説明

内装用塗材

【課題】 揮発性有機化合物や臭気の分解、消臭と調湿性及び抗菌性を保持し、且施工性に優れる内装用塗材を提供する。
【解決手段】
水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重物からなるビヒクルが15乃至25容量%に水が40乃至50容量%、及び平均粒径が30μm以下で比表面積が120m/g以上と塩基置換容量(meq/100g)が200mg以上の人工ゼオライト粉体が20乃至25容量%並びに平均粒径が30μm以下でそのpH値が12乃至13と見掛比重が0.2乃至0.5の酸化珪素発泡微粉体が10乃至15容量%、及びノニオン性界面活性剤若しくは両性界面活性剤からなる分散剤が2乃至5容量%割合で分散混合された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内装用塗材に係り、更に詳しくは揮発性有機化合物及び臭気の分解、消臭や調湿性及び抗菌性を保持し、且施工性に優れる内装用塗材に関する。
【従来技術】
【0002】
今日の建物は耐火不燃構造やプレカット工法等の建築技術の向上に加えて、建築金物類や新建材の多用とも相俟って、都市部の高層事務所建物や住宅建物はもとより郊外の戸建て居住建物等においても、その密閉性が著しく高まっている。
これがため多用される新建材自体から或いは内装施工のための接着剤や壁紙材若しくは塗料等から滲出揮散する揮発性有機化合物や臭気が、或いは収納されている什器、備品若しくは家具調度品等から滲出揮散される揮発性有機化合物や臭気等が相俟って、かかる密閉性の高い建物区画内に揮散滞留するため、これによる数多の疾病が惹起される所謂シックハウス症候群の主原因たることが解明されるに至り、大きな社会問題化し既に法的規制もなされるに至っている。
【0003】
更に密閉性の高まりは建物区画内が年間を通じて温暖化することとなり、且通風性も阻害されることから内壁面には結露が発生し易くなり付着する細菌や黴の繁殖が増長され、これによる繁殖臭気所謂カビ臭の発生とともに繁殖に伴い分泌される分泌物により内装材自体はもとより躯体にまで汚損や劣化も招来され、而も細菌やカビを恰好の飼料としてダニ等の衛生害虫が蝟集し且これらの死骸がアレルゲンとなって、小児喘息やアトピー性皮膚炎を惹起せしめること等より、密閉性の高い建物区画内は極めて危険且非衛生的環境におかれている。
【0004】
加えて調理場や浴室、便所等の水回り区画では細菌や黴或いは微生物等の繁殖に伴う臭気や食品類自体からの臭気等も拡散滞留し易く、而も今日の高齢化社会の下に在宅介護老人を抱える住居区画ではその体臭や汚物臭の発生により、或いはペット類の飼育に伴う動物臭気等が拡散滞留し且これらが内装材や家具調度品等にまで付着浸透し、著しく不快な環境におかれる結果となっている。
【0005】
かかる実情に対して、一方においては揮発性有機化合物や臭気類を分解若しくは消臭する手段としてオゾン或いはマイナスイオンを生成拡散せしめる機器類が喧伝され且一部にはその試用もなされているが、揮発性有機化合物や臭気等が拡散滞留する建物区画は広大な空間容積を有するものであるから、該広大な空間容積内に拡散滞留する揮発性有機化合物の分解や臭気類の消臭を図るには極めて高濃度のオゾンの生成と拡散が要請されることとなり、安全性のうえからは実行不能とされる。更にマイナスイオンによる手段も揮発性有機化合物の分解や消臭には、発明者等の依頼試験結果からもマイナスイオン密度で30万個/cc以上が必要とされ、広大な建物区画内に拡散する揮発性有機化合物や臭気の分解や消臭には、その拡散希釈を考慮すると少なくとも4倍乃至50倍以上の高密度のマイナスイオンの生成が必要であり、且該マイナスイオンの分解作用や消臭作成もせいぜい数秒間とされており、実用上有効なマイナスイオン生成器も開発されていない。
【0006】
他方において、これら揮発性有機化合物や臭気を吸着させる手段として多孔質の珪藻土にビヒクルを配合させた調湿塗材或いは珪藻土を適宜基板に塗着させた珪藻土板材等が上市されるに至っているが、珪藻土は天然産物であり採掘層や採掘場所により著しく品質を異にし、而も塗材においては塗着乾燥に伴い容易にクラックが発生し易く且珪藻土板材においてもその多孔性により初期吸着がなされるものの、短期に吸着飽和して以後の吸着性が喪失されるばかりか、吸着された揮発性有機化合物や臭気が再放散されて新たな異臭の発生原因ともなり、更には水分や湿気に対しても化学的吸水性が強いため、一旦吸水吸湿されるとその放出乾燥には極めて長時間を要し、有効な調湿性も発揮されぬばかりか細菌や黴が付着し易く且容易に繁殖する等の問題を内在している。
