説明

共通のToll様受容体を通じて媒介される細胞活性の選択的活性化

共通のTLRによって媒介される細胞活性を選択的に調節する化合物を同定する方法が提供される。一般に、この方法はTLRによって媒介される第1の細胞活性の調節を検出するアッセイを提供するステップと、TLRによって媒介される第2の細胞活性の調節を検出するアッセイを提供するステップと、試験化合物を使用して各アッセイを実施するステップと、試験化合物が第2のTLR−媒介細胞活性を調節するのとは異なる程度に第1の細胞活性を調節する場合、共通のTLRによって媒介される複数の活性の少なくとも1つの細胞活性を選択的に調節する化合物として、試験化合物を同定するステップとを含む。このような方法によって同定される化合物、このような化合物を含む医薬品組成物、およびこのような医薬品組成物を対象に投与することで病状を処置する方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
免疫反応調整剤(「IRM」)としては、例えば抗ウィルスおよび抗腫瘍活性などをはじめとする、強力な免疫調節活性を有する化合物が挙げられる。特定のIRMはサイトカインの生成および分泌を調節する。例えば特定のIRM化合物は、例えばタイプIインターフェロン、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、および/またはMCP−1などのサイトカインの生成および分泌を誘導する。別の例として特定のIRM化合物は、IL−4およびIL−5などの特定のTH2サイトカインの生成および分泌を阻害できる。さらにいくつかのIRM化合物は、IL−1およびTNFを抑制すると言われている(米国特許第6,518,265号明細書)。
【0002】
特定のIRMは、例えば米国特許第4,689,338号明細書、同第4,929,624号明細書、同第4,988,815号明細書、同第5,037,986号明細書、同第5,175,296号明細書、同第5,238,944号明細書、同第5,266,575号明細書、同第5,268,376号明細書、同第5,346,905号明細書、同第5,352,784号明細書、同第5,367,076号明細書、同第5,389,640号明細書、同第5,395,937号明細書、同第5,446,153号明細書、同第5,482,936号明細書、同第5,693,811号明細書、同第5,741,908号明細書、同第5,756,747号明細書、同第5,939,090号明細書、同第6,039,969号明細書、同第6,083,505号明細書、同第6,110,929号明細書、同第6,194,425号明細書、同第6,245,776号明細書、同第6,331,539号明細書、同第6,376,669号明細書、同第6,451,810号明細書、同第6,525,064号明細書、同第6,541,485号明細書、同第6,545,016号明細書、同第6,545,017号明細書、同第6,558,951号明細書、同第6,573,273号明細書、同第6,656,938号明細書、同第6,660,735号明細書、同第6,660,747号明細書、同第6,664,260号明細書、同第6,664,264号明細書、同第6,664,265号明細書、同第6,667,312号明細書、同第6,670,372号明細書、同第6,677,347号明細書、同第6,677,348号明細書、同第6,677,349号明細書、同第6,683,088号明細書、欧州特許第0 394 026号明細書、米国特許公報第2002/0016332号明細書、同第2002/0055517号明細書、同第2002/0110840号明細書、同第2003/0133913号明細書、同第2003/0199538号明細書、および同第2004/0014779号明細書、および国際公開第01/74343号パンフレット、同第02/46749号パンフレット、同第02/102377号パンフレット、同第03/020889号パンフレット、同第03/043572号パンフレット、同第03/045391号パンフレット、および同第03/103584号パンフレットで開示されるもののような、タンパク質、ペプチドなどの大型生体分子とは対照的な小型有機分子である(例えば分子量約1000ダルトン未満、好ましくは約500ダルトン未満)。
【0003】
小型分子IRMの追加的な例としては、特定のプリン誘導体(米国特許第6,376,501号明細書、および同第6,028,076号明細書で述べられるものなど)、特定のイミダゾキノリンアミド誘導体(米国特許第6,069,149号明細書で述べられるものなど)、特定のイミダゾピリジン誘導体(米国特許第6,518,265号明細書で述べられるものなど)、特定のベンゾイミダゾール誘導体(米国特許第6,387,938号明細書で述べられるものなど)、五員環窒素含有ヘテロ環に縮合した4−アミノピリミジンの特定の誘導体(米国特許第6,376,501号明細書、同第6,028,076号明細書および同第6,329,381号明細書、および国際公開第02/08595号パンフレットで述べられるアデニン誘導体など)、および特定の3−β−D−リボフラノシルチアゾロ[4,5−d]ピリミジン(米国特許公報第2003/0199461号明細書で述べられるものなど)が挙げられる。
【0004】
その他のIRMとしては、オリゴヌクレオチド配列などの大型生体分子が挙げられる。いくつかのIRMオリゴヌクレオチド配列は、シトシン−グアニンジヌクレオチド(CpG)を含有し、例えば米国特許第6,194,388号明細書、同第6,207,646号明細書、同第6,239,116号明細書、同第6,339,068号明細書、および同第6,406,705号明細書で述べられる。いくつかのCpG−含有オリゴヌクレオチドは、例えば米国特許第6,426,334号明細書、および同第6,476,000号明細書で述べられるもののような合成免疫調節構造モチーフを含むことができる。その他のCpGが欠如したIRMヌクレオチド配列については、例えば国際公開第00/75304号パンフレットで述べられている。
【0005】
その他のIRMとしては、アミノアルキルグルコサミニドリン酸塩(AGP)などの生物学的分子が挙げられ、例えば米国特許第6,113,918号明細書、同第6,303,347号明細書、同第6,525,028号明細書、および同第6,649,172号明細書で述べられている。
【0006】
免疫系の特定の側面を刺激し、ならびにその他の側面を抑制することで(例えば米国特許第6,039,969号明細書、および同第6,200,592号明細書を参照されたい)、IRMは多くの疾患を処置するのに使用されても良い。例えばIRM化合物を使用して処置されても良い疾患としては、ヒト乳頭腫ウィルスによって引き起こされる外性器および肛門周囲疣贅、基底細胞癌、湿疹、本態性血小板血症、肝炎B、多発性硬化症、新生物疾患、乾癬、関節リウマチ、タイプI単純疱疹、およびタイプII単純疱疹が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0007】
IRM化合物は、サイトカインなどの特定の免疫系調節分子の分泌を誘導することで、細胞媒介免疫を調節できる。例えばイミキモドまたはレシキモドによって誘導されるサイトカインとしては、タイプIインターフェロン、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、およびMCP−1が挙げられるが、これに限定されるものではない。多くのIRM化合物はいくつかの細胞活性を共有し、例えば同時刺激マーカー誘導、単球/マクロファージ細胞における炎症誘発性サイトカイン誘導、および転写調節因子NF−κBおよびAP−1の活性化など、その多くが種を越えて保存される。
【0008】
IRM化合物はまた、B細胞によって抗体生成を刺激することで体液性免疫を調節できる。さらに様々なIRMが、ワクチンアジュバントとして有用であることが示されている(例えば米国特許第6,083,505号明細書および同第6,406,705号明細書を参照されたい)。
【0009】
Toll様受容体(TLR)は、免疫系細胞が、外来性抗原によって呈示される特異的分子パターンを認識できるようにする、免疫系受容体のファミリーである。様々なTLRの活性化は、例えばサイトカインおよび抗菌ペプチドの分泌をはじめとする、一連の生物学的効果を誘導する。種々のTLRの発見は、リガンドによるTLR活性化とTLR活性化の生物学的効果とを結びつける、TLR−媒介細胞活性の同定をもたらした。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、共通のTLRによって媒介される複数の細胞活性の少なくとも1つの細胞活性を選択的に調節する化合物を同定する方法を提供する。一般に方法は、TLRによって媒介される第1の細胞活性の調節を検出するステップと、TLRによって媒介される第2の細胞活性の調節を検出するステップと、試験化合物が、第2の細胞活性を調節するのとは異なる程度に第1の細胞活性を調節する場合、共通のTLRによって媒介される複数の細胞活性の少なくとも1つの細胞活性を選択的に調節する化合物として、試験化合物を同定するステップとを含む。
【0011】
本発明はまた、このようにして同定される化合物、ならびにこのような化合物またはこのような化合物のプロ−ドラッグを含む医薬品組成物を提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は、共通のTLRによって媒介される細胞活性の標的調節プロフィールを有する、標的化合物を同定する方法を提供する。一般に方法は、標的調節プロフィールを選択するステップと、調節プロフィールを判定するステップと、試験化合物の調節プロフィールが標的調節プロフィールと合致する場合、試験化合物を標的化合物として同定するステップとを含む。
【0013】
