説明

内燃機関の診断装置

【課題】ディーゼル機関10の排気通路32に設けられるDPFの上下流の差圧を検出する差圧検出装置40について、その上流側配管40aの詰まりの有無を判断することができないこと。
【解決手段】ディーゼル機関10の運転状態から推定される都度のPMの新規堆積量の累積値に基づき、PM堆積量の推定値(運転履歴式推定値PM1)を算出する。また、差圧検出装置40の検出する差圧に基づき、PM堆積量の推定値(差圧式推定値PM2)を推定する。ディーゼル機関10の排気体積流量が増加する過渡時の終了後には、上記詰まりが生じているなら、差圧検出装置40の検出する差圧が実際の差圧に収束するまでの時間が伸長する。この伸長度合いを、差圧式推定値PM2と運転履歴式推定値PM1とに基づき判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気系に設けられる排気浄化装置の上下流の圧力差を検出する検出手段の検出結果に基づき、前記検出手段の異常の有無を診断する内燃機関の診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に見られるように、ディーゼル機関の排気浄化装置としてのディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)の上流側と連通する配管及び下流側と連通する配管の圧力差を検出する差圧センサの検出結果に基づき、同差圧センサの異常の有無を診断するものが周知である。この診断装置では、ディーゼル機関の運転状態に基づき微粒子状物質(PM)の堆積量の推定値(運転履歴式推定値PM1)を算出するとともに、DPFの上流及び下流の圧力差を検出する差圧センサの検出値(差圧)に基づきPMの堆積量の推定値(差圧式推定値PM2)を算出する。そして、これら運転履歴式推定値PM1に基づき定められる閾値と差圧式推定値PM2とに基づき、差圧センサの異常の有無を判断する。
【特許文献1】特開2005−307880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記差圧センサの上流側の配管は、排気通路のうちDPFの上流側と連通しているため、この配管にPM等が堆積し、排気通路及び配管間の流体の流通不良が生じるおそれがある。そして、上記診断装置によって差圧センサに異常があると判断されるときには、その原因が上記流通不良によるものか否かを判断することができない。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、内燃機関の排気系に設けられる排気浄化装置の上下流の圧力差を検出する検出手段の検出結果に基づき、検出手段及び排気系間の気体の流通不良の有無をより適切に判断することのできる内燃機関の診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0006】
請求項1記載の発明は、前記内燃機関の排気流量が変化する過渡状態の終了後の前記検出手段の検出結果の収束態様に基づき、前記排気系及び前記検出手段間の流体の流通不良の有無を判断する判断手段を備えることを特徴とする。
【0007】
排気系及び前記検出手段間の流体の流通不良が生じているときには、排気流量が変化する過渡状態の終了後であっても、検出手段が排気系の圧力を迅速に感知することができない。このため、排気流量が変化する過渡状態の終了後であっても検出手段の検出値が変化し、徐々に圧力差としての適切な値へと収束すると考えられる。上記構成では、この点に着目し、検出手段の検出結果の収束が遅いときには流通不良が生じていると判断することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記判断手段は、前記排気流量の変化量が所定以上であるときに前記判断を行なうことを特徴とする。
【0009】
排気流量の変化が小さいときには、流通不良が生じている場合といない場合とで検出手段の検出結果の変化に差が生じにくい。このため、こうした状況下では、流通不良の有無の判断を高精度に行なうことが困難となる懸念がある。この点、上記構成では、排気流量の変化が所定以上であるときに流通不良の有無を判断するために、この判断を高精度に行なうことができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記判断手段は、前記排気浄化装置内の微粒子状物質の堆積量から想定される前記過渡状態の終了後における圧力差への前記検出手段の検出結果の収束態様に基づき、前記判断を行なうことを特徴とする。
【0011】
検出手段の検出結果は、排気流量によっては一義的に定まらず、排気浄化装置内の微粒子物質の堆積量に応じて変化する。この点、上記構成では、堆積量に基づき、過渡状態の終了後において想定される圧力差を把握することができる。そしてこの圧力差への収束が遅いときには、流通不良が生じていると判断することができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記内燃機関の運転状態から推定される都度の微粒子状物質の新規堆積量の累積値に基づき前記排気浄化装置内の微粒子状物質の堆積量を推定する第1の推定手段と、前記検出手段の検出結果及び排気流量に基づき、前記排気浄化装置内の微粒子状物質の堆積量を推定する第2の推定手段とを備え、前記判断手段は、前記第1の推定手段による推定値に基づき、前記想定される微粒子状物質の堆積量を把握するとともに、前記第2の推定手段による推定値に基づき、前記検出手段の検出結果の挙動を把握することで、前記収束態様に基づく前記判断を行なうことを特徴とする。
