説明

内燃機関用吸気装置

【課題】 ガスケット9の個数を減らしてコスト削減を図ることを課題とする。
【解決手段】 インテークマニホールド1とヘッドカバー2との間をシールする第1シール機能と、インテークマニホールド1と複数のバルブユニット4の各ハウジング6との間をシールする第2シール機能と、シリンダヘッド3からヘッドカバー2、インテークマニホールド1を経由して複数のバルブユニット4に伝播するエンジン振動を減衰(吸収)する振動吸収機能とを全て兼ね備えた一体ゴム成形品で、且つ単一部品のガスケット9を、インテークマニホールド1の第1規制面41とヘッドカバー2の上流側端面29との間に装着し、且つインテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面と複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6のフランジ部15の外周面との間に装着している。これによって、ガスケット9の個数を減少できるので、コスト削減となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のインテークダクトを構成する2つの第1、第2エンジン部品のうちで吸気方向の上流側に配置される第1エンジン部品の内部にバルブユニットを組み込んだ内燃機関用吸気装置に関するもので、特に2つの第1、第2エンジン部品間および第1エンジン部品とバルブユニットとの間からの吸入空気の漏洩を防止する内燃機関用吸気装置のシール構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、内部にスロットルバルブ等の吸気流量制御バルブを開閉自在に収容したスロットルボデーのインレットポート側がエアダクトの下流端側の開口端に嵌め込まれ、スロットルボデーのアウトレットポート側がインテークマニホールドの上流端側の開口端に嵌め込まれ、スロットルボデーとエアダクトとの間に第1ガスケットを介装し、また、スロットルボデーとインテークマニホールドとの間に第2ガスケットを介装して、内燃機関のインテークダクトから外部への吸入空気の漏洩を防止するように構成した内燃機関用吸気装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
[従来の技術の不具合]
ところが、特許文献1に記載の内燃機関用吸気装置においては、スロットルボデーとエアダクトとの間をシールする第1ガスケットと、スロットルボデーとインテークマニホールドとの間をシールする第2ガスケットとを別部材で設けているので、構成が複雑となり、コストが高くなるという問題が生じている。
【0004】
[先行の技術の不具合]
一方、本出願人は、内燃機関のインテークダクトのうちでインテークマニホールド内部にバルブユニットを組み込んで、内燃機関の各気筒毎に吸入される吸入空気の流れを内燃機関の運転状態に対応して切り替え、内燃機関の燃焼状態やエンジン性能を改善するという目的で、特願2005−228675(提出日:平成17年8月5日:比較例1)を出願した。この比較例1の内燃機関用吸気装置は、図8に示したように、内燃機関(以下エンジンと言う)の燃焼室内に吸入空気(吸気)を供給するインテークダクトを備えている。このインテークダクトは、内部に吸気通路101が形成されたインテークマニホールド102と、内部に吸気通路103が形成されたヘッドカバー104と、内部に燃焼室に連通する吸気ポート105が形成されたシリンダヘッド106とを備えている。
【0005】
そして、これらのインテークダクトを構成するエンジン部品のうちで吸気方向の上流側に組み込まれるインテークマニホールド102の内部には、バルブユニット110が嵌合保持されている。このバルブユニット110は、インテークマニホールド102に形成される嵌合穴107内に組み込まれるハウジング111と、このハウジング111に対して相対回転して空気流路109を開閉する吸気制御バルブ112と、この吸気制御バルブ112の自由端側に対して逆側に回転中心を成すバルブ軸113とによって構成されている。なお、バルブ軸113は、吸気制御バルブ112に一体的に形成されており、軸方向の両側がベアリング(図示せず)を介してハウジング111の両側壁部に回転自在に軸支されている。
【0006】
そして、インテークマニホールド102の下流側端面に形成された第1環状凹部121とヘッドカバー104の上流側端面との間には、インテークマニホールド102とヘッドカバー104との間に形成される隙間をシールする第1ガスケット131が介装されている。また、インテークマニホールド102の嵌合穴107の内壁面とバルブユニット110のハウジング111の外壁面に形成された2つの第2環状凹部122との間には、インテークマニホールド102とバルブユニット110のハウジング111との間に形成される隙間をシールする2つの第2ガスケット132が介装されている。
また、この比較例1の内燃機関用吸気装置は、エンジン振動がヘッドカバー104、インテークマニホールド102を伝ってバルブユニット110に伝播して、インテークマニホールド102の嵌合穴107の内部においてバルブユニット110が吸気方向に対して略直交する垂直方向(Y方向およびZ方向)にガタ付く可能性があり、このエンジン振動に伴うバルブユニット110のガタ付きを抑えるため、バルブユニット110のハウジング111の周囲を周方向に取り囲むように2つの第2ガスケット132が配設されている。
【0007】
そして、バルブユニット110は、ハウジング111の上流側端面に、インテークマニホールド102の規制面(X方向位置合わせ面)141に当接する当接面114を有し、ハウジング111の当接面114が、インテークマニホールド102の規制面141に当接する位置で、インテークマニホールド102に対する吸気方向と略同一方向(X方向)の組付位置が規定されている。
また、インテークマニホールド102に対する吸気方向に対して略直交する垂直方向(Y方向およびZ方向)の組付位置は、バルブユニット110のハウジング111の周囲を周方向に取り囲むように配設された2つの第2ガスケット132の外周側シール面とインテークマニホールド102の嵌合穴107の内壁面(Y方向位置合わせ面およびZ方向位置合わせ面)とで規定されている。
【0008】
ところが、比較例1の内燃機関用吸気装置は、特許文献1に記載の内燃機関用吸気装置と同様に、インテークマニホールド102とヘッドカバー104との間に形成される隙間をシールする第1ガスケット131と、インテークマニホールド102とバルブユニット110のハウジング111との間に形成される隙間をシールする2つの第2ガスケット132とが、別部材で設けられているので、内燃機関用吸気装置のシール構造が複雑となり、コストが高くなるという問題が生じる。
また、吸気制御バルブ112のバルブ軸113を軸支するバルブ軸受け部近傍を含む、ハウジング111の周囲を周方向に取り囲むように第2ガスケット132が配設されているため、インテークマニホールド102の嵌合穴107の内壁面とバルブユニット110のハウジング111の外壁面との間で圧縮方向に弾性変形する第2ガスケット132に反力が生じ、この第2ガスケット132の反力でハウジング111が変形して、ハウジング111と吸気制御バルブ112との間に形成される、吸気制御バルブ112が回転動作するのに必要な適正隙間(クリアランス)の確保が困難であるという問題が生じる。
【0009】
ここで、エンジンのヘッドカバー104は、例えばアルミニウムダイカスト等の金属鋳物品であり、面精度の必要なインテークマニホールド102を取り付ける上流側端面は、均一な切削加工が施された切削加工面(面精度良)となっている。そして、インテークマニホールド102は、樹脂一体成形された樹脂成形品であるが、このインテークマニホールド102がヘッドカバー104の上流側端面に取り付けられる際、インテークマニホールド102は、金属製で剛性が高く、また、面精度が良好なヘッドカバー104の上流側端面に倣って取り付けられる。
【0010】
また、インテークマニホールド102の規制面(X方向位置合わせ面)141が、インテークマニホールド102の下流側端面142より吸気方向の上流側に大きく離れた位置に設けられているため、インテークマニホールド102に対する吸気方向と略同一方向(X方向)の組付位置の精度(X方向の位置精度)が非常に悪い。これにより、インテークマニホールド102の両側壁部に形成されるシャフト貫通孔と吸気制御バルブ112のバルブ軸113に形成されるシャフト貫通穴115との軸心が一致し難くなり、インテークマニホールド102の嵌合穴107の内部にバルブユニット110を組み込んだ後に、ピンシャフト116をインテークマニホールド102のシャフト貫通孔→バルブ軸113のシャフト貫通穴115→インテークマニホールド102のシャフト貫通孔の順に挿入する際の、ピンシャフト116の挿入性が悪化するという問題が生じる。また、吸気制御バルブ112の組付位置が、エンジン側通路(吸気通路103、吸気ポート105)に対して吸気方向と略同一方向(X方向)に位置ズレするため、エンジンの燃焼状態やエンジン性能が悪化する可能性がある。
【特許文献1】特開平10−259768号公報(第4−5頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、部品点数および組付工数を減らしてコストを削減することのできる内燃機関用吸気装置を提供することにある。また、第1エンジン部品に対するバルブユニットの吸気方向と略同一方向の位置精度を向上させることのできる内燃機関用吸気装置を提供することにある。さらに、第1エンジン部品に対するバルブユニットの吸気方向に対して略直交する垂直方向の位置精度を向上させることのできる内燃機関用吸気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関のインテークダクトを構成する2つの第1、第2エンジン部品間を密閉する第1シール機能と、2つの第1、第2エンジン部品のうちで吸気方向の上流側に配置される第1エンジン部品とこの第1エンジン部品の内部に組み込まれるバルブユニットとの間を密閉する第2シール機能と、内燃機関から2つの第1、第2エンジン部品を経てバルブユニットに伝播する振動(所謂エンジン振動)を減衰(吸収)する振動吸収機能とを1個のガスケットに構成することにより、部品点数および組付工数を減少できるので、内燃機関用吸気装置全体のコストを削減することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、1個のガスケットを、2つの第1、第2シール機能と振動吸収機能とを全て兼ね備えた一体ゴム成形品で、且つ単一部品によって構成したことにより、請求項1に記載の発明と同様な効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、1個のガスケットを、バルブユニットの周囲を取り囲むように配設された環状のゴム系弾性体によって構成したことにより、請求項1に記載の発明と同様な効果を得ることができる。