内視鏡用洗滌消毒装置
【課題】
洗滌槽内への内視鏡の設置及び内視鏡に設けられている各内視鏡管路の接続口に対する接続を容易にする内視鏡洗滌消毒装置の提供。
【解決手段】
本発明による内視鏡洗滌消毒装置は、操作部から延出する挿入部を有する内視鏡本体の外表面及び該内視鏡本体内に設けられている複数の内視鏡管路を洗滌消毒する内視鏡洗滌消毒装置であって、前記操作部が装着される前記洗滌消毒槽の略中央部に着脱可能な中心搭を配設し、該中心搭に前記内視鏡本体の少なくとも1つの前記内視鏡管路と接続する内視鏡接続部を設け、前記内視鏡接続部に前記内視鏡管路に流体を供給可能な流体供給手段を連通した。
洗滌槽内への内視鏡の設置及び内視鏡に設けられている各内視鏡管路の接続口に対する接続を容易にする内視鏡洗滌消毒装置の提供。
【解決手段】
本発明による内視鏡洗滌消毒装置は、操作部から延出する挿入部を有する内視鏡本体の外表面及び該内視鏡本体内に設けられている複数の内視鏡管路を洗滌消毒する内視鏡洗滌消毒装置であって、前記操作部が装着される前記洗滌消毒槽の略中央部に着脱可能な中心搭を配設し、該中心搭に前記内視鏡本体の少なくとも1つの前記内視鏡管路と接続する内視鏡接続部を設け、前記内視鏡接続部に前記内視鏡管路に流体を供給可能な流体供給手段を連通した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの内視鏡を自動的に洗滌消毒する内視鏡用洗滌消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内の検査や治療の目的に使用される内視鏡は、体腔内に挿入する挿入部の外表面だけでなく、送気送水管路、鉗子チャンネルを兼ねる吸引管路等の各内視鏡管路内にも汚物が付着する。そのため、使用済みの内視鏡は、必ず洗滌、消毒する必要がある。
【0003】
一般に、洗滌消毒装置を用いて内視鏡の洗滌処理、及び消毒処理を行う場合、例えば特許文献1(特開2002−263066号公報)に開示されているように、洗滌工程、濯ぎ工程、消毒工程及びアルコールフラッシュ工程などが行われる。
【0004】
洗滌工程では、先ず、洗滌消毒槽内に洗滌水が供給され、洗滌水が所定水位に達した後、洗滌が開始される。洗滌水は循環され、その水流によって内視鏡の外表面が洗滌される。また、各内視鏡管路内は、洗滌消毒層内の洗滌液を循環ポンプで吸引し、循環ポンプからの吐出される水圧で洗滌が行われる。このとき、洗滌層に設けられる超音波振動子によって、洗滌効率が高められる。
【0005】
洗滌工程が終了すると、消毒工程へ移行する前に、水道水により洗滌水を所定に洗い流す濯ぎ工程後、消毒工程へ移行する。消毒工程では、上述した洗滌工程において流した洗滌水に代えて、所定の濃度に薄めた消毒液を洗滌消毒槽に流すと共に、循環ポンプにより、洗滌消毒槽内の消毒液を吸引し、内視鏡管内に消毒液を供給する。また、内視鏡は、消毒液に所定の時間、浸漬されて消毒される。そして、消毒工程が所定に終了した後、内視鏡をアルコールフラッシュなどして所定に乾燥させて、一連の工程が終了する。
【0006】
また、使用済みの内視鏡は、特に、鉗子が挿通される吸引管路内に汚物が付着し易い。そのため、ワイヤブラシを吸引管路内に対して進退移動させ、内視鏡管路内を洗滌する内視鏡洗滌装置が例えば特許文献2(特開2003−310550号公報)に開示されている。
【特許文献1】特開2002−263066号公報
【特許文献2】特開2003−310550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、内視鏡の洗滌、消毒は、内視鏡外表面のみならず、内視鏡管路内も行わなければならない。特開2002−263066号公報に記載される内視鏡洗滌消毒装置に内視鏡を設置する際、ユーザは、操作部を洗滌槽奥の所定の壁面に沿って配置すると共に、内視鏡管路数に合わせて、複数の洗滌チューブを接続しなければならず、操作部の配置及び洗滌チューブの接続に手間がかかり、洗滌消毒に要する時間が長くなるため、その分、内視鏡の稼働率が低くなる問題がある。
【0008】
また、内視鏡は、挿入部を確実に洗滌するため、洗滌槽の底面下に配設される超音波振動子により振動が与えられた洗滌液を効率良く受けることが好ましい。特に、挿入部の先端部分は、内視鏡管路の開口部が配設されており、各種部材による複雑な形状をしているため、汚物及び粘膜が付着し易く、洗滌性が最も要求される部分である。従って、内視鏡挿入部の先端部分は、超音波振動子が配設されている洗滌槽の底面上に設置された方が、洗滌効率が向上する。
【0009】
しかし、内視鏡は、機種毎に挿入部の長尺が異なり、上述したように操作部が洗滌槽奥の所定の壁面に沿って配置される。従って、特開2002−263066号公報に記載される内視鏡洗滌消毒装置では、機種毎に内視鏡挿入部の先端部分が洗滌槽の底面に配置される位置が特定されず、超音波振動子を洗滌槽の底面下のいたるところに設けなければならならず、製造コストが高くなってしまうという問題がある。
【0010】
さらに、特開2003−310550号公報に記載されるワイヤブラシを吸引管路内に対して進退移動させて、吸引管路を洗滌する内視鏡洗滌装置においては、ワイヤブラシは消耗品であるため、定期的又は一回毎に交換する必要がある。このワイヤブラシは、内視鏡挿入部の長さ以上であるため、交換時における長尺のワイヤ部分を装置内に挿通セットする作業が煩雑であり、使い勝手が悪いという問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、洗滌消毒槽内への内視鏡の設置及び内視鏡に設けられている各管路等の接続口に対する接続を容易にすると共に、内視鏡の機種によらず、内視鏡挿入部の先端部分が洗滌槽の超音波振動子上に確実に配置でき、容易に交換可能なブラシを自動供給して内視鏡の管路内をブラッシング洗滌する内視鏡洗滌消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため本発明による内視鏡洗滌消毒装置は、操作部から延出する挿入部を有する内視鏡本体の外表面及び該内視鏡本体内に設けられている複数の内視鏡管路を洗滌消毒する内視鏡洗滌消毒装置であって、前記操作部が装着される前記洗滌消毒槽の略中央部に着脱可能な中心搭を配設し、該中心搭に前記内視鏡本体の少なくとも1つの前記内視鏡管路と接続する内視鏡接続部を設け、前記内視鏡接続部に前記内視鏡管路に流体を供給可能な流体供給手段を連通したことを特徴としている。
また、前記中心搭は、回動手段を介して回動自在にされていることを特徴としている。
前記洗滌消毒槽の底面に、振動発生手段を少なくとも1つ配設し、前記中心搭に装着した前記内視鏡本体の前記挿入部の先端部分と前記振動発生手段の位置ずれを前記中心搭の回動にて調整することを特徴としている。
前記中心搭は、ワイヤ状の洗滌ブラシを収納する収納部と該洗滌ブラシを前記内視鏡接続部側へ送り出し或いは該収納部側へ引き戻す駆動手段とを有し、前記内視鏡本体の前記内視鏡管路内に前記洗滌ブラシを進退させて、前記内視鏡管路内を洗滌することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、洗滌槽内への内視鏡本体の設置及び内視鏡本体に設けられている各管路等の接続口に対する接続を容易にすると共に、内視鏡の機種によらず、内視鏡挿入部の先端部分が洗滌槽の超音波振動子上に確実に配置でき、容易に交換可能な洗滌ブラシを自動供給して内視鏡の吸引管路内を洗滌する内視鏡洗滌消毒装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、図面に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は、内視鏡洗滌消毒装置を示す斜視図、図2は内視鏡洗滌消毒装置の主に洗滌槽を示す斜視図、図3は内視鏡洗滌消毒装置内の構成を説明するための図、図4は洗滌槽を下方から見た背面斜視図である。
【0015】
図1に示すように、内視鏡洗滌消毒装置2は、装置本体3と、その上面に洗滌消毒対象物である内視鏡本体が設置される洗滌消毒槽(以下、洗滌槽と略記)4と、洗滌槽4の上部を開閉する洗滌カバー5を有している。
【0016】
装置本体3は、前面に洗滌時間表示部、消毒時間表示部などの各種表示部及び機能チェックボタン、消毒液調合ボタンなどの各種ボタンが配設されるサブ操作パネル51と、このサブ操作パネル51の左脇にアルコールインジケータ53、洗剤インジケータ54と、これらの下方に前面扉3aとを有している。また、装置本体3は、背面下部から排水ホース82aが延出し、この排水ホース82aによって、外部の排水口に接続されている。
【0017】
図2に示すように、洗滌槽4は、中央部に内視鏡を設置するための略円柱形状の収容凹部4b、周囲に縁部4aを有している。洗滌槽4の上面の一角には、収容凹部4bの開口部を臨むように、後述する洗剤ノズル22、消毒液ノズル23及び給水・循環ノズル24が配設されている。収容凹部4bには、その底面に排水口42と、内側周面に循環口21を有している。また、洗滌槽4は、前方の縁部4aの上面にスタートボタンなどの各種ボタン類と、洗滌消毒工程の段階表示部などの各種表示部が配設されるメイン操作パネル55と、後方の縁部4a一角に水道栓と一端が接続されている給水ホース80aの他端が接続されている給水ホース接続口14bを有している。また、洗滌槽4の前面には、電源スイッチ56が配設されている。
【0018】
尚、収容凹部4bの中央領域部には、回動手段である回転台8が配設されており、この回転台8に後述する着脱可能な中心搭70が設置される。
【0019】
次に、図3を使用して、内視鏡洗滌消毒装置2の装置本体3の内部構成について説明する。
図3に示すように、装置本体3の内部には、液体洗剤を貯留する洗剤タンク11、所定濃度に希釈された消毒液を貯留する消毒液タンク12、アルコールを貯留するアルコールタンク13、水道栓80から供給される水道水を濾過する水フィルタ14及びエアフィルタ15が配設されている。消毒液タンク12は装置本体3内に固定されており、また、洗剤タンク11、アルコールタンク13、水フィルタ14、エアフィルタ15は、各々トレー11a,13a〜15aに載置されている。各トレー11a,13a〜15aは、装置本体3の前面扉3a(図1参照)を開放することによって、前方へ引き出し自在にされており、所定に液体を補充、または、部品を交換することができる。
【0020】
一方、消毒液タンク12は装置本体3内に固定されているため、この消毒液タンク12に消毒液を補充する際、装置本体3の前面扉を開放し、装置内部に固設されているボトルコネクタ16に対して、消毒液の濃縮液が充填されている消毒液ボトル17を接続することによって行う。また、その際、希釈弁18を介して、水フィルタ14によって濾過された水道水が消毒液タンク12に供給される。尚、水道栓80からの水道水は、給水弁14Aの内部の弁が開かれることにより水フィルタ14に送り込まれる。従って、消毒液タンク12には所定濃度に希釈された消毒液が貯留される。また、図3においては、各トレー11a,13a〜15aが引き出された状態が示されている。
【0021】
洗剤ノズル22は、洗剤管路22aの一端と接続され、洗剤管路22aの一端が洗剤タンク11に接続されている。この洗剤管路22aの途中には、洗剤ポンプ27が介装されている。消毒液ノズル23は、消毒液管路23aの一端と接続されており、消毒液管路23aの他端が消毒液タンク12に接続されている。消毒液管路23aの途中には、薬液ポンプ28が介装されている。更に、給水・循環ノズル24は、給水・循環管路24aの一端と接続され、給水・循環管路24aの他端と接続される三方切替弁29を介して水フィルタ14と流液ポンプ30とに選択的に連通自在にされている。給水・循環ノズル24が三方切替弁29を介して水フィルタ14側に接続された状態において、給水・循環ノズル24から水フィルタ14によって濾過された水道水が洗滌槽4の収容凹部4b内へ吐出される。一方、給水・循環ノズル24が三方切替弁29を介して流液ポンプ30に接続された状態において、循環口21から取り入れた洗滌槽4に貯留されている洗滌水または消毒水が洗滌槽4の収容凹部4b内へ吐出されて循環される。尚、図3には図示しないが給水・循環ノズル24と三方切替弁29との間に高圧ノズル(不図示)が高圧ポンプを介して接続されており、この高圧ノズルからも給水・循環ノズル24と同様の液体(水道水、洗滌水など)が高圧により収容凹部4b内へ噴出される。この高圧ノズル及び給水・循環ノズル24から吐出される液体により、洗滌槽4の収容凹部4b内に水流が発生し、この水流によって後述する内視鏡本体101の外表面が洗滌及び濯がれる。
【0022】
また、循環口21は、四方切替弁であるCH(チャンネル)ブロック31と連通されており、この連通路には循環口21から順に、CH(チャンネル)ポンプ32と、洗滌水または消毒水をCH(チャンネル)ポンプ32側へ流れないようにするための逆止弁33とが配設されている。このCHポンプ32の駆動によって、収容凹部4bに貯留されている洗滌水または消毒水は、CHブロック31側に供給される。
