が実現する。
【0034】
本実施形態において示されたセル101A、101Bは、それぞれ流入口111A、11B及び流出口112A、112Bを有する。しかし、セル101A、101Bは流入口及び/又は流出口を共用できることを理解されたい。あるいは、各々のセルが流体の流入と流出のために使用される単一のポートを有してもよく、この単一のポートを二つのセルで共有してもよい。
【0035】
第1セル101A及び第2セル101Bは、2つのチャンバ103A、103Bを分離するガス透過膜106を共有する。膜106は、いくつかの実施形態においてはガス透過膜106から成り、膜106を介してガスが通過可能である。例えば、酸化が第1セル101Aで行われる場合、発生した二酸化炭素ガスを2つのセル101A、101Bの間で均一とすることができる。結果として、酸化が第1酸化セル101Aで行われる時、生成する二酸化炭素の少なくとも一部が、ガス透過膜106を介して第2酸化セル101Bへ移動する。第1酸化セル101Aで生成した二酸化炭素が例えば第2酸化セル101Bへ2つのセルのガス圧力が等しくなるまで移動することによって、第1酸化セル101Aで生成した二酸化炭素が2つのセルの間で平衡になることを理解されたい。たとえ酸化が第1酸化セル101Aでのみ行われたとしても、ガスの移動/平衡は生じる。完全な平衡状態となったとき、2つのチャンバ103A、103Bは、実質的に等しいガス圧力となる。
【0036】
(酸化セル101A、101Bがおおよそ同じ寸法であると仮定した場合)生成する二酸化炭素ガスの約半分が第2セル101Bへ移動する。ここで全炭素量は、第2セル101B(第1セルと第2セルのサイズは等しい)に存在する二酸化炭素に起因する炭素(測定)量の二倍であるから、第2酸化セル101Bの二酸化炭素の定量化により全炭素の定量化が可能となる。2つのセルで大きさが異なる場合、第1セル101A内の二酸化炭素量は、例えば、第2セルの導電率の測定値に寸法又は体積の相対比を乗じることにより求めてよい。
【0037】
酸化セル101A、101Bは、酸化材120A、120Bを有してもよい。酸化材は両方のセルで必要なわけではないが、例えばセルを柔軟に使いこなす、セルの洗浄性等の理由で両方のセルが有してもよいことを理解されたい。
【0038】
酸化材120A、120Bは、どのような態様の酸化材から成っていてもよい。一実施形態において、酸化材120A、120Bは二酸化チタン(TiO2)のフィルム、フィルムの一部、沈着物又は挿入物などを含み、その酸化材に、供試流体が存在する状態で紫外光(UV)を放射する必要がある。しかしながら、本発明は他の酸化材120A、120B又は酸化システムの使用も意図しており、これらについても本件明細書の記載及び請求の範囲に含まれる。
【0039】
酸化セル101A、101Bは、光源130A、130Bを有してもよい。光源130A、130Bによって発生する光を、供試流体中の炭素を酸化させるべく酸化材120A、120Bに向けてよい。いくつかの実施形態において、光源130A、130Bは、酸化セル101A、101Bの内部に組み込まれてもよい。あるいは、光源130A、130Bをチャンバ103A、103Bの外部に置き、酸化セル101A、101Bの中へ光を向けてもよい。光源は両方のセルで必要なわけではないが、例えばセルを柔軟に使いこなす、セルの洗浄性等の理由で両方のセルが有してもよいことを理解されたい。
【0040】
いくつかの実施形態では、光源130A、130Bにより、紫外(UV)光を発することができる。しかしながら、波長の適合する光(又は電磁放射線)を発し、それを使用してもよい。光源130A、130Bには、白熱灯、半導体、レーザー、蛍光灯、又は酸化材120A、120Bに光を当てるのに適した他の光源が含まれてもよい。光源130A、130Bは、点光源、線光源、円柱状の光源又は他の形状の光源から成ってよい。光源130A、130Bは、光導体、光ファイバー、又は酸化材120A、120Bに光を当てるために使用される任意の光伝送要素を有してよい。さらに、光源130A、130Bは、ディフューザー、レンズ、シャッター、フィルター、格子部、マスク、若しくは、光を向け及び/又は制御し、必要なときに酸化材120A、120Bに光を当てるのに有用である他の光学的構成要素を有してよい。
【0041】
