内副管用継手
【構成】 内副管用継手10は流入口28を備え、流入口28の両側に側壁面32が設けられる。そして、側壁面32に取り付けられたヒンジ38により壁面部40が着脱可能に取り付けられる。このため、壁面部40を閉めると、壁面部40は、流入口28の前方に装着され、本体開口30を覆う。一方、壁面部40を開けると、壁面部40は除去され、本体開口30が現れる。
【効果】 壁面部40を開けることにより、本体開口30から流入管内を目視により点検でき、内副管の取りはずしが不要になり、また作業手間が除けるなど維持管理の簡素化が図られる。また、壁面部40を閉めておくと、多量の汚水がマンホール内へ流出することも防げる。
【効果】 壁面部40を開けることにより、本体開口30から流入管内を目視により点検でき、内副管の取りはずしが不要になり、また作業手間が除けるなど維持管理の簡素化が図られる。また、壁面部40を閉めておくと、多量の汚水がマンホール内へ流出することも防げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内副管用継手に関し、特にたとえば、下水管路のマンホールに用いられる、内副管用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内副管用継手の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1のマンホール用管継手は流入管受け部を有し、流入管受け部は側方へカーブしつつ膨れ出るような横長の形態を呈し、カーブ形状の外周部を取り囲むように側壁が設けられている。
【特許文献1】特開2002−4313号公報[E02D 29/12、E03F 5/02、F16L 41/02]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の従来技術では、流入管受け部は上方開放状態ではあるが、流入管受け部の前方に対向する位置に側壁が設けられているため、流入管の内部を目視による点検や掃除ができない。また、掃除時には内副管を取り外して作業を行うなど作業の手間がかかる。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、目視による流入管内の点検や作業手間の省略など、マンホール内での下水管路の維持管理を簡素化することができる、内副管用継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、流入管が接続されるマンホールの内面に取り付けられる上方が開口する内副管用継手であって、流入管からの汚水を受ける流入口を備え、流入管の管底部より上において流入管に対向する壁面をなくしたことを特徴とする、内副管用継手である。
【0006】
請求項1の発明では、内副管用継手は、流入口を備え、流入口が流入管からの汚水を受けるようにマンホールの内面に取り付けられる。この内副管用継手において流入管に対向する壁面が流入管の管底部より上に形成されていない。
【0007】
このように、流入管に対向する壁面が流入管の管底部より上に形成されていないことにより、流入管に対向する位置から流入管の中を直接目視することができ、内副管を外さずに流入管の点検や掃除を行えるなど下水管路の維持管理を容易にすることができる。
【0008】
請求項2の発明は、流入管に対向し、かつ着脱可能に設けられる壁面部をさらに備え、供用時には壁面部が装着され、点検または掃除時には壁面部が除去される、請求項1記載の内副管用継手である。
【0009】
請求項2の発明では、維持管理時以外の供用時に流入管に対向する壁面部を装着すると、流入口から流入する汚水が増えても、汚水が壁面部で跳ね返り、内副管の流出側へ汚水が流れ込むため、汚水が内副管用継手から溢れ出してしまうことがない。
【0010】
これに対して、維持管理時に流入管に対向する壁面部を除去すると、流入管に対向する位置から流入管の中を直接目視し、作業を行うことができるなど下水管路の維持管理をし易くなる。
【0011】
請求項3の発明は、流入口側からマンホールの中心側へ延びる側壁面をさらに備え、側壁面は両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲する、請求項1または2記載の内副管用継手である。
【0012】
請求項3の発明では、流入口側からマンホールの中心側へ延びる側壁面は、その両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲すると、汚水に含まれる固形物が流入口の両側の壁面に付着して堆積することがないため、汚水は内副管用継手内をスムーズに流れ、しかも、内副管用継手の掃除の手間が省ける。
【0013】
請求項4の発明は、流入口は円弧状の下辺を有し、かつ円弧の径が流入管の径以上に大きく形成される、請求項1ないし3のいずれかに記載の内副管用継手である。
【0014】
請求項4の発明では、流入口の下辺は円弧状に形成され、その円弧の径が流入管の径と同じまたはそれより大きく設定されると、流入口は流入管の管端開口と一致する、または流入口は流入管の管端開口より外側に配置されるため、流入口は流入管から排出される汚水を受けることができる。よって、流入口の径を流入管径に合わせずに、設計仕様範囲内で最も大きな口径の流入管の径に設定することで、内副管用継手を汎用化することができるため、製品の種類および在庫量の削減、ならびに生産の効率化に繋がり、経済性に優れる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、内副管用継手において流入管に対向する壁面が流入管の管底部より上に形成されていないことにより、流入管の維持管理を容易にすることができる。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に示すこの発明の一実施例である内副管用継手10は、図2に示すマンホール12の内面に取り付けられる。マンホール12の上流側の側壁14に流入管16が接続され、マンホール12の下流側の側壁14に流出管18が流入管16と所定の段差で接続されて、汚水や雨水などを搬送する下水管路が形成される。
【0018】
