説明

内視鏡

【課題】体腔内に挿入して診察を行なう内視鏡において、診察中に内視鏡の挿入長、すなわち、内視鏡の位置を知見できる内視鏡を提供する。
【解決手段】内視鏡の挿入部に、長手方向に配列した光センサと、各光センサの先端部からの距離を保持するデータ保持部と、光センサによる測光結果とデータ保持部の距離の情報とから挿入長を検出する処理手段とを有することにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入して各種の診察を行なう内視鏡に関し、詳しくは、患者体内への内視鏡の挿入長を、医師が把握できる内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、内視鏡は、基本的に、人体に挿入される挿入部、挿入部の操作や送気/送水などの内視鏡の操作を行なう操作部、送気源や吸引ポンプ等と接続されるLGコネクタ(Light Guideコネクタ)、および、LGコネクタと操作部および挿入部を接続するユニバーサルコード(LG軟性部)等から構成される。
【0003】
近年の内視鏡は、グラスファイバを利用して診察部位を直接的に観察する、いわゆるファイバースコープ型ではなく、CCDセンサ等のイメージセンサによって診察部位を撮像して、ディスプレイに撮像した画像を表示し、また、動画や静止画の撮影を行なう、いわゆる電子スコープ型の内視鏡が主流である。
また、内視鏡で撮影した画像(画像データ)も、写真などのハードコピーとして保管/管理するのみならず、コンピュータやサーバ、CDやDVDなどの記憶媒体に記憶して管理し、再診察の際などに、前回の診察で撮影した画像を読み出し、比較診察に利用することが行なわれている。
【0004】
ところで、内視鏡による診察を行なう際には、内視鏡(その挿入部の先端部)が、患者(被検者)の体内のどの位置に存在しているのかを、診察を行なう医師が容易かつ的確に把握できるのが好ましい。
診察中に、内視鏡の位置を医師が把握できれば、今、自分が観察している部位が何処であるかを容易に把握することができ、その結果、体内における病変部の位置、同組織の採取位置、同撮影位置などを適正に把握して、好適な診察を行なうことができる。
【0005】
また、内視鏡で再診察を行なう際には、前回の診察で撮影した病変部や、組織の採取や止血などの処置を施した位置などを観察目的として、経過観察を行なう場合が多い。従って、再診察の際には、前回の診察で観察や処置等を行なった位置を目的位置として、容易かつ迅速に、内視鏡を目的位置に挿入できるのが好ましい。
そのためには、診察時における内視鏡の位置を検出して、撮影や各種の処理を行なった際における内視鏡の位置と、撮影した画像や施した処置の情報等と対応付けして、情報を保存しておくのが好ましい。
【0006】
このような目的を達成するために、体内における内視鏡の位置を検出する、各種の提案が行なわれている。
例えば、特許文献1や特許文献2には、内視鏡の挿入部に磁気発生部を設けると共に、診察台などに磁気センサを設けることにより、磁気センサによる磁気発生部の検出結果から、体内における内視鏡のの形状や位置を検出すること装置が開示されている。
また、特許文献3には、逆に、診察台などに磁気発生手段を設け、内視鏡の挿入部に磁場の影響によって誘導電流を発生する位置検出センサを設け、この位置検出センサが発生した誘導電流の強度等を利用して、体内における内視鏡の位置を検出する内視鏡システムが開示されている。
【0007】
さらに、特許文献4には、内視鏡の挿入を補助するために患者の口に装着するマウスピースにビデオカメラを装着し、かつ、内視鏡の挿入部に、目視可能な挿入部の長さ目盛りを記録しておき、診察の際に、このビデオカメラで挿入部を撮影して、挿入部の画像を、内視鏡による画像と共にディスプレイに表示し、また、ビデオレコーダ等の記録装置で記録することにより、診察中に内視鏡の挿入長を、体内における内視鏡の位置情報として確認可能な装置が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−107875号公報
【特許文献2】特開2000−81303号公報
【特許文献3】特開2006−223850号公報
【特許文献4】特開平8−280604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの方法によれば、診察時における体内での内視鏡の位置を検出することができ、また、撮影した画像等と対応付けして記憶/保存することができる。
【0010】
しかしながら、特許文献1〜3に開示される方法では、診察台などに患者の体全体に対応する磁気発生手段や磁気センサが必要となり、また、内視鏡にも、磁気の発生手段や検出手段を設ける必要があるため、装置が大がかりになってしまう。
