説明

内視鏡システム

【課題】被検体に対する検査及び観察に費やされる時間を短縮することのできる内視鏡システムを提供する。
【解決手段】本発明の内視鏡システムは、被検体に挿入され、前記被検体内部の被写体の像を撮像し、撮像した前記被写体の像を撮像信号として出力する内視鏡と、前記内視鏡から出力された前記撮像信号に対して信号処理を行った映像信号を静止画像として保存する静止画像保存装置と、前記映像信号に対して信号処理を行った画像信号を、画像データとして、前記画像各々に関する所定の情報と共に保存する画像データ保存装置とを接続することが可能なプロセッサとを有し、前記プロセッサは、前記静止画像保存装置において静止画像の保存が不可能であることを示す通知信号が出力されていることを検知した場合、前記映像信号を前記画像データ保存装置に対して出力する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関し、特に、静止画像保存装置と、画像データ保存装置とを接続可能なプロセッサを有する内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡システムは、医療分野及び工業分野等において広く用いられている。そして、近年においては、例えば、特許文献1に提案されている内視鏡システムのように、モニタ等の表示手段に表示される画像を、PCカード等の画像データ保存装置により保存可能であると共に、プリンタ等の静止画像保存装置により保存可能であるといったように、該一の観察画像を複数の保存装置に対して出力可能な機能を有する内視鏡システムもまた広く用いられている。
【0003】
特許文献1に提案されている内視鏡システムは、モニタに表示される静止画像を、PCカードにより画像データとして出力することが可能であると共に、該PCカードを介して接続されたビデオプリンタにより紙等に印刷された状態として出力することが可能であるような構成を有している。
【0004】
【特許文献1】特開平11−089792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の一般的な内視鏡システムにおいては、例えば、一の保存装置のビジー状態が解除されるまでの期間に、該一の保存装置に対し、モニタ等の表示手段に表示されている静止画像の保存指示が行われた場合、該保存指示を無効とするような処理が行われる。これにより、従来の一般的な内視鏡システムにおいては、例えば、前記一の保存装置に対し、静止画像の保存指示が連続的に行われたとしても、該保存指示のうち、最初の保存指示以外の保存指示が無効となってしまう。そのため、従来の一般的な内視鏡システムを用いた場合においては、連続的に被写体の静止画像を保存することが困難であり、その結果、被検体に対する検査及び観察に費やされる時間が長時間化してしまうという課題が生じている。そして、特許文献1に提案されている内視鏡システムもまた、このような課題と略同様の課題を有している。
【0006】
また、従来の一般的な内視鏡システムにおいては、モニタ等の表示手段に表示されている静止画像をPCカード等に画像データとして保存する場合、例えば、DCF(Design rule for Camera File system)規格等のデジタルカメラ用の画像フォーマットが用いられる。そして、前記デジタルカメラ用の画像フォーマットは、各々の画像に対し、例えば、該画像がどのような内容の画像であるかを、術者が一見して識別可能であるようなディレクトリ名及びファイル名が付与されるデータフォーマットとしては構成されていない。そのため、従来の一般的な内視鏡システムを用いた場合においては、術者は、所望の画像を見つけるために、PCカード等に保存された画像を1枚づつ再生しつつ内容を確認する必要があり、その結果、被検体に対する検査及び観察に費やされる時間が長時間化してしまうという課題が生じている。そして、特許文献1に提案されている内視鏡システムもまた、このような課題と略同様の課題を有している。
【0007】
本発明は、前述した点に鑑みてなされたものであり、従来に比べ、被検体に対する検査及び観察に費やされる時間を短縮することのできる内視鏡システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における第1の内視鏡システムは、被検体に挿入され、前記被検体内部の被写体の像を撮像し、撮像した前記被写体の像を撮像信号として出力する内視鏡と、前記内視鏡から出力された前記撮像信号に対して信号処理を行った映像信号を静止画像として保存する静止画像保存装置と、前記映像信号に対して信号処理を行った画像信号を、画像データとして、前記画像各々に関する所定の情報と共に保存する画像データ保存装置とを接続することが可能なプロセッサとを有し、前記プロセッサは、前記静止画像保存装置において静止画像の保存が不可能であることを示す通知信号が出力されていることを検知した場合、前記映像信号を前記画像データ保存装置に対して出力する制御を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明における第2の内視鏡システムは、前記第1の内視鏡システムにおいて、前記プロセッサは、前記通知信号の出力が停止したことを検知した場合、前記通知信号が出力されている期間内に前記画像データ保存装置に対して出力された映像信号である、一時保存映像信号を、前記静止画像保存装置に対して出力する制御を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明における第3の内視鏡システムは、前記第1または第2の内視鏡システムにおいて、前記静止画像保存装置は、プリンタ、写真撮影装置またはデジタルファイリング装置のうちのいずれか一であることを特徴とする。
【0011】
本発明における第4の内視鏡システムは、前記第1の内視鏡システムにおいて、前記画像データは、JPEG形式、GIF形式またはTIFF形式のうち、少なくとも一の形式により処理された画像データファイルとして前記画像データ保存装置に保存されることを特徴とする。
【0012】
本発明における第5の内視鏡システムは、前記第4の内視鏡システムにおいて、前記プロセッサは、前記被写体の像を画像データとして保存するための指示である画像データ保存指示信号が出力されたことを検知した場合、前記画像データ保存装置において、少なくとも、前記所定の情報が書き込まれる検査情報管理ファイルと、前記画像データファイル各々及び前記所定の情報を関連付けるための検査情報リンク出力ファイルとを生成するための制御を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明における第6の内視鏡システムは、前記第5の内視鏡システムにおいて、さらに、前記プロセッサは、前記画像データ保存指示信号が出力されたことを検知した場合、前記画像データ保存装置において、前記検査情報リンク出力ファイルの表示スタイルを設定するための検査用スタイルシートファイルを生成することを特徴とする。
【0014】
