説明

内装材

【課題】組み付けの作業性を向上でき、かつ、組み付けの際にインストルメントパネルを傷付けにくいフロントピラーガーニッシュを提供する。
【解決手段】フロントピラーを覆うガーニッシュ本体31とインストルメントパネルに挿入係止する前部係止部37とを相対的に回動可能に連結するヒンジ部44を設ける。ヒンジ部44によりガーニッシュ本体31と前部係止部37とが相対的に回動して所定の位置関係となった状態でガーニッシュ本体31に対して係止固定する固定部45を前部係止部37に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱状部を覆う内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両である自動車の車室の前部には、車幅方向に沿って隣接内装材であるインストルメントパネルが配置されており、このインストルメントパネルの端縁部である両側部には、サイドルーフ部まで延びる柱状部としてのピラーであるフロントピラーが配置されている。そして、このフロントピラーの車室側は、内装材としての車両用内装材であるピラーガーニッシュにより覆われている。
【0003】
このようなピラーガーニッシュは、自動車の製造工程において作業者によって手作業で組み付けられる。例えば、内装材本体である長手状のガーニッシュ本体の端部に突設された係止部をインストルメントパネルの端縁部に設けられた係止孔に挿入係止する構成(例えば、特許文献1参照。)、あるいは、ガーニッシュ本体の端部に突設された係止部の前端または後端のいずれかをインストルメントパネルの両側部に設けられた係止孔の縁部に当接させて位置決めする構成(例えば、特許文献2参照。)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−25965号公報 (第4−5頁、図1−5)
【特許文献2】特開2007−76596号公報 (第3−4頁、図1−3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように組み付けるピラーガーニッシュの場合、インストルメントパネルの両側部とフロントピラーとの極めて狭い隙間にピラーガーニッシュの端部を挿入することとなるため、ピラーガーニッシュ側の係止部とインストルメントパネル側の係止孔とを目視しながらの作業が容易でなく、目視不可能な状態での手探りの作業となってしまう。したがって、ピラーガーニッシュの組み付けに時間を要するだけでなく、係止部によってインストルメントパネルの意匠面を傷付けないようにするために作業者の熟練が必要となるなど、作業性が良好でないという問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、組み付けの作業性を向上でき、かつ、組み付けの際に隣接内装材を傷付けにくい内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の内装材は、内装材本体と、この内装材本体の一端部に位置する係止部とを備え、前記内装材本体が柱状部の少なくとも一部を覆い前記係止部が柱状部の側部に隣接する隣接内装材の端縁部に係止される状態で前記内装材本体と前記係止部とが所定の位置関係となる内装材であって、前記内装材本体と前記係止部とを相対的に回動可能に連結するヒンジ部と、前記係止部に設けられ、前記ヒンジ部により前記内装材本体と前記係止部とが相対的に回動して前記所定の位置関係となった状態で前記内装部材本体に対して係止固定される固定部とを具備したものである。
【0008】
請求項2記載の内装材は、請求項1記載の内装材において、ヒンジ部は、内装材本体と係止部とを0°より大きく45°以下の範囲で相対的に回動可能に連結するものである。
【0009】
請求項3記載の内装材は、請求項1または2記載の内装材において、内装材本体は、固定部を係止固定する被係止部と、前記内装材本体と係止部とをヒンジ部にて相対的に回動させる際に前記固定部を前記被係止部へとガイドするガイド部とを備えているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の内装材によれば、内装材本体と係止部とをヒンジ部にて相対的に回動可能とすることで、組み付け作業の際に、これら内装材本体と係止部とを、係止部と隣接内装材の端縁部とを目視しやすい位置関係とすることが可能になり、組み付けの作業性を向上できる。また、係止部を隣接内装材の端縁部に位置合わせした後、内装材本体と係止部とを所定の位置関係とするように内装材本体を係止部に対してヒンジ部にて相対的に回動させることで、固定部が内装材本体に係止固定されて内装材本体が柱状部の少なくとも一部を覆い係止部が隣接内装材の端縁部に係止されるので、短時間で確実に組み付けできる。さらに、この組み付けの際に、仮に係止部が隣接内装材に接触しても、係止部が回動して逃げることで隣接内装材に荷重が加わりにくく、隣接内装材を傷付けにくい。
