説明

公差補正取付け装置

本発明は、雌ネジ(102)および雄ネジ(104)を有するブッシング(101)を備える公差補正取付け装置(100)を含む。ブッシングは面に取り付けられるように部品(P)に螺入される。そしてボルト(200)は雌ネジを用いてブッシングボア内へと螺入される。雌ネジ(102)は、ボルト軸とネジとの間の干渉的嵌合を生じる。ボルト(200)はその後、更に回転され、それによりブッシング(100)を回転させ、ブッシングを部品(P)から取付け面に向けて、ブッシングが取付け面に装置されるまで回転し抜き取り、それにより公差ギャップを完全に補正する。ボルトが更に比較的低いトルクで回転されると、捨て雌ネジ(102)は取り除かれ、ボルトは取付け面の穴に十分捩じ込まれることが可能となり、それにより、公差ギャップを補正しながら適正なトルク連結で構成部品を同時に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締付け装置(fasting device)に関し、特に部品の連結に使用され、同時に部品間の嵌め合い公差を補正(補償)する公差補正取付け装置(tolerance compensating mounting device)に関する。
【背景技術】
【0002】
装置の部品の組み立ては、取付け位置に隙間をもたらす部品間の寸法差などの公差により悪影響を受ける可能性がある。それらは、常に除去できるわけではなく、組み立てられた装置において許容されるだけである。また公差は2つよりも多い部品が特定の位置で連結されるとき「累積(stack)」される可能性があり、著しい寸法の偏り、すなわち隙間(ギャップ)を発生し得る。
【0003】
公差は状況に応じて、ミリメータ単位の端数の極めて小さいかもしれないし、数ミリメータの非常大きいものかもしれない。大きな公差は一般に製造コストを下げる。
【0004】
公差を除去する、あるいはそれらを組み立てられた装置において補正する試みが従来技術においてなされている。これらは通常、接合される部品の嵌合面の間の隙間を埋めるシムやネジ型の装置を備える。シムやネジ型装置は、一般にファスナとは別個の部品である。
【0005】
この技術の代表は、ルーカート(Ruckert)等の米国特許第4,682,906号(1987)であり、これは隙間の中にスペーサーディスクを装置し、その外側舷側を1つの構成部品(structural parts)に対して接触させて嵌め直しを行なうことにより、互いに離接された構成部品をクランプ連結する装置を開示する。
【0006】
また、この技術の代表は、ライハット(Leicht)等の米国特許第5,501,122号であり、これは接合される複数の構成部品の穴を整列するための対となる円錐装置を開示する。この装置はボルトにより連結される一組の円錐形の構造物を備える。
【0007】
従来技術は、全体として構成部品に望ましくない応力を引き起こすことなく、適正にトルクを掛け、あるいはクランプして構成部品を接合するとともに、平面取付け面間の公差を補正するという課題を解決するものではない。従来技術は、同一平面を共有しない接合面を有する構成部品を適正に接合させることもしない。従来技術は、公差ギャップ、すなわち取付け面間の隙間を、組立過程の一部として自動的に補正するファスナを提供するものでもない。
【0008】
必要とされているのは、構成部品を連結すると同時に、ネジ付ブッシングを用いて連結される構成部品間の隙間、すなわち公差ギャップを完全に補う装置である。必要とされているのは、ネジ付きファスナを用いて連結される構成部品間の公差ギャップを完全に補う装置である。必要とされているのは、取付けの際に自動的に公差ギャップを補正する装置である。本発明はこれらの要求に合致する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の課題は、連結される構成部品間の公差ギャップ、すなわち組立クリアランスを構成部品を連結するときに、ネジ付きブッシングを用いて完全に補正する公差補正取付け装置を提供することである。
【0010】
本発明の別の課題は、ネジ付きファスナを用いて連結される構成部品間の公差ギャップを完全に補正する公差補正取付け装置を提供することである。
【0011】
本発明のその他の目的は、本発明の以下の説明と添付された図面により指摘され明らかとされる。
【0012】
本発明は、雌ネジおよび雄ネジを有するブッシングを備える公差補正取付け装置を含む。ブッシングは面に取り付けられる部品の中に螺挿される。雌ネジは、ボルト軸(bolt shrank)とネジとの間の干渉的嵌合(interference fit)をもたらす。そしてボルトは回転され、これによりブッシングが回転され、ブッシングは部品から取付け面に向けてブッシングが取付け面に押し付けられるまで回転して抜き取られ、それにより公差ギャップを完全に補正する。ボルトが更に回転されると、捨て雌ネジ(sacrificial internal threads)は、ボルトが取付け面の穴に十分に捩じ込まれるように取り除かれ、それにより公差ギャップを補正しながら構成部品を同時に連結する。
