説明

内視鏡装置

【課題】装置の信頼性の低下を防ぐ内視鏡装置を提供する。
【解決手段】内視鏡111と接続される光源装置119は、光源119aから出射される光を伝送する第1光ファイバ11と、第1光ファイバ11によって伝送された光のビーム径を拡大してコリメートする第1GIファイバ24を含むソケットSO1を有し、内視鏡111は、第1GIファイバ16を伝送された光を収束させる第2GIファイバ34と、第2GIファイバ34により収束された光を内視鏡111の先端側に伝送する第2光ファイバ12を含むコネクタ129Aを有し、ソケットSO1にコネクタ129Aを接続した状態で、第1GIファイバ24と第2GIファイバ34との間には空間Gが形成され、空間G近傍の温度を検出する温度検出素子40,41と、温度検出素子40,41により検出される情報に基づいて、空間Gに異物があることを通知する通知制御を少なくとも行う制御部121bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡と前記内視鏡と接続される光源装置とを有する内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを接続する手法の1つとして、光ファイバの先端同士を密着させるフィジカルコンタクト接続(以下、PC接続と言う)が用いられている。PC接続される光ファイバは、円筒状のフェルールに挿入されて固定され、その先端がフェルールの端面とともに凸球面状に研磨されている。光ファイバが取り付けられたフェルールは、円筒状のスリーブの両端から挿入され、スリーブ内で端面同士が当接される。これにより、フェルールの端面から露呈されている光ファイバ同士が直接に密着する。
【0003】
生体内の診察等に用いられる内視鏡には、照明用のライトガイドとして、複数本の光ファイバを束ねた光ファイババンドルが用いられている。ライトガイドは、内視鏡の挿入部内に挿通され、その先端が該挿入部の先端部に設けられた照明窓に接続されている。ライトガイドの後端は、PC接続を利用したコネクタによって光源装置に接続されている。
【0004】
内視鏡のコネクタは、着脱頻度が高いため、光ファイバの先端に異物が付着しやすい。また、着脱時の衝撃によって光ファイバの先端に傷が発生することもある。光ファイバの先端に異物が付着したり傷が発生したりすると接続損失が大きくなる。また、光ファイバの先端の光パワー密度が高い場合、その先端に付着している異物や傷の部分が焼けて光ファイバやフェルールの先端が焼損し、あるいはファイバヒューズ現象によって光ファイバが延焼することもある。
【0005】
異物の付着等による光ファイバの焼損を防止するため、光ファイバの接続部分の光パワー密度を低くした光ファイバ伝送路が発明されている。例えば、特許文献1、2記載の発明では、シングルモードファイバの先端にコリメータレンズとして機能するグレーデッドインデックスファイバ(GIファイバ)を融着接続し、モードフィールド径を広げている。
【0006】
ところで、内視鏡の照明にレーザ照明装置を用いることが検討されている。このレーザ照明装置は、短波長・高出力のレーザ光をライトガイドによって蛍光体までガイドし、レーザ光により蛍光体を励起させて照明光を得る。レーザ照明装置に用いられるライトガイドには、光ファイババンドルではなく、例えば100μm以上の大きなコア径を有する1本のマルチモードファイバが用いられる。そのため、内視鏡にレーザ照明装置を適用することにより、光ファイババンドルを用いる場合に比べて挿入部の細径化が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−077549号公報
【特許文献2】特開2002−350666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、マルチモードファイバの場合には、特許文献1,2のようにGIファイバを用いても、光ファイバの接続部分の光パワー密度を十分に低くすることは容易ではない。内視鏡装置においては、内視鏡のコネクタの着脱頻度が高いことから、内視鏡側の光ファイバの先端に接続されるGIファイバと、光源装置側の光ファイバの先端に接続されるGIファイバとの間にギャップを設けることが好ましいと考えられる。しかし、このようなギャップを設けた場合、光ファイバの接続部分の光パワー密度が高いと次のような現象が生じる。
【0009】
即ち、ギャップ間に有機物等の異物が混入すると、その異物がレーザ光を吸収し、蒸発、飛散することにより、その異物がGIファイバ出力端面に広がる。この出力端面に広がった飛散物はレーザ光によって出力端面に焼け付き、その焼け付いた部分にレーザ光が更に照射されることによって、その部分の温度が上昇する。この温度上昇により、GIファイバの周囲に使用している接着剤等の有機物が変質し、内視鏡のコネクタが損傷する。
【0010】
また、内視鏡装置の場合、光ファイバが取り付けられたフェルールは、金属製の円筒状のスリーブに出し入れされる。このため、このフェルールの出し入れの際に、スリーブの金属部分が削れて無機物の異物となり、この異物が上記ギャップ内に堆積する。このような無機物の異物は容易に帯電するため、その異物がGIファイバ出力端面に付着する。無機物の異物がGIファイバ出力端面に付着すると、その付着部分でレーザ光の吸収、散乱が起こるため、光の損失が大きくなる。
【0011】
このように、内視鏡装置において、光ファイバとしてマルチモードファイバを用い、その光ファイバの接続にGIファイバを用いたコリメータ接続構造においては、GIファイバ同士の間にギャップを設けると、そのギャップ近傍における発熱量の増加、散乱光の増加による装置の信頼性低下が懸念される。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光ファイバ接続部付近における発熱量増加及び散乱光増加の少なくとも一方による装置の信頼性の低下を未然に防ぐことのできる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の内視鏡装置は、内視鏡と前記内視鏡と接続される光源装置とを有する内視鏡装置であって、前記光源装置は、光源から出射される光を伝送する第1光ファイバと、前記第1光ファイバによって伝送された光のビーム径を拡大してコリメートする第1コリメータレンズとを含むソケットを有し、前記内視鏡は、前記第1コリメータレンズを伝送された光を収束させる第2コリメータレンズと、前記第2コリメータレンズにより収束された光を前記内視鏡の先端側に伝送する第2光ファイバとを含むコネクタを有し、前記ソケットに前記コネクタを接続した状態で、前記第1コリメータレンズと前記第2コリメータレンズとの間には空間が形成され、前記空間近傍の温度を検出する温度検出素子及び前記空間内にて発生する散乱光を検出する光検出素子の少なくとも一方と、前記温度検出素子及び前記光検出素子の少なくとも一方により検出される情報に基づいて、前記空間に異物があることを装置の使用者に通知する通知制御を少なくとも行う制御部とを備えるものである。
【0014】
この構成によれば、温度検出素子と光検出素子の少なくとも一方によって、空間G近傍の温度と空間G内の散乱光の少なくとも一方を検出することができる。そして、これらの素子によって検出される情報に基づいて、空間内に異物があることを装置の使用者に通知する制御を行うため、使用者は、この通知制御によって、装置の故障等を未然に防ぐ対応をとることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光ファイバ接続部付近における発熱量増加及び散乱光増加の少なくとも一方による装置の信頼性の低下を未然に防ぐことのできる内視鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を説明するための内視鏡装置の外観図