酸化セル101A、101Bは、一つ以上の導電率センサー136A、136Bを有してもよい。図1に示されている実施形態では、定量化を行う装置が、第1セル101A及び第2セル101Bの導電率をそれぞれ独立して測定する、2つの導電率測定デバイス136A、136Bを有する。各々の導電率センサーは電極を有し、その電極がチャンバ103A、103B内に延びて、そこで流体と接触する(図3の電極対137A、138A及び電極対137B、138B参照)。また、いくつかの実施形態では、酸化材(例えば、チタン酸化物、TiO2など)を導電率測定デバイス136A、136B用の電極としても使用できる。
【0042】
流体の導電率の増加は、その流体中の二酸化炭素の増加を示すことが知られている。結果として、流体の導電率の変化を、その流体中の二酸化炭素(従って炭素)の定量化のために用いることができる。
【0043】
第1酸化セル101Aが流体、生成した二酸化炭素ガス及び干渉物質を有し、一方で第2酸化セル101Bが流体及び生成した二酸化炭素のみを有し干渉物質を有しない場合、導電率の差異が生じる。それ故、第1酸化セル101Aで測定した導電率情報と第2酸化セル101Bで測定した導電率情報を比較することにより、干渉物質を検出することができる。
【0044】
導電率の増加(又は変化)は、流体中の他の導電物質によっても示されることが知られている。これらの他の導電物質は、供試流体の導電率に影響するため、干渉物質とみなすことができる。干渉物質は、流体の導電率特性に影響するため、炭素の定量化に影響を及ぼす。結果として、干渉物質が存在する場合、導電率情報を利用する炭素の定量化は不正確あるいは場合によっては無効な結果をもたらす可能性がある。
【0045】
干渉物質は、イオン化合物を含むことがある。干渉物質は、少なくとも部分的に酸化工程によって生成した干渉生成物を含むことがある。そうした酸化工程の副産物によって、導電率の測定値が誤ったものとなる可能性がある。なお干渉物質は、例えば尿素や他の汚染物質のような、供試流体中に元からある物質を含むこともある。
【0046】
第1酸化セル101Aの導電率が実質的に第2酸化セル101Bの導電率と等しい場合、(2つのセルが同じで、それ故、生成した二酸化炭素が両方のセルで等しいと仮定すれば)第1酸化セル101Aには干渉物質が存在しない。逆に、第1酸化セル101Aの導電率が第2酸化セル101Bの導電率と実質的に相違する場合、(やはり2つのセルが同じで、それ故、生成した二酸化炭素が両方のセルで等しいと仮定すれば)第1酸化セル101Aには干渉物質が存在する。
【0047】
TOC流体センサー100は、供試流体中の干渉物質を検出することができる。その検出は、一種類以上の干渉物資を検出することを含む。結果として、TOC流体センサー100は、供試流体中の干渉物質の検出に関連して、通知又は警告を発したり、干渉物質の存在又は非存在を記録したり、その他の所望の行動を取ることが可能である。
【0048】
TOCの定量値は、供試流体に対する炭素の質量つまり炭素の密度(すなわち流体の体積当たりの炭素の質量)から成ってよい。TOCの定量値は、供試流体の体積当たりの炭素の体積から成ってもよい。TOCの定量値は、流体の分子数に対する炭素の分子数から成ってもよい。上述の諸例は、単に説明のために挙げた例であることを理解されたい。本発明は、二酸化炭素を生成した流体に対する該生成二酸化炭素の定量化が可能な他の工程や他の定量化様式も意図しており、これらは本件明細書の記載及び添付の請求の範囲に含まれる。
【0049】
供試流体は、例えば水など、どんな種類の流体でもよい。あるいは、供試流体は、一部に水を含む流体でもよい。しかし、供試流体は水又は水を任意の比率で含む流体に限定されず、TOC流体センサー100を他の流体に対して使用してもよい。
【0050】
