内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法ならびに内部に空孔を有するポリマー粒子
【課題】内部に空孔を有するポリマー粒子を工程が煩雑となることを抑制しつつ製造し得る製造方法の提供ならびに容易に製造し得る内部に空孔を有するポリマー粒子の提供を課題としている。
【解決手段】懸濁重合により内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法であって、単官能重合性モノマーにスチレン系モノマーを用いて、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとを重量で(単官能重合性モノマー/多官能重合性モノマー)=1/9〜9/1となる比率で用い、界面活性剤に分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子を用いて、しかも、前記単官能重合性モノマーと前記多官能重合性モノマーとの合計100重量部に対して前記櫛型高分子を0.5〜5.0重量部の量で用いることを特徴とする内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】懸濁重合により内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法であって、単官能重合性モノマーにスチレン系モノマーを用いて、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとを重量で(単官能重合性モノマー/多官能重合性モノマー)=1/9〜9/1となる比率で用い、界面活性剤に分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子を用いて、しかも、前記単官能重合性モノマーと前記多官能重合性モノマーとの合計100重量部に対して前記櫛型高分子を0.5〜5.0重量部の量で用いることを特徴とする内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法ならびに該製造方法により製造される内部に空孔を有するポリマー粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリマー粒子として、例えば、透明樹脂材料により形成された平均粒径1〜100μmのものが、塗料、化粧料などの光反射材や液晶バックライト用光拡散板などの光拡散材として用いられている。すなわち、塗料、化粧料などにおいては、光を屈折、反射させて白色性を付与し、光拡散板においては、該光拡散板の側方から冷陰極管などにより入射された光を光拡散板の面内から均一な明るさで発し得るように入射された光を散乱させている。このような、ポリマー粒子としては、例えば、アクリル系ポリマー粒子やスチレン系ポリマー粒子が用いられており、しかも、内部に空孔を有することで光を反射させたり、散乱させたりする効果が高められて用いられたりしている。このことに関し、特許文献1には、内部に空孔を有するポリマー粒子を得るためにアクリル酸エステルなどの疎水性のモノマーと、脂肪酸と多価アルコールとの結合により形成された界面活性剤とを用いて、水相/モノマー相/水相(水中に粒状に分散したモノマー中にさらに水が粒状に分散した状態)の多重エマルジョンを形成し、該多重エマルジョンが形成された懸濁状態にてモノマーを重合することが開示されている。
【0003】
ところで、ポリマーは、配合された配合剤がポリマー表面に滲出するブリードと呼ばれる現象を起こすことが知られている。また、該ブリードは、配合剤とポリマーとの相溶性や、配合剤のポリマー内における移動しやすさなどに大きく関係することが知られている。すなわち、配合剤とポリマーとの相溶性が低い(親和性が乏しい)ほど、および、配合剤がポリマー内において高い移動度を有するほどブリードしやすいものとなる。
【0004】
前述のような疎水性のモノマーと界面活性剤とを用いて多重エマルジョンを形成させ懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合することにより内部に空孔を有するポリマー粒子を製造する場合には、前記界面活性剤は、前記モノマーとの相溶性から選定される。したがって、該モノマーの重合物であるポリマー粒子には、前記界面活性剤が残留することとなり、しかも、前記ポリマーと前記界面活性剤との相溶性は、通常、前記モノマーと前記界面活性剤との相溶性に比べて低下する。すなわち、内部に空孔を有するポリマー粒子内に残留した界面活性剤がブリードして滲出するおそれを有するものとなる。
【0005】
該ブリードした界面活性剤は、塗料、化粧料を変質させたり、光拡散板を白濁させたりするおそれがあることから、このような用途に用いる内部に空孔を有するポリマー粒子は、ポリマー粒子中に残留する界面活性剤を抽出(除去)する抽出工程を経て製造されている。該抽出工程には、通常、有機溶剤が用いられることから作業環境維持や防爆のために煩雑な工程を必要としている。また、前記抽出工程に用いられた有機溶剤は、有機性廃液として処理するか、再生処理して再利用するかしなければならず、何れにおいてもその処理に煩雑な工程を必要としている。
例えば、特許文献1の実施例には、メタクリル酸メチルとエチレングリコールジメタクリレートとの合計29gに界面活性剤であるモノオレイン酸ソルビタンを4.5gもの量(約15.5重量%)配合して重合を行った後に、イソプロピルアルコール及びヘキサンを用いて洗浄して内部に空孔を有するポリマー粒子を製造することが記載されている。
【0006】
すなわち、従来の内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法においては、煩雑な工程を行わずに内部に空孔を有するポリマー粒子を製造することが困難であるという問題を有する。
なお、このような問題は、塗料、化粧料、光拡散板などの用途のみならず、モノマーと界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合させることにより製造される内部に空孔を有するポリマー粒子に共通の問題である。
【0007】
【特許文献1】特開昭59−193901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、内部に空孔を有するポリマー粒子を工程が煩雑となることを抑制しつつ製造し得る製造方法の提供ならびに容易に製造し得る内部に空孔を有するポリマー粒子の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、スチレン系モノマーが用いられてなる単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーと界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合させる内部に空孔を有するポリマー粒子を製造する場合に、前記単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとを所定の比率で用い、しかも、前記界面活性剤として、分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子を用いることで、該界面活性剤の使用量を低減させて内部に空孔を有するポリマー粒子を製造し得ることを見出し本発明を完成するに到ったのである。
【0010】
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべく、単官能重合性モノマーと、多官能重合性モノマーと、界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合させる内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法であって、前記単官能重合性モノマーにスチレン系モノマーを用いて、前記単官能重合性モノマーと前記多官能重合性モノマーとを重量で(単官能重合性モノマー/多官能重合性モノマー)=1/9〜9/1となる比率で用い、前記界面活性剤に分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子を用いて、しかも、前記単官能重合性モノマーと前記多官能重合性モノマーとの合計100重量部に対して前記櫛型高分子を0.5〜5.0重量部の量で用いることを特徴とする内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法、ならびに、この内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法により製造されていることを特徴とする内部に空孔を有するポリマー粒子とを提供する。
【0011】
なお、本発明において分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子とは、線状側鎖が出ている三叉分岐点を主鎖に数多く有する重量平均分子量2000〜100000の高分子で、その分子内には、前記モノマー中に分散され得るように疎水性部と、モノマー中に分散されて該モノマー中に水を粒状に分散させ得るように親水性部とを有するものを意図している。
また、前記重量平均分子量は、例えば、下記条件のようにして求めることができる。
(分子量測定条件)
使用機器:東ソー社製HLC−8020GPC
使用カラム:東ソー社製:TSK−GEL(直径7.8mm×30cm)×3本
試料希釈濃度:5%テトラヒドロフラン(THF)
標準物質:ポリスチレン
展開溶媒:THF
測定方法:前記カラムを(TSK−GEL)3本直列につなぎ、カラム温度40℃、流速0.80mL/minで測定
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スチレン系モノマーが用いられてなる単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーと界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、しかも、前記単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとが重量で(単官能重合性モノマー/多官能重合性モノマー)=1/9〜9/1となる比率で用い、前記界面活性剤として、分子内に疎水性部と親水性部とを有する櫛型高分子を用いるため、モノマーと水とを水相/モノマー相/水相の多重エマルジョン(水中に粒状に分散したモノマー中にさらに水が粒状に分散したエマルジョン)を容易に形成させることができる。したがって、該懸濁状態にてモノマーを重合させて内部に空孔を有するポリマー粒子を製造することができる。
