説明

内部抵抗演算装置及び内部抵抗演算方法

【課題】 放電中に動作可能であって、かつ的確に蓄電素子の内部抵抗を演算する。
【解決手段】
予め求めたリチウムイオン二次電池2の電圧と充電率との相関を示す、複数のテーブルを格納するメモリ14と、メモリ14に格納された各テーブルを参照することに内部抵抗を演算するCPU13とを備え、各テーブルは、リチウムイオン二次電池2の開放電圧と充電率との相関を示す第1のテーブルと、リチウムイオン二次電池2に0.2Cの電流を流した状態における電圧と充電率との相関を示す第2のテーブルとを含み、CPU13は、テーブルのいずれかを参照して演算を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の二次電池その他の蓄電素子の内部抵抗を演算する内部抵抗演算装置及び二次電池の内部抵抗演算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池に代表される二次電池の内部抵抗は、当該二次電池の充放電能力や劣化度を知るためのパラメータとして重要である。
【0003】
二次電池の内部抵抗を求める技術の一例として、特許文献1には、無負荷状態の時点と通電状態との二点間における電圧値及び電流値をそれぞれ実測し、これら測定値を二次電池の電圧−電流特性に基づき演算することにより求めるようにした構成が開示されている(例えば段落(0093)〜(0098)、図6等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−300318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術においては、少なくとも二次電池が接続された負荷としての作業機械の非動作時に一度測定を行う必要があり、負荷の動作中に、すなわち二次電池の放電中に二次電池の抵抗値を得ることができない。更には、二次電池の分極等の原因による誤差の発生等を考慮するものでなく、演算対象である二次電池の実体に即した的確な演算を行うものとは言えないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、二次電池その他の蓄電素子の放電中に動作可能であって、かつ的確な演算を実行することができる、内部抵抗演算装置及び内部抵抗演算方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、予め求めた蓄電素子の電圧と充電率との相関を示す、複数のテーブルを格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記テーブルを参照することにより所定の充電率に対応した前記電圧値、測定された蓄電素子の電圧値及び電流値を用いて前記蓄電素子の内部抵抗を演算する演算手段とを備え、
前記テーブルは、
前記蓄電素子の開放電圧と充電率との相関を示す第1のテーブルと、
前記蓄電素子に所定値の電流が流れる状態における電圧と充電率との相関を示す単数又は複数の第2のテーブルとを含み、
前記演算手段は、前記第1のテーブル又は前記第2のテーブルのいずれかを参照して前記演算を行う、内部抵抗演算装置である。
【0008】
又、本発明の第2の側面は、前記演算手段は、
前記第1のテーブルを参照して演算を行う場合は、前記測定された電流値を用い、
前記第2のテーブルを参照して演算を行う場合は、前記測定された電流値から前記所定値分のオフセット値を減算して用いる、本発明の第1の側面の内部抵抗演算装置である。
【0009】
又、本発明の第3の側面は、前記第2のテーブルは、前記所定値が0.1Cから0.3C(C:放電容量)の範囲に含まれる値であるものを含む、本発明の第2の側面の内部抵抗演算装置である。
【0010】
又、本発明の第4の側面は、前記演算手段が参照する、前記第1のテーブルと前記第2のテーブルとの切り替えは、遅くとも前記演算手段の動作前に固定的に設定される、本発明の第1から第3のいずれかの側面の内部抵抗演算装置である。
【0011】
又、本発明の第5の側面は、負荷に脱着自在に接続され、これに電力を供給する蓄電素子と、
前記蓄電素子の管理を行う管理手段とを備え、
前記管理手段は、本発明の第1から第4のいずれかの側面の内部抵抗演算装置を有する、被充電装置である。
