説明

内容物放出操作阻止用ストッパー,内容物放出機構ならびにこれらを備えたポンプ式製品およびエアゾール式製品

【課題】ステムなど(ステム保護筒状部)と係止して押下げ操作部の下方への移動を阻止するC字状断面の内容物放出操作阻止用ストッパーを引っ張るのではなく、その拡開操作によりはじめてストッパー係止状態が解除されるようにして、ストッパーの取外し操作の簡便化を維持しつつ、内容物放出操作阻止の確実化を図る。
【解決手段】ステム保護筒状部5はその外周面に縦溝状部5aを備え、ストッパー6は、縦溝状部5aに対応した一対の縦凸状部6dを備えるC字状被係止部6aと、当該C字状被係止部から前開口部分6bとは反対側の後方向に延びる着脱操作片部6eとを備えている。凹状の縦溝状部5aと縦凸状部6dとの係止作用により筒状部5からストッパー6が外れるのを阻止する。ストッパー6を取り外すには、着脱操作片部6eをA方向に把持して、開口部分6bをB方向へ十分拡開させた状態でストッパー6を引き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ式製品およびエアゾール式製品における押下げ操作部の下方への移動を阻止する内容物放出操作阻止用ストッパー(以下、必要に応じて単に「ストッパー」という。)に関する。
【0002】
すなわち、内容物放出用の押下げ操作部の移動空間域の筒状部に取外し可能な態様により取り付けられてその横断面がC字状で上下方向の開口部分を備えたC字状被係止部および、当該C字状被係止部から当該開口部分とは反対側の後方向に延びる着脱操作片部からなる、内容物放出操作阻止用ストッパーに関する。
【0003】
特に、着脱操作片部を一対の離間片部で構成して、静止モードのときに設定済みの上記筒状部とC字状被係止部との係止状態自体が、当該離間片部同士を近づける操作によって解除されるものである。
【0004】
本明細書では、C字状被係止部の開口部分側(図1(c)の左側)を「前」といい、これとは反対の着脱操作片部側(図1(c)の右側)を「後」という。
【背景技術】
【0005】
従来、ポンプ式製品などにおける押下げ操作部の下方への移動を阻止し、これにより利用者の内容物放出操作を「不能」とする各種ストッパーが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
このストッパーは、押下げ操作部と一体のステムまたはその周回保護部(以下、必要に応じて「ステムなど」という。)に静止モードで取り付けられるC字状被係止部と、その後側(C字状被係止部の開口部分とは反対側)に形成された着脱操作用の片部と、からなっている。
【0007】
このC字状被係止部はポリプロピレン,ポリエチレンなどのプラスチック製のものであって、いわゆる弾性を有し、拡開変形性状や、拡開後の形状から初期形状への復帰性状を備えている。
【0008】
そして、利用者は、内容物放出操作を「不能」とする場合には着脱操作用の片部を持ってストッパー全体をステムなどに挿し込み、また、この不能状態を解除するには同様に当該片部を持ってストッパー全体を外側に引き出している。
【0009】
ここでステムなどに挿し込まれたC字状被係止部はその内周面全体がステムなどの外周面に当接している。
【0010】
このストッパーとステムなどとの当接状態は、利用者が着脱操作用の片部を持って外側に引き出してC字状被係止部を拡開させることにより比較的簡単に解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−173720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、従来のステムなどに挿し込む形の内容物放出操作阻止用ストッパーは、そのC字状被係止部の内周面とステムなどの外周面とのいわばソフトな面接触の態様で、当該ステムなどに係止されている。
【0013】
そのため、内容物放出操作阻止用ストッパーとステムなどとの係止状態が、当該ストッパーの一部である着脱操作片部の外側への不用意な引き出しにより比較的簡単に解除されてしまうという問題点があった。
【0014】
例えば幼児などが遊び感覚で着脱操作片部を外側に引っ張って、内容物放出操作阻止用ストッパーをステムなどから取り外してしまうことがありえる。
【0015】
