内部反動質量及びバネを用いた波力エネルギ変換器
【課題】水塊の中に設置するのに適したシェルを有する波力エネルギ変換器(WEC)を提供する。
【解決手段】このシェル10は、「反動質量」20及び反動質量とシェルとの間を結合するバネ機構30を具える内部振動子を収容する。シェル及び内部振動子は、水塊の中に設置された場合に水塊の波に応答して、シェルと内部振動子の質量との間に相対運動を生じさせるように構成されている。パワーテイクオフ(PTO)装置40が、内部振動子とシェルとの間を結合して、それらの相対運動を電気エネルギに変換する。バネ機構は、その変位又は動作が反動質量の変位又は動作よりも小さくなるように構成されている。バネ機構は、バネ機構の変位又は動作が反動質量の変位又は動作よりも小さい状態で、反動質量が所定の代わりとなるものを受け得るようにする装置である。このような特性により、WECの大きさをより簡単に制御(例えば、より小さくする)できる。
【解決手段】このシェル10は、「反動質量」20及び反動質量とシェルとの間を結合するバネ機構30を具える内部振動子を収容する。シェル及び内部振動子は、水塊の中に設置された場合に水塊の波に応答して、シェルと内部振動子の質量との間に相対運動を生じさせるように構成されている。パワーテイクオフ(PTO)装置40が、内部振動子とシェルとの間を結合して、それらの相対運動を電気エネルギに変換する。バネ機構は、その変位又は動作が反動質量の変位又は動作よりも小さくなるように構成されている。バネ機構は、バネ機構の変位又は動作が反動質量の変位又は動作よりも小さい状態で、反動質量が所定の代わりとなるものを受け得るようにする装置である。このような特性により、WECの大きさをより簡単に制御(例えば、より小さくする)できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年12月1日に出願されその教示が参照することにより本書に盛り込まれている仮出願番号第60/741,108号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、大きな水塊の表面波に存在するエネルギを有用な電気エネルギに変換するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な波力エネルギ変換器(WEC)システムが知られている。例えば、本出願の出願人に譲渡され、「Wave Energy Converter Utilizing Pressure Difference」と題される1999年8月21に出願された米国特許出願番号S/N 09/379,421号の教示が参照することにより本書に盛り込まれている。
【0004】
既知のWECシステムは、一般に、「フロート」(又は「シェル」)と、「スパー(spar)」(又は「シャフト」又は「支柱」又は「ピストン」)とを有しており、これらは互いに相対移動して機械的エネルギに波の力を変換するよう構成されている。これらのシステムでは、フロートが、一般に移動部材として表現又は言及され、スパーが非移動式又は機械的に接地した部材として表現又は言及される。しかしながら、逆のことも言える。代替的に、スパー及びフロートの双方が互いに相対移動してもよい。
【0005】
これらの従来技術のWECシステムは、フロート及びスパーが水の要素及び力にさらされる。図1に示すように、WECは、一般に、フロート(WECシェル)とスパー(シャフト又は支柱)との間に結合されたパワーテイクオフ(PTO)装置を有しており、WECから利用できる機械的な出力を電気的な出力に変換する。PTO装置は、フロートとスパーとの間の相対運動を電気エネルギに変換し得る装置であってよい。例えば、PTO装置が、回転発電機に結合されたリニア回転変換器(例えば、ラック及びピニオンのギヤアッセンブリ、ボールねじアッセンブリ、油圧シリンダ及びモータアッセンブリ、又は空気シリンダ及びモータアッセンブリ)であってよい。また、PTO装置は、電磁誘導を用いて機械的出力を電気的出力に直接的に変換するリニア発電機とすることができる。
【0006】
あるWECシステムは、PTO装置が水中に設置されており、フロート及びスパーに結合されている。他のシステムでは、フロート及びスパーのうちの一方に結合された機械的な結合(例えば、「プッシュロッド」)が、フロート及びスパーのうちの他方の中に設置されたPTO装置に取り付けられており、プッシュロッドが気密シールを貫通する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水の表面波の中に含まれるエネルギを利用するためのこのようなシステムの構成の中に多くの問題が存在する。これらの問題のうちのいくつかは、以下のようになっている:
・フロートとスパーとの間のベアリングが、水中で動作することを必要として海洋生成物、汚染物質及び腐食にさらされるため、複雑且つ高価である。
・パワーテイクオフ装置及びそのベアリングが、水中で動作することを必要として海洋生成物、汚染物質及び腐食にさらされるため、複雑且つ高価である。
・内蔵されたPTOにフロートを結合する機械的結合が、海洋生成物、腐食及び汚染物質にさらされる。
・波力及び粘性減衰がフロート及びスパーが互いに相対移動できる範囲を制限するため、エネルギ集積の可能性を減らす。「point absorber」型のWECの効果が、水の粘性減衰によって多くの場合制限される。
・WECのための水及び波と直接接触する2又はそれ以上の物体から成る係留(固定)システムの構造が、多くの場合複雑である。
上記の問題のいくつかが認められており、例えば、(1)Temeev,A.、Antufyev,B.、及びTemeev,S.による「Simulation of Oscillatory Drive for Float Wave Energy Converter」と題されるFifth European Wave Energy Conference Proceedings,Hydraulics & Maritime Research Centre,Cork,Ireland,pp.386−391,2003で議論され、及び(2)French,M.J.及びBracewell,R.H.による「Heaving Point− Absorbers Reacting Against an Internal Mass」と題されるHydrodynamics of Ocean Wave−Energy Utilisation,Lisbon,Portugal,Springer−Verlag,pp247−55,1985で議論されているように、従来技術で扱われている。これらの参考文献で示唆されているように、上記の問題のいくつかは、波によって動作する「フロート」と、フロートの中に全体的に収容された「反動」質量と、フロートに反動質量を結合するバネ及びパワーテイクオフ装置とを具えたWECを構成することによって克服する可能性がある。このようなタイプのシステムでは、密閉された質量(m)が、フロートに結合されたバネから垂下又はバネに支持され、WECの所望の固有周期(Tn)を与えるようそのバネ定数(k)が調整される。
【0008】
このような方法(すなわち、特有のバネ定数を選択して所望の固有周期を生じさせる)の問題点は、バネの長さが一般に長く、フロートの中にこのような長いバネを構成及び収容するのが現実的でないことである。以下の2つの式を同時に解くことによって静水(x0)におけるバネの長さを決定できる。
式1は、静止状態において、反動質量の(m・g)下向きの力がバネの上向きの力(k・x)に等しいことを示している。式2は、質量(m)及びバネ定数(k)を選択して卓越波の振動数に近い固有振動振動数をバネ質量振動子に与え得ることを示しており;Tnは、波の振動数に等しい。
【0009】
2つの式を同時に解くと、静水バネ長さ(x0)は:
バネ質量システムを4秒の周期(T)に調整する場合、バネの長さ(x0)は約4メートルである。バネ質量システムを8秒の周期(T)に調整する場合、バネの長さ(x0)は約16メートルである。フロートの中にこのような大きなバネを製造且つ設置すると多くの問題を与える。
【0010】