TOC流体センサーでは、2つの酸化セルが膜を介して連結されている。分析の間、流体部の酸化は2つのセルのうちの1つのみで行われる。酸化が行われたセルの供試流体中に元々存在する干渉物質および酸化の間に生成する干渉物質は、その酸化セル内に保持される。供試流体中の干渉物質は、膜を通ることができない。対照的に、酸化により生成した二酸化炭素は、膜106を介して2つの酸化セルの間で平衡状態となる。結果として、二酸化炭素は2つの酸化セルの間で均一に分布するようになり、一方、いかなる干渉物質も元々の酸化セル内に完全に残ることになる。それ故、非酸化セルを使用してTOCレベルを測定することができ、その結果として達成されるTOCの定量化は、干渉物質の定量化を一切含まない定量化である。しかし、生成した二酸化炭素は平衡により両方のセルに存在するため、非酸化セルのTOCレベルは二酸化炭素の全量でない。この平衡化工程による影響は、平衡後の二酸化炭素の圧力が二つのセル間で実質的に等しいため実質的に補償できる。つまり、各々のセルにおける二酸化炭素量は、2つのセルの相対体積に応じて決定できる。第2酸化セル101Bの体積が第1酸化セル101Aの体積と同じである場合、第1酸化セルで後から定量化される二酸化炭素は、酸化の間に生成した二酸化炭素の全量の半分となる。
【0051】
また、2つの酸化セル間の差異を使用して、干渉物質を検出することができる。さらに、2つの酸化セル間の差異を使用して、流体中の干渉物質の量を定量することができる。
【0052】
動作時、TOC流体センサー100は、第1流体部を酸化させて二酸化炭素を生成し、第1酸化セル101Aと第2酸化セル101Bの間で二酸化炭素ガスを平衡とし、第2セルの導電率情報を取得し、第1セルの酸化が実質的に完了したときに第2セルの導電率情報から供試流体のTOC量を決定するよう作動できる。
【0053】
いくつかの実施形態では、TOC流体センサー100作動時に、実質的に二酸化炭素を含まないキャリアガスを第1酸化セル101Aに導入してよい。第1セルの酸化工程が実質的に完了し、生成した二酸化炭素が実質的に平衡状態に達した後に、上記のキャリアガスを導入することができる。このキャリアガスを使用して、酸化の間又は後に生成した二酸化炭素を実質的に除去することができる。その結果、二酸化炭素除去工程後に第1酸化セル101Aに残存する導電率は、もしそれがあるとすれば、全て干渉物質に起因する。
【0054】
TOCレベルの測定値を得た後、次に使用する前に第2酸化セル101Bの洗浄を行うべく第2酸化セル101Bに対して酸化工程を施してもよい。
【0055】
図2は、本発明によるTOC流体測定法のフローチャート200である。TOC流体測定法は試薬を必要としない。酸化のための試薬を全く必要としない。TOC定量化のための試薬を全く必要としない。干渉物質の検出又は定量化のための試薬を全く必要としない。ステップ201では、供試流体をTOC流体センサーの酸化セルに受け入れる。各セルは、構造及び寸法が実質的に類似していても、同一であってもよく、また異なっていてもよい。
【0056】
ステップ202では、第1酸化セルの第1流体部を酸化する。酸化は、2つの酸化セルのうちの1つのみで行われてよい。なお、どちらのセルに酸化工程を施してもよいことを理解されたい。酸化工程は、第1酸化セル内の酸化材に紫外(UV)光を少なくとも部分的に照射すること(すなわち光触媒による酸化)を含む。UV光は酸化材に作用し、酸化工程を開始すると共にこれを持続する。酸化の結果として、流体中の炭素はいずれも酸化され、実質的に二酸化炭素(CO2)ガスに変化する。二酸化炭素ガスは、各セル共通のガス透過膜を通り、2つの酸化セルの間で平衡状態に達する。結果として、同量の二酸化炭素が2つの酸化セルに存在することになる。しかしながら、ガス透過膜が存在するため、第1セルでの酸化により生成した(そうでなければ、第1セルの流体中に元々存在した)干渉物質は第2酸化セルへ全く移動しない。
【0057】
ステップ203では、両方の酸化セルの導電率情報を取得し記録する。一般に、各セルの導電率を酸化工程前、工程中、工程後にモニターし記録する。この作業は、セルの導電率レベルならびに該セルでの導電率の変化率を反映した導電率プロファイルの作成を含んでよい。
【0058】
第2セルの導電率の増加が、酸化工程及びそれによる二酸化炭素の平衡化の結果として生じる。それ故、第2セルの導電率の増加は、第2酸化セルでの二酸化炭素の平衡化の結果として生じる、流体の導電率の増加から成る。
【0059】
第1セルの導電率の増加は、第2セルの導電率の増加と少なくとも同じ程度の大きさとなる。しかし、干渉物質が酸化により生成する場合、第1セルの導電率の増加は第2セルの導電率の増加よりも大きいことを理解されたい。結果として、2つの導電率の測定値の合計は、供試流体で酸化したTOCの量のみによる導電率の増加よりも大きい可能性がある。
