説明

共有結合的に固定化した酵素及びその製造方法

酵素、ポリマー及び架橋剤の組成物が共有結合した巨大分子のネットワークを形成する。共有結合的に固定化した酵素調製物は酵素活性を有し、周囲条件で乾燥及び保存される場合、安定した活性を保持する。固定化酵素を製造する方法及び該酵素を使用する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は共有結合した巨大分子の形成体(formation)(例えばポリマー、タンパク質、デンプン)における酵素の固定化に関する。酵素は共有結合的に固定化することができ、乾燥した場合に、安定した酵素活性を保持することができる。
【0002】
本願は米国特許法第119条(e)項に基づき、2008年9月30日に出願された先行の米国仮特許出願第61/101,302号(これはその全体が参照により本明細書中に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
酵素は本質的にタンパク質性(proteinaceous)であり、多くの様々な化学反応を調節する生体触媒として作用する。酵素は多くの分析用途、医学用途及び産業用途で使用される。例えば、酵素は腎不全による腎機能の喪失のための人工補綴を与える透析システムにおいて医学用途で利用される。酵素ウレアーゼは、血液透析及び腹膜透析システムにおいて尿素をアンモニアと二酸化炭素とに変換するのに使用される。酵素機能性の多くの用途では、特定の定位置で水性システムにおいて酵素を使用する必要がある。物理封入又は物理吸着、化学吸着、静電吸着、水素結合、共有結合、架橋、及びカプセル化又はマイクロカプセル化を含む多くの酵素固定化技法がこれを達成するのに利用されている。しかしながら、これらの技法では、乾燥した固体組成物として安定である乾燥した固体の酵素架橋生成物は生成されてはいない。一般的に多くの酵素で不安定であり、そのため温度及びpHの変化、加水分解、並びに化学修飾又は物理修飾を通して破壊される高感度な構造機能相関がこれらの取り組みをさらに複雑にしている。これらの破壊により通常、酵素の不活性化又は生体触媒能の低下が起こる。
【0004】
ウレアーゼは腎臓透析システムで使用される酵素である。例えばウレアーゼは透析液中の尿素をアンモニアと重炭酸塩とに変換させる吸着透析に使用される。それからこれらの副生成物等を吸着材料、例えば活性炭及びイオン交換材料により取り除くことができ、それにより清浄な透析液を再生させることができる。このタイプの透析システムは水溶性の酵素の層に水を流すことを含むため、ウレアーゼの固定化は少なくとも以下の理由から重要である:(i)固定化しなければ、酵素が流れる水に溶解し、システム全体に送られ、その所望の場所から効率的に洗い流されて、非常に短期間で腎臓透析システムが役に立たなくなる可能性があり;(ii)同時に、溶解した酵素が患者の体液への拡散により患者へと送り返され、その時点で患者中の任意の尿素が患者の体内でアンモニアへと変換される。
【0005】
ウレアーゼのその活性に関する安定性、又は尿素の加水分解の触媒能は、共有結合的に固定化した、又は架橋したウレアーゼ材料の機能障害の原因であることが多い。この不安定性が保存期間を短くし、ほとんどの架橋ウレアーゼ材料の消費者製品における使用が実現不可能になる。架橋状態での酵素の安定性を改善させる試みには、凍結乾燥、液体バッファー中での保存、低温保存、又はこれらの方法全ての幾つかの組合せが含まれている。これらの方法はほとんど成功していないことに加えて、これらの方法それぞれに関連するコスト及び論理的複雑性により、多くの場合架橋ウレアーゼの利用(employment)は学術的施行にまで縮小される。
【0006】
これまで架橋ウレアーゼ材料の安定性の維持にはコストが関わっていた。これに加えて、酵素源として精製ウレアーゼを使用するには法外な費用がかかり得る。架橋ウレアーゼを含む方法及び材料のほとんど全てが精製形態の酵素を利用する。これらの材料を用いて達成される限られた成功は別にして、ウレアーゼの精製に関連する費用が大規模な消費者製品の開発における主な障害をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
安定して結合し、液相へと溶解又は置換することのない固定化酵素に対する必要性が存在する。高レベルの酵素活性を保有し、周囲条件下で長期間保存する場合、安定した活性を維持する固定化酵素に対するさらなる必要性が存在する。経済的に実現可能な供給源から生成することができる固定化酵素に対する別の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は1つ又は複数の上述の不利点を回避する固定化酵素を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる特徴は共有結合した巨大分子の形成体中に共有結合的に固定化した酵素を含む組成物を提供することである。
【0010】
本発明の別の特徴は乾燥及び保存することができ、かつ酵素活性を保持することができる、共有結合的に固定化した酵素を含む組成物を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる特徴は化合物(又は物質)をシステムから取り除くためにシステムで利用することができる固定化酵素を提供することである。
【0012】
本発明の別の特徴は共有結合した巨大分子の形成体中に固定化酵素を含む、透析用の吸着カートリッジを提供することである。
【0013】
本発明の別の特徴は酵素活性を保持する固定化酵素を製造する方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる特徴は共有結合する固定化酵素を製造する方法を提供することである。
【0015】
本発明の別の特徴は粗(又は未処理(raw))非精製形態の酵素を利用することができる固定化酵素を製造する方法を提供することである。
【0016】
本発明の付加的な特徴は以下の記載で一部説明され、この記載から一部明らかになり、又は本発明の実施により知ることができる。本発明の特徴は添付の特許請求の範囲で具体的に指摘された要素により実現及び到達することができる。
【0017】
本明細書中で具体化されると共に、広く記載されるように、本発明の目的に従って上で言及された特徴を達成するために、本発明は共有結合的に固定化した酵素を含み、酵素活性を有する組成物を提供する。組成物は酵素と、ポリマーと、架橋剤との反応生成物を含むことができる。組成物は共有結合した巨大分子の形成体を含むことができ、酵素は架橋剤及びポリマーと共有結合することができる。組成物は乾燥し、それから周囲温度及び圧力下で保存することができ、さらに酵素活性を維持することができる。このタイプの固定化は酵素が液相に溶解するのを防ぐことができる。またこのタイプの固定化は他の化学物質又は生化学物質により酵素がその固定化状態から置換するのを、及び/又は支持機能障害の結果である酵素の移動を防ぐことができる。
【0018】
本発明は固定化酵素を製造する方法も提供する。該方法はポリマーと酵素との水性混合物を形成すること、架橋剤を該水性混合物に添加し、反応混合物を形成する、添加すること、及び共有結合した巨大分子の形成体において該反応混合物を架橋するのに十分な時間、該反応混合物を維持することを含むことができる。
【0019】
本発明は化合物(又は物質)を該化合物(又は物質)を含有するシステムから取り除く方法も提供する。該方法は酵素活性を有する共有結合的に固定化した酵素を含む組成物で該システムを処理すること、及び該化合物(又は物質)を実質的に含まないシステムを回収することを含むことができる。該酵素が溶解し該システムへと漏出又は移動しないように、該酵素を固定化することができる。