上記のように非常に長いバネを必要とする問題は、本発明を実施する以下のようなシステムで克服される。本発明は、表面波にさらされる「フロート」と、質量とバネとによって形成された内部「振動子」と、質量とフロートとの間に繋がれたパワーテイクオフ装置と、を有する波力エネルギ変換器(WEC)に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明を実施する波力エネルギ変換器(WEC)システムが、「シェル」(「フロート」又は「外殻(hull)」と、「反動質量」及びバネ機構を具える内部振動子とを有する。パワーテイクオフ(PTO)装置が、シェルと内部振動との間を結合しており、電気エネルギにそれらの相対運動を変換する。シェル及び内部振動子は、水塊の中に設置されたときに水塊の波に応答して、シェルと内部振動子の質量との間の相対運動が生じるように構成されている。本発明を実施するシステムでは、シェルに反動質量を結合するバネ機構が、コイルバネ、板バネ又はトーションバネといった物理的なバネとすることができる。代替的に、PTOがバネのように挙動するようにPTOを制御することによって(すなわち、逆力が変位とともに増加する);又はPTOとバネとを組み合わせることによって、バネ機構の機能を得てもよい。バネ機構は、本発明を実施するシステムでは、バネ機構の変位がバネ機構及び反動質量を運動させる力に応答して反動質量の直線変位よりも小さくなるように構成される。これは、本発明を実施するのに必要なバネの長さが「単一」又は「合成」の機械又は機構を用いることによって短くなるという点で、本発明を従来技術と区別する本発明の重要な態様である。
【0012】
PTO装置は、リニアの発電機(LEG)、又は、回転型発電機に結合され回転運動及びトルクを直線運動及び力を変換する変換器含む、多くの装置のうちの1つとすることができる。
【0013】
本発明を実施するシステムでは、WECが水面に浮いて通過波による浮力の変化に応答するように、WECが「正の」システムの浮力を有してよく、あるいは、WECが水塊のボリュームの中にとどまって通過波による流体力学上の圧力の変化に応答するように、WECが「釣り合う」のシステムの浮力を有してもよい。
【0014】
本発明の1つの実施例によれば、「ブロック及びテークル」プーリシステムによって、物理的なバネが反動質量に結合されている。このようなシステムでは、プーリシステムの増大比(multiplying ratio)だけ、バネの剛性が増加しバネの変位が減少する。短くて強いバネを構成するのは、長くて弱いバネを構成するのよりも非常に簡単である。また、のような短くて強いバネをWECのブイの中に嵌めるのは簡単である。たとえ適切な力−変位特性を具えた長いバネを構成するのが可能であっても、バネ及び反動質量によって占められるWECブイの容積によりWECブイが長くなり、その流体力学的性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0015】
本発明の別の実施例によれば、バネが長い梁によって反動質量に結合されている。このようなケースでは、短くて強いバネが反動質量に直接取り付けられた長くて弱いバネと同じような方法で反動質量と作用するように、バネを支点の近くに設置する。このような実施例の別の利点は、反動質量の釣り合いの位置が所望の位置に位置するように、バネのシェル側の端部を上下させることができることである。
【0016】
また、本発明は、所望の静水変位及び動作の弾力性をシミュレートする他の実施例を有する。例えば、大きなアキュムレータに結合された油圧シリンダを使用し得る。所望の初期変位及び弾力性(すなわち、弾性及び/又は有効バネ剛性)を与えるような方法で、アキュムレータの大きさ及び予充填を選択可能である。アキュムレータの容量は弾力性を決定する。アキュムレータの予充填圧力は、機械的に負荷をかけた油圧シリンダの初期変位を決定する。
【0017】
以下にさらに説明するように、本出願人によって他の実施例が考え出されており、実用の範囲内にバネの大きさ及び剛性を保つのに役立っている。
【0018】
WECの設置前又は「乾燥」質量を最小限に抑えるために、反動質量を、WECを水中に設置してから満たす水槽とすることができる。また、WECブイバッテリを反動質量として使用できる。また、(変換されたエネルギを蓄えるよう機能する)WECブイバッテリを反動質量として使用できることに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1及び図2に参照して上記のように、及び上記で引用された参考文献(1)及び(2)に記載のように、波によって動く「シェル」(フロート)を具えたWECを構成して、バネ及び反動質量をフロートに結合するパワーテイクオフ装置とともに全体的にフロートの中に収容される「応答」質量を使用することによって、スパー、フロート及びPTO装置が水にさらされるWECに存在する問題を克服することが示唆されている。このようなタイプのシステムでは、密閉された質量(m)が、フロートに結合されたバネから垂下又はバネに支持され、WECの所望の固有周期(Tn)を与えるようそのバネ定数(k)が調整される。このような方法(すなわち、特有のバネ定数を選択して所望の固有周期を生じさせる)の問題点は、バネの長さが一般に長く、フロートの中にこのような長いバネを構成及び収容するのが現実的でないことである。以下の2つの式を同時に解くことによって静水(x0)におけるバネの長さを決定できる。
式1は、静止状態において、反動質量の(m・g)下向きの力がバネの上向きの力(k・x)に等しいことを示している。式2は、質量(m)及びバネ定数(k)を選択して卓越波の振動数に近い固有振動数をバネ質量振動子に与え得ることを示している。
【0020】
2つの式を同時に解くと、静水バネ長さ(x0)は:
となる。バネ質量システムを4秒の周期(T)に調整する場合、バネの長さ(x0)は約4メートルである。バネ質量システムを8秒の周期(T)に調整する場合、バネの長さ(x0)は約16メートルである。
【0021】
図2は、約8秒の振動周期を与えるようバネを調整したWECの説明図である。図示するように、静止状態におけるバネの長さが非常に長い。
【0022】
長い及び/又は大きいバネを有する必要性に関する問題が、本発明を実施するシステムにおいて克服される。
【0023】
図3に示すように、本発明を実施するWECが、表面波にさらされる「フロート」(「シェル」又は「外殻構造」)10と、反動質量20及びバネ30によって形成された内部「振動子」と、質量20とフロート10との間で結合され機械的エネルギを電気的エネルギに変換するパワーテイクオフ装置(PTO)40と、を有している。
【0024】
シェル及び内部振動子は、水塊に設置された場合に水塊の波に応答してシェル10と内部振動子の質量20との間の相対移動が生じるように構成されている。例えば、シェルが波の上下動に応じて上下移動する。そして、位相遅延の後に、質量がこれに応じて移動する。フロートと質量/バネとの相対移動がPTOによって電気エネルギに変換される。PTO装置は、リニア発電機(LEG)、又は回転発電機に結合されて直線移動及び力を回転移動及びトルクに変換する変換装置を含む多くの装置のうちの1つとすることができる。
【0025】
反動質量20をシェル10に結合するバネ30は、コイルバネ、板バネ又はトーションバネといった物理的なバネとすることができる。代替的に、PTOがバネのように挙動する(すなわち、変位とともに逆力が増加する)ようにPTOを制御することによって、バネ30の機能を得てもよい。さらに、物理的及びこれに相当する装置を組み合わせることによって、バネ30の機能を得てもよい。
【0026】
従来技術と本発明を区別する本発明に係る重要な態様は、「単一」又は「組み合わせた」機械又は機構を用いて、バネの長さを減らすことができるという認識である。一例は、図3に示すように、「ブロック及びテークル」プーリシステムによって反動質量に結合されたバネである。このようなシステムでは、プーリシステムの比を増加させることによって、バネの剛性(スティフネス)が増加し、バネの変位(移動量)が減少する。短くて強いバネを構成するのは、長くて弱いバネを構成するのよりも非常に簡単である。また、このような短くて強いバネをWECのブイの中に嵌めるのは簡単である。たとえ適切な力−変位特性を具えた長いバネを構成するのが可能であっても、バネ及び反動質量によって占められるWECブイの容積によりWECブイが長くなり、その流体力学的性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0027】