【0023】
また、CHブロック31は、エアフィルタ15ともエア逆止弁35を介して連通している。このエア逆止弁35は、エアフィルタ15側に液体(水道水、洗滌水、消毒水)が流れないようにしている。エアフィルタ15はコンプレッサ34と連通しており、コンプレッサ34からの圧縮空気がエアフィルタ15を介してCHブロック31側に吐出される。コンプレッサ34とエアフィルタ15の間の管路から排気弁42aと連通する管路が分岐しており、排気弁42aは、コンプレッサ34からの圧縮空気の圧力を調節している。
【0024】
更に、CHブロック31は、アルコールタンク13とも連通しており、その途中にはアルコールタンク13側からアルコールポンプ13A及びアルコール弁36が設けられている。このアルコールタンク13のアルコールがアルコールポンプ13Aによってアルコール弁36を介してCHブロック31に供給される。
【0025】
上述した、CHブロック31に供給される液体(水道水、洗滌水、消毒水)は、各種工程毎にCHブロック31を介して、洗滌槽4の底面に設けられる回転台8にリリーフ弁7aが介装される流液供給管路7から送り込まれる。
【0026】
洗滌槽4の収容凹部4bの底面に前述した排水口42が配設され、この排水口には切替弁43が設けられている。この切替弁43は、消毒液タンク12と連通しており、選択的に弁を切り変えられることによって洗滌槽4の収容凹部4bに貯留された消毒液を消毒液タンク12へ戻す。また、切替弁43は、外部へ洗滌水、濯ぎ水などを排出するため、排水管44aを介して外部の排水口82と連通している。切替弁43と排水管44aの途中には、洗滌槽4の洗滌槽4の収容凹部4bに貯留された洗滌水、濯ぎ水などを吸引して外部に送り出すための排水ポンプ44が設けられている。また、洗滌槽4の排水口42は、CHブロック31とも連通し、その途中にはバイパス弁45が介装されている。
消毒液タンク12に貯溜されて所定の濃度に希釈された消毒液は、所定の消毒工程回数毎に交換される。消毒液の交換に際しては、消毒液タンク12が消毒液ドレーン口48と連通しており、消毒液が消毒液ドレーン口48から外部へ排出される。
【0027】
また、上述した、各種ポンプ、各種弁、各種機器などは、装置本体3の内部に設けられる制御回路46によって各工程毎に制御されている。この制御回路46は、電源装置47を介して外部のコンセント81から電気ケーブルを介して電力が供給されている。
【0028】
洗滌槽4の収容凹部4bの底面下には、4つの超音波振動子(以下、US振動子と略記)6が配設される(図4参照)。各US振動子6は、液体(水道水、洗滌液)に超音波振動を与える振動発生手段である。尚、US振動子6は、4つに限ることなく少なくとも1つ以上が配設されていても良く、4つ以上でも良い。また、図示しないが洗滌槽4の収容凹部4bの底面上には、US振動子6の配設位置が識別できるように位置表示が設けられている。
【0029】
収容凹部4bの底面中央部に配設されている回転手段である回転台8は、略円板形状をしており、この回転台8に対し中心搭70が着脱自在に設置されている。回転台8は、CHブロック31と流液供給管路7を介して連通している。つまり、CHブロック31に供給される液体(水道水、洗滌水、消毒水、アルコール)は、流液供給管路7、リリーフ弁7a及び回転台8を介して中心搭70の内部へ供給される。また、回転台8には、後述するブラシ駆動モータが配設され、このブラシ駆動モータは、ブラシ駆動回路9によって駆動制御されている。
【0030】
次に、以下、図5から図9に基づいて、回転台8及び中心搭70の構成について詳細に説明する。
図5は、回転台に設置された中心搭を上方から見た図、図6は中心搭の断面図、図7は中心搭が回転台へ設置される状態を説明する図、図8は図5のA−A線に沿って中心搭を切断した縦断面図、図9は、図5のB−B線に沿って中心搭を切断した縦断面図である。
【0031】
図5に示すように、収容凹部4bの回転台8に設置される中心搭70は、上方から見て一部分が略垂直に切り落とされた略円柱状(図1参照)をしている。この略垂直に切り落とされた側面が後述する内視鏡の操作部が装着される内視鏡接続部である内視鏡用コネクタ部78となる。また、回転台8は、略円板形状をしており、略中央部に穿設された孔である軸受孔部62と、外周側に穿設された孔である2つのコネクタ孔部65、66とを有している。
【0032】
図6に示すように、中心搭70の内部には、略半円柱形状の内部空間、すなわち、断面形状が略半円形状の空間であるワイヤ収納部70aと、該ワイヤ収納部70aと一端が連通し、内視鏡用コネクタ部78側へ向かうワイヤ挿通路70cと、該ワイヤ挿通路70cの他端と連通する吸引管路接続部76を有している。また、ワイヤ挿通路70cの略中央には、ローラ収納部70bが設けられる。また、中心搭70の内視鏡用コネクタ部78の側面からは、ワイヤ収納部70a手前まで切削された穴部である送気送水管路接続部77とが設けられる。
【0033】
ワイヤ収納部70aに洗滌ブラシ71のワイヤ部71bが収納されている。このワイヤ収納部70aの底面には、装置内部からの液体(水道水、洗滌水、消毒水、アルコール)が供給される吸引管路側供給路72の開口部を有している。尚、洗滌ブラシ71は、ワイヤ部71bの先端に取りつけられるブラシ部71aを有している。また、ワイヤ部71bは、ワイヤ収納部70a内にコイル状に巻かれた状態で収納されており、所定の可撓性を有している。
【0034】
吸引管路接続部76と送気送水管路接続部77は、夫々の一端が内視鏡用コネクタ部78において開口している。また、送気送水管路接続部77は、他端が送気送水管路側供給路79と連通しており、装置内部からの液体(水道水、洗滌水、消毒水、アルコール)が供給される。さらに、中心搭70には、内視鏡用コネクタ部78の外側面に沿うように磁石ユニット75が設けられている。
【0035】
ローラ収納部70b内には、駆動側ローラである第1ローラ73と、この第1ローラ73の外周面と対向する外周面を有する受動側ローラである第2ローラ74とが回動自在に設けられている。また、第1、第2ローラ73、74は、夫々にローラ軸73a、74aを有している。
洗滌ブラシ71のワイヤ部71bは、第1、第2ローラ73、74の夫々の外周面間に圧接されている。尚、洗滌ブラシ71は、第1、第2ローラ73、74を介して吸引管路接続部76の開口部まで挿通しており、ブラシ部71aが吸引管路接続部76内に収納される。
【0036】
図7に示すように、第1ローラ73のローラ軸73aは、中心搭70の下面から突出しており、回転台8の軸受孔部62に係入接合される。また、中心搭70は、送気送水管路側供給路79が配設され、中心搭70の下面から突起する送気送水管路側コネクタ管85を有しており、回転台8のコネクタ孔部65に送気送水管路側コネクタ管85が係入接合される。この送気送水管路側コネクタ管85の外周部に設けられるOリング85aがコネクタ孔部65の内周面と密着することによって、コネクタ孔部65と送気送水管路側コネクタ管85の接合部分が水密に保たれている。
【0037】
更に、中心搭70は、吸引管路側供給路72が配設され、中心搭70の下面から突起する吸引管路側コネクタ管86を有し、回転台8のコネクタ孔部66に吸引管路側コネクタ管86が係入接合される。この吸引管路側コネクタ管86の外周部に設けられるOリング86aがコネクタ孔部66の内周面と密着することによって、コネクタ孔部66と吸引管路側コネクタ管86の接合部分が水密に保たれている。この中心搭70は、ディスポーザブルタイプでも、リユースタイプでも良く、本実施の形態においては、ディスポーザブルタイプとする。
【0038】
尚、回転台8のコネクタ孔部65、66は、回転台8の上面において、その略中心に位置する軸受孔部62に対して点対称とならない位置に設けられている。そのため、中心搭70の各コネクタ管85、86及びローラ軸73aが夫々対応して係入する位置が決められるため、中心搭70は、回転台8の所定の位置にのみ配置可能となっている。従って、中心搭70は、回転台8への誤った位置に設置されることが防止される。
【0039】
図7、図8に示すように、回転台8は、外周部分の両面が2つのフランジ形状となるように、環状溝8cを有している。この回転台8は、収容凹部4bの底面に穿設された円形状の孔部に環状溝8cが摺動可能なOリング64を介して配設されている。従って、回転台8は、収容凹部4bに対して回動自在となっており、摺動可能なOリング64によって、収容凹部4bと回転台8の接合部分が水密に保たれている。
【0040】
回転台8の下面の略中央部分にモータ61が配設されている。このモータ61は、第1ローラ73のローラ軸73aと係合するモータ軸67を有している(図8参照)。また、第1ローラ73は、モータ61の駆動によって、モータ軸67と係合により回動が伝達される。この第1ローラ73は、回動に合わせ、外周面に接触しているワイヤ部71bを中心搭70の内外へ進退移動させる。つまり、第1、第2ローラ73、74の夫々の外周面に圧接されているワイヤ部71bは、第1ローラ73の回動によって、第1、第2ローラ73、74に押圧されながら、中心搭70の内外へ進退移動される。このとき、第2ローラ74は、自由に回動できるため、第1ローラ73の回動によるワイヤ部71bの進退移動に伴って回動するものである。こうして、ワイヤ部71bの長尺範囲内において、洗滌ブラシ71は、第1、第2ローラ73、74の回動により、先端のブラシ部71aが中心搭70の吸引管路接続部76内から外部へ向かってワイヤ部71bの長尺範囲内で中心搭70に対して送り出し又は引き戻しされる。尚、前述したが、図9に示すように、ワイヤ部71bは、ワイヤ収納部70aにコイル状に収納されているものである。
【0041】
また、モータ軸67は、外周部にOリング67aを有し、軸受孔部62内に挿入されている。モータ軸67のOリング67aが軸受孔部62の内周面と密着することによって、モータ61側と収容凹部4b内の水密が保たれている。
尚、回転台8は、下面から突起し、コネクタ孔部65、66と夫々連通しているチューブ接続部8a、8bを有し、各チューブ接続部8a、8bに流液チューブ83a、83bが夫々接続されている。
【0042】
次に、図10を参照し、内視鏡洗滌消毒装置2の制御回路46の回路構成について説明する。図10は、制御回路の回路構成を説明するためのブロック図である。
図10に示すように、CPU基板である制御回路46は、出力側の超音波(US)制御回路49と及び駆動系である各種ポンプ、電磁弁及びブラシ駆動回路9と、入力側の各種センサ類及び各種操作パネル51、55とが接続されている。
【0043】
制御回路46は、電源装置47(図3参照)と接続されており、洗滌槽4の各種操作パネル51、55からの各種信号を受け、出力側の駆動系である各種ポンプ、各種電磁弁などへ駆動電力を供給する。更に、制御回路46には、入力側のセンサ系である各種センサ類(圧力センサ、水位センサ、位置検知センサなど)からの各種検知信号が供給され、それら各種検知信号の情報に基づいて、適宜、駆動系を制御している。尚、各種センサ類(圧力センサ、水位センサ、位置検知センサ)は、図示していないが、洗滌槽4に設けられているものである。また、制御回路46は、各種操作パネル51、55で設定された各種洗滌消毒工程プログラムに則って、US制御回路49へ制御信号を供給し、この制御信号に基づいて超音波(US)振動子6が駆動信号を供給され、駆動する。
【0044】
以上、上述した、中心搭70の第1、第2ローラ73、74、回転台8のモータ61及びブラシ駆動回路9によって構成される駆動手段によって、洗滌ブラシ71が中心搭70の内外へ進退駆動される。
【0045】
ここで、図11を参照して、本実施の形態において採用する内視鏡100の構成について説明する。図11は内視鏡の構成を説明するための図である
図11に示すように、内視鏡100は、内視鏡本体101とユニバーサルコード103とによって構成されている。この内視鏡本体101とユニバーサルコード103は、分割自在に構成されている。ユニバーサルコード103はディスポーザブルタイプであり、内視鏡検査終了毎に廃棄処分される。従って、洗滌、消毒を要する部分は内視鏡本体101のみとなる。
【0046】
この内視鏡本体101は、手元側の操作部104と、この操作部104から延出する挿入部105とを備えている。また、挿入部105の手元側にはスコープコネクタ部105aが設けられており、このスコープコネクタ部105aに、ユニバーサルコード103の基端に設けられているコード側コネクタ部103aが接合される。尚、図示しないが、両コネクタ部105a,103aは、電磁石にて接合される。すなわち、接合に際しては、スコープコネクタ部105aにコード側コネクタ部103aを所定に位置決めした状態において、スコープコネクタ部105aに設けた磁石102とコード側コネクタ部103aに設けた磁石ユニット102aの吸着によって、両コネクタ部105a,103aが接合固着される。尚、両コネクタ部105a,103aとの接続は、電磁石以外の機械的な接合方法でも良い。