【0012】
又、本発明の第6の側面は、予め求めた蓄電素子の電圧と充電率との相関を示す単数又は複数のテーブルを参照することにより所定の充電率に対応した電圧値を取得する工程と、
前記取得された電圧値と、測定された蓄電素子の電圧値及び電流値とを用いて前記二次電池の内部抵抗を演算する演算工程とを備え、
前記テーブルは、
前記蓄電素子に所定値の電流が流れる状態における電圧と充電率との相関を示すテーブルを含み、
前記演算工程は、
前記テーブルを参照する場合は、前記測定された電流値から前記所定値分のオフセット値を減算して用いるものである、内部抵抗演算方法である。
【0013】
又、本発明の第7の側面は、前記テーブルは、
前記蓄電素子の開放電圧と充電率との相関を示すテーブルを更に含み、
前記演算工程は、
前記蓄電素子の開放電圧と充電率との相関を示すテーブルを参照する場合は、前記測定された電流値を用いるものである、本発明の第6の側面の内部抵抗演算方法である。
【0014】
又、本発明の第8の側面は、前記テーブルは、前記所定値が0.1Cから0.3C(C:放電容量)の範囲に含まれる値であるものを含む、本発明の第6又は第7の側面の内部抵抗演算方法である。
【0015】
又、本発明の第9の側面は、本発明の第6から第8のいずれかの側面の内部抵抗演算方法の、前記演算工程をコンピュータにより実行するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明によれば、蓄電素子の放電中に動作可能であって、かつ的確な演算を実行することができる、内部抵抗演算装置及び内部抵抗演算方法等を提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る二次電池の内部抵抗演算装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態に係る内部抵抗演算装置の動作のフローチャートを示す図
【図3】(a)本発明の実施の形態に係る内部抵抗演算装置にて用いられるV−SOC曲線を説明するための図(b)本発明の実施の形態に係る内部抵抗演算装置にて用いられるV−SOC曲線に基づき作成されたテーブルを示す図
【図4】(a)本発明の実施の形態に係る内部抵抗演算装置にて用いられるV−SOC0.2C曲線を説明するための図(b)本発明の実施の形態に係る内部抵抗演算装置にて用いられるV−SOC0.2C曲線に基づき作成されたテーブルを示す図
【図5】(a)本発明の実施の形態に係る内部抵抗演算装置の演算における電圧と電流との関係を説明するための図(b)本発明の実施の形態に係る内部抵抗演算装置の演算における電圧と電流との関係を説明するための図
【図6】本発明の実施の形態に係る被充電装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態1に係る内部抵抗演算装置1及びその近傍の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態1の内部抵抗演算装置1は、リチウムイオン二次電池2に並列接続された電圧計11と、リチウム二次電池2の経路に接続された電流計12と、CPU13、メモリ14、出力I/F15及び入力I/F16から構成される。
【0021】
電圧計11及び電流計12は、リチウムイオン二次電池2の電圧、電流をそれぞれ測定する手段であり、検知方式に寄らず周知慣用の任意の技術的手段により実施することができる。CPU13は内部抵抗演算装置1の主部であり、電圧計11及び電流計12から得たデータ及びメモリ14に記憶された、後述するV−SOC曲線及びV−SOC0.2C曲線に基づきリチウムイオン二次電池2の内部抵抗を演算する手段であり、メモリ14はCPU13が利用する、V−SOC曲線及びV−SOC0.2C曲線に基づき作成されたテーブル、演算アルゴリズムその他の各種情報を格納する手段である。
【0022】
又、出力I/FはLED、液晶ディスプレイ等により実現され、CPU13が処理する情報を利用者に対して文字、数字、図形等の映像として表示する手段であり、入力I/F16はタッチパネル、釦、キーボード等により実現され、利用者が内部抵抗演算装置1に対する操作を受付け、制御信号としてCPU13へ入力する手段である。
【0023】