本発明における第7の内視鏡システムは、前記第5または前記第6の内視鏡システムにおいて、前記検査情報管理ファイルに書き込まれる前記所定の情報は、少なくとも、前記被検体に関する被検体情報と、前記画像データファイルに関する画像情報とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明における第8の内視鏡システムは、前記第7の内視鏡システムにおいて、前記検査情報リンク出力ファイルは、前記画像データ保存装置が接続可能かつ動作可能な端末装置において実行された際に、前記被写体情報及び前記画像情報が同一画面上に表示される、画像一覧画面を生成して出力することを特徴とする。
【0016】
本発明における第9の内視鏡システムは、前記第5乃至第8の内視鏡システムにおいて、 前記検査情報リンク出力ファイルは、ハイパーテキスト形式のファイルとして構成されることを特徴とする。
【0017】
本発明における第10の内視鏡システムは、前記第1乃至第9の内視鏡システムにおいて、前記プロセッサは、前記画像データ保存装置が前記プロセッサに挿入されていない状態、または、前記プロセッサに挿入された前記画像データ保存装置に十分な空き容量が存在しない状態を検知した際に出力される接続警告信号に基づき、警告表示を表示させるような制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明における内視鏡システムによると、従来に比べ、被検体に対する検査及び観察に費やされる時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1から図13は、本発明の実施形態に係るものである。図1は、本実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。図2は、本実施形態に係る内視鏡システムにおいて、内視鏡及びプロセッサの内部構成を示す図である。図3は、本実施形態に係る内視鏡システムにおいて、プリンタがビジー状態の際の映像信号の流れを示すための図である。図4は、図3の状態から、プリンタのビジー状態が解除された後の映像信号の流れを示すための図である。図5は、本実施形態に係る内視鏡システムのプロセッサの制御部が行う処理のうち、2回以上の保存指示が時間的に連続してなされた場合の処理の一例を示すフローチャートである。図6は、本実施形態に係る内視鏡システムによりPCカードに作成されるデータ構造の一例を示す図である。図7は、本実施形態に係る内視鏡システムによりPCカードに作成される、検査情報管理ファイルのデータ構造の一例を示す図である。図8は、本実施形態に係る内視鏡システムにより作成された、検査情報リンク出力ファイルを実行した際に表示される画像一覧画面の一例を示す図である。図9は、図8の画像一覧画面において、一の画像ファイルを選択及び実行した際に表示される内視鏡画像表示画面の一例を示す図である。図10は、PCカードメニュー画面の一例を示す図である。図11は、画像一覧画面において、一の画像ファイルを選択及び実行した際に表示される内視鏡画像表示画面の、図9とは異なる例を示す図である。図12は、本実施形態に係る内視鏡システムを用いて被写体の像の撮像を行う際に、画像表示部上にアローポインタを移動及び表示させた場合の内視鏡画像表示画面の一例を示す図である。図13は、図12の画像がアローポインタの先端部を画像中心部として所定の倍率に拡大された、拡大画像が画像表示部に表示された場合の、内視鏡画像表示画面の一例を示す図である。
【0020】
内視鏡システム1は、図1に示すように、被検体に挿入され、前記被検体内部の被写体の像を撮像し、撮像した前記被写体の像を撮像信号として出力する内視鏡2と、内視鏡2が撮像する該被写体を照明するための照明光を出射する光源装置3と、内視鏡2から出力される撮像信号に対して信号処理を行うことにより、映像信号を生成するプロセッサ4とを有して要部が構成されている。
【0021】
内視鏡2は、スコープスイッチ群13が設けられた操作部2aと、被検体内部に挿入される挿入部2bとを有して構成される。また、内視鏡2は、操作部2aに設けられたコネクタ2cに対して基端側が着脱自在に構成されるユニバーサルコード12を介し、光源装置3に対して着脱自在に接続される。さらに、内視鏡2は、ユニバーサルコード12の先端側に設けられたコネクタ14により、プロセッサ4に対して着脱自在に接続される。
【0022】
スイッチ等を有するスコープスイッチ群13は、例えば、術者により前記スイッチ等が操作されると、内視鏡2及びプロセッサ4等に対し、前記スイッチ等各々に対応した、例えば、コントラストレベルの調整、画像強調レベルの調整及びズームレベルの変更、及び後述するモニタ32に表示される被写体の像の画像に対する画像サイズの変更等の、種々の操作指示を行うための指示信号を出力する。
【0023】
プロセッサ4は、内視鏡2から延出するユニバーサルコード12の先端側に設けられたコネクタ14に対して着脱自在に構成されていると共に、プリンタ30、キーボード31及びモニタ32に対しても着脱自在に構成されている。また、プロセッサ4は、スイッチ等により構成され、術者がプロセッサ4等に対して種々の操作指示を行うための指示信号を出力する操作スイッチ群5と、画像データ保存装置としての、不揮発性保存媒体であるPCカード6を挿脱可能なPCカードスロット7とを外装表面上に有している。
【0024】
静止画像保存装置としてのプリンタ30は、プロセッサ4から出力される映像信号に基づき、モニタ32に表示される被写体の像の静止画像を、紙媒体等の保存媒体に対して印刷可能な構成を有している。なお、本実施形態におけるプリンタ30は、静止画像を保存可能な構成を有する装置であれば、例えば、写真撮影装置またはデジタルファイリング装置のような装置であっても良い。
【0025】
複数のキー等を有するキーボード31は、例えば、プロセッサ4に対して検査終了を指示するための指示信号を出力する、図示しない検査終了キー等のキーを有している。また、キーボード31は、術者により前記複数のキー等が操作されると、内視鏡2及びプロセッサ4等に対し、前記複数のキー等各々に対応した、例えば、コントラストレベルの調整、画像強調レベルの調整、ズームレベルの変更、及び後述するモニタ32に表示される被写体の像の画像に対する画像サイズの変更等の、種々の操作指示を行うための指示信号を出力する。
【0026】
モニタ32は、プロセッサ4から出力される映像信号に基づき、内視鏡2が撮像した被写体の像等の画像表示を行う。
【0027】
図2に示すように、内視鏡2は、被写体の像を結像する対物レンズ10と、対物レンズ10の結像位置に配置された撮像素子11とを挿入部2bの先端部に有している。また、内視鏡2の内部には、光源装置3からユニバーサルコード12を介して出射された照射光を、挿入部2bの先端部へ導くためのライトガイド8が、操作部2a及び挿入部2bを挿通するように設けられている。
【0028】
撮像素子11は、CCD(電荷結合素子)等からなり、対物レンズ10により結像された被写体の像を光電変換し、撮像信号として出力する。なお、撮像素子11から出力される撮像信号は、コネクタ2cに基端側が、コネクタ14に先端側が接続されたユニバーサルコード12を介し、プロセッサ4に対して出力される。
【0029】