【0047】
内視鏡本体101の挿入部105には、内視鏡管路を代表する吸引管路106、送気送水管路107等が、スコープコネクタ部105aから先端側へ配設されて、先端面(内視鏡先端面)に開口されている。また、ユニバーサルコード103には、内視鏡本体101の吸引管路106、送気送水管路107等と、両コネクタ部105a,103aが接合された状態で図示しない管路口金によって連通される各種管路106a、107aが配設される。尚、コード側コネクタ部103aには、吸引管路106aに分岐接続する鉗子口108が開口されており、この鉗子口109が鉗子栓109Aで閉塞自在にされている。
【0048】
ユニバーサルコード103に設けたスコープコネクタ部105aは、図示しない内視鏡制御ユニットに接続される。内視鏡制御ユニットには、吸引管路106に負圧を供給するためのバルブ、吸引管路106(107b)に送水するためのバルブ、送気送水管路107(106b)に送気或いは送水するための切換バルブ等が設けられている。
【0049】
一方、内視鏡本体101の先端面には、CCD等の撮像素子110、LED等の照明素子111が配設されている。この両素子110,111が、操作部104に設けた図示しない内視鏡側制御回路に接続されている。この内視鏡側制御回路は電源回路を内蔵しており、照明素子111に発光用電源を供給する。更に、内視鏡側制御回路は、撮像素子110によって撮像した画像信号を受信する受信部、及び操作信号入力部等を有している。
【0050】
操作部104の外周には、内視鏡先端部を湾曲操作するトラックボール113、送気・送水を代表とする各種操作を行うスコープスイッチ114a,114b,114c等の各操作スイッチ類が配設されており、この各操作スイッチ類からの操作信号が、内視鏡側制御回路に設けた操作信号入力部に入力される。
【0051】
内視鏡制御ユニットでは、内視鏡側制御回路112から送信された信号に基づき、外部機器であるモニタ(図示せず)に内視鏡像を表示すると共に、各操作信号に対応して、各管路106(106b)、107(107b)に連通するバルブを動作させて、送気・送水等の制御動作を行う。
【0052】
このように、各管路106(106b)、107(107b)に対する送気・送水等の制御動作は、内視鏡制御ユニットに設けたバルブによって行われるため、内視鏡本体101に配設されている各管路106、107には、バルブなどを動作させる機構が内蔵されておらず、各管路106、107は略ストレートに配設されている。
【0053】
また、内視鏡本体101の挿入部105の先端外周には、接触センサ105Aが配設されている。この接触センサ105Aは、例えば体腔壁との挿入部105の先端側の当接圧などを検知するものである。更に、挿入部105の先端部分には、操作部104のトラックボール113の操作に合わせて挿入部105の先端部を湾曲動作させるEPAM(エレクトロアクティブポリマ)からなる図示しないアングル用部材が配設されている。
また、内視鏡本体101の電源制御手段である内視鏡側制御回路には、図示していないが、メモリ素子を有しており、このメモリ素子には内視鏡本体101の各種情報、各種認識情報などが記録されている。
【0054】
尚、前述の中心搭70の内視鏡用コネクタ部78(図6)は、基本的に、上述したユニバーサルコード103に設けられているコード側コネクタ部103aと同様の構成を有している。詳しくは、内視鏡本体101の内視鏡用コネクタ部78は、吸引管路接続部76及び送気送水管路接続部77が内視鏡本体101のスコープコネクタ部105aに設けられている、吸引管路106及び送気送水管路107の基端に対応した位置に配設されている。スコープコネクタ部105aは、磁石ユニット102と内視鏡用コネクタ部78に設けられる磁石ユニット75の磁力によって、内視鏡用コネクタ部78の所定の接続位置に吸着して接合固定される。このとき、中心搭70の吸引管路接続部76が内視鏡本体101の吸引管路106に、送気送水管路接続部77が送気送水管路107に対応して接続される。
【0055】
次に、このように構成された本実施形態の内視鏡洗滌消毒装置2を使用して洗滌及び消毒するに際に、内視鏡本体101を洗滌槽4の収容凹部4bに設置する動作について、図12のフローチャート図のステップ(S)の手順に基づいて説明する。
内視鏡検査の終了後、ユーザは、内視鏡100の内視鏡本体101からユニバーサルコード103を取り外し、ユニバーサルコード103を廃棄処分する。そして、内視鏡本体101は患者が寝かされていたベッドサイドにて簡易な予備洗滌がされる(S1)。次に、ユーザは、流し台にて内視鏡を本洗滌する(S2)。こうして、本洗滌された内視鏡本体101は、内視鏡洗滌消毒装置2によって、洗滌消毒処理の準備が整う。
【0056】
先ず、内視鏡洗滌消毒装置2の洗滌カバー5が開けられ、洗滌槽4の収容凹部4bの回転台8に中心搭70が設置される(S3)。このとき、ユーザは、洗滌消毒される内視鏡本体101の各種内視鏡管路106、107に適した洗滌ブラシ71が収納されている中心搭70を使用する。尚、中心搭70は、図7に示したように、回転台8の各コネクタ孔部65、66及び軸受孔部62に、送気送水管路側コネクタ管85、吸引管路側コネクタ管86及びローラ軸73aが夫々所定に係入され、回転台8に対して決められた方向に位置するように設置される。
【0057】
次に、ステップS4では、内視鏡本体101が洗滌槽4の収容凹部4bに設置される。このとき、図13、図14に示すように、ユーザは、操作部104のスコープコネクタ部105aの側面を中心搭70の内視鏡用コネクタ部78に対設される。このとき、ユーザは、内視鏡用コネクタ部78を手前側になるように、中心搭70を回転させ、中心搭70の内視鏡用コネクタ部78にスコープコネクタ部105aの側面を対設することができる。尚、洗滌消毒槽4の収容凹部4bの底面には、図示しない保持網が敷設されている。スコープコネクタ部105aは、基本的にユニバーサルコード103のコード側コネクタ部103aと同一の構成を有しており、夫々、互いに接合可能な構造となっている。すなわち、内視鏡用コネクタ部78に設けられる磁石ユニット75とスコープコネクタ部105aの磁石ユニット102が吸着することによって、内視鏡用コネクタ部78とスコープコネクタ部105aが固着される。このとき、中心搭70の吸引管路接続部76が内視鏡本体101の吸引管路106に、送気送水管路接続部77が送気送水管路107に夫々対応して接続される。
【0058】
従って、本実施の形態において、ユーザは、内視鏡本体101を洗滌槽4にセットする際、内視鏡本体101の吸引管路106及び送気送水管路107と中心搭70の吸引管路接続部76と送気送水管路接続部77とをチューブなどを用いて接続する必要がない。よって、チューブなどの接続に要する時間を大幅に短縮できると共に、チューブの接続ミス及び接続不良が発生せず、確実に内視鏡本体101の各管路106、107と内視鏡洗滌消毒装置2側(中心搭70)の各管路用接続部76,77とを容易に接続することができる。さらに、ユーザは、内視鏡本体101を洗滌槽4に設置する際、中心搭70が洗滌槽4の収容凹部4bの略中央に位置し、且つ、内視鏡用コネクタ部78を手前側に回動することができるため、内視鏡用コネクタ部78とスコープコネクタ部105aの装着接続が容易となる。
【0059】
次に、ユーザは、中心搭70を回転させて、図15に示すように、内視鏡101の挿入部105の先端部分を収容凹部4bの底面下に設けられている4つの振動子6のうち、挿入部105先端部分の近傍の振動子6上に配置する(S5)。このとき、ユーザは、収容凹部4bの底面上のUS振動子6の位置が図示しない位置表示によって、容易に認識することができる。従って、挿入部105先端をUS振動子6の位置ずれを中心搭70の回動にて容易に調節可能となる。
【0060】
そして、ユーザは、洗滌カバー5を閉じて、電源スイッチ56を投入し、内視鏡本体101を洗滌消毒する各種工程プログラムを各種操作パネル55、56により設定して、スタートスイッチを押す(S6)。このとき、洗滌消毒する内視鏡本体101の挿入部105の長さ情報を入力する。すると、装置本体3に内蔵されている制御回路46に電源が投入され、内視鏡洗滌消毒装置2は、内視鏡本体101の洗滌消毒を開始する。尚、内視鏡洗滌消毒装置2及び内視鏡本体101に、内視鏡本体101のメモリ素子が記録している各種情報信号、各種認識情報信号などを無線にて相互に送受信するアンテナを夫々に設けても良く、内視鏡洗滌消毒装置2の制御回路46が内視鏡本体101からの各種情報信号、各種認識情報信号に基づいて、挿入部105の長さ情報を認識しても良い。
【0061】
次に、図16のフローチャート図を使って、内視鏡洗滌消毒装置2の各種工程について説明する。
図16に示す、ステップS11では、スタートスイッチの入力待ち状態となり、スタートスイッチがONされたとき(S12)、ステップS13へ進む。
【0062】
ステップS13では、給水弁14Aを開き水道栓から給水を開始する。給水を開始するに際しては、先ず、三方切替弁29を動作させ、給水・循環ノズル24を水フィルタ14側に接続させる。すると、水フィルタ14にて濾過された水道水が、給水・循環ノズル24から洗滌槽4の収容凹部4bに供給される。このとき、収容凹部4bの水位を、図示しない水位センサ等で検出し、給水の終了時期を監視する。そして、収容凹部4bに貯留される水位が設定水位に達したとき、三方切替弁29を再び動作させ、給水・循環ノズル24と水フィルタ14側との接続を遮断して、給水を終了する(S14)。
【0063】
次に、ステップS15では、CHポンプ32が駆動して、収容凹部4b内の水道水が循環口21から吸引される。この水道水は、CHポンプ32から逆止弁33、CHブロック31及び7aを介して回転台8のコネクタ孔部65、66へと流れ、中心搭70の吸引管路側供給路72及び送気送水管路側供給路79へと送り込まれる。そして、水道水は、吸引管路側供給路72を通って、ワイヤ収納部70aを介して、吸引管路接続部76から内視鏡本体101の吸引管路106へ、送気送水管路側供給路79を介して、吸引管路接続部76から内視鏡本体101の送気送水管路107へと供給される。
【0064】
また、内視鏡本体101の各管路106、107へ水道水が供給されると共に、制御回路46からブラシ駆動回路9へ制御信号が入力される。ブラシ駆動回路9は、モータ61を所定に駆動させる。そして、モータ61のモータ軸67の所定の回動、つまり、図6の紙面に向かって反時計回り方向の回動が中心搭70のローラ軸73aに伝達され、第1ローラ73が反時計回り方向に回動される。この第1ローラ73の回動に合わせて、第1、第2ローラ73、74の外周面に圧接される洗滌ブラシ71のワイヤ部71bがワイヤ収納部70aから順に内視鏡本体101の吸引管路106内へ送り出される。すなわち、吸引管路接続部76内のブラシ部71aは、図17に示すように、吸引管路106内へ送り出される。
【0065】
このとき、制御回路46は、内視鏡本体101の挿入部105の長さ情報に基づいて、ブラシ駆動回路9の制御を行う。すなわち、制御回路46は、洗滌ブラシ71の先端のブラシ部71aが吸引管路106の先端開口部へ到達するために必要なワイヤ部71bを送り出すための第1ローラ73の回動量を演算して、ブラシ駆動回路9へ制御信号を供給する。そして、ブラシ駆動回路9は、制御回路46からの制御信号に基づいて、第1ローラ73を所定の回動量に駆動制御する。
【0066】
また、洗滌ブラシ71のブラシ部71aが吸引管路106の先端開口部へ到達されると、制御回路46は、第1ローラ73を図6の紙面に向かった時計回り方向に回動させる制御信号をブラシ駆動回路9へ供給する。こうして、第1ローラ73がブラシ駆動回路9によって、時計回り方向に回動され、ワイヤ部71bがワイヤ収納部70aに送り込まれることによって、ブラシ部71aが吸引管路106の基端側に引き戻される。また、第1ローラ73が時計回り方向に回動されている状態においても、制御回路46は、内視鏡本体101の挿入部105の長さ情報に基づいて、ブラシ駆動回路9の制御を行う。
【0067】
上述のワイヤ部71bの吸引管路106内を送り出し及び引き戻される動作のための制御回路46及びブラシ駆動回路9による第1、第2ローラ73、74の回動制御は、一定の間、繰り返し行われる。こうして、所定の時間において、洗滌ブラシ71が内視鏡本体101の吸引管路106内を進退移動されることによって、ブラシ部71aは、吸引管路106内をブラッシング洗滌する。
【0068】
従って、本実施の形態において、特に、内視鏡検査時に、患者の汚物、粘膜などが付着し易い吸引管路106内は、ブラッシング洗滌されることによって、確実に内部の汚物、粘膜などの付着物を洗い流すことができる。
【0069】