【0013】
上記構成において、検出手段が実際の圧力差を高精度に検出できないときには、第2の推定手段による推定値は、堆積量として高精度な値にならない。一方、第1の推定手段による推定値は、検出手段の検出精度の影響を受けない。このため、第1の推定手段による推定値に基づき、実際の堆積量を把握することができる。これに対し、第2の推定手段による推定値は、検出手段の検出結果の実際の圧力差への移行過程を表現するパラメータとなる。このため、これら2つの推定値に基づき、実際の圧力差への検出手段の検出結果の収束態様に基づく上記判断をすることができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記判断手段は、前記過渡状態の終了後の前記第2の推定手段による推定値の変化量の前記第1の推定手段による推定値の変化量への収束態様に基づき前記判断を行なうことを特徴とする。
【0015】
過渡状態の終了後に第2の推定手段による推定値が収束するであろう値は、第1の推定手段の推定値として取得可能ではある。ただし、実際には、第1の推定手段による推定値と第2の推定手段による推定値との間には、たとえ定常状態であっても差が生じ得る。そしてこの場合には、過渡状態の終了後に第2の推定手段による推定値が収束するであろう値を第1の推定手段の推定値とすることで誤差が生じる。しかしこの場合であっても、検出手段の検出結果が収束した後には、第1の推定手段の推定値の変化量と実際の微粒子状物質の堆積量の変化量との差は小さい。このため、過渡状態の終了後に第2の推定手段による推定値の変化量が収束するであろう値は、第1の推定手段の推定値の変化量によって高精度に表現することができる。このため、検出手段の検出結果の収束態様を、第2の推定手段による推定値の変化量の第1の推定手段による推定値の変化量への収束態様として適切に把握することができる。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記判断手段は、前記過渡状態終了後の前記第1の推定手段の推定値の変化量及び前記第2の推定手段の推定値の変化量の差の絶対値が閾値以上であるとき、前記流通不良であるとの仮判断をする仮判断手段を備え、前記仮判断後の所定期間内に前記第2の推定手段による推定値の変化量が前記第1の推定手段の推定値の変化量に収束したとき、前記流通不良と判断することを特徴とする。
【0017】
過渡状態の終了後に第1の推定手段の推定値の変化量及び第2の推定手段の推定値の変化量間の差の絶対値が閾値以上であるときには、この現象は、検出手段の検出結果が未だ実際の圧力差に追従していないために生じていると考えられる。そしてその後、第2の推定手段による推定値の変化量が第1の推定手段による推定値の変化量へと収束するときには、検出手段の検出結果が実際の圧力差に追従したと考えられる。そしてこの際、検出手段の検出結果が実際の圧力差となるまでの収束時間が伸長した場合に流通不良と判断することで、高精度な判断が可能となる。
【0018】
なお、所定期間内に収束しない場合には、検出手段の感知手段に異常があると判断してもよい。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記閾値を、前記排気流量の変化量に応じて可変設定することを特徴とする。
【0020】
上記構成では、実際の圧力差に対する検出手段の検出結果の差は、排気流量の変化量に依存して変化し得る。このため、第1の推定手段に推定値の変化量に対する第2の推定手段による推定値の変化量の差も変化し得る。そこで上記構成では、排気流量の変化量に応じて上記閾値を可変設定することで、流通不良の有無をより高精度に行なうことができる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記排気流量の変化は、前記排気流量の増量側の変化であることを特徴とする。
【0022】
排気流量が増量側に変化するときには、上記流通不良の有無の影響が特に顕著に現れることが発明者らによって見出されている。この点、上記構成では、排気流量の増量側の変化に伴って上記流通不良の有無の判断をするために、この判断をよりいっそう高精度に行なうことができる。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記検出手段は、前記排気浄化装置の上流側と連通する第1通路及び下流側と連通する第2通路及び前記2つの通路の圧力差を感知する感知手段を備えて構成されてなることを特徴とする。
【0024】