【0007】
他方近年に至り鋳造廃砂や石炭焼却灰等の無機産業廃棄物をアルカリ処理し、その溶出酸化珪素分や酸化アルミニウム分を高温高圧処理により、膨大数の吸着微孔所謂比表面積が大きく且塩基置換容量(meq/100g)も極めて大きく、而も触媒作用を保持する人工ゼオライト粉体が量産化可能となったことから、所要の性能を保持する人工ゼオライト粉体を水溶性塗着成分と配合のうえ、建物区画の内壁面に塗着せしめることにより該建物区画内に揮散滞留する揮発性有機化合物の吸着分解や臭気の消臭、及び過剰な湿気の吸湿保水と且乾燥度合に従って放湿させて略一定の湿度に保持しえる内装塗材原料や内装塗材が開発され、既に特願2001−116164号及び特願2002−264787号等で開示されている。
【0008】
而してこの先願発明に係る塗材は配合されてなる人工ゼオライト粉体の優れた調湿性により、建物区画内に塗着させた場合に水分が積極的に放出され、極めて短時に塗膜形成がなされるため塗着施工性が格段に優れるとともに、揮発性有機化合物の吸着分解性や消臭性並びに調湿性は十分な効果があるものと思慮されるが、通風が悪く結露の発生し易い場所における塗着膜面には依然として細菌や黴の付着と繁殖による汚損や劣化が発生する危険が内在する。
加えて塗材は美装をも目的とすることから多彩な色調に着色させる必要があるものの、人工ゼオライト粉体は暗灰色であるため所望の色調の着色を図るには一旦全体を白色化させるため酸化チタンや白色粘度或いは炭酸カルシウム等の白色の調色材を多量に配合したうえ所望の着色材による着色をなさねばならず価格的にも高価なものとなる。
【0009】
然るにこれら白色の調色材の多量の配合使用は、調色を容易ならしめるものの人工ゼオライト粉体の発揮する揮発性有機化合物の吸着と分解や臭気に対する消臭性を阻害すること、及び白色粘土や炭酸カルシウムの配合使用では化学的吸水吸湿性が高く調湿性も大きく損われることが実用使用のうえから判明している。
これがため発明者等は更なる研究を重ねた結果、天然岩石類や無機産業廃棄物中の酸化珪素を一旦アルカリ剤で溶出せしめて珪酸ソーダ所謂水ガラスとなしたうえ、そのシラノール基の縮合作用により分子量を略4,000程度に多分子量化させたシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液を、少なくとも100℃以上の加熱を施すことにより、その水分蒸散と加熱融着性の創出及びシロキサン結合の促進とにより、その発泡倍率が無加圧では20乃至25倍程度で且水分蒸散に伴う微細孔径で膨大数の連続気泡構造で而も酸化珪素態のうえ、そのpH値が12程度の高いアルカリ性を保持する純白色の無機発泡成形物が形成されることに着目するとともに、該無機発泡成形物を微粉化し調色材として配合使用することにより、細菌や黴に対する優れた抗菌性の発揮と塗着膜の増量化や調湿性及び調色性の格段の向上が実現しえることを究明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
揮発性有機化合物の分解と消臭や調湿及び抗菌性を保持し、且安価で施工性に極めて優れる内装用塗材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段は、塗着膜の形成による実用使用に際して揮発性有機化合物はもとより有害な化学物質等の揮散溶出を防止するうえから塗材の溶剤には水を使用するものであって、且建物区画を形成するコンクリートやモルタル壁面はもとより金属板材や新建材等多様な素材からなる被着面に強靭で強固な塗着膜を形成せしむるうえから、ビヒクルの素材としてはアクリル酸エステル若しくはその共重合物が好適なことから、水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物が15乃至25容量%と、溶剤としての水が40乃至50容量%割合で使用され、更に揮発性有機化合物の吸着分解と臭気の消臭及び調湿作用を発揮させるため、平均粒径が30μm以下でその比表面積が120m/g以上、及び塩基置換容量(meq/100g)が200mg以上の人工ゼオライト粉体が20乃至25容量%で配合され、更には水分蒸散に係る孔径と略等しく膨大数で連続気泡構造の蒸散孔による調湿作用の増強並びにそのpH値が12以上の高いアルカリ性による付着細菌や黴の繁殖防止と、酸化珪素の発泡に伴う純白色化による調色の簡便化及びその比重が0.2乃至0.5の低比重による増量化を図るため、平均粒径が30μm以下の酸化珪素発泡微粉体が10乃至15容量%割合で配合され、而もこれら全体を均質に分散混合させるうえから、ノニオン性界面活性剤若しくは両性界面活性剤からなる分散剤が2乃至5容量%割合で分散混合された構成に存する。
