説明

共焦点液体レベル測定

本願は、小容量のウェル内の液体レベルを測定するための装置および方法に関し、この方法は:参照点からこの小容量のウェルの頂表面までの第一の距離を、共焦点で測定する工程;参照点から液体の頂表面までの第二の距離を、共焦点で測定する工程;およびこの第一の距離とこの第二の距離との間の差を決定する工程を包含する。さらなる実施形態において、この方法は、小容量のウェル内の、液体の体積を決定する工程をさらに包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本願は、小容量の範囲およびさらに小容量の範囲の量を含有するウェル内の、小容量についての液体レベルを測定するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(導入)
生物学の分野において、小容量のウェルが、液体の反応、貯蔵、および取り扱いのために使用され得る。生物学的アッセイの小型化および平行化に対する努力において、1つの反応あたりの体積が小さいことが、サンプル利用を最小にし、かつサンプルの取り扱いを容易にするので、望ましい。反応は、各反応ウェルについて、ナノリットルからマイクロリットルの規模の範囲の、小さい液体体積で実施され得る。このような小容量のウェルが、例えば、マルチウェルトレイまたはチューブラックにおいてのように、一緒にグループ化される場合、各小容量のウェル内の液体の体積を決定することが、望ましくあり得る。小容量のウェルは、液体レベルを測定するための現在利用可能な方法および器具に対して、小さすぎる。小容量のウェル内の液体レベルを測定するための、非接触型の自動的な方法を提供することが、望ましくあり得る。測定された液体の体積を使用する、密度の計算を介して、液体の重量を決定する方法を提供することもまた、望ましくあり得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(要旨)
種々の実施形態において、本教示は、小容量のウェル内の液体レベルを検出するための方法を提供し得る。この方法は、参照点から小容量のウェルの頂表面までの第一の距離を共焦点で測定する工程、参照点から液体の頂表面までの第二の距離を共焦点で測定する工程、および第一の距離と第二の距離との間の差を決定する工程を包含する。
【0004】
種々の実施形態において、本教示は、小容量のウェル内の液体レベルを検出するためのシステムを提供し得る。このシステムは、参照点から小容量のウェルの頂表面までの第一の距離と、参照点から液体の頂表面までの第二の距離とを測定するように適合された共焦点スキャナ、この共焦点スキャナまたは小容量のウェルを実質的に垂直な方向に位置決めするように適合された少なくとも1つのリニアアクチュエータ、ならびに第一の距離の測定値および第二の距離の測定値からの情報を収集し、そして第一の距離の測定値と第二の距離の測定値との間の差を計算するように適合されたプロセッサを備える。
【0005】
種々の実施形態において、本教示は、小容量のウェル内の液体レベルを検出するための方法を提供し得る。この方法は、参照点から小容量のウェルの頂表面までの第一の距離を共焦点で測定する工程、参照点から液体の頂表面までの第二の距離を共焦点で測定する工程、および第一の距離と第二の距離との間の差を決定する工程を包含し、この小容量のウェル内の液体レベルは、レベルセンサによって測定することが不可能である。
【0006】
種々の実施形態において、本教示は、小容量のウェル内の液体レベルを検出するためのシステムを提供し得る。このシステムは、参照点から小容量のウェルの頂表面までの第一の距離を測定するため、および参照点から液体の頂表面までの第二の距離を測定するための手段、共焦点スキャナを、実質的に垂直な方向で位置決めするための手段、ならびに第一の距離の測定値と第二の距離の測定値との間の差を計算するための手段を備える。
【0007】
種々の実施形態において、本教示は、小容量のウェル内の液体レベルを検出するためのシステムを提供し得る。このシステムは、参照点から小容量のウェルの頂表面までの第一の距離を測定するため、および参照点から液体の頂表面までの第二の距離を測定するための手段、小容量のチューブを実質的に垂直な方向で位置決めするための手段、ならびに第一の距離の測定値と第二の距離の測定値との間の差を計算するための手段を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(種々の実施形態の説明)