上記構成では、第1通路に微粒子状物質等が堆積し、検出手段による圧力差の検出精度が低下するおそれがある。この点、上記構成では、上記流通不良としての第1の通路に微粒子状物質が堆積する異常の有無を判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる内燃機関の診断装置を車載ディーゼル機関の診断装置に適用した第1の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1に、本実施形態にかかるエンジンシステムの全体構成を示す。
【0027】
図示されるように、ディーゼル機関10の吸気通路12には、吸気流量(質量流量)を検出するエアフローメータ14が設けられている。吸気通路12は、吸気バルブ16の開動作によって、シリンダブロック18及びピストン20にて区画される燃焼室22と連通される。燃焼室22には、燃料噴射弁24の先端部が突出して配置されている。これにより、燃焼室22に燃料の噴射供給が可能となっている。
【0028】
燃焼室22に燃料が噴射されると、燃焼室22の圧縮によって燃料が自己着火し、エネルギが発生する。このエネルギは、ピストン20を介して、ディーゼル機関10の出力軸(クランク軸26)の回転エネルギとして取り出される。なお、クランク軸26近傍には、クランク軸26の回転角度を検出するクランク角センサ28が設けられている。
【0029】
上記燃料噴射弁24を介して燃焼室22に燃料が噴射され、燃焼が生じた後、燃焼に供された気体は、排気バルブ30の開動作によって、排気として、排気通路32に排出される。排気通路32には、排気を浄化するための酸化触媒付きディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF34)が設けられている。また、排気通路32のうちDPF34の上流には、排気温を検出する上流側排気温センサ36が設けられている。また、排気通路32のうちDPF34の下流には、排気温を検出する下流側排気温センサ38が設けられている。更に、排気通路32には、DPF34の上流側及び下流側間の圧力の差(差圧)を検出する差圧検出装置40が設けられている。この差圧検出装置40は、排気通路32のうちDPF34の上流側と連通する上流側配管40aと、排気通路32のうちDPF34の下流側と連通する下流側配管40bと、これら上流側配管40a及び下流側配管40b間の差圧を感知する感知手段(センシング部材40c)とを備えて構成されている。
【0030】
電子制御装置(ECU50)は、マイクロコンピュータを主体として構成されている。そして、ECU50では、ディーゼル機関10の上記各状態検出手段の検出結果や、ユーザによるアクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ52の検出値を取り込み、これに基づき燃料噴射弁24等の各種アクチュエータを操作することで、ディーゼル機関10の出力を制御する。ここで、燃料噴射弁24の操作に際しては、アクセルセンサ52によって検出されるアクセルペダルの操作量とクランク角センサ28の検出値に応じた回転速度とに基づき、アクセルペダルの操作量に応じた要求トルクを生成するための噴射量を算出する。
【0031】
更にECU50は、燃料噴射制御に伴いDPF34に堆積される微粒子状物質(PM)の堆積量を推定する。そして、PMの堆積量の推定値が所定以上となると、DPF34の再生制御を行う。図2に、ECU50の行なう処理のうち、特にPM堆積量の推定にかかる処理を示す。
【0032】
本実施形態では、ディーゼル機関10の運転状態に応じた都度のPMの新規堆積量の累積値に基づきPM堆積量の推定値(運転履歴式推定値PM1)を算出し、且つ差圧検出装置40によって検出される差圧DPに基づきPM堆積量の推定値(差圧式推定値PM2)を算出する。
【0033】
ここでは、まず運転履歴式推定値PM1の算出手法について説明する。
【0034】
新規堆積量算出部B10は、ディーゼル機関10の都度の運転状態に基づき、単位時間あたりの新規堆積量dPMを算出する。詳しくは、本実施形態では、上記要求トルクに応じた噴射量Q及び回転速度NEに基づき、新規堆積量dPMを算出する。図示されるように、回転速度NEが高回転であるほど、また噴射量Qが多量であるほど、新規堆積量dPMは多く算出される。
【0035】
累積値算出部B12は、都度の新規堆積量dPMの累積値を算出する。PM燃焼量算出部B14は、ディーゼル機関10の運転状態に基づき、DPF34に堆積したPMのうち燃焼によって消滅する都度のPM量(PM燃焼量)を算出する。具体的には、本実施形態では、DPF34に流入する排気温が高いほどPM燃焼量が多くなることに鑑み、上流側排気温センサ36によって検出される上流側排気温Teuに基づき、PM燃焼量を算出する。
【0036】
収支算出部B16は、累積値算出部B12の出力からPM燃焼量算出部B14の出力を減算する。下限ガード処理部B18は、収支算出部B16の出力の下限をゼロとする処理を行なう。これは、DPF34内のPM堆積量がゼロ以下とはなりえないことに鑑みてなされる処理である。この下限ガード処理部B18の出力が、運転履歴式推定値PM1である。
【0037】
次に、上記差圧式推定値PM2の算出手法について説明する。
【0038】