また、1個のガスケットに、第1シール機能を有する第1シール部および第2シール機能を有する第2シール部を設けたことにより、ガスケットの第1シール部によって2つの第1、第2エンジン部品間からの吸入空気(吸気)の漏洩を防止することができ、また、ガスケットの第2シール部によって第1エンジン部品とバルブユニットとの間からの吸入空気(吸気)の漏洩を防止することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、高いシール性が要求される2つの第1、第2エンジン部品間を密閉する第1シール部の圧縮率よりも、低いシール力で良い第1エンジン部品とバルブユニットとの間を密閉する第2シール部の圧縮率を低圧縮率となるように設定することにより、ガスケットの第1シール部が、ガスケットの第2シール部と比べて、2つの第1、第2エンジン部品の各端面に良好に密着して優れたガスケットシール性能を発揮する。したがって、2つの第1、第2エンジン部品間からの吸入空気(吸気)の漏洩を確実に防止することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、2つの第1、第2エンジン部品のうちで吸気方向の上流側に配置される第1エンジン部品(の下流側端面)には、第1エンジン部品よりも吸気方向の下流側に配置される第2エンジン部品の上流側端面に対向配置されて、ガスケットを介して、第2エンジン部品の上流側端面に気密的に結合する第1結合端面が設けられている。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、第1エンジン部品は、自身の第1結合端面よりも吸気方向の上流側に、バルブユニットを係止する規制面を有し、また、バルブユニットは、ハウジングの外周部に第1エンジン部品の規制面に当接する当接面を有している。これにより、バルブユニットは、ハウジングの当接面が、第1エンジン部品の規制面に当接する位置で、第1エンジン部品に対する吸気方向と略同一方向の組付位置に規定される。したがって、第1エンジン部品に対するバルブユニットの吸気方向と略同一方向(例えば図1のX方向)の位置精度を向上させることができるので、ガスケットのシール性能をより向上させることができる。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、第1エンジン部品は、自身の第1結合端面よりも空気流方向の上流側に、バルブユニットを係止する第1嵌合部を有し、また、バルブユニットは、ハウジングの外周部に第1エンジン部品の第1嵌合部に嵌合する第2嵌合部を有している。これにより、バルブユニットは、ハウジングの第2嵌合部が、第1エンジン部品の第1嵌合部に嵌合する位置で、第1エンジン部品に対する吸気方向に対して略直交する垂直方向の組付位置に規定される。したがって、第1エンジン部品に対するバルブユニットの吸気方向に対して略直交する垂直方向(例えば図1のY方向およびZ方向)の位置精度を向上させることができるので、ガスケットのシール性能をより向上させることができる。
【0018】
請求項8に記載の発明によれば、バルブユニットは、吸気制御バルブの回転中心を成すバルブ軸を有している。そして、ハウジングは、空気流路の中心部よりも吸気方向の上流側に、バルブ軸を回転自在に軸支または収容する軸受け部、および空気流路の中心部よりも吸気方向の下流側に、ハウジングの外壁面より外側に突出するように環状のフランジ部を有している。そして、ガスケットは、ハウジングのフランジ部の周囲を取り囲むように配設されている。これによって、ガスケットをバルブ軸および軸受け部より最も遠い第2エンジン部品側のフランジ部に配置できるので、ガスケットの反力に伴うバルブ軸近傍および軸受け部近傍のハウジングの変形を防止することができる。したがって、ハウジングの流路壁面と吸気制御バルブとの間に、吸気制御バルブが開閉動作するのに必要な適正隙間(クリアランス)の確保が容易となり、吸気制御バルブの誤作動やバルブロックを防止することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明によれば、ハウジングは、内部に空気流路を形成する内管、およびこの内管の外壁面との間に所定の環状空間を形成すると共に、内管の周囲を取り囲むように配設された外管を有している。そして、この外管自体が、ガスケットの装着位置となるフランジ部を成す。これによって、ハウジングのフランジ部近傍が2重管構造となり、直接ガスケットの反力を受け止める外管の歪み変形を、内部に空気流路を形成する内管に伝えない構造となる。これにより、ガスケットの反力によるバルブ軸近傍および軸受け部近傍のハウジングの変形を防止することができる。したがって、ハウジングの流路壁面と吸気制御バルブとの間に、吸気制御バルブが開閉動作するのに必要な適正隙間(クリアランス)の確保が容易となり、吸気制御バルブの誤作動やバルブロックを防止することができる。
【0020】
請求項10に記載の発明によれば、第1エンジン部品を、内部に第1吸気通路が形成されたインテークマニホールドによって構成し、また、第2エンジン部品を、内部に第2吸気通路が形成されたシリンダヘッド、あるいはこのシリンダヘッド上部に取り付けられるヘッドカバーによって構成しても良い。この場合には、インテークマニホールドの第1吸気通路から、バルブユニットのハウジング内部に形成される空気流路、およびシリンダヘッドまたはヘッドカバーの第2吸気通路を経由して、内燃機関の燃焼室内に吸入空気(吸気)が供給される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態は、部品点数および組付工数を減らしてコストを削減するという目的を、1個のガスケットを、2つの第1、第2シール機能と振動吸収機能とを全て兼ね備えた一体ゴム成形品で、且つ単一部品によって構成する、あるいは1個のガスケットを、バルブユニットの周囲を取り囲むように配設された環状のゴム系弾性体によって構成することで実現した。
また、第1エンジン部品に対するバルブユニットの吸気方向と略同一方向の位置精度を向上させるという目的を、第1エンジン部品の規制面にハウジングの当接面が当接する位置で、バルブユニットの、第1エンジン部品に対する吸気方向と略同一方向の組付位置を規定することで実現した。
さらに、第1エンジン部品に対するバルブユニットの吸気方向に対して略直交する垂直方向の位置精度を向上させるという目的を、第1エンジン部品の第1嵌合部にハウジングの第2嵌合部が嵌合する位置で、バルブユニットの、第1エンジン部品に対する吸気方向に対して略直交する垂直方向の組付位置を規定することで実現した。
【実施例1】
【0022】
[実施例1の構成]
図1ないし図6(a)は本発明の実施例1を示したもので、図1ないし図4は内燃機関用吸気流制御装置を示した図で、図5はバルブユニットを示した図である。
【0023】
本実施例の内燃機関用吸気流制御装置は、自動車等の車両に搭載された多気筒内燃機関(例えば4気筒ガソリンエンジン:以下エンジンまたはエンジン本体と言う)の各気筒内において混合気の燃焼を促進させるための縦方向の吸気渦流(タンブル流)を生成することが可能な吸気流発生装置(渦流発生装置)である。エンジンは、吸入空気と燃料との混合気を各気筒毎の燃焼室内で燃焼させて得られる熱エネルギーにより出力を発生するもので、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室内に吸入空気(吸気)を供給するためのインテークダクト(エンジン吸気管)と、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室より流出する排気ガスを排気浄化装置を経由して外部に排出するためのエキゾーストダクト(エンジン排気管)とを備えている。
【0024】
ここで、インテークダクトは、吸入空気を濾過するエアクリーナ(濾過エレメント)を収容保持するエアクリーナケース、このエアクリーナケースよりも吸入空気の流れ方向の下流側端面に結合されるスロットルボデー、このスロットルボデーよりも吸入空気の流れ方向の下流側端面に結合されるサージタンク、このサージタンクよりも吸入空気の流れ方向の下流側端面に結合される2重管構造のインテークマニホールド1、およびインテークマニホールド1の下流側端面に結合されるヘッドカバー2等を有している。
【0025】
インテークマニホールド1は、本発明の第1エンジン部品に相当するもので、内部にエンジン本体の各気筒毎の燃焼室に連通する複数(気筒分)の第1吸気通路10が形成されている。このインテークマニホールド1は、複数の第1吸気通路10の内部に流入した吸入空気を、エンジン本体のシリンダヘッド3に設けられる複数(気筒分)の吸気ポート13に分配供給する吸気多岐管である。そして、インテークマニホールド1は、インテークマニホールドの一部(または全体)を成すブロック(自動車部品、エンジン部品、樹脂製インテークマニホールド)であって、軽量化およびコスト削減を目的として樹脂化されており、樹脂材料(例えばガラス繊維強化の熱可塑性樹脂)によって直方体形状に一体的に形成されている。
【0026】
本実施例のインテークマニホールド1には、図3および図4に示したように、複数のバルブユニット(第1〜第4バルブユニット)4毎の各ハウジング6を収容保持する複数の嵌合穴(バルブユニット収納部、第1〜第4嵌合穴)21、各バルブユニット4の外周部(フランジ部15)との間にガスケット9を収容保持(嵌合保持)する複数のガスケット収容穴22、および隣設する2つの嵌合穴21間(例えば第1、第2嵌合穴間、第2、第3嵌合穴間、第3、第4嵌合穴間等)を気密的に区画する複数の区画壁23が設けられている。
【0027】
また、インテークマニホールド1には、図示左端側の左側壁部24から図示右端側の右側壁部25に向けて、空気流路内を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向に対して直交する方向(軸方向、水平方向)に真っ直ぐに延びる複数のシャフト貫通孔26が、全ての嵌合穴21および全ての区画壁23を連通(貫通)するように設けられている。なお、各嵌合穴21および各ガスケット収容穴22の4つの角部(コーナー部)は、円弧状に形成されているが、各嵌合穴21および各ガスケット収容穴22の4つの角部(コーナー部)を、直角状に形成しても良い。
【0028】
また、インテークマニホールド1の各嵌合穴21よりも空気流方向の上流側(例えばサージタンク側)には、図1および図5に示したように、段差部(第1〜第4段差部)を介して、上流側の開口面積を下流側の開口面積よりも小さくするためのブロック(第1〜第4ブロック)27、28が一体的に形成(樹脂一体成形)されている。なお、ブロック28の流路壁面のうちの図示上端面(下側流路壁面)を、吸気流制御バルブ7のバルブ全開時に、吸気流制御バルブ7の表裏2面のうちの裏面側の端面と略同一平面上に位置するように設けても良い。また、ブロック27、28を含んで形成されるインテークマニホールド1の各開口部(空気入口)は、複数のバルブユニット4の各ハウジング6の内部(空気流路11)に吸入空気を導入するための複数の第1吸気通路(第1〜第4インテークポート)10を構成している。
【0029】
また、インテークマニホールド1は、ヘッドカバー2の上流側端面29に対向配置されて、ガスケット9を介して、ヘッドカバー2の上流側端面29に気密的に結合する第1結合端面31を有している。ここで、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6は、ヘッドカバー2の上流側端面29に対向配置されて、ガスケット9を介して、ヘッドカバー2の上流側端面29に気密的に結合する第2結合端面32を有している。また、ヘッドカバー2の上流側端面29の一部は、ガスケット9の第1シール部(後述する)が密着する長方形状(または矩形状)の第1シール面として機能する。
【0030】