また、前記界面活性剤として、分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子が用いられていることから、用いる界面活性剤の量を従来よりも低減させることができブリードも抑制させることができる。したがって、ブリードを防止するために抽出工程を実施することを抑制することができ、内部に空孔を有するポリマー粒子の製造工程が煩雑なものとなることを抑制させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の好ましい実施の形態について塗料、化粧料などに用いる透明な内部に空孔を有するポリマー粒子を例に説明する。
まず、本実施形態に用いる材料について説明する。
本実施形態における内部に空孔を有するポリマー粒子は、スチレン系モノマーが用いられている単官能重合性モノマーと、多官能重合性モノマーと、分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子が用いられている界面活性剤とを含むモノマー相用混和物が、水が用いられている媒体(以下「水系媒体」ともいう)に分散された懸濁状態において重合されて形成される。
【0014】
このモノマー相用混和物には、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーと界面活性剤などとともに重合開始剤などを含有させることができる。
このモノマー相用混和物中においては、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとは、重量で(単官能重合性モノマー/多官能重合性モノマー)=1/9〜9/1となる比率で用いられる。
この単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとの比率が上記のような範囲とされるのは、この範囲外ではポリマー粒子の内部に複数の空孔を形成させることができないためである。
また、このとき前記界面活性剤として、分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子(以下単に「櫛型高分子」ともいう)が用いられる。
【0015】
単官能重合性モノマーには、スチレン系モノマーの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、このスチレン系モノマーとしては、スチレンモノマー、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン及びその誘導体を例示することができる。
【0016】
また、この単官能重合性モノマーには、スチレン系モノマー以外に本発明の効果を損ねない範囲においてスチレン系モノマーと共重合可能なその他の単官能重合性モノマーを含有させることもできる。
ただし、単官能重合性モノマーの50重量%以上がスチレン系モノマーであることが好ましく、スチレン系以外の他の単官能重合性モノマーを含有させる場合でもアクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステルモノマーを除く単官能重合性モノマーが用いられることがより好ましい。また、単官能重合性モノマーとしてスチレン系モノマーのみが用いられていることが特に好ましい。
【0017】
前記多官能重合性単量体としては、芳香族ジビニル化合物、多価アルコールのアクリル酸エステル、多価アルコールのメタクリル酸エステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
具体的には、芳香族ジビニル化合物として、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等が挙げられ、多価アルコールのアクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられ、多価アルコールの(メタクリル酸エステルとして、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
【0019】
なお、ポリマー粒子の内部に良好な空孔を形成させ得る点において、これらの多官能重合性単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートを用いることが好ましい。なお、ここでいう良好な空孔とは、粒子中に多くの空孔を有することを意味し、粒子中に占める空孔の割合が大きく、空孔の数が多いほど、光拡散剤として使用した場合に光線が屈折及び散乱する界面の数が多くなり、高い拡散効果を得ることができる。したがって、拡散剤として用いる場合に少量の添加で、良好な拡散効果を得ることができる。
【0020】
前記櫛型高分子は、線状側鎖が出ている三叉分岐点を主鎖に数多く有し、通常、2000〜100000の重量平均分子量を備えている。
本実施形態における前記櫛型高分子としては、分子内に親水性部と疎水性部とを有するものであれば特に限定されるものではないがモノマー中に分散させた水を粒状に安定させやすい点から、親水性部を備えた主鎖に、疎水性部を構成する複数の側鎖がグラフト結合している櫛型高分子が好適であり、例えば、1個以上のポリ(カルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ)鎖を有し、各鎖が3〜80個のカルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ基を有しかつアミド又は塩架橋基によってポリ(エチレンイミン)に結合さているポリ(エチレンイミン)またはその酸塩や、ポリ(低級アルキレン)イミンと遊離カルボン酸基を有するポリエステルとの反応生成物よりなり各ポリ(低級アルキレン)イミン連鎖に少なくとも2つ以上のポリエステル連鎖が結合されたものを用いることができる。このような櫛型高分子としては、例えば、英国LUBRIZOL社から「SOLSPERSE」シリーズとして市販の櫛型高分子材を例示できる。
【0021】
なお、前記櫛型高分子は、酸価20〜80のものが好ましい。酸価が20〜80の範囲であることが好ましいのは、20未満の場合は得られるポリマー粒子が内部に空孔を有するものとならないおそれを有し、80を越える場合には、重合が不安定なものとなりポリマーが粒子状物として得られないおそれを有するためである。
なお、前記酸価はJIS K 0070に基づき、前記櫛型高分子1gに含まれる遊離カルボン酸を中和するのに要するKOHのmg数として測定することができる。
【0022】
前記櫛型高分子は、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとの総量100重量部に対して0.5〜5重量部の配合量で使用される。単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとの総量に対する櫛型高分子の量がこのような範囲とされるのは、0.5重量部より少ない場合には、ポリマー粒子の内部に空孔が形成されず、一方、5重量部を超える量を用いた場合には、それ以上にポリマー粒子の内部に良好な空孔を形成させることが困難であるばかりでなく、懸濁重合時の重合系の安定性やポリマー粒子の粒子径の制御が困難となり粒子化できないためである。このような点において、櫛型高分子は、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとの総量100重量部に対して1〜3重量部の配合量であることが好ましい。
【0023】
前記重合開始剤としては、通常、懸濁重合に用いられる油溶性の過酸化物系あるいはアゾ系開始剤が利用できる。
【0024】
例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートなどのアゾ系開始剤が挙げられる。
【0025】
この中でも、ポリマー粒子の内部に良好な空孔を形成させ得る点において、重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、あるいは、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)のいずれかを用いることが好ましい。
また、前記モノマー相用混和物中におけるこの重合開始剤の配合量は、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとの総量100重量部に対して0.01〜10重量部の配合量で使用されることが好ましく、特に0.1〜5.0重量部の配合量で使用されることが好ましい。
【0026】
これらの単官能重合性モノマー、多官能重合性モノマー、櫛型高分子および重合開始剤が用いられてなるモノマー相用混和物は、水系媒体に分散されて懸濁状態にされる。
この水系媒体には、重量で、前記モノマー相用混和物と当量からモノマー相用混和物の10倍量程度の水が含有され、さらに水以外の成分として例えば水溶性有機溶媒、分散安定剤、界面活性剤および水溶性重合禁止剤などが含有されたものを用いることができる。
【0027】
この水溶性有機溶媒としては、低級アルコールなどを用いることができる。
【0028】
前記分散安定剤としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸亜鉛等のピロリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、コロイダルシリカなどの難水溶性無機化合物、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子等が挙げられる。これらの中でも、内部に空孔を有するポリマー粒子を安定して得ることができるという点において、第三リン酸カルシウムやコロイダルシリカが特に好ましい。
【0029】
この分散安定剤は、得られる内部に空孔を有するポリマー粒子の粒子径ならびに重合時の懸濁状態の安定性等を考慮して、どのような種類のものをどのように組み合わせてどの程度の量で水系媒体に配合するかを適宜調整して使用される。
前記分散安定剤は、通常、得られる内部に空孔を有するポリマー粒子100重量部に対し0.1〜20.0重量部の割合で水に配合される。
【0030】