【0012】
加えて本発明は美装をも目的とするものであるものの、調色のための酸化珪素発泡微粉体はダルな色調を保持するため、ブライト感の創出のためには酸化珪素発泡微粉体を3乃至5容量%と酸化チタン7乃至10容量%の構成が提案され、而も着色が要請される場合には無機着色顔料が0.5乃至2.0容量%割合で分散混合される構成に存する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述の如き構成からなるもので、ビヒクルに水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物が用いられ、且分散混合される素材も人工ゼオライト粉体並びに酸化珪素発泡微粉体や酸化チタンと僅かな無機着色顔料と界面活性剤であるから、建物区画内に所要の塗着量を以って塗着させた場合にも水分のみの蒸散により塗着膜が形成されるとともに有害な揮散物質や溶出物質も全く無く極めて高い安全性が保持される。
そして本発明ではその平均粒径が30μm以下の接触表面積率が極めて大きく且比表面積が120m/g以上の吸着容量が膨大で、その塩基置換容量(meq/100g)も200mg以上と強力な陽イオン交換能を保持し、而も触媒作用も保持する人工ゼオライト粉体が20乃至25容量%で分散配合されてなるため、揮発性有機化合物や臭気等が積極的に接触吸着され分解消去及び分解消臭されるとともに吸着飽和も無く、長期に亘って分解消去や分解消臭機能が維持される。
【0014】
そして該人工ゼオライト粉体の比表面積に匹敵する吸着容量を有する酸化珪素発泡微粉体が10乃至15容量%割合で分散配合されてなるため、塗着とともに保水されてなる水分が積極的に放水放湿されるため塗着膜が短時に乾燥形成され、塗着施工性が著しく向上し且人工ゼオライト粉体とともに過剰湿気の吸湿と乾燥時の放湿が強力になされて高い調湿性が発揮される。
加えて該酸化珪素発泡微粉体は、そのpH値が12以上の高アルカリ性を有することから塗着膜面に付着する細菌や黴の繁殖が阻止されるとともに、酸化珪素発泡微粉体特有の純白色化により多様な色調への調色が可能となるばかりか、その比重が0.2乃至0.5と低比重嵩高なため増量効果が発揮されて極めて安価に提供できることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
水溶性アクリル酸エステル20容量%に水45容量%、及びその平均粒径が30μm以下で比表面積が120m/g以上と塩基置換容量(meq/100g)が200mg以上の人工ゼオライト粉体20容量%並びに平均粒径が30μm以下でその比重が0.2乃至0.5及びpH値が12以上の酸化珪素微粉体が13容量%と、ノニオン性界面活性剤が2容量%割合で分散混合されてなる内装用塗材。
【実施例1】
【0016】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、図1は本発明の拡大説明図であって、本発明内装用塗材1を組成する塗着成分所謂ビヒクル1Aは、建物区画を形成する被着面がコンクリートやモルタル壁面を初め、金属板材や新建材等多様な素材で形成されてなるから、これら素材からなる被着面に強靭で且強固な塗着膜2を形成でき、更には塗着膜2の形成時はもとより実用使用に際しても揮発性有機化合物や有害物質等の揮散溶出の無い安全なものが要請される。これがためにはビヒクル1Aの素材としてはアクリル酸エステル若しくは該アクリル酸エステルとアクリル酸メチルやエチル、若しくはブチル或いはアマイド等との共重合物が好適であることから選択される。
【0017】
かかるビヒクル1Aの素材たるアクリル酸エステル若しくはその共重合物は、本発明内装用塗材1を用いて塗着施工により形成される塗着膜2を被着面に強靭且強固に塗着形成し、且分散混合される他の素材の特性を発揮させるうえから全体容量に対し15乃至25容量%割合で使用される。
そして本発明の内装塗着材1は、その塗着膜2形成のための施工時はもとより実用使用に際しても、揮発性有機化合物や有害物質或いは臭気等の揮散や溶出危険の無い事が必須要件でもあることから、溶剤としては水1Bが使用されるもので且塗着膜2の形成に際してウーローラーや砂骨ローラー若しくは刷毛、或いは吹付け等によってその粘度も略10,000乃至40,000cP(センチポアズ)の粘度に形成させる必要上から該水1Bは40乃至50容量%割合で使用される。従って当然のことながら溶剤に水1Bが使用されるものであるから、ビヒクル1Aとしてのアクリル酸エステル及びその共重合物は水溶性のものが使用され、場合によってはアクリル酸エステルエマルジョン若しくはその共重合物エマルジョンの使用もなされる。
