説明

内外径形状が変化する管状車軸の自動非破壊検査方法および装置

車軸を検査するための装置であって、i)既知の内外径形状が変化する壁(PA)を有する管状車軸(AE)を受け取るように設計された検査ベンチ(BC)と、ii)選択された角度セクタにおいて、この壁(PA)の少なくとも1つの選択された部分を分析し、これにより、分析データを取得するように設計された少なくとも1つの超音波プローブ(SU)と、iii)第1および第2の対向する長手方向または横方向に配向された少なくとも1つの第1のおよび少なくとも1つの第2の選択された角度セクタにおいて、壁(PA)の第1および第2の選択された部分をそれぞれ分析するように、ならびに、これにより、上記プローブに対する軸の様々な相対角位置用の分析データを取得するように、壁(PA)の外側表面(SE)または内側表面(SI)の、その形状および軸(AE)の潜在的な負荷に応じて選択された少なくとも1つの第1のサイトに各プローブ(SU)を置くために、検査ベンチ(BC)を制御するように設計された制御手段(MC)と、iv)これらの取得された分析データから、壁(PA)内のエコーの表示の横方向または長手方向の配向および位置を表すマップを作成するように設計された処理手段(MT)と、を備える装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鉄道の分野に使用される車軸に関し、より具体的には、非破壊技術を使用してそのような軸を検査(または、点検)することに関する。
【背景技術】
【0002】
専門家が認識しているように、いくつかの車軸、特にかなりの量の負荷を支持しなければならないものは、国際標準に合致するために製造およびメンテナンスの異なる段階で、非破壊検査を経なければならない。公知の非破壊検査方法は、中実車軸に非常によく適合している。これらは、通常、超音波プローブを使用した音響分析に基づいており、場合によっては、例えば表面分析または放射線画像分析等の追加分析に基づいている。中実車軸が満たすべき標準は、特に、欧州では、NF EN13261−2004、世界的には、ISO5948−1994およびISO6933−1986、米国では、M 101/90−A(米国鉄道協会(Association of American Railroad)(AAR))、ブラジルでは、NBR7947−1989、日本では、JIS4502−1−2002である。
【0003】
取得された分析データから、軸を形成する中実材料内の横方向または長手方向の不完全部および欠陥の位置を推定し、これにより、この軸が国際標準(製造または定期メンテナンス)に合致するか否かを決定することが可能である。
【0004】
いくつかの中実車軸を管状車軸と交換することが近年提案されたが、その壁は内外径形状が変化する。これらの新しい管状車軸は、通常は重量において30%程度の有意な減少を達成するため輸送される積荷の増加が可能となり、これに伴ってエネルギ消費が減少し、それゆえに汚染も減少するため、特に有利である。しかし、このタイプの管状車軸の検査は多数の問題を引き起こす。
【0005】
当然、変化する内径形状が存在するため、角のある域(または隅)から生じるエコーを、不完全部または構造的欠陥から生じるエコーと区別することが困難である。
【0006】
さらに、かなりの数のこれらの不完全部および/または欠陥は、中実車軸で遭遇するものよりも小さな寸法を有し、超音波が移動する短い距離を考慮すると、検出がさらに困難になる。
【0007】
最後に、車軸を形成するために、特に車輪(圧力嵌め)およびブレーキディスク等のいくつかの器具を管状車軸のいくつかの部分に位置決めすることは、また、さらなる不完全部および/または構造的欠陥を招くのを免れないか、または、事前に行われた熱間鍛造および機械加工作業によって生じたいくつかの構造的欠陥および/または不完全部の寸法を増加させることさえある。結果として、最初の組み立て中および(器具を車軸から取り外すか取り外さないかにかかわらず)メンテナンス作業中の両方で、これらの部分および隣接する域を検査することがさらにより必要である。これらの分析を、車軸のいくつかの部分に器具が取り付けられているときに既存の検査方法で実行することは、困難であるか不可能でさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、したがって、管状車軸(より一般的には、中空(管状)回転製品)の大部分を、あるいは可能であればその全体を、器具が嵌められているときも含めて、少なくとも半自動の方法で、正確に検査する非破壊検査方法および装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、下記のステップを備える管状車軸を検査する方法が提案される。すなわち、
a)既知の内外径形状が変化する壁を備える管状車軸を検査ベンチに置くステップと、
b)プローブに対して軸の様々な相対角位置用の分析データを取得するために、この壁の外側表面または内側表面の、その形状および軸の潜在的な負荷に応じて選択された第1のサイトに少なくとも1つの超音波プローブを置き、次いで、各プローブで、第1の長手方向または横方向に配向された第1の選択された角度セクタにおいて、壁の第1の選択された部分を分析するステップと、
c)プローブに対して軸の様々な相対角位置用の他の分析データを取得するために、これもまた形状および軸の潜在的な負荷に応じて選択された第2のサイトに、少なくとも1つのプローブを移動し、次いで、各移動されたプローブで、第1の方向とは反対の第2の方向に配向された第2の選択された角度セクタにおいて、壁の第2の選択された部分を分析するステップと、
d)取得された分析データから、壁内のエコーの表示の横方向または長手方向の配向および位置を表すマップを作成するステップとを有する方法である。
【0010】
ここで、「エコーの表示」とは、(物質と空気の)接触面上または不完全部上または(構造的)欠陥上の反射によって、壁内に得られた情報を意味する。さらに、ここで、「不完全部」とは、エコーを発生させた壁の一部分であり、その振幅が選択された閾値よりも低く、したがって、結果として軸が不良品と判断される性質ではないものを意味する。最後に、ここでいう「欠陥」とは、エコーを発生させた壁の一部分であり、その振幅が選択された閾値よりも高く、したがって、結果として軸が不良品と判断される性質であるものを意味する。
【0011】
本発明によれば、本方法は、数種類の変形例に分けることができ、その少なくともいくつかの特徴は、互いに組み合わせることができ、特に、下記の通りである。
【0012】
−例えば、壁内のエコーの表示の位置および配向を表すマップを作成するために、壁の外側表面に各超音波プローブを置くことによって、ステップb)〜d)を最初に実行することができる。その後、プローブに対する軸の様々な相対角位置用の分析データを取得し、ならびに、壁内のエコーの表示の位置および配向を表すマップを作成するために、形状に応じて選択される壁の内側表面の第3のサイトに少なくとも1つの超音波プローブを置くことによって、次いで、少なくとも1つの選択された長手方向または横方向に配向された第3の選択された角度セクタにおいて、各プローブで壁の第3の選択された部分を分析することによって、少なくともステップb)〜d)を二度目に実行することができる。
【0013】
−例えば、長手方向に配向された角度セクタにおいて、超音波分析を実行し、これにより、壁内のエコーの表示の横方向の配向および位置を表すマップを作成するために、壁の外側表面または内側表面に各超音波プローブを置くことによって、ステップb)〜d)を少なくとも1回実行することができる。次いで、横方向に配向された角度セクタにおいて、超音波分析を実行し、これにより、壁内のエコーの表示の長手方向の配向および位置を表すマップを作成するために、壁の外側表面または内側表面に少なくとも1つの超音波プローブを置くことによって、ステップb)〜d)を再度少なくとも1回実行することができる。
【0014】
−ステップd)を実行した後に、例えばステップe)を提供することができ、その中で、軸に対する少なくとも1つのプローブの様々な相対角位置用の分析データを取得するために、超音波に基づいたものとは異なる他の分析技術を使用して、壁の少なくとも外側表面の分析が行われ、かつ、適用可能である場合には、これらの取得された分析データから、壁の表面表示の位置および配向を表すマップが作成されるステップf)を提供することができる。
【0015】
例えば、この他の分析技術は、いわゆる漏洩磁束技術およびいわゆる渦電流技術から選択することができる。
【0016】
−壁の第1、第2、および該当する場合は第3の部分の各々は、例えば、軸に対する少なくとも1つのプローブの長手方向の相対変位によって、および/または、少なくとも1つのプローブで電子走査することによって、分析することができる。
