説明

共押出し成形の方法、共押出し成形ダイ、及びそこから作製される押出し成形物品

それぞれポリマー材料を供給することができる2つのダイ空洞と、その2つのダイ空洞のそれぞれの少なくとも一部分の間に介在する配分プレートと、を備えるダイ。配分プレートは、分配エッジと、複数個の押出し成形チャネルとを有する。第1の押出し成形チャネル及び第2の押出し成形チャネルは、それぞれ第1のダイ空洞及び第2のダイ空洞における入口開口部から、分配エッジ上の出口開口部まで伸長する。第1の押出し成形チャネル及び第2の押出し成形チャネルの出口開口部は、交互位置に分配エッジに沿って配置される。そのようなダイを用いて押出し成形する方法、及びそこから作製される押出し成形物品も開示される。本方法は、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物を共押出し成形する工程を含む。押出し成形物品は、第1のポリマー組成物の複数個の長手方向の第1の縞と、第2のポリマー組成物の複数個の長手方向の第2の縞と、を交互に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互対照)
本出願は、米国特許仮出願第61/302,316号(2010年2月8日出願)の利益を請求するものであり、この開示内容全体は本明細書に参考として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
複数のポリマー成分を単一層のフィルムに共押出し成形することは、当該技術分野で周知である。例えば、複数のポリマーフローストリームをダイ又はフィードブロックにて層状に組み合わせて、上下の多層フィルムの提供が行われてきた。フィルムの厚さ方向に同一の広がりを持つ層としてではなくフィルムの幅寸法に沿った縞としてフィルムが分画される、より複雑な共押出し成形フィルム構造を提供することも周知である。これは、「サイドバイサイドの」共押出し成形と呼ばれる場合がある。サイドバイサイドの配向の縞を有する押出し成形製品は、例えば、米国特許第4,435,141号(Weisnerら)、同第6,159,544号(Liuら)、同第6,669,887号(Hilstonら)、及び同第7,678,316号(Ausenら)において説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
押出し成形装置がサイドバイサイドの配向で押出された縞を有する押出し成形製品を生産することは周知であるが、そのような装置の代替及び改良の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本開示は、少なくとも第1の押出し成形可能なポリマー組成物及び第2の押出し成形可能なポリマー組成物を共押出し成形するために有用なダイを提供する。そのダイは、第1のダイ部分における第1のダイ空洞と、第2のダイ部分における第2のダイ空洞と、第1のダイ空洞の少なくとも一部分(例えば、大部分又は全て)と第2のダイ空洞の少なくとも一部分(例えば、大部分又は全て)との間に介在する配分プレートと、を備える。配分プレートは、第1のダイ空洞の境界を形成する第1の側と、第2のダイ空洞の境界を形成する第2の側と、分配エッジと、複数個の第1の押出し成形チャネルと、複数個の第2の押出し成形チャネルと、を有する。第1の押出し成形チャネルは、第1のダイ空洞における入口開口部から分配エッジ上の出口開口部まで伸長し、第2の押出し成形チャネルは、第2のダイ空洞における入口開口部から分配エッジ上の出口開口部まで伸長する。第1の押出し成形チャネルの出口開口部及び第2の押出し成形チャネルの出口開口部は、交互位置に分配エッジに沿って配置される。第1の押出し成形チャネルのそれぞれは、2つの対向する側壁と、2つの対向する側壁を接続する接合面と、を備え、第1の押出し成形チャネルのうちの少なくともいくつかの接合面は、配分プレートの第1の側に対して実質的に平行である。
【0005】
別の態様では、本開示は、押出し成形物品を作製する方法を提供し、本方法は、上述のダイを提供する工程と、第1のポリマー組成物を第1のダイ空洞に供給する工程と、第1のポリマー組成物とは異なる第2のポリマー組成物を、第2のダイ空洞に供給する工程と、第1のポリマー組成物を、複数個の第1の押出し成形チャネルを通して押出し、第2のポリマー組成物を、複数個の第2の押出し成形チャネルを通して押出して、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物の交互領域の幅を有するフローストリームを形成するようにする工程と、フローストリームを長手方向にダイから押出して、押出し成形物品を形成するようにする工程と、を含み、押出し成形物品は、第1のポリマー組成物の複数個の長手方向の第1の縞を、第2のポリマー組成物の複数個の長手方向の第2の縞と交互に備え、長手方向の第1の縞の少なくともいくつかは、長手方向に対して垂直な平面に、実質的に平行な対向側を備える断面形状を有する。
【0006】
本開示によるダイ及び方法では、サイドバイサイドレーンへの異なるポリマー組成物のフローの管理は、複数のダイがサイドバイサイド共押出し成形を達成する必要があるアプローチとは対照的に、配分プレートを有する一軸マニホールドダイを使用して有利に実行することができる。またいくつかの実施形態では、ダイを容易に修正して、サイドバイサイドレーン全体に追加のポリマー層を提供し、これらの層は、サイドバイサイドレーンにおけるポリマーと同一であり得るか、又は異なってもよい。配分プレートは、ダイリップと分配エッジとの間の距離が短いダイリップにおいて使用することができ、これは、高レベルのポリマーレーンの制御を可能にする。配分プレートは、厚さ、レーン幅、及びランド長さに関する所望の要件を満たすように比較的安価に加工することができ、圧力及びポリマー溶解特性の変化に対応することができる。本明細書に開示される配分プレートの使用は、一次型半体の費用のかかる加工の必要性を低減又は排除することができる。また第1の側及び第2の側を有する配分プレートは、第1のダイ部分及び第2のダイ部分に対してそれを容易に密封するのを可能にする形状を有する。したがって、本開示を実施するために有用な配分プレートは、例えば、より複雑な形状を有するダイバーを超える、重要なコスト及び性能利益を提供し得る。通常、配分プレートは、2つの主要側を有すると理解されてもよく、第1の主要側及び第2の主要側は、それぞれ分配エッジ及び対向するエッジに接続される。換言すれば、配分プレートは、第1の側及び第2の側の2つの側のみを有し、最大4つのエッジのみを有することが理解され得る。
【0007】
本開示による方法及びダイは、例えば、異なるポリマー組成物を含む長手方向の縞を有する押出し成形物品を調製するために有用であり得る。したがって、更なる態様では、本開示は、第1の外縁及び第2の外縁、並びに中心線を有する押出し成形フィルムを提供し、押出し成形フィルムは、非弾性ポリマーを含む第1のポリマー組成物の偶数個の長手方向の第1の縞と、エラストマー性ポリマーを含む第2のポリマー組成物の奇数個の長手方向の第2の縞と、を交互に備え、長手方向の第2の縞が、少なくとも第1の外縁及び第2の外縁並び中心線に位置するようにし、第1の外縁及び第2の外縁に位置しない長手方向の第2の縞のそれぞれが、その長さに沿って脆弱線を有する。通常、長手方向の第1の縞の少なくともいくつかは、中心線に対して垂直な平面において、実質的に平行な対向側を備える断面形状を有する。いくつかの実施形態では、押出成形フィルムは、相対する複数の主面を含み、その複数の主面の少なくとも1つには突起(例えば、ループ係合ヘッド)が提供される。そのようなフィルムは、例えば、より軟性の高いエラストマー性材料から作製されたエッジを有する、非弾性ポリマーを含むフック縞を提供するために有用であり得る。
【0008】
本明細書に開示される方法を使用して、突起を有する押出し成形フィルムを調製する場合、第2のポリマー材料の組成物を制御することによって、フィルム高さを制御することが可能であることが今では判明している。したがって、更なる態様では、本開示は、非弾性ポリマーを含む第1のポリマー組成物の複数個の長手方向の第1の縞と、エラストマー性ポリマー及び非弾性ポリマーのブレンドを含む第2のポリマー組成物の複数個の長手方向の第2の縞と、を交互に備える、押出し成形フィルムを提供し、複数個の長手方向の第1の縞及び複数個の長手方向の第2の縞の両方は突起を備え、複数個の長手方向の第1の縞の突起は、複数個の長手方向の第2の縞の突起と実質的に同一の高さである。通常、長手方向の第1の縞の少なくともいくつかは、長手方向に対して垂直な平面において、実質的に平行な対向側を備える断面形状を有する。「実質的に同一の高さ」は、例えば、第2の縞の突起の高さが、第1の縞の突起の高さの10、8、5、4、3、2、又は1%以内であり得ることを意味する。そのようなフィルムは、例えば、より軟性の高いエラストマー性材料から作製されたエッジを有する、非弾性ポリマーを含むフック縞を提供するために有用であり得る。
【0009】
本明細書では、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、1つの実体のみを指すことを意図するものではなく、具体例を例示のために用いることができる一般分類を含む。用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と同じ意味で使用される。品目リストがその後に続く「〜のうちの少なくとも1つ」及び「〜のうちの少なくとも1つを含む」という表現は、リスト内の品目のいずれか1つ及び2つ以上の品目の任意の組み合わせを含むことを指す。全ての数値範囲は、特に明記しない限り、その端点と、端点間の非整数値を含む。
【0010】
本明細書で使用する「交互」という用語は、1つの第1の押出し成形チャネル又は長手方向の縞が、任意の2つの隣接する第2のチャネル又は縞(すなわち、それらの間に1つの第1のチャネル又は縞のみを有する第2のチャネル又は縞)の間に配置され、1つの第2のチャネル又は縞が任意の2つの隣接する第1のチャネル又は縞の間に配置されることを指す。
【0011】
「第1」及び「第2」という用語が、本開示において使用される。他に明記されない限り、それらの用語はそれらの相対的な意味のみで使用されることが理解されるであろう。特に、いくつかの実施形態では、ある構成要素は、互換性のある及び/又は同一の複数体(例えば、対)で存在してもよい。これらの構成要素について、「第1」及び「第2」という指定が、単に1つ以上の実施形態の説明における便宜性の問題として、構成要素に適用される場合がある。
【0012】
「ダイ」という用語は、そこを通して材料(本明細書に記載されるような)が押し進められ、圧縮され、押され、成形されるか、ないしは別の方法でダイを通して配向されて、記載の製品(例えば、押出し成形物品又は押出し成形フィルム)を提供し得るダイを含むことが理解されるであろう。
【0013】
