説明

全身性炎症反応症候群の治療用医薬組成物

本発明は、全身性炎症反応症候群、及び特にセプシスの治療で使用する薬物製造のための、特定のベンズイミダゾールの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記一般式(I)の特有のベンズイミダゾール、
【化1】

及び特に下記式(II)の化合物の、
【化2】

全身性炎症反応症候群の治療用医薬組成物を製造するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
“全身性炎症反応症候群”(以後“SIRS”と略記;Bone R.C.ら:"Definitions for Sepsis and Organ Failure and Guidelines for the Use of Innovative Therapies in Sepsis", ACCP / SCCM Consensus Conference Committee, Chest (1992) 101: 1644)は、全種類の発作又は外傷と関連して観察される。全身性炎症反応症候群の典型的症状は、特に以下のように現れる。
(a)38℃を超えるか又は36℃未満の高いか又は低い体温、
(b)毎分90を超える心拍数、
(c)毎分20を超える速い呼吸回数又は32mmHg未満のPaCO2を有する呼吸亢進
(d)12,000/mm3を超えるか又は4,000/mm3未満の白血球数、或いは10%を超える未熟好中球の存在を有する白血球状況の変化。
【0003】
SIRS発症の原因は非常に多い。1つの典型的な原因は、感染、特にグラム陽性若しくはグラム陰性細菌、真菌、ウイルス又は真核単細胞生物によって引き起こされる感染、及び異なる病原との混合感染である(Balk R.A.: "Severe Sepsis and Septic Shock", Critical Care Clinics (2000) 16: 179; Riewald M., Riess H.: "Treatment Options for Clinically Recognized Disseminated Intravascular Coagulation", Seminars in Thrombosis and Hemostasis (1998) 24: 53)。セプシス又は敗血症の臨床像も頻繁に生じる。セプシスは、感染源から血流中への微生物の恒常的又は定期的播種の結果として起こる症状を有する一般的感染症として定義される。頻繁に存在するセプシス病原は、大腸菌及び他の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)(クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、エンテロバクター(Enterobacter))、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、サルモネラ菌、セラチア及びバクテロイデスのようなグラム陰性病原である。グラム陽性病原としては、例えば、ブドウ球菌(Staphylococci)、連鎖球菌(Streptococci)、肺炎球菌(Pneumococci)、腸球菌(Enterococci)及びウエルチ菌(Clostridium perfringens)が挙げられる。セプシスの臨床症状は典型的に間欠性高熱、悪寒及び錯乱に広がるきわめて障害性の一般的状態である。病気が進行するにつれ、(ソフトな)膵臓及び肝臓の拡大、並びに内臓(腎臓、肺、心臓)に対する感染毒損傷がありうる。治療は、本質的に抗生物質による治療から成り、抗生物質の選択は病原によって決まる(アミノグルコシドと組み合わせたセファロスポリン又はペニシリナーゼ耐性ペニシリンが多い)。集中的な医学治療を施したときでさえ、病気の予後は重篤である。死亡率は約50%である。高齢の患者、病気又は免疫無防備状態の患者は特に重篤に発症する。
【0004】
SIRSの非感染原因の例は、膵炎、全身性及び臓器限定虚血、様々な種類の外傷(例えば、多発骨折)、組織損傷、広範囲の熱傷、長い手術、血液損失を含む種々の原因によって引き起こされるショック、及び脈拍の損失に拡張する心臓血管不全後の状態、及び蘇生、免疫媒介臓器不全後の状態、及び例えば腫瘍壊死因子や他のサイトカインのような炎症プロセスの潜在的媒介物質を投与することで誘発される炎症反応である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
下記一般式(I)の化合物、
【化3】

及び特に下記式(IIa)の化合物(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールは、WO 00/01704から知られている。
【化4】

その抗血栓活性もWO 00/01704から知られている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、今や下記式(I)のベンズイミダゾール、その互変異性体、立体異性体、混合物及びその塩も、SIRS、急性心臓血管不全、蘇生後臓器不全、急性胚不全及び成人性急性呼吸困難症候群(ARDS)及び特にセプシスの治療又は予防用医薬組成物の製造のために使用できることが分かった。
【化5】

式中、
Arは、フェニレン又はナフチレン基(任意に、フッ素、塩素若しくは臭素原子、トリフルオロメチル、C1-3-アルキル又はC1-3-アルコキシ基で置換されていてもよい)、
チエニレン、チアゾリレン、ピリジニレン、ピリミジニレン、ピラジニレン又はピリダジニレン基(任意に、該炭素骨格内でC1-3-アルキル基によって置換されていてもよい)を表し、
Aは、C1-3-アルキレン基を表し、
Bは、酸素若しくはイオウ原子、メチレン、カルボニル、スルフィニル又はスルホニル基、任意にC1-3-アルキル基(該アルキル部分はカルボキシ基で一若しくは二置換されていてもよい)で置換されていてもよいイミノ基を表し、
aは、R1-CO-C3-5-シクロアルキル基(ここで、
1は、C1-3-アルコキシ、アミノ、C1-4-アルキルアミノ又はジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基(各場合に、該アルキル部分は、カルボキシ基で置換されていてもよい)、
4-〜7-員シクロアルキレンイミノ又はシクロアルケニレンイミノ基(1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、アルキル置換基は、同時にヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ、N-(C1-3-アルキル)-N-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニル、N-(C1-3-アルキル)-N-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニル、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニルアミノ、1-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ、3-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ又は1,3-ジ-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ基で置換されていてもよい)、
4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基(ヒドロキシ基で置換されている)、
5-〜7-員シクロアルキレンイミノ基(任意に、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、2個の隣接炭素原子によってフェニル環が融合している)、
モルフォリノ、ピペラジノ、N-(C1-3-アルキル)-ピペラジノ、ピロリノ、3,4-デヒドロ-ピペリジノ又はピロール-1-イル基を表す)、
2-CX-C3-5-シクロアルキル基(ここで、
2は、フェニル、ナフチル又は単環式5-若しくは6-員ヘテロアリール基(任意に、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該6-員ヘテロアリール基は、1、2若しくは3個の窒素原子を含み、該5-員ヘテロアリール基は、イミノ基(任意に、C1-3-アルキル基、酸素若しくはイオウ原子で置換されていてもよい)、又はイミノ基(任意に、C1-3-アルキル基と酸素若しくはイオウ原子又は1若しくは2個の窒素原子で置換されていてもよい)を含み、かつ上記アルキル置換基は、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ又はN-(C1-3-アルキル)-カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ基で置換されていてもよい)を表し、かつ
Xは、酸素原子、C1-3-アルキルイミノ、C1-3-アルコキシイミノ、C1-3-アルキルヒドラジノ、ジ-(C1-3-アルキル)-ヒドラジノ、C2-4-アルカノイルヒドラジノ、N-(C1-3-アルキル)-C2-4-アルカノイルヒドラジノ又はC1-3-アルキリデン基(それぞれ該アルキル若しくはアルカノイル部分又は該アルキル及びアルカノイル部分でカルボキシ基によって置換されていてもよい)を表す)、
イミダゾール又はイミダゾロン基で置換されているC1-3-アルキル又はC3-5-シクロアルキル基(ここで、
該イミダゾール環は、フェニル若しくはカルボキシ基と1若しくは2個のC1-3-アルキル基、又は1、2若しくは3個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該置換基は同一又は異なっていてよく、かつ上記アルキル置換基の1個は、同時にカルボキシ基で置換されていてもよく、又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ若しくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基によって置換されていてもよく、かつ
該イミダゾロン環は、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該アルキル置換基 は、カルボキシ基又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基によって置換されていてもよく、かつ
さらに、2個の隣接炭素原子によって、上記イミダゾール及びイミダゾロン環に、フェニル又はピリジン環が融合していてよい)、
イミダゾリジン-2,4-ジオン-5-イル基(1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、同時にアルキル置換基はカルボキシ基で置換されていてもよい)、
1-4-アルキル基(ここで、
1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル、HOOC-C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル、テトラゾリル-C1-3-アルキル-Y2、R3NR4又はR3NR4-C1-3-アルキル基及び
イソキサゾリジニルカルボニル基(任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、ピロリノカルボニル、3,4-デヒドロ-ピペリジノカルボニル、ピロール-1-イル-カルボニル、カルボキシ、アミノカルボニル、C1-3-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル又は4-〜7-員シクロアルキレンイミノカルボニル基(上記基中、シクロアルキレンイミノ部分は、1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、かつ同時に各場合に、上記C1-3-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル又はシクロアルキレンイミノカルボニル基のアルキル部分若しくはアルキル置換基は、カルボキシ基で置換されていてもよい)で置換されており、かつ該C1-4-アルキル基の残りの水素原子は、全体的若しくは部分的にフッ素原子で置換されていてもよく、ここで、
3は、水素原子又はC1-3-アルキル基(任意にカルボキシ基で置換されていてもよい)を表し、かつ
4は、水素原子、C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル-Y2、カルボキシ-C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル-Y2、C1-3-アルキル-Y2又はカルボキシ-C1-3-アルキル-Y2基を表し、或いは
3とR4が、R3とR4の間の窒素原子と一緒に4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基(任意に、カルボキシ、C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基で置換されていてもよい)を表し、ここで、
1は、炭素-炭素結合、酸素原子、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、-NH、-NH-CO又は-NH-CO-NH基を表し、かつ
2は、炭素-窒素結合又はカルボニル、スルホニル、イミノ若しくは-NH-CO基を表し、該-NH-CO基の該カルボニル基は、R3NR4基の窒素原子に結合しており、かつ基Y1及びY2の定義で述べたイミノ基は、それぞれさらにC1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、
5NR6基で置換されているC1-3-アルキル又はC3-5-シクロアルキル基(ここで、
5は、水素原子、C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルキル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル又はピリジニル基を表し、かつ
6は、C1-3-アルキル、カルボキシ-C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキルカルボニル基を表す)、
1-3-アルキル基(C2-4-アルカノイル又はC5-7-シクロアルカノイル基及びC1-3-アルキル基(塩素、臭素又はヨウ素原子で置換されている)で置換されている)を表し、
bは、水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、かつ
cは、シアノ基又はアミジノ基(任意に、1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよい)を表し、ここで、
上記基の定義で述べたカルボキシ基は、カルボキシ基にインビボ変換しうる基、又は生理的条件下で負に荷電する基で置換されていてもよく、或いは
上記基の定義で述べたアミノ及びイミノ基は、インビボ分解しうる基で置換されていてもよく、同時に、
カルボキシ基にインビボ変換しうる基は、ヒドロキシメチル基、アルコールでエステル化しているカルボキシ基(該アルコール部分は、C1-6-アルカノール、フェニル-C1-3-アルカノール、C3-9-シクロアルカノール(同時にC5-8-シクロアルカノールは、さらに1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、C5-8-シクロアルカノール(3若しくは4位のメチレン基は、酸素原子又はイミノ基(任意にC1-3-アルキル、フェニル-C1-3-アルキル、フェニル-C1-3-アルコキシカルボニル又はC2-6-アルカノイル基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい)かつ該シクロアルカノール部分は、さらに1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、C4-7-シクロアルケノール、C3-5-アルケノール、フェニル-C3-5-アルケノール、C3-5-アルキノール又はフェニル- C3-5-アルキノール(但し、酸素原子への結合は、二重結合又は三重結合を有する炭素原子から始まらないことを条件とする)、C3-8-シクロアルキル-C1-3-アルカノール、全部で8〜10個の炭素原子を有するビシクロアルカノール(さらに該ビシクロアルキル部分で1若しくは2個のC1-3-アルキル基によって置換されていてもよい)、1,3-ジヒドロ-3-オキソ-1-イソベンゾフラノール又は下記式のアルコール
d-CO-O-(ReCRf)-OH、
(式中、
dは、C1-8-アルキル、C5-7-シクロアルキル、フェニル又はフェニル-C1-3-アルキル基を表し、
eは、水素原子、C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルキル又はフェニル基を表し、かつ
fは、水素原子又はC1-3-アルキル基を表す)である)を意味し、
生理的条件下で負に荷電する基は、テトラゾール-5-イル、フェニルカルボニルアミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニルアミノカルボニル、C1-6-アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、ベンジルスルホニルアミノ、トリフルオロメチルスルホニルアミノ、C1-6-アルキルスルホニルアミノカルボニル、フェニルスルホニルアミノカルボニル、ベンジルスルホニルアミノカルボニル又はペルフルオロ-C1-6-アルキルスルホニルアミノカルボニル基を意味し、
かつイミノ又はアミノ基からインビボ分解しうる基は、ヒドロキシ基、ベンゾイル基(任意に、フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素原子、C1-3-アルキル又はC1-3-アルコキシ基で一若しくは二置換されていてもよく、該置換基は、同一若しくは異なっていてよい)、ピリジノイル基若しくはC1-16-アルカノイル基、3,3,3-トリクロロプロピオニル若しくはアリルオキシカルボニル基、C1-16-アルコキシカルボニル若しくはC1-16-アルキルカルボニルオキシ基(水素原子は、全体的若しくは部分的にフッ素若しくは塩素原子で置換されていてもよい)、フェニル-C1-6-アルコキシカルボニル基、3-アミノ-プロピオニル基(該アミノ基は、C1-6-アルキル若しくはC3-7-シクロアルキル基で一若しくは二置換されていてもよく、かつ該置換基は、同一若しくは異なっていてよい)、C1-3-アルキルスルホニル-C2-4-アルコキシカルボニル、C1-3-アルコキシ-C2-4-アルコキシ-C2-4-アルコキシカルボニル、Rd-CO-O-(RdCRf)-O-CO、C1-6-アルキル-CO-NH-(RgCRh)-O-CO又はC1-6-アルキル-CO-O-(RgCRh)-(RgCRh)-O-CO基(ここで、Rd〜Rfは、前記定義どおりであり、かつ
g及びRhは、同一若しくは異なっていてよく、水素原子又はC1-3-アルキル基を表す)を意味する。
【0007】
従って、本発明は、重症なセプシス、急性心臓血管不全、蘇生後臓器不全、急性胚不全及びARDSを含む、SIRS、菌血症及び/又はセプシスの治療用医薬組成物の製造のための、上記式(I)(式中、Ra、Rb、Rc、A、B及びArは前記定義どおりである)のベンズイミダゾールであって、任意にその薬学的に許容しうる酸付加塩の形態、及び任意にその水和物又は溶媒和物の形態でもよいベンズイミダゾールの使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
好ましくは、下記一般式(Ia)のベンズイミダゾール、並びにその互変異性体、立体異性体及び塩が使用される。
【化6】

