説明

内副管継手およびそれを備えた内副管装置

【課題】設置が容易な内副管継手およびそれを備えた内副管装置を提供し、内副管装置を設置する作業員の負担を軽減する。
【解決手段】内副管継手3は、内副管継手本体4と取り付けベース5とを備えている。内副管継手本体4は、下水を内部に導入する導入口と、内部の下水を外部に排出する排出口32とを備えている。また、内副管継手本体4は、導入口の外周縁から径方向外側に向かって突出するフランジ部36を備えている。取り付けベース5は、板状体からなり、開口部41が形成されている。開口部41の外周部分には、略U字状の受容部42が形成されている。受容部42は、開口部41の下方および側方から突出する様に形成されている。内副管継手本体4を取り付けベース5に係合させる際、受容部42は、フランジ部36の先端部分を受容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールに接続された下水管とマンホール内に設けられる内副管とを継ぎ合わせる内副管継手およびそれを備えた内副管装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭などから排出される下水は、下水管(流入管)を介してマンホールへ集められ、マンホールに接続された下流側の下水管(流出管)へ流れ込む。このように、下水はマンホールをいくつも介しつつ下水管内を流れ、やがて下水処理場に到達する。
【0003】
ところで、下水管は途中で汚物が詰まらないように傾斜させる必要がある。しかし、下水管を急勾配に配設するためには、下水管の下端部を地中深くに埋設することが必要となる。そのため、このように下水管を地中深くに埋設するためには、地中深くまで掘削する作業が必要となり、施工性がよくない。また、下水管を急勾配に配設すると、下水の流れが速くなりすぎるため、好ましくない。そのため、下水管は、緩やかに傾斜させつつ配設することが必要となる。
【0004】
例えば、勾配が急な傾斜地等に下水管およびマンホールを配設する場合であっても、上述のとおり、下水管を急勾配に配設することはできない。そのため、このような場合、傾斜地の勾配にあわせて下水管およびマンホールを配設しようとすると、流入管と流出管との落差を大きくせざるを得なくなる。しかし、流入管と流出管との落差が大きいと、流入管からマンホール内に流入した下水が、マンホール内底面に強く打ちつけられることとなる。そのため、このような場合、マンホール内底面が下水により浸食され、損傷するおそれがある。
【0005】
そこで、以前より、マンホール内底面の損傷を防ぐため、マンホール内には内副管装置が設けられている(例えば、特許文献1、2参照)。内副管装置は、マンホール内の高所から流入した下水をマンホール内底面付近まで導く内副管と、内副管を流入管に継ぎ合わせる内副管継手とにより構成されている。このような構成により、内副管装置は、下水の落下による内底面への衝撃を緩和する。
【特許文献1】特開2005−127062号公報
【特許文献2】特開2004−52235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の内副管装置は、以下のような方法によりマンホール内に設置される。まず、内副管継手を、マンホール内の流入管の下流側開口部に臨む様にマンホール内面にアンカーボルト等により固定する。そして、次に、内副管を、マンホール内面に固定された内副管継手に接合する。このような内副管装置の設置方法によると、マンホール内において内副管を内副管継手に接合しなければならない。しかし、マンホール内は狭い。そのため、当該取り付け方法では、当該取り付け作業は困難なものとなり、また、作業時間が長くなるという問題があった。また、マンホール内での作業は、不安定な状態で行わなければならないため、細心の注意を払わなければならず、作業員には肉体的にも精神的にも大きな負担がかかっていた。
【0007】
一方、上述のような問題を解決するため、地上において、予め、内副管を内副管継手に接合しておき、内副管装置全体を一括してマンホール内面に固定する設置方法も用いられている。このような設置方法によると、取り付け作業が一回で済むため、作業員にかかる負担を軽減することができる。
【0008】