そこで本発明では、着脱操作片部を単に引っ張るだけでは内容物放出操作阻止用ストッパーとステムなどとの係止状態が解除されないようにし、かつ、この解除操作自体の利便性を担保して、内容物放出操作阻止の確実化および内容物放出操作阻止用ストッパーの取外し操作の簡便化をともに図ることを目的とする。
【0016】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)横断面がC字状で上下方向の開口部分(例えば後述の前開口部分6b)を備えたC字状被係止部(例えば後述のC字状被係止部6a)および、当該C字状被係止部から当該開口部分とは反対側の後方向に延びる着脱操作片部(例えば後述の着脱操作片部6e)からなり、内容物放出用の押下げ操作部の移動空間域に対応の筒状部(例えば後述のステム保護筒状部5)に取り付けられた状態で、当該押下げ操作部の下方への移動を阻止する内容物放出操作阻止用ストッパー(例えば後述の内容物放出操作阻止用ストッパー6)において、
前記C字状被係止部は、
前記筒状部の外周面に形成された凹状部または凸状部の係止作用部(例えば後述の縦溝状部5a)に対応した、凸状部または凹状部からなる被係止作用部(例えば後述の一対の縦凸状部6d)を備え、
前記着脱操作片部は、
前記C字状被係止部の周方向に離間した各外周面部分からそれぞれ独立した形で後方向に延び、
前記C字状被係止部および前記操作片部は、
当該操作片部それぞれの自由端側同士を互いに近づける内方への変位操作により、当該C字状被係止部の一対の自由端側(例えば後述の係止用片部6c)がそれぞれ前記筒状部から離れる方向に移動して前記係止作用部と前記被係止作用部との係止状態を解除する、態様に設定されている。
(2)上記(1)において、
前記被係止作用部は、
前記C字状被係止部の一対の自由端側それぞれの上下方向に形成されている。
(3)上記(1)または(2)に記載の内容物放出操作阻止用ストッパーが取外し可能な態様で取り付けられる筒状部を、内容物放出用の押下げ操作部の移動空間域に有する内容物放出操作機構において、
前記筒状部は、
その外周面に、前記内容物放出操作阻止用ストッパーに形成された凸状部または凹状部の被係止作用部に対応した、凹状部または凸状部からなる係止作用部(例えば後述の縦溝状部5a)を備えている。
(4)上記(3)において、
前記筒状部は、
前記押下げ操作部とともに上下動して内容物通過用の内部空間域を有するステム(例えば後述のステム2)の外側に設けられたステム保護筒状部(例えば後述のステム保護筒状部5)である。
(5)上記(3),(4)において、
前記係止作用部は、
前記筒状部の外周面の周方向全体に形成されている。
【0017】
本発明は、以上の構成からなる内容物放出操作阻止用ストッパーおよび内容物放出操作機構をその対象そしている。
【0018】
また、これらの内容物放出操作阻止用ストッパーや内容物放出操作機構を備えたポンプ式製品およびエアゾール式製品もその対象としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明はこのように、
(11)内容物放出操作阻止用ストッパーを内容物放出操作機構の筒状部に取り付けた状態を凹状部および凸状部の係止作用により保持しているので、着脱操作片部を単に引っ張るだけではこの保持状態が解除されることもなく、内容物放出操作阻止の確実化を図ることができ、
(12)この保持状態解除の際に利用者は、複数の着脱操作片部をそれぞれの自由端側同士を互いに近づけるといった簡単な変位操作を行えばよいので、内容物放出操作阻止用ストッパーの内容物放出操作機構からの取外し操作に際しての利便性を確保でき、
(13)内容物放出操作阻止用ストッパーの取付け対象である筒状部の外周面の周方向全体に、当該ストッパーとの係止作用部が形成されているので、利用者が当該ストッパーを当該筒状部に取り付ける際に相互の回動位置関係を格別気にする必要はなく、当該ストッパーの内容物放出操作機構への取付け操作に際しての利便性も確保される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ストッパーをステム保護筒状部に取り付けたとき、すなわち利用者の押下げ操作部に対する内容物放出操作が「不能」であるときを示す説明図であり、(a)はそのときのストッパーおよびステム保護筒状部などの斜視状態を示し、(b)はストッパー自体の初期形状を示し、(c)は図1(a)のトッパーおよびステム保護筒状部の係止部分などの断面状態を示している。