本発明はまた、このようにして同定される化合物、ならびにこのような化合物またはこのような化合物のプロ−ドラッグを含む医薬品組成物を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、免疫系細胞を選択的に調節する方法を提供する。一般に方法は、TLRによって媒介される第1の細胞活性を有する第1の免疫系細胞集団、およびTLRによって媒介される第2の細胞活性を有する第2の免疫系細胞集団を同定するステップと、第2の細胞活性を調節するのとは異なる程度に第1の細胞活性を調節する化合物を選択するステップと、免疫系細胞と、細胞活性の少なくとも1つを調節するのに効果的な量の選択される化合物とを接触させることにより、少なくとも1つの細胞集団の細胞を調節するステップを含む。
【0015】
細胞活性を調節するステップは、検知できる程に細胞活性を増大させ、または検知できる程に細胞活性を低下させるステップを含むことができる。さらに細胞集団は、生体外(in vitro)または生体内(in vivo)のいずれかにおいて調節されても良い。
【0016】
別の態様では、本発明は、共通のTLRによって媒介される細胞活性の選択的調節で処置できる病状を有する対象を処置する方法を提供する。一般に方法は、病状を処置するのに効果的な、共通のTLRによって媒介される細胞活性の標的調節プロフィールを同定するステップと、標的調節プロフィールと合致する調節プロフィールを有する化合物を選択するステップと、病状を処置するのに効果的な量の化合物を対象に投与するステップを含む。
【0017】
特定の実施形態では、病状はウィルス性疾患、真菌疾患、寄生生物症、細菌疾患、またはプリオン媒介疾患などの感染症であっても良い。その他の実施形態では、病状は上皮内新生物、前癌新生物、または癌などの新生物性病状であっても良い。
【0018】
本発明のその他の様々な特徴および利点は、以下の詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲を参照して容易に明らかになるであろう。明細書全体において数カ所で、実施例の一覧を通じてガイダンスが提供される。各事例において列挙した一覧は、代表的なグループとしてのみ機能し、排他的一覧と見なすべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
特定のIRM化合物が、共通のTLRによって媒介される1つ以上の細胞活性を選択的に調節できることが見いだされている。すなわち特定のIRM化合物は、特定のTLRによって媒介される1つの細胞活性を調製でき、同一TLRによって媒介される第2の細胞活性を異なる程度に調節できる。そうできる能力は、例えば特定の病状を処置するために望ましいかもしれない。例えば1つの細胞活性は望ましい治療的または予防的な利点を提供するかもしれないが、第2の細胞活性は例えば副作用などの望ましくない効果を生じるかもしれない。双方の細胞活性が同一TLRによって媒介される場合、例えば処置を最適化する(すなわち望ましい利点を最大化する)か、または副作用を最小化するか、選択せざるを得なくなるかもしれない。しかし最適処置は、望ましくない効果を制限しながら、望ましい細胞活性を誘導することを伴うかもしれない。本発明は、双方の細胞活性が共通のTLRによって媒介される場合でも、例えば望ましい細胞活性を誘導でき、望ましくない活性誘導を制限できる化合物を同定する方法、ならびに化合物それ自体を提供する。
【0020】
特定の免疫系細胞では、TLR活性化は、転写因子NF−κBの活性化と関係することができる。NF−κB活性化は、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、およびMCP−1などの炎症誘発性サイトカインの生成および分泌などの免疫学的チャレンジに対する特定の細胞応答に関係する。このような細胞応答のIRM誘導は、細胞のIRM化合物への暴露に対する応答において、転写因子NF−κBの活性化を測定することで実証できる(例えばチャング(Chuang)ら、Journ.of Leuk.Biol.、第71巻、p.538〜544(2002)、およびヘンミ(Hemmi)ら、Nature Immunology、第3巻(2)、p.196〜200(2002)を参照されたい)。したがってNF−κB−依存遺伝子発現は、TLR活性化のレポーターとして使用できる。しかし下流細胞応答は1つ以上の追加的要因によって調節されていても良いので、NF−κB活性化の程度は下流細胞応答の程度と必ずしも相関しない。
【0021】
特定のNF−κB−非依存性細胞経路の誘導もまた、TLR活性化のレポーターとして有用であることができる。例えばIFN−αは、その誘導がNF−κB−非依存性であるサイトカインである。IFN−αは、Tリンパ球、マクロファージ、形質細胞様単球、樹状細胞、および天然キラー細胞などの免疫系細胞によって分泌される。IFN−αは、おそらくは2つの応答間にリンクを提供することで、免疫学的チャレンジに対する宿主の生得および適応免疫応答を制御することに関与する[ブラサード(Brassard)ら、Journal of Leukocyte Biology、71:565〜581(2002)]。生得免疫応答は、非自己(例えば新生物)または外来性(例えばウィルス性)抗原に対する天然キラー(NK)細胞の細胞媒介応答を含むことができる。IFN−αはまた、TH1およびTH2細胞集団間、ひいては生得および適応免疫応答間のバランスを間接的に制御しても良い。
【0022】
NF−κB−依存遺伝子発現の誘導、およびIFN−α生成の誘導は、それぞれTLR−媒介性であることができる。さらに双方の細胞活性は、例えばTLR7などの単一TLRによって媒介されても良い。
【0023】
ここでの用法では、「共通のTLRによって媒介される細胞活性」とは、その活性が同一TLRによって制御される特徴的な細胞活性を指し、特定の細胞活性を媒介するかもしれない異なるTLRの総数を指すものでは決してない。例えばNF−κB活性化およびIFN−α誘導のそれぞれが、TLR7を通じて媒介できる。それぞれはまた、1つ以上の追加的TLRによって媒介されても良い。それぞれがTLR7によって媒介されることができるので、NF−κB活性化およびIFN−α誘導は共通のTLRによって媒介される細胞活性と見なされる。
【0024】
場合によっては、選択的調節は、1つのTLR−媒介細胞活性を調節するが、別のTLR−媒介細胞活性を検知できる程に調節しないことを伴う。別の場合では、選択的調節は、別のTLR−媒介細胞活性が調節される様式または程度とは異なる様式または程度で、1つのTLR−媒介細胞活性を調節することを伴う。
【0025】
したがって本発明は、共通のTLRによって媒介される細胞活性を選択的に調節する化合物を同定する方法、このようにして同定される化合物、およびこのような化合物を含む医薬品組成物と、共通のTLRによって媒介される細胞活性の特定の活性調節プロフィールを有する化合物を同定する方法、このようにして同定される化合物、およびこのような化合物を含む医薬品組成物と、特定の免疫細胞集団を選択的に調節する方法と、共通のTLRによって調節される複数の活性の少なくとも1つの細胞活性を選択的に調節する化合物を対象に投与することで対象を処置する方法とを提供する。
【0026】
この発明の目的では、以下の用語は次のような意味を有するものとする。
「活性化する」およびそのバリエーションは、細胞活性におけるあらゆる測定できる増大を指す。
【0027】
「作動薬」とは、受容体(例えばTLR)と組み合わさって細胞活性を生じることができる化合物を指す。作動薬は受容体に直接結合するリガンドであっても良い。代案としては、例えば(a)受容体に直接結合する別の分子との複合体を形成させることで、または(b)さもなければ別の化合物が受容体に直接結合するように別の化合物の修飾をもたらすことで、作動薬と受容体とを間接的に組み合わせても良い。作動薬は特定のTLRの作動薬(例えばTLR7作動薬)、または特定のTLRの組み合わせ(例えばTLR7/8作動薬−TLR7作動薬およびTLR8作動薬の双方)として述べられても良い。
【0028】
「細胞活性」とは、作動薬と受容体との相互作用から帰結する生物学的活性(例えばサイトカイン生成)を指す。
【0029】
「誘導する」およびそのバリエーションは、細胞活性におけるあらゆる測定できる増大を指す。例えば特定のサイトカインの誘導は、サイトカイン生成の増大を指す。別の例としては、ヌクレオチド配列の誘導は、ヌクレオチド配列の転写(例えばコーディング配列)の増大、またはヌクレオチド配列からの転写(例えばプロモーターなどの制御配列)の増大を指す。
【0030】
「阻害する」およびそのバリエーションは、あらゆる測定できる細胞活性低下を指す。例えば特定のサイトカインの阻害とは、サイトカイン生成の低下を指す。別の例としては、ヌクレオチド配列の阻害は、ヌクレオチド配列の転写(例えばコーディング配列)の低下、またはヌクレオチド配列からの転写(例えばプロモーターなどの制御配列)の低下を指す。「阻害する」または「阻害」は、正常な活性レベルの百分率で述べられても良い。
【0031】
「IRM化合物」とは、IRM−応答性細胞に投与すると、1つ以上の免疫制御分子(例えばサイトカイン、同時刺激マーカー、または成熟マーカー)のレベルを変化させる化合物を指す。代表的なIRM化合物としては、上述の小型有機分子、プリン誘導体、小型ヘテロ環式化合物、アミド誘導体、オリゴヌクレオチド配列、およびアミノアルキルグルコサミニドリン酸塩が挙げられる。
【0032】
「調節する」およびそのバリエーションは、生物学的活性における相当の増大または低下を指す。生物学的活性における相当の増大または低下とは、生物学的活性における所望の閾値増大または低下を超える増大または低下である。
【0033】
「調節プロフィール」とは、共通のTLRによって媒介される細胞活性のセット、およびIRM化合物を使用してセット中の各細胞活性が調節される、または調節できる程度を指す。標的調節プロフィールとは、共通のTLRによって媒介される細胞活性の特定の所望のプロフィール、すなわちスクリーニングアッセイで同定される標的化合物、または免疫細胞の生物学的活性を特定の様式で調節する化合物などの理論的なまたは理想化された調節プロフィールを指す。特定の化合物の調節プロフィールとは、特定の化合物によって調節される共通のTLRによって媒介される細胞活性の観察されるプロフィール、およびそれぞれの活性が調節される程度を指す。観察される調節プロフィールは、単一情報源または複数情報源から集計されても良く、例えば実験アッセイ結果、臨床または事例観察、またはあらゆるその他の適切な情報源に由来しても良い。
