説明

内装材、発泡体の製造方法及び車両用内装成型品

【課題】フォギングテストにおいて結晶の発生を抑える内装材、発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、発泡剤0.1重量部以上40重量部以下を含有させることによって得られる発泡体であって、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、硫酸塩0.1重量部以上20重量部以下含有するポリオレフィン系樹脂発泡体である。前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、前記硫酸塩が焼きミョウバンであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォギングテストで結晶の発生を抑える内装材、発泡体の製造方法及び車両用内装成型品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の内装材においては、フォギング問題がある。従来、フォギング問題を解決するための有効な手段はなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、前記の問題点を克服し、フォギングテストにおいて結晶の発生を抑える内装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するため、本発明は基本的には下記の構成からなる。
【0005】
すなわち、「フォギング抑制剤が含有されたことを特徴とする内装材。」、それを用いた車両用内装成型品またはその製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、骨材、発泡体、表皮材からなる内装材の発泡体、表皮材の少なくとも1つにフォギング抑制剤を含有することにより、フォギングテストにおいて結晶の発生を抑える内装材を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0008】
本発明では、表皮材および/または発泡体を有する内装材の少なくとも1つの部位にフォギング抑制剤を添加し、発泡体から発生する結晶の原因となる物質をフォギング抑制剤でトラップすることにより、フォギングテストにおいて発生する結晶を減少させるものである。
【0009】
本発明でのフォギング抑制剤とは、フォギングテストにおいて結晶の原因となる物質を化学的反応、または物理的吸着によりトラップする能力を有するものである。例えば、発生結晶が尿素の場合、その原因物質としてはアンモニアがある。この場合フォギング抑制剤としはアンモニアをトラップする能力があるものは、フォギング抑制剤となり得る。
【0010】
本発明で使用されるフォギング抑制剤としては、硫酸塩が好ましく、より好ましくはミョウバンが好ましく、より好ましくは焼きミョウバンが好ましい。また、多孔性物質や酸化亜鉛のような遷移金属元素の酸化物等も有効である。
【0011】
含有量は内装材の構成要素の少なくとも1つにつき、好ましくは樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。
【0012】
本発明で使用されるフォギング抑制剤の添加方法としては特に限定されるものではないが、好ましくはフォギング抑制剤を含有したペレットで添加するのが良い。
【0013】
本発明における内装材とは、発泡体および/または表皮材からなり内装材、あるいはこれらが積層された内装材、またはさらに骨材も有する内装材、さらにはかかる積層された内装材が成型品となしたもの等が挙げられる。
【0014】
本発明で使用される発泡体としては、ポリオレフィン系樹脂発泡体などが例示される。
【0015】
本発明で使用されるオレフィン系樹脂としては、低密度、中〜高密度、直鎖状低密度などのポリエチレン樹脂、エチレンと酢酸ビニルあるいは、アクリル酸アルキルエステル、プロピレン等との共重合体、ホモまたは共重合ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等の単独あるいは混合物が例示される。
【0016】
発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂としては、特にポリプロピレン系樹脂が好ましく、プロピレンホモポリマーまたはエチレン、ブテン−1などのα−オレフィンを1〜30重量%含有し、ランダム、ランダム−ブロックもしくはブロック状に共重合されたポリプロピレン系樹脂が好ましい。これらの樹脂に、発泡体に悪影響を与えない範囲で、更に他の樹脂を混合してもよい。例えば、低密度、中密度もしくは高密度ポリエチレン、α−オレフィンを共重合したポリエチレン系共重合体またはエチレンを主成分とする酢酸ビニルもしくはアクリル酸エステルとの共重合体を混合してもよい。
【0017】
発泡剤としては、常温において液体または固体の化合物であり、ポリプロピレン系樹脂の溶融点以上に加熱されたときに分解または気化する化合物であり、シート化や架橋反応を実質的に妨害しないものであること好ましく、分解温度が180〜240℃のものが好ましい。このような熱分解発泡剤として、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどが例示される。これらの発泡剤の中では、アゾジカルボンアミドが特に好ましく、樹脂100重量部に対して0.1〜40重量部、より好ましくは、2〜25重量部の範囲で使用され、それぞれの種類や見掛密度によって任意に混合量を変えることができる。
【0018】
また、架橋方法としては、公知の放射線架橋法や有機パーオキサイドを用いた化学架橋法が適用できる。この架橋を促進するために、多官能性モノマー、例えばジビニルベンゼン、ジアリルフタレートなどを添加することもできる。
【0019】
ポリプロピレン樹脂と発泡剤や架橋促進剤などの混合は、例えば、ヘンシェルミキサ、バンバリミキサ、ミキシングロールなどによる混合、あるいは混練押出機による混合方法などがある。特に樹脂が粉末状の場合は、ヘンシェルミキサによる粉末混合が便利である。粉末混合は通常室温から樹脂の軟化温度の間で行われ、溶融混合は、通常、樹脂の溶融温度から195℃の範囲で行われる。連続シート状の発泡体を製造する場合は、発泡剤の分解温度以下で押出成形によりシート状に成形しておけばよい。
