説明

内視鏡システム、内視鏡および内視鏡信号処理装置

【課題】消費電力を低減した内視鏡システム1、内視鏡2および内視鏡信号処理装置4を提供する。
【解決手段】 被写体を撮像してアナログ撮像信号を生成するCCD12と、アナログ撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部13と、接続された内視鏡信号処理装置4へデジタル信号をデジタル伝送信号として伝送するドライバ16と、ドライバ16を間欠的に動作するパワーダウン信号をドライバ16に出力するドライバ制御部17とを有する内視鏡2と、内視鏡2が着脱自在に接続され、ドライバ制御部17の制御によりドライバ16の動作が停止しているときに発生するデジタル伝送信号のブランキング期間TBに挿入信号を挿入する信号挿入部22と、信号挿入部22によって挿入信号が挿入されたデジタル伝送信号を処理し映像信号を生成する信号処理回路24とを有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システム、内視鏡および内視鏡信号処理に関し、特に間欠的に動作するドライバを有する内視鏡等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野等において、内視鏡の挿入部の先端に固体撮像素子としての電荷結合素子(CCD)を搭載し、CCDを用いて撮像した被写体の観察像をモニタに映出する、いわゆる電子内視鏡装置が普及している。一般に、電子内視鏡装置においては、スコープである電子内視鏡を、画像処理部であるプロセッサを有する内視鏡装置本体に接続して使用する構成となっている。
【0003】
これに対して、特開2006−288753号公報には、電子内視鏡に固有の制御や処理を外部のプロセッサで行う煩雑さを解消するために、電子内視鏡で主な画像処理を行う内視鏡装置が提案されている。
【0004】
すなわち、特開2006−288753号公報に記載された内視鏡装置においては、スコープである内視鏡が、CCDで撮像されたアナログ映像信号をデジタル処理するデジタル処理手段を備えている内視鏡である。
【特許文献1】特開2006−288753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、内視鏡システムにおいては、狭い内視鏡の内部にデジタル処理手段である配線が形成された基板およびIC等を配設するため、当該基板およびIC等、特にデジタル信号を伝送するドライバからの発熱が問題となることがあった。特に、CCDの画素数が向上し映像信号のデータ量が増加した場合には、発熱が問題となる。また、内視鏡システムの消費電力の低下が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、消費電力を低減した内視鏡システム、消費電力を低減した内視鏡および消費電力を低減した内視鏡信号処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明の内視鏡システムは、被写体を撮像してアナログ撮像信号を生成する撮像素子と、アナログ撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、接続された内視鏡信号処理装置へデジタル信号をデジタル伝送信号として伝送するドライバと、ドライバを間欠的に動作する制御信号をドライバに出力するドライバ制御部とを有する内視鏡と、内視鏡が着脱自在に接続され、ドライバ制御部の制御によりドライバの動作が停止しているときに発生するデジタル伝送信号の無信号期間に挿入信号を挿入する信号挿入部と、信号挿入部によって挿入信号が挿入されたデジタル伝送信号を処理し映像信号を生成する信号処理回路とを有する内視鏡信号処理装置とを具備する。
【0008】
本発明の内視鏡は、被写体を撮像してアナログ撮像信号を生成する撮像素子と、アナログ撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、デジタル信号をデジタル伝送信号として外部装置に伝送するドライバと、ドライバを間欠的に動作させる制御信号をドライバに出力するドライバ制御部とを有する。
【0009】
また、本発明の内視鏡信号処理装置は、被写体を撮像してアナログ撮像信号を生成する撮像素子と、アナログ撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、接続された内視鏡信号処理装置へデジタル信号をデジタル伝送信号として伝送するドライバと、ドライバを間欠的に動作する制御信号をドライバに出力するドライバ制御部とを有する内視鏡が着脱自在に接続可能な接続部と、内視鏡が着脱自在に接続され、ドライバ制御部の制御によりドライバの動作が停止しているときに発生するデジタル伝送信号の無信号期間に挿入信号を挿入する信号挿入部と、信号挿入部により挿入信号が挿入されたデジタル伝送信号を処理し映像信号を生成する信号処理回路とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、消費電力を低減した内視鏡システム、消費電力を低減した内視鏡および消費電力を低減した内視鏡信号処理装置を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<第1の実施の形態>
