内燃機関の失火検出装置および失火検出方法
【課題】失火の誤検出を低減して、より精度の高い内燃機関の失火検出装置および失火検出方法を提供する。
【解決手段】内燃機関1の排気温度の変化量を算出する排気温度変化情報算出部11と、内燃機関に設けられた発電機Gの発電電力の変化量を算出する発電電力変化情報算出部12と、基準時点における排気温度および発電電力の変化量が、予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定するとともに、基準時点から所定時間経過した経過時点における排気温度の変化量が、第2の条件に適合するか否かを判定する失火判定部15と、失火判定部15によって第1の条件に適合すると判定され、かつ、第2の条件に適合すると判定された場合に失火情報を出力する出力部17と、を備える。
【解決手段】内燃機関1の排気温度の変化量を算出する排気温度変化情報算出部11と、内燃機関に設けられた発電機Gの発電電力の変化量を算出する発電電力変化情報算出部12と、基準時点における排気温度および発電電力の変化量が、予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定するとともに、基準時点から所定時間経過した経過時点における排気温度の変化量が、第2の条件に適合するか否かを判定する失火判定部15と、失火判定部15によって第1の条件に適合すると判定され、かつ、第2の条件に適合すると判定された場合に失火情報を出力する出力部17と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の失火を検出するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、内燃機関の始動時において、正常に燃焼が行われていれば排気温度の変化率が高くなり、失火していれば排気温度の変化率が低くなるという特性を用いて失火を検出する失火検出装置が知られている。この失火検出装置によれば、内燃機関の始動直後において排気温度の変化率を導出するとともに、導出した排気温度の変化率が閾値を下回った場合に失火が生じていると判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−80640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の失火検出装置においては、失火が生じた場合の排気温度の変化特性が予め記憶されており、所定の間隔で検出される排気温度の変化率が、予め記憶された変化特性に当てはまるか否かを判定している。しかしながら、内燃機関においては、その制御などによって、正常に駆動している場合であっても、失火が生じた場合と近似した態様で排気温度が推移する場合がある。
【0005】
図12および図13は、発電用内燃機関の排気温度の試験データであり、図12は、内燃機関の駆動中に失火が生じた場合の排気温度の推移を示しており、図13は、内燃機関が正常に駆動している場合の排気温度の推移を示している。図12に示すように、この発電用内燃機関においては、排気温度がほぼ一定(400度前後)に維持されており、失火が生じたときには、排気温度が数秒の内に低下し、その後、数十秒をかけて再びもとの温度に復帰する特性がある。
これに対して、図13に示すように、内燃機関の駆動中においては、制御上の理由などから、それまでよりも排気温度がわずかに低く制御され、その後、排気温度がそのままの温度に一定に維持される場合がある。
【0006】
このように、内燃機関における排気温度の推移を、例えば1分程度にわたって長期的に見た場合には、失火が生じたときと正常に駆動しているときとの差異を判別することが可能であるが、例えば1〜5秒という短い間隔で見た場合には、失火が生じたのか、それとも正常に駆動しているのかを判別することができない。したがって、短期的な排気温度の変化に基づいて失火を検出する従来の失火検出装置においては、内燃機関の正常な駆動によって排気温度が変化した場合にも、失火が生じたと判定されてしまうといった問題があった。
【0007】
本発明の目的は、失火の誤検出を低減して、より精度の高い内燃機関の失火検出装置および失火検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、発電用内燃機関の排気温度を計測する排気温度計測手段と、前記排気温度計測手段によって計測された計測値に基づいて排気温度の変化情報を導出する排気温度変化情報導出手段と、前記発電用内燃機関の発電電力を計測する発電電力計測手段と、前記発電電力計測手段によって計測された計測値に基づいて発電電力の変化情報を導出する発電電力変化情報導出手段と、所定の基準時点における前記排気温度および発電電力の変化情報が、予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定するとともに、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が、予め設定された第2の条件に適合するか否かを判定し、前記第1の条件および第2の条件の双方に適合する場合に失火と判定する失火判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、前記失火判定手段が、前記基準時点において、前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、前記発電電力の変化情報が所定の閾値を上回る変化情報である場合に前記第1の条件に適合すると判定し、前記経過時点において、前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に前記第2の条件に適合すると判定してなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、前記排気温度計測手段によって計測された排気温度の計測値、および、前記発電電力計測手段によって計測された発電電力の計測値を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する変化情報記憶手段を備え、前記排気温度および発電電力の計測値が新たに記憶部に記憶されたとき、前記排気温度変化情報導出手段および発電電力変化情報導出手段は、それぞれ当該新たに記憶された計測値に基づいて、前記経過時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された計測値に基づいて、前記基準時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、前記排気温度変化情報導出手段によって導出される排気温度の変化情報、および、前記発電電力変化情報導出手段によって導出される発電電力の変化情報を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する変化情報記憶手段を備え、前記失火判定手段は、前記排気温度および発電電力の変化情報が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された排気温度の変化情報に基づいて第2の条件に適合するか否かを判定するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された排気温度および発電電力の変化情報に基づいて第1の条件に適合するか否かを判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、前記記憶部に同時に記憶可能な前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報の数には上限が設けられ、前記変化情報記憶手段は、前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が記憶部に上限数記憶された状態で新たに計測値あるいは変化情報が導出されたとき、記憶部にもっとも先に記憶された計測値あるいは変化情報を消去して、当該新たに導出された計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、内燃機関の排気温度の変化情報を導出する排気温度変化情報導出手段と、所定の基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であるか否かを判定するとともに、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報であるか否かを判定し、前記基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に失火と判定する失火判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、発電用内燃機関の排気温度を計測する工程と、排気温度の計測値に基づいて排気温度の変化情報を導出する工程と、前記発電用内燃機関の発電電力を計測する工程と、発電電力の計測値に基づいて変化情報を導出する工程と、所定の基準時点における前記排気温度および発電電力の変化情報が、予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定する工程と、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が、予め設定された第2の条件に適合するか否かを判定する工程と、前記第1の条件および前記第2の条件の双方に適合すると判定された場合に失火と判定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、前記第1の条件の適合可否を判定する工程では、前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、前記発電電力の変化情報が所定の閾値を上回る変化情報である場合に前記第1の条件に適合すると判定し、前記第2の条件の適合可否を判定する工程では、前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に前記第2の条件に適合すると判定してなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、前記排気温度および発電電力の計測値を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する工程をさらに有し、前記排気温度の変化情報を導出する工程および発電電力の変化情報を導出する工程は、前記排気温度および発電電力の計測値が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された計測値に基づいて、前記経過時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された計測値に基づいて、前記基準時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、前記排気温度および発電電力の変化情報を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する工程をさらに有し、前記第1の条件および第2の条件の適合可否を判定する工程は、前記排気温度および発電電力の変化情報が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された排気温度の変化情報に基づいて第2の条件に適合するか否かを判定するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された排気温度および発電電力の変化情報に基づいて第1の条件に適合するか否かを判定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶する工程では、前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が記憶部に上限数記憶された状態で、新たに排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が導出されたとき、記憶部にもっとも先に記憶された計測値あるいは変化情報を消去した後に、当該新たに導出された計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、内燃機関の排気温度の変化情報を導出する工程と、所定の基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であるか否かを判定する工程と、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回るか否かを判定する工程と、前記基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に失火と判定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の変化情報としては、例えば、「変化量」を用いることが可能である。変化量とは、2つの計測時点間における計測対象の変化量をいうものであり、例えば、排気温度がある計測時点で400度と計測され、次の計測時点で395度と計測された場合に、変化情報=「−5」とすればよい。したがって、排気温度の変化情報を「変化量」とした場合には、負の値の変化情報によって排気温度の低下が表され、正の値の変化情報によって排気温度の上昇が表されることとなる。
また、変化情報として、2つの計測時点間における計測対象の変化の度合いを示す「変化率」を用いることも可能である。この「変化率」は、さまざまな方式で導出することが可能であり、例えば、排気温度がある計測時点で400度と計測され、次の計測時点で395度と計測された場合に、変化率=395/400としてもよいし、変化率=(395−400)/400としてもよい。この場合、1未満の値または負の値の変化情報によって排気温度の低下が表され、1よりも大きい値または正の値の変化情報によって排気温度の上昇が表される。
このように、本発明の「変化情報」は、「変化量」や「変化率」など、排気温度や発電電力の変化の状況を表すものを広く適用可能である。
【0021】
また、本発明において、基準時点における排気温度および発電電力の変化情報が第1の条件に適合するか否かを判定する具体的な方法は特に限定されない。
例えば、排気温度および発電電力それぞれの変化情報に閾値を設定しておき、導出された変化情報が、設定された閾値をそれぞれ上回った場合に第1の条件に適合すると判定してもよい。また、例えば、排気温度および発電電力の変化情報にそれぞれ重み付けをした値を算出するとともに、この算出値と予め設定された閾値とを比較して第1の条件の適合可否を判定してもよい。さらには、排気温度および発電電力の変化情報を、所定の演算式に当てはめて解を算出するとともに、この算出値と予め設定された閾値とを比較して第1の条件の適合可否を判定してもよい。いずれにしても、排気温度の変化情報と、発電電力の変化情報とに基づいて、第1の条件の適合可否を判定するものであれば、その詳細な判定方法は特に限定されるものではない。
【0022】
また、経過時点における排気温度の変化情報が第2の条件に適合するか否かについても、上記のいずれの方法で判定してもよく、その具体的な判定方法は特に限定されない。
また、本発明においては、基準時点から所定時間経過した少なくとも1の時点における排気温度の変化情報に基づいて第2の条件の適合可否が判定されればよい。言い換えれば、基準時点よりも後の1の時点における排気温度の変化情報に基づいてのみ、第2の条件の適合可否を判定してもよいし、基準時点よりも後の複数の時点における排気温度の変化情報に基づいて、それぞれ第2の条件の適合可否を判定してもよい。
【0023】
また、第1の条件の適合可否と第2の条件の適合可否とは、同一の変化情報に基づいて判定されるものであってもよいし、それぞれ専用の変化情報に基づいて判定されるものであってもよい。両条件の適合可否を同一の変化情報に基づいて判定することとした場合、1つの排気温度の変化情報は、基準時点としての側面と、経過時点としての側面とを有することとなる。
また、第1の条件の適合可否と第2の条件の適合可否との双方を、常に判定することとしてもよいし、いずれか一方の条件の適合可否を判定した結果、適合していると判定した場合に限って、他方の条件の適合可否を判定することとしてもよい。このとき、第1の条件に適合していると判定された場合に限って、経過時点における排気温度の変化情報を導出するとともに、この導出した変化情報に基づいて第2の条件の適合可否を判定することとしてもよい。