【図2】図1(a)のストッパーをはステム保護筒状部から取り外したとき、すなわち利用者の押下げ操作部に対する内容物放出操作が「可能」なときを示す説明図であり、(a)はそのときのストッパーおよびステム保護筒状部などの斜視状態を示し、(b)は図2(a)の取外し操作の第一段階といえる、ストッパーのC字状被係止部を十分に拡開湾曲させたときの、ストッパーおよびステム保護筒状部などの断面状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1および図2を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0022】
上述したように、本発明はポンプ式製品およびエアゾール式製品の双方を対象としているが、以下の図1および図2に基づく記載では、単なる説明の便宜上、ポンプ式製品を前提としている。
【0023】
なお、各図で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素(例えばノズル1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば押下げ操作部1)の一部であることを示している。
【0024】
図1および図2において、
1は上下動タイプの内容物放出操作用の押下げ操作部,
1aは当該押下げ操作部の内容物放出側に取り付けられたノズル、
2は押下げ操作部1の下端側部分に嵌合して当該押下げ操作部と上下方向に連動し、内容物通過用の内部空間域を備えた周知のステム(ピストン),
3は放出対象の各種内容物が収容されている容器本体、
4は容器本体上側の開口首状部に螺合しているネジキャップ、
5は当該ネジキャップの上面部分に、製品組立て後のステム2を取り囲む態様で一体成形された円筒部分からなるステム保護筒状部(押下げ操作部1の上下方向の移動空間域に対応した筒状部),
5aは当該ステム保護筒状部の外周面の周方向にいわば間歇的に連続形成された、凹V字状横断面からなる複数の縦溝状部(凹状部からなる係止作用部)、
6はステム保護筒状部5の外周面に取り付けられたときその上端面部分が押下げ操作部1の下端面部分と当接または対向接近して、押下げ操作部1が下方の作動モード位置へと移動しないようにする、すなわち当該押下げ操作部の内容物放出操作を「不能」とするための内容物放出操作阻止用ストッパー,
6aはC字状横断面からなり、後述の着脱操作片部6eに対する利用者の変位操作に基づいて初期形状から変形拡開湾曲し、当該変位操作の解除によって初期形状に復帰する可撓性状(弾性状)のもので、ステム保護筒状部5との係止状態が選択的に設定されるC字状被係止部、
6bはC字状被係止部6aの前側に設定された上下方向の前開口部分,
6cは前開口部分6bの両端側それぞれの上下方向にいわば前広がりの態様(前方ほど離間した状態)で形成された一対の係止用片部(C字状被係止部の自由端側),
6dは係止用片部6cそれぞれの後端側に形成されて、利用者がストッパー6をステム保護筒状部5に略最大限挿し込んだときの対応各位置における縦溝状部5aそれぞれとの係止作用を呈する、凸V字状横断面からなる一対の縦凸状部(係止作用部に対応した凸状部からなる被係止作用部),
6eはC字状被係止部6aの後述の前後方向基準平面Pと略平行に、かつ、当該C字状被係止部の最大径外周面部分から後方向に延びる態様で形成されて、当該C字状被係止部と連動した形の変位・復帰性状(可撓性,弾性)を備えた一対の着脱操作片部,
をそれぞれ示している。
【0025】
また、
Aは一対の着脱操作片部6eを互いに近づけてC字状被係止部6aを十分に拡開湾曲させる、例えばストッパー6をステム保護筒状部5の方に挿し込むときにその縦凸状部6dがそれぞれ当該ステム保護筒状部の外周面(縦溝状部5a)に当接しない程度まで拡開湾曲させる、ときの変位操作方向,
Bは一対の着脱操作片部6eのA方向への変位操作によりC字状被係止部6aが拡開湾曲していく方向,
PはC字状被係止部6a(および一対の着脱操作片部6e)の面対称中心である前後方向基準平面,
をそれぞれ示している。
【0026】
ここで、複数の縦溝状部(凹状部)5aそれぞれの凹V字状横断面の底角の仮想二等分線は略ステム保護筒状部5の中心軸へと向かう形になっている。
【0027】
また、縦溝状部5aそれぞれの凹V字状横断面の底角の大きさは縦凸状部6dそれぞれの凸V字状横断面の頂角の大きさと略同じである。