【0017】
−例えば、ステップb)、c)およびe)の少なくとも1つの実行中に、各プローブに対する軸の様々な相対角位置は、各プローブに対してこの軸を回転駆動することによって、または、この軸に対して各プローブを回転駆動することによって、のいずれかで得ることができる。
【0018】
−この方法は、第1の参照マップに示されていないエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、「訂正された」マップを作成するために、ステップd)中で得られたマップデータが、検査されたものと同一のタイプであるが欠陥のない第1の参照軸上で先に得られた第1の参照マップデータと比較されるステップg)を有してもよい。
【0019】
−この方法は、第2の参照マップに示された既知の欠陥を表すエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、欠陥マップを作成するために、ステップd)またはg)中で得られたマップデータが、検査されたものと同一のタイプであるが既知の欠陥が含まれる第2の参照軸上で得られた第2の参照マップデータと比較されるステップh)を有してもよい。
【0020】
−この方法は、結果的に欠陥を示すものとなる、閾値振幅より高い振幅を備えたエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、欠陥マップを作成するために、ステップd)またはg)中で得られたマップデータの振幅が、選択された閾値振幅と比較されるステップi)を有してもよい。
【0021】
閾値振幅より高い振幅を検出する場合には、適用可能であれば、警告を発してもよい。
【0022】
−この方法は、少なくとも1つのマップをスクリーンに表示するステップj)を有してもよい。
【0023】
−例えば、単一の可変角度方向に超音波を放出することができるプローブが使用されてもよい。
【0024】
例えば、角度は、長手方向または横方向に対して、約0度から約70度の間で変動してもよい。
【0025】
−変形例として、例えば、選択された角度セクタにある方向に超音波を放出することができるいわゆるフェーズドアレイ型のプローブを使用することができる。
【0026】
例えば、角度セクタは、長手方向または横方向に対して、約0度から約70度の間であり得る。
【0027】
なお、ステップa)〜d)は、この順序で完了されなければならないが、他のステップe)〜j)は、必ずしもこの順序で完了する必要はない。特に、ステップj)をステップd)の後に実行することは十分に可能である。
【0028】
本発明はまた、車軸を検査するための装置にも関し、上述の方法を実施するように意図されている。この装置は、より具体的には下記を備える。すなわち、
−既知の内外径形状が変化する壁を備える管状車軸を受け取るように設計された検査ベンチと、
−選択された角度セクタにおいて、この壁の少なくとも1つの選択された部分を分析し、これにより、分析データを取得するように設計された少なくとも1つの超音波プローブと、
−第1および第2の対向する長手方向または横方向に配向された少なくとも1つの第1のおよび少なくとも1つの第2の選択された角度セクタにおいて、壁の少なくとも1つの第1のおよび少なくとも1つの第2の選択された部分をそれぞれ分析するように、ならびに、これにより、上記プローブに対する軸の様々な相対角位置用の分析データを取得するように、壁の外側表面または内側表面の、その形状および軸の潜在的な負荷に応じて選択される第1のサイトに各プローブを置くために、検査ベンチを制御するように設計された制御手段と、
−取得された分析データから、壁内のエコーの表示の長手方向または横方向の配向、および、長手方向または横方向の位置を表すマップを作成するように設計された処理手段とを備える装置である。
【0029】
本発明によれば、この装置は数種類の変形例に分けることができ、同装置の少なくともいくつかの特徴は、互いに組み合わせることができ、特に、下記の通りである。
【0030】
−その制御手段は、上記プローブに対する軸の様々な相対角位置用の分析データを取得するように、壁の外側表面に対する各プローブの相対変位を最初に制御する。次いで、選択された長手方向または横方向に配向された少なくとも1つの第3の選択された角度セクタにおいて、壁の少なくとも1つの第3の選択された部分を分析し、これにより、上記プローブに対する軸の様々な相対角位置用の他の分析データを取得するように、壁の内側表面に対する少なくとも1つのプローブの相対変位を二度目に制御するように設計することができる。この場合、処理手段は、取得された分析データから、壁内のエコーの表示の位置および配向を表すマップを作成するように設計される。
【0031】
−この制御手段は、i)長手方向に配向された角度セクタにおいて、超音波分析を実行するように、それからエコーの表示の横方向の配向および位置を表すマップを処理手段が作成するもととなる分析データを取得するように、壁の外側表面または内側表面に対する各プローブの相対変位を少なくとも最初に制御し、次いで、ii)横方向に配向された角度セクタにおいて、超音波分析を実行し、それからエコーの表示の長手方向の配向および位置を表すマップを処理手段が作成するもととなる分析データを取得するように、壁の外側表面または内側表面に対する各プローブの相対変位を少なくとも二度目に制御するように設計されてもよい。
【0032】
−この装置は、プローブに対する軸の様々な相対角位置用の分析データを取得するために、超音波に基づいたものとは異なる他の分析技術を使用して、壁の少なくとも外側表面を分析するように設計された表面分析手段を備えてもよい。この場合、処理手段は、適用可能である場合には、(表面分析手段を通して取得された)これらの分析データから、壁の表面表示の位置および配向を表すマップを作成するように設計されてもよい。
【0033】
例えば、表面分析手段は、漏洩磁束分析手段および渦電流分析手段から選択される。
【0034】
−この装置は、軸に対して少なくとも1つのプローブを長手方向に相対的に変位させるように設計された変位手段を備えてもよい。この場合、その制御手段は、壁の第1、第2および可能であれば第3の部分の少なくとも一部を分析するように、軸に対して少なくとも1つのプローブを長手方向に相対的に変位させるように、変位手段を制御するように設計される。
【0035】
−代替的にまたは追加的に、その制御手段は、壁の第1、第2および可能であれば第3の部分の少なくとも一部を分析するように、少なくとも1つのプローブで電子走査を実行するように設計ことができる。
【0036】
−そのベンチは、プローブに対して軸の様々な相対角位置を画成するために、各プローブに対して軸を回転駆動するように設計されてもよい。あるいは、ベンチは、上記プローブに対してこの軸の様々な相対角位置を画成するために、軸に対して少なくとも1つのプローブを回転駆動するように設計されてもよい。
【0037】
−その処理手段は、検査されるべき軸上で得られたマップデータを、検査されたものと同一のタイプであるが欠陥のない第1の参照軸上で得られた第1の参照マップデータと比較し、第1の参照マップに示されていないエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、訂正されたマップを作成するように設計されてもよい。
【0038】
−その処理手段は、検査されるべき軸上で得られたマップデータを、検査されたものと同一のタイプであるが既知の欠陥が含まれる第2の参照軸上で得られた第2の参照マップデータと比較し、第2の参照マップに示された既知の欠陥を表すエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、欠陥マップを作成するように設計されてもよい。
【0039】
−その処理手段は、検査されるべき軸上で得られたマップデータの振幅を、選択された閾値振幅と比較し、この閾値振幅より高い振幅を備えた、欠陥を示すエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、欠陥マップを作成するように設計されてもよい。
【0040】
その処理手段は、閾値振幅より高い振幅を検出した場合に、警告を発するように設計してもよい。
【0041】
−この装置は、その処理手段によって作成されたマップの少なくともいくつかを表示するのに適切なスクリーンを備えてもよい。
【0042】
−例えば、各プローブは、単一の可変角度方向に、例えば長手方向または横方向に対して、約0度から約70度の間に、超音波を放出するように設計されてもよい。
【0043】
−あるいは、例えば、各プローブは、いわゆるフェーズドアレイ型であってもよく、選択された角度セクタにある方向に、例えば長手方向または横方向に対して、約0度から約70度の間に、超音波を放出するように設計されてもよい。