【0013】
本明細書に組み込まれるとともにその一部を構成し、番号等が部品等を指し示す添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明文とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は公差補正取付け装置の断面図である。本発明の装置100は、ブッシング101を備える。ブッシング101は、実質的に円筒形である。ブッシング101は、ネジを備えた表面特徴部(surface feature)102を備える。表面特徴部102は、ここで説明されるように、ファスナと係合するためのこの面の隆起部であってもよい。好ましい実施形態では、表面特徴部はネジ102を備える。
【0015】
ネジ102は、従来この分野で知られている如何なる形式の略2つのピッチのネジを備えていてもよい。またブッシング101は、主軸に沿って、ブッシング101の長さ方向に延びるボアすなわち穴103を備える。ボルト200は、穴103を通してブッシング101に係合する。ボルト200は、ネジ102と係合する(図4参照)。ネジ102の雌ネジの谷の径(internal minor diameter)は、穴103の内径よりも小さく、ネジ102はボルト200が穴103の表面と係合することなくボルトと係合することができる。
【0016】
ブッシング101は、好ましい実施形態では金属材料からなる。しかし、接合部品間に不伝導絶縁体が求められる状況や低トルクの適用が求められる状況での利用には、例えばセラミックやプラスチックの複合物などの非金属材料であってもよいことが分かるであろう。
【0017】
ブッシング101は、また雄ネジ104を備える外周面を有する。ネジ104は、ブッシング101の外周面の長さLに沿って延在する。
【0018】
ブッシング101は、更に、レンチや指を用いて工具の取り付けを可能とする主軸に平行な対称的な複数のフラット(平坦部)105を備える(図2および図3参照)。フラットは、従来知られているナットやボルトヘッドと同様の形状を呈する。またフラットは、手、すなわち指でブッシングが回転できるように、セレーションが設けられた面(knurled surface)や平滑な円筒面で置き換えられてもよい。
【0019】
図4では、ボルト200を持たない装置100が初めに部品Pに螺入されている。ネジ104は、部品PのネジFTと係合する。好ましい実施形態では、ブッシング101は面106が部品Pに係合するまで螺入される。面106は実際に部品Pに接触する必要はないが、係合はブッシング101が部品Pに完全に挿入されたことを示すのに具合がよい。また、ブッシング101は、それが完全に挿入されたときに部品Pから部分的に長さA突出し、ネジ104の最大の係合を確実にすることが好ましい。その後、ボルト200がボルト軸(bolt shrank)、すなわちボルトネジ202の端部がネジ102と係合するまで、穴103螺入される。ボルト軸(shrank)の径D1はネジ202の径D2よりも大きい(図7参照)。これは、ボルト200とネジ102の間の干渉的嵌合をもたらし、一時的にボルト200のブッシング101への更なる挿入を防止する。
【0020】
部品Pは、その後取付け面Mに直列され、それによりボルト200は穴MHと直列される。
【0021】
別の実施形態では、ロクタイト(Loctite)2015(商標)などの接着剤がボルトネジ202に塗られる。この接着剤は一時的にボルトネジ202をネジ102にくっ付けておくのに用いられる。この実施形態では、上述したように、ブッシング101は初めに部品Pに挿入される。ボルトネジ202の一部には、接着剤が塗られる。ボルト200は、ブッシュに螺入され、そしてネジ102に螺合される。接着剤は一時的にボルトネジ202をブッシュネジ102に確りと留める。その後ボルト200は回転され、これによりブッシング101も同様に回転される。ボルト200は、面107が取付け面Mに係合するまで回転され、これはブッシング101が回転を止める位置である。その後接着剤は、ボルトに更らに掛けられるトルクに対して剪断力を維持できず、ボルトはそれが十分に穴MHと係合するまで回転し続けられる。
【0022】
図5では、ボルト200が更に回転され、これはボルト200とネジ102との間の干渉により、部品Pからブッシング101を回転して抜き取る効果をもつ。ブッシング101は、ボルト200とともに面107が取付け面Mに係合するまで回転される。そして、ネジ102を歪ませ、あるいは取り除き、破壊するのに十分な更なる低トルクがボルト200に掛けられる。当業者であれば、この説明からネジ102が比較的「柔らかい」ものであり、それ自体はボルト200でブッシングが取付け面に装置されるまでブッシング101を回転する手段を提供するために犠牲的(sacrificial)であることが理解できるであろう。同様の結果は接着剤、短い干渉長さ(short interference length)、あるいはポリマー挿入物(polymeric insert)など、穴103内の如何なるもの、そしてボルト軸を一時的にグリップし、ブッシング101がボルト200とともに回転可能とする如何なるものによっても得ることができる。