【0018】
加えて本発明内装用塗材1には塗着形成された塗着膜2の実用使用に際して揮発性有機化合物や有害ガス等の吸着分解を初め、臭気類の消臭及び調湿をなさしむるための人工ゼオライト粉体1Cが20乃至25容量%割合で分散混合されている。
この人工ゼオライト粉体1Cは揮発性有機化合物や有害ガス若しくは臭気類或いは湿気等に対しての接触表面積率を大きく形成し積極的にこれらを吸着分解や吸着消臭させ、或いは吸湿並びに放湿させるうえから、その平均粒径において30μm以下望ましくは1乃至20μmの微粒状で、且膨大な吸着容量を保持させるうえからその比重面積では少なくとも120m/g以上好ましくは150乃至180m/g以上のもので、且吸着された揮発性有機化合物や有害ガス若しくは臭気数を分解消去させるうえから、その塩基置換容量(meq/100g)が200mg以上望ましくは250乃至300mg以上のものが好適で、而もこの塩基置換能力を促進させる触媒作用を人工ゼオライト自体が本来的に保持しているものである。
【0019】
更に本発明の内装用塗材1には、塗着された塗着膜2の実用使用に際して付着細菌や黴類の繁殖を抑制せしめて内装材や躯体等の汚損や劣化等を防止させるための高いアルカリ性を保持するとともに、その揮散や溶出危険が無く且密閉性の高い建物区画内の結露の発生防止と調湿による快適な建物区画環境を創出させる調湿性の補強及び分散混合される人工ゼオライト粉体1Cの基本色調である暗灰色を一旦白色状に調色させたうえ無機着色顔料1Fにより所要の色調に着色させる調色性も具備し、而もその低比重性により増量性をも付与しえる酸化珪素発泡微粉体1Dが10乃至15容量%割合で分散混合されている。
【0020】
この酸化珪素発泡微粉体1Dは、その接触表面積を大きく形成させて高アルカリ性による抗菌作用を効果的に発揮させ、更には人工ゼオライト粉体1Cとともに吸湿性や放湿性を増強発揮せしめるうえから、その平均粒径としては30μm以上望ましくは1乃至20μmに微粉化されてなるものである。この酸化珪素発泡微粉体1Dは無機産業廃棄物中の酸化珪素を一旦アルカリ剤で溶出させて水ガラスとなしたうえ、そのシラノール基を縮合作用させて分子量を略4,000程度にまで多分子量化させてシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液となし、而して100℃以上の加熱によりその水分蒸散と加熱融着性の創出とシロキサン結合の促進とにより、その発泡倍率を略3乃至7倍に発泡させることにより、水分蒸散に伴う微細で膨大数の連続気泡構造の蒸散孔10Dが形成され、その比重が0.2乃至0.5程度で且そのpH値が12乃至13の高アルカリ性の酸化珪素発泡体が形成されるもので、接触表面積率を大きく形成させること及び均質な分散混合を図り且塗着による塗着膜2を平滑に形成させるうえから、その平均粒径は30μm以下望ましくは1乃至20μmの微粉体に粉砕形成されるものである。
【0021】
そして本発明内装用塗材1は、かかる如く水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合からなるビヒクル1Aに、人工ゼオライト粉体1Cや酸化珪素発泡微粉体1Dが均質に分散混合させる必要上から、分散剤1Eとしてはノニオン性界面活性剤若しくは両性界面活性剤が2乃至5容量%割合で混合されるもので、ノニオン性界面活性剤の具体的なものとしてはポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルが、更に両性界面活性剤としてはアルキルベタインやアミドベタインが挙げられる。
【0022】
而して本発明内装用塗材1は建物区画内の美装も重要な目的であるから、所望の色調に着色させる無機着色顔料1Fが使用目的に合せて0.5乃至2.0容量割合で分散混合される。更にかかる美装のための色調も、本発明内装用塗材1は人工ゼオライト粉体1Cや酸化珪素発泡微粉体1Dが比較的多量の容量割合で分散混合されるため、塗着形成される塗着膜2の色調も無機質特有の自然感の強いダルな色感で形成される。
しかしながら店舗等の建物区画においてはブライトな色感も多々要請される。これがためには調色に使用される酸化珪素発泡微粉体1Dを3乃至5容量%割合に抑制し、酸化チタン1Gを7乃至10容量%割合に併用することが提案される。
【0023】
かかる如き組成により分散混合されてなる本発明内装用塗材1は、ウーローラーや砂骨ローラー若しくは刷毛等の塗着具により、若しくはスプレーガンの如き吹付塗装具を用いて被着面に塗着させることにより、図2に示す如き塗着層2が被着面に短時に且強固に塗着形成される。