図1〜図5に示すように、内副管用継手10は本体20を含む。本体20の壁面22はマンホール12の側壁14の曲率と同じ曲率で湾曲し、壁面22の外面は側壁14の内面に沿うように形成される。その壁面22の外面にパッキン24が貼り付けられる。壁面22の側端部および下端部は後述する本体20の側壁面より外側へ突出し、壁面22の側端部の突出した部分に複数、この実施例では8つの挿通孔26が形成される。
【0019】
壁面22がU字状に切り取られ、切り取られた部分は流入口28として用いられる。流入口28の上方に壁面22は設けられず、壁面22は流入口28の側方および下方へ延びる。流入口28はU字状であって、流入口28は円弧状の下辺28aを有する。流入口28の幅、円弧の径および流入口28の高さは流入管16の内径と同じまたはそれより大きく設定される。これにより、流入口28を流入管16の管端開口16aの位置に合わせると、流入口28の径が流入管16の内径と同じ場合、流入口28は流入管16の管端開口と一致し、流入口28の径が流入管16の内径より大きい場合、流入口28の縁は管端開口16aの外側に配置される。
【0020】
本体20の流入口28に対向する壁面は設けられず、本体開口30が形成される。
【0021】
本体20の側壁面32は、流入口28の両側および下側に設けられる。側壁面32は湾曲した板状体であって、その断面形状はU字状に形成される。つまり、側壁面32は、その両側端32c、32dから中央、つまり下部に向かって下り勾配が付けられ、かつ下部から両側端32c、32dに向かうに伴い上に向かって湾曲する。側壁面32の第1端32aは流入口28から外側に間隔を隔てて壁面22の内面に接合され、側壁面32の第2端32b側の内面に溝部34が取り付けられる。溝部34は側壁面32の内面に沿って、U字状に形成される。溝部34に溝34aが設けられ、溝部34の断面はコ字状に形成される。溝34aの開口は流入口28と反対側、つまり本体開口30側を向き、その溝34aに止水リング36が嵌め込まれるため、本体開口30の側部および下部を囲むように止水リング36は配置される。
【0022】
また、側壁面32の第1側端32c側の第2端32bにヒンジ38を介して壁面部40が開閉自在に取り付けられる。壁面部40は本体開口30を覆う大きさのU字状の板状体であって、壁面部40の一方端にヒンジ38が装着される。このため、壁面部40が流入口28の前方に着脱可能に取り付けられる。つまり、壁面部40を閉めると、壁面部40が流入口28に対向するように流入口28の前方に装着され、壁面部40は本体開口30を覆う。一方、壁面部40を開けると、流入口28の前方から除去され、本体開口30が現れる。また、壁面部40の大きさは止水リング36の配置された範囲より大きく形成されるため、壁面部40を閉めると止水リング36が壁面部40で圧着されて、本体開口30は止水状態で塞がれる。壁面部40の他方端側に回転ねじ42が装着される。
【0023】
側壁面32の第2側端32d側の第2端32bにヒンジ44を介して留具46が取り付けられる。留具46は板状に形成され、その一方端はヒンジ44に接合され、他方端部には縦長楕円の切り欠き48が設けられる。切り欠き48は、壁面部40を閉めた際に回転ねじ42が切り欠き48内に嵌まる位置に設定されて、回転ねじ42を切り欠き48内に嵌めて回転すると、壁面部40を閉めた状態が保持される。
【0024】
本体20の上方が開口する。一方、本体20の下方、つまり流入口28と壁面部40との間で、側壁面32の下部に管部50が接続される。管部50は、その断面が円形の筒状に形成され、管部50の上端は本体20の下部に接合され、管部50の下端開口は流出口として利用される。
【0025】
このような内副管用継手10をマンホール12に取り付ける場合、まず壁面部40を閉めて、回転ねじ42を切り欠き48に挿入し、回転させて、壁面部40が開かない状態にする。それから、壁面22をマンホール12の側壁14の内面に沿わせながら、流入口28の下辺28aが流入管16の管底部16bの位置またはそれより外側に位置するように内副管用継手10を配置する。これにより、流入口28は流入管16の管端開口16aの前方に位置し、壁面部40は流入口28および管端開口16aの前方でこれらに対向するように設けられる。また、側壁面32は流入口28側からマンホール12の中心側へ延びる。
【0026】
次に、壁面22の挿通孔26にアンカーボルト52を挿通し、締め付けて、内副管用継手10をマンホール12に固定する。このとき、パッキン24がマンホール12の側壁14の内面および壁面22の外面に圧着されて、壁面22とマンホール12の側壁14の内面との間の止水性が保持される。
【0027】
そして、内副管用継手10の管部50の下端開口に内副管54を接合する。たとえば、内副管54は短管56、直管58および90度エルボ60を備える場合、短管56の上端を管部50の下端開口に接合し、短管56の下端に直管58の上側受口を接合してから、直管58の下端に90度エルボ60の上側受口を接合する。これにより、90度エルボ6060の下側受口は、水平方向に向って開口し、マンホール12の底部に設けたインバート部62と略平行する方向に開口する。そして、内副管54、たとえば直管58を固定金具64によってマンホール12の側壁14に固定する。
【0028】
この固定した内副管用継手10の供用時、流入口28および流入管16の管端開口16aに対向する位置に壁面部40が装着される。そして、流入管16から汚水が流れてくると、汚水は流入口28から本体20内に流入し、汚水が多くなると側壁面32上を流れて、管部50に流下する。そして、管部50の下端開口から内副管54へ流入し、内副管54内を通ってインバート部62に排出される。それから、インバート部62を通って流出管18に流入して排水される。
【0029】
このとき、側壁面32はその両側端から管部50に向かって下り勾配が付けられるため、汚水は内副管用継手10内をスムーズに流れ、しかも、汚水に含まれる固形物が流入口28の両側に付着して堆積することもないため、流下性能を損なわずに汚水を流すことができ、また作業負担も少なくなる。
【0030】
また、側壁面32は、両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲し、流入口28から流入する汚水を受ける方向に湾曲することにより、多量の汚水が流れる場合、汚水は側壁面32に衝突し流下する。また、流入口28および管部50の前方に流入口28および流入管16に対向する壁面部40を設けることにより、流入口28から前方に向かう汚水は壁面部40に衝突して流下し、管部50へ流れる。このため、本体20の上部開口から飛び出しにくくなる。