また、水系媒体に用いられる前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などの界面活性剤を例示することができる。
【0031】
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリなどの脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩などを用いることができる。
【0032】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマーなどを用いることができる。
【0033】
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩などを用いることができる。
【0034】
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどを用いることができる。
これらの界面活性剤は、得られる内部に空孔を有するポリマー粒子の粒子径ならびに重合時の懸濁状態の安定性などを考慮して、どのような種類のものをどのように組み合わせてどの程度の量で水系媒体に配合するかを適宜調整して使用される。
一例を挙げれば、界面活性剤の水系媒体中の含有量が0.001〜0.1重量%程度となるように水に添加して用いることができる。
【0035】
また、前記水溶性重合禁止剤としては、特に限定されず公知の水溶性重合禁止剤を使用でき、例えば、亜硝酸塩類、ハイドロキノンなどを用いることができる。
この水溶性重合禁止剤は、水系媒体中での単量体の重合を抑制するために、水系分散媒体中に0.01〜1重量%程度の含有量となるように水に添加して用いることができる。
【0036】
次いで、これらの材料を用いて内部に空孔を有するポリマー粒子を製造する方法について説明する。
前記モノマー相用混和物と水系媒体とをそれぞれ別容器にて所定配合に調整し混合する。すなわち、一方でモノマー相用混和物としてスチレン系モノマー、多官能重合性単量体、櫛型高分子、重合開始剤などを所定の割合で混合攪拌する。このとき用いる混合攪拌手段としては、一般的なミキサー、ホモジナイザーを用いることができるが、全体的に均一となるような混合攪拌手段を採用することが好ましい。また、混合攪拌によりモノマー相用混和物の温度が上昇し重合が開始するおそれのある場合には冷却手段などを用いて温度上昇を抑制しつつ混合攪拌することが好ましい。
また、水系媒体も同様に、水に水溶性有機溶媒、分散安定剤、界面活性剤および水溶性重合禁止剤などを所定配合に調整し混合する。
【0037】
これらモノマー相用混和物と水系媒体とは、例えば、プロペラ翼などの撹拌力によって分散する方法、ローターとステーターから構成され、高剪断力を利用する分散機であるホモミキサー、超音波分散機などを用いて分散する方法により懸濁状態とさせることができ、このときモノマー相用混和物は、水系媒体中で液滴状態として存在する。
【0038】
なお、内部に空孔を有するポリマー粒子の粒度分布をより狭い範囲に揃えることが求められる場合には、マイクロフルイダイザー、ナノマイザーなどの液滴同士の衝突や機壁への衝突力を利用した高圧型分散機を用いればよい。
【0039】
次に、モノマー相用混和物の重合を実施する。
重合は、例えば、水系媒体中に形成されている液滴状態のモノマー相用混和物を水系媒体ごと加熱することにより実施させる。このときの重合温度は、通常30〜100℃、好ましくは40〜80℃である。この重合温度を保持する時間としては、例えば、0.1〜10時間程度である。
重合中は、液滴の浮上や重合後の内部に空孔を有するポリマー粒子の沈降を防止できる程度の緩い撹拌を行うのが好ましい。
【0040】
このように所定温度にて所定時間保持させて重合を進行させて内部に空孔を有するポリマー粒子を作製することができる。このとき、要すれば、分散安定剤を塩酸などにより溶解して、内部に空孔を有するポリマー粒子を吸引濾過、遠心分離、遠心濾過などの操作により分散媒から分離し、更にイオン交換水などで洗浄するなどしてもよい。また、さらに、乾燥、解砕、分級などを実施して内部に空孔を有するポリマー粒子を所望の粒径に調整する事もできる。
【0041】
このようにして得られる内部に空孔を有するポリマー粒子の粒子径は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定可能である。この粒子径は、モノマー相用混和物と水系媒体との混合条件や、分散安定剤の添加量、分散条件、重合時の攪拌条件などにより調整可能で、例えば、1〜500μm程度の粒子径とすることもできる。
【0042】
この内部に空孔を有するポリマー粒子の空孔は、粒子表面に露出しない空孔であることが好ましい。特に空孔の数は、複数形成されることが好ましく、2〜20程度の数形成されていることがより好ましい。このような複数個の空孔を有する粒子は、光拡散効果に特に優れる。また、内部に空孔を有するポリマー粒子に占める空孔の大きさは、用途に応じて異なるが、例えば、内部に空孔を有するポリマー粒子の5〜50体積%であることが好ましい。空孔の割合が5体積%未満であると、空孔のない粒子に比べ、十分な光拡散効果の向上を得ることができず、50体積%を超えると、粒子強度が弱くなり、加工時に粒子が破壊されるおそれが生じる。
【0043】
この内部に空孔を有するポリマー粒子は、例えば、化粧品のすべり性付与剤、電子写真用トナー、担体、塗料、インキ、樹脂改質剤等の幅広い分野で好適に使用できる。中でも内部に複数個の空孔を有する内部に空孔を有するポリマー粒子は、空孔の存在により、光の散乱効果を高めることが可能であり、そのような効果を所望する分野において特に好適に使用できる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明する。なお、以下において、特記しない限り、「部」及び「%」は重量基準である。なお、評価に用いた各種測定方法は以下の通りである。
【0045】
(平均粒子径の測定)
孔径50〜280μmの細孔に電解質溶液を満たし、内部に空孔を有するポリマー粒子がこの電解質溶液を通過する際の電界質溶液の導電率変化から体積を求め、体積平均粒子径を計算する。具体的には、ベックマンコールター社製のコールターマルチザイザー2によって測定した体積平均粒子径である。なお、測定に際してはCoulter Electronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、測定する粒子径に適合したアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定する。
【0046】
具体的には、内部に空孔を有するポリマー粒子0.1gと0.1%ノニオン系界面活性剤溶液10mlを市販のガラス製の試験管に投入し、ヤマト科学社製タッチミキサー TOUCHMIXER MT−31で2秒間混合した後、試験管を市販の超音洗浄機であるヴェルヴォクリーア社製ULTRASONIC CLEANER VS−150を用いて10秒間予備分散させ、これを本体備え付けの、ISOTON2(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にマルチサイザー2本体にアパチャーサイズ、Current,Gain,PolarityをCoulterElectronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って入力し、manualで測定する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、内部に空孔を有するポリマー粒子を10万個測定した点で測定を終了する。
【0047】
(粒子形状)
(電子顕微鏡による観察)
内部に空孔を有するポリマー粒子の外観及び断面は走査型電子顕微鏡により観察する。具体的には、内部に空孔を有するポリマー粒子の断面の観察は2液タイプのエポキシ接着剤を用い内部に空孔を有するポリマー粒子を固め、硬化後にカミソリ刃でスライスすることで内部に空孔を有するポリマー粒子の断面を露出させた後、走査型電子顕微鏡で観察する。用いた走査型電子顕微鏡は、日本電子社製の商品名「JSM−6360LV」である。
【0048】
(光学顕微鏡による観察結果)
光学顕微鏡によって光学顕微鏡を用いて透過光によるポリマー粒子中の空孔の形成状況を観察する。光学顕微鏡は、ニコン社製の商品名OPTI PHOTO−2である。
【0049】
(実施例1)
水240gと、分散安定剤として市販の第三リン酸カルシウムスラリー360g(固形分10%、商品名:スーパータイト、日本化成社製)とを1000mlのビーカーに入れ、次いで、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.36gを水に溶解させて水系媒体を作製した。
【0050】
これとは別に、スチレンモノマー140gとエチレングリコールジメタクリレート60gとを混合したものをビーカーに取り、櫛型高分子(SOLSPERSE36000、LUBRIZOL社製、純分100%)2gを加え均一に混合溶解し、次いで、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gを均一に混合溶解してモノマー相用混和物を作製した。
【0051】
得られたモノマー相用混和物と水系媒体とを混合し、混合物をホモミキサー(IKA社製、ULTRATURRAX T−25)にて5000rpmで約3分間分散した。得られた分散液を1000mlのセパラブルフラスコに投入し、撹拌翼、温度計及び還流冷却器を取り付け、フラスコを窒素パージした後、60℃で水浴させた。撹拌速度200rpmで10時間加熱を継続し、重合を行った。
【0052】
重合が終了したことを確認した後、分散液を冷却し、スラリーのpHが2程度になるまで塩酸を添加して分散安定剤を分解した。濾紙を用いたブフナー漏斗で重合物を吸引濾過し、5リットルのイオン交換水で洗浄して分散安定剤を除去し、60℃のオーブン中で24時間乾燥し乾燥状態のポリマー粒子を得た。
【0053】
得られたポリマー粒子は、平均粒子径が10.2μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図1左)すると球状の粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図1右)および、光学顕微鏡による観察結果(図12)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0054】