【0023】
更なる実施形態は、1つのネジが僅かに変形されて、そのネジが僅かに「固い(stiff)」くなり、ボルトネジ202との摩擦係合(frictional engagement)を発生させるというバリエーションのネジ102を備えるものであってもよい。
【0024】
ボルトネジの上方部は取付け穴MH内のネジと係合することが期待されていないので、ブッシング101が取付け面に装置されると、ネジ102と係合するボルト200のネジは、部分的あるいは完全に変形、あるいは取り除かれる。
【0025】
別の実施形態では、ボルト200の径D1は、ボルト軸のネジ202から限られた距離にのみ延在してもよい(図7参照)。前と同様に、ネジ102は、ボルト軸の幅広の部分により取り除かれる。ボルトが取付け面に螺入されるとき、ボルト軸の径が狭められた部分はボルト軸と取り除かれたネジ102との間に、トルクが生じる係合が更に起こることを防止する。これは、ボルトが取付け面の中へ十分に捩じ込まれるにしたがって、望まれないトルク(errant torque)が残留する(registerされる)ことを防止する。
【0026】
ネジ102を取り除くためにボルト200に掛けられるトルクは、部品Pに予め負荷を与える効果もある。本発明のこの特徴は、部品と組立体全体を確りと固定するのに役立つ。予め与えられる負荷の大きさは、ネジ102を取り除くのに要求されるトルクに基づいて調整可能である。
【0027】
ブッシング面107が取付け面Mに係合すると、トルクはボルトに掛かり、捨てネジ102を機能しなくする。ボルト200は、その後、ボルトフランジ201が部品Pのベアリング(押圧)面に係合するまで、取付け面Mのネジ穴MHに十分に螺入される。そしてボルト200は、適用に応じて適正なトルク値まで捩られる。公差ギャップがブッシングにより自動的かつ完全に埋め合わされることが理解されるであろう。
【0028】
図6は、図5の線6−6に沿ったファスナの平面図である。フランジ201が示されている。フランジ201はユーザにより要求される如何なる幅のものであってもよい。
【0029】
図4および図5に見られるように、著しい公差Tは、本発明の装置を用いて、取付け部品を取付け面に装着するときに埋め合わされる。この装置は、取り付けられる構成部品すなわち取付け部品に望まれない撓み(すなわち歪負荷)を与えることなく実行される、確りとした、適正にトルクが掛けられたボルト連結を可能とする。
【0030】
本発明の工具は、多くの場合において、公差累積(すなわち、実際には大きな公差を利用可能とするため)の影響を取り除くのに用いることができる。例えば、公差を十分に補正しながら構成部品の容易な組立を可能とするために大きな隙間(クリアランス)が必要な場合である。本発明の装置は、取付け面である基準面(primary surface)に対してバラバラな角度(odd angles)にある面にネジ止めするときときはもちろん、異なる平面に含まれる面同士をネジ止めする場合にも、公差を補正するために使用することができる。
【0031】
なおまた、本発明の装置は、別の実施形態において、「逆転」させることができる。図7は別の実施形態の断面図である。部品内にボルト付けするために捩じ込まれる代わりに、それはネジ104を用いて取付け面の穴に捩じ込まれる。この場合、雄ネジ104は左巻きである。変形例として、摩擦部品(frictional fitting)は、図示はされないがネジ102の代わりに、穴103に挿入されボルト200を摩擦によりグリップし、それによってボルトが回転されるとブッシングが回転して抜き取られ、すなわちブッシングが部品に係合するまで公差クリアランスを塞ぐように取付け面から抜き出される。摩擦部品の実施形態は、最小のトルクしか要せず、ブッシングが装置されるとボルトが更に取付け面に捩じ込まれることが容易に理解される。
【0032】
ブッシング101と部品Pが面108に対して装置されると、ネジ102は上述のように取り除かれ、そしてボルト200が完全に捩じ込まれる。
【0033】
また、別の実施形態では、ネジ102はボア103の全長に渡って延在し破壊されない。ネジ102は、ネジ104に対して逆巻きである。本実施形態では、ブッシング101は、最初に左巻きのネジ104を用いて取付け穴MHに螺入される。その後、ボルト200が部品Pの穴PHを通して挿入され、ボア103に挿入される。本実施形態では、部品Pは穴にネジを備えておらず、ボルト200は取付け面の穴とも螺接しない。ブッシング101が、ボルト200の回転操作により取付け面Mから回転して抜かれると、ブッシング面108は部品Pと係合する。ボルト200はその後十分にブッシング101に螺入される。左巻きのネジ104は、ボルト200が十分に適正な位置まで捩じ込まれると取付け穴MHに係合する。ネジ連結の分野で知られているように、連結の十分な強度を発揮するためには、全ネジの最小限の数のネジが穴MHに係合する必要があることが理解される。