【0024】
なお、第1の条件および第2の条件は、それぞれ失火である場合の変化情報の推移特性と、内燃機関の正常な駆動中に生じる変化情報の推移特性とに基づいて適宜設定すればよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、基準時点における変化情報と、基準時点から所定時間経過した経過時点における変化情報とに基づいて失火の判定が行われる。したがって、内燃機関が正常に駆動しているときに排気温度が変化したとしても、失火が生じたものと誤検出される可能性を低減することができ、失火検出の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態における失火検出装置の概念図である。
【図2】第1実施形態における記憶部の概念図である。
【図3】第1実施形態の失火判定処理を示す図である。
【図4】第2実施形態における失火検出装置の概念図である。
【図5】第2実施形態の失火判定処理を示す図である。
【図6】第3実施形態における失火検出装置の概念図である。
【図7】第3実施形態の失火判定処理を示す図である。
【図8】排気温度変化量および発電電力変化量と失火との因果関係を示す図である。
【図9】失火または内燃機関の制御によって排気温度に変化が生じてから所定時間後の排気温度変化量および発電電力変化量の因果関係を示す図である。
【図10】第1の条件の他の一例を説明する図である。
【図11】(a)は失火が生じた際の発電電力の推移を示しており、(b)は失火が生じた際の発電電力変化量|dP/dt|の推移を示している。
【図12】発電用内燃機関において失火が生じた場合の排気温度の推移の一例を示す図である。
【図13】発電用内燃機関における正常な駆動中の排気温度の推移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を発電用内燃機関の失火検出に適用した場合の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、第1実施形態の内燃機関1は、ピストンが往復動自在に収容された例えば3つの気筒2a〜2cを備えており、各気筒2a〜2cに設けられた燃焼室で生じる爆発圧力によってピストンが往復動すると、クランクシャフトが回転して回転動力が出力されるようになっている。そして、この内燃機関1の出力側には発電機Gが設けられており、内燃機関1の出力によって電力が発電されることとなる。
【0028】
各気筒2a〜2cの燃焼室には、燃焼ガスを排出する排気通路3a〜3cがそれぞれ接続されており、これら各排気通路3a〜3cに、排気温度を計測する排気温度計測センサ4a〜4cが設けられている。
また、発電機Gには、発電電力Pを計測する発電電力計測センサ5が設けられており、この発電電力計測センサ5によって計測された発電電力Pと、上記の排気温度計測センサ4a〜4cによって計測された排気温度とが、失火検出装置10に入力するようになっている。
【0029】
失火検出装置10は、排気温度計測センサ4a〜4cによって計測される排気温度Tに基づいて、排気温度の変化量であるdT/dtを演算する排気温度変化情報算出部11と、発電電力計測センサ5によって計測される発電電力Pに基づいて、発電電力Pの変化量である|dP/dt|を演算する発電電力変化情報算出部12と、を備えている。
これら排気温度変化情報算出部11および発電電力変化情報算出部12には、それぞれ失火検出装置10が備える計時部13からパルス信号が送出されており、この計時部13から入力するパルス信号に基づいて、所定の間隔で排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が算出されている。
【0030】
そして、排気温度変化情報算出部11および発電電力変化情報算出部12は、それぞれ排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を算出するたびに、これら算出した排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を、失火検出装置10が備える記憶制御部14に送出する。
記憶制御部14は、受け取った排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を記憶部14aに記憶する。この記憶部14aは、図2に示すように、排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を上限のある複数個(例えば最大で11個)記憶することが可能となっている。そして、記憶制御部14は、新たに受け取った排気温度変化量dT/dtを、気筒2a〜2cに対応する記憶領域(n)にそれぞれ記憶し、発電電力変化量|dP/dt|を、発電機Gに対応する記憶領域(n)に記憶する。
【0031】
このとき、記憶制御部14は、記憶領域(n)〜記憶領域(n−9)に記憶されていた排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を、それぞれ1つ上の記憶領域にシフトするとともに、記憶部(n−10)に記憶されていた排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を消去する。
なお、この第1実施形態においては、失火検出装置10が記憶部14aを備えることとしているが、記憶部14aは、失火検出装置10の外部に備える構成であってもよい。
【0032】
そして、失火検出装置10は、記憶部14aを監視する失火判定部15を備えている。この失火判定部15は、記憶部14aに排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が記憶されると、記憶部14aに記憶された排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|と、データベース16から読み出した閾値情報とに基づいて失火の有無を判定し、失火判定信号または正常判定信号を出力部17に送信する。
この出力部17は、受信した信号に基づいて、気筒ごとに失火を報知したり失火回数を計数したりするものである。
【0033】
ここで、内燃機関1において失火が生じた際の排気温度Tおよび発電電力Pの変化特性について説明する。
図11(a)は、内燃機関1において失火が生じた際の発電電力Pの推移を示しており、図11(b)は、内燃機関1において失火が生じた際の発電電力変化量|dP/dt|の推移を示している。内燃機関1において失火が生じると、発電電力量は、瞬間的に減少したり増加したりする特性がある。したがって、図11(b)に示すように、発電電力Pの変化量を絶対値で表すと、発電電力Pの変化量を示す波形に数秒間にわたって揺らぎが生じることとなる。なお、内燃機関1において失火が生じると、発電電力量が減少したり増加したりすることから、図1に示す発電電力変化情報算出部12においては、絶対値を用いた発電電力変化量|dP/dt|を算出するようにしている。
【0034】
また、図12は、内燃機関1において失火が生じた際の排気温度Tの推移を示している。すでに説明したとおり、内燃機関1に失火が生じると、排気温度Tは短時間のうちに低下するとともに、その後、緩やかに元の温度に復帰する特性がある。こうした排気温度Tの変化特性によって失火を検出すべく、図1に示す排気温度変化情報算出部11は、排気温度変化量dT/dtを算出するようにしている。
【0035】
なお、図8は、同時に算出された排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|と失火との因果関係を示す試験データである。図中「×」は、実際に失火が生じたときの排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を示しており、図中「○」は、内燃機関1が正常に駆動しているときの排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を示している。この図からも明らかなように、失火が生じた場合には、排気温度変化量dT/dtが所定の閾値SLT1を下回り、かつ、発電電力変化量|dP/dt|が所定の閾値SLPを上回ることが極めて多い。したがって、同時に算出された排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を、それぞれ閾値SLT1,SLPと比較することにより、ある程度の精度で失火を特定することができる。
【0036】
しかしながら、内燃機関1の駆動中には、失火が生じていない場合であっても、制御上の理由などによって排気温度Tが低下することがある。図中「△」は、上記のように、失火ではなく、内燃機関1の制御上の理由によって排気温度Tが低下した場合の排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を示しているが、この図からも明らかなように、内燃機関1の制御によっても、排気温度Tが低下するとともに、発電電力量に揺らぎが生じている。つまり、内燃機関1に失火が生じたときと、内燃機関1において何らかの制御がなされたときとで、排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が近似した位置にプロットされることとなる。
【0037】
そして、上記の図中「×」および「△」で示す排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が算出された場合に、そのr秒後(例えば5秒後)の排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を見ると、図9に示す特性が表れる。
具体的には、失火が生じた場合には、排気温度Tが短時間のうちに低下した後に緩やかに元の温度に復帰することから、r秒後の排気温度変化量dT/dtがプラスとなっている。これに対して、内燃機関1の制御によって排気温度Tが低下した場合には、その後も排気温度Tがほぼ一定に維持されることから、r秒後の排気温度変化量dT/dtが「0」に近くなっている。
【0038】
つまり、図8に示すように、排気温度変化量dT/dtが所定の閾値SLT1を下回り、かつ、発電電力変化量|dP/dt|が所定の閾値SLPを上回るという第1の条件と、r秒後の排気温度変化量dT/dtが所定の閾値SLT2を上回るという第2の条件と、の双方に適合するときに、失火が生じている可能性が極めて高いということができる。
そこで、この第1実施形態の失火検出装置10においては、閾値SLT1、SLT2、SLPがデータベース16に閾値情報として格納されており、失火判定部15が、記憶部に記憶された情報と、データベース16に格納された閾値情報とに基づいて、失火の有無を判定している。
【0039】
以下に、図3を用いて、失火検出装置10による失火判定処理について具体的に説明する。この失火判定処理は、計時部13によって所定の時間が計時されるたびに実行される。
【0040】
(ステップS1)
まず、所定の時間が計時されると、排気温度計測センサ4a〜4cから入力する排気温度Tを特定(検出)するとともに、発電電力計測センサ5から入力する発電電力Pを特定(検出)する。なお、上記ステップS1で特定された排気温度Tおよび発電電力Pは、所定の記憶領域に一時的に記憶される。
【0041】
(ステップS2)
次に、上記ステップS1で特定した排気温度Tに基づいてdT/dtを算出するとともに、上記ステップS1で特定した発電電力Pに基づいて|dP/dt|を算出する。このとき、dT/dtおよび|dP/dt|は、それぞれ新たに記憶領域に記憶された排気温度Tおよび発電電力Pと、その1つ前に記憶領域に記憶された排気温度Tおよび発電電力Pとの差から算出される。
【0042】
(ステップS3)
次に、各記憶領域(n−1)〜(n−10)に記憶されている排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を1つ上の記憶領域にシフトする(図2)とともに、上記ステップS2で算出された排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を記憶領域(n)に記憶する。
【0043】
(ステップS4)
次に、r秒前(例えば5秒前)に計測し、記憶部(n−5)に記憶された発電電力変化量|dP/dt|が、閾値SLPを上回っているか否かを判定する。つまり、ここでは、新たに排気温度変化量dT/dt(n)および発電電力変化量|dP/dt(n)|が記憶されたときに、それよりも5つ前に記憶された発電電力変化量|dP/dt(n−5)|が閾値SLPと比較されることとなる。したがって、計時部13が例えば1秒おきにパルス信号を出力するように設定されている場合には、発電電力変化量|dP/dt|が記憶されてから5秒後に、当該ステップS4の判定がなされることとなる。
そして、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定した場合にはステップS5に処理を移し、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|≦閾値SLPと判定した場合にはステップS8に処理を移す。
【0044】
(ステップS5)
上記ステップS4において、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定した場合には、記憶領域(n−5)に記憶された排気温度変化量dT/dtが、閾値SLT1を下回っているか否かを判定する。つまり、ここでは、上記ステップS4と同様に、新たに排気温度変化量dT/dt(n)および発電電力変化量|dP/dt(n)|が記憶されたときに、それよりも5つ前に記憶された排気温度変化量dT/dt(n−5)が閾値SLT1と比較されることとなる。その結果、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定した場合にはステップS6に処理を移し、排気温度変化量dT/dt(n−5)≧閾値SLT1と判定した場合にはステップS8に処理を移す。
【0045】
なお、この第1実施形態においては、排気温度変化量dT/dtが閾値SLT1を下回るか否かを判断する際に、単一の気筒における排気温度変化量dT/dtのみでは判断せずに、3つの気筒2a〜2cの相互関係をも考慮したうえで判断を行っている。
具体的には、記憶領域(n−5)に記憶された気筒ごとの3つの排気温度変化量dT/dtのうち、最も低い排気温度変化量dT/dt(1)と、2番目に低い排気温度変化量dT/dt(2)と、を特定する。そして、排気温度変化量dT/dt(1)<閾値SLT1であり、かつ、排気温度変化量dT/dt(2)≧閾値SLT1であった場合に限り、ステップS6に処理を移すこととしている。言い換えれば、同時に2つの気筒について、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1と判定された場合には、ステップS8に処理が移されることとなる。
【0046】
これは、内燃機関1に負荷変動が生じた場合には、3つの気筒2a〜2cの全てにおいて同様の変化が生じるのが一般的であり、複数の気筒において同時に排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1となった場合には、失火ではなく負荷変動による排気温度Tの低下とみなすこととしたためである。
なお、ここでは最も低い排気温度変化量dT/dt(1)と、2番目に低い排気温度変化量dT/dt(2)と、を特定することとしたが、より多気筒の内燃機関に適用する場合には、3つ以上の排気温度変化量dT/dtを閾値SLT1と比較して判断することが望ましい。なぜなら、多気筒になると複数の気筒で同時に失火が生じる可能性が高くなるが、より多くの気筒の排気温度変化量dT/dtを閾値SLT1と比較することにより、実際の失火を負荷変動と誤判定してしまうおそれを低減することができるからである。ただし、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1の判定は、必ずしも複数の気筒間で行う必要はなく、他の気筒の排気温度変化量dT/dtに影響を受けることなく、各気筒ごとに判定を行うようにしてもよい。
【0047】
(ステップS6)
