説明

内臓脂肪の状態を処置するための方法

ナルトレキソン及びブプロピオンの併用を用いて内臓脂肪の状態及び/またはメタボリックシンドロームを処置するための方法及び組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、内臓脂肪を低減し、かつ/またはメタボリックシンドロームを処置するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満に付随する健康上の危険性は、脂肪がどのように、及びどこに貯蔵されるかに依存し得る。皮膚の脂肪(cutaneous fat)は皮膚表面付近にある脂肪を意味する。内臓脂肪は、腹腔内脂肪または皮下脂肪とも呼ばれることがあり、通常、内部臓器を取り囲んでいる。皮下脂肪とは対照的に、内臓脂肪は、様々な重篤な医学的障害に関連する危険因子であることが示されている。
【0003】
例えば、ヒトが肥満であっても(BMI>30)、またはそうでなくても、ヒトは腹腔における(特に、腸間膜における、及び/または大網における)内臓脂肪の蓄積を依然として経験し得る。この蓄積は、次に、血清コレステロール、トリグリセリド、及び/または耐糖能試験によって測定した血糖の値の上昇に正に相関することが多い。内臓脂肪の蓄積はまた、収縮期及び拡張期血圧と正に相関することが多く、したがって、高血圧、糖尿病、及び高脂血症などの疾患の危険性の増大に関連する(例えば、Fujioka, S.ら、Metabolism、36巻、54〜59頁、1987年; Matsuzawa, Y.ら、Progress in Obesity Research、309〜312頁、1990年を参照されたい)。したがって、これらの疾患は、内臓脂肪の蓄積を阻害し、かつ/または体脂肪の分配を改善することによって、内臓脂肪を低減することにより、処置、治癒、及び/または予防されると考えられている(例えば、Bray, G. A.、Obesity Research、3巻、補完4、425S〜434S頁、1995年を参照されたい)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第2007-0281021 A1
【特許文献2】米国特許第5,512,593号
【特許文献3】米国特許第5,817,665号
【特許文献4】米国特許公開第2004-0254208号
【特許文献5】米国特許公開第2006-0142290号
【特許文献6】米国出願第11/937,421号
【特許文献7】米国出願第11/937,367号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Fujioka, S.ら、Metabolism、36巻、54〜59頁、1987年
【非特許文献2】Matsuzawa, Y.ら、Progress in Obesity Research、309〜312頁、1990年
【非特許文献3】Bray, G. A.、Obesity Research、3巻、補完4、425S〜434S頁、1995年
【非特許文献4】Montague, C Tら、2000年、Diabetes、49巻、883〜888頁
【非特許文献5】Watanabeら、2003年、Clin Exp Hypertens、25巻、199〜208頁
【非特許文献6】Wood Nら、2003年、J Clin Periodontol、30巻、321〜327頁
【非特許文献7】Goodpaster, B Hら、2003年、Diabetes Care、26巻、372〜379頁
【非特許文献8】「The Pharmacological Basis of Therapeutics」第1章、1頁における、Finglら、1975年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、内臓脂肪を低減するための有効な薬物療法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態において、内臓脂肪の状態を処置する方法を提供する。この方法は、それを必要とするヒトを同定するステップ、一緒に内臓脂肪の状態を処置するのに有効である投与量のナルトレキソン及びブプロピオンをヒトに投与するステップとを含むことができる。処置を必要とするヒトの同定は、そのヒトが内臓肥満であることを決定すること、ならびに/あるいはそのヒトが、冠状動脈性心疾患、癌、糖尿病、耐糖能異常、高インスリン血症、高血圧、歯周病、及びメタボリックシンドロームから選択される少なくとも1つの疾患または状態の危険性及び/または重症度を増大させるある量の内臓脂肪を有することを決定することを含むことができる。処置を必要とするヒトの同定は、患者のウエスト対ヒップの測定比を決定することを含むことができる。患者のウエスト対ヒップの測定比は、約0.8以上であってよい。処置を必要とするヒトの同定は、コンピュータ断層(CT)スキャン、核磁気共鳴画像法スキャン、及び超音波検査図から選択される1つまたは複数の試験を分析することを含むことができる。そのヒトの腹腔内の脂肪面積は、L4〜L5レベルの単一の断層撮影の切片におけるCTスキャンによって決定して、約80cm2以上であってよい。処置を必要とするヒトの同定は、そのヒトのボディマスインデックスが、約25を超え、約27を超え、約30を超え、または約40を超えることを決定することを含むことができる。ナルトレキソン及びブプロピオンを、単一の剤形において一緒に投与することができる。成人ヒトに対するブプロピオンの投与量は、有利には、約100mgから約600mgの範囲、例えば、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgであってよい。成人ヒトに対するナルトレキソンの投与量は約4mgから約50mgの範囲、例えば、約4mg、約8mg、約16mg、約32mg、または約48mgであってよい。処置を必要とするヒトの同定は、そのヒトがメタボリックシンドローム(シンドロームXとしても知られる)を有することを決定することを含むことができ、この決定は、腹部肥満、トリグリセリドレベルの上昇、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルの低下、高血圧、及び空腹時血糖の障害から選択される少なくとも3つの患者の特徴を同定することを含み得る。ナルトレキソン及びブプロピオンは、一緒に、腹部肥満の低減、トリグリセリドレベルの低下、高比重コレステロールレベルの上昇、血圧の低下、及び空腹時血糖レベルにおける改善から選択される少なくとも1つの効果をもたらすのに有効である投与量において投与することができる。ある場合には、ヒトのボディマスインデックスは、約25(過体重の定義)を超え、約27を超え、約30(肥満の定義)を超え、または約40を超えていてよいが、他の場合において患者のボディマスインデックスは約30未満(非肥満)であってもよい。いずれにしても、内臓脂肪及びその健康上の結果が存在し得る。ナルトレキソン及びブプロピオンを、一緒に、炎症の低減をさらにもたらすのに有効である投与量において投与することができ、炎症の低減はインターロイキン6の血清レベルの低減、及び/またはC反応性タンパク質の血清レベルの低減を含むことができる。このような因子は、心血管の危険性を媒介すると考えられている。したがって、ナルトレキソン及びブプロピオンを、一緒に、心疾患に対するヒトの感受性を低減するのに有効である投与量において投与することができる。
【0008】
