説明

共役ジエンを重合させるのに使用する触媒系の連続製造方法および該方法を実施するための装置

本発明は、少なくとも1種の共役ジエンモノマーの重合において使用し得る触媒系の連続製造方法に関し、該触媒系は、共役予備成形ジエン;有機リン酸の1種以上の希土類金属の塩(この塩は、脂肪族または脂環式タイプの少なくとも1種の不活性炭化水素溶媒中の懸濁液中に存在する);式AlR3またはHAlR2を有するアルキルアルミニウムを含むアルキル化剤;およびアルキルアルミニウムハライドを含むハロゲン供与体を少なくともベースとする。本発明方法は、1ライン(L)において、以下の連続工程、即ち、(i) 上記予備成形用共役ジエンと上記希土類塩溶液および上記アルキル化剤との反応、並びに、少なくとも1基の良好混合型ダイナミックミキサーからなるアルキル化反応器(30)内での、少なくとも5分間の特徴的最低時間の連続アルキル化反応工程;および(ii) 前記ハロゲン供与体を(i)で得られた混合物に添加して、予備成形した触媒系のハロゲン化/エージングのための反応を生じさせ且つ上記ライン(L)の出口において前記予備成形した触媒系を連続生成させる工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、少なくとも1種の共役ジエンモノマーを重合させるのに使用し得る触媒系の連続製造方法、および該方法を実施するための装置に関する。
(背景技術)
本出願人名義の特許文献WO-A-02/38636号およびWO-A-03/097708号は、共役ジエンを重合させるために、少なくとも下記をベースとする“予備成形”タイプの触媒系を使用すること教示している:
‐ブタジエンのような、予備成形用共役ジエン;
‐少なくとも1種の飽和の脂肪族または脂環式不活性炭化水素系溶媒中の懸濁液中にある1種以上の希土類金属の有機リン酸塩;このまたはこれらの希土類金属は、上記触媒系中に、例えば、0.02モル/lにほぼ等しい、好ましくは0.01〜0.06モル/lの範囲の濃度で存在する;
‐式AlR3またはHAlR2 (式中、Rは、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を示し;Hは、水素原子を示す)を有するアルキルアルミニウムを含むアルキル化剤;および、
‐アルキルアルミニウムハライドからなるハロゲン供与体。
これらの文献に記載されている触媒系は、同じ反応器において下記の工程を実施することによるバッチ方式において製造している:
‐第1の必要に応じての溶媒和工程においては、希土類元素(1種以上)の上記塩の懸濁液を、上記不活性炭化水素系溶媒中で調製する;
‐第2工程においては、上記共役ジエンを第1工程において得られた懸濁液に添加するか、或いは、第1工程を実施しない場合、上記溶媒を上記共役ジエンと一緒に上記塩に添加している;
‐アルキル化の第3工程においては、上記アルキル化剤を上記第2工程の終了時に得られた懸濁液に添加してアルキル化塩を得ている;
‐ハロゲン化の第4工程においては、上記ハロゲン供与体を上記アルキル化塩に添加して、上記共役ジエンのプレポリマーを調製する高発熱反応を生じさせている;そして、
‐エージングの第5工程においては、そのようにして得られた混合物を約60℃の一定温度に1〜2時間維持して予備成形された触媒系を得ており、これを、典型的には、−15℃の温度で貯蔵している。
【0002】
バッチ方式において予備成形触媒系を製造するこの方法の主たる欠点は、必要とする数時間のサイクル時間以外に、触媒系中の希土類元素(1種以上)の最終濃度を増大させるように設計する場合、後者に従って、予備成形用共役ジエンの濃度を増大させる必要があり、それによって予備成形工程の発熱量の増大を生じ、この発熱量の増大は、制御するのが困難であり、おそらくは、触媒系の活性に対して或いは装置の安全性に対してさえも有害である。
上記の発熱量を最小にするために、この触媒系の合成において比較的長いサイクル時間を、さらには、上記系中で低めた濃度の希土類元素(1種以上)を使用する必要性は、この合成を比較的大容積を有する反応器において実施するに至らしめている。
バッチ方式でのこの合成方法のもう1つの欠点は、所定の条件下で得られる触媒系の良好な再現性を、さらにまた、このバッチ方法と、例えばポリブタジエンまたはポリイソプレンを得るための連続方式で実施する重合との最適の組合せを達成する困難性にある。
特許文献US-A-2004/0116638号は、そのような触媒系を連続方式で製造でき得ることを、重合反応器に共役ジエンを供給する供給ラインにおいて、−20〜80℃の温度で、溶液中の予備成形用共役ジエンをアルキル化剤と、次いで、そのようにして得られたアルキル化生成物を希土類元素(1種以上)の塩と、その後最後にハロゲン供与体と接触させ、それによって得られた予備成形触媒系を、上記反応器に、ハロゲン供与体の添加から出発して10分未満の時間で連続方式にて導入することによって説明している。
後者の文献は、その唯一の実施例においては、上記触媒系のそのような連続方式の合成の実施について説明していないが、ポリジエン類の合成は記載しており、その本質的な特徴は、連続方式反応器内で、諸成分の理想的でない流量流を維持して、所定の言及時間で反応器に入る10%の諸成分が連続方式反応器内に初期滞留時間とは異なる時間t1で存在するようにすることからなることに留意されたい。
少なくとも1種の共役ジエンの重合用の、とりわけ、重合反応器に少なくとも1種の共役ジエンを連続供給し、該反応器から、ポリマーを連続回収するための希土類金属(1種以上)の塩をベースとする触媒系の連続製造方法を有することが求められている。
【0003】
(発明の開示)
本発明の目的は、予備成形触媒系のバッチ方式での製造方法に関連する上記の欠点を、少なくとも1種の共役ジエンモノマーの好ましくは連続重合用の触媒系の連続製造方法を実施することによって改善することであり、上記触媒は、
‐予備成形用共役ジエン;
‐少なくとも1種の飽和の脂肪族または脂環式不活性炭化水素系溶媒中の溶液中に存在する、1種以上の希土類金属(メンデレエフの元素周期表の原子番号57〜71を有する金属類)の有機リン酸塩;
‐式AlR3またはHAlR2 (式中、Rは、好ましくは1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を示し;Hは、水素原子を示す)を有するアルキルアルミニウムを含むアルキル化剤;および、
‐アルキルアルミニウムハライドを含むハロゲン供与体;
を少なくともベースとし、上記方法は、好ましくは連続方式で操作する重合反応器における1供給ライン(L)で下記の工程を連続して含むことを特徴とする:
(i) 完全撹拌タイプの1基以上のダイナミックミキサーからなるアルキル化反応器内で、上記予備成形用共役ジエン、希土類元素(1種以上)の上記溶液および上記アルキル化剤を反応させ、該アルキル化反応を、少なくとも5分間の特徴的最低時間で実施する工程;
(ii) 上記ハロゲン供与体をアルキル化工程(i)で得られた反応生成物に添加して、ハロゲン化により得られる予備成形触媒系のハロゲン化-エージングのための反応を生じさせ且つ上記ライン(L)の出口において上記予備成形触媒系を連続生成させる工程。
【0004】
“反応生成物”なる表現は、各構成成分の混合物、各構成成分の反応生成物、またはこれら2つの混合物を意味するものと理解されたい。
本発明に従う連続方法の関連において、ライン(L)は、希土類元素(1種以上)の塩を溶解する反応器からまたは希土類元素(1種以上)の塩溶液を貯蔵する貯蔵容器から少なくとも1種の共役ジエンモノマーを重合させるための好ましくは連続方式の重合反応器の入口へ至る上記装置における供給ラインである。
本発明に従う連続方法は、上記ライン(L)の出口において、上記共役ジエン、上記塩、上記溶媒、上記アルキル化剤および上記ハロゲン供与体をベースとし、且つ少なくとも1種の共役ジエンモノマーを、工業的装置において、上述の文献WO-A-02/38636号およびWO-A-03/097708号に従うバッチ方式で合成した予備成形触媒系によって得られるエラストマーと同様な、得られるエラストマーの活性、有利にはミクロ構造およびマクロ構造特性でもって、好ましくは連続重合させるのに使用し得る触媒系を得るのを可能にする。
本発明に従うこの方法における、1基以上の好ましくは撹拌タイプのダイナミックミキサーのアルキル化反応器としての使用は、該アルキル化反応器および/またはライン(L)を詰まらせて上記触媒系の製造プロセスを数時間後或いは数日または数ヶ月後でさえも中断させる傾向を有する制御し得ない“ゲル”の形成がないことから、上記触媒系を連続製造するのを可能にすることに注目されたい。
上記触媒系を連続合成する本発明に従うこの方法は、上述の予備形成工程の発熱を、触媒系において比較的高い最終濃度の希土類元素(1種以上)の場合でさえも、この発熱を連続プロセスにおいて良好な熱交換分布によって制御し得るという事実により満足裏に制御するのを可能にすることに注目されたい。
また、この方法は、触媒活性に直接相関するアルキル化剤/希土類元素(1種以上)の塩の比を容易に変化させ得るので、柔軟性のある利得を提供するという利点も有する。同じことは、ライン出口における触媒系の出口流量を所望どおりに調節し、同時に、アルキル化およびハロゲン化-エージング工程の各々において適する滞留時間範囲内に滞留させる得ることについても言える。
【0005】
一般に、この触媒系は、ネオジムのような上記希土類元素(1種以上)を、0.002モル/l〜0.08モル/lに等しいまたはその範囲の、好ましくは0.02モル/l〜0.07モル/lの範囲の濃度で含む。
実際に、本出願人等が行った試験によれば、驚くべきことに、ネオジムのような上記触媒系中の希土類元素(1種以上)の最終濃度は、有利には0.02モル/lよりも高く、さらに有利には0.04モル/lにおよそ等しくあり得ることを達成している。本発明に従う連続合成方法は、考慮すべきパラメーターに従って調節し得る希土類元素(1種以上)の高最終濃度においてこの方法を実施することを可能にする。本発明に従う触媒系の連続合成方法は、希土類元素(1種以上)の塩の濃度、従って、例えば、溶媒および/またはモノマー(1種以上)中に存在する不純物の量に応じる触媒活性を調整するのを可能にする。
また、エージング中のこの発熱制御は、本発明に従う触媒系の連続合成を特徴付ける比較的短い合成時間と相まって、この合成を、同一の製造能力を有するバッチ方式の反応器において今日まで使用されている容積と比較して、相対的に小容積を有する反応器において実施することを可能にするにも注目されたい。従って、初期経費は、バッチ方式における触媒系の合成用装置の初期経費よりも低く、溶媒必要量も触媒系の高い濃度故にそれ自体低い。連続合成は、連続して操作するという事実故に、バッチ式合成よりも大いに生産性であるので、本発明が達成するのを可能にするコスト有効性の利得は、容易に理解し得ることである。
また、本発明に従う触媒系のこの連続合成は、温度と各成分の接触時間、有利にはアルキル化工程特有の温度と時間および/またはハロゲン化-エージング工程の温度および/または時間を容易に制御するのを可能にし、同時に、そのようにして、本発明に従う予備成形触媒系の連続製造方法の実施が良好な柔軟性を示すのを確かにすることにも注目されたい。
また、本発明に従うこの連続合成は、所定の条件下で得られた触媒系の特性、従って、意図する重合における触媒系の活性の良好な再現性を確保するのを可能にすることにも注目されたい。