式中、
Aは、C1-3-アルキレン基を表し、
Bは、酸素若しくはイオウ原子、メチレン、カルボニル、スルフィニル又はスルホニル基、任意にC1-3-アルキル基(該アルキル部分はカルボキシ基で一若しくは二置換されていてもよい)で置換されていてもよいイミノ基を表し、
aは、R1-CO-C3-5-シクロアルキル基(ここで、
1は、C1-3-アルコキシ、アミノ、C1-4-アルキルアミノ又はジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基(各場合に、該アルキル部分は、カルボキシ基で置換されていてもよい)、
4-〜7-員シクロアルキレンイミノ又はシクロアルケニレンイミノ基(1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、アルキル置換基は、同時にヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ、N-(C1-3-アルキル)-N-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノ、 カルボキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニル、N-(C1-3-アルキル)-N-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニル、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニルアミノ、1-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ、3-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ又は1,3-ジ-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ基で置換されていてもよい)、
4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基(ヒドロキシ基で置換されている)、
5-〜7-員シクロアルキレンイミノ基(任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、2個の隣接炭素原子によってフェニル環が融合している)、
モルフォリノ、ピペラジノ、N-(C1-3-アルキル)-ピペラジノ、ピロリノ、3,4-デヒドロ-ピペリジノ又はピロール-1-イル基を表す)、
2-CX-C3-5-シクロアルキル基(ここで、
2は、フェニル、ナフチル又は単環式5-若しくは6-員ヘテロアリール基(任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該6-員ヘテロアリール基は、1、2若しくは3個の窒素原子を含み、該5-員ヘテロアリール基は、イミノ基(任意に、C1-3-アルキル基、酸素若しくはイオウ原子で置換されていてもよい)、又はイミノ基(任意に、C1-3-アルキル基と酸素若しくはイオウ原子又は1若しくは2個の窒素原子で置換されていてもよい)を含み、かつ上記アルキル置換基は、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ又はN-(C1-3-アルキル)-カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ基で置換されていてもよい)を表し、かつ
Xは、酸素原子、C1-3-アルキルイミノ、C1-3-アルコキシイミノ、C1-3-アルキルヒドラジノ、ジ-(C1-3-アルキル)-ヒドラジノ、C2-4-アルカノイルヒドラジノ、N-(C1-3-アルキル)-C2-4-アルカノイルヒドラジノ又はC1-3-アルキリデン基(それぞれ該アルキル若しくはアルカノイル部分又は該アルキル及びアルカノイル部分でカルボキシ基によって置換されていてもよい)を表す)、
イミダゾール又はイミダゾロン基で置換されているC1-3-アルキル又はC3-5-シクロアルキル基(ここで、該イミダゾール環は、フェニル若しくはカルボキシ基と1若しくは2個のC1-3-アルキル基、又は1、2若しくは3個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該置換基は同一又は異なっていてよく、かつ上記アルキル置換基の1個は、同時にカルボキシ基で置換されていてもよく、又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ若しくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基によって置換されていてもよく、かつ
該イミダゾロン環は、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該アルキル置換基 は、カルボキシ基又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基によって置換されていてもよく、かつ
さらに、2個の隣接炭素原子によって、上記イミダゾール及びイミダゾロン環に、フェニル又はピリジン環が融合していてよい)、
イミダゾリジン-2,4-ジオン-5-イル基(1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、同時にアルキル置換基はカルボキシ基で置換されていてもよい)、
1-4-アルキル基(ここで、
1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル、HOOC-C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル、テトラゾリル-C1-3-アルキル-Y2、R3NR4又はR3NR4-C1-3-アルキル基及び
イソキサゾリジン-1-イルカルボニル基(任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、ピロリノカルボニル、2,3-デヒドロ-ピペリジノカルボニル、ピロール-1-イル-カルボニル、カルボキシ、アミノカルボニル、C1-3-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル又は4-〜7-員シクロアルキレンイミノカルボニル基(上記基中、シクロアルキレンイミノ部分は、1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、かつ同時に各場合に、上記C1-3-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル又はシクロアルキレンイミノカルボニル基のアルキル部分若しくはアルキル置換基は、カルボキシ基で置換されていてもよい)で置換されており、かつ該C1-4-アルキル基の残りの水素原子は、全体的若しくは部分的にフッ素原子で置換されていてもよく、ここで、
3は、水素原子又はC1-3-アルキル基(任意にカルボキシ基で置換されていてもよい)を表し、かつ
4は、水素原子、C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル-Y2、カルボキシ-C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル-Y2、C1-3-アルキル-Y2又はカルボキシ-C1-3-アルキル-Y2基を表し、或いは
3とR4が、R3とR4の間の窒素原子と一緒に4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基(任意に、カルボキシ、C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基で置換されていてもよい)を表し、ここで、
1は、炭素-炭素結合、酸素原子、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、-NH、-NH-CO又は-NH-CO-NH基を表し、かつ
2は、炭素-窒素結合又はカルボニル、スルホニル、イミノ若しくは-NH-CO基を表し、該-NH-CO基の該カルボニル基は、R3NR4基の窒素原子に結合しており、かつ基Y1及びY2の定義で述べたイミノ基は、それぞれさらにC1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、
5NR6基で置換されているC1-3-アルキル又はC3-5-シクロアルキル基(ここで、
5は、水素原子、C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルキル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル又はピリジニル基を表し、かつ
6は、C1-3-アルキル、カルボキシ-C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキルカルボニル基を表す)、
1-3-アルキル基(C2-4-アルカノイル又はC5-7-シクロアルカノイル基及びC1-3-アルキル基(塩素、臭素又はヨウ素原子で置換されている)で置換されている)を表し、
bは、水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、かつ
cは、シアノ基又はアミジノ基(ヒドロキシ基、1若しくは2個のC1-3-アルキル基、1若しくは2個のC1-8-アルコキシカルボニル基で置換されていてもよい)を表し、
同時に、上記基の定義で述べたカルボキシ、アミノ及びイミノ基は、前記定義したように、インビボ分解しうる基で置換されていてもよい。
【0009】
好ましくは、上記一般式Iaのベンズイミダゾールであって、式中、
Aが、C1-3-アルキレン基を表し、
Bが、酸素原子、メチレン、イミノ又はN-(C1-3-アルキル)-イミノ基(該アルキル部分は、カルボキシ基で置換されていてもよい)を表し、
aが、1位でR1-CO基によって置換されているC3-5-シクロアルキル基(ここで、
1は、C1-3-アルコキシ、アミノ、C1-4-アルキルアミノ又はジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基(各場合、該アルキル部分はカルボキシ基で置換されていてもよい)、
4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基(1個のヒドロキシ基又は1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、アルキル置換基は、同時にヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ、N-(C1-3-アルキル)-N-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニル、N-(C1-3-アルキル)-N-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニル、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニルアミノ、1-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ、3-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ又は1,3-ジ-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ基で置換されていてもよい)、
5-〜7-員シクロアルキレンイミノ基(任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、2個の隣接炭素原子によってフェニル環が融合している)、
モルフォリノ、ピペラジノ、N-(C1-3-アルキル)-ピペラジノ、ピロリノ、3,4-デヒドロ-ピペリジノ又はピロール-1-イル基を表している)、
1位でR2-CX基によって置換されているC3-5-シクロアルキル基(ここで、
2は、フェニル、ナフチル又は単環式5-若しくは6-員ヘテロアリール基(任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該6-員ヘテロアリール基は、1、2若しくは3個の窒素原子を含み、該5-員ヘテロアリール基は、イミノ基(任意にC1-3-アルキル基、酸素若しくはイオウ原子で置換されていてもよい)又はイミノ基(任意にC1-3-アルキル基と酸素若しくはイオウ原子、又は1若しくは2個の窒素原子で置換されていてもよい)を含み、かつ上記アルキル置換基は、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ又はN-(C1-3-アルキル)-カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ基で置換されていてもよい)を表し、かつ
Xは、酸素原子、C1-3-アルキルイミノ、C1-3-アルコキシイミノ又はC1-3-アルキリデン基(それぞれ該アルキル又はアルコキシ部分でカルボキシ基によって置換されていてもよい)を表す)、
1位でイミダゾール又はイミダゾロン基で置換されているC1-3-アルキル基(ここで、 該イミダゾール環は、フェニル又はカルボキシ基及び1若しくは2個のC1-3-アルキル基、又は1、2若しくは3個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該置換基は同一若しくは異なっていてよく、上記アルキル置換基の1個は、同時にカルボキシ基で置換されていてもよく、又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ若しくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基で置換されていてもよく、かつ
該イミダゾロン環は、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該アルキル置換基 は、カルボキシ基で置換され、又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ若しくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基によって置換されていてもよく、かつ
さらに、2個の隣接炭素原子によって、上記イミダゾール及びイミダゾロン環にフェニル又はピリジン環が融合していてよい)、