【0060】
ステップ204では、酸化工程の終了を判定する。酸化工程が実質的に完了したと判定されると、酸化源は、電源が切られるか、オフラインとなる。供試流体は、その全ての炭素を二酸化炭素ガスに変化させるため、完全に酸化させることが望ましい。酸化の間に生成した短寿命のラジカル種の量及び導電率に応じ、酸化源のスイッチを切った後、導電率が急激に上昇したり、下降したりすることがある。完全に酸化させることにより、TOC測定において全ての有機物が確実に分析される。生命科学産業におけるいくつかの規制機関は、TOC測定における有機物の完全な酸化を要求している。
【0061】
炭素が二酸化炭素ガスへと酸化した場合、水や水を含有する溶液のような流体中の二酸化炭素によって該流体の導電率が増加することは既知である。それ故、酸化工程の終了は、第1酸化セルの導電率をモニタ―することで判定できる。導電率がもはや変化しなくなったとき、例えば、導電率が実質的に安定した状態に達したとき、流体は実質的に完全に酸化されている。
【0062】
平衡状態に達した導電率は、酸化工程の終了を意味する。いくつかの実施形態において、各セルでの酸化前の初期導電率、酸化中の導電率の増加及び平衡状態に達した導電率、並びに酸化後の安定した導電率が、導電率の全体プロファイルを構成する。
【0063】
あるいは、又はこれに加えて、第1酸化セルでの酸化の完了を検出するため第2酸化セルの導電率をモニターしてよい。前述したように、2つの酸化セルの間のガス透過膜のため、第1酸化セルで生成した二酸化炭素ガスが、2つの酸化セルの間で平衡となる。結果として、二酸化炭素ガスの増加により、第2酸化セルの導電率もまた増加する。それ故、第2酸化セルでの導電率の変化率が落ち着いたとき(導電率の変化率がほぼ0になったとき)、第1酸化セルでの酸化工程は実質的に完了する。3つめの選択肢として、第1セルの導電率と第2セルの導電率両方をモニターし、酸化工程の完了を判定してもよい。
【0064】
ステップ205では、第2セルの導電率情報から、供試流体のTOCレベルを決定する。前述したように、第2セルの導電率情報は導電率のレベル及び導電率の経時的な変化率を含み、さらに導電率プロファイルを含んでよい。導電率が平衡状態に達したとき、TOCレベルが第2セルの導電率情報から得られる。この平衡状態に達した導電率は、導電率の測定データから直接計算することも、導電率の該測定データの一次又は二次導関数として数学的に導き出すことも可能である。TOCレベルは、第2セルの導電率情報から線形又は非線形方程式を用い、データテーブルや他のデータ構造や他の任意の好適な方法を介して導き出すことができる。有利なことに、第2セルの導電率情報から導き出されたTOCレベルには干渉物質の定量化が全く含まれていない。第2酸化セルの導電率の変化は、平衡状態に達した二酸化炭素ガスのみに起因する。
【0065】
TOCレベルの定量化は、生成した二酸化炭素の質量として表されてもよい。TOCレベルの定量化は、生成した二酸化炭素の体積として表されてもよい。TOCレベルの定量化は、生成した二酸化炭素のモル数として表されてもよい。
【0066】
しかし、2つの酸化セルの体積が実質的に同じでなければ、第2酸化セルの導電率の変化は生成した二酸化炭素ガスの全量を必ずしも反映しない。2つのセルが同一である場合、供試流体に関する全体のTOCレベルを得るには、第2セルの導電率情報から決定されたTOCレベルを二倍すればよい。2つのセルが同一ではない場合は、容積乗数すなわち容積比を用いて第2セルの導電率情報から最終的なTOCレベルを得ればよい。
【0067】
別の選択肢として、第1酸化セルでの酸化の結果、何らの干渉物質も生成していないと判定した場合、第1セルの導電率情報及び第2セルの導電率情報のどちらか又は両方を使用してTOCレベルを得てもよい(以下参照)。
【0068】
ステップ206では、干渉物質の有無を判定するため、第1セルの導電率情報を第2セルの導電率情報と比較する。第1セルの導電率の増加と第2セルの導電率の増加との差異を決定し、該差異を格納、伝達、表示し、あるいは別な方法で用いてよい。酸化により第1酸化セルで干渉物質が生成された場合、該干渉物質が第1酸化セル中の供試流体の導電率をより増加させるため、第1セルの導電率の変化は第2セルの導電率の変化よりも大きい。逆に、第1セルの導電率が第2セルの導電率と実質的に同じである場合は、酸化によって何らの干渉物質も発生していないと判定できる。TOCレベルの測定結果を評価する際、この情報は重要になることがある。