【0028】
以上の各構成要素はポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0029】
図1および図2の内容物放出操作阻止用ストッパーおよび内容物放出操作機構の基本的特徴は、
(21)利用者が、内容物放出操作阻止用ストッパー6の後側部分である一対の着脱操作片部6eをそれぞれ内側のA方向に変位させることにより、当該ストッパーの前側部分であるC字状被係止部6aの全体がその前後方向基準平面Pを中心にして拡開湾曲する方向に変形し、
その結果、前開口部分6bはその横幅がステム保護筒状部5の外径近くまたはそれ以上の長さとなるまで拡開し(図2参照)、
(22)利用者がこの着脱操作片部6eの変位操作を止めると、C字状被係止部6aはその変形状態が解除されて変位操作前の初期形状に復帰し、
(23)内容物放出操作阻止用ストッパー6がステム保護筒状部5に取り付けられたとき、当該ストッパーの一対の縦凸状部6d(係止用片部6cの後端部分)がそれぞれ当該ステム保護筒状部外周面の別々の縦溝状部5aに係止される、
ことである。
【0030】
すなわち、先ず利用者が、内容物放出操作阻止用ストッパー6の二個の着脱操作片部6eを把持して内側のA方向に変形させ、そしてこれと連動するC字状被係止部6aの前開口部分6bをB方向に十分拡開させる。
【0031】
なお、「十分拡開」とは、前開口部分6bの横幅がステム保護筒状部5の外径近くまたはそれ以上の長さとなるまで拡開することを示している。
【0032】
続いてこの把持,拡開湾曲状態の内容物放出操作阻止用ストッパー6を、その係止対象である係止用片部6cの側から、ステム保護筒状部5に挿し込んでいく。
【0033】
このとき、内容物放出操作阻止用ストッパー6の前開口部分6bが十分に拡開湾曲しているので、当該ストッパーはスムーズにステム保護筒状部5に挿し込まれる。
【0034】
次に利用者は、C字状被係止部6aをステム保護筒状部5に最後まで挿し込んだ後、すなわち当該C字状被係止部の前開口部分6bとは反対側のいわば底部分が当該ステム保護筒状部の外周面に当接してから、各着脱操作片部6eのそれまでの把持を解除する。
【0035】
この把持解除の操作により、それまで互いに近づく内側方向に変位していた一対の着脱操作片部6eが、また拡開湾曲していたC字状被係止部6aがそれぞれの可撓性(弾性)に基づいて、初期形状(図1(b)参照)に復帰する。
【0036】
その結果、一対の着脱操作片部6eは平行状態となり、C字状被係止部6aはステム保護筒状部5の外周面に当接する。
【0037】
この当接状態のとき、C字状被係止部6aの一対の縦凸状部6dがそれぞれステム保護筒状部5の縦溝状部5aの一つに係止されている。
【0038】
ここでの縦凸状部6dの係止相手となる特定の縦溝状部5aは、その上記底角の仮想二等分線が当該縦凸状部それぞれの凸V字状横断面の頂角の仮想二等分線と略一致する位置の縦溝状部である。
【0039】
そのため、C字状被係止部6aの一対の縦凸状部6dそれぞれとステム保護筒状部5の縦溝状部5aとの一対一対応の係止状態は確実に保持される。
【0040】
この係止状態の内容物放出操作阻止用ストッパー6をステム保護筒状部5から取り外す場合、利用者は、当該ストッパーの二個の着脱操作片部6eを内側のA方向に変形させてC字状被係止部6aの前開口部分6bをB方向に十分拡開させた状態で、当該ストッパーを後方に引き出せばよい。
【0041】
なお、このストッパー引き出しに際して前開口部分6bが十分拡開するまで着脱操作片部6eをA方向に変形させなくてもよい。
【0042】
例えば図1(c)の縦凸状部6dと縦溝状部5aとの一対一対応の係止状態を単に解除するだけでもよい。すなわち当該解除後の内容物放出操作阻止用ストッパー6を後方に引き出す際、縦凸状部6dがそれまでの係止縦溝状部よりも後側の縦溝状部に当接する形でもよい。
【0043】
それは、この当接対象である後側縦溝状部それぞれの凹V字状横断面底角の仮想二等分線の向きが、縦凸状部6dの凸V字状横断面頂角の仮想二等分線のそれからずれているためである。このずれにより、縦凸状部6dは当該後側縦溝状部に完全に入り込んでしまうことなく外方に変位,拡開しながら当該後側縦溝状部を乗り越えていく。
【0044】