【0044】
本発明の他の特徴および利点は、下記の詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】器具が嵌められていない形態の管状車軸の長手方向概略断面図である。
【図2】器具が嵌められた管状車軸の形態の一部の長手方向概略断面図である。
【図3】本発明による検査装置の一実施の形態を概略的かつ機能的に示す図である。
【図4A】長手方向分析用に、軸壁の一部の外側表面の選択されたサイトにプローブを配置した例を示す概略斜視図である。
【図4B】長手方向分析用に、軸壁の一部の外側表面の選択されたサイトにプローブを配置した例を示す概略斜視図である。
【図5】横方向分析用に、軸壁の一部の外側表面の選択されたサイトにプローブを配置した例を示す概略斜視図である。
【図6】長手方向分析用に、軸壁の一部の内側表面の選択されたサイトにプローブを配置した例を示す概略斜視図である。
【図7A】第1の長手方向に配向された30度に等しい放出角度をなすように右から左へ長手方向に変位された3つの一方向性プローブによって検査される壁の一部の第1の部分を表す図である。
【図7B】第1の長手方向に配向された45度に等しい放出角度をなすように右から左へ長手方向に変位された3つの一方向性プローブによって検査される壁の一部の第1の部分を表す図である。
【図7C】第1の長手方向に配向された60度に等しい放出角度を成すように右から左へ長手方向に変位された3つの一方向性プローブによって検査される壁の一部の第1の部分を表す図である。
【図8A】第2の長手方向に配向された30度に等しい放出角度用に左から右へ長手方向に変位された、図7A〜7Cと同一の3つの一方向性プローブによって検査される図7A〜7Cに示された壁の一部の第2の部分を描いた図である。
【図8B】第2の長手方向に配向された45度に等しい放出角度用に左から右へ長手方向に変位された、図7A〜7Cと同一の3つの一方向性プローブによって検査される図7A〜7Cに示された壁の一部の第2の部分を描いた図である。
【図8C】第2の長手方向に配向された60度に等しい放出角度用に左から右へ長手方向に変位された、図7A〜7Cと同一の3つの一方向性プローブによって検査される図7A〜7Cに示された壁の一部の第2の部分を描いた図である。
【図9A】第1の長手方向に配向され、30度から70度の間の角度セクタ用に、3つのフェーズドアレイ・プローブによって検査される、図7A〜7Cに示された壁の一部の第1および第2の部分を示す図である。
【図9B】第2の長手方向に配向され、30度から70度の間の角度セクタ用に、3つのフェーズドアレイ・プローブによって検査される、図7A〜7Cに示された壁の一部の第1および第2の部分を示す図である。
【図10】長手方向に配向された30度から70度の間の角度セクタ用に、内側表面に置かれたフェーズドアレイ・プローブによって検査される壁の一部の第3の部分を示す図である。
【図11A】同一の車軸壁上で得られたマップの2つの例を示す図である。
【図11B】同一の車軸壁上で得られたマップの2つの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
添付の図面は、本発明を補足するだけではなく、適用可能である場合には、その定義の一部を成す目的でも使用することができる。
【0047】
本発明の目的は、管状車軸の大部分を、可能であればその全体を、管状車軸に器具が嵌められているときも含めて、非破壊的にかつ少なくとも半自動的に検査するのを可能にすることである。
【0048】
検査されるべき管状軸は、品物または乗客を運ぶための貨車の車軸の一部を形成するように意図されていることが下記では想定されている。しかし、本発明はこの用途に限定されない。当然、これは、稼働中の応力、例えば疲労歪等を受け、それの壁が、既知の内外径形状が変化するいずれのタイプの中空(管状)回転製品に関する。
【0049】
図1に示されるように、管状(車)軸AEは壁PAを有し、これは、熱間鍛造および機械加工作業によって画成され、最終的に可変の外半径R1および内半径R2の形状を呈する。なお、半径方向(すなわち、長手方向軸XXに垂直な方向)の厚さは、必ずしも一定ではない。換言すれば、外半径R1および内半径R2の形状は、必ずしも相似的に重なり合うことはできない。
【0050】
このタイプの軸の自動検査は、図1の形態のように器具を備えていないか、または、図2の形態のように器具EQ(例えば、特に、車輪および/またはブレーキディスク)を備えるかのいずれかの状態で、図3に概略的にかつ機能的に描かれたタイプの検査装置を使用して実行される。
【0051】
そのような装置は、少なくとも1つの検査ベンチBCと、少なくとも1つの超音波プローブSU(ここでは、3つが示されている)と、制御モジュールMCと、処理モジュールMTと、好ましくはスクリーンECと、を有する。なお、制御モジュールMC、処理モジュールMTおよびスクリーンECは、図3の非限定的な例として示されるように、検査ベンチBCにおよび各プローブSUに接続されたマイクロコンピュータ(またはワークステーション)MOの一部を形成することができる。下記において、装置は少なくとも2つのプローブSUを有することが想定されている。
【0052】
検査ベンチBCは、例えば、支持部MSを備え、その上に、(器具の有無に係わらず)車軸AEと、制御モジュールMCによって生成された命令を受け取る際に選択された角部分にしたがって車軸AEを回転駆動するように設計された駆動軸ABと、を配置することができる。なお、選択された角部分は、完全回転に対応する360度に等しくてもよい。また、駆動軸ABが車軸AEも支持することができるときには、支持部MSを省略することができる。当然ながら、軸AEが回転駆動されるのを可能にする他のいずれの手段が考慮されてもよい。重要な事実は、ベンチBCが、プローブSUに対するこの軸AEの様々な相対角位置を規定するためにプローブSUに対して軸AEを回転駆動するか、または、プローブSUに対するこの軸AEの様々な相対角位置を規定するために軸AEに対してプローブSUを回転駆動するか、のいずれかを課されてもよいということである点に留意することが重要である。換言すれば、ベンチBCは、プローブSUに対する軸AEの相対的な位置決めを制御する。下記において、非限定的な例として、ベンチBCがプローブSUに対して軸AEを回転駆動することができることが容認される。
【0053】
超音波プローブSUは、単一の方向に超音波を放出するような配列であり、その角度は選択されるが要件にしたがって変動可能な配列か、または、いわゆるフェーズドアレイ型であり、すなわち、要件にしたがって(角度電子走査によって)選択された角度セクタにある数方向に超音波を放出するような配列のいずれかの形で配列することができる。センサの長手方向変位の等価物もまた、電子走査を使用して得ることができる。
【0054】
第1の場合(一方向性)では、各プローブSUは、分析されている壁PAから来るエコーを受信するように設計された単一の検出素子を有する。第2の場合(フェーズドアレイ・プローブ)では、各プローブSUは、様々な角度で(おそらく複数の)屈折および/または反射後に分析されている壁PAから来るエコーを受信するように設計された複数の検出素子を有する。検出素子は一般に複合材料から作られ、トランスデューサ上に置かれることが想起される。プローブの検出素子が励起されると、発散分析ビームを生成する。この形態およびそれに伴う入射の略方向は、プローブの検出素子の励起の選択された瞬間のレベルで時間遅延を導入することによって、電子的に修正することができる。プローブの検出素子と、所与の略方向で分析ビームを生成するために使用されるあらゆる関連した時間遅延との組み合わせは、通常、「仮想プローブ」と称される。フェーズドアレイ・プローブは、したがって、これが特徴とする組み合わせに応じて複数の(例えば、数ダースの)仮想プローブを形成することができる。トランスデューサの励起周波数は、通常、数メガヘルツ(2〜5MHz)程度ある。放出で励起されないときには、これらの同一の検出素子を使用して、物質と空気の接触面または物質と液体の接触面から来るエコー、不完全部および欠陥を検出する。それらは、これにより、エミッタ/レシーバタイプのセンサを形成する。
【0055】
壁PAの内半径R2および外半径R1の形状、ならびに、軸AEの潜在的な負荷が、例えば、CIVA8.0タイプのシミュレーションソフトウェア(フランス原子力庁(CEA)により開発および販売されている)を使用して分析され、そのタイプ(一方向性またはフェーズドアレイ(および、この第2の場合には、検出素子の数))、ならびに、第1および第2の対向する方向にしたがって長手方向または横方向の分析を実行するように配向されることができるという事実に依存して、軸AEの全体または単に選択された部分のみを分析するために必要なプローブSUの数を決定するようにする。