他方、特許文献4に開示される方法では、マウスピースにビデオカメラを取り付け、このビデオカメラで、体内に挿入している内視鏡(挿入部)を撮影するので、患者が動きにくく、また、患者の動きを制限してしまい、診察の制限となってしまう可能性が有る。
【0011】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、簡易かつ小型のシステムで、医師が、診察中に患者の体内に挿入した内視鏡(挿入部)の長さを知ることができ、これにより、患者の体内における内視鏡(挿入部の先端部)の位置を知ることができる内視鏡システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の内視鏡は、体内に挿入される挿入部、内視鏡の操作を行なう操作部、外部の設備に接続されるコネクタ、および、前記操作部とコネクタとを接続するユニバーサルコード、を有する内視鏡本体と、前記挿入部に長手方向に配列された光センサと、前記光センサの挿入部先端からの距離データを保持するデータ保持部と、前記光センサによる測定結果および前記データ保持部が保持する距離データを用いて、前記内視鏡の体内への挿入長を検出する処理手段とを有することを特徴とする内視鏡を提供する。
【0013】
このような本発明の内視鏡において、前記データ保持部および処理手段が、前記内視鏡本体に配置されるのが好ましく、もしくは、前記データ保持部および処理手段が、前記内視鏡本体の外部に配置されるのが好ましい。
また、前記処理手段が検出した内視鏡の挿入長を、視覚的に出力するのが好ましく、また、前記処理手段が検出した内視鏡の挿入長を、音声で出力するのが好ましく、さらに、前記処理手段が検出した内視鏡の挿入長を、所定部位の振動で出力するのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の内視鏡は、内視鏡の挿入部に長手方向に配列して光センサを設け、かつ、各光センサの内視鏡先端部からの距離を示す距離データを保持するデータ保持部を有する。
【0015】
上記構成を有する本発明の内視鏡は、診察室内では照明があるために挿入部が光に照らされているが、体内に入れば、照明の光は内視鏡に届かなくなる。すなわち、内視鏡の挿入部に配列された光センサは、挿入部の自身が取り付けられた部分(領域)が体外に位置する状態では、ある程度の光を受光でき、挿入部の自身が取り付けられた部分が体内に位置する状態(体内に挿入された状態)になると、受光できる光量が大幅に低減する(あるいは、光を受光できなくなる)。
従って、挿入部の長手方向に配列した先端からの距離が既知の光センサを用いて、高光量の光を受光してる光センサと、受光量が低い光センサ(あるいは受光していない光センサ)とを検出し、受光量が低い光センサの内視鏡先端からの距離によって、内視鏡の挿入長を知ることができ、体内における内視鏡の位置(先端部の位置)を知ることができる。
【0016】
そのため、本発明によれば、診察中に、医師が、体内における内視鏡(挿入部の先端)の位置を確認しながら、病変部の観察、組織の採取などの処置を行なうことができる。また、撮影した画像や施した処置の情報と、内視鏡の挿入長の情報とを対応付けしてサーバやデータベースに保存することが可能となり、再診察の際に、前回の検査で撮影や処置を行なった目的位置に内視鏡を挿入することを、容易かつ迅速に行なうことを補助できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の内視鏡について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0018】
図1に、本発明の内視鏡の一例を利用する内視鏡システムの一例をブロック図によって概念的に示す。
図1に示す内視鏡システム10は、本発明の内視鏡12による診察(検査)を行なうためのシステムであって、一例として、内視鏡12と、制御手段14と、内視鏡サーバ18と、ディスプレイ16とを有して構成される。
【0019】
内視鏡12は、CCDセンサを用いて診察部位の画像を撮像(撮影)し、動画や静止画の撮影や、組織の採取、止血などの処置などを行なう、いわゆる電子スコープ型の内視鏡である。
図2に、内視鏡12の概念図を示す。この内視鏡12は、本発明の内視鏡の一例であって、操作部24と、(LG(Light Guide))コネクタ26と、ユニバーサルコード(LG軟性部)28と、挿入部30とを有する。内視鏡12は、挿入部30に光センサ58が配列され、また、操作部24に、光センサ58の位置情報を記憶するデータ保持部64、および、光センサ58による光検出結果を用いて挿入長を検知する処理手段62、挿入長の表示部42等を有する以外には、基本的に、公知の内視鏡と同様の構成を有する。