まず、図1および図2に基づき、本発明の第1の実施の形態の内視鏡システム1の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態の内視鏡システム1の外観を示す外観図であり、図2は内視鏡システム1の主要な構成を説明するブロック図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の内視鏡システム1は、体腔内に挿入され体腔内観察部位を撮像する細長い挿入部を有する内視鏡2と、内視鏡が着脱自在に接続可能な接続部11を有する内視鏡信号処理装置4とを具備する。さらに、内視鏡システム1は、付帯装置として、内視鏡2に照明光を供給する光源装置10と、内視鏡2の撮像画像を表示する画像表示部であるモニタ3と、内視鏡2への送気送水を行う送気送水ポンプ5等とを備え、これら付帯装置をラック6に搭載して構成される。
【0013】
内視鏡信号処理装置4は、入力部であるキーボード7が接続可能に構成されている。そして、内視鏡信号処理装置4は、モニタ3に設定画面等を表示し、キーボード7を用いて、搭載されている各装置の設定情報や、患者情報、術者情報あるいは手技情報等を入力することができるようになっている。
【0014】
次に、図2に示すように、内視鏡システム1は、内視鏡2と、内視鏡2が接続部11を介して着脱自在に接続される内視鏡信号処理装置4を主要構成要素とし、体腔内に挿入される内視鏡2の先端部には、固体撮像素子として、例えばCCD12が設けられ、CCD12が撮像した内視鏡画像は内視鏡信号処理装置4により後段の信号処理が行われモニタ3に表示される。
【0015】
また、内視鏡2には、CCD12から出力されるCCD信号を相関二重サンプリング処理を行うCDS部13と、CDS部13からのアナログ撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部14と、デジタル信号に対してマスク処理およびシリアル化処理等を行うFPGA(Field Programmable Gate Array)15と、デジタル信号をデジタル伝送信号として内視鏡信号処理装置4へ伝送するドライバ16と、ドライバ16を間欠的に動作するための制御信号であるパワーダウン信号をドライバ16に出力するドライバ制御部17とが設けられている。なお、ドライバ制御部17は独立した回路等である必要はなく、FPGA15の一部、または図示しない内視鏡2の全体制御を行う制御回路の一部であってもよい。また、内視鏡2には、内視鏡2を識別するための情報、例えばCCD12の仕様等、が記憶されているメモリ18も配設されている。
【0016】
ここで、内視鏡システム1は、患者の体内に内視鏡2を挿入するために、内視鏡2および内視鏡2と接続された内視鏡信号処理装置4の一部4a(以下、「患者側回路部」という。)を、後段電気回路部4b(以下、「後段回路部」という。)とは電気的に絶縁し分離した構造を有し、患者側回路部はフロート電位としている。この絶縁伝送部が、アイソレーション部20である。絶縁伝送部における電気的接続、言い換えれば信号の伝送のためには、アイソレーショントランス、例えば、パルストランス20a〜20dを用いることができる。
【0017】
そして、内視鏡システム1は、患者側回路部4aのアイソレーション部20近傍に、デジタル伝送信号に挿入信号を挿入する信号挿入部22を有している。信号挿入部22は後述のように、デジタル伝送信号の無信号期間に挿入信号を挿入する。なお、信号挿入部22は、独立の回路ではなく、他の処理も行うFPGA21の一部を用いて構成されている。一方、内視鏡信号処理装置4の後段回路部4bである信号処理回路24においてもFPGA23を用いて、後段の信号処理が行われる。後段の信号処理後の映像信号がモニタ3に出力され、内視鏡画像が表示される。
【0018】
次に、図3を用いて、本実施の形態における信号の処理について説明する。図3は、内視鏡システム1における信号波形を概念的に示した説明図であり、横軸は時間軸である。
【0019】
図3(A)は、CCD12が撮像したCCD信号を、CDS部13が相関二重サンプリング処理を行った後の、アナログ撮像信号を模式的に示している。図3(A)に示すように、アナログ撮像信号には、CCD12が撮像した撮像信号が伝達される期間TAと、信号がないブランキング期間TBとが繰り返されている。図3(A)のアナログ撮像信号を基に、ドライバ制御部17が出力するパワーダウン信号を、図3(B)に示す。ドライバ16はパワーダウン信号がH(High)の時に動作し、L(Low)の時に休止する。