しかしながら、内副管と内副管継手とを接合した内副管装置全体の重量は大きい。そして、当該内副管装置をマンホール内に設置する際、内副管装置の導入口(内副管継手の導入口)を、マンホールに接続された流入管の流入口の位置に合わせて取り付けなければならない。具体的には、内副管継手本体の導入口の底部と流入管の管底底部(以下、管底と称する)とに段差が生じない様に、内副管装置の位置決めを行い、アンカーボルト等により取り付けなければならない。そのため、上述のように、内副管と内副管継手とを予め接合しておく場合、作業員は重い内副管装置を持ちながら、位置決め固定しなければならず、困難であった。そのため、作業に手間取り、また、重い内副管装置を長時間持ち続けながらの作業は、作業員にとって大きな負担となっていた。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、設置が容易な内副管継手およびそれを備えた内副管装置を提供し、内副管装置を設置する作業員の負担を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る内副管継手は、マンホールに接続され、前記マンホール内に下水を導く流入口を有する流入管と、前記マンホール内に設けられる内副管とを継ぎ合わせる内副管継手であって、下水を内部に導入する導入口と、内部の下水を外部に排出する排出口とを備える内副管継手本体と、開口部を有し、前記内副管継手本体と係合自在に形成され、前記開口部が前記流入口に対峙する様に前記マンホール内面に固定される取り付けベースと、を備え、前記内副管継手本体を前記取り付けベースに係合させると、前記導入口が前記開口部と対峙するものである。
【0011】
上記内副管継手は、内副管継手本体と取り付けベースとの二つの部材を有している。そのため、取り付けベースを、開口部と流入口とが対峙する様に位置決めしてマンホール内に固定すると、あとは内副管継手本体を前記取り付けベースに係合させるだけで内副管継手本体の導入口と流入口とを容易に対峙させることができる。そのため、上記内副管継手によれば、容易に内副管継手本体の導入口と流入口との位置合わせをしつつ内副管継手をマンホール内に取り付けることができる。したがって、上記内副管継手によれば、内副管を内副管継手本体に予め接合しておいた場合であっても、設置に要する時間を短縮することができ、また、作業員の負担を軽減することができる。
【0012】
前記内副管継手本体は、前記導入口の外周縁から径方向外側に向かって突出するフランジ部を備え、前記取り付けベースは、前記内副管継手本体と対峙する面の前記開口部の少なくとも下方から前記内副管継手本体側に突出し、前記フランジ部を受容する受容部を備え、前記内副管継手本体と前記取り付けベースとは、前記フランジ部が前記受容部上に載置されることにより係合することが好ましい。
【0013】
このことにより、上記内副管継手によれば、内副管継手本体を、容易に取り付けベースに係合させることができる。そのため、流入管の流入口と内副管継手本体の導入口とを容易に対峙させることが可能となる。したがって、上記内副管継手によれば、内副管を内副管継手本体に予め接合しておいた場合であっても、設置に要する時間をより一層短縮することができ、また、作業員の負担をより一層軽減することができる。
【0014】
前記取り付けベースは、前記内副管継手本体と対峙する面の前記開口部の外周部から前記内副管継手本体側に突出し、前記受容部の一部としてまたは前記受容部とは別体に形成されたガイド部を備え、前記ガイド部は、前記内副管継手本体を前記取り付けベースに係合させる際、前記導入口が前記開口部と対峙する様に前記フランジ部をガイドすることが好ましい。
【0015】
このことにより、取り付けベースと内副管継手本体との係合作業がより簡単となる。そのため、内副管継手の設置がより一層容易となる。
【0016】
ところで、流入管から内副管継手に下水を円滑に導入するという観点から、流入管の管底と内副管継手本体の導入口の底部との間には段差が生じないことが望ましい。つまり、内副管継手本体は、流入管の管底と内副管継手本体の導入口の底部とが面一となる様にマンホール内面に取り付けられることが望ましい。
【0017】
そのため、前記内副管継手は、前記内副管継手本体と前記取り付けベースとを係合させると、前記開口部の底部と前記導入口の底部とが段差なく配置されるものであることが好ましい。