【図2】図1に示した内視鏡装置におけるLGコネクタ129AとソケットSO1の接続状態での断面構造を示す図
【図3】図1に示した制御装置内部の概略構成を示すブロック図
【図4】1つの温度検出素子によって有機物の異物位置を判定する方法を説明する図
【図5】図1に示した内視鏡装置の図2に示した断面構造の変形例を示す図
【図6】変形例の内視鏡装置の動作を説明するためのフローチャート
【図7】図5に示す構造における光検出素子の構成の変形例を示す図
【図8】図5に示す構造における光検出素子の構成の別の変形例を示す図
【図9】図5に示す構造における光検出素子の構成の更に別の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の一実施形態を説明するための内視鏡装置100の外観図である。
【0018】
内視鏡装置100は、図1に示すように、内視鏡スコープ(以下、内視鏡と称する)111と、制御装置113と、液晶表示装置等の表示部115と、制御装置113に情報を入力するキーボードやマウス等の入力部117とを備える。
【0019】
制御装置113は、光源装置119と、撮像画像の信号処理を行うプロセッサ121とを備える。
【0020】
内視鏡111は、本体操作部123と、この本体操作部123に連設され被検体(体腔)内に挿入される挿入部125とを備える。
【0021】
本体操作部123には、ユニバーサルケーブル127が接続される。このユニバーサルケーブル127の先端は、光源装置119に設けられたソケットSO1にライトガイド(LG)コネクタ129Aを介して接続されると共に、プロセッサ121に設けられたソケットSO2にビデオコネクタ129Bを介して接続される。
【0022】
内視鏡111の本体操作部123には、挿入部125の先端側で吸引、送気、送水を実施するためのボタンや、撮像時のシャッターボタン、観察モードを切り替える観察モード切り替えボタン130等の各種操作ボタン131が併設されると共に、一対のアングルノブ133が設けられている。
【0023】
挿入部125は、本体操作部123側から順に軟性部135、湾曲部137、及び先端部(内視鏡先端部)139により構成される。湾曲部137は、本体操作部123のアングルノブ133を回動することによって遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部139を所望の方向に向けることができる。
【0024】
内視鏡先端部139には、撮像光学系の観察窓と照明光学系の光照射窓(いずれも不図示)が配置されている。光照射窓から照射される照明光による被検体からの反射光は、観察窓を通じて撮像素子により撮像されるようになっている。撮像された観察画像は、プロセッサ121に接続された表示部115に表示される。
【0025】
図2は、図1に示した内視鏡装置100におけるLGコネクタ129AとソケットSO1の接続状態での断面構造を示す図である。
【0026】
ソケットSO1には、光源装置119内の光源に接続される第1光ファイバ11と、第1光ファイバ11の先端を保持する第1フェルール15と、第1光ファイバ11によって伝送されたレーザ光のビーム径を拡大してコリメートする第1コリメータレンズとして機能する第1ファイバスタブ16と、第1フェルール15と第1ファイバスタブ16の一部が挿入される第1スリーブ17と、第1ファイバスタブ16の第1スリーブ17の外にある部分が挿入される連結用スリーブ21とが設けられている。
【0027】
LGコネクタ129Aには、ユニバーサルケーブル127に内蔵される第2光ファイバ12と、ソケットSO1内の第1ファイバスタブ16を伝送された光を収束して第2光ファイバ12に伝送する第2コリメータレンズとして機能する第2ファイバスタブ18と、第2ファイバスタブ18に接続され、第2光ファイバ12の先端を保持する第2フェルール19とが設けられている。
【0028】
本実施形態では、第1光ファイバ11から第2光ファイバ12に向けて、例えば405〜635nm、かつ100mW以上の短波長・高出力のレーザ光を伝送する。そのため、第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12には、例えばコア径が100μm以上の石英製マルチモードファイバが用いられている。
【0029】
第1フェルール15と第1ファイバスタブ16は、第1スリーブ17によって着脱自在に接続されている。第2ファイバスタブ18と第2フェルール19は、第2スリーブ20によって着脱自在に接続されている。第1ファイバスタブ16と第2ファイバスタブ18は、連結用スリーブ21によって着脱自在に連結されている。
【0030】
第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との連結は、連結用スリーブ21から第1ファイバスタブ16と第2ファイバスタブ18のいずれか一方、又は両方が抜き取られることにより解除される。
【0031】
第1フェルール15は、その中心に軸方向に沿って貫通したファイバ挿入穴15aが設けられた円筒形状をしている。ファイバ挿入穴15aには、先端の被覆11aが剥がされた第1光ファイバ11が挿入され、接着剤によって固定されている。
【0032】
第1フェルール15の先端15bは、ファイバ挿入穴15aに挿入された第1光ファイバ11の先端とともに、凸球面状又は平面状(図2の例では凸球面状)に研磨されている。
【0033】
第1ファイバスタブ16は、コリメータレンズとして機能する第1GIファイバ24と、第1GIファイバ24を内蔵した円筒形状のエポキシ樹脂製のフェルール25とを備えている。
【0034】
第1ファイバスタブ16は、第1GIファイバ24の両端が露呈されている入射端面16aと出射端面16bとが、それぞれ凸球面状及び平面状に研磨されている。第1GIファイバ24は、入射端面16aが第1フェルール15の先端15bに当接することにより、第1光ファイバ11とPC接続される。
【0035】
なお、入射端面16a及び出射端面16bの形状は、凸−凸、平−凸、凸−平、平−平のいずれの組み合わせであってもよい。
【0036】
第1GIファイバ24は、第1光ファイバ11よりも大きなコア径を有しているので、第1光ファイバ11は、先端が外気に触れることなく第1GIファイバ24にPC接続することができる。
【0037】
これにより、第1光ファイバ11の先端に集塵効果が発生することはない。なお、第1光ファイバ11と第1GIファイバ24とのPC接続を良好な状態に保つため、第1フェルール15と第1ファイバスタブ16とのいずれか一方を他方に押し付ける機構を設けることが好ましい。
【0038】
なお、光ファイバのコア径が100μm以上である場合、PC接続されるコンタクト面の形状は、凸―凸よりも凸―平、平―平の方がコンタクト面のサイズが大きくなるため、汚染防止の観点から望ましい。
【0039】
第1ファイバスタブ16の入射端面16aには、フッ化物膜28が設けられている。つまり、第1光ファイバ11は、フッ化物膜28を介して第1GIファイバ24にPC接続されるので、光ファイバ同士を直接にPC接続させたときにPC接続部分が固着する固着現象の発生を防止することができる。