本願において、単数形の使用は、他に具体的に言及されない限り、複数を包含する。本願において、「または」の使用は、他に言及されない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含んでいる」ならびに他の形態(例えば、「含む」および「含まれる」)は、限定的ではない。また、「要素」または「構成要素」のような用語は、他に具体的に言及されない限り、1つのユニットを構成する要素および構成要素と、1つより多くのサブユニットを構成する要素および構成要素との両方を包含する。可能な場合にはいつでも、同じ参照番号が、全ての図面にわたって、同じかまたは類似の部品をいうために使用される。
【0009】
本明細書中で使用される節の見出しは、組織化の目的のみであり、記載される主題を限定すると解釈されるべきではない。本願に引用される全ての文献(特許、特許出願、記事、書籍、および論文が挙げられるが、これらに限定されない)は、あらゆる目的で、その全体が明白に参考として援用される。
【0010】
用語「小容量」とは、本明細書中で使用される場合、およそ数マイクロリットル(例えば、1ミリリットル未満)またはおよそ数ナノリットル(例えば、1マイクロリットル未満)の液体体積を収容するための受器をいう。本明細書中で使用される場合、用語「ウェル」とは、ウェル、管、毛管、バイアル、キュベットなどが挙げられる、あらゆる容器をいう。この容器は、正方形、矩形、円形、円筒形などが挙げられる、任意の形状を有し得る。小容量のウェルは、列(例えば、管のストリップ)、アレイ(例えば、マルチウェルトレイ)、またはアセンブリ(例えば、回転ラック)として、一緒にグループ化され得る。小容量のウェルは、接触による液体体積測定方法のためには、容量が小さすぎる。一緒にグループ化される小容量のウェルの数は、1個、2個、4個、8個、16個、24個、48個、96個、384個、1536個、6144個などの範囲であり得る。
【0011】
用語「共焦点」およびその活用形は、本明細書中で使用される場合、走査型共焦点法に基づく光学表面プロファイラーをいう。この共焦点方法は、ピンホールまたはスリットを使用して、光の集束面から発しない光を妨害し、妨害されない光は、1つまたは一連のレンズを通って伝播する。集束面の上または下から発する光は、ピンホールまたはスリットには集束せず、従って、検出されない。光源が、垂直軸にわたって走査され、検出経路長に沿った表面の存在を検出する。光源はまた、水平軸にわたって走査され、信号を平均することにより改善された信号測定を達成し得るか、または走査される距離にわたって表面トポグラフィーを実施し得る。「共焦点」とは、本明細書中で使用される場合、共焦点顕微鏡検査法をいわない。
【0012】
光源は、種々の光源のいずれであってもよく、白色光、ハロゲンランプ、レーザー、固体レーザー、レーザーダイオード、マイクロ波レーザー、ダイオード固体レーザー(DSSL)、面発光レーザー(VCSEL)、LED、蛍光体LED、有機LED(OLED)、薄膜電子発光デバイス(TFELD)、リン光OLED(PHOLED)、無機−有機LED、量子ドット技術を使用するLED、LEDアレイ、フィラメントランプ、アークランプ、ガスランプ、および蛍光管が挙げられる。光源は、高い放射照度を有しても(例えば、レーザー)、低い放射照度を有してもよい(例えば、LED)。上で言及された様々な型のLEDは、中程度から高度の放射照度を有し得る。
【0013】
検出器は、任意の種々の検出器であり得、電荷結合素子(CCD)、背面薄型冷却(back−side thin cooled)CCD、前面照射(front−side illuminated)CCD、CCDアレイ、フォトダイオード、フォトダイオードアレイ、光増倍管(PMT)、PMTアレイ、相補型MOS(CMOS)センサ、CMOSアレイ、電荷注入デバイス(CID)、CIDアレイなどが挙げられる。検出器は、情報を、格納、補正、および/またはデータの操作のために、データ収集デバイス(例えば、コンピュータ、または他の信号処理システム)に中継するように適合され得る。
【0014】
種々の実施形態において、本教示は、2つ以上の表面レベルを1回の測定で同時に測定するための方法を提供する(例えば、液体レベルおよび少なくとも1つの参照点)。種々の実施形態において、2つ以上の表面レベルが、2回の測定で測定され得る(例えば、プレート表面および少なくとも1つの参照点、ならびに液体レベルおよび少なくとも1つの参照点)。種々の実施形態において、この参照点は、ウェルの底、カバーの頂表面、および/またはカバーの底表面であり得る。種々の実施形態において、この参照点は、測定可能な表面に対する共焦点スキャナの位置(例えば、小容量ウェルを備えるプレートの頂部、ウェルの底部、カバーの頂表面、カバーの底表面、および/または液体の頂表面)であり得る。