(実施例2)
スチレンモノマーの使用量を180g、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を20gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が18μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図2左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図2右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0055】
(実施例3)
スチレンモノマーの使用量を80g、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を120gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が9μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図3左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図3右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0056】
(実施例4)
スチレンモノマーの使用量を40g、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を160gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が13.2μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図4左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図4右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0057】
(実施例5)
櫛型高分子の使用量を1.4gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が14μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図5左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図5右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0058】
(実施例6)
櫛型高分子の使用量を8.0gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が18.5μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図6左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図6右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0059】
(実施例7)
多官能重合性モノマーをジビニルベンゼンに変えた以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が15.6μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図7左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図7右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0060】
(実施例8)
単官能重合性モノマーとしてスチレンモノマーとαメチルスチレンモノマーの混合物を用い、スチレンモノマーの使用量を136g、αメチルスチレンモノマーの使用量を4gとし、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を60gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が21μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図8左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図8右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0061】
(比較例1)
スチレンモノマーの使用量を190g、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を10gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が15.3μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図9左)すると球状のポリマー粒子の表面に凹凸が見られた、その断面の走査型電子顕微鏡(図9右)による観察からは、内部に空孔は見られなかった。
【0062】
また、この比較例1のポリマー粒子を実施例1同様に光学顕微鏡による観察を行ったが内部に空孔を有することは確認できなかった。
【0063】
(比較例2)
櫛型高分子の使用量を0.6gに変えたこと以外は、実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が14.7μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図10左)すると球状のポリマー粒子の表面に凹凸が見られた、その断面の走査型電子顕微鏡(図10右)による観察からは、内部に空孔は見られなかった。
また、この比較例2のポリマー粒子を実施例1同様に光学顕微鏡による観察を行ったが内部に空孔を有することは確認できなかった。
【0064】
(比較例3)
櫛型高分子の使用量を12.0gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を重合した結果、櫛型高分子が多すぎるため、分散不良で粒子を得ることができなかった。
【0065】
(比較例4)
スチレンモノマーの使用量を10g、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を190gに変えたこと以外は、実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が8.2μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図11左)すると球状のポリマー粒子の表面に凹凸が見られた、その断面の走査型電子顕微鏡(図11右)による観察からは、内部に空孔は見られなかった。
また、この比較例4のポリマー粒子を実施例1同様に光学顕微鏡による観察(図13)を行ったが内部に空孔を有することは確認できなかった。
以上の結果を表1にまとめて示す。
【0066】
【表1】
※1 数値は、多官能重合性モノマーと単官能重合性モノマーとの合計量に占める多官能重合性モノマーの量を重量%で表している。
※2 数値は、多官能重合性モノマーと単官能重合性モノマーとの合計重量を100とした時の櫛型高分子の重量を表している。
【0067】
この表からも、スチレン系モノマーが用いられてなる単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーと界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合させる内部に空孔を有するポリマー粒子を製造する場合に、前記単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとを所定の比率で用い、しかも、前記界面活性剤として、分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子を用いることで、該界面活性剤の使用量を低減させて内部に空孔を有するポリマー粒子を製造し得ることがわかる。
しかも、従来の内部に空孔を有するポリマー粒子に比べ界面活性剤の使用量が低減されており、ブリードを抑制させ得ることもわかる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例1にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図2】実施例2にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図3】実施例3にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図4】実施例4にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図5】実施例5にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図6】実施例6にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図7】実施例7にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図8】実施例8にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図9】比較例1にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図10】比較例2にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図11】比較例4にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図12】実施例1にて作製されたポリマー粒子の光学顕微鏡写真。