次に、ステップS16では、制御回路46がUS制御回路49に制御信号を供給し、この制御信号に基づいてUS制御回路49から駆動信号が供給されるUS振動子6が作動する。US振動子6は、収容凹部4b内の水道水に超音波振動を与え、内視鏡本体101が超音波洗滌される。このとき、特に、挿入部105の先端部分は、US振動子6が設けられる収容凹部4bの底面位置に配置されているため、US振動子6からの超音波振動を効率的に受けることによって、確実に超音波洗滌がされる。すなわち、各管路106、107の開口部が配設され、撮像素子110、照明素子111、接触センサ105Aなどの部材が設けられた複雑な形状をしている挿入部105の先端部分は、US振動子6が設けられる収容凹部4bの底面位置に配置されることによって、水道水へ伝達された超音波振動が効率的に与えられ、超音波洗滌の洗滌性が向上する。尚、上述のステップS15及びステップS16は、同時に行うようにしても良い。
【0070】
次に、ステップS17では、洗剤ポンプ27の駆動により洗剤タンク11に貯留されている液体洗剤を洗剤ノズル22から適量吐出させ、洗滌消毒槽4に貯留されている水道水に混入させて洗滌水が生成される。そして、ステップS18での洗滌工程が開始する。内視鏡本体101を収容凹部4bの外周壁面、及び内周壁面に設けた図示しない高圧ノズルから、収容凹部4bに貯留されている洗滌水が高圧噴出されて収容凹部4b内に水流が生成される。また、この水流は、ステップS16での超音波振動子6の駆動により振動される。その結果、内視鏡本体101の外表面が洗滌水の水流と振動とにより洗滌される。
【0071】
又、三方切替弁29とCHブロック31とを動作させて、循環口21と給水・循環ノズル24、及び回転台8とが連通させる。その結果、給水・循環ノズル24から流液ポンプ30の駆動により、洗滌水が吐出されて循環される。同時に、回転台8及び中心搭70の内視鏡用コネクタ部78を経て、内視鏡本体101の各管路106、107にCHポンプ32の吐出圧により洗滌水が供給され、各管路106、107内が洗滌される。
【0072】
本形態で採用する内視鏡本体101の各管路106、107には、バルブやこれを動作させる機構が内蔵されていないため、ほぼストレート状に配管されているため、流路抵抗が少なく、洗滌水をスムーズに流すことができ、各管路106、107内が満遍なく洗滌される。尚、ステップS15での吸引管路106内のブラッシング洗滌は、この洗滌工程中(S18)でも引き続き行われている。
【0073】
そして、ステップS19へ進み、洗滌工程が終了したか否かを設定時間に達したか否かで判断し、設定時間に達するまで洗滌工程を継続して行う。そして、設定時間に達したとき、洗滌終了と判定し、ステップS20へ進み、洗滌水を排水する。洗滌水の排水は、洗滌消毒槽4の底部に開口されている排水口42に設けた切替弁43が動作されて、排水口42と外部排水口82とを連通させ、排水ポンプ44を駆動させて、強制的に排水させる。
【0074】
そして、排水が所定に終了した場合、切替弁43が動作されて排水口42が閉塞され、更に三方切替弁29が動作されて循環口21と給水・循環ノズル24とを遮断した後、ステップS21へ進み、消毒工程が開始される。
【0075】
消毒工程が開始されると、先ず、薬液ポンプ28の駆動により、消毒液タンク12に貯留されている消毒液が消毒液ノズル23に送給され、この消毒液ノズル23から洗滌槽4に消毒液が供給される。この状態では、循環口21と回転台8とが連通されているため、CHポンプ32の駆動により、洗滌槽4に貯留されている消毒液が、中心搭70を介して内視鏡本体101の各管路106、107に供給される。そして、洗滌消毒槽4に供給された消毒液の水位が設定水位に達した後、消毒液を設定時間だけ循環させる。
【0076】
その後、設定時間に達したとき、CHポンプ32の駆動が停止され、設定時間だけ内視鏡本体101が消毒液に浸漬される。この場合も、本形態による内視鏡本体101の各管路106、107は、略ストレート状に配管されているため、消毒液が満遍なく管路内部行き渡る。
【0077】
次いで、ステップS22においては、内視鏡本体101の浸漬時間を計測し、浸漬時間が設定時間に達したとき、消毒終了と判定し、ステップS23へ進む。ステップS23では消毒液の回収が行われる。消毒液は、ある回数繰り返し使用されるため、切替弁43が動作されて、排水口42が消毒液タンク12に連通され、洗滌消毒槽4に貯留されている消毒液が消毒液タンク12内に回収される。
【0078】
消毒液が消毒液タンク12に所定に回収された後、ステップS14へ進み、すすぎ工程が開始される。すすぎ工程が開始されると、先ず、三方切替弁29が駆動され、給水・循環ノズル24が水フィルタ14側に連通され、給水・循環ノズル24から水フィルタ14によって濾過された水道水が洗滌槽4に供給される。そして、水道水が所定の水位に達した後、三方切替弁29が閉じられ、洗滌工程と同様、洗滌消毒槽4に貯留されている水道水を循環させる。そして、設定時間が経過した後、排水する。
【0079】
ステップS25では、すすぎの回数Nが計数され、すすぎの回数Nが設定回数に達したとき、すすぎ工程が終了と判定される。そして、最後のすすぎ工程において使用した水道水が所定に排水された後、ステップS26へ進み、送気工程が開始される。送気工程が開始されると、CHブロック31が駆動されて、コンプレッサ34と回転台8とを連通し、中心搭70の内視鏡用コネクタ部78を介して内視鏡本体101の各管路106、107に圧縮空気を送気して、各管路106、107内を除水、乾燥させる。
【0080】
ステップS27では、コンプレッサ34による送気時間を計時し、設定時間に達したとき送気工程が終了と判断され、コンプレッサ34が停止された後、ステップS28へ進む。
【0081】
ステップS28では、アルコールフラッシュ工程が開始される。アルコールフラッシュ工程では、先ず、アルコール弁36を駆動させて、アルコールタンク13と回転台8とを連通させ、アルコールポンプ13Aの駆動により、アルコールタンク13に貯留されているアルコールを少量だけ、中心搭70の内視鏡用コネクタ部78を介して内視鏡本体101の各管路106、107へ送液する。次いで、CHブロック31が再び駆動され、回転台8がコンプレッサ34に連通され、コンプレッサ34の駆動により、圧縮空気が中心搭70の内視鏡用コネクタ部78を介して内視鏡本体101の各管路106、107に送気される。
【0082】
そして、圧縮空気と共にアルコールが内視鏡本体101の各管路106、107へ供給され、アルコールにより、各管路106、107に残留する僅かな水分の蒸発が促され、各管路106、107内は早期に乾燥される。
【0083】
ステップS29では、圧縮空気の送気時間を計時し、設定時間に達したとき、アルコールフラッシュ工程の終了と判定され、全ての工程が終了する。
【0084】
そして、ユーザは、洗滌カバー5を開けて、スコープコネクタ部105aと内視鏡用コネクタ部78を離脱させ、内視鏡本体101を洗滌槽4から取り出す。また、中心搭70は、ディスポーザブルであるため、内視鏡本体101の洗滌消毒後に回転台8から取り外され、廃棄処分される。
【0085】
尚、スコープコネクタ部105aと内視鏡用コネクタ部78との接続において、図18に示すように、操作部104のスコープコネクタ部105aに配設される吸引管路106及び送気送水管路107の夫々の開口部に設けられる管路口金106b、107bを有する使用済みの内視鏡本体101Aを洗滌消毒する場合、吸引管路接続部76及び送気送水管路接続部77へ管路口金106b、107bに挿入し、スコープコネクタ部105aと内視鏡用コネクタ部78を機械的な接合となるようにしても良い。
【0086】
このように、本形態では、使用済みの内視鏡本体101を洗滌消毒するに際し、内視鏡本体101に形成されているスコープコネクタ部105aを洗滌槽4の収容凹部4bに設置される中心搭70にワンタッチで装着することで、接続を完了させることができるので、煩雑な接続作業が不要となり、作業効率を向上させることができる。又、作業効率が向上したので、洗滌消毒に要する時間が短縮され、その分、内視鏡100の稼働効率を向上させることができる。
【0087】
また、回転台8が洗滌槽4の収容凹部4bの底面に対して回動自在であるため、回転台8に設置される中心搭70もユーザの所望に合わせて回動自在である。そのため、ユーザは、中心搭70の内視鏡用コネクタ部78を手前側に回動でき、内視鏡用コネクタ部78とスコープコネクタ部105aの接続が容易となるため、内視鏡本体101を洗滌槽4の収容凹部4bへの設置が容易となる。
【0088】
さらに、ユーザは、内視鏡100の機種による多様な挿入部105の長さに対応して、中心搭70を所望に回動させることによって、挿入部105の先端部分をUS振動子6が配設されている収容凹部4bの底面上に確実に配置することができる。従って、内視鏡100の機種毎による挿入部105の長さに問われず、先端部分を効率的に超音波振動による洗滌を行うことができる。尚、本実施の形態においては、US振動子6を4つ設けているが、挿入部105の先端部分の設置位置をUS振動子6上の所定位置に中心搭70を所望に回動させることによって設定できるため、US振動子6の数を減らすこともできため、製造時におけるコスト低減に供することができる。
【0089】
また、中心搭70から洗滌ブラシ71が、最も汚物などが付着し易い吸引管路106内に進退移動してブラッシング洗滌を行うため、確実な吸引管路106の洗滌を行うことができる。そして、内視鏡101の洗滌消毒後は、中心搭70を洗滌槽4の回転台8から取り外すだけで、洗滌ブラシ71の交換が容易に行うことができる。
【0090】
以上の結果、内視鏡洗滌消毒装置2は、洗滌槽4内への内視鏡本体101の設置及び内視鏡本体101に設けられている各管路106、107への接続口に対する接続を容易にすると共に、内視鏡の機種によらず、挿入部105の先端部分が収容凹部4bのUS振動子6上に確実に配置でき、容易に交換可能な洗滌ブラシ71を吸引管路106内へ自動供給し、ブラッシング洗滌することができる。
【0091】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】内視鏡洗滌消毒装置を示す斜視図である。
【図2】内視鏡洗滌消毒装置の主に洗滌槽を示す斜視図である。
【図3】内視鏡洗滌消毒装置内の構成を説明するための図である。
【図4】洗滌槽を下方から見た背面斜視図である。
【図5】回転台に設置された中心搭を上方から見た図である。
【図6】中心搭の断面図である。
【図7】中心搭が回転台へ設置される状態を説明する図である。
【図8】図5のA−A線に沿って中心搭を切断した縦断面図である。
【図9】図5のB−B線に沿って中心搭を切断した縦断面図である。
【図10】制御回路の回路構成を説明するためのブロック図である。
【図11】内視鏡の構成を説明するための図である
【図12】内視鏡本体を洗滌槽の収容凹部へ設置する手順を説明するためのフローチャート図である。
【図13】内視鏡本体が中心搭へ設置される状態を説明するための図である。
【図14】内視鏡本体が中心搭へ設置される状態を説明するための図である。
【図15】内視鏡本体が収容凹部へ設置された状態の洗滌槽の上面図である。
【図16】内視鏡本体が洗滌消毒される手順を説明するためのフローチャート図である。
【図17】吸引管路内のブラッシング洗滌を説明するための図である。
【図18】内視鏡本体と中心搭の接続を説明するための図である。
【符号の説明】
【0093】
2・・・内視鏡洗滌消毒装置
4b・・・収容凹部
4・・・洗滌消毒槽
8・・・回転台
9・・・ブラシ駆動回路
61・・・モータ
70・・・中心搭
71・・・洗滌ブラシ
73、74・・・ローラ
78・・・内視鏡用コネクタ部
80a・・・給水ホース
代理人 弁理士 伊 藤 進
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの内視鏡を自動的に洗滌消毒する内視鏡用洗滌消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内の検査や治療の目的に使用される内視鏡は、体腔内に挿入する挿入部の外表面だけでなく、送気送水管路、鉗子チャンネルを兼ねる吸引管路等の各内視鏡管路内にも汚物が付着する。そのため、使用済みの内視鏡は、必ず洗滌、消毒する必要がある。
【0003】
一般に、洗滌消毒装置を用いて内視鏡の洗滌処理、及び消毒処理を行う場合、例えば特許文献1(特開2002−263066号公報)に開示されているように、洗滌工程、濯ぎ工程、消毒工程及びアルコールフラッシュ工程などが行われる。
【0004】
洗滌工程では、先ず、洗滌消毒槽内に洗滌水が供給され、洗滌水が所定水位に達した後、洗滌が開始される。洗滌水は循環され、その水流によって内視鏡の外表面が洗滌される。また、各内視鏡管路内は、洗滌消毒層内の洗滌液を循環ポンプで吸引し、循環ポンプからの吐出される水圧で洗滌が行われる。このとき、洗滌層に設けられる超音波振動子によって、洗滌効率が高められる。