【0006】
上記触媒系を“予備成形”するのに使用し得る予備成形用共役ジエンの例としては、1,3-ブタジエン、イソプレンまたはこれらの混合物、好ましくは1,3-ブタジエンを挙げることができる。
そのモル比(予備成形用モノマー/希土類元素(1種以上)の塩)は、15〜70の範囲の値を有することに留意されたい。
予備成形用共役ジエンと反応させる希土類元素(1種以上)の塩は、それ自体も既知の製造条件に応じて遊離酸も含み得るおよそ粘稠な溶液の形で使用する。
希土類元素(1種以上)の塩は、供給ライン(L)の連続供給を目的として、連続でまたは特許文献WO-A-02/38636号に記載されているようなバッチ方式で製造し得る。1種以上の希土類金属の塩が吸湿性でない粉末形である場合、溶媒中の溶解時間は、使用する溶解条件に従って変動し得る。
従って、第1の実施態様によれば、周囲温度において凝集する僅かな性向を有する吸湿性でない粉末形の希土類元素(1種以上)の塩を、低分子量の脂肪族または脂環式不活性炭化水素系溶媒、例えば、純粋または65℃〜72℃の沸点範囲を有する脂肪族および脂環式溶媒画分の形のシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘキサン、n-ヘプタンまたはこれら溶媒の混合物中に溶解する。好ましくは、メチルシクロヘキサンを不活性炭化水素系溶媒として使用する。
希土類元素(1種以上)の塩のこの溶解は、ライン(L)外またはライン(L)内において、バッチ方式または連続方式で実施し得る。変法での実施によれば、希土類元素(1種以上)の塩溶液は、ライン(L)内で希釈し得る。
例えば、特許文献WO-A-00/64 910号に記載されているようなもう1つの好ましい実施態様によれば、反応させる希土類元素(1種以上)の塩は、溶媒中で直接“現場”合成する、即ち、リン酸誘導体と希土類金属(1種以上)化合物との反応を上記溶媒の存在下に実施して、上記溶媒中に希土類元素(1種以上)の塩を形成させる;上記塩は、“現場”合成から得られる式 Nd(P)3.x PH (式中、xは、0以上の整数であってもまたはなくてもよい数であり;PHは、式 [(RO)2 (HO)P = 0]を有するリン酸のジエステルである遊離酸を示す)を有する化合物を含有するおよそ粘稠な溶液の形にある。
【0007】
希土類元素(1種以上)の塩のこれら2つの実施態様によれば、得られた粘稠溶液中の希土類元素(1種以上)の塩の濃度は、0.1〜0.15モル/l程度の極めて高く、即ち、0.002モル/l〜0.08モル/lの範囲であり得る本発明に従う方法において使用する触媒系において使用する濃度よりも高くあり得る。希土類元素(1種以上)の塩の濃度は、それ自体知られているようにして、上記粘稠溶液を、ライン(L)の種々のレベルにおいて、即ち、とりわけ、希土類元素(1種以上)の塩の粘稠溶液の貯蔵容器内、アルキル化反応器の上流のライン(L)のヘッドに位置した希土類元素(1種以上)の塩の溶液の注入用ポンプの前または後或いはアルキル化反応器の上流に位置したライン(L)の他の地点において、適切な追加の容量の溶媒(1種以上)中に希釈することによって調整する。
もう1つの実施態様によれば、上記第1の実施態様に従って製造した希土類元素(1種以上)の溶液は、粉末形の塩の溶解中または溶解後に添加する式 (RO)2 (HO)P = 0を有する遊離酸を含有し得る。
本発明に従う方法において使用し得る上記希土類金属(1種以上)の塩の例としては、ネオジム、セリウムまたはジジムの有機リン酸塩、好ましくは、トリス[ジブチルリン酸]ネオジム、トリス[ジペンチルリン酸]ネオジム、トリス[ジオクチルリン酸]ネオジム、トリス[ビス(2-エチルヘキシル)リン酸]ネオジム、トリス[ビス(1-メチルヘプチル)リン酸]ネオジム、トリス[ビス(p-ノニルフェニル)リン酸]ネオジム、トリス[ブチル(2-エチルヘキシル)リン酸]ネオジム、トリス[(1-メチルヘプチル)(2-エチルヘキシル)リン酸]ネオジム、トリス[(2-エチルヘキシル)(p-ノニルフェニル)リン酸]ネオジムまたはトリス[ビス(2-エチルヘキシル)リン酸]ネオジムを挙げることができる。また、希土類金属(1種以上)の数種の有機リン酸塩の混合物も塩として使用し得る。
これらの実施態様に共通する好ましい例によれば、上記希土類金属(1種以上)のトリス[ビス(2-エチルヘキシル)リン酸塩]を塩として使用する。さらにより好ましくは、希土類元素(1種以上)の上記塩は、トリス[ビス(2-エチルヘキシル)リン酸]ネオジム(以下、Nd(P)3と略記する)である。
本発明に従う方法においては、希土類元素(1種以上)の塩が吸湿性でない粉末形である場合、希土類元素(1種以上)の塩を溶解する反応は、連続方式またはバッチ方式の反応器において、10℃〜100℃の範囲の、有利には20℃〜60℃の範囲の、好ましくは30℃にほぼ等しい温度および15分〜60分の範囲の、好ましくは30分にほぼ等しい時間にて、上記反応器に上記塩を、次いで上記溶媒(1種以上)を導入することによって実施する。
【0008】
本発明に従う方法の工程(i)における上記アルキル化剤を構成するのに使用し得る式 AlR3またはHAlR2に相応するアルキルアルミニウムの例としては、下記のようなアルキルアルミニウム類を挙げることができる:
‐トリアルキルアルミニウム類、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ペンチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム;または、
‐水素化ジアルキルアルミニウム、例えば、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソプロピルアルミニウム、水素化ジ-n-プロピルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジ-n-オクチルアルミニウム、水素化ジ-n-ブチルアルミニウム。
このアルキル化剤は、好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウム(以下、“DiBAH”と略記する)であることに留意されたい。
また、本発明に従う合成方法において使用し得る(アルキル剤/希土類元素(1種以上)の塩)モル比は、例えば、再現性があり且つ高レベルのシス-1,4結合を有するジエンエラストマーを得る目的においては、上述の文献WO-A-02/38636号と同様な5以下の値を、或いは、上述の文献WO-A-03/097708号と同様な5よりも大きい値を等しく有することにも留意されたい。1つの態様として、アルキル化剤/塩のモル比は、1.3〜15、好ましくは2に等しい。
本発明に従う方法の工程(ii)におけるハロゲン供与体として使用し得るアルキルアルミニウムハライドの例としては、好ましくは、ジエチルアルミニウムクロライド、n-プロピルアルミニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジ-n-ブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジ-n-オクチルアルミニウムクロライドまたはジフェニルアルミニウムクロライドのようなアルキルアルミニウムモノハライドを使用する。このアルキルアルミニウムハライドは、好ましくは、ジエチルアルミニウムクロライド(以下、“DEAC”と略記する)であることに留意されたい。
(ハロゲン/希土類元素(1種以上)の塩)モル比は、2〜3.5の範囲、好ましくは2.5〜3の範囲の値を有し得る。
【0009】
本発明のとりわけ有利な実施態様によれば、水素化ジイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの組合せを、それぞれ、アルキル化剤およびハロゲン供与体として使用する。
エチルアルミニウムセスキクロライドのようなアルキルアルミニウムセスキハライド類は、これらのハライドが、2.1未満の多分散性指数と40以上の100℃でのムーニー粘度ML(1+4)の双方を有するポリブタジエンのようなジエンエラストマーを得るのを不可能にするという事実により、本発明に従う触媒系においては使用できないことに留意されたい。
溶液中の希土類元素(1種以上)の塩、予備成形用共役ジエンモノマーおよびアルキル化剤は、好ましくはそれら全体を直接アルキル化反応器に同時に導入する。しかしながら、本発明の1つの実施態様によれば、上記予備成形用モノマーの1部のみをアルキル化反応器に直接導入し、他の1部は、ライン(L)上流、即ち、溶解反応器中、希土類元素(1種以上)の上記共役ジエンの溶液用の貯蔵容器中、または好ましくは撹拌タイプのダイナミックミキサー中のいずれかに導入し得る。
本発明に従う方法の1つの実施態様によれば、アルキル化工程(i)の前に、1種以上の希土類金属の塩の上記溶液の1部を、連続方式またはバッチ方式で、上記ライン(L)中で撹拌しながら、上記予備成形用共役ジエンの1部と10℃〜60℃の範囲の制御された温度で接触させる。バッチ方式で接触させる場合、接触時間は、15分〜60分であり、好ましくは30分にほぼ等しい。
有利な実施態様によれば、溶液中の1種以上の希土類金属の有機リン酸塩と上記予備成形用共役ジエンとの重合反応器の供給ライン(L)内の連続方式での接触を、30℃にほぼ等しい制御された温度において実施する。
【0010】
本発明に従う方法の実施態様の第1の変法によれば、上記アルキル化工程(i)の前に、溶液中の1種以上の希土類金属の有機リン酸塩の1部と上記予備成形用共役ジエンの1部とのバッチ方式または連続方式での上記接触を、上記ライン(L)の入口で、希土類元素(1種以上)の塩を溶媒中に溶解する反応器内で実施する。
本発明に従う方法の実施態様の第2の変法によれば、上記アルキル化工程(i)の前に、予備成形用共役ジエンの1部を、上記供給ライン中に、アルキル化反応器の上流に配置した好ましくはジャケット付きの良好混合型ダイナミックミキサー内のみに連続添加する。
実施態様の第3の変法によれば、上記予備成形用ジエンの1部を、ライン(L)中に、希土類元素(1種以上)の塩を溶解する反応器内および上記良好混合型ダイナミックミキサー内の双方に分けて注入し得る。
本発明のもう1つの実施態様によれば、工程(i)の前に、希土類元素(1種以上)の塩の全部を溶解反応器内で上記溶媒(1種以上)により溶解し、次いで、希土類元素(1種以上)の上記塩溶液を、上記溶解反応器内で、上記予備成形用共役ジエンの全部または1部と接触させるか、或いは、上記反応器から排出させた希土類元素(1種以上)の上記塩溶液を、その後、ライン(L)中で、上記予備成形用共役ジエンの全部または1部と接触させる。ライン(L)中でのこの接触は、良好混合型ダイナミックミキサー内で実施し得る。
有利には、上記工程(i)は、上記ライン(L)に直列に配置した好ましくは撹拌タイプの1基以上(n基)のダイナミックミキサーからなる“アルキル化”反応器内で混合することにより、上記予備成形用共役ジエンと上記希土類元素(1種以上)の塩の溶液との反応生成物を上記アルキル化剤と連続接触させて、上記塩のアルキル化反応を、25℃〜80℃の範囲の、好ましくは30℃にほぼ等しい制御された温度にて、少なくとも5分の、有利には10分〜60分の範囲の、好ましくは15分にほぼ等しい特徴的最低時間で実施することを含む。