【0020】
操作部24は、内視鏡12の操作を行なう部位であり、挿入部30の先端部54から空気や水を供給するための送気送水ボタン32、先端部54から吸気を行なう吸引ボタン34、挿入部30の先端部近傍(アングル部(湾曲部))を左右方向に湾曲させるLRツマミ36、同先端部近傍を上下方向に湾曲させるUDツマミ38、鉗子を挿入するための鉗子口40や、動画や静止画の撮影ボタン、ズームボタン等を有する。
操作部24内には、データ保持部64および処理手段62が配置される。さらに、操作部24は、内視鏡12の挿入長を表示するための表示部42を有する。
【0021】
なお、挿入長とは、体内に挿入した内視鏡12(挿入部30)の長さである。
また、表示部42は、液晶ディスプレイ等の公知の表示手段(ディスプレイ)が全て利用可能である。
【0022】
コネクタ26は、病院等の内視鏡システム10が構成される施設の設備に接続される部位であり、送気装置に接続される送気コネクタ44、送水装置に接続される送水コネクタ46、光源装置に接続されるLG棒48や、吸引装置に接続される吸引コネクタ、漏水検知を行なうための加圧端子等を有する。
また、コネクタ26には、ビデオコネクタ50が接続される。図示例の内視鏡システム10においては、一例として、このビデオコネクタ50が制御手段14に接続され、撮像した画像(動画)の画像データ、静止画や動画の撮影指示の情報、後述する光センサ58の測光による挿入長の情報等が制御手段14に供給される。
【0023】
ユニバーサルコード28は、操作部24とコネクタ26とを接続するケーブルで、通常の内視鏡と同様に、送水チャンネルや送気チャンネル等の各種のチャンネル(内視鏡内管路)、光源装置からの光を伝播するライトガイド、先端部54のCCDセンサが撮影したデータや撮影などの各種の指示を送るためのデータケーブル等が収容される。
【0024】
挿入部30は、患者(被検者)の体内に挿入される部位である。
挿入部30の先端部54には、通常の内視鏡と同様に、送気/送水を行なうための送気送水孔、鉗子を体内にいれるための鉗子孔、画像を撮像するためのCCDセンサ等が配置される。また、挿入部30には、通常の内視鏡と同様に、鉗子チャンネルや送気送水チャンネル等の各種のチャンネル、ライトガイド、CCDセンサが撮像した画像を送るためのデータケーブル等が配置される。
【0025】
ここで、本発明の内視鏡12においては、挿入部30には、その側壁に、長手方向に配列して光センサ58が配列される。光センサ58は、公知の光センサであって、図示例においては、1個の受光素子を有する光センサ(光量センサ)である。
また、図3に模式的に示すように、操作部24には、処理手段62およびデータ保持部64が配置され、光センサ58による光量の測定結果は、処理手段62に送られる。さらに、操作部24には、挿入長を表示する表示部42が配置される。
なお、光センサ58から処理手段62への光量測定結果の送信は、有線で行なっても無線で行なってもよい。
【0026】
データ保持部64(以下、保持部64とする)は、挿入部30の長手方向に配列される各光センサ58の先端部54(例えば、その最先端部)からの距離(距離データ)を記憶している。言い換えれば、保持部64は、個々の光センサ58毎に、光センサ58が配置される挿入部30の位置から、先端部54までの距離を記憶(保持)している。
処理手段62は、各光センサ58による測光結果、および、保持部64が保持する各光センサ58の先端部からの距離を用いて、体内への内視鏡12(挿入部30)の挿入長を検出し、表示部42に挿入長を表示し、さらに、内視鏡システム10の制御手段14に挿入長の情報を送る。
【0027】
図4に模式的に示すように、内視鏡12(挿入部30)は、診察室内では、照明があるために光が照射されているが、体内に入れば、診察室の照明は患者の体Bによって遮光され、内視鏡12には照明の光が届かなくなる。そのため、内視鏡12の挿入部30に長手方向に配列された光センサ58は、挿入部30の自身が取り付けられた位置が体外にある状態では、診察室の照明によって、ある程度の強さの光を受光しているが、自身が取り付けられた部分が体内に挿入されると、照明の光が届かなくなるので、受光する光量が大幅に低減する(あるいは、光を受光できなくなる)。また、内視鏡12の先端部54からの光センサ58までの距離は、すなわち、内視鏡12の挿入長である。