【0020】
このため本発明は吸着カートリッジ中に酵素活性を有する共有結合的に固定化した酵素を含む吸着カートリッジを提供する。
【0021】
上述の概要及び以下の詳細な説明は両方とも例示的なものにすぎず、特許請求されるように本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による酵素固定化方法に関与する化学反応式(chemistry)を示す概略図である。図中英語は以下;Branched Poly:分岐ポリ(エチレンイミン)[BPEI]Ethylen Glycol Diglycidyl Ether: エチレングリコールジグリシジルエーテル[EGDGE]Urease:ウレアーゼ
【図2】本発明による固定化酵素と比較した粗未固定化酵素(non-immobilized enzyme:固定化する前の酵素)におけるウレアーゼ活性の動態を示すグラフである。図中英語は以下;JMB Reaction Rate(mg%NH3/g min)JBM反応速度(NH(mg%)/g/分)Urea Concentration(mg/dL):尿素濃度(mg/dL)Composite Reaction Rate(mg%NH3/g min):複合材料反応速度(NH(mg%)/g/分)Jack Bean Meal:タチナタマメ粉末Composite:複合材料
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は酵素活性を有する共有結合的に固定化した酵素を含む組成物に関する。組成物は共有結合した巨大分子の形成体中に酵素、ポリマー及び架橋剤を含むことができる。組成物は、例えば図1に示されるように酵素と、ポリマーと、架橋剤との反応生成物を含むことができる。図1に示されるように、酵素(例えばウレアーゼ)をポリマー(例えば分岐ポリ(エチレンイミン)及び架橋剤(例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル)との巨大分子の形成体に共有結合的に固定化することができる。固定化酵素はポリマー及び/又は架橋剤と共有結合することができ、酵素活性を保持することができる。本発明では、2つ以上の酵素、及び/又は2つ以上のポリマー、及び/又は2つ以上の架橋剤を使用する又は存在させることができる。組成物の架橋密度はポリマー上の利用可能な官能基(例えばポリマー上の窒素原子)の%に対して1%〜50%以上、例えば9%〜50%であり得る。組成物(好ましくはヒドロゲルである)はその乾燥状態と比較して50%〜250%の水膨潤率を有し得る。
【0024】
本発明において、組成物は固体であってもよく、ここでは酵素は組成物全体に均一に存在することができる。したがって選択肢として、組成物を例えば製粉又は粉砕により粒子又は粉末状に形成してもよく、それぞれの粒子は、反応の一部であり、架橋剤(複数可)によりポリマーと架橋するために存在している酵素を有する。組成物が固体及び粒子形態であってもよいので、粒子は任意の大きさ及び形状、例えば以下に限定されないが、約10ミクロン〜約10ミリメートル、例えば約20ミクロン〜1ミリメートル、又は25ミクロン〜75ミクロンの平均粒径を有し得る。粒子は剛体であり(rigid)及び/又は流動性を有するのが好ましい。粒子形状は均一、不規則、球状、板状(platelet)であり得るか、又は粒子は他の形状を有していてもよい。
【0025】
固体の場合、組成物は固体組成物の重量を基としてほぼ25wt%以下、15wt%以下、10wt%以下、5wt%以下、例えば0.1wt%〜15wt%、1wt%〜10wt%、5wt%〜10wt%のような低い含水量又は含湿量を有し得る。
【0026】
ポリマーはホモポリマー、コポリマー又はターポリマー等であり得る。ポリマーは例えばポリアミンを含み得る。ポリマーは1つ又は複数の以下の特質を有し得る:(i)ポリマー柔軟性又は高いセグメント移動性(segmental mobility)、(ii)修飾及び架橋を容易にする、ポリマー上の高度な官能基密度、及び/又は(iii)ポリマーの水和。ポリマーは例えば、直鎖ポリ(エチレンイミン)、分岐ポリ(エチレンイミン)、直鎖若しくは分岐ポリ(プロピレンイミン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリ(l−リジン)、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0027】
ポリ(エチレンイミン)(PEI)は例えば上記の特質を全て有する。PEIは分岐形態(BPEI)又は直鎖形態(LPEI)で得ることができる。直鎖形態及び分岐形態の両方ともガラス転移温度を有し(LPEI T=−35℃、BPEI T=−50℃)、このことにより、室温以上でこれらのPEIが高度なセグメント移動性を示すことが示される。
【0028】
PEIポリマーはそれらの構造中に高度なアミンを有し、これによりポリマーが容易に修飾される。BPEIはおおよそ同数の第1級アミン及び第3級アミンを含有し、これらはポリマーにおけるアミノ基の約半分を占め、アミノ基の総数の残りの半分は第2級アミンである。その一方で、LPEIにおけるアミノ基はポリマー鎖のそれぞれの末端にある第1級アミンを除いてほとんどが第2級アミンだけである。様々な部分(moieties)、例えば酵素を第1級アミン基(BPEI)及び第2級アミン基(LPEI)を介してポリマーと容易に結合させることができる。これにより、酵素結合の程度を変え、架橋密度を制御することもできる。
【0029】
PEIの付加的な魅力的特徴はPEIが幾つかの酵素特性を高めることができるということである。PEI自体は、酵素の感度及び安定性を増大させるだけでなく、溶液中及び凍結乾燥時の酵素の長期保存安定性を高めることができる。さらに、低pHでプロトン化形態のPEIはポリマー骨格上で静電的に反発する正電荷の結果として伸長状態で存在することができ、非常に水溶性であることが示されている。本明細書で使用することができる他のポリマーも同様にこれらの特質を1つ又は複数有し得る。
【0030】
ポリマーは概して、いかなる分子量(M)又は数平均分子量(M)にも限定されない。ポリマーは例えば、約1キロダルトン(kDa)〜約1000kDaの範囲の平均M、及び約1kDa〜約100kDaの範囲のMを有し得る。BPEI(Sigma-Aldrichから入手可能)は例えば、約1.3kDa、約2.0kDa、約25kDa、又は約750kDaの平均M(LSによる)、及び約1.2kDa、約1.8kDa、約10kDa、又は約60kDaのM(GPCによる)を有し得る。他の分子量及び数平均分子量が可能である。
【0031】
ポリマーは、例えば以下に限定されないが、組成物の約1重量パーセント〜約90重量パーセント、約5重量パーセント〜約75重量パーセント、約10重量パーセント〜約50重量パーセント、又は約25重量パーセント〜約35重量パーセントの量で組成物中に存在し得る。
【0032】
架橋剤は酵素及び/又はポリマーと共有結合を形成することができる二官能性試薬又は多官能性試薬を含み得る。架橋剤は例えば、1つ又は複数のエポキシ基、1つ又は複数のアクリレート基、1つ又は複数のハロゲン基、1つ又は複数のカルボキシル基、1つ又は複数のアルデヒド基、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。好適な架橋剤の例はヘテロ二官能性ポリエチレングリコール、ホモ二官能性ポリエチレングリコール、又はそれらの組合せである。
【0033】