【0069】
ステップ207では、第1酸化セルで生成された干渉物質の量を定量化するため、第1及び第2セルの導電率を処理する。第1酸化セルと第2酸化セルとの導電率の差異を用いて、供試流体中の干渉物質の量を定量化できる。この定量化は、第1酸化セルの導電率と第2酸化セルの導電率のレシオメトリック分析を用い、炭素原子の量と非炭素原子の量を決定することを含む。この定量化は、量の値又は量の比を含んでよいが、必ずしも干渉物質もしく干渉物質の成分の同定を含まなくてよい。
【0070】
また、このステップは、生成した二酸化炭素を除去又は吸収するキャリアガスを第1酸化セルに導入することを含んでよい。二酸化炭素を除去した結果として、第1セルの導電率は、干渉物質のみに起因する導電率の値を反映する。
【0071】
この時点で、第2酸化セルで「測定後」酸化ステップを実行して第2酸化セルが供試流体中の炭素物質や干渉物質に汚染されないよう徹底する等、追加のステップを実行してもよい。これを実行することで、第2酸化セルを洗浄することができる。それから2つのセルを空にし、さらに試験を行ってもよい。
【0072】
図3は、本発明の別の実施形態に基づくTOC流体センサー100を示す。図1と共通する構成要素については、同じ参照番号を共用する。この実施形態において、TOC流体センサー100は、例えば、マイクロ流体又はナノ流体デバイスを含むユニット式の装置として構成される。
【0073】
TOC流体センサー100は、例えば、ガラス、石英、ケイ素又は他の好適な物質等の基板150の上に形成される。基板150の上に、例えば二酸化ケイ素のチャネル層等のチャネル層130がある。キャップ140が、チャネル層130の上に位置する。基板150、チャネル層130及びキャップ140を、1つのユニットに形成することができる。こうしたユニット化は、接着、接合、溶接、封止部材の使用、フレーム又は機械的な装置による組立、あるいはエッチングや沈着工程により可能である。
【0074】
チャネルがチャネル層130にビルト・インで設けられると共に、該チャネルは第1酸化セル101Aと第2酸化セル101Bを形成すべくガス透過膜106により分割されている。第1酸化セル101Aと第2酸化セル101Bは独立しており、独立して動作可能である。
【0075】
一つの光源130Aがキャップ140の上に示されており、そのキャップは、光(すなわちUV光)透過領域142と光(すなわちUV光)不透過領域144に分かれている。光源130Aは、キャップ140の光透過領域142に隣接して設けられても、キャップ140の光透過領域142上に設置されてもよく、これにより光源130Aからの光は選択的にTOC流体センサー100の内部に入る。
【0076】
上述したように、二つ以上の光源130をTOC流体センサー100に使用してもよいことを理解されたい。さらに、キャップ140は、TOC流体センサー100の酸化チャンバに光を当てるため、対応するチャンバに整合する光分離構造又は機構を有してもよい。
【0077】
第1酸化セル101Aは、導電率測定電極137A、138Aを有する。第2酸化セル101Bは、同様に、導電率測定電極137B、138Bを有する。導電率測定電極を使用し、それぞれの酸化セルの導電率を測定する。
【0078】
第1酸化セル101Aは、温度センサー電極対162Aと温度センサー電極対163Aを有する。第2酸化セル101Bは、同様に、温度センサー電極対162Bと温度センサー電極対163Bを有する。温度センサー電極対を使用し、それぞれの酸化セルにおける流体温度を測定することができる。
【0079】
図4は、本発明の別の実施形態に基づくTOC流体センサー100を示す。図1及び3と共通する構成要素については、同じ参照番号を共用する。この実施形態において、TOC流体センサー100は、第1酸化セル101Aの流体を酸化チャンバ103Aからガス透過膜106へ移送するように構成されたポンプ404を更に具える。また、ポンプ404によって流体を循環させることができる。また、ポンプ404により、膜106を酸化チャンバ103Aから離して配置して膜106がUV光に晒されないようにすることが可能となる(UV光は膜106を損傷する)。ポンプによる循環は、酸化工程の少なくとも一時期を通して実施することができる。この循環を酸化工程の全期間にわたり実施してもよい。