上記アルキル化剤は、その全部を、上記ラインに配置したアルキル化反応器に直接注入する。しかしながら、実施態様の1つの変法によれば、上記アルキル化剤の1部を、アルキル化反応器の直前でライン(L)中に注入する。アルキル化反応器内での上記アルキル化剤の特徴的滞留時間は、調整することができ、ハロゲン供与体の添加前に調整する。このアルキル化工程における5分の特徴的最低時間は、上述した有利な特性を有するポリマーまたはコポリマーを製造することのできる触媒系を合成するのに必要であることに留意されたい。
【0011】
有利には、本発明に従う上記方法は、上記工程(ii)において、上記ライン(L)に配置したハロゲン化-エージング反応器内で混合することにより、上記アルキル化反応の生成物を上記ハロゲン供与体と、40℃〜80℃の範囲の、好ましくは60℃にほぼ等しい温度で、好ましくは10分〜2時間の範囲の、好ましくは60分にほぼ等しい時間連続接触させて、ハロゲン化およびそのようにして得られた予備成形触媒系のエージングを実施することを含む。
上記ハロゲン供与体剤は、好ましくは、その全部を、ハロゲン化-エージング反応器内に、或いはハロゲン化-エージング反応器が直列に配置した数個の要素を含む場合、その最初の要素内に直接注入する。実施態様の1つの変法によれば、上記ハロゲン供与体剤は、その全部または1部を、ハロゲン化-エージング反応器の直前のライン(L)中に注入する。
本発明に従う上記連続合成方法は、上記予備成形した触媒系を、上記ラインの下流において−25℃〜20℃、好ましくは−15℃〜+10℃の値の範囲内の比較的低温で区別なしに貯蔵し、該触媒系を、少なくとも1種の共役ジエンモノマーを重合させる重合反応器内に直接送ることを可能にする。
本発明に従う上記方法によって連続合成した上記触媒系によって製造し得るジエンエラストマーの例としては、4〜12個の炭素原子を有する少なくとも1種の共役ジエンモノマーのホモ重合または共重合によって得られる任意のホモポリマーまたはコポリマーを挙げることができる。
適切な共役ジエンモノマーとしては、とりわけ、1,3-ブタジエン;イソプレン;例えば、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエンまたは2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエンのような2,3-ジ(C1〜C5アルキル)-1,3-ブタジエン;またはこれらモノマーの混合物、好ましくは、1,3-ブタジエンおよびイソプレンがある。
上記エラストマーは、例えば、非線状ブロック、ランダム、線状ブロックまたはミクロブロックポリマーであり得、分散液中、溶液中または濃厚媒質中で製造し得る。この方法によって得られるエラストマーは、立体特異性であり、97%以上のシス-1,4結合含有量を有する。これらのエラストマーは、3.2よりも低い、より有利には2.4以下の多分子性指数Ipを有する。
とりわけ好ましくは、上記ジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、およびブタジエンとイソプレンとのランダムまたはブロックコポリマー(BIR)からなる高不飽和ジエンエラストマーの群から選ばれる。
【0012】
本発明の1つの実施態様によれば、上記触媒系の連続合成方法を実施するための装置は、下記を本質的に含む:
(i) 1基以上(n基;nは、0よりも大きい整数である)の連続アルキル化良好混合型ダイナミックミキサーからなり、アルキル化反応を5分の特徴的最低時間で実施する連続アルキル化反応器;
(ii) 直列に配置した1基以上(n'基;n'は、0よりも大きい整数である)の良好混合型ダイナミックミキサー、および必要に応じての1基以上(n”基;n”は、0に等しいかまたは0よりも大きい整数である)の連続プラグフロー管状反応器(スタティック-またはダイナミックタイプの混合を有し得るまたは有し得ない)を含み、ライン(L)の出口に連結させた連続ハロゲン化-エージング反応器;上記ダイナミックミキサー(1基以上)および管状反応器(1基以上)は、任意の順序で配置させ得る。
上記装置において使用する連続アルキル反応器は、管状反応器を含まないで、1基以上(n基)の良好混合型ダイナミックミキサーのみからなるべきである。何故ならば、上述の合成方法の工業的使用においては、プラグフロー管状反応器の存在は、スタティック-またはダイナミックタイプの撹拌を有していても、制御し得ない“ゲル”の形成をもたらし、このゲルは、数時間後、アルキル化反応器およびライン(L)を塞ぎ、装置の遮断に至るからである。
連続ハロゲン化-エージング反応器は、1基以上(n'基)の良好混合型ダイナミックミキサーから、1基以上(n'基)の良好混合型ダイナミックミキサーと1基以上(n”基)のプラグフロー管状反応器から、またはスタティック-またはダイナミックタイプの混合を有し得るまたは有し得ない1基以上(n”基)のプラグフロー管状反応器からなり得る。
本発明のもう1つの実施態様によれば、上記装置は、下記も含む:
‐希土類金属(1種以上)の塩の溶解用反応器;
‐供給ライン(L)内の予備成形用共役ジエン添加用の良好混合型ダイナミックミキサー。
【0013】
本発明のもう1つの実施態様によれば、上記触媒系の連続合成方法を実施するための装置は、下記を本質的に含む:
(i) 上記溶媒中で直接“現場”製造した希土類元素(1種以上)の塩の粘稠溶液を混合して、適切な追加量の溶媒により、上記希土類元素(1種以上)の塩の希釈を実施して本発明に従う方法を実施するための所望の塩濃度を有する希土類元素(1種以上)の塩溶液を得るための装置を有し得るまたは有し得ない貯蔵容器;
(ii) 下記を備えた連続アルキル化反応器:
‐“現場”製造した希土類元素(1種以上)の塩の粘稠溶液用の貯蔵容器に、または上記希土類元素(1種以上)と予備成形用共役ジエンの溶液を上記アルキル化反応器に導入するのに適する供給ポンプに連結した第1の入口;
‐式AlR3またはHAlR2を有するアルキルアルミニウムタイプのアルキル化剤を収容する容器に連結し、上記アルキル化剤を上記アルキル化反応器に導入するのに適する第2の入口;
アルキル化生成物を上記アルキル化反応器から連続ハロゲン化-エージング反応器へ排出するのに適する出口;
(iii) 下記を備えた連続ハロゲン化-エージング反応器:
‐上記アルキル化反応器の出口に連結し、アルキル化反応の生成物を上記ハロゲン化-エージング反応器に導入するのに適する第1の入口;
‐アルキルアルミニウムハライドタイプのハロゲン供与体を収容する容器に連結し、該ハロゲン供与体を上記ハロゲン化反応器に導入するのに適する第2の入口;
‐上記装置のライン(L)の下流部分に連結した上記ハロゲン化反応器の出口。
【0014】
上記連続アルキル化反応器は、種々の実施態様において具現化し得、例えば、直列に配置した1基以上(n基;好ましくは、1〜5のn数)の良好混合型ダイナミックミキサーからなり得るが、管状反応器は、スタティック-またはダイナミックタイプの混合を備えているまたは備えていないの如何にかかわらず除外する。
上記アルキル化反応器は、溶媒(1種以上)、予備成形用モノマー、溶液中の希土類元素(1種以上)の塩、アルキル化剤の1以上の供給源と連結させる。
予備成形触媒がハロゲン化終了時に得られる連続ハロゲン化-エージング反応器は、種々の実施態様において具現化し得、例えば、1基の良好混合型ダイナミックミキサーから、数基(n'基)の、好ましくは1〜5基の同一または異なるサイズおよび容積を有する直列に配置した良好混合型ダイナミックミキサーから、(n'基)の良好混合型ダイナミックミキサーと1基以上(n”基)の、好ましくは1〜3基のスタティック-またはダイナミック混合を有する連続プラグフロー管状反応器からなり得、直列に配置させる上記ミキサー(1基以上)と管状反応器(1基以上)は種々の順序で配置させることが可能である。
アルキル化および/またはハロゲン化-エージング反応器としては、好ましくは、必要に応じて
適切な温度制御用の冷却用バンドルまたは内部コイルを有し、直列に配置した1基以上のジャケット付き良好混合型ダイナミックミキサーを使用する。
上記触媒系の連続製造における本発明のもう1つの実施態様によれば、上記の装置は、下記も含む:
連続方式またはバッチ方式で操作し得る、例えば、良好混合型ジャケット付きタイプの下記を備えた、希土類金属(1種以上)の塩の溶解用反応器:
‐この反応器に、ポンプによりまたは圧力差により、容器に貯蔵された少なくとも1種の飽和の脂肪族または脂環式不活性炭化水素系溶媒を導入するのに適する第1の入口;
‐この反応器に、出力計測装置により、希土類元素(1種以上)の有機リン酸塩(有利には、上記の略記した式Nd(P)3の塩)を導入するのに適する第2の入口;
‐この反応器に予備成形用共役ジエンの1部を必要に応じて導入するのに適する第3の入口;
‐予備成形用共役ジエンを含み得るまたは含み得ない上記溶媒中の上記塩の溶液を上記反応器から上記装置のライン(L)の下流部分に排出するのに適する出口;
予備成形用共役ジエンの連続添加用の下記を備えた良好混合型ダイナミックミキサー:
‐溶解反応器の上記出口、希土類元素(1種以上)の塩溶液用の貯蔵容器の出口のそれぞれに連結し、上記溶液を上記ミキサーに導入するのに適する第1の入口;
‐予備成形用共役ジエンを収容する容器に連結し、上記共役ジエンを上記ミキサーに導入するのに適する第2の入口;および、
‐上記ミキサーから、上記溶液と上記予備成形用共役ジエンの混合物を排出するのに適する出口。
【0015】
希土類金属(1種以上)の上記塩を溶媒中で直接“現場”製造する場合、上記塩は、好ましくは、アルキル化反応器に直接導入する;しかしながら、上記塩は、その全部または1部を、予備成形用ジエンの添加用良好混合型ダイナミックミキサーに、予備成形用共役ジエンと同時に、予備成形用共役ジエンの前に、或いは、ポンプ(18)の前または後に導入してもよい。
予備成形用共役ジエンモノマーおよび必要に応じての不活性炭化水素系希釈用溶媒は、溶液中の希土類元素(1種以上)の塩が循環しているライン中に導入し得る。
有利には、本発明に従う装置は、上記ラインの下流において、少なくとも1種の共役ジエンモノマーを上記ラインにより連続供給しながら重合させるのに適する少なくとも1基の連続重合反応器も含む。
本発明に従う装置は、上記触媒系の連続合成を、これもまたライン(L)の終端に配置した重合反応器内で連続的に実施する少なくとも1種の共役ジエンの重合と、さらに、本発明に従って得られた触媒系を使用する少なくとも1種の共役ジエンの連続重合方法と組合せるのを可能にすることに注目されたい。
また、本発明に従う装置は、必要に応じて、上記触媒系用の貯蔵容器も含み得る。
本発明の上記の特徴、さらにまた、他の特徴は、添付図面と関連して非限定的な例示によって示す本発明の幾つかの例としての実施態様についての以下の説明を読めば、より一層明瞭に理解し得るであろう。
【0016】
(発明を実施するための最良の形態)
図1に例示する装置は、本質的に、溶媒中で“現場”製造した希土類元素(1種以上)の塩の溶液用の、下記:
‐希土類元素(1種以上)の塩の濃度を、ポンプ(12)によりまたは圧力差により、適切な値に調整するのに使用する飽和の脂肪族または脂環式不活性炭化水素系溶媒(1種以上)の容器(13)に連結した入口;
‐上記溶媒(1種以上)中の希土類元素(1種以上)の上記塩の溶液をアルキル化反応器(30)に導入するのに適し、或いは、希土類元素(1種以上)の濃厚または希薄溶液を直接または間接的に注入するのに、さらに出口において上記濃厚溶液を希釈するのに適するポンプ(18)に連結した出口(17);