架橋剤は柔軟性又はセグメント移動性を有し得る。柔軟性を有する架橋剤は酵素と共有結合するより良い機会を有し得ると同時に、酵素が基質に対する酵素活性部位を維持し、提示することを可能にする。架橋剤は例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジブロモへキサン、グルタルアルデヒド、エピクロロヒドリン、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0034】
架橋剤はポリマー及び/又は酵素の少なくとも一部と架橋する量で、例えば組成物の重量を基として約1wt%〜20wt%存在し得る。
【0035】
酵素は架橋剤及び/又はポリマーと共有結合することができる。いずれの酵素も本発明に使用することができる。好適な酵素の例としては、インベルターゼ、グルコシダーゼ、ラクターゼ、マルターゼ、アミラーゼ、ヒドロラーゼ、ウレアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、オキシダーゼ及びデヒドロゲナーゼが挙げられる。より具体的な例としては、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、クレアチナーゼ、クレアチニナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。1つ又は複数の酵素の混合物も、共有結合した巨大分子の得られた形成体が2つ以上の酵素活性を有することができるように該方法で活用することができる。
【0036】
本発明では、酵素を精製することなく、粗酵素材料又は未処理酵素材料を固定化することができ、またこの粗酵素材料又は未処理酵素材料を本発明の方法により固定化し、本発明の固定化酵素を形成することができ、ここでは該酵素は本明細書に記載のように架橋剤によりポリマーと架橋する。酵素は精製形態又は分画形態の酵素を含むことができるか、又は粗形態の酵素を含むことができる。粗形態の酵素はより経済的な方法及び組成物を提供することができる。例えば、酵素は天然源、例えばこれに限定されないがタチナタマメ(カナバリア・エンシホルミス(Canavalia ensiformis))に由来するウレアーゼを含み得る。ウレアーゼは他の天然源、例えばダイズ(グリシン・マックス(Glycine max))、他のマメ科植物及び植物、細菌(例えばバシラス・パステウリイ(Bacilluspasteurii))、又は酵母に由来していてもよい。精製形態のウレアーゼは例えば分画形態又は結晶化形態を含み得る(Sigma-Aldrich, St. Louis, Missouri)。粗酵素材料又は未処理酵素材料を使用する場合、この粗酵素材料又は未処理酵素材料はSU/gで測定される酵素活性によって特徴付けることができる。例えば、粗酵素材料又は未処理酵素材料は、約100SU/g〜1000SU/g(例えば100SU/g〜500SU/g、150SU/g〜300SU/g)の範囲の酵素活性を有するような酵素活性を有し得るか又は特徴とし得る。酵素材料が精製形態又は結晶化形態又は分画形態である場合、その純度は酵素活性によって特徴付けることができ、例えば2000SU/g〜6000SU/g以上、例えば2500SU/g〜5500SU/gの範囲であり得る。本発明により、粗/未処理酵素材料、及び精製形態に関して本明細書で記載のように酵素安定性が達成されることは驚くべきことであった。
【0037】
組成物は固定化酵素(ここで酵素が酵素活性を保持する)を含むことができる。固定化酵素は例えば、未固定化酵素と比較して約90パーセント〜約100パーセントの活性、又は少なくとも50パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも25パーセント、又は少なくとも10パーセント(例えば10%〜95%、15%〜90%、20%〜85%、25%〜80%、30%〜75%、35%〜70%、40%〜65%、45%〜60%)の酵素活性を保持することができる。酵素は組成物の約0.5重量パーセント〜約80重量パーセント、約10重量パーセント〜約75重量パーセント、約20重量パーセント〜約60重量パーセント、又は約30重量パーセント〜約55重量パーセントの量で存在し得る。固定化ウレアーゼを含む組成物の酵素活性の例を図2に示す。
【0038】
図2では、固定化ウレアーゼ(複合材料)の酵素活性及び組成物を作製するのに利用される粗ウレアーゼ(すなわち未固定化)(タチナタマメ粉末)の酵素活性を示す。固定化酵素組成物は同一の酵素動態を示し(すなわちK JBM=複合材料)、粗ウレアーゼより早く飽和状態になることはない。図2は固定化ウレアーゼがその酵素活性の少なくとも約30%〜40%を保持することも示している。
【0039】
組成物は共有結合した巨大分子の形成体中に少なくとも1つの酵素と、少なくとも1つのポリマーと、少なくとも1つの架橋剤との反応生成物を含むことができ、ここで反応生成物は架橋剤及びポリマーにおける1つ又は複数の官能基間の反応、並びに架橋剤及び酵素における1つ又は複数の官能基間の反応から得られる。また図1を参照すると、反応生成物は、例えば架橋剤(EGDGE)の第1のエポキシ基とポリマー(BPEI)のアミン基との間、架橋剤の第2のエポキシ基と酵素(ウレアーゼ)のアミン基との間の反応から得ることができる。
【0040】
組成物はヒドロゲルであってもよい。本発明の目的のために、ヒドロゲルは不水溶性であり、かつ水中で膨潤性であるポリマー鎖のネットワークとして規定することができる。ヒドロゲルは相当量の水を含有することができる、例えばヒドロゲルの重量を基として99wt%を超える水を含有することができる。
【0041】
組成物は乾燥することができる。組成物は例えば、組成物の重量を基として約0wt%〜約25wt%、15wt%未満、10wt%未満、又は約0wt%〜15wt%、0.01wt%〜5wt%、0.1wt%〜1wt%、0.5wt%〜10wt%、2wt%〜8wt%、又は5wt%〜10wt%の含水量(又は含湿量)まで乾燥することができる。固定化酵素は乾燥した場合に酵素活性を保持することができ、乾燥状態で保存した場合に、この活性を維持することができる。組成物を例えば、周囲温度及び圧力(例えば25℃、1atm)で少なくとも1週間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、又は少なくとも6ヶ月間以上保存した場合に、0日目(形成時)の初期酵素活性と比較して、10パーセント超、25パーセント超、50パーセント超、80パーセント超、90パーセント超、又は約100パーセントの酵素活性を保持することができる。
【0042】
組成物は粒子等の形態で添加物をさらに含むことができる。添加物は例えばポリマー/酵素/架橋剤の組成物を吸着することができる材料を含み得る。例えば組成物は任意で活性炭粒子を含み得る。活性炭粒子の添加により例えば、巨大分子組成物の密集度及び/又は剛性を変更することができる。炭素粒子がより多く存在すれば、組成物がより高密度かつ剛体になる。活性炭は例えばポリマーを吸着することにより、共有結合した巨大分子の形成体を吸着することができる。活性炭は例えば、約1ミクロン〜約100ミクロン、約5ミクロン〜約80ミクロン、又は約10ミクロン〜約50ミクロンの平均粒径を有し得る。活性炭又は他の充填材料又は吸着材料は例えば、組成物の重量を基として約0重量パーセント〜約50重量パーセント、約1重量パーセント〜約30重量パーセント、約5重量パーセント〜約40重量パーセント、又は約10重量パーセント〜約30重量パーセントの量で組成物中に存在し得る。
【0043】