図3に示す本発明を実施するWECでは、フロート(10)が海底(11)に緩く固定されており、波とともに上下動し得る。「反動」質量(20)が、シェル(10)の中に収容されている。その動きが1組の低摩擦レール又はガイド(13)によって案内される。1組のエンドストッパ(下部ストッパ15及び上部ストッパ17)によって、反動質量の動きが制限されるが、それらは、バネ又はダンパのセット(15,17)又はそれらの組み合わせとすることができる。反動質量(20)は、1組のプーリを通るケーブル又はロープに「振動子」バネ(30)を繋ぐケーブル(19)又はロープに接続される。振動子バネ(30)は、一端が(プーリ構成を介して)ケーブル(19)の一端に接続されており、その他端がフロート(10)に接続されている。
【0028】
バネ定数(k)の最適値を設定することができる。(図3に示すように)4:1のプーリのマルチプリケーション比(multiplication ratio)を用いる場合、バネの長さを短くすることができ、プーリのマルチプリケーション比の分だけバネ定数を大きくさせることが可能である。利点は、所要のバネの長さはプーリが無い場合の4分の1である。さらに、所望の場所に反動質量(20)の釣り合い位置を移動させる方法で振動子バネ(30)のフロート(10)への接続ポイントの位置を調整することが実用的である。例えば、慣性質量を具えたプーリシステム及びバネを搭載できる。この質量は、初めはフロートの低部にある。バネが張力を保持しながら、質量が所望の釣り合い位置に位置するように質量が上昇してケーブルが短くなる。プーリ及びバネの多くの代替的な配置がある。
【0029】
図3A及び3Bを使用して本発明を実施する図3のシステムの動作を示す。図3Aは静止状態のシステムを示す。このような状態では、バネ30aが梁301の中間点315と固定点313との間に繋がれており、片持ちアーム301が端点311で固定されている。質量20aが片持ち梁301の他方の端点317に取り付けられている。この図は、点311と点315との間の距離d1と、点315と点317の間の距離d2とを示す。概念的及び実際には、バネを中間点に取り付ける必要がない;すなわちd1はd2と等しくなくてもよい。
【0030】
図3Bは、質量20aが距離「2x」だけ下動し、バネ30aが距離「x」だけ伸長している場合を示す。d1とd2との比を変えることにより、バネの変位が反動質量の変位の可変関数になることが図から明らかである。しかしながら、本発明を実施する全ての例において、質量の直線変位は、バネの有効変位よりも常に大きい。
【0031】
フロート(10)及び/又は反動質量(20)の急激な加速によりケーブル(19)が弛んだりプーリの中に詰まったりしないように、プーリシステム及び質量を構成してもよい。
【0032】
図4は、フロート(10)と質量(20)との間にシザー機構(50)が設置されたシステムを示す。バネ(30a及び30b)のセットがフロートの上部とシザー機構の選択ポイントとの間に繋がれている。所要のバネ力は、1つの長いバネのバネ力にシザー機構の機械力のマルチプリケーション比(multiplication ratio)を乗じたものに等しい。バネの長さが同じ比の分だけ短くなる。また、バネをシザーアッセンブリの異なるポイント(例えば、下部)に取り付けることができる。
【0033】
図5は、比較的短いバネが非常に長いバネと同じように機能し得る別の構成を示す。このようして、バネの長さを短くしてもよい。図5では、長い梁(60a,60b)のセットを介して振動子バネ(30a,30b)を反動質量(20)に取り付けている。このような実施例では、より短くて強いバネが反動質量(20)に直接取り付けられた長くて弱いバネと同じような方法で反動質量と作用するように、バネ(30a,30b)を梁(31)の支点の近くに設置する。このような方法の利点は、所望の位置に質量の釣り合い位置を配置するように、フロートに取り付けられたバネの端部を上下させることができることである。
【0034】
油圧バネの実施例(図6)
図6は、物理的なバネを油圧シリンダ70と油圧アキュムレータ80との組み合わせで代えたものを示す。このように、大きなアキュムレータに結合された油圧シリンダを使用可能である(図6参照)。3つの代替的な油圧システム構成を図10a,10b及び10cに示す。図6及び図10aに示すような最も単純な構成では、油圧シリンダ(70)が反動質量(20)とフロート(10)との間に設けられている。油圧シリンダ(70)の1つのポート(71)が油圧アキュムレータ(80)に接続されている。(図10b及び10cに示すように、より良好な又は滑らかな動作のために油圧シリンダと油圧アキュムレータとの他の相互接続を成し得る。)所望の初期変位及び弾力性(すなわち、有効バネ剛性)を生じる方法で、アキュムレータの大きさ及び予充填を選択できる。アキュムレータの容量は弾力性を決定する。アキュムレータの予充填圧力が、機械的に負荷をかけた油圧シリンダの初期変位を決定する。
【0035】
所望の静水変位及び動作弾力性をバネに具えるためのいくつかの他の方法があることに留意されたい。
【0036】
このように、本発明は、非常に短いバネ又はバネセットによって及び/又は必要以上にスペースを取らないでバネ機能を果たすことができる装置を導入することによって、(WECを効果が無いものにする)長いバネに代えるという認識を一つに有する。さらに、バネをより短くすることによってフロートへのバネの取付点を上げて、システムの動作にとって最も良い場所に反動質量を位置決めできる。
【0037】
WECの設置前又は「乾燥」質量を最小限に抑えるために、反動質量を、WECを水中に設置してから満たす水槽とすることができる。また、WECブイバッテリを反動質量として使用できる。
【0038】
油圧シリンダ及びアキュムレータのサイズを決める方法を以下のように概説する。図11a,11b及び11cは、フロート(シェル)と反動質量との間の位相がずれた相対運動に関するシステムの動作を示しており(図11d参照)、システムのいくつかのサイジングパラメータを規定する。
K=反動質量Mとともに選択して、卓越波の周期に近い固有振動周期を与えるバネ定数(式2を参照)。
M=バネ定数Kとともに選択して、卓越波の周期に近い固有振動周期を与える反動質量(式2を参照)。
L=反動質量のストローク(又は移動距離)
g=重力加速度(9.8m/s2)
F0=静水の油圧シリンダにかかる力
F1=反動質量が上死点(top of stroke)にある場合の油圧シリンダにかかる力
F2=反動質量が下死点(bottom of stroke)にある場合の油圧シリンダにかかる力
P0=静水状態の油圧シリンダ及びアキュムレータにかかる圧力
P1=反動質量が上死点にある場合の油圧シリンダ及びアキュムレータにかかる圧力
P1=反動質量が下死点にある場合の油圧シリンダ及びアキュムレータにかかる圧力(例えば、3000psi又は180bar)
V0=静水状態の油圧アキュムレータの中のガスの容量;アキュムレータにガスを充填又は予充填して所望の結果を得ることに留意されたい。
V1=反動質量が上死点にある場合の油圧アキュムレータの中のガスの容量
V2=反動質量が下死点にある場合の油圧アキュムレータの中のガスの容量
ΔV=反動質量の最大ストロークにおける油圧シリンダのガス容量の変化
【0039】
WECが静水F0にある場合に油圧シリンダに掛かる力は、以下のように求められる:
【0040】
反動質量が上死点にある場合の油圧シリンダにかかる力F1は、以下のようになる:
【0041】
反動質量が下死点にある場合の油圧シリンダにかかる力F2は、以下のようになる:
【0042】
所望の最大圧力P2を生じる油圧シリンダの「動作」領域Acは、以下のようになる:
【0043】
式(6)の中に式(5)を代入して、シリンダの動作領域に関する以下の式を得る:
【0044】
反動質量のストローク(移動距離)にわたるアキュムレータのガス容量の変化が以下のようにして求められる:
【0045】
アキュムレータのガスが理想的な二原子気体(窒素を仮定してよい)で熱伝達が最小限の場合(すなわち、断熱)、反動質量の移動距離の各端部におけるアキュムレータの圧力及び容量は以下のような関係にある:
【0046】
γの大きさは1.4である。V2=V1−ΔVであるため、式(7),(8)及び(9)を整理して、反動質量が上死点に有る場合の大きなガス容量に関する式を得る:
【0047】