【0056】
ここで、「長手方向分析」とは、欠陥および/または不完全部を調べるために、好ましくは長手方向に配向され、または、長手方向XXに対して小鋭角(通常は±25度未満、好ましくは±5度未満の鋭角は)をなして実行される分析を意味する。「傾斜」という用語は、この欠陥配向を称するために使用されることもある。この分析は、長手方向XXに垂直な方向に放出されたビームを使用して実行され、すなわち、その略方向は、長手方向XXに垂直な平面に実質的に含まれるか、または、この垂直方向で小鋭角(通常は±10度未満)を作る。
【0057】
さらに、「横方向分析」とは、欠陥および/または不完全部を調べるために、好ましくは横方向に配向され、または、長手方向XXに垂直な平面に対して小鋭角(典型的に±25度未満、好ましくは±5度未満の鋭角)を成して実行される分析を意味する。「傾斜」という用語は、この欠陥配向を称するために使用されることもある。この分析は、長手方向XXに平行な方向に放出されたビームを使用して実行され、すなわち、その略方向は、それ自体が長手方向XXを含む平面に実質的に含まれるか、または、この長手方向で小鋭角(通常は±10度未満)を作る。
【0058】
軸AEの壁PAに通常見られる内半径R2および外半径R1の形状および軸AEの通常の負荷の形態を考慮して、一方向性プローブSUの放出の角度は、一般に、長手方向XXに対して、約0度から約70度の間で変動することができなければならず、フェーズドアレイ・プローブSUの放出の角度セクタは、一般に、長手方向XXに対して、約0度から約70度の間でなければならない。
【0059】
第1の長手方向または横方向に配向された第1の選択された角度セクタにおいて、壁PAの第1の選択された部分を分析するように当初軸AEに対して置かれなければならない(第1の)選択されたサイト、および、第1の方向とは反対の第2の長手方向または横方向に配向された第2の選択された角度セクタにおいて、壁PAの第2の選択された部分を分析するようにその後軸AEに対して置かれなければならない可能な(第2の)選択されたサイトが各プローブSU用に決定されており、プローブSUは、第1のそれぞれの選択されたサイトに置かれることができる。
【0060】
軸AEに対するプローブSUのこの相対配置は、要件(および軸AEの構成)にしたがって、壁PAの外側表面SEまたはこの壁PAの内側表面SIのいずれかに位置する第1の選択されたサイトで実行することができる。まず、例えば、プローブSUを壁PAの外側表面SEに置くことによって超音波分析を行うことができ、次いで、適用可能である場合には、これらの分析は、その後、壁PAの内側表面SIに(すなわち、管状軸AEの内部に)プローブSUを置くことによって、これらの分析を補足することができる。しかし、逆もまた可能である。
【0061】
プローブSUと壁PAの内側表面SIまたは外側表面SEとの間の接続は、当業者に公知のいずれの手段によっても達成することができ、特に、好ましくは防食剤と混合して、グリセリンを使用するかまたは水に浸漬することによって可能である。
【0062】
図4Aおよび4Bは、長手方向分析用に、軸AEの壁PAの一部の外側表面SEの2つの選択されたサイトにプローブSUを相対配置する2つの例を示す。図5はまた、横方向分析用に、軸AEの壁PAの一部の外側表面SEの選択されたサイトにプローブSUを相対配置する例を示す。図6はまた、長手方向分析用に、軸AEの壁PAの一部の内側表面SIの選択されたサイトにプローブSUを相対配置する例を示す。
【0063】
プローブSUは、選択されたサイトの平面上に留まることによって、または、(当初選択されたサイトに対応する)開始位置と(他の選択されたサイトに対応する)終了位置との間で、1つまたはそれ以上の中間位置(各々が他の選択されたサイトに対応する位置)を経由して適用可能である場合には、相対的にかつ長手方向および/または横方向に変位されることによって、のいずれかで、それに割り当てられた部分を分析することができることに留意することが重要である。
【0064】
プローブSUのこれらの相対配置は、それに接続された変位手段MDを使用して実行することができる。各変位手段MDは、例えば、制御モジュールMCによって生成された命令にしたがって長手方向に変位することができるように、ベンチBCに対して並進で装着されたプローブキャリアである。なお、各プローブキャリアMDは、適用可能である場合には、第1の長手方向または横方向に配向された第1の選択された角度セクタにおける長手方向または横方向の分析(長手方向XXに対して垂直な放出の略方向)から、第1の方向とは反対の第2の長手方向または横方向に配向された第2の選択された角度セクタにおける長手方向または横方向の分析へ進むことができるように180度の角度で、または、第1および第2の選択された角度セクタにおける長手方向の分析から第3の選択された角度セクタにおける横方向の分析へ、ならびに、その逆に進むことができるように90度の角度で、のいずれかで、プローブSUの配向を変えるように回転駆動されてもよい。組み合わされた長手方向および横方向の変位から生じる分析もまた考えられる。
【0065】
プローブSUは固定されてもよく、一方、ベンチBCは、軸AEを長手方向に動かすことができ、かつ/あるいは、これを回転駆動することができる。軸AEに対してプローブSUを長手方向に動かしかつこれを回転駆動すること、または、逆も可能である。
【0066】
1つの変形例において、制御モジュールMCは、壁PAの第1、第2および可能であれば第3の部分の少なくとも一部を分析するように、プローブSUの少なくともいくつかによる電子走査の実行を課されることがある。フェーズドアレイの選択されたサイトに位置するこれらの検出素子のいくつかを使用することによって、かつ、連続して放出するようにこれらの選択された検出素子に選択された遅延を割り当てることによって、プローブSU用の電子走査が得られることに留意すべきである。変位のこの「電子」的な方法は、プローブSUを機械的に動かす必要性を回避するので、有利である。
【0067】
なお、少なくともいくつかのプローブSUがそれに割り当てられた壁の部分を分析できるようにするために、長手方向の(機械的)変位および電子走査の両方を組み合わせることも可能である。この場合、選択されたプローブSUを相対的にかつ長手方向に動かすように変位手段MDに対して必要な命令を生成し、電子走査を促すように選択されたプローブSUに必要な命令を生成することを課されてもよいのは、制御モジュールMCである。
【0068】
また、選択された壁PAの全部分を分析するために使用される解法は、利用可能なプローブSUのタイプに依存し、さらに、フェーズドアレイ・プローブの場合には、それらを構成する検出素子の数に依存する。壁PAの割り当てられた部分を覆うような数のプローブSUの検出素子が適応される場合には、機械長手方向変位を提供する必要はないが、それは、電子走査で代用することができるからである。例えば、プローブSUが、100mmに等しい長手方向の延長により壁PAの一部を覆わなければならない場合には、例えば、一対の間が約0.1mmに等しい距離だけ離れた、0.5mmを測定する少なくとも200個の検出素子を備えなければならない。検出素子の寸法が小さくなればなるほど、分析の角度セクタは大きくなることが可能である点に留意すべきである。機械的な長手方向変位を回避するように、プローブSUの検出素子の数と電子走査によって提供される検査対象範囲を拡張する可能性との間に、妥協を見出すことができる。
【0069】
フェーズドアレイ・プローブの使用は、一方向性プローブの使用よりも有利であるが、それは、超音波源のいずれの角変位を回避しながら、同一の角度セクタ分析でより良好な連続性を得ることができるからであることにも留意すべきである。
【0070】
本発明によれば、ひとたびプローブSUが、第1のサイト(その形状および軸AEの潜在的な負荷に応じて選択される)で壁PAの外側表面SEまたは内側表面SIに置かれると、そのプローブSUの各々は、第1の長手方向または横方向に配向される第1の選択された角度セクタにおいて、壁PAの第1の割り当てられた部分の分析を開始する。各プローブSUは、これにより、上記プローブSUに対する軸AEの現在の相対角位置の分析データを取得することができる。連続した選択された角度セクタにおいて、軸AEを回転駆動することによって(ここでは、検査ベンチBCを使用して、例えば駆動軸ABで実施)、各プローブSUは、各角変位後に、分析データの新たな取得を実行することができる。分析データは、これにより、検査された壁PAの各第1の部分の全円周に関連して、得ることができる。
【0071】