【0040】
第1ファイバスタブ16の出射端面16bには、反射損失を低下させる反射防止膜31が設けられている。この反射防止膜31の最上層には、フッ化物の層が設けられている。これにより、第1ファイバスタブ16の出射端面16bに付着した異物や、集塵効果よって堆積した汚染物を容易に除去することができる。
【0041】
第1スリーブ17は、一般に割スリーブと呼ばれているものであり、第1フェルール15及び第1ファイバスタブ16の外径よりも僅かに小さな内径のフェルール挿入穴17aが中心に設けられた円筒形状をしている。第1スリーブ17の周面には、第1スリーブ17に対して径方向の弾性を付与する1本のスリット(図示せず)が、軸方向に沿って設けられている。
【0042】
第1フェルール15と第1ファイバスタブ16は、第1スリーブ17のフェルール挿入穴17aに両端から挿入され、第1スリーブ17の弾性力によって着脱自在に保持される。第1スリーブ17内では、第1フェルール15の先端15bと第1ファイバスタブ16の入射端面16aとが当接される。
【0043】
第1スリーブ17の長さは、第1フェルール15と第1ファイバスタブ16との長さを足し合わせた長さよりも短い。そのため、第1フェルール15の後端に第1スリーブ17の端部を揃えると、第1スリーブ17の他端から第1ファイバスタブ16の半分ほどの長さが突出される。なお、第1スリーブ17は、金属製又はジルコニアセラミック製等、様々な材質のものを用いることができる。
【0044】
第2ファイバスタブ18は、第1ファイバスタブ16と略同じものであり、第2GIファイバ34と、第2GIファイバ34を内蔵した円筒形状のエポキシ樹脂製のフェルール35とを備えている。第2ファイバスタブ18は、第2GIファイバ34の両端が露呈されている入射端面18aと出射端面18bとが、それぞれ平面状及び凸球面状に研磨されている。
【0045】
第2ファイバスタブ18の入射端面18aは、空間Gを隔てて第1ファイバスタブ16の出射端面16bに対面される。第2ファイバスタブ18の出射端面18bは、第2フェルール19の先端に当接され、第2光ファイバ12と第2GIファイバ34とがPC接続される。入射端面18a及び出射端面18bには、第1ファイバスタブ16と同様に反射防止膜38及びフッ化物膜39が設けられている。
【0046】
第1ファイバスタブ16と第2ファイバスタブ18は、出射端面16bと入射端面18aとが当接しないので、出射端面16b又は入射端面18aに付着した異物が押しつぶされて広がることはない。また、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続時及び接続解除時に、第1ファイバスタブ16と第2ファイバスタブ18とが不適切に当接して傷が発生することもない。
【0047】
第2フェルール19は、第1フェルール15と同じ部品であり、第1フェルール15と同様に第2光ファイバ12の先端を保持している。第2フェルール19の先端19bは、第2光ファイバ12の先端とともに凸球面状又は平面状(図2の例では凸球面状)に研磨されている。
【0048】
第2スリーブ20は、第1スリーブ17と同じものであり、第2ファイバスタブ18と第2フェルール19とを着脱自在に接続している。第2光ファイバ12と第2GIファイバ34は、第2スリーブ20内でPC接続されている。第2スリーブ20により保持された第2ファイバスタブ18は、第2スリーブ20の一端から半分ほどの長さが突出している。
【0049】
連結用スリーブ21は、第1ファイバスタブ16及び第2ファイバスタブ18の外径とほぼ同じ内径のスタブ挿入穴21aが中心に設けられた円筒形状をしている。連結用スリーブ21は、スタブ挿入穴21aの両端から第1ファイバスタブ16と第2ファイバスタブ18とを嵌合させることにより両者の中心軸を合わせ、着脱自在に連結している。なお、連結用スリーブ21は、金属製又はジルコニアセラミック製等、様々な材質のものを用いることができる。
【0050】
連結用スリーブ21は、第1ファイバスタブ16の第1スリーブ17からの突出量と、第2ファイバスタブ18の第2スリーブ20からの突出量と、第1ファイバスタブ16と第2ファイバスタブ18との間の隙間とを足し合わせた長さを有している。
【0051】
したがって、連結用スリーブ21に第1ファイバスタブ16と第2ファイバスタブ18とが嵌合されると、連結用スリーブ21の両端が第1スリーブ17及び第2スリーブ20に当接し、第1ファイバスタブ16及び第2ファイバスタブ18の連結用スリーブ21への挿入量が規制される。これにより、連結用スリーブ21内には、第1ファイバスタブ16と第2ファイバスタブ18との間に空間Gが形成される。
【0052】
光ファイバの先端に付着する異物の大きさは、最大で50μm程度であることが分かっている。したがって、空間Gの光伝送方向の幅は、付着した異物が挟まれて潰れるのを防止するため、50μm以上であることが必要である。
【0053】
また、出射端面16bと入射端面18aとが確実に接触しないことも必要であるため、図2に示す各構成部品の製造誤差、組立誤差等を考慮して、空間Gの幅は、1.0〜2.0mm程度であることが好ましい。
【0054】
第1ファイバスタブ16の空間G側の端部近傍には、空間Gに侵入した特に有機物の異物による発熱を検出するために、第1ファイバスタブ16の出射端面16b近傍の温度を検出するサーミスタ等からなる温度検出素子40が設けられている。また、第2ファイバスタブ18の空間G側の端部近傍には、空間Gに侵入した特に有機物の異物による発熱を検出するために、第2ファイバスタブ18の入射端面18a近傍の温度を検出するサーミスタ等からなる温度検出素子41が設けられている。
【0055】
具体的には、温度検出素子40は、連結用スリーブ21上の第1ファイバスタブ16の空間G側の端部近傍(出射端面16b近傍)に配置され、温度検出素子41は、連結用スリーブ21上の第2ファイバスタブ18の空間G側の端部近傍(入射端面18a近傍)に配置されている。
【0056】
温度検出素子40、41は、それぞれ、LGコネクタ129A、ユニバーサルケーブル127、及びビデオコネクタ129B内を通る不図示の配線により、後述するプロセッサ121内の制御部に接続され、温度検出素子40、41で検出された温度情報が当該制御部に入力されるようになっている。
【0057】
図3は、図1に示した制御装置113内部の概略構成を示すブロック図である。
【0058】
光源装置119は、第1光ファイバ11に接続される光源119aと、光源119aを制御する光源制御部119bとを備える。
【0059】
光源119aは、例えば405〜635nm、100mW以上の短波長・高出力のレーザ光を第1光ファイバ11に出射する。
【0060】
プロセッサ121は、画像処理部121aと、制御装置113全体を統括制御する制御部121bとを備える。
【0061】
画像処理部121aは、ユニバーサルケーブル127から送られてきた撮像信号を処理して撮像画像データを生成する。
【0062】
制御部121bは、画像処理部121aにより生成された撮像画像データを表示部115に表示させたり、入力部117から入力された情報を処理したりする。
【0063】