かかる場合に一般的組成により分散混合された粘度が略30,000cPの本発明内装材1を、ウーローラーで塗着させた場合には、略60乃至200g/mの塗着重量割合で塗着がなされる。
【0024】
以下に本発明内装用塗材で塗着形成した塗着膜による消臭性と調湿性試験及び抗菌性試験の結果を述べれば、各試験に用いた試料はその組成が水溶性アクリル酸エステル15容量%に水45容量%、人工ゼオライト粉体20容量%、酸化珪素発泡微粉体18容量%及びノニオン性界面活性剤2容量%で、これらを分散混合させた内装用塗材を厚さ1mmのアルミ板材の一側面に0.6mmの塗着厚に塗着膜を形成させたものを用い、且対照として前記組成の内酸化珪素発泡微粉体に替えて酸化チタンを用いたものを使用した。
【0025】
消臭性試験は内容積18lのデシケーターを用い、試料及び対照を20cm×20cmの大きさに切断のうえデシケーター内に投入し、アンモニアガス、イソ吉草酸ガス及び硫化水素ガスを所定濃度で注入のうえ密閉し、経過時間毎に残留ガス濃度をガス検知管で測定したもので、結果は表1の通り酸化珪素発泡微粉体が分散混合された試料は一段と消臭性に優れることが判明した。
【0026】
【表1】

【0027】
調湿性試験は、同様の試料及び対照を用いて内容積1.8lのデシケーター内に投入し、該デシケーター内を湿度98%の状態に保持して密閉し、経過時間とともに内部湿度の変化を測定し吸湿性を判断し、更に放湿性は試料及び対照を予め2時間水中に浸漬させて十分に吸水させたうえ、それぞれ32%湿度雰囲気に保持させたデシケーター内に投入のうえ密閉し、経過時間毎の内部湿度変化を測定し判断したもので、結果は表2に示すように酸化珪素発泡微粉体が分散混合された試料においては、その発泡に係る微細且膨大数の連続気泡構造の蒸散孔による吸湿放湿作用とにより優れた調湿性が発揮されることが確認される。
【0028】
【表2】

【0029】
更に抗菌性試験は、大腸菌、Escherichia coliを用いて予め寒天培地において10/mlとなるよう増殖させたうえ、試料及び対照面に接種し35℃48時間インキュベーター内に放置し大腸菌数を判読した結果は表3の通りであって、酸化珪素発泡微粉体の高いアルカリ性が優れた繁殖阻止効果を有することが理解される。
【0030】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0031】
塗着施工方法に合せて粘度の調整を図ることにより、ウーローラーや砂骨ローラー、刷毛或いは吹き付け機具により容易に塗着がなしえ、安全で快適且衛生的建物区画が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】 内装用塗材の拡大説明図である。
【図2】 塗着膜の形成状態の拡大説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 内装用塗材
1A ビヒクル
1B 水
1C 人工ゼオライト粉体
1D 酸化珪素発泡微粉体
1E 分散剤
1F 無機着色顔料
1G 酸化チタン
10D 蒸散孔
2 塗着膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重物からなるビヒクルが15乃至25容量%と、水が40乃至50容量%、及び平均粒径が30μm以下で比表面積が120m/g以上並びに塩基置換容量(meq/100g)が200mg以上の人工ゼオライト粉体が20乃至25重量%と、その平均粒径が30μm以下でpH値が12乃至13及び見掛比重が0.2乃至0.5の連続気泡構造からなる酸化珪素発泡微粉体が10乃至15容量%、及びノニオン界面活性剤若しくは両性界面活性剤からなる分散剤が2乃至5容量%割合で分散混合されてなる内装用塗材。
【請求項2】
酸化珪素発泡微粉体が3乃至5容量%と、酸化チタンが7乃至10容量%割合で分散混合されてなる、請求項1記載の内装用塗材。
【請求項3】
無機着色顔料が0.5乃至2.0容量%割合で分散混合される、請求項1若しくは請求項2記載の内装用塗材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−291303(P2007−291303A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142050(P2006−142050)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(506154801)有限会社ダイアテック (13)
【Fターム(参考)】