例えば、これらの分析データは、放出角度、放出の瞬間および超音波の受信(または、これと同等である、放出の瞬間と受信の瞬間との間の時間間隔)、ならびに、受信角度を備える。例えば、選択された参照枠に対して第1の検査部分の長手方向位置および角位置に対応するメモリMYに格納することを課される制御モジュールMCへ、プローブSUによって、ならびに、適用可能である場合には、それらを得るために使用されるプローブSUの識別子によって、送信される。
【0072】
その後、プローブSUの少なくともいくつかが、(形状および軸AEの潜在的な負荷に応じて選択される)第2のサイトで壁PAの外側表面SEまたは内側表面SIに(相対的に)移動され、そのため、第1の方向とは反対の第2の長手方向または横方向に配向される第2の選択された角度セクタにおいて、それぞれ割り当てられた壁PAの第2の部分の分析を続行する。
【0073】
例えば、第1の方向が長手方向軸XXの左から右へ向かう方向に一致する場合には、第2の方向は、上記長手方向軸XXの右から左へ向かう方向に対応する。同様に、第1の方向が長手方向軸XXに垂直な第2の軸の左から右へ向かう方向に一致する場合には、第2の方向は、上記第2の軸の右から左へ向かう方向に一致する。
【0074】
各移動されたプローブSUは、これにより、軸AEの現在の角位置の分析データを取得することができる。選択された角度セクタで軸AEを回転駆動することによって、各プローブSUは、各角変位後に、分析データの新たな取得を実行することができる。分析データは、これにより、検査された壁PAの各第2の部分の全円周に関連して、利用可能である。これらの分析データは、例えば、選択された参照枠に対して第2の検査部分の長手方向位置および角位置に対応してメモリに格納することを課される制御モジュールMCへ、プローブSUによって、ならびに、適用可能である場合には、それらを得るために使用されるプローブSUの識別子によって、送信される。
【0075】
対向する方向におけるこの二重分析の結果として、図7〜10に示されるように、車軸AEのすべてまたは一部を(要件にしたがって)検査することができる。より具体的には、下記の通りである。
【0076】
−図7A〜7Cは、それぞれ、(右から左へ向かう)第1の長手方向に配向された30度、45度および60度に等しい放出角度用に、外側表面SEに置かれ相対的にかつ長手方向に右から左へ変位された3つの一方向性プローブによってカバーすることができる壁のパートの第1の部分を表す。
【0077】
−図8A〜8Cは、それぞれ、(左から右へ向かう)第2の長手方向に配向された30度、45度および60度に等しい放出角度用に、外側表面SEに置かれ相対的にかつ長手方向に左から右へ変位された同一の3つの一方向性プローブによって検査することができる壁の同一のパートの第2の部分を表す。
【0078】
−図9Aは、(右から左へ向かう)第1の長手方向に配向された30度から70度の間の角度セクタ用に、外側表面SEに置かれた3つのフェーズドアレイ・プローブによって検査することができる壁の同一の一部の第1の部分を表す。
【0079】
−図9Bは、(左から右へ向かう)第2の長手方向に配向された30度から70度の間の角度セクタ用に、外側表面SEに置かれた同一の3つのフェーズドアレイ・プローブによって検査することができる壁の同一のパートの第2の部分を表す。
【0080】
−図10は、(左から右へ向かう)長手方向に配向された30度から70度の間の角度セクタ用に、内側表面SIに置かれた1つのフェーズドアレイ・プローブによって検査することができる壁の同一のパートの第3の部分を表す。
【0081】
軸AEの壁PAに通常見られる内半径R2および外半径R1の形状および軸AEの通常の負荷の形態を鑑みて、一方向性プローブSUの放出の角度は、一般に、長手方向XXまたは横方向に対して、約0度から約70度の間で変動することができなければならず、フェーズドアレイ・プローブSUの放出の角度セクタは、一般に、長手方向XXまたは横方向に対して、約0度から約70度の間でなければならない。
【0082】
図7〜10の例において、各双方向矢印は、(上に置かれた)プローブSUによって分析される(第1の)部分の長手方向の延長を表す。車軸AEの負荷は、同一のプローブSUによって技術的に分析される(検査対象とされる)ことができる部分の長手方向延長を、いくつかの部分で、顕著に減少することが理解される。これは、車輪の下に位置する部分で特に見られ、この部分では圧力嵌めによっておよび/または支持される負荷によって生じた構造的欠陥を有する可能性が大きく、したがって、可能な限りもっとも注意深く完全な検査(分析)を経なければならない。
【0083】
格納された分析データは、処理モジュールMTによって抽出され、次いで、横方向または長手方向の配向、および、壁PA内のエコーを示す位置を表すマップを作成するように関連する軸域に応じてグループ化が課される。
【0084】
エコーの表示は、物質と空気の接触面もしくは物質と液体の接触面、または、不完全部、または、欠陥のいずれかにおける反射から生じることに留意すべきである。
【0085】
長手方向分析は、(通常もっとも頻度が高い)横方向の不完全部および欠陥の検出に特に適しているが、一方、横方向分析は長手方向の不完全部および欠陥の検出に特に適していることにもまた留意すべきである。
【0086】
2つの対向する方向であるために非常に異なる分析の方向で物質を検査することは、より小さい寸法の不完全部および欠陥の検出を可能にし、したがって、中実軸に適応された先行技術によるこれまでの方法および検査装置で行うよりも多数の不完全部および欠陥を検出することを可能にする。しかし、同検査はまた、壁PA内部の斜めのかつ傾いた(または「傾斜した」)不完全部および欠陥の適切な検出を可能にする。
【0087】
なお、処理モジュールMTは、適用可能である場合には、壁の第1のおよび/または第2の部分検査対象区域を構成する同一域に関連する分析データの間で「相関」を示すように配列されてもよい。これにより、三次元タイプ(3D)が適用可能である場合には、対象範囲のこれらの区域の「未加工」マップを作成することができる。
【0088】
未加工マップを構成するデータファイルは、メモリMYに格納されることが好ましい。これらのマップは、次いで、スクリーンECに個別に(次々に)または一群で(一度に数個)表示され、技術者による分析を受けるか、または、最初に自動的に分析を受けるかのいずれかが可能であり、その後、「訂正された」マップまたは「欠陥」マップに変換されてスクリーンECに個別にまたは一群で表示されることが可能である。
【0089】
数種類の対照分析は、「未加工」マップで実行することができる。
【0090】
例えば、処理モジュールMTには、検査されるべき軸AEで得られたマップのうち少なくともいくつかのマップのデータと、検査されたものと同一のタイプであるが欠陥のない第1の参照軸上で得られた第1の参照マップデータとの比較を課すことができる。この場合、処理モジュールMTは、メモリMYに格納する訂正されたマップを作成するために、第1の参照マップに示されていないエコーの表示を表すデータのみを選択する。
【0091】
代替的にまたは追加的に、処理モジュールMTには、軸AEで得られた(未加工または訂正された)マップのうち少なくともいくつかのマップのデータと、検査されたものと同一のタイプであるが既知の欠陥が含まれる第2の参照軸上で得られた第2の参照マップからのデータとの比較を課すことができる。この場合、処理モジュールMTは、メモリMYに格納する欠陥マップを作成するために、第2の参照マップに示された既知の欠陥を表すエコーの表示を表すデータのみを選択する。
【0092】
代替的にまたは追加的に、処理モジュールMTには、少なくともいくつかのマップ上に表されたエコーの表示の振幅と、選択された閾値振幅との比較を課すことができる。この場合、処理モジュールMTは、欠陥マップを作成するために、選択された閾値振幅よりも高い、結果的に欠陥から生じると想定される振幅を備えたエコーの表示を表すデータのみを選択する。
【0093】
さらに、処理モジュールMTは、選択された閾値振幅よりも高い振幅を検出するたびに、(聴覚および/または視覚(スクリーンEC上に表示される))警告を発することも可能である。
【0094】
車軸AEの同一の壁PAで得られる未加工マップの2つの例が、図11Aおよび11Bに示されている。検出された構造的な欠陥にはDSの符号が付されている。
【0095】