【0020】
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂発泡体の見掛密度は、好ましくは0.025〜0.200g/ccである。これは、発泡体の見掛密度={10cm×10cm×10cmの重さ}/{10cm×10cm×10cmの体積}により計算できる。見掛密度が0.200g/ccを越えると柔軟性や触感が不良となり、0.025g/cc未満では材料強度が弱く気泡破壊を起こしやすい。
【0021】
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂発泡体のゲル分率は、好ましくは20%以上であり、より好ましくは45〜60%である。ゲル分率が20%未満になると、発泡シートとの貼り合せ時に材質強度が弱く気泡破壊を起こすために望ましくない。また、ゲル分率が70%を越えると十分発泡できず、柔軟性や触感が不良となる。
【0022】
なお、ポリプロピレン系樹脂発泡体のゲル分率は、次のように測定される。
【0023】
まず、発泡体を約1mm角に切断し、0.1g程度を採取し、これを試料として精秤して、その重量をA(g)とする。
【0024】
この試料を130℃の温度で3時間テトラリン中で加熱したのち冷却し、さらにアセトンで洗浄したのち水洗して溶出分を除去したあと乾燥する。この乾燥後の試料を精秤して、その重量をB(g)とする。
【0025】
ゲル分率(%)は次式で算出する。
【0026】
ゲル分率(%)=(B/A)×100
発泡体に対して、フォギング抑制剤の含有量は好ましくは樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。添加方法は特に限定されるものではないが、10〜50重量%(より好ましくは20〜40重量%)のフォギング抑制剤を樹脂に混練した樹脂ペレットを発泡用樹脂に、発泡剤などを混合するときと同様の要領で添加することができる。
【0027】
本発明の表皮材としては特に限定されるものではないが、天然、人造の繊維を用いた布帛状物、ポリ塩化ビニル樹脂からなるシート、熱可塑性エラストマーシート、レザー、ポリ塩化ビニル樹脂とABS樹脂との混合シート等の公知のものを用いることができる。特に好ましくは、塩化ビニル、熱可塑性エラストマーなどが例示される。
【0028】
表皮材に対して、フォギング抑制剤含有量は好ましくは樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部である内装表皮材には、難燃剤、着色剤、抗酸化剤、充填剤、滑剤等を必要により適量添加することができる。
【0029】
骨材としては特に限定されるものではないが、スタンピングモールド成形に適用するには熱可塑性樹脂が好適であり、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、耐熱性や機械的強度を考慮すると好ましくは、ポリプロピレン樹脂、または、プロピレンとα−オレフィンがランダム、ランダム−ブロック、ブロック状に共重合されたポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂またはエチレンとα−オレフィンとの共重合樹脂、酢酸ビニルやアクリル酸エステルとの共重合樹脂およびこれらが任意に混合された樹脂などが適用できる。さらに、これらの樹脂にタルク、硅酸、炭酸カルシウム等の無機化合物を骨材用樹脂としての特性を損なわない範囲で充填材として混合してもよい。また、骨材用樹脂に対して、公知の熱安定剤、酸化防止剤、造核剤、着色剤等を必要に応じて添加してもよい。また、成形性を損なわない範囲で、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、石油樹脂等のオレフィン系以外の樹脂を添加してもよい。射出成形よりも成形圧力を小さく設定できるいわゆるホットスタンピングモールド法が好ましい。
【実施例】
【0030】
以下の実施例において、ミョウバンの添加は30重量%ミョウバン/低密度直
鎖状ポリエチレン樹脂ペレットを用いた。また、発泡法はいずれもソルト発泡法
を用いた。
(実施例1〜5)
プロピレン樹脂(メルトインデックス2.0)80重量部、低密度ポリエチレン(密度0.915、メルトインデックス8.0)20重量部、に発泡剤としてアゾジカルボンアミド15重量部、架橋助剤としてジビニルベンゼン4重量部、安定剤としてIrgnox1010を0.2重量部加え、フォギング抑制剤として焼きミョウバンをそれぞれ0.1,0.5,1.0,3.0,5.0重量部に調整し、ヘンシェルミキサ−で予備混合し、その混合物を90mmφ一軸押出機 (L/D=25)に投入し、平均樹脂温度を180℃に調整して混練押出し、Tダイより押出して、それぞれ、厚み0.75mm、幅410mmの発泡樹脂組成物架橋シートを5種類成形した。
【0031】
次に、それぞれの発泡樹脂組成物シートに電子線照射機(800kv)を用いて5Mradの電子線を照射して架橋させ、架橋シートとした。
【0032】
次に、それぞれの架橋シートを発泡装置内で約240℃に加熱し架橋発泡体を5種類、製造した。
【0033】
上記5種類の発泡体の一面に、表皮材として、重合度800のポリ塩化ビニル樹脂100重量部に、可塑剤としてジオクチルフタレートを40重量部、安定剤としてヂブチル錫ジマレートを3重量部に調整しバンバリミキサーで均一に混合した後、カレンダーロール法でシート厚み0.4mmの塩化ビニルシートを成形し、ポリエステル系接着剤で張り合わせ、もう一面に、骨材となるべく220℃に溶融したポリプロピレン樹脂(メルトインデックス=50)を配置し、ホットスタンピングモールド法で一体成形し、表皮材/発泡体/骨材の成形品を5種類得た。
(比較例1)
発泡体にフォギング抑制剤を含有しない以外は実施例と全く同様にして複合体を成形した。
【0034】
上記6種類の発泡体を用いて骨材、発泡体、表皮材からなる内装材をつくり、以下のフォギングテストで結晶の発生量を調べた。
【0035】
(フォギングテスト)
HAAKE社のフォギング装置を用いて、100℃、3時間加熱後、常温で1時間冷却した後結晶の有無を調べた。テストは塩化ビニルシート面を上にして行った。なお、塩化ビニルシート、骨材樹脂にはフォギング抑制剤を添加していない。結晶の有無は50倍の光学顕微鏡で観察した。
【0036】
【表1】