また、インテークマニホールド1は、第1結合端面31よりも吸気方向の上流側(図示右方向:X方向)で、且つ第1結合端面31よりも吸気方向に対して略直交する垂直方向(図示上下方向:Y方向)に一段(嵌合穴21の中心軸線側に)下がった部位に、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6の外周部(フランジ部15)を係止する長方形状(または矩形状)の第1規制面(X方向規制面)41を有している。この第1規制面41の外周側は、ガスケット9の第1シール部(後述する)が密着する第1シール面として機能する。なお、第1規制面41は、ガスケット収容穴22と嵌合穴21との間に形成される角環状の段差面に設けられており、ヘッドカバー2の上流側端面29に所定の隙間を隔てて対向配置されている。
【0031】
また、第1結合端面31と第1規制面41との間には、長方形状(または矩形状)のガスケット収容穴22が設けられている。このガスケット収容穴22は、嵌合穴21よりも吸気方向の下流端に設けられている。そして、ガスケット収容穴22の内周面は、ガスケット9の第2シール部(後述する)が密着する第2シール面として機能する。また、インテークマニホールド1は、第1結合端面31よりも吸気方向の上流側(図示右方向:X方向)で、且つ第1規制面41よりも吸気方向に対して略直交する垂直方向(図示上下方向:Y方向)に一段(嵌合穴21の中心軸線側に)下がった部位に、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6の外周部(フランジ部15近傍に設けられた2つの嵌合凸部16、17)がそれぞれ嵌合する2つの嵌合凹部(第1嵌合部)33、34を有している。これらの嵌合凹部33、34は、複数のハウジング6の各嵌合凸部16、17を係止する第2、第3規制面(Y方向規制面、Z方向規制面)42、43を有している。なお、嵌合凹部33は、インテークマニホールド1の嵌合穴21の上側壁面(天壁面)より外周側に凹むように設けられ、また、嵌合凹部34は、インテークマニホールド1の嵌合穴21の下側壁面(底壁面)より外周側に凹むように設けられている。
【0032】
そして、エンジン本体は、インテークダクトの下流端に気密的に結合されるシリンダヘッド3と、内部にシリンダボアが形成されたシリンダブロック(図示せず)とを備えている。また、シリンダヘッド3の上部(および側方部)には、内部に複数(気筒分)の第2吸気通路12が形成されたヘッドカバー2が取り付けられている。シリンダヘッド3とシリンダブロックとの間には、シリンダヘッド3に設けられる3次元的な吸気流路形状の吸気ポート13(インテークポート)より混合気が吸入される燃焼室が気筒分だけ形成されている。また、ヘッドカバー2は、本発明の第2エンジン部品に相当するもので、シリンダヘッド3の上流端に気密的に結合するインテークダクトの一部(最下流部)を構成している。なお、ヘッドカバー2、シリンダヘッド3およびシリンダブロックは、燃焼による熱の影響を受け、振動するので、これらに耐えられるようにアルミニウムダイカストや鋳鉄等によって頑丈に作られている。
【0033】
そして、シリンダヘッド3には、先端部がエンジン本体の各気筒毎の燃焼室内に露出するようにスパークプラグ(図示せず)が取り付けられている。また、シリンダヘッド3には、吸気ポート13内に最適なタイミングで燃料を噴射するインジェクタ(図示せず)が取り付けられている。また、シリンダヘッド3の一方側に形成される複数の吸気ポート13は、ポペット型の吸気バルブ(インテークバルブ)によって開閉され、また、シリンダヘッド3の他方側に形成される複数の排気ポートは、ポペット型の排気バルブ(エキゾーストバルブ)によって開閉される。
【0034】
ここで、本実施例の吸気流発生装置は、図1および図2に示したように、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室に連通する吸気通路を形成するインテークダクトを構成する2つの第1、第2エンジン部品のうちで吸気方向の上流側に配置される直方体形状のインテークマニホールド1に一体的に設けられている。この吸気流発生装置は、図1ないし図5に示したように、1個の樹脂ハウジングの内部に1個の樹脂バルブを開閉自在に組み込んだバルブユニット4を、共通のインテークマニホールド1の内部に一定の間隔でバルブシャフト(角形鋼製シャフト)5の軸方向に並列的に複数配置した吸気流制御バルブモジュール(多連一体型のバルブ開閉装置)を構成している。なお、バルブシャフト5は、例えば鉄系の金属材料によって回転中心軸線に垂直な断面が多角形状(例えば四角形状)に形成された多角断面シャフトである。
【0035】
複数のバルブユニット4は、図3ないし図5に示したように、インテークマニホールド1の各嵌合穴21の内部に支持固定された複数の樹脂ハウジング(第1〜第4樹脂ハウジング:以下ハウジングと略す)6と、これらのハウジング6毎に対応して設けられて、複数のハウジング6の内部にそれぞれ開閉自在(回転自在)に収容された複数の樹脂バルブ(多連一体型の吸気流制御バルブ、第1〜第4樹脂バルブ、タンブル流制御バルブ(TCV):以下吸気流制御バルブと呼ぶ)7と、これらの吸気流制御バルブ7のバルブ開度(回転角度)を一括変更することが可能な1つのバルブ駆動装置とを備えている。
【0036】
ここで、複数の吸気流制御バルブ7を閉弁駆動または開弁駆動するバルブ駆動装置は、電力の供給を受けて駆動力(モータ出力軸トルク)を発生する電動モータと、この電動モータのモータシャフト(出力軸)の回転運動をバルブシャフト5に伝達するための動力伝達機構(本実施例では歯車減速機構)とを含んで構成される動力ユニットを備えた電動式アクチュエータによって構成されている。電動モータは、ブラシレスDCモータやブラシ付きのDCモータ等の直流(DC)モータが採用されている。なお、三相誘導電動機等の交流(AC)モータを用いても良い。また、歯車減速機構は、電動モータのモータシャフトの回転速度を所定の減速比となるように減速するもので、電動モータのモータ出力軸トルクをバルブシャフト5に伝達する動力伝達機構を構成する。ここで、バルブ駆動装置、特に電動モータは、エンジン制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)によって通電制御されるように構成されている。
【0037】
ここで、複数のバルブユニット4は、エンジンの気筒数分だけ設けられており、バルブシャフト5の挿入方向の先端から後端に向かって順番に第1〜第4バルブユニットが配置されたタンブル流制御バルブユニットである。これらのバルブユニット4は、複数のハウジング6毎に内部を吸入空気が流れる断面長方形状の空気流路(流体流路)11を有し、且つ複数の吸気流制御バルブ7毎に各空気流路11の内部を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向(各空気流路11の軸線方向)に対して直交する方向(軸方向、水平方向)に真っ直ぐに延びるシャフト貫通穴(吸気流制御バルブ7の貫通穴)20を有している。
【0038】
複数のハウジング6は、内部に空気流路11がそれぞれ形成された長方形状(または矩形状)の筒状体である。ここで、複数のハウジング6は、空気流路11の軸線方向(吸気方向:X方向)に対して略直交する方向(Z方向)の両側に配置される2つの第1、第2側壁部51、52と、空気流路11の軸線方向(吸気方向:X方向)に対して略直交する方向(Y方向)の両側に配置される2つの上下壁部(以下上壁部を天壁部53と呼び、下壁部を底壁部54と呼ぶ)とによって構成されている。そして、複数のハウジング6は、2つの第1、第2側壁部51、52よりも天壁部53および底壁部54の方が長く(または短く)なっている。なお、各ハウジング6の4つの角部(コーナー部)は、円弧状またはR形状の面取りが施されているが、各ハウジング6の4つの角部(コーナー部)を、直角状に形成しても良い。
【0039】
そして、複数のハウジング6は、全て樹脂化されており、樹脂材料(例えばガラス繊維強化の熱可塑性樹脂)によって所定の形状に一体的に形成(樹脂一体成形)されている。そして、ハウジング6の内部には、二組の対辺よりなる4つの辺で囲まれた略長方形状の空気流路11が形成されている。これらの空気流路11は、インテークマニホールド1の第1吸気通路10よりも下流側に配設されて、複数のバルブユニット4毎に独立(対応)して接続される複数の吸気ポート13を介してエンジン本体の各気筒毎の燃焼室に連通している。なお、各空気流路11の4つの角部(コーナー部)は、直角状に形成されているが、各空気流路11の4つの角部(コーナー部)を、円弧状に形成しても良い。
【0040】
そして、複数のハウジング6の各第1、第2側壁部51、52には、図2に示したように、吸気方向に対して略直交する方向(軸方向、Z方向)の両側に2つの第1、第2軸受け部がそれぞれ設けられている。そして、これらの第1、第2軸受け部の内部には、複数の吸気流制御バルブ7の回転中心を成す軸部(以下バルブ軸と言う)14を回転自在に収容可能な2つの第1、第2軸受け穴55、56がそれぞれ形成されている。これらの第1、第2軸受け穴55、56は、空気流路11の図示上下方向の中心を通る中心軸線(空気流路11の中心軸線)よりもハウジング6の片側(図示下方側、底壁面側)にオフセット配置され、且つ空気流路11の中心部よりも空気流路11の軸線方向の上流側にオフセット配置されている。
【0041】
すなわち、2つの第1、第2軸受け穴55、56は、ハウジング6の上流側の開口端寄りで、且つハウジング6の底壁部54の底壁面(下面)に接近した位置に配設されている。そして、2つの第1、第2軸受け穴55、56の内周には、2つの第1、第2ベアリング35、36が圧入嵌合等によって嵌合保持されている。2つの第1、第2ベアリング35、36は、全て樹脂化されており、樹脂材料(例えば熱可塑性樹脂)によって円筒形状に一体的に形成(樹脂一体成形)されている。これらの第1、第2ベアリング35、36の内部には、吸気流制御バルブ7のバルブ軸14の軸方向の両端部を回転方向に摺動自在に支持するための断面円形状の第1、第2摺動孔が形成されている。
【0042】
複数の吸気流制御バルブ7は、自由端側に対して逆側に回転中心を成すバルブ軸14、およびこのバルブ軸14の軸心を中心にしてハウジング6に対して相対回転して空気流路11の開口面積を変更する方形状(または矩形状)の板状弁体19を有している。ここで、バルブ軸14は、吸気流制御バルブ7の回転中心軸線近傍にそれぞれ一体的に形成(樹脂一体成形)されている。そして、バルブ軸14は、空気流路11の中心軸線よりも底壁面側にオフセット配置され、且つ空気流路11の中心部よりも空気流路11の軸線方向の上流側にオフセット配置されている。すなわち、バルブ軸14は、ハウジング6の上流側の開口端寄りで、且つハウジング6の底壁部54の底壁面に接近した位置に配設されている。
【0043】
このため、図4および図5に示したように、複数の吸気流制御バルブ7が全開位置にセットされると、吸気流制御バルブ7の板状弁体19の裏面側(リブが形成されている側)の端面は、ハウジング6の底壁部54の底壁面との間に必要最小限の隙間を隔てて対向して配置される。また、複数の吸気流制御バルブ7は、複数の吸気流制御バルブ7が全閉位置にセットされた場合、バルブ軸14が板状弁体19の片側(図示下方端)に位置している。このため、複数の吸気流制御バルブ7は、自由端側に対して逆側に回転中心を成すバルブ軸14を有する片持ち式バルブを構成している。
【0044】
