説明

内装型バルブボディ装置

【課題】組付性を向上することができる内装型バルブボディ装置を提供する。
【解決手段】油圧制御機構が収容されたハウジング3内に配置される内装型バルブボディ装置1において、油圧制御機構を制御する電気部品が設けられハウジング3内部に配置されるロアボディ7と、このロアボディ7に組み付けられロアボディ7と共に油路を形成するアッパボディ13とを有し、アッパボディ13がハウジング3を閉塞し、アッパボディ13にソレノイドバルブ5に接続されたリード線15をハウジング3の外部に引き出す引出部17を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に適用される内装型バルブボディ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルブボディ装置としては、電子制御装置などの電気部品がインサート成形された配線プレートと、油圧を制御するための油路が設けられたコントロールバルブと、配線プレートとコントロールバルブとの間に配置されるセパレートプレートとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなバルブボディ装置は、変速機構などを油圧によって制御する油圧制御機構が収容された変速機ケースなどのハウジングの内部に配置されるので、内装型バルブボディ装置といわれる。
【0004】
このような内装型バルブボディ装置では、配線プレートとコントロールバルブとセパレートプレートとからなるユニットをハウジング内に配置し、電気部品に接続されたリード線がハウジングの内部に引き出され、このハウジング内部に引き出されたリード線がハウジングの壁部から中間カプラなどを介してハウジングの外部に引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−54006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような内装型バルブボディ装置では、ユニットに接続されたリード線をハウジングの内部で集約してハウジングの外部に引き出し、カバーなどによってハウジングを閉塞するなど、リード線の配線作業が複雑であり、装置の組付性が低下していた。
【0007】
そこで、この発明は、組付性を向上することができる内装型バルブボディ装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、油圧制御機構が収容されたハウジング内に配置される内装型バルブボディ装置であって、前記油圧制御機構を制御する電気部品が設けられ前記ハウジング内部に配置されるロアボディと、このロアボディに組み付けられ前記ロアボディと共に油路を形成するアッパボディとを有し、前記アッパボディは、前記ハウジングを閉塞し前記電気部品に接続されたリード線を前記ハウジングの外部に引き出す引出部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この内装型バルブボディ装置では、装置を構成するアッパボディがハウジングを閉塞するので、ハウジングを閉塞するためのカバーなどの閉塞部材を必要とすることがない。このため、部品点数を削減することができる。
【0010】
また、アッパボディには、電気部品に接続されたリード線をハウジングの外部に引き出す引出部が設けられているので、ロアボディから引出部にリード線を集約させロアボディとアッパボディとを組み付けた状態でアッパボディによってハウジングを閉塞することにより、リード線が接続されたロアボディをハウジング内に配置させ、アッパボディの引出部からハウジングの外部にリード線を引き出すことができる。
【0011】
従って、各部材のハウジングに対する組み付けでリード線の配線を行う必要がなく、リード線の配線を簡易化することができ、装置の組付性を向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、組付性を向上することができる内装型バルブボディ装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る内装型バルブボディ装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る内装型バルブボディ装置の斜視図である。
【図3】(a)は本発明の実施の形態に係る内装型バルブボディ装置の正面図である。(b)は本発明の実施の形態に係る内装型バルブボディ装置の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る内装型バルブボディ装置のロアボディの側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る内装型バルブボディ装置のアッパボディの側面図である。
【図6】(a)は本発明の実施の形態に係る内装型バルブボディ装置の側面図である。(b)は図6(a)のX−X断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図6を用いて本発明の実施の形態に係る内装型バルブボディ装置について説明する。
【0015】