【0005】
洗滌工程が終了すると、消毒工程へ移行する前に、水道水により洗滌水を所定に洗い流す濯ぎ工程後、消毒工程へ移行する。消毒工程では、上述した洗滌工程において流した洗滌水に代えて、所定の濃度に薄めた消毒液を洗滌消毒槽に流すと共に、循環ポンプにより、洗滌消毒槽内の消毒液を吸引し、内視鏡管内に消毒液を供給する。また、内視鏡は、消毒液に所定の時間、浸漬されて消毒される。そして、消毒工程が所定に終了した後、内視鏡をアルコールフラッシュなどして所定に乾燥させて、一連の工程が終了する。
【0006】
また、使用済みの内視鏡は、特に、鉗子が挿通される吸引管路内に汚物が付着し易い。そのため、ワイヤブラシを吸引管路内に対して進退移動させ、内視鏡管路内を洗滌する内視鏡洗滌装置が例えば特許文献2(特開2003−310550号公報)に開示されている。
【特許文献1】特開2002−263066号公報
【特許文献2】特開2003−310550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、内視鏡の洗滌、消毒は、内視鏡外表面のみならず、内視鏡管路内も行わなければならない。特開2002−263066号公報に記載される内視鏡洗滌消毒装置に内視鏡を設置する際、ユーザは、操作部を洗滌槽奥の所定の壁面に沿って配置すると共に、内視鏡管路数に合わせて、複数の洗滌チューブを接続しなければならず、操作部の配置及び洗滌チューブの接続に手間がかかり、洗滌消毒に要する時間が長くなるため、その分、内視鏡の稼働率が低くなる問題がある。
【0008】
また、内視鏡は、挿入部を確実に洗滌するため、洗滌槽の底面下に配設される超音波振動子により振動が与えられた洗滌液を効率良く受けることが好ましい。特に、挿入部の先端部分は、内視鏡管路の開口部が配設されており、各種部材による複雑な形状をしているため、汚物及び粘膜が付着し易く、洗滌性が最も要求される部分である。従って、内視鏡挿入部の先端部分は、超音波振動子が配設されている洗滌槽の底面上に設置された方が、洗滌効率が向上する。
【0009】
しかし、内視鏡は、機種毎に挿入部の長尺が異なり、上述したように操作部が洗滌槽奥の所定の壁面に沿って配置される。従って、特開2002−263066号公報に記載される内視鏡洗滌消毒装置では、機種毎に内視鏡挿入部の先端部分が洗滌槽の底面に配置される位置が特定されず、超音波振動子を洗滌槽の底面下のいたるところに設けなければならならず、製造コストが高くなってしまうという問題がある。
【0010】
さらに、特開2003−310550号公報に記載されるワイヤブラシを吸引管路内に対して進退移動させて、吸引管路を洗滌する内視鏡洗滌装置においては、ワイヤブラシは消耗品であるため、定期的又は一回毎に交換する必要がある。このワイヤブラシは、内視鏡挿入部の長さ以上であるため、交換時における長尺のワイヤ部分を装置内に挿通セットする作業が煩雑であり、使い勝手が悪いという問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、洗滌消毒槽内への内視鏡の設置及び内視鏡に設けられている各管路等の接続口に対する接続を容易にすると共に、内視鏡の機種によらず、内視鏡挿入部の先端部分が洗滌槽の超音波振動子上に確実に配置でき、容易に交換可能なブラシを自動供給して内視鏡の管路内をブラッシング洗滌する内視鏡洗滌消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため本発明による内視鏡洗滌消毒装置は、操作部から延出する挿入部を有する内視鏡本体の外表面及び該内視鏡本体内に設けられている複数の内視鏡管路を洗滌消毒する内視鏡洗滌消毒装置であって、前記操作部が装着される前記洗滌消毒槽の略中央部に着脱可能な中心搭を配設し、該中心搭に前記内視鏡本体の少なくとも1つの前記内視鏡管路と接続する内視鏡接続部を設け、前記内視鏡接続部に前記内視鏡管路に流体を供給可能な流体供給手段を連通したことを特徴としている。
また、前記中心搭は、回動手段を介して回動自在にされていることを特徴としている。
前記洗滌消毒槽の底面に、振動発生手段を少なくとも1つ配設し、前記中心搭に装着した前記内視鏡本体の前記挿入部の先端部分と前記振動発生手段の位置ずれを前記中心搭の回動にて調整することを特徴としている。
前記中心搭は、ワイヤ状の洗滌ブラシを収納する収納部と該洗滌ブラシを前記内視鏡接続部側へ送り出し或いは該収納部側へ引き戻す駆動手段とを有し、前記内視鏡本体の前記内視鏡管路内に前記洗滌ブラシを進退させて、前記内視鏡管路内を洗滌することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、洗滌槽内への内視鏡本体の設置及び内視鏡本体に設けられている各管路等の接続口に対する接続を容易にすると共に、内視鏡の機種によらず、内視鏡挿入部の先端部分が洗滌槽の超音波振動子上に確実に配置でき、容易に交換可能な洗滌ブラシを自動供給して内視鏡の吸引管路内を洗滌する内視鏡洗滌消毒装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、図面に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は、内視鏡洗滌消毒装置を示す斜視図、図2は内視鏡洗滌消毒装置の主に洗滌槽を示す斜視図、図3は内視鏡洗滌消毒装置内の構成を説明するための図、図4は洗滌槽を下方から見た背面斜視図である。
【0015】
図1に示すように、内視鏡洗滌消毒装置2は、装置本体3と、その上面に洗滌消毒対象物である内視鏡本体が設置される洗滌消毒槽(以下、洗滌槽と略記)4と、洗滌槽4の上部を開閉する洗滌カバー5を有している。
【0016】
装置本体3は、前面に洗滌時間表示部、消毒時間表示部などの各種表示部及び機能チェックボタン、消毒液調合ボタンなどの各種ボタンが配設されるサブ操作パネル51と、このサブ操作パネル51の左脇にアルコールインジケータ53、洗剤インジケータ54と、これらの下方に前面扉3aとを有している。また、装置本体3は、背面下部から排水ホース82aが延出し、この排水ホース82aによって、外部の排水口に接続されている。
【0017】
図2に示すように、洗滌槽4は、中央部に内視鏡を設置するための略円柱形状の収容凹部4b、周囲に縁部4aを有している。洗滌槽4の上面の一角には、収容凹部4bの開口部を臨むように、後述する洗剤ノズル22、消毒液ノズル23及び給水・循環ノズル24が配設されている。収容凹部4bには、その底面に排水口42と、内側周面に循環口21を有している。また、洗滌槽4は、前方の縁部4aの上面にスタートボタンなどの各種ボタン類と、洗滌消毒工程の段階表示部などの各種表示部が配設されるメイン操作パネル55と、後方の縁部4a一角に水道栓と一端が接続されている給水ホース80aの他端が接続されている給水ホース接続口14bを有している。また、洗滌槽4の前面には、電源スイッチ56が配設されている。
【0018】
尚、収容凹部4bの中央領域部には、回動手段である回転台8が配設されており、この回転台8に後述する着脱可能な中心搭70が設置される。
【0019】
次に、図3を使用して、内視鏡洗滌消毒装置2の装置本体3の内部構成について説明する。
図3に示すように、装置本体3の内部には、液体洗剤を貯留する洗剤タンク11、所定濃度に希釈された消毒液を貯留する消毒液タンク12、アルコールを貯留するアルコールタンク13、水道栓80から供給される水道水を濾過する水フィルタ14及びエアフィルタ15が配設されている。消毒液タンク12は装置本体3内に固定されており、また、洗剤タンク11、アルコールタンク13、水フィルタ14、エアフィルタ15は、各々トレー11a,13a〜15aに載置されている。各トレー11a,13a〜15aは、装置本体3の前面扉3a(図1参照)を開放することによって、前方へ引き出し自在にされており、所定に液体を補充、または、部品を交換することができる。
【0020】
一方、消毒液タンク12は装置本体3内に固定されているため、この消毒液タンク12に消毒液を補充する際、装置本体3の前面扉を開放し、装置内部に固設されているボトルコネクタ16に対して、消毒液の濃縮液が充填されている消毒液ボトル17を接続することによって行う。また、その際、希釈弁18を介して、水フィルタ14によって濾過された水道水が消毒液タンク12に供給される。尚、水道栓80からの水道水は、給水弁14Aの内部の弁が開かれることにより水フィルタ14に送り込まれる。従って、消毒液タンク12には所定濃度に希釈された消毒液が貯留される。また、図3においては、各トレー11a,13a〜15aが引き出された状態が示されている。
【0021】
洗剤ノズル22は、洗剤管路22aの一端と接続され、洗剤管路22aの一端が洗剤タンク11に接続されている。この洗剤管路22aの途中には、洗剤ポンプ27が介装されている。消毒液ノズル23は、消毒液管路23aの一端と接続されており、消毒液管路23aの他端が消毒液タンク12に接続されている。消毒液管路23aの途中には、薬液ポンプ28が介装されている。更に、給水・循環ノズル24は、給水・循環管路24aの一端と接続され、給水・循環管路24aの他端と接続される三方切替弁29を介して水フィルタ14と流液ポンプ30とに選択的に連通自在にされている。給水・循環ノズル24が三方切替弁29を介して水フィルタ14側に接続された状態において、給水・循環ノズル24から水フィルタ14によって濾過された水道水が洗滌槽4の収容凹部4b内へ吐出される。一方、給水・循環ノズル24が三方切替弁29を介して流液ポンプ30に接続された状態において、循環口21から取り入れた洗滌槽4に貯留されている洗滌水または消毒水が洗滌槽4の収容凹部4b内へ吐出されて循環される。尚、図3には図示しないが給水・循環ノズル24と三方切替弁29との間に高圧ノズル(不図示)が高圧ポンプを介して接続されており、この高圧ノズルからも給水・循環ノズル24と同様の液体(水道水、洗滌水など)が高圧により収容凹部4b内へ噴出される。この高圧ノズル及び給水・循環ノズル24から吐出される液体により、洗滌槽4の収容凹部4b内に水流が発生し、この水流によって後述する内視鏡本体101の外表面が洗滌及び濯がれる。
【0022】
また、循環口21は、四方切替弁であるCH(チャンネル)ブロック31と連通されており、この連通路には循環口21から順に、CH(チャンネル)ポンプ32と、洗滌水または消毒水をCH(チャンネル)ポンプ32側へ流れないようにするための逆止弁33とが配設されている。このCHポンプ32の駆動によって、収容凹部4bに貯留されている洗滌水または消毒水は、CHブロック31側に供給される。
【0023】
また、CHブロック31は、エアフィルタ15ともエア逆止弁35を介して連通している。このエア逆止弁35は、エアフィルタ15側に液体(水道水、洗滌水、消毒水)が流れないようにしている。エアフィルタ15はコンプレッサ34と連通しており、コンプレッサ34からの圧縮空気がエアフィルタ15を介してCHブロック31側に吐出される。コンプレッサ34とエアフィルタ15の間の管路から排気弁42aと連通する管路が分岐しており、排気弁42aは、コンプレッサ34からの圧縮空気の圧力を調節している。
【0024】
更に、CHブロック31は、アルコールタンク13とも連通しており、その途中にはアルコールタンク13側からアルコールポンプ13A及びアルコール弁36が設けられている。このアルコールタンク13のアルコールがアルコールポンプ13Aによってアルコール弁36を介してCHブロック31に供給される。
【0025】
上述した、CHブロック31に供給される液体(水道水、洗滌水、消毒水)は、各種工程毎にCHブロック31を介して、洗滌槽4の底面に設けられる回転台8にリリーフ弁7aが介装される流液供給管路7から送り込まれる。
【0026】
洗滌槽4の収容凹部4bの底面に前述した排水口42が配設され、この排水口には切替弁43が設けられている。この切替弁43は、消毒液タンク12と連通しており、選択的に弁を切り変えられることによって洗滌槽4の収容凹部4bに貯留された消毒液を消毒液タンク12へ戻す。また、切替弁43は、外部へ洗滌水、濯ぎ水などを排出するため、排水管44aを介して外部の排水口82と連通している。切替弁43と排水管44aの途中には、洗滌槽4の洗滌槽4の収容凹部4bに貯留された洗滌水、濯ぎ水などを吸引して外部に送り出すための排水ポンプ44が設けられている。また、洗滌槽4の排水口42は、CHブロック31とも連通し、その途中にはバイパス弁45が介装されている。
消毒液タンク12に貯溜されて所定の濃度に希釈された消毒液は、所定の消毒工程回数毎に交換される。消毒液の交換に際しては、消毒液タンク12が消毒液ドレーン口48と連通しており、消毒液が消毒液ドレーン口48から外部へ排出される。
【0027】
また、上述した、各種ポンプ、各種弁、各種機器などは、装置本体3の内部に設けられる制御回路46によって各工程毎に制御されている。この制御回路46は、電源装置47を介して外部のコンセント81から電気ケーブルを介して電力が供給されている。