上記ステップS5において、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定した場合には、記憶部(n)に記憶された排気温度変化量dT/dtが、閾値SLT2を上回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt(n)>閾値SLT2と判定した場合にはステップS7に処理を移し、排気温度変化量dT/dt(n)≦閾値SLT2と判定した場合にはステップS8に処理を移す。
【0048】
(ステップS7)
上記のように、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定され(ステップS4のYes)、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定され(ステップS5のYes)、排気温度変化量dT/dt(n)>閾値SLT2と判定された場合に、失火が生じたことを示す失火判定信号を出力部17に送信する。
【0049】
(ステップS8)
一方、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|≦閾値SLPと判定されるか(ステップS4のNo)、排気温度変化量dT/dt(n−5)≧閾値SLT1と判定されるか(ステップS5のNo)、排気温度変化量dT/dt(n)≦閾値SLT2と判定されると(ステップS6のYes)、内燃機関1が正常に駆動していることを示す正常判定信号を出力部17に送信する。
そして、出力部17において、失火判定信号を受信した際に失火を報知したり、あるいは各信号の受信回数を気筒ごとに計数したりすれば、内燃機関1の失火状況を容易に把握することが可能となり、早期に適切なメンテナンスを施すことができる。
【0050】
以上のように、内燃機関1において失火が生じた場合には、当該失火直後に排気温度変化量dT/dtがマイナスとなり、発電電力変化量|dP/dt|がプラスになるという変化特性が見られる。また、失火が生じた場合には、当該失火から所定時間経過後に排気温度変化量dT/dtがプラスになるという変化特性が見られる。
この第1実施形態によれば、失火によって生じる2つの異なる時点の変化特性に基づいて失火の有無を判定することにより、従来に比してより高精度な失火検出を実現することが可能となる。
また、この第1実施形態においては、排気温度変化量dT/dtが算出されたときの判定と、当該排気温度変化量dT/dtが算出されてからr秒経過したときの判定とで、同一の排気温度変化量dT/dtが用いられている。言い換えれば、1度算出された排気温度変化量dT/dtが2回の判定に用いられるので、排気温度変化量dT/dtの算出処理の負担を軽減することが可能となる。
【0051】
なお、第1実施形態においては、第1の条件の適合可否を判定する基準時点から、第2の条件の適合可否を判定する経過時点までの間隔(r秒)が5秒に設定されている。このため、ステップS4およびステップS5において、記憶部(n−5)に記憶されたデータを閾値SLP、閾値SLT1と比較するようにしている。しかしながら、基準時点から経過時点までの最適な間隔(r秒)はシステムによって当然に異なるものであるため、基準時点から経過時点までの間隔(r秒)は、システムに応じて適宜設定すればよい。例えば、基準時点から経過時点までの間隔を10秒とした場合には、記憶部(n−10)に記憶されたデータを閾値SLP、閾値SLT1と比較するといった具合に設定すればよい。
【0052】
次に、図4および図5を用いて第2実施形態について説明する。
なお、この第2実施形態においては、上記第1実施形態の失火検出装置10に代えて失火検出装置20を用いた点が上記第1実施形態と異なり、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。したがって、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付して、その詳細な説明は省略するとともに、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0053】
図4に示すように、第2実施形態の失火検出装置20は、排気温度計測センサ4a〜4cによって計測される排気温度Tに基づいて、排気温度Tの変化量であるdT/dtを演算する第1排気温度変化情報算出部21と、発電電力計測センサ5によって計測される発電電力Pに基づいて、発電電力Pの変化量である|dP/dt|を演算する発電電力変化情報算出部12と、を備えている。
これら第1排気温度変化情報算出部21および発電電力変化情報算出部12には、それぞれ失火検出装置20が備える第1計時部22からパルス信号が送出されており、この第1計時部22から入力するパルス信号に基づいて、第1実施形態と同様に所定の間隔で排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が算出されている。
【0054】
そして、第1排気温度変化情報算出部21および発電電力変化情報算出部12は、それぞれ排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を算出するたびに、これら算出した排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を、それぞれ失火検出装置20が備えるdT/dt判定部23および|dP/dt|判定部24に送出する。
dT/dt判定部23は、第1排気温度変化情報算出部21から送出された排気温度変化量dT/dtが、データベース16から読み出した閾値SLT1を下回っているか否かを判定するとともに、その判定結果を失火検出装置20が備える第1失火判定部25に送出する。
また、これと同様に、|dP/dt|判定部24は、発電電力変化情報算出部12から送出された発電電力変化量|dP/dt|が、データベース16から読み出した閾値SLPを上回っているか否かを判定するとともに、その判定結果を第1失火判定部25に送出する。
【0055】
第1失火判定部25は、dT/dt判定部23から受け取った判定結果と、|dP/dt|判定部24から受け取った判定結果とに基づいて、第1の条件に適合するか否かを判定する。具体的には、第1失火判定部25は、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1、および、発電電力変化量|dP/dt|>閾値SLPである場合に、第1の条件に適合すると判定する。一方、第1失火判定部25は、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1、および、発電電力変化量|dP/dt|>閾値SLPの双方が満たされない場合に、第1の条件に適合しないものと判定する。
そして、第1の条件に適合すると判定した場合には、失火検出装置20が備える第2排気温度変化情報算出部26に計時開始信号を送出し、第1の条件に適合しないと判定した場合には、出力部17に正常判定信号を送信する。
【0056】
第2排気温度変化情報算出部26は、第1失火判定部25から計時開始信号を受け取ると、第2計時部27からのパルス信号に基づいてr秒(例えば5秒)を計時する。そして、r秒が経過すると、第2排気温度変化情報算出部26は、第1排気温度変化情報算出部21と同様に、排気温度計測センサ4a〜4cによって計測される排気温度Tに基づいて、排気温度変化量dT/dt(r)を算出する。つまり、この第2排気温度変化情報算出部26は、第1排気温度変化情報算出部21が排気温度変化量dT/dtを算出してから、r秒後の排気温度変化量dT/dt(r)を算出することとなる。このようにして算出された排気温度変化量dT/dt(r)は、失火検出装置20が備える第2失火判定部28に送出される。
【0057】
第2失火判定部28は、第2排気温度変化情報算出部26から送出された排気温度変化量dT/dt(r)が、第2の条件に適合するか否か、つまりデータベース16から読み出した閾値SLT2を上回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt(r)>閾値SLT2と判定した場合には失火判定信号を出力部17に送信し、排気温度変化量dT/dt(r)≦閾値SLT2と判定した場合には正常判定信号を出力部17に送信する。
以下に、図5を用いて、失火検出装置20による失火判定処理について具体的に説明する。この失火判定処理は、第1計時部22によって所定の時間が計時されるたびに実行される。
【0058】
(ステップS11)
まず、所定の時間が計時されると、排気温度計測センサ4a〜4cから入力する排気温度Tを特定するとともに、発電電力計測センサ5から入力する発電電力Pを特定する。
【0059】
(ステップS12)
次に、上記ステップS11で特定した排気温度Tに基づいてdT/dtを算出するとともに、上記ステップS11で特定した発電電力Pに基づいて|dP/dt|を算出する。
【0060】
(ステップS13)
次に、上記ステップS12で算出した発電電力変化量|dP/dt|が、閾値SLPを上回っているか否かを判定する。その結果、発電電力変化量|dP/dt|>閾値SLPと判定した場合にはステップS14に処理を移し、発電電力変化量|dP/dt|≦閾値SLPと判定した場合にはステップS20に処理を移す。
【0061】
(ステップS14)
上記ステップS13において、発電電力変化量|dP/dt|>閾値SLPと判定した場合には、排気温度変化量dT/dtが、閾値SLT1を下回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1と判定した場合にはステップS15に処理を移し、排気温度変化量dT/dt≧閾値SLT1と判定した場合にはステップS20に処理を移す。
なお、この第2実施形態においても、3つの気筒2a〜2cの相互関係を考慮したうえで、排気温度変化量dT/dtが閾値SLT1を下回るか否かを判断してもよいし、気筒ごとに排気温度変化量dT/dtが閾値SLT1を下回るか否かを判断してもよい。
【0062】
(ステップS15)(ステップS16)
上記ステップS14において、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1と判定した場合には、r秒が経過するまで待機するとともに、r秒が経過したところで、再び排気温度計測センサ4a〜4cから入力する排気温度Tを特定する。
【0063】
(ステップS17)
次に、上記ステップS16で特定した排気温度Tに基づいてdT/dt(r)を算出する。
【0064】
(ステップS18)
次に、上記ステップS17で算出した排気温度変化量dT/dt(r)が、閾値SLT2を上回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt(r)>閾値SLT2と判定した場合にはステップS19に処理を移し、排気温度変化量dT/dt≦閾値SLT2と判定した場合にはステップS20に処理を移す。
【0065】
(ステップS19)
上記のように、発電電力変化量|dP/dt|>閾値SLPと判定され(ステップS13のYes)、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1と判定され(ステップS14のYes)、排気温度変化量dT/dt(r)>閾値SLT2と判定された場合に、失火が生じたことを示す失火判定信号を出力部17に送信する。
【0066】
(ステップS20)
一方、発電電力変化量|dP/dt|≦閾値SLPと判定されるか(ステップS13のNo)、排気温度変化量dT/dt≧閾値SLT1と判定されるか(ステップS14のNo)、排気温度変化量dT/dt(r)≦閾値SLT2と判定されると(ステップS18のYes)、内燃機関1が正常に駆動していることを示す正常判定信号を出力部17に送信する。
【0067】
以上のように、この第2実施形態によっても、上記第1実施形態と同様に、高精度の失火検出を実現することができる。
しかも、この第2実施形態によれば、まず第1の条件に適合するか否かを判定し、第1の条件に適合すると判定した場合に限って第2の条件に適合するか否かが判定されるので、失火判定の処理負担を軽減することが可能となる。
また、上記第1実施形態のように、記憶部が必須ではないため、失火検出装置20のコストを低減することも可能となる。
【0068】
次に、図6および図7を用いて第3実施形態について説明する。
なお、この第3実施形態においては、上記第1実施形態の失火検出装置10に代えて失火検出装置30を用いた点が上記第1実施形態と異なり、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。したがって、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付して、その詳細な説明は省略するとともに、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0069】
図6に示すように、第3実施形態の失火検出装置30は、排気温度計測センサ4a〜4cによって計測される排気温度Tと、発電電力計測センサ5によって計測される発電電力Pとが、失火検出装置30の記憶制御部31に入力するようになっている。記憶制御部31は、計時部13から送出されるパルス信号に基づいて、所定の間隔で入力信号を計測値に変換するとともに、特定(検出)した排気温度Tおよび発電電力Pを記憶部14aに記憶している。
記憶部14aは、第1実施形態と同様に図2に示す構成となっており、記憶制御部31は、新たに特定した排気温度Tを、気筒2a〜2cに対応する記憶領域(n)にそれぞれ記憶し、発電電力Pを、発電機Gに対応する記憶領域(n)に記憶する。
なお、このとき、記憶制御部31は、記憶領域(n)〜記憶領域(n−9)に記憶されていた排気温度Tおよび発電電力Pを、それぞれ1つ上の記憶領域にシフトするとともに、記憶部(n−10)に記憶されていた排気温度Tおよび発電電力Pを消去する。
【0070】
排気温度変化情報算出部32は、記憶部14aを監視しており、記憶領域のシフトが行われたことを契機として、排気温度Tの変化量であるdT/dtを演算する。このとき、排気温度変化情報算出部32は、2つの異なる時点、つまり、上記した基準時点における排気温度変化量dT/dtと、経過時点における排気温度変化量dT/dtと、を算出している。
具体的には、排気温度変化情報算出部32は、基準時点と経過時点との間隔(r秒)を5秒とした場合、記憶領域(n−6)に記憶された排気温度Tと、記憶領域(n−5)に記憶された排気温度Tとの差分から、基準時点における排気温度変化量dT/dt(n−5)を算出する。これと同様に、記憶領域(n−1)に記憶された排気温度Tと、記憶領域(n)に記憶された排気温度Tとの差分から、経過時点における排気温度変化量dT/dt(n)を算出する。
そして、排気温度変化情報算出部32は、上記のように算出した基準時点における排気温度変化量dT/dt(n―5)と、経過時点における排気温度変化量dT/dt(n)と、を失火判定部34に送出する。
【0071】
また、発電電力変化情報算出部33も、排気温度変化情報算出部32と同様に記憶部14aを監視しており、記憶領域のシフトが行われたことを契機として、発電電力Pの変化量である|dP/dt|を演算する。このとき、発電電力変化情報算出部33は、記憶領域(n−6)に記憶された発電電力Pと、記憶領域(n−5)に記憶された発電電力Pとの差分から、基準時点における発電電力変化量|dP/dt(n−5)|を算出する。
そして、発電電力変化情報算出部33は、上記のように算出した基準時点における発電電力変化量|dP/dt(n−5)|を失火判定部34に送出する。
【0072】
失火判定部34は、排気温度変化情報算出部32および発電電力変化情報算出部33から受け取った排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|と、データベース16から読み出した閾値情報とに基づいて失火の有無を判定し、失火判定信号または正常判定信号を出力部17に送信する。
【0073】
以下に、図7を用いて、失火検出装置30による失火判定処理について具体的に説明する。この失火判定処理は、計時部13によって所定の時間が計時されるたびに実行される。
【0074】
(ステップS31)
まず、所定の時間が計時されると、排気温度計測センサ4a〜4cから入力する排気温度Tを特定(検出)するとともに、発電電力計測センサ5から入力する発電電力Pを特定(検出)する。
【0075】
(ステップS32)