【0011】
請求項2記載の内装材によれば、請求項1記載の内装材の効果に加え、ヒンジ部が、内装材本体と係止部とを0°より大きく45°以下の範囲で相対的に回動可能に連結することで、内装材本体と係止部とが相対的に回動しすぎることを防止して、係止部を隣接内装材の端縁部に係止する際の作業性をより向上できる。
【0012】
請求項3記載の内装材によれば、請求項1または2記載の内装材の効果に加え、内装材本体と係止部とをヒンジ部にて相対的に回動させる際に固定部を被係止部へとガイド部によりガイドすることで、固定部を被係止部に対して位置ずれすることなく確実に係止固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の内装材の一実施の形態を示す一部の斜視図である。
【図2】同上内装材の側面図である。
【図3】(a)は同上内装材の図2のI−I相当位置の断面図、(b)は同上内装材の図2のII−II相当位置の断面図である。
【図4】(a)は同上内装材の組み付け作業時の固定部を含む係止部の断面図、(b)は同上内装材の組み付け作業時の係止部の断面図である。
【図5】(a)は同上内装材の成形時の図2のI−I相当位置の断面図、(b)は同上内装材の成形時の図2のII−II相当位置の断面図である。
【図6】同上内装材を組み付ける車両の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の内装材の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図6において、10は車両としての自動車の車体であり、この車体10は、底部、天井部である天井パネル、フロントカウル、リアパーシェルなどを有しているとともに、天井パネルに延びる車体パネルである柱状部としてのフロントピラー(Aピラー)15、このフロントピラー15から分岐するサブピラー16、センターピラー(Bピラー)、リアピラー(Cピラー)がそれぞれ両側に設けられており、これら底部、天井パネル、フロントカウル、リアパーシェル、フロントピラー15(サブピラー16)、センターピラー、リアピラーおよび各両側に設けられたドアパネルなどにより車室19が囲まれている。また、天井パネルとフロントカウルとの間にはフロントガラス20が装着され、天井パネルとリアパーシェルとの間にはリアガラスが装着されている。さらに、フロントピラー15及びサブピラー16と、センターピラーと、リアピラーと、天井パネルとは、それぞれ内装材としての車両用内装材であるフロントピラーガーニッシュ21(図1及び図2)と、センターピラーガーニッシュと、リアピラーガーニッシュと、天井カバー24とにより、それぞれ車室19側が覆われている。
【0016】
また、車室19の内側には、乗員が着座可能な前席及び後席などの座席が設けられているとともに、フロントカウルの後側に位置して隣接内装材であるインストルメントパネル25が設けられている。このインストルメントパネル25は、車幅方向の略全長に亘って長手状に形成されており、運転席の前部に対応する位置にハンドルなどが設けられている。さらに、このインストルメントパネル25の両端縁である両側には、それぞれフロントピラー15及びサブピラー16が位置している。
【0017】
なお、以下、車幅方向である両側方向、上下方向、及び前後方向などの方向は、車体10の直進方向を基準とし、下方(図1などに示す矢印D方向)、上方(図1などに示す矢印U方向)、前側方向(図1などに示す矢印F方向)、後側方向(図1などに示す矢印R方向)、外方などを説明する。また、説明をより明確にするために、フロントピラー15及びフロントピラーガーニッシュ21は助手席側のものについてのみ説明及び図示するが、運転席側についても、ほぼ左右対称の構成とすることで、基本的な部分は同様のまま対応できる。
【0018】
そして、図1及び図2に示すフロントピラーガーニッシュ21は、フロントピラートリムなどとも呼ばれ、例えば合成樹脂などの部材によって成形されている。このフロントピラーガーニッシュ21は、長手状の内装材本体としてのガーニッシュ本体31と、このガーニッシュ本体31から下方に一体に突設された分岐部としてのガーニッシュ分岐部32とを備えた、逆Y字状に形成されている。