又、リチウムイオン二次電池2は、正極活物質として、三成分系化合物(Li、Ni、Mn、Coを含む酸化物、例えばLiNi0.33Mn0.33Co0.33)にスピネル系化合物(Li、Mnを含む酸化物、例えばLiMn)を混合した材料を、又、負極活物質として黒鉛を、それぞれ用いている。
【0024】
又、リチウムイオン二次電池2には内部抵抗演算装置1の他に、リチウムイオン二次電池2に対して充放電を行う充放電回路3が接続されている。充放電回路3はリチウムイオン二次電池2を放電させ、図示しない外部負荷に対して電力供給を行うとともに、図示しない外部で電源を介してリチウムイオン二次電池2に充電を行うための手段である。
【0025】
以上の説明において、内部抵抗演算装置1は本発明の内部抵抗演算装置に相当し、CPU13は本発明の演算手段に相当し、メモリ14は本発明の格納手段に相当する。又、リチウムイオン二次電池2は本発明の蓄電素子に相当する。
【0026】
このような構成を有する、本発明の実施の形態の内部抵抗演算装置1の基本的動作を、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0027】
はじめに、ステップ101として、利用者は内部抵抗演算装置1の動作を開始する前に、メモリ14に格納された複数のテーブルの中から、いずれかのテーブルを使うかを選択し、設定する。
【0028】
ここでCPU13により内部抵抗の演算に用いられるテーブルの説明を行う。
【0029】
二次電池の開放電圧と充電率との相関は、図3(a)に示すV−SOC曲線により表される。V−SOC曲線は、初期状態にあるリチウムイオン二次電池2を完全充電してから放電させ、無負荷状態の放電電気量及び端子電圧を実測することにより作成するものであり、種類、容量等が同一である二次電池であれば、そのV−SOC曲線は使用状態によらず、ほぼ一定とみなしてよい。したがって、二次電池の充電率SOCを特定することにより開放電圧OCVを特定することができる。
【0030】
又、図3(b)は、図3(a)のV−SOC曲線の充電率及び電圧を一対一対応で数値化したテーブルの一例であり、メモリ14にはこのテーブルが格納されている。以下、図3(b)のテーブルが設定されたものとして説明を行う。
【0031】
ステップ102において入力I/F16に対して演算の指示入力がなされると、ステップ103として、CPU13は電流計11が常時計測する、リチウムイオン二次電池2が充放電する電流を初期状態から積算し、これに基づきSOCを演算する。
【0032】
さらに、ステップ104として、CPU13は、演算したSOCが、メモリ14に予め格納された所定値に達したかどうかを判定する。
【0033】
演算したSOCが所定値に達した場合は、ステップ105に移行し、テーブルを参照して、充電率に対応する電圧値を取得する。一方、所定値に達していない場合は、所定値に達するまで演算を継続する。ここでSOCの所定値は任意の値に定めてよいが、放電電流が一定の値域で安定するような値であることが望ましい。
【0034】
さらに、ステップ106として、CPU13は、ステップ104の所定値に対応するSOCが演算された時点で電圧計11が測定した電圧値を取得し、次いでステップ107として、ステップ106の電圧値の測定時と同一時において電流計12が測定した電流値を取得する。
【0035】
そしてステップ108として、CPU13は、ステップ105〜107でそれぞれ取得した、テーブルからの参照電圧値、電圧計11の測定電圧値、及び電流計12の測定電流値を、以下の数式(1)に基づき演算することにより、内部抵抗値を算出する。
【0036】
R=(Vsoc−Vm)/Im (1)
ただし数式(1)において、Rは内部抵抗値、Vsocは参照電圧値、Vmは測定電圧値、Imは測定電流値である。
【0037】
最後に、演算結果である内部抵抗値は、出力I/F15へ出力され、利用者に表示される。
【0038】
内部抵抗演算の基本的な動作は以上の通りであるが、本発明の実施の形態の内部抵抗演算装置1は、メモリ14に複数のテーブルを格納し、それら複数のテーブルのいずれかを選択して演算に用いることを特徴とする。
【0039】
すなわち、上記ステップ101における利用者が選択可能なテーブルとして、メモリ14にはV−SOC曲線に基づき作成されたテーブルの他に、図4(b)に示す、V−SOC0.2C曲線に基づき作成されたテーブルが格納されている。