排気質量算出部B20は、エアフローメータ14の検出する吸気量GAと、上記要求トルクに応じた噴射量Qとの和として、排気質量流量Mexを算出する。DPF温度推定部B22は、モデルに基づきDPF34の温度を推定する。この処理は、下流側排気温センサ38によって検出される下流側排気温TebとDPF34の温度とが等しくなるのは定常状態であり、過渡状態にあっては両者に差異が生じることに鑑みてなされるものである。具体的には、本実施形態では、下流側排気温Tebは、DPF34の温度の1次遅れ及び無駄時間のモデルによって表現されるものとする。これにより、下流側排気温Tebから上記モデルの逆モデルによってDPF34の温度の推定値(推定温度Td)を算出することができる。なお、この際、時定数と無駄時間を、後述する排気体積流量Vexによって可変設定する。この手法の詳細は、特開2004―245109号公報に記載されている。
【0039】
体積流量算出部B24は、排気質量流量Mexに基づき、排気体積流量Vexを算出する。詳しくは、差圧検出装置40によって検出される差圧DP及び排気質量流量Mex及び推定温度Tdに基づき、排気体積流量Vexを算出する。この手法の詳細は、例えば特開2004―245109号公報に記載されたものとすればよい。
【0040】
差圧式推定部B26は、排気体積流量Vex及び差圧DPに基づき、差圧式推定値PM2を算出する。図示されるように、排気体積流量Vexが多いほど、また、差圧DPが大きいほど、差圧式推定値PM2が多量に算出される。
【0041】
上記態様にて運転履歴式推定値PM1や差圧式推定値PM2を算出することができる。これにより、DPF34の目詰まりが生じる前に再生制御を行なうことができる。なお、定常状態においては差圧式推定値PM2の方が運転履歴式推定値PM1よりも実際のPM堆積量を高精度に表現する傾向にあることに鑑み、定常状態において運転履歴式推定値PM1を差圧式推定値PM2に基づき適宜微修正するようにしてもよい。
【0042】
ところで、差圧検出装置40の上流側配管40aは排気通路32のうちDPF34の上流側と連通することから、その内部にPM等が堆積するいわゆる詰まりが生じるおそれがある。そしてこの場合、上流側配管40aと排気通路32との間の流体の流通不良が生じるため、差圧検出装置40による差圧DPの検出精度が低下するおそれがある。特に排気体積流量Vexが変化することでDPF34の上流及び下流間の圧力差が変化する際、差圧検出装置40によって検出される差圧DPの変化が遅れるようになる。
【0043】
そこで本実施形態では、排気体積流量Vexが変化する過渡状態の終了後における差圧検出装置40内の検出する差圧DPの収束態様に基づき、上流側配管40aの詰まりの有無を判断する。詳しくは、排気体積流量Vexが変化する過渡状態の終了後における実際のPM堆積量を運転履歴式推定値PM1に基づき把握し、このPM堆積量から想定されるDPF34の上流及び下流間の差圧への差圧検出装置40の検出する差圧DPの収束態様を把握する。一方、上記詰まりが生じることで差圧DPが実際の値に収束するまでの時間が伸長すると、差圧式推定値PM2が実際の堆積量に収束するまでの時間も伸長する。このため、これら運転履歴式推定値PM1及び差圧式推定値PM2を用いて、差圧DPの実際の差圧への収束態様を把握することができる。
【0044】
図3に、上記詰まりが生じたときの各種パラメータの推移を示す。詳しくは、図3(a)は、回転速度の推移を示し、図3(b)は、排気体積流量Vexの推移を示し、図3(c)は、差圧検出装置40によって検出される差圧DPの推移を示し、図3(d)は、PMの堆積量の推定値の推移を示す。また、図3(e)は、差圧式推定値PM2の推定態様を示し、図3(f)は、推定されるPM堆積量の変化量の推移を示し、図3(g)は、異常判断態様の推移を示す。
【0045】
図示されるように、回転速度が上昇することで排気体積流量Vexが増大する時刻t1において、差圧式推定値PM2の算出が禁止される。これは、排気体積流量Vexが変化するときには、差圧検出装置40によって検出される差圧DPによるPM堆積量の上記推定手法では堆積量を高精度に推定することができないことによる。そしてその後、時刻t2に回転速度が安定し、時刻t3に排気体積流量Vexが定常状態となると、差圧式推定値PM2の算出が再開される。このとき、差圧式推定値PM2は、運転履歴式推定値PM1よりも小さい値であり、且つその値は漸増する。これは、上記詰まりのために差圧検出装置40の検出する差圧DPが実際の差圧よりも低く、且つ差圧DPが図3(c)に一点鎖線にて示す実際の差圧に向けて漸増するために生じる現象である。すなわち、先の図2に示したように、差圧DPが小さいほど差圧式推定値PM2は小さい値として算出されるため、差圧DPが漸増するときには、差圧式推定値PM2も漸増する。
【0046】
本実施形態では、この性質を利用して、排気体積流量Vexの増大前と増大後とにおける差圧式推定値PM2の変化量ΔPM2の運転履歴式推定値PM1の変化量ΔPM1への収束態様に基き、詰まりの有無を判断する。ここで変化量ΔPM1、ΔPM2を用いるのは、判断の信頼性をより高めるためである。すなわち、運転履歴式推定値PM1と差圧式推定値PM2との間には差が生じ得る。このため、排気体積流量の増加前に差が生じていた場合には、差圧式推定値PM2の運転履歴式推定値PM1への収束性が低下する。しかし、この場合であっても、変化量ΔPM2の変化量ΔPM1への収束性は確保される。したがって、変化量ΔPM2の変化量ΔPM1への収束性は、差圧DPの実際の差圧への収束性を高精度に表現したものとなっている。