【0018】
このことにより、取り付けベースを、取り付けベースの開口部の底部と流入管の管底とが段差なく配置される様にマンホール内面に取り付けるだけで、容易に流入管の管底と導入口の底部とを段差なく配置することができる。
【0019】
前記取り付けベースの前記マンホールと対峙する面は、所定の曲率で湾曲する湾曲面であり、前記取り付けベースに代えて使用され、前記マンホールと対峙する面が、前記所定の曲率とは異なる曲率で湾曲する湾曲面である取り替え用取り付けベースを少なくとも一つ以上さらに備えていることが好ましい。
【0020】
上記内副管継手によれば、取り付けベースのマンホールと対峙する面を、マンホールの内面の曲率で湾曲する湾曲面とすることにより、取り付けベースをマンホール内面に密着させて固定することができる。このことにより、取り付けベースの取り付けを簡単に行うことができ、内副管継手の設置がより一層容易となる。
【0021】
また、上記内副管継手は、取り付けベースに代えて使用する取り替え用取り付けベースを備えている。そのため、内径の異なるマンホールについては、所定の曲率とは異なる曲率の湾曲面を有する取り替え用取り付けベースを使用することにより、対応することが可能となる。したがって、上記内副管継手によれば、取り付けベースを数種類用意するだけで、内副管継手本体の種類を増加させることなく、内径の異なるマンホールに取り付け可能に構成することができる。
【0022】
本発明に係る内副管装置は、前記排出口に接続され、前記排出口から下方に向かって延び、前記マンホールの内底面に沿う様に曲がる内副管と、を備えるものである。
【0023】
上記内副管装置によれば、マンホール内への設置が容易となるため、作業員の負担を軽減することができる。また、上記内副管装置によれば、流入管からの下水は、マンホール内底面に緩やかに導かれることとなる。そのため、流入管と流出管との落差が大きい場合であっても、流入管からの下水がマンホール内底面に強く打ちつけられることによるマンホール内底面の損傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、設置が容易な内副管継手およびそれを備えた内副管装置を提供し、内副管装置を設置する作業員の負担を軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
<第1実施形態>
《マンホール装置10の構成》
図1は、本実施形態に係る内副管装置1が設置されたマンホール装置10の構成を示す断面図である。まずは、図1を参照して、本実施形態に係るマンホール装置10の構成について詳述する。
【0027】
マンホール装置10は、マンホール11と、マンホール11内に下水を導く流入管12と、マンホール11内の下水をマンホール11外部に導く流出管13と、前述の内副管装置1とを備えている。
【0028】
マンホール11は、地中に埋設されている。マンホール11の上部開口部には、蓋11aが設けられている。一方、マンホール11の内底面には、下水を流出管13に向かってスムーズに流すために傾斜面を有するインバート部11bが形成されている。また、マンホール11の内側面には、作業員の昇降用の梯子段11cが設置されている。
【0029】
流入管12および流出管13は、それぞれマンホール11に接続されている。具体的には、流出管13はマンホール11の下端部に接続されており、流入管12は流出管13よりも上方に接続されている。流入管12のマンホール11に接続された端部には流入口14が形成されている。
【0030】
《内副管装置1の構成》
内副管装置1は、マンホール11の内部であって、流入管12とインバート部11bとの間に設置されている。内副管装置1は、筒状体からなる内副管2と、内副管2と流入管12とを継ぎ合わせる内副管継手3とを備えている。
【0031】
《内副管2の構成》
内副管2は、直線上に延びる直管21と、曲管22とにより構成されている。直管21は、上端部が内副管継手3の下端部に接合され、下方に向かって延びている。また、曲管22は、上端部が直管21の下端部に接合されている。曲管22はインバート部11bに沿う様に曲がっている。内副管2は、直管21の中途部において、バンド23によりマンホール11内側面に固定されている。
【0032】
《内副管継手3の構成》
