説明

共振型スイッチング電源

【課題】 ノイズを低減するとともに、そのための回路構成の簡略化を可能にする共振型スイッチング電源を提供する。
【解決手段】 発振器によって制御されるスイッチング素子に接続されたコンデンサとトランスの1次巻線と、トランスの2次巻線と整流平滑回路とで構成される共振型スイッチング電源において、スイッチング素子が正弦波駆動されるとともに、その正弦波の通電角が制御される。正弦波発振器13と位相制御器15とによって、スイッチング素子Q1〜Q4が正弦波駆動されるとともに、2次側出力からの帰還信号によってその正弦波の通電角が制御されて入力電力を所定の値に調整し、2次側の出力を一定に保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置特に共振型スイッチング電源の回路構成およびそれによる駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2はトランスの巻線にコンデンサが接続されて共振現象を利用する共振型スイッチング電源の位置低を示す回路図である。入力電圧VinをDC/DCコンバータ21で所定の値に調節してスイッチング素子Q1〜Q4に接続する。スイッチング素子Q1〜Q4のベースは矩形波発振器23に接続されており、スイッチング素子Q1、Q2とQ3、Q4とでは逆相となるように駆動される。スイッチング素子Q1とQ2の接続点とスイッチング素子Q3とQ4の接続点がコンデンサCとトランスTの1次巻線Lpの直列回路に接続されている。
【0003】
矩形波発振器23によってトランスTの1次巻線の通電方向が切り換えられ、それに応じてトランスTの2次側にそれに応じた交流出力電圧が得られる。これをダイオードで整流し、コンデンサによって平滑して所定の直流出力電圧を得ることができる。もちろん、交流出力をそのまま利用することもできる。
【0004】
上記の回路においては、コンデンサC、1次巻線Lpで構成される共振回路の駆動に矩形波を用いている。共振回路のQには限度があるために、矩形波の有する高調波を除去しきれずに、これがノイズの発生源として残る問題がある。
【特許文献1】実開昭58−121186号公報
【特許文献2】特許第3547837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来問題となっているノイズを低減するとともに、そのための回路構成の簡略化を可能にする共振型スイッチング電源を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、共振回路を駆動する信号に正弦波を用いるとともに、その正弦波の通電角を制御することによって、上記の課題を解決するものである。すなわち、発振器によって制御されるスイッチング素子に接続されたコンデンサとトランスの1次巻線と、トランスの2次巻線と整流平滑回路とで構成される共振型スイッチング電源において、スイッチング素子が正弦波駆動されるとともに、その正弦波の通電角が制御されて出力を一定に保つことに特徴を有するものである。
【0007】
動作的には、発振回路によって制御されるスイッチング素子に接続されたコンデンサとトランスの1次巻線とによって入力電圧から駆動信号を生成し、トランスの2次巻線と整流平滑回路によって直流出力を得る共振型スイッチング電源において、正弦波発振器と位相制御器とによって、スイッチング素子が正弦波駆動されるとともに、2次側出力からの帰還信号によってその正弦波の通電角が制御されて入力電力を所定の値に調整することによって2次側の出力を一定に保つことに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位相制御器を用いて正弦波を適正な波形にチョッピングすることによってスイッチング素子の通電時間が制御され、それによって共振回路に入力されるエネルギが制御される。それによって出力電圧を所望の値に維持することができる。制御波形の片側のスロープは急峻となるが、もう一方のスロープは正弦波のままとなるため、スイッチングノイズを1/2に低減できる。
【実施例】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。図1は本発明の実施例を示す回路図である。共振型スイッチング電源の基本的な構成は前記の例と同じで、入力(駆動)電圧Vinをスイッチング素子Q1〜Q4に接続する。スイッチング素子Q1〜Q4のベースは位相制御器15を介して正弦波発振器13に接続されており、スイッチング素子Q1、Q2とQ3、Q4とでは逆相となるように駆動される。スイッチング素子Q1とQ2の接続点とスイッチング素子Q3とQ4の接続点がコンデンサCとトランスTの1次巻線Lpの直列回路に接続されている。
【0010】
トランスTの2次側の構成は前記のかいろと同様であるが、検出巻線Ldが設けられており、その検出信号がフィードバック信号(FB)として位相制御器15に帰還される。この検出出力に応じて、出力電圧が所定の値よりも高くなったときは位相制御器15の出力である正弦波の通電角を狭めてトタンスへ供給するエネルギーを減少させる。逆に低くなったときは、正弦波の導電角を広げてエネルギーを増加させる。これによって2次側の出力を一定に維持することができる。
【0011】
スイッチング素子Q1〜Q4のベースに印加される信号は全波正弦波からゼロ振幅近くまでそのオン時間の幅を任意に設定することができる。すなわち、図3のように、正弦波出力の存在する時間と制限は出力の存在しない時間の幅を任意に設定してスイッチング素子のオン時間を制御するものである。なお、2次側の検出信号のフィードバックは巻線の交流出力のままでもよいし、直流に変換したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、共振型スイッチング電源だけでなく、放電管駆動装置の電源回路等に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例を示す回路図
【図2】従来の共振型スイッチング電源を示す回路図
【図3】本発明の動作波形の説明図
【符号の説明】
【0014】
13:正弦波発振器
15:位相制御器
Q1〜Q4:スイッチング素子
C:コンデンサ
T:トランス
Lp:1次巻線
Ls:2次巻線
Ld:検出巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振器によって制御されるスイッチング素子に接続されたコンデンサとトランスの1次巻線と、トランスの2次巻線と整流平滑回路とで構成される共振型スイッチング電源において、
スイッチング素子が正弦波駆動されるとともに、その正弦波の通電角が制御されて出力を一定に保つことを特徴とする共振型スイッチング電源。
【請求項2】
発振器によって制御されるスイッチング素子に接続されたコンデンサとトランスの1次巻線と、トランスの2次巻線と整流平滑回路とで構成される共振型スイッチング電源において、
正弦波発振器と位相制御器とによって、スイッチング素子が正弦波駆動されるとともに、2次側出力からの帰還信号によってその正弦波の通電角が制御されて出力を一定に保つことを特徴とする共振型スイッチング電源。
【請求項3】
発振回路によって制御されるスイッチング素子に接続されたコンデンサとトランスの1次巻線とによって入力電圧から駆動信号を生成し、トランスの2次巻線と整流平滑回路によって直流出力を得る共振型スイッチング電源において、
正弦波発振器と位相制御器とによって、スイッチング素子が正弦波駆動されるとともに、2次側出力からの帰還信号によってその正弦波の通電角が制御されて入力電力を所定の値に調整することによって2次側の出力を一定に保つことを特徴とする共振型スイッチング電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−303386(P2009−303386A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155065(P2008−155065)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)
【Fターム(参考)】