組成物は粒子等の形態でイオン交換添加物、例えばアニオン交換粒子及び/又はカチオン交換粒子をさらに含むことができる。組成物は例えばリン酸ジルコニウム粒子及び/又は酸化ジルコニウム粒子を含むことができる。イオン交換粒子は例えば、組成物の重量を基として約0重量パーセント〜約50重量パーセント、約1重量パーセント〜約30重量パーセント、約5重量パーセント〜約40重量パーセント、又は約10重量パーセント〜約30重量パーセントの量で組成物中に存在し得る。例えば固定化ウレアーゼと組合せたイオン交換材料は腎臓透析システムにおける使用のための組成物を提供することができる。透析液に存在するアニオン及び/又はカチオン、例えばNH、Ca及び/又はPをイオン交換粒子により吸着し、透析液から取り除くことができる。
【0044】
本発明はさらに、共有結合した巨大分子の形成体において固定化酵素を製造する方法であって、該酵素が酵素活性を有し、これまでに開示されたように長期間(例えば少なくとも30日間)活性を保持することができる、方法に関する。該方法は任意に制御量の架橋密度で酵素とポリマー及び/又は架橋剤とを共有結合させることができる。
【0045】
固定化酵素を製造する方法は、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの酵素との水性混合物を形成すること、及び少なくとも1つの架橋剤(複数可)を水性混合物に添加して、反応混合物を形成する、添加すること、及び共有結合した巨大分子の形成体に酵素を固定化させるように反応混合物を維持することを含むことができる。該方法は初めにポリマーを水溶液中に溶解すること、次に酵素を水溶液に添加すること、その後架橋剤を添加して、反応混合物を形成する、添加することを含むことができる。任意の他の添加順序を使用することができる。
【0046】
反応混合物において、架橋剤はポリマー及び/又は酵素と反応する官能基を1つ又は複数含むことができる。本発明の目的のために、「官能基」という用語には共有結合的及び/又は非共有結合的な相互作用が起こり得る化学構造が全て含まれる。1つ又は複数の官能基は例えば、エポキシド、アクリレート、ハロゲン化物、カルボキシル、アルデヒド又はそれらの任意の組合せを含み得る。図1で例示的に示されるように、架橋剤(EGDGE)の第1のエポキシ基はポリマー(BPEI)のアミン基と反応することができ、架橋剤の第2のエポキシ基は酵素(ウレアーゼ)のアミン基と反応することができる。エポキシ基は例えばリジンに存在する第1級アミン、及び/又は例えばグルタミン、アルギニン、アスパラギン及び/又はヒスチジンに存在する第2級アミン又は第3級アミンと反応することができる。エポキシドは例えば、求核剤の影響を受けやすいことがあり、エポキシ基が反応することができる他の候補物質には例えば、チオール基及びカルボキシル基が含まれる。
【0047】
また図1を参照すると、固定化酵素、例えば固定化ウレアーゼを製造する方法が示される。図1の反応図によって示されるように、分岐ポリ(エチレンイミン)ポリマー(BPEI)と、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)と、ウレアーゼとを含む混合物を反応させ、共有結合した巨大分子の形成体を生成させる。反応1では、2つの化学的に活性のある基はBPEIのアミノ基(孤立電子対によりアミノ基が求核剤となる)、及びEGDGEのエポキシ基であり得る。求核アミンは第1のエポキシ基の少なくともヒンダード炭素原子を攻撃する。反応2では、第2のエポキシ基はこの反応系において他の利用可能なアミン基と反応する。酵素によって供給される他の官能基に加えて、これらの一部はウレアーゼ由来のリジン残基のアミン基であり得る。
【0048】
これらの2つの反応の順番を入れ替えてもよい。言い換えれば、エポキシ基を初めに酵素由来のアミンと、その後でポリマーと反応させることができる。さらに、架橋は酵素分子間又はBPEI鎖間で起こってもよい。したがって架橋剤を添加する前に任意で十分混合された均質溶液が達成されていてもよい。
【0049】
ポリマーの選択に応じて、場合によってはポリマーは水に易溶性でなくてもよい。酸、例えば塩酸(HCl)を水溶液に添加すること、及び/又は熱を加えることによってポリマーを水により可溶性にすることができる。ポリマーが溶解したら、酵素を添加することができる。酵素を安定化させることができる静電複合体をポリマーと酵素との間で形成することができる。必要に応じて、酵素を添加する前に水溶液を略室温まで冷却することができる。酵素をより高い温度若しくはより低い温度、又は酵素が活性を保つ任意の温度範囲、例えば約20℃〜約50℃の温度範囲で添加することができる。酵素をポリマー溶液に添加し、例えばマグネティックスターラを使用して混ぜることができる。ポリマーと酵素溶液とを混合すると、溶液は粘性になり、より強力な混合技法及び/又は手動による混合が必要になる場合がある。
【0050】
1つの選択肢として、ポリマーと酵素との均質ブレンドが得られた後に、架橋剤を添加してもよい。ポリマーと酵素とを混ぜる前、混ぜている間、及び/又は混ぜた後に架橋剤を添加してもよい。この混合物を例えば激しい混合(vigorous mixing)により混ぜ合わせ、反応混合物を形成することができる。それから反応混合物を表面、例えばノンスティック(non-stick:非粘性)表面上に注ぎ、硬化させる(cure)ことができる。反応混合物は酵素が活性を維持する任意の温度範囲、例えば約20℃〜約50℃の温度範囲、又は周囲温度(例えば25℃)で硬化し得る。硬化時間は例えば1時間未満〜約24時間、又は約2時間〜4時間の範囲であり得る。混合物が硬化したら、例えばブレンダーを使用して材料をより小さい粒子に粉砕することができる。
【0051】
共有結合した巨大分子の形成体中に固定化酵素を含む粉砕粒子を乾燥することができる。粉砕粒子を例えば周囲圧力(例えば1atm)、又は真空下で乾燥することができる。粉砕粒子を真空オーブンで、例えば約−5インチHg〜約−27インチHg、又は約−25インチHgの真空圧力で乾燥することができる。粒子は例えば約1%〜約25%、例えば約10%の相対湿度を有するデシケーターでも乾燥することができる。さらなる例としては、固体の場合、本発明の組成物における固定化酵素は、材料を乾燥するために例えば粉砕粒子の形態の本発明の固定化酵素組成物固体をカラムに入れ、ポンプによりアルゴン又は他の不活性ガスをカラムに通すことにより乾燥することができる。これは1時間〜12時間以上起こり得る。この特定の手順又は同様の手順を、粉砕粒子の含湿量又は含水量が組成物の重量を基として15wt%以下になるまで行うことができる。この初期乾燥は固体が形成された直後、又は材料が形成されて1時間又は5時間以内に行われるのが好ましく、これにより含湿量又は含水量が15wt%以下まで低減する。不活性ガスと共にカラムを使用した後、他の乾燥技法、例えば真空オーブン、デシケーター等を、含湿量又は含水量をさらに低減するのに使用することができる。上述のように、本発明の固体組成物の乾燥は固体組成物の調製の数時間以内に行われるのが好ましく、これにより15wt%以下の含湿量が達成される。そうすることにより、より高い開始酵素活性を達成することができる。架橋剤を共有結合した巨大分子の形成体において所望の程度の架橋が得られる任意の量で水性混合物に添加することができる。幾つかの製剤において、過度の架橋は酵素の活性及び/又は安定性に影響を与える可能性がある。高度な架橋により、例えば酵素活性が低減した及び/又は安定性が低下した固定化酵素が生成される可能性がある。架橋剤は例えば約0.5パーセント〜約50パーセント、約5パーセント〜約30パーセント、約10パーセント〜約20パーセント、約40パーセント、約40パーセント未満、約20パーセント又は約10パーセントの架橋密度を得る量で添加することができる。