【図13】比較例4にて作製されたポリマー粒子の光学顕微鏡写真。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法ならびに該製造方法により製造される内部に空孔を有するポリマー粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリマー粒子として、例えば、透明樹脂材料により形成された平均粒径1〜100μmのものが、塗料、化粧料などの光反射材や液晶バックライト用光拡散板などの光拡散材として用いられている。すなわち、塗料、化粧料などにおいては、光を屈折、反射させて白色性を付与し、光拡散板においては、該光拡散板の側方から冷陰極管などにより入射された光を光拡散板の面内から均一な明るさで発し得るように入射された光を散乱させている。このような、ポリマー粒子としては、例えば、アクリル系ポリマー粒子やスチレン系ポリマー粒子が用いられており、しかも、内部に空孔を有することで光を反射させたり、散乱させたりする効果が高められて用いられたりしている。このことに関し、特許文献1には、内部に空孔を有するポリマー粒子を得るためにアクリル酸エステルなどの疎水性のモノマーと、脂肪酸と多価アルコールとの結合により形成された界面活性剤とを用いて、水相/モノマー相/水相(水中に粒状に分散したモノマー中にさらに水が粒状に分散した状態)の多重エマルジョンを形成し、該多重エマルジョンが形成された懸濁状態にてモノマーを重合することが開示されている。
【0003】
ところで、ポリマーは、配合された配合剤がポリマー表面に滲出するブリードと呼ばれる現象を起こすことが知られている。また、該ブリードは、配合剤とポリマーとの相溶性や、配合剤のポリマー内における移動しやすさなどに大きく関係することが知られている。すなわち、配合剤とポリマーとの相溶性が低い(親和性が乏しい)ほど、および、配合剤がポリマー内において高い移動度を有するほどブリードしやすいものとなる。
【0004】
前述のような疎水性のモノマーと界面活性剤とを用いて多重エマルジョンを形成させ懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合することにより内部に空孔を有するポリマー粒子を製造する場合には、前記界面活性剤は、前記モノマーとの相溶性から選定される。したがって、該モノマーの重合物であるポリマー粒子には、前記界面活性剤が残留することとなり、しかも、前記ポリマーと前記界面活性剤との相溶性は、通常、前記モノマーと前記界面活性剤との相溶性に比べて低下する。すなわち、内部に空孔を有するポリマー粒子内に残留した界面活性剤がブリードして滲出するおそれを有するものとなる。
【0005】
該ブリードした界面活性剤は、塗料、化粧料を変質させたり、光拡散板を白濁させたりするおそれがあることから、このような用途に用いる内部に空孔を有するポリマー粒子は、ポリマー粒子中に残留する界面活性剤を抽出(除去)する抽出工程を経て製造されている。該抽出工程には、通常、有機溶剤が用いられることから作業環境維持や防爆のために煩雑な工程を必要としている。また、前記抽出工程に用いられた有機溶剤は、有機性廃液として処理するか、再生処理して再利用するかしなければならず、何れにおいてもその処理に煩雑な工程を必要としている。
例えば、特許文献1の実施例には、メタクリル酸メチルとエチレングリコールジメタクリレートとの合計29gに界面活性剤であるモノオレイン酸ソルビタンを4.5gもの量(約15.5重量%)配合して重合を行った後に、イソプロピルアルコール及びヘキサンを用いて洗浄して内部に空孔を有するポリマー粒子を製造することが記載されている。
【0006】
すなわち、従来の内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法においては、煩雑な工程を行わずに内部に空孔を有するポリマー粒子を製造することが困難であるという問題を有する。
なお、このような問題は、塗料、化粧料、光拡散板などの用途のみならず、モノマーと界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合させることにより製造される内部に空孔を有するポリマー粒子に共通の問題である。
【0007】
【特許文献1】特開昭59−193901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、内部に空孔を有するポリマー粒子を工程が煩雑となることを抑制しつつ製造し得る製造方法の提供ならびに容易に製造し得る内部に空孔を有するポリマー粒子の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、スチレン系モノマーが用いられてなる単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーと界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合させる内部に空孔を有するポリマー粒子を製造する場合に、前記単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとを所定の比率で用い、しかも、前記界面活性剤として、分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子を用いることで、該界面活性剤の使用量を低減させて内部に空孔を有するポリマー粒子を製造し得ることを見出し本発明を完成するに到ったのである。
【0010】
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべく、単官能重合性モノマーと、多官能重合性モノマーと、界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合させる内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法であって、前記単官能重合性モノマーにスチレン系モノマーを用いて、前記単官能重合性モノマーと前記多官能重合性モノマーとを重量で(単官能重合性モノマー/多官能重合性モノマー)=1/9〜9/1となる比率で用い、前記界面活性剤に分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子を用いて、しかも、前記単官能重合性モノマーと前記多官能重合性モノマーとの合計100重量部に対して前記櫛型高分子を0.5〜5.0重量部の量で用いることを特徴とする内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法、ならびに、この内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法により製造されていることを特徴とする内部に空孔を有するポリマー粒子とを提供する。
【0011】
なお、本発明において分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子とは、線状側鎖が出ている三叉分岐点を主鎖に数多く有する重量平均分子量2000〜100000の高分子で、その分子内には、前記モノマー中に分散され得るように疎水性部と、モノマー中に分散されて該モノマー中に水を粒状に分散させ得るように親水性部とを有するものを意図している。
また、前記重量平均分子量は、例えば、下記条件のようにして求めることができる。
(分子量測定条件)
使用機器:東ソー社製HLC−8020GPC
使用カラム:東ソー社製:TSK−GEL(直径7.8mm×30cm)×3本
試料希釈濃度:5%テトラヒドロフラン(THF)
標準物質:ポリスチレン
展開溶媒:THF
測定方法:前記カラムを(TSK−GEL)3本直列につなぎ、カラム温度40℃、流速0.80mL/minで測定
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スチレン系モノマーが用いられてなる単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーと界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、しかも、前記単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとが重量で(単官能重合性モノマー/多官能重合性モノマー)=1/9〜9/1となる比率で用い、前記界面活性剤として、分子内に疎水性部と親水性部とを有する櫛型高分子を用いるため、モノマーと水とを水相/モノマー相/水相の多重エマルジョン(水中に粒状に分散したモノマー中にさらに水が粒状に分散したエマルジョン)を容易に形成させることができる。したがって、該懸濁状態にてモノマーを重合させて内部に空孔を有するポリマー粒子を製造することができる。
また、前記界面活性剤として、分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子が用いられていることから、用いる界面活性剤の量を従来よりも低減させることができブリードも抑制させることができる。したがって、ブリードを防止するために抽出工程を実施することを抑制することができ、内部に空孔を有するポリマー粒子の製造工程が煩雑なものとなることを抑制させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の好ましい実施の形態について塗料、化粧料などに用いる透明な内部に空孔を有するポリマー粒子を例に説明する。
まず、本実施形態に用いる材料について説明する。
本実施形態における内部に空孔を有するポリマー粒子は、スチレン系モノマーが用いられている単官能重合性モノマーと、多官能重合性モノマーと、分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子が用いられている界面活性剤とを含むモノマー相用混和物が、水が用いられている媒体(以下「水系媒体」ともいう)に分散された懸濁状態において重合されて形成される。
【0014】
このモノマー相用混和物には、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーと界面活性剤などとともに重合開始剤などを含有させることができる。
このモノマー相用混和物中においては、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとは、重量で(単官能重合性モノマー/多官能重合性モノマー)=1/9〜9/1となる比率で用いられる。
この単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとの比率が上記のような範囲とされるのは、この範囲外ではポリマー粒子の内部に複数の空孔を形成させることができないためである。