イミダゾリジン-2,4-ジオン-5-イル基(1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、同時にアルキル置換基はカルボキシ基で置換されていてもよい)、
1-4-アルキル基(1位でR3NR4又はR3NNR4-C1-3-アルキル基及び
ピロリノカルボニル、2,3-デヒドロ-ピペリジノカルボニル、イミダゾール-1-イル-カルボニル、カルボキシ、アミノカルボニル、C1-3-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル、イソキサゾリジン-1-イルカルボニル又は4-〜7-員シクロアルキレンイミノカルボニル基によって置換されており、上記基中、シクロアルキレンイミノ部分は、1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、同時に各場合に、上記C1-3-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル又はシクロアルキレンイミノカルボニル基のアルキル部分又はアルキル置換基は、カルボキシ基で置換されていてもよく、かつ該C1-4-アルキル基の残りの水素原子は全体的若しくは部分的にフッ素原子で置換されていてもよく、同時に
3は、水素原子又はC1-3-アルキル基(任意にカルボキシ基で置換されていてもよい)を表し、かつ
4は、水素原子、C1-3-アルキル-Y2又はカルボキシ-C1-3-アルキル-Y2基を表し、或いは
3とR4は、R3とR4の間の窒素原子と一緒に4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基(任意に1位でカルボキシ、C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基によって置換されていてもよい)を表し、ここで、
2は、炭素-窒素結合又はカルボニル、イミノ若しくは-NH-CO基を表し、同時に該-NH-CO基の該カルボニル基は、R3NR4基の窒素原子に結合しており、かつ該基Y2の定義中に存在するイミノ基は、さらにC1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、
1位でR5NR6基によって置換されているC1-3-アルキル又はC3-5-シクロアルキル基(ここで、
5は、水素原子、C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルキル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル又はピリジニル基を表し、かつ
6は、C1-3-アルキル、カルボキシ-C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキルカルボニル基を表す)、
1-3-アルキル基(C2-4-アルカノイル又はC5-7-シクロアルカノイル基で置換されている)及びC1-3-アルキル基(塩素、臭素又はヨウ素原子で置換されている)を表し、
bが、C1-3-アルキル基を表し、かつ
cが、アミジノ基(任意に2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、C1-8-アルコキシカルボニル、アセトキシメチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はベンゾイル基で置換されていてもよく、該ベンゾイル部分は、フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素原子で一若しくは二置換され、又はC1-3-アルキル若しくはC1-3-アルコキシ基で置換されていてもよく、かつ該置換基は同一若しくは異なっていてよい)を表す、ベンズイミダゾール、
並びにそのC1-3-アルカノールエステル及びその互変異性体、立体異性体及び塩も使用される。
【0010】
特に好ましい実施形態では、上記医薬組成物は、上記一般式(Ia)のベンズイミダゾールであって、式中、
Aが、メチレン基を表し、
Bが、酸素原子又はイミノ基を表し、
aが、1位でR1-CO基によって置換されているシクロプロピル基(ここで、
1は、ピロリジノ又はピペリジノ基を表し、任意にメチル又はエチル基で置換されていてもよく、各場合に該メチル又はエチル部分は、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ又はN-(C1-3-アルキル)-カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ基で置換されていてもよい)、
1位でR2-CX基によって置換されているシクロプロピル基(ここで、
2は、任意にC1-3アルキル基で置換されていてもよいフェニル、ピリジル又はピラゾリル基を表し、かつ
Xは、酸素原子、C1-3-アルコキシイミノ又はC1-3-アルキリデン基(それぞれ該アルキル又はアルコキシ部分内でカルボキシ基によって置換されている)を表す)、
1位でイミダゾール基で置換されているC1-2-アルキル基(ここで、該イミダゾール環は、フェニル又はカルボキシ基及び1若しくは2個のC1-3-アルキル基、又は1、2若しくは3個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該置換基は同一若しくは異なっていてよく、上記アルキル置換基の1個は、同時にカルボキシ基で置換されていてもよく、又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ若しくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基で置換されていてもよく、同時に、さらに、2個の隣接炭素原子によって、上記イミダゾール環にフェニル又はピリジン環が融合していてよい)、
1位でベンズイミダゾロン-1-イル基によって置換されているC1-2-アルキル基(同時に、該イミダゾロン環は、任意にカルボキシ基で置換されていてもよいメチル又はエチル基で置換されていてもよい)、
メチル又はエチル基(1位でR3NR4又はR3NNR4-C1-3-アルキル基及び
ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、イソキサゾリジン-1-イルカルボニル基、任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよいピロリジノカルボニル又はピペリジノカルボニル基で置換されており、各場合に上記基中アルキル部分又はアルキル置換基は、カルボキシ基で置換されていてもよく、同時に
3は、水素原子又はC1-3-アルキル基(任意にカルボキシ基で置換されていてもよい)を表し、かつ
4は、水素原子、C1-3-アルキル-Y2又はカルボキシ-C1-3-アルキル-Y2基を表し、或いは
3とR4は、R3とR4の間の窒素原子と一緒に4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基(任意にカルボキシ基によって置換されていてもよい)を表し、ここで、
2は、炭素-窒素結合、カルボニル基又は任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよいイミノ基を表す)、
1位でR5NR6基によって置換されているC1-2-アルキル基(ここで、
5は、ピリジニル、フェニルカルボニル又はフェニルスルホニル基を表し、かつ
6は、C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基を表す)、
3位で塩素原子によって置換されているn-プロピル基(1位でシクロペンチルカルボニル基によって置換されている)、
1位でシクロペンチルアミノ基(該窒素原子のところでカルボキシ-C1-3-アルキルカルボニル基によって置換されている)によって置換されているシクロプロピル基を表し、
bが、メチル基を表し、かつ
cが、アミジノ基(任意にC1-8-アルコキシカルボニル、アセトキシメチルオキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はベンゾイル基で置換されていてもよい)を表す、ベンズイミダゾール、
又はそのC1-3-アルカノールエステル、互変異性体、立体異性体若しくは塩を用いて調製される。
【0011】
上記一般式(Ia)のベンズイミダゾールであって、式中、
Aが、メチレン基を表し、
Bが、イミノ基を表し、
aが、1位でR1-CO基によって置換されているシクロプロピル基(ここで、
1は、任意にメチル又はエチル基で置換されていてもよいピロリジノ又はピペリジノ基を表し、各場合に該メチル又はエチル部分は、カルボキシ、カルボキ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ又はN-(C1-3-アルキル)-カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ基で置換されていてもよい)
1位でR2-CX基によって置換されているシクロプロピル基(ここで、
2は、任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよいフェニル、ピリジル又はピラゾリル基を表し、かつ
Xは、酸素原子、C1-3-アルコキシイミノ又はC1-3-アルキリデン基(各場合に該アルキル又はアルコキシ部分は、カルボキシ基で置換されている)を表す)、
1位でイミダゾール基によって置換されているC1-2-アルキル基(ここで、該イミダゾール環は、1〜3個のメチル基で置換されていてもよく、又は2個のメチル基と1個のエチル基で置換されており、さらに上記メチル又はエチル置換基の1個は、同時にカルボキシ基で置換されていてもよい)、
メチル又はエチル基(1位で
3NR4又はR3NR4-CH2基及び
ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル基、任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよいピローリジノカルボニル又はピペリジノカルボニル基によって置換されていてもよく、同時に上記基中、各場合にアルキル部分又はアルキル置換基は、カルボキシ基で置換されていてもよく、ここで
3は、水素原子又はC1-3-アルキル基(任意にカルボキシ基で置換されていてもよい)を表し、かつ
4は、C1-3-アルキル-Y2又はカルボキシ-C1-3-アルキル-Y2基を表し、ここで
2は、炭素-窒素結合、カルボニル基又はイミノ基(任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよい)を表す)を表し、
bが、メチル基を表し、かつ
cが、アミジノ基(任意にC1-8-アルコキシカルボニル、アセトキシメチルオキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はベンゾイル基で置換されていてもよい)を表す、ベンズイミダゾール、
又はそのC1-3-アルカノールエステル、互変異性体、立体異性体若しくは塩を使用することも好ましい。
【0012】
最も特に好ましくは、式中、基Raが5位にある上記一般式(I)及び上述した置換基のベンズイミダゾール、又はその互変異性体、立体異性体若しくは塩の使用である。
【0013】
好ましい化合物の例は、以下のとおりである。
(a) 2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(ピロリジン-1-イル-カルボニル)シクロプロピル]-ベンズイミダゾール、
(b) (E/Z)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-[(ピリジン-2-イル)-(カルボキシメチルオキシイミノ)メチレン]シクロプロピル]-ベンズイミダゾール、
(c) 2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(2-カルボキシ-エチルアミノ)-1-(ピロリジン-1-イル-カルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール、
(d) 2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-[2-(2-カルボキシエチル)-ピロリジン-1-イル-カルボニル]シクロプロピル]-ベンズイミダゾール、
(e) 2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[2-(2-カルボキシエチル)-4,5-ジメチル-イミダゾール-1-イル-メチル]-ベンズイミダゾール、
(f) 2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジン-1-イル-カルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール、
(g) 2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(N-メチル-カルボキシメチルカルボニルアミノメチル)-1-メチル-1-(ピロリジン-1-イル-カルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール、
(h) 2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール及び
(i) 式(IIa)に示される(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール、
そのC1-3-アルカノールエステル、そのN-(C1-8-アルコキシカルボニル)-、N-ベンジルオキシカルボニル-及びN-ベンゾイル-アミジン、その互変異性体、立体異性体及び塩。
【0014】
従って、上記ベンズイミダゾール化合物は、例えば、遊離塩基として、双性イオンとして、又は薬学的に許容しうる酸付加塩の形態で使用しうる。この文脈中の薬学的に許容しうる酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸及びマレイン酸の塩であり、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、及び酢酸の塩が特に好ましい。塩酸の塩、例えば、一塩酸塩又は二塩酸塩が最も特に好ましい。
【0015】
特に好ましい実施形態により、上述した状態を治療するため又は上述した状態を治療するための医薬組成物を製造するため、下記式(IIa)に示される上述した(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールを遊離塩基の形態で使用し、
【化7】