【0034】
「プロドラッグ」とは、活性親薬剤を体内に放出するために、化学的または酵素的生体内転換を必要とする薬剤分子の誘導体を指す。
【0035】
「選択的」およびそのバリエーションは、生物学的活性に対して特異なまたは一般的でない影響を有することを指す。共通のTLRを通じて媒介される細胞活性を選択的に調節する化合物は、「選択的活性」化合物と称しても良い。
【0036】
「TLR発現プロフィール」とは、特定の細胞によって発現されるTLRのアイデンティティを指す。特定の細胞のTLR発現プロフィールは、特定の細胞タイプによって自然に発現されるTLRのセットを含んでも良い。代案としては、遺伝子改変細胞のTLR発現プロフィールは、遺伝子改変されていない場合に細胞が自然に発現するよりも多いまたは少ないTLRを含んでも良い。
【0037】
「TLR−媒介」とは、TLR機能から直接にまたは間接的に帰結する、生物学的または生化学的活性を指す。特定の生物学的または生化学的活性は、特定のTLRによって媒介される(例えば「TLR7−媒介」)と述べられても良い。
【0038】
一態様では、本発明は、共通のTLRによって媒介される複数の細胞活性の少なくとも1つの細胞活性を選択的に調節する化合物を同定する方法を提供する。一般に方法は、TLRによって媒介される第1の細胞活性の調節を検出するアッセイを提供するステップと、TLRによって媒介される第2の細胞活性の調節を検出するアッセイを提供するステップと、試験化合物を使用して各アッセイを実施するステップと、試験化合物が第2のTLR−媒介細胞活性を調節するのとは異なる程度に第1の細胞活性を調節する場合、共通のTLRによって媒介される複数の活性の少なくとも1つの細胞活性を選択的に調節する化合物として試験化合物を同定するステップを含む。
【0039】
方法は、TLR−媒介細胞活性の増大、TLR−媒介細胞活性の低下、または双方を検出することで、TLR−媒介細胞活性の調節を検出しても良い。例えばいくつかの実施形態では、方法のために選択されるアッセイは、例えば第1のTLR7−媒介細胞活性誘導を検出するアッセイ、例えば第2のTLR7−媒介細胞活性誘導を検出する第2のアッセイを含むことができる。このような方法は、(a)第1のTLR7−媒介細胞活性および第2のTLR7−媒介細胞活性の双方を異なる程度で誘導する化合物、または(b)1つのTLR7−媒介細胞活性を誘導するが、もう一つのTLR7−媒介細胞活性は誘導しない化合物のいずれかを同定できる。さらに、または代案としては、方法はTLR−媒介細胞活性の阻害を検出する1つ以上のアッセイを含むかもしれない。
【0040】
当業者は、あらゆるTLRによって媒介される細胞活性の誘導および/または阻害を検出できるアッセイをデザインおよび実施するために、標準的な技術を利用できる。適切な技術については、例えば米国特許公報第2004/0014779 A1号明細書、2003年12月10日に出願された米国特許出願第10/732,563号明細書、2003年12月10日に出願された米国特許出願第10/732,796号、および2004年2月12日に出願された米国特許出願第10/777,310号で述べられる。
【0041】
特に断りのない限り、細胞活性の増大または低下とは、適切な対照において観察されるものと比較した特定の細胞活性の増大または低下を指す。アッセイは、適切な対照と併せて実施されてもされなくても良い。経験の蓄積とともに、当業者は特定のアッセイ(例えば特定のアッセイ条件下で、適切な対照において観察される値の範囲)を十分熟知するようになるので、特定のアッセイで化合物がTLR−媒介細胞活性を調節するかどうかを判定するために対照を実施することは必ずしも必要でない。
【0042】
それが相当量であり、ひいては本発明の目的のために調節されていると見なされる前に、TLR−媒介細胞活性が増大または低下する正確な程度は、技術分野で知られている要因次第で変動しても良い。このような要因としては、例えばアッセイ終点として観察される細胞活性、TLR作動薬の濃度、アッセイ終点を測定または検出するのに使用される方法、アッセイの信号対雑音比、アッセイの精度、および種々のTLR−媒介細胞活性の調節を検出するのに使用される種々のアッセイの性質が挙げられる。したがってあらゆる可能なアッセイについて、特定のTLR−媒介細胞活性を調節しているとして化合物を同定するのに必要とされるTLR−媒介細胞活性の閾値増大を一般に述べることは、実用的でない。しかし当業者はこのような要因を十分考慮することで、適切な閾値を容易に判定できる。
【0043】
いくつかの実施形態では、例えば細胞活性の変化が「相当」であり、ひいては調節されていると見なされる閾値は、TLR作動薬が特定の濃度で提供される場合、少なくとも2倍であっても良い。その他の実施形態では、細胞活性の変化が「相当」であり、ひいては調節されていると見なされる閾値は、少なくとも3倍であっても良い。さらに別の実施形態では、閾値変化は少なくとも5倍であっても良い。閾値変化に満たないTLR−媒介細胞活性の増大または低下は、実質がなく(すなわち実質的に無変化)、ひいては本発明の目的のために調節されていないと見なされても良い。したがって例えば化合物が、共通のTLRを通じて媒介される各細胞活性を対照に比べて増大させるが、1つの細胞活性を閾値を超える程度に増大させ(すなわち調節している)、第2の細胞活性を相当と見なされるのに必要な閾値未満の程度に増大させる(すなわち調節していない)場合、化合物は2つのTLR−媒介活性の間で選択的であると見なされても良い。
【0044】
本発明の方法を実施するのに使用される細胞は、1つ以上のTLRを発現し、TLR−媒介生物学的活性の検出を可能にするいかなる細胞であっても良い。場合によっては、細胞は1つ以上のTLRを自然に発現しても良い。1つ以上のTLRを自然に発現する細胞としては、単球などの一次免疫細胞、マクロファージ、ランゲルハンス細胞、樹状細胞、天然キラー細胞、多形核細胞(例えば好中球、好塩基球、または好酸球)、Bリンパ球、Tリンパ球、および前出のいずれかから誘導される細胞が挙げられるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では細胞を遺伝子改変して、それらの1つ以上のTLRの発現を増大させても良い。いくつかの遺伝子改変細胞は、1つ以上のTLRを自然に発現するが改変されて、遺伝子改変細胞によって発現される1つ以上のTLRの発現が増大し、またはTLRの数が増大している宿主細胞から誘導されても良い。その他の遺伝子改変細胞は、あらゆる検出可能なTLR−媒介生物学的活性が、遺伝子改変によって細胞に導入された1つ以上のTLRに起因すると見なせるように、検出可能なTLR活性を欠いている宿主細胞から誘導されても良い。
【0045】
本発明の方法で使用するのに適したいくつかのアッセイは、1つ以上のサイトカイン、ケモカイン、同時刺激マーカー、または増殖/成熟マーカーの発現および/または生成を検出するステップを含む。このような誘導は、例えば細胞培養中で、培養液中のまたは培養細胞内に隔離される、1つ以上のこのような分子の存在の増大を検出することで検出されても良い。代案としては、本発明に従った方法に適したいくつかのアッセイは、生体内(in vivo)で起きる1つ以上のTLR−媒介細胞活性の調節を検出するステップを含む。適切なアッセイは、例えば細胞成熟を検出(これには生体内(in vivo)で成熟した細胞の生体外(ex vivo)での組織学的検査が必要かもしれない)、またはサイトカイン生成を検出しても良い。
【0046】
いくつかの実施形態では、TLR−媒介細胞活性は、例えばTNF−α、タイプIインターフェロン(例えばIFN−α、IFN−β、IFN−ωなど)、IFN−γ、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、MCP−1、またはそれらのあらゆる組み合わせなどをはじめとする、少なくとも1つのサイトカインの生成を含んでも良い。その他の実施形態では、TLR−媒介細胞活性は、1つ以上の同時刺激マーカー(例えばCD40、CD80、CD86など)、細胞間接着分子(ICAM、例えばICAM−1、ICAM−2、I−CAM−3など)、または例えばCD83またはCCR7などの増殖/成熟マーカーの生成を含んでも良い。
【0047】
代案としては、TLR−媒介細胞活性は、1つ以上のサイトカイン、ケモカイン、同時刺激マーカー、または成熟マーカーの発現をコントロールする、プロモーターからの遺伝子転写の誘導を検出することで検出されても良い。例えばアッセイは、NF−κBプロモーターまたはIFN−α1プロモーターなどのプロモーターのTLR−媒介活性化を検出するように、デザインされても良い。上述のようにいくつかの実施形態では、これらのプロモーターのTLR−媒介活性化を検出することは、誘導された遺伝子から生成される分子の検出を含んでも良い。代案としては、いくつかのアッセイは、プロモーターのTLR−媒介誘導が容易に検出できるように、例えばNF−κBプロモーターまたはIFN−α1プロモーターなどのTLR−誘導されたプロモーターにレポーター遺伝子が作動可能に連結するように、デザインされても良い。多くの遺伝子発現レポーターコンストラクトは市販される。一実施形態では、得られるルシフェラーゼシグナルを検出することでプロモーターのTLR−媒介誘導が検出できるように、NF−κBプロモーターまたはIFN−α1プロモーターなどのTLR−誘導可能プロモーターに、ルシフェラーゼレポーターシステムが作動可能に連結されても良い。
【0048】