このときC字状被係止部6aは、概略、先ずその係止用片部6c(縦凸状部6d)がステム保護筒状部5の最大外径部分にいたるまで拡開し、その後、縦凸状部6dが当該ステム保護筒状部の外周面にいわば倣いながら当該C字状被係止部自らの可撓性(弾性)により元の形状へと復帰していく。
【0045】
なお、これと同様の乗越え動作は、内容物放出操作阻止用ストッパー6のC字状被係止部6aをB方向へ十分拡開せずに、当該ストッパーがステム保護筒状部5に挿し込まれる場合にも生じる。
【0046】
このように、利用者が内容物放出操作阻止用ストッパー6をステム保護筒状部5に挿し込む場合、また当該ストッパーを当該ステム保護筒状部から取り外す場合のいずれにおいても、C字状被係止部6a(前開口部分6b)の拡開の程度は任意でよい。
【0047】
ただ、内容物放出操作阻止用ストッパー6の取外し操作の場合には、少なくともその縦凸状部6dとステム保護筒状部5の縦溝状部5aとの一対一対応の係止状態を確実に解除することが必要である。
【0048】
また、利用者が内容物放出操作阻止用ストッパー6をステム保護筒状部5に挿し込む場合の途中、また当該ストッパーを当該ステム保護筒状部から取り外す場合の途中で、C字状被係止部6a(前開口部分6b)の拡開の程度を変更してもよい。
【0049】
内容物放出操作阻止用ストッパー6をステム保護筒状部5に挿し込んだ図1(a),(c)の状態では、押下げ操作部1の筒状底面部分とC字状被係止部6aの筒状上面部分が当接または近接しているので、利用者の押下げ操作部1に対する押下げ操作は不能である。
【0050】
この指し込み状態の内容物放出操作阻止用ストッパー6がステム保護筒状部5から取り外されると勿論、周知の内容物放出操作が可能である。
【0051】
すなわち押下げ操作部1およびこれと一体のステム2が押し下げられると、容器本体3のハウジング内部に設けられている吐出し弁が開いて、これと吸込弁との間の貯留域に流入済みの内容物がノズル1aから外部空間域に放出される。
【0052】
なお、上述したように本発明はエアゾール式製品にも適用され、その場合、
(31)内容物放出操作が行われていない静止モードにおいて、マウンティングキャップと押下げ操作部との間にいわば露出しているステム外周面に内容物放出操作阻止用ストッパー6を取り付ける、
(32)ステム保護筒状部5を備えたカバー体をエアゾール容器やそのマウンティングキャップにあらかじめ嵌合保持した状態の静止モードにおいて、内容物放出操作阻止用ストッパー6を当該ステム保護筒状部の外周面に取り付ける、
などすればよい。
【0053】
本発明が以上の実施形態に限定されないこと勿論であり、例えば、
(41)ステム保護筒状部5の縦溝状部5aに代えて凸V字状横断面からなる縦凸状部を用い、かつ内容物放出操作阻止用ストッパー6の縦凸状部6dに代えて凹V字状横断面からなる縦溝状部を用いる、
(42)ステム保護筒状部5を設けずに、当該ステム保護筒状部に対応するステム2の外周面部分に縦溝状部5a,上記(41)の縦凸状部などを形成し、これと、内容物放出操作阻止用ストッパー6の縦凸状部6d,上記(41)の縦溝状部などとを係止させる、
(43)縦溝状部5a,縦凸状部6dやこれらに代わる上記(41),(42)の縦凸状部,縦溝状部などとして、半球状のものや、横断面形状が台形状,円弧状のものを用いる。
(44)縦溝状部5a,縦凸状部6dやこれらに代わる上記(41) ,(42),(43)の縦凸状部,縦溝状部を図示の上下方向(縦方向)ではなく横方向(周方向),斜め方向に形成する、
ようにしてもよい。
【0054】
本発明が適用されるポンプ式製品やエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,栄養補助食品(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0055】
容器本体に収納する内容物は、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などが挙げられる。