【0015】
種々の実施形態において、小容量ウェルは、液体がウェルの底部に位置するように配向され得る。この配向は、例えば、重力が液体をウェルの底部に下向きに押し付ける場合には開口部を上にし得るか、または例えば、遠心力もしくは圧力が液体をウェルの底部に右向きに押し付ける場合には開口部を左にし得る。種々の実施形態において、小容量のウェルは、液体がカバー上に位置するように覆われ得、そして配向され得る。この配向は、例えば、重力が液体をカバーに下向きに押し付ける場合には開口部を下にし得るか、または遠心力もしくは圧力が液体をカバーに左向きに押し付ける場合には開口部を左にし得る。
【0016】
種々の実施形態において、小容量のウェル内の液体は、任意の型の液体であり得、不透明な液体、有色の液体、半透明な液体、および/または透明(無色)な液体が挙げられる。種々の実施形態において、小容量のウェルは、疎水性であっても親水性であってもよく、液体との異なる相互作用を提供する。このような相互作用は、この液体と、小容量のウェルの壁との界面に、液面を形成し得る。
【0017】
種々の実施形態において、図1に図示されるように、小容量のウェル内の液体レベルを検出するためのシステムである。小容量のウェル38は、頂表面35およびウェル底部37を有する。小容量のウェル38がトレイまたはプレートの一部分である場合、このウェルは、プレート底部33を含む。共焦点スキャナ32、34は、ステージ30に対して、32における第一の位置、および34における第二の位置を有し得る。この共焦点スキャナは、小容量のウェル38と液体39との上方に、均一な距離を維持し得る。均一な距離を維持することによって、第一の位置32における共焦点スキャナと、小容量のウェル38の頂表面35との間の距離(値c1によって表される)、および第二の位置34における共焦点スキャナと液体液面レベル31との間の距離(値c2によって表される)は、互いに実質的に等しい。共焦点スキャナは、リニアアクチュエータ(図1には示されない)によって、第一の位置32と第二の位置34との間を並進し得る。ステージ30と第一の位置32における共焦点スキャナとの間の距離(値d1によって表される)と、ステージ30と第二の位置34における共焦点スキャナとの間の距離(値d2によって表される)との間の差は、値Bを与える。すなわち、B=(d2−d1)である。値Bは、実質的にAに等しい。Aは、小容量のウェル38の頂表面35と、液体39の液面レベル31との間の距離を表す値である。ウェルの深さWは既知であるので、液体の高さHは、H=W−Aとして計算され得る。Hについての値を計算することによって、液体の体積が、小容量のウェルについてのHの関数として、理論的な体積の方程式によって決定され得る。図1に図示される例は、V(H)=0.0208H+0.4059H+2.7428H−0.9741という理論的な体積の方程式を有する。図2は、ミリメートルの高さの関数として、小容量のウェルの理論的な体積のマイクロリットルでのグラフを図示する。
【0018】
種々の実施形態において、d1およびd2は、実質的に等しくあり得、そしてAは、ステージおよび共焦点スキャナを並進させることによるc1とc2との差によって、計算され得る。種々の実施形態において、d1およびd2は、実質的に等しくあり得、そしてAは、小容量のウェルを並進させることによるc1とc2との差によって、計算され得る。各実施形態において、共焦点スキャナは、小容量のウェルの表面および液体の液面レベルに、集束面を見出し得る。
【0019】
種々の実施形態において、小容量のウェル内の液体レベルを決定するための方法は、参照点(例えば、ステージ)から小容量のウェルの頂表面までの第一の距離(例えば、d1)を共焦点で測定する工程、参照点(例えば、ステージ)から液体の頂表面までの第二の距離(例えば、d2)を共焦点で測定する工程(例えば、液体の液面レベルを同定することによる)、および第一の距離と第二の距離との差を決定する工程を包含し得る。この方法は、例えば、ウェルの底部に対する液体の頂表面の高さを決定し、そして小容量のウェルの容量についての式(例えば、理論的な体積の式)を用いて体積を計算することによって、小容量のウェル内の液体の体積を決定することを可能にし得る。
【0020】
種々の実施形態において、小容量のウェル内の液体レベルを決定するための方法は、共焦点スキャナを、小容量のウェルの頂表面に集束するように位置決めする工程、ならびに集束面内で走査するために、共焦点スキャナ、ステージ、および/または小容量のウェルを、液体の頂表面および小容量のウェルの頂表面に集束するように位置決めする工程を包含し得る。この方法は、複数のウェルについて繰り返され得る。