【0052】
これまでに述べたように、該方法はさらに付加的な添加物、例えば粒子を混合物に混ぜることを含んでいてもよい。付加的な添加物は例えばポリマー/酵素/架橋剤の組成物を吸着することができる材料を含むことができる。例えば、活性炭を混合物に添加し、混ぜて、均質な混合物を提供することができる。活性炭粒子の添加により例えば、巨大分子組成物の密集度及び/又は剛性を変更することができる。イオン交換材料、例えばリン酸ジルコニウム及び/又は酸化ジルコニウムを混合物に添加することができる。
【0053】
該方法は共有結合した巨大分子の形成体において固定化酵素を調製すること、巨大分子を乾燥すること、及び固定化酵素を保存することを含んでいてもよい。固定化酵素を乾燥状態、周囲温度及び圧力(例えば25℃、1atm)で保存し、さらに酵素活性を保持することができる。調製日の活性と比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%の酵素活性を保つように、固定化酵素は少なくとも30日間、例えば2ヶ月間〜6ヶ月間、酵素活性を保持することができる。表1は本発明の方法によって調製され、実施例1において詳述され、かつ周囲温度及び圧力で保存された固定化ウレアーゼ組成物で測定されたウレアーゼ活性の結果を示す。
【0054】
表1に示すように、調製初日(0日目)、及びその後1日ごとに数日、ウレアーゼ活性を測定した。データにより示されるように、活性は完全に安定性を保っており、82日目であっても0日目で測定された酵素活性と少なくとも同程度の酵素活性を保持していた。
【0055】
表1 ウレアーゼ活性
調製後の日数 材料の活性(SU/g)
0 30.39
1 27.28
2 32.17
5 32.71
6 32.19
8 33.37
12 32.88
15 29.1
20 31.38
29 41.33
36 29.05
51 39.07
68 30.06
82 34.81
103 36.08
126 39.27
159 32.7
294 48.1
394 37
460 40
【0056】
本発明の方法において、好ましくはポリマー及び酵素が単一の相、例えば水相で架橋され、ここで酵素(例えばウレアーゼ)は水相に溶解することができ、ポリマーは同じ水相において反応する。ポリマーは水溶性であり得る。
【0057】
本発明はさらに、本明細書で記載のように本発明の固定化酵素を利用して、化合物(又は物質)を化合物(又は物質)を含有するシステムから取り除く方法に関する。該方法は共有結合的に固定化した酵素を含み、酵素活性を有する組成物でシステムを処理することを含み得る。組成物は共有結合した巨大分子の形成体における酵素と、ポリマーと、架橋剤との反応生成物であり得る。システムは例えば透析システムを含んでいてもよく、化合物(又は物質)は例えば尿素を含んでいてもよく、酵素は例えばウレアーゼを含んでいてもよい。該方法はさらに、システムを例えば1つ又は複数のイオン交換材料で処理することを含み得る。
【0058】
吸着カートリッジは吸着カートリッジ中に本明細書に記載の組成物を含んでいてもよい。組成物は例えば、共有結合的に固定化した酵素を含み、酵素活性を有していてもよい。組成物は共有結合した巨大分子の形成体中に酵素と、ポリマーと、架橋剤との反応生成物を含んでいてもよい。吸着カートリッジは1つ又は複数の層、例えば2つの層を含んでいてもよく、少なくとも1つの層は本発明の組成物を含むことができる。組成物は例えば固定化ウレアーゼを含むことができる。組成物はさらに、形成体中に活性炭及び/又は他の添加物を含むことができる。
【0059】
本発明は本発明の組成物を使用することにより、本発明による酵素の固定化が効果的であり、本明細書で論考されるように架橋によって達成されるので、透析(例えば吸着)カートリッジの酵素層上にアルミナ層又は同様の層を有する必要性を回避することができる。このため、本発明の一態様には、本発明の組成物を(例えば層として)含み、酵素含有セクション又は層に隣接したアルミナ層又は同様の層を含まない(又は必要としない)透析カートリッジ又は吸着カートリッジが含まれる。
【0060】
本発明の組成物を任意の酵素又は固定化酵素の代わりに使用することができる。本発明の組成物を、米国特許第6,627,164号、同第6,878,283号、同第7,033,498号又は公開済みの米国特許出願第2006/0140840号(本明細書中で参照により援用される)に記載された吸着カートリッジにおいて酵素層(例えばウレアーゼ)として使用することができる。
【0061】
組成物を透析カートリッジ又はデバイスにおける構成要素として使用することができる。透析カートリッジは本発明の組成物を含有するカートリッジであってもよく、ここで組成物は少なくとも1つの層として存在し、透析カートリッジはさらに吸着材料の他の層(複数可)を少なくとも1つ含むことができる。
【0062】
本発明の組成物を酵素(例えばウレアーゼ)を使用する任意の用途で使用することができ、ウレアーゼ若しくは酵素層として、又は公開済みの米国特許出願第2002−0112609号及び米国特許第6,878,283号に記載のカートリッジ、並びにSorbのREDYカートリッジ(例えば"Sorbent DialysisPrimer,"(COBERenal Care, Inc. Sep. 4, 1993 edition)、及び"Rx Guide to Custom Dialysis,"(COBE Renal Care, Inc. Revision E,Sep., 1993)を参照されたい)(全てその全体が参照により本明細書中に援用される)のような吸着カートリッジにおける付加的なウレアーゼ若しくは酵素層として使用することができる。これらの公開済みの文献/出願においてウレアーゼ等の酵素を使用する実施形態は全て本願の実施形態であり、ここでは本発明の組成物が使用される。例示的な目的にすぎないが、管状ハウジング又はカートリッジ内の様々なフィルタ媒体(filter media)セクションを本発明の組成物と共に使用することができる。ハウジング又はカートリッジは粒状活性炭セクション、固定化酵素セクション、任意で粉末アルミナ(Al)セクション、リン酸ジルコニウム、及び/又は酢酸塩形態の含水酸化ジルコニウムと炭酸ジルコニウムナトリウムとの混合物又は炭酸ジルコニウムナトリウム単独を含むセクションのような吸着材料を含むことができる。透析カートリッジは1つ又は複数の層又は帯(zones)として本発明の組成物を含有するカートリッジであってもよく、ここで透析カートリッジは、第1の末端から始まり、第2の末端で終わる配置を含む複数のフィルタ媒体セクション(又は層)、活性炭セクション、固定化酵素セクション、任意で粉末アルミナセクション、リン酸ジルコニウムセクション、及び炭酸ジルコニウムナトリウム又は酢酸塩形態の含水酸化ジルコニウムと炭酸ジルコニウムナトリウムとの混合物のセクションを有する。血液透析のために、透析液用の基材として高度に精製させた水を使用する場合を除いて、水道水から塩素を取り除くのに適合させたフィルタ媒体が好ましい。フィルタ媒体は活性炭であり得る。重金属、酸化剤及びクロラミンに結合させるフィルタ媒体として活性炭を使用することができる。酵素変換により尿素を炭酸アンモニウムへと変換させるのに、ウレアーゼ等の固定化酵素をフィルタ媒体中に使用することができる。アルミナ(Al)、活性炭、アニオン交換樹脂及び/又は珪藻土を吸着材として使用することができる。酵素を使用する場合、塩素が酵素を不活性化する可能性があるため、固定化酵素フィルタ媒体の前に塩素を取り除くために活性炭を使用することができる。水道水中のアンモニア、カルシウム、マグネシウム、カリウム及び他のカチオン、並びに毒性のある微量金属に結合させるのに、カチオン交換材料を使用することができる。これらのフィルタ媒体の別の機能は尿素加水分解により炭酸塩を重炭酸塩へと変換させることであり得る。このようなカチオン交換材料には、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン又はゼオライトが含まれ得る。アニオン交換フィルタ媒体はリン酸塩、フッ化物及び他の重金属に結合する。アニオン交換フィルタ媒体の副生成物には酢酸塩、及び患者の血液の代謝性アシドーシスも補正する重炭酸塩が含まれ得る。このようなフィルタ媒体には、酢酸塩形態の含水酸化ジルコニウム、含水シリカ、酸化第二スズ、酸化チタン、アンチモン酸、含水酸化タングステン又は炭酸ジルコニウムナトリウムが含まれ得る。