【0034】
当業者であれば、ブッシング101が、それを部品に取り付ける場合や、それが公差クリアランスTを補正するために回転されるときに、手や、工具すなわちフラット105を利用したレンチを用いて回転され得ることも理解されるであろう。
【0035】
図8は、本発明の第3実施形態を図示する。ブッシング300は、実質的に円筒形であり、ブッシング300の主軸に沿って延在するボアすなわち穴303を有する。雄ネジ304はブッシング300の外周面に沿って延在する。この実施形態では、ネジ304は右巻きである。ブッシングは装置の一方の端部には、手動で係合するための、すなわち螺合するためのフラットあるいはセレーションのある面305が設けられる。ボルト200は、穴303を通してブッシングに係合する。使用に際しては、構成部品Pは取付け面Mに対して実質的に最終組立位置に配置される。そして、ボルト200が穴303に挿入されたブッシング300は、ネジ315を用いて構成部品Pに面307が取付け面Mに係合するまで螺入される。ブッシング300は手動で回転されるか、捨てネジ315、あるいは他の実施形態において説明されたように、ボルト200を係合し、それによりボルト200がブッシング300を回転させる他の摩擦介装物(frictional insert)により回転されてもよい。ブッシング面307が取付け面Mに係合すると、ネジ310はボルト200の更なる回転により取り除かれ、そしてボルト200は十分に取付け面Mに螺入される。ボルト200は、ボルト200のヘッドが完全にブッシング面308と係合すると十分に回転される。
【0036】
図9は、図8の線9−9に沿った平面図である。工具などを係合するためのフラット305が図示される。
【0037】
図10は、別の実施形態の側断面図である。ブッシング101とボルト200は、以下の部分を除いて、これまでの図面で説明されたものと同様である。ボルト200は、1つ以上の放射状に突出するスプライン2000を備える。スプライン2000は、ネジ202の外径よりも大きい外径を有する。
【0038】
図11は、図10の詳細図である。ブッシング101は、穴103の内周面に配置される肩部(shoulder)1000を備える。肩部1000は、スプライン2000の外径よりも小さい内径を有する。
【0039】
使用時には、ブッシング101が部品Pに挿入されると、スプライン2000が肩部1000と接触するまでボルト200が穴103に圧入される。ボルト200は更に、スプライン2000が部分的に肩部1000に食い込むのに十分な力で、軸方向に穴103へと圧入される。このような方法でスプライン2000が肩部1000と係合すると、ブッシング101は回転ボルト200により回転される。ブッシング101は、面107がMに係合すると回転を止める。更にトルクがボルト200に掛けられるとスプライン2000は剪断変形され、それによりボルト200は十分にMに螺入することが可能となり、それにより図5に示されるように完全にPに係合する。
【0040】
スプライン2000は、幾分円錐形状をなし、ボルトの中止線A−Aに対して角度αで配置される。角度αは、スプライン2000が図10に示される初期係合において肩部1000を完全に通り過ぎるまで移動されずに、所定の位置までスプライン2000が肩部1000と漸進的に係合することを可能にする。
【0041】
ネジ202の外径は、ボルト200を挿入する際にネジ202の肩部1000との接触を防止するために、肩部1000の内径よりも小さい。これはまた、ボルト200のX−Y移動の自由度を高め、それにより穴MHとの位置決め特性を高める。
【0042】
図12は、図11の線12−12での断面図である。スプライン2000は、ボルト200から肩部1000に向けて放射状に突出し、肩部1000と係合して示されている。別の実施形態では、スプライン2000を受容するスロットが肩部1000に予め刻設されていてもよい。
【0043】
図13は、図10に示された別の実施形態の側断面図である。肩部1000はボア103の内周面から突出して示されている。肩部1000は、等価な結果をもたらす範囲で、内周面の一部分にのみに渡って延在してもよい。肩部1000と単数または複数のスプライン2000との間の係合は、部品P内のブッシングの回転摩擦に打ち勝つのに十分な程度に、ボルト200がブッシング101にトルクを伝達するのに十分であればよい。
【0044】
図14は、図13の線14−14における平面図である。
【0045】