内臓脂肪の状態を処置する方法は、ナルトレキソンもしくは薬学的に許容されるその塩、またはブプロピオンもしくは薬学的に許容されるその塩を、内臓脂肪の状態に対する処置が必要であると同定または診断されたヒトに、内臓脂肪の状態を処置するために投与することも含むことができる。ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩を、ブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩を単独で投与するのに比べて、ブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩の処置効果を増強するのに有効な量において投与することができる。ブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩を、ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩を単独で投与するのに比べて、ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩の処置効果を増強するのに有効な量において投与することができる。そのヒトは、冠状動脈性心疾患、癌、糖尿病、耐糖能異常、高インスリン血症、高血圧、歯周病、及びメタボリックシンドロームから選択される、少なくとも1つの疾患または状態の危険性及び/または重症度を増大させるある量の内臓脂肪を有することができる。そのヒトは、ウエスト対ヒップ測定比の決定を含む方法を用いて以前に同定または診断されていてよい。ウエスト対ヒップの測定比は、約0.8以上であってよい。そのヒトは、コンピュータ断層(CT)スキャン、核磁気共鳴画像法スキャン、及び超音波検査図から選択される1つまたは複数の試験を分析することを含む方法を用いて、以前に同定または診断されていてよい。そのヒトの腹腔内の脂肪面積は、L4〜L5レベルの単一の断層撮影の切片におけるCTスキャンによって決定して、約80cm2以上であってよい。そのヒトはメタボリックシンドロームを有していてよい。メタボリックシンドロームは、腹部肥満、トリグリセリドレベルの上昇、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルの低下、高血圧、及び空腹時血糖の障害から選択される少なくとも3つの患者の特徴を同定することを含む方法を用いて同定または診断されていてよい。内臓脂肪の状態の処置は、そのヒトの、心疾患に対する感受性を低減することができる。この低減は、炎症の低減、インターロイキン6の血清レベルの低減、及び/またはC反応性タンパク質の血清レベルの低減を含むことができる。そのヒトは、内蔵肥満であってよい。ある場合には、そのヒトのボディマスインデックスは、約30(すなわち、肥満)を超えていてよい。ある場合には、そのヒトのボディマスインデックスは、約40を超えていてよい。他の場合において、患者のボディマスインデックスは約30未満(すなわち、非肥満)であってよい。いずれにしても、内臓脂肪及びその健康上の結果が存在してよい。ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩、及びブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩を、単一の剤形において一緒に投与してもよく、または別々の剤形に置いて投与してもよい。ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩を、ブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩の前に、それと同時に、またはその後に投与することができる。成人ヒトに対するブプロピオンの投与量は、有利には、約100mgから約600mgの範囲、すなわち、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgであってよい。成人ヒトに対するナルトレキソンの投与量は約4mgから約50mgの範囲、すなわち、約4mg、約8mg、約16mg、約32mg、または約48mgであってよい。ナルトレキソンは徐放性ナルトレキソンであってよく、かつ/またはブプロピオンは徐放性ブプロピオンであってよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、患者に内臓脂肪の処置を投与する方法を提供する。方法は、患者または介添人に、ブプロピオン及びナルトレキソンの併用療法は内臓脂肪の状態を処置するのに有効であることをアドバイスすること、ならびにナルトレキソン及びブプロピオンを、一緒に内臓脂肪の状態を処置するのに有効である投与量において患者に投与することを含む。患者または介添人にアドバイスすることは、書面の情報を提供することを含むことができる。書面の情報は、ラベルまたは製品の挿入物を含むことができる。患者または介添人にアドバイスすることは、ナルトレキソン及びブプロピオンの投与量は、一緒に、体重の減少をもたらすのに有効であることをアドバイスすることをさらに含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、メタボリックシンドロームに罹患しているヒトを同定すること、ならびに、一緒にメタボリックシンドロームを処置するのに有効である投与量のナルトレキソン及びブプロピオンをそのヒトに投与することを含む、メタボリックシンドロームを処置する方法を提供する。そのヒトがメタボリックシンドロームを有することを決定することは、腹部肥満、トリグリセリドレベルの上昇、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルの低下、高血圧、及び空腹時血糖の障害から選択される少なくとも3つの患者の特徴を同定することを含み得る。特徴の1つは腹部肥満であってよい。ナルトレキソン及びブプロピオンは、一緒に、腹部肥満の低減、トリグリセリドレベルの低下、高比重コレステロールレベルの上昇、血圧の低下、及び空腹時血糖レベルにおける改善から選択される少なくとも1つの効果をもたらすのに有効である投与量において投与することができる。ナルトレキソン及びブプロピオンを、単一の剤形において一緒に投与することができる。ブプロピオンの投与量は、約100mgから約600mgの範囲であってよい。ブプロピオンの投与量は、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgであってよい。ナルトレキソンの投与量は約4mgから約50mgの範囲、例えば、約4mg、約8mg、約16mg、約32mg、または約48mgであってよい。
【0011】
これら及び他の実施形態を、以下にさらに詳しく記載する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】様々な処置後の内臓のボディマスにおける平均の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本明細書で用いられる用語「内臓脂肪」は、当業者によって理解されるその通常の意味を有し、腹膜腔の内側である腹部領域における脂肪を含み、したがって「皮下脂肪」とは異なる。内臓脂肪は、例えば、コンピュータ断層(CT)、核磁気共鳴画像法(MRI)、超音波検査図、及び/または対象のウエスト対ヒップ測定比の決定によって、当業者には知られている標準的なアッセイにより、定性的または定量的のいずれかで評価されてよい。
【0014】
本明細書で用いられる用語「内臓脂肪の状態」は、過剰量の内臓脂肪の存在に付随する様々な疾患、状態、及び障害を意味する。したがって、内臓脂肪の状態を有する個体は、不健康な量の、例えば、内臓脂肪の存在に付随する疾患、状態、または障害の危険性または重症度の増大に相関する量の内臓脂肪を有する。例えば、内臓脂肪は、肥満、冠状動脈性心疾患、癌、糖尿病、耐糖能異常、及び高インスリン血症(Montague, C Tら、2000年、Diabetes、49巻、883〜888頁を参照されたい);高血圧(Watanabeら、2003年、Clin Exp Hypertens、25巻、199〜208頁を参照されたい);歯周病(Wood Nら、2003年、J Clin Periodontol、30巻、321〜327頁を参照されたい);ならびにII型糖尿病などのメタボリックシンドローム(Goodpaster, B Hら、2003年、Diabetes Care、26巻、372〜379頁を参照されたい)などの疾患及び状態に関連する。前述の文献は、その全体が、とりわけ内臓脂肪の状態を記載する目的で、参照によって本明細書に援用される。あらゆる特定の理論によって拘泥されるものではないが、内臓脂肪は、(少なくとも)肝臓に対して過大な脂肪酸の負担を課し、様々な疾患及び状態をもたらし、合併させ、かつ/または悪化させると考えられている。