【0040】
ここでV−SOC0.2C曲線は、初期状態にあるリチウムイオン二次電池2を完全充電してから放電させ、放電電気量及び端子電圧を実測することにより作成する点は図3(a)のV−SOC曲線と同様であるが、開放電圧ではなく、電流値0.2C(A)の電流が充電又は放電される状態における電圧(以下、0.2C電圧と称す)と充電率SOCとの相関を示した点が異なる。ここでCとはリチウムイオン二次電池2の放電容量であって、0.2Cとは、放電容量の0.2倍の電流が流れることを示す。図4(a)に示すV−SOC0.2C曲線の例のように、通電時における電圧は開放電圧に比して若干低くなっている。
【0041】
このようなV−SOC0.2C曲線に基づき作成されたテーブルを、選択、設定した内部抵抗演算の動作は、ステップ102〜107まではV−SOC曲線の場合と同様にして行われる。
【0042】
引き続き行われるステップ108においては、以下の数式(2)に基づく演算がなされる。
【0043】
R=(Vsoc−Vm)/Im−0.2C (2)
ここで0.2Cは、V−SOC0.2C曲線作成時の放電電流の電流値である。
【0044】
すなわち、通常のV−SOC曲線に基づく内部抵抗の演算は、図5(a)に示すように、電圧変化の二点の一方の基準電圧を開放電圧に定めているため、電流の変化は、実測した電流値がそのまま用いられるのに対し、V−SOC0.2C曲線に基づく内部抵抗の演算は、図5(b)に示すように、電圧変化の一方の基準電圧を通電状態の電圧に定めているため、これに追従して電流の変化は、実測した電流値から通電状態の電流の電流値に相当する0.2Cをオフセット値として減算する。
【0045】
このようなV−SOC0.2C曲線に基づくテーブルを用いることは、実際のリチウムイオン二次電池の使用状態に近い状態であることから、V−SOC曲線に基づくテーブルを用いた場合よりも、演算精度を高めることができる。又、V−SOC曲線を用いた場合は、実際には演算した内部抵抗値Rから活性化分極相当分の分極補正を行う必要があるが、この補正を省くことができ、かつ演算精度の向上が期待される。
【0046】
なお、ステップ101におけるテーブルの選択、設定は、利用者の操作により、遅くともステップ102の測定開始までに行っておけばよいが、例えば工場出荷段階等の、早期において設定し、以後は固定しておくことが望ましい。例えば、リチウム二次電池2を含めた被充電装置が電源装置等の半固定的に設置して用いられる設備である場合は、メンテナンス時の操作の手間を省くことができる。
【0047】
又、ステップ106及びステップ107の実行順序は逆であっても良いし、平行して同時に実行されてもよい。更に、これらステップがステップ105と平行して同時に実行されてもよい。
【0048】
このように、本実施の形態の内部抵抗演算装置によれば、V−SOC曲線に基づく容量率と開放電圧の相関を示すテーブルと、V−SOC0.2C曲線に基づく容量率と通電状態の電圧の相関を示すテーブルとのいずれかを参照して、それぞれのテーブルに応じて内部抵抗値を演算する。
【0049】
内部抵抗の演算に用いる基準となる一方の電圧をV−SOC曲線に基づき得るとともに、複数のテーブルを適宜選択可能に用いるようにしたことで、二次電池の放電中に動作可能であって、かつ的確な演算を実行することができることが可能となる。
【0050】
なお、上記の説明においては、本発明の内部抵抗演算装置における第1のテーブル及び第2のテーブル、又は本発明の内部抵抗演算方法における蓄電素子の開放電圧と充電率との相関を示すテーブル及びテーブルとして、メモリ14にV−SOC曲線に基づくテーブルと、V−SOC0.2C曲線に基づくテーブルとの2種のテーブルとをそれぞれ備えるものとしたが、本発明の第2のテーブル又はテーブルは、二次電池に所定値の電流が流れる状態における電圧と充電率との相関を示すものであればよい。したがって、0.2Cに限らず、任意の値を設定した電圧に基づくテーブルを備えた構成としてもよい。この場合、電流値はα×C(A)で表される。ここでαは任意の正の実数であり、Cは放電容量を示す。ただし、内部抵抗に与える影響を避けるため、放電電流より小さな電流であることが望ましく、特にαは0.1〜0.3、すなわち電流の所定値が0.1C〜0.3Cの範囲内に収まることが望ましい。また、内部抵抗の演算に際しては、テーブル作成時に流れた電流の電流値を測定電流値からオフセット値として減算するようにする。