先に示されたように、壁PAは、プローブSUを外側表面SEにまたは内側表面SIに置くことによって、分析することができる。しかし、二重分析を行うこともでき、例えば、まずプローブSUを外側表面SEに置き、次いで、プローブSUのいくつかを内側表面SIに置く。より正確には、この場合、プローブSUに対する軸AEの様々な相対角位置用の分析データを取得するために、プローブSUは、壁PAの外側表面SEの、第1の選択されたサイトに置かれ、これらのプローブSUで、第1の長手方向(または横方向)に配向された第1の選択された角度セクタにおいて、壁PAの第1の選択された部分が分析される。次いで、プローブSUに対する軸AEの様々な相対角位置用の分析データを取得するために、プローブSUの少なくともいくつかが、壁PAの外側表面SEの、第2の選択されたサイトに移動され、これらのプローブSUで、第1の方向とは反対の第2の長手方向(または横方向)に配向された第2の選択された角度セクタにおいて、壁PAの第2の選択された部分が分析される。最後に、プローブSUに対する軸AEの様々な相対角位置用の分析データを取得するために、プローブSUの少なくともいくつかが、壁PAの内側表面SIの、第3の選択されたサイトに置かれ、これらのプローブSUで、少なくとも1つの長手方向(または横方向)に、または、場合によっては2つの対向する方向に、配向された第3の選択された角度セクタにおいて、壁PAの第3の選択された部分が分析される。
【0096】
次いで、処理モジュールMTは、すべての分析データから、壁PA内のエコーの表示の位置および配向を表すマップを作成する。
【0097】
この外側と内側の二重分析は、検査されるべき壁PAの部分のすべてを対象とすることができるが、一方、この壁PAの形状および/または軸AEの負荷のため、外側分析のみによってすべての部分を対象とすることは、不可能であると判明する場合もある。
【0098】
(上記に示されるように)両方向で外側に(または内側に)第1の長手方向分析を実行し、次いで、少なくとも一方向で外側に(または内側に)第2の横方向分析を実行するし、これにより壁PA内のエコーの表示の横方向の配向および位置を表すマップ、ならびに、同一の壁PA内のエコーの表示の長手方向の配向および位置を表すマップを作成することも可能である。
【0099】
両方向で外側における第1の長手方向分析を実行し、次いで、少なくとも一方向で内側における第2の横方向分析を実行することも可能である。
【0100】
両方向で内側に第1の横方向分析を実行し、次いで、少なくとも一方向で外側に第2の分析を実行することもまた可能である。
【0101】
原則として、内側および外側の長手方向および横方向の分析のすべての組み合わせが考えられる。
【0102】
なお、場合によっては、内側分析は、この軸AEの内部に少なくとも1つのプローブSUを壁PAの内側表面SIに向けて置くのを可能にするように、適用可能である場合には適切な変位手段MDによる相対変位を可能にするように、管状車軸AEの少なくとも両端の口径を広げる必要があることもある。
【0103】
また、プローブSUを変位するためのサイト、プローブSUの各々の超音波による分析の様々な角度または様々な角度セクタ、および、様々なプローブに割り当てられた壁の部分は、適用可能である場合には、応力に応じて、選択が可能である。これにより、検査の一部はビームで行われ、その略方向は、長手方向XXをそれ自体が含む平面に実質的に含まれ、対で検査対象範囲の選択された率が例えば50%を呈する壁の部分にある場合で、および/または、検査の一部は連続ビームで行われ、その略方向は、この長手方向XXで0度から20度の間および0度から−20度の間である鋭角を形成する平面に実質的に含まれる場合が考えられる。さらに、プローブSUの検出素子の傾斜の角度は、要件にしたがって選択することができる。非限定的な例として、長手方向XXに対する45度の角度を選択することができる。
【0104】
当業者が認識しているように、各トランスデューサの増幅率は、例えば、壁PAの接触面から来る第1のエコーで得られた信号の振幅が、例えばマップ用に使用される総振幅動力の約50%に等しい振幅に相当するように、キャリブレーションフェーズ中に調整されなければならないことにもまた留意されたい。
【0105】
さらに、キャリブレーションフェーズはまた、好ましくは、検査されるべきものと同一のタイプであるが正常である(すなわち、不完全部および構造的欠陥がない)参照管状車軸上で実行される超音波分析の結果を表す、上記参照マップの取得専用の第1の部分も含む。当然、キャリブレーションフェーズのこの第1の部分は、壁PA(および特に隅、さらにより一般的には、内半径R2または外半径R1が著しく変動する区域)の形状配置によって発生するエコーを前もって知ることを可能にし、これにより、検査されるべき管状車軸AEの不完全部および構造的欠陥によって発生するものとの区別を可能にする。
【0106】
同様に、キャリブレーションフェーズはまた、検査されるべきものと同一のタイプの参照管状車軸上で実行される超音波分析の結果を表すが、この参照は、選択されたサイトで画成された特徴的な構造的または人工的な欠陥(例えば、特徴的なノッチまたはキャビティ等)を備える上記参照マップの取得専用の第2の部分も含むことができる。これらの特徴的な構造的または人工的な欠陥は、不完全部と欠陥とを分類するための閾値を定める仕様および/または標準にしたがって画成される。生来の欠陥上のエコーから来る信号の振幅が分類するための閾値よりも低い場合には、不完全部がある。これが閾値よりも高い場合には、欠陥がある。事実上、キャリブレーションフェーズのこの第2の部分は、特徴的な構造的または人工的な欠陥によって発生するエコーを前もって知ることを可能にし、これにより、検査されるべき管状車軸AEにおける類似タイプのエコー(または特徴)を発生させる「物体」を、分類するための閾値と比較することによって、マップ上でより容易に検出するのを可能にする。
【0107】
ひとたび管状車軸AEの長手方向および/または横方向の超音波分析が完了すると、次いで、他のタイプの少なくとも1つの追加分析を実行することが可能になる。例えば、表面分析手段に対する軸AEの様々な相対位置用の表面分析データを取得するために、壁PAの外側表面SEの分析を実行することができる。
【0108】
使用することができる表面分析技術は、特に、いわゆる漏洩磁束技術およびいわゆる渦電流技術を含む。これらの技術のいくつかは有益であるが、それは、これらが、壁PAの表面欠陥の位置および配向を表すマップを作成することができる表面分析データを提供するからである。これらの表面欠陥マップのデータファイルは、技術者によって分析されるためにおよび/またはプローブSUで得られたマップと比較されるために、スクリーンECに、上記表面欠陥マップが個別に(次々と)または一群で(一度に数個)表示され、該当する場合には、(超音波によって得られる)構造的欠陥のマップも併せて表示されるように、メモリMYに格納されることが好ましい。こうすることで、表面欠陥マップおよび超音波によって得られたマップの装置による自動比較も可能となる。
【0109】
MPI(「磁粉探傷検査(Magnetic Particle Inspection)」)タイプの表面分析もまた実行することができることに留意されたい。この技術は、磁粉および蛍光剤を使用して壁PAの外側表面SEをカバーし、次いで、検査されるべき壁を磁化し、次いで、これらの磁粉の配向の不規則性、欠陥または不完全部の存在に連結した配向の不規則性を、UV(紫外線)灯下で視覚的な観察する(目で)ことを伴うことに留意すべきである。この表面分析技術の不利点は、現在、表面欠陥マップを提供せず、したがって、もっぱら軸AE上で検査を行う技術者による視覚的な観察に頼っており、その後、超音波によって得られたマップとの視覚的な非自動比較を必要とするという事実である。次いで、オペレータによる解釈および関連リスクに依存する。
【0110】
上記に言及されたマップは、当業者には既知のいずれのタイプであってもよく、特に、A−スキャン、B−スキャン、C−スキャン、D−スキャンおよびS−スキャン(またはセクタスキャン)タイプであってもよいことにもまた留意されたい。純粋に例示的な目的のためにいうと、例えば、(一部の形状配置に関する不完全部の場所の描写を提供する)C−スキャンタイプのマップを作成することができ、該当する場合には、(固定プローブ位置で、容量における場所の表示を提供する)S−スキャンタイプのマップも可能である。
【0111】
本発明のおかげで、厚さ約2mm(すなわち、壁PAの半径方向の公称厚さの約5%)、長さ約5mmおよび幅約1mmの不完全部および欠陥を検出することが可能である。さらに、通常は±25度よりも小さく、好ましくは±5度よりも小さい鋭角で傾斜を呈する長手方向および横方向の不完全部および欠陥を検出することができる。さらに、約60度までの失見当角度(または「傾斜角度」)を呈する長手方向または横方向のキャビティ(または「不備」)を検出することができる。
【0112】
本発明は、単に例として上述された管状車軸を検査するための方法および装置の例に限定されず、当業者によって下記特許請求の範囲の枠組み内にあるとみなされ得るすべての変形例を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブを使用して車軸を検査するための方法であって、