【0028】
洗滌槽4の収容凹部4bの底面下には、4つの超音波振動子(以下、US振動子と略記)6が配設される(図4参照)。各US振動子6は、液体(水道水、洗滌液)に超音波振動を与える振動発生手段である。尚、US振動子6は、4つに限ることなく少なくとも1つ以上が配設されていても良く、4つ以上でも良い。また、図示しないが洗滌槽4の収容凹部4bの底面上には、US振動子6の配設位置が識別できるように位置表示が設けられている。
【0029】
収容凹部4bの底面中央部に配設されている回転手段である回転台8は、略円板形状をしており、この回転台8に対し中心搭70が着脱自在に設置されている。回転台8は、CHブロック31と流液供給管路7を介して連通している。つまり、CHブロック31に供給される液体(水道水、洗滌水、消毒水、アルコール)は、流液供給管路7、リリーフ弁7a及び回転台8を介して中心搭70の内部へ供給される。また、回転台8には、後述するブラシ駆動モータが配設され、このブラシ駆動モータは、ブラシ駆動回路9によって駆動制御されている。
【0030】
次に、以下、図5から図9に基づいて、回転台8及び中心搭70の構成について詳細に説明する。
図5は、回転台に設置された中心搭を上方から見た図、図6は中心搭の断面図、図7は中心搭が回転台へ設置される状態を説明する図、図8は図5のA−A線に沿って中心搭を切断した縦断面図、図9は、図5のB−B線に沿って中心搭を切断した縦断面図である。
【0031】
図5に示すように、収容凹部4bの回転台8に設置される中心搭70は、上方から見て一部分が略垂直に切り落とされた略円柱状(図1参照)をしている。この略垂直に切り落とされた側面が後述する内視鏡の操作部が装着される内視鏡接続部である内視鏡用コネクタ部78となる。また、回転台8は、略円板形状をしており、略中央部に穿設された孔である軸受孔部62と、外周側に穿設された孔である2つのコネクタ孔部65、66とを有している。
【0032】
図6に示すように、中心搭70の内部には、略半円柱形状の内部空間、すなわち、断面形状が略半円形状の空間であるワイヤ収納部70aと、該ワイヤ収納部70aと一端が連通し、内視鏡用コネクタ部78側へ向かうワイヤ挿通路70cと、該ワイヤ挿通路70cの他端と連通する吸引管路接続部76を有している。また、ワイヤ挿通路70cの略中央には、ローラ収納部70bが設けられる。また、中心搭70の内視鏡用コネクタ部78の側面からは、ワイヤ収納部70a手前まで切削された穴部である送気送水管路接続部77とが設けられる。
【0033】
ワイヤ収納部70aに洗滌ブラシ71のワイヤ部71bが収納されている。このワイヤ収納部70aの底面には、装置内部からの液体(水道水、洗滌水、消毒水、アルコール)が供給される吸引管路側供給路72の開口部を有している。尚、洗滌ブラシ71は、ワイヤ部71bの先端に取りつけられるブラシ部71aを有している。また、ワイヤ部71bは、ワイヤ収納部70a内にコイル状に巻かれた状態で収納されており、所定の可撓性を有している。
【0034】
吸引管路接続部76と送気送水管路接続部77は、夫々の一端が内視鏡用コネクタ部78において開口している。また、送気送水管路接続部77は、他端が送気送水管路側供給路79と連通しており、装置内部からの液体(水道水、洗滌水、消毒水、アルコール)が供給される。さらに、中心搭70には、内視鏡用コネクタ部78の外側面に沿うように磁石ユニット75が設けられている。
【0035】
ローラ収納部70b内には、駆動側ローラである第1ローラ73と、この第1ローラ73の外周面と対向する外周面を有する受動側ローラである第2ローラ74とが回動自在に設けられている。また、第1、第2ローラ73、74は、夫々にローラ軸73a、74aを有している。
洗滌ブラシ71のワイヤ部71bは、第1、第2ローラ73、74の夫々の外周面間に圧接されている。尚、洗滌ブラシ71は、第1、第2ローラ73、74を介して吸引管路接続部76の開口部まで挿通しており、ブラシ部71aが吸引管路接続部76内に収納される。
【0036】
図7に示すように、第1ローラ73のローラ軸73aは、中心搭70の下面から突出しており、回転台8の軸受孔部62に係入接合される。また、中心搭70は、送気送水管路側供給路79が配設され、中心搭70の下面から突起する送気送水管路側コネクタ管85を有しており、回転台8のコネクタ孔部65に送気送水管路側コネクタ管85が係入接合される。この送気送水管路側コネクタ管85の外周部に設けられるOリング85aがコネクタ孔部65の内周面と密着することによって、コネクタ孔部65と送気送水管路側コネクタ管85の接合部分が水密に保たれている。
【0037】
更に、中心搭70は、吸引管路側供給路72が配設され、中心搭70の下面から突起する吸引管路側コネクタ管86を有し、回転台8のコネクタ孔部66に吸引管路側コネクタ管86が係入接合される。この吸引管路側コネクタ管86の外周部に設けられるOリング86aがコネクタ孔部66の内周面と密着することによって、コネクタ孔部66と吸引管路側コネクタ管86の接合部分が水密に保たれている。この中心搭70は、ディスポーザブルタイプでも、リユースタイプでも良く、本実施の形態においては、ディスポーザブルタイプとする。
【0038】
尚、回転台8のコネクタ孔部65、66は、回転台8の上面において、その略中心に位置する軸受孔部62に対して点対称とならない位置に設けられている。そのため、中心搭70の各コネクタ管85、86及びローラ軸73aが夫々対応して係入する位置が決められるため、中心搭70は、回転台8の所定の位置にのみ配置可能となっている。従って、中心搭70は、回転台8への誤った位置に設置されることが防止される。
【0039】
図7、図8に示すように、回転台8は、外周部分の両面が2つのフランジ形状となるように、環状溝8cを有している。この回転台8は、収容凹部4bの底面に穿設された円形状の孔部に環状溝8cが摺動可能なOリング64を介して配設されている。従って、回転台8は、収容凹部4bに対して回動自在となっており、摺動可能なOリング64によって、収容凹部4bと回転台8の接合部分が水密に保たれている。
【0040】
回転台8の下面の略中央部分にモータ61が配設されている。このモータ61は、第1ローラ73のローラ軸73aと係合するモータ軸67を有している(図8参照)。また、第1ローラ73は、モータ61の駆動によって、モータ軸67と係合により回動が伝達される。この第1ローラ73は、回動に合わせ、外周面に接触しているワイヤ部71bを中心搭70の内外へ進退移動させる。つまり、第1、第2ローラ73、74の夫々の外周面に圧接されているワイヤ部71bは、第1ローラ73の回動によって、第1、第2ローラ73、74に押圧されながら、中心搭70の内外へ進退移動される。このとき、第2ローラ74は、自由に回動できるため、第1ローラ73の回動によるワイヤ部71bの進退移動に伴って回動するものである。こうして、ワイヤ部71bの長尺範囲内において、洗滌ブラシ71は、第1、第2ローラ73、74の回動により、先端のブラシ部71aが中心搭70の吸引管路接続部76内から外部へ向かってワイヤ部71bの長尺範囲内で中心搭70に対して送り出し又は引き戻しされる。尚、前述したが、図9に示すように、ワイヤ部71bは、ワイヤ収納部70aにコイル状に収納されているものである。
【0041】
また、モータ軸67は、外周部にOリング67aを有し、軸受孔部62内に挿入されている。モータ軸67のOリング67aが軸受孔部62の内周面と密着することによって、モータ61側と収容凹部4b内の水密が保たれている。
尚、回転台8は、下面から突起し、コネクタ孔部65、66と夫々連通しているチューブ接続部8a、8bを有し、各チューブ接続部8a、8bに流液チューブ83a、83bが夫々接続されている。
【0042】
次に、図10を参照し、内視鏡洗滌消毒装置2の制御回路46の回路構成について説明する。図10は、制御回路の回路構成を説明するためのブロック図である。
図10に示すように、CPU基板である制御回路46は、出力側の超音波(US)制御回路49と及び駆動系である各種ポンプ、電磁弁及びブラシ駆動回路9と、入力側の各種センサ類及び各種操作パネル51、55とが接続されている。
【0043】
制御回路46は、電源装置47(図3参照)と接続されており、洗滌槽4の各種操作パネル51、55からの各種信号を受け、出力側の駆動系である各種ポンプ、各種電磁弁などへ駆動電力を供給する。更に、制御回路46には、入力側のセンサ系である各種センサ類(圧力センサ、水位センサ、位置検知センサなど)からの各種検知信号が供給され、それら各種検知信号の情報に基づいて、適宜、駆動系を制御している。尚、各種センサ類(圧力センサ、水位センサ、位置検知センサ)は、図示していないが、洗滌槽4に設けられているものである。また、制御回路46は、各種操作パネル51、55で設定された各種洗滌消毒工程プログラムに則って、US制御回路49へ制御信号を供給し、この制御信号に基づいて超音波(US)振動子6が駆動信号を供給され、駆動する。
【0044】
以上、上述した、中心搭70の第1、第2ローラ73、74、回転台8のモータ61及びブラシ駆動回路9によって構成される駆動手段によって、洗滌ブラシ71が中心搭70の内外へ進退駆動される。
【0045】
ここで、図11を参照して、本実施の形態において採用する内視鏡100の構成について説明する。図11は内視鏡の構成を説明するための図である
図11に示すように、内視鏡100は、内視鏡本体101とユニバーサルコード103とによって構成されている。この内視鏡本体101とユニバーサルコード103は、分割自在に構成されている。ユニバーサルコード103はディスポーザブルタイプであり、内視鏡検査終了毎に廃棄処分される。従って、洗滌、消毒を要する部分は内視鏡本体101のみとなる。
【0046】
この内視鏡本体101は、手元側の操作部104と、この操作部104から延出する挿入部105とを備えている。また、挿入部105の手元側にはスコープコネクタ部105aが設けられており、このスコープコネクタ部105aに、ユニバーサルコード103の基端に設けられているコード側コネクタ部103aが接合される。尚、図示しないが、両コネクタ部105a,103aは、電磁石にて接合される。すなわち、接合に際しては、スコープコネクタ部105aにコード側コネクタ部103aを所定に位置決めした状態において、スコープコネクタ部105aに設けた磁石102とコード側コネクタ部103aに設けた磁石ユニット102aの吸着によって、両コネクタ部105a,103aが接合固着される。尚、両コネクタ部105a,103aとの接続は、電磁石以外の機械的な接合方法でも良い。
【0047】
内視鏡本体101の挿入部105には、内視鏡管路を代表する吸引管路106、送気送水管路107等が、スコープコネクタ部105aから先端側へ配設されて、先端面(内視鏡先端面)に開口されている。また、ユニバーサルコード103には、内視鏡本体101の吸引管路106、送気送水管路107等と、両コネクタ部105a,103aが接合された状態で図示しない管路口金によって連通される各種管路106a、107aが配設される。尚、コード側コネクタ部103aには、吸引管路106aに分岐接続する鉗子口108が開口されており、この鉗子口109が鉗子栓109Aで閉塞自在にされている。
【0048】
ユニバーサルコード103に設けたスコープコネクタ部105aは、図示しない内視鏡制御ユニットに接続される。内視鏡制御ユニットには、吸引管路106に負圧を供給するためのバルブ、吸引管路106(107b)に送水するためのバルブ、送気送水管路107(106b)に送気或いは送水するための切換バルブ等が設けられている。
【0049】
一方、内視鏡本体101の先端面には、CCD等の撮像素子110、LED等の照明素子111が配設されている。この両素子110,111が、操作部104に設けた図示しない内視鏡側制御回路に接続されている。この内視鏡側制御回路は電源回路を内蔵しており、照明素子111に発光用電源を供給する。更に、内視鏡側制御回路は、撮像素子110によって撮像した画像信号を受信する受信部、及び操作信号入力部等を有している。
【0050】
操作部104の外周には、内視鏡先端部を湾曲操作するトラックボール113、送気・送水を代表とする各種操作を行うスコープスイッチ114a,114b,114c等の各操作スイッチ類が配設されており、この各操作スイッチ類からの操作信号が、内視鏡側制御回路に設けた操作信号入力部に入力される。
【0051】
内視鏡制御ユニットでは、内視鏡側制御回路112から送信された信号に基づき、外部機器であるモニタ(図示せず)に内視鏡像を表示すると共に、各操作信号に対応して、各管路106(106b)、107(107b)に連通するバルブを動作させて、送気・送水等の制御動作を行う。
【0052】
