説明

内燃機関のエアクリーナ装置及び内燃機関の制御装置

【課題】歪みセンサを利用して、エアフィルタよりも下流側の吸気通路の圧力変動を検出可能な新規なエアクリーナ装置を提供する。
【解決手段】エアクリーナ21は、内燃機関の吸気通路20に設けられ、フィルタケース71内に収容されたエアフィルタ72により吸入空気中の異物を捕集する。エアフィルタ72よりも下流側となるフィルタケース71のケース底壁部77に、歪みセンサ80を取り付ける。エアフィルタ72の下流側の圧力変動によるケース底壁部77の歪みを歪みセンサ80により検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のエアクリーナ装置及びこのエアクリーナ装置を備えた内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気通路には、空気中の粉塵等の異物を捕集するエアフィルタをフィルタケース内に収容したエアクリーナが設けられている。このようなエアクリーナでは、エアフィルタの目詰まりを生じると、機関出力の低下や燃費の悪化を招くことから、例えば特許文献1等に記載のように、エアクリーナの下流側に設けられた流量計により検出される吸入空気量などを利用してエアフィルタの目詰まりを検出し、これを運転者に報知してエアフィルタの交換を促す装置が従来より知られている。
【0003】
一方、特許文献2等に記載のように、従来の抵抗線式歪みゲージに代えて、半導体基板に複数の拡散抵抗からなるホイートストンブリッジ回路を形成するとともに、増幅回路を同じ基板上に形成した半導体型の歪みセンサが本出願人等によって種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−080421号公報
【特許文献2】特開2005−114443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアフィルタに目詰まりが生じると、通気抵抗が増加してエアフィルタよりも下流側の吸気通路内の負圧が大きくなる。このフィルタ下流側の負圧を圧力センサにより直接的に検出することも考えられるが、このような圧力センサは、検出対象の内部空間にセンサ素子を臨ませた姿勢でフィルタケース等に組み付ける必要があるために、加工工数や部品点数の増加を招くとともに、ある程度の設置スペースを確保する必要があり、レイアウトの自由度が低い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、内燃機関の吸気通路に設けられ、フィルタケース内に収容されたエアフィルタにより吸入空気中の異物を捕集するエアクリーナを備える内燃機関のエアクリーナ装置において、エアフィルタよりも下流側となるフィルタケースの壁部に、歪みセンサを取り付けたものである。
【0007】
エアフィルタの目詰まりや吸気の吹き返し等によって、エアフィルタよりも下流側の吸気通路内の圧力が変動すると、大気圧との圧力差によって、フィルタ下流側のフィルタケースの壁部に歪みを生じる。従って、この歪みを歪みセンサにより検出することで、エアフィルタの目詰まりや吸気の吹き返し等に起因するフィルタ下流側の吸気通路内の圧力変動を判定・検出することが可能となる。
【0008】
歪みセンサとしては、半導体基板に複数の拡散抵抗からなるホイートストンブリッジ回路を形成した半導体型歪みセンサが好適である。このような半導体型歪みセンサは、極めて高い感度が得られることから、フィルタケースの極僅かな歪みを高精度に検出することが可能となる。また、このような半導体歪みセンサは、1〜2mm角程度以下の小型,軽量の構成であり、かつ、フィルタケースの壁部に直接的に貼着することが可能であるために、レイアウトの自由度が高く、取付作業も容易であり、通気抵抗の増加も少ない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エアフィルタよりも下流側の吸気通路内の圧力変動を検出可能な新規な内燃機関のエアクリーナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例に係るエアクリーナ装置が適用された内燃機関のシステム構成を示す構成図。
【図2】エンジンコントロールユニットの入出力系を示すブロック図。
【図3】歪みセンサを備えたエアクリーナ装置を簡略的に示す上面図(A)及び断面図(B)。
【図4】汚損エアクリーナ及び新品エアクリーナにおける吸入空気量と歪みの関係を示す説明図。
【図5】エアクリーナの診断処理の流れを示すフローチャート。