a)既知の内外径形状が変化する壁(PA)を備える管状車軸(AE)を検査ベンチ(BC)に置くステップと、
b)前記壁(PA)の外側表面(SE)または内側表面(SI)の、その形状および前記軸(AE)の潜在的な負荷に応じて選択された第1のサイトに少なくとも1つの超音波プローブ(SU)を置き、次いで、各プローブ(SU)で、第1の長手方向または横方向に配向された第1の選択された角度セクタにおいて、前記壁(PA)の第1の選択された部分を分析し、前記プローブ(SU)に対して前記軸(AE)の様々な相対角位置用の分析データを取得するようにするステップと、
c)前記壁(PA)の形状および前記軸(AE)の前記潜在的な負荷に応じて選択された少なくとも1つの第2のサイトに、少なくとも1つのプローブ(SU)を移動し、次いで、各プローブ(SU)で、前記第1の方向とは反対の第2の方向に配向された第2の選択された角度セクタにおいて、前記壁(PA)の第2の選択された部分を分析し、前記プローブ(SU)に対して前記軸(AE)の様々な相対角位置用の他の分析データを取得するようにするステップと、
d)前記取得された分析データから、前記壁(PA)内のエコーの表示の横方向または長手方向の配向および位置を表すマップを作成するステップとを有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記壁(PA)内のエコーの表示の位置および配向を表すマップを作成するように、前記壁(PA)の前記外側表面(SE)に各超音波プローブ(SU)を置くことによって、ステップb)〜d)を最初に実行し、次いで、前記プローブ(SU)に対する前記軸(AE)の様々な相対角位置用の分析データを取得するように、ならびに、前記壁(PA)内のエコーの表示の前記位置および配向を表すマップを作成するように、前記壁(PA)の前記内側表面(SI)の、その形状に応じて選択された少なくとも1つの第3のサイトに少なくとも1つの超音波プローブ(SU)を置き、その後、各プローブ(SU)で、少なくとも1つの選択された長手方向または横方向に配向された第3の選択された角度セクタにおいて、前記壁(PA)の第3の選択された部分を分析することによって、少なくともステップb)およびd)を二度目に実行することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
長手方向に配向された角度セクタにおいて、超音波分析を実行し、これにより、前記壁(PA)内のエコーの表示の横方向の配向および位置を表すマップを作成するように、前記壁(PA)の前記外側表面(SE)または前記内側表面(SI)に各超音波プローブ(SU)を置くことによって、ステップb)〜d)を少なくとも1回実行し、次いで、横方向に配向された角度セクタにおいて、超音波分析を実行し、これにより、前記壁(PA)内のエコーの表示の長手方向の配向および位置を表すマップを作成するように、前記壁(PA)の前記外側表面(SE)または前記内側表面(SI)に少なくとも1つの超音波プローブ(SU)を置くことによって、ステップb)〜d)を再度少なくとも1回実行することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップd)を実行した後に、超音波に基づいたものとは異なる他の分析技術を使用して、前記壁(PA)の少なくとも前記外側表面(SE)の分析が行われ、プローブ(SU)に対する前記軸(AE)の様々な相対角位置用の分析データを取得するようにするステップe)が提供されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップe)を実行した後に、これらの取得された分析データから、前記壁(PA)の表面表示の位置および配向を表すマップが作成されるステップf)が実行されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記他の分析技術は、いわゆる漏洩磁束技術およびいわゆる渦電流技術を含む群から選択されることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記壁の第1、第2および可能であれば第3の部分の各々は、前記軸(AE)に対する少なくとも1つのプローブ(SU)の長手方向の相対変位によって、および/または、少なくとも1つのプローブ(SU)で電子走査することによって、分析されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップb)、c)およびe)の少なくとも1つにおいて、プローブ(SU)に対する前記軸(AE)の前記様々な相対角位置は、プローブ(SU)に対して前記軸(AE)を回転駆動することによって得られることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップb)、c)およびe)の少なくとも1つにおいて、プローブ(SU)に対する前記軸(AE)の前記様々な相対角位置は、前記軸(AE)に対して少なくとも1つのプローブ(SU)を回転駆動することによって得られることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップd)中で得られた前記マップデータが、検査されたものと同一のタイプであるが欠陥のない第1の参照軸上で得られた第1の参照マップデータと比較され、前記第1の参照マップに示されていないエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、訂正されたマップを作成するようにするステップg)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップd)またはg)中で得られた前記マップデータが、検査されたものと同一のタイプであるが既知の欠陥が含まれる第2の参照軸上で得られた第2の参照マップデータと比較され、前記第2の参照マップに示された既知の欠陥を表すエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、欠陥マップを作成するようにするステップh)を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップd)またはg)中で得られた前記マップデータの振幅が、選択された閾値振幅と比較され、前記閾値振幅より高い、欠陥を示す振幅を備えたエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、欠陥マップを作成するようにするステップi)を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記閾値振幅より高い振幅を検出した場合に、警告が発せられることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのマップがスクリーン(EC)に表示されるステップj)を有することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
単一の可変角度方向に超音波を放出することができるプローブ(SU)が使用されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記角度は、長手方向または横方向に対して、約0度から約70度の間を変動することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
選択された角度セクタにある方向に超音波を放出することができるいわゆるフェーズドアレイ型のプローブ(SU)が使用されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記角度セクタは、長手方向または横方向に対して、約0度から約70度の間であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
車軸(AE)を検査するための装置であって、i)既知の内外径形状が変化する1つの壁(PA)を有する管状車軸(AE)を受け取るように配置された検査ベンチ(BC)と、ii)選択された角度セクタにおいて、前記壁(PA)の少なくとも1つの選択された部分を分析し、これにより、分析データを取得するように配置された少なくとも1つの超音波プローブ(SU)と、iii)第1および第2の対向する長手方向または横方向に配向された少なくとも1つの第1のおよび少なくとも1つの第2の選択された角度セクタにおいて、前記壁(PA)の少なくとも1つの第1のおよび少なくとも1つの第2の選択された部分をそれぞれ分析するように、ならびに、それにしたがい、プローブ(SU)に対する前記軸(AE)の様々な相対角位置用の分析データを取得するように、前記壁(PA)の外側表面(SE)または内側表面(SI)の、その形状および前記軸の潜在的な負荷に応じて選択された第1のサイトに各プローブ(SU)を置くように、前記検査ベンチ(BC)を制御するように整えられた制御手段(MC)と、iv)前記取得された分析データから、前記壁(PA)内のエコーの表示の横方向または長手方向の配向および位置を表すマップを作成するように配列された処理手段(MT)と、を備えることを特徴とする、装置。