油圧アキュムレータの容量を、V1よりもわずかに大きく選択すべきである。
【0048】
トーションバネの実施例(図7及び7A)
図7及び図7Aは、従来のコイルバネ又は板バネをトーションバネに代え得ることを示す。図7では、反動質量(20)がガイドレール(13)によって鉛直方向に案内される。これらのガイドレール(13)は、反動質量(20)が上下動する際に反動質量(20)が回転しないようにする。反動質量(20)は、回転トルク及び速度にリニアの力及び速度を変換する変換機構に取り付けられている。ボールネジがこのような変換装置のうちの1つである。反動質量(20)が上下動する際に変換器が回転する。発電機が変換器に取り付けられている。質量が上下動すると、変換器が時計方向及び反時計方向に回転し、電力が発生する。また、図7では、1又はそれ以上のトーションバネが変換器に取り付けられている。バネのトルク定数が選択されて、卓越波の周期に近い固有周期をWECに与える所要のバネ定数Kを与える。反動質量(20)の直線運動の範囲を、トーションバネの角運動の範囲が非常に大きくなるようにすることが可能である。このようなケースでは、トーションバネの所要の運動範囲を減らすように、リニア回転装置(例えば、ボールネジ)間にギヤボックス(例えば、図7の符号726)を挿入することが可能である。図7Aはこのような構成を図式的に示す。トーションバネの所要の運動範囲を減らすと、トーションバネが強くなる(例えば、トーションバネの単位変位定数当たりのトルクが増加する。)。
【0049】
装置の設置
本発明を実施するためのシステムでは、WECが水面上を浮いて通過波による浮力の変化に応答するように、WECが「正の」システムの浮力を有してよい。エネルギ変換をもたらす運動を妨げないようにしつつ関心のある範囲にWECを保持するタイプの係留装置とともにWECを設置してもよい。WECが水塊のボリュームの中にとどまって通過波による流体力学上の圧力の変化に応答するように、WECが「釣り合う」システムの浮力を有してよい。このようなケースでは、WECが所望の深さに確実にとどまるようにするためのタイプのシステムとともにWECを配置する。WECを所望の深さにとどまらせるこのようなシステムはアクティブ(例えば、深さ検出器及び調整可能なバラストタンクを具えたシステム)でよく、あるいは、それはパッシブ(例えば、海底に向けて垂れるチェーン)であってもよい。
【0050】
解析結果(図8及び図9)
図8は、反動質量、バネ定数及びPTOダンピングの1つの組み合わせに関するコンピュータ・シミュレーションの結果を示す。最上段の波形(A)では、波の振幅を越える反動質量の運動の振幅を示す。2番目の波形(B)は、フロートに対する反動質量の速度を示す。3番目の波形(C)は、パワーテイクオフユニットに加えられる反動質量の力を示す。4番目の波形(D)は、本発明を実施するWECによって発生する瞬時電力を示す。
【0051】
図9は、いくつかの「海面状態」及びいくつかのブイの形態に関するいくつかのコンピュータ・シミュレーションの実行結果を示す。本実施例では、フロートの質量及びバネ定数が一定であり、反動質量の質量が変化する。図示するように、出力が、バネ定数、反動質量及び海面状態に依存する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
添付図面は、等尺に描かれてはいないが、同じ符号が同じ部品を示す。
【0053】
【図1】図1は、従来技術の波力エネルギ変換器(WEC)の一般的なバージョンである。
【図2】図2は、フロート、反動質量、PTO及び非常に長いバネを有する従来技術のWECのいくつかの形態を示す。
【図3】図3は、プーリ構成を使用して「短い」(コンパクトな)バネを使用し得る本発明を実施するWECを示す。
【図3A】図3Aは、質量及びバネが固定されている片持ち梁の簡略図を示す。
【図3B】図3Bは、例えば、質量の2Xの変位によりバネがXだけ伸長することを示す片持ち梁の簡略図を示す。
【図4】図4は、シザー機構を使用することで「短い」(小型の)バネを使用し得る本発明を実施する別のWECの理想的な図である。
【図5】図5は、片持ち梁を使用することで「短い」(小型の)バネを使用し得る本発明を実施するさらに別のWECの理想的な図である。
【図6】図6は、油圧シリンダ及びアキュムレータがバネとして機能して必要とする物理的なバネに代わる本発明を実施するさらに別のWECの理想的な図である。
【図7】図7は、ボールねじ及びトーションバネを使用して「短い」バネを与える本発明を実施するさらに別のWECの理想的な図である。
【図7A】図7Aは、ボールねじ及びトーションバネを使用して「短い」バネを与え、ギヤボックスを使用してトーションバネの角変位の範囲を減らすことで、トーションバネのトルク応答を増やす本発明を実施するWECの理想的な図である。
【図8】図8は、本発明を実施するWECに関するシミュレーション結果を示す波形図である。
【図9】図9は、本発明を実施するWECのいくつかの異なる形態について発生する出力を示す図である。
【図10a】図10aは、油圧シリンダと付随するアキュムレータとの様々な相互接続を示す、図6のシステムのパーツの理想的な表現である。
【図10b】図10bは、油圧シリンダと付随するアキュムレータとの様々な相互接続を示す、図6のシステムのパーツの理想的な表現である。
【図10c】図10cは、油圧シリンダと付随するアキュムレータとの様々な相互接続を示す、図6のシステムのパーツの理想的な表現である。
【図11】図11a−dは、様々な波浪状態に応答してフロートと反動質量との間の相対運動を生じさせる油圧シリンダ及びアキュムレータの様々な位置を示す、図6及び図10aのシステムのパーツの理想的な表現である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年12月1日に出願されその教示が参照することにより本書に盛り込まれている仮出願番号第60/741,108号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、大きな水塊の表面波に存在するエネルギを有用な電気エネルギに変換するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な波力エネルギ変換器(WEC)システムが知られている。例えば、本出願の出願人に譲渡され、「Wave Energy Converter Utilizing Pressure Difference」と題される1999年8月21に出願された米国特許出願番号S/N 09/379,421号の教示が参照することにより本書に盛り込まれている。
【0004】
既知のWECシステムは、一般に、「フロート」(又は「シェル」)と、「スパー(spar)」(又は「シャフト」又は「支柱」又は「ピストン」)とを有しており、これらは互いに相対移動して機械的エネルギに波の力を変換するよう構成されている。これらのシステムでは、フロートが、一般に移動部材として表現又は言及され、スパーが非移動式又は機械的に接地した部材として表現又は言及される。しかしながら、逆のことも言える。代替的に、スパー及びフロートの双方が互いに相対移動してもよい。
【0005】
これらの従来技術のWECシステムは、フロート及びスパーが水の要素及び力にさらされる。図1に示すように、WECは、一般に、フロート(WECシェル)とスパー(シャフト又は支柱)との間に結合されたパワーテイクオフ(PTO)装置を有しており、WECから利用できる機械的な出力を電気的な出力に変換する。PTO装置は、フロートとスパーとの間の相対運動を電気エネルギに変換し得る装置であってよい。例えば、PTO装置が、回転発電機に結合されたリニア回転変換器(例えば、ラック及びピニオンのギヤアッセンブリ、ボールねじアッセンブリ、油圧シリンダ及びモータアッセンブリ、又は空気シリンダ及びモータアッセンブリ)であってよい。また、PTO装置は、電磁誘導を用いて機械的出力を電気的出力に直接的に変換するリニア発電機とすることができる。
【0006】
あるWECシステムは、PTO装置が水中に設置されており、フロート及びスパーに結合されている。他のシステムでは、フロート及びスパーのうちの一方に結合された機械的な結合(例えば、「プッシュロッド」)が、フロート及びスパーのうちの他方の中に設置されたPTO装置に取り付けられており、プッシュロッドが気密シールを貫通する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水の表面波の中に含まれるエネルギを利用するためのこのようなシステムの構成の中に多くの問題が存在する。これらの問題のうちのいくつかは、以下のようになっている:
・フロートとスパーとの間のベアリングが、水中で動作することを必要として海洋生成物、汚染物質及び腐食にさらされるため、複雑且つ高価である。
・パワーテイクオフ装置及びそのベアリングが、水中で動作することを必要として海洋生成物、汚染物質及び腐食にさらされるため、複雑且つ高価である。
・内蔵されたPTOにフロートを結合する機械的結合が、海洋生成物、腐食及び汚染物質にさらされる。
・波力及び粘性減衰がフロート及びスパーが互いに相対移動できる範囲を制限するため、エネルギ集積の可能性を減らす。「point absorber」型のWECの効果が、水の粘性減衰によって多くの場合制限される。
・WECのための水及び波と直接接触する2又はそれ以上の物体から成る係留(固定)システムの構造が、多くの場合複雑である。
上記の問題のいくつかが認められており、例えば、(1)Temeev,A.、Antufyev,B.、及びTemeev,S.による「Simulation of Oscillatory Drive for Float Wave Energy Converter」と題されるFifth European Wave Energy Conference Proceedings,Hydraulics & Maritime Research Centre,Cork,Ireland,pp.386−391,2003で議論され、及び(2)French,M.J.及びBracewell,R.H.による「Heaving Point− Absorbers Reacting Against an Internal Mass」と題されるHydrodynamics of Ocean Wave−Energy Utilisation,Lisbon,Portugal,Springer−Verlag,pp247−55,1985で議論されているように、従来技術で扱われている。これらの参考文献で示唆されているように、上記の問題のいくつかは、波によって動作する「フロート」と、フロートの中に全体的に収容された「反動」質量と、フロートに反動質量を結合するバネ及びパワーテイクオフ装置とを具えたWECを構成することによって克服する可能性がある。このようなタイプのシステムでは、密閉された質量(m)が、フロートに結合されたバネから垂下又はバネに支持され、WECの所望の固有周期(Tn)を与えるようそのバネ定数(k)が調整される。
【0008】
このような方法(すなわち、特有のバネ定数を選択して所望の固有周期を生じさせる)の問題点は、バネの長さが一般に長く、フロートの中にこのような長いバネを構成及び収容するのが現実的でないことである。以下の2つの式を同時に解くことによって静水(x0)におけるバネの長さを決定できる。
式1は、静止状態において、反動質量の(m・g)下向きの力がバネの上向きの力(k・x)に等しいことを示している。式2は、質量(m)及びバネ定数(k)を選択して卓越波の振動数に近い固有振動振動数をバネ質量振動子に与え得ることを示しており;Tnは、波の振動数に等しい。
【0009】
2つの式を同時に解くと、静水バネ長さ(x0)は:
バネ質量システムを4秒の周期(T)に調整する場合、バネの長さ(x0)は約4メートルである。バネ質量システムを8秒の周期(T)に調整する場合、バネの長さ(x0)は約16メートルである。フロートの中にこのような大きなバネを製造且つ設置すると多くの問題を与える。
【0010】
上記のように非常に長いバネを必要とする問題は、本発明を実施する以下のようなシステムで克服される。本発明は、表面波にさらされる「フロート」と、質量とバネとによって形成された内部「振動子」と、質量とフロートとの間に繋がれたパワーテイクオフ装置と、を有する波力エネルギ変換器(WEC)に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明を実施する波力エネルギ変換器(WEC)システムが、「シェル」(「フロート」又は「外殻(hull)」と、「反動質量」及びバネ機構を具える内部振動子とを有する。パワーテイクオフ(PTO)装置が、シェルと内部振動との間を結合しており、電気エネルギにそれらの相対運動を変換する。シェル及び内部振動子は、水塊の中に設置されたときに水塊の波に応答して、シェルと内部振動子の質量との間の相対運動が生じるように構成されている。本発明を実施するシステムでは、シェルに反動質量を結合するバネ機構が、コイルバネ、板バネ又はトーションバネといった物理的なバネとすることができる。代替的に、PTOがバネのように挙動するようにPTOを制御することによって(すなわち、逆力が変位とともに増加する);又はPTOとバネとを組み合わせることによって、バネ機構の機能を得てもよい。バネ機構は、本発明を実施するシステムでは、バネ機構の変位がバネ機構及び反動質量を運動させる力に応答して反動質量の直線変位よりも小さくなるように構成される。これは、本発明を実施するのに必要なバネの長さが「単一」又は「合成」の機械又は機構を用いることによって短くなるという点で、本発明を従来技術と区別する本発明の重要な態様である。
【0012】
PTO装置は、リニアの発電機(LEG)、又は、回転型発電機に結合され回転運動及びトルクを直線運動及び力を変換する変換器含む、多くの装置のうちの1つとすることができる。
【0013】
本発明を実施するシステムでは、WECが水面に浮いて通過波による浮力の変化に応答するように、WECが「正の」システムの浮力を有してよく、あるいは、WECが水塊のボリュームの中にとどまって通過波による流体力学上の圧力の変化に応答するように、WECが「釣り合う」のシステムの浮力を有してもよい。
【0014】
本発明の1つの実施例によれば、「ブロック及びテークル」プーリシステムによって、物理的なバネが反動質量に結合されている。このようなシステムでは、プーリシステムの増大比(multiplying ratio)だけ、バネの剛性が増加しバネの変位が減少する。短くて強いバネを構成するのは、長くて弱いバネを構成するのよりも非常に簡単である。また、のような短くて強いバネをWECのブイの中に嵌めるのは簡単である。たとえ適切な力−変位特性を具えた長いバネを構成するのが可能であっても、バネ及び反動質量によって占められるWECブイの容積によりWECブイが長くなり、その流体力学的性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0015】
本発明の別の実施例によれば、バネが長い梁によって反動質量に結合されている。このようなケースでは、短くて強いバネが反動質量に直接取り付けられた長くて弱いバネと同じような方法で反動質量と作用するように、バネを支点の近くに設置する。このような実施例の別の利点は、反動質量の釣り合いの位置が所望の位置に位置するように、バネのシェル側の端部を上下させることができることである。
【0016】
また、本発明は、所望の静水変位及び動作の弾力性をシミュレートする他の実施例を有する。例えば、大きなアキュムレータに結合された油圧シリンダを使用し得る。所望の初期変位及び弾力性(すなわち、弾性及び/又は有効バネ剛性)を与えるような方法で、アキュムレータの大きさ及び予充填を選択可能である。アキュムレータの容量は弾力性を決定する。アキュムレータの予充填圧力は、機械的に負荷をかけた油圧シリンダの初期変位を決定する。
【0017】
以下にさらに説明するように、本出願人によって他の実施例が考え出されており、実用の範囲内にバネの大きさ及び剛性を保つのに役立っている。
【0018】