【0063】
本発明の性質を説明するのに以下の実施例が与えられる。しかしながら本発明はこれらの実施例に記載される特定の条件又は詳述に限定されないことを理解されたい。
【実施例】
【0064】
本実施例において、ウレアーゼ活性を以下の試薬/手順に従って測定する:
試薬
硫酸アンモニアストック溶液(2000mg% NH−N):HOに94.34グラムの(NHSOを溶解する。濃HSOを1滴添加する。HOで1リットルにする。
フェノール試薬:HOに50グラムのフェノールと0.25グラムのニトロプルシドナトリウム(ニトロフェリシアン化ナトリウム)とを溶解し、HOで1リットルにする。
次亜塩素酸試薬:約500mlのHOに25グラムのNaOHを溶解する。20mlの10%次亜塩素酸ナトリウム漂白剤を添加し、HOで1リットルにする。
NH−Nスタンダード(10mg%、15mg%及び20mg%):0.5ml、0.75ml及び1mlの硫酸アンモニアストック溶液(2000mg%)をそれぞれ100ml容のメスフラスコにピペッティングし、HOで一定容量にする。
手順
スダンダード、試料及びブランクを全て三連で行う。
1mlのフェノール試薬を全ての試験管に加える。
20ulのHOをブランクとしてそれぞれの試験管に加える。
20ulのスタンダートをそれぞれの試験管に加える。
混合する。
1mlの次亜塩素酸試薬を添加し、ボルテックスする。
室温で20分間静置する。
8mlのHOを添加し、3回ボルテックスする。
参照キュベットにおいてブランクを使用して635nmで吸光度を読み取る(規定通り)。
試料の吸光度をスタンダードの吸光度と比較することにより、試料中のNH−N(mg%)を算出する。
【0065】
実施例1:架橋密度が10%であるBPEI/EGDGE/ウレアーゼ/炭素の組成物の調製(バッチ15)。
酸を撹拌中のポリマーに非常にゆっくりと(液滴で)添加することにより、10gのBPEIを25mLの5M HCl中に溶解した。これには約30分〜45分かかった。全ての酸を添加したら、ポリマー溶液を室温に冷却されるまで撹拌した。これには約10分かかった。
【0066】
15gのタチナタマメ(JBM)を5gの活性炭粉末と混ぜ合わせた。それからこのブレンドを冷却したポリマー溶液に添加し、撹拌した。或る特定の時点において、マグネティックスターラは撹拌させるのに十分な強さではなかった。そのため混合物を泡だて器としてスパチュラを用いて激しく撹拌した。
【0067】
均質になったら、1.75mLのEGDGE(TCI America, Polysciences, SPI Supplies)を添加した。この架橋剤に関する一般名称はQuetol 651である。スパチュラを用いて、再び混合物を激しく混合した。
【0068】
それから混合物をノンスティック表面(すなわちプラスチックのバケット蓋)の上に注ぎ、周囲条件でおよそ3時間硬化させた。それから組成物をブレンダーに入れ、小さい粒子へと粉砕した。
【0069】
それから粒子を25℃に保った真空オーブンに入れ、−25インチHg(真空)で24時間乾燥した。それから粒子を真空オーブンから取り出し、相対湿度が約10%であるデシケーターにさらに24時間置き、完全に乾燥させた。
【0070】
乾燥重量は32g〜34gであった。重量が高くなったら、さらに乾燥させるために、材料をデシケーターに戻した。
【0071】
架橋密度を算出すると、およそ10%であった。バッチ15のウレアーゼ活性を上記及び実施例4で詳述される手順によって測定した。
【0072】
結果:
【0073】
表2
スタンダード 1 2 3 平均 標準偏差
10 0.317 0.312 0.318 0.316 0.003515 0.479 0.489 0.485 0.484 0.007020 0.661 0.633 0.658 0.651 0.0198
【0074】
表3
スタンダード 1 2 3 平均 標準偏差
バッチ15 1.052 1.043 1.036 1.044 0.0080
【0075】
バッチ15試料におけるNH(mg%):30.39
材料の活性:30.39SU/g
635nmでの吸光度。
【0076】
実施例2:架橋密度が20%であるBPEI/EGDGE/ウレアーゼ/炭素の組成物の調製(バッチ13)。
3.5mLのEGDGEを使用する以外は実施例1のバッチ調製に従った。架橋密度を算出すると、およそ20%であった。
【0077】
表4
スタンダード 1 2 3 平均 標準偏差
10 0.327 0.321 0.322 0.323 0.0042 15 0.489 0.491 0.495 0.492 0.0014 20 0.66 0.666 0.661 0.662 0.0042
【0078】
表5
スタンダード 1 2 3 平均 標準偏差
バッチ13 1.548 1.584 1.563 1.565 0.0180
【0079】
バッチ13試料におけるNH(mg%):46.88
材料の活性:23.44SU/g
635nmでの吸光度。
【0080】
実施例3:架橋密度が40%であるBPEI/EGDGE/ウレアーゼ/炭素の組成物の調製(バッチ11)。
7mLのEGDGEを使用する以外は実施例1のバッチ調製に従った。架橋密度を算出すると、およそ40%であった。
【0081】
表6
スタンダード 1 2 3 平均 標準偏差
10 0.314 0.306 0.312 0.31 0.005715 0.491 0.492 0.494 0.492 0.000720 0.632 0.671 0.676 0.652 0.0276
【0082】
表7
スタンダード 1 2 3 平均 標準偏差
バッチ11 0.469 0.462 0.468 0.466 0.0038
【0083】
バッチ13試料におけるNH(mg%):14.51
材料の活性:7.25SU/g
635nmでの吸光度。
【0084】
実施例4:ウレアーゼ活性を測定するためのプロトコル。
2.0gのBPEI/EGDGE/ウレアーゼ/炭素の組成物を撹拌バーの入った100mL容のメスフラスコに秤量した。10mLの酢酸ナトリウム/塩化ナトリウムバブラー(bubber)溶液をフラスコに加えて、撹拌を始めた。
【0085】
15mLのリン酸尿素溶液をフラスコに加えた。ちょうど5分後、15mLの1.0M HClをフラスコに加え、反応を止めた。撹拌バーを取り出し、フラスコを脱イオン水で一定容量まで満たした。撹拌バーを交換し、内容物を十分に混合した。
【0086】
0.45ミクロン径のシリンジフィルターを、プランジャーを取り外した3ml容のシリンジに取り付けた。シリンジをフラスコからの溶液で満たした。シリンジにプランジャーを付け替え、フィルターを通して液体を押し出し、無菌(clean)容器に回収した。濾過溶液からの20uLアリコートを、溶液中のNH含有量を試験するのに使用した。