プロセッサ4は、増幅部15と、プリプロセス部16と、A/D(アナログ/デジタル)変換部17と、Y/C分離部18と、RGBマトリクス部19と、ホワイトバランス調整部20と、デジタル映像処理部21と、記憶部22と、画像圧縮/伸張部24と、PCカードドライバ部25と、制御部27と、D/A(デジタル/アナログ)変換部28と、ポストプロセス部29と、文字重畳部34と、PCカード電源部35とを有して構成される。
【0030】
増幅部15は、入力される撮像信号を増幅して出力する。
【0031】
アナログフィルタ等により構成されるプリプロセス部16は、増幅部15から出力される撮像信号に対し、ノイズ除去等の前処理を行う。
【0032】
A/D変換部17は、プリプロセス部16から出力される撮像信号に対してA/D変換を行う。
【0033】
Y/C分離部18は、A/D変換部から出力される撮像信号を輝度信号と色信号とに分離する。
【0034】
RGBマトリクス部19は、Y/C分離部18から出力される輝度信号及び色信号を、赤(R)、緑(G)及び青(B)の色成分及び輝度成分を有するRGB信号に変換する。
【0035】
ホワイトバランス調整部20は、RGB信号が有する輝度成分に対し、ホワイトバランスに基づく輝度比の調整を行う。
【0036】
デジタルフィルタ等により構成されるデジタル映像処理部21は、ホワイトバランス調整部20から出力されるRGB信号に対して、デジタルフィルタ処理等の処理を行う。
【0037】
文字重畳部34は、制御部27からの制御信号に基づき、モニタ32に所定の文字が表示されるように、デジタル映像処理部21から出力されるRGB信号に対して文字画像信号を重畳し、映像信号として出力する。
【0038】
揮発性のメモリ等により構成される記憶部22は、文字重畳部34から出力される映像信号を一時的に記憶し、制御部27から出力される制御信号に基づき、記憶した映像信号を画像圧縮/伸張部24に対して出力する。
【0039】
また、記憶部22は、画像圧縮/伸張部24から出力される映像信号を一時的に記憶し、制御部27から出力される制御信号に基づき、記憶した映像信号をD/A変換部28に対して出力する。
【0040】
画像圧縮/伸張部24は、記憶部22から出力される映像信号と、制御部27から出力される制御信号とに基づき、該映像信号に対し、例えば、JPEG形式の圧縮処理を行う。そして、画像圧縮/伸張部24は、圧縮処理を行った後の映像信号を、画像信号としてPCカードドライバ部25に対して出力する。なお、画像圧縮/伸張部24は、術者によりキーボード31が操作されることにより、圧縮処理を行う際の圧縮率が、例えば、GIF形式等の圧縮形式に基づく、JPEG形式に比べて高い圧縮率に変更されるような構成を有していても良いし、また、TIFF形式等の圧縮形式に基づく、JPEG形式に比べて低い圧縮率に変更されるような構成を有していても良い。また、画像圧縮/伸張部24は、記憶部22から出力される映像信号に対し、TIFF形式等の非圧縮形式に基づく、第1の圧縮率として圧縮処理された第1の画像信号と、JPEG形式等の圧縮形式に基づく、第2の圧縮率として圧縮処理された第2の画像信号とを併せて生成し、生成した第1の画像信号及び第2の画像信号をPCカードドライバ部25に対して併せて出力するような構成を有していても良い。なお、本実施形態の以降の説明においては、画像圧縮/伸張部24は、記憶部22から出力される映像信号に対してJPEG形式の圧縮処理を行い、該圧縮処理を行った後の映像信号を、画像信号としてPCカードドライバ部25に対して出力する構成を有するものであるとする。
【0041】
また、画像圧縮/伸張部24は、PCカードドライバ部25から出力される画像信号と、制御部27から出力される制御信号とに基づき、例えば、JPEG形式の圧縮処理が施された該画像信号に対して伸張処理を行う。その後、画像圧縮/伸張部24は、伸張処理を行った後の画像信号を、映像信号として記憶部22に対して出力する。
【0042】
PCカードドライバ部25は、制御部27から出力される制御信号に基づき、例えば、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)規格に基づいた駆動制御等をPCカード6に対して行うことにより、PCカード6に保存されているJPEG形式の画像を画像信号として画像圧縮/伸張部24に対して出力する。
【0043】
また、PCカードドライバ部25は、制御部27から出力される制御信号に基づき、例えば、PCMCIA規格に基づいた駆動制御等をPCカード6に対して行うことにより、画像圧縮/伸張部24から出力される画像信号をPCカード6に対して出力する。
【0044】
PCカードドライバ部25は、PCカードスロット7にPCカード6が挿入され、かつ、挿入されたPCカード6に十分な空き容量が存在することを検知した場合、接続検知信号を制御部27に対して出力する。さらに、PCカードドライバ部25は、PCカードスロット7にPCカード6が挿入されていない状態、または、挿入されたPCカード6に十分な空き容量が存在しない状態を検知した場合、接続警告信号を制御部27に対して出力する。
【0045】
PCカード電源部35は、PCカードスロット7に挿入された状態のPCカード6が、PCカードドライバ部25に対して行う信号の入出力に要する電圧を供給する。
【0046】
CPU(中央処理装置)等により構成された制御部27は、操作スイッチ群5から出力される指示信号、PCカードドライバ部25から出力される接続検知信号及び接続警告信号、プリンタ30から出力される後述する通知信号、またはキーボード31から出力される指示信号に基づいて制御を行うための制御信号を、記憶部22、画像圧縮/伸張部24、PCカードドライバ部25、プリンタ30、または文字重畳部34に対して出力する。なお、制御部27は、プロセッサ4において、前述した以外の各部に対する制御もまた行うものであるとする。なお、制御部27は、PCカードドライバ部25から出力される接続警告信号を検知した場合、PCカード6の空き容量が十分ではないことを示すための文字列等を有する、警告表示を表示させるような制御を、文字重畳部34に対して行う。
【0047】
D/A変換部28は、文字重畳部34から出力される映像信号または記憶部22から出力される映像信号に対してD/A変換を行う。
【0048】
ポストプロセス部29は、D/A変換部28から出力される映像信号を、例えば、NTSC形式またはPAL形式等の映像形式に変換した後、変換後の映像信号を第1の映像信号としてモニタ32に対して出力する。また、ポストプロセス部29は、D/A変換部28から出力される映像信号を、例えば、プリンタ30の印刷形式に応じた形式に変換した後、変換後の映像信号を第2の映像信号としてプリンタ30に対して出力する。
【0049】
次に、本実施形態の内視鏡システム1の作用について説明を行う。
【0050】
まず、術者は、内視鏡システム1の各部を接続した後、内視鏡システム1の各部の電源を投入して起動させる。また、術者は、十分な空き容量を有するPCカード6をPCカードスロット7に挿入する。この状態において、PCカードドライバ部25は、PCカードスロット7に、十分な空き容量を有するPCカード6が挿入されたことを検知し、接続検知信号を制御部27に対して出力する。なお、PCカードドライバ部25は、PCカードスロット7にPCカード6が挿入されていない状態、または、挿入されたPCカード6に十分な空き容量が存在しない状態を検知した場合、接続警告信号を制御部27に対して出力する。