【0020】
すなわち、内視鏡システム1においては、ドライバ制御部17が、ブランキング期間TBの間はドライバ16を動作せず、内視鏡信号処理装置4に信号は送信されない。すなわち、ドライバ制御部17がドライバ16を間欠的に動作するためのパワーダウン信号をドライバ16に出力するため、ドライバ16は間欠的に動作する。なお、ブランキング期間TBは、CCD12の種類等により異なるが、概ね、全時間の1/3〜1/4である。すなわち、内視鏡システム1においては、ドライバ16が、1/3〜1/4の時間、動作していない。
【0021】
このため、内視鏡システム1および内視鏡2は、ドライバ16が常時動作している内視鏡システムと比べて、消費電力が少なく内視鏡2の発熱が小さい。また、内視鏡システム1および内視鏡2は、内視鏡2の発熱に起因するノイズが低減できる。
【0022】
さらに、内視鏡システム1においては、アナログ撮像信号のブランキング期間TB、すなわち、デジタル伝送信号の無信号期間に、信号挿入部22が、図3(C)および(D)に示す挿入信号を挿入する。図3(D)は、図3(C)の横軸(時間軸)を拡大したブランキング期間TBに挿入される挿入信号のイメージを示している。すなわち、挿入信号は、0信号および1信号が同数のデジタル信号である。
【0023】
内視鏡システム1においては、デジタル伝送信号の無信号期間に挿入信号が挿入されるため、図3(E)に示すように、内視鏡信号処理装置4が処理する信号のDCバランスが安定している。このため、内視鏡システム1は、後段のデジタル信号処理の際にエラーの発生が少ない。すなわち、内視鏡システム1等は、消費電力が少ないという効果に加えて、ノイズによる画像品質の劣化少なく、高品質の画像を表示できるという効果も奏する。
【0024】
なお、図3(F)は、デジタル伝送信号の無信号期間に挿入信号を挿入しない場合の、内視鏡信号処理装置が処理する信号を示しており、DCバランスが崩れて、波形がうねっている。これは、アイソレーション部20により、患者側回路部と後段回路部とが電気的に絶縁し分離した構造を有しているため、DC成分がカットされ、その結果として同じ信号成分が連続するとDCバランスが不安定になるというデジタル伝送に特有の問題のためであると考えられる。
【0025】
図3(F)のように、DCバランスが安定していないデータでは、デジタル信号の処理の際にエラーが発生しやすく、結果として高品質の内視鏡画像が表示できないことがある。すなわち、ドライバを間欠的に動作する制御信号をドライバに出力するドライバ制御部を有する内視鏡システム等は、前述のように、消費電力が少なく、かつ、内視鏡の発熱が小さいという効果を有するが、デジタル伝送信号の無信号期間に挿入信号を挿入しなかった場合には高品質の画像が表示できないことがある。これに対して、内視鏡システム1等は高品質の画像を表示できる。
【0026】
次に、図4用いて、内視鏡システム1の構成および信号伝送についてさらに詳細に説明する。図4は、本実施の形態の3つのFPGA15、21、23による処理のブロック図である。
図4(A)は、FPGA15の構成図であり、図4(B)はFPGA21の構成図であり、図4(C)はFPGA23の構成図である。
【0027】
図4(A)に示したFPGA15は、内視鏡2に配設されている。FPGA15には、メモリ18からのCCD12の種別判別信号およびクロック信号を基にトリガ信号を発生するトリガ部15Aと、信号処理を行う信号処理部15Bと、ブランキング期間TBには、入力信号をマスクし、0信号とするマスキング部15Cと、パラレル信号をシリアル信号に変換するシリアライザー15D等が設けられている。トリガ部15Aの信号は、ドライバ制御部17に出力され、ドライバ16はドライバ制御部17からのパワーダウン信号に基づいて、ブランキング期間TBは動作を停止する間欠的な動作を行う。また、シリアライザー15Dから出力されたシリアル信号は、内視鏡信号処理装置4のFPGA21を介して、信号処理回路24に伝送される。
【0028】
図4(B)に示したFPGA21は、内視鏡信号処理装置4の患者側回路部4aに配設されている。FPGA21には、シリアル信号をパラレル信号に変換するデシリアライザー21Aと、クロック信号を基にトリガ信号を発生するトリガ部21Bと、パラレル信号をシリアル信号に変換するシリアライザー21Cと、ブランキング期間TBに挿入信号を挿入する信号挿入部22等が設けられている。
【0029】