【0021】
種々の実施形態において、図3に図示されるように、共焦点スキャナ100は、複数の小容量のウェル38を有するトレイ36の表面にわたって走査するための、種々の光学構成要素を備え得る。これらの光学構成要素としては、光源10、平行化レンズ11、二色性ミラー12、フィルタ13、走査機構14a、14b、レンズ15、16、18、対物レンズ17、ピンホールPH、および検出器19が挙げられる。このような共焦点スキャナの例は、Keyence,Inc.(Japan)によって製造される、LT−9000シリーズである。図4は、LT−9000共焦点スキャナ100の物理的なレイアウトを図示する。本教示は、LT−9000を垂直方向1000および横方向2000に並進させて、トレイ36における各小容量のウェルを測定することを提供する。図5は、小容量のウェル内の液体レベルを検出するためのシステムの物理的レイアウトを図示し、共焦点スキャナ100、リニアアクチュエータ40、および複数の小容量のウェルを有するトレイ36を示す。
【0022】
種々の実施形態において、小容量のウェル内の液体は、各ウェルについて取り出される液体および/または蒸発によって、激減し得る。このことは、液体レベルの変化を引き起こし得る。液体が取り出しおよび/または蒸発によって激減する用途の例は、小容量のウェルに浸漬されたピンでマイクロアレイをスポッティングすることである。スポッティングの成功は、ピンが浸漬される各小容量のウェル内の十分な液体に依存する。種々の実施形態において、液体レベルは、スポッティングプロセスの間中モニタリングされ得る。図6は、小容量のウェル内の液体レベルを決定するためのシステムを図示し、このシステムは、共焦点スキャナ100、および複数のピンを備えるピンスポッティングヘッド42を備える。
【0023】
種々の実施形態において、図7〜図8に図示されるように、液体レベルの測定をモニタリングするために、ソフトウェアが設計され得る。図7は、複数のウェルのトレイ内の全ての小容量のウェルを走査することの例を示す。図8は、複数のウェルのトレイ内の選択された小容量のウェルを走査することの例を示す。各ソフトウェアは、ウェルが測定されるべきである場合には「選択された(selected)」と指定し、ウェルが測定されている場合には「測定されている(measuring)」と指定し、そしてウェルがすでに測定された場合には「測定された(measured)」と指定する。下部の、グラフィカルユーザインターフェースのチャートは、測定された各小容量のウェルについての位置に関して、高さを示す。
【実施例】
【0024】
図9A〜図9Bに図示されるように、空の小容量のウェルを、これらのウェルの頂表面および内側の底部を走査することによって、測定した。図9A〜図9Bは、上記システムによって測定された場合の、空の384ウェルプレートにおける、小容量のウェルの平坦さの、それぞれ二次元グラフおよび三次元グラフを図示する。これらの図が示すように、ウェルの容量は、平坦さに依存して、45マイクロリットルから48マイクロリットルまで変動した。
【0025】
図10A〜図10Bに図示されるように、比較的小さい体積で満たされた、少容量のウェルを測定した。図10A〜図10Bは、上記システムによって測定された場合の、小さい液体体積を有する、機械でピペッティングした384ウェルプレートの液体の体積の、それぞれ二次元グラフおよび三次元グラフを図示する。これらの体積の平均は、4.0マイクロリットルと8.0マイクロリットルとの間であったが、2.0マイクロリットルから18.0マイクロリットルまで変動した。
【0026】
図11に図示されるように、比較的中程度の体積で満たされた小容量のウェルを測定した。図11は、上記システムによって測定された場合の、384ウェルプレートにおける、機械でピペッティングされた小容量のウェルの中程度の液体体積の三次元グラフを図示する。これらの体積の平均は、10.0マイクロリットルと14.0マイクロリットルとの間であったが、4.0マイクロリットルから28.0マイクロリットルまで変動した。
【0027】
図12に図示されるように、比較的大きい体積で満たされた小容量のウェルを測定した。図12は、上記システムによって測定された場合の、384ウェルプレートにおける、機械でピペッティングされた小容量のウェルの大きい液体の体積の三次元グラフを図示する。これらの体積の平均は、14.0マイクロリットルから20.0マイクロリットルであったが、2.0マイクロリットルから26.0マイクロリットルまで変動した。
【0028】