【0031】
また、内副管用継手10の維持管理時、回転ねじ42を回転し、切り欠き48から抜いて、図5および図6に示すように、壁面部40を横方向に開ける。これにより、流入口28の前方から流入口28および流入管16の管端開口16aに対向する壁面部40が除去され、流入管16の管底部16bより上において流入口28の前方に流入管16の管端開口16aに対向する壁面がなくなるため、本体開口30から流入管16内を目視で直接見て、流入管16の掃除や点検などを行なえる。
【0032】
このように、本体開口30を設けて、流入管16の管底部16bより上において流入口28の前方に流入管16の管端開口16aに対向する壁面をなくし、かつその本体開口30に開閉自在に壁面部40を設けることにより、供用時には壁面部40を閉めて汚水の漏れ出しを防止して、マンホール12の維持管理の負担が軽減され、一方、流入管16などの維持管理時には壁面部40を開けて流入管16を目視することができ、流入管16の維持管理の作業性向上が図られる。
【0033】
また、流入口28の円弧状の部分の径が流入管16の径と同じまたはそれより大きい内副管用継手10を用いると、流入口28は流入管16の管端開口16aと一致する、またはそれより外側に配置されるため、流入口28は流入管16から排出される汚水を受けることができる。よって、流入口28の径を流入管16の径ごとに合わせた内副管用継手10を用意する必要がなく、内副管用継手10に汎用性を持たせることで、製品の種類および在庫量の削減、ならびに生産の効率化につながり、経済性に優れる。
【0034】
なお、流入口28の高さを流入管16の内径と同じまたはそれより大きく設定したが、これを流入管16の内径より低く設定することもできる。
【0035】
また、流入口28をU字状に形成し、流入口28の上方に壁面22は設けなかったが、流入口28を円形状などに形成し、流入口28を壁面22で囲んでもよい。
【0036】
さらに、側壁面32の第1側端32c側にヒンジ38を装着し、そのヒンジ38により壁面部40が横方向に開くように壁面部40を取り付けたが、図7に示すように、側壁面32の下部にヒンジ66を装着し、ヒンジ66により壁面部40が縦方向に開くように壁面部40を取り付けることもできる。この場合、側壁面32の第1側端32cおよび第2側端32dのそれぞれにヒンジ44を介して留具46が取り付け、壁面部40を閉めた際に留具46の切り欠き48に対応する壁面部40の位置に回転ねじ42を取り付ける。これにより、壁面部40は流入口28の前方に流入管16の管端開口16aに対向して着脱可能に設けられる。
【0037】
図8に示すこの発明の他の実施例である内副管用継手10は図1に示す内副管用継手10とほぼ同じであるが、壁面部の接合方法が異なる。図1の内副管用継手10では、壁面部40をヒンジ38により取り付けたが、図8の内副管用継手10では、壁面部67を溝68に嵌めて取り付ける点が異なる。これ以外の部分に関しては図1実施例の示す内副管用継手10と同様であるため、説明は省略する。
【0038】
図8〜図10に示すように、側壁面32の第2端32b側の内面に溝68が設けられる。溝68は側壁面32の内面に沿ってU字状に形成され、溝68の開口は側壁面32の内側を向く。そして、溝68の流入口28側の側面に溝69がさらに形成され、その溝69の中にOリング70が配置される。溝68の本体開口30側の側壁に複数のタップ孔72が形成される。そして、溝68の本体開口30側の側面と溝69の底面との間の間隔はOリング70の径と壁面部67の厚みとを足した長さと同じまたはそれより大きく設定される。
【0039】
壁面部67は板状であり、U字状に形成される。壁面部67の大きさはOリング70を覆う大きさであって、壁面部67の幅は対向する溝68の奥面間の長さ以下で、かつ高さは側壁面32の側端32c,32dから側壁面32の下部の溝68の奥面までの高さ以下に設定される。このため、壁面部67は流入口28の前方に流入口28および流入管16の管端開口16aに対向して着脱可能に設けられる。つまり、壁面部67を溝68に嵌め下方にスライドさせると、壁面部67は流入口28の前方に流入口28および管端開口16aに対向して装着され、本体開口30を覆う。一方、壁面部67に取り付けられた把手67aにより壁面部67を上方にスライドさせて抜くと、壁面部67は流入口28の前方から除去され、本体開口30は現れる。
【0040】
このような内副管用継手10の供用時には、壁面部67を溝68に嵌めて、タップ孔72にボルト74を挿しこみ締め付けると、壁面部67はOリング70を溝68の側面に押し付ける。これにより、Oリング70は溝68の側面および壁面部67に圧着されて、壁面部67は止水性を確保した状態で本体開口30を覆いながら側面部67に固定される。このため、多量の汚水が流れ、流入口28から管部50を超えると、その汚水は流入口28および管端開口16aに対向する壁面部67に衝突して、流入口28側へ跳ね返り、管部50に流入する。よって、通常、汚水が内副管用継手10から漏れ出ることなく、マンホール12の維持管理時の作業性の向上、効率化を図ることができる。
【0041】
また、流入管16や内副管用継手10の維持管理時には、ボルト74を緩めてから、図11(A)に示すように把手67aを持って壁面部67を上へスライドさせて抜き取る。これにより、図11(B)に示すように、流入管16の管底部16bより上において流入口28の前方に流入口28および管端開口16aに対向する壁面がなくなるため、本体開口30から流入管16内を目視で直接見て、流入管16の点検や掃除などを行なえる。
【0042】
このように、流入管16の管底部16bより上において流入口28および流入管16の管端開口16aに対向する壁面を流入口28の前方に設けずに本体開口30を形成し、この本体開口30を覆う壁面部67を着脱可能に取り付ければ、マンホール12および流入管16の維持管理を容易に行うことができる。
【0043】
また、壁面部67を上下にスライドさせることにより、狭いスペースで壁面部67を開閉させることができるため、作業性に優れ、しかも内径が小さなマンホール12でも開閉可能であるため、汎用的に取り扱うことができる。
【0044】