【0019】
ガーニッシュ本体31は、フロントピラー15の車室19(図6)側の少なくとも一部を覆うものであり、このガーニッシュ本体31の一端部である下端部には、インストルメントパネル25の意匠面25a(図6)に沿うように湾曲した(一方の)突出部としての下部湾曲部33が一体に形成され、ガーニッシュ本体31の他端部である上端部には、天井カバー24の意匠面24a(図6)に沿うように湾曲した(他方の)突出部としての上部湾曲部34が一体に形成されている。そして、ガーニッシュ本体31の下部湾曲部33の先端部には、インストルメントパネル25(図6)との境界面を構成する壁部36が下方に向けてリブ状に突設され、この壁部36の下端部には、フロントピラーガーニッシュ21をインストルメントパネル25(図6)に対して係止固定するための(一方の)係止部としての(一方の)係止片である前部係止部37と(他方の)係止部としての(他方の)係止片である後部係止部38とが配置されている。
【0020】
下部湾曲部33は、ガーニッシュ本体31の長手方向に対して交差する方向に沿って湾曲し、ガーニッシュ本体31に対して車室19(図6)側へと庇状に突出している。
【0021】
壁部36は、下部湾曲部33の先端部のほぼ全体に亘ってリブ状に形成されており、下部湾曲部33に対して下方へと屈曲している。また、この壁部36と下部湾曲部33との間には、背面側において、補強用のリブ41が複数形成されている。
【0022】
また、前部係止部37は、壁部36の前側寄りの一部に突設された(一方の)内部突出部としての前部突出部43の先端側に対して、ヒンジ部44を介して回動可能に連結されている。したがって、この前部係止部37とガーニッシュ本体31とは、互いに可動的に連結されている。さらに、この前部係止部37は、前端部37aが上下方向に沿って直線状に形成されており、後端部37bが下端(先端)へと徐々に前側へと傾斜して形成されている。このため、この前部係止部37は、先端側へと徐々に前後方向に狭くなるように形成されている。また、この前部係止部37の先端部37cは、外側、すなわち車内側(インストルメントパネル25側)へと屈曲して形成されている。さらに、この前部係止部37の基端部には、固定部45が突設されている。そして、この前部係止部37は、図4(a)及び図4(b)に示すように、インストルメントパネル25の側部に凹設された凹部46の底部に貫通して設けられた(一方の)係止孔としての前部係止孔47に対して挿入係止される。
【0023】
また、前部突出部43は、下部湾曲部33の下部側へと壁部36に対して交差する方向に沿ってリブ状に突出している。このため、前部係止部37は、ヒンジ部44の無負荷状態すなわち自然状態で、先端部37cを除くほぼ全体の上側が下部湾曲部33により覆われ、この下部湾曲部33の上方から直接目視できない位置となっている。また、この前部突出部43には、固定部45に対応する位置に、壁部36に亘って連続する貫通穴である切欠開口部51が形成されている。この切欠開口部51の前後両端には、リブ41の一部をなすガイド部としてのガイドリブ52,52が位置している。また、この切欠開口部51の上端部には、固定部45が係止可能な被係止部53が壁状に突設されている。この被係止部53は、前部突出部43と同方向、すなわち、下部湾曲部33の下部側へと壁部36に対して交差する方向に沿ってリブ状に突出し、固定部45の先端側と対向している。また、この被係止部53は、先端側ほど上方に位置するように傾斜して形成されている。
【0024】
また、ヒンジ部44は、前部係止部37の固定部45の前後の位置において薄肉状となるように裏面側の位置に切込部44aが前後方向に直線状に延びて形成されている。したがって、このヒンジ部44は、前部係止部37の縁部に沿って薄肉とした部分を軸として回動可能に前部係止部37とガーニッシュ本体31(の前部突出部43)とを連結する。さらに、このヒンジ部44は、図3(a)及び図3(b)に示すように、可動域が0°より大きく45°以下、例えば本実施の形態では45°に設定されており、自然状態(図中の実線の状態)から、切込部44aが閉じた回動位置、換言すれば前部係止部37の基端が前部突出部43の先端と当接した回動位置(図中の想像線の状態)まで、45°の角度の範囲で前部係止部37及び固定部45とガーニッシュ本体31とを相対的に回動可能に連結している。