又は下記式(II)に示される一塩酸塩の形態で使用する。
【化8】

水溶液中では、例えば、注入用溶液として調製する場合、この化合物は通常双性イオンの形態だろう。
【0016】
前述したように、上記化合物は、例えば、WO 00/01704から抗血栓活性を有することが知られている。驚くべきことに、上記化合物、特に式(II)又は(IIa)の化合物は、今やセプシス又は菌血症、さらに一般的には、SIRS、急性心臓血管不全、蘇生後臓器不全、急性肺不全及びARDSの治療に好適であることが分かった。実際のところ、先行技術で知られている他の抗血栓活性物質の調査から、このような活性物質は一般的にセプシスに対して有効でないことが知られていた(例えば、Kybersept Study: Warrenら, JAMA 2001; Knaub S, Keinecke HO, Juers M, Schindel F, Heinrichs H, Opal S: "High-dose antithrombin III in patients with severe sepsis - The kybersept trial“ Thromb. Haemost. (2001), 6-12 July 2001 (Abs P523)参照)。すなわち、それは上述した化合物、特に(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールの特有の特徴である。
【0017】
前述したように、SIRSは多くのサブグループに細分することができる。1つの代表的なサブグループは、感染によって引き起こされるSIRSから成り、セプシスの臨床像(敗血症;“血毒症”)に相当する。別のサブグループは、感染とは無関係に起こるSIRSである。
【0018】
非感染性原因のうち、特有の臨床的重要性では、特に心臓血管不全が重要である。心臓血管不全は多数の患者で起こり(米国内では推定450,000人まで死亡)、生存率は5%未満で、極端に生命を脅かす状態である(Weisfeldt ML, JAMA 2002; 288: 3035)。患者が最初の心臓停止を生き延びた場合でさえ、予後は非常に重篤であり、患者が最初はうまく蘇生した場合でさえ、これら患者内で存続する臓器不全が低生存率に寄与する。この臓器不全は、心臓血管系の停止中の凝固系の活性化と、引き続く免疫反応の組合せによって維持される(免疫反応のパラメーターについてAdrie C, Circulation 2002; 106: 562参照)。凝固の活性化と免疫反応の組合せ効果のため、本発明により見いだされた式Iの化合物、特に式II及びIIaの化合物の、心臓血管停止後の患者内における抗血液凝固性と同時に免疫パラメーターの減少としての効力のまさに組合せが重要である。式Iの化合物は、蘇生手順中に静脈内投与(大量瞬時投与又は注入として)することができ、それによって心臓血管機能の修復成功の可能性を高め、或いは心臓血管機能を修復した後、異なる臓器の不全を防止かつ軽減するために静脈内投与(大量瞬時投与又は注入として)することができる。本薬物は、患者が完全に回復するまで与えることができる。
【0019】
SIRSが進行するにつれ、膵臓や肝臓の(ソフトな)拡大及び内臓(腎臓、肺、心臓)への損傷がありうる。SIRSを発症する危険のある患者に、本発明の式Iの化合物、最も好ましくは式II及びIIaの化合物を投与すると、臓器不全の発生を防止でき、或いはSIRSが既に存在する場合は、さらなる臓器損傷を妨げ、又は病気の持続時間を短縮することができる。
【0020】
臓器不全の形態としては、患者の血圧の危機的低下につながり、さらなる臓器不全や死を伴う心臓機能の不全;治療せずに放置すると死に至ることがあり、また治療として腎臓置換療法(例えば、透析又は連続的ろ過)を必要とする腎臓不全、及び急性肺不全が挙げられる。
急性肺損傷(acute lung injury)(ALI)又は成人性急性呼吸困難症候群(acute respiratory distress syndrome in adult)(ARDS)の形態の肺の臓器不全が特に重要である。SIRSは炎症反応と凝固の活性化の組合せの結果としてこの帰結につながることが非常に多いからである。本発明の式Iの化合物、特に好ましくは式II及びIIaの化合物の使用は、肺損傷若しくは初期形態の徴候を示しているか又は示していない患者(例えば、対応する臨床像[セプシス、外傷]を有する患者及びX線で変化が現れない患者又は肺浸潤が始まっている患者)の急性肺損傷の防止につながり、或いは完全に肺不全を発症している患者の人工呼吸の時間を減らすこととなる。
本薬物は、状況が危険に見えたらすぐに、これら臨床状態で大量瞬時投与又は注入の形態で静脈内投与し始めることができ、或いは本薬物は、臓器不全の現存する徴候(例えば、有意に低下した血圧、上昇する腎臓停滞レベル又は血液ガスの劣化)の療法として使用することができる。本薬物の投与は、知覚危険がある限り継続される。
(文献:Abraham E, Crit Care Med 2000; 28: 232)。
【0021】
従って、本発明は、見出し“SIRS”下に包含される病気の治療方法又は場合によってはその予防方法、或いは見出し“SIRS”下に包含される病気:例えば、グラム陰性病原(例えば、大腸菌、クレブシエラ、プロテウス、エンテロバクター、シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、髄膜炎菌、サルモネラ、セラチア、バクテロイデス等のような)、グラム陽性病原(例えば、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、腸球菌及びウエルチ菌のような)、ウイルス、単細胞真核寄生生物又は真菌のような病原によって引き起こされるSIRS、臓器不全を伴う及び伴わないSIRS、敗血性ショック、敗血性症候群、膵炎によって、全身性虚血によって、臓器限定虚血によって、熱傷によって、組織損傷若しくは他の外傷によって引き起こされるSIRS、腫瘍病と共に生じるSIRS、長い手術後に起こるSIRS、臓器移植の結果若しくは様々な種類のショックの結果として、例えば心臓血管不全、免疫媒介臓器不全若しくは炎症反応後の血液損失の結果として、並びに、例えば、腫瘍壊死因子α及び/又は腫瘍壊死因子β及び/又は他のサイトカインのような炎症媒介物質による治療の結果として起こるSIRS、また急性肺損傷及びARDSのような病気の治療又は予防若しくは付随治療用の医薬組成物の製造方法に関する。SIRSは、肺損傷、筋緊張低下による心臓血管系に対する損傷、腎臓不全、血液学的変化、アシドーシス及び多臓器不全症候群(multiple organ dysfunction syndrome)(MODS)を伴いうるので、本発明の上記化合物で治療することもできる。
【0022】
好ましい実施形態によれば、本発明は、セプシス、感染関連SIRS及び/又は菌血症の結果としてのSIRSの治療のため、或いはセプシス、感染関連SIRS及び/又は菌血症の結果としてのSIRS、急性心臓血管不全、蘇生後臓器不全、急性肺損傷及びARDSの治療又は付随治療用医薬組成物の製造のための、(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール、特にその一塩酸塩の使用に関する。
【0023】
上記ベンズイミダゾール化合物、特に(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールを単一治療薬としてのその使用に加え、別の好ましい実施形態によれば、適切なさらなる活性物質と共に使用することができる。
【0024】
これらとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
(a) 例えばアセチルサリチル酸、フィブリノゲン受容体アンタゴニスト(例えば、アブシキマブ(abciximab)、エプチフィバタイド(eptifibatide)、チロフィバン(tirofiban)、ロキシフィバン(roxifiban))、ADP誘導凝集のインヒビター(例えば、クロピドグレル(clopidogrel)、チクロピジン(ticlopidine))、P2T受容体アンタゴニスト(例えば、カングレロール(cangrelor))及び結合したトロンボキサン受容体アンタゴニスト/シンセターゼインヒビター(例えばテルボグレル(terbogrel))のような血小板機能のインヒビター、
(b) 例えば、アルテプラーゼ、リテプラーゼ(reteplase)、テネクテプラーゼ(tenecteplase)、ウロキナーゼ、スタフィロキナーゼ(staphylokinase)及びストレプトキナーゼのような血栓崩壊活性物質、
(c) 生理活性物質及び凝固系のインヒビター及びそれらの組換え類似体(例えば、プロテインC、組換えヒト活性化プロテインC(rhAPC)、組織因子経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor)(TFPI)、抗トロンビン)、
(d) 例えば、内毒素、インターロイキン、TNF、ブラジキニン、プロスタグランジン、シクロオキシゲナーゼ、NO、PAFに関して拮抗効果のある物質、例えば関連受容体に拮抗効果を有する物質、特定の効果原理と干渉する物質及び該物質に特異的に向けられた抗体などのようなセプシスで好都合に使用される活性物質、
(e) 血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ(PAF-AH)、好ましくはヒトPAF-AH(例えば、Tjoelker LW, Stafforini DM: "Platelet-activating factor acetylhydrolases in health and disease" Biochim Biophys Acta (2000) 1488:102-123, WO 95/09921及びWO 95/00649に記載されている)、及び例えば、WO 99/09147に記載されているような、特に短縮PAF-AHタンパク質のようなPAF-AH、
(f) 例えば、クロロキン、金製剤、D-ペニシラミン、メトトレキセート、クロランブシル、シクロホスファミド、コルチコステロイドの全型、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス(sirolimus)、アザチオプリン(azathioprin)、ミコフェノレートモフェチル(mycophenolate mofetil)等のような、リウマチ性疾患の基礎治療薬のような炎症を阻害するために使用されている慣習的な治療薬、及び
(g) 例えば、抗生物質、カテコールアミンのような血液の循環に作用する物質などのような、セプシスを治療するために好都合に使用される薬物。
【0025】
従って、本発明は、上記ベンズイミダゾール化合物、特に(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールの、1種以上の上記(a)〜(g)に列挙した物質との、任意に薬学的に許容しうる酸付加塩の形態、及び任意にその水和物又は溶媒和物の形態の組合せも包含する。(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールの、PAF-アセチルヒドロラーゼ、特にWO 99/09147に記載されているPAF-AH-誘導体、例えばその中で述べられている(WO 99/09147のページ10 ff.)rPH.2又はrPH.9の1つとの組合せが特に有効であることが分かる。(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールと、例えばアフェリモマブ(afelimomab)(INN)のような抗-ヒトTNFα-抗体との組合せも特に有利である。
【0026】
上記ベンズイミダゾール活性物質又は活性物質の組合せは、通常の方法、好ましくは非経口的に、さらに好ましくは静脈内経路(i.v.)で投与され、任意に皮下投与もされる。それらは、非経口的、例えば静脈内注入によって投与することができ、特定の状況では、臨床像によっては、長期間(時間又は日)にわたって(連続的長期注入)与えることもできる。静脈内投与の用量は、例えば、0.05〜2000mg/24時間の範囲内でよい。最適な治療用量は、適応症と使用する製剤によって決まり、当業者に公知のやり方で経験的に決定することができる。活性物質(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールの提案用量範囲は、例えば、0.0001mg/kg/時間〜1mg/kg/時間、好ましくは0.001mg/kg/時間〜0.5mg/kg/時間、さらに好ましくは0.01mg/kg/時間〜0.3mg/kg/時間の範囲である。当然、熟練家は、患者の体重又は投与法、薬物に対する個人の反応、製剤の性質及びそれを投与する期間又は時間によって、指定量からずらす必要があることが分かるだろう。従って、場合によっては、指定した最小量未満の使用で十分であり、他の場合には、投与量が、指定した上限を超えなければならないかもしれない。大量に投与する場合、1日に多数の単用量で薬物を拡散することが賢明だろう。
【0027】
熟練家は、上述したベンズイミダゾール活性物質及び特定用途のための活性物質の組合せを調製する方法を承知しているだろう(Gennaro, Alfonso R.: Remington's Pharmaceutical Sciences. Easton Mack)。注射及び注入用溶液は、普通の方法で調製され、例えば、緩衝液、等張剤、p-ヒドロキシベンゾエートのような保存剤、又はエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩のような安定剤と共に、任意に乳化剤及び/又は分散剤を用いて調製し、水を希釈剤として使用する場合は、例えば、有機溶媒を任意に可溶化剤若しくは補助溶媒として添加してもよく、完成した溶液を注射用薬瓶若しくはアンプル又は注入ビンに移す。