図12に示すこの発明の他の実施例である内副管用継手10は流入口82を備える。図12〜図15に示すように、流入口82は円弧状に形成され、その径は流入管16の内径と同じまたはそれより大きく設定される。これにより、流入口82を流入管16の管端開口の位置に合わせると、流入口82の径が流入管16の内径より大きい場合、管端開口16aの外側に配置され、流入口82の径が流入管16の内径と同じ場合、流入口82は流入管16の管端開口と一致する。
【0045】
流入口82の縁から側方および下方へ壁面84が延びる。壁面84は、マンホール12の側壁14と同じ曲率で湾曲し、その外面が側壁14の内面に沿うように形成される。壁面84の端部に複数、この実施例では4つの挿通孔26が形成され、壁面84の外面にパッキン24が取り付けられる。
【0046】
流入口82の両側に側壁面86が設けられる。側壁面86は板状体であって、その断面形状は円弧状に形成される。つまり、側壁面86は、両側端から中央、つまり下部に向かって下り勾配が付けられ、かつ下部から両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲する。そして、側壁面86の第1端86aは壁面84に接合され、側壁面86は流入口82の縁から立ち上がる。一方、側壁面86の第2端86b側、つまり流入口82に対向する壁面は設けられない。
【0047】
側壁面86の下部に管部50が接続される。管部50は、その断面が円形の筒状に形成され、管部50の下端開口は流出口として利用される。
【0048】
このような内副管用継手10をマンホール12に取り付ける場合、壁面84をマンホール12の側壁14の内面に沿わせながら、流入口82の下辺82aが流入管16の管底部16bと同じまたはそれより下方に位置するように内副管用継手10を配置する。これにより、流入口82および流入管16の管端開口16aに対向する壁面が流入管16の管底部16bより上において設けられない。
【0049】
次に、壁面84の挿通孔26にアンカーボルト52を挿通し、締め付けて、内副管用継手10をマンホール12に固定する。そして、内副管用継手10の管部50の下端開口に内副管54を接合する。
【0050】
このように、流入口82および流入管16の管端開口16aに対向する壁面を流入口82の前方に設けないことにより、流入管16を維持管理する際に流入管16の管底部16bより上において視線などを遮るものがないため、流入口82および流入管16の管端開口16aの前方から流入管16内を直接に見ながら、掃除道具や点検具などを流入口82および流入管16の管端開口16aの前方から流入管16内に挿入することができる。
【0051】
また、円弧状の流入口82の径を流入管16の径と同じまたはそれより大きく形成すると、流入口82は流入管16の管端開口16aと一致する、またはそれより外側に広がるため、流入口82は流入管16の管底部16bを受けて、流入管16から排出される汚水を流入口82内へ流入させることができる。よって、流入口82の径と同じまたはそれより小さな内径の流入管16に内副管用継手10を用いることで汎用的に使用することができ、製品の種類および在庫量の削減、ならびに生産の効率化につながり、経済性に優れる。
【0052】
なお、図12に示す側壁面86に湾曲した板状体を用いたが、図16に示すように側壁面88に漏斗状のものを用いることもできる。図16および図17に示すように、側壁面88の上端開口88aを横長の楕円形状にし、下端開口を円形状にする。そして、下端開口に円筒形状の管部50を接合する。この場合も、側壁面88は、両側端から下部に向かって下り勾配が付けられ、かつ下部から両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の一実施例の内副管用継手を示す斜視図である。
【図2】図1に示す内副管用継手をマンホールの側壁の内面に取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】(A)は内副管用継手の上面を示す平面図であり、(B)は(A)の内副管用継手の部分拡大図である。
【図4】(A)は図2に示す内副管用継手の壁面部側を示す平面図であり、(B)は(A)の内副管用継手の部分拡大図である。
【図5】図2に示す内副管用継手を示す断面図である。
【図6】マンホールに取り付けた内副管用継手の壁面部を開けた状態を示す平面図である。
【図7】この発明の別の実施例の内副管用継手を示す平面図である。
【図8】この発明のさらに別の実施例の内副管用継手を示す斜視図である。
【図9】(A)は図8に示す内副管用継手をマンホールに取り付けた状態を示す断面図であり、(B)は(A)の内副管用継手の部分拡大図である。
【図10】図9に示す内副管用継手の壁面部側を示す平面図である。
【図11】(A)は図10に示す内副管用継手の壁面部を開ける状態を示す平面図であり、(B)は(A)の内副管用継手の壁面部を開けた状態を示す断面図である。
【図12】この発明のさらに別の実施例の内副管用継手を示す斜視図である。
【図13】図12に示す内副管用継手をマンホールの側壁の内面に取り付けた状態を示す平面図である。
【図14】図12に示す内副管用継手をマンホールの側壁の内面に取り付けた状態を示す断面図である。
【図15】図12に示す内副管用継手をマンホールの側壁の内面に取り付けた状態を示す断面図である。
【図16】この発明のさらに別の実施例の内副管用継手を示す斜視図である。
【図17】図16に示す内副管用継手の壁面部側を示す平面図である。
【符号の説明】
【0054】
10…内副管用継手
12…マンホール
16…流入管
16a…管底部
28、82…流入口
28a、82a…下辺
32、86、88…側壁面
40、67、76…壁面部
【技術分野】
【0001】
この発明は、内副管用継手に関し、特にたとえば、下水管路のマンホールに用いられる、内副管用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内副管用継手の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1のマンホール用管継手は流入管受け部を有し、流入管受け部は側方へカーブしつつ膨れ出るような横長の形態を呈し、カーブ形状の外周部を取り囲むように側壁が設けられている。