【図6】EGR量の補正制御の流れを示すフローチャート。
【図7】吸気流れ方向の推定処理の流れを示すフローチャート。
【図8】バックファイアの判定処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1を参照して、この内燃機関10は、各気筒の吸気ポートに向けて燃料を噴射する、いわゆるMPI(多気筒燃料噴射)方式の直列4気筒火花点火式ガソリン内燃機関である。各気筒の燃焼室11には、混合気を火花点火する点火プラグ12が設けられるとともに、吸気弁13を介して吸気ポート14、排気弁15を介して排気ポート16が接続している。吸気通路20には、上流側より順に、吸入する空気中の粉塵等の異物を捕集するエアクリーナ21と、吸入空気量を検出するホットワイヤ式のエアフローセンサ22と、吸入空気量を調整するスロットル弁23と、各気筒の吸気ポート14へ向けて燃料を噴射するインジェクタ24と、が設けられている。エアクリーナ21の上流側には外気導入ダクト(図示省略)が設けられ、エアクリーナ21とスロットル弁23とはクリーンサイド吸気ダクト25により接続されている。スロットル弁23は、スロットル駆動モータ26により駆動される電動式のものであり、そのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ27が設けられている。スロットル弁23の下流側には吸気コレクタ28が設けられ、この吸気コレクタ28を通過した空気は、吸気マニホールド29により各気筒の吸気ポート14へ分配され、吸気弁13を介して燃焼室11へ供給される。
【0012】
排気通路31には、排気ガスを浄化する三元触媒等の触媒32が設けられるとともに、この触媒32の下流側に消音用のマフラ33が設けられている。触媒32の上流側には、排気の空燃比を検出する酸素濃度センサ等の空燃比センサ34が取り付けられている。この空燃比センサ34の信号に基づいて、目標空燃比(理論空燃比)を維持するように燃料噴射量を調整する空燃比フィードバック制御が行われる。
【0013】
また、排気通路31内の排気ガスを、エアクリーナ21の下流側かつスロットル弁23の上流側の吸気通路20へ還流するEGR(排気還流)装置として、排気通路31と吸気通路20とを接続するバイパス通路36には、EGR弁37が設けられている。このEGR弁37は、機関運転状態に応じてEGR量(EGR率)を調整可能な電動式のものである。
【0014】
バルブ駆動系として、吸気弁13及び排気弁15のそれぞれに、バルブタイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構38,39が設けられている。これらの可変バルブタイミング機構38,39により、吸気弁13及び排気弁15のバルブタイミングが機関運転状態に応じて駆動制御される。なお、バルブ駆動系としては、このような可変式のものに限らず、バルブリフト特性が一定の固定式のバルブ駆動系であっても良い。燃料系には、燃料タンク40内の燃料を燃料配管41へ送給するフューエルポンプ42と、燃料配管41内の燃料を一定圧力に調圧するプレッシャレギュレータ43と、が設けられている。
【0015】
内燃機関10のシリンダブロック10Aには、エンジン回転数(回転速度)を検出するクランク角センサ44と、エンジンオイルの温度を検出する油温センサ45と、ウォータジャケット内の冷却水温を検出する水温センサ46と、が取り付けられている。また、内燃機関10のシリンダヘッド10Bには、カムシャフトの回転角を検出するカム角センサ47が取り付けられている。更に、エアコンスイッチ48、トランスミッションに内蔵されたニュートラルスイッチ49、車載のバッテリ電源ユニット50の温度を検出するバッテリ温度センサ51、アクセルペダル52の開度を検出するアクセル開度センサ53等が設けられている。
【0016】
コントロールユニット60は、各種演算処理を実行するCPU61と、このCPU61に電力を供給する電源IC62と、を有するマイクロコンピュータ式のものである。このコントロールユニット60に入力する信号等について、図2を用いて整理すると、コントロールユニット60には、上述したセンサ・スイッチ類の他に、機関始動・停止用のイグニッションスイッチ63、吸気温度を検出する吸気温センサ64、補機負荷スイッチ65、並びに後述する歪みセンサ80等の各々よりセンサ信号ないしはスイッチ信号が入力される。
【0017】