を備えた貯蔵容器(10);
例えばジャケット付きの良好混合型ダイナミックミキサー(30)からなり、下記:
‐ポンプ(18)の出口と連結して希土類元素(1種以上)の上記塩溶液をこのミキサー(30)に導入するのに適する第1の出口(31);
‐アルキルアルミニウムタイプのアルキル化剤を収容する容器(33)に連結し、上記アルキル化剤をこのミキサー(30)に導入するのに適する第2の入口(32);
‐予備成形用共役ジエンを収容する容器(24)に連結し、上記予備成形用共役ジエンをこのミキサー(30)に導入するのに適する第3の入口(36);
‐上記混合物と上記アルキル化剤との混合の生成物をこのミキサー(30)からハロゲン化-エージング反応器(40)に導入するのに適する出口(34);
を備えたアルキル化反応器;
例えばジャケット付きの良好混合型ダイナミックミキサーからなり、下記:
‐アルキル化出口(34)に連結し、アルキル化反応の生成物をこのミキサー(40)に導入するのに適する第1の出口(41);
‐アルキルアルミニウムハライドタイプのハロゲン供与体を収容する容器(43)に連結し、上記ハロゲン供与体を上記ミキサー(40)に導入するのに適する第2の入口(42);
‐本発明に従って連続製造した触媒系をミキサー(40)から排出し、該触媒系を、ポンプ(53)により、少なくとも1種の共役ジエンモノマーを重合させる重合反応器に連続導入するのに適する出口(44);
を備えたハロゲン化-エージング反応器(40)。
【0017】
必要に応じての実施態様によれば、上記装置は、例えばジャケット付きの管状反応器(45)も含み、該反応器は、出口(44)に連結し、該反応器内での上記混合物の滞留時間を制御または変化させるのに適している。
さらなる必要に応じての実施態様によれば、連続製造した触媒系は、該触媒系を−25℃〜+20℃の範囲の温度で数週間に達し得る期間保存するのに適し、下記を備えた貯蔵容器(50)に導入する:
‐ミキサー(40)の出口(44)または必要に応じての管状反応器(45)の出口に連結した貯蔵入口(51);および、
‐ライン(L)の終端に配置した上記重合反応器(図示していない)に連続供給することを意図し、上記重合反応器に、出口(52)から上記ポンプ(53)を介して(矢印54参照)連結させた出口(52)。
このために、バルブ(VL)、(VL')および(V52)を、それぞれ、ライン(L)および出口(52)に設けている。
図1に示す装置は、本発明の1つの実施態様によれば、希土類元素(1種以上)の塩の溶液用の貯蔵容器(10)を含まず、希土類元素(1種以上)の塩の溶液は、濃厚形でポンプ(18)に直接導入して、希釈を上記ポンプ(18)の出口またはアルキル化反応器(30)の前のライン(L)の開始点で実施するか、或いは、他の構成成分との反応用に選定した濃度の希釈形で導入する。
図2に示す装置は、下記も含むことを除いては、図1に示した装置と同一である:
例えば良好混合型でジャケット付きタイプの下記を備えた、貯蔵反応器(10)に代る溶解反応器(10):
‐この反応器(10)に、容器(13)内に貯蔵した少なくとも1種の飽和の脂肪族または脂環式不活性炭化水素系溶媒を、ポンプ(12)によりまたは圧力差により、導入するのに適する第1の入口(11);
‐この反応器(10)に、出力計測装置(15)により、希土類元素(1種以上)の有機リン酸塩、有利には上述のNd(P)3と略記した式の塩を導入するのに適する第2の入口(14);
‐この反応器(10)に、入口(16)に連結した出口(22)を備えた容器(24)に貯蔵されている予備成形用共役ジエンの1部を必要に応じて導入するのに適する第3の入口(16);および、
‐上記反応器(10)から、予備成形用共役ジエンを含有し得るまたは含有し得ない上記溶媒(1種以上)中の上記塩溶液を排出するのに適する出口(17);
例えばジャケット付きで、下記を備えた、上記予備成形用ジエンの添加用の良好混合型ダイナミックミキサー(20):
‐ポンプ(18)を介して、溶液中の希土類元素(1種以上)の塩および必要に応じての予備成形用共役ジエンを含む溶解反応器(10)に連結し、上記溶液をこのミキサー(20)に導入するのに適する第1の入口(21);
‐予備成形用共役ジエンを収容する容器(24)に連結し、上記共役ジエンをこのミキサー(20)に導入するのに適する第2の入口(23);および、
上記溶液と上記共役ジエンの混合物をアルキル化反応器(30)に導入するのに適する出口(25)。
【0018】
本発明の1つの実施態様によれば、良好撹拌型ダイナミックミキサー(20)は、例えば、25mlの容積を有し、例えば1500rpmに等しい速度で回転するのに適する撹拌機を装着している。
図3に示す装置は、アルキル化反応器(30)が、n基(n = 3)の連続操作し得、直列に配置し、下記を備えたジャケット付き良好混合型ダイナミックアルキル化ミキサー(30a)、(30b)、(30c)からなることを除いては、図2に示した装置と同一である:
第1のミキサー(30a)において、
‐予備成形用共役ジエンの添加用ミキサーの出口(25)に連結した第1の入口(31);
‐アルキルアルミニウムタイプのアルキル化剤を収容する容器(33)に連結し、上記アルキル化剤をこのミキサー(30a)に導入するのに適する第2の入口(32);
‐予備成形用共役ジエンを収容する容器(24)に連結し、上記予備成形用共役ジエンをこの反応器(30)に導入するのに適する第3の入口(36);
‐第2ミキサー(30b)の入口と連結し、この第2ミキサーが第3ミキサー(30c)に連結し、その出口(35)がハロゲン化-エージング反応器に連結している、出口(34)。
図4に示す装置は、ハロゲン化-エージング反応器(40)が、n'基(n' = 3)のジャケット付き良好混合型ダイナミックミキサー(40a)、(40b)、(40c)のそれぞれからなり、第1ミキサーにおいて下記を備えていること以外は、図3に示した装置と同一である:
‐アルキル化反応器の出口(35)に連結している入口(41);
‐アルキルアルミニウムハライドタイプのハロゲン供与体を収容する容器(43)に連結し、上記ハロゲン供与体をこのミキサー(40a)に導入するのに適する第2の入口(42);
‐第2ミキサー(40b)に連結し、この第2ミキサーが、少なくとも1種の共役ジエンモノマーを重合させる重合反応器または貯蔵容器(50)のいずれかにライン(L)の出口で直接連結した第3ミキサー(40c)に連結している、出口(44)。
【0019】
図5に示す装置は、ハロゲン化-エージング反応器(40)が、本発明に従って連続製造した予備成形触媒のエージング時間を調整または変動させるのに適するダイナミック混合タイプのプラグフロー管状反応器(45)も含むことを除いては、図2に示した装置と同一である。
図6に示す装置は、アルキル化反応器が、良好混合型ダイナミックミキサー(30)以外に、ダイナミック混合タイプのプラグフロー管状反応器(30a')を含むことを除いては、図5に示した装置と同一である。
また、反応器10およびミキサー20、30および40の上流にそれぞれ設けた複数の流量計FIC-1、FIC2a、FIC2b、FIC2c、FIC3、FIC4も示している。
操作方式においては、溶解反応器(10)を出る希土類元素(1種以上)の塩の溶液の流量を、流量計FIC-5によりライン(L)の出口の触媒系の最終流量を制御することによって設定する。意図した配合の各々の触媒系においては、触媒配合物の各種成分の流量を測定し、調整して、所定の触媒配合の触媒を合成する。
当業者であれば、アルキル化(30)およびハロゲン化(40)の各反応器を構成する各要素の容積およびサイズを意図する触媒配合物の各種成分に応じて調整して、アルキル化反応の特徴的滞留時間および/またはハロゲン化反応の終了時に得られた予備成形触媒系のエージング時間を変化させるようなことは可能であろう。
本発明の上記特徴は、本発明の幾つかの例示としての実施態様の説明を読めば、より一層明瞭に理解し得るであろう。
【0020】
(実施例)
実施例1
本発明に従わない連続管状反応器法による触媒系T1および良好混合型ダイナミックミキサーを使用する本発明に従う方法による触媒系MD1の製造
1) 触媒系T1
この触媒系は、図6に示した装置において実施する方法に従って製造した。溶解反応器(10)は、その高さに亘ってむらなく分布させた3本のローターにより混合し且つ32.5 lの容積を有するタンクである。ダイナミックミキサー(30)および管状アルキル化反応器(30a')は、それぞれ、25mlおよび930mlの容積を有する。ダイナミックミキサー(40)および管状ハロゲン化-エージング反応器(45)は、それぞれ、150mlおよび3670mlの容積を有する。装置の流量は、3.82 l/hである。
触媒系T1を連続製造した;この系は、モル比での触媒配合Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/2/2.9およびネオジムに関しての濃度0.02モル.l-1を有していた。
さらに詳細には、この触媒系は、以下により製造した:
‐反応器(10)において、30℃で30分またはそれ以上、NdP3をMCH中に溶解し、予備成形用ジエンを添加した;
‐そのようにして得られ30℃に維持した混合物を、ダイナミックミキサー(30)および管状反応器内で、“DiBAH”により、15分間アルキル化した;使用したDiBAHの濃度は、1モル.l-1であった;次に、
‐アルキル化反応の生成物を、ダイナミックミキサー(40)内で、“DEAC”により、60℃で60分間ハロゲン化し、上記管状反応器内でエージングした;使用したDEACの濃度は、0.5モル.l-1であった。
そのようにして得られた触媒溶液を、−10℃に維持した混合型貯蔵容器50に移すことによって冷却した。
【0021】
2) 本発明に従う触媒系MD1
この触媒系は、図3に示した装置において実施する本発明に従って製造した。溶解反応器(10)は、その高さに亘ってむらなく分布させた3本のローターにより混合し且つ32.5 lの容積を有するタンクである。アルキル化工程を意図する良好混合型ダイナミックミキサー(30a)、(30b)、(30c)およびハロゲン化/エージング工程を意図する(40)は、(30a)、(30b)、(30c)においてそれぞれ0.16 lおよび(40)において2.75 lの容積を有する。装置の流量は、1.93 l/hである。
触媒系MD1を連続製造した;この系は、触媒配合Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/2/2.7およびネオジムに関しての濃度0.02モル.l-1を有していた。
さらに詳細には、この触媒系は、以下により製造した:
‐反応器10において、30℃で30分またはそれ以上、塩NdP3をMCH中に溶解し、予備成形用ジエンを添加した;
‐良好混合型ダイナミックミキサー(30a)、(30b)、(30c)において、そのようにして得られ30℃に維持した混合物を、“DiBAH”により、15分間アルキル化した;使用した“DiBAH”の濃度は、1モル.l-1であった;次に、
‐良好混合型ダイナミックミキサー(40)において、アルキル化反応の生成物を、“DEAC”により、60℃で85分間ハロゲン化し、エージングした;使用した“DEAC”の濃度は、0.5モル.l-1であった。
そのようにして得られた触媒溶液を、−10℃に維持した混合型貯蔵容器50に移すことによって冷却した。