【0056】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0057】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0058】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0059】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0060】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0061】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0062】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0063】
エアゾール式製品の内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0064】
1:押下げ操作部
1a:ノズル
2:ステム(ピストン)
3:容器本体
4:ネジキャップ
5:ステム保護筒状部
5a:凹V字状横断面からなる複数の縦溝状部(凹状部)
6:内容物放出操作阻止用ストッパー
6a:C字状被係止部
6b:上下方向の前開口部分
6c:一対の係止用片部
6d:凸V字状横断面からなる一対の縦凸状部、
6e:一対の着脱操作片部
A:変位操作方向
B:C字状被係止部6aが拡開湾曲していく方向
P:前後方向基準平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面がC字状で上下方向の開口部分を備えたC字状被係止部および、当該C字状被係止部から当該開口部分とは反対側の後方向に延びる着脱操作片部からなり、内容物放出用の押下げ操作部の移動空間域に対応の筒状部に取り付けられた状態で、当該押下げ操作部の下方への移動を阻止する内容物放出操作阻止用ストッパーにおいて、
前記C字状被係止部は、
前記筒状部の外周面に形成された凹状部または凸状部の係止作用部に対応した、凸状部または凹状部からなる被係止作用部を備え、
前記着脱操作片部は、
前記C字状被係止部の周方向に離間した各外周面部分からそれぞれ独立した形で後方向に延び、
前記C字状被係止部および前記操作片部は、
当該操作片部それぞれの自由端側同士を互いに近づける内方への変位操作により、当該C字状被係止部の一対の自由端側がそれぞれ前記筒状部から離れる方向に移動して前記係止作用部と前記被係止作用部との係止状態を解除する、態様に設定されている、
ことを特徴とする内容物放出操作阻止用ストッパー。
【請求項2】
前記被係止作用部は、
前記C字状被係止部の一対の自由端側それぞれの上下方向に形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の内容物放出操作阻止用ストッパー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内容物放出操作阻止用ストッパーが取外し可能な態様で取り付けられる筒状部を、内容物放出用の押下げ操作部の移動空間域に有する内容物放出操作機構において、
前記筒状部は、
その外周面に、前記内容物放出操作阻止用ストッパーに形成された凸状部または凹状部の被係止作用部に対応した、凹状部または凸状部からなる係止作用部を備えている、
ことを特徴とする内容物放出操作機構。
【請求項4】
前記筒状部は、
前記押下げ操作部とともに上下動して内容物通過用の内部空間域を有するステムの外側に設けられたステム保護筒状部である、
ことを特徴とする請求項3記載の内容物放出操作機構。
【請求項5】
前記係止作用部は、
前記筒状部の外周面の周方向全体に形成されている、
ことを特徴とする請求項3または4記載の内容物放出操作機構。
【請求項6】
請求項1もしくは2に記載の内容物放出操作阻止用ストッパーまたは請求項3乃至5のいずれか1項に記載の内容物放出操作機構を備え、かつ、容器本体に内容物を収容した、
ことを特徴とするポンプ式製品。
【請求項7】
請求項1もしくは2に記載の内容物放出操作阻止用ストッパーまたは請求項3乃至5のいずれか1項に記載の内容物放出操作機構を備え、かつ、容器本体に噴射剤および内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−18503(P2013−18503A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151677(P2011−151677)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】