【実施例】
【0028】
以下の実施例は、本発明を説明するものであり、その範囲を限定しない。
実施例1:(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール-塩酸塩の調製
a.) エチル2-アミノ-2-(4-クロロ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオネート
200mlの5.6Nエタノール性塩酸中の28g(0.11mol)の2-アミノ-2-(4-クロロ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオン酸の混合物を36時間還流させる。溶媒をエバポレートした後、残留物を300mlの酢酸エチルに溶かし、300mlの炭酸水素ナトリウム飽和溶液と混ぜる。有機相を炭酸水素ナトリウム飽和溶液で2回、水で1回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、エバポレーションで濃縮する。
収量:21.1g(理論の68%)明褐色油。
【0029】
b.) エチル(R)-(+)-2-アミノ-2-(4-クロロ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオネート
17.33g(63.6mmol)のエチル2-アミノ-2-(4-クロロ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオネートを247mlのイソプロパノールと207mlのメタノールに溶かし、9.54g(63.6mmol)のL-(+)-酒石酸と混ぜ合わせる。反応混合物を100℃に加熱すると、清澄溶液が生成される。この溶液を3時間以内で27℃に冷まし、生じた沈殿を吸引ろ過し、エタノールで洗浄して乾燥させる。生じた固体(21.5g)を400mlの酢酸エチルに溶かし、400mlの炭酸水素ナトリウム飽和溶液と混ぜ合わせる。抽出及び相分離後、有機相を水で洗浄し、乾燥させ、エバポレーションで濃縮する。
収量:7.68g(理論の44.4%)の明黄色油、
[α]20 =+4.38°(酢酸エチル)
HPLC分析:ee値>98.6%
【0030】
c.) (R)-(-)-2-アミノ-2-(4-クロロ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオン酸
150mgのエチル(R)-(+)-2-アミノ-2-(4-クロロ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオネートと2.5mlの2Nの水酸化ナトリウム溶液を10mlのテトラヒドロフラン中で5時間周囲室温で撹拌する。蒸留してテトラヒドロフランを除去し、残留物を塩酸でpH5に調整する。結晶性生成物を吸引ろ過し、水で洗浄して乾燥させる。
収率:理論の63%、
[α]20 =-59.6°(メタノール/水 1:1)
【0031】
d.) (R)-2-tert.ブチルオキシカルボニルアミノ-2-(4-クロロ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオン酸
5.7gの(R)-(-)-2-アミノ-2-(4-クロロ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオン酸を50mlのジオキサンに溶かし、5.5ml(39.1mmol)のトリエチルアミンと4.8gのピロ炭酸-ジ-tert.ブチルジカルボネートの添加後、混合物を18時間周囲温度で撹拌する。それを0.5Mの硫酸水素カリウム溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出する。混ぜ合わせた有機抽出物を乾燥させ、エバポレーションで濃縮する、
収率:理論の100%。
【0032】
e.) (R)-2-tert.ブチルオキシカルボニルアミノ-2-(4-メチルアミノ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオン酸
20.0gの(R)-2-tert.ブチルオキシカルボニルアミノ-2-(4-クロロ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオン酸と100mlのメチルアミン溶液(H2O中40%)を加圧容器内で80℃に5時間加熱する。内容物を蒸発乾固させ、水に溶かし、氷酢酸で酸性にする。沈殿した生成物を吸引ろ過し、水で洗浄して乾燥させる。
収率:理論の69%。
【0033】
f.) (R)-2-(4-メチルアミノ-3-ニトロ-フェニル)-2-tert.ブチルオキシカルボニルアミノ-1-ピロリジノ-プロパノン
12.3gの(R)-2-tert.ブチルオキシカルボニルアミノ-2-(4-メチルアミノ-3-ニトロ-フェニル)-プロピオン酸(64.8mmol)を90mlのテトラヒドロフランに溶かし、12.6g(78mmol)の カルボニルジイミダゾールと混ぜ合わせる。周囲温度で30分後、10.9ml(130mmol)のピロリジンを添加する。周囲温度でさらに12時間後、反応溶液を800mlの水と混ぜる。生じた固体をろ過し、水で洗浄して乾燥させる。
収率:理論の48%。
【0034】
g.) (R)-2-(4-メチルアミノ-3-アミノ-フェニル)-2-tert.ブチルオキシカルボニルアミノ-1-ピロリジノ-プロパノン
3.1gの(R)-2-(4-メチルアミノ-3-ニトロ-フェニル)-2-tert.ブチルオキシカルボニルアミノ-1-ピロリジノ-プロパノン(7.9mmol)を30mlのメタノールに溶かし、水素/活性炭上の10%パラジウムを添加して周囲温度で2時間水素化する。触媒をろ過して除き、蒸留して溶媒を除去する。残留物を50mlのメチル-tert.ブチルエーテルに45℃で溶かす。5℃で12時間後、生じた固体を吸引ろ過し、乾燥させる。
収率:理論の87%。
【0035】
h.) (R)-2-(4-シアノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(N-tert.ブチルオキシカルボニルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール
11.2g(63mmol)の4-シアノフェニルグリシンと10.95g(67.5mmol)のカルボニルジイミダゾールを320mlのテトラヒドロフラン中周囲温度で2時間撹拌する。23g(60mmol)の(R)-2-(4-メチルアミノ-3-アミノ-フェニル)-2-tert.ブチルオキシカルボニルアミノ-1-ピロリジノ-プロパノンの添加後、反応混合物を2時間還流させる。蒸留して溶媒を除去し、残留物を320mlの氷酢酸に取り、1時間還流させる。500mlの氷水を添加後生じた固体をろ過し、洗浄し、乾燥させる。収率:理論の96%。
【0036】
i.) (R)-2-(4-シアノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-アミノ-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール
1.3gの(R)-2-(4-シアノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(N-tert.ブチルオキシカルボニルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールを20mlのジオキサンに溶かし、6Nの塩酸を添加後周囲温度で2時間撹拌する。氷を溶液に添加し、アンモニアでアルカリ性にして、酢酸エチルで抽出する。混ぜ合わせた有機抽出物を乾燥させ、エバポレーションで濃縮する。
収率:理論の76%。
【0037】
k.) (R)-2-(4-シアノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(エトキシカルボニルメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール
1.2gの(R)-2-(4-シアノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-アミノ-1-(ピロリジノ-カルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールを20mlのアセトンに溶かし、0.39mlのヨード酢酸エチルと0.56gの炭素カリウムの添加後、混合物を3時間還流させる。反応混合物をろ過し、エバポレーションで濃縮し、残留物を塩化メチレン/エタノール(20:1及び4:1)で溶出するシリカゲル上クロマトグラフ処理する。
収率:理論の75%。
【0038】
l.) (R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(エトキシカルボニルメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール塩酸塩
1.0gの(R)-2-(4-シアノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(エトキシカルボニルメチルアミノ)-1-(ピローリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールを50mlの飽和エタノール性塩酸に溶かし、5時間周囲温度で撹拌する。蒸留して溶媒を除去し、残留物を50mlの無水エタノールに溶かし、2.3g(25mmol)の炭酸アンモニウムと混ぜ合わせる。周囲温度で60時間後、混合物を蒸発乾固させる。残留物を塩化メチレン/メタノール(7:1)で溶出するシリカゲル上クロマトグラフ処理する。
収率:理論の95%。
【0039】
m.) (R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール-塩酸塩
150mgの(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(エトキシカルボニルメチルアミノ)-1-(ピローリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールと2.5mlの2N水酸化ナトリウム溶液を10mlのエタノール中で5時間周囲温度で撹拌する。蒸留してアルコールを除去し、残留物を塩酸でpH5に調整する。結晶性生成物を吸引ろ過し、水で洗浄して乾燥させる。
収率:理論の100%、
C25H31N7O3×2HCl(477.57/550.5)
質量スペクトル:(M+H)+=478
(M-H+HCl)-=512/514(Cl)
(M-H+2HCl)-=448/550/552(Cl2)
【0040】
実施例2:全身性炎症反応症候群(SIRS)の動物モデル:静脈内リポ多糖類刺激(Isobeら Circulation 2001; 104: 1171-1175に従って変更した)
方法1
ラット(オス、約300g CrlGlxBrlHan:Wi)をペントバルビタール(60mg/kg 腹腔内)で麻酔した。麻酔剤を維持するため、ペントバルビタール点滴を設置した(22.5mg/kg/時間 腹腔内)。頚動脈にカニューレを挿入して血液試料を取った。左の頚静脈にカニューレを挿入して本物質を投与し、右の頚静脈にカニューレを挿入してLPSを投与した。(R)-2-(4-)-1-メチル-5-[1-(カルボキシmethylアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール(0.1mg/kg/時間)の投与は、時間t=-60分に連続的な点滴として開始し、実験の最後まで維持した。物質の注入の開始1時間後、時間t=0分にLPSを1回大量瞬時投与した(大腸菌血清型0127:B8 Sigma L-3129のリポ多糖類 5mg/kg 静脈内大量瞬時投与)。血液凝固及び炎症パラメーターを決定するため、(a)プラシーボ又は(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールの注入前(-60分)、(b)LPS大量瞬時投与前(0分)、及び(c)LPSの投与240分後の時に、動脈カニューレで血液を採取した。血液試料から、全身性炎症反応のパラメーターとしてELISAでTAT複合体(トロンビン-抗トロンビン)及びインターロイキン-6(IL-6)を測定した。
【0041】
結果
表1から分かるように、対照条件下では、観察時間を通じて測定したパラメーターに何の変化もなかった。他方、LPSによる刺激は、試験時間の最後に8.6という率のTAT複合体の血漿レベルの有意な増加と、IL-6の約400倍の増加によって示されるように、全身性炎症反応を誘導した(表2)。表3から分かるように、(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールによる処理は、血液凝固カスケードの活性化を阻害した。TAT複合体の血漿レベルは、未処理LPS動物におけるより有意に低く(p<0.02)、かつ対照範囲内である。驚くべきことに、(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールによる処理は、IL-6の血漿レベルの有意な(p<0.02)減少をももたらした(表3)。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】