種々の実施形態において、本教示は、1536個のウェル、6144個のウェル、24,576個のウェル、98,304個のウェルなどを含むプレートを形成する、小容量のウェル内の液体の体積を測定するために使用され得る。このようなシステムにおいて、各ウェル内への液体の首尾よい充填は、本教示によって評価され得る。
【0029】
種々の実施形態において、図13および図14は、1つのみの参照点を有する小容量のウェル内の液体レベルを、液体の高さを直接測定すること、または上記のように、ウェル内の液体の上方の空隙空間を測定することによって決定する方法を図示する。ウェルの寸法に相関する高さの情報は、ウェル内の液体体積を提供する。図13と図14との両方において、スキャナ32は、カバー100を通して光を投影し、小容量のウェルを有するプレート138に入れられた液体39に応答信号電波を発生させ得る。このカバーは、半透明なフィルムもしくはコーティングであり得るか、または光の出入りを可能にするための開口部分もしくは窓を有するカバーであり得る。
【0030】
図13は、液体39がカバー100によって小容量のウェル内に保持されるようにプレート138が反転されている、本教示の実施形態を図示する。プレート138は、150ナノリットルから450ナノリットルの体積のスポッターまたはローダーで満たされ得る。プレート138は、その反転した配向で遠心され、液体39がカバー100上に沈降して、液体39の上方の空気ギャップ110を押すことを確実にし得る。スキャナ32は、カバー100を通して光を提供し、液体39の体積を測定する。図14は、液体39が小容量のウェルの底部に保持されるように、プレート138が上方に面している、本教示の実施形態を図示する。スキャナ32は、カバー100および空気ギャップ110を通して光を提供し、液体39の体積を測定する。種々の実施形態において、このウェルを覆うカバーは、存在しない。スキャナ32は、液体の表面レベルに、そしてこの液体を通してこのウェルの底部に、直接共焦点で光を提供し得る。
【0031】
種々の実施形態において、スキャナ32は、レーザー共焦点変位計であり得る。このような計器は、表面の反射を検出する。このような計器は、表面の蛍光を必要としない。このような計器の例は、LT9030M(Keyence,Japan)である。この計器は、2ミリメートルの最高検出範囲を有し、走査幅の範囲は、540マイクロメートルである。この計器は、2ミリメートルの高さの範囲内で、4つの表面を検出し得る。図14が図示するように、スキャナ32からの光は、カバー100の頂表面120および底表面130から反射し得、そして液体39の頂表面140から反射し得る。この計器は、カバー100の底表面120の反射と、液体39の頂表面140の反射との間の、空隙空間110の高さを計算し得る。このようなシステムは、1つの測定で作動され、その高さの範囲に沿って表面を同時に測定し得、外部の点または面を参照する必要性を排除する。種々の実施形態において、この計器が静止し、そしてプレートが、x−y面内でステージ上を移動して、小容量のウェルを走査し得るか、またはプレートが静止し、そして計器がステージ上を移動し得る。
【0032】
液体の体積は、高さの情報を寸法に相関付けて、ウェル内の液体の体積を提供することによって、決定され得る。図15に図示されるように、理論体積(ナノリットル)対高さ(ミクロン)のプロットは、液体の高さと測定された共焦点高さとの比較を提供する。測定された共焦点高さは、変動する体積との相関を示す。種々の実施形態において、高さの測定は、特定された幅を走査する間の表面高さの平均値であり得る。種々の実施形態において、高さの測定は、液体の液面を提供する、表面高さのプロフィールであり得る。
【0033】
種々の実施形態において、スキャナ32は、レーザー共焦点変位計であり得、この計器は、図13に図示されるように、反転したプレートにおいて液体の高さを測定し得る。上記のように、液体39は、カバー100の上に載る。この計器からの光は、この液体の底表面によって反射され得、そしてこの光がこの液体を通過すると、この液体の頂表面によって反射され得る。
【0034】
種々の実施形態において、スキャナおよび/またはプレートの動きは、ソフトウェアによって制御され得る。種々の実施形態において、このソフトウェアは、1回に1つのウェルのモード、または走査モードで、読み取るようにプログラムされ得る。種々の実施形態において、走査モードは、プレートの一部またはプレート全体を走査し得る。種々の実施形態において、このソフトウェアは、特定されたウェルの中間を測定するように、プログラムされ得る。種々の実施形態において、このソフトウェアは、測定の信頼性を決定し得、そして信頼性のある測定を得るために、読み取り位置を修正し得る。図16は、プレートのウェル内の、垂直軸上での液体体積の測定を図示し、これらのウェルの格子が、他方の軸である。図16に示されるように、各ウェルからの面内での測定は、プレートの個々のウェルに適切に流体が充填されているか否かを決定するために、プロットされ得る。