図2は、図1の内副管継手3部分の拡大図であり、図3は図1のIII―III横断面図である。また、図4は、内副管継手3を分解した斜視図である。
【0033】
図2〜図4に示すように、内副管継手3は、内副管継手本体4と取り付けベース5とを備えている。また、図2および図3に示すように、内副管継手本体4と取り付けベース5とは係合可能に形成されており、マンホール11の内側面に取り付けられている。
【0034】
図2に示すように、内副管継手本体4は、下水を内部に導入する導入口31と、内部の下水を外部に排出する排出口32とを備えている。また、内副管継手本体4の上端部には点検口33が形成され、導入口31と反対側の端部には点検口34が形成されている。さらに、内副管継手本体4は、導入口31の外周縁から径方向外側に向かって突出するフランジ部36を備えている。本実施形態では、内副管継手本体4は、射出成型により一体形成されている。なお、点検口34は、点検時以外は、蓋35(図2では図示省略、図4参照)によって閉塞されている。
【0035】
図4に示すように、取り付けベース5は、板状体からなり、開口部41が形成されている。開口部41の外周部分には、略U字状の受容部42が形成されている。受容部42は、開口部41の下方および側方から突出する様に形成されている。受容部42は、内副管継手本体4のフランジ部36と係合可能に形成されており、フランジ部36と係合する際、フランジ部36の先端部分を受容する(図2参照)。なお、本実施形態では、受容部42は、取り付けベース5の他の部分と共に一体成形されている。しかし、受容部42は、取り付けベース5の他の部分と別体に成形されていてもよい。
【0036】
受容部42の内、開口部41の下方から突出した部分42aは、内副管継手本体4を支持する(図2参照)。一方、受容部42の内、開口部41の側方から突出した部分42bは、内副管継手本体4を取り付けベース5に係合させる際、導入口31(図2参照)が開口部41と対峙する様にフランジ部36をガイドするガイド部となる。
【0037】
なお、図3に示すように、取り付けベース5のマンホール11と対峙する面5aは、所定の曲率1/R1で湾曲する湾曲面となる様に形成されている。なお、ここで、所定の曲率1/R1とは、マンホール11の内面の曲率を指し、R1はマンホール11の内周の半径である。
【0038】
以上が本実施形態に係るマンホール装置10の構成である。次に、マンホール装置10に内副管装置1を取り付ける手順について図5および図6を用いて説明する。
【0039】
まず、図5に示すように、取り付けベース5をマンホール11の内面に取り付ける。具体的には、取り付けベース5をマンホール11に接続された流入管12(図1参照)の流入口14と取り付けベース5の開口部41とが重なる様に位置決めする。このとき、取り付けベース5の開口部41の底部と流入口14の底部(流入管12の管底)とに段差が生じない様に位置決めする。そして、位置を決定した後、アンカーボルト43により取り付けベース5をマンホール11の内面に固定する。
【0040】
次に、図6に示すように、マンホール11の内面に固定された取り付けベース5に、内副管継手本体4を取り付ける。なお、内副管継手本体4には、内副管2が既に接合されているものとする。
【0041】
具体的には、内副管継手本体4を、取り付けベース5の上端部に押し当て、上方から下方に向かってスライドさせる。そうすると、内副管継手本体4のフランジ部36が、ガイド部である受容部42の開口部41の側方から突出した部分42bと係合し、当該部分42bにガイドされる。
【0042】
当該ガイドに従って取り付けベース5を下方にスライドさせていくと、やがてフランジ部36の下端部は、受容部42の開口部の下方から突出した部分42aと接触し、当該部分42aに受容される。このようにして、内副管継手本体4のフランジ部36は受容部42上に載置され、受容部42によって支持される。これにより、内副管継手本体4と取り付けベース5とは係合する。
【0043】
なお、受容部42の開口部の下方から突出した部分42aは、内副管継手本体4と取り付けベース5とを係合させる際に、導入口31の底部と開口部41の底部とに段差が生じない様に形成されている。そのため、上述のように、内副管継手本体4と取り付けベース5とを係合させると、導入口31(図2参照)と開口部41とが対峙し、また、導入口31の底部と開口部41の底部とは面一となる。