【0051】
その後、術者は、内視鏡2の挿入部2bを生体等の被検体内部に挿入した後、該被検体内部の所望の部位において、ライトガイド8の先端側から出射される照明光により照明された、生体組織等の被写体を撮像する。内視鏡2により撮像された被写体の像は、撮像素子11により光電変換され、撮像信号としてプロセッサ4に対して出力される。
【0052】
内視鏡2から出力された撮像信号は、プロセッサ4に入力された後、増幅及び前処理等が行われた状態においてA/D変換された後、輝度比の調整及びデジタルフィルタ処理等が行われた状態のRGB信号に変換される。さらに、前記RGB信号は、文字画像信号が重畳された後、D/A変換及びNTSC形式またはPAL形式等への変換が行われた第1の映像信号としてモニタ32に出力される。そして、モニタ32は、前記第1の映像信号に基づく被写体の像を画像表示する。
【0053】
また、前記RGB信号は、文字画像信号が重畳された後、プリンタ30の印刷形式に応じた形式への変換が行われた第2の映像信号としてプリンタ30に出力される。そして、プリンタ30は、制御部27から制御信号が出力されたことを検知するまでは、前記第2の映像信号に基づく印刷を行わず、待機状態を維持する。
【0054】
そして、前述したような状態において、モニタ32において画像表示されている被写体の像を、プリンタ30により紙媒体として出力及び保存したい場合、術者は、例えば、操作スイッチ群5に設けられた図示しない印刷スイッチを操作することにより、プロセッサ4に対して保存指示を行う。さらに、モニタ32において画像表示されている被写体の像を、プリンタ30に連続的に出力及び保存したい場合、術者は、例えば、操作スイッチ群5に設けられた図示しない印刷スイッチをさらに操作することにより、プロセッサ4に対し、時間的に連続した保存指示を行う。
【0055】
プロセッサ4の制御部27は、操作スイッチ群5から出力される、プリンタ30に対する1回目の保存指示としての第1の指示信号に基づき、プリンタ30に対し、モニタ32において画像表示されている被写体の像を印刷させるような第1の制御信号を出力する。
【0056】
プリンタ30は、制御部27から出力される第1の制御信号と、ポストプロセス部29から出力される第2の映像信号とに基づき、モニタ32において画像表示されている被写体の像の印刷を行う。
【0057】
また、プロセッサ4の制御部27は、操作スイッチ群5から、1回目の保存指示としての第1の指示信号に対して時間的に連続して出力される、プリンタ30に対しての2回目または2回目以降の保存指示としての第2の指示信号に基づき、プリンタ30に対し、モニタ32において画像表示されている被写体の像を印刷させるような第2の制御信号を出力する(図5のステップS1)。
【0058】
プリンタ30は、制御部27から出力される第2の制御信号を検知した時点において、第1の制御信号に基づく被写体の像の印刷が完了しており、引き続き静止画像の保存を行うことが可能である場合、すなわち、プリンタ30自身がビジー状態でない場合(図5のステップS2)、制御部27から出力される第2の制御信号と、ポストプロセス部29から出力される第2の映像信号とに基づき、モニタ32において画像表示されている被写体の像の印刷を引き続き行う(図5のステップS9)。
【0059】
また、プリンタ30は、制御部27から出力される第2の制御信号を検知した時点において、第1の制御信号に基づく被写体の像の印刷が未完了である場合、第2の制御信号に基づく被写体の像の静止画像の保存が不可能であることを示す、すなわち、プリンタ30自身がビジー状態であることを示すための信号である通知信号を、制御部27に対して出力する(図5のステップS2及びステップS3)。
【0060】
制御部27は、PCカードドライバ部25から接続検知信号が出力されていることを検知した上において、プリンタ30から出力される通知信号に基づき、D/A変換部28に対して出力している映像信号を、記憶部22に対しても出力させるような制御を行うための制御信号を文字重畳部34に対して出力する。また、制御部27は、プリンタ30から出力される通知信号に基づき、プリンタ30がビジー状態の際の映像信号を一時的にPCカード6に出力させるような制御を行うための制御信号を、記憶部22と、画像圧縮/伸張部24と、PCカードドライバ部25とに対して出力する(図5のステップS4)。
【0061】
文字重畳部34は、制御部27から出力される制御信号に基づき、D/A変換部28に対して出力している映像信号を、記憶部22に対しても出力する。
【0062】
記憶部22は、制御部27から出力される制御信号に基づき、文字重畳部34から出力される映像信号を画像圧縮/伸張部24に対して出力する。
【0063】
画像圧縮/伸張部24は、制御部27から出力される制御信号に基づき、記憶部22から出力される映像信号に対して圧縮処理を行った後、圧縮処理を行った後の映像信号を、画像信号としてPCカードドライバ部25に対して出力する。
【0064】
PCカードドライバ部25は、制御部27から出力される制御信号に基づき、例えば、画像圧縮/伸張部24から出力される画像信号をPCカード6に対して出力する。
【0065】
以上に述べた、図3に示すような映像信号の流れにより、PCカード6には、プリンタ30がビジー状態の際の映像信号が、圧縮処理を施された画像信号として一時的に保存される。
【0066】
その後、プリンタ30は、制御部27から出力される第1の制御信号に基づく被写体の像の印刷が完了した場合、第2の制御信号に基づく被写体の像の印刷が可能となったことを示すため、すなわち、プリンタ30自身がビジー状態でないことを示すため、制御部27に対する通知信号の出力を停止する。
【0067】
制御部27は、プリンタ30からの通知信号の出力が停止したことを検知すると(図5のステップS5)、文字重畳部34に対し、記憶部22に対する映像信号の出力を停止させる制御を行うための制御信号を出力する。また、制御部27は、プリンタ30から通知信号が出力されていないことを検知すると、圧縮処理を施された画像信号として、プリンタ30から通知信号が出力されている期間内にPCカード6に出力された映像信号である、一時保存映像信号を、プリンタ30に対して出力させるような制御を行うための制御信号を、記憶部22と、画像圧縮/伸張部24と、PCカードドライバ部25とに対して出力する(図5のステップS6)。
【0068】
PCカードドライバ部25は、制御部27から出力される制御信号に基づき、圧縮処理を施された画像信号として一時的に保存されている、プリンタ30がビジー状態の際の映像信号をPCカード6から読み込んだ後、該画像信号を画像圧縮/伸張部24に対して出力する。
【0069】
画像圧縮/伸張部24は、制御部27から出力される制御信号に基づき、PCカードドライバ部25から出力される画像信号に対して伸張処理を行った後、伸張処理を行った後の画像信号を、映像信号として記憶部22に対して出力する。
【0070】
記憶部22は、制御部27から出力される制御信号に基づき、画像圧縮/伸張部24から出力される映像信号をD/A変換部28に対して出力する。