また、このとき前記界面活性剤として、分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子(以下単に「櫛型高分子」ともいう)が用いられる。
【0015】
単官能重合性モノマーには、スチレン系モノマーの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、このスチレン系モノマーとしては、スチレンモノマー、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン及びその誘導体を例示することができる。
【0016】
また、この単官能重合性モノマーには、スチレン系モノマー以外に本発明の効果を損ねない範囲においてスチレン系モノマーと共重合可能なその他の単官能重合性モノマーを含有させることもできる。
ただし、単官能重合性モノマーの50重量%以上がスチレン系モノマーであることが好ましく、スチレン系以外の他の単官能重合性モノマーを含有させる場合でもアクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステルモノマーを除く単官能重合性モノマーが用いられることがより好ましい。また、単官能重合性モノマーとしてスチレン系モノマーのみが用いられていることが特に好ましい。
【0017】
前記多官能重合性単量体としては、芳香族ジビニル化合物、多価アルコールのアクリル酸エステル、多価アルコールのメタクリル酸エステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
具体的には、芳香族ジビニル化合物として、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等が挙げられ、多価アルコールのアクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられ、多価アルコールの(メタクリル酸エステルとして、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
【0019】
なお、ポリマー粒子の内部に良好な空孔を形成させ得る点において、これらの多官能重合性単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートを用いることが好ましい。なお、ここでいう良好な空孔とは、粒子中に多くの空孔を有することを意味し、粒子中に占める空孔の割合が大きく、空孔の数が多いほど、光拡散剤として使用した場合に光線が屈折及び散乱する界面の数が多くなり、高い拡散効果を得ることができる。したがって、拡散剤として用いる場合に少量の添加で、良好な拡散効果を得ることができる。
【0020】
前記櫛型高分子は、線状側鎖が出ている三叉分岐点を主鎖に数多く有し、通常、2000〜100000の重量平均分子量を備えている。
本実施形態における前記櫛型高分子としては、分子内に親水性部と疎水性部とを有するものであれば特に限定されるものではないがモノマー中に分散させた水を粒状に安定させやすい点から、親水性部を備えた主鎖に、疎水性部を構成する複数の側鎖がグラフト結合している櫛型高分子が好適であり、例えば、1個以上のポリ(カルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ)鎖を有し、各鎖が3〜80個のカルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ基を有しかつアミド又は塩架橋基によってポリ(エチレンイミン)に結合さているポリ(エチレンイミン)またはその酸塩や、ポリ(低級アルキレン)イミンと遊離カルボン酸基を有するポリエステルとの反応生成物よりなり各ポリ(低級アルキレン)イミン連鎖に少なくとも2つ以上のポリエステル連鎖が結合されたものを用いることができる。このような櫛型高分子としては、例えば、英国LUBRIZOL社から「SOLSPERSE」シリーズとして市販の櫛型高分子材を例示できる。
【0021】
なお、前記櫛型高分子は、酸価20〜80のものが好ましい。酸価が20〜80の範囲であることが好ましいのは、20未満の場合は得られるポリマー粒子が内部に空孔を有するものとならないおそれを有し、80を越える場合には、重合が不安定なものとなりポリマーが粒子状物として得られないおそれを有するためである。
なお、前記酸価はJIS K 0070に基づき、前記櫛型高分子1gに含まれる遊離カルボン酸を中和するのに要するKOHのmg数として測定することができる。
【0022】
前記櫛型高分子は、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとの総量100重量部に対して0.5〜5重量部の配合量で使用される。単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとの総量に対する櫛型高分子の量がこのような範囲とされるのは、0.5重量部より少ない場合には、ポリマー粒子の内部に空孔が形成されず、一方、5重量部を超える量を用いた場合には、それ以上にポリマー粒子の内部に良好な空孔を形成させることが困難であるばかりでなく、懸濁重合時の重合系の安定性やポリマー粒子の粒子径の制御が困難となり粒子化できないためである。このような点において、櫛型高分子は、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとの総量100重量部に対して1〜3重量部の配合量であることが好ましい。
【0023】
前記重合開始剤としては、通常、懸濁重合に用いられる油溶性の過酸化物系あるいはアゾ系開始剤が利用できる。
【0024】
例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートなどのアゾ系開始剤が挙げられる。
【0025】
この中でも、ポリマー粒子の内部に良好な空孔を形成させ得る点において、重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、あるいは、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)のいずれかを用いることが好ましい。
また、前記モノマー相用混和物中におけるこの重合開始剤の配合量は、単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとの総量100重量部に対して0.01〜10重量部の配合量で使用されることが好ましく、特に0.1〜5.0重量部の配合量で使用されることが好ましい。
【0026】
これらの単官能重合性モノマー、多官能重合性モノマー、櫛型高分子および重合開始剤が用いられてなるモノマー相用混和物は、水系媒体に分散されて懸濁状態にされる。
この水系媒体には、重量で、前記モノマー相用混和物と当量からモノマー相用混和物の10倍量程度の水が含有され、さらに水以外の成分として例えば水溶性有機溶媒、分散安定剤、界面活性剤および水溶性重合禁止剤などが含有されたものを用いることができる。
【0027】
この水溶性有機溶媒としては、低級アルコールなどを用いることができる。
【0028】
前記分散安定剤としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸亜鉛等のピロリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、コロイダルシリカなどの難水溶性無機化合物、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子等が挙げられる。これらの中でも、内部に空孔を有するポリマー粒子を安定して得ることができるという点において、第三リン酸カルシウムやコロイダルシリカが特に好ましい。
【0029】
この分散安定剤は、得られる内部に空孔を有するポリマー粒子の粒子径ならびに重合時の懸濁状態の安定性等を考慮して、どのような種類のものをどのように組み合わせてどの程度の量で水系媒体に配合するかを適宜調整して使用される。
前記分散安定剤は、通常、得られる内部に空孔を有するポリマー粒子100重量部に対し0.1〜20.0重量部の割合で水に配合される。
【0030】
また、水系媒体に用いられる前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などの界面活性剤を例示することができる。
【0031】
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリなどの脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩などを用いることができる。
【0032】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマーなどを用いることができる。
【0033】
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩などを用いることができる。
【0034】
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどを用いることができる。
これらの界面活性剤は、得られる内部に空孔を有するポリマー粒子の粒子径ならびに重合時の懸濁状態の安定性などを考慮して、どのような種類のものをどのように組み合わせてどの程度の量で水系媒体に配合するかを適宜調整して使用される。
一例を挙げれば、界面活性剤の水系媒体中の含有量が0.001〜0.1重量%程度となるように水に添加して用いることができる。
【0035】
また、前記水溶性重合禁止剤としては、特に限定されず公知の水溶性重合禁止剤を使用でき、例えば、亜硝酸塩類、ハイドロキノンなどを用いることができる。
この水溶性重合禁止剤は、水系媒体中での単量体の重合を抑制するために、水系分散媒体中に0.01〜1重量%程度の含有量となるように水に添加して用いることができる。
【0036】
次いで、これらの材料を用いて内部に空孔を有するポリマー粒子を製造する方法について説明する。
前記モノマー相用混和物と水系媒体とをそれぞれ別容器にて所定配合に調整し混合する。すなわち、一方でモノマー相用混和物としてスチレン系モノマー、多官能重合性単量体、櫛型高分子、重合開始剤などを所定の割合で混合攪拌する。このとき用いる混合攪拌手段としては、一般的なミキサー、ホモジナイザーを用いることができるが、全体的に均一となるような混合攪拌手段を採用することが好ましい。また、混合攪拌によりモノマー相用混和物の温度が上昇し重合が開始するおそれのある場合には冷却手段などを用いて温度上昇を抑制しつつ混合攪拌することが好ましい。