1モル.l-1の“DEAC”濃度もこれらの触媒系を製造するのに使用し得ていたことにも注目すべきである。
【0022】
3) 触媒系T1とMD1との比較
図6に示す装置において実施した触媒系T1の製造方法においては、安定操作の7時間後、“DEAC”注入専用のダイナミックミキサー(40)内および隣接の管状ダクト内に、アッセンブリ出口を大きく塞ぎ始め、プロセス操作を不安定にする高割合のゲルを観察している。さらにまた、出口フィルターを極めて定期的に交換することも必要であった。従って、連続操作は、ラインをその清浄化のために頻繁に中断する必要があることから、厳密に言えば可能ではない。
触媒系MD1を製造するために実施した本発明に従う方法においては、ラインのブロッキングもライン(L)の各反応器およびダクト内でのゲル形成も観察されていない。
また、“DEAC”注入段階においてダイナミックミキサー(40)の代りにスタティックミキサーを使用することからなる上記管状法の変法は、最低の混合によって上記のゲル形成がさらに促進される意味で、明らかに全く有利でないことにも留意すべきである。
【0023】
実施例2
バッチ法による触媒系D1の製造、および本発明に従う連続方法によって製造した触媒系MD1との比較
1) 触媒D1
触媒系D1は、上述の文献WO-A-02/38636号に記載されているバッチ方式製造方法を追試することによって製造した。
この触媒系D1は、次の配合:Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/2/2.9を有し、その濃度は、0.02モル.l-1である。
そのために、メチルシクロヘキサン(MCH)からなる溶媒を、前以って清浄化してその不純物を除去した25 lのバッチ反応器に注入した。次に、この塩を窒素掃気に3分間供し、次いで、以下の連続工程を実施した:
溶解工程
ゼラチン状溶液を調製する目的で、粉末形のネオジム塩NdP3を上記溶媒を含む反応器に導入した;3分間のさらなる掃気後に上記溶媒を上記塩と接触させる時間と温度は、それぞれ、30℃で30分である。
予備成形用ジエンの添加工程
次に、ブタジエンを、この反応器に30℃の温度で導入した。
アルキル化工程
その後、“DiBAH”を、アルキル化剤として、30℃に維持したこの反応器におよそ1モル.l-1の濃度で導入した。反応媒は、直ちに流体となる。アルキル化時間は15分である。
アルキル化反応の温度は、30℃であった。
ハロゲン化工程
次に、“DEAC”を、この反応器におよそ1モル.l-1の濃度で導入した。その後、反応媒の温度を60℃にした。極めて急速な温度上昇は、触媒中に導入したブタジエンの量および反応器壁による特段の同時冷却の不存在に比例した反応の発熱に関連している。
エージング工程
そのようにして得られた混合物のエージングを、この60℃の温度を60分間維持することによって実施した。
最後に、得られた触媒溶液を冷却し、−15℃の温度のフリーザー内で窒素雰囲気下に貯蔵した。
【0024】
2) ブタジエン重合における触媒系D1とMD1の比較
250mlの“Steinie”ボトルを、重合反応器として使用する。各々の重合反応は、この事前の洗浄および乾燥処理したボトルを温度自動調節水浴中での撹拌に供することによって実施する。
各々のブタジエン重合反応(10gのブタジエンをボトル当り使用する)を、30℃のMCH中および不活性窒素雰囲気下に実施する。9に等しい“重合溶媒(MCH)/モノマー(Btd)”質量比を使用した(この質量比は、以下、S/Mと称する)。
ネオジムに対する触媒基材の量は、100gのブタジエン当り846μモルである。
ボトルの耐漏えい性は、“密閉/穿刺栓”タイプのアッセンブリによって確保し、それによって、シリンジを使用しての各触媒系の添加を可能にする。
メタノールを、1mlの容量で、重合反応を停止させるための剤として使用し、N-1,3-ジメチルブチル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)を保護剤として使用する(シクロヘキサン中10g.l-1の濃度で1ml容量、即ち、0.02gの質量で)。
ブタジエンのポリブタジエンへの反応時間の関数としての転換度合の測定値を使用して、重合速度を説明する。
トルエン中0.1g.dl-1での固有粘度ηinhにより、その1部として、得られた各ポリブタジエンのマクロ構造を特性決定する。
結果は、図7に示している。
これらの曲線は、本発明に従い連続製造した触媒系により、バッチ方式において製造した触媒系によるのと同じ触媒活性を有し得ることを示している。
【0025】
実施例3
本発明に従う連続方法による濃厚触媒系MD2の製造:触媒濃度の影響
1) 触媒MD2の製造
この触媒系は、図2に略図的に示す装置で実施する本発明に従う方法によって製造した。溶解反応器(10)は、その高さに亘ってむらなく分布させた3本のローターにより混合し且つ32.5 lの容積を有するタンクである。それぞれアルキル化工程およびハロゲン化-エージング工程を意図する良好混合型ダイナミックミキサー(30)および(40)は、0.49 lおよび2.75 lのそれぞれの容積を有する。装置の流量は、2.57l/hである。
触媒系MD2を、この方法で連続製造した;この系は、触媒配合Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/2/2.7およびネオジムに関しての濃度0.04モル.l-1を有していた。
さらに詳細には、これらの触媒系は、先で使用した0.025モル.l-1の代りに、2.1質量%の遊離酸量(即ち、ネオジムに対し41.02%のビス(2-エチルヘキシル)リン酸のモル過剰)を含有し且つ24質量ppmの水分含有量(即ち、ネオジムに対し0.84%の水のモル過剰)を有する0.136モル.l-1のMCH中塩NdP3の濃厚溶液を使用して製造した。そのようにして調製した溶液を、30℃に維持した反応器(10)に供給し、そして、以下のようにする:
‐反応器10において、予備成形用ジエンをこの溶液に添加する;
‐良好混合型ダイナミックミキサー(30)において、そのようにして得られ30℃に維持した混合物を、“DiBAH”により、15分間アルキル化した;使用したDiBAH”濃度は、1モル.l-1である;次に、
‐良好混合型ダイナミックミキサー(40)において、アルキル化反応の生成物を、“DEAC”により、60℃で64分間ハロゲン化し、エージングする。使用した“DEAC”の濃度は、0.5モル.l-1である。
温度上昇の痕跡は、ダイナミックミキサー(40)の周りの熱伝導液の温度を一定に保ったものの何ら検知されてないことに注目すべきである。
ゲルの痕跡は、7時間以上の操作後も見られていない。
【0026】
2) ブタジエン重合における触媒系MD1とMD2の比較
2種類の触媒を、実施例2に記載したプロトコールと厳密に同じプロトコールに従い、ブタジエン重合反応において使用する。結果は、図8において報告している。
結果として、触媒濃度は、アルキル化剤およびネオジム塩溶液の供給物濃度により容易に調整し得る。濃厚触媒は、その希薄同類物と同等に活性である。また、得られたポリマーの最終特性自体も、タイヤ被覆材の製造用途に関して極めて有益なままである。上記触媒系の連続合成のための本発明に従うこの方法は、上述の予備成形工程の発熱を、触媒系における希土類元素(1種以上)の比較的高最終濃度の場合でさえも、この発熱を連続工程において良好な熱交換分布によって制御し得ることにより、成功裏に制御するのを可能にしていることに注目すべきである。
【0027】
実施例4
直列に配置した2組の良好混合型ダイナミックミキサーを使用しての本発明に従う連続方法による触媒系MD3の製造
1) 触媒系MD3の製造
この触媒系は、図4に略図的に示す装置で実施する本発明に従う方法によって製造した。溶解反応器(10)は、その高さに亘ってむらなく分布させた3本のローターにより混合し且つ32.5 lの容積を有するタンクである。アルキル化工程を意図する良好混合型ダイナミックミキサー(30a)、(30b)、(30c)、ハロゲン化-エージング工程を意図する(40a)、(40b)、(40c)は、(30a)、(30b)、(30c)において0.16 lおよび(40a)、(40b)、(40c)において0.920 lのそれぞれの容積を有する。装置の流量は、1.93 l/hである。
触媒系MD3を、この方法で連続製造した;この系は、触媒配合Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/2/2.7およびネオジムに関しての濃度0.02モル.l-1を有していた。
さらに詳細には、この触媒系MD3は、以下により製造した:
‐反応器(10)において、30℃で30分またはそれ以上、塩NdP3をMCH中に溶解し、予備成形用ジエンを添加した;
‐良好混合型ダイナミックミキサー(30a)、(30b)、(30c)において、そのようにして得られ30℃に維持した混合物を、“DiBAH”により、15分間アルキル化した;使用した“DiBAH”の濃度は、1モル.l-1であった;次に、
‐良好混合型ダイナミックミキサー(40a)、(40b)、(40c)において、アルキル化反応の生成物を、“DEAC”により、60℃で85分間ハロゲン化し、エージングした。使用した“DEAC”の濃度は、0.5モル.l-1であった。
ゲルの痕跡は、この合成の操作7時間後およびそれ以降において見られていない。
2) 触媒系MD1とMD3の比較
2種類の触媒を、実施例2に記載したプロトコールと厳密に同じプロトコールに従い、ブタジエン重合反応において使用する。結果は、図9において報告している。
本発明に従う他の触媒の活性および構造特性と完全に同様である触媒活性並びにマクロ構造およびミクロ構造特性を見出している。
【0028】
実施例5
本発明に従う連続方法による低DiBAH/Nd比を有する触媒系MD4の製造
1) 触媒系MD4の製造
この触媒系は、希土類塩NdP3の出力計測用装置(15)も含み、上記塩の溶解を、上記出力計測装置に連結した第2の出口(14)を有する混合型貯蔵容器(10)において実施する図1に略図的に示す装置で実施する本発明に従う方法によって製造した。溶解容器(10)は、その高さに亘ってむらなく分布させた3本のローターにより混合し且つ32.5 lの容積を有するタンクである。それぞれアルキル化工程およびハロゲン化-エージング工程を意図する良好混合型ダイナミックミキサー(30)および (40)は、0.49 lおよび2.78 lのそれぞれの容積を有する。装置の流量は、2.34 l/hである。
触媒系MD4を、この方法で連続製造した;この系は、触媒配合Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/1.3/2.7およびネオジムに関しての濃度0.04モル.l-1を有していた。
さらに詳細には、これらの触媒系は、30℃に維持した反応器(10)において調製した0.055モル.l-1のMCH中塩NdP3の濃厚溶液を使用し、以下のようにして製造した:
‐良好混合型ダイナミックミキサー(30)において、予備成形用ジエンをこの溶液に添加した;
‐良好混合型ダイナミックミキサー(30)において、そのようにして得られ30℃に維持した混合物を、“DiBAH”により、15分間アルキル化した;使用した“DiBAH”の濃度は、1モル.l-1であった;次に、
‐良好混合型ダイナミックミキサー(40)において、アルキル化反応の生成物を、“DEAC”により、60℃で70分間ハロゲン化し、エージングした。使用した“DEAC”の濃度は、0.785モル.l-1であった。