【0037】
(実施例6〜10)
発泡体は、比較例1と同様にして製造した。発泡体に張り合わせる表皮材は、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部にフォギング抑制剤として焼きミョウバンをそれぞれ0.1,0.5,1.0,3.0,5.0重量部に調整した以外は比較例1と同様にて製造した。上記5種類のフォギング抑制剤を含有した塩化ビニルシートを用いて、比較例1と同様にして複合体を成形した。
【0038】
(比較例2)
表皮材にフォギング抑制剤を含有しない以外は実施例と全く同様にして複合体を成形した。
(フォギングテスト)
HAAKE社のフォギング装置を用いて、100℃、3時間加熱後、常温で1時間冷却した後結晶の有無を調べた。テストは塩化ビニルシート面を上にして行った。なお、発泡体、骨材樹脂にはフォギング抑制剤を添加していない。結晶の有無は50倍の光学顕微鏡で観察した。
【0039】
【表2】

【0040】
(実施例11〜15)
プロピレンにエチレンを4重量%ランダム共重合したプロピレン系樹脂(メルトインデックス2.0)80重量部、低密度ポリエチレン(密度0.915、メルトインデックス8.0)20重量部に発泡剤としてアゾジカルボンアミド10重量部、架橋助剤としてジビニルベンゼン4重量部、熱安定剤としてIrgnox1010を0.2重量部加え、フォギング抑制剤として焼きミョウバンをそれぞれ0.1,0.5,1.0,3.0,5.0重量部に調整し、ヘンシェルミキサ−で予備混合し、その混合物を90mmφ一軸押出機(L/D=25)に投入し、発泡剤が分解しないよう平均樹脂温度を180℃以下に調整して混練押出し、Tダイより押出して、それぞれ、厚み1.75mm、幅410mmの発泡性樹脂組成物シ−トを5種類成形した。
【0041】
次に、それぞれの発泡性樹脂組成物シ−トに電子線照射機(800kV)を用いて5Mradの電子線量を照射して架橋させ、発泡性樹脂組成物架橋シ−トとした。
【0042】
次に、それぞれの発泡性樹脂組成物シートを発泡装置内で、発泡剤の分解温度以上の約230〜240℃に加熱し、架橋発泡体を製造した。
(比較例3)
フォギング抑制剤を含有しない以外は実施例11と全く同様にして発泡体を製造した。
【0043】
上記6種類の発泡体について、以下のフォギングテストで結晶の発生量を調べた。
【0044】
(フォギングテスト)
HAAKEのフォギング装置を用いて、100℃、3時間加熱後、常温で1時間冷却した。サンプルは片面に0.6mmの塩化ビニルのシートを接着し、塩化ビニルシート面を上にしてテストを行った。結晶の有無は50倍の顕微鏡で観察した。
【0045】
【表3】