また、水系媒体も同様に、水に水溶性有機溶媒、分散安定剤、界面活性剤および水溶性重合禁止剤などを所定配合に調整し混合する。
【0037】
これらモノマー相用混和物と水系媒体とは、例えば、プロペラ翼などの撹拌力によって分散する方法、ローターとステーターから構成され、高剪断力を利用する分散機であるホモミキサー、超音波分散機などを用いて分散する方法により懸濁状態とさせることができ、このときモノマー相用混和物は、水系媒体中で液滴状態として存在する。
【0038】
なお、内部に空孔を有するポリマー粒子の粒度分布をより狭い範囲に揃えることが求められる場合には、マイクロフルイダイザー、ナノマイザーなどの液滴同士の衝突や機壁への衝突力を利用した高圧型分散機を用いればよい。
【0039】
次に、モノマー相用混和物の重合を実施する。
重合は、例えば、水系媒体中に形成されている液滴状態のモノマー相用混和物を水系媒体ごと加熱することにより実施させる。このときの重合温度は、通常30〜100℃、好ましくは40〜80℃である。この重合温度を保持する時間としては、例えば、0.1〜10時間程度である。
重合中は、液滴の浮上や重合後の内部に空孔を有するポリマー粒子の沈降を防止できる程度の緩い撹拌を行うのが好ましい。
【0040】
このように所定温度にて所定時間保持させて重合を進行させて内部に空孔を有するポリマー粒子を作製することができる。このとき、要すれば、分散安定剤を塩酸などにより溶解して、内部に空孔を有するポリマー粒子を吸引濾過、遠心分離、遠心濾過などの操作により分散媒から分離し、更にイオン交換水などで洗浄するなどしてもよい。また、さらに、乾燥、解砕、分級などを実施して内部に空孔を有するポリマー粒子を所望の粒径に調整する事もできる。
【0041】
このようにして得られる内部に空孔を有するポリマー粒子の粒子径は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定可能である。この粒子径は、モノマー相用混和物と水系媒体との混合条件や、分散安定剤の添加量、分散条件、重合時の攪拌条件などにより調整可能で、例えば、1〜500μm程度の粒子径とすることもできる。
【0042】
この内部に空孔を有するポリマー粒子の空孔は、粒子表面に露出しない空孔であることが好ましい。特に空孔の数は、複数形成されることが好ましく、2〜20程度の数形成されていることがより好ましい。このような複数個の空孔を有する粒子は、光拡散効果に特に優れる。また、内部に空孔を有するポリマー粒子に占める空孔の大きさは、用途に応じて異なるが、例えば、内部に空孔を有するポリマー粒子の5〜50体積%であることが好ましい。空孔の割合が5体積%未満であると、空孔のない粒子に比べ、十分な光拡散効果の向上を得ることができず、50体積%を超えると、粒子強度が弱くなり、加工時に粒子が破壊されるおそれが生じる。
【0043】
この内部に空孔を有するポリマー粒子は、例えば、化粧品のすべり性付与剤、電子写真用トナー、担体、塗料、インキ、樹脂改質剤等の幅広い分野で好適に使用できる。中でも内部に複数個の空孔を有する内部に空孔を有するポリマー粒子は、空孔の存在により、光の散乱効果を高めることが可能であり、そのような効果を所望する分野において特に好適に使用できる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明する。なお、以下において、特記しない限り、「部」及び「%」は重量基準である。なお、評価に用いた各種測定方法は以下の通りである。
【0045】
(平均粒子径の測定)
孔径50〜280μmの細孔に電解質溶液を満たし、内部に空孔を有するポリマー粒子がこの電解質溶液を通過する際の電界質溶液の導電率変化から体積を求め、体積平均粒子径を計算する。具体的には、ベックマンコールター社製のコールターマルチザイザー2によって測定した体積平均粒子径である。なお、測定に際してはCoulter Electronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、測定する粒子径に適合したアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定する。
【0046】
具体的には、内部に空孔を有するポリマー粒子0.1gと0.1%ノニオン系界面活性剤溶液10mlを市販のガラス製の試験管に投入し、ヤマト科学社製タッチミキサー TOUCHMIXER MT−31で2秒間混合した後、試験管を市販の超音洗浄機であるヴェルヴォクリーア社製ULTRASONIC CLEANER VS−150を用いて10秒間予備分散させ、これを本体備え付けの、ISOTON2(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にマルチサイザー2本体にアパチャーサイズ、Current,Gain,PolarityをCoulterElectronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って入力し、manualで測定する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、内部に空孔を有するポリマー粒子を10万個測定した点で測定を終了する。
【0047】
(粒子形状)
(電子顕微鏡による観察)
内部に空孔を有するポリマー粒子の外観及び断面は走査型電子顕微鏡により観察する。具体的には、内部に空孔を有するポリマー粒子の断面の観察は2液タイプのエポキシ接着剤を用い内部に空孔を有するポリマー粒子を固め、硬化後にカミソリ刃でスライスすることで内部に空孔を有するポリマー粒子の断面を露出させた後、走査型電子顕微鏡で観察する。用いた走査型電子顕微鏡は、日本電子社製の商品名「JSM−6360LV」である。
【0048】
(光学顕微鏡による観察結果)
光学顕微鏡によって光学顕微鏡を用いて透過光によるポリマー粒子中の空孔の形成状況を観察する。光学顕微鏡は、ニコン社製の商品名OPTI PHOTO−2である。
【0049】
(実施例1)
水240gと、分散安定剤として市販の第三リン酸カルシウムスラリー360g(固形分10%、商品名:スーパータイト、日本化成社製)とを1000mlのビーカーに入れ、次いで、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.36gを水に溶解させて水系媒体を作製した。
【0050】
これとは別に、スチレンモノマー140gとエチレングリコールジメタクリレート60gとを混合したものをビーカーに取り、櫛型高分子(SOLSPERSE36000、LUBRIZOL社製、純分100%)2gを加え均一に混合溶解し、次いで、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gを均一に混合溶解してモノマー相用混和物を作製した。
【0051】
得られたモノマー相用混和物と水系媒体とを混合し、混合物をホモミキサー(IKA社製、ULTRATURRAX T−25)にて5000rpmで約3分間分散した。得られた分散液を1000mlのセパラブルフラスコに投入し、撹拌翼、温度計及び還流冷却器を取り付け、フラスコを窒素パージした後、60℃で水浴させた。撹拌速度200rpmで10時間加熱を継続し、重合を行った。
【0052】
重合が終了したことを確認した後、分散液を冷却し、スラリーのpHが2程度になるまで塩酸を添加して分散安定剤を分解した。濾紙を用いたブフナー漏斗で重合物を吸引濾過し、5リットルのイオン交換水で洗浄して分散安定剤を除去し、60℃のオーブン中で24時間乾燥し乾燥状態のポリマー粒子を得た。
【0053】
得られたポリマー粒子は、平均粒子径が10.2μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図1左)すると球状の粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図1右)および、光学顕微鏡による観察結果(図12)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0054】
(実施例2)
スチレンモノマーの使用量を180g、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を20gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が18μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図2左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図2右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0055】
(実施例3)
スチレンモノマーの使用量を80g、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を120gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が9μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図3左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図3右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0056】
(実施例4)
スチレンモノマーの使用量を40g、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を160gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が13.2μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図4左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図4右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0057】
(実施例5)