本明細書で使用する「ループ係合」という用語は、突起がループ状の材料に機械的に付着する能力に関する。一般に、ループ係合ヘッドを有するステム突起は、ステムの形状とは異なるヘッド形状を有する。例えば、突起はマッシュルーム(例えば、ステムに対して拡大される円形若しくは楕円形ヘッドを有する)、フック、ヤシの木、釘、T字、又はJ字の形状であってもよい。突起のループ係合性は、標準的な織布、不織布、又はニット材料を使用することによって決定及び画定されてもよい。ループ係合ヘッドを有する突起の領域は、一般に、ループ状の材料と併せて、ループ係合ヘッドのない突起の領域よりも高い剥離強度、高い動剪断力、又は高い動摩擦のうちの少なくとも1つを提供する。通常、ループ係合ヘッドを有する突起は、最大約1(いくつかの実施形態では、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、又は0.45)ミリメートルの最大厚さ寸法を有する。
【0014】
本明細書で使用する「実質的に平行」という用語は、配分プレートの2つの面、又は断面形状の2つの側を指し、2つの平行面又は側が、最大10(いくつかの実施形態では、最大7.5又は5)度だけ平行から逸脱することを意味する。
【0015】
本明細書で使用する「実質的に垂直」という用語は、押出し成形チャネルの側壁又は後壁と、配分プレートの第1の側との間の関係を指し、壁及び第1の側が、最大10(いくつかの実施形態では、最大7.5又は5)度だけ垂直から逸脱することを意味する。しかしながら、実質的に垂直な側又は後壁は、接合面に湾曲を有し、押出し成形チャネルの角におけるデッドスポットを排除することができる。
【0016】
本開示の上記の「課題を解決するための手段」は、本開示の各開示実施形態又は全ての実施を説明しようとするものではない。以下の説明は、実例となる実施形態をより詳細に例示するものである。したがって、以下の図面及び「発明を実施するための形態」は、単に例示目的であって、本開示の範囲を不当に制限するように解釈されるべきではないと解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付図面と共に以下の本開示の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本開示をより完全に理解することができる。
【図1】本開示の一実施形態による押出し成形ダイの斜視図。
【図2】図1の線2−2に沿ってとられた、図1の押出し成形ダイの断面側面図。
【図2a】図2のマークされた領域2aの拡大図。
【図3】分離して示される、図1及び2の押出し成形ダイからの配分プレートの平面図。
【図4】分離して示される、図1及び2の押出し成形ダイからの配分プレートの斜視図。
【図4a】本開示によるダイ及び方法から調製可能な押出し成形物品の、少なくとも一部分の実施形態の断面側面図。
【図5】図1の線2−2に沿ってとられた、共押出し成形層を形成するためのダイの先端又はダイの後部にポートを有する図1の押出し成形ダイの断面側面図。
【図5a】図5のマークされた領域5aの拡大図。
【図5b】図5の押出し成形ダイを使用して調製可能な共押出し成形層を有する、押出し成形物品の少なくとも一部分の実施形態の断面側面図。
【図6】ロール形態である本開示による押出し成形物品の実施形態の斜視図。
【図7A】長手方向の縞のそれぞれがループ係合ヘッドを有する突起を提供する、押出し成形物品の実施形態の斜視断面図。
【図7B】長手方向の縞の1つが、ループ係合ヘッドを有する突起を提供し、長手方向の縞の1つが、ループ係合ヘッドを有しない突起を提供する、押出し成形物品の実施形態の斜視断面図。
【図8】押出し成形物品の縞の少なくとも1つが突起を提供する、いくつかの実施形態による装置及び方法の概略図。
【図9】ダイが共押出し成形層を形成するために有用であり得る、別の実施形態による押出し成形ダイの断面側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい実施形態を説明する際、明瞭化のために特定の技術用語が使用される。ただし、本開示は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、そのように選択された各用語は、同様に作用する全ての技術的等価物を包含する。
【0019】
ここで図1を参照すると、本開示に従って、本明細書に開示される方法を実施するために有用な押出し成形ダイ20の例示された実施形態は、第1のダイ部分22及び第2のダイ部分24を含む。通常、浮き上がり金属シムの形態である配分プレート26は、第1のダイ部分22と第2のダイ部分24との間に配置される。第1のダイ部分22は、第1の押出し成形可能なポリマー組成物の供給を受け入れるための第1の入口28を有し、第2のダイ部分24は、第2の押出し成形可能なポリマー組成物の供給を受け入れるための第2の入口30を有する。典型的な操作では、第1の入口28及び第2の入口30は、例えばポンプ又はスクリュー押出し機に接続された従来型式の溶融パイプ又は加熱ホースのような、それぞれ対応する押出し成形可能なポリマー組成物ソースと接続される。いくつかの実施形態では、材料は、1つ以上の押出し機(例えば、一軸スクリュー又は二軸スクリュー)を使用して、ダイに供給されてもよい。他の実施形態では、材料は、例えば、グリッド溶解装置及びギアポンプ、又は他の溶融材料のソース(例えば、溶融ポリマー材料)を使用して、ダイに供給されてもよい。
【0020】
ここで図2及び2aを参照すると、配分プレート26は、第1の側32と、第2の側34と、分配エッジ36とを有する。例えば、配分プレート26は、第1のダイ空洞38と第2のダイ空洞40とを分離するように配置された一体式若しくは分離したシム、膜、又は他の分割仕切りとすることができる。配分プレート26の第1の側32及び第1のダイ部分22は、第1のダイ空洞38を共に画定し、配分プレート26の第2の側34及び第2のダイ部分24は、第2のダイ空洞40を共に画定する。加熱要素25は、各ダイ部分に位置付けることができる。図示された代表的な実施形態では、ダイ部分22及び24は、分配エッジ36の前に形成される、ポリマー材料が押出されるダイリップ44からダイ20の内部に入り込む凹状窪み42を共に画定する。この凹状窪み42はランド43を含む。ダイ20の使用中、配分プレート26の両側の空洞38及び40は、加圧された押出し成形可能なポリマー材料で充填されることになる。したがって、これらの空洞38と40との間の圧力差が配分プレート26の物理的歪み強度を超えないよう注意が必要である。いくつかの実施形態では、配分プレートは、少なくとも2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、又は10ミリメートル(mm)厚である。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示によるダイ及び/又は本開示を実施するために有用なダイは、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物を含む押出品が押出され得るダイリップ44(例えば、スロット又は任意の所望の形状)を備える。図2aに示されるように、本開示による押出し成形ダイ20、及び/又は本開示を実施するために有用な押出し成形ダイ20からの配分プレート26は、分配エッジ36がダイリップ44から入り込み、空洞42が形成され得るように設計及び配置することができる。分配エッジ36を陥没させ、凹状窪み42を形成することは、多くの実施形態において有用であるが、本開示の要件であるとは考えられない。いくつかの実施形態では、分配エッジが、ダイリップから約2.5センチメートル(cm)以内にある。いくつかの実施形態では、分配エッジが、ダイリップから約7.5、6.25、5、3.75、2.5、1.9、1.3、0.635、又は0.5cm以内にある。例えば、分配エッジは、ダイリップから約0.5〜7.5cm、0.5〜2.5、又は0.635〜2.5cmの範囲内にあってもよい。分配エッジとダイリップとの間の距離は、通常、ポリマー押出品のフローを確立するのに十分な長さであるべきであり、通常、ポリマーの高さを超える距離が、1〜10の範囲である必要がある。分配エッジとダイリップとの間の距離が長すぎる場合、例えば、ポリマー押出品の縁の長手方向の縞が歪められてもよい。凹状窪み42の壁は真っ直ぐ(すなわち、ダイ開口部は高さにおいて分配エッジと寸法的に相当する)であってもよく、ダイリップ44に向かってテーパーされて(すなわち、ダイ開口部の高さが分配エッジより小さくて)もよい。また、例えば、フローストリームの合流の後に、凹状窪みの幅がテーパーされることが望ましい場合もある。
【0022】
ここで図3を参照すると、押出し成形ダイ20の様々な構成要素が組立品として共に保持されるように、配分プレート26を貫通するいくつかの貫通穴46を形成し、機構(例えば、機械ボルト)をそこに貫通させて受け入れることができる。
【0023】
図4に示される、本開示による配分プレート及び/又は本開示を実施するために有用な配分プレートの実施形態では、第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52は、配分プレート26に切り込まれた溝の形態である。それぞれのチャネルはまた、例えば、配分プレート内に切除ないし何らかの方法で形成されたトンネル又は他の経路の形態とすることができる。図4を参照すると、溝の形態の第1の複数個のチャネル50は、組み立てられたダイ20において、チャネル50が第1の空洞38から分配エッジ36まで伸長する(すなわち、接続する)ように、配分プレート26の第1の側32に刻み込まれている。更に、溝の形態の第2の複数個のチャネル52は、組み立てられたダイ20において、チャネル52が第2の空洞40から分配エッジ36まで伸長する(すなわち、接続する)ように、配分プレート26の第2の側34に刻み込まれている。図示されるようなチャネル50及び52、又は溝のそれぞれは、対向する側壁54及び56と、対向する側壁54と56との間の後壁55と、側壁54及び56を共に接続する接合面58(すなわち、第1のチャネル50の場合は底面であり、第2のチャネル52の場合は天井)と、配分プレート26の対応する側上の入口開口部60と、後壁55に対向する配分プレート26の分配エッジ36上の出口開口部62、62′とを備える。図示したように、チャネル50及び52は、1つの第1のチャネル50が任意の2つの隣接する第2のチャネル52の間に配置されるように、交互位置に分配エッジ36に沿って配置される。同様に、1つの第2のチャネル52は、任意の2つの隣接する第1のチャネル50の間に配置される。
【0024】
第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52は、多数の異なる方法によって、配分プレート26において形成することができる(例えば、ミリング、プランジ放電加工(EDM)、酸エッチング、電子ビーム加工、又はダイヤモンド加工)。本開示は、チャネル50及び52を作製するために使用される成形技術又は設備のタイプに限定することは意図しない。
【0025】