従って、内視鏡12の先端部54からの距離が既知の光センサ58によって光量を測定し、高光量の光を受光してる光センサ58と、受光量が低い光センサ58との境目を検出することにより、内視鏡12の挿入長を検出することができる。
【0028】
処理手段62は、各光センサ58による光量の測定結果を用いて、受光量が閾値以上の光センサ58と、受光量が閾値未満の光センサ58との境目を検出し、その境目にある受光量が閾値未満の光センサ58の先端部54からの距離を保持部64から読み出して、この距離を挿入長として、表示部42に表示させ、挿入長の情報を制御手段20に送る。
そのため、本発明によれば、医師は、内視鏡12による診察中に、内視鏡12の挿入長を把握して、自分が観察している位置が患者の体内の位置であるかを容易に把握することができ、その結果、体内における病変部の位置、組織の採取や止血などの処置を行なった位置、画像の撮影位置などを容易に把握して、好適な診察を行なうことができる。
【0029】
ここで、処理手段62による挿入長の検出は、一例として、先端(最も先端部54に近い)の光センサ58から連続して、光センサ58の受光量が所定の閾値Th1を下回っている領域を検出し、この領域の基端側(操作部24側)で閾値Th1を下回る光センサ58と閾値Th1を上回る光センサ58とを検出して、挿入長を検出するのが好ましい。
このような構成とすることにより、挿入部30の一部が、診察室の照明に対して医師の手や体の影になった場合にも、その領域で受光量が閾値Th1の上下の境目となる光センサ58に応じて挿入長を検出する誤検出することを防止できる。
【0030】
あるいは、光センサ58の受光量が連続して所定の閾値Th2を下回っており、かつ、閾値Th2を下回る領域の長さが、所定の長さ閾値Th−L1を超える領域において、最も基端側の閾値Th2を下回る光センサ58と閾値Th2を上回る光センサ58を用いて、挿入長を検出する方法も好適である。
このような構成とすることにより、先と同様に、挿入部30の一部が医師の影になってしまった場合における誤検出を防止できると共に、先端部側の光センサ58が、観察用の投射光(先端部54のライトガイドから出射する光)を、直接/間接的に受光してしまった場合にも、正確な挿入長を検出することができる。
【0031】
さらに、光センサ58の受光量が、最も先端の光センサ58から連続して所定の閾値Th3を下回り、かつ、隣接する光センサ58における受光量の差が、所定の閾値Th4以上減少している点を用いて、挿入長を検出する方法も好適である。
体腔に入った直後では、光センサ58の受光量が大きく低減しないので、このような構成とすることにより、光量の変化量も加味して、より正確に挿入長を検出できる。
【0032】
あるいは、これらの方法を、適宜、組み合わせて、挿入長を検出してもよい。
なお、閾値Th1〜Th4、および長さ閾値Th−L1は、内視鏡が使用される常識的な環境、体内の常識的な明るさ、挿入部30の長さ等に応じて、適宜、設定すればよい。
【0033】
光センサ58の配置領域にも、特に限定はなく、体内において内視鏡12の挿入位置を検出したい位置に対する挿入部30の長さ等に応じて、適宜、決定すればよい。
しかしながら、内視鏡の用途の汎用性や様々な要求に対する対応性を考慮すれば、体内に挿入される可能性のある領域には、全域に光センサ58を設けるのが好ましい。
光センサ58の間隔(挿入部長手方向の間隔(ピッチ))にも、特に限定はない。間隔が短い程、高精度に内視鏡の挿入長(位置)が検出でき、逆に、間隔が長い程、コストや装置の簡易化等の点で有利であるので、内視鏡12に要求される挿入位置の検出精度やコスト等に応じて、適宜、設定すればよい。なお、光センサ58の間隔は、挿入部30の全域に渡って均一であってもよく、あるいは、挿入部30の領域によって、光センサ58の間隔や密度を変えてもよい。
【0034】
また、光センサ58は、挿入部30の外部(外皮)に取り付けて、透明な保護部材で覆うようにしてもよいが、安全性や衛生性、さらには、内視鏡挿入の妨害の防止等を考慮すれば、挿入部30の外部の光を測定可能なように、挿入部30の内部に収容するのが好ましい。
【0035】
また、図示例においては、各光センサ58を1個の受光素子で構成しているが、本発明は、これに限定はされず、m×n個の受光素子からなる1ブロックを光センサ58として、測光を行なってもよい。
このように、ブロック状の受光素子からなる光センサを用いる場合には、挿入部30の長手方向に長尺なブロック状の光センサ、挿入部30を輪切りにした方向に配列されるリング状の光センサであってもよい。また、タイル状のブロックを高密度に配置した光センサも利用可能である。
【0036】