本実施の形態に係る内装型バルブボディ装置1は、油圧制御機構(不図示)が収容されたハウジング3内に配置され、油圧制御機構を制御する電気部品としてのソレノイドバルブ5が設けられハウジング3内部に配置されるロアボディ7と、このロアボディ7に組み付けられロアボディ7との間に油路9,11を形成するアッパボディ13とを有する。
【0016】
そして、アッパボディ13は、ハウジング3を閉塞しソレノイドバルブ5に接続されたリード線15をハウジング3の外部に引き出す引出部17が設けられている。
【0017】
また、アッパボディ13の引出部17には、ソレノイドバルブ5に接続された内部側リード線19とハウジング3の外部に引き出される外部側リード線21とを接続する中間カプラ23が設けられている。
【0018】
図1に示すように、ハウジング3には、油圧クラッチを断続操作する油圧シリンダなどの油圧制御機構などが収容されると共に、オイルが封入されている。また、ハウジング3内には、変速機構などの出力軸となる駆動軸(不図示)が回転可能に配置されており、この駆動軸の端部に内装型バルブボディ装置1が配置されている。この内装型バルブボディ装置1は、ハウジング3内に封入されたオイルをストレーナ(不図示)を介して吸入し、内部で油圧を制御して油圧制御機構に油圧制御されたオイルを供給する。このような内装型バルブボディ装置1は、ロアボディ7とアッパボディ13とからなる。なお、ロアボディ7とアッパボディ13との間に従来のようにセパレートプレートを介在させ、油路9,11などを設けてもよい。
【0019】
図1〜図6に示すように、ロアボディ7は、筐体状に形成され、中央部に駆動軸の端部が挿通される挿通孔25が設けられている。また、挿通孔25の周囲には、駆動軸の端部上に設けられる内接可能に配置された大小2つのギヤポンプからなるオイルポンプ(不図示だが、一例として内接型のトロコイドポンプ)が配置される凹部27が設けられている。このロアボディ7は、ハウジング3内に配置され、固定手段としての複数のボルト6を介してアッパボディ13が一体的に組み付けられる。
【0020】
アッパボディ13は、蓋状に形成され、固定手段としての複数のボルト(不図示)を介してハウジング3を閉塞するようにハウジング3に固定される。また、アッパボディ13には、オイルポンプの作動によってハウジング3内のオイルを吸入する吸入路29が設けられている。このアッパボディ13とロアボディ7には、油路9,11が設けられている。
【0021】
油路9,11は、ロアボディ7とアッパボディ13との合わせ面31,33にそれぞれ設けられ、ロアボディ7とアッパボディ13とを組み付けることによって開口側が閉塞される。また、油路9,11は、油圧を調整するレギュレータ35、オイルの逆流を防止する逆止弁37、油圧の異常な上昇を防止するリリーフバルブ(不図示)などに連結された油路39,41やオイルポンプの吸入口に連結された吸入路29と連通されている。なお、ロアボディ7に設けられた油路9に連通する部分は、オイルの流量を求めるオリフィス43となっている。
【0022】
このような油路9,11は、他の油路39,41などと共に油圧回路を構成しており、オイルポンプの正逆回転の作動に応じて油圧を付与されたオイルが流通され、ロアボディ7とアッパボディ13とに設けられた制御油路45を流通する油圧を制御されたオイルの油圧制御機構への供給がソレノイドバルブ5によって断続される。
【0023】
ソレノイドバルブ5は、ロアボディ7に設けられ、制御油路45を流通するオイルを断続制御し、制御油路45から外部に設けられた油圧制御機構への油圧の供給を断続制御する。このソレノイドバルブ5は、リード線15を介してハウジング3の外部に設けられた通電を制御するコントローラ(不図示)に接続されている。このリード線15のうちソレノイドバルブ5からハウジング3の内部に引き出される内部側リード線19は、アッパボディ13の引出部17に集約される。
【0024】
引出部17は、アッパボディ13を貫通する孔部からなる。この引出部17には、ボルト47で固定され、シール手段としてのOリング49によってシールされた中間カプラ23が挿通される。
【0025】
中間カプラ23は、ハウジング3の内部側と外部側とにそれぞれコネクタ接続部51,53が設けられている。ハウジング3内部側のコネクタ接続部51には、ロアボディ7に設けられたソレノイドバルブ5からハウジング3の内部側に引き出された内部側リード線19が集約された内部側コネクタ55がコネクタ接続される。ハウジング3外部側のコネクタ接続部53には、コントローラに接続される外部側リード線21が集約された外部側コネクタ57がコネクタ接続される。
【0026】
このような引出部17に設けられた中間カプラ23により、ロアボディ7とアッパボディ13とを組み付けた状態で中間カプラ23に内部側コネクタ55をコネクタ接続させ、アッパボディ13をハウジング3に組み付けるだけで、ハウジング3内でのリード線15の配線を完了することができる。また、中間カプラ23に外部側コネクタ57をコネクタ接続することにより、ソレノイドバルブ5とコントローラとの接続を完了することができる。
【0027】