【0015】
本明細書で用いられる用語「選択的な内臓脂肪の状態」は、過剰量の内臓脂肪の存在に付随するが、過剰量の非内臓(例えば、皮下)脂肪の存在には付随しない、様々な疾患、状態、及び障害を意味する。例えば、内臓肥満に罹患しているが、一般的な肥満に罹患していないヒトは、選択的な内臓脂肪の状態に罹患している。
【0016】
本明細書で用いられる「処置」または「処置する」は、物理的(例えば、識別可能な症状の安定化)であっても、生理的(例えば、身体的パラメータの安定化もしくは低減)であっても、または両方であっても、疾患、状態、もしくは障害(例えば、内臓肥満)の進行を阻害もしくは逆転し、または疾患、状態、もしくは障害(例えば、内臓肥満)の発症を遅らせることを意味する。本明細書で用いられる用語「処置」、「処置する」などは、望ましい薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを意味する。効果は、疾患もしくは状態、またはそれらの症状を完全に、または部分的に防ぐことに関して予防的であってよく、かつ/あるいは疾患、状態、または障害の部分的もしくは完全な逆転、寛解、もしくは治癒に関して、及び/または疾患、状態、もしくは障害に起因する悪影響に関して治療的であってよい。本明細書で用いられる「処置」、または「処置する」は、ヒトにおける疾患、状態、または障害のあらゆる処置を包含し、疾患による死亡の危険性を低減し;疾患の素因があり得るが、疾患を有すると未だに診断されていない対象において疾患または障害が生じるのを予防し;疾患または障害を阻害し、すなわちその発症を停止し(例えば、疾患の進行速度を低減し);疾患を軽減する(すなわち、疾患の退行をもたらす)ことを含む。本明細書に記載する処置方法の治療的利益には、内臓脂肪の状態の発症の危険性または重症度を低減すること、及び外観における改善(例えば、処置は、身体的外観、心理的利益、感情的利益などの改善にさらに付随し得る「美容上有効な」処置であってよい)が含まれる。
【0017】
本明細書で用いられる「増強する」、「増強」、または「増強性の」は、疾患、状態、または障害(例えば、内臓脂肪の状態)の処置における化合物の治療効果を改善及び/または増強することを意味する。第1の化合物は、等しい治療効果で投与される第2の化合物を少量にすることによって、第2の化合物を増強し得る。第1の化合物は、単独で投与された第2の化合物の治療効果を超える治療効果をもたらすことによって、第2の化合物を増強し得る。場合によっては、第1の化合物と第2の化合物との併用は、相加性の治療効果未満を有する。例えば、ナルトレキソン及びブプロピオンの量は、併用が、ナルトレキソン及びブプロピオンを単独で投与した合計未満である程度に内臓脂肪の状態を低減するように選択されてよい。ある場合には、第1の化合物と第2の化合物との併用が相加性の治療効果を有する。例えば、ナルトレキソン及びブプロピオンの量を、併用が、ナルトレキソン及びブプロピオンを単独で投与した合計にほぼ等しい程度に内臓脂肪の状態を低減するように選択してよい。ある場合には、第1の化合物と第2の化合物との併用は相乗性の治療効果を有する。例えば、ナルトレキソン及びブプロピオンの量を、併用が、ナルトレキソン及びブプロピオンを単独で投与した合計を超える程度に内臓脂肪の状態を低減するように選択してよい。
【0018】
本明細書で用いられる用語「皮下脂肪」は、当業者によって理解される通常の意味を有し、大腿領域の皮膚の下など、皮膚のすぐ下に沈着した脂肪が含まれる。
【0019】
本明細書で用いられる用語「ブプロピオン」は、文脈が別段に指摘しなければ、遊離のブプロピオン、活性のブプロピオン代謝物(それだけには限定されないが、ヒドロキシブプロピオン、及びアミノアルコール異性体であるスレオヒドロブプロピオン(threohydrobupropion)及びエリスロヒドロブプロピオン(erythrohydrobupropion)を含む)、プロドラッグエステル、アミド、ならびにブプロピオンの薬学的に許容される塩、例えば(それだけには限定されないが)、ブプロピオン塩酸塩及びブプロピオン臭化水素酸塩を含む。ブプロピオンを、即時放出型または放出制御型、例えば徐放型として配合することができる。ブプロピオンを1日1回の投与用に配合することができる。
【0020】
本明細書で用いられる用語「ナルトレキソン」は、文脈が別段に指摘しなければ、遊離のナルトレキソン、活性のナルトレキソン代謝物(それだけには限定されないが、6β-ナルトレキソールを含む)、プロドラッグエステル、アミド、ならびに薬学的に許容されるその塩を含む。ナルトレキソンを、即時放出型または放出制御型、例えば、その全体が、とりわけナルトレキソンの徐放型を記載する目的で参照によって本明細書に援用される、米国特許公開第2007-0281021 A1に記載されている徐放型として配合することができる。
【0021】
様々な実施形態において、ナルトレキソン及びブプロピオンをヒトに同時投与する。ナルトレキソン及びブプロピオンを配合し、様々な様式において投与することができる。例えば、全て、その全体が、とりわけナルトレキソン及びブプロピオンの配合、ならびにこれらを投与する方法を記載する目的で参照によって本明細書に援用される、米国特許第5,512,593号及び第5,817,665号、ならびに米国特許公開第2004-0254208号及び第2006-0142290号を参照されたい。ナルトレキソン及びブプロピオンを、例えば、その全体が、とりわけナルトレキソン及びブプロピオンを含む多層剤形を記載する目的で参照によって本明細書に援用される、2007年11月8日出願の米国出願第11/937,421号に記載されている多層錠において、単一の剤形中に併用することができる。あるいは、ナルトレキソン及びブプロピオンを、例えば、その全体が、とりわけナルトレキソン及びブプロピオンを別々の剤形として投与する方法を記載する目的で、参照によって本明細書に援用される、2007年11月8日出願の米国出願第11/937,367号に記載されている通り、別々の剤形として投与することができる。例えば、ナルトレキソンを、ブプロピオンの前に、それと同時に、またはその後に投与することができる。ナルトレキソン及びブプロピオンの同時投与は、同時であっても、または時間的に別々であっても、有効量の2つの薬物を同時に血流中に提供するように行うべきである。本明細書で論じた投与量は、同時に投与する場合、このような有効量の一例を提供するものである。ナルトレキソン及びブプロピオンの一方または両方を、別の減量薬及び/または内臓脂肪低減薬と一緒に投与することができる。ナルトレキソン及びブプロピオンの一方または両方は、徐放型であってよい。例えば、好ましい一実施形態において、徐放性ナルトレキソン及び徐放性ブプロピオンを、例えば、米国出願第11/937,421号及び第11/937,367号に記載されているように、同時に投与する。
【0022】
いくつかの実施形態において、一方または両方の化合物を、ボーラス注射または持続的注入によるなどの、注射による非経口投与用に配合する。注射用製剤を単位剤形において、例えば、保存剤を添加して、アンプルまたはマルチドーズ容器において提示することができる。化合物は、油性または水性のビヒクル中の懸濁剤、液剤、または乳剤などの形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤、及び/または分散剤などの配合用薬剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、1ヶ月に1回の注射用ナルトレキソン(商品名VIVITROL(登録商標)で市販されている)を、本明細書に記載した方法及び組成物に用いる。