櫛型高分子の使用量を1.4gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が14μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図5左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図5右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0058】
(実施例6)
櫛型高分子の使用量を8.0gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が18.5μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図6左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図6右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0059】
(実施例7)
多官能重合性モノマーをジビニルベンゼンに変えた以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が15.6μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図7左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図7右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0060】
(実施例8)
単官能重合性モノマーとしてスチレンモノマーとαメチルスチレンモノマーの混合物を用い、スチレンモノマーの使用量を136g、αメチルスチレンモノマーの使用量を4gとし、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を60gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が21μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図8左)すると球状のポリマー粒子であり、その断面の走査型電子顕微鏡による観察(図8右)および、光学顕微鏡による観察結果(図示せず)から内部に空孔を有することが確認できた。
【0061】
(比較例1)
スチレンモノマーの使用量を190g、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を10gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が15.3μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図9左)すると球状のポリマー粒子の表面に凹凸が見られた、その断面の走査型電子顕微鏡(図9右)による観察からは、内部に空孔は見られなかった。
【0062】
また、この比較例1のポリマー粒子を実施例1同様に光学顕微鏡による観察を行ったが内部に空孔を有することは確認できなかった。
【0063】
(比較例2)
櫛型高分子の使用量を0.6gに変えたこと以外は、実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が14.7μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図10左)すると球状のポリマー粒子の表面に凹凸が見られた、その断面の走査型電子顕微鏡(図10右)による観察からは、内部に空孔は見られなかった。
また、この比較例2のポリマー粒子を実施例1同様に光学顕微鏡による観察を行ったが内部に空孔を有することは確認できなかった。
【0064】
(比較例3)
櫛型高分子の使用量を12.0gに変えたこと以外は実施例1と同条件でポリマー粒子を重合した結果、櫛型高分子が多すぎるため、分散不良で粒子を得ることができなかった。
【0065】
(比較例4)
スチレンモノマーの使用量を10g、エチレングリコールジメタクリレートの使用量を190gに変えたこと以外は、実施例1と同条件でポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子は、平均粒子径が8.2μmであり、走査型電子顕微鏡で表面観察(図11左)すると球状のポリマー粒子の表面に凹凸が見られた、その断面の走査型電子顕微鏡(図11右)による観察からは、内部に空孔は見られなかった。
また、この比較例4のポリマー粒子を実施例1同様に光学顕微鏡による観察(図13)を行ったが内部に空孔を有することは確認できなかった。
以上の結果を表1にまとめて示す。
【0066】
【表1】
※1 数値は、多官能重合性モノマーと単官能重合性モノマーとの合計量に占める多官能重合性モノマーの量を重量%で表している。
※2 数値は、多官能重合性モノマーと単官能重合性モノマーとの合計重量を100とした時の櫛型高分子の重量を表している。
【0067】
この表からも、スチレン系モノマーが用いられてなる単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーと界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合させる内部に空孔を有するポリマー粒子を製造する場合に、前記単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーとを所定の比率で用い、しかも、前記界面活性剤として、分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子を用いることで、該界面活性剤の使用量を低減させて内部に空孔を有するポリマー粒子を製造し得ることがわかる。
しかも、従来の内部に空孔を有するポリマー粒子に比べ界面活性剤の使用量が低減されており、ブリードを抑制させ得ることもわかる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例1にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図2】実施例2にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図3】実施例3にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図4】実施例4にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図5】実施例5にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図6】実施例6にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図7】実施例7にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図8】実施例8にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図9】比較例1にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図10】比較例2にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図11】比較例4にて作製されたポリマー粒子の走査型電子顕微鏡写真(左:表面写真、右:断面写真)。
【図12】実施例1にて作製されたポリマー粒子の光学顕微鏡写真。
【図13】比較例4にて作製されたポリマー粒子の光学顕微鏡写真。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単官能重合性モノマーと、多官能重合性モノマーと、界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合させる内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法であって、
前記単官能重合性モノマーにスチレン系モノマーを用いて、前記単官能重合性モノマーと前記多官能重合性モノマーとを重量で(単官能重合性モノマー/多官能重合性モノマー)=1/9〜9/1となる比率で用い、前記界面活性剤に分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子を用いて、しかも、前記単官能重合性モノマーと前記多官能重合性モノマーとの合計100重量部に対して前記櫛型高分子を0.5〜5.0重量部の量で用いることを特徴とする内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法により製造されていることを特徴とする内部に空孔を有するポリマー粒子。
【請求項1】
単官能重合性モノマーと、多官能重合性モノマーと、界面活性剤とを水中に分散させて懸濁状態とし、該懸濁状態にてモノマーを重合させる内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法であって、
前記単官能重合性モノマーにスチレン系モノマーを用いて、前記単官能重合性モノマーと前記多官能重合性モノマーとを重量で(単官能重合性モノマー/多官能重合性モノマー)=1/9〜9/1となる比率で用い、前記界面活性剤に分子内に親水性部と疎水性部とを有する櫛型高分子を用いて、しかも、前記単官能重合性モノマーと前記多官能重合性モノマーとの合計100重量部に対して前記櫛型高分子を0.5〜5.0重量部の量で用いることを特徴とする内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の内部に空孔を有するポリマー粒子の製造方法により製造されていることを特徴とする内部に空孔を有するポリマー粒子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−238792(P2007−238792A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63767(P2006−63767)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
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