前記のように、挿入信号は0信号および1信号が同数のデジタル信号であり、好ましくはクロック信号である。しかし、クロック信号のように0信号および1信号が交互に繰り返される信号である必要はなく、0信号および1信号がランダムに出現するテストパターン信号のように0信号および1信号が同数のデジタル信号であればよい。ここで、同数とは、完全に同一であることを意味するものではなく、結果としてDCバランスが安定していればよい。言い換えれば、挿入信号は、ローレベル期間とハイレベル期間とが等しい周期的なデジタル信号である。
【0030】
内視鏡システム1においては、信号挿入部22としては、マルチプレクサ(mux)を用い、撮像デジタル信号のブランキング期間TBをトリガ部21Bからのトリガ信号により検出し、デジタル伝送信号に、挿入信号としてクロック信号を、挿入している。
【0031】
次に、図4(C)に示したFPGA23は、内視鏡信号処理装置4の後段回路部4bに配設されている。FPGA23には、シリアル信号をパラレル信号に変換するデシリアライザー23Aと、クロック信号を基にトリガ信号を発生するトリガ部23Bと、後段の信号処理を行う信号処理部23Cと、挿入された挿入信号を除去する信号削除部23D等が設けられている。
【0032】
信号削除部23Dは、信号挿入部22で挿入された挿入信号を削除する回路であり、例えばデマルチプレクサ(dmux)またはマスキング回路を用いることができる。そして、挿入信号が除去された信号は信号処理部23Cで処理され、映像信号として、モニタ3に出力される。
【0033】
内視鏡システム1においては、無信号期間すなわちブランキング期間TBの間はドライバ16を動作せず、内視鏡信号処理装置4に信号は送信されない。このため、内視鏡システム1、内視鏡2および内視鏡信号処理装置4は、内視鏡2の発熱を小さくすることができるだけでなく、消費電力を低減することができる。さらに、内視鏡システム1においては、ブランキング期間TBの間は内視鏡信号処理装置4に信号は送信されない。しかし、アイソレーション部20を通過する際には、信号挿入部22においてデジタル伝送信号の無信号期間に挿入信号が挿入されるため、信号のDCバランスが安定している。このため、内視鏡システム1、内視鏡2および内視鏡信号処理装置4は、高品質の画像を表示できる。
【0034】
<第1の実施の形態の変形例>
次に、図5および図6に基づき、本発明の第1の実施の形態の変形例の内視鏡システム1Bについて説明する。内視鏡システム1Bは、第1の実施の形態の内視鏡システム1と類似しているため、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。図5は、本変形例の3つのFPGA15a、21a、23aによる処理のブロック図であり、図6は、パラレル/シリアル変換等の概念を説明するための説明図である。
【0035】
図5に示した3つのFPGA15a、21a、23aは、それぞれ、内視鏡システム1のFPGA15、21、23に相当する。そして、図5(A)に示した、FPGA15の構成および動作は内視鏡システム1と同じである。
【0036】
図5(B)に示したFPGA21aの信号挿入部22Bは、第1の実施の形態の内視鏡システム1の信号挿入部22と同様に、ブランキング期間TBに挿入信号を挿入するが、その信号挿入方法が異なる。デジタル伝送信号は、ブランキング期間TBには無信号、すなわち、0信号が連続した信号であるため、信号挿入部22Bは、例えば、デジタル伝送信号の偶数ビットのみを反転する。もちろん反転するのは、デジタル伝送信号の奇数ビットでもよい。信号挿入部22Bによりビット反転処理により、ブランキング期間TBのデジタル伝送信号は、0信号および1信号が同数のデジタル信号となる。
【0037】
すなわち、図6(B)に示すように、信号挿入部22Bは、ブランキング期間TBの0信号が連続した信号に、ビット反転処理を行う。その後、シリアライザー21Cにより、信号をシリアル化する。これに対して、図6(A)は、ビット反転処理を行わないでシリアル化処理を行った場合を比較のため示している。
【0038】
そして、図5(C)に示したFPGA21aの信号削除部23Eは、第1の実施の形態の内視鏡システム1の信号削除部23Dと同様に、ブランキング期間TBに挿入された挿入信号を除去する。信号削除部23Eは、信号削除部23Dと同じマスキング回路を用いることができる。あるいは、信号削除部23Eは、信号挿入部22Bが反転した反転ビットを、再度反転するビット反転処理を行ってもよい。
【0039】
内視鏡システム1B、内視鏡システム1Bの内視鏡2Bおよび内視鏡信号処理装置4Bは、第1の実施の形態の内視鏡システム1等と同様の作用効果を奏することができる。
【0040】
<第2の実施の形態>
次に、図7および図8に基づき、本発明の第2の実施の形態の内視鏡システム1Cについて説明する。内視鏡システム1Cは、第1の実施の形態の内視鏡システム1と類似しているため、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。図7は、本実施の形態の内視鏡システム1Cの主要な構成を説明するブロック図であり、図8は、内視鏡システム1Cの患者側回路部4Caの構成を説明するブロック図である。