次に、上記ステップS31で特定した計測値である排気温度Tおよび発電電力Pを、記憶部14aの各記憶領域(n)に記憶するとともに、各記憶領域(n)〜(n−9)に記憶されていた計測値を1つ上の記憶領域にシフトする。
【0076】
(ステップS33)
次に、記憶領域(n−6)および記憶領域(n−5)に記憶されている計測値から、基準時点における排気温度変化量dT/dt(n−5)および発電電力変化量|dP/dt(n−5)|を算出する。
【0077】
(ステップS34)
次に、記憶領域(n−1)および記憶領域(n)に記憶されている計測値から、経過時点における排気温度変化量dT/dt(n)を算出する。
【0078】
(ステップS35)
次に、上記ステップS33で算出された発電電力変化量|dP/dt(n−5)|が、閾値SLPを上回っているか否かを判定する。その結果、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定した場合にはステップS36に処理を移し、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|≦閾値SLPと判定した場合にはステップS39に処理を移す。
【0079】
(ステップS36)
上記ステップS35において、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定した場合には、上記ステップS33で算出された排気温度変化量dT/dt(n−5)が、閾値SLT1を下回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定した場合にはステップS37に処理を移し、排気温度変化量dT/dt(n−5)≧閾値SLT1と判定した場合にはステップS39に処理を移す。
【0080】
(ステップS37)
上記ステップS36において、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定した場合には、上記ステップS34で算出された排気温度変化量dT/dt(n)が、閾値SLT2を上回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt(n)>閾値SLT2と判定した場合にはステップS38に処理を移し、排気温度変化量dT/dt(n)≦閾値SLT2と判定した場合にはステップS39に処理を移す。
【0081】
(ステップS38)
上記のように、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定され(ステップS35のYes)、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定され(ステップS36のYes)、排気温度変化量dT/dt(n)>閾値SLT2と判定され(ステップS37のYes)た場合に、失火が生じたことを示す失火判定信号を出力部17に送信する。
【0082】
(ステップS39)
一方、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|≦閾値SLPと判定されるか(ステップS35のNo)、排気温度変化量dT/dt(n−5)≧閾値SLT1と判定されるか(ステップS36のNo)、排気温度変化量dT/dt(n)≦閾値SLT2と判定されると(ステップS37のNo)、内燃機関1が正常に駆動していることを示す正常判定信号を出力部17に送信する。
【0083】
以上のように、この第3実施形態においては、記憶部14aに計測値である排気温度Tおよび発電電力Pを記憶するとともに、記憶部14aに記憶された計測値に基づいて排気温度変化量dT/dtや発電電力変化量|dP/dt|を算出することとしたが、このようにしても上記各実施形態と同様に、高精度の失火検出を実現することができる。
なお、この第3実施形態においても、ステップS36またはステップS37において、3つの気筒2a〜2cの相互関係を考慮したうえで、排気温度変化量dT/dtが閾値SLTを下回るか否かを判断してもよいし、気筒ごとに排気温度変化量dT/dtが閾値SLTを下回るか否かを判断してもよい。
【0084】
また、上記各実施形態では、所定の基準時点において、排気温度変化量dT/dtが閾値SLT1を下回り、発電電力変化量|dP/dt|が閾値SLPを上回ることを第1の条件とし、そのr秒後である経過時点において、排気温度変化量dT/dtが閾値SLT2を上回ることを第2の条件とした。しかしながら、第1の条件は上記実施形態に限らない。
例えば、排気温度変化量dT/dtが閾値SLT1を下回ることのみを第1の条件としてもよく、この場合であっても従来に比して失火の検出精度を向上することが可能である。
【0085】
また、所定の演算式を予め記憶しておき、この演算式に、基準時点において算出された排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を当てはめた演算結果に基づいて、第1の条件の適合可否を判定してもよい。
所定の演算式としては、例えば、「f(dT/dt,|dP/dt|)=a*dT/dt+b*|dP/dt|」が考えられる。この演算式によれば、排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|に、それぞれ重み付けをした上で第1の条件の適合可否が判定されることとなる。このようにすれば、失火が生じた際の排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が、図10(a)に示すようにプロットされる場合にも、図中点線で示す閾値との比較によって、失火の検出精度を高めることが可能となる。
【0086】
また、例えば、失火が生じた際の排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が、図10(b)に示すようにプロットされる場合には、非線形写像Φを包含したパラメータ「g(Φ(dT/dt),Φ(|dP/dt|))=a*Φ(dT/dt)+b*Φ(|dP/dt|)を用いればよい。
このように、第1の条件は、特に限定されるものではなく、いずれにしても、本発明は、基準時点において予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定し、所定時間経過した経過時点における排気温度の変化情報に基づいて、第2の条件に適合するか否かを判定するものを広く包含するものである。
【0087】
また、上記各実施形態においては、第1の時点からr秒経過した第2の時点における排気温度変化量dT/dtを閾値SLT2と比較することとした。しかしながら、失火が生じた際に、低下した排気温度が元の温度に復帰するまでに長時間を要する場合、言い換えれば、失火の発生後、排気温度の上昇が極めて緩やかな場合には、複数の時点で第2の条件の適合可否を判定するようにしても構わない。このようにすれば、失火の検出精度をより高めることができる。
【0088】
なお、上記各実施形態においては、本発明を発電用内燃機関に適用した場合について説明したが、特に、排気温度変化量dT/dtのみを第1の条件に用いる場合には、本発明を種々の内燃機関に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 内燃機関
4a〜4c 排気温度計測センサ
5 発電電力計測センサ
10 失火検出装置
11 排気温度変化情報算出部
12 発電電力変化情報算出部
13 計時部
14 記憶制御部
14a 記憶部
15 失火判定部
17 出力部
20 失火検出装置
21 第1排気温度変化情報算出部
22 第1計時部
23 dT/dt判定部
24 |dP/dt|判定部
25 第1失火判定部
26 第2排気温度変化情報算出部
27 第2計時部
28 第2失火判定部
30 失火検出装置
31 記憶制御部
32 排気温度変化情報算出部
33 発電電力変化情報算出部
34 失火判定部
G 発電機
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の失火を検出するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、内燃機関の始動時において、正常に燃焼が行われていれば排気温度の変化率が高くなり、失火していれば排気温度の変化率が低くなるという特性を用いて失火を検出する失火検出装置が知られている。この失火検出装置によれば、内燃機関の始動直後において排気温度の変化率を導出するとともに、導出した排気温度の変化率が閾値を下回った場合に失火が生じていると判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−80640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の失火検出装置においては、失火が生じた場合の排気温度の変化特性が予め記憶されており、所定の間隔で検出される排気温度の変化率が、予め記憶された変化特性に当てはまるか否かを判定している。しかしながら、内燃機関においては、その制御などによって、正常に駆動している場合であっても、失火が生じた場合と近似した態様で排気温度が推移する場合がある。
【0005】
図12および図13は、発電用内燃機関の排気温度の試験データであり、図12は、内燃機関の駆動中に失火が生じた場合の排気温度の推移を示しており、図13は、内燃機関が正常に駆動している場合の排気温度の推移を示している。図12に示すように、この発電用内燃機関においては、排気温度がほぼ一定(400度前後)に維持されており、失火が生じたときには、排気温度が数秒の内に低下し、その後、数十秒をかけて再びもとの温度に復帰する特性がある。
これに対して、図13に示すように、内燃機関の駆動中においては、制御上の理由などから、それまでよりも排気温度がわずかに低く制御され、その後、排気温度がそのままの温度に一定に維持される場合がある。
【0006】
このように、内燃機関における排気温度の推移を、例えば1分程度にわたって長期的に見た場合には、失火が生じたときと正常に駆動しているときとの差異を判別することが可能であるが、例えば1〜5秒という短い間隔で見た場合には、失火が生じたのか、それとも正常に駆動しているのかを判別することができない。したがって、短期的な排気温度の変化に基づいて失火を検出する従来の失火検出装置においては、内燃機関の正常な駆動によって排気温度が変化した場合にも、失火が生じたと判定されてしまうといった問題があった。
【0007】
本発明の目的は、失火の誤検出を低減して、より精度の高い内燃機関の失火検出装置および失火検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、発電用内燃機関の排気温度を計測する排気温度計測手段と、前記排気温度計測手段によって計測された計測値に基づいて排気温度の変化情報を導出する排気温度変化情報導出手段と、前記発電用内燃機関の発電電力を計測する発電電力計測手段と、前記発電電力計測手段によって計測された計測値に基づいて発電電力の変化情報を導出する発電電力変化情報導出手段と、所定の基準時点における前記排気温度および発電電力の変化情報が、予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定するとともに、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が、予め設定された第2の条件に適合するか否かを判定し、前記第1の条件および第2の条件の双方に適合する場合に失火と判定する失火判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、前記失火判定手段が、前記基準時点において、前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、前記発電電力の変化情報が所定の閾値を上回る変化情報である場合に前記第1の条件に適合すると判定し、前記経過時点において、前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に前記第2の条件に適合すると判定してなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、前記排気温度計測手段によって計測された排気温度の計測値、および、前記発電電力計測手段によって計測された発電電力の計測値を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する変化情報記憶手段を備え、前記排気温度および発電電力の計測値が新たに記憶部に記憶されたとき、前記排気温度変化情報導出手段および発電電力変化情報導出手段は、それぞれ当該新たに記憶された計測値に基づいて、前記経過時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された計測値に基づいて、前記基準時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、前記排気温度変化情報導出手段によって導出される排気温度の変化情報、および、前記発電電力変化情報導出手段によって導出される発電電力の変化情報を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する変化情報記憶手段を備え、前記失火判定手段は、前記排気温度および発電電力の変化情報が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された排気温度の変化情報に基づいて第2の条件に適合するか否かを判定するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された排気温度および発電電力の変化情報に基づいて第1の条件に適合するか否かを判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、前記記憶部に同時に記憶可能な前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報の数には上限が設けられ、前記変化情報記憶手段は、前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が記憶部に上限数記憶された状態で新たに計測値あるいは変化情報が導出されたとき、記憶部にもっとも先に記憶された計測値あるいは変化情報を消去して、当該新たに導出された計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、内燃機関の失火検出装置であって、内燃機関の排気温度の変化情報を導出する排気温度変化情報導出手段と、所定の基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であるか否かを判定するとともに、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報であるか否かを判定し、前記基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に失火と判定する失火判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、発電用内燃機関の排気温度を計測する工程と、排気温度の計測値に基づいて排気温度の変化情報を導出する工程と、前記発電用内燃機関の発電電力を計測する工程と、発電電力の計測値に基づいて変化情報を導出する工程と、所定の基準時点における前記排気温度および発電電力の変化情報が、予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定する工程と、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が、予め設定された第2の条件に適合するか否かを判定する工程と、前記第1の条件および前記第2の条件の双方に適合すると判定された場合に失火と判定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、前記第1の条件の適合可否を判定する工程では、前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、前記発電電力の変化情報が所定の閾値を上回る変化情報である場合に前記第1の条件に適合すると判定し、前記第2の条件の適合可否を判定する工程では、前