WECの設置前又は「乾燥」質量を最小限に抑えるために、反動質量を、WECを水中に設置してから満たす水槽とすることができる。また、WECブイバッテリを反動質量として使用できる。また、(変換されたエネルギを蓄えるよう機能する)WECブイバッテリを反動質量として使用できることに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1及び図2に参照して上記のように、及び上記で引用された参考文献(1)及び(2)に記載のように、波によって動く「シェル」(フロート)を具えたWECを構成して、バネ及び反動質量をフロートに結合するパワーテイクオフ装置とともに全体的にフロートの中に収容される「応答」質量を使用することによって、スパー、フロート及びPTO装置が水にさらされるWECに存在する問題を克服することが示唆されている。このようなタイプのシステムでは、密閉された質量(m)が、フロートに結合されたバネから垂下又はバネに支持され、WECの所望の固有周期(Tn)を与えるようそのバネ定数(k)が調整される。このような方法(すなわち、特有のバネ定数を選択して所望の固有周期を生じさせる)の問題点は、バネの長さが一般に長く、フロートの中にこのような長いバネを構成及び収容するのが現実的でないことである。以下の2つの式を同時に解くことによって静水(x0)におけるバネの長さを決定できる。
式1は、静止状態において、反動質量の(m・g)下向きの力がバネの上向きの力(k・x)に等しいことを示している。式2は、質量(m)及びバネ定数(k)を選択して卓越波の振動数に近い固有振動数をバネ質量振動子に与え得ることを示している。
【0020】
2つの式を同時に解くと、静水バネ長さ(x0)は:
となる。バネ質量システムを4秒の周期(T)に調整する場合、バネの長さ(x0)は約4メートルである。バネ質量システムを8秒の周期(T)に調整する場合、バネの長さ(x0)は約16メートルである。
【0021】
図2は、約8秒の振動周期を与えるようバネを調整したWECの説明図である。図示するように、静止状態におけるバネの長さが非常に長い。
【0022】
長い及び/又は大きいバネを有する必要性に関する問題が、本発明を実施するシステムにおいて克服される。
【0023】
図3に示すように、本発明を実施するWECが、表面波にさらされる「フロート」(「シェル」又は「外殻構造」)10と、反動質量20及びバネ30によって形成された内部「振動子」と、質量20とフロート10との間で結合され機械的エネルギを電気的エネルギに変換するパワーテイクオフ装置(PTO)40と、を有している。
【0024】
シェル及び内部振動子は、水塊に設置された場合に水塊の波に応答してシェル10と内部振動子の質量20との間の相対移動が生じるように構成されている。例えば、シェルが波の上下動に応じて上下移動する。そして、位相遅延の後に、質量がこれに応じて移動する。フロートと質量/バネとの相対移動がPTOによって電気エネルギに変換される。PTO装置は、リニア発電機(LEG)、又は回転発電機に結合されて直線移動及び力を回転移動及びトルクに変換する変換装置を含む多くの装置のうちの1つとすることができる。
【0025】
反動質量20をシェル10に結合するバネ30は、コイルバネ、板バネ又はトーションバネといった物理的なバネとすることができる。代替的に、PTOがバネのように挙動する(すなわち、変位とともに逆力が増加する)ようにPTOを制御することによって、バネ30の機能を得てもよい。さらに、物理的及びこれに相当する装置を組み合わせることによって、バネ30の機能を得てもよい。
【0026】
従来技術と本発明を区別する本発明に係る重要な態様は、「単一」又は「組み合わせた」機械又は機構を用いて、バネの長さを減らすことができるという認識である。一例は、図3に示すように、「ブロック及びテークル」プーリシステムによって反動質量に結合されたバネである。このようなシステムでは、プーリシステムの比を増加させることによって、バネの剛性(スティフネス)が増加し、バネの変位(移動量)が減少する。短くて強いバネを構成するのは、長くて弱いバネを構成するのよりも非常に簡単である。また、このような短くて強いバネをWECのブイの中に嵌めるのは簡単である。たとえ適切な力−変位特性を具えた長いバネを構成するのが可能であっても、バネ及び反動質量によって占められるWECブイの容積によりWECブイが長くなり、その流体力学的性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0027】
図3に示す本発明を実施するWECでは、フロート(10)が海底(11)に緩く固定されており、波とともに上下動し得る。「反動」質量(20)が、シェル(10)の中に収容されている。その動きが1組の低摩擦レール又はガイド(13)によって案内される。1組のエンドストッパ(下部ストッパ15及び上部ストッパ17)によって、反動質量の動きが制限されるが、それらは、バネ又はダンパのセット(15,17)又はそれらの組み合わせとすることができる。反動質量(20)は、1組のプーリを通るケーブル又はロープに「振動子」バネ(30)を繋ぐケーブル(19)又はロープに接続される。振動子バネ(30)は、一端が(プーリ構成を介して)ケーブル(19)の一端に接続されており、その他端がフロート(10)に接続されている。
【0028】
バネ定数(k)の最適値を設定することができる。(図3に示すように)4:1のプーリのマルチプリケーション比(multiplication ratio)を用いる場合、バネの長さを短くすることができ、プーリのマルチプリケーション比の分だけバネ定数を大きくさせることが可能である。利点は、所要のバネの長さはプーリが無い場合の4分の1である。さらに、所望の場所に反動質量(20)の釣り合い位置を移動させる方法で振動子バネ(30)のフロート(10)への接続ポイントの位置を調整することが実用的である。例えば、慣性質量を具えたプーリシステム及びバネを搭載できる。この質量は、初めはフロートの低部にある。バネが張力を保持しながら、質量が所望の釣り合い位置に位置するように質量が上昇してケーブルが短くなる。プーリ及びバネの多くの代替的な配置がある。
【0029】
図3A及び3Bを使用して本発明を実施する図3のシステムの動作を示す。図3Aは静止状態のシステムを示す。このような状態では、バネ30aが梁301の中間点315と固定点313との間に繋がれており、片持ちアーム301が端点311で固定されている。質量20aが片持ち梁301の他方の端点317に取り付けられている。この図は、点311と点315との間の距離d1と、点315と点317の間の距離d2とを示す。概念的及び実際には、バネを中間点に取り付ける必要がない;すなわちd1はd2と等しくなくてもよい。
【0030】
図3Bは、質量20aが距離「2x」だけ下動し、バネ30aが距離「x」だけ伸長している場合を示す。d1とd2との比を変えることにより、バネの変位が反動質量の変位の可変関数になることが図から明らかである。しかしながら、本発明を実施する全ての例において、質量の直線変位は、バネの有効変位よりも常に大きい。
【0031】
フロート(10)及び/又は反動質量(20)の急激な加速によりケーブル(19)が弛んだりプーリの中に詰まったりしないように、プーリシステム及び質量を構成してもよい。
【0032】
図4は、フロート(10)と質量(20)との間にシザー機構(50)が設置されたシステムを示す。バネ(30a及び30b)のセットがフロートの上部とシザー機構の選択ポイントとの間に繋がれている。所要のバネ力は、1つの長いバネのバネ力にシザー機構の機械力のマルチプリケーション比(multiplication ratio)を乗じたものに等しい。バネの長さが同じ比の分だけ短くなる。また、バネをシザーアッセンブリの異なるポイント(例えば、下部)に取り付けることができる。
【0033】
図5は、比較的短いバネが非常に長いバネと同じように機能し得る別の構成を示す。このようして、バネの長さを短くしてもよい。図5では、長い梁(60a,60b)のセットを介して振動子バネ(30a,30b)を反動質量(20)に取り付けている。このような実施例では、より短くて強いバネが反動質量(20)に直接取り付けられた長くて弱いバネと同じような方法で反動質量と作用するように、バネ(30a,30b)を梁(31)の支点の近くに設置する。このような方法の利点は、所望の位置に質量の釣り合い位置を配置するように、フロートに取り付けられたバネの端部を上下させることができることである。
【0034】
油圧バネの実施例(図6)