【0023】
様々な実施形態において、本発明は、それを必要とするヒトを同定すること、ならびに一緒に内臓脂肪の状態を処置するのに有効である投与量のナルトレキソン及びブプロピオンをヒトに投与することを含む内臓脂肪の状態を処置する方法に関する。方法は、内臓脂肪の状態及び/または選択的な内臓脂肪の状態を有する患者を診断すること、ならびに一緒に状態を処置するのに有効である投与量のナルトレキソン及びブプロピオンをヒトに投与もしくは提供することを含むことができる。処置の有効性は、内臓脂肪の低減、ならびに/あるいは内臓脂肪の存在に付随する疾患、状態、もしくは障害の危険性、及び/または重症度の低減によって証明され得る。内臓脂肪レベルにおける変化は、コンピュータ断層(CT)、核磁気共鳴画像法(MRI)、超音波検査図などの内臓脂肪の測定技術を用いて、及び/または処置した患者のウエスト対ヒップ測定比における変化を測定して、本明細書に記載する内臓脂肪の処置の期間の前及び後の内臓脂肪の測定値を比較することによって決定することができる。一実施形態において、本明細書に記載する処置は、ほぼ同じである(非選択的)内臓脂肪及び皮下脂肪における低減をもたらし、全般的に、全体的な体重の減少をもたらす。内臓脂肪における選択的低減は、皮下脂肪よりも内臓脂肪における大幅な低減をもたらし、皮下脂肪における減少または増加が伴わないことさえある。したがって、内臓脂肪における選択的低減は、いくつかの状況において体脂肪の全体的な減少を伴う脂肪の再分布を典型的に伴うが、他の状況においては再分布に体脂肪の全体的な減少を伴わない。体脂肪の再分布は、理論によって縛られるものではないが、体重またはBMIにおける全体的な低減なしに対象における内臓脂肪が低減する1つの可能な説明であり、これは例えば、皮下脂肪における比例的な、または非比例的な増大のためであり得る。
【0024】
一般的に、処置したヒトのヒップ測定値における低減を超えるウエスト測定値の低減は、内臓脂肪の選択的な低減を示す。例えば、内臓脂肪における選択的な低減は、ウエストの直径の測定値がヒップの測定値よりも少なくとも約1cm低減する場合、またはヒップ測定値よりも少なくとも約2cm以上、例えば、ヒップ測定値よりも約3cmから約5cm以上低減する場合に示される。ウエスト測定値(または「腹部外周」)は内臓脂肪及び皮下脂肪の両方を考慮に入れたものであるが、ヒップ測定値は主に皮下脂肪を考慮に入れたものである。内臓脂肪における選択的な低減は、例えば、ウエスト対ヒップ測定比が、約1(ウエスト周囲長の測定値及びヒップ周囲長の測定値がほぼ同じである場合)を超えたものから、約1未満の比(ウエスト周囲長の測定値がヒップ周囲長の測定値未満である)未満の比までの低減を決定することによって評価することができる。内臓脂肪における選択的な低減は、例えば、ウエスト対ヒップ測定比における、約2%を超え(約3%を含む)、約100%まで(例えば、約4%から約98%)の低減を決定することによって評価することもできる。いくつかの実施形態において、ウエスト対ヒップ測定比の低減は、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%を超える。ウエスト対ヒップ測定比におけるパーセント値の低減は、患者の最初のウエスト対ヒップ比を患者の最終のウエスト対ヒップ比によって除したものを1から差し引いて100をかけて計算することができる(100×(1-Ri/Rf))。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態は、内臓脂肪における低減を必要とするヒトを同定すること、ならびに一緒に内臓肥満を処置するのに有効である投与量のブプロピオン及びナルトレキソンをヒトに投与することを含む、内臓肥満を処置する方法を目的とする。内臓肥満は、例えば、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比が、平均の非肥満のヒトまたは皮下脂肪に主に起因する肥満を有するヒトに対するよりも、内蔵肥満のヒトに対して高い、過体重または肥満のヒトが過剰の内臓脂肪を有する内臓脂肪の状態である。当業者であれば、肥満のヒトは必ずしも内臓肥満ではなく、内臓脂肪の状態を有するヒトが必ずしも肥満ではないことを理解する。肥満及び過体重は、米国疾病管理予防センターが定義する、約30以上(肥満に対して)、または25以上(過体重に対して)のボディマスインデックス(BMI)を表す成人対象(約20歳以上の対象)と現在定義される状態を意味する。当業者であれば、BMIに基づく肥満の定義は、この分野における状態または実践の理解における変化を反映するように改変されることがあり、このような肥満及び過体重のBMIに基づく定義に対する変化は本明細書において企図されることを容易に理解するであろう。年齢約2歳から20歳の対象に対しては、肥満及び過体重は、性別に特異的な成長チャート(米国疾病管理予防センターから入手できるものなど)上にプロットされる年齢に対するBMIの計算を用いて決定される。一実施形態において、内蔵肥満のヒトのBMIは約30以上であり、ウエスト対ヒップ測定比は約1を超える。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態は、メタボリックシンドロームを処置する方法を目的とする。例えば、一実施形態において、本明細書に記載する通り、ナルトレキソン及びブプロピオンを投与して内臓脂肪(内臓脂肪の絶対量もしくは皮下脂肪に対する内臓脂肪の比)を低減し、メタボリックシンドロームに付随する症状、状態、障害、または疾患(例えば、心疾患)を低減する。メタボリックシンドローム(シンドロームXとしても知られる)は、肥満及びインスリン耐性につながっており、約4700万人のアメリカ人に現れる一群の危険因子を表している。このシンドロームは、後に糖尿病または心血管疾患を発症する危険性を増大させることがあり、過剰な体重を減少させることによって低減することができる。メタボリックシンドローム(成人処置パネルガイドラインIII(Adult Treatment panel Guidelines III)を参照されたい)は、次の症状の3つ以上:腹部肥満、トリグリセリドレベルの上昇、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルの低下、高血圧、及び空腹時血糖の障害を有する対象に付随する状態である。腹部肥満は、男性ではウエスト40インチを超え、女性ではウエスト35インチを超えて顕在化し得る。空腹時血糖の障害は、110mg/dL以上として顕在化し得る。トリグリセリドレベルの上昇は、150mg/dL以上の空腹時トリグリセリドレベルとして顕在化し得る。HDLコレステロールレベルの低下は、男性では40mg/dL未満として、女性では50mg/dL未満として顕在化し得る。高血圧は、130/85以上として顕在化し得る。処置は、メタボリックシンドロームの少なくとも1つの症状の測定値を、症状として適格化する閾値を超える、または閾値未満とはもはやならない量に、増大または低下させることができる。例えば、処置により、ウエストの測定値を、男性では約40インチ未満、もしくは女性では約35インチ未満に低減し、空腹時血糖値を約110mg/dL未満に低下させ、トリグリセリドレベルを約150mg/dL未満に低下させ、HDLコレステロールレベルを、男性では約40mg/dLを超え、もしくは女性では約50mg/dLを超えて上昇させ、かつ/または血圧を約130/85未満に低下させることができる。いくつかの実施形態において、処置は、1つまたは複数の症状の測定値を、対象がメタボリックシンドロームを有するともはや適格化されないように低下させる。例えば、いくつかの実施形態において、対象は処置前に5つの症状全てを有するが、処置の間及び/または後には2つだけの症状を有する。いくつかの実施形態において、対象は処置前に症状を3つ有するが、処置の間及び/または後には症状はない。