【0044】
【表3】

活性物質=(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール(塩基)
【0045】
実施例3:全身性炎症反応症候群(SIRS)の動物モデル:静脈内リポ多糖類刺激(Aokiら Drug Res. 50: 809; 2000及びYamazakiら Blood Coag. Fibrinol. 10: 321; 1999に従って変更した)
方法2
ラット(オス、約300g CrlGlxBrlHan:Wi)をペントバルビタール(60mg/kg 腹腔内)で麻酔した。麻酔剤を維持するため、ペントバルビタール点滴を設置した(22.5mg/kg/時間 腹腔内)。左の頚静脈にカニューレを挿入して本物質を投与し、右の頚静脈にカニューレを挿入してLPSを投与した。LPSは4時間連続注入として与えた(大腸菌血清型0127:B8 Sigma L-3129のリポ多糖類 7.5mg/kg/時間)。(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール(0.1mg/kg/時間)は、LPSの注入開始1時間後に連続注入(100μg/kg/時間)として3時間の全持続時間で投与した。炎症パラメーターを決定するため、4時間の全試験時間後に腹部動脈から血液を採取した。血液試料から、全身性炎症反応のパラメーターとしてTAT複合体(トロンビン-抗トロンビン)、インターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン-6(IL-6)及び腫瘍壊死因子α(TNF-α)をELISAで測定した。
【0046】
【表4】

平均値±標準偏差;動物の数が括弧内に示される。
* p<0.05 対 LPS 処理動物;§ p<0.05 対 対照(Tukey Kramer Test)
【0047】
結果
表4に示されるように、LPSの連続注入は、全身性炎症プロセスの指標(TAT複合体、IL-1β、IL-6及びTNF-α)及び臓器損傷のマーカー(ALT及びクレアチニン)の有意な増加を誘導する。(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールによる処理は、驚くべきことに、TAT複合体の有意な減少と、IL-1β、IL-6及びTNF-αの血漿レベルの有意な(p<0.02)低下をもたらした。さらに、(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールで処理した動物において、ALTとクレアチニンは、未処理の対照動物と有意には異ならなかった。
【0048】
これらの結果から、因子Xa/トロンビンインヒビターと組み合わせて(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールで処理すると、全身性炎症反応/SIRS、特にリポ多糖類誘導全身性炎症反応及びセプシスを治療するための効率的療法を構成すると結論することができる。
【0049】
実施例4:医薬製剤
a.) 10ml当たり75mgの活性物質を含有する乾燥アンプル
組成:
活性物質 75.0mg
マンニトール 50.0mg
注射用水 加えて10.0mlにする
方法:
活性物質とマンニトールを水に溶かす。この溶液を充填後凍結乾燥させる。この使用準備のできた溶液を注射用水で仕上げる。
【0050】
b.) 2ml当たり35mgの活性物質を含有する乾燥アンプル
組成:
活性物質 35.0mg
マンニトール 100.0mg
注射用水 加えて2.0mlにする
方法:
活性物質とマンニトールを水に溶かす。この溶液を充填後凍結乾燥させる。この使用準備のできた溶液を注射用水で仕上げる。
【0051】
c.) アンプル溶液
活性物質 2mg
塩化ナトリウム 9mg
注射用水 5ml
【0052】
実施例5:(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールとPAF-AHの組合せ
活性物質として(R)-2-(4-アミジノフェニル-アミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシmethylアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール一塩酸塩を含有する実施例4a)又は4b)の乾燥アンプルをPAF-AH凍結乾燥物(lyophilisate)を含有するバイアルと一緒に混合パッケージに入れる。注入用溶液を調製するため、乾燥物質を注射用水に溶かし、一緒に又は逐次的に注入によって患者に与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)のベンズイミダゾール、
【化1】

