説明

内外装用面材

【課題】 ガラス板を採用した内外装仕上材(建築用面材)を、ガラス板採用の利点をそのまま備えると共に、更に堅牢性を備え、且つ大型パネル化が可能な内外装仕上材となる面材を提供する。
【解決手段】適宜大きさのガラス板1の背面側に所望の模様2を印刷形成、或いは塗装形成すると共に、背面全体を薄金属板3に接着してなる。また特に外装仕上材として使用する場合には、湿式施工用として金属板背面に錨部材を設けたり、乾式施工用として金属板背面に連結部材を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイル形状やパネル形状として、建築物の内装材や外装材として使用される面材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
耐火性を備える建築物の内装及び外装用の化粧材(表面仕上材)としては一般に焼成材であるタイル、レンガや石材が知られている。然しタイル、レンガ、石材などは表面の僅かな凹凸面による汚れの沈着や、装飾性の点で問題があり、更にその重量による取り扱いの不便さがある。
【0003】
そこで従前より、表面が平滑で且つ軽量であると共に、耐候性に優れたガラス板を使用した内外装仕上材が提案されている。
【0004】
例えば特開昭63−236845号公報(特許文献1)には、所定の色彩を備えた細粒体(顔料・金属粉・プラスチック粉・ガラス粉)を接着剤に混入し、ガラス板の裏面に前記接着剤を塗付し、更に背面にコルク等の軽量基板を接着した内外装仕上材が開示されている。
【0005】
また特開2007−224703号公報(特許文献2)には、裏面に模様印刷を施し、更に裏面に特定の接着層(ポリマーセメント等のガラスに接着力を備えた材質の部材で形成したベース層)を形成したガラスタイルが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開昭63−236845号公報。
【特許文献2】特開2007−224703号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したガラス板を採用した内外装仕上材は、原則としてモルタルのようなタイル用接合剤を使用する湿式施工用のタイルである。従って所定の壁面に順次裏面にタイル用接合剤を塗布して張り付けて行くもので、通常のタイルと同様に施工されるものであり、施工作業が煩瑣であることは従前のタイル施工と何ら変わりはない。
【0008】
またガラス板の背面部材が接着層やコルクのような柔らかい部材の場合に、壁面に貼り付ける以前に面材(タイル)に対して衝撃圧力が加わると、前記圧力によってガラス面が僅かに湾曲し、直ぐガラス板が割れて亀裂が生じてしまい、使用することができなくなる。
【0009】
更に施工の簡略化のためにパネル形状にすると、より割れ易くなってしまい、実質的に実用化は困難である。
【0010】
そこで本発明は、ガラス板の利点をそのまま備えると共に、堅牢性を備え、大型パネル化が可能な内外装仕上材となる面材を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る内外装用面材は、適宜大きさのガラス板の背面側に所望の模様を印刷形成或いは塗装形成すると共に、背面全体を薄金属板に接着してなることを特徴とするものである。
【0012】
従ってガラス板は、薄金属板で補強され、適宜な剛性を備えることで、ガラス面に衝撃力や圧力が加わったとしても、薄金属板によって耐衝撃性が補強されているものであるから、割れ(亀裂)が生ずる虞が非常に小さく、ガラス面タイルやガラス面パネルとしての特質を備えると共に、大型化も任意に行うことができる。
【0013】
又本発明は、背面の金属板露出面に、湿式施工用の錨部材を突設し、或いは乾式施工用の連結部材を突設してなるもので、金属板に溶接などの手段で錨部材や連結部材を装備させることが容易にでき、湿式、乾式を問わずにガラス面タイルやガラス面パネルを使用できるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構成は上記のとおりで、所望の模様を容易に印刷形成或いは塗装形成でき、且つ耐候性に優れたた表面ガラス板のタイル・パネルとして利点を生かせると共に、更に耐衝撃性に優れると共に、施工対応性に優れた内外装仕上材を提供できたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施形態について説明する。本発明に係る内外装仕上材は、ガラス板1の背面側に所望の模様2を印刷形成すると共に、背面全体を薄金属板3に接着(接着剤4)して製出され、室内壁面、棚板、天板(下面板、システムキッチンの天板、家具の天板等)等の内装用面材や、外壁に使用される外装用面材に使用されるもので、その使用対象並びに使用目的に応じて大きさ等が適宜定められるものである。