【0027】
ナルトレキソン及びブプロピオンを、本明細書に記載するように、予防的処置(発症の前)及び/または美容的処置の少なくとも部分として投与することができ、予防的処置及び/または美容的処置は、内臓脂肪の相対的または絶対的な低減を含む。ある場合には、予防的処置及び/または美容的処置は体重減少をさらに含み、体重減少は内臓脂肪における低減に実質的に比例的であってよく、またはそうでなくてもよい。
【0028】
様々な実施形態が、患者または介添人に、ブプロピオン及びナルトレキソンとの併用療法は内臓脂肪の状態を処置するのに有効であることをアドバイスすることを含む、患者に減量治療を投与する方法を目的とする。例えば、本明細書に記載するナルトレキソン及びブプロピオンでの処置は、内臓体脂肪の低減、ならびに冠状動脈性心疾患、癌、糖尿病、耐糖能異常、高インスリン血症、高血圧、歯周病、及びメタボリックシンドロームから選択される少なくとも1つの疾患または状態の危険性及び/または重症度の低減(例えば、腹部肥満の低減、トリグリセリドレベルの低下、高比重コレステロールレベルの上昇、血圧の低下、空腹時血糖レベルにおける改善、炎症の低減、及び/または患者の心疾患に対する感受性の低減)をもたらすことを、患者または介添人にアドバイスすることができる。アドバイスは、書面の情報の提供を含むことができる。書面の情報は、ラベル、指示書、または包装の挿入物を含むことができる。
【0029】
本明細書に記載する方法は、内臓脂肪に起因する過剰な総体脂肪のパーセント値によって、または過剰である内臓脂肪の絶対量によって、過剰な内臓脂肪対皮下脂肪比として顕在化され得る、過剰な内臓脂肪を有する対象の処置を目的とする。例えば、過剰な内臓脂肪は、対象または内科医が望ましくない、及び/または不健康であるとみなすレベルであってよい。ある実施形態において、対象は肥満または過体重であるが、他の実施形態において対象は肥満または過体重ではない。過剰に高い内臓脂肪含量は、医学的な疾患、状態、または障害の危険性を増大させる脂肪含量を含み得る。過剰に高い内臓脂肪含量は、美容上の目的には高すぎると決定される脂肪含量を含み得る。患者の同定は、患者の内臓脂肪の特徴を決定し、または測定することを含み得る。内臓脂肪の特徴は、ウエストの周囲長及び/またはウエスト対ヒップ比を含み得る。内臓脂肪の特徴は、コンピュータ断層スキャン、核磁気共鳴画像法スキャン、及び超音波検査図の1つまたは複数を分析することによって少なくとも部分的に決定することができる。
【0030】
ナルトレキソン及びブプロピオンを、本明細書に記載する通り、ウエスト周囲長が、約80cm以上、約85cm以上、約90cm以上、約95cm以上、または約100cm以上である患者に投与することができる。好ましい一実施形態において、処置は患者のウエスト周囲長を、約80cm未満に、またはより好ましくは約70cm未満に低減する。ナルトレキソン及びブプロピオンを、ウエスト対ヒップ周囲長比が、約0.8以上、約0.85以上、約0.9以上、約0.95以上、または約1以上である患者に、本明細書に記載する通りに投与することができる。ナルトレキソン及びブプロピオンを、ウエスト対ヒップ周囲長比が、約0.8以上、約0.85以上、約0.9以上、約0.95以上、または約1以上である患者に、本明細書に記載する通りに投与することができる。好ましい一実施形態において、処置は患者のウエスト対ヒップ周囲長比を、約0.8未満に、またはより好ましくは約0.7未満に低減する。ナルトレキソン及びブプロピオンを、本明細書に記載する通り、腹腔内の脂肪面積が、L4〜L5レベルの単一の断層撮影の切片におけるCTスキャンによって推定して、約80cm2以上、約100cm2以上、約120cm2以上、または約130cm2以上である患者に投与することができる。好ましい一実施形態において、処置は、L4〜L5レベルの患者の断層撮影の切片を約80cm2未満に、またはより好ましくは約70cm2未満に低減する。
【0031】
ある実施形態において、対象は肥満または過体重であるが、他の実施形態において対象は肥満または過体重ではない。例えば、患者のBMIは、約25を超え、約27を超え、約30を超え、約40を超え、約30未満であり、約40未満であり、及び/または約50未満であってよい。
【0032】
対象の内臓脂肪のレベルを、当業者には知られている様々な技術によって決定することができる。対象の内臓脂肪は、直接測定することができる。内臓肥満は、対象のウエスト対ヒップ測定比を決定することによって診断することができる。一般的にウエスト及びヒップの測定を行い、比を、内臓脂肪に付随するある種の疾患または状態に対する危険性の量を反映する公表されている表に比べる。ウエスト測定値、すなわちベルトサイズは、それ自体でも用いられ得る。処置に応答した、対象における内臓脂肪レベルにおける変化(例えば、「内臓脂肪における低減」)は、対象のウエスト対ヒップ測定比によって決定することができる。ウエスト測定値(または「腹部外周」)は内臓脂肪及び皮下脂肪の両方を考慮に入れたものであるが、ヒップ測定値は皮下脂肪のみを考慮に入れたものである。
【0033】
内臓脂肪をまた、当業者であれば知っている標準的なアッセイによって、例えば、腹部などのコンピュータ断層(CT)スキャンによって、定性的及び定量的の両方で評価することができる。所望により、CTスキャンを用いて内臓脂肪及び皮下脂肪の両方を評価することができる。このような場合において、対象が治療に適しているか否かの決定の一部として、皮下脂肪に対する内臓脂肪の比を決定すること、及び/または本発明による治療をモニターすることは有用であり得る。内臓脂肪は、L4〜L5レベルの単一の断層撮影の切片におけるCTスキャンによって評価することができる。内臓脂肪を、核磁気共鳴画像法、及び超音波検査図の1つまたは複数を分析することによって、少なくとも部分的に評価することができる。
【0034】
正常な対象、すなわち、本発明の方法及び組成物に適していることができる、肥満、大量の内臓脂肪、または内臓脂肪の疾患、状態、もしくは障害を示していない対象を、それだけには限定されないが、遺伝子試験及び家族歴のスクリーニングを含めた、肥満、内臓脂肪、または内臓脂肪の疾患、状態、または障害を予測するためのあらゆる方法によって同定することができる。
【0035】
患者は内臓脂肪の状態に罹患していてよい。例えば、患者は、冠状動脈性心疾患、ある種の癌、糖尿病、耐糖能異常、高インスリン血症、高血圧、歯周病、メタボリックシンドローム、及び糖尿病の1つまたは複数に罹患していてよく、または罹患する危険性があってよい。状態は、過体重である患者に関連し得る。状態は、体重の減少によっても阻害され得る。いくつかの実施形態において、患者は、内臓脂肪の相対値または絶対値における増大をもたらす異なる薬物を投与されている。
【0036】
本発明における使用に適するナルトレキソン及びブプロピオンの組成物は、その意図された目的を実現するのに有効な量の有効成分が含まれている組成物を含む。「治療有効量」は、典型的には臨床医または内科医が決定して、内臓脂肪の状態を処置または管理するのに十分であるナルトレキソン及び/またはブプロピオンの組成物の量を意味する。いくつかの実施形態において、2つ以上の化合物を、別々に、または単一の剤形において提供する。これらの実施形態において、治療有効量を、2つ以上の化合物の併用効果に基づいて決定することができる。例えば、ナルトレキソン及びブプロピオンの併用が内臓脂肪含量を低減するのに有効である投与量のナルトレキソン及びブプロピオンを投与することができるが、この投与量は、ナルトレキソン及びブプロピオンのいずれかを単独で投与した場合には有効でない。一実施形態において、ナルトレキソン及びブプロピオンの量は、併用が、ナルトレキソンまたはブプロピオンいずれかを単独で投与した効果に比べて、内臓脂肪含量及び/またはメタボリックシンドロームの低減において相加性を超える(例えば、相乗的に有効である)効果をもたらすように選択される。