また、制御部121bは、温度検出素子40,41からそれぞれ取得した温度情報に基づく温度がそれぞれ閾値Th1を越えるかどうかを判定し、どちらかの温度が閾値Th1を越える場合には、光源制御部119bに対し光源119aからのレーザ光の出射を停止させる指示(光源OFF指示)を行うと共に、表示部115にメッセージを表示させる。制御部121bは、温度検出素子40,41からそれぞれ取得した温度情報に基づく温度がいずれも閾値Th1未満の場合には、光源OFF指示は行わず、メッセージも表示させない。
【0064】
なお、空間G周辺に用いている有機物で最も耐熱温度(ガラス転移温度Tg)が低いのは、第1GIファイバ24を保持するエポキシ樹脂製のフェルール25と、第2GIファイバ34を保持するエポキシ樹脂製のフェルール35であり、その耐熱温度は150℃〜200℃である。
【0065】
このため、上記閾値Th1は、フェルール25,35が破損しない程度の温度であることが望ましく、具体的には100℃以下が望ましい。勿論、この閾値Th1は、第1ファイバスタブ16及び第2ファイバスタブ18に使用する材料によって変化する。
【0066】
また、上記メッセージは、空間G内に異物があることを内視鏡装置100の使用者に通知するものであればよい。例えば、「内視鏡のコネクタに異物があるため、レーザ光出射を停止しました」という警告メッセージの他、「コネクタのクリーニングを実施してください」等の掃除の必要性を通知するメッセージを表示させてもよい。これらのメッセージは、表示部115に文字として表示させる以外に、例えば音声等によって内視鏡装置100の使用者に通知するようにしてもよい。
【0067】
以上のように構成された内視鏡装置100の動作について説明する。
【0068】
LGコネクタ129AをソケットSO1に接続し、ビデオコネクタ129BをソケットSO2に接続した状態で、光源制御部119bが光源119aからレーザ光を出射させる。第1光ファイバ11によって伝送されたレーザ光は、第1光ファイバ11の先端から出射され、第1ファイバスタブ16の第1GIファイバ24に入射する。第1GIファイバ24は、入射されたレーザ光のビーム径を拡大してコリメートし、光を出射端面16bから出射する。
【0069】
第2ファイバスタブ18は、第1ファイバスタブ16から入射されたレーザ光を収束し、第2光ファイバ12に入射させる。第2光ファイバ12によって伝送されたレーザ光は、内視鏡先端部139に到達する。
【0070】
光源119aからレーザ光が出射されると、制御部121bは、温度検出素子40,41から定期的に温度情報を取得する。制御部121bは、取得した2つの温度情報に基づく温度がそれぞれ閾値Th1を越えるか否かを判定し、当該2つの温度のいずれか一方が閾値Th1以上と判定したときには、光源制御部119bを介して光源119aからのレーザ光の出射を停止させる。
【0071】
また、表示部115に、「内視鏡のコネクタに有機物の異物があります。クリーニングを実施してください」といったメッセージを表示させる。一方、2つの温度の両方が閾値Th未満と判定したときには、再び温度情報のモニタを行う。制御部121bは、光源119aからレーザ光が出射されている期間中、このような動作を繰り返し行う。
【0072】
このように、内視鏡装置100によれば、温度検出素子40によって検出される第1ファイバスタブ16の出射端面16b近傍の温度と、温度検出素子41によって検出される第2ファイバスタブ18の入射端面18a近傍の温度のいずれか一方が閾値Th1以上になった場合に、表示部115にメッセージが表示される。
【0073】
このため、内視鏡装置100の使用者がこのメッセージを見ることで、LGコネクタ129A及びソケットSO1の掃除をすればよいことに気づくことができ、LGコネクタ129A及びソケットSO1が損傷する前に対策をとることができる。この結果、LGコネクタ129A及びソケットSO1の寿命を延ばすことができる。
【0074】
また、上記温度が閾値Th1以上になった場合には、光源119aからのレーザ光の出射が停止されるため、第1ファイバスタブ16及び第2ファイバスタブ18近傍のそれ以上の温度上昇を防ぐことができ、LGコネクタ129AとソケットSO1が損傷するのを防ぐことができる。
【0075】
また、内視鏡装置100は、第1ファイバスタブ16の出射端面16bの温度を検出する温度検出素子40と、第2ファイバスタブ18の入射端面18aの温度を検出する温度検出素子41との2つの温度検出素子を備えている。
【0076】
このため、出射端面16bと入射端面18aのどちらに異物が付着しているのかを判定することができる。したがって、メッセージを表示させるときには、出射端面16bと入射端面18aのどちらに異物が付着しているのかも表示させることで、使用者は、どこをクリーニングすればよいかを知ることができ、効率的なクリーニングが可能になる。
【0077】
例えば、温度検出素子40により検出される温度が閾値Th1以上であり、温度検出素子41により検出される温度が閾値Th1未満である場合には、出射端面16bに有機物の異物が付着していることを示すメッセージを表示し、温度検出素子40により検出される温度が閾値Th1未満であり、温度検出素子41により検出される温度が閾値Th1以上である場合には、入射端面18aに有機物の異物が付着していることを示すメッセージを表示し、温度検出素子40と温度検出素子41により検出される温度がいずれも閾値Th1以上である場合には、出射端面16b及び入射端面18aに有機物の異物が付着していることを示すメッセージを表示すればよい。
【0078】
なお、温度が閾値Th1以上になっていない場合でも、過去の温度の履歴に基づいてコネクタ内部の汚染度合を判定し、汚染度合が大きいと判定した場合にはメッセージを表示させるようにしてもよい。
【0079】
例えば、制御部121bが温度検出素子40,41によって検出される温度の履歴を記憶しておき、ある時点で検出された温度検出素子40,41の各々の温度が閾値Th1未満のときには、当該履歴が所定条件を満たすかどうかによって汚染度合を判定する。
【0080】
例えば、過去3回の使用時における検出温度の推移が上昇傾向にある場合、この場合は、致命的な温度上昇はないが、将来的に致命的な温度上昇になりえると判断できる。このため、この場合には、「内視鏡のコネクタに有機物の異物があります。コネクタのクリーニングをすることをお勧めします」等のメッセージを表示させる。
【0081】
このようにすることで、ある程度の汚染が進んだ段階で、コネクタのクリーニング実施を促すことができる。ある程度の汚染が進んだ段階において、大きな異物が空間Gに侵入すると、内視鏡装置100の使用中に、コネクタの温度が一気に致命的な温度になってしまい、クリーニングする前にコネクタが損傷してしまう可能性がある。そこで、ある程度の汚染が進んだ段階で、コネクタのクリーニングを勧めるメッセージを出すことで、コネクタの損傷を未然に防ぐことができる。
【0082】
内視鏡装置100は、温度検出素子40と温度検出素子41のうちのどちらか一方のみを有する構成であってもよい。
【0083】
例えば、図2において温度検出素子41を設けない場合を例にすると、温度検出素子40で検出される温度が閾値Th1以上のときに光源OFF指示とメッセージ表示を行い、温度検出素子40で検出される温度が閾値Th1未満のときには、光源OFF指示とメッセージ表示を行わないことで、上述したような効果を得ることができる。
【0084】
また、このように、温度検出素子40だけを設けた場合でも、次のような方法により、出射端面16bと入射端面18aのどちらに異物が付着しているのかを判定することができる。
【0085】