【0071】
記憶部22から出力された映像信号は、D/A変換部28においてD/A変換された後、ポストプロセス部29においてプリンタ30の印刷形式に応じた形式への変換が行われた第2の映像信号としてプリンタ30に出力される。
【0072】
プリンタ30は、制御部27から出力される第2の制御信号と、ポストプロセス部29から出力される第2の映像信号、すなわち、プリンタ30自身がビジー状態の際に圧縮処理を施された画像信号として一時的にPCカード6に保存されていた映像信号とに基づき、被写体の像の印刷を行う。そして、プリンタ30は、制御部27から出力される第2の制御信号と、プリンタ30自身がビジー状態の際に圧縮処理を施された画像信号として一時的にPCカード6に保存されていた映像信号とに基づく被写体の像の印刷が完了した旨を示すための印刷完了信号を制御部27に対して出力する。
【0073】
制御部27は、プリンタ30から出力される印刷完了信号に基づき(図5のステップS7)、プリンタ30がビジー状態の際に、圧縮処理を施された画像信号としてPCカード6に一時的に保存された映像信号を削除させるような制御を行うための制御信号を、PCカードドライバ部25に対して出力する(図5のステップS8)。
【0074】
PCカードドライバ部25は、制御部27から出力される制御信号に基づき、プリンタ30がビジー状態の際に、圧縮処理を施された画像信号としてPCカード6に一時的に保存された映像信号の削除を行う。
【0075】
以上に述べた、図4に示すような映像信号の流れにより、プリンタ30は、プリンタ30自身がビジー状態の際に保存指示がなされた場合においても、該保存指示がなされた時点における映像信号に基づいて印刷を行うことができる。
【0076】
また、モニタ32において画像表示されている被写体の像を、PCカード6に画像データとして出力及び保存したい場合、術者は、例えば、操作スイッチ群5に設けられた図示しない画像データ保存スイッチを操作することにより、プロセッサ4に対する保存指示としての、画像データ保存指示信号を出力させる。
【0077】
制御部27は、操作スイッチ群5から出力される画像データ保存指示信号に基づき、D/A変換部28に対して出力している映像信号を、記憶部22に対しても出力させるような制御を行うための制御信号を文字重畳部34に対して出力する。また、制御部27は、プリンタ30から出力される通知信号に基づき、モニタ32において画像表示されている被写体の像の画像をPCカード6に出力させるような制御を行うための制御信号を、記憶部22と、画像圧縮/伸張部24と、PCカードドライバ部25とに対して出力する。
【0078】
記憶部22は、制御部27から出力される制御信号に基づき、文字重畳部34から出力される映像信号を画像圧縮/伸張部24に対して出力する。
【0079】
画像圧縮/伸張部24は、制御部27から出力される制御信号に基づき、記憶部22から出力される映像信号に対して圧縮処理を行った後、圧縮処理を行った後の映像信号を、画像信号としてPCカードドライバ部25に対して出力する。
【0080】
PCカードドライバ部25は、制御部27から出力される制御信号に基づき、例えば、画像圧縮/伸張部24から出力される画像信号をPCカード6に対して出力する。
【0081】
以上により、PCカード6には、モニタ32において画像表示されている被写体の像の画像が、例えば、JPEG形式の画像データファイルとして保存される。
【0082】
PCカード6は、図6に示すように、ルートディレクトリ101の直下に、DCF規格に基づいて作成された、DCIMフォルダ102内のデータ構造として、DCIM管理情報ファイル103と、検査用スタイルシートファイル104と、検査フォルダ群105とが同一ディレクトリに格納されるような構成を有している。なお、PCカード6が有するこのようなデータ構造は、制御部27がPCカードドライバ部25を介した制御をPCカード6に対して行うことにより作成されるものであるとする。
【0083】
DCIM管理情報ファイル103は、DCIMフォルダ内のデータ管理ファイルとして、例えば、バイナリファイルにより構成されているファイルである。
【0084】
検査用スタイルシートファイル104は、検査フォルダ内のデータの表示スタイルを設定するためのファイルとして、例えば、カスケードスタイルシートファイルにより構成されている。
【0085】
検査フォルダ群105は、1または複数の検査フォルダ105A、105B、・・・を有している。
【0086】
検査フォルダ群105が有する検査フォルダ105A、105B、・・・は、例えば、キーボード31が有する検査終了キーが1回操作される毎に、すなわち、1検査毎に、制御部27がPCカードドライバ部25を介した制御を行うことにより1ずつ作成されるフォルダであり、また、各々が略同様のデータ構造を有している。そして、PCカードドライバ部25から出力される画像信号に基づく画像は、検査フォルダ群105が有する検査フォルダ105A、105B・・・のうち、最後に作成された検査フォルダ内に画像データファイルとして保存される。なお、以下の説明においては、説明の簡単のため、検査フォルダ群105において、最後に作成された検査フォルダが検査フォルダ105Aである場合について述べるものとする。
【0087】
検査フォルダ105Aは、フォルダ内のデータ構造として、検査情報管理ファイル105A1と、検査情報リンク出力ファイル105A2と、1または複数の画像データファイル105a1、105a2、・・・を有する画像ファイルデータ群105A3とが同一ディレクトリに格納されるような構成を有している。
【0088】
検査情報管理ファイル105A1は、画像ファイルデータ群105A3が有する各々の画像データファイルに対応するデータとして、例えば、検査日、患者ID及び観察状態等のデータを有するバイナリファイルにより構成されている。なお、検査情報管理ファイル105A1が有するデータ構造の具体例については、後述するものとする。
【0089】
検査情報リンク出力ファイル105A2は、画像ファイルデータ群105A3が有する各々の画像データファイルのうち、一の画像データファイルと、検査情報管理ファイル105A1が有するデータのうち、該一の画像データファイルに対応する各情報とを関連付けるためのファイルとして、検査用スタイルシート104により設定された表示スタイルに対応可能である、ハイパーテキスト形式のファイルとして、例えば、XML(Extensible Markup Language)ファイルにより構成されている。なお、本実施形態においては、検査情報リンク出力ファイル105A2は、XMLファイルにより構成されているものであるとするが、これに限らず、例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)ファイルまたはXHTML(Extensible Hyper Markup Language)ファイルにより構成されているものであっても良い。
【0090】