【0035】
種々の実施形態において、本教示は、液体の頂表面を測定することを提供するが、液体の型および小容量のウェルの疎水性/親水性特性、またはプレートの配向(逆向きであるか上向きであるか)に依存して、液面が発生し得、この液体を、スキャナの方へ、またはスキャナから離れる方へ、湾曲させる。このような実施形態において、スキャナは、液面を決定するため、および小容量のウェルの壁に対する液体の縁部の効果を保証するために(これらを高さおよび/または体積の計算において考慮することによる)、使用され得る。
【0036】
本発明の他の種々の実施形態は、本明細書を考慮すること、および本明細書中に開示された本発明を実施することによって、当業者に明らかになる。本明細書および実施例は、例示のみとみなされ、本発明の真の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって示されることが、意図される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本教示に従う液体レベル測定のための方法の概略図を図示する。
【図2】図2は、本教示に従って、液体レベルから液体の体積を計算するためのグラフを図示する。
【図3】図3は、本教示に従う共焦点スキャナの概略図を図示する。
【図4】図4は、本教示に従う液体レベル測定のための器具の、断面斜視図を図示する。
【図5】図5は、本教示に従う、マルチウェルトレイにおける小容量のウェルの液体レベル測定のためのシステムの斜視図を図示する。
【図6】図6は、本教示に従う液体レベル測定およびマイクロアレイスポッティングのためのヘッドの斜視図を図示する。
【図7】図7は、本教示に従って、マルチウェルトレイにおける全ての小容量のウェルの走査から、液体レベルの測定値を収集する、ソフトウェアについてのグラフィカルユーザインターフェースを図示する。
【図8】図8は、本教示に従って、マルチウェルトレイにおける選択された小容量のウェルの走査から、液体レベルの測定値を収集する、ソフトウェアについてのグラフィカルユーザインターフェースを図示する。
【図9A】図9Aは、本教示に従う、空の384ウェルプレートにおける小容量のウェルの平坦さの二次元グラフを図示する。
【図9B】図9Bは、本教示に従う、空の384ウェルプレートにおける小容量のウェルの平坦さの三次元グラフを図示する。
【図10A】図10Aは、本教示に従う、液体の体積が小さい、機械でピペッティングされた384ウェルプレートの液体体積の二次元グラフを図示する。
【図10B】図10Bは、本教示に従う、液体の体積が小さい、機械でピペッティングされた384ウェルプレートの液体体積の三次元グラフを図示する。
【図11】図11は、本教示に従う、384ウェルプレートにおける、機械でピペッティングされた小容量のウェルの中程度の液体体積の三次元グラフを図示する。
【図12】図12は、本教示に従う、384ウェルプレートにおける、機械でピペッティングされた小容量のウェルの大きい液体体積の三次元グラフを図示する。
【図13】図13は、本教示に従う、液体レベル測定のための方法の概略図を図示する。
【図14】図14は、本教示に従う、液体レベル測定のための方法の概略図を図示する。
【図15】図15は、本教示に従って、液体レベルから液体体積を計算するためのグラフを図示する。
【図16】図16は、本教示に従う、6144ウェルプレートにおける、自動的にピペッティングされた小容量のウェルの液体体積の三次元グラフを図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小容量のウェル内の液体レベルを検出するための方法であって、該方法は、以下:
参照点から該小容量のウェルの頂表面までの第一の距離を共焦点で測定する工程;
該参照点から該液体の頂表面までの第二の距離を共焦点で測定する工程;および