図4(a)は、光源119aから出射されるレーザ光の波形を示す図であり、時刻t1でレーザ光が出射されたものとする。出射端面16bに異物が付着していた場合は、図4(b)に示すように、レーザ光の立ち上がりから時刻Δt1経過後の時刻t2に、温度検出素子40で高い温度が検出される。
【0086】
一方、入射端面18aに異物が付着していた場合は、図4(c)に示すように、レーザ光の立ち上がりから時刻Δt1よりも遅いΔt2経過後の時刻t3に、温度検出素子40で高い温度が検出される。Δt1とΔt2の差は、空間Gがあることによって生じるものである。
【0087】
このように、異物が付着している面の位置によって、温度検出素子40によって閾値Th1以上の温度が検出されるタイミングが、レーザ光の出射タイミングに対して変化する。このタイミングのずれを予め知っておくことで、制御部121bは、出射端面16bと入射端面18aのどちらに異物が付着しているのかを判定することができる。
【0088】
ここまでの説明では、温度検出素子40,41により検出された温度が閾値Th1以上になった場合、又は、温度検出素子40,41により検出された温度の履歴が所定条件を満たした場合に、制御部121bが光源OFF指示をするものとしたが、光源OFF指示は必須ではない。
【0089】
閾値Th1や履歴に関する所定条件を緩めに設定しておけば、温度検出素子40,41により検出された温度が閾値Th1以上になった場合、又は、温度検出素子40,41により検出された温度の履歴が所定条件を満たした場合でも、コネクタがすぐに損傷することはないためである。
【0090】
なお、温度検出素子40は、出射端面16bに付着した異物による発熱が原因の温度上昇を検出することができる程度の範囲で、出射端面16bに近づけて配置しておけばよい。温度検出素子41は、入射端面18aに付着した異物による発熱が原因の温度上昇を検出することができる程度の範囲で、入射端面18aに近づけて配置しておけばよい。ただし、例えば、温度検出素子40が入射端面18aに近すぎると、温度検出素子40が入射端面18aの温度も検出してしまい、どちらの端面に異物があるのかを判定しづらくなる。そのため、温度検出素子40は、出射端面16b近傍に指向性を有するような配置とし、温度検出素子41は、入射端面18a近傍に指向性を有するような配置としておくことが好ましい。
【0091】
温度検出素子40と温度検出素子41のいずれかのみを設ける場合は、温度検出素子を、出射端面16b近傍と入射端面18a近傍のいずれにも指向性を有するように配置しておくことが好ましい。
【0092】
次に、図1に示した内視鏡装置100の変形例について説明する。この変形例の内視鏡装置は、外観及び制御装置113の内部ブロック図が図1及び図3に示したものと同じであり、LGコネクタ129A内部の構成が異なる。
【0093】
図5は、図1に示した内視鏡装置100の変形例における、LGコネクタ129A及びソケットSO1内の接続状態での断面構造を示す図である。図5において図2と同じ構成には同一符号を付してある。
【0094】
図5に示す構造は、空間Gの下方(重力のかかる方向)にある連結用スリーブ21に開口Kを設け、その開口Kの下方に、光検出素子としてのフォトダイオード(PD)32を配置した点を除いては、図2に示す構造と同一である。
【0095】
第1ファイバスタブ16の出射端面16b及び第2ファイバスタブ18の出射端面18aの少なくとも一方に無機物の異物が付着し、この異物にレーザ光が当たると、レーザ光は無機物によって吸収されたり、散乱したりする。
【0096】
PD32は、この散乱光を、開口Kを介して検出するために設けられている。図5では、PD32が開口K下方で浮いているように図示しているが、実際には、何らかの機構により連結用スリーブ21等に固定される。
【0097】
PD32は、LGコネクタ129A、ユニバーサルケーブル127、及びビデオコネクタ129B内を通る不図示の配線により、プロセッサ121内の制御部121bに接続され、PD32で検出された光量情報が当該制御部121bに入力されるようになっている。
【0098】
以下、この変形例の内視鏡装置の動作について説明する。
【0099】
図6は、変形例の内視鏡装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0100】
LGコネクタ129AをソケットSO1に接続し、ビデオコネクタ129BをソケットSO2に接続した状態で、光源制御部119bが光源119aからレーザ光を出射させる。
【0101】
レーザ光の出射が開始されると、制御部121bは、温度検出素子40,41から温度情報を取得し、取得した2つの温度情報に基づく温度の少なくとも一方が閾値Th1を越えるか否かを判定する(ステップS1)。
【0102】
ステップS1の判定がYESの場合、制御部121bは、PD32から光量情報を取得し、その光量情報に基づく光量レベル(信号レベル)が閾値Th2以上であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0103】
この閾値Th2は、これ以上の光量レベルになると、光の散乱が多すぎて光の損失が多くなり、照明能力として許容できなくなる値である。例えば、レーザ光出力が100mWであった場合、閾値Th2は100μW程度である。
【0104】
ステップS2の判定がYESの場合、この場合は、異物として有機物と無機物が存在していると判断できる。このため、制御部121bは、光源制御部119bを介して光源119aからのレーザ光の出射を停止させ(ステップS3)、表示部115に、「内視鏡のコネクタに有機物と無機物の異物があります。クリーニングを実施してください」といったメッセージを表示させる(ステップ4)。ステップS4の後は、ステップS1に処理を戻す。
【0105】
なお、ステップS4では、クリーニング方法として、有機物と無機物が混在するときに適したクリーニング手順(例えば、エアブローによって無機物を飛ばしてから、有機溶剤によって端面を拭くといった手順)をメッセージとして通知してもよい。このようにすることで、使用者にクリーニング方法を分かりやすく知らせることができる。ステップS3の処理は省略してもよい。
【0106】
有機物と無機物の異物が混在する場合は、有機溶剤によって端面を拭いて有機物の除去を無機物の除去よりも先に行うと、端面を拭いた際に無機物が端面に擦り付けられて、端面に傷がつく恐れがある。このため、有機物と無機物の異物が混在する場合のクリーニング手順としては、エアブローによって無機物を飛ばしてから、有機溶剤によって端面を拭くといった手順を通知することが好ましい。
【0107】
ステップS1の判定がNOの場合、制御部121bは、PD32から光量情報を取得し、その光量情報に基づく光量レベルが閾値Th2以上であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0108】
ステップS7の判定がYESの場合、この場合は、異物として無機物だけが存在していると判断できる。このため、制御部121bは、光源制御部119bを介して光源119aからのレーザ光の出射を停止させ(ステップS8)、表示部115に、「内視鏡のコネクタ部に無機物の異物があります。クリーニングを実施してください」といったメッセージを表示させる(ステップ9)。ステップS9の後は、ステップS1に処理を戻す。
【0109】