実施例1で例証される一実施形態では、TLR7−媒介NF−κB活性化およびTLR7−媒介IFN−α1誘導の選択的調節が分析された。NF−κB活性化は、ルシフェラーゼレポーターのTLR7−媒介NF−κB−依存転写を検出することで、遺伝子改変HEK293細胞(H−TLR7)において測定された。IFN−α1誘導は、ルシフェラーゼレポーターのTLR−媒介IFN−α1−誘導転写を検出することで、遺伝子改変ナマルワ(Namalwa)細胞(N−TLR7)において測定された。結果を表2に示し、その中で細胞がIRM化合物を含有しないビヒクルで処理される対照についてそれぞれ正規化された、TLR7−媒介ルシフェラーゼシグナル−(H−TLR7/H−ベクター)および(N−TLR7/N−ベクター)の増大倍数で表す。このアッセイでは、ベクター対照と比較して、化合物がルシフェラーゼシグナルに少なくとも2倍の増大を生じた場合、化合物はTLR7−媒介細胞活性を誘導すると見なされた。
【0049】
アッセイは、(1)TLR7−媒介NF−κB−依存遺伝子発現を選択的に調節した化合物、(2)TLR7−媒介IFN−α1誘導を選択的に調節した化合物、および(3)TLR7−媒介NF−κB−依存遺伝子発現およびTLR7−媒介IFN−α1誘導の双方を調節した化合物を同定した。
【0050】
表1に列挙した化合物は、実施例1(表3)に示すいくつかの化合物に加えて、選択的活性化合物であると同定されている化合物であり、この場合は、実施例1のアッセイにおいてTLR7−媒介IFN−α1誘導を調節するが、TLR7−媒介NF−κB−依存遺伝子発現を調節しない化合物である。
【0051】
【表1】

【0052】
本発明の方法は、あらゆるTLRによって媒介される細胞活性を調節するステップを含むことができる。10個のヒトTLRの構造遺伝子がクローン化され、配列決定されていた。したがって10個のヒトTLRのいずれかの1つの構造遺伝子を宿主細胞に導入して、本発明に従った方法のアッセイで使用するための遺伝子改変細胞系を提供しても良い。いくつかの実施形態では、特定のTLRの構造遺伝子は、HEK293細胞、ナマルワ(Namalwa)細胞、マウスRAW細胞、または線維芽細胞などの細胞系内にクローン化されても良い。このように遺伝子改変されたHEK293細胞およびナマルワ(Namalwa)細胞を使用して、上述のようにクローン化されたTLRによって媒介される細胞活性の調節を検出しても良い。
【0053】
特定の実施形態では、アッセイはアッセイが適切に実施されるのを確実にするために、1つ以上の適切な対照を含んでも良い。しかし十分な経験を蓄積して、特定のアッセイまたは特定のアッセイにおける特定の細胞の動態を熟知すれば、アッセイを実施するたびに適切な対照は必要ないかもしれない。
【0054】
いくつかの実施形態では、化合物は共通のTLRによって媒介される2つ以上の細胞活性を調製できるが、1つの活性を別の活性とは異なる程度に調節する。例えば化合物は2つの異なる細胞活性を反対の様式で調節しても良く、すなわち1つの活性を誘導し、その他の活性を阻害しても良い。代案としては、化合物は2つの細胞活性を同一様式で調節しても良いが(すなわち双方の活性を誘導または阻害する)、1つの活性をその他の活性よりも大きく調節する。代案としては、化合物は1つの細胞活性を検知できる程に調節しても良いが、第2の細胞活性を実質的に検出可能な程度に調節できない。
【0055】
本発明はまた、上述の方法のあらゆる実施形態によって同定される化合物を提供する。特に断りのない限り、本文献全体を通して化合物への言及は、あらゆる異性体(例えばジアステレオマーまたは鏡像異性体)、塩、溶媒和化合物、多形体などをはじめとする、あらゆる薬剤的に許容可能な形態の化合物を含むことができる。特に化合物が光学活性の場合、化合物への言及は、化合物の各鏡像異性体ならびに鏡像異性体のラセミ混合物を含むことができる。
【0056】
上述の方法では、あらゆるTLRによって媒介される、あらゆる細胞活性のあらゆる調節を検出するあらゆるアッセイを用いることができる。したがって上述の方法は、共通のTLRによって媒介される複数の細胞活性から、1つ以上の細胞活性を選択的に調節する広範な化合物を同定する強力なツールたり得る。このようにして同定された化合物は、医薬品組成物中に組み込んでも良い。このような医薬品組成物については、下で詳細に述べる。
【0057】
別の態様では、本発明は共通のTLRによって媒介される細胞活性について特定の調節プロフィールを有する、標的化合物を同定する方法を提供する。一般に方法は、標的調節プロフィールを選択するステップと、調節プロフィールを判定するステップと、試験化合物の調節プロフィールが標的調節プロフィールに合致する場合、試験化合物を標的化合物として同定するステップを含む。
【0058】
ここでの用法では、調節プロフィールは1つ以上のTLR−媒介細胞活性に関する情報を含む。標的調節プロフィールの文脈で、プロフィールは、1つ以上の所望の調節されるTLR−媒介生物学的活性を含んでも良い。例えば特定の病状は、例えばTLR7−媒介NF−κB−依存遺伝子発現およびTLR7−媒介NF−κB−非依存性IFN−α発現など、共通のTLRによって媒介される生物学的活性を差別的に調節することで効果的に処置されても良い。その病状を処置するための標的調節プロフィールとしては、例えば(a)1つのTLR7−媒介細胞活性を調節するが、その他の活性を検知できる程に調節しない、(b)反対様式で2つの異なる細胞活性を調節する(すなわち1つの活性を誘導しその他の活性を阻害する)、または(c)2つの細胞活性を同一様式で調節する(すなわち双方の活性を誘導または阻害する)が、1つの活性をその他の活性よりも大きく調節することが挙げられる。
【0059】
標的調節プロフィールは、所望の結果を提供するのに知られているおよび/または必要とされる情報を全て、またはわずかに含んでも良い。場合によっては、標的調節プロフィールの当該部分は、TLRによって媒介されるあらゆるその他の細胞活性、またはあらゆるその他のTLRによって媒介されるあらゆる細胞活性に関係なく、共通のTLR(例えばTLR7)によって媒介される1つ以上の細胞活性を含んでも良い。これは処置する病状、またはその生物学的活性を調節することが意図される標的細胞集団に関連した特定要因のためかもしれない。このような要因としては、標的細胞によって発現されるTLRのアイデンティティ、標的細胞によって発現されるTLRの発現の相対レベル、1つ以上の細胞活性を調節するかもしれない追加的要因の存在または不在、生体外(in vitro)、生体内(in vivo)の標的細胞の位置、生体内(in vivo)である場合は標的細胞が位置する組織または器官、および生体内(in vivo)である場合は対象の免疫系の一般的状態(例えば抑制される、損なわれる、刺激される)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0060】
試験化合物の調節プロフィールは、あらゆる適切な様式で判定しても良い。化合物の調節プロフィールを判定する一方法は、上で詳述したアッセイなどの1つ以上のアッセイを実施して、試験化合物が、特定のTLRによって媒介される生物学的活性を検知できる程に調節するかどうかを判定することである。代案としては、特定の化合物は1つ以上のTLRの作動薬であることが知られており、免疫細胞とこのような化合物とを接触させることの生物学的効果もまた、知られていても良い。場合によっては、例えば観察される効果が特定のTLR−媒介生物学的活性に相関しているかもしれない場合、試験化合物の調節プロフィールの少なくとも一部は、対象に化合物を投与する効果の臨床または事例観察に由来しても良い。
【0061】
試験化合物の調節プロフィールは、標的調節プロフィールとの比較のために所望される情報を全て、またはわずかに含んでも良い。試験化合物の調節プロフィールのために所望される情報の程度は、標的調節プロフィールの判定に関して上で列挙した要因をはじめとするが、これに限定されるものではないいくつかの要因に、少なくともある程度左右されても良い。
【0062】
特定の標的調節プロフィールに合致するとして、試験化合物を同定することは、試験化合物の調節プロフィールと標的調節プロフィールとを比較することを伴う。場合によっては、標的調節プロフィールおよび試験化合物の調節プロフィールは、実質的に同一またはほぼ同一であっても良い。このような場合、試験化合物は標的調節プロフィールに合致すると容易に同定できる。
【0063】
標的調節プロフィールおよび試験化合物の調節プロフィールがいくらか異なる特定の場合、試験化合物はなおも所望の調節プロフィールに合致すると同定されても良い。例えば試験化合物は、標的調節プロフィールの目的に、わずかな関連性しか持たない特定のTLR−媒介細胞活性を調節するかもしれない。代案としては、場合によっては、標的調節プロフィールは、試験化合物によって検知できる程には調節されない、1つ以上のTLR−媒介細胞活性を含むことができる。標的調節プロフィールの異なる部分は、主要なおよび二次的重要性があると見なされても良く、試験化合物の調節プロフィールが主要な調節活性を含んでいれば、たとえ標的調節プロフィールの二次的調節活性を含まなくても、試験化合物は標的調節プロフィールに合致すると同定されても良い。例えば標的調節プロフィールは、IFN−α1発現を誘導する主要な調節活性、およびNF−κB−依存遺伝子発現を阻害する二次的調節活性を含んでも良い。しかし適切にIFN−α1発現を誘導するが、例えばNF−κB−依存遺伝子発現を調節しない試験化合物は、特定の状況では標的調節プロフィールに合致すると見なされても良い。当業者は全ての関連要因を考慮して、試験化合物プロフィールが二次的調節活性を満たさなくても、標的調節プロフィールの主要な調節活性を十分満たして、試験化合物の調節プロフィールが標的調節プロフィールと合致する場合を判断できるであろう。
【0064】
標的調節プロフィールは、標的調節プロフィールに合致すると同定される化合物が使用される特定の用途次第で変動しても良い。例えば特定のウィルス性感染の処置は、タイプIインターフェロンのTLR7−媒介生成を選択的に誘導して、特定の抗原呈示細胞(APC)を活性化する化合物の投与から恩恵を被るかもしれない。
【0065】
代案としては、特定のタイプの腫瘍の処置は、TLR7−媒介NF−κB−依存遺伝子発現を選択的に誘導する化合物を使用することから、恩恵を被るかもしれない。このような化合物は、化合物が投与される領域に局在する、例えばIL−12分泌および強い炎症性応答の誘導をはじめとする免疫系活性を誘導しても良い。