【0047】
具体的には、排気体積流量Vexの増大後において、まず上記変化量ΔPM1よりも変化量ΔPM2が所定以上大きいときには、詰まりが生じている旨の仮判断をする。そして、その後、変化量ΔPM2が変化量ΔPM1に所定期間内に収束した場合には、詰まりが生じていると最終的な判断をする。
【0048】
図4に、本実施形態にかかる差圧検出装置40の異常の有無の診断処理の手順を示す。この処理は、ECU50により、例えば所定周期で繰り返し実行される。
【0049】
この一連の処理では、まずステップS10において、排気体積流量が増加しているか否かを判断する。そして、排気体積流量が増加していると判断されるときには、ステップS12において、増加直前の排気体積流量を記憶する。ステップS12の処理が完了すると、ステップS13において、排気体積流量Vexのピーク値を算出する。すなわち、ステップS10において初めて肯定判断されるときには、そのときの排気体積流量Vexをピーク値とし、それ以降、排気体積流量Vexの増加に伴い逐次現在の排気体積流量Vexをピーク値として更新する。
【0050】
続くステップS14においては、排気体積流量の変化量が所定以下となることで定常運転状態となったか否かを判断する。そして、定常運転状態となったと判断されるときには、増加過程における排気体積流量Vexの変化量ΔVexを算出する。すなわち、ステップS13の処理において取得される最終的なピーク値からステップS12において記憶された排気体積流量を減算することで、排気体積流量の変化量ΔVexを算出する。この処理は、先の図3に示した時刻t1及び時刻t2の排気体積流量Vexの差を算出する処理となる。
【0051】
ステップS18においては、変化量ΔVexが閾値ΔV以上であるか否かを判断する。この処理は、詰まりの有無を高精度に判断することができるか否かを判断するものである。すなわち、排気体積流量ΔVexが大きくないときには、検出される差圧DPと実際の差圧との間に顕著な差が生じないため、詰まりの有無を高精度に判断することが困難である。上記閾値ΔVは、詰まりの有無を高精度に判断することのできる臨界値に基づき設定されている。そして変化量ΔVexが閾値ΔV以上であると判断されるときには、ステップS20に移行する。ステップS20においては、運転履歴式推定値PM1の変化量ΔPM1を算出する。ここでは、排気体積流量の増加前の値に対する現在の運転履歴式推定値PM1の変化量を算出すればよい。続くステップS22においては、差圧式推定値PM2の変化量ΔPM2を算出する。ここでは、排気体積流量の増加前の値に対する現在の差圧式推定値PM2の変化量を算出すればよい。なお、ステップS20、S22の処理においては、所定周期毎の運転履歴式推定値PM1のサンプリング値間の差として変化量ΔPM1を算出するとともに、所定周期毎の差圧式推定値PM2のサンプリング値間の差として変化量ΔPM2を算出してもよい。なお、この際、サンプリング周期は、変化量ΔPM1及び変化量ΔPM2で互いに同一とすることが望ましい。
【0052】
続くステップS24においては、変化量ΔPM1と変化量ΔPM2との差の絶対値が閾値α以上であるか否かを判断する。この処理は、DPF34のPMの堆積量に応じた実際の差圧に差圧DPが追従したか否かを判断するものである。ここで、閾値αは、詰まりの有無を判断するための値に設定されている。すなわち、運転履歴式推定値PM1の誤差や差圧式推定値PM2の誤差、更にはノイズの影響と、詰まりによる影響との差を識別可能な値に設定されている。そして、閾値α以上であると判断されるときには、ステップS26に移行する。ステップS26においては、上流側配管40aに詰まりが生じている旨の仮判断(異常仮判断)を行なう。続くステップS28においては、カウンタ値Cをインクリメントする。このカウンタ値Cは、差圧式推定値PM2が実際の値に収束するまでの時間をカウントするためのものである。詳しくは、ステップS26において仮異常判断が最初になされてからの時間をカウントするものである。
【0053】
続くステップS30においては、カウンタ値Cが所定期間βとなったか否かを判断する。ここで所定期間βは、詰まりが生じている場合とそれ以外との状況を識別し得る値に設定されている。このため、カウンタ値Cが所定期間βとなったにもかかわらず、変化量ΔPM1と変化量ΔPM2との差の絶対値が閾値α以上であるときには、ステップS32において、詰まり異常ではなく、センシング部材40c等の電気系統の異常であると判断する。これに対し、カウンタ値Cが未だ所定期間βに満たない場合には、ステップS20に戻る。
【0054】
上記ステップS24において、変化量ΔPM1と変化量ΔPM2との差の絶対値が閾値α未満であると判断されるときには、ステップS34に移行する。ステップS34においては、ステップS26において異常がある旨の仮判断がなされているか否かを判断する。そして仮判断がなされていないときには、差圧検出装置40の検出する差圧DPが実際の差圧に迅速に収束したと考えられることから、異常がないと判断し、ステップS10に戻る。
【0055】