装置内でのゲル形成または付着物はないことに注目すべきである。
【0029】
2) ブタジエン重合における触媒系MD4の使用
250mlの“Steinie”ボトルを、重合反応器として使用する。ボトルの耐漏えい性は、“密閉/穿刺栓”タイプのアッセンブリによって確保し、それによって、シリンジを使用しての各触媒系の添加を可能にする。重合反応は、この事前の洗浄および乾燥処理したボトルを温度自動調節水浴中での撹拌に供することによって実施する。
ブタジエン重合反応(10gのブタジエンをボトル当り使用する)を、30℃のMCH中および不活性窒素雰囲気下に実施する。9に等しい“重合溶媒(MCH)/モノマー(Btd)”質量比を使用した(この質量比は、以下、S/Mと称する)。
ネオジムに対する触媒基材の量は、100gのブタジエン当り1308μモルである。
メタノールを、1mlの容量で、重合反応を停止させるための剤として使用し、N-1,3-ジメチルブチル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)を保護剤として使用する(シクロヘキサン中10g.l-1の濃度で1ml容量、即ち、0.02gの質量で)。
ブタジエンのポリブタジエンへの反応時間の関数としての転換度合の測定値を使用して、重合速度を説明する。
トルエン中0.1g.dl-1での固有粘度ηinhにより、その1部として、得られた各ポリブタジエンのマクロ構造を特性決定する。
結果は、図10および表3に報告している。
この曲線は、本発明に従い連続製造した触媒配合Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/1.3/2.7の触媒が、極めて良好な触媒活性を有することを示している。
【0030】
実施例6
バッチ法に従う触媒系D2および高DiBAH/Nd比を有する本発明に従う連続方法により製造する触媒系MD5の製造
1) 触媒D2の製造
触媒系D2は、文献WO-A-03/097708号に記載されているバッチ方式製造方法を追試することによって製造した。250mlの“Steinie”ボトルを合成反応器として使用する。
この触媒系D2は、次の配合:Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/2/2.7を有し、その濃度は、0.02モル.l-1である。
そのために、粉末形のネオジム塩NdP3を、前以って清浄化してその不純物を除去した250mlの“Steinie”ボトルに導入した。その後、この塩を窒素掃気に10分間供し、次いで、以下の連続工程を実施した:
溶解工程
メチルシクロヘキサン(MCH)からなる溶媒を、ゼラチン状溶液を調製する目的で、上記ネオジム塩NdP3を含む“Steinie”ボトルに導入した。上記塩と溶媒を周囲温度で1夜接触させた。
予備成形用ジエンの添加工程
次に、ブタジエンを、“Steinie”ボトルに周囲温度で導入した。
アルキル化工程
その後、“DiBAH”を、アルキル化剤として、周囲温度の“Steinie”ボトルにおよそ1モル.l-1の濃度で導入した。反応媒は、直ちに流体となる。アルキル化時間は15分である。
アルキル化反応の温度は、30℃である。
ハロゲン化工程
次に、“DEAC”を“Steinie”ボトルにおよそ0.5モル.l-1の濃度で導入した。その後、反応媒の温度を60℃にした。極めて急速な温度上昇は、触媒中に導入したブタジエンの量および“Steinie”ボトル壁による特段の同時冷却の不存在に比例した反応の発熱に関連している。
エージング工程
そのようにして得られた混合物のエージングを、この60℃の温度を70分間維持することによって実施した。
最後に、得られた触媒溶液を冷却し、−15℃の温度のフリーザー内で窒素雰囲気下に貯蔵した。
【0031】
2) 本発明に従う触媒系MD5の製造
この触媒系は、実施例5の触媒系MD4の製造において使用した装置内で実施する本発明に従う方法により製造した;容器(10)は、貯蔵容器(10)に、容器(24)に貯蔵した予備成形用共役ジエンの1部を流量計により導入するための第3の入口(16)含む(容器(24)は、上記容器の入口(16)に連結した出口(22)を備えている)。溶解容器(10)は、その高さに亘ってむらなく分布させた3本のローターにより混合し且つ32.5 lの容積を有するタンクである。それぞれアルキル化工程およびハロゲン化-エージング工程を意図する良好混合型ダイナミックミキサー(30)および (40)は、0.49 lおよび2.78 lのそれぞれの容積を有する。装置の流量は、2.38 l/hである。
触媒系MD5を、この方法で連続製造した;この系は、触媒配合Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/12/2.7およびネオジムに関しての濃度0.04モル.l-1を有していた。
さらに詳細には、これらの触媒系は、30℃に維持した反応器(10)において調製した0.0972モル.l-1のMCH中塩NdP3の濃厚溶液を使用し、以下のようにして製造した:
‐反応器(10)において、予備成形用ジエンをこの溶液に添加した;
‐良好混合型ダイナミックミキサー(30)において、そのようにして得られ30℃に維持した混合物を、“DiBAH”により、15分間アルキル化した;使用した“DiBAH”の濃度は、1モル.l-1であった;次に、
‐良好混合型ダイナミックミキサー(40)において、アルキル化反応の生成物を、“DEAC”により、60℃で70分間ハロゲン化し、エージングした。使用した“DEAC”の濃度は、0.785モル.l-1であった。
装置内でのゲル形成および付着物はないことに注目すべきである。
【0032】
3) ブタジエン重合における触媒系D2とMD5の比較
2種類の触媒を、実施例5に記載したプロトコールと厳密に同一のプロトコールに従い、ブタジエン重合反応において使用した。ネオジムに対する触媒基材の量は、D2において100gのブタジエン当り192μモルおよびMD5において100gのブタジエン当り231μモルである。
結果は、図11および表4に報告している。
これらの曲線は、触媒配合Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/12/2.7の触媒において、本発明に従う連続方式で製造した触媒系およびバッチ方式で製造した同じ触媒配合の触媒系によるポリマーの等粘度(isoviscosity)に等価の最終活性を有し得ることを示している。
本実施例の結果と実施例5の結果をあわせると、本発明に従う連続方式で製造した触媒のDiBAH/Nd比は、広範囲に亘って変動し得るようである。
【0033】
実施例7
本発明に従う連続方法により製造する触媒系MD6の製造、およびこれも本発明に従わない連続方法により製造した低アルキル化時間触媒系MD7との比較
1) 触媒系MD6の製造
この触媒系は、実施例5の触媒系MD5の製造において使用した装置内で実施する本発明に従う方法により製造した。溶解容器(10)は、その高さに亘ってむらなく分布させた3本のローターにより混合し且つ32.5 lの容積を有するタンクである。それぞれアルキル化工程およびハロゲン化-エージング工程を意図する良好混合型ダイナミックミキサー(30)および (40)は、0.49 lおよび2.78 lのそれぞれの容積を有する。装置の流量は、2.34 l/hである。
触媒系MD6を、この方法で連続製造した;この系は、触媒配合Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/2/2.7およびネオジムに関しての濃度0.04モル.l-1を有していた。
さらに詳細には、これらの触媒は、30℃に維持した反応器(10)において調製した0.057モル.l-1のMCH中塩NdP3の濃厚溶液を使用し、以下のようにして製造した:
‐良好混合型ダイナミックミキサー(30)において、この溶液に予備成形用ジエンを添加した;
‐良好混合型ダイナミックミキサー(30)において、そのようにして得られ30℃に維持した混合物を、“DiBAH”により、15分間アルキル化した;使用した“DiBAH”の濃度は、1モル.l-1であった;次に、
‐良好混合型ダイナミックミキサー(40)において、アルキル化反応の生成物を、“DEAC”により、60℃で70分間ハロゲン化し、エージングした。使用した“DEAC”の濃度は、0.785モル.l-1であった。
装置内でのゲル形成および付着物はないことに注目すべきである。
【0034】
2) 触媒系MD7の製造
この触媒系は、実施例5の触媒系MD5の製造において使用した装置内で実施する本発明に従わない方法により製造した。溶解容器(10)は、その高さに亘ってむらなく分布させた3本のローターにより混合し且つ32.5 lの容積を有するタンクである。それぞれアルキル化工程およびハロゲン化-エージング工程を意図する良好混合型ダイナミックミキサー(30)および (40)は、0.49 lおよび2.78 lのそれぞれの容積を有する。装置の流量は、11.1 l/hである。
触媒系MD7を、この方法で連続製造した;この系は、触媒配合Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/2/2.7およびネオジムに関しての濃度0.04モル.l-1を有していた。
さらに詳細には、これらの触媒は、30℃に維持した反応器(10)において調製した0.0508モル.l-1のMCH中塩NdP3の濃厚溶液を使用し、以下のようにして製造した:
‐溶解反応器(10)において、この溶液に予備成形用ジエンを添加した;
‐良好混合型ダイナミックミキサー(30)において、そのようにして得られ30℃に維持した混合物を、“DiBAH”により、3分間アルキル化した;使用した“DiBAH”の濃度は、1モル.l-1であった;次に、
‐良好混合型ダイナミックミキサー(40)において、アルキル化反応の生成物を、“DEAC”により、60℃で15分間ハロゲン化し、エージングした。使用した“DEAC”の濃度は、0.785モル.l-1であった。
装置内でのゲル形成および付着物はないことに注目すべきである。
【0035】
2) ブタジエン重合における触媒系MD6とMD7の比較
2種類の触媒を、実施例5に記載したプロトコールと厳密に同一のプロトコールに従い、ブタジエン重合反応において使用した。ネオジムに対する触媒基材の量は、100gのブタジエン当り846μモルである。結果は、図12および表5に報告している。
これらの曲線は、上記重合において使用するネオジムに対する同じ量の触媒基材において、3分間アルキル化した触媒系MD7は、本発明に従って製造した触媒系MD6の触媒活性よりもはるかに低い触媒活性を有することを示している。触媒系MD7によって得られたポリマーのマクロ構造特性も極めて低下している:多分散性指数は極めて高い。これらの特性は、タイヤ被覆材の製造用途に関しては絶対に許容され得ない。
最後に、触媒系MD7は、不均質であり、とりわけ大量の付着物を示していることに注目すべきである。このことも、この不溶性相が製造プロセスの閉塞を生じ得るので、工業的応用の点では絶対に許容され得ない。
【0036】
実施例8
バッチ法による触媒系D3の製造、および本発明に従う連続方法により製造した触媒系MD6とのイソプレン重合における比較
1) 触媒D3の製造