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に前記第2の条件に適合すると判定してなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、前記排気温度および発電電力の計測値を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する工程をさらに有し、前記排気温度の変化情報を導出する工程および発電電力の変化情報を導出する工程は、前記排気温度および発電電力の計測値が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された計測値に基づいて、前記経過時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された計測値に基づいて、前記基準時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、前記排気温度および発電電力の変化情報を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する工程をさらに有し、前記第1の条件および第2の条件の適合可否を判定する工程は、前記排気温度および発電電力の変化情報が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された排気温度の変化情報に基づいて第2の条件に適合するか否かを判定するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された排気温度および発電電力の変化情報に基づいて第1の条件に適合するか否かを判定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶する工程では、前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が記憶部に上限数記憶された状態で、新たに排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が導出されたとき、記憶部にもっとも先に記憶された計測値あるいは変化情報を消去した後に、当該新たに導出された計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、内燃機関の失火検出方法であって、内燃機関の排気温度の変化情報を導出する工程と、所定の基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であるか否かを判定する工程と、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回るか否かを判定する工程と、前記基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に失火と判定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の変化情報としては、例えば、「変化量」を用いることが可能である。変化量とは、2つの計測時点間における計測対象の変化量をいうものであり、例えば、排気温度がある計測時点で400度と計測され、次の計測時点で395度と計測された場合に、変化情報=「−5」とすればよい。したがって、排気温度の変化情報を「変化量」とした場合には、負の値の変化情報によって排気温度の低下が表され、正の値の変化情報によって排気温度の上昇が表されることとなる。
また、変化情報として、2つの計測時点間における計測対象の変化の度合いを示す「変化率」を用いることも可能である。この「変化率」は、さまざまな方式で導出することが可能であり、例えば、排気温度がある計測時点で400度と計測され、次の計測時点で395度と計測された場合に、変化率=395/400としてもよいし、変化率=(395−400)/400としてもよい。この場合、1未満の値または負の値の変化情報によって排気温度の低下が表され、1よりも大きい値または正の値の変化情報によって排気温度の上昇が表される。
このように、本発明の「変化情報」は、「変化量」や「変化率」など、排気温度や発電電力の変化の状況を表すものを広く適用可能である。
【0021】
また、本発明において、基準時点における排気温度および発電電力の変化情報が第1の条件に適合するか否かを判定する具体的な方法は特に限定されない。
例えば、排気温度および発電電力それぞれの変化情報に閾値を設定しておき、導出された変化情報が、設定された閾値をそれぞれ上回った場合に第1の条件に適合すると判定してもよい。また、例えば、排気温度および発電電力の変化情報にそれぞれ重み付けをした値を算出するとともに、この算出値と予め設定された閾値とを比較して第1の条件の適合可否を判定してもよい。さらには、排気温度および発電電力の変化情報を、所定の演算式に当てはめて解を算出するとともに、この算出値と予め設定された閾値とを比較して第1の条件の適合可否を判定してもよい。いずれにしても、排気温度の変化情報と、発電電力の変化情報とに基づいて、第1の条件の適合可否を判定するものであれば、その詳細な判定方法は特に限定されるものではない。
【0022】
また、経過時点における排気温度の変化情報が第2の条件に適合するか否かについても、上記のいずれの方法で判定してもよく、その具体的な判定方法は特に限定されない。
また、本発明においては、基準時点から所定時間経過した少なくとも1の時点における排気温度の変化情報に基づいて第2の条件の適合可否が判定されればよい。言い換えれば、基準時点よりも後の1の時点における排気温度の変化情報に基づいてのみ、第2の条件の適合可否を判定してもよいし、基準時点よりも後の複数の時点における排気温度の変化情報に基づいて、それぞれ第2の条件の適合可否を判定してもよい。
【0023】
また、第1の条件の適合可否と第2の条件の適合可否とは、同一の変化情報に基づいて判定されるものであってもよいし、それぞれ専用の変化情報に基づいて判定されるものであってもよい。両条件の適合可否を同一の変化情報に基づいて判定することとした場合、1つの排気温度の変化情報は、基準時点としての側面と、経過時点としての側面とを有することとなる。
また、第1の条件の適合可否と第2の条件の適合可否との双方を、常に判定することとしてもよいし、いずれか一方の条件の適合可否を判定した結果、適合していると判定した場合に限って、他方の条件の適合可否を判定することとしてもよい。このとき、第1の条件に適合していると判定された場合に限って、経過時点における排気温度の変化情報を導出するとともに、この導出した変化情報に基づいて第2の条件の適合可否を判定することとしてもよい。
【0024】
なお、第1の条件および第2の条件は、それぞれ失火である場合の変化情報の推移特性と、内燃機関の正常な駆動中に生じる変化情報の推移特性とに基づいて適宜設定すればよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、基準時点における変化情報と、基準時点から所定時間経過した経過時点における変化情報とに基づいて失火の判定が行われる。したがって、内燃機関が正常に駆動しているときに排気温度が変化したとしても、失火が生じたものと誤検出される可能性を低減することができ、失火検出の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態における失火検出装置の概念図である。
【図2】第1実施形態における記憶部の概念図である。
【図3】第1実施形態の失火判定処理を示す図である。
【図4】第2実施形態における失火検出装置の概念図である。
【図5】第2実施形態の失火判定処理を示す図である。
【図6】第3実施形態における失火検出装置の概念図である。
【図7】第3実施形態の失火判定処理を示す図である。
【図8】排気温度変化量および発電電力変化量と失火との因果関係を示す図である。
【図9】失火または内燃機関の制御によって排気温度に変化が生じてから所定時間後の排気温度変化量および発電電力変化量の因果関係を示す図である。
【図10】第1の条件の他の一例を説明する図である。
【図11】(a)は失火が生じた際の発電電力の推移を示しており、(b)は失火が生じた際の発電電力変化量|dP/dt|の推移を示している。
【図12】発電用内燃機関において失火が生じた場合の排気温度の推移の一例を示す図である。
【図13】発電用内燃機関における正常な駆動中の排気温度の推移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を発電用内燃機関の失火検出に適用した場合の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、第1実施形態の内燃機関1は、ピストンが往復動自在に収容された例えば3つの気筒2a〜2cを備えており、各気筒2a〜2cに設けられた燃焼室で生じる爆発圧力によってピストンが往復動すると、クランクシャフトが回転して回転動力が出力されるようになっている。そして、この内燃機関1の出力側には発電機Gが設けられており、内燃機関1の出力によって電力が発電されることとなる。
【0028】
各気筒2a〜2cの燃焼室には、燃焼ガスを排出する排気通路3a〜3cがそれぞれ接続されており、これら各排気通路3a〜3cに、排気温度を計測する排気温度計測センサ4a〜4cが設けられている。
また、発電機Gには、発電電力Pを計測する発電電力計測センサ5が設けられており、この発電電力計測センサ5によって計測された発電電力Pと、上記の排気温度計測センサ4a〜4cによって計測された排気温度とが、失火検出装置10に入力するようになっている。
【0029】
失火検出装置10は、排気温度計測センサ4a〜4cによって計測される排気温度Tに基づいて、排気温度の変化量であるdT/dtを演算する排気温度変化情報算出部11と、発電電力計測センサ5によって計測される発電電力Pに基づいて、発電電力Pの変化量である|dP/dt|を演算する発電電力変化情報算出部12と、を備えている。
これら排気温度変化情報算出部11および発電電力変化情報算出部12には、それぞれ失火検出装置10が備える計時部13からパルス信号が送出されており、この計時部13から入力するパルス信号に基づいて、所定の間隔で排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が算出されている。
【0030】
そして、排気温度変化情報算出部11および発電電力変化情報算出部12は、それぞれ排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を算出するたびに、これら算出した排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を、失火検出装置10が備える記憶制御部14に送出する。
記憶制御部14は、受け取った排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を記憶部14aに記憶する。この記憶部14aは、図2に示すように、排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を上限のある複数個(例えば最大で11個)記憶することが可能となっている。そして、記憶制御部14は、新たに受け取った排気温度変化量dT/dtを、気筒2a〜2cに対応する記憶領域(n)にそれぞれ記憶し、発電電力変化量|dP/dt|を、発電機Gに対応する記憶領域(n)に記憶する。
【0031】
このとき、記憶制御部14は、記憶領域(n)〜記憶領域(n−9)に記憶されていた排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を、それぞれ1つ上の記憶領域にシフトするとともに、記憶部(n−10)に記憶されていた排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を消去する。
なお、この第1実施形態においては、失火検出装置10が記憶部14aを備えることとしているが、記憶部14aは、失火検出装置10の外部に備える構成であってもよい。
【0032】
そして、失火検出装置10は、記憶部14aを監視する失火判定部15を備えている。この失火判定部15は、記憶部14aに排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が記憶されると、記憶部14aに記憶された排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|と、データベース16から読み出した閾値情報とに基づいて失火の有無を判定し、失火判定信号または正常判定信号を出力部17に送信する。
この出力部17は、受信した信号に基づいて、気筒ごとに失火を報知したり失火回数を計数したりするものである。
【0033】
ここで、内燃機関1において失火が生じた際の排気温度Tおよび発電電力Pの変化特性について説明する。
図11(a)は、内燃機関1において失火が生じた際の発電電力Pの推移を示しており、図11(b)は、内燃機関1において失火が生じた際の発電電力変化量|dP/dt|の推移を示している。内燃機関1において失火が生じると、発電電力量は、瞬間的に減少したり増加したりする特性がある。したがって、図11(b)に示すように、発電電力Pの変化量を絶対値で表すと、発電電力Pの変化量を示す波形に数秒間にわたって揺らぎが生じることとなる。なお、内燃機関1において失火が生じると、発電電力量が減少したり増加したりすることから、図1に示す発電電力変化情報算出部12においては、絶対値を用いた発電電力変化量|dP/dt|を算出するようにしている。
【0034】
また、図12は、内燃機関1において失火が生じた際の排気温度Tの推移を示している。すでに説明したとおり、内燃機関1に失火が生じると、排気温度Tは短時間のうちに低下するとともに、その後、緩やかに元の温度に復帰する特性がある。こうした排気温度Tの変化特性によって失火を検出すべく、図1に示す排気温度変化情報算出部11は、排気温度変化量dT/dtを算出するようにしている。
【0035】
なお、図8は、同時に算出された排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|と失火との因果関係を示す試験データである。図中「×」は、実際に失火が生じたときの排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を示しており、図中「○」は、内燃機関1が正常に駆動しているときの排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を示している。この図からも明らかなように、失火が生じた場合には、排気温度変化量dT/dtが所定の閾値SLT1を下回り、かつ、発電電力変化量|dP/dt|が所定の閾値SLPを上回ることが極めて多い。したがって、同時に算出された排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を、それぞれ閾値SLT1,SLPと比較することにより、ある程度の精度で失火を特定することができる。
【0036】
しかしながら、内燃機関1の駆動中には、失火が生じていない場合であっても、制御上の理由などによって排気温度Tが低下することがある。図中「△」は、上記のように、失火ではなく、内燃機関1の制御上の理由によって排気温度Tが低下した場合の排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を示しているが、この図からも明らかなように、内燃機関1の制御によっても、排気温度Tが低下するとともに、発電電力量に揺らぎが生じている。つまり、内燃機関1に失火が生じたときと、内燃機関1において何らかの制御がなされたときとで、排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が近似した位置にプロットされることとなる。
【0037】
そして、上記の図中「×」および「△」で示す排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が算出された場合に、そのr秒後(例えば5秒後)の排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を見ると、図9に示す特性が表れる。