【特許文献1】特開2002−4313号公報[E02D 29/12、E03F 5/02、F16L 41/02]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の従来技術では、流入管受け部は上方開放状態ではあるが、流入管受け部の前方に対向する位置に側壁が設けられているため、流入管の内部を目視による点検や掃除ができない。また、掃除時には内副管を取り外して作業を行うなど作業の手間がかかる。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、目視による流入管内の点検や作業手間の省略など、マンホール内での下水管路の維持管理を簡素化することができる、内副管用継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、流入管が接続されるマンホールの内面に取り付けられる上方が開口する内副管用継手であって、流入管からの汚水を受ける流入口を備え、流入管の管底部より上において流入管に対向する壁面をなくしたことを特徴とする、内副管用継手である。
【0006】
請求項1の発明では、内副管用継手は、流入口を備え、流入口が流入管からの汚水を受けるようにマンホールの内面に取り付けられる。この内副管用継手において流入管に対向する壁面が流入管の管底部より上に形成されていない。
【0007】
このように、流入管に対向する壁面が流入管の管底部より上に形成されていないことにより、流入管に対向する位置から流入管の中を直接目視することができ、内副管を外さずに流入管の点検や掃除を行えるなど下水管路の維持管理を容易にすることができる。
【0008】
請求項2の発明は、流入管に対向し、かつ着脱可能に設けられる壁面部をさらに備え、供用時には壁面部が装着され、点検または掃除時には壁面部が除去される、請求項1記載の内副管用継手である。
【0009】
請求項2の発明では、維持管理時以外の供用時に流入管に対向する壁面部を装着すると、流入口から流入する汚水が増えても、汚水が壁面部で跳ね返り、内副管の流出側へ汚水が流れ込むため、汚水が内副管用継手から溢れ出してしまうことがない。
【0010】
これに対して、維持管理時に流入管に対向する壁面部を除去すると、流入管に対向する位置から流入管の中を直接目視し、作業を行うことができるなど下水管路の維持管理をし易くなる。
【0011】
請求項3の発明は、流入口側からマンホールの中心側へ延びる側壁面をさらに備え、側壁面は両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲する、請求項1または2記載の内副管用継手である。
【0012】
請求項3の発明では、流入口側からマンホールの中心側へ延びる側壁面は、その両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲すると、汚水に含まれる固形物が流入口の両側の壁面に付着して堆積することがないため、汚水は内副管用継手内をスムーズに流れ、しかも、内副管用継手の掃除の手間が省ける。
【0013】
請求項4の発明は、流入口は円弧状の下辺を有し、かつ円弧の径が流入管の径以上に大きく形成される、請求項1ないし3のいずれかに記載の内副管用継手である。
【0014】
請求項4の発明では、流入口の下辺は円弧状に形成され、その円弧の径が流入管の径と同じまたはそれより大きく設定されると、流入口は流入管の管端開口と一致する、または流入口は流入管の管端開口より外側に配置されるため、流入口は流入管から排出される汚水を受けることができる。よって、流入口の径を流入管径に合わせずに、設計仕様範囲内で最も大きな口径の流入管の径に設定することで、内副管用継手を汎用化することができるため、製品の種類および在庫量の削減、ならびに生産の効率化に繋がり、経済性に優れる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、内副管用継手において流入管に対向する壁面が流入管の管底部より上に形成されていないことにより、流入管の維持管理を容易にすることができる。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に示すこの発明の一実施例である内副管用継手10は、図2に示すマンホール12の内面に取り付けられる。マンホール12の上流側の側壁14に流入管16が接続され、マンホール12の下流側の側壁14に流出管18が流入管16と所定の段差で接続されて、汚水や雨水などを搬送する下水管路が形成される。
【0018】
図1〜図5に示すように、内副管用継手10は本体20を含む。本体20の壁面22はマンホール12の側壁14の曲率と同じ曲率で湾曲し、壁面22の外面は側壁14の内面に沿うように形成される。その壁面22の外面にパッキン24が貼り付けられる。壁面22の側端部および下端部は後述する本体20の側壁面より外側へ突出し、壁面22の側端部の突出した部分に複数、この実施例では8つの挿通孔26が形成される。
【0019】
壁面22がU字状に切り取られ、切り取られた部分は流入口28として用いられる。流入口28の上方に壁面22は設けられず、壁面22は流入口28の側方および下方へ延びる。流入口28はU字状であって、流入口28は円弧状の下辺28aを有する。流入口28の幅、円弧の径および流入口28の高さは流入管16の内径と同じまたはそれより大きく設定される。これにより、流入口28を流入管16の管端開口16aの位置に合わせると、流入口28の径が流入管16の内径と同じ場合、流入口28は流入管16の管端開口と一致し、流入口28の径が流入管16の内径より大きい場合、流入口28の縁は管端開口16aの外側に配置される。
【0020】
本体20の流入口28に対向する壁面は設けられず、本体開口30が形成される。
【0021】
本体20の側壁面32は、流入口28の両側および下側に設けられる。側壁面32は湾曲した板状体であって、その断面形状はU字状に形成される。つまり、側壁面32は、その両側端32c、32dから中央、つまり下部に向かって下り勾配が付けられ、かつ下部から両側端32c、32dに向かうに伴い上に向かって湾曲する。側壁面32の第1端32aは流入口28から外側に間隔を隔てて壁面22の内面に接合され、側壁面32の第2端32b側の内面に溝部34が取り付けられる。溝部34は側壁面32の内面に沿って、U字状に形成される。溝部34に溝34aが設けられ、溝部34の断面はコ字状に形成される。溝34aの開口は流入口28と反対側、つまり本体開口30側を向き、その溝34aに止水リング36が嵌め込まれるため、本体開口30の側部および下部を囲むように止水リング36は配置される。