【0041】
図8(A)に示すように、内視鏡システム1Cにおいては、信号挿入部22Cは、FPGA21cにより構成されているが、クロスポイントスイッチ(CP)機能を有する信号挿入部22Cである。クロスポイントスイッチ機能を有する信号挿入部22Cを用いることで、内視鏡システム1Cにおいては、シリアル信号のままでブランキング期間TBに挿入信号を挿入することができる。
【0042】
内視鏡システム1C、内視鏡システム1Cの内視鏡2Cおよび内視鏡信号処理装置4Cは、第1の実施の形態の内視鏡システム1等と同様の作用効果を奏することに加えて、信号処理が単純化されるため、効率の良い信号伝送が可能である。
【0043】
なお、図8(B)に示すように、FPGA21cの替わりに、専用のクロスポイントスイッチ(CP)22Dを用いても、もちろん、内視鏡システム1C等と同様の作用効果を得ることができる。なお、図8(C)は、ブランキング期間TBに挿入信号を挿入しない場合の回路構成を比較のため示している。
【0044】
なお、上記説明では、伝送ライン削減のために、複数チャンネルを1チャンネルに多重化した差動方式のシリアル信号として伝送する場合について説明したが、このシリアル信号はシングルエンド方式でもよく、またパラレルにデジタル伝送信号を伝送しても同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
また、上記説明では、内視鏡システム等において、アナログ撮像信号のブランキング期間にドライバ16の動作を停止する例を示したが、内視鏡システム等の消費電力をより低減したい場合、または、内視鏡の発熱をより小さくしたい場合等には、映像信号に、いわゆるコマ落ちが生じるが、アナログ撮像信号のブランキング期間以外の時間にも、例えば、フレーム単位またはフィールド単位で、ドライバ16の動作を停止するようにしてもよい。
【0046】
本発明は、上述した実施の形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施の形態の内視鏡システムの外観を示す外観図である。
【図2】第1の実施の形態の内視鏡システムの主要な構成を説明するブロック図である。
【図3】第1の実施の形態の内視鏡システム1における信号波形を概念的に示した説明図である。
【図4】第1の実施の形態の3つのFPGAによる処理のブロック図である。
【図5】第1の実施の形態の変形例の3つのFPGAによる処理のブロック図である。
【図6】第1の実施の形態の変形例のパラレル/シリアル変換等の概念を説明するための説明図である。
【図7】第2の実施の形態の内視鏡システムの主要な構成を説明するブロック図である。
【図8】第2の実施の形態の内視鏡システムの患者側回路部の構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1、1B、1C…内視鏡システム、2、2B、2C…内視鏡、3…モニタ、4、4B、4C…内視鏡信号処理装置、4a、4Ca…患者側回路部、4b…後段回路部、10…光源装置、13…CDS部、14…AD変換部、15A…トリガ部、15B…信号処理部、15C…マスキング部、15D…シリアライザー、16…ドライバ、17…ドライバ制御部、18…メモリ、20…アイソレーション部、20a-20d…パルストランス、21A…デシリアライザー、21B…トリガ部、21C…シリアライザー、22、22B、22C…信号挿入部、23A…デシリアライザー、23B…トリガ部、23C、23D、23E…信号処理部、24…信号処理回路、TB…ブランキング期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像してアナログ撮像信号を生成する撮像素子と、前記アナログ撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、接続された内視鏡信号処理装置へ前記デジタル信号をデジタル伝送信号として伝送するドライバと、前記ドライバを間欠的に動作する制御信号を前記ドライバに出力するドライバ制御部とを有する内視鏡と、
前記内視鏡が着脱自在に接続され、前記ドライバ制御部の制御により前記ドライバの動作が停止しているときに発生する前記デジタル伝送信号の無信号期間に挿入信号を挿入する信号挿入部と、前記信号挿入部によって前記挿入信号が挿入された前記デジタル伝送信号を処理し映像信号を生成する信号処理回路とを有する内視鏡信号処理装置とを具備することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記ドライバ制御部は、前記アナログ撮像信号のブランキング期間は前記ドライバの動作を停止することにより、前記ドライバを間欠的に動作させることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記挿入信号は、ローレベル期間とハイレベル期間とが等しい周期的なデジタル信号であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記挿入信号は、クロック信号であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記内視鏡信号処理装置は、