図6は、物理的なバネを油圧シリンダ70と油圧アキュムレータ80との組み合わせで代えたものを示す。このように、大きなアキュムレータに結合された油圧シリンダを使用可能である(図6参照)。3つの代替的な油圧システム構成を図10a,10b及び10cに示す。図6及び図10aに示すような最も単純な構成では、油圧シリンダ(70)が反動質量(20)とフロート(10)との間に設けられている。油圧シリンダ(70)の1つのポート(71)が油圧アキュムレータ(80)に接続されている。(図10b及び10cに示すように、より良好な又は滑らかな動作のために油圧シリンダと油圧アキュムレータとの他の相互接続を成し得る。)所望の初期変位及び弾力性(すなわち、有効バネ剛性)を生じる方法で、アキュムレータの大きさ及び予充填を選択できる。アキュムレータの容量は弾力性を決定する。アキュムレータの予充填圧力が、機械的に負荷をかけた油圧シリンダの初期変位を決定する。
【0035】
所望の静水変位及び動作弾力性をバネに具えるためのいくつかの他の方法があることに留意されたい。
【0036】
このように、本発明は、非常に短いバネ又はバネセットによって及び/又は必要以上にスペースを取らないでバネ機能を果たすことができる装置を導入することによって、(WECを効果が無いものにする)長いバネに代えるという認識を一つに有する。さらに、バネをより短くすることによってフロートへのバネの取付点を上げて、システムの動作にとって最も良い場所に反動質量を位置決めできる。
【0037】
WECの設置前又は「乾燥」質量を最小限に抑えるために、反動質量を、WECを水中に設置してから満たす水槽とすることができる。また、WECブイバッテリを反動質量として使用できる。
【0038】
油圧シリンダ及びアキュムレータのサイズを決める方法を以下のように概説する。図11a,11b及び11cは、フロート(シェル)と反動質量との間の位相がずれた相対運動に関するシステムの動作を示しており(図11d参照)、システムのいくつかのサイジングパラメータを規定する。
K=反動質量Mとともに選択して、卓越波の周期に近い固有振動周期を与えるバネ定数(式2を参照)。
M=バネ定数Kとともに選択して、卓越波の周期に近い固有振動周期を与える反動質量(式2を参照)。
L=反動質量のストローク(又は移動距離)
g=重力加速度(9.8m/s2)
F0=静水の油圧シリンダにかかる力
F1=反動質量が上死点(top of stroke)にある場合の油圧シリンダにかかる力
F2=反動質量が下死点(bottom of stroke)にある場合の油圧シリンダにかかる力
P0=静水状態の油圧シリンダ及びアキュムレータにかかる圧力
P1=反動質量が上死点にある場合の油圧シリンダ及びアキュムレータにかかる圧力
P1=反動質量が下死点にある場合の油圧シリンダ及びアキュムレータにかかる圧力(例えば、3000psi又は180bar)
V0=静水状態の油圧アキュムレータの中のガスの容量;アキュムレータにガスを充填又は予充填して所望の結果を得ることに留意されたい。
V1=反動質量が上死点にある場合の油圧アキュムレータの中のガスの容量
V2=反動質量が下死点にある場合の油圧アキュムレータの中のガスの容量
ΔV=反動質量の最大ストロークにおける油圧シリンダのガス容量の変化
【0039】
WECが静水F0にある場合に油圧シリンダに掛かる力は、以下のように求められる:
【0040】
反動質量が上死点にある場合の油圧シリンダにかかる力F1は、以下のようになる:
【0041】
反動質量が下死点にある場合の油圧シリンダにかかる力F2は、以下のようになる:
【0042】
所望の最大圧力P2を生じる油圧シリンダの「動作」領域Acは、以下のようになる:
【0043】
式(6)の中に式(5)を代入して、シリンダの動作領域に関する以下の式を得る:
【0044】
反動質量のストローク(移動距離)にわたるアキュムレータのガス容量の変化が以下のようにして求められる:
【0045】
アキュムレータのガスが理想的な二原子気体(窒素を仮定してよい)で熱伝達が最小限の場合(すなわち、断熱)、反動質量の移動距離の各端部におけるアキュムレータの圧力及び容量は以下のような関係にある:
【0046】
γの大きさは1.4である。V2=V1−ΔVであるため、式(7),(8)及び(9)を整理して、反動質量が上死点に有る場合の大きなガス容量に関する式を得る:
【0047】
油圧アキュムレータの容量を、V1よりもわずかに大きく選択すべきである。
【0048】
トーションバネの実施例(図7及び7A)
図7及び図7Aは、従来のコイルバネ又は板バネをトーションバネに代え得ることを示す。図7では、反動質量(20)がガイドレール(13)によって鉛直方向に案内される。これらのガイドレール(13)は、反動質量(20)が上下動する際に反動質量(20)が回転しないようにする。反動質量(20)は、回転トルク及び速度にリニアの力及び速度を変換する変換機構に取り付けられている。ボールネジがこのような変換装置のうちの1つである。反動質量(20)が上下動する際に変換器が回転する。発電機が変換器に取り付けられている。質量が上下動すると、変換器が時計方向及び反時計方向に回転し、電力が発生する。また、図7では、1又はそれ以上のトーションバネが変換器に取り付けられている。バネのトルク定数が選択されて、卓越波の周期に近い固有周期をWECに与える所要のバネ定数Kを与える。反動質量(20)の直線運動の範囲を、トーションバネの角運動の範囲が非常に大きくなるようにすることが可能である。このようなケースでは、トーションバネの所要の運動範囲を減らすように、リニア回転装置(例えば、ボールネジ)間にギヤボックス(例えば、図7の符号726)を挿入することが可能である。図7Aはこのような構成を図式的に示す。トーションバネの所要の運動範囲を減らすと、トーションバネが強くなる(例えば、トーションバネの単位変位定数当たりのトルクが増加する。)。
【0049】
装置の設置
本発明を実施するためのシステムでは、WECが水面上を浮いて通過波による浮力の変化に応答するように、WECが「正の」システムの浮力を有してよい。エネルギ変換をもたらす運動を妨げないようにしつつ関心のある範囲にWECを保持するタイプの係留装置とともにWECを設置してもよい。WECが水塊のボリュームの中にとどまって通過波による流体力学上の圧力の変化に応答するように、WECが「釣り合う」システムの浮力を有してよい。このようなケースでは、WECが所望の深さに確実にとどまるようにするためのタイプのシステムとともにWECを配置する。WECを所望の深さにとどまらせるこのようなシステムはアクティブ(例えば、深さ検出器及び調整可能なバラストタンクを具えたシステム)でよく、あるいは、それはパッシブ(例えば、海底に向けて垂れるチェーン)であってもよい。
【0050】
解析結果(図8及び図9)
図8は、反動質量、バネ定数及びPTOダンピングの1つの組み合わせに関するコンピュータ・シミュレーションの結果を示す。最上段の波形(A)では、波の振幅を越える反動質量の運動の振幅を示す。2番目の波形(B)は、フロートに対する反動質量の速度を示す。3番目の波形(C)は、パワーテイクオフユニットに加えられる反動質量の力を示す。4番目の波形(D)は、本発明を実施するWECによって発生する瞬時電力を示す。
【0051】
図9は、いくつかの「海面状態」及びいくつかのブイの形態に関するいくつかのコンピュータ・シミュレーションの実行結果を示す。本実施例では、フロートの質量及びバネ定数が一定であり、反動質量の質量が変化する。図示するように、出力が、バネ定数、反動質量及び海面状態に依存する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
添付図面は、等尺に描かれてはいないが、同じ符号が同じ部品を示す。
【0053】
【図1】図1は、従来技術の波力エネルギ変換器(WEC)の一般的なバージョンである。
【図2】図2は、フロート、反動質量、PTO及び非常に長いバネを有する従来技術のWECのいくつかの形態を示す。
【図3】図3は、プーリ構成を使用して「短い」(コンパクトな)バネを使用し得る本発明を実施するWECを示す。
【図3A】図3Aは、質量及びバネが固定されている片持ち梁の簡略図を示す。
【図3B】図3Bは、例えば、質量の2Xの変位によりバネがXだけ伸長することを示す片持ち梁の簡略図を示す。
【図4】図4は、シザー機構を使用することで「短い」(小型の)バネを使用し得る本発明を実施する別のWECの理想的な図である。
【図5】図5は、片持ち梁を使用することで「短い」(小型の)バネを使用し得る本発明を実施するさらに別のWECの理想的な図である。
【図6】図6は、油圧シリンダ及びアキュムレータがバネとして機能して必要とする物理的なバネに代わる本発明を実施するさらに別のWECの理想的な図である。