【0066】
別の代案としては、いくつかの病状の処置は、タイプIインターフェロン生成、およびNF−κB−依存遺伝子発現を誘導する化合物の投与から恩恵を被るかもしれない。このような処置は、一緒に相乗的にIFN−γ生成を増進する、タイプIインターフェロン生成およびIL−12生成を誘導しても良い。IFN−γ生成は、メラノーマおよび腎臓細胞癌をはじめとするが、これに限定されるものではない、悪性癌に対する免疫応答を促進するのを助けるかもしれない。
【0067】
本発明はまた、上述の方法に従って、標的化合物として同定される化合物を提供する。上述の方法では、共通のTLRによって調節される細胞活性のあらゆる適切な標的調節プロフィールを用いることができ、TLRのいずれかによって調節されるいくつもの細胞活性の調節に関連した情報が組み合わされる。したがって上述の方法は、共通のTLRによって調節される細胞活性の特定の標的調節プロフィールに合致する広範な化合物を同定する、強力なツールたり得る。このようにして同定された化合物は、医薬品組成物中に組み込まれても良い。このような医薬品組成物については下で詳述する。
【0068】
別の態様では、本発明は、免疫系細胞を選択的に調節する方法を提供する。概して方法は、TLRによって媒介される第1の細胞活性を有する第1の免疫系細胞集団、同一TLRによって媒介される第2の細胞活性を有する第2の免疫系細胞集団を同定するステップと、第2の細胞活性を調節するのとは異なる程度に第1の細胞活性を調節する化合物を選択するステップと、免疫系細胞と、少なくとも1つの細胞活性を調節するのに効果的な量の選択される化合物とを接触させることで、少なくとも1つの細胞集団の細胞を選択的に調節するステップを含む。
【0069】
免疫系は様々な細胞集団を含み、各集団は、免疫学的チャレンジに対する効果的な免疫応答の開始を促進する1つ以上の機能を果たす。様々な細胞集団は、血液、皮膚、骨髄、胸線、リンパ系、および間質内領域をはじめとするが、これに限定されるものではない、体内の異なる領域に存在する。様々な免疫細胞集団はまた、様々なTLRを異なる程度に発現する。例えば単球は相対的に大量のTLR2およびTLR4を発現し、顕著なレベルの例えばTLR1およびTLR8発現も示す。Bリンパ球は、相対的に高いTLR1、TLR6、およびTLR10発現を示すが、例えばTLR7およびTLR9もまた発現する。形質細胞様樹状細胞(pDC)はTLR9を優性に発現するが、いくつかのTLR1、TLR6、TLR7、およびTLR10もまた発現する。
【0070】
いくつかの化合物が、TLRによって媒介される少なくとも1つの生物学的活性を調節するが、同一TLRによって媒介される別の活性は調節しないという発見により、本発明は、それによって免疫系細胞が選択的に調節できる手段を提供する。選択的調節は、1つのTLR−媒介細胞の活性または免疫細胞集団を調節しながら、同一TLRによって媒介される別の細胞活性の活性、または別の免疫細胞集団を実質的に調節しない形態を取っても良い(すなわち質的または「オン・オフ」調節)。代案としては、選択的調節は、共通のTLRによって調節される2つの以上の生物学的活性、または2つ以上の免疫細胞集団群を異なる程度に調節するステップを伴っても良い(すなわち量的調節)。
【0071】
特定の実施形態では、本発明の方法は、各細胞集団の細胞のTLR発現プロフィールを判定するステップを含む。TLR発現プロフィールは、PCR分析などによるTLR発現の検出と、TLRタンパク質合成のパルス−チェイス分析と、免疫組織化学、ウエスタンブロット、またはフローサイトメトリーなどであるがこれに限定されるものではない分析のためのTLR−特異的抗体を使用したTLRの標識をはじめとするが、これに限定されるものではないあらゆる適切な方法によって判定しても良い。
【0072】
免疫細胞の選択的調節は、細胞を検知できる程に活性化または誘導するステップ、または細胞を検知できる程に阻害するステップを含んでも良い。免疫系細胞は、生体外(in vitro)または生体内(in vivo)のどちらかで、選択的に調節されても良い。生体外(in vitro)での選択的調節は、対象から免疫細胞のサンプルを収集するステップと、収集された免疫細胞を生体外(in vitro)で培養するステップと、選択された化合物を細胞培養に添加するステップを含んでも良い。対象から収集される免疫細胞のサンプルは異種起源細胞サンプルであっても良く、すなわちサンプルは1つを超える免疫細胞集団の細胞を含んでも良い。細胞が選択的に調節された後、処理済み細胞を対象に再度導入して、それによって予防的なまたは治療的な処置を提供しても良い。代案としては、生体外(in vitro)で選択的に調節された細胞は診断用用途を有するかもしれない。
【0073】
いくつかの実施形態では、生体外(in vitro)で選択的に調節される細胞は、対象から採取されるのでなく遺伝的に改変されても良い。このような細胞は、例えばTLR−媒介生物学的活性をさらに解明するなど、実験ツールとしての有用性を持つかもしれない。
【0074】
生体内(in vivo)での選択的調節は、選択された化合物を対象に投与するステップを含んでも良い。選択された化合物は、局所、注射(例えば静脈内、皮下、腹腔内、皮内)、吸入、摂取、経皮、または経粘膜デリバリをはじめとするが、これに限定されるものではない、あらゆる適切な様式で投与されても良い。
【0075】
対象中で免疫細胞を選択的に調節するのに効果的な選択される化合物の特定の量は、少なくともある程度1つ以上の要因に左右されても良い。このような要因としては、投与される特定の化合物、対象の免疫系の状態(例えば抑制されている、損なわれている、刺激されている)、調節される細胞のアイデンティティと位置、化合物を投与する経路、調節される細胞のTLR発現プロフィール、および所望の結果(例えば予防的なまたは治療的な処置)が挙げられるが、これに限定されるものではない。したがって化合物の効果的な量を構成する量を一般的に述べることは、実用的でない。しかし当業者はこのような要因を十分考慮して、適切な量を容易に判定できる。
【0076】
免疫系細胞を選択的に調節するのに効果的な選択される化合物の量は、標的細胞集団または集団群(例えば単球、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、T細胞など)に、少なくとも1つのTLR−媒介生物学的活性(例えばサイトカイン生成)の変更を引き起こさせるのに十分な量である。
【0077】
免疫細胞を選択的に調節するのに効果的な選択される化合物の正確な量は、技術分野で知られている要因に従って変動するが、特定の実施形態では、約100ng/kg〜約50mg/kg、例えば約10μg/kg〜約5mg/kg用量の量であることができる。その他の実施形態では、量は、約0.001μM〜約100μMの選択される化合物の最終濃度を適切な溶液中に提供するのに、十分な量であっても良い。選択される化合物の最小量は上述の要因次第で変動しても良いが、特定の実施形態では0.001μM、0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、1.0μM、3.0μM、または10μMであっても良い。同様に、選択される化合物の最大量は上述の要因次第で変動しても良いが、特定の実施形態では100μM、30μM、10μM、3μM、1.0μM、0.3μM、または0.1μMであっても良い。
【0078】
いくつかの実施形態では、選択される化合物は、下で詳述する小型有機IRM分子をはじめとする既知のIRM化合物、または上述のプリン誘導体、小型ヘテロ環式化合物、アミド誘導体、およびオリゴヌクレオチド配列であることができる。代案としては、選択される化合物は、本発明に従った方法のいくつかをはじめとする、このような化合物を同定するあらゆる適切な方法によって同定される、共通のTLRによって媒介される複数の細胞活性の少なくとも1つの細胞活性を選択的に調節できる化合物であっても良い。
【0079】
上述のように、共通のTLRによって媒介される複数の細胞活性から細胞活性を選択的に調節する化合物(「選択的活性」化合物)は、医薬品組成物に組み込まれても良い。このような組成物は、共通のTLRによって媒介される複数の細胞活性から1つ以上の細胞活性を選択的に調節することによって処置できる、病状の処置のために有用であっても良い。
【0080】
選択的活性化合物は、治療計画において単一処置薬として投与できる。代案としては、選択的活性化合物は、別の選択的活性化合物と組み合わせて、または追加的なIRM化合物、免疫原、アジュバント、抗ウィルス剤、抗生物質、抗癌剤などをはじめとする1つ以上の活性薬剤との組み合わせで投与されても良い。
【0081】
したがって本発明はまた、共通のTLRによって媒介される細胞活性の選択的調節で処置できる病状を処置する方法を提供する。一般に、方法は病状の処置に効果的な、共通のTLRによって媒介される細胞活性の標的調節プロフィールを同定するステップと、標的調節プロフィールに合致する、共通のTLRによって媒介される細胞活性調節プロフィールを有する選択的活性化合物を選択するステップと、病状を処置するのに効果的な量の選択的活性化合物を対象に投与するステップを含む。
【0082】
病状を処置することは、予防的なまたは治療的な処置のいずれかを伴っても良い。ここでの用法では、予防的な処置とは病状の症状または徴候の発現前に開始される処置を指す。したがって予防的な処置は、処置を受ける対象が病状を発する可能性を低下させ、発症した場合は病状の激しさを低下させ、またはその双方であるように一般にデザインされる。ここでの用法では、治療的な処置とは、症状または病状の徴候の発症後に開始される処置を指す。したがって治療的な処置は、病状の進行を制限または低下させるようにデザインされる。場合によっては、治療的な処置は、完全な寛解に至るまでの病状の逆転をもたらすことができる。
【0083】