画像ファイルデータ群105A3が有する各々の画像データファイルとしての画像データファイル105a1、105a2、・・・は、PCカードドライバ部25から出力される画像信号に基づいた画像データファイルであり、例えば、操作スイッチ群5に設けられた図示しない画像データ保存スイッチが1回操作される毎に、1ずつ作成されるファイルである。
【0091】
なお、最後に作成された検査フォルダが検査フォルダ105Aである状態において、キーボード31が有する検査終了キーが1回操作された後、PCカードドライバ部25からPCカード6に対して画像信号が出力された場合、検査フォルダ105Aと略同様のデータ構造として、検査情報管理ファイル105B1と、検査情報リンク出力ファイル105B2と、1または複数の画像データファイル105b1、105b2、・・・を有する画像ファイルデータ群105B3とが同一ディレクトリに格納されるような構成を有する検査フォルダ105Bが作成される。
【0092】
検査情報管理ファイル105A1は、一の画像データファイルが同一ディレクトリ内、すなわち、検査フォルダ105A内に保存される毎に、例えば、前記一の画像データファイルに関する各情報が、図7に示すようなデータ構造を有する、合計256バイトのデータとして追記されてゆくファイルとして構成されている。なお、検査情報管理ファイル105A1は、制御部27がPCカードドライバ部25を介した制御をPCカード6に対して行うことにより作成されるものであるとする。
【0093】
検査日情報201及び検査時刻情報202は、一の画像データファイルに関する各情報のうち、先頭となる16バイトの部分に書き込まれる情報であり、例えば、プロセッサ4が有する年、月、日付及び時刻に基づき、検査フォルダ105Aが作成された年、月、日付及び時刻において記録される情報である。なお、検査日情報201及び検査時刻情報202は、検査フォルダ105Aが作成された年、月、日付及び時刻において記録される情報に限るものではなく、例えば、検査フォルダ105A内に最初に画像データファイルが保存された際の年、月、日付及び時刻において記録される情報であっても良い。
【0094】
患者ID情報203、患者名情報204、患者生年月日情報205、患者性別情報206、患者年齢情報207、コメント情報213及び医師名情報216は、例えば、術者がプロセッサ4に接続されたキーボード31を操作することにより、被検体に対する検査を行う事前に予め入力される情報である。なお、患者年齢情報207は、術者がプロセッサ4に接続されたキーボード31を操作することにより入力されるものに限るものではなく、例えば、術者により患者生年月日情報205が入力された際に、プロセッサ4により自動的に計算されて入力されるようなものであっても良い。
【0095】
コントラストレベル情報208、画像強調レベル情報209及びズームレベル情報210は、一の画像データファイルが保存された際のコントラストレベル、画像強調レベル及びズームレベルに関する情報である。
【0096】
なお、画像強調レベルは、モニタ32に表示される被写体の像の輪郭を強調するためのレベルとして、例えば、1(最低)から10(最高)までの10種類のレベルに応じて、プロセッサ4において予め設定された値である。そして、術者は、内視鏡2に関する設定画面において、例えば、前記10種類の画像強調レベルのうち、3種類のレベルまでの切り替えをスコープスイッチ群13の操作により行うことができるように、スコープスイッチ群13が有する各スイッチに対する設定を行うことができる。
【0097】
画像保存日情報211及び画像保存時刻情報212は、例えば、プロセッサ4が有する年、月、日付及び時刻に基づき、一の画像データの保存指示がプロセッサ4に対してなされたタイミングにおいて記録される情報である。
【0098】
画像データファイル名情報214は、例えば、図6に示す画像データファイル105a1、105a2、・・・の各々に対し、DCF規格に基づいて付与されるファイル名に関する情報である。
【0099】
内視鏡画像サイズ情報215は、一の画像データファイルが保存された際に、モニタ32に表示されている被写体の像の画像における画像サイズに関する情報である。
【0100】
null情報217は、一の画像データファイルに関する各情報のうち、末尾となる16バイトにあたる部分に書き込まれる情報であり、例えば、16バイトの空の文字列として構成される情報である。なお、前記一の画像データファイルに続いて、検査フォルダ105A内に、さらに次の画像データファイルが保存された場合、該次の画像データファイルに関する各情報は、検査情報管理ファイル105A1において、null情報217以降に追記される。
【0101】
なお、検査情報リンク出力ファイル105A2には、画像データファイル各々に関する、検査日情報201等の各情報が検査情報管理ファイル105A1に記録される毎に、該各情報が検査情報管理ファイル105A1内のどこに記録されたかという内容の情報が書き込まれる。
【0102】
そして、術者は、図6に示すようなデータ構造として画像データファイル等が保存されたPCカード6を、例えば、PCカード6が接続可能かつ動作可能であり、かつ、検査情報リンク出力ファイル105A2を実行することが可能である図示しないパーソナルコンピュータ等の端末装置に接続することにより、内視鏡システム1が設置された場所以外の場所においても、内視鏡2を用いて撮像した被写体の像の観察を行うことができる。
【0103】
その場合、術者は、まず、PCカード6を図示しない端末装置に接続した後、検査情報リンク出力ファイル105A2を選択及び実行するための操作を前記端末装置において行う。
【0104】
検査情報リンク出力ファイル105A2が実行されると、図示しない端末装置は、検査情報リンク出力ファイル105A2に記述された情報に基づき、検査情報管理ファイル105A1内において、画像データファイル各々に関する、検査日情報201等の各情報が記述された部分を読み込むと共に、検査用スタイルシートファイル104により設定された表示スタイルを読み込む。これにより、図示しない端末装置は、図8に示すような画像一覧画面300が、例えば、ブラウザ等のビュワー上において表示されるように処理を行う。
【0105】
画像一覧画面300は、検査用スタイルシートファイル104により設定された表示スタイルに基づき、例えば、図8に示すように、上フレーム部301と、下フレーム部302とを有する画像として、図示しない端末装置に接続された図示しないモニタ等に表示される。被検体情報を構成する
上フレーム部301には、検査情報管理ファイル105A1に記述された情報のうち、一の画像データファイルに関する被検体情報情報としての、検査日情報201と、検査時刻情報202と、患者ID情報203と、患者名情報204と、患者生年月日情報205と、患者性別情報206と、患者年齢情報207と、医師名情報216とに基づく情報が各々表示される。
【0106】
また、下フレーム部302には、検査情報管理ファイル105A1に記述された情報のうち、画像データファイル各々に関する画像情報としての、コントラストレベル情報208と、画像強調レベル情報209と、ズームレベル情報210と、コメント情報213と、画像データファイル名情報214とに基づく情報が各々表示される。なお、画像データファイル名情報214に基づいて下フレーム部302に表示される、各々の画像データファイルは、図8に示すように、該各々の画像データファイルのファイル名のみが一覧表示されるものであっても良いし、また、該各々の画像データファイルに基づく画像が表示されるものであっても良い。