第1のチャネル50及び第2のチャネル52のプロファイルは同様であっても異なっていてもよい。例えば、それぞれのチャネルの対向する側壁54、56は、互いに平行であっても又は互いに角度(例えば、鋭角、直角、又は鈍角)を成してもよい。いくつかの実施形態では、各チャネルの対向する側壁54、56は、実質的に互いに平行である。加えて、第1のチャネル50の側壁54、56は、配分プレート26の第1の側に対して垂直又は(直角以外の)斜角に形成されてもよく、あるいは第1のチャネル50の側壁54、56は、それらの接合面58から配分プレート26の第1の側32及び分配エッジ36へとテーパーするように形成されてもよい(すなわち、接合面に隣接する側壁の間の距離は、配分プレートの第1の側に隣接する側壁、分配エッジに隣接する側壁、又はそれら両方の側壁の間の距離のいずれかより小さくてもよい)。同様に、第2のチャネル52の側壁54、56は、配分プレート26の第2の側34に対して垂直又は(直角以外の)斜角に形成されてもよく、あるいは第2のチャネル52の側壁54、56は、それらの接合面58から配分プレート26の第2の側及び分配エッジへとテーパーするように形成されてもよい(すなわち、接合面に隣接する側壁の間の距離は、配分プレートの第2の側に隣接する側壁、分配エッジに隣接する側壁、又はそれら両方の側壁の間の距離のいずれかより小さくてもよい)。チャネル50、52の両方のセットの側壁54、56は、配分プレート26のそれらの対応する側に対して垂直又は斜角若しくはテーパーしてもよいか、又はチャネルの1つのセット(例えば、50)が垂直であって、他のセット(例えば、52)がテーパー又は斜角であってもよい。斜めのダイチャネル50、52の使用は、押出品(例えば、フィルム)の平面に対して斜めのゾーンを作り出す。本開示との関係において便利なときは、垂直、斜め、及びテーパー以外の他の形状を用いてもよい。
【0026】
第1の押出し成形チャネル50のうちの少なくともいくつか(例えば、大部分又は全て)の接合面58は、配分プレート26の第1の側32に対して実質的に平行である。いくつかの実施形態では、第2の押出し成形チャネル52のうちの少なくともいくつか(例えば、大部分又は全て)の接合面58が、配分プレートの第2の側34に対して実質的に平行である。いくつかの実施形態では、第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネルのうちの少なくともいくつか(例えば、大部分又は全て)の接合面58が、配分プレートの第1及び第2の実質的に平行な側に対して実質的に平行である。配分プレートの第1又は第2の側に対して実質的に平行である接合面58は、通常、実質的に平行な側エッジを有する押出品においてゾーンを形成することになる。得られる押出し成形物品の少なくとも一部分の断面側面図を図4aに示す。押出し成形物品64aでは、長手方向の縞66、68がそれぞれ、実質的に平行な側エッジ65及び67を有する、長手方向に対して垂直な平面において断面形状を有する。対照的に、押出し成形チャネル50の接合面58が、分配エッジに向かって角度(例えば、鋭角)を成して傾斜する場合、押出し成形チャネル内の得られる異なるフローパス長は、通常、押出品において三角形状のゾーンをもたらす。
【0027】
得られる押出品の所望の構成に応じて、第1のチャネル50の出口開口部62は、配分プレート26の第1の側32から配分プレート26の第2の側34に向かって最後までではないが伸長するか、第2のチャネル52の出口開口部62’は、配分プレート26の第2の側34から配分プレート26の第1の側32に向かって最後までではないが伸長するか、又はそれら両方であることが望ましいことがある。このように、第1のチャネル50及び第2のチャネル52の出口開口部62、62’が互いにオーバーラップする程度は、所望に応じて異なり得る(例えば、第1の出口開口部及び第2の出口開口部は、オーバーラップを有しないか、ある程度のオーバーラップ又は完全なオーバーラップを有することができる)。あるいは、第1のチャネル50の出口開口部62は、配分プレート26の第1の側32から第2の側34まで(すなわち、配分プレート26の全体厚にわたって)伸長することができ、第2のチャネル52の出口開口部62’は、配分プレート26の第2の側34から第1の側32まで(すなわち、配分プレート26の全体厚にわたって)伸長することができ、又はそれら両方であることができる。また、組み合わせを使用してもよい。
【0028】
本開示によるダイ及び/又は本開示を実施するために有用なダイのいくつかの実施形態では、第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52の対が、不均一な幅を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52の対が、不均一な深さを有し得る。いくつかの実施形態では、第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52の対が、不均一な幅及び不均一な深さの両方を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の押出し成形チャネル出口開口部62が、2つの隣接する第2の押出し成形チャネル出口開口部62’の少なくとも1つの幅よりも、少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、又は500)パーセント大きい幅、又は2つの隣接する第2の押出し成形チャネル出口開口部62’の少なくとも1つの深さよりも、少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、又は200)パーセント大きい深さのうちの少なくとも1つを有する。第の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52の幅及び深さを調整して、例えば、押出し成形ポリマーの特性(例えば、チャネルの幅の第3の力の逆数として増加することができる、粘度、剪断力感度、及びフロー耐性)を適応させ、押出し成形物品において所望の幅の長手方向の縞を達成することができる。
【0029】
第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52の出口開口部62、62’の幅は、指定の適用について所望のとおり調整することができる。いくつかの実施形態では、第2の押出し成形チャネル52の出口開口部62’の幅は、1.5mmよりも大きく(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、又は6mm)、例えば、1.5mm〜15mm、1.5mm〜12mm、又は2mm〜10mmの範囲である。通常、第1の押出し成形チャネル52の出口開口部62の幅は、第2の押出し成形チャネル出口開口部よりも大きく(例えば、上述のとおり少なくとも10%大きい)、少なくとも5、6、7、8、9、又は10mm、例えば、10mm〜25mm、15mm〜25mm、又は15mm〜20mmの範囲であり得る。第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52の出口開口部62、62’の最大幅は、一般に、加工機械幅制限によって決定され、例えば、少なくとも75、80、90、又は100cmであってもよい。幅を調整して、広範な潜在的用途のための押出し成形ポリマーフィルムの加工を可能にすることができる。
【0030】
第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52の出口開口部62、62’の深さは、指定の適用について所望のとおり調整することができ、配分プレートの厚さによってのみ制限されてもよい。いくつかの実施形態では、配分プレートは、少なくとも5、6、7、8、9、又は10mm厚である。いくつかの実施形態では、配分プレートは、最大20、25、又は30mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、第2の押出し成形チャネル52の出口開口部62’の深さは、少なくとも0.25mm(いくつかの実施形態では、少なくとも0.5、1、2、3、4、又は5mm)である。第1の押出し成形チャネル52の出口開口部62の深さは、第2の押出し成形チャネル出口開口部よりも大きく(例えば、上述のように少なくとも10%大きい)、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10mmであり得る。
【0031】
図4に示される配分プレート26の実施形態では、第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52の両方が、側壁54及び56、並びにそれらが切除される配分プレート26の対応する側に対して実質的に垂直である後壁55を有する。押出し成形チャネルは、箱型であると言うことができる。第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52は、不均一な幅を有する(すなわち、それらの対応する側は、同一の距離だけ離間しない)。更に、例示される実施形態では、第1の押出し成形チャネル50の出口開口部62は、配分プレート26の第1の側32から、第1の側32と第2の側34との間の配分プレート26の中間部分まで伸長し、第2の押出し成形チャネル52の出口開口部62’は、第1の押出し成形チャネル50の出口開口部62及び第2の押出し成形チャネル52の出口開口部62’がオーバーラップしないように、配分プレート26の第2の側34から中間部分まで伸長する。
【0032】
配分プレート26は、通常、第1のダイ部分22及び第2のダイ部分24の両方の間の分配エッジ36に隣接する領域において、堅い密封を形成するように圧縮される。これらの密封は、空洞38及び40に流れるポリマー材料を、それらが分配エッジ36から分配されるまで完全に分離して維持する。第1のダイ部分22及び第2のダイ部分24が配分プレート26に対して密封する、配分プレート26に沿った距離は、頑強な密封及び構造強度を提供するために十分な長さである必要がある。第1の空洞38内の第1のポリマー材料は、第1の空洞38から分配エッジ36への方向で第1の溝50の開口部60に進入することによって、分配エッジ36に到達できるにすぎず、第2の空洞40内の第2のポリマー材料は、第2の空洞40から分配エッジ36への方向で第1の溝52の開口部(標識されない)に進入することによって、分配エッジ36に到達できるにすぎない。いくつかの実施形態では、第1のダイ部分及び第2のダイ部分の密封及び配分は、接着剤及び/又はガスケットの使用によって支援される。
【0033】
いくつかの実施形態では、分配エッジ36から見たときの配分プレート26の断面形状は、一般に矩形であり、第1のダイ部分22と第2のダイ部分24との間に堅い密封を形成するために有利である。したがって、本開示によるダイ及び/又は本開示を実施するために有用なダイは、ダイバーに対して互いに角度を成して密封される必要がある3つのダイ部分を有する、より複雑なダイを超える利点を有することができる。いくつかの実施形態では、配分プレートは五角形の断面形状を有しない。いくつかの実施形態では、分配エッジに対して垂直な平面における配分プレートの断面形状もまた矩形であり、他の実施形態では、この断面は一般に、分配エッジ付近の領域において、配分プレートに更なる剛性を提供するようにくさび形である。
【0034】