【0051】
又、上記の説明においては、本発明の内部抵抗演算装置における第2のテーブル又は本発明の内部抵抗演算方法におけるテーブルは、V−SOC0.2C曲線に基づくテーブル1つであるとしたが、互いに異なる電流値の電流を流した状態における電圧と充電率との相関を示す、複数のテーブルであるとしてもよい。こちらの場合も、内部抵抗の演算に際しては、それぞれのテーブル作成時に流した電流の電流値を測定電流値からオフセット値として減算するようにする。更に、本発明の内部抵抗演算方法は、V−SOC0.2C曲線に基づくテーブルのような、二次電池に、所定値の電流が流れる状態における電圧と充電率との相関を示すテーブルを単体で用いたものとして実施してもよい。
【0052】
これらの構成によれば、内部抵抗の演算対象となる二次電池の種類、定格等に柔軟に対応することが可能となる。
【0053】
又、上記の説明においては、本発明の蓄電素子はリチウムイオン二次電池であるとしたが、電気化学反応により充放電可能な電池であれば、ニッケル水素電池その他各種の二次電池を用いてもよい。さらに電気二重層キャパシタのように、電気を直接電荷として蓄積する方式の素子であってもよい。要するに、本発明の蓄電素子は、充放電可能に電気を蓄積可能な素子であれば、その具体的な方式によって限定されるものではない。
【0054】
又、上記の実施の形態においては、内部抵抗演算装置は電圧計11及び電流計12を含んだ構成としたが、これらの構成は、リチウムイオン二次電池2が有する保護回路やリチウムイオン二次電池2により動作する被充電装置側に組み込まれたものを利用してもよく、したがって、電圧計11及び電流計12は省略してもよい。
【0055】
又、上記の実施の形態においては、内部抵抗演算装置を中心に説明を行ったが、本発明は、図6に示すように、被充電装置として実現してもよい。図6に示すように、被充電装置60は、リチウムイオン二次電池2に相当する電池部61と、電池部61を内蔵し、これより電力の供給を受けて動作する負荷62と、電池部61への充放電制御を管理する、充放電回路3及び内部抵抗演算装置1に相当する、本発明の管理手段としての管理部63とを備える。負荷62としては、電気自動車、情報通信装置その他直流電源にて動作する任意の機械類を用いることができる。又、被充電装置60に対して、電池部61は脱着可能となっている。
【0056】
なお、負荷62は被充電装置61の外部に設け、被充電装置60は外部へ電力を取り出す構成としてもよい。この場合、本発明の被充電装置は電源装置として実現されることになる。
【0057】
又、本発明は、上述した本発明の容量演算方法の全部又は一部の工程の動作をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムであってもよく、当該プログラムが、コンピュータにより読み取り可能且つ読み取られた当該プログラムがコンピュータと協動して前記動作を実行する記録媒体に記録された態様であってもよい。
【0058】
なお、本発明の上記「一部の工程」とは、それらの複数の工程の内の幾つかの工程を意味し、あるいは、一つの工程の内の一部の動作を意味するものである。
【0059】
又、本発明のプログラムの一利用形態は、記録媒体に担持された状態でコンピュータにより読みとられ、当該コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。ここでコンピュータとは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。又、記録媒体とは、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク、不揮発性メモリその他、本発明のプログラムを、外部からのアクセス可能であって固定的に担持可能な媒体を意味するものである。
【0060】
したがって、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現してもよいし、ハードウェア的に実現してもよい。
【0061】