コントロールユニット60は、これらのセンサ・スイッチ類から入力された信号に基づいて、各気筒のインジェクタ24及び点火プラグ12のパワートランジスタ(点火スイッチ)12A、スロットル駆動モータ26、可変バルブタイミング機構38,39のソレノイド、及びフューエルポンプ42の各々に信号を出力して、その動作を制御する。
【0018】
次に、本実施例の要部をなす歪みセンサを備えたエアクリーナ装置について、図3を参照して説明する。エアクリーナ21は、合成樹脂材料の射出成形などにより2分割して成形された箱状をなすフィルタケース71と、このフィルタケース71の内部に収容されたエアフィルタ72と、により大略構成されている。フィルタケース71の通気方向(図3の左右方向)の一端側には、外気導入ダクト(図示省略)に接続する入口管部73が設けられるとともに、通気方向の他端側には、クリーンサイド吸気ダクト25に接続する出口管部74が設けられている。
【0019】
エアフィルタ72はフィルターケース71の対角線に沿うように斜めに配置されており、このように斜めに配置されたエアフィルタ72によって、フィルタケース71の内部空間が、入口管部73に連通する通路上流側のダストサイド75と、出口管部74に連通する通路下流側のクリーンサイド76と、に仕切られており、入口管部73より導入された吸入空気がエアフィルタ72を通過する際に粉塵等の異物を捕集するように構成されている。フィルタケース71は、僅かな弾性変形が可能なものであればよく、本実施例のような合成樹脂材料のほか、薄肉のアルミニウム等の金属材料により形成しても良い。エアフィルタ72は、適宜な目の粗さの紙や不織布からなる濾材により構成されている。
【0020】
そして本実施例では、エアフィルタ72よりも下流側のクリーンサイド76を形成するフィルタケース71のケース底壁部77に、少なくとも一つの歪みセンサ80が取り付けられている。この歪みセンサ80は、フィルタケース71の微小な弾性変形である歪みに対応した検出信号を検出し、これをコントロールユニット60へ出力するものである。
【0021】
例えば、エアフィルタ72に目詰まりが生じて通気抵抗が増加し、エアフィルタ72よりも下流側のクリーンサイド76に負圧が生じると、大気圧との圧力差によりケース底壁部77が内側へ凹むような歪みを生じるため、この歪みを歪みセンサ80により検出することで、エアフィルタ72の目詰まりを検出することが可能となる。
【0022】
この歪みセンサ80は、例えば接着剤を用いてフィルタケース71の壁部の内面もしくは外面に接着により貼着され、あるいは接合もしくは嵌合等によって取り付けられる。図3の例では、歪みセンサ80をフィルタケース71の壁部の内面に取り付けており、この場合、雨水等による汚損の影響を受けることがないので、信頼性や耐久性に優れている。このように歪みセンサ80を内面側に取り付ける場合、好ましくは、ワイヤレスで歪みセンサ80への給電ならびにコントロールユニット60への出力信号の送信が可能な構成とする。一方、歪みセンサ80をフィルタケース71の壁部の外面に取り付ける場合、通気抵抗の増加を回避でき、また、内面側に取り付ける場合に比して取付作業や配線作業が容易なものとなる。
【0023】
歪みセンサ80は、フィルタケース71の壁部のうちでも内部圧力の変動に応じて歪みや撓みを生じ易い部位に設けることが好ましく、図3の例では、ケース壁部のうちで、最も面積の広いケース底壁部77の中央部に取り付けられている。但し、歪みセンサの設置位置はこれに限らず、例えば入口管部73や出口管部74が設けられた前後壁部や側壁部に歪みセンサを取り付けても良い。また、検出感度を高めるために、歪みセンサが取り付けられるフィルタケースの壁部を薄肉化したり、補強用のリブを省略することなどによって、その剛性を弱めて変形し易くするようにしても良い。
【0024】
歪みセンサ80の具体的な構造については、特開2006−220574号公報に記載されているように公知であるために、ここでは詳細な説明は省略するが、基本的には、半導体基板に複数の拡散抵抗からなるホイートストンブリッジ回路を形成するとともに、増幅回路を同じ基板上に形成した半導体型歪みセンサから構成されている。
【0025】
このような半導体型歪みセンサ80の感度は非常に高く、フィルタケース71の極僅かな歪みを高精度に測定することができる。また、1〜2mm角程度の小型・軽量の構成であるために、レイアウトの自由度が高く、取付作業も容易である。特に、増幅回路を一体化した半導体型歪みセンサ80にあっては、耐ノイズ性が高く、内燃機関の点火系等のノイズの影響を受けることがない。
【0026】