【0037】
本明細書に記載したナルトレキソン及びブプロピオンの組成物の正確な製剤、投与経路、ならびに投与量は、患者の状態を考慮して個々の内科医が選択することができる。例えば、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」第1章、1頁における、Finglら、1975年を参照されたい。
【0038】
ナルトレキソン及び/またはブプロピオンを、放出制御の剤形、例えば、徐放型において投与することができる。ナルトレキソン及び/またはブプロピオンを、患者に特定の食事の前に、間に、もしくは後に投与することができ、または毎食前、間、もしくは後に投与することができる。組成物または化合物を、患者の就寝前に、または朝に投与することができる。ブプロピオンを、様々な投与量において、好ましくは約100mgから約600mgの範囲において提供することができる。ブプロピオンの投与量の例として、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgが含まれる。ナルトレキソンも、様々な投与量において、好ましくは約4mgから約50mgの範囲において提供することができる。ナルトレキソンの投与量の例には、約8mg、約16mg、約32mg、約48mg、または約64mgが含まれる。
【0039】
(実施例)
(実施例1)
二重盲検の、プラセボ対照多施設試験を、285人の健康な非糖尿病の肥満対象で行った。対象に、ブプロピオン200mg1日2回、プラセボ(P)、ナルトレキソン48mg毎日(N1)、またはブプロピオン400mgとナルトレキソン32mg毎日(BN2)のいずれかを投与した。対象182人が24週の処置を完了した。サブセットの対象60人が二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)及びマルチスライスCTスキャンを受けて、体脂肪、除脂肪組織、及び内臓脂肪(米国糖尿病協会2007年年次会合)を測定した。
【0040】
ベースラインに群をマッチさせた。インスリン抵抗性のマーカーは、体重減少単独から予想されたよりもBN2で改善した。内臓脂肪の低減に対する頑強な効果も明らかであった。
【0041】
【表1】

【0042】
(実施例2)
対象(n=117)に、6つの処置の1つを投与した:プラセボ2つ(P+P)、プラセボ及びナルトレキソン(P+Nal)、ブプロピオン及びプラセボ(Bup+P)、ブプロピオン及びナルトレキソン48mg(Bup+Nal 48)、ブプロピオン及びナルトレキソン32mg(Bup+Nal 32)、またはブプロピオン及びナルトレキソン16mg(Bup+Nal 16)
【0043】
対象はDEXAボディスキャンを受けて、ベースライン時及び6ヶ月目に、総体脂肪、除脂肪組織、及び骨塩量を測定した。対象はまた、マルチスライスCTスキャンを受けて、同じ時間点の内臓脂肪体積を決定した。選択的な内臓のマスの減少は、総脂肪及び内臓脂肪の体積をもとに算出することができる。
【0044】
内臓ボディマスにおける変化の平均を、4つの処置に対して図1に示す。Bup+Nal 32を投与した患者は、内臓ボディマスにおいて投与量に関連する減少を経験した。血漿グルコース、血清インスリン、及び血漿トリグリセリドを含めたいくつかの重要なメタボリックパラメータにおいて、統計的に有意な改善がやはり観察された。
【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
結果は、Bup+Nal 32に付随する体重減少は、除脂肪組織ではなく、本質的に脂肪組織の低減によるものであったことを実証している。この低減のパーセント値は、内臓脂肪組織及び全脂肪組織の両方における規模に類似するものであった。内臓脂肪組織の減少は、ブプロピオン及びナルトレキソンの併用(例えば、Bup+Nal 32)は肥満に付随する心臓血管の危険因子に利益を与える可能性があることを指摘している。ブプロピオン及びナルトレキソン32mgは、体重減少及び内臓脂肪マスの減少に対して相乗効果を示した。Bup+Nal 48に付随する総脂肪マス及び内臓脂肪マスにおける変化は著しいものではなかった。しかし、Bup+Nal 48を投与した患者の群は、試料数を低減し、それによって有意性の計算値に影響を及ぼす高比率の初期のドロップアウトがあった。
【0050】
メタボリックシンドロームは、肥満、インスリン抵抗性につながっている一群の危険因子を表し、約4700万人のアメリカ人に存在する。このシンドロームは、糖尿病または心血管疾患を後に発症する危険性を増大させることがあり、過剰な体重を減少させることによって低減することができる。
【0051】
成人処置パネルIIIガイドライン(Adult Treatment Panel III Guideline)によって規定されているように、事後評価を、361人の評価可能な対象間のメタボリックシンドロームのベースライン時の有病率に対して適用した。試験対象約3人中1人が、ベースライン時にメタボリックシンドロームを示していたと決定された。ブプロピオン及びナルトレキソンでの処置は、プラセボでみられるよりも、処置24週後にメタボリックシンドロームの診断基準をもはや満たさない対象が有意に高比率であることと関連した(p=0.04)。対象に、実施例2に記載したのと同じ処置を投与した。ブプロピオン及びナルトレキソンの剤形の中で、Bup+Nal 32は最高の全体の危険性対利益比を実証し、保守的なITT-LOCF分析を用いるとメタボリックシンドロームは30%から14%に低減した(p<0.05)。メタボリックシンドロームを規定するパラメータをまたいでBup+Nal 32処置に関連する改善は、トリグリセリド(0.6% P+P、-33.6% Bup+Nal 32、p<.01)及びウエスト周囲長(-1.8% P+P、-6.4% Bup+Nal 32、p=.06)における低減に対して最も劇的であり、またHDLコレステロール(0.3% P+P、15.1% Bup+Nal 32、p<.01)を好都合に上昇させた。HDLコレステロールが1%上昇すると心臓血管の危険性は2%低減すると文献が指摘しているので、HDLコレステロールにおける上昇は、とりわけ注目に値する。これらのデータは、本明細書に記載するブプロピオン及びナルトレキソンの剤形、特に32/400投与量は、メタボリックシンドロームの有病率を低減し、危険性を低減する必要が最も高い個体間の心臓血管の危険性を改善することを指摘するものである。ブプロピオン及びナルトレキソンでの処置は、プラセボの同齢集団内で38%から30%にすぎなかったのに比べて、プールされたNB群においてメタボリックシンドロームを有する試験集団のパーセントを31%から15%に有意に低減した(p=0.04)。
【0052】
当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく多数かつ様々な変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明の形態は例示にすぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではないことが明確に理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の化合物がナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩であり、第2の化合物がブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩である、処置を必要とすると同定または診断されたヒトにおける内臓脂肪の状態の処置のための薬物の調製における、前記第1の化合物及び前記第2の化合物の使用。
【請求項2】