具体的には、失火が生じた場合には、排気温度Tが短時間のうちに低下した後に緩やかに元の温度に復帰することから、r秒後の排気温度変化量dT/dtがプラスとなっている。これに対して、内燃機関1の制御によって排気温度Tが低下した場合には、その後も排気温度Tがほぼ一定に維持されることから、r秒後の排気温度変化量dT/dtが「0」に近くなっている。
【0038】
つまり、図8に示すように、排気温度変化量dT/dtが所定の閾値SLT1を下回り、かつ、発電電力変化量|dP/dt|が所定の閾値SLPを上回るという第1の条件と、r秒後の排気温度変化量dT/dtが所定の閾値SLT2を上回るという第2の条件と、の双方に適合するときに、失火が生じている可能性が極めて高いということができる。
そこで、この第1実施形態の失火検出装置10においては、閾値SLT1、SLT2、SLPがデータベース16に閾値情報として格納されており、失火判定部15が、記憶部に記憶された情報と、データベース16に格納された閾値情報とに基づいて、失火の有無を判定している。
【0039】
以下に、図3を用いて、失火検出装置10による失火判定処理について具体的に説明する。この失火判定処理は、計時部13によって所定の時間が計時されるたびに実行される。
【0040】
(ステップS1)
まず、所定の時間が計時されると、排気温度計測センサ4a〜4cから入力する排気温度Tを特定(検出)するとともに、発電電力計測センサ5から入力する発電電力Pを特定(検出)する。なお、上記ステップS1で特定された排気温度Tおよび発電電力Pは、所定の記憶領域に一時的に記憶される。
【0041】
(ステップS2)
次に、上記ステップS1で特定した排気温度Tに基づいてdT/dtを算出するとともに、上記ステップS1で特定した発電電力Pに基づいて|dP/dt|を算出する。このとき、dT/dtおよび|dP/dt|は、それぞれ新たに記憶領域に記憶された排気温度Tおよび発電電力Pと、その1つ前に記憶領域に記憶された排気温度Tおよび発電電力Pとの差から算出される。
【0042】
(ステップS3)
次に、各記憶領域(n−1)〜(n−10)に記憶されている排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を1つ上の記憶領域にシフトする(図2)とともに、上記ステップS2で算出された排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を記憶領域(n)に記憶する。
【0043】
(ステップS4)
次に、r秒前(例えば5秒前)に計測し、記憶部(n−5)に記憶された発電電力変化量|dP/dt|が、閾値SLPを上回っているか否かを判定する。つまり、ここでは、新たに排気温度変化量dT/dt(n)および発電電力変化量|dP/dt(n)|が記憶されたときに、それよりも5つ前に記憶された発電電力変化量|dP/dt(n−5)|が閾値SLPと比較されることとなる。したがって、計時部13が例えば1秒おきにパルス信号を出力するように設定されている場合には、発電電力変化量|dP/dt|が記憶されてから5秒後に、当該ステップS4の判定がなされることとなる。
そして、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定した場合にはステップS5に処理を移し、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|≦閾値SLPと判定した場合にはステップS8に処理を移す。
【0044】
(ステップS5)
上記ステップS4において、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定した場合には、記憶領域(n−5)に記憶された排気温度変化量dT/dtが、閾値SLT1を下回っているか否かを判定する。つまり、ここでは、上記ステップS4と同様に、新たに排気温度変化量dT/dt(n)および発電電力変化量|dP/dt(n)|が記憶されたときに、それよりも5つ前に記憶された排気温度変化量dT/dt(n−5)が閾値SLT1と比較されることとなる。その結果、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定した場合にはステップS6に処理を移し、排気温度変化量dT/dt(n−5)≧閾値SLT1と判定した場合にはステップS8に処理を移す。
【0045】
なお、この第1実施形態においては、排気温度変化量dT/dtが閾値SLT1を下回るか否かを判断する際に、単一の気筒における排気温度変化量dT/dtのみでは判断せずに、3つの気筒2a〜2cの相互関係をも考慮したうえで判断を行っている。
具体的には、記憶領域(n−5)に記憶された気筒ごとの3つの排気温度変化量dT/dtのうち、最も低い排気温度変化量dT/dt(1)と、2番目に低い排気温度変化量dT/dt(2)と、を特定する。そして、排気温度変化量dT/dt(1)<閾値SLT1であり、かつ、排気温度変化量dT/dt(2)≧閾値SLT1であった場合に限り、ステップS6に処理を移すこととしている。言い換えれば、同時に2つの気筒について、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1と判定された場合には、ステップS8に処理が移されることとなる。
【0046】
これは、内燃機関1に負荷変動が生じた場合には、3つの気筒2a〜2cの全てにおいて同様の変化が生じるのが一般的であり、複数の気筒において同時に排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1となった場合には、失火ではなく負荷変動による排気温度Tの低下とみなすこととしたためである。
なお、ここでは最も低い排気温度変化量dT/dt(1)と、2番目に低い排気温度変化量dT/dt(2)と、を特定することとしたが、より多気筒の内燃機関に適用する場合には、3つ以上の排気温度変化量dT/dtを閾値SLT1と比較して判断することが望ましい。なぜなら、多気筒になると複数の気筒で同時に失火が生じる可能性が高くなるが、より多くの気筒の排気温度変化量dT/dtを閾値SLT1と比較することにより、実際の失火を負荷変動と誤判定してしまうおそれを低減することができるからである。ただし、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1の判定は、必ずしも複数の気筒間で行う必要はなく、他の気筒の排気温度変化量dT/dtに影響を受けることなく、各気筒ごとに判定を行うようにしてもよい。
【0047】
(ステップS6)
上記ステップS5において、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定した場合には、記憶部(n)に記憶された排気温度変化量dT/dtが、閾値SLT2を上回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt(n)>閾値SLT2と判定した場合にはステップS7に処理を移し、排気温度変化量dT/dt(n)≦閾値SLT2と判定した場合にはステップS8に処理を移す。
【0048】
(ステップS7)
上記のように、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定され(ステップS4のYes)、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定され(ステップS5のYes)、排気温度変化量dT/dt(n)>閾値SLT2と判定された場合に、失火が生じたことを示す失火判定信号を出力部17に送信する。
【0049】
(ステップS8)
一方、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|≦閾値SLPと判定されるか(ステップS4のNo)、排気温度変化量dT/dt(n−5)≧閾値SLT1と判定されるか(ステップS5のNo)、排気温度変化量dT/dt(n)≦閾値SLT2と判定されると(ステップS6のYes)、内燃機関1が正常に駆動していることを示す正常判定信号を出力部17に送信する。
そして、出力部17において、失火判定信号を受信した際に失火を報知したり、あるいは各信号の受信回数を気筒ごとに計数したりすれば、内燃機関1の失火状況を容易に把握することが可能となり、早期に適切なメンテナンスを施すことができる。
【0050】
以上のように、内燃機関1において失火が生じた場合には、当該失火直後に排気温度変化量dT/dtがマイナスとなり、発電電力変化量|dP/dt|がプラスになるという変化特性が見られる。また、失火が生じた場合には、当該失火から所定時間経過後に排気温度変化量dT/dtがプラスになるという変化特性が見られる。
この第1実施形態によれば、失火によって生じる2つの異なる時点の変化特性に基づいて失火の有無を判定することにより、従来に比してより高精度な失火検出を実現することが可能となる。
また、この第1実施形態においては、排気温度変化量dT/dtが算出されたときの判定と、当該排気温度変化量dT/dtが算出されてからr秒経過したときの判定とで、同一の排気温度変化量dT/dtが用いられている。言い換えれば、1度算出された排気温度変化量dT/dtが2回の判定に用いられるので、排気温度変化量dT/dtの算出処理の負担を軽減することが可能となる。
【0051】
なお、第1実施形態においては、第1の条件の適合可否を判定する基準時点から、第2の条件の適合可否を判定する経過時点までの間隔(r秒)が5秒に設定されている。このため、ステップS4およびステップS5において、記憶部(n−5)に記憶されたデータを閾値SLP、閾値SLT1と比較するようにしている。しかしながら、基準時点から経過時点までの最適な間隔(r秒)はシステムによって当然に異なるものであるため、基準時点から経過時点までの間隔(r秒)は、システムに応じて適宜設定すればよい。例えば、基準時点から経過時点までの間隔を10秒とした場合には、記憶部(n−10)に記憶されたデータを閾値SLP、閾値SLT1と比較するといった具合に設定すればよい。
【0052】
次に、図4および図5を用いて第2実施形態について説明する。
なお、この第2実施形態においては、上記第1実施形態の失火検出装置10に代えて失火検出装置20を用いた点が上記第1実施形態と異なり、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。したがって、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付して、その詳細な説明は省略するとともに、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0053】
図4に示すように、第2実施形態の失火検出装置20は、排気温度計測センサ4a〜4cによって計測される排気温度Tに基づいて、排気温度Tの変化量であるdT/dtを演算する第1排気温度変化情報算出部21と、発電電力計測センサ5によって計測される発電電力Pに基づいて、発電電力Pの変化量である|dP/dt|を演算する発電電力変化情報算出部12と、を備えている。
これら第1排気温度変化情報算出部21および発電電力変化情報算出部12には、それぞれ失火検出装置20が備える第1計時部22からパルス信号が送出されており、この第1計時部22から入力するパルス信号に基づいて、第1実施形態と同様に所定の間隔で排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が算出されている。
【0054】
そして、第1排気温度変化情報算出部21および発電電力変化情報算出部12は、それぞれ排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を算出するたびに、これら算出した排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を、それぞれ失火検出装置20が備えるdT/dt判定部23および|dP/dt|判定部24に送出する。
dT/dt判定部23は、第1排気温度変化情報算出部21から送出された排気温度変化量dT/dtが、データベース16から読み出した閾値SLT1を下回っているか否かを判定するとともに、その判定結果を失火検出装置20が備える第1失火判定部25に送出する。
また、これと同様に、|dP/dt|判定部24は、発電電力変化情報算出部12から送出された発電電力変化量|dP/dt|が、データベース16から読み出した閾値SLPを上回っているか否かを判定するとともに、その判定結果を第1失火判定部25に送出する。
【0055】
第1失火判定部25は、dT/dt判定部23から受け取った判定結果と、|dP/dt|判定部24から受け取った判定結果とに基づいて、第1の条件に適合するか否かを判定する。具体的には、第1失火判定部25は、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1、および、発電電力変化量|dP/dt|>閾値SLPである場合に、第1の条件に適合すると判定する。一方、第1失火判定部25は、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1、および、発電電力変化量|dP/dt|>閾値SLPの双方が満たされない場合に、第1の条件に適合しないものと判定する。
そして、第1の条件に適合すると判定した場合には、失火検出装置20が備える第2排気温度変化情報算出部26に計時開始信号を送出し、第1の条件に適合しないと判定した場合には、出力部17に正常判定信号を送信する。
【0056】
第2排気温度変化情報算出部26は、第1失火判定部25から計時開始信号を受け取ると、第2計時部27からのパルス信号に基づいてr秒(例えば5秒)を計時する。そして、r秒が経過すると、第2排気温度変化情報算出部26は、第1排気温度変化情報算出部21と同様に、排気温度計測センサ4a〜4cによって計測される排気温度Tに基づいて、排気温度変化量dT/dt(r)を算出する。つまり、この第2排気温度変化情報算出部26は、第1排気温度変化情報算出部21が排気温度変化量dT/dtを算出してから、r秒後の排気温度変化量dT/dt(r)を算出することとなる。このようにして算出された排気温度変化量dT/dt(r)は、失火検出装置20が備える第2失火判定部28に送出される。
【0057】
第2失火判定部28は、第2排気温度変化情報算出部26から送出された排気温度変化量dT/dt(r)が、第2の条件に適合するか否か、つまりデータベース16から読み出した閾値SLT2を上回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt(r)>閾値SLT2と判定した場合には失火判定信号を出力部17に送信し、排気温度変化量dT/dt(r)≦閾値SLT2と判定した場合には正常判定信号を出力部17に送信する。
以下に、図5を用いて、失火検出装置20による失火判定処理について具体的に説明する。この失火判定処理は、第1計時部22によって所定の時間が計時されるたびに実行される。
【0058】
(ステップS11)
まず、所定の時間が計時されると、排気温度計測センサ4a〜4cから入力する排気温度Tを特定するとともに、発電電力計測センサ5から入力する発電電力Pを特定する。
【0059】
(ステップS12)
次に、上記ステップS11で特定した排気温度Tに基づいてdT/dtを算出するとともに、上記ステップS11で特定した発電電力Pに基づいて|dP/dt|を算出する。
【0060】
(ステップS13)
次に、上記ステップS12で算出した発電電力変化量|dP/dt|が、閾値SLPを上回っているか否かを判定する。その結果、発電電力変化量|dP/dt|>閾値SLPと判定した場合にはステップS14に処理を移し、発電電力変化量|dP/dt|≦閾値SLPと判定した場合にはステップS20に処理を移す。
【0061】
(ステップS14)
上記ステップS13において、発電電力変化量|dP/dt|>閾値SLPと判定した場合には、排気温度変化量dT/dtが、閾値SLT1を下回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1と判定した場合にはステップS15に処理を移し、排気温度変化量dT/dt≧閾値SLT1と判定した場合にはステップS20に処理を移す。
なお、この第2実施形態においても、3つの気筒2a〜2cの相互関係を考慮したうえで、排気温度変化量dT/dtが閾値SLT1を下回るか否かを判断してもよいし、気筒ごとに排気温度変化量dT/dtが閾値SLT1を下回るか否かを判断してもよい。
