説明

共架管理システム

【課題】電柱に施設されている共架物件を、より正確に把握・管理することができる共架管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】電柱所有者の電柱1に共架物5を共架することを申請する共架申込手段6と、共架申込を受理した電柱所有者が共架を認可するか否かを審査する共架可否審査手段8と、電柱所有者により共架が許可された際に業種内容別・契約者毎に番号を付与した認証手段9を供給する社給手段10と、前記認証手段9に付与された内容を送信するシステム入力手段13と、このシステム入力手段13で送信された内容をすべて記憶する共架管理手段14と、前記電柱1に前記認証手段9の取り付けを行う施行手段15と、前記認証手段9の内容を読取手段18で読み取るとともに通信手段20により前記共架管理手段14に記憶されたデータとの照合を行う照合手段22とよりなる共架管理システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力会社で所有している電力供給のための電柱に対して、CATV、有線放送、電話回線等の光ケーブルその他の接続線が共架されている場合に利用されている共架管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力会社で所有している電力供給のための電柱に対しては、電力会社以外の業者による共架物件、例えば、CATV、有線放送、電話回線等の光ケーブルその他の接続線が共架されている。これらの共架物件が、安全かつ共架者の業務運営に支障を及ぼさないようにするため、共架状態の確認や管理業務が行われている。この管理業務を支援するシステムとして特許文献1に記載されたものがある。すなわち、特許文献1には、共架物の架設依頼者との契約内容に基づく共架物情報を、調査対象とする地域配電ブロック毎に入力して地域配電ブロックデータベースを作成し、共架物件の事前調査に供され、現場調査完了後に実際の状況との相違点の点検に供され、共架物の架設依頼者との契約内容に基づく共架物情報が契約内容とは異なった内容の情報の集計に供され、現場調査にて発見した共架物の共架ケーブルを通信ケーブル外形測定システムにより判読した情報が入力され、全ての調査結果が記載され成果物を作成するための審査データ作成に供される共架設備調査票の作成とを行う構成が記載されている。したがって、特許文献1に記載された発明は、電力会社から依頼された第三者機関が共架物件調査において、より高い信頼性を得るために確立された共架物件支援システムである。
【0003】
【特許文献1】特開2002−132873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、調査時点においては明確な共架物件の判別を行うことができるが、現地での共架物件に明示していないため、日々変わっていく状況に対応させることができない。
【0005】
とくに、都市部においては、1本の電柱に施設される共架物件が輻輳して施設されるため、共架物件を特定し、かつ、その確認が困難な状況となっており、様々な業務処理に弊害を与えている。例えば、共架申請に伴う竣工調査の際、他社共架物件との離隔の確保を依頼するが、現場においては、他社共架物件の特定が困難である。また、支障移転等で電柱を移設する際、共架物件管理者へ移設依頼を提出するが、共架物件が多く、依頼漏れが発生し、電柱移設依頼者、共架物件管理者ともに、迷惑をかけるケースが頻発している。
【0006】
本発明は、電柱に施設されている共架物件を、より正確に把握・管理することができる共架管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電柱所有者の電柱に共架することを申請する共架申込手段と、共架申込を受理した電柱所有者が共架を認可するか否かを審査する共架可否審査手段と、電柱所有者により共架が許可された際に業種内容別・契約者毎に番号を付与した認証手段を供給する社給手段と、前記認証手段に付与された内容を送信するシステム入力手段と、このシステム入力手段で送信された内容をすべて記憶する共架管理手段と、前記電柱に前記認証手段の取り付けを行う施行手段と、前記認証手段の内容を読取手段で読み取るとともに通信手段により前記共架管理手段に記憶されたデータとの照合を行う照合手段とよりなる共架管理システムである。そして、社給手段により供給される認証手段は、ICタグ組み込みで業種内容別・契約者毎に番号を付与したスパイラルケーブル(ケーブル保護用)とQRコード(登録商標)技術を活用してシール化した二次元マトリックスシールとである。
【発明の効果】
【0008】
したがって、電柱に施設されている共架物件を、より正確に把握・管理することができ、これにより、正規な手続を行っている共架者と、無断共架者との区別がより明確となり、公平性を保つことができ、なおかつ、電柱所有者、すなわち、電力会社の利益を増加させることもでき、さらに、配電設備を維持管理していく上で、共架物件がより明確になることで、光ファイバー、銀行ATMオンライン等の離隔の確保を確実に行うことができ、これにより、その取扱に一層注意することができ、安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の態様を図面に基づいて説明する。まず、図1に示すように、電力供給のために敷設した電柱1は、一般的には、道路2の片隅等に位置して設置されているものであり、しかも、これらの電柱1間に張り渡される電力用の配線3は、需要家個々の引込線を除いて需要家の敷地4の上空を通さないように配設されている。
【0010】
このように電力を各需要家に供給するために配設された電柱1に対しては、これらの電柱1を利用して各種の配線を張り巡らせることが行われており、これらの各種の配線は、共架物件としての共架物5とされている。このような共架物5としては、電力会社自体によるファイバー通信網、CATV、有線放送網、NTT等の電話回線網等がある。このような共架物5は、電力会社の管理下におかれていることが望ましいが、無断で共架する場合もあり、しかも、既設契約物件の他に追加契約物件を新たに配設する場合もあり、共架物5の多様化とともに既設のものに追加して新たなものを敷設する時間的な要件も加わり、個々の電柱1に対する管理がきわめて煩雑なものである。また、このような煩雑さを避けるために、例えば、既設契約物件は黒ケーブル、追加契約物件は赤ケーブル、無断契約物件は青ケーブルというように、ケーブルの色分けを行うことも行われている。