【0016】
例えば面材の大きさは、使用目的に応じてタイル形状やパネル形状とし、またガラス板1の厚さは、薄金属板3と相俟って使用箇所で求められる強度を備えるように定められる。
【0017】
ガラス板1の背面の模様2の印刷形成は、転写印刷(熱転写印刷・水圧転写印刷)が割れ易いガラス板1への印刷において適しているが、直接スクリーン印刷等を施しても良いし、直接塗装して形成しても良い。
【0018】
また印刷に使用するインキは、ガラス面に接着する基材に顔料を加えたものや、ガラス面透明プライマー層を形成して色彩模様を施すなど、ガラス面と一体となる印刷であればよい。更に外装用面材として使用する場合には、耐紫外線機能が優れて光線に晒されても褪色しない材質のものを選定して使用する。
【0019】
薄金属板3は、アルミ板でも鉄板でも良く、その材質は、例えば外装用面材は防食性に優れたアルミ板やステンレス板が最適であるというように使用箇所に応じて材質や厚さを特定する。
【0020】
この薄金属板3を背面に模様2を印刷形成したガラス板1の印刷面側に適宜な接着剤4を用いて密着一体化するもので、特に印刷面においては、印刷或いは前記接着剤4によって接着金属面に光が透過しないようにする。
【0021】
而して前記面材は、前記した通り内装仕上材、外装仕上材として使用するもので、内装仕上材としては、そのまま所定の箇所に接着剤で貼り付けることで良い。
【0022】
特に外装仕上材として使用する場合には、内装仕上材と同様に薄金属板3の背面に接着剤を塗布してそのまま貼り付けるようにしても良いが、外壁面にモルタル等で貼り付ける場合には、図3に例示するように鍵型の錨部材5を溶接するなどして湿式施工に対応させたものである。
【0023】
またそのまま本面材を外壁パネルとして使用する乾式施工においては、背面に図4で例示するような適宜な連結部材6を突設し、建築物の柱、梁、胴縁などに直接連結できるようにすると良い。
【0024】
従って本発明の面材は、印刷模様2がガラス板1で保護されることになるので、内装材として使用した場合には模様の劣化がなく耐久性に優れたものとなる。
【0025】
また外装仕上材として使用した場合には、ガラス面による耐汚染性、耐薬品性に優れているので酸性雨対策として充分であり、また金属面が日光に晒されないので、外装仕上材の温度上昇も抑えられ、印刷材の選択によって褪色を抑えることができ、総合的に耐久性に優れたものとなる。勿論アルミ材のみで形成される外装パネルより安価で製造できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態の一部裁断した正面図。
【図2】同断面図。
【図3】同外装用パネル使用時の背面図(湿式施工用)。
【図4】同図(乾式施工用)。
【符号の説明】
【0027】
1 ガラス板
2 模様
3 薄金属板
4 接着剤
5 錨部材
6 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適宜大きさのガラス板の背面側に所望の模様を印刷形成或いは塗装形成すると共に、背面全体を薄金属板に接着してなることを特徴とする内外装用面材。
【請求項2】
背面の金属板露出面に、湿式施工用の錨部材を突設してなる請求項1記載の内外装用面材。
【請求項3】
背面の金属板露出面に、乾式施工用の連結部材を突設してなる請求項1記載の内外装用面材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−91726(P2009−91726A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260656(P2007−260656)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(300061879)有限会社田辺塗工所 (3)
【Fターム(参考)】