なお、ステップS9では、クリーニング方法として、無機物の除去に適したエアブローによるクリーニング手順をメッセージとして通知してもよい。このようにすることで、使用者にクリーニング方法を分かりやすく知らせることができる。また、ステップS8は省略してもよい。
【0110】
ステップS2の判定がNOの場合、この場合は、異物として有機物だけが存在していると判断できる。このため、制御部121bは、光源制御部119bを介して光源119aからのレーザ光の出射を停止させ(ステップS5)、表示部115に、「内視鏡のコネクタに有機物の異物があります。クリーニングを実施してください」といったメッセージを表示させる(ステップ6)。ステップS6の後は、ステップS1に処理を戻す。
【0111】
なお、ステップS6では、クリーニング方法として、有機物の除去に適した有機溶剤によるクリーニング手順をメッセージとして通知してもよい。このようにすることで、使用者にクリーニング方法を分かりやすく知らせることができる。また、ステップS5は省略してもよい。
【0112】
検出温度と検出光量のいずれも閾値を越えなかった場合(ステップS7:NO)には、ステップS1に処理を戻す。
【0113】
以上のように、LGコネクタ129A内に、空間G内で発生する散乱光を検出するためのPD32を設けることで、空間G内に堆積する無機物の異物による光損失についても検知することができ、これを使用者に知らせることができる。このため、照明光量が不足して内視鏡撮像画像が暗くなってしまうのを防ぐことができ、診断精度の低下を防ぐことができる。
【0114】
なお、この変形例の内視鏡装置において温度検出素子40,41は省略してもよい。この場合の内視鏡装置の動作は、図6に示すフローチャートにおいて、ステップS1〜S6を削除し、光源ONの次にステップS7以降の処理を行うものになる。PD32を設けただけでも、無機物の異物を検出して、メッセージを通知することができるため、診断精度の低下を防げるという効果を得られる。
【0115】
また、この変形例の内視鏡装置では、光量が閾値Th2以上になっていない場合でも、過去の光量の履歴が所定条件を満たすかどうかによってコネクタ内部の汚染度合を判定し、汚染度合が大きいと判定した場合にはメッセージを表示させるようにしてもよい。
【0116】
この場合、制御部121bがPD32で検出される光量の履歴を記憶しておき、ある時点で検出された光量が閾値Th2未満のときには、当該履歴を参照して汚染度合を判定する。例えば、過去3回の使用時における検出光量の推移が上昇傾向にある場合、この場合は、致命的な光損失はないが、将来的に致命的な光損失になりえると判断できるため、「コネクタに無機物の異物があります。コネクタのクリーニングをすることをお勧めします」等のメッセージを表示させる。
【0117】
このようにすることで、ある程度の汚染が進んだ段階で、コネクタのクリーニングを促すことができる。ある程度の汚染が進んだ段階において、大きな異物が空間Gに侵入すると、内視鏡装置100の使用中に、光損失が急激に大きくなってしまい、内視鏡検査を途中で中止せざるを得ない状況になる可能性がある。
【0118】
そこで、ある程度の汚染が進んだ段階で、コネクタのクリーニングを勧めるメッセージを出すことで、例えば内視鏡検査開始前にコネクタのクリーニング実施を促すことができ、検査途中での光量不足を未然に防ぐことができる。
【0119】
図7は、図5に示す構造における光検出素子の構成の変形例を示す図であり、図5の空間G付近の拡大図に対応する図である。
【0120】
図7に示す例では、受光面が出射端面16b側に傾いて台座33に固定配置されたフォトダイオード32aと、受光面が入射端面18a側に傾いて台座33に固定配置されたフォトダイオード32bとの、受光面の向きの異なる2つの光検出素子を開口K下方に設けている。
【0121】
図7に示す構成によれば、受光面の向きの異なる2つの光検出素子を設けているため、図5に示す構成と比べると、空間G内で発生する散乱光の検出範囲を広げることができ、無機物の異物の検出精度を高めることができる。
【0122】
また、2つの光検出素子のうち、1つは第1ファイバスタブ16の出射端面16bからの散乱光を主に受光し、もう1つは第2ファイバスタブ18の入射端面18aからの散乱光を主に受光する。
【0123】
このため、PD32aで検出された光量レベルが閾値Th2以上であれば、出射端面16bに無機物の異物があると判断することができ、PD32bで検出された光量レベルが閾値Th2以上であれば、入射端面18aに無機物の異物があると判断することができる。
【0124】
したがって、表示部115にメッセージを表示させる際に、第1ファイバスタブ16と第2ファイバスタブ18のどちらをクリーニングすればよいかを通知することができ、使用者の負担を軽減することができる。
【0125】
つまり、図7に示す構成によれば、図6に示したフローチャートにおいて、ステップS4とステップS9において、無機物の異物が出射端面16bと入射端面18aのどちらにあるのかも通知することができ、クリーニングの際の使用者の負担を軽減することができる。
【0126】
図8は、図5に示す構造における光検出素子の構成の別の変形例を示す図であり、図5の空間G付近の拡大図に対応する図である。
【0127】
図8に示す変形例は、図7に示したPD32aとPD32bを傾けずに台座33に配置し、PD32a上方には、連結用スリーブ21の外周から出射端面16b側に向かう斜めの開口K1を形成し、PD32b上方には、連結用スリーブ21の外周から入射端面18a側に向かう斜めの開口K2を形成した構成である。
【0128】
このような構成でも、PD32aは出射端面16bからの散乱光を主に検出し、PD32bは入射端面18aからの散乱光を主に検出することができるため、無機物の異物の位置を判定することが可能である。
【0129】
なお、図5に示すように、光検出素子は1つとし、この光検出素子の受光面を回転させられる機構を採用することで、空間G内で発生する散乱光の検出範囲を広げるようにしてもよい。
【0130】
図5,7,8では、連結用スリーブ21の下方に光検出素子を配置しているが、連結用スリーブ21の上方(重力のかかる方向の反対方向)に光検出素子を配置してもよい。
【0131】
この場合、光検出素子の受光面が下方に向くことになり、受光面に異物が付着しづらくなるため、光検出素子による誤検出を防ぐことができる。
【0132】
光検出素子を連結用スリーブ21の上方に配置した場合には、例えば図9に示すように、連結用スリーブ21に設ける開口Kが、光検出素子32a,32bが固定される台座33によって塞がれるように(空間Gが連結用スリーブ21外側に露出しないように)、台座33を開口Kよりも面積が大きなものとして連結用スリーブ21の外側に配置することが好ましい。このようにすることで、開口K内に重力によって異物が侵入するのを防ぐことができる。
【0133】
光検出素子を連結用スリーブ21の下方に配置した場合には、重力によって、空間G内の異物が開口Kから空間G外に出て行くのを期待することができる。しかし、この場合は、開口Kから外に出た異物が光検出素子の受光面上に堆積する可能性もある。そのため、光検出素子を連結用スリーブ21の下方に配置する場合には、光検出素子を振動させて異物を除去するような異物除去部(例えば圧電素子)を、光検出素子の近傍に配置しておくことが好ましい。
【0134】
内視鏡装置に熱検出素子と光検出素子の両方を設ける場合には、光検出素子自体の温度が熱検出素子で検出されるのを防ぐために、熱検出素子と光検出素子を遠ざけて配置しておくことが好ましい。最も好ましいのは、図5,7,8に示すように、熱検出素子と光検出素子を、連結用スリーブ21を挟んで対向する位置に配置する構成である。