図15は、別の実施形態の断面図である。カラー500は、ボルトネジ202とブッシングボアの内周面108の間でそれぞれに係合する。カラー500は、外周面501とネジ502とを備える。ネジ502は、予め刻設されていてもよいし、ネジ202の作用により刻設されてもよい。カラー500は環状形状である。
【0046】
使用時、カラー500は回転され、すなわちネジ202に螺接され、これはボルト軸の端部203との接触を含んでいてもよい。ボルト軸端部203との接触は、ボルトに沿った更なるカラー500の如何なる移動をも制限する。そして、カラー500とともにボルト200はボア103に挿入される。カラー500の外径は、カラー500の外周面501とブッシング101の内周面との間の摩擦係合を発生させるために、ボア103の内径と等しいか、それよりも少し大きい。ボルト200が穴MHに捩じ込まれると、カラーの外周面501のブッシング101の内周面との間の摩擦係合は、ブッシング101を回転させる。ブッシング101が回転すると、ブッシング101は軸方向に移動し、面107は取付け面Mと接触する。そしてブッシング100は、ボルト200がその後取付け穴MHに十分に螺入されると回転を止める。ブッシング101が取付け面Mと係合すると、カラー500は内周面108に沿って単にスライドする。ネジ104の方向(sense)すなわち向き(direction)は、ネジ202のものと同様である。ネジ104と202は、右巻きでも左巻きでもよい。
【0047】
カラー500は、ネジ202によって刻設可能であり、ボルト200の回転においてブッシング101を回転させるのに十分な面501の外周面における摩擦係数を有するものであれば、如何なる材質であってもよい。カラー500は、ナイロンなどのプラスチック素材やそれと等価な如何なるものであってもよい。
【0048】
またカラー500は、カラー500とボルトネジ202との間の摩擦嵌合を発生させるのに十分小さい内径を有する。摩擦嵌合は、上述したように、外周面501と内周面108との間にも存在する。このようなカラーとボルトネジとの間の摩擦嵌合は、ブッシング101がボルト200の回転により回転するために、カラー500がボルト軸端部と係合することを必要としない。
【0049】
図16は、図15の変形実施形態において使用されるカラーの断面斜視図である。カラー500は、ボルトネジ202と係合した後にそこに刻設されたネジ502を有するものとして示されている。上述したように、ネジ502は、予め刻設されていてもよい。外周面501は、ブッシング101の内周面108と摩擦係合する。
【0050】
ここでは、本発明の1つの形態について説明されたが、当業者にとっては、ここで説明された本発明の精神と範囲を逸脱することなく、その構成や構成部の関係を様々に変形できることは容易である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】公差補正装置の断面図である。
【図2】図1の線2−2における平面図である。
【図3】図1の線3−3における平面図である。
【図4】本発明の装置の側断面図である。
【図5】本発明の装置の側断面図である。
【図6】図5の線6−6における平面図である。
【図7】別の実施形態の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態を示す。
【図9】図8の線9−9に沿った平面図である。
【図10】別の実施形態の側断面図である。
【図11】図10の詳細図である。
【図12】図11の線12−12における断面図である。
【図13】図10に示された別の実施形態の側断面図である。
【図14】図13の線14−14における平面図である。
【図15】別の実施形態の断面図である。
【図16】図15の別の実施形態において使用されるカラーの断面斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面にネジを有し、ファスナを受容する内側ボアが形成され、前記ボアが主軸に対し平行な実質的に円筒状の本体と、
前記円筒状の本体の一方の端部において、主軸に対し実質的に垂直に延出する第1の面と
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記内側ボアが、前記内側ボアの一部に表面特徴部を備え、前記表面特徴部が内側ボア径よりも小さい径を有し、それにより前記表面特徴部がファスナと係合することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ファスナが前記表面特徴部と係合可能なネジ付ファスナであることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ネジ付ファスナが、取付け面の穴と係合可能であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記表面特徴部が、捨てネジを備え、それにより干渉的係合がネジ付ファスナ部により起こり、前記捨てネジは更なるネジ付ファスナ部の挿入により変形されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