【0044】
以上のように、本内副管装置1では、内副管継手3は、内副管継手本体4と取り付けベース5との二つの部材を有している。そのため、取り付けベース5を、開口部41と流入口14とが対峙する様に位置決めしてマンホール11内に固定すると、あとは内副管継手本体4を取り付けベース5に係合させるだけで内副管継手本体4の導入口31と流入口14とを容易に対峙させることができる。そのため、本内副管継手3によれば、容易に内副管継手本体4の導入口31と流入口14との位置合わせをしつつ内副管継手3をマンホール内に取り付けることができる。したがって、本内副管継手3によれば、内副管装置1の設置(位置決め固定)が容易となるため、内副管2を内副管継手本体4に予め接合しておいた場合であっても、内副管装置1自体の設置に要する時間を短縮することができる。また、このことにより、作業員の負担を軽減することができる。
【0045】
また、本内副管装置1では、内副管継手本体4と取り付けベース5とは、フランジ部36が受容部42上に載置されることにより係合する。このことにより、本内副管継手3によれば、内副管継手本体4を、容易に取り付けベース5に係合させることができる。そのため、流入管12の流入口14と内副管継手本体4の導入口31とを容易に対峙させることが可能となる。したがって、本内副管継手3によれば、内副管2を内副管継手本体4に予め接合しておいた場合であっても、設置に要する時間をより一層短縮することができ、また、作業員の負担をより一層軽減することができる。
【0046】
また、本内副管装置1では、取り付けベース5の受容部42の内、開口部41の側方から突出する部分42bは、内副管継手本体4を取り付けベース5に係合させる際、導入口31が開口部41と対峙する様にフランジ部36をガイドするガイド部となる。そのため、取り付けベース5と内副管継手本体4との係合作業がより簡単となり、内副管継手3の設置がより一層容易となる。なお、上述のように、本実施形態では、ガイド部は、開口部41の側方から突出する部分42bのように、受容部42の一部として形成されているが、ガイド部は受容部42と別体として形成されていてもよい。
【0047】
ところで、流入管12から内副管継手3に下水を円滑に導入するという観点から、流入管12の管底(流入口14の底部)と内副管継手本体4の導入口31の底部とに段差が生じないことが望ましい。つまり、内副管継手本体4は、流入管12の管底と内副管継手本体4の導入口31の底部とが面一となる様にマンホール11の内面に取り付けられることが望ましい。
【0048】
本内副管継手3では、内副管継手本体4と取り付けベース5とを係合させると、開口部41の底部と導入口31の底部とが段差なく配置されている。そのため、取り付けベース5を、取り付けベース5の開口部41の底部と流入管12の管底とが段差なく配置される様にマンホール11の内面に取り付けるだけで、容易に流入管12の管底と導入口31の底部とを段差なく配置することができる。
【0049】
さらに、本内副管装置1では、取り付けベース5のマンホール11と対峙する面5aは、マンホール11の内面の曲率1/R1で湾曲する湾曲面となる様に形成されている。そのため、取り付けベース5をマンホール11の内面に密着させて固定することができる。このことにより、取り付けベースの取り付けを簡単に行うことができ、内副管継手の設置がより一層容易となる。
【0050】
また、本内副管装置1では、内副管2の内、下端部に位置する曲管22は、マンホール11の内底面に形成されたインバート部11bに沿う様に曲がっている。そのため、内副管装置1によれば、流入管12からの下水は、マンホール11の内底面に形成されたインバート部11bに緩やかに導かれることとなる。そのため、流入管12と流出管13との落差が大きい場合であっても、流入管12からの下水がマンホール11の内底面に強く打ちつけられることにより、マンホール11の内底面が損傷することを防止することができる。
【0051】