触媒系D3は、上述の文献WO 02/38636号に記載されているバッチ方式製造方法を追試することによって製造した。
この触媒系D3は、次の配合:Nd/ブタジエン/DiBAH/DEAC = 1/30/2/2.7を有し、その濃度は、0.02モル.l-1である。
そのために、メチルシクロヘキサン(MCH)からなる溶媒を、前以って清浄化してその不純物を除去した25 lのバッチ反応器に注入した。次に、この溶媒を窒素掃気に3分間供し、次いで、以下の連続工程を実施した:
溶解工程
ゼラチン状溶液を調製する目的で、粉末形のネオジム塩NdP3を、上記溶媒を含む反応器に導入した;3分間のさらなる掃気後に上記溶媒を上記塩と接触させる時間と温度は、それぞれ、30℃で30分である。
予備成形用ジエンの添加工程
次に、ブタジエンを、この反応器に30℃の温度で導入した。
アルキル化工程
その後、“DiBAH”を、アルキル化剤として、30℃に維持したこの反応器におよそ1モル.l-1の濃度で導入した。反応媒は、直ちに流体となる。アルキル化時間は15分である。
アルキル化反応の温度は、30℃であった。
ハロゲン化工程
次に、“DEAC”を、この反応器におよそ0.5モル.l-1の濃度で導入した。その後、反応媒の温度を60℃にした。極めて急速な温度上昇は、触媒中に導入したブタジエンの量および反応器壁による特段の同時冷却の不存在に比例した反応の発熱に関連している。
エージング工程
その後、そのようにして得られた混合物のエージングを、この60℃の温度を70分間維持することによって実施した。
最後に、得られた触媒溶液を冷却し、−15℃の温度のフリーザー内で窒素雰囲気下に貯蔵した。
【0037】
触媒系D3とMD6のイソプレン重合における比較
250mlの“Steinie”ボトルを、重合反応器として使用する。ボトルの耐漏えい性は、“密閉/穿刺栓”タイプのアッセンブリによって確保し、それによって、シリンジを使用しての各触媒系の添加を可能にする。各々の重合反応は、この事前の洗浄および乾燥処理したボトルを温度自動調節水浴中での撹拌に供することによって実施する。
このイソプレン重合反応(10gのイソプレンをボトル当り使用する)を、30℃のMCH中および不活性窒素雰囲気下に実施する。9に等しい“重合溶媒(MCH)/モノマー(Isop)”質量比を使用した(この質量比は、以下、S/Mと称する)。
ネオジムに対する触媒基材の量は、D3において100gのブタジエン当り392μモルおよびMD6において100gのブタジエン当り471μモルである。
メタノールを、1mlの容量で、重合反応を停止させるための剤として使用し、N-1,3-ジメチルブチル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)を保護剤として使用する(シクロヘキサン中10g.l-1の濃度で1ml容量、即ち、0.02gの質量で)。
イソプレンのポリイソプレンへの反応時間の関数としての転換度合の測定値を使用して、重合速度を説明する。
トルエン中0.1g.dl-1での固有粘度ηinhにより、その1部として、得られた各ポリブタジエンのマクロ構造を特性決定する。
結果は、図13および表6に報告している。
これらの曲線は、イソプレン重合において、本発明に従う連続方式で製造した触媒系とバッチ方式で製造した触媒系間で等価である触媒活性並びにマクロ構造およびミクロ構造特性を見出していることを示している。
【0038】


近赤外線(NIR)アッセイ法を使用した。この方法は、ミクロ構造を13C NMR法により測定している“対照”エラストマーを必要とする間接法である。エラストマー中のモノマー分布とエラストマーNIRスペクトルの形状間に存在する定量関係(ランベルト・ベールの法則)を使用する。この方法を2工程で実施する。
1) 較正
‐各“対照”エラストマーもそれぞれのスペクトルを獲得する。
‐数学モデルを、1つのミクロ構造を所定のスペクトルと関連付けして確立する;これを、スペクトルデータの要因解析に依存する部分最小二乗(PLS)回帰法を使用して行う。下記の2つの文献は、詳細な形で、“多変量”データを解析するこの方法の理論および使用に関連している:
(1) P. Geladi and B. R. Kowalski, “Partial Least Squares regression: a tutorial”, Analytica Chimica Acta, vol. 185, 1-17 (1986);
(2) M. Tenenhaus, “La regression PLS - Theorie and pratique”, (PLS regression theory and practice), Paris, Editions Technip (1998)。
2) 測定
‐サンプルのスペクトルを記録する。
‐ミクロ構造を算定する。
【0039】


a) 測定原理
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、溶液中のマクロ分子を、そのサイズに応じて、多孔質ゲルを充填したカラムにより物理的に分離するのを可能にする。マクロ分子は、その流体力学的容積に従って分離し、最大容積を有するマクロ分子が最初に溶出する。
絶対的方法ではないが、SECは、ポリマーの分子量分布の評価を可能にしている。種々の数平均分(Mn)および質量平均(Mw)分子量を測定し、多分散性指数(Ip = Mn/Mw)を、市販の標準から、ムーア(Moore)較正により算出し得る。
b) ポリマーの調製
分析前に、ポリマーサンプルの特段の処理はない。ポリマーサンプルを、およそ1g/lの濃度でテトラヒドロフラン中に単純に溶解する。
c) SEC分析
事例c1) 使用する装置は、Waters Allianceクロマトグラフィー装置である。溶出溶媒はテトラヒドロフランであり、流量は1ml/分であり、装置温度は35℃であり、分析時間は30分である。商品名Styragel HT6Eを有するWatersカラムの2本セットを使用する。
ポリマーサンプル溶液の注入容量は、100μlである。検出器は、Waters 2140示差屈折率検出器であり、クロマトグラフィーデータを加工するソフトウェアは、Waters Millenniumシステムである。
事例c2) 使用する装置は、Waters Allianceクロマトグラフである。溶出溶媒はテトラヒドロフランであり、流量は0.7ml/分であり、装置温度は35℃であり、分析時間は90分である。Watersカラムの4本セットを直列で使用する;これらのカラムは、商品名Styragel HMW7、Styragel HMW6EおよびStyragel HT6E (2本)を有する。
ポリマーサンプル溶液の注入容量は、100μlである。検出器は、Waters model RI32X示差屈折率検出器であり、クロマトグラフィーデータを加工するソフトウェアは、Waters Millenniumシステムである。
両事例において、算出した平均分子量は、次のミクロ構造を有するポリブタジエンにおいて描いた較正曲線と対比している:11質量%のタイプ1,2単位および48質量%のタイプトランス-1,4単位。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に従う触媒系の連続製造における本発明の例としての実施態様に従う装置の図式である。
【図2】本発明に従う触媒系の連続製造における本発明の実施態様の1つの変法に従う装置の図式である。
【図3】本発明に従う触媒系の連続製造における本発明の実施態様のさらなる変法に従う装置の図式である。
【図4】本発明に従う触媒系の連続製造における本発明の実施態様の第3の変法に従う装置の図式である。
【図5】本発明に従う触媒系の連続製造における本発明の実施態様の第4の変法に従う装置の図式である。
【図6】本発明に従う触媒系の連続製造および少なくとも1種の共役ジエンモノマーの連続重合における本発明に従わない実施態様の変法に従う装置の図式である。
【図7】バッチ方式で製造した触媒系および本発明の連続方法に従い図3に相応する装置によって製造した触媒系のそれぞれによって得られた、ブタジエン重合における反応速度を示すグラフである。
【図8】本発明の連続方法に従い、第1は図3(MD1)に、第2は図2(MD2)に相応する装置により製造した2つの触媒系のそれぞれによって得られた、ブタジエン重合における反応速度を示すグラフである。
【図9】本発明の連続方法に従い、第1は図3(MD1)に、第2は図4(MD3)に相応する装置により製造した2つの触媒系のそれぞれによって得られた、ブタジエン重合における反応速度を示すグラフである。
【符号の説明】
【0041】
10 溶媒中希土類元素の塩溶液用の貯蔵容器、または溶解反応器
11 不活性炭化水素系溶媒の入口
12 ポンプ
13 不活性炭化水素系溶媒の貯蔵容器
14 不活性炭化水素系溶媒導入用の入口
15 出力計測装置
16 予備成形用共役ジエンの1部導入用の入口
17 溶媒中希土類元素の塩溶液の出口
18 ポンプ
20 予備成形用共役ジエン添加用の良好混合型ダイナミックミキサー
21 溶媒中希土類元素の塩溶液導入用の入口
22 容器24の出口
24 予備成形用共役ジエンの収容容器
25 希土類元素と予備成形用共役ジエンの混合物の出口
30 良好混合型ダイナミックミキサー
31 溶媒中希土類元素の塩溶液導入用の入口
32 アルキル化剤導入用の入口
33 アルキル化剤の収容容器
34 アルキル化生成物の出口
36 予備成形用共役ジエン導入用の第3入口
40 ハロゲン化-エージング反応器
41 アルキル化生成物導入用の第1入口
42 ハロゲン供与体導入用の第2入口
43 ハロゲン供与体の収容容器
44 製造した触媒系の出口
45 管状反応器
50 製造した触媒系の貯蔵容器
51 上記貯蔵容器の入口
52 上記貯蔵容器の出口
53 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐予備成形用共役ジエン;
‐少なくとも1種の飽和の脂肪族または脂環式不活性炭化水素系溶媒中の溶液中に存在する、1種以上の希土類金属の有機リン酸塩;
‐式AlR3またはHAlR2 (式中、Rは、好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基を示し;Hは、水素原子を示す)を有するアルキルアルミニウムを含むアルキル化剤;および、
‐アルキルアルミニウムハライドを含むハロゲン供与体;
を少なくともベースとする、少なくとも1種の共役ジエンモノマーの重合において使用し得る触媒系の連続製造方法であって、ワンライン(L)で下記の工程を連続して含むことを特徴とする方法:
(i) 前記予備成形用共役ジエンと、前記希土類元素の塩溶液および前記アルキル化剤とのアルキル化反応工程(該アルキル化反応は、少なくとも1基の良好混合型ダイナミックミキサーからなるアルキル化反応器(30)内で、少なくとも5分間の特徴的最低時間で実施する);
(ii) 前記ハロゲン供与体を(i)で得られた混合物に添加して、予備成形した触媒系のハロゲン化-エージングのための反応を生じさせ且つ前記ライン(L)の出口において前記予備成形した触媒系を連続生成させる工程。
【請求項2】