(式中、
Arは、任意に、フッ素、塩素若しくは臭素原子、トリフルオロメチル、C1-3-アルキル又はC1-3-アルコキシ基で置換されていてもよいフェニレン又はナフチレン基、
任意に、該炭素骨格内でC1-3-アルキル基によって置換されていてもよいチエニレン、チアゾリレン、ピリジニレン、ピリミジニレン、ピラジニレン又はピリダジニレン基を表し、
Aは、C1-3-アルキレン基を表し、
Bは、酸素若しくはイオウ原子、メチレン、カルボニル、スルフィニル又はスルホニル基、任意にC1-3-アルキル基(該アルキル部分はカルボキシ基で一若しくは二置換されていてもよい)で置換されていてもよいイミノ基を表し、
aは、R1-CO-C3-5-シクロアルキル基(ここで、
1は、C1-3-アルコキシ、アミノ、C1-4-アルキルアミノ又はジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基(各場合に、アルキル部分が、カルボキシ基で置換されていてもよい)、
1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、アルキル置換基が、同時にヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ、N-(C1-3-アルキル)-N-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニル、N-(C1-3-アルキル)-N-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニル、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニルアミノ、1-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ、3-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ又は1,3-ジ-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ基で置換されていてもよい4-〜7-員シクロアルキレンイミノ又はシクロアルケニレンイミノ基、
ヒドロキシ基で置換されている4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基、
任意に、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、2個の隣接炭素原子によってフェニル環が融合している5-〜7-員シクロアルキレンイミノ基、
モルフォリノ、ピペラジノ、N-(C1-3-アルキル)-ピペラジノ、ピロリノ、3,4-デヒドロ-ピペリジノ又はピロール-1-イル基を表す)、
2-CX-C3-5-シクロアルキル基(ここで、
2は、フェニル、ナフチル又は単環式5-若しくは6-員ヘテロアリール基であって、任意に、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該6-員ヘテロアリール基は、1、2若しくは3個の窒素原子を含み、該5-員ヘテロアリール基は、任意に、C1-3-アルキル基、酸素若しくはイオウ原子で置換されていてもよいイミノ基、又は任意に、C1-3-アルキル基と酸素若しくはイオウ原子又は1若しくは2個の窒素原子で置換されていてもよいイミノ基を含み、かつ上記アルキル置換基は、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ又はN-(C1-3-アルキル)-カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ基で置換されていてもよいものを表し、かつ
Xは、酸素原子、C1-3-アルキルイミノ、C1-3-アルコキシイミノ、C1-3-アルキルヒドラジノ、ジ-(C1-3-アルキル)-ヒドラジノ、C2-4-アルカノイルヒドラジノ、N-(C1-3-アルキル)-C2-4-アルカノイルヒドラジノ又はC1-3-アルキリデン基であって、それぞれ該アルキル若しくはアルカノイル部分又は該アルキル及びアルカノイル部分でカルボキシ基によって置換されていてもよいものを表す)、
イミダゾール又はイミダゾロン基で置換されているC1-3-アルキル又はC3-5-シクロアルキル基(ここで、
イミダゾール環は、フェニル若しくはカルボキシ基と1若しくは2個のC1-3-アルキル基、又は1、2若しくは3個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、置換基は同一又は異なっていてよく、かつ上記アルキル置換基の1個は、同時にカルボキシ基で置換されていてもよく、又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ若しくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基によって置換されていてもよく、かつ
イミダゾロン環は、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、アルキル置換基 は、カルボキシ基又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基によって置換されていてもよく、かつ
さらに、2個の隣接炭素原子によって、上記イミダゾール及びイミダゾロン環に、フェニル又はピリジン環が融合していてよい)、
1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、同時にアルキル置換基はカルボキシ基で置換されていてもよいイミダゾリジン-2,4-ジオン-5-イル基、
1-4-アルキル基(ここで、
1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル、HOOC-C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル、テトラゾリル-C1-3-アルキル-Y2、R3NR4又はR3NR4-C1-3-アルキル基及び
イソキサゾリジニルカルボニル基(任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、ピロリノカルボニル、3,4-デヒドロ-ピペリジノカルボニル、ピロール-1-イル-カルボニル、カルボキシ、アミノカルボニル、C1-3-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル又は4-〜7-員シクロアルキレンイミノカルボニル基(上記基中、シクロアルキレンイミノ部分は、1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、かつ同時に各場合に、上記C1-3-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル又はシクロアルキレンイミノカルボニル基のアルキル部分若しくはアルキル置換基は、カルボキシ基で置換されていてもよい)で置換されており、かつ該C1-4-アルキル基の残りの水素原子は、全体的若しくは部分的にフッ素原子で置換されていてもよく、ここで、
3は、水素原子又は任意にカルボキシ基で置換されていてもよいC1-3-アルキル基を表し、かつ
4は、水素原子、C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル-Y2、カルボキシ-C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル-Y2、C1-3-アルキル-Y2又はカルボキシ-C1-3-アルキル-Y2基を表し、或いは
3とR4が、R3とR4の間の窒素原子と一緒に、任意に、カルボキシ、C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基で置換されていてもよい4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基を表し、ここで、
1は、炭素-炭素結合、酸素原子、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、-NH、-NH-CO又は-NH-CO-NH基を表し、かつ
2は、炭素-窒素結合又はカルボニル、スルホニル、イミノ若しくは-NH-CO基を表し、該-NH-CO基の該カルボニル基は、R3NR4基の窒素原子に結合しており、かつ基Y1及びY2の定義で述べたイミノ基は、それぞれさらにC1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、
5NR6基で置換されているC1-3-アルキル又はC3-5-シクロアルキル基(ここで、
5は、水素原子、C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルキル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル又はピリジニル基を表し、かつ
6は、C1-3-アルキル、カルボキシ-C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキルカルボニル基を表す)、
1-3-アルキル基であってC2-4-アルカノイル又はC5-7-シクロアルカノイル基及び塩素、臭素又はヨウ素原子で置換されているC1-3-アルキル基で置換されているものを表し、
bは、水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、かつ
cは、シアノ基又は任意に、1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよいアミジノ基を表し、ここで、
上記基の定義で述べたカルボキシ基は、カルボキシ基にインビボ変換しうる基、又は生理的条件下で負に荷電する基で置換されていてもよく、或いは
上記基の定義で述べたアミノ及びイミノ基は、インビボ分解しうる基で置換されていてもよく、同時に、
カルボキシ基にインビボ変換しうる基は、ヒドロキシメチル基、アルコールでエステル化しているカルボキシ基であって該アルコール部分は、C1-6-アルカノール、フェニル-C1-3-アルカノール、C3-9-シクロアルカノール(同時にC5-8-シクロアルカノールは、さらに1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、3若しくは4位のメチレン基は、酸素原子又は任意にC1-3-アルキル、フェニル-C1-3-アルキル、フェニル-C1-3-アルコキシカルボニル又はC2-6-アルカノイル基で置換されていてもよいイミノ基で置換されていてもよい)C5-8-シクロアルカノールかつ該シクロアルカノール部分は、さらに1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよいもの、C4-7-シクロアルケノール、C3-5-アルケノール、フェニル-C3-5-アルケノール、C3-5-アルキノール又はフェニル- C3-5-アルキノール(但し、酸素原子への結合は、二重結合又は三重結合を有する炭素原子から始まらないことを条件とする)、C3-8-シクロアルキル-C1-3-アルカノール、全部で8〜10個の炭素原子を有するビシクロアルカノールであってさらに該ビシクロアルキル部分で1若しくは2個のC1-3-アルキル基によって置換されていてもよいもの、1,3-ジヒドロ-3-オキソ-1-イソベンゾフラノール又は下記式のアルコール
d-CO-O-(ReCRf)-OH、
(式中、
dは、C1-8-アルキル、C5-7-シクロアルキル、フェニル又はフェニル-C1-3-アルキル基を表し、
eは、水素原子、C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルキル又はフェニル基を表し、かつ
fは、水素原子又はC1-3-アルキル基を表す)である)を意味し、
生理的条件下で負に荷電する基は、テトラゾール-5-イル、フェニルカルボニルアミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニルアミノカルボニル、C1-6-アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、ベンジルスルホニルアミノ、トリフルオロメチルスルホニルアミノ、C1-6-アルキルスルホニルアミノカルボニル、フェニルスルホニルアミノカルボニル、ベンジルスルホニルアミノカルボニル又はペルフルオロ-C1-6-アルキルスルホニルアミノカルボニル基を意味し、
かつイミノ又はアミノ基からインビボ分解しうる基は、ヒドロキシ基、ベンゾイル基(任意に、フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素原子、C1-3-アルキル又はC1-3-アルコキシ基で一若しくは二置換されていてもよく、該置換基は、同一若しくは異なっていてよい)、ピリジノイル基若しくはC1-16-アルカノイル基、3,3,3-トリクロロプロピオニル若しくはアリルオキシカルボニル基、C1-16-アルコキシカルボニル若しくはC1-16-アルキルカルボニルオキシ基(水素原子は、全体的若しくは部分的にフッ素若しくは塩素原子で置換されていてもよい)、フェニル-C1-6-アルコキシカルボニル基、3-アミノ-プロピオニル基(該アミノ基は、C1-6-アルキル若しくはC3-7-シクロアルキル基で一若しくは二置換されていてもよく、かつ該置換基は、同一若しくは異なっていてよい)、C1-3-アルキルスルホニル-C2-4-アルコキシカルボニル、C1-3-アルコキシ-C2-4-アルコキシ-C2-4-アルコキシカルボニル、Rd-CO-O-(RdCRf)-O-CO、C1-6-アルキル-CO-NH-(RgCRh)-O-CO又はC1-6-アルキル-CO-O-(RgCRh)-(RgCRh)-O-CO基(ここで、Rd〜Rfは、前記定義どおりであり、かつ
g及びRhは、同一若しくは異なっていてよく、水素原子又はC1-3-アルキル基を表す)を意味する)、
その互変異性体、立体異性体、混合物及びその塩であって、
任意に、その薬学的に許容しうる酸付加塩の形態でもよく、及び任意に、その水和物又は溶媒和物の形態でもよいベンズイミダゾールの、全身性炎症反応症候群(SIRS)、セプシス及び菌血症から成る群の病気の予防又は治療用医薬組成物製造のための使用。
【請求項2】
使用する前記ベンズイミダゾールが、(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールであり、任意に、その薬学的に許容しうる酸付加塩の形態でもよく、及び任意にその水和物又は溶媒和物の形態でもよい、請求項1記載の使用。
【請求項3】
(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールの一塩酸塩を使用する、請求項2記載の使用。
【請求項4】
その状態が、グラム陽性病原によって引き起こされるSIRS、グラム陰性病原によって引き起こされるSIRS、ウイルスによって引き起こされるSIRS、単細胞真核寄生生物によって引き起こされるSIRS、真菌によって引き起こされるSIRS、臓器不全を伴わないSIRS、臓器不全を伴うSIRS、敗血性ショック、敗血性症候群、膵炎によって引き起こされるSIRS、全身性虚血によって引き起こされるSIRS、臓器限定虚血によって引き起こされるSIRS、外傷によって引き起こされるSIRS、腫瘍病と関連して起こるSIRS、組織損傷によって引き起こされるSIRS、熱傷によって引き起こされるSIRS、長い手術後に起こるSIRS、臓器移植の結果としてのSIRS、様々な種類のショックの結果としてのSIRS、血液損失によって引き起こされるSIRS、心臓血管不全の結果としてのSIRS、免疫媒介臓器不全の結果としてのSIRS、炎症反応の結果としてのSIRS、例えば腫瘍壊死因子α及び/又はβ及び/又は他のサイトカインのような炎症媒介物質による治療の結果としてのSIRSから成り、かつ肺損傷、急性肺損傷及びARDS(急性呼吸困難症候群)、急性心臓血管不全、蘇生後臓器不全、ショック、腎臓不全、心臓血管不全、血液学的損傷、アシドーシス及びSIRSと共に起こる多臓器不全症候群(MODS)からも成る群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
前記医薬組成物を菌血症の付随治療として意図している、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
前記医薬組成物を皮下投与又は非経口的投与、特に静脈内投与用に意図している、請求項1〜5のいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
請求項1及び2で述べた物質の1つに加え、特にアセチルサリチル酸、フィブリノゲン受容体アンタゴニスト、ADP誘導凝集のインヒビター、P2T受容体アンタゴニスト及び結合したトロンボキサン受容体アンタゴニスト/シンセターゼインヒビターのような血小板機能のインヒビターから成り、さらに特にアルテプラーゼ、リテプラーゼ、テネクテプラーゼ、ウロキナーゼ、スタフィロキナーゼ及びストレプトキナーゼのような血栓崩壊活性物質から成り、さらに特にプロテインC、組換えヒト活性化プロテインC、TFPI及び抗トロンビンのような生理活性物質及び凝固系のインヒビター及びそれらの組換え類似体から成り、さらに内毒素に拮抗効果のある物質から成り、かつさらにインターロイキン、TNF、ブラジキニン、プロスタグランジン、シクロオキシゲナーゼ、NO、血小板活性化因子、アセチルヒドロラーゼ、炎症インヒビター、免疫抑制物質、抗生物質及びカテコールアミンから成る群より選択される薬理学的に活性な物質を使用する、請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
(a)下記一般式(I)のベンズイミダゾール、
【化2】