【0107】
さらに、画像一覧画面300の上フレーム部301及び下フレーム部302には、前述した情報全てが表示されるものでなくとも良い。その場合、例えば、図示しない端末装置は、画像一覧画面300に表示される各情報の表示状態を切り替えるための、図10に示すようなPCカードメニュー画面500を表示させるような処理を行う。PCカードメニュー画面500は、患者ID表示選択部501と、患者名表示選択部502と、患者生年月日表示選択部503と、患者年齢表示選択部504と、検査日時情報表示選択部505と、医師名表示選択部506と、ズームレベル表示選択部507と、画像強調レベル表示選択部508とを有する画像として構成される。そして、図示しない端末装置は、PCカードメニュー画面500の、前述した各選択部において術者により「ON」に設定された各情報を、画像一覧画面300の、上フレーム部301及び下フレーム部302において表示状態とする処理を行う。また、図示しない端末装置は、PCカードメニュー画面500の、前述した各選択部において術者により「OFF」に設定された各情報を、画像一覧画面300の、上フレーム部301及び下フレーム部302において非表示状態とする処理を行う。
【0108】
その後、術者等は、ブラウザ等のビュワー上において、画像データファイル名情報214に基づいて下フレーム部302に表示される、一の画像データファイルを選択及び実行するための操作を、前記端末装置において行う。
【0109】
画像一覧画面300の下フレーム部302に表示された画像データファイルのうち、一の画像データファイルが選択及び実行されると、図示しない端末装置は、例えば、図9に示すような内視鏡画像表示画面400を画像表示させるような処理を行う。なお、内視鏡画像表示画面400は、画像一覧画面300が表示されているビュワー上に表示されるものであっても良いし、また、画像一覧画面300とは別のビュワー上に表示されるものであっても良い。
【0110】
内視鏡画像表示画面400は、内視鏡2による被写体の像を画像データとして保存するための指示が行われた際に、モニタ32に表示されていた画面であって、術者により選択及び実行された前記一の画像データファイルに関する情報が表示される情報表示部401と、術者により選択及び実行された前記一の画像データファイルに基づく被写体の像が表示される画像表示部402とを有して構成される。
【0111】
なお、図11に示すように、内視鏡画像表示画面400の情報表示部401には、一の画像データファイルに関する情報全てが表示されるものでなくとも良い。また、内視鏡画像表示画面400の情報表示部401には、前述した、PCカードメニュー画面500の各選択部において術者により「ON」に設定された各情報のみが表示されるものであっても良い。
【0112】
ところで、術者は、本実施形態の内視鏡システム1を用いて被写体の像の撮像を行う際に、例えば、プロセッサ4に接続された図示しないマウス等のポインティングデバイスを操作することにより、図12に示すように、モニタ32に表示される内視鏡画像表示画面400の画像表示部402上にアローポインタ402aを移動及び表示させることができる。そして、術者は、図12に示すような通常画像が画像表示部402に表示されている状態において、図示しないポインティングデバイスをクリック操作することにより、アローポインタ402aの先端部を画像中心部として該通常画像が所定の倍率に拡大された、図13に示すような拡大画像を画像表示部402に表示させることができる。なお、前記所定の倍率は、プロセッサ4において予め設定された倍率であり、前記拡大画像が画像表示部402表示された際に、該設定における設定値が情報表示部401に表示される。また、術者は、図13に示すような拡大画像が画像表示部402に表示されている状態において、図示しないポインティングデバイスを操作してアローポインタ402aを移動させることにより、画像中心部の位置を移動しながら拡大画像を表示させることができる。
【0113】
以上に述べたように、本実施形態の内視鏡システム1は、プリンタがビジー状態の際に該プリンタに対する保存指示がなされた場合、該保存指示がなされた時点における映像信号をPCカードに一時的に保存し、かつ、該プリンタのビジー状態が解除された後に、該映像信号に基づいた印刷を行うことができる。その結果、術者は、連続的な静止画像の保存を容易に行うことができるため、従来に比べ、被検体に対する検査及び観察に費やす時間を短縮することができる。
【0114】
また、以上に述べたように、本実施形態の内視鏡システム1は、画像データファイルと、該画像データファイルに対応する各情報が記述された検査情報管理ファイルとが、一の検査毎に作成されるフォルダ内に格納され、かつ、該画像データファイルと、該各情報とを関連付けるためのリンク出力ファイルが前記フォルダ内に格納されるようなデータ構造をPCカードにおいて作成するような構成を有している。そして、本実施形態の内視鏡システム1により作成された前記データ構造を有する前記PCカードに格納された、前記リンク出力ファイルが、パーソナルコンピュータ等の端末装置上において実行されることにより、前記一の検査毎の前記画像データファイルと前記各情報とが一覧表示される。その結果、術者は、PCカードに保存された画像データファイル群の中から、所望の画像を容易に見つけることができるため、従来に比べ、被検体に対する検査及び観察に費やす時間を短縮することができる。
【0115】
なお、本実施形態の内視鏡システム1においては、発明の要旨を逸脱しない範囲において、その構成を種々変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図。
【図2】本実施形態に係る内視鏡システムにおいて、内視鏡及びプロセッサの内部構成を示す図。
【図3】本実施形態に係る内視鏡システムにおいて、プリンタがビジー状態の際の映像信号の流れを示すための図。
【図4】図3の状態から、プリンタのビジー状態が解除された後の映像信号の流れを示すための図。
【図5】本実施形態に係る内視鏡システムのプロセッサの制御部が行う処理のうち、2回以上の保存指示が時間的に連続してなされた場合の処理の一例を示すフローチャート。
【図6】本実施形態に係る内視鏡システムによりPCカードに作成されるデータ構造の一例を示す図。
【図7】本実施形態に係る内視鏡システムによりPCカードに作成される、検査情報管理ファイルのデータ構造の一例を示す図。
【図8】本実施形態に係る内視鏡システムにより作成された、検査情報リンク出力ファイルを実行した際に表示される画像一覧画面の一例を示す図。
【図9】図8の画像一覧画面において、一の画像ファイルを選択及び実行した際に表示される内視鏡画像表示画面の一例を示す図。
【図10】PCカードメニュー画面の一例を示す図。
【図11】画像一覧画面において、一の画像ファイルを選択及び実行した際に表示される内視鏡画像表示画面の、図9とは異なる例を示す図。
【図12】本実施形態に係る内視鏡システムを用いて被写体の像の撮像を行う際に、画像表示部上にアローポインタを移動及び表示させた場合の内視鏡画像表示画面の一例を示す図。