複数の吸気流制御バルブ7は、全て樹脂化されており、樹脂材料(例えばガラス繊維強化の熱可塑性樹脂)によって所定の形状に一体的に形成(樹脂一体成形)されている。そして、吸気流制御バルブ7は、ハウジング6の軸線方向(空気流路11の内部を流れる吸入空気の平均的な流れの軸線方向)に対して直交する方向に回転中心軸線を有する回転型バルブ(インテークマニホールド用吸気切替バルブ、吸気渦流(タンブル流)制御バルブ)である。そして、複数の吸気流制御バルブ7は、複数のハウジング6毎の各空気流路11の内部を流れる吸入空気の流量が最大となる全開位置から、複数のハウジング6毎の各空気流路11の内部を流れる吸入空気の流量が最小となる全閉位置に至るまでの回転動作範囲にて回転角度(バルブ開度)が変更されることで、複数のハウジング6毎の各空気流路11を開閉する。なお、これらの吸気流制御バルブ7は、図示しないコイルスプリング等によって全開位置に戻る方向に付勢されている。
【0045】
そして、複数の吸気流制御バルブ7の各板状弁体19は、二組の対辺よりなる4つの辺で囲まれた略長方形状で、図示左右方向の両端側に位置する左右辺(左右側面、両側面)よりも、図示上下方向の両端側に位置する上下辺(上下端面、両端面)の方が短く(または長く)なっている。そして、吸気流制御バルブ7は、ハウジング6の空気流路11の内部に開閉自在(回転自在)に収容されている。なお、複数の吸気流制御バルブ7の各板状弁体19の4つの角部(コーナー部)は、直角状に形成されているが、各板状弁体19の4つの角部(コーナー部)に円弧状またはR形状の面取りを施しても良い。また、吸気流制御バルブ7の上端面の中央部(空気流路11の上層部)を一部切り欠くことで、ハウジング6と吸気流制御バルブ7との間に所望の吸気流を形成するための開口部57を形成しても良い。この開口部57は設けなくても良い。また、吸気流制御バルブ7の下端面または左右側面の一部を切り欠くことで、ハウジング6と吸気流制御バルブ7との間に所望の吸気流を形成するための開口部(スリット)を形成しても良い。
【0046】
また、吸気流制御バルブ7の板状弁体19の表裏2面のうちの裏面側の端面には、バルブ軸14から板状弁体19の先端側に向かって徐々に高さが低くなるように複数のリブ59が形成されている。そして、吸気流制御バルブ7の板状弁体19の回転中心を成す回転中心軸線近傍には、軸方向に延びる円筒状のバルブ軸14が一体的に形成されている。このバルブ軸14の内部には、バルブシャフト5が軸方向に貫通するシャフト貫通穴20が形成されている。そして、シャフト貫通穴20は、バルブシャフト5の断面形状と略同一の孔形状に形成され、吸気流制御バルブ7とバルブシャフト5との相対的な回転が規制されている。また、バルブ軸14は、吸気流制御バルブ7の板状弁体19の両側面(サイド面)より軸方向の両側に突出して、ハウジング6の2つの第1、第2側壁部51、52に設けられた2つの第1、第2軸受け穴55、56内に回転自在に収容されている。
【0047】
また、バルブ軸14の軸方向の両側は、2つの第1、第2ベアリング35、36を介して、ハウジング6の2つの第1、第2軸受け穴55、56の内周に摺動自在に軸支される2つの第1、第2摺動部として機能する。また、第1、第2ベアリング35、36に用いられる熱可塑性樹脂としては、摺動性に優れ、耐摩耗性に優れる樹脂材料(例えばポリアミド樹脂(PA)等よりなる熱可塑性樹脂)が好ましい。なお、2つの第1、第2ベアリング35、36を、樹脂材料に、吸気流制御バルブ7のバルブ軸14と2つの第1、第2ベアリング35、36との相対運動における摺動抵抗を低下させるための低摺動抵抗材料(例えば四フッ化エチレン樹脂(PTFE)等のフッ素系樹脂粉末)を混合または添加した樹脂系の複合材料によって一体的に形成しても良い。
【0048】
ここで、断面形状が多角形状のバルブシャフト5を直接ハウジング6の2つの第1、第2軸受け穴55、56に支持しても、バルブシャフト5を円滑に回転させることはできない。そのため、バルブシャフト5は、吸気流制御バルブ7のバルブ軸14により被覆され、外周側がバルブ軸14の軸方向の両端部(2つの第1、第2摺動部)を介して2つの第1、第2ベアリング35、36に回転自在に軸支されている。そして、複数の吸気流制御バルブ7は、1本のバルブシャフト5にそれぞれ保持固定されている。また、インテークマニホールド1、ハウジング6および吸気流制御バルブ7に用いられる熱可塑性樹脂としては、耐熱性や強度上の観点から、ポリアミド樹脂(PA)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が好ましい。
【0049】
そして、本実施例の複数のバルブユニット4は、各ハウジング6の外周部に角環状のフランジ部15を有している。このフランジ部15は、ハウジング6の吸気方向の下流端部の外周部に一体的に形成(樹脂一体成形)されている。このため、フランジ部15は、二組の対辺よりなる4つの辺で囲まれた略長方形環状で、図示左右方向の両端側に位置する左右辺(左右側面、両側面)よりも、図示上下方向の両端側に位置する上下辺(上下端面、両端面)の方が短く(または長く)なっている。そして、フランジ部15の外周面は、ガスケット9の第2シール部が密着する第2シール面として機能する。
【0050】
そして、フランジ部15の上流側端面には、インテークマニホールド1の第1規制面41に当接して係止される第1当接面61が設けられている。また、フランジ部15の下流側端面およびハウジング6の下流端部(空気流路11の開口周縁部)の開口端面には、ヘッドカバー2の上流側端面29に対向配置される第2結合端面32が設けられている。なお、フランジ部15の4つの角部(コーナー部)は、円弧状またはR形状の面取りが施されているが、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の4つの角部(コーナー部)が直角状に形成されている場合には、フランジ部15の4つの角部(コーナー部)を直角状に形成しても良い。
【0051】
また、本実施例の複数のバルブユニット4は、各ハウジング6の外周部にインテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34にそれぞれ嵌合する2つの嵌合凸部(第2嵌合部)16、17を有している。嵌合凸部16は、吸気方向の下流端側で、且つハウジング6の天壁部53の外壁面より図示上方側に突出するようにハウジング6の天壁部53に一体的に形成(樹脂一体成形)されている。また、嵌合凸部17は、吸気方向の下流端側で、且つハウジング6の底壁部54の外壁面より図示下方側に突出するようにハウジング6の底壁部54に一体的に形成(樹脂一体成形)されている。
【0052】
また、2つの嵌合凸部16、17の頂面は、フランジ部15の外周面よりも吸気方向に対して略直交する垂直方向(図示上下方向:Y方向)に若干(空気流路11の中心軸線側に)下がった位置に設けられている。これにより、2つの嵌合凸部16、17の近傍においても、第1当接面61に必要な面積を確保できる。そして、2つの嵌合凸部16、17は、インテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34の第2規制面42に係止される第2当接面(Y方向当接面、嵌合面)62、およびインテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34の第3規制面43に係止される第3当接面(Z方向当接面、嵌合面)63を有している。
【0053】
複数のガスケット9は、複数のバルブユニット4の各ハウジング6毎に、各ハウジング6のフランジ部15の周囲を取り囲むように配設されて、二組の対辺よりなる4つの辺で囲まれた長方形環状(または矩形環状)のゴム系弾性体(耐油性ゴム、例えばクロロピレンゴム:CR、ニトリルゴム:NBR)である。これらのガスケット9は、図示左右方向の両端側に位置する左右辺(左右側面、両側面)よりも、図示上下方向の両端側に位置する上下辺(上下端面、両端面)の方が短く(または長く)なっている。なお、各ガスケット9の4つの角部(コーナー部)は、円弧状またはR形状の面取りが施されているが、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の4つの角部(コーナー部)および複数のバルブユニット4の各ハウジング6の4つの角部(コーナー部)が直角状に形成されている場合には、各ガスケット9の4つの角部(コーナー部)を直角状に形成しても良い。
【0054】
そして、複数のガスケット9の各々は、インテークマニホールド1の第1規制面41とヘッドカバー2の上流側端面29との間に形成される環状隙間をシール(密閉)する第1シール機能と、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面と複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6のフランジ部15の外周面との間に形成される環状隙間をシール(密閉)する第2シール機能と、エンジン本体(シリンダヘッド3)からヘッドカバー2、インテークマニホールド1を経由して複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6に伝播するエンジン振動を減衰(吸収)する振動吸収機能とを全て兼ね備えた一体ゴム成形品で、且つ単一部品によって構成されている。
【0055】
そして、複数のガスケット9の各々は、図1、図2および図6(a)に示したように、第1シール機能を有する2つの第1シール部71と、第2シール機能を有する2つの第2シール部72とを兼ね備えている。2つの第1シール部71は、図6(a)に示したように、吸気方向と略同一方向(X方向)に弾性変形することが可能な第1弾性変形部であって、自身の吸気方向の上流側に位置する第1シール面が、インテークマニホールド1の第1規制面(第1シール面を含む)41に気密的に密着し、また、自身の吸気方向の下流側に位置する第1シール面が、ヘッドカバー2の上流側端面(第1シール面を含む)29に気密的に密着する。
【0056】
2つの第2シール部72は、図1、図2および図6(a)に示したように、吸気方向に対して略直交する垂直方向(Y方向、Z方向)に弾性変形することが可能な第2弾性変形部であって、自身の外周側に位置する第2シール面が、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面(第2シール面)に気密的に密着し、また、自身の内周側に位置する第2シール面が、各ハウジング6のフランジ部15の外周面(第2シール面)に気密的に密着する。そして、複数のガスケット9の各々は、高いシール性を必要とする第1シール部71の圧縮率を高圧縮率とし、また、第1シール部71に比べて軽いシール力で良い第2シール部72の圧縮率を低圧縮率としている。本実施例では、ガスシール材として楕円形状の断面を有するガスケット9を採用し、この楕円形状のガスケット9の長辺を第1シール部71として用い、楕円形状のガスケット9の短辺を第2シール部72として用いている。
【0057】
[実施例1の組付方法]
次に、本実施例の内燃機関用吸気流制御装置の組付方法を図1ないし図6(a)に基づいて簡単に説明する。先ず、エンジン本体(ヘッドカバー2およびシリンダヘッド3等)をアルミニウム合金等の鋳造成形(アルミニウムダイカスト成形)を用いて製造する。また、バルブシャフト5を金属材料によって一体的に形成する。また、複数のガスケット9をゴム系弾性体によって一体的に形成する。
【0058】