ネジ付ファスナは更に、ファスナ主軸に対して垂直に延在する第2の面を備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記本体が更に、前記本体を回転させる主軸に対して平行な対称的に配置された係合面を備えることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記内側ボア面が更に、ファスナと係合するためのネジを有する特徴を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記雄ネジが、前記内側ボア面に設けられたネジに対して逆巻きであることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記雄ネジが左巻きのネジであることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記本体が金属材料からなることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記本体が非金属材料からなることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項13】
前記内側ボア面が更に、ファスナと摺動係合するための摩擦面を備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項14】
ファスナと、
部品と係合するためのネジを外周面に有し、前記ファスナを受容するための内側ボアが形成され、前記ボアが主軸に対して平行である実質的に円筒状の本体と、
前記円筒状の本体の一方の端部において、取付け面と係合するために、主軸に対し実質的に垂直に延出する第1の面とを備え、
前記内側ボアが、前記内側ボアの一部に表面特徴部を有し、前記表面特徴部が摩擦面を備え、ファスナと係合するために内側ボア径よりも小さい径を有し、前記ファスナが更に取付け面の穴と係合可能であり、
前記ファスナが更に、部品と係合するため、ファスナ主軸に対して垂直に延在する第2の面を備えることを特徴とする取付けブッシング。
【請求項15】
前記ファスナの一部が螺刻されていることを特徴とする請求項14に記載のブッシング。
【請求項16】
部品と係合するためのネジを外周面に有し、前記ファスナを受容するための内側ボアが形成された実質的に円筒状の本体と、
前記円筒状の本体の一方の端部において、取付け面と係合するために、主軸に対し実質的に垂直に延出する第1の面とを備え、
前記内側ボアが、その一部に表面特徴部を有し、前記表面特徴部はファスナと摩擦係合をするためのものであることを特徴とする取付けブッシング。
【請求項17】
構成部品に設けられた協働する螺旋状のネジとの係合のための螺旋状のネジを外周面に有し、更にファスナを受容するためのボアが形成されたブッシングを備え、前記ブッシングの前記構成部品内での回転が前記ブッシングの軸方向位置を決定し、
更に、別の構成部品と係合するためのブッシング面と、
ファスナネジを有するファスナと、
前記ファスナネジとボア面とに係合される部材とを備え、前記ファスナの回転が前記ブッシングを前記別の構成部品上のベアリング位置へと捩じ込む
ことを特徴とする公差補正装置。
【請求項18】
前記部材が環状形状を有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記部材がボアを有し、前記ボアが前記ファスナと協働的に係合するためのネジを有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
外周面にネジを有し、ファスナを受容する内側ボアが形成された実質的に円筒状の本体と、
前記円筒状の本体の一方の端部において、主軸に対し実質的に垂直に延出する第1の面とを備え、
前記内側ボアがファスナと係合するための捨てネジを有する
ことを特徴とする装置。
【請求項21】
前記外周面に設けられた前記ネジが前記捨てネジと逆巻きであることを特徴とする請求項20に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2006−502360(P2006−502360A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543340(P2004−543340)
【出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2003/029907
【国際公開番号】WO2004/033926
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】