【0062】
(ステップS15)(ステップS16)
上記ステップS14において、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1と判定した場合には、r秒が経過するまで待機するとともに、r秒が経過したところで、再び排気温度計測センサ4a〜4cから入力する排気温度Tを特定する。
【0063】
(ステップS17)
次に、上記ステップS16で特定した排気温度Tに基づいてdT/dt(r)を算出する。
【0064】
(ステップS18)
次に、上記ステップS17で算出した排気温度変化量dT/dt(r)が、閾値SLT2を上回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt(r)>閾値SLT2と判定した場合にはステップS19に処理を移し、排気温度変化量dT/dt≦閾値SLT2と判定した場合にはステップS20に処理を移す。
【0065】
(ステップS19)
上記のように、発電電力変化量|dP/dt|>閾値SLPと判定され(ステップS13のYes)、排気温度変化量dT/dt<閾値SLT1と判定され(ステップS14のYes)、排気温度変化量dT/dt(r)>閾値SLT2と判定された場合に、失火が生じたことを示す失火判定信号を出力部17に送信する。
【0066】
(ステップS20)
一方、発電電力変化量|dP/dt|≦閾値SLPと判定されるか(ステップS13のNo)、排気温度変化量dT/dt≧閾値SLT1と判定されるか(ステップS14のNo)、排気温度変化量dT/dt(r)≦閾値SLT2と判定されると(ステップS18のYes)、内燃機関1が正常に駆動していることを示す正常判定信号を出力部17に送信する。
【0067】
以上のように、この第2実施形態によっても、上記第1実施形態と同様に、高精度の失火検出を実現することができる。
しかも、この第2実施形態によれば、まず第1の条件に適合するか否かを判定し、第1の条件に適合すると判定した場合に限って第2の条件に適合するか否かが判定されるので、失火判定の処理負担を軽減することが可能となる。
また、上記第1実施形態のように、記憶部が必須ではないため、失火検出装置20のコストを低減することも可能となる。
【0068】
次に、図6および図7を用いて第3実施形態について説明する。
なお、この第3実施形態においては、上記第1実施形態の失火検出装置10に代えて失火検出装置30を用いた点が上記第1実施形態と異なり、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。したがって、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付して、その詳細な説明は省略するとともに、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0069】
図6に示すように、第3実施形態の失火検出装置30は、排気温度計測センサ4a〜4cによって計測される排気温度Tと、発電電力計測センサ5によって計測される発電電力Pとが、失火検出装置30の記憶制御部31に入力するようになっている。記憶制御部31は、計時部13から送出されるパルス信号に基づいて、所定の間隔で入力信号を計測値に変換するとともに、特定(検出)した排気温度Tおよび発電電力Pを記憶部14aに記憶している。
記憶部14aは、第1実施形態と同様に図2に示す構成となっており、記憶制御部31は、新たに特定した排気温度Tを、気筒2a〜2cに対応する記憶領域(n)にそれぞれ記憶し、発電電力Pを、発電機Gに対応する記憶領域(n)に記憶する。
なお、このとき、記憶制御部31は、記憶領域(n)〜記憶領域(n−9)に記憶されていた排気温度Tおよび発電電力Pを、それぞれ1つ上の記憶領域にシフトするとともに、記憶部(n−10)に記憶されていた排気温度Tおよび発電電力Pを消去する。
【0070】
排気温度変化情報算出部32は、記憶部14aを監視しており、記憶領域のシフトが行われたことを契機として、排気温度Tの変化量であるdT/dtを演算する。このとき、排気温度変化情報算出部32は、2つの異なる時点、つまり、上記した基準時点における排気温度変化量dT/dtと、経過時点における排気温度変化量dT/dtと、を算出している。
具体的には、排気温度変化情報算出部32は、基準時点と経過時点との間隔(r秒)を5秒とした場合、記憶領域(n−6)に記憶された排気温度Tと、記憶領域(n−5)に記憶された排気温度Tとの差分から、基準時点における排気温度変化量dT/dt(n−5)を算出する。これと同様に、記憶領域(n−1)に記憶された排気温度Tと、記憶領域(n)に記憶された排気温度Tとの差分から、経過時点における排気温度変化量dT/dt(n)を算出する。
そして、排気温度変化情報算出部32は、上記のように算出した基準時点における排気温度変化量dT/dt(n―5)と、経過時点における排気温度変化量dT/dt(n)と、を失火判定部34に送出する。
【0071】
また、発電電力変化情報算出部33も、排気温度変化情報算出部32と同様に記憶部14aを監視しており、記憶領域のシフトが行われたことを契機として、発電電力Pの変化量である|dP/dt|を演算する。このとき、発電電力変化情報算出部33は、記憶領域(n−6)に記憶された発電電力Pと、記憶領域(n−5)に記憶された発電電力Pとの差分から、基準時点における発電電力変化量|dP/dt(n−5)|を算出する。
そして、発電電力変化情報算出部33は、上記のように算出した基準時点における発電電力変化量|dP/dt(n−5)|を失火判定部34に送出する。
【0072】
失火判定部34は、排気温度変化情報算出部32および発電電力変化情報算出部33から受け取った排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|と、データベース16から読み出した閾値情報とに基づいて失火の有無を判定し、失火判定信号または正常判定信号を出力部17に送信する。
【0073】
以下に、図7を用いて、失火検出装置30による失火判定処理について具体的に説明する。この失火判定処理は、計時部13によって所定の時間が計時されるたびに実行される。
【0074】
(ステップS31)
まず、所定の時間が計時されると、排気温度計測センサ4a〜4cから入力する排気温度Tを特定(検出)するとともに、発電電力計測センサ5から入力する発電電力Pを特定(検出)する。
【0075】
(ステップS32)
次に、上記ステップS31で特定した計測値である排気温度Tおよび発電電力Pを、記憶部14aの各記憶領域(n)に記憶するとともに、各記憶領域(n)〜(n−9)に記憶されていた計測値を1つ上の記憶領域にシフトする。
【0076】
(ステップS33)
次に、記憶領域(n−6)および記憶領域(n−5)に記憶されている計測値から、基準時点における排気温度変化量dT/dt(n−5)および発電電力変化量|dP/dt(n−5)|を算出する。
【0077】
(ステップS34)
次に、記憶領域(n−1)および記憶領域(n)に記憶されている計測値から、経過時点における排気温度変化量dT/dt(n)を算出する。
【0078】
(ステップS35)
次に、上記ステップS33で算出された発電電力変化量|dP/dt(n−5)|が、閾値SLPを上回っているか否かを判定する。その結果、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定した場合にはステップS36に処理を移し、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|≦閾値SLPと判定した場合にはステップS39に処理を移す。
【0079】
(ステップS36)
上記ステップS35において、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定した場合には、上記ステップS33で算出された排気温度変化量dT/dt(n−5)が、閾値SLT1を下回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定した場合にはステップS37に処理を移し、排気温度変化量dT/dt(n−5)≧閾値SLT1と判定した場合にはステップS39に処理を移す。
【0080】
(ステップS37)
上記ステップS36において、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定した場合には、上記ステップS34で算出された排気温度変化量dT/dt(n)が、閾値SLT2を上回っているか否かを判定する。その結果、排気温度変化量dT/dt(n)>閾値SLT2と判定した場合にはステップS38に処理を移し、排気温度変化量dT/dt(n)≦閾値SLT2と判定した場合にはステップS39に処理を移す。
【0081】
(ステップS38)
上記のように、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|>閾値SLPと判定され(ステップS35のYes)、排気温度変化量dT/dt(n−5)<閾値SLT1と判定され(ステップS36のYes)、排気温度変化量dT/dt(n)>閾値SLT2と判定され(ステップS37のYes)た場合に、失火が生じたことを示す失火判定信号を出力部17に送信する。
【0082】
(ステップS39)
一方、発電電力変化量|dP/dt(n−5)|≦閾値SLPと判定されるか(ステップS35のNo)、排気温度変化量dT/dt(n−5)≧閾値SLT1と判定されるか(ステップS36のNo)、排気温度変化量dT/dt(n)≦閾値SLT2と判定されると(ステップS37のNo)、内燃機関1が正常に駆動していることを示す正常判定信号を出力部17に送信する。
【0083】
以上のように、この第3実施形態においては、記憶部14aに計測値である排気温度Tおよび発電電力Pを記憶するとともに、記憶部14aに記憶された計測値に基づいて排気温度変化量dT/dtや発電電力変化量|dP/dt|を算出することとしたが、このようにしても上記各実施形態と同様に、高精度の失火検出を実現することができる。
なお、この第3実施形態においても、ステップS36またはステップS37において、3つの気筒2a〜2cの相互関係を考慮したうえで、排気温度変化量dT/dtが閾値SLTを下回るか否かを判断してもよいし、気筒ごとに排気温度変化量dT/dtが閾値SLTを下回るか否かを判断してもよい。
【0084】
また、上記各実施形態では、所定の基準時点において、排気温度変化量dT/dtが閾値SLT1を下回り、発電電力変化量|dP/dt|が閾値SLPを上回ることを第1の条件とし、そのr秒後である経過時点において、排気温度変化量dT/dtが閾値SLT2を上回ることを第2の条件とした。しかしながら、第1の条件は上記実施形態に限らない。
例えば、排気温度変化量dT/dtが閾値SLT1を下回ることのみを第1の条件としてもよく、この場合であっても従来に比して失火の検出精度を向上することが可能である。
【0085】
また、所定の演算式を予め記憶しておき、この演算式に、基準時点において算出された排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|を当てはめた演算結果に基づいて、第1の条件の適合可否を判定してもよい。
所定の演算式としては、例えば、「f(dT/dt,|dP/dt|)=a*dT/dt+b*|dP/dt|」が考えられる。この演算式によれば、排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|に、それぞれ重み付けをした上で第1の条件の適合可否が判定されることとなる。このようにすれば、失火が生じた際の排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が、図10(a)に示すようにプロットされる場合にも、図中点線で示す閾値との比較によって、失火の検出精度を高めることが可能となる。
【0086】
また、例えば、失火が生じた際の排気温度変化量dT/dtおよび発電電力変化量|dP/dt|が、図10(b)に示すようにプロットされる場合には、非線形写像Φを包含したパラメータ「g(Φ(dT/dt),Φ(|dP/dt|))=a*Φ(dT/dt)+b*Φ(|dP/dt|)を用いればよい。
このように、第1の条件は、特に限定されるものではなく、いずれにしても、本発明は、基準時点において予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定し、所定時間経過した経過時点における排気温度の変化情報に基づいて、第2の条件に適合するか否かを判定するものを広く包含するものである。
【0087】
また、上記各実施形態においては、第1の時点からr秒経過した第2の時点における排気温度変化量dT/dtを閾値SLT2と比較することとした。しかしながら、失火が生じた際に、低下した排気温度が元の温度に復帰するまでに長時間を要する場合、言い換えれば、失火の発生後、排気温度の上昇が極めて緩やかな場合には、複数の時点で第2の条件の適合可否を判定するようにしても構わない。このようにすれば、失火の検出精度をより高めることができる。
【0088】
なお、上記各実施形態においては、本発明を発電用内燃機関に適用した場合について説明したが、特に、排気温度変化量dT/dtのみを第1の条件に用いる場合には、本発明を種々の内燃機関に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 内燃機関
4a〜4c 排気温度計測センサ
5 発電電力計測センサ
10 失火検出装置
11 排気温度変化情報算出部
12 発電電力変化情報算出部
13 計時部
14 記憶制御部
14a 記憶部
15 失火判定部
17 出力部
20 失火検出装置
21 第1排気温度変化情報算出部
22 第1計時部
23 dT/dt判定部
24 |dP/dt|判定部
25 第1失火判定部
26 第2排気温度変化情報算出部
27 第2計時部
28 第2失火判定部
30 失火検出装置
31 記憶制御部
32 排気温度変化情報算出部
33 発電電力変化情報算出部
34 失火判定部
G 発電機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電用内燃機関の排気温度を計測する排気温度計測手段と、
前記排気温度計測手段によって計測された計測値に基づいて排気温度の変化情報を導出する排気温度変化情報導出手段と、
前記発電用内燃機関の発電電力を計測する発電電力計測手段と、
前記発電電力計測手段によって計測された計測値に基づいて発電電力の変化情報を導出する発電電力変化情報導出手段と、
所定の基準時点における前記排気温度および発電電力の変化情報が、予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定するとともに、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が、予め設定された第2の条件に適合するか否かを判定し、前記第1の条件および第2の条件の双方に適合する場合に失火と判定する失火判定手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の失火検出装置。
【請求項2】
前記失火判定手段は、
前記基準時点において、前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、前記発電電力の変化情報が所定の閾値を上回る変化情報である場合に前記第1の条件に適合すると判定し、
前記経過時点において、前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に前記第2の条件に適合すると判定してなることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の失火検出装置。
【請求項3】
前記排気温度計測手段によって計測された排気温度の計測値、および、前記発電電力計測手段によって計測された発電電力の計測値を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する変化情報記憶手段を備え、
前記排気温度および発電電力の計測値が新たに記憶部に記憶されたとき、
前記排気温度変化情報導出手段および発電電力変化情報導出手段は、