図示例の内視鏡12においては、表示部42に挿入長を表示することで、挿入長を出力したが、本発明は、これに限定はされず、各種の方法で、挿入長を出力可能である。
【0037】
一例として、操作部24やコネクタ26にスピーカーを設け、挿入長を音声で出力して、医師が知見できるようにする方法が例示される。あるいは、通信等によって、内視鏡の付属品や、医師が装着する装着具から、挿入長を音声出力してもよい。
別の方法として、操作部24に振動部を設置し、振動によって挿入長を出力して、医師が挿入長を知見できるようにする方法も利用可能である。この際には、所定の長さが挿入される毎に振動する、振動の強さやパターンによって挿入長を出力する等、各種の方法で挿入長を表現すればよい。あるいは、医師が所持する携帯機器など、外部の機器への送信して、この機器を振動することで挿入長を出力してもよい。
【0038】
挿入長の表示出力、音声出力、および振動による出力は、併用してもよいのは、もちろんであり、また、スイッチ等によって出力方法を選択/切り換え可能にしてもよい。
さらに、出力条件を、予め選択/設定できるようにしてもよい。例えば、区切りとなる長さが挿入された際および/または挿入される毎に、音声や振動等でその旨を出力することで、挿入長を出力してもよい。また、予め任意に設定した挿入長となった時点(複数設定でも可)で、音声や振動等でその旨を出力することで、挿入長を出力してもよい。
なお、処理手段62は、基本的に、診察中(撮像中)は、常時、挿入長の検出を行なうが、本発明は、これに限定はされず、入力指示等に応じて挿入長の検出を行なうようにしてもよく、常時/入力指示の何れかを選択できるようにしてもよい。
【0039】
図示例の内視鏡システム10において、ディスプレイ16は、公知のディスプレイ(表示装置)であり、内視鏡12が撮像した画像等を表示する。
また、内視鏡サーバ18は、内視鏡12が撮影した画像(動画/静止画)や、医師が入力した診察に関するコメント、内視鏡12の操作や患者に施した処置の情報等を、患者および診察日時毎等にまとめて記憶するサーバである。
【0040】
制御手段14は、内視鏡システム10の全体の制御/管理を行なうものである。
図示例の内視鏡システム10においては、一例として、制御手段14には、マウスやキーボード等の操作手段が設けられており、内視鏡システム10で診察を行なう患者の患者ID(識別情報)や、コメントなどの各種の情報、内視鏡システム10に対する指示等は、この制御手段14に入力され、内視鏡サーバ18等の必要な部位に供給される。
【0041】
内視鏡12が撮像した画像(動画)は、制御手段14に送られる。また、前述のように、内視鏡12の処理手段62が検出した内視鏡12の挿入長の情報も、制御手段14に送られる。
制御手段14は、内視鏡12が撮影した画像(画像データ)に、必要な処理を施して、ディスプレイ16に表示させると共に、挿入長も、画像と共にディスプレイ16に表示させる。ディスプレイ16における挿入長の表示は、数値表示でもよく、また、内視鏡12の全体図あるいは挿入部30のみの図を表示して、この図上で挿入長を表示してもよく、両者を併用してもよい。
あるいは、ディスプレイ16による挿入長の表示に加え(あるいは変えて)、制御手段14など設けられたスピーカを出力手段として、音声によって内視鏡12の挿入長を出力してもよい。
【0042】
また、内視鏡12によって静止画/動画が撮影された際には(ディスプレイ16に表示される内視鏡12による動画を観察している医師により、内視鏡12に撮影指示が入力された際には)、その情報も、内視鏡12から制御手段14に送られる。
制御手段14は、内視鏡12によって画像が撮影されたら、撮影された画像に、その画像が撮影された時点での挿入長を対応付けして、内視鏡サーバ18に送る。さらに、止血や組織の採取等の各種の処置が行なわれ、制御手段14が、その旨の情報を取得した際には、処置の情報と挿入長の情報とを対応付けして、内視鏡サーバ18に送ってもよい。
内視鏡サーバ18は、制御手段14から送られた画像および挿入長の情報を、患者IDや診察日時等に対応付けして、例えば、この患者および診察日等に応じて設定された所定の位置(アドレス)に記憶する。
【0043】
以上の説明より明らかなように、図示例の内視鏡システム10によれば、医師は、内視鏡12による診察中に、内視鏡12が撮像した画像の観察しつつ、その画像を撮像している内視鏡12の挿入長も知ることができる。
従って、本発明によれば、内視鏡12による診察中に、医師が、今、自分が観察している位置が患者の体内におけるどの位置であるかを容易に把握することができ、その結果、体内における病変部の位置、組織の採取や止血などの処置を行なった位置、画像の撮影位置などを容易に把握して、好適な診察を行なうことができる。