【0022】
また、側壁面32の第1側端32c側の第2端32bにヒンジ38を介して壁面部40が開閉自在に取り付けられる。壁面部40は本体開口30を覆う大きさのU字状の板状体であって、壁面部40の一方端にヒンジ38が装着される。このため、壁面部40が流入口28の前方に着脱可能に取り付けられる。つまり、壁面部40を閉めると、壁面部40が流入口28に対向するように流入口28の前方に装着され、壁面部40は本体開口30を覆う。一方、壁面部40を開けると、流入口28の前方から除去され、本体開口30が現れる。また、壁面部40の大きさは止水リング36の配置された範囲より大きく形成されるため、壁面部40を閉めると止水リング36が壁面部40で圧着されて、本体開口30は止水状態で塞がれる。壁面部40の他方端側に回転ねじ42が装着される。
【0023】
側壁面32の第2側端32d側の第2端32bにヒンジ44を介して留具46が取り付けられる。留具46は板状に形成され、その一方端はヒンジ44に接合され、他方端部には縦長楕円の切り欠き48が設けられる。切り欠き48は、壁面部40を閉めた際に回転ねじ42が切り欠き48内に嵌まる位置に設定されて、回転ねじ42を切り欠き48内に嵌めて回転すると、壁面部40を閉めた状態が保持される。
【0024】
本体20の上方が開口する。一方、本体20の下方、つまり流入口28と壁面部40との間で、側壁面32の下部に管部50が接続される。管部50は、その断面が円形の筒状に形成され、管部50の上端は本体20の下部に接合され、管部50の下端開口は流出口として利用される。
【0025】
このような内副管用継手10をマンホール12に取り付ける場合、まず壁面部40を閉めて、回転ねじ42を切り欠き48に挿入し、回転させて、壁面部40が開かない状態にする。それから、壁面22をマンホール12の側壁14の内面に沿わせながら、流入口28の下辺28aが流入管16の管底部16bの位置またはそれより外側に位置するように内副管用継手10を配置する。これにより、流入口28は流入管16の管端開口16aの前方に位置し、壁面部40は流入口28および管端開口16aの前方でこれらに対向するように設けられる。また、側壁面32は流入口28側からマンホール12の中心側へ延びる。
【0026】
次に、壁面22の挿通孔26にアンカーボルト52を挿通し、締め付けて、内副管用継手10をマンホール12に固定する。このとき、パッキン24がマンホール12の側壁14の内面および壁面22の外面に圧着されて、壁面22とマンホール12の側壁14の内面との間の止水性が保持される。
【0027】
そして、内副管用継手10の管部50の下端開口に内副管54を接合する。たとえば、内副管54は短管56、直管58および90度エルボ60を備える場合、短管56の上端を管部50の下端開口に接合し、短管56の下端に直管58の上側受口を接合してから、直管58の下端に90度エルボ60の上側受口を接合する。これにより、90度エルボ6060の下側受口は、水平方向に向って開口し、マンホール12の底部に設けたインバート部62と略平行する方向に開口する。そして、内副管54、たとえば直管58を固定金具64によってマンホール12の側壁14に固定する。
【0028】
この固定した内副管用継手10の供用時、流入口28および流入管16の管端開口16aに対向する位置に壁面部40が装着される。そして、流入管16から汚水が流れてくると、汚水は流入口28から本体20内に流入し、汚水が多くなると側壁面32上を流れて、管部50に流下する。そして、管部50の下端開口から内副管54へ流入し、内副管54内を通ってインバート部62に排出される。それから、インバート部62を通って流出管18に流入して排水される。
【0029】
このとき、側壁面32はその両側端から管部50に向かって下り勾配が付けられるため、汚水は内副管用継手10内をスムーズに流れ、しかも、汚水に含まれる固形物が流入口28の両側に付着して堆積することもないため、流下性能を損なわずに汚水を流すことができ、また作業負担も少なくなる。
【0030】
また、側壁面32は、両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲し、流入口28から流入する汚水を受ける方向に湾曲することにより、多量の汚水が流れる場合、汚水は側壁面32に衝突し流下する。また、流入口28および管部50の前方に流入口28および流入管16に対向する壁面部40を設けることにより、流入口28から前方に向かう汚水は壁面部40に衝突して流下し、管部50へ流れる。このため、本体20の上部開口から飛び出しにくくなる。
【0031】
また、内副管用継手10の維持管理時、回転ねじ42を回転し、切り欠き48から抜いて、図5および図6に示すように、壁面部40を横方向に開ける。これにより、流入口28の前方から流入口28および流入管16の管端開口16aに対向する壁面部40が除去され、流入管16の管底部16bより上において流入口28の前方に流入管16の管端開口16aに対向する壁面がなくなるため、本体開口30から流入管16内を目視で直接見て、流入管16の掃除や点検などを行なえる。
【0032】
このように、本体開口30を設けて、流入管16の管底部16bより上において流入口28の前方に流入管16の管端開口16aに対向する壁面をなくし、かつその本体開口30に開閉自在に壁面部40を設けることにより、供用時には壁面部40を閉めて汚水の漏れ出しを防止して、マンホール12の維持管理の負担が軽減され、一方、流入管16などの維持管理時には壁面部40を開けて流入管16を目視することができ、流入管16の維持管理の作業性向上が図られる。
【0033】
また、流入口28の円弧状の部分の径が流入管16の径と同じまたはそれより大きい内副管用継手10を用いると、流入口28は流入管16の管端開口16aと一致する、またはそれより外側に配置されるため、流入口28は流入管16から排出される汚水を受けることができる。よって、流入口28の径を流入管16の径ごとに合わせた内副管用継手10を用意する必要がなく、内副管用継手10に汎用性を持たせることで、製品の種類および在庫量の削減、ならびに生産の効率化につながり、経済性に優れる。
【0034】
なお、流入口28の高さを流入管16の内径と同じまたはそれより大きく設定したが、これを流入管16の内径より低く設定することもできる。