なお、図2に示すように、本内副管装置1では、取り付けベース5の開口部41および内副管継手本体4の導入口31は、流入管12の流入口14よりも大径に形成されている。このことにより、流入管12からの下水を、内副管継手3内部に円滑に導入することができる。また、開口部41および導入口31の径を、使用が予想される流入管の内、最大の径のものよりも大径に形成しておくことにより、いかなる流入管が用いられた場合であっても対応可能な内副管継手3を提供することが可能となる。このように開口部41および導入口31の径を大径に形成すると、例えば、流入管12が、マンホール11の側面に対して直交する様にマンホール11に接続されず、斜めに接続されたような場合であっても、当該内副管継手3で対応することが可能となる。
【0052】
なお、取り付けベース5の受容部42の形状は、本実施形態のような略U字状のものに限られない。例えば、図7(a)に示すように、開口部41の上方、右側方および下方から突出する様に形成されていてもよい。このような場合であれば、図7(a)に矢印で示す方向に内副管継手本体4(図4参照)をスライドさせることにより、内副管継手本体4を取り付けベース5に係合させることができる。
【0053】
なお、このとき、受容部42の内、開口部41の下方から突出した部分42eは、内副管継手本体4を支持することとなる(図2参照)。また、受容部42の内、開口部41の上方から突出した部分42cと下方から突出した部分42eとは、内副管継手本体4を取り付けベース5に係合させる際、導入口31(図2参照)が開口部41と対峙する様にフランジ部36をガイドするガイド部となる。さらに、受容部42の内、開口部41の右側方から突出した部分42dは、内副管継手本体4を取り付けベース5に係合させる際、導入口31(図2参照)が開口部41と対峙する位置にくると、それ以上スライド移動できない様に規制するストッパとなる。
【0054】
また、受容部42は、図7(b)に示すように、開口部41の下方のみから突出する様に形成されていてもよい。このような場合、受容部42には、内副管継手本体4を取り付けベース5に係合させる際、導入口31(図2参照)が開口部41と対峙する様にフランジ部36をガイドするガイド部はない。しかし、このような取り付けベース5であっても、内副管継手本体4のフランジ部36(図4参照)が当該受容部42上に位置するように、内副管継手本体4を取り付けベース5に載置した後、内副管継手本体4を左右方向にスライド移動させることにより、容易に、導入口31(図2参照)を開口部41に対峙させることが可能となる。したがって、従来のように、重量の大きな内副管装置1を持ったまま位置決め作業を行わずに済む。そのため、このような取り付けベース5であっても作業員の負担を軽減することができる。
【0055】
<第2実施形態>
図8に示すように、本実施形態に係る内副管装置1の内副管継手3は、第1実施形態の内副管継手3(内副管継手本体4および取り付けベース5)に加え、取り替え用取り付けベース52,53をさらに備えている。
【0056】
取り替え用取り付けベース52は、マンホール11と対峙する面52aが、取り付けベース5のマンホール11と対峙する面5aの曲率1/R1とは異なる曲率1/R2で湾曲する湾曲面となる様に形成されている。取り替え用取り付けベース52は、取り付けベース5と湾曲面の曲率において相違するのみで、ほぼ同様の形状をしている。また、取り替え用取り付けベース53は、マンホール11と対峙する面53aが、曲率1/R1とは異なる曲率1/R3で湾曲する湾曲面となる様に形成されている。また、取り替え用取り付けベース53も、取り替え用取り付けベース52と同様に、取り付けベース5と湾曲面の曲率において相違するのみで、ほぼ同様の形状をしている。その他の構成については第1実施形態と同様である。
【0057】
本実施形態の内副管継手3によれば、上述のように、取り替え用取り付けベース52,53を備えている。そのため、内径の異なるマンホール11、例えば、内径が図7に示すR2やR3であるマンホール11については、所定の曲率1/R1とは異なる曲率1/R2や曲率1/R3の湾曲面を有する取り替え用取り付けベース52または53を使用することにより、対応することが可能となる。したがって、本実施形態に係る内副管継手3によれば、取り付けベース5を数種類(例えば、取り替え用取り付けベース52,53)用意するだけで、内副管継手本体4の種類を増加させることなく、内径の異なるマンホール11に取り付け可能に構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明は、マンホールに接続された下水管とマンホール内に設けられる内副管とを継ぎ合わせる内副管継手およびそれを備えた内副管装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態に係る内副管装置が設置されたマンホール装置の断面図である。