このように構成された内装型バルブボディ装置1の組み付けは、まず、ソレノイドバルブ5などを組み付けたロアボディ7と中間カプラ23を組み付けたアッパボディ13とを組み付ける。次に、中間カプラ23のハウジング3内部側のコネクタ接続部51に内部側リード線19が集約された内部側コネクタ55をコネクタ接続する。そして、アッパボディ13をハウジング3を閉塞するようにハウジング3に組み付け、内装型バルブボディ装置1のハウジング3に対する組み付けを完了する。このような組み付けにより、ハウジング3内でのリード線15の配線が完了した状態でロアボディ7をハウジング3内に配置させることができると共に、中間カプラ23に外部側コネクタ57をコネクタ接続することにより、コントローラとソレノイドバルブ5とを接続、すなわちハウジング3内部側のリード線15を容易にハウジング3外部側に引き出すことができる。
【0028】
なお、引出部17に中間カプラ23を必ずしも配置させることはなく、例えば、内部側リード線19を引出部17からグロメットなどのシール手段を介してハウジング3の外部に引き出し、この外部に引き出されたリード線の端部をコントローラ側に接続させる構成としてもよい。このような場合にも、ロアボディ7とアッパボディ13とを組み付け、アッパボディ13の引出部17からリード線15をハウジング3の外部に引き出した状態で、アッパボディ13をハウジング3に組み付けるだけで、ハウジング3内でのリード線15の配線を完了することができる。また、他の例としては、内部側リード線又は外部側リード線のいずれか一方をカプラと一体にしてアッパボディに組付け、他方をカプラに対してコネクタ接続する構成であってもよい。
【0029】
このような内装型バルブボディ装置1では、アッパボディ13がロアボディ7と共に油路9,11を形成するので、油路9,11を形成させるためのセパレートプレートを削減することができる。加えて、装置を構成するアッパボディ13がハウジング3を閉塞するので、ハウジング3を閉塞するためのカバーなどの閉塞部材を必要とすることがない。このため、部品点数を削減することができる。
【0030】
また、アッパボディ13には、ソレノイドバルブ5に接続されたリード線15をハウジング3の外部に引き出す引出部17が設けられているので、ロアボディ7から引出部17にリード線を集約させロアボディ7とアッパボディ13とを組み付けた状態でアッパボディ13によってハウジング3を閉塞することにより、リード線15が接続されたロアボディ7をハウジング3内に配置させ、アッパボディ13の引出部17からハウジング3の外部にリード線15を引き出すことができる。
【0031】
従って、各部材のハウジング3に対する組み付けでリード線15の配線を行う必要がなく、リード線15の配線を簡易化することができ、内装型バルブボディ装置1の組付性を向上することができる。
【0032】
また、アッパボディ13の引出部17には、ソレノイドバルブ5に接続された内部側リード線19とハウジング3の外部に引き出される外部側リード線21とを接続する中間カプラ23が設けられているので、中間カプラ23に内部側リード線19を接続することによって、ハウジング3内でのリード線15の配線を完了することができ、リード線15の配線をさらに簡易化することができる。
【0033】
また、中間カプラ23に内部側リード線19のみを接続した状態でハウジング3内でのリード線15の配線を完了することができるので、ロアボディ7とアッパボディ13とをハウジング3から独立した1つのユニットとして取り扱うことができ、内装型バルブボディ装置1の搬送性を向上することができると共に、内装型バルブボディ装置1のハウジング3に対する組付性を向上することができる。また、ハウジングにリード線の引き出し形状を設けないので、構造を簡易化でき、リード線自体の引出長さも短縮できるので、周辺部材との干渉を大幅に抑制することができる。
【0034】
なお、本発明の実施の形態に係る内装型バルブボディ装置では、ロアボディとアッパボディとの合わせ面に油路を形成させているが、従来のように、ロアボディとアッパボディとの間に油路を形成するセパレートプレートを設けた構成においても、本発明の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…内装型バルブボディ装置
3…ハウジング
5…ソレノイドバルブ
7…ロアボディ
9,11…油路
13…アッパボディ
15…リード線
17…引出部
19…内部側リード線
21…外部側リード線
23…中間カプラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧制御機構が収容されたハウジング内に配置される内装型バルブボディ装置であって、
前記油圧制御機構を制御する電気部品が設けられ前記ハウジング内部に配置されるロアボディと、このロアボディに組み付けられ前記ロアボディと共に油路を形成するアッパボディとを有し、
前記アッパボディは、前記ハウジングを閉塞し前記電気部品に接続されたリード線を前記ハウジングの外部に引き出す引出部が設けられていることを特徴とする内装型バルブボディ装置。
【請求項2】
請求項1記載の内装型バルブボディ装置であって、
前記アッパボディの引出部には、前記電気部品に接続された内部側リード線と前記ハウジング外部の外部側リード線とを接続するカプラが設けられていることを特徴とする内装型バルブボディ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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