一方、インテークマニホールド1、複数のバルブユニット4のハウジング6および吸気流制御バルブ7(バルブ軸14および板状弁体19)をそれぞれ射出成形方法を用いて製造する(射出成形工程)。この射出成形方法は、ペレット状の樹脂素材を熱で溶融し、この溶融樹脂に圧力を加えて射出成形用金型(成形型)の中に射出注入し、冷やして固まった部品を射出成形用金型の中から取り出して、熱可塑性樹脂製品(樹脂成形品、樹脂成形体)を得る成形方法である。なお、ハウジング6と吸気流制御バルブ7とを1つの射出成形用金型内にて同時に一体的に形成(樹脂一体成形)しても良い。
【0059】
次に、ハウジング6毎の空気流路11の内部に吸気流制御バルブ7を開閉自在に組み込んだ複数のバルブユニット4を、インテークマニホールド1の複数の嵌合穴21の軸線方向の下流側から上流側に向けて、インテークマニホールド1の複数の嵌合穴21の内部に組み込む。このとき、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6の下流側端部の外周部に設けられたフランジ部15の第1当接面61が、インテークマニホールド1の複数の嵌合穴21と複数のガスケット収容穴22との間に設けられた第1規制面41に突き当たるまで、複数のバルブユニット4を複数の嵌合穴21の内部に組み込む(第1組付工程)。
【0060】
また、複数のバルブユニット4を複数の嵌合穴21の内部に組み込む際に、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6の天壁部53に設けられた2つの嵌合凸部16を、インテークマニホールド1の複数の嵌合穴21の天壁面に設けられた2つの嵌合凹部33に嵌め込み、また、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6の底壁部54に設けられた2つの嵌合凸部17を、インテークマニホールド1の複数の嵌合穴21の底壁面に設けられた2つの嵌合凹部34に嵌め込む。
【0061】
これによって、複数のバルブユニット4は、図1および図2に示したように、各ハウジング6毎のフランジ部15の第1当接面61が、インテークマニホールド1の第1規制面(X方向位置合わせ面)41に当接する位置で、インテークマニホールド1に対する吸気方向と略同一方向の組付位置(X方向組付位置)が規定(位置決め)される。また、複数のバルブユニット4は、各ハウジング6毎の2つの嵌合凸部16、17が、インテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34に嵌合する位置で、インテークマニホールド1に対する吸気方向に対して略直交する垂直方向の組付位置(Y方向組付位置、Z方向組付位置)が規定(位置決め)される。
【0062】
すなわち、複数のバルブユニット4は、各ハウジング6毎の2つの嵌合凸部16、17の第2当接面62が、インテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34の第2規制面(Y方向位置合わせ面)42に当接する位置で、インテークマニホールド1に対する吸気方向に対して略直交する垂直方向の組付位置(Y方向組付位置)が規定(位置決め)される。また、複数のバルブユニット4は、各ハウジング6毎の2つの嵌合凸部16、17の第3当接面63が、インテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34の第3規制面(Z方向位置合わせ面)43に当接する位置で、インテークマニホールド1に対する吸気方向に対して略直交する垂直方向の組付位置(Z方向組付位置)が規定(位置決め)される。
【0063】
したがって、バルブユニット4が、共通のインテークマニホールド1の内部に一定の間隔でバルブシャフト5の軸方向に並列的に複数配置される。このとき、インテークマニホールド1の第1結合端面31と、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6の第2結合端面32とが、略同一平面上に配置されるように、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の穴寸法および各ハウジング6毎のフランジ部15の幅寸法を設計段階において調整しても良い。
【0064】
次に、インテークマニホールド1の複数の嵌合穴21の内部に複数のバルブユニット4を組み付けた後に、複数の吸気流制御バルブ7の各板状弁体19の先端側(被当接部)を、複数のハウジング6の天壁部53の天壁面に(全閉位置に対応して)設けられたバルブ係止部にメカニカルタッチ(直接的に線接触)させる(第2組付工程)。このとき、複数の吸気流制御バルブ7は、空気流路11の軸線方向に垂直な垂線に対して開弁作動方向に所定の回転角度(全閉角:θ)だけ若干傾くように配置される。すなわち、複数の吸気流制御バルブ7のバルブ開度は、全閉位置に相当するバルブ開度に設定される。このとき、全ての吸気流制御バルブ7のバルブ軸14に設けられるシャフト貫通穴20を、インテークマニホールド1の全てのシャフト貫通孔26と同一中心軸線上に位置するように配置することが望ましい。
【0065】
次に、図3および図4に示したように、バルブシャフト5を、インテークマニホールド1の左側壁部24のシャフト貫通孔26から、全ての吸気流制御バルブ7のシャフト貫通穴20およびインテークマニホールド1の全ての区画壁23のシャフト貫通孔26を貫いて、インテークマニホールド1の右側壁部25のシャフト貫通孔26に挿入(圧入)する。これにより、1本のバルブシャフト5によってバルブ開度が一括変更可能なように全ての吸気流制御バルブ7がバルブシャフト5の外周に一体的に連結される(第3組付工程)。
【0066】
次に、複数のガスケット9の各々を、図1、図3および図4に示したように、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面および第1規制面41と、複数のバルブユニット4の各ハウジング6毎のフランジ部15の外周面とで囲まれた略長方形環状(矩形環状)の空間の内部に組み込む(第4組付工程)。このとき、複数のガスケット9の各々の第2シール部72が、ガスケット収容穴22の内周面とフランジ部15の外周面との間に挟み込まれるため、第2シール部72が吸気方向に対して略直交する垂直方向(Y方向、Z方向:縮径方向)に圧縮されて弾性変形する。
【0067】
これにより、第2シール部72の両第2シール面が、ガスケット収容穴22の内周面およびフランジ部15の外周面に密着するため、インテークマニホールド1と複数のバルブユニット4との間に形成される環状隙間がシールされる。したがって、インテークマニホールド1の内部に形成される第1吸気通路10から、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6の上流側端面とインテークマニホールド1のブロック27、28の下流側端面との環状隙間から、ハウジング6の外周部と嵌合穴21の内周部との間の筒状隙間に流れ込んだ吸入空気がインテークダクト外部に漏洩するのを防止できる。
【0068】
次に、複数のバルブユニット4および複数のガスケット9を組み付けたインテークマニホールド1の第1結合端面31を、エンジン本体(シリンダヘッド3)の上部に取り付けられるヘッドカバー2の上流側端面29に図示しないクリップ、係止片等を用いて結合する。あるいはインテークマニホールド1の第1結合端面31とヘッドカバー2の上流側端面29とを向かい合わせまたは張り合わせた状態で、両者をスクリュー、締結ネジ等を用いて締め付け固定する(第5組付工程)。このとき、複数のガスケット9の各々の第1シール部71が、インテークマニホールド1の第1規制面41とヘッドカバー2の上流側端面29との間に挟み込まれるため、第1シール部71が吸気方向と略同一方向(X方向)に圧縮されて弾性変形する。
【0069】
これにより、第1シール部71の両第1シール面が、インテークマニホールド1の第1規制面41およびヘッドカバー2の上流側端面29に密着するため、インテークマニホールド1とヘッドカバー2との間に形成される環状隙間がシールされる。したがって、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6の内部に形成される空気流路11から、ヘッドカバー2の上流側端面29とハウジング6の第2結合端面32との間の環状隙間に流れ込んだ吸入空気がインテークダクト外部に漏洩するのを防止できる。
以上の組付作業を実施することで、吸気流発生装置をインテークダクト内部に組み付けることができ、且つインテークマニホールド1の第1結合端面31および複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6の第2結合端面32を、ヘッドカバー2の上流側端面29に気密的に結合することができる。
【0070】
[実施例1の作用]
次に、本実施例の内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置)の作用を図1ないし図6(a)に基づいて簡単に説明する。
【0071】
ECUは、エンジンの運転状態が所定の運転状態の時(例えばエンジン始動時またはアイドル運転時)に、複数のバルブユニット4の各吸気流制御バルブ7が全閉状態となるように電動モータを通電する。電動モータが通電されると、歯車減速機構を介して、1本のバルブシャフト5に電動モータの回転出力(モータ出力軸トルク)が伝達される。これにより、1本のバルブシャフト5によって、全ての吸気流制御バルブ7のバルブ開度(バルブ位置)が一括変更される。すなわち、コイルスプリングの付勢力に抗して、全ての吸気流制御バルブ7がバルブ軸14の軸心を中心にして回転して、全ての吸気流制御バルブ7のバルブ開度(バルブ位置)が全開位置(図3ないし図5参照)から全閉位置(図1および図2参照)に変更される。
【0072】
これによって、エアクリーナで濾過された吸入空気は、インテークダクト(スロットルボデーやサージタンク)の吸気通路、およびインテークマニホールド1の複数の第1吸気通路10を経由して、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6の空気流路11の内部に流入する。このとき、全ての吸気流制御バルブ7のバルブ開度(バルブ位置)が全閉位置にセットされているため、全ての吸気流制御バルブ7の先端側(図示上端側)に形成された開口部57だけの片側(上層側)偏向通気状態が形成される。そして、複数の開口部57を通過して空気流路11の片側(上層側)に偏った吸入空気は、ヘッドカバー2の複数の第2吸気通路12を経由して、シリンダヘッド3の複数の吸気ポート13の内部に供給され、更に、吸気バルブの周囲を通ってエンジン本体の各気筒毎の燃焼室内に導入される。このとき、燃焼室内に導入される吸入空気の殆どは、複数の吸気流制御バルブ7の開口部57を通過しているので、燃焼室内に導入される吸入空気流は、縦方向の吸気渦流(タンブル流)となる。
【0073】
すなわち、複数のバルブユニット4の全ての吸気流制御バルブ7のバルブ全閉時に、複数の空気流路11、複数の第2吸気通路12および複数の吸気ポート13の上層部を経由してエンジン本体の各気筒毎の燃焼室内に混合気を入れることができるので、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室内において縦方向の吸気渦流(タンブル流)を容易に生成できる。したがって、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室内において混合気の燃焼を促進させるためのタンブル流を積極的に生成できるので、通常では燃え難い空燃比で燃焼(希薄燃焼)させることができ、エンジン性能を落とさずに燃費を改善できる。また、縦方向の吸気渦流(タンブル流)を容易に生成できるので、燃焼室内の燃焼速度が促進され、燃焼効率が向上して、エンジンの運転状態が所定の運転状態の時(例えばアイドル運転時)の燃費やエミッションを改善できる。
【0074】
ここで、本実施例では、エンジンの運転状態が所定の運転状態の時に、電動モータを通電制御して、全ての吸気流制御バルブ7のバルブ開度(バルブ位置)を全閉状態(全閉位置)となるようにしている。すなわち、バルブ駆動装置によって常開型の吸気流制御バルブ7を閉弁駆動している。これとは逆に、エンジンの運転状態が所定の運転状態の時に、電動モータへの通電を停止して、コイルスプリングの付勢力によって、全ての吸気流制御バルブ7のバルブ開度(バルブ位置)を全閉状態(全閉位置)となるようにしても良い。この場合には、常閉型の吸気流制御バルブとなる。
【0075】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置)においては、2つの第1、第2シール機能と振動吸収機能とを全て兼ね備えた一体ゴム成形品で、且つ単一部品のガスケット9を、インテークマニホールド1の第1規制面41とヘッドカバー2の上流側端面29との間に装着し、且つインテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面と複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6のフランジ部15の外周面との間に装着している。これによって、ガスケット9の第1シール部71によってインテークマニホールド1の第1結合端面31とヘッドカバー2の上流側端面29との間からインテークダクト外部への吸入空気(吸気)の漏洩を防止することができる。
【0076】
また、ガスケット9の第2シール部72によってインテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面と複数のバルブユニット4の各ハウジング6の外周面との間からインテークダクト外部への吸入空気(吸気)の漏洩を防止することができる。さらに、エンジン本体(シリンダヘッド3)からヘッドカバー2、インテークマニホールド1を経由して複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6に伝播するエンジン振動を減衰(吸収)することができる。したがって、1個のガスケット9に第1、第2シール機能と振動吸収機能とを構成することで、従来の技術や比較例1と比べて、ガスケットの個数を減らすことができる。すなわち、従来の技術や比較例1と比べて、部品点数および組付工数を減少できるので、内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置)全体の製品コストを削減することができる。
【0077】
また、高いシール性が要求されるインテークマニホールド1の第1結合端面31とヘッドカバー2の上流側端面29との間をシールする第1シール部71の圧縮率よりも低いシール力で良い、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面と複数のバルブユニット4の各ハウジング6の外周面との間をシールする第2シール部72の圧縮率を低圧縮率となるように設定している。本実施例では、ガスシール材として楕円形状の断面を有するガスケット9を採用し、この楕円形状のガスケット9の長辺を第1シール部71として用い、楕円形状のガスケット9の短辺を第2シール部72として用いることで、第1シール部71を高圧縮率となるように設定し、また、第2シール部72を第1シール部71と比べて低圧縮率となるように設定している。
【0078】
これによって、ガスケット9の第1シール部71は、ガスケット9の第2シール部72よりも常に柔らかい状態に保たれ、また、ガスケット9の第2シール部72は、ガスケット9の第1シール部71よりも常に剛性の高い状態に保たれる。したがって、ガスケット9の第1シール部71は、インテークマニホールド1の第1規制面41とヘッドカバー2の上流側端面29との間に挟まれると、両者の各端面(第1規制面41、上流側端面29)に良好に密着して優れたガスケットシール性能を発揮する。これにより、高いシール性が要求されるインテークマニホールド1の第1結合端面31とヘッドカバー2の上流側端面29との間からインテークダクト外部への吸入空気(吸気)の漏洩を確実に防止することができる。
【0079】
ここで、本実施例の内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置)においては、インテークマニホールド1と複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6とのガスケットシール性をより向上させるという目的、およびインテークマニホールド1と複数のバルブユニット4との位置精度をより向上させるという目的で、下記のようなインテークマニホールド1と複数のバルブユニット4との位置合わせ構造を備えている。
【0080】
先ず、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4の吸気方向と略同一方向(図1において図示左右方向:X方向)の位置合わせについて図1および図2に基づいて簡単に説明する。
本実施例では、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4の吸気方向と略同一方向(X方向)の組付位置を規制するX方向の位置合わせ面を、インテークマニホールド1の、ヘッドカバー2との取り付け面(インテークマニホールド1の第1結合端面31)よりもX方向の上流側で、且つ第1結合端面31よりも吸気方向に対して略直交する垂直方向(図1および図2において図示上下方向:Y方向)に一段下がった第1規制面(X方向位置合わせ面)41に設定する。
【0081】
この理由は、エンジン本体側のヘッドカバー2は、アルミニウムダイカスト等の金属鋳物品であり、面精度の必要なインテークマニホールド1との取り付け面(ヘッドカバー2の上流側端面29)は、均一な切削加工が施されている。インテークマニホールド1は、熱可塑性樹脂成形品であるが、インテークマニホールド1がヘッドカバー2の上流側端面29に取り付けられる際、インテークマニホールド1は、金属鋳物製で剛性が高く、面精度が良好なヘッドカバー2の上流側端面29に倣って取り付けられる。このため、インテークマニホールド1の第1結合端面31は、面精度が良くなる。
【0082】
したがって、本実施例では、複数のバルブユニット4の各ハウジング6毎のフランジ部15の第1当接面61が、インテークマニホールド1の第1規制面(X方向位置合わせ面)41に当接する位置で、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4のX方向の組付位置を規定している。すなわち、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4のX方向の位置合わせを、インテークマニホールド1の第1結合端面31に近い一段下がった第1規制面(X方向位置合わせ面)41にて行うことで、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4のX方向の位置精度を上げることが可能となる。
【0083】
次に、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4の吸気方向に対して直交する垂直方向(図1および図2において図示上下方向:Y方向、図2において図示左右方向:Z方向)の位置合わせについて図1および図2に基づいて簡単に説明する。
本実施例では、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4の吸気方向に対して直交する垂直方向(Y方向、Z方向)の組付位置を規制するY方向、Z方向の位置合わせを、インテークマニホールド1の、ヘッドカバー2との取り付け面(インテークマニホールド1の第1結合端面31)よりもX方向の上流側で、且つ第1規制面41よりもY方向に一段下がった部位に2つの嵌合凹部33、34を設けて設定している。また、複数のバルブユニット4は、各ハウジング6の外周部にインテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34にそれぞれ嵌合する2つの嵌合凸部16、17を設けている。
【0084】
そして、本実施例では、複数のバルブユニット4の各ハウジング6毎の2つの嵌合凸部16、17の第2当接面62が、インテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34の第2規制面(Y方向位置合わせ面)42に当接する位置で、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4のY方向の組付位置を規定している。すなわち、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4のY方向の位置合わせを、インテークマニホールド1の精度が良好となる第1結合端面31に近い第1規制面41よりも一段下がった2つの嵌合凹部33、34の第2規制面(Y方向位置合わせ面)42にて行うことで、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4のY方向の位置精度を上げることが可能となる。
【0085】
また、本実施例では、複数のバルブユニット4の各ハウジング6毎の2つの嵌合凸部16、17の第3当接面63が、インテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34の第3規制面(Z方向位置合わせ面)43に当接する位置で、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4のZ方向の組付位置を規定している。すなわち、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4のZ方向の位置合わせを、インテークマニホールド1の精度が良好となる第1結合端面31に近い第1規制面41よりも一段下がった2つの嵌合凹部33、34の第3規制面(Z方向位置合わせ面)43にて行うことで、インテークマニホールド1に対する複数のバルブユニット4のZ方向の位置精度を上げることが可能となる。
【0086】
以上によって、本実施例の内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置)においては、インテークマニホールド1と複数のバルブユニット4との位置精度をより向上させることができるので、複数のバルブユニット4の各吸気流制御バルブ7の回転中心を成す軸部の位置(バルブ軸14の位置)が、エンジン本体側通路(ヘッドカバー2の第2吸気通路12およびシリンダヘッド3の吸気ポート13)に対するズレが少なくなり、最適な吸気渦流(タンブル流)の生成が可能となるので、エンジン性能の向上および燃費の改善を図ることができる。また、インテークマニホールド1と複数のバルブユニット4との位置精度をより向上させることができるので、インテークマニホールド1と複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6とのガスケットシール性をより向上させることもできる。