【0011】
つぎに、共架物5の共架管理を行うためのシステム構成及び契約物件の確認作業の状態並びに電柱1への取り付け状態を図2〜図4に基づいて説明する。まず、電柱所有者(当社)の電柱1に配電設備を共架することを需要家(お客さま)が申請する共架申込手段6が共架申込書7を作成することにより構成されている。そして、共架申込を受理した電柱所有者(当社)が共架を認可するか否かを審査する共架可否審査手段8が電柱所有者(当社)の社内に設けられている。この共架可否審査手段8における社内の許可により、共架申込書7の内容が書き込まれた認証手段9を供給する社給手段10が立ち上がる。この社給手段10により供給される認証手段9は、ICタグ組み込みで業種内容別・契約者毎に番号を付与したスパイラルケーブル(ケーブル保護用)11とQRコード(登録商標)技術を活用してシール化した二次元マトリックスシール12とである。前述のICタグは正式共架契約物件か未契約物件かを判別できるようにしたものである。ついで、前記社給手段10によるスパイラルケーブル11と二次元マトリックスシール12の発行とは別ルートで、前記共架申込書7に基づいて前記スパイラルケーブル11に付与された内容を送信するシステム入力手段13が設けられており、このシステム入力手段13で送信された内容をすべて記憶する共架管理手段14が設けられている。
【0012】
ついで、前記社給手段10で供給されたスパイラルケーブル11と二次元マトリックスシール12とに基づいて前記電柱1に前記共架物5と前記スパイラルケーブル11と前記二次元マトリックスシール12との取り付けを行う施行手段15が構成されている。具体的には、電柱1に取付金具16が取り付けられてこれらの取付金具16により共架物5の配線17とこれらの配線17を接続する前記スパイラルケーブル11とが保持され、かつ、前記電柱1の表面には前記二次元マトリックスシール12が貼り付けられるものである。例えば、図4に示すように、送電用の送電配線24のために敷設された電柱1には、通信用光ファイバーのための共架物5、有線放送用の共架物5、CATV用の共架物5等が架設されている。
【0013】
このようにして前記施行手段15により工事が終了すると、前記二次元マトリックスシール12により共架物5の内容が読取手段18、具体的には、携帯電話19のカメラにより読み取られ、この読取内容は通信手段20としてのインターネット回線21を利用して前記共架管理手段14に送信され、相互認証が可能となり、照合手段22が構成されている。
【0014】
このように共架物5とスパイラルケーブル11と二次元マトリックスシール12との取り付けが行われた状態においては、現場検査時に、図3に示すように、電力会社の職員23が電柱1に貼付された二次元マトリックスシール12を携帯電話19で読み取ることにより、電力会社の共架管理手段14にアクセスし、現地の必要な情報を把握し、検査結果による手直し等の連絡や、申請にない無断共架物件の発見を早期に行うことができ、公共性を保つことが可能になる。すなわち、正規な手続を行っている共架者と、無断共架者との区別がより明確となり、より公平性を保つことができ、なおかつ、電力会社自体の利益にもつながる。すなわち、本来、共架物件(共架物5)は、共架物件管理者と電力会社との間で正式に契約を交わして施設されているが、中には無断共架物件も多数存在しており、安全な施設管理・運営および本来入るべき電力会社への共架料金収入も明確になり、電力会社の利益につながる。また、共架物5を維持管理していく上で、光ファイバーや銀行ATMオンライン等のリスクを避けなければならない共架物5の存在が明確になり、その取扱に注意することができるため、安全性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の態様を示すもので、電柱の配置を示す平面図である。
【図2】共架管理システムの全体を示すブロック図である。
【図3】QCカードの利用状態を示す側面図である。
【図4】共架物を共架した状態を示す電柱の側面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 電柱
5 共架物
6 共架申込手段
8 共架可否審査手段
9 認証手段
10 社給手段
11 スパイラルケーブル
12 二次元マトリックスシール
13 システム入力手段
14 共架管理手段
15 施行手段
16 読取手段
20 通信手段
22 照合手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱所有者の電柱に共架申請する共架申込手段と、共架申込を受理した電柱所有者が共架を認可するか否かを審査する共架可否審査手段と、電柱所有者により共架が許可された際に業種内容別・契約者毎に番号を付与した認証手段を供給する社給手段と、前記認証手段に付与された内容を送信するシステム入力手段と、このシステム入力手段で送信された内容をすべて記憶する共架管理手段と、前記電柱に前記認証手段の取り付けを行う施行手段と、前記認証手段の内容を読取手段で読み取るとともに通信手段により前記共架管理手段に記憶されたデータとの照合を行う照合手段とよりなることを特徴とする共架管理システム。
【請求項2】
認証手段はICタグを組み込んだ共架物であることを特徴とする請求項1記載の共架管理システム。
【請求項3】
認証手段はQRコード(登録商標)技術を活用した貼付物であることを特徴とする請求項1記載の共架管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−52615(P2008−52615A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230127(P2006−230127)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】