これに対し、ステップS34において仮判断がなされていると判断されるときには、ステップS36において上流側配管40aの詰まりの異常が生じていると判断する。そして、ステップS32、S36の処理がなされるときには、ステップS38に移行する。ステップS38においては、差圧検出装置40に異常がある旨を、先の図1に示す表示器60に出力する(警告ランプの点灯)。そして、ステップS38の処理が完了するときには、この図4に示す診断処理を終了する。
【0056】
なお、ステップS36において上流側配管40aの詰まりの異常が生じていると判断される場合であって且つ、DPF34の再生制御によって詰まりが解消されると判断される場合には、DPF34の再生制御を行ってもよい。この場合、DPF34の再生制御の終了後には、図4に示す診断処理を再開する。
【0057】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0058】
(1)ディーゼル機関10の排気体積流量が変化する過渡状態の終了後の差圧DPの収束態様に基づき、上流側配管40aの詰まりの有無を判断した。これにより、詰まりの有無を判断することができる。
【0059】
(2)排気体積流量の変化量が閾値ΔV以上であるときに詰まりの有無の判断を行なった。これにより、この判断を高精度に行なうことができる。
【0060】
(3)DPF34内のPM堆積量から想定される過渡状態の終了後における実際の差圧への検出される差圧DPの収束態様に基づき、詰まりの有無の判断を行なった。これにより、詰まりの有無を好適に判断することができる。
【0061】
(4)過渡状態の終了後の差圧式推定値PM2の変化量ΔPM2の運転履歴式推定値PM1の変化量ΔPM1への収束態様に基づき、詰まりの有無を判断した。これにより、運転履歴式推定値PM1と差圧式推定値PM2との間に定常状態において差が生じているか否かにかかわらず、詰まりの有無を高精度に判断することができる。
【0062】
(5)過渡状態の終了後の差圧式推定値PM2の変化量ΔPM2と運転履歴式推定値PM1の変化量ΔPM1との差の絶対値が閾値α以上であるとき、詰まりがあるとの仮判断をし、仮判断後の所定期間内に変化量ΔPM2が変化量ΔPM1に収束したとき、詰まりがあると最終的な判断をした。これにより、より高精度な判断が可能となる。
【0063】
(6)排気体積流量の変化として、特に排気体積流量が増量側に変化するときに、詰まりの有無を判断した。排気体積流量が増量側に変化するときには、詰まりの有無の影響が特に顕著に現れることから、この判断をよりいっそう高精度に行なうことができる。
【0064】
(7)差圧検出装置40を、DPF34の上流側と連通する上流側配管40a及び下流側と連通する下流側配管40b及びこれら2つの配管の圧力差を感知するセンシング部材40cを備えて構成した。これにより、上流側配管40aにPM等が堆積し詰まりが生じ、差圧検出装置40の検出精度が低下し得る構成となっている。この点、上記構成では、詰まりの有無を診断することで、これに適切に対処することが可能となる。
【0065】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0066】
図5に、本実施形態にかかる差圧検出装置40の異常の有無の診断処理の手順を示す。この処理は、ECU50により、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図5において、先の図4に示した処理と対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
【0067】
本実施形態では、排気体積流量の増加後の差圧式推定値PM2の運転履歴式推定値PM1への収束態様に基づき、詰まりの有無を判断する。すなわち、ステップS18において、排気体積流量の変化量ΔVexが閾値ΔV以上であると判断されるときには、ステップS40に移行する。ステップS40においては、運転履歴式推定値PM1及び差圧式推定値PM2を取得する。そして、ステップS42においては、運転履歴式推定値PM1と差圧式推定値PM2との差の絶対値が閾値γ以上であるか否かを判断する。この処理は、DPF34に堆積したPMに応じた実際の差圧に差圧DPが追従したか否かを判断するものである。ここで、閾値γは、詰まりの有無を判断するための値に設定されている。すなわち、運転履歴式推定値PM1の誤差や差圧式推定値PM2の誤差、更にはノイズの影響と、詰まりによる影響との差を識別可能な値に設定されている。
【0068】
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)、(6)、(7)の効果に準じた効果を得ることができる。
【0069】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0070】
図6に、本実施形態にかかる差圧検出装置40の異常の有無の診断処理の手順を示す。この処理は、ECU50により、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図6において、先の図4に示した処理と対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