【0080】
本実施形態における第1酸化セル101Aは、導電率センサー(又は導電率電極)436を具える。ポンプ404があるので、導電率センサー436も酸化チャンバ103Aから離して配置できる。
【0081】
示されたいずれの実施形態でも、第2酸化セル101Bはカートリッジ又は取替可能な部分を具えることができる。これに伴い、第2酸化セル101Bは、ガス透過膜106並びに必要なシール機構及び/又は接続機構を具えることができる。結果として、カートリッジ及び膜106を容易に点検し、洗浄し、及び/又は交換することが可能である。
【0082】
有利な点として、UV光及び酸化材を使用する場合、本発明のセンサー及び方法では試薬を必要としない酸化工程が可能である。酸化後の流体には、化学的試薬が如何なる形でも加えられておらず又存在しない。これは、危険な又は有毒な廃棄物の処分という問題を起こさない点で有利である。加えて、別の有利な点として、本発明による試験は低コストで安全に実施でき、また一般に危険物質又は有毒物質に関する規制を受けないことがある。しかしながら、試薬を使用する酸化工程を含む、他の好適な酸化工程を用いてもよいことは理解されたい。
【0083】
上記した実施形態の詳細な説明は、本発明の発明者が発明の範囲内と意図する全ての実施形態を完全に網羅するものではない。実際、当業者であれば、上述の実施形態の構成要素を様々に組み合わせ又は取り除くことで更なる実施形態を作り出せること、そしてそのような更なる実施形態が本発明の範囲及び教示に含まれることを認識するであろう。また当業者にとって、上述の実施形態の全部又は一部を組み合わせることにより、本発明の範囲及び教示に含まれる更なる実施形態を作り出せることは明らかであろう。従って、本発明の範囲は、添付の請求項の範囲から決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試流体を受け入れる第1酸化セル(101A)及び第2酸化セル(101B)と、
該第1酸化セル(101A)と該第2酸化セル(101B)との間で二酸化炭素が平衡になるよう設定されたガス透過膜(106)と、
該第1酸化セルの導電率を測定するよう構成された第1導電率センサー(136A)と、
該第2酸化セルの導電率を測定するよう構成された第2導電率センサー(136B)と、を具える全有機炭素(TOC)流体センサー(100)であって、
該全有機炭素(TOC)流体センサー(100)は、流体の一部を酸化して二酸化炭素ガスを生成し、該第1酸化セル(101A)と該第2酸化セル(101B)との間で二酸化炭素ガスを平衡させ、該第2セルの導電率情報を取得し、該第1セルの酸化が実質的に完了した時、該第2セルの導電率情報から該供試流体のTOC量を決定するよう構成される全有機炭素(TOC)流体センサー(100)。
【請求項2】
平衡後の前記第2酸化セル(101B)が、前記第1酸化セル(101A)に存在し得る干渉物質を実質的に有さない請求項1に記載のTOC流体センサー(100)。
【請求項3】
前記TOC量の決定工程が、前記第1セルの酸化が実質的に完了した時に前記第1セルの導電率情報及び前記第2セルの導電率情報からTOC量を決定することを更に含む請求項1に記載のTOC流体センサー(100)。
【請求項4】
前記第1セルの導電率情報が実質的に変化しなくなった時、前記第1セルの酸化が実質的に完了する請求項1に記載のTOC流体センサー(100)。
【請求項5】
前記第1セルの導電率情報及び前記第2セルの導電率情報が両方とも実質的に変化しなくなった時、前記第1セルの酸化が実質的に完了する請求項1に記載のTOC流体センサー(100)。
【請求項6】
前記第1酸化セル(101A)、及び干渉物質が存在しない前記第2酸化セル(101B)の両方で酸化を行うことができる請求項1に記載のTOC流体センサー(100)。
【請求項7】
前記TOC流体センサー(100)は、前記第1セルの導電率の増加が前記第2セルの導電率の増加よりも大きい場合に供試流体中の干渉物質を検出するよう更に構成される請求項1に記載のTOC流体センサー(100)。
【請求項8】