このように、各管路106(106b)、107(107b)に対する送気・送水等の制御動作は、内視鏡制御ユニットに設けたバルブによって行われるため、内視鏡本体101に配設されている各管路106、107には、バルブなどを動作させる機構が内蔵されておらず、各管路106、107は略ストレートに配設されている。
【0053】
また、内視鏡本体101の挿入部105の先端外周には、接触センサ105Aが配設されている。この接触センサ105Aは、例えば体腔壁との挿入部105の先端側の当接圧などを検知するものである。更に、挿入部105の先端部分には、操作部104のトラックボール113の操作に合わせて挿入部105の先端部を湾曲動作させるEPAM(エレクトロアクティブポリマ)からなる図示しないアングル用部材が配設されている。
また、内視鏡本体101の電源制御手段である内視鏡側制御回路には、図示していないが、メモリ素子を有しており、このメモリ素子には内視鏡本体101の各種情報、各種認識情報などが記録されている。
【0054】
尚、前述の中心搭70の内視鏡用コネクタ部78(図6)は、基本的に、上述したユニバーサルコード103に設けられているコード側コネクタ部103aと同様の構成を有している。詳しくは、内視鏡本体101の内視鏡用コネクタ部78は、吸引管路接続部76及び送気送水管路接続部77が内視鏡本体101のスコープコネクタ部105aに設けられている、吸引管路106及び送気送水管路107の基端に対応した位置に配設されている。スコープコネクタ部105aは、磁石ユニット102と内視鏡用コネクタ部78に設けられる磁石ユニット75の磁力によって、内視鏡用コネクタ部78の所定の接続位置に吸着して接合固定される。このとき、中心搭70の吸引管路接続部76が内視鏡本体101の吸引管路106に、送気送水管路接続部77が送気送水管路107に対応して接続される。
【0055】
次に、このように構成された本実施形態の内視鏡洗滌消毒装置2を使用して洗滌及び消毒するに際に、内視鏡本体101を洗滌槽4の収容凹部4bに設置する動作について、図12のフローチャート図のステップ(S)の手順に基づいて説明する。
内視鏡検査の終了後、ユーザは、内視鏡100の内視鏡本体101からユニバーサルコード103を取り外し、ユニバーサルコード103を廃棄処分する。そして、内視鏡本体101は患者が寝かされていたベッドサイドにて簡易な予備洗滌がされる(S1)。次に、ユーザは、流し台にて内視鏡を本洗滌する(S2)。こうして、本洗滌された内視鏡本体101は、内視鏡洗滌消毒装置2によって、洗滌消毒処理の準備が整う。
【0056】
先ず、内視鏡洗滌消毒装置2の洗滌カバー5が開けられ、洗滌槽4の収容凹部4bの回転台8に中心搭70が設置される(S3)。このとき、ユーザは、洗滌消毒される内視鏡本体101の各種内視鏡管路106、107に適した洗滌ブラシ71が収納されている中心搭70を使用する。尚、中心搭70は、図7に示したように、回転台8の各コネクタ孔部65、66及び軸受孔部62に、送気送水管路側コネクタ管85、吸引管路側コネクタ管86及びローラ軸73aが夫々所定に係入され、回転台8に対して決められた方向に位置するように設置される。
【0057】
次に、ステップS4では、内視鏡本体101が洗滌槽4の収容凹部4bに設置される。このとき、図13、図14に示すように、ユーザは、操作部104のスコープコネクタ部105aの側面を中心搭70の内視鏡用コネクタ部78に対設される。このとき、ユーザは、内視鏡用コネクタ部78を手前側になるように、中心搭70を回転させ、中心搭70の内視鏡用コネクタ部78にスコープコネクタ部105aの側面を対設することができる。尚、洗滌消毒槽4の収容凹部4bの底面には、図示しない保持網が敷設されている。スコープコネクタ部105aは、基本的にユニバーサルコード103のコード側コネクタ部103aと同一の構成を有しており、夫々、互いに接合可能な構造となっている。すなわち、内視鏡用コネクタ部78に設けられる磁石ユニット75とスコープコネクタ部105aの磁石ユニット102が吸着することによって、内視鏡用コネクタ部78とスコープコネクタ部105aが固着される。このとき、中心搭70の吸引管路接続部76が内視鏡本体101の吸引管路106に、送気送水管路接続部77が送気送水管路107に夫々対応して接続される。
【0058】
従って、本実施の形態において、ユーザは、内視鏡本体101を洗滌槽4にセットする際、内視鏡本体101の吸引管路106及び送気送水管路107と中心搭70の吸引管路接続部76と送気送水管路接続部77とをチューブなどを用いて接続する必要がない。よって、チューブなどの接続に要する時間を大幅に短縮できると共に、チューブの接続ミス及び接続不良が発生せず、確実に内視鏡本体101の各管路106、107と内視鏡洗滌消毒装置2側(中心搭70)の各管路用接続部76,77とを容易に接続することができる。さらに、ユーザは、内視鏡本体101を洗滌槽4に設置する際、中心搭70が洗滌槽4の収容凹部4bの略中央に位置し、且つ、内視鏡用コネクタ部78を手前側に回動することができるため、内視鏡用コネクタ部78とスコープコネクタ部105aの装着接続が容易となる。
【0059】
次に、ユーザは、中心搭70を回転させて、図15に示すように、内視鏡101の挿入部105の先端部分を収容凹部4bの底面下に設けられている4つの振動子6のうち、挿入部105先端部分の近傍の振動子6上に配置する(S5)。このとき、ユーザは、収容凹部4bの底面上のUS振動子6の位置が図示しない位置表示によって、容易に認識することができる。従って、挿入部105先端をUS振動子6の位置ずれを中心搭70の回動にて容易に調節可能となる。
【0060】
そして、ユーザは、洗滌カバー5を閉じて、電源スイッチ56を投入し、内視鏡本体101を洗滌消毒する各種工程プログラムを各種操作パネル55、56により設定して、スタートスイッチを押す(S6)。このとき、洗滌消毒する内視鏡本体101の挿入部105の長さ情報を入力する。すると、装置本体3に内蔵されている制御回路46に電源が投入され、内視鏡洗滌消毒装置2は、内視鏡本体101の洗滌消毒を開始する。尚、内視鏡洗滌消毒装置2及び内視鏡本体101に、内視鏡本体101のメモリ素子が記録している各種情報信号、各種認識情報信号などを無線にて相互に送受信するアンテナを夫々に設けても良く、内視鏡洗滌消毒装置2の制御回路46が内視鏡本体101からの各種情報信号、各種認識情報信号に基づいて、挿入部105の長さ情報を認識しても良い。
【0061】
次に、図16のフローチャート図を使って、内視鏡洗滌消毒装置2の各種工程について説明する。
図16に示す、ステップS11では、スタートスイッチの入力待ち状態となり、スタートスイッチがONされたとき(S12)、ステップS13へ進む。
【0062】
ステップS13では、給水弁14Aを開き水道栓から給水を開始する。給水を開始するに際しては、先ず、三方切替弁29を動作させ、給水・循環ノズル24を水フィルタ14側に接続させる。すると、水フィルタ14にて濾過された水道水が、給水・循環ノズル24から洗滌槽4の収容凹部4bに供給される。このとき、収容凹部4bの水位を、図示しない水位センサ等で検出し、給水の終了時期を監視する。そして、収容凹部4bに貯留される水位が設定水位に達したとき、三方切替弁29を再び動作させ、給水・循環ノズル24と水フィルタ14側との接続を遮断して、給水を終了する(S14)。
【0063】
次に、ステップS15では、CHポンプ32が駆動して、収容凹部4b内の水道水が循環口21から吸引される。この水道水は、CHポンプ32から逆止弁33、CHブロック31及び7aを介して回転台8のコネクタ孔部65、66へと流れ、中心搭70の吸引管路側供給路72及び送気送水管路側供給路79へと送り込まれる。そして、水道水は、吸引管路側供給路72を通って、ワイヤ収納部70aを介して、吸引管路接続部76から内視鏡本体101の吸引管路106へ、送気送水管路側供給路79を介して、吸引管路接続部76から内視鏡本体101の送気送水管路107へと供給される。
【0064】
また、内視鏡本体101の各管路106、107へ水道水が供給されると共に、制御回路46からブラシ駆動回路9へ制御信号が入力される。ブラシ駆動回路9は、モータ61を所定に駆動させる。そして、モータ61のモータ軸67の所定の回動、つまり、図6の紙面に向かって反時計回り方向の回動が中心搭70のローラ軸73aに伝達され、第1ローラ73が反時計回り方向に回動される。この第1ローラ73の回動に合わせて、第1、第2ローラ73、74の外周面に圧接される洗滌ブラシ71のワイヤ部71bがワイヤ収納部70aから順に内視鏡本体101の吸引管路106内へ送り出される。すなわち、吸引管路接続部76内のブラシ部71aは、図17に示すように、吸引管路106内へ送り出される。
【0065】
このとき、制御回路46は、内視鏡本体101の挿入部105の長さ情報に基づいて、ブラシ駆動回路9の制御を行う。すなわち、制御回路46は、洗滌ブラシ71の先端のブラシ部71aが吸引管路106の先端開口部へ到達するために必要なワイヤ部71bを送り出すための第1ローラ73の回動量を演算して、ブラシ駆動回路9へ制御信号を供給する。そして、ブラシ駆動回路9は、制御回路46からの制御信号に基づいて、第1ローラ73を所定の回動量に駆動制御する。
【0066】
また、洗滌ブラシ71のブラシ部71aが吸引管路106の先端開口部へ到達されると、制御回路46は、第1ローラ73を図6の紙面に向かった時計回り方向に回動させる制御信号をブラシ駆動回路9へ供給する。こうして、第1ローラ73がブラシ駆動回路9によって、時計回り方向に回動され、ワイヤ部71bがワイヤ収納部70aに送り込まれることによって、ブラシ部71aが吸引管路106の基端側に引き戻される。また、第1ローラ73が時計回り方向に回動されている状態においても、制御回路46は、内視鏡本体101の挿入部105の長さ情報に基づいて、ブラシ駆動回路9の制御を行う。
【0067】
上述のワイヤ部71bの吸引管路106内を送り出し及び引き戻される動作のための制御回路46及びブラシ駆動回路9による第1、第2ローラ73、74の回動制御は、一定の間、繰り返し行われる。こうして、所定の時間において、洗滌ブラシ71が内視鏡本体101の吸引管路106内を進退移動されることによって、ブラシ部71aは、吸引管路106内をブラッシング洗滌する。
【0068】
従って、本実施の形態において、特に、内視鏡検査時に、患者の汚物、粘膜などが付着し易い吸引管路106内は、ブラッシング洗滌されることによって、確実に内部の汚物、粘膜などの付着物を洗い流すことができる。
【0069】
次に、ステップS16では、制御回路46がUS制御回路49に制御信号を供給し、この制御信号に基づいてUS制御回路49から駆動信号が供給されるUS振動子6が作動する。US振動子6は、収容凹部4b内の水道水に超音波振動を与え、内視鏡本体101が超音波洗滌される。このとき、特に、挿入部105の先端部分は、US振動子6が設けられる収容凹部4bの底面位置に配置されているため、US振動子6からの超音波振動を効率的に受けることによって、確実に超音波洗滌がされる。すなわち、各管路106、107の開口部が配設され、撮像素子110、照明素子111、接触センサ105Aなどの部材が設けられた複雑な形状をしている挿入部105の先端部分は、US振動子6が設けられる収容凹部4bの底面位置に配置されることによって、水道水へ伝達された超音波振動が効率的に与えられ、超音波洗滌の洗滌性が向上する。尚、上述のステップS15及びステップS16は、同時に行うようにしても良い。
【0070】
次に、ステップS17では、洗剤ポンプ27の駆動により洗剤タンク11に貯留されている液体洗剤を洗剤ノズル22から適量吐出させ、洗滌消毒槽4に貯留されている水道水に混入させて洗滌水が生成される。そして、ステップS18での洗滌工程が開始する。内視鏡本体101を収容凹部4bの外周壁面、及び内周壁面に設けた図示しない高圧ノズルから、収容凹部4bに貯留されている洗滌水が高圧噴出されて収容凹部4b内に水流が生成される。また、この水流は、ステップS16での超音波振動子6の駆動により振動される。その結果、内視鏡本体101の外表面が洗滌水の水流と振動とにより洗滌される。
【0071】
又、三方切替弁29とCHブロック31とを動作させて、循環口21と給水・循環ノズル24、及び回転台8とが連通させる。その結果、給水・循環ノズル24から流液ポンプ30の駆動により、洗滌水が吐出されて循環される。同時に、回転台8及び中心搭70の内視鏡用コネクタ部78を経て、内視鏡本体101の各管路106、107にCHポンプ32の吐出圧により洗滌水が供給され、各管路106、107内が洗滌される。
【0072】
本形態で採用する内視鏡本体101の各管路106、107には、バルブやこれを動作させる機構が内蔵されていないため、ほぼストレート状に配管されているため、流路抵抗が少なく、洗滌水をスムーズに流すことができ、各管路106、107内が満遍なく洗滌される。尚、ステップS15での吸引管路106内のブラッシング洗滌は、この洗滌工程中(S18)でも引き続き行われている。
【0073】