共通のTLRによって調節される細胞活性の標的調節プロフィールを同定することは、病状に予防的なまたは治療的な処置を提供するために、いずれの免疫系細胞集団または集団群が良く適しているかを判定するステップと、次に同定された細胞集団群のいずれのTLR−媒介細胞活性が調節されて所望の処置を提供するかを判定するステップを伴っても良い。
【0084】
選択的活性化合物の共通のTLRによって調節される細胞活性の調節プロフィールは、TLR−媒介細胞活性の調節を検出するようにデザインされた1つ以上のアッセイを実施して判定しても良い。代案としては、IRM化合物の共通のTLRによって調節される細胞活性の調節プロフィールは、臨床または事例観察によって判定されても良い。
【0085】
標的調節プロフィールに合致する、共通のTLRによって調節される細胞活性の調節プロフィールを有する選択的活性化合物を選択することは、特定の調節プロフィールを有する標的化合物を同定するアッセイに関して上述したのと同一の考察を伴う。
【0086】
選択的活性化合物を投与することで処置されても良い病状としては、以下が挙げられるが、これに限定されるものではない。
(a)例えばアデノウィルス、ヘルペスウィルス(例えばHSV−I、HSV−II、CMV、またはVZV)、ポックスウィルス(例えば痘瘡またはワクシニア、または伝染性軟属腫などのオルトポックスウィルス)、ピコルナウィルス(例えばライノウィルスまたはエンテロウィルス)、オルトミクソウィルス(例えばインフルエンザウィルス)、パラミクソウイルス(例えばパラインフルエンザウィルス、おたふく風邪ウィルス、はしかウィルス、および呼吸器合胞体ウィルス(RSV))、コロナウィルス(例えばSARS)、パポバウィルス(例えば生殖器疣、尋常性肬贅、または足底疣贅を引き起こすものなどの乳頭腫ウィルス)、ヘパドナウィルス(例えば肝炎Bウィルス)、フラビウイルス(例えば肝炎Cウィルスまたはデングウィルス)、またはレトロウィルス(例えばHIVなどのレンチウイルス)による感染から帰結する疾患などのウィルス性疾患。
(b)例えばエシェリキア属、エンテロバクター、サルモネラ、ブドウ球菌、赤痢菌、リステリア、アエロバクター、ヘリコバクター、クレブシエラ、プロテウス、シュードモナス、連鎖球菌、クラミジア、マイコプラズマ、肺炎球菌、ナイセリア、クロストリジウム、バシラス、コリネバクテリウム、マイコバクテリウム、カンピロバクター、ビブリオ、セラチア、プロビデンシア、クロモバクテリウム、ブルセラ、エルシニア、ヘモフィルス、またはボルデテラの細菌による感染から帰結する疾患などの細菌疾患。
(c)クラミジアと、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎をはじめとするがこれに限定されるものではない真菌疾患と、またはマラリア、ニューモシスティスカリニ肺炎、レーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、およびトリパノソーマ感染をはじめとするが、これに限定されるものではない寄生生物症などのその他の感染症。
(d)上皮内新生物形成、子宮頚部異形成、光線性角化症、基底細胞癌、扁平細胞癌、腎臓細胞癌、カポジ肉腫、メラノーマ、腎臓細胞癌などの新生物疾患と、骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、複数骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚のT−細胞リンパ腫、B−細胞リンパ腫、および毛様細胞白血病はじめとするが、これに限定されるものではない白血病、およびその他の癌。
(e)アトピー性皮膚炎または湿疹、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、およびオーメン症候群などのTH2−媒介、アトピー性疾患。
(f)全身性エリテマトーデス、本態性血小板血症、多発性硬化症、円板状エリテマトーデス、円形脱毛症どの特定の自己免疫疾患。
(g)例えばケロイドおよびその他のタイプの瘢痕形成の阻害(例えば慢性創傷をはじめとする創傷治癒の促進)などの創傷修復に関連する疾患。
【0087】
さらに選択的活性化合物は、例えばBCG、コレラ、ペスト、腸チフス、肝炎A、肝炎B、肝炎C、インフルエンザA、インフルエンザB、パラインフルエンザ、ポリオ、狂犬病、はしか、おたふく風邪、風疹、黄熱病、破傷風、ジフテリア、ヘモフィルスインフルエンザb、結核、髄膜炎菌性および肺炎球菌ワクチン、アデノウィルス、HIV、水痘、サイトメガロウィルス、デング、ネコ白血病、家禽ペスト、HSV−1およびHSV−2、豚コレラ、日本脳炎、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウィルス、乳頭腫ウィルス、黄熱病、およびアルツハイマー疾患に関連して使用するための、例えば生ウィルス、細菌、または寄生虫免疫原と、不活性化ウィルス、腫瘍−由来、原生動物、生物体−由来、真菌、または細菌免疫原、類毒素、毒素と、自己抗原と、多糖類と、タンパク質と、糖タンパク質と、ペプチドと、細胞ワクチンと、DNAワクチンと、自己ワクチンと、組み換えタンパク質と、糖タンパク質と、ペプチドなどの体液性および/または細胞性いずれかの媒介免疫応答を生じるあらゆる材料との組み合わせで使用するためのワクチンアジュバントとして有用かもしれない。
【0088】
特定の選択的活性化合物は、損なわれた免疫機能を有する個人において特に有用であるかもしれない。例えば特定の化合物は、例えば移植患者、癌患者、およびHIV患者において、細胞媒介免疫の抑制後に生じる日和見感染および腫瘍を処置するために使用されても良い。
【0089】
選択的活性化合物は、対象への投与に適したあらゆる調合物中で提供されても良い。適切なタイプの調合物については、例えば米国特許第5,736,553号明細書、同第5,238,944号明細書、同第5,939,090号明細書、同第6,365,166号明細書、同第6,245,776号明細書、同第6,486,186号明細書、欧州特許第EP0394026号明細書、および米国特許公報第2003/0199538号明細書で述べられる。選択的活性化合物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、またはあらゆる混合物の形態をはじめとするがこれに限定されるものではないあらゆる適切な形態で提供されても良い。選択的活性化合物は、あらゆる薬剤的に許容可能な賦形剤、キャリア、またはビヒクルと共に調合物中でデリバリされても良い。例えば調合物は、例えばクリーム、軟膏、煙霧剤調合物、非煙霧剤スプレー、ゲル、ローションなどの従来の局所用調剤中でデリバリされても良い。調合物は、例えばアジュバント、皮膚透過賦活剤、着色剤、芳香剤、香料、保湿剤、増粘剤などの1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0090】
調合物は、例えば非−非経口または非経口でなどのあらゆる適切な様式で投与されても良い。ここでの用法では、非−非経口とは経口摂取をはじめとする、消化管を通した投与を指す。非経口とは、例えば静脈内、筋肉内、経皮、皮下、経粘膜(例えば吸入)、または局所などの消化管を通した以外の投与を指す。
【0091】
いくつかの実施形態では、選択的活性化合物は、対象に例えば約0.0001%〜約10%(特に断りのない限りここで提供されるあらゆる百分率は、全調合物に対する重量/重量である)の調合物で対象に投与できるが、いくつかの実施形態では、選択的活性化合物は、この範囲外の濃度で選択的活性化合物を提供する調合物を使用して投与されても良い。特定の実施形態では、方法は、例えば約0.1%〜約0.5%の選択的活性化合物を含む調合物などをはじめとする、約0.01%〜約1%の選択的活性化合物を含む調合物を対象に投与するステップを含む。
【0092】
病状を処置するのに効果的な選択的活性化合物の量は、所望の治療的なまたは予防的な利点を提供するのに十分な量である。病状を処置するための選択的活性化合物の正確な量は、病状、選択的活性化合物の物理的および化学的性質、キャリアの性質、意図される投与計画、対象の免疫系の状態(例えば抑制されている、損なわれている、刺激されている)、選択的活性化合物を投与する方法、および調合物が投与される種をはじめとするが、これに限定されるものではない、技術分野で既知の要因次第で変動する。したがってあらゆる可能な用途において、病状を処置するために効果的な選択的活性化合物の量を構成する量を一般に述べることは実用的でない。しかし当業者はこのような要因を十分考慮して、適切な量を容易に判定できる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、例えば対象に約100ng/kg〜約50mg/kgの用量を提供するのに十分な選択的活性化合物を投与するステップを含むが、いくつかの実施形態では、方法はこの範囲外の濃度で選択的活性化合物を投与して実施されても良い。これらの実施形態のいくつかでは、方法は、例えば約100μg/kg〜約1mg/kgの用量などの約10μg/kg〜約5mg/kgの用量を提供するのに十分な選択的活性化合物を対象に投与するステップを含む。
【0094】
投与計画は、少なくともある程度、病状、選択的活性化合物の物理的および化学的性質、キャリアの性質、投与される選択的活性化合物の量、対象の免疫系の状態(例えば抑制されている、損なわれている、刺激されている)、選択的活性化合物を投与する方法、および調合物が投与される種をはじめとするが、これに限定されるものではない、技術分野で既知の多くの要因に左右されても良い。したがってあらゆる可能な用途において、病状を処置するために効果的な投与計画を一般に述べることは実用的でない。しかし当業者はこのような要因を十分考慮して、適切な量を容易に判定できる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態では、選択的活性化合物は、例えば毎日単回の投与から複数回の投与で投与されても良いが、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、この範囲外の頻度で選択的活性化合物を投与して実施されても良い。特定の実施形態では、選択的活性化合物は、例えば選択的活性化合物を毎日1回投与するなど、週約1回から毎日約3回で投与されても良い。