【請求項20】
前記制御手段(MC)は、前記プローブ(SU)に対する前記軸(AE)の様々な相対角位置用の分析データを取得するように、前記壁(PA)の前記外側表面(SE)に対する少なくとも1つのプローブ(SU)の相対変位を最初に制御し、次いで、選択された長手方向または横方向に配向された少なくとも1つの第3の選択された角度セクタにおいて、前記壁(PA)の少なくとも1つの第3の選択された部分を分析するように、ならびに、それにしたがい、前記プローブ(SU)に対する前記軸(AE)の様々な相対角位置用の他の分析データを取得するように、前記壁(PA)の前記内側表面(SI)に対する少なくとも1つのプローブ(SU)の相対変位を二度目に制御し、かつ、前記処理手段(MT)は、前記取得された分析データから、前記壁(PA)内のエコーの表示の位置および配向を表すマップを作成するように整えられることを特徴とする、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記制御手段(MC)は、i)長手方向に配向された角度セクタにおいて、超音波分析を実行するように、ならびに、前記処理手段(MT)が作成するエコーの表示の横方向の配向および位置を表すマップから分析データを取得するように、前記壁(PA)の前記外側表面(SE)または前記内側表面(SI)に対する少なくとも1つのプローブ(SU)の相対変位を少なくとも最初に制御し、次いで、ii)横方向に配向された角度セクタにおいて、超音波分析を実行するように、ならびに、前記処理手段(MT)が作成するエコーの表示の長手方向の配向および位置を表すマップから分析データを取得するように、前記壁(PA)の前記外側表面(SE)または前記内側表面(SI)に対する少なくとも1つのプローブ(SU)の相対変位を少なくとも二度目に制御するように整えられることを特徴とする、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
プローブ(SU)に対する前記軸(AE)の様々な相対角位置用の分析データを取得するように超音波に基づいたものとは異なる他の分析技術によって、前記壁(PA)の少なくとも前記外側表面(SE)を分析するように整えられた表面分析手段を備えることを特徴とする、請求項19から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記処理手段(MT)は、前記表面分析手段(MAS)を通して取得されたこれらの分析データから、前記壁(PA)の表面表示の位置および配向を表すマップを作成するように整えられることを特徴とする、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記表面分析手段は、漏洩磁束分析手段および渦電流分析手段を含む群から選択されることを特徴とする、請求項22または23に記載の装置。
【請求項25】
前記軸(AE)に対して少なくとも1つのプローブ(SU)を長手方向に相対的に変位するように整えられた変位手段(MD)を備え、前記制御手段(MC)は、前記壁(PA)の第1、第2および該当する場合は第3の部分の少なくとも一部を分析するように、前記軸(AE)に対して少なくとも1つのプローブ(SU)を長手方向に相対的に変位するように、前記変位手段(MD)を制御するように整えられることを特徴とする、請求項19から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記制御手段(MC)は、前記壁(PA)の前記第1、第2および該当する場合には第3の部分の少なくとも一部を分析するように、少なくとも1つのプローブ(SU)で電子走査を実行するように整えられることを特徴とする、請求項19から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記検査ベンチ(BC)は、各プローブ(SU)に対して前記軸(AE)の様々な相対角位置を画成するように、各プローブ(SU)に対して前記軸(AE)を回転駆動するように配置されることを特徴とする、請求項19から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記検査ベンチ(BC)は、各プローブ(SU)に対して前記軸(AE)の様々な相対角位置を画成するように、前記軸(AE)に対して少なくとも1つのプローブ(SU)を回転駆動するように配置されることを特徴とする、請求項19から27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記処理手段(MT)は、検査されるべき前記軸(AE)上で得られたマップデータを、検査されたものと同一のタイプであるが欠陥のない第1の参照軸上で得られた第1の参照マップデータと比較し、前記第1の参照マップに示されていないエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、訂正されたマップを作成するように整えられることを特徴とする、請求項19から28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記処理手段(MT)は、検査されるべき前記軸(AE)上で得られたマップデータを、検査されたものと同一のタイプであるが既知の欠陥が含まれる第2の参照軸上で得られた第2の参照マップデータと比較し、前記第2の参照マップに示された既知の欠陥を表すエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、欠陥マップを作成するように整えられることを特徴とする、請求項19から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記処理手段(MT)は、検査されるべき前記軸(AE)上で得られたマップデータの振幅を、選択された閾値振幅と比較し、前記閾値振幅より高い、欠陥を示す振幅を備えたエコーの表示を表すデータのみを選択し、これにより、欠陥マップを作成するように整えられることを特徴とする、請求項19から30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記処理手段(MT)は、前記閾値振幅より高い振幅を検出した場合に、警告を発するように整えられることを特徴とする、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記処理手段(MT)によって作成された前記マップの少なくとも複数を表示することができるスクリーン(EC)を備えることを特徴とする、請求項19から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記プローブ(SU)は、単一の可変角度方向に、超音波を放出することができることを特徴とする、請求項19から33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記角度は、長手方向または横方向に対して、約0度から約70度の間を変動することを特徴とする、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記プローブ(SU)は、いわゆるフェーズドアレイ型であり、選択された角度セクタにある方向に超音波を放出することができることを特徴とする、請求項19から33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記角度セクタは、長手方向または横方向に対して、約0度から約70度の間であることを特徴とする、請求項36に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公表番号】特表2010−530528(P2010−530528A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512734(P2010−512734)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000836
【国際公開番号】WO2009/010653
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(508362664)ヴイ・アンド・エム・フランス (5)
【氏名又は名称原語表記】V & M FRANCE
【Fターム(参考)】