【0135】
このように説明してきた内視鏡装置は、サーミスタ等の熱検出素子と、フォトダイオード等の光検出素子との少なくとも一方を設けるだけでよいため、従来の内視鏡装置の構造を大幅に変えることなく、製造コストの増大を防ぐことができる。
【0136】
以上説明してきたように、本明細書には次の事項が開示されている。
【0137】
開示された内視鏡装置は、内視鏡と前記内視鏡と接続される光源装置とを有する内視鏡装置であって、前記光源装置は、光源から出射される光を伝送する第1光ファイバと、前記第1光ファイバによって伝送された光のビーム径を拡大してコリメートする第1コリメータレンズとを含むソケットを有し、前記内視鏡は、前記第1コリメータレンズを伝送された光を収束させる第2コリメータレンズと、前記第2コリメータレンズにより収束された光を前記内視鏡の先端側に伝送する第2光ファイバとを含むコネクタを有し、前記ソケットに前記コネクタを接続した状態で、前記第1コリメータレンズと前記第2コリメータレンズとの間には空間が形成され、前記空間近傍の温度を検出する温度検出素子及び前記空間内にて発生する散乱光を検出する光検出素子の少なくとも一方と、前記温度検出素子及び前記光検出素子の少なくとも一方により検出される情報に基づいて、前記空間に異物があることを装置の使用者に通知する通知制御を少なくとも行う制御部とを備えるものである。
【0138】
開示された内視鏡装置は、前記温度検出素子を少なくとも備え、前記制御部は、前記温度検出素子により検出された温度が第1閾値以上、又は、前記温度検出素子により検出された温度の履歴が第1条件を満たす場合に、前記通知制御として、前記空間内に有機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行うものである。
【0139】
開示された内視鏡装置は、前記温度検出素子は、前記第1グレーデッドインデックスファイバの出射端面近傍に配置される第1温度検出素子と、前記第2グレーデッドインデックスファイバの入射端面近傍に配置される第2温度検出素子とを含み、前記制御部は、前記第1温度検出素子により検出された温度が前記第1閾値以上、又は、前記第1温度検出素子により検出された温度の履歴が前記第1条件を満たす場合に、前記通知制御として前記第1グレーデッドインデックスファイバの出射端面に有機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行い、前記第2温度検出素子により検出された温度が前記第1閾値以上、又は、前記第2温度検出素子により検出された温度の履歴が前記第1条件を満たす場合に、前記通知制御として前記第2グレーデッドインデックスファイバの入射端面に有機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行うものである。
【0140】
開示された内視鏡装置は、前記温度検出素子は、前記第1グレーデッドインデックスファイバの出射端面近傍又は前記第2グレーデッドインデックスファイバの入射端面近傍に1つ配置され、前記制御部は、前記光源の光の出射タイミングと、前記温度検出素子により前記第1閾値以上の温度が検出されたタイミングとの比較により、前記第1グレーデッドインデックスファイバの出射端面と前記第2グレーデッドインデックスファイバの入射端面のうち、前記有機物の異物が付着している面を判定し、前記通知制御として前記異物が付着していると判定した面を装置の使用者に通知する制御を少なくとも行うものである。
【0141】
開示された内視鏡装置は、前記光検出素子を少なくとも備え、前記制御部は、前記光検出素子により検出された光量が第2閾値以上、又は、前記光検出素子により検出された光量の履歴が第2条件を満たす場合に、前記通知制御として前記空間内に無機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行うものである。
【0142】
開示された内視鏡装置は、前記光検出素子は、前記第1コリメータレンズの出射端面からの散乱光を検出する第1光検出素子と、前記第2コリメータレンズの入射端面からの散乱光を検出する第2光検出素子とを含み、前記制御部は、前記第1光検出素子により検出された光量が前記第2閾値以上、又は、前記第1光検出素子により検出された光量の履歴が前記第2条件を満たす場合に、前記通知制御として前記第1コリメータレンズの出射端面に無機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行い、前記第2光検出素子により検出された光量が前記第2閾値以上、又は、前記第2光検出素子により検出された光量の履歴が前記第2条件を満たす場合に、前記通知制御として前記第2コリメータレンズの入射端面に無機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行うものである。
【0143】
開示された内視鏡装置は、前記光検出素子と、前記第1コリメータレンズと前記第2コリメータレンズを連結する連結用スリーブとを備え、前記連結用スリーブは、前記ソケットに前記コネクタを接続した状態で前記連結用スリーブ内に形成される前記空間を露出させる開口を有し、前記光検出素子は、前記開口から漏れる光を検出するものである。
【0144】
開示された内視鏡装置は、前記第1コリメータレンズと前記第2コリメータレンズを連結する連結用スリーブとを備え、前記連結用スリーブは、前記ソケットに前記コネクタを接続した状態で前記連結用スリーブ内に形成される前記空間を露出させる開口を有し、前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子は、前記開口から漏れる光を検出するものである。
【0145】
開示された内視鏡装置は、前記第1光検出素子は、その受光面が前記第1コリメータレンズの出射端面側に傾けて配置され、前記第2光検出素子は、その受光面が前記第2コリメータレンズの入射端面側に傾けて配置されるものである。
【0146】
開示された内視鏡装置は、前記開口は、前記連結用スリーブの外周から前記第1コリメータレンズの出射端面に向かう斜めの第1開口と、前記連結用スリーブの外周から前記第2コリメータレンズの入射端面に向かう斜めの第2開口とを含み、前記第1光検出素子は、前記第1開口から漏れる光を検出し、前記第2光検出素子は、前記第2開口から漏れる光を検出するものである。
【0147】
開示された内視鏡装置は、前記開口は、前記空間に対して重力のかかる方向の反対側に形成されるものである。
【0148】
開示された内視鏡装置は、前記光検出素子は前記開口を塞ぐように前記連結用スリーブの外側に配置された台座に固定されるものである。
【0149】
開示された内視鏡装置は、前記開口は、前記空間に対して重力のかかる方向に形成され、前記光検出素子に付着した異物を除去する異物除去部を備えるものである。
【0150】
開示された内視鏡装置は、前記制御部が、前記通知制御を行う際に、前記光源からの光の出射を停止させる制御も行うものである。
【符号の説明】
【0151】
100 内視鏡装置
111 内視鏡
119 光源装置
121b 制御部
11 第1光ファイバ
12 第2光ファイバ
24 第1GIファイバ
34 第2GIファイバ
40,41 温度検出素子