前記第1の化合物が、前記第2の化合物の単独の投与に比べて前記第2の化合物の処置効果を増強するのに有効な量である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記第2の化合物が、前記第1の化合物の単独の投与に比べて前記第1の化合物の処置効果を増強するのに有効な量である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記ヒトが、冠状動脈性心疾患、癌、糖尿病、耐糖能異常、高インスリン血症、高血圧、歯周病、及びメタボリックシンドロームから選択される少なくとも1つの疾患または状態の危険性及び/または重症度を増大させるある量の内臓脂肪を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記ヒトが、ウエスト対ヒップ測定比の決定を含む方法を用いて同定または診断されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記ヒトが約0.8以上のウエスト対ヒップ測定比を有する、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記ヒトが、コンピュータ断層(CT)スキャン、核磁気共鳴画像法スキャン、及び超音波検査図から選択される1つまたは複数の試験を分析するステップを含む方法を用いて同定または診断されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記ヒトの腹腔内の脂肪面積が、L4〜L5レベルの単一の断層撮影の切片におけるCTスキャンによって決定して約80cm2以上である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記ヒトがメタボリックシンドロームを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記ヒトが、腹部肥満、トリグリセリドレベルの上昇、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルの低下、高血圧、及び空腹時血糖の障害から選択される少なくとも3つの患者の特徴を同定するステップを含む方法を用いて同定または診断されている、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記患者の特徴の1つが腹部肥満である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
内臓脂肪の状態の前記処置が、腹部肥満の低減、トリグリセリドレベルの低下、高比重コレステロールレベルの上昇、血圧の低下、及び空腹時血糖レベルにおける改善から選択される少なくとも1つの効果を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
内臓脂肪の状態の前記処置が、前記ヒトの心疾患に対する感受性の低減を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記ヒトの心疾患に対する感受性の前記低減が炎症の低減を含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
炎症の前記低減がインターロイキン6の血清レベルの低減を含む、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
炎症の前記低減がC反応性タンパク質の血清レベルの低減を含む、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記ヒトが内臓肥満である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記ヒトのボディマスインデックスが約30を超える、請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記ヒトのボディマスインデックスが約40を超える、請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記ヒトのボディマスインデックスが約30未満である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記第1の化合物及び前記第2の化合物を単一の剤形において一緒に投与する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記第1の化合物及び前記第2の化合物を別々の剤形において投与する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記第1の化合物を、前記第2の化合物の前に、それと同時に、またはその後に投与する、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記ブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩の量が約100mgから約600mgの範囲である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
前記ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩の量が約4mgから約50mgの範囲である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩が、徐放性のナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
前記ブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩が、徐放性のブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項1〜26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
第1の化合物がナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩であり、第2の化合物がブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩である、内臓脂肪の状態を処置するために、前記内臓脂肪の状態に対する処置を必要とすると同定または診断されたヒトに前記第1の化合物及び前記第2の化合物を投与するステップを含む、内臓脂肪の状態を処置する方法。
【請求項29】
前記第1の化合物が、前記第2の化合物の単独の投与に比べて前記第2の化合物の処置効果を増強するのに有効な量である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の化合物が、前記第1の化合物の単独の投与に比べて前記第1の化合物の処置効果を増強するのに有効な量である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記ヒトが、冠状動脈性心疾患、癌、糖尿病、耐糖能異常、高インスリン血症、高血圧、歯周病、及びメタボリックシンドロームから選択される少なくとも1つの疾患または状態の危険性及び/または重症度を増大させるある量の内臓脂肪を有する、請求項28〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ヒトが、ウエスト対ヒップ測定比の決定を含む方法を用いて同定または診断されている、請求項28〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ヒトが約0.8以上のウエスト対ヒップ測定比を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ヒトが、コンピュータ断層(CT)スキャン、核磁気共鳴画像法スキャン、及び超音波検査図から選択される1つまたは複数の試験を分析するステップを含む方法を用いて同定または診断されている、請求項28〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒトの腹腔内の脂肪面積が、L4〜L5レベルの単一の断層撮影の切片におけるCTスキャンによって決定して約80cm2以上である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ヒトがメタボリックシンドロームを有する、請求項28〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ヒトが、腹部肥満、トリグリセリドレベルの上昇、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルの低下、高血圧、及び空腹時血糖の障害から選択される少なくとも3つの患者の特徴を同定するステップを含む方法を用いて同定または診断されている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記患者の特徴の1つが腹部肥満である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
内臓脂肪の状態の前記処置が、腹部肥満の低減、トリグリセリドレベルの低下、高比重コレステロールレベルの上昇、血圧の低下、及び空腹時血糖レベルにおける改善から選択される少なくとも1つの効果を含む、請求項28〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
内臓脂肪の状態の前記処置が、前記ヒトの心疾患に対する感受性の低減を含む、請求項28〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記ヒトの心疾患に対する感受性の前記低減が炎症の低減を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
炎症の前記低減がインターロイキン6の血清レベルの低減を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
炎症の前記低減がC反応性タンパク質の血清レベルの低減を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記ヒトが内臓肥満である、請求項28〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記ヒトのボディマスインデックスが約30を超える、請求項28〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記ヒトのボディマスインデックスが約40を超える、請求項28〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記ヒトのボディマスインデックスが約30未満である、請求項28〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の化合物及び前記第2の化合物を単一の剤形において一緒に投与する、請求項28〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の化合物及び前記第2の化合物を別々の剤形において投与する、請求項28〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の化合物を、前記第2の化合物の前に、それと同時に、またはその後に投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩の量が約100mgから約600mgの範囲である、請求項28〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩の量が約4mgから約50mgの範囲である、請求項28〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩が、徐放性のナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項28〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記ブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩が、徐放性のブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項28〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
医薬組成物が第1の化合物及び第2の化合物を含み、前記第1の化合物がナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩であり、前記第2の化合物がブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩である、そのような処置を必要とすると同定または診断されたヒトにおける、内臓脂肪の状態を処置するための医薬組成物。
【請求項56】
前記第1の化合物及び前記第2の化合物が単一の剤形である、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記第1の化合物及び前記第2の化合物が別々の剤形である、請求項55または56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記第1の化合物を、前記第2の化合物の前に、それと同時に、またはその後に投与する、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記ブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩を約100mgから約600mg含む、請求項55〜58のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩の量が約4mgから約50mgの範囲である、請求項55〜59のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記ナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩が、徐放性のナルトレキソンまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項55〜60のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記ブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩が、徐放性のブプロピオンまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項55〜61のいずれか一項に記載の医薬組成物。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−521973(P2011−521973A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511868(P2011−511868)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/045720
【国際公開番号】WO2009/158114
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(505401698)オレキシジェン・セラピューティクス・インコーポレーテッド (13)
【Fターム(参考)】