【0087】
実施例5:アルブミン溶液中のウレアーゼ漏出の測定。
ウレアーゼ−ストリップ溶液を、pH7.0でウシアルブミンを300mLのリン酸緩衝溶液に添加することにより調製した。アルブミンを最終濃度が150mg%になるように添加した。
【0088】
2.0gのBPEI/EGDGE/ウレアーゼ/炭素の組成物を100mL容のメスフラスコに秤量することにより溶液Aを調製した。それからフラスコをウレアーゼ−ストリップ溶液で一定容量まで満たし、20分間撹拌した。10mLアリコートを取り、新たな100mL容のフラスコに加えた。
【0089】
5mLのリン酸尿素を添加し、ちょうど5分間溶液を撹拌することにより10mLの溶液Aを含有する新たなフラスコ中で溶液Bを調製した。それから、10mLの1M HClを添加し、反応を止めた。撹拌バーを取り出し、フラスコをdHOで一定容量まで満たした。
【0090】
NH含有量を上記のように測定した。
算出:
溶液Bの活性=NH(mg%)/100mL
溶液Aの活性=(溶液Bの活性)×10mL/2.0gの材料
ウレアーゼの漏出=(溶液Aの活性)/100mL
結果:
漏出=0.00148SU/g/mL
【0091】
実施例6:アルブミン溶液中のウレアーゼ活性の測定。
ウレアーゼストリップ溶液(リン酸緩衝液+150mg%のアルブミン)中に1.5gの尿素を溶解することによりリン酸尿素溶液を調製した。
【0092】
2.0gのBPEI/EGDGE/ウレアーゼ/炭素の組成物を100ml容のメスフラスコに秤量した。15mlのリン酸尿素溶液を添加し、撹拌した。ちょうど5分後、15mLのHClを添加し、反応を止めた。撹拌バーを取り出し、フラスコをdHOで一定容量まで満たした。20uLアリコートを、NH(mg%)を試験するのに使用した。
【0093】
表8
スタンダード 1 2 3 平均 標準偏差
10 0.305 0.308 0.301 0.305 0.002115 0.477 0.468 0.472 0.472 0.006420 0.637 0.627 0.633 0.632 0.0070
【0094】
表9
スタンダード 1 2 3 平均 標準偏差
バッチ13 1.548 1.584 1.563 1.565 0.0181
【0095】
結果:
バッチ13試料におけるNH(mg%):14.51
材料の活性:7.25SU/g
【0096】
実施例7:
これらの一連の実施例において、実施例1を言及された量の各構成要素を除いて本質的に繰り返し、さらに使用するウレアーゼはSigma-Aldrichから入手し、約2700SU/g〜5400SU/gの酵素活性を有することを特徴とし得る精製形態であった。共有結合した巨大分子の形成体中に少なくとも1つの酵素と、少なくとも1つのポリマーと、少なくとも1つの架橋剤とを有する組成物の効果を測定するために、この反応で使用する架橋剤の量、及び/又はアミン含有ポリマー、及び/又は含水量を変えた。以下の結果で分かるように、精製形態のウレアーゼは、調製後何日も経った後でも依然として優れた酵素安定性を維持していた。精製ウレアーゼが粗ウレアーゼよりもかなり安定性が低いと考えられ、反応又は修飾、例えば架橋の際に失活しやすい可能性があるので、このことは精製酵素、例えば精製ウレアーゼを使用する場合に特に重要である。これらの実験で、酵素活性は5日超、10日超、15日超、30日超、45日超等の期間にわたり得ることができ、かつ安定であり得ることが分かった。結果を以下で要約する。
【0097】
実験A:
試薬:10gのBPEI、25mlの5N HCl、0.1gのウレアーゼ、5滴のDI HO、1.75mlのEGDGE
結果:
【0098】
表10
調製後の日数 材料の活性(SU/g)
1 3.4
9 3
16 2.2
22 4.7
29 4.7
37 3.4
57 2.7
【0099】
実験B:
試薬:10gのBPEI、25mlの5N HCl、0.3gのウレアーゼ、12mlのDI HO、1.75mlのEGDGE
結果:
【0100】
表11
調製後の日数 材料の活性(SU/g)
1 6.3
7 7.2
14 6.9
22 7.4
42 5.6
【0101】
実験C:
試薬:10gのBPEI、25mlの5N HCl、0.3gのウレアーゼ、7.5mlのDI HO、1.75mlのEGDGE
結果:
【0102】
表12
調製後の日数 材料の活性(SU/g)
1 7.2
5 7.5
8 9.3
28 6.9

【0103】
実験D:
試薬:10gのBPEI、25mlの5N HCl、0.3gのウレアーゼ、4.0mlのDI HO、1.75mlのEGDGE
結果:
【0104】
表13
調製後の日数 材料の活性(SU/g)
1 4.5
2 5.1
22 2.9
【0105】
実験E:
試薬:8gのBPEI、20mlの5N HCl、0.3gのウレアーゼ、6.0mlのDI HO、1.40mlのEGDGE
結果:
【0106】
表14
調製後の日数 材料の活性(SU/g)
1 13.6
2 14
7 12.4
30 25.3
47 13.3
【0107】
実験F:
試薬:8gのBPEI、20mlの5N HCl、0.3gのウレアーゼ、3.0mlのDI HO、1.40mlのEGDGE
結果:
【0108】
表15
調製後の日数 材料の活性(SU/g)
2 13.4
25 19.5
42 12.9
【0109】
実験G:
試薬:6gのBPEI、15mlの5N HCl、0.3gのウレアーゼ、4.0mlのDI HO、1.05mlのEGDGE
結果:
【0110】
表16
調製後の日数 材料の活性(SU/g)
5 19.7
11 16.3
【0111】
出願人らは本開示において全ての言及された参考文献の全内容を具体的に援用している。さらに量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値及び好ましい下限値の列挙のいずれかで与えられる場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限範囲又は好ましい値と任意の下限範囲又は好ましい値との任意の組合せから成る全ての範囲を具体的に開示していると理解されたい。数値範囲が本明細書で言及される場合、特に指定のない限り、この範囲はその端点と、その範囲内の全ての整数及び分数とを含むように意図される。本発明の範囲は範囲を規定する場合に言及される特定の値に限定されるようには意図されない。
【0112】
本発明の他の実施形態は、本明細書及び本明細書で開示の本発明の実施を考慮すれば当業者にとって明らかであろう。本明細書及び本実施例は例示目的にすぎないものと考えられ、本発明の実際の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲及びその均等物によって示されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定化酵素を製造する方法であって、
少なくとも1つのポリマーと、少なくとも1つの酵素との水性混合物を形成すること、
少なくとも1つの架橋剤を該水性混合物に添加し、反応混合物を形成する、添加すること、及び
共有結合した巨大分子の形成体において該酵素を固定化するように該反応混合物を維持すること、
を含む、方法。
【請求項2】
ポリマーがポリアミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマーがポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリ(l−リジン)、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法.