そして、ステップS19へ進み、洗滌工程が終了したか否かを設定時間に達したか否かで判断し、設定時間に達するまで洗滌工程を継続して行う。そして、設定時間に達したとき、洗滌終了と判定し、ステップS20へ進み、洗滌水を排水する。洗滌水の排水は、洗滌消毒槽4の底部に開口されている排水口42に設けた切替弁43が動作されて、排水口42と外部排水口82とを連通させ、排水ポンプ44を駆動させて、強制的に排水させる。
【0074】
そして、排水が所定に終了した場合、切替弁43が動作されて排水口42が閉塞され、更に三方切替弁29が動作されて循環口21と給水・循環ノズル24とを遮断した後、ステップS21へ進み、消毒工程が開始される。
【0075】
消毒工程が開始されると、先ず、薬液ポンプ28の駆動により、消毒液タンク12に貯留されている消毒液が消毒液ノズル23に送給され、この消毒液ノズル23から洗滌槽4に消毒液が供給される。この状態では、循環口21と回転台8とが連通されているため、CHポンプ32の駆動により、洗滌槽4に貯留されている消毒液が、中心搭70を介して内視鏡本体101の各管路106、107に供給される。そして、洗滌消毒槽4に供給された消毒液の水位が設定水位に達した後、消毒液を設定時間だけ循環させる。
【0076】
その後、設定時間に達したとき、CHポンプ32の駆動が停止され、設定時間だけ内視鏡本体101が消毒液に浸漬される。この場合も、本形態による内視鏡本体101の各管路106、107は、略ストレート状に配管されているため、消毒液が満遍なく管路内部行き渡る。
【0077】
次いで、ステップS22においては、内視鏡本体101の浸漬時間を計測し、浸漬時間が設定時間に達したとき、消毒終了と判定し、ステップS23へ進む。ステップS23では消毒液の回収が行われる。消毒液は、ある回数繰り返し使用されるため、切替弁43が動作されて、排水口42が消毒液タンク12に連通され、洗滌消毒槽4に貯留されている消毒液が消毒液タンク12内に回収される。
【0078】
消毒液が消毒液タンク12に所定に回収された後、ステップS14へ進み、すすぎ工程が開始される。すすぎ工程が開始されると、先ず、三方切替弁29が駆動され、給水・循環ノズル24が水フィルタ14側に連通され、給水・循環ノズル24から水フィルタ14によって濾過された水道水が洗滌槽4に供給される。そして、水道水が所定の水位に達した後、三方切替弁29が閉じられ、洗滌工程と同様、洗滌消毒槽4に貯留されている水道水を循環させる。そして、設定時間が経過した後、排水する。
【0079】
ステップS25では、すすぎの回数Nが計数され、すすぎの回数Nが設定回数に達したとき、すすぎ工程が終了と判定される。そして、最後のすすぎ工程において使用した水道水が所定に排水された後、ステップS26へ進み、送気工程が開始される。送気工程が開始されると、CHブロック31が駆動されて、コンプレッサ34と回転台8とを連通し、中心搭70の内視鏡用コネクタ部78を介して内視鏡本体101の各管路106、107に圧縮空気を送気して、各管路106、107内を除水、乾燥させる。
【0080】
ステップS27では、コンプレッサ34による送気時間を計時し、設定時間に達したとき送気工程が終了と判断され、コンプレッサ34が停止された後、ステップS28へ進む。
【0081】
ステップS28では、アルコールフラッシュ工程が開始される。アルコールフラッシュ工程では、先ず、アルコール弁36を駆動させて、アルコールタンク13と回転台8とを連通させ、アルコールポンプ13Aの駆動により、アルコールタンク13に貯留されているアルコールを少量だけ、中心搭70の内視鏡用コネクタ部78を介して内視鏡本体101の各管路106、107へ送液する。次いで、CHブロック31が再び駆動され、回転台8がコンプレッサ34に連通され、コンプレッサ34の駆動により、圧縮空気が中心搭70の内視鏡用コネクタ部78を介して内視鏡本体101の各管路106、107に送気される。
【0082】
そして、圧縮空気と共にアルコールが内視鏡本体101の各管路106、107へ供給され、アルコールにより、各管路106、107に残留する僅かな水分の蒸発が促され、各管路106、107内は早期に乾燥される。
【0083】
ステップS29では、圧縮空気の送気時間を計時し、設定時間に達したとき、アルコールフラッシュ工程の終了と判定され、全ての工程が終了する。
【0084】
そして、ユーザは、洗滌カバー5を開けて、スコープコネクタ部105aと内視鏡用コネクタ部78を離脱させ、内視鏡本体101を洗滌槽4から取り出す。また、中心搭70は、ディスポーザブルであるため、内視鏡本体101の洗滌消毒後に回転台8から取り外され、廃棄処分される。
【0085】
尚、スコープコネクタ部105aと内視鏡用コネクタ部78との接続において、図18に示すように、操作部104のスコープコネクタ部105aに配設される吸引管路106及び送気送水管路107の夫々の開口部に設けられる管路口金106b、107bを有する使用済みの内視鏡本体101Aを洗滌消毒する場合、吸引管路接続部76及び送気送水管路接続部77へ管路口金106b、107bに挿入し、スコープコネクタ部105aと内視鏡用コネクタ部78を機械的な接合となるようにしても良い。
【0086】
このように、本形態では、使用済みの内視鏡本体101を洗滌消毒するに際し、内視鏡本体101に形成されているスコープコネクタ部105aを洗滌槽4の収容凹部4bに設置される中心搭70にワンタッチで装着することで、接続を完了させることができるので、煩雑な接続作業が不要となり、作業効率を向上させることができる。又、作業効率が向上したので、洗滌消毒に要する時間が短縮され、その分、内視鏡100の稼働効率を向上させることができる。
【0087】
また、回転台8が洗滌槽4の収容凹部4bの底面に対して回動自在であるため、回転台8に設置される中心搭70もユーザの所望に合わせて回動自在である。そのため、ユーザは、中心搭70の内視鏡用コネクタ部78を手前側に回動でき、内視鏡用コネクタ部78とスコープコネクタ部105aの接続が容易となるため、内視鏡本体101を洗滌槽4の収容凹部4bへの設置が容易となる。
【0088】
さらに、ユーザは、内視鏡100の機種による多様な挿入部105の長さに対応して、中心搭70を所望に回動させることによって、挿入部105の先端部分をUS振動子6が配設されている収容凹部4bの底面上に確実に配置することができる。従って、内視鏡100の機種毎による挿入部105の長さに問われず、先端部分を効率的に超音波振動による洗滌を行うことができる。尚、本実施の形態においては、US振動子6を4つ設けているが、挿入部105の先端部分の設置位置をUS振動子6上の所定位置に中心搭70を所望に回動させることによって設定できるため、US振動子6の数を減らすこともできため、製造時におけるコスト低減に供することができる。
【0089】
また、中心搭70から洗滌ブラシ71が、最も汚物などが付着し易い吸引管路106内に進退移動してブラッシング洗滌を行うため、確実な吸引管路106の洗滌を行うことができる。そして、内視鏡101の洗滌消毒後は、中心搭70を洗滌槽4の回転台8から取り外すだけで、洗滌ブラシ71の交換が容易に行うことができる。
【0090】
以上の結果、内視鏡洗滌消毒装置2は、洗滌槽4内への内視鏡本体101の設置及び内視鏡本体101に設けられている各管路106、107への接続口に対する接続を容易にすると共に、内視鏡の機種によらず、挿入部105の先端部分が収容凹部4bのUS振動子6上に確実に配置でき、容易に交換可能な洗滌ブラシ71を吸引管路106内へ自動供給し、ブラッシング洗滌することができる。
【0091】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】内視鏡洗滌消毒装置を示す斜視図である。
【図2】内視鏡洗滌消毒装置の主に洗滌槽を示す斜視図である。
【図3】内視鏡洗滌消毒装置内の構成を説明するための図である。
【図4】洗滌槽を下方から見た背面斜視図である。
【図5】回転台に設置された中心搭を上方から見た図である。
【図6】中心搭の断面図である。
【図7】中心搭が回転台へ設置される状態を説明する図である。
【図8】図5のA−A線に沿って中心搭を切断した縦断面図である。
【図9】図5のB−B線に沿って中心搭を切断した縦断面図である。
【図10】制御回路の回路構成を説明するためのブロック図である。
【図11】内視鏡の構成を説明するための図である
【図12】内視鏡本体を洗滌槽の収容凹部へ設置する手順を説明するためのフローチャート図である。
【図13】内視鏡本体が中心搭へ設置される状態を説明するための図である。
【図14】内視鏡本体が中心搭へ設置される状態を説明するための図である。
【図15】内視鏡本体が収容凹部へ設置された状態の洗滌槽の上面図である。
【図16】内視鏡本体が洗滌消毒される手順を説明するためのフローチャート図である。
【図17】吸引管路内のブラッシング洗滌を説明するための図である。
【図18】内視鏡本体と中心搭の接続を説明するための図である。
【符号の説明】
【0093】
2・・・内視鏡洗滌消毒装置
4b・・・収容凹部
4・・・洗滌消毒槽
8・・・回転台
9・・・ブラシ駆動回路
61・・・モータ
70・・・中心搭
71・・・洗滌ブラシ
73、74・・・ローラ
78・・・内視鏡用コネクタ部
80a・・・給水ホース
代理人 弁理士 伊 藤 進
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部から延出する挿入部を有する内視鏡本体の外表面及び該内視鏡本体内に設けられている複数の内視鏡管路を洗滌消毒する内視鏡洗滌消毒装置であって、
前記操作部が装着される前記洗滌消毒槽の略中央部に着脱可能な中心搭を配設し、
該中心搭に前記内視鏡本体の少なくとも1つの前記内視鏡管路と接続する内視鏡接続部を設け、
前記内視鏡接続部に前記内視鏡管路に流体を供給可能な流体供給手段を連通したことを特徴とする内視鏡洗滌消毒装置。
【請求項2】
前記中心搭は、回動手段を介して回動自在にされていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡洗滌消毒装置。
【請求項3】
前記洗滌消毒槽の底面に、振動発生手段を少なくとも1つ配設し、
前記中心搭に装着した前記内視鏡本体の前記挿入部の先端部分と前記振動発生手段の位置ずれを前記中心搭の回動にて調整することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡洗滌消毒装置。
【請求項4】
前記中心搭は、ワイヤ状の洗滌ブラシを収納する収納部と該洗滌ブラシを前記内視鏡接続部側へ送り出し或いは該収納部側へ引き戻す駆動手段とを有し、
前記内視鏡本体の前記内視鏡管路内に前記洗滌ブラシを進退させて、前記内視鏡管路内を洗滌することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の内視鏡洗滌消毒装置。
【請求項1】
操作部から延出する挿入部を有する内視鏡本体の外表面及び該内視鏡本体内に設けられている複数の内視鏡管路を洗滌消毒する内視鏡洗滌消毒装置であって、
前記操作部が装着される前記洗滌消毒槽の略中央部に着脱可能な中心搭を配設し、
該中心搭に前記内視鏡本体の少なくとも1つの前記内視鏡管路と接続する内視鏡接続部を設け、
前記内視鏡接続部に前記内視鏡管路に流体を供給可能な流体供給手段を連通したことを特徴とする内視鏡洗滌消毒装置。
【請求項2】
前記中心搭は、回動手段を介して回動自在にされていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡洗滌消毒装置。
【請求項3】
前記洗滌消毒槽の底面に、振動発生手段を少なくとも1つ配設し、
前記中心搭に装着した前記内視鏡本体の前記挿入部の先端部分と前記振動発生手段の位置ずれを前記中心搭の回動にて調整することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡洗滌消毒装置。
【請求項4】
前記中心搭は、ワイヤ状の洗滌ブラシを収納する収納部と該洗滌ブラシを前記内視鏡接続部側へ送り出し或いは該収納部側へ引き戻す駆動手段とを有し、
前記内視鏡本体の前記内視鏡管路内に前記洗滌ブラシを進退させて、前記内視鏡管路内を洗滌することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の内視鏡洗滌消毒装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−26233(P2006−26233A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212090(P2004−212090)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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