【0035】
また、流入口28をU字状に形成し、流入口28の上方に壁面22は設けなかったが、流入口28を円形状などに形成し、流入口28を壁面22で囲んでもよい。
【0036】
さらに、側壁面32の第1側端32c側にヒンジ38を装着し、そのヒンジ38により壁面部40が横方向に開くように壁面部40を取り付けたが、図7に示すように、側壁面32の下部にヒンジ66を装着し、ヒンジ66により壁面部40が縦方向に開くように壁面部40を取り付けることもできる。この場合、側壁面32の第1側端32cおよび第2側端32dのそれぞれにヒンジ44を介して留具46が取り付け、壁面部40を閉めた際に留具46の切り欠き48に対応する壁面部40の位置に回転ねじ42を取り付ける。これにより、壁面部40は流入口28の前方に流入管16の管端開口16aに対向して着脱可能に設けられる。
【0037】
図8に示すこの発明の他の実施例である内副管用継手10は図1に示す内副管用継手10とほぼ同じであるが、壁面部の接合方法が異なる。図1の内副管用継手10では、壁面部40をヒンジ38により取り付けたが、図8の内副管用継手10では、壁面部67を溝68に嵌めて取り付ける点が異なる。これ以外の部分に関しては図1実施例の示す内副管用継手10と同様であるため、説明は省略する。
【0038】
図8〜図10に示すように、側壁面32の第2端32b側の内面に溝68が設けられる。溝68は側壁面32の内面に沿ってU字状に形成され、溝68の開口は側壁面32の内側を向く。そして、溝68の流入口28側の側面に溝69がさらに形成され、その溝69の中にOリング70が配置される。溝68の本体開口30側の側壁に複数のタップ孔72が形成される。そして、溝68の本体開口30側の側面と溝69の底面との間の間隔はOリング70の径と壁面部67の厚みとを足した長さと同じまたはそれより大きく設定される。
【0039】
壁面部67は板状であり、U字状に形成される。壁面部67の大きさはOリング70を覆う大きさであって、壁面部67の幅は対向する溝68の奥面間の長さ以下で、かつ高さは側壁面32の側端32c,32dから側壁面32の下部の溝68の奥面までの高さ以下に設定される。このため、壁面部67は流入口28の前方に流入口28および流入管16の管端開口16aに対向して着脱可能に設けられる。つまり、壁面部67を溝68に嵌め下方にスライドさせると、壁面部67は流入口28の前方に流入口28および管端開口16aに対向して装着され、本体開口30を覆う。一方、壁面部67に取り付けられた把手67aにより壁面部67を上方にスライドさせて抜くと、壁面部67は流入口28の前方から除去され、本体開口30は現れる。
【0040】
このような内副管用継手10の供用時には、壁面部67を溝68に嵌めて、タップ孔72にボルト74を挿しこみ締め付けると、壁面部67はOリング70を溝68の側面に押し付ける。これにより、Oリング70は溝68の側面および壁面部67に圧着されて、壁面部67は止水性を確保した状態で本体開口30を覆いながら側面部67に固定される。このため、多量の汚水が流れ、流入口28から管部50を超えると、その汚水は流入口28および管端開口16aに対向する壁面部67に衝突して、流入口28側へ跳ね返り、管部50に流入する。よって、通常、汚水が内副管用継手10から漏れ出ることなく、マンホール12の維持管理時の作業性の向上、効率化を図ることができる。
【0041】
また、流入管16や内副管用継手10の維持管理時には、ボルト74を緩めてから、図11(A)に示すように把手67aを持って壁面部67を上へスライドさせて抜き取る。これにより、図11(B)に示すように、流入管16の管底部16bより上において流入口28の前方に流入口28および管端開口16aに対向する壁面がなくなるため、本体開口30から流入管16内を目視で直接見て、流入管16の点検や掃除などを行なえる。
【0042】
このように、流入管16の管底部16bより上において流入口28および流入管16の管端開口16aに対向する壁面を流入口28の前方に設けずに本体開口30を形成し、この本体開口30を覆う壁面部67を着脱可能に取り付ければ、マンホール12および流入管16の維持管理を容易に行うことができる。
【0043】
また、壁面部67を上下にスライドさせることにより、狭いスペースで壁面部67を開閉させることができるため、作業性に優れ、しかも内径が小さなマンホール12でも開閉可能であるため、汎用的に取り扱うことができる。
【0044】
図12に示すこの発明の他の実施例である内副管用継手10は流入口82を備える。図12〜図15に示すように、流入口82は円弧状に形成され、その径は流入管16の内径と同じまたはそれより大きく設定される。これにより、流入口82を流入管16の管端開口の位置に合わせると、流入口82の径が流入管16の内径より大きい場合、管端開口16aの外側に配置され、流入口82の径が流入管16の内径と同じ場合、流入口82は流入管16の管端開口と一致する。
【0045】
流入口82の縁から側方および下方へ壁面84が延びる。壁面84は、マンホール12の側壁14と同じ曲率で湾曲し、その外面が側壁14の内面に沿うように形成される。壁面84の端部に複数、この実施例では4つの挿通孔26が形成され、壁面84の外面にパッキン24が取り付けられる。
【0046】
流入口82の両側に側壁面86が設けられる。側壁面86は板状体であって、その断面形状は円弧状に形成される。つまり、側壁面86は、両側端から中央、つまり下部に向かって下り勾配が付けられ、かつ下部から両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲する。そして、側壁面86の第1端86aは壁面84に接合され、側壁面86は流入口82の縁から立ち上がる。一方、側壁面86の第2端86b側、つまり流入口82に対向する壁面は設けられない。
【0047】
側壁面86の下部に管部50が接続される。管部50は、その断面が円形の筒状に形成され、管部50の下端開口は流出口として利用される。
【0048】
このような内副管用継手10をマンホール12に取り付ける場合、壁面84をマンホール12の側壁14の内面に沿わせながら、流入口82の下辺82aが流入管16の管底部16bと同じまたはそれより下方に位置するように内副管用継手10を配置する。これにより、流入口82および流入管16の管端開口16aに対向する壁面が流入管16の管底部16bより上において設けられない。