【0046】
(実施例16〜18)
プロピレンにエチレンを4重量%ランダム共重合したプロピレン系樹脂(メルトインデックス2.0)80重量部、低密度ポリエチレン(密度0.915、メルトインデックス8.0)20重量部に発泡剤としてアゾジカルボンアミドをそれぞれ5、10、15重量部、架橋助財としてジビニルベンゼン4重量部、熱安定剤としてIrgnox1010を0.2重量部加え、フォギング抑制剤として焼きミョウバンを5.0重量部に調整し、ヘンシェルミキサ−で予備混合し、その混合物を90mmφ一軸押出機(L/D=25)に投入し、発泡剤が分解しないよう平均樹脂温度を180℃以下に調整して混練押出し、Tダイより押出して、それぞれ、厚み1.75mm、幅410mmの発泡性樹脂組成物シ−トを3種類成形した。
【0047】
次に、それぞれの発泡性樹脂組成物シ−トに電子線照射機(800kVを用いて5Mradの電子線量を照射して架橋させ、発泡性樹脂組成物架橋シ−トとした。
【0048】
次に、それぞれの発泡性樹脂組成物シートを発泡装置内で、発泡剤の分解温度以上の約230〜240℃に加熱し、架橋発泡体を製造した。
(比較例4〜6)
フォギング抑制剤を含有しない以外は実施例16〜18と全く同様にして発泡体を製造した。
【0049】
上記6種類の発泡体について、上記の方法で結晶の有無を調べた
【0050】
【表4】

【0051】
(実施例19〜21)
プロピレンにエチレンを4重量%ランダム共重合したプロピレン系樹脂(メルトインデックス2.0)80重量部、低密度ポリエチレン(密度0.915、メルトインデックス8.0)20重量部に発泡剤としてアゾジカルボンアミドをそれぞれ10重量部、架橋助財としてジビニルベンゼン4重量部、熱安定剤としてIrgnox1010を0.2重量部加え、フォギング抑制剤として焼きミョウバンを5.0重量部に調整し、ヘンシェルミキサ−で予備混合し、その混合物を90mmφ一軸押出機(L/D=25)に投入し、発泡剤が分解しないよう平均樹脂温度を180℃以下に調整して混練押出し、Tダイより押出して、それぞれ、厚み1.75mm、幅410mmの発泡性樹脂組成物シ−トを成形した。
【0052】
次に、それぞれの発泡性樹脂組成物シ−トに電子線照射機(800kVを用いてそれぞれ3、5、7Mradの電子線量を照射して架橋させ、発泡性樹脂組成物架橋シ−トとした。
【0053】
次に、それぞれの発泡性樹脂組成物シートを発泡装置内で、発泡剤の分解温度以上の約230〜240℃に加熱し、架橋発泡体を製造した。
(比較例7〜9)
フォギング抑制剤を含有しない以外は実施例19〜21と全く同様にして発泡体を製造した。
【0054】
上記6種類の発泡体について、上記の方法で結晶の有無を調べた。
【0055】
【表5】

【0056】
(実施例22〜26)
重合度800のポリ塩化ビニル樹脂100重量部に、可塑剤としてジオクチルフタレートを40重量部、安定剤としてヂブチル錫ジマレートを3重量部、フォギング抑制剤として焼きミョウバンをそれぞれ0.1,0.5,1.0,3.0,5.0重量部に調整し、バンバリミキサーで均一に混合した後、カレンダーロール法でシート厚み0.4mmのシートを5種類成形した。
(比較例10)
フォギング抑制剤を含有しない以外は実施例22と全く同様にして塩化ビニルシートを製造した。
【0057】
上記6種類のシートを見掛け密度0.067g/cm3、130℃熱テトラリン抽出残分率が57%のポリプロピレン系樹脂フォームに、ポリエステル系接着剤を用いて張り合わせ複合シートとした。
(フォギングテスト)
HAAKE社のフォギング装置を用いて、100℃、3時間加熱後、常温で1時間冷却した後、結晶の有無を調べた。サンプルは、塩化ビニルシート面を上にしてテストを行った。結晶の有無は50倍の顕微鏡で観察した。
【0058】
【表6】