G 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡と前記内視鏡と接続される光源装置とを有する内視鏡装置であって、
前記光源装置は、光源から出射される光を伝送する第1光ファイバと、前記第1光ファイバによって伝送された光のビーム径を拡大してコリメートする第1コリメータレンズとを含むソケットを有し、
前記内視鏡は、前記第1コリメータレンズを伝送された光を収束させる第2コリメータレンズと、前記第2コリメータレンズにより収束された光を前記内視鏡の先端側に伝送する第2光ファイバとを含むコネクタを有し、
前記ソケットに前記コネクタを接続した状態で、前記第1コリメータレンズと前記第2コリメータレンズとの間には空間が形成され、前記空間近傍の温度を検出する温度検出素子及び前記空間内にて発生する散乱光を検出する光検出素子の少なくとも一方と、
前記温度検出素子及び前記光検出素子の少なくとも一方により検出される情報に基づいて、前記空間に異物があることを装置の使用者に通知する通知制御を少なくとも行う制御部とを備える内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡装置であって、
前記温度検出素子を少なくとも備え、
前記制御部は、前記温度検出素子により検出された温度が第1閾値以上、又は、前記温度検出素子により検出された温度の履歴が第1条件を満たす場合に、前記通知制御として、前記空間内に有機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行う内視鏡装置。
【請求項3】
請求項2記載の内視鏡装置であって、
前記温度検出素子は、前記第1コリメータレンズの出射端面近傍に配置される第1温度検出素子と、前記第2コリメータレンズの入射端面近傍に配置される第2温度検出素子とを含み、
前記制御部は、前記第1温度検出素子により検出された温度が前記第1閾値以上、又は、前記第1温度検出素子により検出された温度の履歴が前記第1条件を満たす場合に、前記通知制御として前記第1コリメータレンズの出射端面に有機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行い、前記第2温度検出素子により検出された温度が前記第1閾値以上、又は、前記第2温度検出素子により検出された温度の履歴が前記第1条件を満たす場合に、前記通知制御として前記第2コリメータレンズの入射端面に有機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行う内視鏡装置。
【請求項4】
請求項2記載の内視鏡装置であって、
前記温度検出素子は、前記第1コリメータレンズの出射端面近傍又は前記第2コリメータレンズの入射端面近傍に1つ配置され、
前記制御部は、前記光源の光の出射タイミングと、前記温度検出素子により前記第1閾値以上の温度が検出されたタイミングとの比較により、前記第1コリメータレンズの出射端面と前記第2コリメータレンズの入射端面のうち、前記有機物の異物が付着している面を判定し、前記通知制御として前記異物が付着していると判定した面を装置の使用者に通知する制御を少なくとも行う内視鏡装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記光検出素子を少なくとも備え、
前記制御部は、前記光検出素子により検出された光量が第2閾値以上、又は、前記光検出素子により検出された光量の履歴が第2条件を満たす場合に、前記通知制御として前記空間内に無機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行う内視鏡装置。
【請求項6】
請求項5記載の内視鏡装置であって、
前記光検出素子は、前記第1コリメータレンズの出射端面からの散乱光を検出する第1光検出素子と、前記第2コリメータレンズの入射端面からの散乱光を検出する第2光検出素子とを含み、
前記制御部は、前記第1光検出素子により検出された光量が前記第2閾値以上、又は、前記第1光検出素子により検出された光量の履歴が前記第2条件を満たす場合に、前記通知制御として前記第1コリメータレンズの出射端面に無機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行い、前記第2光検出素子により検出された光量が前記第2閾値以上、又は、前記第2光検出素子により検出された光量の履歴が前記第2条件を満たす場合に、前記通知制御として前記第2コリメータレンズの入射端面に無機物の異物があることを装置の使用者に通知する制御を少なくとも行う内視鏡装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記光検出素子と、
前記第1コリメータレンズと前記第2コリメータレンズを連結する連結用スリーブとを備え、
前記連結用スリーブは、前記ソケットに前記コネクタを接続した状態で前記連結用スリーブ内に形成される前記空間を露出させる開口を有し、
前記光検出素子は、前記開口から漏れる光を検出する内視鏡装置。
【請求項8】
請求項6記載の内視鏡装置であって、
前記第1コリメータレンズと前記第2コリメータレンズを連結する連結用スリーブを備え、
前記連結用スリーブは、前記ソケットに前記コネクタを接続した状態で前記連結用スリーブ内に形成される前記空間を露出させる開口を有し、
前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子は、前記開口から漏れる光を検出する内視鏡装置。
【請求項9】
請求項8記載の内視鏡装置であって、
前記第1光検出素子は、その受光面が前記第1コリメータレンズの出射端面側に傾けて配置され、
前記第2光検出素子は、その受光面が前記第2コリメータレンズの入射端面側に傾けて配置される内視鏡装置。
【請求項10】
請求項8記載の内視鏡装置であって、
前記開口は、前記連結用スリーブの外周から前記第1コリメータレンズの出射端面に向かう斜めの第1開口と、前記連結用スリーブの外周から前記第2コリメータレンズの入射端面に向かう斜めの第2開口とを含み、
前記第1光検出素子は、前記第1開口から漏れる光を検出し、
前記第2光検出素子は、前記第2開口から漏れる光を検出する内視鏡装置。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記開口は、前記空間に対して重力のかかる方向の反対側に形成される内視鏡装置。
【請求項12】
請求項11記載の内視鏡装置であって、
前記光検出素子は前記開口を塞ぐように前記連結用スリーブの外側に配置された台座に固定される内視鏡装置。
【請求項13】
請求項7〜10のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記開口は、前記空間に対して重力のかかる方向に形成され、
前記光検出素子に付着した異物を除去する異物除去部を備える内視鏡装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記制御部は、前記通知制御を行う際に、前記光源からの光の出射を停止させる制御も行う内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−143414(P2012−143414A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4409(P2011−4409)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】