したがって、これら前部係止部37及び固定部45とガーニッシュ本体31とは、前部係止部37(及び固定部45)がガーニッシュ本体31(の下部湾曲部33)に沿う状態から、ガーニッシュ本体31(の下部湾曲部33)に対して起立する状態まで、相対的に回動可能となっている。換言すれば、ガーニッシュ本体31は、前部係止部37(及び固定部45)に対して、車内(インストルメントパネル25(図6))側と車外(フロントピラー15(図6))側とに回動可能となっている。また、前部係止部37は、ガーニッシュ本体31の長手方向に対して交差する方向、換言すればフロントピラーガーニッシュ21の表面側から裏面側に亘って回動可能であり、先端部37cが壁部36に対してフロントピラーガーニッシュ21の外部へと(インストルメントパネル25(図6)側へと)突出する位置から壁部36よりも内部(フロントピラー15(図6))側となる位置まで回動可能である。なお、このヒンジ部44は、上記自然状態において、例えば前部係止部37などが図示しない突起部などに当接することにより、それ以上切込部44aが開く方向への回動が規制される。
【0025】
また、図1及び図3などに示すように、固定部45は、前部係止部37の前後方向の中間位置に配置されており、前部係止部37に対して突出する板状の固定突出部45aと、この固定突出部45aの先端に突設され被係止部53に係止固定可能な係止爪部としての嵌合爪45bとを一体に有している。
【0026】
固定突出部45aは、前部係止部37の基端側と略同一面上に沿って前部係止部37の基端側から上方へと突出しており、ガイドリブ52,52間に位置している。また、この固定突出部45aの前後に対応する位置には、前部係止部37の背面側に、リブ部55,55が形成されている。これらリブ部55,55は、ヒンジ部44の切込部44aが閉じた回動位置において、ガイドリブ52,52の下端に連続するように形成されている。
【0027】
また、嵌合爪45bは、被係止部53に対向して車内側(インストルメントパネル25側)へと突設されており、ヒンジ部44が自然状態となっている位置で切欠開口部51に臨んで被係止部53に対して離間され、先端が被係止部53の下端の延長線上に位置している。
【0028】
また、図2に示す後部係止部38は、壁部36の前側寄りの一部に突設された(他方の)内部突出部としての後部突出部57の先端側に対して下方へと突設されて一体となっている。したがって、この後部係止部38は、ガーニッシュ本体31に対して一体に固定されている。さらに、この後部係止部38は、前端部38aが上下方向に沿って直線状に形成されており、下側の後端部38bが下端(先端)へと徐々に前側へと傾斜して形成されている。このため、この後部係止部38は、先端側へと徐々に前後方向に狭くなるように形成されている。また、この後部係止部38の先端部38cは、外側、すなわち車内側(インストルメントパネル25側)へと屈曲して形成されている。さらに、後部突出部57は、前部突出部43と同様に、下部湾曲部33の下部側へと壁部36に対して交差する方向に沿って突出している。このため、後部係止部38は、全体の上側が下部湾曲部33により覆われ、この下部湾曲部33の上方から直接目視できない位置となっている。そして、この後部係止部38は、インストルメントパネル25の凹部46(図4)の底部に貫通して設けられた(他方の)係止孔としての図示しない後部係止孔に対して挿入係止される。
【0029】
また、ガーニッシュ分岐部32は、サブピラー16の車室19(図6)側の少なくとも一部を覆うものであり、このガーニッシュ分岐部32の一端部である下端部には、インストルメントパネル25(図6)に挿入係止される係止突出部59が上下方向に沿って直線状に突設されている。この係止突出部59は、インストルメントパネル25の側部に設けられた図示しない挿入係止孔に挿入係止される。
【0030】
そして、フロントピラーガーニッシュ21を製造する際には、図5(a)及び図5(b)に示す一方の成形型である一方の金型(コア型)61及び他方の成形型である他方の金型(キャビ型)62を用いる。
【0031】
一方の金型61には、ヒンジ部44の切込部44aに対応する突起部61aが形成されている。また、他方の金型62には、先端側が嵌合爪45bに対応する凸部62aが一方の金型61側へと突出して形成されている。このため、これら金型61,62を型合わせして形成された空間(キャビティ)64に対して、溶融された合成樹脂を射出して充填し、冷却固化することにより、ヒンジ部44及び固定部45が形成されたフロントピラーガーニッシュ21が形成される。なお、凸部62aの基端側の位置は、切欠開口部51に対応する。