図4に示される実施形態では、第1の押出し形状チャネル50の入口開口部60のうちのいくつか(図示されるような溝)は、分配エッジ36に向かって、入口開口部60に沿って配分プレート26から伸長する補強部材59を備える。いくつかの実施形態では、第1の押出しチャネル50の入口開口部60の少なくとも一部が、補強部材59を備える。いくつかの実施形態では、第1の押出しチャネル50の入口開口部60の全てが、補強部材59を備える。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第2の押出し成形チャネル52の入口開口部は、補強部材59を備えない。図4に示されるように、補強部材59は、接合面58にわたって伸長し、分配エッジ36の方向にテーパーする。例示される実施形態の補強部材59は、第1の押出しチャネル入口開口部60が2つのサブチャネルに分離されるようにチャネル50を分割するが、補強部材59のテーパーリングは、第1の押出しチャネル出口開口部62におけるフローストリームを合わせることを可能にし得る。補強部材59は、図4に示されるように、接合面58にわたって分配エッジ36まで伸長し得るか、又は補強部材59は、接合面58に対して一部分のみ伸長してもよい。配分プレート26において形成される補強部材は、例えば、少なくとも15mmの幅を有するチャネルの構造補強に有用であって、配分プレート26の偏向を減少させ、配分プレート26の1つの側34上のポリマー組成物が、配分プレート26の他の側32上のレーンに移ることを回避し得る。例示される実施形態は、入口開口部60をわたって伸長するリブの形態で補強部材59を示すが、他のタイプの補強部材(例えば、梁、垂木、及びポスト)が想定される。
【0035】
本開示によるダイ及び方法は、2つの異なるポリマー組成物を押出すために有用である。「異なるポリマー組成物」という表現及び「第1のポリマー組成物とは異なる第2のポリマー組成物」という表現は、少なくとも1つの差異を有することを指す。例えば、異なるポリマー組成物は、異なるポリマー若しくは同一のポリマーの異なるブレンドで作製することができるか、又は同一のポリマー又はポリマーブレンド中に異なる添加剤(例えば、着色剤、可塑剤、相溶剤、又はガス)を有することができる。
【0036】
第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52を通って流れるように作製することができる、任意の2つのポリマー組成物が使用されてもよい。2つの異なるポリマー組成物の質量フロー(又は容量フロー)は、それらがそれぞれ第1の押出し成形チャネル50及び第2の押出し成形チャネル52を通して押出されるとき、均一又は不均一であり得る。意図される最終用途に依存して、それらの2つのポリマー組成物は、強力な凝集性又は接着性の結合で互いに接着されてもよく、あるいは互いに容易に分離可能(すなわち、第1のゾーンと第2のゾーンとの間の結合が比較的容易に破壊され得るもの)であってもよい。ポリマー組成物は、その表面特性又はそのバルク特性(例えば、引張り強度、弾性、色等)について選択することができる。更に、ポリマー組成物を選択して、弾性、柔軟性、硬さ、剛性、曲げ性、粗雑性、色、テクスチャ、又はパターン等の押出し成形物品における特定の機能又は審美特性を提供することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるダイ内に押出され得るポリマー組成物は、熱可塑性ポリマー組成物(例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン及びポリスチレンブロックコポリマー、ナイロン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタン、並びにそれらのコポリマー及びブレンド)である。しかしながら、本開示によるダイはまた、架橋することができるポリマー材料を(例えば、熱又は放射線によって)共押出し成形するために有用であり得る。熱硬化性樹脂を使用するときは、ダイ20を加熱して硬化を開始することにより、ポリマー材料の粘度及び/又は対応するダイ空洞38及び40内の圧力を調整することができる。
【0038】
2つの異なるポリマー組成物を共押出し成形することは、例えば、異なる触覚性を持つ縞を有する押出し成形物品を提供するために有用であり得る。1つの縞は、隣接する縞よりも手触りが柔らかい場合がある。そのような押出品は、軟性エッジを備えるフックファスナー縞を提供するために有用であり得る。第2の長手方向の縞は、例えば、第1のポリマー組成物よりもエラストマー性の高い第2のポリマー組成物を使用するか、又は発泡された第2のポリマー組成物を使用することによって、隣接する第1の長手方向の縞よりも柔らかく作製することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、2つの異なるポリマー組成物のうちの少なくとも1つが発泡される。例えば、いくつかの実施形態では、第2のポリマー組成物が発泡される。これらの実施形態では、第2のポリマー組成物が、組成物中のガスの存在を除いて、第1のポリマー組成物と同一の組成物を有してもよいか、又は第2のポリマー組成物は、第1のポリマー組成物とは異なるポリマー又は異なるポリマーブレンドから作製されてもよい。発泡ポリマー組成物は、例えば、化学発泡剤(例えば、Clariant Corp.,Holden,Massから商品名「HYDROCEROL」として入手可能な発泡剤)を使用するか、又はガス(例えば、二酸化炭素又は窒素)をポリマー組成物中に注入することによって調製することができる。
【0040】
本開示による押出し成形物品を作製する方法及び押出し成形物品のいくつかの実施形態では、非弾性ポリマーを含む第1のポリマー組成物及びエラストマー性ポリマーを含む第2のポリマー組成物が押出される。「非弾性」という用語は、フィルム(0.002〜0.5mm厚)を作製することができ、伸長又は変形からほとんど又は全く回復しないポリマーを指す。第1のポリマー組成物は、例えば、半結晶性若しくは非晶質ポリマー又はブレンドから形成され得る。非弾性ポリマーは、主にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はポリエチレン−ポリプロピレンコポリマー等のポリマーから形成される、ポリオレフィン系であり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリマー組成物は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマー、又はそれらのブレンドを含む。
【0041】
「エラストマー性」という用語は、伸長又は変形からの回復を呈するフィルム(0.002〜0.5mm厚)を作製することができる、ポリマーを指す。本明細書に開示されるセグメント化多成分高分子フィルムで使用され得る例示的なエラストマー性ポリマー組成物としては、ABAブロックコポリマー、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー(例えば、メタロセンポリオレフィンエラストマー)、ポリアミドエラストマー、エチレンビニルアセテートエラストマー、及びポリエステルエラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。ABAブロックコポリマーエラストマーは、概して、Aブロックがポリスチレン系であり、かつBブロックが共役ジエン(例えば、低級アルキレンジエン)であるエラストマーである。Aブロックは、主に置換(例えば、アルキル化)若しくは非置換スチレン系部分(例えば、ポリスチレン、ポリ(アルファメチルスチレン)、又はポリ(t−ブチルスチレン))から概して形成され、1モル当たり約4,000〜50,000グラムの平均分子量を有する。Bブロックは、主に置換又は非置換であり得る共役ジエン(例えば、イソプレン、1,3−ブタジエン、又はエチレン−ブチレン単量体)から概して形成され、1モル当たり約5,000〜500,000グラムの平均分子量を有する。A及びBブロックは、例えば、線状、放射状、又は星形構成で構成されてもよい。ABAブロックコポリマーは、複数のA及び/又はBブロックを含有してもよく、ブロックは同一の又は異なる単量体から作製されてもよい。典型的なブロックコポリマーは、線状ABAブロックコポリマーであり、Aブロックは同一であるか若しくは異なるか、又はAブロックで主に終端する、3つ以上のブロックを有するブロックコポリマーであってもよい。マルチブロックコポリマーは、例えば、より粘着性のあるエラストマーフィルムセグメントを形成する傾向がある、ある特定の割合のABジブロックコポリマーを含有してもよい。エラストマー特性が悪影響を受けないという条件で、他のエラストマーがブロックコポリマーエラストマーとブレンドされ得る。多くのタイプの熱可塑性エラストマーは、商業的に入手可能であり、BASF製の商品名「STYROFLEX」、Shell Chemicals製の商品名「KRATON」、Dow Chemical製の商品名「PELLETHANE]又は「ENGAGE」、DSM製の商品名「ARNITEL」、DuPont製の商品名「HYTREL」等が挙げられる。米国特許第6,669,887号(Hilstonら)に説明される、テトラブロックスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン/エチレン−プロピレンを含む、熱可塑性エラストマーもまた有用であり得る。
【0042】
エラストマー性組成物は、例えば、本明細書に開示される押出し成形物品の隣接する長手方向の縞における非弾性組成物に対するそれらの適合性又は接着性に対して選択されてもよい。例えば、良好な相互接着特性を有する第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物が選択されてもよい。末端部ブロック強化用樹脂及び相溶化剤もまた、第2のポリマー組成物中で使用されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、第2のポリマー組成物は、感圧性接着剤である。いくつかの実施形態では、第2のポリマー組成物は、感圧性接着剤でない。感圧性接着剤は、当業者には、(1)攻撃的及び永久的粘着力、(2)指圧以下の圧力による接着力、(3)被着体を保持する十分な能力、及び(4)被着体からきれいに取り外すのに十分な貼着力を含む特性を有することが周知である。いくつかの適用では(例えば、軟性エッジを有するフックファスナー縞の場合)、第2のポリマー組成物は、触って粘着性を感じないことが望ましい。
【0044】
本開示による押出し成形物品を作製する方法及び押出し成形物品のいくつかの実施形態では、エラストマー性ポリマーを含む第2のポリマー組成物が非弾性ポリマーを更に含む。いくつかの実施形態では、ある非弾性ポリマー(例えば、ポリプロピレン)及びある熱可塑性エラストマーを、本明細書に開示されるダイ及び方法を使用して、交互に並行する縞に共押出し成形するとき、熱可塑性エラストマー縞は、非弾性ポリマーの縞よりも大幅に薄い。本発明者らは、熱可塑性エラストマー中の非弾性ポリマーを含めることを使用して、それが押出されるときに第2のポリマー組成物の厚さを制御できることを発見した。第2のポリマー組成物中の非弾性ポリマーの熱可塑性エラストマーの比は、例えば、99.5:0.5〜0.5:99.5、99.5:0.5〜10:90、99.5:0.5〜25:75、99.5:0.5〜50:50、99:1〜25:75、95:5〜25:75、90:10〜25:75、又は90:10〜50:50の範囲であってもよい。第2のポリマー組成物中の非弾性ポリマーに対する熱可塑性エラストマーの比を制御することはまた、例えば、突起が提供された押出し成形物品の実施形態における突起の高さを制御するため、また以下で更に説明するように、第2のポリマー組成物を含む長手方向の縞を切り離すか又は穿孔する能力を制御するために有用であり得る。
【0045】