また、撮影を行なった際にも、撮影した画像と、撮影時における挿入長とを対応付けして、内視鏡サーバ18等に記憶しておくことができるので、再診察の際に、前回の診察で撮影や処置等を行なった位置の挿入長を知見し、挿入長を利用して、容易かつ迅速に、内視鏡12を目的位置に挿入することが可能となる。
【0044】
以上の例では、先端部から光センサ58までの距離(距離データ)を保持するデータ保持部64、および、光センサ58による測光結果と、データ保持部64が保持する距離データから、挿入長を検出する処理手段62は、内視鏡12(内視鏡本体)が有しているが、本発明は、これに限定はされない。
例えば、データ保持部64および処理手段62を、内視鏡システム10の制御手段14が有してもよい。すなわち、本発明においては、データ保持部64および/または処理手段62は、内視鏡12の外部に配置されてもよく、上記の例の場合には、制御手段14も、本発明の内視鏡の一部を構成する。
【0045】
以上、本発明の内視鏡の内視鏡について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
例えば、以上の例では、内視鏡の基準位置を内視鏡(挿入部)の先端として、先端からから光センサまでの距離を保持部64に保持して、内視鏡の挿入長を知見したが、本発明は、これに限定はされず、例えば、挿入部の中間位置などを基準として、此処から光センサまでの距離をデータ保持部に記録しておき、光センサの挿入部中間位置からの距離から、挿入長を検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の内視鏡の一例を利用する内視鏡システムの一例を概念的に示すブロック図である。
【図2】本発明の内視鏡の一例を概念的に示す斜視図である。
【図3】図2に示す内視鏡の構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】図2に示す内視鏡の作用を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0047】
10 内視鏡システム
12 内視鏡
14 制御手段
16 ディスプレイ
18 内視鏡サーバ
24 操作部
26 コネクタ
28 ユニバーサルコード
30 挿入部
32 送気送水ボタン
34 吸引ボタン
36 LRツマミ
38 UDツマミ
40 鉗子口
42 表示部
44 送気コネクタ
46 送水コネクタ
48 LG棒
50 ビデオコネクタ
54 先端部
58 光センサ
62 処理手段
64 (データ)保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に挿入される挿入部、内視鏡の操作を行なう操作部、外部の設備に接続されるコネクタ、および、前記操作部とコネクタとを接続するユニバーサルコード、を有する内視鏡本体と、
前記挿入部に長手方向に配列された光センサと、
前記光センサの挿入部先端からの距離データを保持するデータ保持部と、
前記光センサによる測定結果および前記データ保持部が保持する距離データを用いて、前記内視鏡の体内への挿入長を検出する処理手段とを有することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記データ保持部および処理手段が、前記内視鏡本体に配置される請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記データ保持部および処理手段が、前記内視鏡本体の外部に配置される請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記処理手段が検出した内視鏡の挿入長を、視覚的に出力する請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡。
【請求項5】
前記処理手段が検出した内視鏡の挿入長を、音声で出力する請求項1〜4のいずれかに記載の内視鏡。
【請求項6】
前記処理手段が検出した内視鏡の挿入長を、所定部位の振動で出力する請求項1〜5のいずれかに記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−77859(P2009−77859A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248553(P2007−248553)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】