【0096】
病状を処置される生物体は、植物または動物、特に脊椎動物であっても良い。好ましくは傷害を処置される生物体は、ヒト、齧歯類、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、またはウシなどであるが、これに限定されるものではない哺乳類である。
【0097】
いくつかの実施形態では、選択される化合物は、以下で詳細に述べられる小型有機IRM分子をはじめとする既知のIRM化合物、または上述のプリン誘導体、小型ヘテロ環式化合物、アミド誘導体、およびオリゴヌクレオチド配列であることができる。代案としては、選択される化合物は、本発明に従った方法のいくつかをはじめとする、このような化合物を同定するあらゆる適切な方法によって同定される、少なくとも1つのTLR−媒介細胞活性を選択的に調節できる化合物であっても良い。
【0098】
本発明で使用するのに適したIRM化合物としては、五員環窒素含有ヘテロ環に縮合した2−アミノピリジンを有する化合物が挙げられる。例えばこのような化合物としては、例えばアミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、ヘテロ環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、および6−、7−、8−、または9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミンなどの置換イミダゾキノリンアミンをはじめとするが、これに限定されるものではないイミダゾキノリンアミンと、アミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、ヘテロ環式エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテル、およびチオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンをはじめとするが、これに限定されるものではないテトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミド置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミド置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンアミン、アリールエーテル置換イミダゾピリジンアミン、ヘテロ環式エーテル置換イミダゾピリジンアミン、アミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンエーテル、およびチオエーテル置換イミダゾピリジンアミンをはじめとするが、これに限定されるものではないイミダゾピリジンアミンと、1,2−架橋イミダゾキノリンアミンと、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミンと、イミダゾナフチリジンアミンと、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミンと、オキサゾロキノリンアミンと;チアゾロキノリンアミンと、オキサゾロピリジンアミンと、チアゾロピリジンアミンと、オキサゾロナフチリジンアミンと、チアゾロナフチリジンアミンと、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体とが挙げられる。
【0099】
特定の実施形態では、IRM化合物は、置換イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンであっても良い。
【0100】
ここでの用法では、置換イミダゾキノリンアミンとは、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、ヘテロ環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、または6−、7−、8−、または9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミンを指す。ここでの用法では置換イミダゾキノリンアミンは、具体的におよび明示的に1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンおよび4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールを除外する。
【0101】
いくつかの実施形態では、選択される化合物は、上で詳述した小型有機IRM分子をはじめとする既知のIRM化合物、または上述のプリン誘導体、小型ヘテロ環式化合物、アミド誘導体、およびオリゴヌクレオチド配列であることができる。代案としては、選択される化合物は、共通のTLRによって媒介され、本発明に従ったいくつかの方法をはじめとするこのような化合物を同定するあらゆる適切な方法で同定される、複数の細胞活性の少なくとも1つの細胞活性を選択的に調節できる化合物であっても良い。
【実施例】
【0102】
以下の実施例は、単に本発明の特徴、利点、およびその他の詳細をさらに例証するために選択されている。しかし実施例はこの目的を果たしながら、使用する特定の材料および量ならびにその他条件および詳細は、本発明の範囲を不当に制限するものではないことが明示的に理解されるものとする。
【0103】
以下に提供する実施例で使用されるIRM化合物を表2で特定する。
【0104】
【表2】

【表3】

【表4】

【0105】
細胞
HEK293細胞:不死化ヒト胎生期腎細胞は、バージニア州マナッサスの米国微生物系統保存機関から入手できる(ATCC No.CRL−1573)。
【0106】
ナマルワ(Namalwa)細胞:バーキットリンパ腫リンパ芽球腫細胞は、バージニア州マナッサスのATCC米国微生物系統保存機関から入手できる(ATCC No.CRL−1432)。
【0107】
HEK293細胞におけるTLR7活性化
2mMのL−グルタミン添加90%最小基本培地(MEM)と、1.5g/Lの炭酸水素ナトリウム、0.1mMの非必須アミノ酸、および1.0mMのピルビン酸ナトリウムを含有するように調整されたメリーランド州ロックビルのインビトロジェン(Invitrogen Corp.(Rockville、MD))からのアール平衡塩溶液と、10%熱不活性化ウシ胎児血清とからHEK293培地を調製した。細胞をHEK293培地中で一晩37℃、8%CO2でインキュベートして、HEK293細胞を培養した。
【0108】
形質移入の24時間前に、37℃、8%CO2でHEK293細胞をニューヨーク州コーニングのコーニング(Corning Inc.(Corning、NY))からの10cm皿(コーニング(Corning)430167)に付着させた。製造元の指示に従って(1)10:1の比率である、a)未変性の(H−ベクター)、または(b)発現性ヒトTLR7遺伝子(H−TLR7)含有のいずれかであるカリフォルニア州パロ・アルトのBDバイオサイエンス・クロンテック(BD Biosciences Clontech(Palo Alto、CA))からのpIRES、および(2)カリフォルニア州ラ・ホーヤのストタラジーン(Stratagene(La Jolla、CA))からのNF−kB−lucレポーターと、インディアナ州インディアナポリスのロシェ・ダイアグノスティックスからのフュージーン(Fugene)6形質移入試薬(Roche Diagnostics Corp.(Indianapolis、IN))とで、細胞を同時形質移入した。形質移入に続いてプレートを24時間インキュベートし、次にG−418(400μg/mL)中で2週間選択した。刺激実験のために、発現性TLR7遺伝子または空のベクターのいずれかを含有するG−418抵抗性細胞をG−418を補ったHEK293培地中で増殖させた。
【0109】
形質移入された細胞をウェル当たり100μLのHEK293培地中の5×104個の細胞の濃度で、ニューヨーク州コーニングのコスター、(Corning,Inc.(Corning、NY))からの白色不透明な96ウェルプレート(コスター(Costar)3917)に蒔いて、37℃、8%CO2で4時間インキュベートした。DMSO中1mMの1μLのIRM化合物(最終IRM濃度10μM)で、または対照として1μLのDMSOで細胞を刺激した。次にプレートを37℃、5%CO2でさらに16時間インキュベートした。コネチカット州メリデンのパッカード・インターナショナル(Packard Instrument Co.(Meriden、CT)からのラックライト(LucLite)キットを使用してルシフェラーゼシグナルを読みとった。カリフォルニア州サニーベールモレキュラー・デバイシズ(Molecular Devices Corp.(Sunnyvale、CA))からのLMAX照度計上でルミネッセンスを測定した。
【0110】
ナマルワ(Namalwa)細胞におけるTLR7活性化
特に断りのない限り、あらゆるインキュベーションは37℃および湿度98%で5%のCO2と共に実施した。
【0111】
カリフォルニア州カマルリロのバイオソース・インターナショナル(BioSource International,Inc.(Camarillo、CA))からの完全RPMI 1640培地から培養液を調製した。コロラド州フォートコリンズのアトラス・バイオロジカルズ(Atlas Biologicals,Inc.(Ft.Collins、CO))からのウシ胎仔血清を最終濃度7.5%(vol/vol)で添加し、バイオソース・インターナショナル(BioSource International,Inc.)からのL−グルタミンを5mMで添加し、ピルビン酸ナトリウム(バイオソース・インターナショナル(BioSource International,Inc.))を1mMで添加した。