【図7】図7は、ボールねじ及びトーションバネを使用して「短い」バネを与える本発明を実施するさらに別のWECの理想的な図である。
【図7A】図7Aは、ボールねじ及びトーションバネを使用して「短い」バネを与え、ギヤボックスを使用してトーションバネの角変位の範囲を減らすことで、トーションバネのトルク応答を増やす本発明を実施するWECの理想的な図である。
【図8】図8は、本発明を実施するWECに関するシミュレーション結果を示す波形図である。
【図9】図9は、本発明を実施するWECのいくつかの異なる形態について発生する出力を示す図である。
【図10a】図10aは、油圧シリンダと付随するアキュムレータとの様々な相互接続を示す、図6のシステムのパーツの理想的な表現である。
【図10b】図10bは、油圧シリンダと付随するアキュムレータとの様々な相互接続を示す、図6のシステムのパーツの理想的な表現である。
【図10c】図10cは、油圧シリンダと付随するアキュムレータとの様々な相互接続を示す、図6のシステムのパーツの理想的な表現である。
【図11】図11a−dは、様々な波浪状態に応答してフロートと反動質量との間の相対運動を生じさせる油圧シリンダ及びアキュムレータの様々な位置を示す、図6及び図10aのシステムのパーツの理想的な表現である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波力エネルギ変換器(WEC)システムであって、
水塊の波動運動に応答するシェルと、
反動質量と、前記反動質量と前記シェルとの間に結合される油圧バネ機構とを有する内部振動子であって、前記油圧バネ機構が、アキュムレータに結合された油圧シリンダを含み、前記反動質量が前記シェルの中に取り付けられ、前記シェル及び前記内部振動子が波浪状態にさらされる水塊の中に設置された場合に前記シェルに対して位相差を有して相対運動する内部振動子と、
前記シェルと前記内部振動子との間に結合され、それらの相対運動を電気エネルギに変換するパワーテイクオフ(PTO)装置とを具え、
前記PTO及び前記内部振動子が、前記水塊から全体的に隔離されるように、前記シェルの中に設置されており、
前記油圧バネ機構が、前記反動質量が前記シェル内で直線的に上下動するように取り付けられた前記反動質量に結合されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記アキュムレータが油圧アキュムレータを含み、前記油圧バネ機構が、前記油圧シリンダと前記油圧アキュムレータを相互に連結してそれらの間に流体を通過させる管路を含むことを特徴とする請求項1に記載のWEC。
【請求項3】
前記アキュムレータにガスが充填されており、前記アキュムレータの大きさが、前記油圧バネ機構の所望の初期変位及び弾力性を与えるように選択されていることを特徴とする請求項1に記載のWEC。
【請求項4】
波力エネルギ変換器(WEC)システムであって、
水塊の波動運動に応答するシェルと、
反動質量と、前記シェルに前記反動質量を結合するための油圧バネ機構とを有する内部振動子であって、前記内部振動子が前記シェルの中に取り付けられ、前記反動質量が前記シェルに対して位相差を有して相対運動するように構成され、前記シェル及び前記内部振動子が、水塊の中に設置された場合に水塊の波に応答して、前記シェルと前記内部振動子との間に相対運動が生じるよう構成された内部振動子と、
前記シェルと前記内部振動子との間に結合され、前記シェルと前記内部振動子の間の運動を電気エネルギに変換するパワーテイクオフ(PTO)装置とを具え、
前記PTO及び前記内部振動子が、前記水塊から全体的に隔離されるように、前記シェルの中に設置されており、
前記シェルと当該シェル内に収容される前記内部振動子が、水塊の表面の上下に延在するように構成され、前記反動質量が、前記シェル内で直線的に上下動するように取り付けられ、前記シェルが、水没し、前記PTO及び前記内部振動子を収容する耐水性の空洞を有するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項5】
前記WECが、前記WECが釣り合った状態で水中にとどまり得るように、前記WECの浮力を調整するための部品を有することを特徴とする請求項4に記載のWEC。
【請求項1】
波力エネルギ変換器(WEC)システムであって、
水塊の波動運動に応答するシェルと、
反動質量と、前記反動質量と前記シェルとの間に結合される油圧バネ機構とを有する内部振動子であって、前記油圧バネ機構が、アキュムレータに結合された油圧シリンダを含み、前記反動質量が前記シェルの中に取り付けられ、前記シェル及び前記内部振動子が波浪状態にさらされる水塊の中に設置された場合に前記シェルに対して位相差を有して相対運動する内部振動子と、
前記シェルと前記内部振動子との間に結合され、それらの相対運動を電気エネルギに変換するパワーテイクオフ(PTO)装置とを具え、
前記PTO及び前記内部振動子が、前記水塊から全体的に隔離されるように、前記シェルの中に設置されており、
前記油圧バネ機構が、前記反動質量が前記シェル内で直線的に上下動するように取り付けられた前記反動質量に結合されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記アキュムレータが油圧アキュムレータを含み、前記油圧バネ機構が、前記油圧シリンダと前記油圧アキュムレータを相互に連結してそれらの間に流体を通過させる管路を含むことを特徴とする請求項1に記載のWEC。
【請求項3】
前記アキュムレータにガスが充填されており、前記アキュムレータの大きさが、前記油圧バネ機構の所望の初期変位及び弾力性を与えるように選択されていることを特徴とする請求項1に記載のWEC。
【請求項4】
波力エネルギ変換器(WEC)システムであって、
水塊の波動運動に応答するシェルと、
反動質量と、前記シェルに前記反動質量を結合するための油圧バネ機構とを有する内部振動子であって、前記内部振動子が前記シェルの中に取り付けられ、前記反動質量が前記シェルに対して位相差を有して相対運動するように構成され、前記シェル及び前記内部振動子が、水塊の中に設置された場合に水塊の波に応答して、前記シェルと前記内部振動子との間に相対運動が生じるよう構成された内部振動子と、
前記シェルと前記内部振動子との間に結合され、前記シェルと前記内部振動子の間の運動を電気エネルギに変換するパワーテイクオフ(PTO)装置とを具え、
前記PTO及び前記内部振動子が、前記水塊から全体的に隔離されるように、前記シェルの中に設置されており、
前記シェルと当該シェル内に収容される前記内部振動子が、水塊の表面の上下に延在するように構成され、前記反動質量が、前記シェル内で直線的に上下動するように取り付けられ、前記シェルが、水没し、前記PTO及び前記内部振動子を収容する耐水性の空洞を有するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項5】
前記WECが、前記WECが釣り合った状態で水中にとどまり得るように、前記WECの浮力を調整するための部品を有することを特徴とする請求項4に記載のWEC。
【図1】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11】
【公開番号】特開2013−83267(P2013−83267A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−7058(P2013−7058)
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2008−543474(P2008−543474)の分割
【原出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(501063427)オーシャン パワー テクノロジーズ,インク. (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2008−543474(P2008−543474)の分割
【原出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(501063427)オーシャン パワー テクノロジーズ,インク. (24)
【Fターム(参考)】
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