特に本実施例のエアクリーナ装置にあっては、歪みセンサ80が取り付けられるケース底壁部77が広い受圧面として機能し、この広い受圧面により内部の圧力を平均圧力として検出する形となるために、例えば局部的な目詰まりの発生により圧力分布が不均一な場合であっても、安定した圧力判定が可能である。
【0027】
このような歪みセンサ80の検出信号を利用した制御処理の一例として、先ず、図4及び図5を参照して、エアクリーナの汚損・目詰まりの診断について説明する。図4に示すように、汚損により目詰まりを生じた汚損エアクリーナでは、汚損のない新品エアクリーナに比して、通気抵抗が増加することから、フィルタ下流側のクリーンサイド76の負圧が大きくなり、ケース底壁部77の歪みが大きくなる。また、吸入空気量が多くなるほど、エアフィルタ72を通過する吸気の流速が高くなり、負圧が大きくなるために、上記の歪みも大きくなる。このことから、エアフローセンサ22等を用いて吸入空気量を検出・推定し、この吸入空気量と、歪みセンサ80により得られる上記の歪みと、を用いて、エアクリーナ21の目詰まりの診断を行うことができる。
【0028】
図5は、このようなエアクリーナ21の診断処理の流れを簡略的に示すフローチャートである。ステップS11では、歪みセンサ80の検出信号に基づいて、クリーンサイド76を形成するケース底壁部77の歪みを計測する。ステップS12では、この歪みと、エアフローセンサ22等により検出・推定される吸入空気量と、に基づいて、エアクリーナ21の汚れ度合いに相当する汚れ係数を算出する。この汚れ係数は、エアクリーナの汚れ度合いの指標となるもので、検出した歪みに吸入空気量の補正を加えて求められ、同一の吸入空気量の下では歪みが大きくなるほど汚れ係数の値も大きくなる関係にある。ステップS13では、この汚れ係数が、予め設定された所定のしきい値を超えたか否かを判定する。汚れ係数がしきい値を超えていれば、汚損により目詰まりが生じていると判断して、ステップS14へ進み、エアフィルタ72の交換要求を出力する。この交換要求の出力に応じて、警告灯や音声により交換要求が運転者に報知され、また、必要に応じてフェールセーフ制御が実施される。
【0029】
次に、図6を参照して、上記歪みセンサ80の検出信号を用いたEGR量の補正制御について説明する。エアフィルタ72の目詰まりなどによりEGRが導入される吸気通路20の負圧が大きくなると、この負圧の影響によりEGR量が不用意に増加し、燃焼安定性を悪化させるおそれがある。そこでこの例では、歪みセンサ80の検出信号を利用して、エアクリーナ21よりも下流側の吸気通路の圧力(負圧)状態を検出し、これに応じてEGR量の補正を行うようにしている。
【0030】
図6は、このようなEGR量の補正制御の流れを簡略的に示すフローチャートである。ステップS21,S22では、上記のステップS11,S12と同様、歪みセンサ80の検出信号に基づいて、エアクリーナ21の汚れ係数を算出する。そしてステップS23では、この汚れ係数に基づいてEGR補正量を算出する。具体的には、汚れ係数が大きいほど、エアクリーナの汚損が進行しており、フィルタ下流側の吸気通路の負圧が大きくなることから、EGR量を低下させるように、EGR量の低下側への補正量を大きくする。これにより、エアクリーナの汚損に起因してEGR量が過剰となることを抑制し、エアクリーナの汚損状況にかかわらず機関運転状態に応じた適切なEGR量を供給することができる。
【0031】
次に図7を参照して、歪みセンサ80を利用した吸気流れ方向の推定処理について説明する。ステップS31では、上記のステップS11,S21と同様に、ケース底壁部77の歪みに対応する歪みセンサ80の検出信号を計測する。ステップS32では、この歪みセンサ80の検出信号に基づいて、フィルタ下流側の吸気通路の圧力を推定する。ステップS33では、推定した圧力に基づいて、吸気通路内の吸気流れ方向を推定する。
【0032】
ここで、吸気弁13のバルブタイミング等に応じて、燃焼室11から吸気通路20への吹き返しが発生する。例えば、排気が終了する前に吸気弁が開くと吸気側への吹き返しが発生し、また、吸気弁の閉弁時期が下死点よりも遅角する場合にも、圧縮行程中に吸気側への吹き返しが発生する。このような吸気側への吹き返しは各気筒の燃焼サイクルに応じて周期的に発生する。このような吹き返しの影響により、フィルタ下流側の吸気通路内の流れ方向が変化すると、これに伴い、吸気通路内の圧力が変動して、ケース底壁部77の歪みや応力の発生状態も変化する。従って、この圧力変動を歪みセンサ80の検出信号を用いて推定することで、吸気通路内の吸気流れ方向を推定することができる。このように推定した吸気流れ方向に基づいて、例えば、ホットワイヤ式エアフローセンサ22により検出した吸入空気量の補正が行われる。また、吸気流れ方向に基づいて吸気弁のバルブタイミングを補正することにより、吸気脈動効果を利用した体積効率の向上や、燃焼室から吸気通路への過度な吹き返しの発生を抑制することができる。