【0049】
次に、壁面84の挿通孔26にアンカーボルト52を挿通し、締め付けて、内副管用継手10をマンホール12に固定する。そして、内副管用継手10の管部50の下端開口に内副管54を接合する。
【0050】
このように、流入口82および流入管16の管端開口16aに対向する壁面を流入口82の前方に設けないことにより、流入管16を維持管理する際に流入管16の管底部16bより上において視線などを遮るものがないため、流入口82および流入管16の管端開口16aの前方から流入管16内を直接に見ながら、掃除道具や点検具などを流入口82および流入管16の管端開口16aの前方から流入管16内に挿入することができる。
【0051】
また、円弧状の流入口82の径を流入管16の径と同じまたはそれより大きく形成すると、流入口82は流入管16の管端開口16aと一致する、またはそれより外側に広がるため、流入口82は流入管16の管底部16bを受けて、流入管16から排出される汚水を流入口82内へ流入させることができる。よって、流入口82の径と同じまたはそれより小さな内径の流入管16に内副管用継手10を用いることで汎用的に使用することができ、製品の種類および在庫量の削減、ならびに生産の効率化につながり、経済性に優れる。
【0052】
なお、図12に示す側壁面86に湾曲した板状体を用いたが、図16に示すように側壁面88に漏斗状のものを用いることもできる。図16および図17に示すように、側壁面88の上端開口88aを横長の楕円形状にし、下端開口を円形状にする。そして、下端開口に円筒形状の管部50を接合する。この場合も、側壁面88は、両側端から下部に向かって下り勾配が付けられ、かつ下部から両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の一実施例の内副管用継手を示す斜視図である。
【図2】図1に示す内副管用継手をマンホールの側壁の内面に取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】(A)は内副管用継手の上面を示す平面図であり、(B)は(A)の内副管用継手の部分拡大図である。
【図4】(A)は図2に示す内副管用継手の壁面部側を示す平面図であり、(B)は(A)の内副管用継手の部分拡大図である。
【図5】図2に示す内副管用継手を示す断面図である。
【図6】マンホールに取り付けた内副管用継手の壁面部を開けた状態を示す平面図である。
【図7】この発明の別の実施例の内副管用継手を示す平面図である。
【図8】この発明のさらに別の実施例の内副管用継手を示す斜視図である。
【図9】(A)は図8に示す内副管用継手をマンホールに取り付けた状態を示す断面図であり、(B)は(A)の内副管用継手の部分拡大図である。
【図10】図9に示す内副管用継手の壁面部側を示す平面図である。
【図11】(A)は図10に示す内副管用継手の壁面部を開ける状態を示す平面図であり、(B)は(A)の内副管用継手の壁面部を開けた状態を示す断面図である。
【図12】この発明のさらに別の実施例の内副管用継手を示す斜視図である。
【図13】図12に示す内副管用継手をマンホールの側壁の内面に取り付けた状態を示す平面図である。
【図14】図12に示す内副管用継手をマンホールの側壁の内面に取り付けた状態を示す断面図である。
【図15】図12に示す内副管用継手をマンホールの側壁の内面に取り付けた状態を示す断面図である。
【図16】この発明のさらに別の実施例の内副管用継手を示す斜視図である。
【図17】図16に示す内副管用継手の壁面部側を示す平面図である。
【符号の説明】
【0054】
10…内副管用継手
12…マンホール
16…流入管
16a…管底部
28、82…流入口
28a、82a…下辺
32、86、88…側壁面
40、67、76…壁面部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入管が接続されるマンホールの内面に取り付けられる上方が開口する内副管用継手であって、
前記流入管からの汚水を受ける流入口を備え、
前記流入管の管底部より上において前記流入管に対向する壁面をなくしたことを特徴とする、内副管用継手。
【請求項2】
前記流入管に対向し、かつ着脱可能に設けられる壁面部をさらに備え、
供用時には前記壁面部が装着され、点検または掃除時には前記壁面部が除去される、請求項1記載の内副管用継手。
【請求項3】
前記流入口側から前記マンホールの中心側へ延びる側壁面をさらに備え、
前記側壁面は両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲する、請求項1または2記載の内副管用継手。
【請求項4】
前記流入口は円弧状の下辺を有し、かつ前記円弧の径が前記流入管の径以上に大きく形成される、請求項1ないし3のいずれかに記載の内副管用継手。
【請求項1】
流入管が接続されるマンホールの内面に取り付けられる上方が開口する内副管用継手であって、
前記流入管からの汚水を受ける流入口を備え、
前記流入管の管底部より上において前記流入管に対向する壁面をなくしたことを特徴とする、内副管用継手。
【請求項2】
前記流入管に対向し、かつ着脱可能に設けられる壁面部をさらに備え、
供用時には前記壁面部が装着され、点検または掃除時には前記壁面部が除去される、請求項1記載の内副管用継手。
【請求項3】
前記流入口側から前記マンホールの中心側へ延びる側壁面をさらに備え、
前記側壁面は両側端に向かうに伴い上に向かって湾曲する、請求項1または2記載の内副管用継手。
【請求項4】
前記流入口は円弧状の下辺を有し、かつ前記円弧の径が前記流入管の径以上に大きく形成される、請求項1ないし3のいずれかに記載の内副管用継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−100410(P2007−100410A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292498(P2005−292498)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【Fターム(参考)】
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