【0087】
また、本実施例の内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置)においては、複数のバルブユニット4の各ハウジング6の2つの第1、第2側壁部51、52に、内部に2つの第1、第2軸受け穴55、56が形成された2つの第1、第2軸受け部をそれぞれ設けている。そして、2つの第1、第2軸受け穴55、56の内部には、複数の吸気流制御バルブ7の各バルブ軸14が回転自在に収容されている。そして、2つの第1、第2軸受け部は、ハウジング6の内部に形成される空気流路11の軸線方向の中心部よりも吸気方向の上流側、特に空気流路11の空気入口側開口端寄りに片寄って設けられている。
【0088】
また、複数のバルブユニット4の各ハウジング6の外周部には、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面に対向する外周面を有するフランジ部15が設けられている。このフランジ部15は、ハウジング6の内部に形成される空気流路11の軸線方向の中心部よりも吸気方向の下流側、特に空気流路11の空気出口側の開口周端縁部の外周に片寄って設けられている。そして、本実施例では、複数のバルブユニット4の各ハウジング6のフランジ部15の周囲を取り囲むようにガスケット9が配設されている。
【0089】
これによって、ガスケット9の装着位置を、複数の吸気流制御バルブ7の各バルブ軸14および複数のハウジング6の各第1、第2軸受け部より最も遠い、これらのバルブ軸14および第1、第2軸受け部の位置とは正反対のヘッドカバー側のフランジ部15の外周に設置できるので、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面と複数のバルブユニット4の各ハウジング6の外周面との間にガスケット9の第2シール部72が挟み込まれた際の、ガスケット9の第2シール部72の反力に伴うバルブ軸14近傍および第1、第2軸受け部近傍のハウジング6の変形を防止することができる。したがって、ハウジング6の流路壁面(両側壁面、天壁面、底壁面)と吸気流制御バルブ7との間に、吸気流制御バルブ7が全開位置と全閉位置との間を開閉動作するのに必要な適正隙間(クリアランス)を容易に確保できるので、吸気流制御バルブ7の誤作動やバルブロックを防止することができる。これにより、内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置)に対する信頼性を向上することができる。
【実施例2】
【0090】
図6(b)は本発明の実施例2を示したもので、図6(b)は内燃機関用吸気流制御装置のシール構造を示した図である。
【0091】
実施例1の内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置)は、図6(a)に示したように、複数のバルブユニット4の各ハウジング6を構成すると共に、内部に吸気方向に真っ直ぐに延びる空気流路11を形成する長方形筒状(矩形筒状)の内管91を備えている。そして、内管91の外周部には、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面に対向する外周面を有するフランジ部15が外側に突き出すように設けられている。このフランジ部15は、ハウジング6の内部に形成される空気流路11の軸線方向の中心部よりも吸気方向の下流側、特に空気流路11の空気出口側の開口周端縁部の外周に片寄って設けられている。
【0092】
そして、一体ゴム成形品で、且つ単一部品のガスケット9は、インテークマニホールド1の第1規制面41とヘッドカバー2の上流側端面29との間に装着され、且つインテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面と複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6のフランジ部15の外周面との間に装着されている。また、ガスケット9は、高いシール性が要求される第1シール部71の圧縮率を高圧縮率とし、低いシール力で良い第2シール部72の圧縮率を第1シール部71よりも低圧縮率となるように設定されている。
【0093】
本実施例の内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置)は、図6(b)に示したように、複数のバルブユニット4の各ハウジング6のヘッドカバー側端部(下流側端部)を2重管構造としている。この2重管構造のハウジング6は、内部に空気流路11を形成する内管91と、この内管91の周囲を取り囲むように配設された外管92とによって構成されている。外管92は、内管91の内部に形成される空気流路11の軸線方向の中心部よりも吸気方向の下流側、特に空気流路11の空気出口側の開口周端縁部の外周に片寄って設けられている。そして、外管92自体が、ガスケット9の装着位置となるフランジ部15を成す。また、内管91の外壁面と外管92の内壁面との間には、所定の長方形環状空間(または矩形環状空間)93が形成されている。また、内管91と外管92とは、内管91の天壁部53および底壁部54に設けられる2つの嵌合凸部16、17によって接続されている。
【0094】
これによって、ハウジング6のフランジ部15近傍、つまりハウジング6のヘッドカバー側端部(下流側端部)が2重管構造となり、直接ガスケット9の反力を受け止める外管92の歪み変形を、内管91に伝えない構造となる。これにより、インテークマニホールド1のガスケット収容穴22の内周面と複数のバルブユニット4の各ハウジング6の外周面との間にガスケット9の第2シール部72が挟み込まれた際の、ガスケット9の第2シール部72の反力に伴うバルブ軸14近傍および第1、第2軸受け部近傍のハウジング6の内管91の変形を防止することができる。したがって、ハウジング6の内管91の流路壁面(両側壁面、天壁面、底壁面)と吸気流制御バルブ7との間に、吸気流制御バルブ7が全開位置と全閉位置との間を開閉動作するのに必要な適正隙間(クリアランス)の確保が容易となり、吸気流制御バルブ7の誤作動やバルブロックを防止することができる。これにより、内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置)に対する信頼性を向上することができる。
【実施例3】
【0095】
図7は本発明の実施例3を示したもので、図7(a)〜(d)はガスケットの断面形状を示した図である。
【0096】
実施例1、2では、図7(a)に示したように、ガスシール材として楕円形状の断面を有するガスケット9を採用することで、第1シール部71を高圧縮率となるように設定し、また、第2シール部72を第1シール部71と比べて低圧縮率となるように設定している。ここで、ガスケット9の各々の形状を、図7(b)〜(d)に示したような形状に変更しても良い。これらの場合でも、第1シール部71の圧縮率よりも第2シール部72の圧縮率の方が低圧縮率(高剛性)となるように構成できる。すなわち、第2シール部72の圧縮率よりも第1シール部71の圧縮率の方が高圧縮率(柔らかい)となるように構成できる。
【0097】
[変形例]
本実施例では、内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置、渦流発生装置)を、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室内にて混合気の燃焼を促進させるための縦方向の吸気渦流(タンブル流)の生成が可能となるように構成したが、内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置、渦流発生装置)を、エンジン本体の各気筒毎の燃焼室内にて混合気の燃焼を促進させるための横方向の吸気渦流(スワール流)の生成が可能となるように構成しても良い。また、内燃機関用吸気流制御装置(吸気流発生装置、渦流発生装置)を、エンジンの燃焼を促進するためのスキッシュ渦の生成が可能となるように構成しても良い。
【0098】
本実施例では、本発明の内燃機関用吸気装置を、内燃機関の各気筒毎の燃焼室内に吸入される吸入空気を制御する内燃機関用吸気流制御装置に適用しているが、本発明の内燃機関用吸気装置を、内燃機関の各気筒毎の燃焼室内に吸入される吸入空気の流量を制御する内燃機関用吸気制御装置に適用しても良い。この場合には、アイドル回転速度制御バルブ、スロットルバルブ等の吸気流量制御バルブがハウジングの内部に組み込まれる。また、本発明の内燃機関用吸気装置を、エンジンの排気ガスの一部(EGRガス)を排気系から吸気系に再循環させる排気ガス還流路に連通する空気流路を有するハウジングと、このハウジング内部に開閉自在に収容されて、排気ガス還流量を制御するEGR制御バルブとを備えた排気ガス再循環装置(EGR制御バルブユニット)に適用しても良い。また、本発明のバルブユニットを、エンジンの排気通路に連通する空気流路を有するハウジングと、このハウジング内部に開閉自在に収容されて、エンジンの気筒より流出する排気ガスを制御する排気制御バルブとを備えた排気制御バルブユニットに適用しても良い。
【0099】
また、本発明の内燃機関用吸気装置を、可変吸気バルブを備えた内燃機関用可変吸気装置に適用しても良い。可変吸気バルブは、エンジン回転速度に対応してインテークマニホールドの吸気通路の通路長または通路断面積を可変する内燃機関用吸気制御弁である。なお、内燃機関用可変吸気装置は、例えばエンジン回転速度が低中速回転領域の時にはインテークマニホールドの吸気通路の通路長が伸長するように可変吸気バルブによって吸気通路を切り替え、また、エンジン回転速度が高速回転領域の時にはインテークマニホールドの吸気通路の通路長が短縮するように可変吸気バルブによって吸気通路を切り替えることで、エンジン回転速度に拘らず、エンジン出力軸トルク(エンジントルク)を向上できる装置である。また、流体として、吸入空気や排気ガス等の気体だけでなく、水、オイル、燃料等の液体を用いても良い。
【0100】
本実施例では、バルブユニット4の吸気流制御バルブ7を閉弁駆動(または開弁駆動)するバルブ駆動装置を、電動モータと動力伝達機構(例えば歯車減速機構等)とを含んで構成される動力ユニットを備えた電動式アクチュエータによって構成したが、バルブを開弁駆動または閉弁駆動するバルブ駆動装置を、電磁式または電動式負圧制御弁を備えた負圧作動式アクチュエータや、電磁式アクチュエータによって構成しても良い。なお、バルブを開弁方向または閉弁方向に付勢するスプリング等のバルブ付勢手段を設置しなくても良い。
【0101】
本実施例では、本発明の内燃機関用吸気装置を、気筒が群配置された直列4気筒のエンジンの吸気系に搭載しているが、本発明の内燃機関用吸気装置を、気筒が群配置された複数のバンクを有する内燃機関の吸気系に搭載しても良い。このような内燃機関としては、V型エンジン、水平型エンジン、水平対向型エンジン等の多気筒エンジンがある。また、本実施例では、2つの第1、第2ベアリング35、36を樹脂化しているが、2つの第1、第2軸受け部品を金属製としても良い。また、バルブは、多連一体型のバルブに限定されず、吸気流量制御バルブ、吸気流制御バルブ、吸気通路切替バルブまたは吸気通路開閉バルブ等の吸気制御バルブであれば1個の吸気制御バルブでも良い。