【0071】
本実施形態では、排気体積流量の増加後の実際のPM堆積量を、増加直前の差圧式推定値PM2で近似する。すなわち、排気体積流量の変化後の短時間の間ではPM堆積量がほとんど変化しないと考えられる。このため、排気体積流量の増加後の差圧式推定値PM2は増加直前の差圧式推定値PM2に近似した値へと収束すると考えられる。本実施形態ではこの点に着目する。
【0072】
すなわち、ステップS10において排気体積流量が増加すると判断されるときには、ステップS12の処理と併せて、ステップS50の処理、すなわち増加直前の差圧式推定値PM2bを記憶する処理を行なう。そして、ステップS18において排気体積流量の変化量ΔVexが閾値ΔV以上であると判断されるときには、ステップS52において、現在の差圧式推定値PM2を取得する。そして、ステップS54において、増加直前の差圧式推定値PM2bと現在の差圧式推定値PM2との差の絶対値が閾値εより大きいか否かを判断する。この処理は、DPF34のPM堆積量に応じた実際の差圧に差圧DPが追従したか否かを判断するものである。ここで、閾値εは、詰まりの有無を判断するための値に設定されている。すなわち、差圧式推定値PM2の誤差やノイズの影響と、詰まりによる影響との差を識別可能な値に設定されている。
【0073】
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)、(6)、(7)の効果に準じた効果を得ることができる。
【0074】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0075】
本実施形態では、排気体積流量の増加後に差圧検出装置40によって検出される差圧DPが略定常的な値に収束するまでの時間に基づき、詰まりの有無を判断する。
【0076】
図7に、本実施形態にかかる差圧検出装置40の異常の有無の判断処理の手順を示す。この処理は、ECU50により、例えば所定周期で繰り返し実行される。
【0077】
この一連の処理では、まずステップS60において、排気体積流量の増加後、排気体積流量が定常状態となったか否かを判断する。そして、ステップS60において肯定判断されるときには、ステップS62に移行する。ステップS62においては、差圧検出装置40によって検出される差圧DPが増加中であるか否かを判断する。この判断は、排気体積流量の増加に伴って実際の差圧も増加すると考えられることから、検出される差圧DPが実際の差圧に向けて変化中であるか否かを判断するものである。そして、ステップS62において増加中であると判断されるときには、ステップS64に移行する。
【0078】
ステップS64においては、カウンタ値Cをインクリメントする。このカウンタ値は、検出される差圧DPが実際の差圧に収束するまでの時間をカウントするためのものである。続くステップS66においては、カウンタ値Cが所定期間β以上であるか否かを判断する。ここで、所定期間βは、詰まりが生じていないときに差圧DPの値が収束する時間よりも長い時間に設定されている。そして、ステップS66において所定期間βが経過していないと判断されるときには、ステップS62に戻る。
【0079】
これに対し、ステップS66においてカウンタ値Cが所定期間β以上であると判断されるときには、ステップS68に移行する。ステップS68においては、上流側配管40aに詰まりが生じていると判断する。そして、ステップS70において、先の図1に示した表示器60を介してその旨を通知する。
【0080】
一方、上記ステップS62において差圧DPが増加中でないと判断されるときには、ステップS72に移行する。ステップS72においては、カウンタ値Cを初期化する。なお、ステップS60において否定判断されるときや、ステップS70、S72の処理が完了するときには、この一連の処理を一旦終了する。
【0081】
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態の上記(1)、(6)、(7)の効果に準じた効果を得ることができる。
【0082】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0083】
・先の第1の実施形態において、閾値αを、図8に例示するように、排気体積流量の変化量ΔVexに応じて可変設定してもよい。また、同様に、第2の実施形態にかかる閾値γ、第3の実施形態にかかる閾値εを変化量ΔVexに応じて可変設定してもよい。
【0084】
・DPF34のPM堆積量から想定される過渡状態の終了後における実際の差圧への検出される差圧DPの収束態様に基づく詰まりの有無の判断手法としては、上記第1〜第3の実施形態やそれらの変形例で例示したものに限らない。例えば、運転履歴式推定値PM1と排気体積流量Vexとに基づき、実際の差圧を推定し、検出される差圧DPの上記推定される差圧への収束態様に基づき、詰まりの有無を判断してもよい。
【0085】