前記予備成形用共役ジエン、希土類元素の溶液および前記アルキル化剤の全部を、前記アルキル化反応器内に直接導入する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、工程(i)の前に、前記溶媒と前記塩を溶解反応器(10)内で接触させる工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記塩を、次いで、溶媒を前記反応器内に導入する工程を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記予備成形用共役ジエンの全部または1部を前記反応器(10)内に導入する工程を含む、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記溶解反応器(10)から排出させた希土類元素の塩の前記溶液を、その後、ライン(L)内で、前記予備成形用共役ジエンの全部または1部と接触させる、請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記予備成形用共役ジエンの全部または1部を良好混合型ダイナミックミキサー(20)内に導入する工程を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記反応器(10)の温度を、10℃〜100℃の範囲の温度で制御する、請求項3〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記反応器(10)の温度を、30℃にほぼ等しいような方法で制御する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
希土類元素の塩の前記溶液と前記予備成形用共役ジエンとの、前記ライン(L)内での混合による連続接触を、10℃〜60℃の範囲の制御された温度で実施する、請求項3〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
希土類元素の塩の前記溶液と前記予備成形用共役ジエンとの、前記ライン(L)内での混合による連続接触を、30℃にほぼ等しい制御された温度で実施する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
希土類元素の塩の前記溶液を、前記ライン(L)内で希釈する、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
希釈を、アルキル化反応器(30)の上流に位置させた前記ライン(L)用の供給ポンプ(18)の前または後で実施する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、工程(i)の前に、ライン(L)内で混合することにより、前記溶媒中で直接調製した希土類元素の前記塩を前記予備成形用共役ジエンと10℃〜60℃の範囲の制御された温度で連続接触させる工程を含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
工程(i)を、25℃〜80℃の範囲の制御された温度および10〜60分の範囲の特徴的時間で実施する、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
工程(i)を、30℃にほぼ等しい制御された温度および15分にほぼ等しい時間で実施する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、前記ハロゲン供与体を添加する前に、前記アルキル化剤の前記ライン(L)中への前記特徴的滞留時間を制御する工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記アルキル化反応器内での滞留時間の制御工程が、前記良好混合型ダイナミックミキサー(1基以上)のタンク(1基以上)のサイズおよび/または数および/または容積を調整することを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記ハロゲン供与体を、ハロゲン化-エージング反応器の前の前記ライン(L)中に導入する、請求項15〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、工程(i)の後、前記ハロゲン化-エージング反応器内で、前記アルキル化反応の生成物を、前記ハロゲン供与体と、40℃〜80℃の範囲の制御された温度および10分〜2時間の範囲の時間で連続接触させる工程を含む、請求項15〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、工程(i)の後、前記ハロゲン化-エージング反応器内で、前記アルキル化反応の生成物を、前記ハロゲン供与体と、60℃にほぼ等しい制御された温度および60分にほぼ等しい時間で連続接触させる工程を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、前記ライン(L)内でのエージングの滞留時間を、前記良好混合型ダイナミックミキサー(1基以上)のタンク(1基以上)および/または1基以上の管状反応器のサイズおよび/または数および/または容積を調整することによって制御する工程を含む、請求項20および21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記触媒系が、ネオジムのような前記希土類金属を、0.002モル/l〜0.08モル/lの濃度で含む、請求項1〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記触媒系が、ネオジムのような前記希土類金属を、0.02モル/l〜0.04モル/lの濃度で含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記触媒系を、−25℃よりも高く+20℃以下の温度で、前記ライン(L)の下流において貯蔵する、請求項1〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記アルキル化剤が、水素化ジイソブチルアルミニウムである、請求項1〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記ハロゲン供与体が、ジエチルアルミニウムクロライドのようなアルキルアルミニウムモノハライドである、請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記塩が、トリス[ビス(2-エチルヘキシル)リン酸]ネオジムのような希土類元素のトリス[ビス(2-エチルヘキシル)リン酸塩]である、請求項1〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
(アルキル化剤/塩)モル比が、1.3〜15の範囲の値を有する、請求項26〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記(アルキル化剤/塩)モル比が、2に等しい値を有する、請求項29記載の方法。
【請求項31】
(ハロゲン/塩)モル比が、2〜3.5の範囲の値を有する、請求項1〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
(予備成形用共役ジエン/塩)モル比が、15〜70の範囲の値を有する、請求項1〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
本質的に下記を含むことを特徴とする、請求項1〜32のいずれか1項記載の方法を実施するための装置:
(i) 1基以上(n基)の連続アルキル化良好混合型ダイナミックミキサーからなる連続アルキル化反応器(30);
(ii) 1基以上(n'基)の良好混合型ダイナミックミキサー、および必要に応じての1基以上(n”基)のプラグフロー管状反応器を含み、ライン(L)の出口に連結させた連続ハロゲン化-エージング反応器(40);(n)および(n')は、0よりも大きい整数であり、n”は、0に等しいかまたは0よりも大きい整数である。
【請求項34】
前記アルキル化反応器および前記ハロゲン化-エージング反応器が、各々、1基の良好混合型ダイナミックミキサーからなる、請求項33記載の装置。
【請求項35】
前記ハロゲン化-エージング反応器(40)が、少なくとも1基の良好混合型ダイナミックミキサーと、スタティック-またはダイナミックタイプの混合を有し得るまたは有し得ない少なくとも1基のプラグフロー管状反応器を含む、請求項33記載の装置。
【請求項36】
前記アルキル化反応器(30)が、溶媒、溶液中の希土類元素の塩、アルキル化剤の1以上の供給源と連結している、請求項33〜35のいずれか1項記載の装置。
【請求項37】
前記装置が、ライン(L)の上流において、1種以上の希土類金属のリン酸塩の溶解用反応器(10)を含み、該反応器が下記を備えている、請求項33〜36のいずれか1項記載の装置:
‐少なくとも1種の飽和の脂肪族または脂環式不活性炭化水素系溶媒を前記反応器に導入するのに適する第1の入口(11);
‐1種以上の希土類金属の有機リン酸塩を前記反応器に導入するのに適する第2の入口(14);
‐前記溶媒中の前記塩の溶液を前記反応器からライン(L)の入口に導入するのに適する出口(17)。
【請求項38】
前記装置が、前記予備成形用共役ジエンの添加用の連続良好混合型ダイナミックミキサー(20)を更に含み、該ミキサーが、下記を備えている、請求項33〜37のいずれか1項記載の装置:
‐溶液中の希土類元素の塩を収容する容器(10)に連結し、該溶液を前記ミキサー(20)に導入するのに適する第1の入口(21);
‐予備成形用共役ジエンを収容する容器(24)に連結し、該共役ジエンを前記ミキサー(20)に導入するのに適する第2の入口(23);および、
‐前記溶液と前記予備成形用共役ジエンとの混合物をアルキル化反応器(30)に導入するのに適する出口(25)。
【請求項39】
前記装置が、前記ハロゲン化-エージング反応器(40)の出口で得られた触媒系の貯蔵用の貯蔵容器(50)も含む、請求項33〜38のいずれか1項記載の装置。
【請求項40】
前記装置が、前記ライン(L)の下流において、少なくとも1種の共役ジエンモノマーを前記ライン(L)により連続供給することによって連続重合させるのに適する少なくとも1基の連続重合反応器も含む、請求項33〜39のいずれか1項記載の装置。
【請求項41】
少なくとも1種の共役ジエンモノマー重合用の前記重合反応器が、連続重合反応器である、請求項33〜40のいずれか1項記載の装置。
【請求項42】
請求項1〜32のいずれか1項記載の前記触媒系の連続製造方法によって連続製造した触媒系を使用する、少なくとも1種の共役ジエンポリマーの連続製造方法。
【請求項43】
前記触媒系を、請求項33〜41のいずれか1項記載の装置によって連続製造する、請求項42記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−512748(P2009−512748A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535947(P2008−535947)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009959
【国際公開番号】WO2007/045417
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(599105403)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (228)
【Fターム(参考)】