【図2】図1の内副管継手部分の拡大図である。
【図3】図1のIII―III横断面図である。
【図4】内副管継手を分解した斜視図である。
【図5】マンホール装置に内副管装置を取り付ける手順を示す図である。
【図6】マンホール装置に内副管装置を取り付ける手順を示す図である。
【図7】(a),(b)は、変形例に係る取り付けベースを示す斜視図である。
【図8】第2実施形態に係る内副管継手の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 内副管装置
2 内副管
3 内副管継手
4 内副管継手本体
5 取り付けベース
5a 面(マンホールと対峙する面)
10 マンホール装置
11 マンホール
11b インバート部(内底面)
12 流入管
13 流出管
14 流入口
21 直管
22 曲管
31 導入口
32 排出口
36 フランジ部
41 開口部
42 受容部
52 取り替え用取り付けベース
52a 面(マンホールと対峙する面)
53 取り替え用取り付けベース
53a 面(マンホールと対峙する面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールに接続され、前記マンホール内に下水を導く流入口を有する流入管と、前記マンホール内に設けられる内副管とを継ぎ合わせる内副管継手であって、
下水を内部に導入する導入口と、内部の下水を外部に排出する排出口とを備える内副管継手本体と、
開口部を有し、前記内副管継手本体と係合自在に形成され、前記開口部が前記流入口に対峙する様に前記マンホール内面に固定される取り付けベースと、を備え、
前記内副管継手本体を前記取り付けベースに係合させると、前記導入口が前記開口部と対峙する、内副管継手。
【請求項2】
請求項1に記載の内副管継手であって、
前記内副管継手本体は、前記導入口の外周縁から径方向外側に向かって突出するフランジ部を備え、
前記取り付けベースは、前記内副管継手本体と対峙する面の前記開口部の少なくとも下方から前記内副管継手本体側に突出し、前記フランジ部を受容する受容部を備え、
前記内副管継手本体と前記取り付けベースとは、前記フランジ部が前記受容部上に載置されることにより係合する、内副管継手。
【請求項3】
請求項2に記載の内副管継手であって、
前記取り付けベースは、前記内副管継手本体と対峙する面の前記開口部の外周部から前記内副管継手本体側に突出し、前記受容部の一部としてまたは前記受容部とは別体に形成されたガイド部を備え、
前記ガイド部は、前記内副管継手本体を前記取り付けベースに係合させる際、前記導入口が前記開口部と対峙する様に前記フランジ部をガイドする、内副管継手。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の内副管継手であって、
前記内副管継手本体と前記取り付けベースとを係合させると、前記開口部の底部と前記導入口の底部とが段差なく配置される、内副管継手。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の内副管継手であって、
前記取り付けベースの前記マンホールと対峙する面は、所定の曲率で湾曲する湾曲面であり、
前記取り付けベースに代えて使用され、前記マンホールと対峙する面が、前記所定の曲率とは異なる曲率で湾曲する湾曲面である取り替え用取り付けベースを少なくとも一つ以上さらに備えている、内副管継手。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の内副管継手と、
前記排出口に接続され、前記排出口から下方に向かって延び、前記マンホールの内底面に沿う様に曲がる内副管と、を備える内副管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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