(式中、
Arは、任意に、フッ素、塩素若しくは臭素原子、トリフルオロメチル、C1-3-アルキル又はC1-3-アルコキシ基で置換されていてもよいフェニレン又はナフチレン基、
任意に、該炭素骨格内でC1-3-アルキル基によって置換されていてもよいチエニレン、チアゾリレン、ピリジニレン、ピリミジニレン、ピラジニレン又はピリダジニレン基を表し、
Aは、C1-3-アルキレン基を表し、
Bは、酸素若しくはイオウ原子、メチレン、カルボニル、スルフィニル又はスルホニル基、任意にC1-3-アルキル基(該アルキル部分はカルボキシ基で一若しくは二置換されていてもよい)で置換されていてもよいイミノ基を表し、
aは、R1-CO-C3-5-シクロアルキル基(ここで、
1は、C1-3-アルコキシ、アミノ、C1-4-アルキルアミノ又はジ-(C1-4-アルキル)-アミノ基(各場合に、アルキル部分が、カルボキシ基で置換されていてもよい)、
1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、アルキル置換基が、同時にヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ、N-(C1-3-アルキル)-N-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニル、N-(C1-3-アルキル)-N-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニル、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニルアミノ、1-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ、3-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ又は1,3-ジ-(C1-3-アルキル)-3-(カルボキシ-C1-3-アルキル)-アミノカルボニルアミノ基で置換されていてもよい4-〜7-員シクロアルキレンイミノ又はシクロアルケニレンイミノ基、
ヒドロキシ基で置換されている4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基、
任意に、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、2個の隣接炭素原子によってフェニル環が融合している5-〜7-員シクロアルキレンイミノ基、
モルフォリノ、ピペラジノ、N-(C1-3-アルキル)-ピペラジノ、ピロリノ、3,4-デヒドロ-ピペリジノ又はピロール-1-イル基を表す)、
2-CX-C3-5-シクロアルキル基(ここで、
2は、フェニル、ナフチル又は単環式5-若しくは6-員ヘテロアリール基であって、任意に、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、該6-員ヘテロアリール基は、1、2若しくは3個の窒素原子を含み、該5-員ヘテロアリール基は、任意に、C1-3-アルキル基、酸素若しくはイオウ原子で置換されていてもよいイミノ基、又は任意に、C1-3-アルキル基と酸素若しくはイオウ原子又は1若しくは2個の窒素原子で置換されていてもよいイミノ基を含み、かつ上記アルキル置換基は、カルボキシ、カルボキシ-C1-3-アルコキシ、カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ又はN-(C1-3-アルキル)-カルボキシ-C1-3-アルキルアミノ基で置換されていてもよいものを表し、かつ
Xは、酸素原子、C1-3-アルキルイミノ、C1-3-アルコキシイミノ、C1-3-アルキルヒドラジノ、ジ-(C1-3-アルキル)-ヒドラジノ、C2-4-アルカノイルヒドラジノ、N-(C1-3-アルキル)-C2-4-アルカノイルヒドラジノ又はC1-3-アルキリデン基であって、それぞれ該アルキル若しくはアルカノイル部分又は該アルキル及びアルカノイル部分でカルボキシ基によって置換されていてもよいものを表す)、
イミダゾール又はイミダゾロン基で置換されているC1-3-アルキル又はC3-5-シクロアルキル基(ここで、
イミダゾール環は、フェニル若しくはカルボキシ基と1若しくは2個のC1-3-アルキル基、又は1、2若しくは3個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、置換基は同一又は異なっていてよく、かつ上記アルキル置換基の1個は、同時にカルボキシ基で置換されていてもよく、又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ若しくはジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基によって置換されていてもよく、かつ
イミダゾロン環は、C1-3-アルキル基で置換されていてもよく、アルキル置換基 は、カルボキシ基又は2若しくは3位でアミノ、C2-4-アルカノイルアミノ、C1-3-アルキルアミノ、N-(C2-4-アルカノイル)-C1-3-アルキルアミノ又はジ-(C1-3-アルキル)-アミノ基によって置換されていてもよく、かつ
さらに、2個の隣接炭素原子によって、上記イミダゾール及びイミダゾロン環に、フェニル又はピリジン環が融合していてよい)、
1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、同時にアルキル置換基はカルボキシ基で置換されていてもよいイミダゾリジン-2,4-ジオン-5-イル基、
1-4-アルキル基(ここで、
1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル、HOOC-C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル、テトラゾリル-C1-3-アルキル-Y2、R3NR4又はR3NR4-C1-3-アルキル基及び
イソキサゾリジニルカルボニル基(任意にC1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、ピロリノカルボニル、3,4-デヒドロ-ピペリジノカルボニル、ピロール-1-イル-カルボニル、カルボキシ、アミノカルボニル、C1-3-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル又は4-〜7-員シクロアルキレンイミノカルボニル基(上記基中、シクロアルキレンイミノ部分は、1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよく、かつ同時に各場合に、上記C1-3-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル又はシクロアルキレンイミノカルボニル基のアルキル部分若しくはアルキル置換基は、カルボキシ基で置換されていてもよい)で置換されており、かつ該C1-4-アルキル基の残りの水素原子は、全体的若しくは部分的にフッ素原子で置換されていてもよく、ここで、
3は、水素原子又は任意にカルボキシ基で置換されていてもよいC1-3-アルキル基を表し、かつ
4は、水素原子、C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル-Y2、カルボキシ-C1-3-アルキル-Y1-C1-3-アルキル-Y2、C1-3-アルキル-Y2又はカルボキシ-C1-3-アルキル-Y2基を表し、或いは
3とR4が、R3とR4の間の窒素原子と一緒に、任意に、カルボキシ、C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基で置換されていてもよい4-〜7-員シクロアルキレンイミノ基を表し、ここで、
1は、炭素-炭素結合、酸素原子、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、-NH、-NH-CO又は-NH-CO-NH基を表し、かつ
2は、炭素-窒素結合又はカルボニル、スルホニル、イミノ若しくは-NH-CO基を表し、該-NH-CO基の該カルボニル基は、R3NR4基の窒素原子に結合しており、かつ基Y1及びY2の定義で述べたイミノ基は、それぞれさらにC1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、
5NR6基で置換されているC1-3-アルキル又はC3-5-シクロアルキル基(ここで、
5は、水素原子、C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルキル、フェニルカルボニル、フェニルスルホニル又はピリジニル基を表し、かつ
6は、C1-3-アルキル、カルボキシ-C1-3-アルキル又はカルボキシ-C1-3-アルキルカルボニル基を表す)、
1-3-アルキル基であってC2-4-アルカノイル又はC5-7-シクロアルカノイル基及び塩素、臭素又はヨウ素原子で置換されているC1-3-アルキル基で置換されているものを表し、
bは、水素原子又はC1-3-アルキル基を表し、かつ
cは、シアノ基又は任意に、1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよいアミジノ基を表し、ここで、
上記基の定義で述べたカルボキシ基は、カルボキシ基にインビボ変換しうる基、又は生理的条件下で負に荷電する基で置換されていてもよく、或いは
上記基の定義で述べたアミノ及びイミノ基は、インビボ分解しうる基で置換されていてもよく、同時に、
カルボキシ基にインビボ変換しうる基は、ヒドロキシメチル基、アルコールでエステル化しているカルボキシ基であって該アルコール部分は、C1-6-アルカノール、フェニル-C1-3-アルカノール、C3-9-シクロアルカノール(同時にC5-8-シクロアルカノールは、さらに1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよい)、3若しくは4位のメチレン基は、酸素原子又は任意にC1-3-アルキル、フェニル-C1-3-アルキル、フェニル-C1-3-アルコキシカルボニル又はC2-6-アルカノイル基で置換されていてもよいイミノ基で置換されていてもよい)C5-8-シクロアルカノールかつ該シクロアルカノール部分は、さらに1若しくは2個のC1-3-アルキル基で置換されていてもよいもの、C4-7-シクロアルケノール、C3-5-アルケノール、フェニル-C3-5-アルケノール、C3-5-アルキノール又はフェニル- C3-5-アルキノール(但し、酸素原子への結合は、二重結合又は三重結合を有する炭素原子から始まらないことを条件とする)、C3-8-シクロアルキル-C1-3-アルカノール、全部で8〜10個の炭素原子を有するビシクロアルカノールであってさらに該ビシクロアルキル部分で1若しくは2個のC1-3-アルキル基によって置換されていてもよいもの、1,3-ジヒドロ-3-オキソ-1-イソベンゾフラノール又は下記式のアルコール
d-CO-O-(ReCRf)-OH、
(式中、
dは、C1-8-アルキル、C5-7-シクロアルキル、フェニル又はフェニル-C1-3-アルキル基を表し、
eは、水素原子、C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルキル又はフェニル基を表し、かつ
fは、水素原子又はC1-3-アルキル基を表す)である)を意味し、
生理的条件下で負に荷電する基は、テトラゾール-5-イル、フェニルカルボニルアミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニルアミノカルボニル、C1-6-アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、ベンジルスルホニルアミノ、トリフルオロメチルスルホニルアミノ、C1-6-アルキルスルホニルアミノカルボニル、フェニルスルホニルアミノカルボニル、ベンジルスルホニルアミノカルボニル又はペルフルオロ-C1-6-アルキルスルホニルアミノカルボニル基を意味し、
かつイミノ又はアミノ基からインビボ分解しうる基は、ヒドロキシ基、ベンゾイル基(任意に、フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素原子、C1-3-アルキル又はC1-3-アルコキシ基で一若しくは二置換されていてもよく、該置換基は、同一若しくは異なっていてよい)、ピリジノイル基若しくはC1-16-アルカノイル基、3,3,3-トリクロロプロピオニル若しくはアリルオキシカルボニル基、C1-16-アルコキシカルボニル若しくはC1-16-アルキルカルボニルオキシ基(水素原子は、全体的若しくは部分的にフッ素若しくは塩素原子で置換されていてもよい)、フェニル-C1-6-アルコキシカルボニル基、3-アミノ-プロピオニル基(該アミノ基は、C1-6-アルキル若しくはC3-7-シクロアルキル基で一若しくは二置換されていてもよく、かつ該置換基は、同一若しくは異なっていてよい)、C1-3-アルキルスルホニル-C2-4-アルコキシカルボニル、C1-3-アルコキシ-C2-4-アルコキシ-C2-4-アルコキシカルボニル、Rd-CO-O-(RdCRf)-O-CO、C1-6-アルキル-CO-NH-(RgCRh)-O-CO又はC1-6-アルキル-CO-O-(RgCRh)-(RgCRh)-O-CO基(ここで、Rd〜Rfは、前記定義どおりであり、かつ
g及びRhは、同一若しくは異なっていてよく、水素原子又はC1-3-アルキル基を表す)を意味する)、
その互変異性体、立体異性体、混合物及びその塩から成る群より選択される少なくとも1種の活性物質、及び
(b)特にアセチルサリチル酸、フィブリノゲン受容体アンタゴニスト、ADP誘導凝集のインヒビター、P2T受容体アンタゴニスト及び結合したトロンボキサン受容体アンタゴニスト/シンセターゼインヒビターのような血小板機能のインヒビター、特にアルテプラーゼ、リテプラーゼ、テネクテプラーゼ、ウロキナーゼ、スタフィロキナーゼ及びストレプトキナーゼのような血栓崩壊活性物質、特にプロテインC、組換えヒト活性化プロテインC、TFPI及び抗トロンビンのような生理活性物質及び凝固系のインヒビター及びそれらの組換え類似体、内毒素に拮抗効果のある物質、インターロイキン、TNF、ブラジキニン、プロスタグランジン、シクロオキシゲナーゼ、NO、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ、炎症インヒビター、免疫抑制物質、抗生物質及びカテコールアミンから成る群より選択される少なくとも1種の薬理学的に活性な物質
を含有する医薬組成物。
【請求項9】
(a)任意に薬学的に許容しうる酸付加塩の形態及び任意にその水和物又は溶媒和物の形態でもよい、(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール、及び
(b)PAF-AH又はPAF-AH誘導体
を含有する、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
少なくとも
(a)任意に薬学的に許容しうる酸付加塩の形態及び任意にその水和物又は溶媒和物の形態でもよい、(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール、及び
(b)PAF-AH又はPAF-AH誘導体
を含有する医薬キット。
【請求項11】
少なくとも
(a)任意に薬学的に許容しうる酸付加塩の形態及び任意にその水和物又は溶媒和物の形態でもよい、(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾール、及び
(b)腫瘍壊死因子α(TNF-α)アンタゴニスト
を含有する医薬キット。
【請求項12】
PAF-AH若しくはPAF-AH誘導体又はTNF-αアンタゴニストの、(R)-2-(4-アミジノフェニルアミノメチル)-1-メチル-5-[1-(カルボキシメチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンズイミダゾールと併用する医薬組成物を製造するための使用。

【公表番号】特表2006−514603(P2006−514603A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−514727(P2004−514727)
【出願日】平成15年6月16日(2003.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2003/006318
【国際公開番号】WO2004/000310
【国際公開日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【出願人】(503137975)ベーリンガー インゲルハイム ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (129)
【Fターム(参考)】