前記信号挿入部と前記信号処理回路とが互いに絶縁された状態で、前記信号挿入部により前記挿入信号が挿入された前記デジタル伝送信号を、前記信号処理回路へと伝送するための絶縁伝送部を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記絶縁伝送部は、パルストランスであることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記内視鏡は、
前記AD変換部より出力される前記デジタル信号を前記デジタル伝送信号としての差動信号に変換して前記ドライバへと出力する変換部を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
被写体を撮像してアナログ撮像信号を生成する撮像素子と、
前記アナログ撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記デジタル信号をデジタル伝送信号として外部装置に伝送するドライバと、
前記ドライバを間欠的に動作させる制御信号を前記ドライバに出力するドライバ制御部とを有することを特徴とする内視鏡。
【請求項9】
前記ドライバ制御部は、前記アナログ撮像信号のブランキング期間は前記ドライバの動作を停止することにより、前記ドライバを間欠的に動作することを特徴とする請求項8に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記AD変換部より出力される前記デジタル信号を前記デジタル伝送信号としての差動信号に変換して前記ドライバに出力する変換部を有することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の内視鏡。
【請求項11】
被写体を撮像してアナログ撮像信号を生成する撮像素子と、前記アナログ撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、接続された内視鏡信号処理装置へ前記デジタル信号をデジタル伝送信号として伝送するドライバと、前記ドライバを間欠的に動作する制御信号を前記ドライバに出力するドライバ制御部とを有する内視鏡が着脱自在に接続可能な接続部と、
前記内視鏡が着脱自在に接続され、前記ドライバ制御部の制御により前記ドライバの動作が停止しているときに発生する前記デジタル伝送信号の無信号期間に挿入信号を挿入する信号挿入部と、前記信号挿入部により前記挿入信号が挿入された前記デジタル伝送信号を処理し映像信号を生成する信号処理回路とを有することを特徴とする内視鏡信号処理装置。
【請求項12】
前記挿入信号は、ローレベル期間とハイレベル期間とが等しい周期的なデジタル信号であることを特徴とする請求項11に記載の内視鏡信号処理装置。
【請求項13】
前記挿入信号は、クロック信号であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の内視鏡信号処理装置。
【請求項14】
前記信号挿入部と前記信号処理回路とが互いに絶縁された状態で、前記信号挿入部により前記挿入信号が挿入された前記デジタル伝送信号を、前記信号処理回路へと伝送するための絶縁伝送部を有することを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の内視鏡信号処理装置。
【請求項15】
前記絶縁伝送部は、パルストランスであることを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の内視鏡信号処理装置。
【請求項16】
前記内視鏡は、
前記AD変換部より出力された前記デジタル信号を前記デジタル伝送信号としての差動信号に変換して前記ドライバへ出力する変換部を有することを特徴とする請求項11から請求項15のいずれか1項に記載の内視鏡信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−233178(P2009−233178A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84680(P2008−84680)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】