【0059】
(実施例27〜29)
プロピレンにエチレンを4重量%ランダム共重合したプロピレン系樹脂(メルトインデックス2.0)80重量部、低密度ポリエチレン(密度0.915、メルトインデックス8.0)20重量部、に発泡剤としてアゾジカルボンアミド10重量部、架橋助剤としてジビニルベンゼン4重量部、安定剤としてIrgnox1010を0.2重量部加え、フォギング抑制剤として酸化亜鉛をそれぞれ0.1,0.5,1.0,3.0,5.0重量部に調整し、ヘンシェルミキサ−で予備混合し、その混合物を90mmφ一軸押出機 (L/D=25)に投入し、平均樹脂温度を180℃に調整して混練押出し、Tダイより押出して、それぞれ、厚み1.75mm、幅410mmの発泡樹脂組成物架橋シートを3種類成形した。
【0060】
次に、それぞれの発泡樹脂組成物シートに電子線照射機(800kv)を用いて5Mradの電子線を照射して架橋させ、架橋シートとした。
【0061】
次に、それぞれの架橋シートを発泡装置内で約230〜240℃に加熱し架橋発泡体を製造した。
(比較例11)
発泡体にフォギング抑制剤を含有しない以外は実施例と全く同様にして複合体を成形した。
【0062】
上記6種類の発泡体を用いて骨材、発泡体、表皮材からなる内装材をつくり、以下のフォギングテストで結晶の発生量を調べた。
【0063】
(フォギングテスト)
HAAKE社のフォギング装置を用いて、100℃、3時間加熱後、常温で1った。なお、塩化ビニルシート、骨材樹脂にはフォギング抑制剤を添加していない。結晶の有無は50倍の光学顕微鏡で観察した。
【0064】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、フォギングテストで結晶の発生を抑える内装材、発泡体の製造方法及び車両用内装成型品に関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体を有する内装材において、フォギング抑制剤が含有されたことを特徴とする内装材。
【請求項2】
該フォギング抑制剤が硫酸塩であることを特徴とする請求項1記載の内装材。
【請求項3】
該フォギング抑制剤がアルミニウムを含む硫酸塩であることを特徴とする請求項1記載の内装材。
【請求項4】
該フォギング抑制剤がアルカリ金属を含む硫酸塩であることを特徴とする請求項1記載の内装材。
【請求項5】
該フォギング抑制剤がミョウバンであることを特徴とする請求項1記載の内装材。
【請求項6】
該フォギング抑制剤が多孔性物質であることを特徴とする請求項1記載の内装材。
【請求項7】
発泡体にフォギング抑制剤が含有されたことを特徴とする請求項1記載の内装材。
【請求項8】
表皮材にフォギング抑制剤が含有されたことを特徴とする請求項1記載の内装材。
【請求項9】
請求項7記載の内装材および/または請求項8記載の内装材が積層されていることを特徴とする内装材。
【請求項10】
該フォギング抑制剤が、発泡体樹脂100重量部に0.1〜20重量部含有されたことを特徴とする請求項7または9記載の内装材。
【請求項11】
該発泡体がポリオレフィン系樹脂発泡体であることを特徴とする請求項7または9記載の内装材。
【請求項12】
該発泡体樹脂の主成分がポリプロピレンであることを特徴とする請求項7または9記載の内装材。
【請求項13】
該発泡体が架橋発泡体であることを特徴とする請求項7または9記載の内装材。
【請求項14】
該フォギング抑制剤が、表皮材樹脂100重量部に0.1〜20重量部含有されたことを特徴とする請求項8または9記載の内装材。
【請求項15】
該表皮材が塩化ビニルであることを特徴とする請求項8または9記載の内装材。
【請求項16】
該表皮材が熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項8または9記載の内装材。
【請求項17】
請求項1記載の内装材に骨材が積層されていることを特徴とする内装材。
【請求項18】
フォギング抑制剤を添加して、発泡させることを特徴とする発泡体の製造方法。
【請求項19】
請求項1記載の内装材を用いたことを特徴とする車両用内装成型品。

【公開番号】特開2008−156620(P2008−156620A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305250(P2007−305250)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【分割の表示】特願平9−61220の分割
【原出願日】平成9年3月14日(1997.3.14)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】