前記TOC流体センサー(100)が、前記第1セルの導電率情報及び前記第2セルの導電率情報を用いて供試流体中の干渉物質を定量化するよう更に構成され、
該定量化が、前記第1酸化セルの導電率及び前記第2酸化セルの導電率のレシオメトリック分析を用いた炭素原子の量と非炭素原子の量の判定を特徴とする請求項1に記載のTOC流体センサー(100)。
【請求項9】
前記TOC流体センサー(100)が、実質的に二酸化炭素を含まないキャリアガスを前記第1酸化セル(101A)に導入し、該キャリアガスによって二酸化炭素を実質的に除去し、前記第1セルの導電率情報を用いて該供試流体中の干渉物質を定量化するよう、更に構成される請求項1に記載のTOC流体センサー(100)。
【請求項10】
前記TOC流体センサー(100)が、前記第1酸化セル(101A)内の流体を再循環させるポンプ(404)を、更に具える請求項1に記載のTOC流体センサー(100)。
【請求項11】
第1酸化セル内の供試流体の一部を酸化させて二酸化炭素を生成することと、
該第1酸化セルと第2酸化セルとの間で二酸化炭素を平衡させることと、
該第1セルの導電率情報及び該第2セルの導電率情報を取得することと、
該第1酸化セルの酸化が実質的に完了する時、該第2セルの導電率情報から該供試流体のTOC量を決定することと、を具える全有機炭素(TOC)流体測定方法。
【請求項12】
前記TOC量の決定工程が、前記第1セルの酸化が実質的に完了した時に前記第1セルの導電率情報及び前記第2セルの導電率情報からTOC量を決定することを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1セルの導電率情報が実質的に変化しなくなった時に前記第1セルの酸化が実質的に完了する請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1セルの導電率情報及び前記第2セルの導電率情報が両方とも実質的に変化しなくなった時、前記第1セルの酸化が実質的に完了する請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1酸化セル(101A)、及び干渉物質が存在しない前記第2酸化セル(101B)の両方で酸化を行うことができる請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記TOC流体測定方法が、前記第1セルの導電率の増加が前記第2セルの導電率の増加よりも大きい場合に該供試流体中の干渉物質を検出することを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記TOC流体測定方法が、前記第1セルの導電率情報及び前記第2セルの導電率情報を用いて該供試流体中の干渉物質を定量化することを更に含み、
該定量化が、前記第1酸化セルの導電率及び前記第2酸化セルの導電率のレシオメトリック分析を用いた炭素原子の量と非炭素原子の量の判定を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記TOC流体測定方法が、実質的に二酸化炭素を含まないキャリアガスを前記第1酸化セルに導入し、該キャリアガスによって二酸化炭素を実質的に除去し、前記第1セルの導電率情報を用いて該供試流体中の干渉物質を定量化することを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記TOC流体測定方法が、酸化工程の少なくとも一部において前記第1酸化セル内の流体を再循環させることを更に含む請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−506839(P2013−506839A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532262(P2012−532262)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/050673
【国際公開番号】WO2011/041378
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(505106575)ハック・カンパニー (12)
【Fターム(参考)】