・運転履歴式推定値PM1の算出手法としては、上記実施形態で例示したものに限らない。例えば、特開2006−2672号公報に記載されているように、排気の空燃比と回転速度とに基づき、都度の新規堆積量dPMを算出し、これを累積することで運転履歴式推定値PM1を算出してもよい。また、都度の新規堆積量dPMの算出手法として、上記特許文献1に記載された手法を用いてもよい。また、PMの燃焼量の推定手法も上記実施形態で例示したものに限らず、例えば上記特許文献1に記載された手法としてもよい。
【0086】
・差圧式推定値PM2の算出手法としては、上記実施形態で例示したものに限らない。例えば、推定温度Tdを下流側排気温Tebで代用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1の実施形態にかかるエンジンシステムの全体構成を示す図。
【図2】同実施形態にかかるPM堆積量の推定処理を示すブロック図。
【図3】同実施形態にかかる詰まりの有無の判断原理を説明するタイムチャート。
【図4】同実施形態にかかる圧力検出装置の異常診断の処理手順を示す流れ図。
【図5】第2の実施形態にかかる圧力検出装置の異常診断の処理手順を示す流れ図。
【図6】第3の実施形態にかかる圧力検出装置の異常診断の処理手順を示す流れ図。
【図7】第4の実施形態にかかる圧力検出装置の詰まりの有無の判断の処理手順を示す流れ図。
【図8】第1の実施形態の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0088】
10…ディーゼル機関、34…DPF(排気浄化装置の一実施形態)、40…差圧検出装置(検出手段の一実施形態)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気系に設けられる排気浄化装置の上下流の圧力差を検出する検出手段の検出結果に基づき、前記検出手段の異常の有無を診断する内燃機関の診断装置において、
前記内燃機関の排気流量が変化する過渡状態の終了後の前記検出手段の検出結果の収束態様に基づき、前記排気系及び前記検出手段間の流体の流通不良の有無を判断する判断手段を備えることを特徴とする内燃機関の診断装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記排気流量の変化量が所定以上であるときに前記判断を行なうことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の診断装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記排気浄化装置内の微粒子状物質の堆積量から想定される前記過渡状態の終了後における圧力差への前記検出手段の検出結果の収束態様に基づき、前記判断を行なうことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の診断装置。
【請求項4】
前記内燃機関の運転状態から推定される都度の微粒子状物質の新規堆積量の累積値に基づき前記排気浄化装置内の微粒子状物質の堆積量を推定する第1の推定手段と、
前記検出手段の検出結果及び排気流量に基づき、前記排気浄化装置内の微粒子状物質の堆積量を推定する第2の推定手段とを備え、
前記判断手段は、前記第1の推定手段による推定値に基づき前記想定される微粒子状物質の堆積量を把握するとともに、前記第2の推定手段による推定値に基づき前記検出手段の検出結果の挙動を把握することで、前記収束態様に基づく前記判断を行なうことを特徴とする請求項3記載の内燃機関の診断装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記過渡状態の終了後の前記第2の推定手段による推定値の変化量の前記第1の推定手段による推定値の変化量への収束態様に基づき前記判断を行なうことを特徴とする請求項4記載の内燃機関の診断装置。
【請求項6】
前記判断手段は、前記過渡状態終了後の前記第1の推定手段の推定値の変化量及び前記第2の推定手段の推定値の変化量の差の絶対値が閾値以上であるとき、前記流通不良であるとの仮判断をする仮判断手段を備え、前記仮判断後の所定期間内に前記第2の推定手段による推定値の変化量が前記第1の推定手段の推定値の変化量に収束したとき、前記流通不良と判断することを特徴とする請求項5記載の内燃機関の診断装置。
【請求項7】
前記閾値を、前記排気流量の変化量に応じて可変設定することを特徴とする請求項6記載の内燃機関の診断装置。
【請求項8】
前記排気流量の変化は、前記排気流量の増量側の変化であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の診断装置。
【請求項9】
前記検出手段は、前記排気浄化装置の上流側と連通する第1通路及び下流側と連通する第2通路及び前記2つの通路の圧力差を感知する感知手段を備えて構成されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の内燃機関の診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−121588(P2008−121588A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307400(P2006−307400)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】