【図13】図12の画像がアローポインタの先端部を画像中心部として所定の倍率に拡大された、拡大画像が画像表示部に表示された場合の、内視鏡画像表示画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0117】
1・・・内視鏡システム、2・・・内視鏡、2a・・・操作部、2b・・・挿入部、2c・・・コネクタ、3・・・光源装置、4・・・プロセッサ、5・・・操作スイッチ群、6・・・PCカード、7・・・PCカードスロット、8・・・ライトガイド、10・・・対物レンズ、11・・・撮像素子、12・・・ユニバーサルコード、13・・・スコープスイッチ群、14・・・コネクタ、15・・・増幅部、16・・・プリプロセス部、17・・・A/D変換部、18・・・Y/C分離部、19・・・RGBマトリクス部、20・・・ホワイトバランス調整部、21・・・デジタル映像処理部、22・・・記憶部、24・・・画像圧縮/伸張部、25・・・PCカードドライバ部、27・・・制御部、28・・・D/A変換部、29・・・ポストプロセス部、30・・・プリンタ、31・・・キーボード、32・・・モニタ、34・・・文字重畳部、35・・・PCカード電源部、101・・・ルートディレクトリ、102・・・DCIMフォルダ、103・・・DCIM管理情報ファイル、104・・・検査用スタイルシートファイル、105・・・検査フォルダ群、105A,105B・・・検査フォルダ、105A1,105B1・・・検査情報管理ファイル、105A2,105B2・・・検査情報リンク出力ファイル、105a1,105a2,105b1,105b2・・・画像データファイル、105A3,105B3・・・画像ファイルデータ群、201・・・検査日情報、202・・・検査時刻情報、203・・・患者ID情報、204・・・患者名情報、205・・・患者生年月日情報、206・・・患者性別情報、207・・・患者年齢情報、208・・・コントラストレベル情報、209・・・画像強調レベル情報、210・・・ズームレベル情報、211・・・画像保存日情報、212・・・画像保存時刻情報、213・・・コメント情報、214・・・画像データファイル名情報、215・・・内視鏡画像サイズ情報、216・・・医師名情報、217・・・null情報、300・・・画像一覧画面、301・・・上フレーム部、302・・・下フレーム部、400・・・内視鏡画像表示画面、401・・・情報表示部、402・・・画像表示部、402a・・・アローポインタ、500・・・カードメニュー画面、501・・・患者ID表示選択部、502・・・患者名表示選択部、503・・・患者生年月日表示選択部、504・・・患者年齢表示選択部、505・・・検査日時情報表示選択部、506・・・医師名表示選択部、507・・・ズームレベル表示選択部、508・・・画像強調レベル表示選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に挿入され、前記被検体内部の被写体の像を撮像し、撮像した前記被写体の像を撮像信号として出力する内視鏡と、
前記内視鏡から出力された前記撮像信号に対して信号処理を行った映像信号を静止画像として保存する静止画像保存装置と、前記映像信号に対して信号処理を行った画像信号を、画像データとして、前記画像各々に関する所定の情報と共に保存する画像データ保存装置とを接続することが可能なプロセッサとを有し、
前記プロセッサは、前記静止画像保存装置において静止画像の保存が不可能であることを示す通知信号が出力されていることを検知した場合、前記映像信号を前記画像データ保存装置に対して出力する制御を行うことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記通知信号の出力が停止したことを検知した場合、前記通知信号が出力されている期間内に前記画像データ保存装置に対して出力された映像信号である、一時保存映像信号を、前記静止画像保存装置に対して出力する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記静止画像保存装置は、プリンタ、写真撮影装置またはデジタルファイリング装置のうちのいずれか一であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記画像データは、JPEG形式、GIF形式またはTIFF形式のうち、少なくとも一の形式により処理された画像データファイルとして前記画像データ保存装置に保存されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記被写体の像を画像データとして保存するための指示である画像データ保存指示信号が出力されたことを検知した場合、前記画像データ保存装置において、少なくとも、前記所定の情報が書き込まれる検査情報管理ファイルと、前記画像データファイル各々及び前記所定の情報を関連付けるための検査情報リンク出力ファイルとを生成するための制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
さらに、前記プロセッサは、前記画像データ保存指示信号が出力されたことを検知した場合、前記画像データ保存装置において、前記検査情報リンク出力ファイルの表示スタイルを設定するための検査用スタイルシートファイルを生成することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記検査情報管理ファイルに書き込まれる前記所定の情報は、少なくとも、前記被検体に関する被検体情報と、前記画像データファイルに関する画像情報とを有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記検査情報リンク出力ファイルは、前記画像データ保存装置が接続可能かつ動作可能な端末装置において実行された際に、前記被写体情報及び前記画像情報が同一画面上に表示される、画像一覧画面を生成して出力することを特徴とする請求項7に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記検査情報リンク出力ファイルは、ハイパーテキスト形式のファイルとして構成されることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか一に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記画像データ保存装置が前記プロセッサに挿入されていない状態、または、前記プロセッサに挿入された前記画像データ保存装置に十分な空き容量が存在しない状態を検知した際に出力される接続警告信号に基づき、警告表示を表示させるような制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−334322(P2006−334322A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166202(P2005−166202)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】