それぞれ当該新たに記憶された計測値に基づいて、前記経過時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された計測値に基づいて、前記基準時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の失火検出装置。
【請求項4】
前記排気温度変化情報導出手段によって導出される排気温度の変化情報、および、前記発電電力変化情報導出手段によって導出される発電電力の変化情報を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する変化情報記憶手段を備え、
前記失火判定手段は、
前記排気温度および発電電力の変化情報が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された排気温度の変化情報に基づいて第2の条件に適合するか否かを判定するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された排気温度および発電電力の変化情報に基づいて第1の条件に適合するか否かを判定することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の失火検出装置。
【請求項5】
前記記憶部に同時に記憶可能な前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報数には上限が設けられ、
前記変化情報記憶手段は、
前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が記憶部に上限数記憶された状態で新たに計測値あるいは変化情報が導出されたとき、記憶部にもっとも先に記憶された計測値あるいは変化情報を消去して、当該新たに導出された計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶することを特徴とする請求項3または4記載の内燃機関の失火検出装置。
【請求項6】
内燃機関の排気温度の変化情報を導出する排気温度変化情報導出手段と、
所定の基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であるか否かを判定するとともに、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報であるか否かを判定し、前記基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に失火と判定する失火判定手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の失火検出装置。
【請求項7】
発電用内燃機関の排気温度を計測する工程と、
排気温度の計測値に基づいて排気温度の変化情報を導出する工程と、
前記発電用内燃機関の発電電力を計測する工程と、
発電電力の計測値に基づいて変化情報を導出する工程と、
所定の基準時点における前記排気温度および発電電力の変化情報が、予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定する工程と、
前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が、予め設定された第2の条件に適合するか否かを判定する工程と、
前記第1の条件および前記第2の条件の双方に適合すると判定された場合に失火と判定する工程と、を含むことを特徴とする内燃機関の失火検出方法。
【請求項8】
前記第1の条件の適合可否を判定する工程では、
前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、前記発電電力の変化情報が所定の閾値を上回る変化情報である場合に前記第1の条件に適合すると判定し、
前記第2の条件の適合可否を判定する工程では、
前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に前記第2の条件に適合すると判定してなることを特徴とする請求項7記載の内燃機関の失火検出方法。
【請求項9】
前記排気温度および発電電力の計測値を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する工程をさらに有し、
前記排気温度の変化情報を導出する工程および発電電力の変化情報を導出する工程は、
前記排気温度および発電電力の計測値が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された計測値に基づいて、前記経過時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された計測値に基づいて、前記基準時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出することを特徴とする請求項7または8記載の内燃機関の失火検出方法。
【請求項10】
前記排気温度および発電電力の変化情報を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する工程をさらに有し、
前記第1の条件および第2の条件の適合可否を判定する工程は、
前記排気温度および発電電力の変化情報が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された排気温度の変化情報に基づいて第2の条件に適合するか否かを判定するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された排気温度および発電電力の変化情報に基づいて第1の条件に適合するか否かを判定することを特徴とする請求項7または8記載の内燃機関の失火検出方法。
【請求項11】
前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶する工程では、
前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が記憶部に上限数記憶された状態で、新たに排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が導出されたとき、記憶部にもっとも先に記憶された計測値あるいは変化情報を消去した後に、当該新たに導出された計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶することを特徴とする請求項9または10記載の内燃機関の失火検出方法。
【請求項12】
内燃機関の排気温度の変化情報を導出する工程と、
所定の基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であるか否かを判定する工程と、
前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回るか否かを判定する工程と、
前記基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に失火と判定する工程と、を含むことを特徴とする内燃機関の失火検出方法。
【請求項1】
発電用内燃機関の排気温度を計測する排気温度計測手段と、
前記排気温度計測手段によって計測された計測値に基づいて排気温度の変化情報を導出する排気温度変化情報導出手段と、
前記発電用内燃機関の発電電力を計測する発電電力計測手段と、
前記発電電力計測手段によって計測された計測値に基づいて発電電力の変化情報を導出する発電電力変化情報導出手段と、
所定の基準時点における前記排気温度および発電電力の変化情報が、予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定するとともに、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が、予め設定された第2の条件に適合するか否かを判定し、前記第1の条件および第2の条件の双方に適合する場合に失火と判定する失火判定手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の失火検出装置。
【請求項2】
前記失火判定手段は、
前記基準時点において、前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、前記発電電力の変化情報が所定の閾値を上回る変化情報である場合に前記第1の条件に適合すると判定し、
前記経過時点において、前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に前記第2の条件に適合すると判定してなることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の失火検出装置。
【請求項3】
前記排気温度計測手段によって計測された排気温度の計測値、および、前記発電電力計測手段によって計測された発電電力の計測値を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する変化情報記憶手段を備え、
前記排気温度および発電電力の計測値が新たに記憶部に記憶されたとき、
前記排気温度変化情報導出手段および発電電力変化情報導出手段は、
それぞれ当該新たに記憶された計測値に基づいて、前記経過時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された計測値に基づいて、前記基準時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の失火検出装置。
【請求項4】
前記排気温度変化情報導出手段によって導出される排気温度の変化情報、および、前記発電電力変化情報導出手段によって導出される発電電力の変化情報を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する変化情報記憶手段を備え、
前記失火判定手段は、
前記排気温度および発電電力の変化情報が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された排気温度の変化情報に基づいて第2の条件に適合するか否かを判定するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された排気温度および発電電力の変化情報に基づいて第1の条件に適合するか否かを判定することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の失火検出装置。
【請求項5】
前記記憶部に同時に記憶可能な前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報数には上限が設けられ、
前記変化情報記憶手段は、
前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が記憶部に上限数記憶された状態で新たに計測値あるいは変化情報が導出されたとき、記憶部にもっとも先に記憶された計測値あるいは変化情報を消去して、当該新たに導出された計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶することを特徴とする請求項3または4記載の内燃機関の失火検出装置。
【請求項6】
内燃機関の排気温度の変化情報を導出する排気温度変化情報導出手段と、
所定の基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であるか否かを判定するとともに、前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報であるか否かを判定し、前記基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に失火と判定する失火判定手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の失火検出装置。
【請求項7】
発電用内燃機関の排気温度を計測する工程と、
排気温度の計測値に基づいて排気温度の変化情報を導出する工程と、
前記発電用内燃機関の発電電力を計測する工程と、
発電電力の計測値に基づいて変化情報を導出する工程と、
所定の基準時点における前記排気温度および発電電力の変化情報が、予め設定された第1の条件に適合するか否かを判定する工程と、
前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が、予め設定された第2の条件に適合するか否かを判定する工程と、
前記第1の条件および前記第2の条件の双方に適合すると判定された場合に失火と判定する工程と、を含むことを特徴とする内燃機関の失火検出方法。
【請求項8】
前記第1の条件の適合可否を判定する工程では、
前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、前記発電電力の変化情報が所定の閾値を上回る変化情報である場合に前記第1の条件に適合すると判定し、
前記第2の条件の適合可否を判定する工程では、
前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に前記第2の条件に適合すると判定してなることを特徴とする請求項7記載の内燃機関の失火検出方法。
【請求項9】
前記排気温度および発電電力の計測値を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する工程をさらに有し、
前記排気温度の変化情報を導出する工程および発電電力の変化情報を導出する工程は、
前記排気温度および発電電力の計測値が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された計測値に基づいて、前記経過時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された計測値に基づいて、前記基準時点における排気温度の変化情報および発電電力の変化情報を導出することを特徴とする請求項7または8記載の内燃機関の失火検出方法。
【請求項10】
前記排気温度および発電電力の変化情報を、所定の間隔で複数個記憶部に記憶する工程をさらに有し、
前記第1の条件および第2の条件の適合可否を判定する工程は、
前記排気温度および発電電力の変化情報が新たに記憶部に記憶されたとき、当該新たに記憶された排気温度の変化情報に基づいて第2の条件に適合するか否かを判定するとともに、当該新たに記憶された変化情報よりも前に記憶部に記憶された排気温度および発電電力の変化情報に基づいて第1の条件に適合するか否かを判定することを特徴とする請求項7または8記載の内燃機関の失火検出方法。
【請求項11】
前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶する工程では、
前記排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が記憶部に上限数記憶された状態で、新たに排気温度および発電電力の計測値あるいは変化情報が導出されたとき、記憶部にもっとも先に記憶された計測値あるいは変化情報を消去した後に、当該新たに導出された計測値あるいは変化情報を記憶部に記憶することを特徴とする請求項9または10記載の内燃機関の失火検出方法。
【請求項12】
内燃機関の排気温度の変化情報を導出する工程と、
所定の基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であるか否かを判定する工程と、
前記基準時点から所定時間経過した1または複数の経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回るか否かを判定する工程と、
前記基準時点における前記排気温度の変化情報が第1の閾値を下回る変化情報であり、かつ、経過時点における前記排気温度の変化情報が第2の閾値を上回る変化情報である場合に失火と判定する工程と、を含むことを特徴とする内燃機関の失火検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−92809(P2012−92809A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242686(P2010−242686)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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