本方法により生産された押出し成形物品は、第1のポリマー材料の複数個の長手方向の第1の縞と、それと交互になった第2のポリマー材料の複数個の長手方向の第2の縞とを含むことができる。1つの第1の縞は、任意の2つの隣接する第2の縞の間に配置され、1つの第2の縞は、任意の2つの隣接する第1の縞の間に配置される。いくつかの実施形態では、長手方向の第1の縞のうちの少なくとも1つ及び長手方向の第2の縞のうちの少なくとも1つが完全に共に接合される。長手方向の第1の縞のうちの少なくとも1つと、長手方向の第2の縞のうちの少なくとも1つとの接合は、図2aに示されるように、分配エッジ36とダイリップ44との間の空洞42のランド43上で達成することができる。通常、長手方向の第1の縞は、概して互いに平行であり、長手方向の第2の縞は、概して互いに平行であり、長手方向の第1の縞及び第2の縞は、概して互いに平行である。縞のそれぞれは、多数の異なる断面形状を有することができる。
【0046】
本明細書に開示される方法によって調製された共押出し成形縞は、ポリマー組成物を幅方向(クロス又はx方向)に交互に整列させることを可能にし、縞は、物品又はフィルムの長さに沿って伸長する(y方向又は機械方向)。いくつかの実施形態では、各縞のポリマー組成物は、物品(例えば、フィルム)の厚さ方向(z方向)に概して一貫している。つまり、第1又は第2のポリマー組成物中にいくらかの不均一性が見られ得るが、いくつかの実施形態では、縞は、フィルムのz方向にセグメント化されない。
【0047】
いくつかの実施形態では、本開示によって押出し成形物品を作製する方法は、押出し成形物品の相対する複数の主面のうちの少なくとも1つ上に層を共押出し成形することを含む。「共押出し成形」は、後押出し成形工程よりもむしろ、本明細書に開示されるダイ内に層を適用することを指す。層は、任意の所望の厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、層は、皮膚層と考えられてもよく、例えば、押出し成形物品(例えば、フィルム)の厚さの最大10、8、6、5、4、3、又は2%の厚さを有してもよい。したがって、押出し成形物品の相対する面の両方に皮膚層がある、物品(例えば、フィルム)の実施形態では、第1又は第2のポリマー組成物の縞の厚さは、押出し成形物品の厚さの少なくとも80、85、90、95、又は96%であってもよい。
【0048】
共押出し成形層は、第1のポリマー組成物又は第2のポリマー組成物のうちの1つから形成することができるが、いくつかの実施形態では、層は、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物の両方とは異なる第3のポリマー組成物を含む。上記のとおり、本明細書で使用する「異なる」という用語は、少なくとも1つの差異を有することを指す。例えば、第3のポリマー組成物は、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物とは異なるポリマー、又は同一のポリマーの異なるブレンドで作製することができる。また第3のポリマー組成物は、第1又は第2のポリマー組成物中には認められない添加剤(例えば、着色剤、可塑剤、又は相溶剤)を有することができるか、あるいは第1又は第2のポリマー組成物のうちの1つに存在する、添加剤(例えば、着色剤、可塑剤、又は相溶剤)を欠失し得る。代表的な押出し成形物品64bの一部分の断面図は、図5bに示され、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物で構成される長手方向の縞68、66はそれぞれ、共押出し成形層70を有する。
【0049】
図5は、本開示によるダイ及び/又は本開示を実施するために有用なダイの断面側面図を示し、ダイは、共押出し成形層を形成するためのダイの先端又はダイの後部にポートを有する。図5は、ダイのリップにおけるポート74及びダイの後部におけるポート72を示すが、ダイは、共押出し成形層を形成するために、これらの特徴の両方を有する必要がないことを理解されたい。ここで図5aを参照すると、各ダイ部分22及び24は、第3のポリマー組成物を供給することができるダイリップ付近にポート74を有する。例示の実施形態では、ポート74は、ダイリップ44と配分プレート26の分配エッジ36との間にある。第3のポリマー組成物は、ポート74の少なくとも1つに供給され、対応するスリット76を出て、押出し成形物品の相対する複数の主面の少なくとも1つ上に共押出し成形層を形成することができる。ポート74は、ドリル又は他の適切な方法によってダイ部分22、24に導入することができる。ポート74は、比較的細いダイ(例えば、最大約25cm幅)上に共押出し成形層を形成するために有用であり得る。本実施形態では、押出し成形物品64の相対する面上の層70は、同一であり得るか、又は異なってもよい。ダイの後部におけるポート72もまた図5に示される。ポート72は、入口28及び30の周囲の環状リングの形態である。環状リングは、実質的に円形又は楕円形であり得る。本実施形態では、第3のポリマー組成物が、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物が、それらのそれぞれのダイ空洞38、40中に、配分プレート上のそれらのそれぞれの押出し成形チャネル50、52を通して押出されるとき、それらを取り囲むことができる。
【0050】
共押出し成形層は、図9に示されるように、複数マニホールドダイ110を使用する本開示による方法で形成することもできる。例示の実施形態では、マニホールド175は、ダイ部分124の隣に位置付けられ、マニホールド173は、ダイ部分122の隣に位置付けられる。配分プレート126の第1の側132及び第1のダイ部分122は、第1のダイ空洞138を共に画定し、配分プレート126の第2の側134及び第2のダイ部分124は、第2のダイ空洞140を共に画定する。図9に示されないが、入口を使用して、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物を第1のダイ空洞138及び第2のダイ空洞140に導入してもよく、それぞれ図2及び5に示されるような入口を使用する。入口178を使用して、第3のポリマー組成物又は第3及び第4のポリマー組成物をマニホールド175及び173に導入することができる。第3のポリマー組成物又は第3のポリマー組成物及び第4のポリマー組成物をチャネル176を通して押出して、配分プレート126の分配エッジ136を退出する押出品の上面及び底面に層を提供する。マニホールド173及び175は、配分プレート126に対して角度(例えば、約20〜50°又は30°の角度)を成してもよい。加熱要素125は、各ダイ部分122及び124並びにマニホールド173及び175に位置付けることができる。
【0051】
図9を再度参照して、共押出し成形された上層及び下層を有する押出し成形物品は、押出品がランド143に到達し、ダイリップ144から押出された後に形成される。第3及び第4のポリマー組成物は、互いに異なってもよく、それぞれ第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物とは異なってもよい。したがって、本開示によるダイ及び方法は、押出し成形物品64bを形成するために有用であってもよく、長手方向の第1の縞66及び第2の縞68、並びに図5bに例示される2つの共押出し成形層70は、それぞれ異なるポリマー組成物から作製される。
【0052】
図9は、空洞138及び140を画定するように配分プレート126によって分割された中心マニホールドを有する3マニホールドダイ110を示すが、他の構成が、配分プレート126の下流に共押出し成形層を提供するために有用であり得る。いくつかの有用な構成は、押出し成形物品上に複数の共押出し成形層(例えば、各相対する面上に複数の層)を提供するために、追加のマニホールドを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、本開示による方法及び/又はダイは、厚さ方向にセグメント化された押出し成形物品を形成するために有用であり得る。例えば、本開示による2つ以上のダイを合わせて使用して、多層物品を提供することができる。各層は、フィルムの横断方向に沿って交互し、長手方向に伸長するセグメントに少なくとも2つの異なるポリマー組成物の異なる整列を有してもよい。
【0054】
本開示による方法のいくつかの実施形態では、ダイは、フローストリームを空間に分配し得るか、又はいくつかの実施形態では、フローストリームが、ローラー、ウェブ、又は基材上に取り込まれてもよい。押出し成形物品がいったん形成されたら、様々な二次操作を物品に対して行うことができる。そのような二次操作の例には、エンボス加工、ラミネート加工、スリット付け、刻み付け、並びに長さ及び/又は幅伸長が挙げられ得る。例えば、押出し成形物品は、相対する複数の主面を含むことができ、本方法は、(例えば、押出し成形物品の複数の主面の一方又は両方にパターンをマイクロ複製ないしは別の方法で複製することにより)複数の主面の少なくとも1つ上に突起を提供する工程を更に含むことができる。そのような突起を提供する工程は、模様付きロール、模様付きベルト、模様付きフィルム、又はそれらの組み合わせを有する押出し成形物品の複数の主面の一方又は両方を接触させる工程を含むことができる。本方法はまた、押出し成形物品をそれぞれ例えば、ローラー、ウェブ、平らなプレート若しくは湾曲したプレート、又は基材の冷たい面で急冷すること又は加熱された面で加熱することを含むことができる。
【0055】
図6は、本開示による押出し成形物品、及び/又は本開示によって作製された押出し成形物品、ロール形態のフィルムである押出し成形物品の実施形態を示す。例示の実施形態では、押出し成形物品80は、偶数個(図示のとおり4)の第1の長手方向の縞88と、奇数個(図示のとおり5)の第2の長手方向の縞86とを備える。異なる数の縞もまた有用であってもよく、例えば、2又は6の第1の長手方向の縞88を、それぞれ3又は7の第2の長手方向の縞86と交互にさせることができる。第2の長手方向の縞86は、通常、第1の外縁87及び第2の外縁89において、フィルムの中心線80mに沿って位置する。例示の実施形態では、第1又は第2の外縁に位置しない第2の長手方向の縞のそれぞれは、その長さに沿って脆弱線85を有する。脆弱線は、例えば、一連の穿孔又はスリットの形態であってもよい。脆弱線はまた、第2の長手方向の縞の一部分に沿った厚さの減少でもあり得る。例えば、厚さは、第2の長手方向の縞に溝を形成することによって減少し得る。一連の穿孔を使用して脆弱線を提供するとき、穿孔の長さ及び空間は、必要に応じて確実に巻き戻すことができる安定したロールを提供するように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、穿孔の長さは、15(いくつかの実施形態では、最大14、13、12、11、又は10)mm未満であってもよい。更に、第2のポリマー組成物の組成は、長手方向の第2の縞が確実に穿孔され得るように調整することができる。例えば、本発明者らは、過度に軟性の材料から形成された長手方向の第2の縞を確実に穿孔することは困難であること、及び第2のポリマー組成物にエラストマー性ポリマーと共に非弾性ポリマーを含むことが有益であることを発見した(上記参照)。
【0056】