【0032】
そして、成形したフロントピラーガーニッシュ21を車室19内に組み付ける際には、まず、図4(a)及び図4(b)の実線に示すように、前部係止部37を前部係止孔47に対して位置合わせする。このとき、前部係止部37は、ヒンジ部44が自然状態となっているので、ガーニッシュ本体31に沿って位置しており、固定部45とともにガーニッシュ本体31に対して自由に可動できる。このため、前部係止部37の先端部37cを前部係止孔47へと上方から挿入しようとする際、すなわち、前部係止部37(の先端部37c)を上下方向に沿わせた状態とした際、ガーニッシュ本体31は相対的に前部係止部37の直上に対して車内側(図4中の右側)へと若干寝た(倒れた)状態となり、ガーニッシュ本体31の裏面側において、作業者が前部係止部37と前部係止孔47との位置関係などを、フロントピラー15(図6)とガーニッシュ本体31との隙間において後方、あるいは上方から目視しながら作業できる。
【0033】
次いで、前部係止部37を前部係止孔47に位置合わせしてフロントピラーガーニッシュ21を大まかに位置決めした状態で、図4(a)及び図4(b)の想像線に示すように、フロントピラーガーニッシュ21のガーニッシュ本体31を、前部係止部37を前部係止孔47に挿入しつつこの前部係止部37を支点として車外側、すなわちフロントピラー15及びサブピラー16(図6)へと接近させる方向(図4中の左方)へと回動させることにより、固定部45がガイドリブ52,52(図1)により案内されて嵌合爪45bが被係止部53に対して係止されることで、前部係止部37が前部突出部43に対して略直交して上下方向に沿いガーニッシュ本体31の下部湾曲部33に対して起立した(立ち上がった)所定の位置関係でガーニッシュ本体31と前部係止部37との相対的な位置が固定される。同時に、後部係止部38及び係止突出部59が、それぞれ後部係止孔及び挿入係止孔に挿入係止される。さらに、ガーニッシュ本体31の上端部を、天井カバー24(図6)に嵌合させて係止固定する。この状態で、ガーニッシュ本体31の壁部36が凹部46の側部に密着し、ガーニッシュ本体31がフロントピラー15(図6)の車室19側を覆うとともに、前部係止部37が前部係止孔47内に位置して挿入係止され、ガーニッシュ分岐部32がサブピラー16(図6)の車室19側を覆った状態で、フロントピラーガーニッシュ21が天井カバー24及びインストルメントパネル25の意匠面24a及び意匠面25aに沿う。
【0034】
このように、本実施の形態によれば、ガーニッシュ本体31と前部係止部37とをヒンジ部44にて相対的に回動可能とすることで、組み付け作業の際に、これらガーニッシュ本体31と前部係止部37とを、前部係止部37とインストルメントパネル25の側部の前部係止孔47とを目視しやすい位置関係、すなわちガーニッシュ本体31を車室側へと若干寝かせた位置関係とすることが可能になり、組み付けの作業性を向上できる。また、前部係止部37をインストルメントパネル25の側部の前部係止孔47に位置合わせした後、ガーニッシュ本体31と前部係止部37とを所定の位置関係とするようにガーニッシュ本体31を前部係止部37に対してヒンジ部44にて相対的に回動させることで、固定部45がガーニッシュ本体31の被係止部53に係止固定されてガーニッシュ本体31がフロントピラー15(図6)を覆い前部係止部37がインストルメントパネル25の側部の前部係止孔47に挿入係止されるので、短時間で確実に組み付けできる。
【0035】
特に、ガーニッシュ本体31の一端部に形成された下部湾曲部33の下部に前部係止部37などが位置しているフロントピラーガーニッシュ21では、作業者が前部係止部37及び前部係止孔47などを直接目視することが容易でないものの、上記のようにガーニッシュ本体31を寝かせた状態で作業できることにより、下部湾曲部33を備えるフロントピラーガーニッシュ21においても、確実に目視しながら作業でき、作業性を向上できる。
【0036】
さらに、このフロントピラーガーニッシュ21の組み付けの際に、仮に前部係止部37がインストルメントパネル25の意匠面25aに接触しても、前部係止部37がヒンジ部44により回動して逃げることでインストルメントパネル25に荷重が加わりにくい。したがって、フロントピラーガーニッシュ21の組み付け作業が、仮に多少目視しにくかったとしても、前部係止部37によってインストルメントパネル25の意匠面25aを傷付けにくく、組み付け作業時の品質がより向上する。