【請求項4】
ポリマーが分岐ポリ(エチレンイミン)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
架橋剤がヘテロ二官能性ポリエチレングリコール、ホモ二官能性ポリエチレングリコール、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
架橋剤がポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジブロモへキサン、グルタルアルデヒド、エピクロロヒドリン、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
架橋剤が1つ又は複数のエポキシ官能基、1つ又は複数のアクリレート官能基、1つ又は複数のハロゲン官能基、1つ又は複数のカルボキシル官能基、1つ又は複数のアルデヒド官能基、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
架橋剤がエチレングリコールジグリシジルエーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
酵素がグルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、クレアチナーゼ、クレアチニナーゼ、サルコシンオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酵素がウレアーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
酵素が粗ウレアーゼ、未処理ウレアーゼ又はその両方である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
酵素が該架橋剤及び該ポリマーと共有結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
初めに該ポリマーを水溶液中に溶解し、次に該酵素を該水溶液に添加した後、該架橋剤を添加して、該反応混合物を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
架橋剤の第1の官能基を該ポリマーと反応させ、該架橋剤の第2の官能基を該酵素と反応させる、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
架橋剤の第1のエポキシ官能基を該ポリマーのアミン基と反応させ、該架橋剤の第2のエポキシ官能基を該酵素のアミン基と反応させる、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
酵素の該アミン基が該酵素におけるリジン由来のものである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
活性炭を該混合物に混ぜることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
活性炭が該形成体の約1重量パーセント〜約30重量パーセントを占める、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
リン酸ジルコニウムを該混合物に混ぜることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
架橋剤を40%未満の架橋密度が得られる量添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
架橋剤を約5%〜約15%の架橋密度が得られる量添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法によって製造した共有結合的に固定化した酵素を含む組成物。
【請求項23】
酵素がウレアーゼである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
共有結合的に固定化した酵素を含み、酵素活性を有する、乾燥した固体組成物であって、共有結合した巨大分子の形成体中に(i)少なくとも1つの酵素と、(ii)少なくとも1つのポリマーと、(iii)少なくとも1つの架橋剤との反応生成物を含む、組成物。
【請求項25】
ポリマーがポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリ(l−リジン)、又はそれらの組合せを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
ポリマーが分岐ポリ(エチレンイミン)である、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
架橋剤がヘテロ二官能性ポリエチレングリコール、ホモ二官能性ポリエチレングリコール、又はそれらの組合せを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
架橋剤がポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジブロモへキサン、グルタルアルデヒド、エピクロロヒドリン、又はそれらの組合せを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
架橋剤が1つ又は複数のエポキシ官能基、1つ又は複数のアクリレート官能基、1つ又は複数のハロゲン官能基、1つ又は複数のカルボキシル官能基、1つ又は複数のアルデヒド官能基、又はそれらの組合せを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
架橋剤がエチレングリコールジグリシジルエーテルである、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
酵素がグルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、クレアチナーゼ、クレアチニナーゼ、サルコシンオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、又はそれらの組合せを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項32】
酵素がウレアーゼである、請求項24に記載の組成物。
【請求項33】
酵素が該架橋剤及び該ポリマーと共有結合する、請求項24に記載の組成物。
【請求項34】
酵素が未固定化酵素と比較して少なくとも約10%の酵素活性を保持する、請求項24に記載の組成物。
【請求項35】
組成物がヒドロゲルである、請求項24に記載の組成物。
【請求項36】
酵素が乾燥状態、周囲温度及び圧力で、少なくとも90日間保存される場合、製造時の酵素活性と比較して90%を超える酵素活性を保持する、請求項24に記載の組成物。
【請求項37】
活性炭をさらに含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項38】
活性炭が該組成物の約1重量%〜約30重量%の量で存在し、該酵素が該組成物の約30重量%〜約55重量%の量で存在し、該ポリマーが該組成物の約25重量%〜約35重量%の量で存在し、該架橋剤が約40%以下の(no more than)架橋密度を提供するような量で存在する、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
リン酸ジルコニウムをさらに含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項40】
共有結合した巨大分子の形成体中に固定化ウレアーゼと、少なくとも1つのポリマーと、少なくとも1つの架橋剤とを含む組成物。
【請求項41】
化合物を該化合物を含有するシステムから取り除く方法であって、該システムを請求項24に記載の固定化酵素で処理すること、及び該化合物を実質的に含まないシステムを回収することを含む、方法。
【請求項42】
化合物が尿素を含み、該酵素がウレアーゼを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
システムが透析システムである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
1つ又は複数のイオン交換材料で該システムを処理することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
吸着カートリッジ中に層として請求項23に記載の組成物を含む、吸着カートリッジ。
【請求項46】
前記組成物に隣接したアルミナの存在を排除する、請求項45に記載の吸着カートリッジ。
【請求項47】
共有結合的に固定化した酵素を含み、酵素活性を有する、乾燥した固体組成物であって、該組成物が共有結合した巨大分子の形成体中に(i)少なくとも1つの酵素と、(ii)少なくとも1つのポリマーと、(iii)少なくとも1つの架橋剤との反応生成物を含み、該ポリマーがポリアミンを含み、該架橋剤がヘテロ二官能性ポリエチレングリコール、ホモ二官能性ポリエチレングリコール、又はそれらの組合せを含み、該酵素がウレアーゼであり、前記組成物が40%未満の架橋密度を有し、該酵素が乾燥状態、周囲温度及び圧力で、少なくとも30日間保存される場合、製造時の酵素活性と比較して80%を超える酵素活性を保持する、組成物。
【請求項48】
前記ウレアーゼが未処理ウレアーゼ、粗ウレアーゼ又はその両方である、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記ウレアーゼが精製ウレアーゼである、請求項47に記載の組成物。
【請求項50】
前記ポリマーがポリアミンを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項51】
組成物が40%未満の架橋密度を有する、請求項24に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−503981(P2012−503981A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529064(P2011−529064)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/055647
【国際公開番号】WO2010/039384
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(507115779)フレセニアス メディカル ケア ホールディングス インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】FRESENIUS MEDICAL CARE HOLDINGS, INC.
【Fターム(参考)】