【0112】
培養液中で一晩のインキュベーションによりナマルワ(Namalwa)細胞を培養した。卓上遠心分離(1200RPMで5分間)によって細胞を収集し、次に1.3×107細胞/mLの濃度でリン酸緩衝スクロースに再懸濁した。
【0113】
各形質移入のために、750μLのアリコートの細胞懸濁液を4mmのギャップを残して電気穿孔キュベットに入れた。各アリコートは形質移入DNA、BglII部位(pIFN−α1−luc)にクローンされたヒトIFN−α1プロモーターを含有するウィスコンシン州マジソンのプロメガ・コープ(Promega Corp.(Madison、WI))からの10μgのpGL3−促進ベクター、および(1)未変性(N−ベクター)の、または(2)発現性ヒトTLR7遺伝子(N−TLR7)を含有する、プロメガ・コープ(Promega Corp.)からの10μgのpCI−ネオ哺乳類発現ベクターを受容した。細胞とベクターの混合物を室温で5分間インキュベートした。500μFの電気容量および0.27ボルトに設定した、カリフォルニア州ハーキュリーズのバイオラドラ・ボラトリーズ(BioRad Laboratories(Hercules、CA))からのバイオラドジーンパルサー(BioRad Gene Pulser)を使用して細胞を電気穿孔し、次に室温で5分間インキュベートした。
【0114】
電気穿孔細胞を10mLの培養液に懸濁して、一晩インキュベートした。カリフォルニア州オーバーンのミルテニィ・バイオテック(Miltenyi Biotec(Auburn、CA))からのMACS死滅細胞除去キットを使用して、死滅細胞および残骸を24時間後に除去した。細胞を10mLの培養液に再懸濁して、さらに24時間インキュベートした。
【0115】
ウィスコンシン州マジソンのプロメガ・コープ(Promega Corp.(Madison、WI))からのG418を最終濃度1mg/mLで添加し、細胞を7日間インキュベートすることによって、形質移入細胞を選択した。
【0116】
形質移入細胞を選択して計数し、1mLあたり1×106細胞の濃度で培養液中に再懸濁した。100μlの細胞のアリコートをニューヨーク州コーニングのコーニング(Corning Inc.(Corning、NY))からの白色壁白色底の96−ウェルプレートのウェルに入れた。表1からの1.0μLのIRM化合物(100%DMSO中1mMに調製された)をIRM化合物が10μMの最終濃度になるように、いくつかの細胞アリコートに添加した。正の対照として、IRM化合物の代わりにセンダイウィルスと共にいくつかの細胞アリコートをインキュベートした。負の対照として、IRM化合物なしのDMSOと共にいくつかの細胞アリコートをインキュベートした。全ての場合で細胞を18時間インキュベートした。
【0117】
コネチカット州メリデンのパッカード・インストゥルメンツ(Packard Instruments(Meriden、CT))からの水で戻した1容積のLucLight Plusを細胞の各アリコートに添加する前に、プレートを室温で平衡化した。5分間暗順応に設定したカリフォルニア州サニーベールのLJLバイオシステムズ(LJL Biosystems,Inc.(Sunnyvale、CA))からのLJLアナリスト(Analyst)上で、プレートの各ウェルを読み取った。
【0118】
結果を表3に報告する。データをそれぞれ、化合物なしのDMSO対照に正規化した(H−TLR7/H−ベクター)および(N−TLR7/N−ベクター)のTLR7−媒介ルシフェラーゼシグナルにおける増大倍数として表す。
【0119】
【表5】

【0120】
本発明の範囲と精神を逸脱することなく、本発明の様々な修正と変更が可能であることは業者には明らかである。例証的な実施形態および実施例は例としてのみ提供され、本発明の範囲を制限することを意図しない。本発明の範囲は以下で述べる特許請求の範囲によってのみ制限されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)TLRによって媒介される第1の細胞活性の調節を検出するステップと、
(2)上記TLRによって媒介される第2の細胞活性の調節を検出するステップと、
(3)試験化合物が、第2の細胞活性を調節するのとは異なる程度に第1の細胞活性を調節する場合、共通のTLRによって媒介される複数の細胞活性の少なくとも1つの細胞活性を選択的に調節する化合物として、上記試験化合物を同定するステップと、を含んでなる、共通のTLRによって媒介される複数の細胞活性の少なくとも1つの細胞活性を選択的に調節する化合物を同定する方法。
【請求項2】
前記試験化合物が前記第1の細胞活性を調節し、前記第2の細胞活性を調節しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法に従って同定される化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の方法に従って同定される化合物を含んでなる、医薬品組成物またはそのプロドラッグ。
【請求項5】
(1)共通のTLRによって媒介される細胞活性の標的調節プロフィールを選択するステップと、
(2)共通のTLRによって媒介される細胞活性の調節プロフィールを試験化合物について判定するステップと、
(3)上記試験化合物の調節プロフィールが上記標的調節プロフィールに合致する場合、該試験化合物を標的化合物として同定するステップと、を含んでなる、共通のTLRによって媒介される細胞活性の標的調節プロフィールを有する標的化合物を同定する方法。
【請求項6】
前記標的調節プロフィールが、検知できる程に標的化合物によって調節されない1つ以上のTLR−媒介細胞活性を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
試験化合物の調節プロフィールを判定することが、TLR−媒介細胞活性の調節を検出するための少なくとも1つのアッセイを実施することを含んでなる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法に従って、標的化合物として同定される化合物。
【請求項9】
請求項5に記載の方法に従って同定される標的化合物を含んでなる、医薬品組成物またはそのプロドラッグ。
【請求項10】
(1)TLRによって媒介される第1の細胞活性を有する第1の免疫系細胞集団、および上記TLRによって媒介される第2の細胞活性を有する第2の免疫系細胞集団を同定するステップと、
(2)上記第2の細胞活性を調節するのとは異なる程度に上記第1の細胞活性を調節する化合物を選択するステップと、
(3)免疫系細胞と、少なくとも1つの細胞活性を調節するのに効果的な量の上記選択された化合物とを接触させることにより、少なくとも1つの細胞集団の細胞を調節するステップと、を含んでなる、免疫系細胞を選択的に調節する方法。
【請求項11】
前記第1の細胞集団のTLR発現プロフィール、および前記第2の細胞集団のTLR発現プロフィールを判定するステップをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
化合物を選択するステップが、前記第1の細胞集団のTLR発現プロフィールおよび前記第2の細胞集団のTLR発現プロフィールと、化合物のTLR−媒介細胞活性調節プロフィールとを比較するステップを含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
細胞活性を調節することが、検知できる程に細胞活性を増大させる、または検知できる程に細胞活性を低下させることを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が前記第1の細胞活性を調節して、前記第2の細胞活性を検知できる程に調節しない、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が双方の細胞活性を調節する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの細胞集団が生体外(in vitro)で調節される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの細胞集団が生体内で(in vivo)で調節される、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
(1)病状を処置するのに効果的な、共通のTLRによって媒介される細胞活性の標的調節プロフィールを同定するステップと、
(2)上記標的調節プロフィールに合致する、共通のTLRによって媒介される細胞活性の調節プロフィールを有する化合物を選択するステップと、
(3)上記病状を処置するのに効果的な量の上記化合物を対象に投与するステップと、を含んでなる、共通のTLRによって媒介される細胞活性の選択的調節で処置できる病状を有する対象を処置する方法。
【請求項19】
前記病状が感染症または新生物性病状である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記感染症がウィルス性疾患、真菌疾患、寄生生物症、細菌疾患、またはプリオン媒介疾患である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記新生物性病状が上皮内新生物、前癌新生物、または癌である、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2006−523452(P2006−523452A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507525(P2006−507525)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/008979
【国際公開番号】WO2004/087049
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】