【0102】
本実施例では、内燃機関のインテークダクトを構成する2つの第1、第2エンジン部品のうちの吸気方向の下流側に配置されるヘッドカバー(第2エンジン部品)2を、アルミニウムダイカスト等の金属鋳物品としているが、内燃機関のインテークダクトを構成する2つの第1、第2エンジン部品のうちの吸気方向の下流側に配置される第2エンジン部品を、シリンダヘッド3とし、このシリンダヘッド3を、アルミニウムダイカスト等の金属鋳物品としても良い。この場合には、シリンダヘッド3の上部に取り付けられるヘッドカバーを、シリンダヘッド3およびシリンダブロックに対して、エンジンの力があまりかからないので、熱可塑性樹脂やマグネシウム等の軽量な材料によって形成しても良い。
【0103】
本実施例では、内燃機関のインテークダクトを構成する第1エンジン部品を2重管構造のインテークマニホールド1としているが、内燃機関のインテークダクトを構成する第1エンジン部品をスロットルバルブを内蔵する2重管構造のスロットルボデーとしても良い。この場合には、内燃機関のインテークダクトを構成する第2エンジン部品が、サージタンクまたはインテークマニホールドとなる。また、内燃機関のインテークダクトを構成する第1エンジン部品を2重管構造のヘッドカバーとしても良い。この場合には、内燃機関のインテークダクトを構成する第2エンジン部品が、シリンダヘッドとなる。また、インテークマニホールドを、2重管構造の樹脂製インテークマニホールドと、金属製インテークマニホールドとに2分割しても良い。この場合には、2重管構造の樹脂製インテークマニホールドが、金属製インテークマニホールドに対して吸気方向の上流側に設置されていても、吸気方向の下流側に設置されていてもどちらでも構わない。
【0104】
本実施例では、インテークマニホールド(第1エンジン部品)1の第1結合端面31近傍に2つの嵌合凹部(第1嵌合部)33、34を設け、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6のフランジ部15近傍に、インテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34にそれぞれ嵌合する2つの嵌合凸部(第2嵌合部)16、17を設けているが、インテークマニホールド1の第1結合端面31近傍に2つの嵌合凸部(第1嵌合部)を設け、複数のバルブユニット4毎の各ハウジング6のフランジ部15近傍に、インテークマニホールド1の2つの嵌合凹部33、34にそれぞれ嵌合する2つの嵌合凹部(第2嵌合部)を設けても良い。なお、2つの嵌合凸部16、17や嵌合凹部等の第2嵌合部は、ハウジング6のフランジ部15より離れた場所に設けられていても良い。
【0105】
本実施例では、複数のバルブユニット4の各ハウジング6の天壁部53の外壁面に嵌合凸部16等の第2嵌合部を設け、複数のバルブユニット4の各ハウジング6の底壁部54の外壁面に嵌合凸部17等の第2嵌合部を設けているが、複数のバルブユニット4の各ハウジング6の2つの第1、第2側壁部51、52の外壁面に嵌合凸部や嵌合凹部等の第2嵌合部を設けても良い。この場合には、インテークマニホールド側の嵌合凹部33、34や嵌合凸部等の第1嵌合部を、バルブユニット4のハウジング6の2つの第1、第2側壁部51、52の外壁面に対向する2つの第1、第2側壁面に設ける。また、第1嵌合部および第2嵌合部の個数は、例えば対向する内壁面または対辺にそれぞれ1個以上設けることが望ましい。また、インテークマニホールド1の嵌合穴21を円形状に成形し、バルブユニット4のハウジング6の断面形状を円筒(円管)形状に成形した場合には、第1嵌合部および第2嵌合部を周方向に所定の間隔(等間隔)で2個以上設けることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】内燃機関用吸気流制御装置を示した断面図である(実施例1)。
【図2】図1のA−A断面図である(実施例1)。
【図3】内燃機関用吸気流制御装置を示した斜視図である(実施例1)。
【図4】内燃機関用吸気流制御装置を示した分解図である(実施例1)。
【図5】バルブユニットを示した斜視図である(実施例1)。
【図6】(a)は内燃機関用吸気流制御装置のシール構造を示した拡大図で(実施例1)、(b)は内燃機関用吸気流制御装置のシール構造を示した拡大図である(実施例2)。
【図7】(a)〜(d)はガスケットの断面形状を示した断面図である(実施例3)。
【図8】内燃機関用吸気流制御装置を示した断面図である(比較例1)。
【符号の説明】
【0107】
1 インテークマニホールド(第1エンジン部品)
2 ヘッドカバー(第2エンジン部品)
3 シリンダヘッド
4 バルブユニット
5 バルブシャフト(角形鋼製シャフト)
6 ハウジング
7 吸気流制御バルブ(吸気制御バルブ)
9 ガスケット
10 インテークマニホールドの第1吸気通路
11 ハウジングの空気流路
12 ヘッドカバーの第2吸気通路
13 シリンダヘッドの吸気ポート
14 吸気流制御バルブのバルブ軸
15 バルブユニットのハウジングのフランジ部
16 バルブユニットのハウジングの嵌合凸部(第2嵌合部)
17 バルブユニットのハウジングの嵌合凸部(第2嵌合部)
19 吸気流制御バルブの板状弁体
20 シャフト貫通穴(バルブ軸の貫通穴)
21 インテークマニホールドの嵌合穴
26 インテークマニホールドのシャフト貫通孔
31 インテークマニホールドの第1結合端面
32 バルブユニットのハウジングの第2結合端面
33 インテークマニホールドの嵌合凹部(第1嵌合部)
34 インテークマニホールドの嵌合凹部(第1嵌合部)
41 インテークマニホールドの第1規制面
42 インテークマニホールドの第2規制面
43 インテークマニホールドの第3規制面
55 ハウジングの第1軸受け穴(第1軸受け部)
56 ハウジングの第2軸受け穴(第2軸受け部)
61 ハウジングのフランジ部の第1当接面
62 ハウジングの嵌合凸部の第2当接面
63 ハウジングの嵌合凸部の第3当接面
71 ガスケットの第1シール部
72 ガスケットの第2シール部
91 ハウジングの内管
92 ハウジングの外管
93 長方形環状空間(所定の環状空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内燃機関のインテークダクトを構成する2つの第1、第2エンジン部品と、
(b)前記2つの第1、第2エンジン部品のうちで吸気方向の上流側に配置される前記第1エンジン部品の内部に組み込まれて、内部に空気流路が形成された筒状のハウジング、
および前記空気流路を流れる吸気を制御する吸気制御バルブを有するバルブユニットと、
(c)前記第1エンジン部品と前記第2エンジン部品との間を密閉する第1シール機能、
前記第1エンジン部品と前記バルブユニットとの間を密閉する第2シール機能、
および前記内燃機関から前記バルブユニットに伝播する振動を減衰する振動吸収機能を有する1個のガスケットと
を備えた内燃機関用吸気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関用吸気装置において、
前記ガスケットは、前記第1シール機能、前記第2シール機能および前記振動吸収機能を全て兼ね備えた一体ゴム成形品で、且つ単一部品によって構成されていることを特徴とする内燃機関用吸気装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内燃機関用吸気装置において、
前記ガスケットは、前記バルブユニットの周囲を取り囲むように配設された環状のゴム系弾性体であって、前記第1シール機能を有する第1シール部、および前記第2シール機能を有する第2シール部を備えていることを特徴とする内燃機関用吸気装置。
【請求項4】
請求項3に記載の内燃機関用吸気装置において、
前記ガスケットは、前記第1シール部の圧縮率よりも前記第2シール部の圧縮率の方が低圧縮率となるように構成されていることを特徴とする内燃機関用吸気装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の内燃機関用吸気装置において、 前記第1エンジン部品は、前記第2エンジン部品の上流側端面に対向配置されて、前記ガスケットを介して、前記第2エンジン部品の上流側端面に気密的に結合する第1結合端面を有していることを特徴とする内燃機関用吸気装置。
【請求項6】
請求項5に記載の内燃機関用吸気装置において、
前記第1エンジン部品は、前記第1結合端面よりも吸気方向の上流側に、前記バルブユニットを係止する規制面を有し、
前記バルブユニットは、前記ハウジングの外周部に前記第1エンジン部品の規制面に当接する当接面を有し、前記ハウジングの当接面が、前記第1エンジン部品の規制面に当接する位置で、前記第1エンジン部品に対する吸気方向と略同一方向の組付位置が規定されていることを特徴とする内燃機関用吸気装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の内燃機関用吸気装置において、
前記第1エンジン部品は、前記第1結合端面よりも空気流方向の上流側に、前記バルブユニットを係止する第1嵌合部を有し、
前記バルブユニットは、前記ハウジングの外周部に前記第1エンジン部品の第1嵌合部に嵌合する第2嵌合部を有し、前記ハウジングの第2嵌合部が、前記第1エンジン部品の第1嵌合部に嵌合する位置で、前記第1エンジン部品に対する吸気方向に対して略直交する垂直方向の組付位置が規定されていることを特徴とする内燃機関用吸気装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の内燃機関用吸気装置において、 前記バルブユニットは、前記吸気制御バルブの回転中心を成すバルブ軸を有し、
前記ハウジングは、前記空気流路の中心部よりも吸気方向の上流側に、前記バルブ軸を回転自在に軸支または収容する軸受け部、および前記空気流路の中心部よりも吸気方向の下流側に、前記ハウジングの外壁面より外側に突出するように環状のフランジ部を有し、 前記ガスケットは、前記ハウジングのフランジ部の周囲を取り囲むように配設されていることを特徴とする内燃機関用吸気装置。
【請求項9】
請求項8に記載の内燃機関用吸気装置において、
前記ハウジングは、内部に前記空気流路を形成する内管、およびこの内管の外壁面との間に所定の環状空間を形成すると共に、前記内管の周囲を取り囲むように配設された外管を有し、
前記外管自体が前記フランジ部を成すことを特徴とする内燃機関用吸気装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の内燃機関用吸気装置において、 前記第1エンジン部品は、内部に第1吸気通路が形成されたインテークマニホールドであって、
前記第2エンジン部品は、内部に第2吸気通路が形成されたシリンダヘッド、あるいはこのシリンダヘッド上部に取り付けられるヘッドカバーであって、
前記第1吸気通路、前記空気流路および前記第2吸気通路の順に吸入空気が流れることを特徴とする内燃機関用吸気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−170340(P2007−170340A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372210(P2005−372210)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】