要するに、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば、以上説明したものを含め、上記各実施の形態に種々の変更を加えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のような本発明は、蓄電素子の放電中に動作可能であって、かつ的確な演算を実行することができる効果を有し、例えば電気自動車その他の被充電装置において用いられる二次電池等の使用において有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 内部抵抗演算装置
2 リチウムイオン二次電池
3 充放電回路
11 電圧計
12 電流計
13 CPU
14 メモリ
15 出力I/F
16 入力I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め求めた蓄電素子の電圧と充電率との相関を示す、複数のテーブルを格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記テーブルを参照することにより所定の充電率に対応した前記電圧値と、測定された蓄電素子の電圧値及び電流値とを用いて前記蓄電素子の内部抵抗を演算する演算手段とを備え、
前記テーブルは、
前記蓄電素子の開放電圧と充電率との相関を示す第1のテーブルと、
前記蓄電素子に所定値の電流が流れる状態における電圧と充電率との相関を示す単数又は複数の第2のテーブルとを含み、
前記演算手段は、前記第1のテーブル又は前記第2のテーブルのいずれかを参照して前記演算を行う、内部抵抗演算装置。
【請求項2】
前記演算手段は、
前記第1のテーブルを参照して演算を行う場合は、前記測定された電流値を用い、
前記第2のテーブルを参照して演算を行う場合は、前記測定された電流値から前記所定値分のオフセット値を減算して用いる、請求項1に記載の二次電池の内部抵抗演算装置。
【請求項3】
前記第2のテーブルは、前記所定値が0.1Cから0.3C(C:放電容量)の範囲に含まれる値であるものを含む、請求項2に記載の二次電池の内部抵抗演算装置。
【請求項4】
前記演算手段が参照する、前記第1のテーブルと前記第2のテーブルとの切り替えは、遅くとも前記演算手段の動作前に固定的に設定される、請求項1から3のいずれかに記載の内部抵抗演算装置。
【請求項5】
負荷に脱着自在に接続され、これに電力を供給する蓄電素子と、
前記蓄電素子の管理を行う管理手段とを備え、
前記管理手段は、請求項1から4のいずれかに記載の内部抵抗演算装置を有する、被充電装置。
【請求項6】
予め求めた蓄電素子の電圧と充電率との相関を示す単数又は複数のテーブルを参照することにより所定の充電率に対応した電圧値を取得する工程と、
前記取得された電圧値と、測定された蓄電素子の電圧値及び電流値とを用いて前記二次電池の内部抵抗を演算する演算工程とを備え、
前記テーブルは、
前記蓄電素子に所定値の電流が流れる状態における電圧と充電率との相関を示すテーブルを含み、
前記演算工程は、
前記テーブルを参照する場合は、前記測定された電流値から前記所定値分のオフセット値を減算して用いるものである、内部抵抗演算方法。
【請求項7】
前記テーブルは、
前記蓄電素子の開放電圧と充電率との相関を示すテーブルを更に含み、
前記演算工程は、
前記蓄電素子の開放電圧と充電率との相関を示すテーブルを参照する場合は、前記測定された電流値を用いるものである、請求項6に記載の内部抵抗演算方法。
【請求項8】
前記テーブルは、前記所定値が0.1Cから0.3C(C:放電容量)の範囲に含まれる値であるものを含む、請求項6又は7に記載の内部抵抗演算方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれかに記載の内部抵抗演算方法の、前記演算工程をコンピュータにより実行するためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−44733(P2013−44733A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185232(P2011−185232)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】