該第一の距離と該第二の距離との間の差を決定する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記小容量のウェル内の液体の体積を決定する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体の体積を決定する工程が、該液体の頂表面の、前記ウェルの底部に対する高さを決定する工程を包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体の体積を決定する工程が、前記小容量のウェルの、容量についての式を提供する工程をさらに包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記小容量のウェルの頂表面に集束するようにスキャナを位置決めする工程、および前記液体の頂表面に集束するように該スキャナを位置決めする工程、または該スキャナの焦点を合わせるように該小容量のウェルの頂表面を位置決めする工程、および該スキャナの焦点を合わせるように該液体の頂表面を位置決めする工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記位置決めする工程が、複数の小容量のウェルの上方で前記スキャナを連続的に位置決めする工程を包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記位置決めする工程が、前記スキャナの下方で複数の小容量のウェルを連続的に位置決めする工程を包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
小容量のウェル内の液体レベルを検出するための方法であって、該方法は、以下:
第一の点を参照点として共焦点で測定する工程;
第二の点を該液体の頂表面で共焦点で測定する工程;および
該第一の点と該第二の点との間の距離を決定する工程、
を包含する、方法。
【請求項9】
前記参照点が、前記ウェルの底部、前記ウェルのカバーの底表面、および該ウェルのカバーの頂表面のうちの少なくとも1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の点および前記第二の点が、共焦点スキャナを移動させずに、実質的に同時に測定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記小容量のウェル内の液体の体積を決定する工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体の体積を決定する工程が、液体の高さを決定する工程をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記液体の体積を決定する工程が、該体積を、小容量のウェルの寸法と相関付ける工程をさらに包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複数の小容量のウェルを有するプレートを走査する工程をさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
一度に1つの小容量のウェルを測定する工程をさらに包含する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
共焦点スキャナを前記複数のウェルの上方で並進させる工程、または該複数のウェルを有するプレートを該スキャナの下方で並進させる工程をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記液体が、前記ウェルの底部に位置している、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記液体が、前記ウェルの頂部に位置しており、カバーによって保持されている、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記第二の点を共焦点で測定する工程が、前記液体の液面を決定する工程を包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
小容量のウェル内の液体レベルを検出するためのシステムであって、該システムは、以下:
該小容量のウェル内の液体の高さを測定するための手段;および
該測定するための手段を、該小容量のウェルと光学的に整列させて位置決めするための手段、
を備える、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−504561(P2008−504561A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519461(P2007−519461)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/023435
【国際公開番号】WO2006/004987
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】