物品80のいくつかの実施形態では、フィルムは、相対する複数の主面を備え、相対する複数の主面の少なくとも1つには突起が提供される。押出し成形物品80は、例えば、締結タブ(例えば、パンツ式おむつ、オープン式おむつ、及び失禁用衣服等の使い捨て吸収物品)の製造に有用であり得る。長手方向の縞88、86が、第2の長手方向の縞86の脆弱線85に沿って分離される間にロールを巻き戻して、その横手方向のエッジのそれぞれに沿って第2の長手方向の縞86を有する、個別の第1の長手方向の縞89を提供することができる。そのように形成された縞をクロス方向に切断して、非弾性の第1のポリマー組成物を含む中心領域と、エラストマー性ポリマーを含む第2のポリマー組成物を含むエッジとを有する個別の締結タブを提供する。エラストマー性ポリマーを含むエッジを有する締結タブは、使い捨て吸収性物品を適用又は装着するときに、手触りが柔らかく、皮膚への刺激が少なくなり得る。
【0057】
押出し成形物品に突起が提供される本開示の実施形態では、少なくとも1つ以上の長手方向の第1の縞上、少なくとも1つ以上の長手方向の第2の縞上、又は両方に突起を作製することができる。いくつかの実施形態では、長手方向の第1の縞及び長手方向の第2の縞の両方に突起が提供される。長手方向の縞の少なくともいくつかの上に提供される突起は、当該技術分野において既知の方法を使用して形成され得る。例えば、押出し成形物品は、本明細書に開示されるダイを退出する際、突起の逆形状を有する空洞を備える、連続的に移動する金型表面に送り込まれ得る。空洞は、ループ係合ヘッドを有する突起の形状であり得るか、又はフック要素の前駆体の形状(例えば、部分的に形成されたフック要素)であってもよい。いくつかの実施形態では、突起(例えば、フック、ステム、又はリブ)は、図8に概略的に示すように形成される。ダイ1を退出した後の押出し成形物品90は、2つのロール101、103により形成されるニップの間を通過する。あるいは、押出し成形物品は、例えば、ダイ面とロール面との間で挟まれ得る。ロール103のうちの少なくとも1つは、突起の逆形状の空洞(図示せず)を有する。ニップにより提供される圧力は、樹脂を空洞に押し込む。いくつかの実施形態では、真空を使用して、空洞へのより容易な充填のために空洞を空にすることができる。ニップは、粘着フィルムバッキング90も空洞にわたって形成されるように十分幅広い。金型表面及び空洞は、一体形成されたバッキングを剥離し、ストリッパーロール等により金型表面から形成されたステムを直立させる前に、空冷又は水冷(例えば、空気又は水により)されてもよい。これは、一体形成された直立ステム又はフック84を有する押出し成形フィルム90を提供する。いくつかの実施形態では、突起が提供される押出し成形物品は、少なくとも1つの共押出し成形層を有する。例えば、非弾性材の共押出し成形皮膚層は、形成されたステムを金型表面から剥離するのを容易にするために有用であり得る。
【0058】
図8に関連した上記の空洞を退出する際に形成された突起が、ループ係合ヘッドを有しない場合、形成された突起は、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,077,870号(Melbyeら)に記載されるようなキャッピング方法により続いてフックに形成され得る。典型的には、キャッピング方法は、熱及び/又は圧力を使用して、突起84の先端部分を変形させる工程を含む。熱及び圧力は、両方使用される場合、順次又は同時に印加され得る。
【0059】
本明細書に開示される押出し成形物品の少なくともいくつかの長手方向の縞上に突起を提供するための別の有用な方法は、例えば、米国特許第4,894,060号(Nestegard)に記載され、それは、プロファイル押出フックを調製する方法を開示し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。典型的には、これらの突起は、ダウンウェブ隆起部を有するウェブを形成するようにポリマーフローストリームをパターン化ダイリップ(例えば、電子放電線機械加工により切断)を通過させ、隆起部をスライスし、分離された突起を形成するようにウェブを引っ張ることにより形成される。リブは、フック前駆体を形成し、形成される機能性フックの断面形状を呈し得る。次いで、熱可塑性ウェブ層のリブは、リブの伸張に沿った離間位置で横方向に切断されるか、又は切り離され、形成される突起の長さに本質的に対応するリブの方向の長さを有するリブの別個の部分を形成する。
【0060】
本開示による押出し成形物品(例えば、フィルム)及び/又は本開示によって作製される押出し成形物品(例えば、フィルム)は、第1の長手方向の縞又は第2の長手方向の縞のうちの少なくとも1つ上、及びフィルムの相対する複数の主面のうちの少なくとも1つ上に突起を備えてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、押出し成形物品が、例えば、フックストリップとして、フックアンドループ定着装置において有用であり得る。いくつかの実施形態では、突起(例えば、フック、ステム、又はリブ)が長手方向の第1の縞上に提供される。いくつかの実施形態では、長手方向の第1の縞及び第2の縞の両方に突起が提供される。いくつかの実施形態では、長手方向の第2の縞には突起がない。図7Aは、長手方向の第1の縞88及び第2の縞86のそれぞれに、ループ係合ヘッド82を有する突起が提供される、代表的な押出し成形物品81A(例えば、押出し成形フィルム)を示す。図7Bは、長手方向の第1の縞88上の突起がループ係合ヘッド82を備え、長手方向の第2の縞86上の突起がループ係合ヘッド84のないステムを備える、代表的な押出し成形物品81B(例えば、押出し成形フィルム)を示す。例示の実施形態では、突起82及び84が実質的に同一の高さを有し、これは例えば、ウェブ又はロールの形態の本明細書に開示される押出し成形物品を均一に操作するために有用であり得る。長手方向の第1の縞及び第2の縞に実質的に同一の高さの突起を有することもまた、例えば、外観又は感触のために望ましい場合がある。突起の高さは、上述のように、第2のポリマー組成物の組成を調整することによって、フィルムの高さを制御することにより制御できる。キャッピングプロセスを使用して、長手方向の第1の縞及び第2の縞の両方の突起上にループ係合ヘッドを形成する場合、第2のポリマー組成物の組成を調整して、例えば、キャッピングプロセスの前に、長手方向の第1の縞及び第2の縞上の突起の高さを実質的に同一にすることができる。キャッピングプロセスを使用して、長手方向の第1又は第2の縞(例えば、長手方向の第1の縞)のうちの1つのみの突起上にループ係合ヘッドを形成する場合、第2のポリマー組成物の組成を調整して、例えば、長手方向の第2の縞上の突起の高さを、長手方向の第1の縞上の突起よりも短くして、キャッピングプロセス後に、長手方向の第1の縞及び第2の縞上の突起の高さが実質的に同一になるようにすることができる。
【0061】
本明細書に記載する方法及びダイは、種々のフィルム又はフィルム状物品、並びに他の共押出し成形物品(例えば、プライバシーフィルム、光フィルム、又は共押出し成形チューブ)を作製するために使用され得る。
【0062】
本開示の選択された実施形態
第1の実施形態では、本開示は、少なくとも第1の押出し成形可能なポリマー組成物及び第2の押出し成形可能なポリマー組成物を共押出し成形するためのダイを提供し、ダイは、
第1のダイ部分における第1のダイ空洞と、
第2のダイ部分における第2のダイ空洞と、
第1のダイ空洞の少なくとも一部分と第2のダイ空洞の少なくとも一部分との間に介在する配分プレートであって、配分プレートは、第1のダイ空洞の境界を形成する第1の側と、反対側にあり第2のダイ空洞の境界を形成する第2の側と、分配エッジと、複数個の第1の押出し成形チャネルと、複数個の第2の押出し成形チャネルと、を有し、複数個の第1の押出し成形チャネルは、第1のダイ空洞における入口開口部から分配エッジ上の出口開口部まで伸長し、複数個の第2の押出し成形チャネルは、第2のダイ空洞における入口開口部から分配エッジ上の出口開口部まで伸長し、複数個の第1の押出し成形チャネルの出口開口部及び複数個の第2の押出し成形チャネルの出口開口部は、交互位置に分配エッジに沿って配置されており、第1の押出し成形チャネルのそれぞれは、2つの対向する側壁と、2つの対向する側壁を接続する接合面と、を備え、第1の押出し成形チャネルのうちの少なくともいくつかの接合面は、配分プレートの第1の側に実質的に平行である。
【0063】
第2の実施形態では、本開示は、第1の実施形態によるダイを提供し、第1の押出し成形チャネルのそれぞれは、出口開口部に対向し、2つの対向する側壁を接続する後壁を更に備え、後壁は、配分プレートの第1の側に実質的に垂直である。
【0064】
第3の実施形態では、本開示は、第1又は第2の実施形態に記載のダイを提供し、第1の押出し成形チャネル及び第2の押出し成形チャネルの出口開口部のそれぞれは、1.5ミリメートルを超える最小幅を有する。
【0065】
第4の実施形態では、本開示は、第1〜第3の実施形態のいずれか1つに記載のダイを提供し、第1の押出し成形チャネルのうちの少なくともいくつかが、それぞれ補強部材を備える。
【0066】
第5の実施形態では、本開示は、第1〜第4の実施形態のいずれか1つに記載のダイを提供し、第1の押出し成形チャネルの2つの対向する側が、配分プレートの第1の側に実質的に垂直である。
【0067】
第6の実施形態では、本開示は、第1〜第5の実施形態のいずれか1つに記載のダイを提供し、第1の押出し成形チャネルの出口開口部は、配分プレートの第1の側から、配分プレートの第2の側に向かって最後までではないが伸長し、第2の押出し成形チャネルの出口開口部は、配分プレートの第2の側から、配分プレートの第1の側に向かって最後までではないが伸長し、第1の押出しチャネルの出口開口部と、第2の押出しチャネルの出口開口部との間に重なり合う領域が形成されるようにする。
【0068】
第7の実施形態では、本開示は、第1〜第5の実施形態のいずれか1つに記載のダイを提供し、第1の押出し成形チャネルの出口開口部が、配分プレートの第1の側から、配分プレートの第1の側と第2の側との間の中間部分まで伸長し、第2の押出し成形チャネルの出口開口部が、配分プレートの第2の側から、中間部分まで伸長し、第1の押出し成形チャネルの出口開口部と、第2の押出し成形チャネルの出口開口部とが重なり合わないようにする。
【0069】
第8の実施形態では、本開示は、第1〜第7の実施形態のいずれか1つに記載のダイを提供し、配分プレートは、少なくとも5ミリメートル厚である。
【0070】
第9の実施形態では、本開示は、第1〜第8の実施形態のいずれか1つに記載のダイを提供し、ダイは、分配エッジから2.5cm以内にダイリップを更に備える。
【0071】
第10の実施形態では、本開示は、第1〜第9の実施形態のいずれか1つに記載のダイを提供し、第1の押出し成形チャネル及び第2の押出し成形チャネルは、不均一な幅を有する。
【0072】
第11の実施形態では、本開示は、第1〜第10の実施形態のいずれか1つに記載のダイを提供し、第1の押出し成形チャネル及び第2の押出し成形チャネルは、不均一な深さを有する。
【0073】
第12の実施形態では、本開示は、押出し成形物品を作製する方法を提供し、本方法は、
第1〜第11の実施形態のいずれか1つに記載のダイを提供する工程と、
第1のポリマー組成物を第1のダイ空洞に供給する工程と、
第1のポリマー組成物とは異なる第2のポリマー組成物を、第2のダイ空洞に供給する工程と、