【0037】
そして、前部係止部37の先端部37cを屈曲させることにより、この前部係止部37を前部係止孔47へと位置合わせして上方から挿入する際に、ガーニッシュ本体31をより大きく車内側へと寝かせて作業できるので、前部係止部37と前部係止孔47とをより目視しやすくなり、作業性をより向上できる。
【0038】
また、ヒンジ部44が、ガーニッシュ本体31と前部係止部37とを0°より大きく45°以下の範囲で相対的に回動可能に連結することにより、ガーニッシュ本体31と前部係止部37とが相対的に回動しすぎることを防止して、前部係止部37が過剰に倒れて前部係止孔47に挿入しにくくなることを防止でき、前部係止部37をインストルメントパネル25の側部の前部係止孔47に挿入係止する際の作業性をより向上できる。
【0039】
さらに、ガーニッシュ本体31と前部係止部37とをヒンジ部44にて相対的に回動させる際に固定部45を被係止部53へとガイドリブ52,52(図1)によりガイドすることで、固定部45を被係止部53に対して位置ずれすることなく確実に係止固定できる。
【0040】
そして、固定部45に対応する位置にてガーニッシュ本体31の壁部36に切欠開口部51を設定することにより、スライド構造などの追加をすることなく従来形状と同じ金型構造によって一般的な位置合わせ面(パーティングライン)を用いて固定部45を成形でき、金型の製造コストを必要以上に増加させることなく対応できる。
【0041】
なお、上記の一実施の形態において、例えば後部係止部38、あるいは係止突出部59なども、前部係止部37と同様のヒンジ構造(ヒンジ部44及び固定部45と同様の構造)により、ガーニッシュ本体31(及びガーニッシュ分岐部32)に対して回動可能に連結されていてもよい。
【0042】
また、ガーニッシュ分岐部32は、車体10にサブピラー16がある場合にのみ設ければよく、必須の構成ではない。
【0043】
さらに、上記内装材は、車両に限らず、柱状部の側部に隣接内装材が隣接する任意の構造に対して、柱状部を覆う内装材として適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば自動車のフロントピラーの車室側を覆うフロントピラーガーニッシュとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
15 柱状部としてのフロントピラー
21 内装材としてのフロントピラーガーニッシュ
25 隣接内装材であるインストルメントパネル
31 内装材本体としてのガーニッシュ本体
37 係止部としての前部係止部
44 ヒンジ部
45 固定部
52 ガイド部としてのガイドリブ
53 被係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装材本体と、この内装材本体の一端部に位置する係止部とを備え、前記内装材本体が柱状部の少なくとも一部を覆い前記係止部が柱状部の側部に隣接する隣接内装材の端縁部に係止される状態で前記内装材本体と前記係止部とが所定の位置関係となる内装材であって、
前記内装材本体と前記係止部とを相対的に回動可能に連結するヒンジ部と、
前記係止部に設けられ、前記ヒンジ部により前記内装材本体と前記係止部とが相対的に回動して前記所定の位置関係となった状態で前記内装部材本体に対して係止固定される固定部と
を具備したことを特徴とする内装材。
【請求項2】
ヒンジ部は、内装材本体と係止部とを0°より大きく45°以下の範囲で相対的に回動可能に連結する
ことを特徴とする請求項1記載の内装材。
【請求項3】
内装材本体は、
固定部を係止固定する被係止部と、
前記内装材本体と係止部とをヒンジ部にて相対的に回動させる際に前記固定部を前記被係止部へとガイドするガイド部とを備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載の内装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−166663(P2012−166663A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28572(P2011−28572)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】