【0033】
図8は、歪みセンサ80を利用して、燃焼室から吸気通路側へ火炎が逆流する、いわゆるバックファイアの判定処理を示している。バックファイアが生じると、燃焼室から吸気通路側への急激な逆流が発生し、吸気通路に大きな圧力が作用することから、歪みセンサ80により得られる吸気通路内の圧力からバックファイアの発生を検出・推定することができる。
【0034】
ステップS41,ステップS42では、上記のステップS31,32と同様に、歪みセンサ80の検出信号に基づいて、フィルタ下流側の吸気通路20の圧力を推定する。ステップS43では、この推定した圧力が、バックファイアの判定用に予め設定された所定のしきい値を超えるか否かを判定する。推定した圧力がしきい値を超えている場合、ステップS44へ進み、バックファイアが発生していると判定する。このようにバックファイアの発生を検出した場合、バックファイアを抑制・解消するために、例えば点火時期の補正制御などが実施される。
【0035】
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形・変更を含むものである。例えば、上記実施例ではポート噴射式の内燃機関に本発明を適用しているが、筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射式の内燃機関や、圧縮自己着火方式のディーゼル内燃機関に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0036】
10…内燃機関
20…吸気通路
21…エアクリーナ
22…ホットワイヤ式エアフローセンサ
23…スロットル弁
60…コントロールユニット
71…フィルタケース
72…エアフィルタ
80…歪みセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路に設けられ、フィルタケース内に収容されたエアフィルタにより吸入空気中の異物を捕集するエアクリーナを備える内燃機関のエアクリーナ装置において、
上記エアフィルタよりも下流側となるフィルタケースの壁部に、歪みセンサを取り付けたことを特徴とする内燃機関のエアクリーナ装置。
【請求項2】
上記歪みセンサは、半導体基板に複数の拡散抵抗からなるホイートストンブリッジ回路を形成した半導体型歪みセンサであり、
この半導体型歪みセンサが、上記フィルタケースの壁部に貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のエアクリーナ装置。
【請求項3】
上記歪みセンサの検出信号に基づいて、上記エアフィルタの目詰まりの判定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアクリーナ装置を備えた内燃機関の制御装置。
【請求項4】
上記エアクリーナより下流側の吸気通路へ還流する排気ガスのEGR量を機関運転状態に応じて調整可能なEGR弁を備え、
上記歪みセンサの検出信号に基づいて、上記EGR量を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載のエアクリーナ装置を備えた内燃機関の制御装置。
【請求項5】
上記歪みセンサの検出信号に基づいて、吸気通路内の吸気流れ方向を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のエアクリーナ装置を備えた内燃機関の制御装置。
【請求項6】
上記歪みセンサの検出信号に基づいて、燃焼室から吸気通路側へ火炎が逆流するバックファイヤの発生を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のエアクリーナ装置を備えた内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−76364(P2013−76364A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216408(P2011−216408)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】