第1のポリマー組成物を、複数個の第1の押出し成形チャネルを通して押出し、第2のポリマー組成物を、複数個の第2の押出し成形チャネルを通して押出して、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物の交互領域の幅を有するフローストリームを形成するようにする工程と、
フローストリームを長手方向にダイから押出して、第1のポリマー組成物の複数個の長手方向の第1の縞を、第2のポリマー組成物の複数個の長手方向の第2の縞と交互に備える、押出し成形物品を形成するようにする工程であって、長手方向の第1の縞の少なくともいくつかは、長手方向に垂直な平面に、実質的に平行な対向側を備える断面形状を有する、工程と、を含む。
【0074】
第13の実施形態では、本開示は、第12の実施形態に記載の方法を提供し、長手方向の第1の縞の少なくとも1つが、長手方向の第2の縞の少なくとも1つと完全に接合される。
【0075】
第14の実施形態では、本開示は、第12又は第13の実施形態に記載の方法を提供し、第1のポリマー組成物は、非弾性ポリマーを含む。
【0076】
第15の実施形態では、本開示は、第12〜第14の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供し、第2のポリマー組成物は、エラストマー性ポリマーを含む。
【0077】
第16の実施形態では、本開示は、第15の実施形態に記載の方法を提供し、第2のポリマー組成物は、非弾性ポリマーを更に含む。
【0078】
第17の実施形態では、本開示は、第12〜第16の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供し、長手方向の第1の縞の少なくとも1つが、隣接する長手方向の第2の縞の幅に対して不均一な幅を有する。
【0079】
第18の実施形態では、本開示は、第12〜第17の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供し、第1のポリマー組成物又は第2のポリマー組成物のうちの少なくとも1つが発泡される。
【0080】
第19の実施形態では、本開示は、第12〜第18の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供し、押出し成形物品は相対する複数の主面を有し、本方法は、第3のポリマー組成物を共押出し成形して、押出し成形物品の相対する複数の主面の少なくとも1つ上に層を形成する工程を更に含む。
【0081】
第20の実施形態では、本開示は、第19の実施形態に記載の方法を提供し、第3のポリマー組成物は、第1のポリマー組成物及び第2のポリマー組成物の両方とは異なる。
【0082】
第21の実施形態では、本開示は、第12〜第18の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供し、押出し成形物品は、相対する複数の主面を有し、本方法は、第3のポリマー組成物を共押出し成形して、押出し成形物品の相対する複数の主面のうちの1つ上に層を形成し、第4のポリマー組成物の場合は押出し成形物品の相対する複数の主面のうちの他方に層を形成し、第1、第2、第3、及び第4のポリマー組成物は、それぞれ互いに異なる。
【0083】
第22の実施形態では、本開示は、第12〜第21の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供し、押出し成形物品は、相対する複数の主面を有し、本方法は、相対する複数の主面の少なくとも1つ上に突起を提供する工程を更に含む。
【0084】
第23の実施形態では、本開示は、第22の実施形態に記載の方法を提供し、突起を提供する工程は、押出し成形物品の複数の主面の少なくとも1つを、模様付きロール、模様付きベルト、又は模様付きフィルムの少なくとも1つと接触させる工程を含む。
【0085】
第24の実施形態では、本開示は、第22又は第23の実施形態に記載の方法を提供し、突起は、長手方向の第1の縞の少なくともいくつかの上に提供され、突起はループ係合ヘッドを備える。
【0086】
第25の実施形態では、本開示は、第22〜第24の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供し、突起は、長手方向の第2の縞の少なくともいくつかの上に提供され、突起はループ係合ヘッドのないステムを備える。
【0087】
第26の実施形態では、本開示は、第22〜第25の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供し、複数個の長手方向の第1の縞及び複数個の長手方向の第2の縞の両方には突起が提供され、複数個の長手方向の第1の縞の突起は、複数個の長手方向の第2の縞の突起と実質的に同一の高さである。
【0088】
第27の実施形態では、本開示は、第12〜第26の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供し、押出し成形物品は、ロール状に形成される。
【0089】
第28の実施形態では、本開示は、第12〜第27の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供し、長手方向の第2の縞の少なくともいくつかは、それらの長さに沿って脆弱線を有する。
【0090】
第29の実施形態では、本開示は、第1の外縁及び第2の外縁、並びに中心線を有する押出し成形フィルムを提供し、押出し成形フィルムは、非弾性ポリマーを含む第1のポリマー組成物の偶数個の長手方向の第1の縞と、エラストマー性ポリマーを含む第2のポリマー組成物の奇数個の長手方向の第2の縞と、を交互に備え、長手方向の第2の縞が、少なくとも第1の外縁及び第2の外縁並びに中心線に位置するようにし、長手方向の第2の縞の少なくともいくつかが、それらの長さに沿って脆弱線を有する。これらの実施形態のいくつかでは、第1の横手方向のエッジ又は第2の横手方向のエッジに位置しない、長手方向の第2の縞のそれぞれが、その長さに沿って脆弱線を有する。
【0091】
第30の実施形態では、本開示は、第29の実施形態に記載の押出し成形フィルムを提供し、第2のポリマー組成物は、非弾性ポリマーを更に含む。
【0092】
第31の実施形態では、本開示は、第29又は第30の実施形態に記載の押出し成形フィルムを提供し、押出し成形フィルムは、相対する複数の主面を含み、相対する複数の主面の少なくとも1つには突起が提供される。
【0093】
第32の実施形態では、本開示は、第29〜第31の実施形態のいずれか1つに記載の押出し成形フィルムを提供し、長手方向の第1の縞の少なくとも1つが、隣接する長手方向の第2の縞の幅に対して不均一な幅を有する。
【0094】
第33の実施形態では、本開示は、第29〜第32の実施形態のいずれか1つに記載の押出し成形フィルムを提供し、押出し成形フィルムは、ロールの形態である。
【0095】
第34の実施形態では、本開示は、第29〜第33の実施形態のいずれか1つに記載の押出し成形フィルムを提供し、長手方向の第1の縞及び長手方向の第2の縞の両方には、相対する複数の主面の少なくとも1つ上に突起が提供され、長手方向の第1の縞の突起は、長手方向の第2の縞の突起と実質的に同一の高さである。
【0096】
第35の実施形態では、本開示は、相対する複数の主面を有し、非弾性ポリマーを含む第1のポリマー組成物の複数個の長手方向の第1の縞と、エラストマー性ポリマー及び非弾性ポリマーのブレンドを含む第2のポリマー組成物の複数個の長手方向の第2の縞と、を交互に備える、押出し成形フィルムを提供し、複数個の長手方向の第1の縞及び複数個の長手方向の第2の縞の両方には、相対する複数の主面の少なくとも1つには突起が提供され、複数個の長手方向の第1の縞の突起は、複数個の長手方向の第2の縞の突起と実質的に同一の高さである。
【0097】
第36の実施形態では、本開示は、第34又は第35の実施形態に記載の押出し成形フィルムを提供し、長手方向の第1の縞上に提供される突起は、ループ係合ヘッドを備える。
【0098】
第37の実施形態では、本開示は、第34〜第36の実施形態のいずれか1つに記載の押出し成形フィルムを提供し、長手方向の第2の縞上に提供される突起は、ループ係合ヘッドのないステムを備える。
【0099】
第38の実施形態では、本開示は、第34〜第37の実施形態のいずれか1つに記載の押出し成形フィルムを提供し、突起は、ループ係合ヘッドを備える。
【0100】
第39の実施形態では、本開示は、第29〜第38の実施形態のいずれか1つに記載の押出し成形フィルムを提供し、押出し成形フィルムは、ロールの形態である。
【実施例】
【0101】
いくつかの非限定例を調製して、押出し成形物品を作製するための装置及び方法を実証した。それらの見本ごとに、概して図1に図示したように共押出し成形ダイを組み立てた。第1のダイ部分22及び第2のダイ部分24は、概して図2に図示したように17−4ステンレス鋼から作製した。実施例1の場合、配分プレート26は、概して図3及び4に描写されるように、40ミル(1mm)厚の精密研摩ステンレス鋼板から調製した。実施例2〜8の場合、配分プレート26は、80ミル(2mm)厚の精密研摩ステンレス鋼から調製した。配分プレート26は、概して図4に描写されるように、第1複数個の押出し成形チャネル50及び第2の複数個の押出し成形チャネル52を提供するように加工した。この加工は、高速コンピュータ数値制御ミリング機械を使用して行った。押出し成形チャネル50及び52は、配分プレート26の分配エッジ36に切り込んだ。チャネルの寸法は、下表1及び3において、分配エッジの厚さを指す深さと共に示す。押出し成形チャネル50及び52は、長さ28mm(分配エッジ36から後壁55まで)であった。押出し成形チャネル50の入口開口部は、後壁55から分配エッジ36に向かって、24mm伸長する補強リブ59で形成した。押出し成形チャネルは、以下の表1及び3に示されるように、ポリマーAチャネルの幅にポリマーBチャネルの幅を加えた空隙部において、交互するパターンで分配エッジを横断する反復によって調製した。ダイリップ44の全幅は、8インチ(20cm)であった。
【0102】
(実施例1〜4)
以下の実施例1〜4のそれぞれでは、第1の材料入口(下表1のポリマーAを押出し成形ダイに導入する)に、40mmの二軸押出し機の周囲に集中してメルトトレインを供給した。第2の材料入口(下表1のポリマーBを押出し成形ダイに導入)に、50mmの単軸押出し機の周囲に集中してメルトトレインを供給した。使用した押出し成形バレルの温度は、100〜230℃の範囲であり、最低温度は入口セクションに対応する。押出成形機の計量部は、230℃に維持した。ダイ温度は、両方のマニホールド側に対して230℃であった。プロセスから出力された総質量は、15〜20kg/時間の範囲であった。実施例1は、5kg/時間質量出力及びそれよりも遅いライン速度で実行した。共押出し操作中、共押出しされたフィルムが冷たいローラー上で取り去られる間に急冷されるように、ダイを冷たいローラーに隣接して配置した。ウェブ下流で、共押出しされたフィルムをロールに巻き取った。主要チャネルポリマーA対副次チャネルポリマーBの質量比を変化させて、標的の平行レーン寸法を達成した。主要チャネルポリマーAは、フィルム等級ポリプロピレン(PP)コポリマーであり、Dow Chemical Co.,Midland,MIから商品名「DOW C700−35Nポリプロピレン」で得られる、青色に着色されたポリプロピレン耐衝撃性コポリマーであった。副次チャネルポリマーBは、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー又はポリオレフィン熱可塑性エラストマー及びポリオレフィンのブレンドであった。表1では、TPEは、Dow Chemical Co.から商品名「ENGAGE 8200 POLYOLEFIN ELASTOMER」で得られるエチレン−オクテンコポリマーであり、LDPEは、ExxonMobil Chemical Co.,Houston,TXから商品名「EXXON MOBIL LD 123.LN」で得られる低密度ポリエチレンである。実施例1〜4について、材料及び押出し成形温度、並びに条件は、下表1に示されるとおりであった。
【0103】
【表1】

【0104】
実施例1〜4は、着色されたポリマーAの縞と透明なポリマーBの縞がフィルムの横断方向に交互する共押出し成形フィルムをもたらした。レーンの幅寸法及びフィルムベースの重量は、下表2に提供される。
【0105】
【表2】

【0106】
(実施例5〜8)
実施例5〜8は、以下の修正と共に、実施例1〜4について上述のとおり調製した。レーン裏材の厚さは、TPEとPPの比を変え、他のプロセス条件を一定に保持することによって変更した。実施例5〜8について、材料及び押出し成形温度、並びに条件は、下表3に示されるとおりであった。
【0107】
【表3】

【0108】
実施例5〜8は、着色されたポリマーAの縞と透明なポリマーBの縞がフィルムの横断方向に交互する共押出し成形フィルムをもたらした。表4に示されるレーン厚寸法が提供される。実施例5〜8のそれぞれについて、ポリマーAのレーン幅は13mmであり、ポリマーBのレーン幅は4mmであった。
【0109】
【表4】

【0110】
(実施例9及び10)
実施例9及び10は、押出し成形フィルム物品の1つの面上に突起が提供されたことを除いて、実施例2及び4について上述されるように調製した。突起は、図8について図示及び説明されるように形成した。押出し成形フィルム物品は、ダイを退出する時、2つのロールによって形成されたニップの間を通り、ロールの1つは突起の形状に空洞を有する。これは、一面上に一体形成された直立ステムを有する、セグメント化多構成要素ポリマーフィルムを提供した。ステムは、米国特許第5,077,870号(Melbyeら)第5欄50〜60行に記載されるキャッピング方法によって、その後フックに形成された。実施例9〜10はそれぞれ、総高360μm、裏材フィルム厚100μm、及びフックヘッド直径300〜330μmの1600フック/平方インチ(246フック/平方cm)のアレイで形成された。
【0111】
この開示は、趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更が可能である。したがって、この開示は、上記の実施形態に限定されないが、以下の「特許請求の範囲」及び全てのその等価物に詳述する制限によって規制される。本開示は、本明細書において具体的に開示されていないどのような要素がなくても好適に実施することができる。「背景技術」の項に記載したものを包含する、上記に引用した全ての特許及び特許出願の全てを、参照により本明細書に組み込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の押出し成形可能なポリマー組成物及び第2の押出し成形可能なポリマー組成物を共押出し成形するためのダイであって、
第1のダイ部分における第1のダイ空洞と、
第2のダイ部分における第2のダイ空洞と、
前記第1のダイ空洞の少なくとも一部分と前記第2のダイ空洞の少なくとも一部分との間に介在する配分プレートであって、前記配分プレートが、前記第1のダイ空洞の境界を形成する第1の側と、反対側にあり前記第2のダイ空洞の境界を形成する第2の側と、分配エッジと、複数個の第1の押出し成形チャネルと、複数個の第2の押出し成形チャネルと、を有し、前記複数個の第1の押出し成形チャネルが、前記第1のダイ空洞における入口開口部から前記分配エッジ上の出口開口部まで伸長し、前記複数個の第2の押出し成形チャネルが、前記第2のダイ空洞における入口開口部から前記分配エッジ上の出口開口部まで伸長し、前記複数個の第1の押出し成形チャネルの前記出口開口部及び前記複数個の第2の押出し成形チャネルの前記出口開口部が、交互位置に前記分配エッジに沿って配置されており、前記第1の押出し成形チャネルのそれぞれが、2つの対向する側壁と、前記2つの対向する側壁を接続する接合面と、を備え、前記第1の押出し成形チャネルのうちの少なくともいくつかの前記接合面が、前記配分プレートの前記第1の側に実質的に平行である、配分プレートと、を備える、ダイ。
【請求項2】
前記第1の押出し成形チャネルのそれぞれが、前記出口開口部に対向し、前記2つの対向する側壁を接続する後壁を更に備え、前記後壁が、前記配分プレートの前記第1の側に実質的に垂直である、請求項1に記載のダイ。
【請求項3】
前記第1の押出し成形チャネルのうちの少なくともいくつかが、それぞれ補強部材を備える、請求項1又は2に記載のダイ。
【請求項4】
前記第1の押出し成形チャネルの前記2つの対向する側壁が、前記配分プレートの前記第1の側に実質的に垂直である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のダイ。
【請求項5】
前記第1の押出し成形チャネルの前記出口開口部が、前記配分プレートの前記第1の側から、前記配分プレートの前記第2の側に向かって最後までではないが伸長し、前記第2の押出し成形チャネルの前記出口開口部が、前記配分プレートの前記第2の側から、前記配分プレートの前記第1の側に向かって最後までではないが伸長し、前記第1の押出し成形チャネルの前記出口開口部と、前記第2の押出し成形チャネルの前記出口開口部との間に重なり合う領域が形成されるようにする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のダイ。
【請求項6】
前記第1の押出し成形チャネルの前記出口開口部が、前記配分プレートの前記第1の側から、前記配分プレートの前記第1の側と前記第2の側との間の中間部分まで伸長し、前記第2の押出し成形チャネルの前記出口開口部が、前記配分プレートの前記第2の側から、前記中間部分まで伸長し、前記第1の押出し成形チャネルの前記出口開口部と、前記第2の押出し成形チャネルの前記出口開口部とが重なり合わないようにする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のダイ。
【請求項7】
前記ダイは、前記分配エッジから2.5cm以内にダイリップを更に備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載のダイ。
【請求項8】
前記第1の押出し成形チャネル及び前記第2の押出し成形チャネルが、不均一な幅を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のダイ。
【請求項9】
押出し成形物品を作製する方法であって、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のダイを提供する工程と、
第1のポリマー組成物を前記第1のダイ空洞に供給する工程と、
前記第1のポリマー組成物とは異なる第2のポリマー組成物を、前記第2のダイ空洞に供給する工程と、
前記第1のポリマー組成物を、前記複数個の第1の押出し成形チャネルを通して押出し、前記第2のポリマー組成物を、前記複数個の第2の押出し成形チャネルを通して押出して、前記第1のポリマー組成物及び前記第2のポリマー組成物の交互領域の幅を有するフローストリームを形成するようにする工程と、
前記フローストリームを長手方向に前記ダイから押出して、前記第1のポリマー組成物の複数個の長手方向の第1の縞を、前記第2のポリマー組成物の複数個の長手方向の第2の縞と交互に備える、前記押出し成形物品を形成するようにする工程であって、前記長手方向の第1の縞の少なくともいくつかが、前記長手方向に垂直な平面に、実質的に平行な対向側を備える断面形状を有する、工程と、を含む、方法。
【請求項10】
前記第1のポリマー組成物が非弾性ポリマーを含み、前記第2のポリマー組成物がエラストマー性ポリマーを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のポリマー組成物が、非弾性ポリマーを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のポリマー組成物又は前記第2のポリマー組成物のうちの少なくとも1つが発泡される、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記押出し成形物品が、相対する複数の主面を有し、前記方法が、第3のポリマー組成物を共押出し成形して、前記押出し成形物品の前記相対する複数の主面の少なくとも1つ上に層を形成する工程を更に含み、前記第3のポリマー組成物が、前記第1のポリマー組成物及び前記第2のポリマー組成物の両方とは異なる、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記押出し成形物品が、相対する複数の主面を有し、前記方法が、前記相対する複数の主面の少なくとも1つ上に突起を提供する工程を更に含む、請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
第1の外縁及び第2の外縁、並びに中心線を有する押出し成形フィルムであって、前記押出し成形フィルムが、非弾性ポリマーを含む第1のポリマー組成物の偶数個の長手方向の第1の縞と、エラストマー性ポリマーを含む第2のポリマー組成物の奇数個の長手方向の第2の縞と、を交互に備え、前記長手方向の第2の縞が、少なくとも前記第1の外縁及び第2の外縁並びに前記中心線に位置するようにし、長手方向の第2の縞の少なくともいくつかが、それらの長さに沿って脆弱線を有する、押出し成形フィルム。
【請求項16】
相対する複数の主面を有し、非弾性ポリマーを含む第1のポリマー組成物の複数個の長手方向の第1の縞と、エラストマー性ポリマー及び非弾性ポリマーのブレンドを含む第2のポリマー組成物の複数個の長手方向の第2の縞と、を交互に備える、押出し成形フィルムであって、前記複数個の長手方向の第1の縞及び前記複数個の長手方向の第2の縞の両方には、前記相対する複数の主面の少なくとも1つ上に突起が提供され、前記複数個の長手方向の第1の縞の前記突起が、前記複数個の長手方向の第2の縞の前記突起と実質的に同一の高さである、押出し成形フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図5】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−518747(P2013−518747A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552094(P2012−552094)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/023684
【国際公開番号】WO2011/097436
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】