説明

内部構造測定装置

【課題】プローブを高精度で位置決めすることができ、且つ測定作業を効率よく実施することができる内部構造測定装置を提供することを課題とする。
【解決手段】内部構造測定装置は、プローブ及び一対のカメラを備えたロボットと、測定部位の3次元座標を記憶する記憶手段と、一対のカメラで得た画像を解析し座標に基づく測定部位の予想存在位置と現実存在位置とのずれを解消する補正値を求めると共にプローブ信号を受け部材の内部構造の評価を行う画像処理手段と、補正値によりロボット動作を補正する動作制御手段とを有する。
【効果】記憶手段と動作制御手段は、測定部位の3次元座標から焦点までのずれ量を検出させ(ST04)、ずれ量がゼロかどうかを確認させ(ST05)、ずれ量を補正させ(ST06)、一定距離プローブを移動させる(ST07)。よってプローブを高精度で位置決めすることができ、且つ測定作業を効率よく実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定部材の内部構造を測定する内部構造測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定部材の内部構造を測定する装置として磁気センサ内蔵型のプローブを備えた内部構造測定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−300879公報(図2)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図8は従来の技術の基本原理を説明する図であり、(a)において、プローブ100は、内部構造測定装置に用いられる磁気センサ内蔵型プローブである。また、プローブ100は、重ね合わせた2枚の鋼板101、102をスポット溶接した後の鋼板101の表面に置かれくぼみ103の位置を確認する窓104を備えている角パイプ状のベース部105と、このベース部105の上面106でばね107を介して支持されベース部105の上端部に上下方向に移動自在に嵌められていると共に下端部108に励磁部及び磁気センサを備えている角柱状のセンサ部109と、このセンサ部109の上部に取り付けられベース部105の上端鍔111に接触する下端鍔112を下端に備えているカバー部113と、からなる。
【0004】
先ず作業者は、窓104からくぼみ103の位置を目114で見て、プローブ100を位置決めする。次に、カバー部113を白抜き矢印(1)のように下げることでセンサ部109も白抜き矢印(2)のように下がるので、センサ部109の下端115が鋼板101の表面に接触する。これにより、センサ部109の励磁部によって鋼板101が磁化され、磁化された鋼板101の磁束密度の変化をセンサ部109の磁気センサで検出することができる。この検出信号をデータ処理することでナゲット116の径を求めることができる。
【0005】
しかし、特許文献1のプローブ100の位置決めは、作業者の目視により決定されるため、測定対象が車体のようにくぼみ103を大量に有するものである場合には、くぼみ103に対してプローブ100を所定の位置に置けないことがある。具体的には、(b)に示すようにくぼみ103の中心線117からプローブ100の中心軸118がL1だけずれることがある。
【0006】
上記のようにプローブ100がくぼみ103からずれた位置に置かれた状態でナゲット116の径を求めると、適当な測定結果が得られないので測定をやり直す必要がある。このような測定のやり直しは、適当な測定結果が得られるまで実施されるので、作業効率を低下させる虞がある。
【0007】
そのため、プローブを高精度で位置決めすることができ、且つ測定作業を効率よく実施することができる内部構造測定装置の開発が求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、プローブを高精度で位置決めすることができ、且つ測定作業を効率よく実施することができる内部構造測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明では、被測定部材の内部構造測定装置において、この内部構造測定装置は、前記被測定部材に接触させることにより測定部位の磁束密度の変化を検出するプローブと光軸が交わるように配置された少なくとも一対のカメラとを備えたロボットと、前記測定部位の3次元座標をあらかじめ記憶する記憶手段と、前記一対のカメラから得られる出力画像を解析して、前記測定部位の3次元座標に基づく測定部位の予想存在位置と現実の測定部位の存在位置とのずれを解消する補正値を算出すると共に前記プローブからの出力信号を受けて前記被測定部材の内部構造の評価を行う画像処理手段と、前記補正値に基づいて前記ロボットの動作を補正する動作制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、プローブ及び一対のカメラは、同一のブラケットに取り付けられ、このブラケットがロボットに装着されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明では、測定部位は、スポット溶接された鋼板表面に形成されたくぼみであることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、プローブの信号出力部及び一対のカメラの信号出力部から画像処理手段までを繋ぐ信号伝達経路の一部は、無線方式にしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、一対のカメラの近傍に、発光手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、内部構造測定装置は、画像処理手段で算出された補正値に基づいて動作制御手段でロボットを動作させるので、測定部位の3次元座標に基づく測定部位の予想存在位置と現実の測定部位の存在位置を示す測定部位に対する一対のカメラの焦点とにずれが生じた場合でもずれを解消することができる。測定部位の予想存在位置の3次元座標と一対のカメラの焦点が合致した後は、一対のカメラの焦点からプローブの中心軸までの距離分だけプローブを移動させれば、測定部位の3次元座標に対するプローブの位置決めが完了する。このように、測定部位の3次元座標から一対のカメラの焦点までのずれを解消した後にプローブの位置決めを実施するので、プローブを高精度に測定部位に位置決めすることができる。
【0015】
また、プローブを高精度に位置決めすることができれば、測定では適当な測定結果を得ることができるため、測定をやり直す必要がない。すなわち、測定作業を効率よく実施することができる。請求項1によれば、プローブを高精度で位置決めすることができ、且つ測定作業を効率よく実施することができる内部構造測定装置を提供することができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、プローブ及び一対のカメラは、同一のブラケットに取り付けられ、このブラケットがロボットに装着されているので、プローブと一対のカメラの相対距離を正確に保つことができる。そのため、プローブの位置決め精度を向上させることができる。また、プローブと一対のカメラの相対距離を変更したい場合、相対距離の調整を容易に実施することができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、測定部位は、スポット溶接された鋼板表面に形成されたくぼみであるので、ナゲット径を測定することができる。これにより、スポット溶接の品質を向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、プローブの信号出力部及び一対のカメラの信号出力部から画像処理手段までを繋ぐ信号伝達経路の一部は、無線方式にした。例えばプローブにケーブルが接続されていると、ロボットを動作させたときに誤って被測定部材にケーブルを接触させてしまうことがある。被測定部材にケーブルが接触すると、ケーブルは損傷するので、プローブから画像処理手段への信号伝達が滞る虞がある。この点、本発明ではプローブの信号出力部及び一対のカメラの信号出力部から画像処理手段までを繋ぐ信号伝達経路の一部を無線方式にしたので、プローブ及び一対のカメラから画像処理手段への信号伝達の安定化を実現することができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、一対のカメラの近傍に、発光手段を設けたので、一対のカメラから得られる出力画像がより鮮明になる。そのため、より正確な測定部位の3次元座標を算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。また、以下では被測定部材の内部構造は、重ね合わせた2枚の鋼板をスポット溶接することにより鋼板間に形成されるナゲットを例にして説明する。
【0021】
図1は本発明に係る内部構造測定装置の構成図であり、内部構造測定装置10は、床11に設けられているロボット12と、このロボット12のアーム13の先端に取り付けられているブラケット20(詳細後述)と、このブラケット20の中央に取り付けられているプローブ30(詳細後述)と、ブラケット20の両端に取り付けられている一対のカメラ40、50(詳細後述)と、ロボット12とプローブ30と一対のカメラ40、50とに接続されている制御部70(詳細後述)と、で構成される。
【0022】
制御部70は、一対のカメラ40、50にケーブル73、73を介して接続され一対のカメラ40、50から得られる出力画像を解析して、測定部位の3次元座標に基づく測定部位の予想存在位置と現実の測定部位の存在位置とのずれを解消する補正値を算出する例えば画像処理手段としてのパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと記す。)74と、測定部位の3次元座標をあらかじめ記憶する例えば記憶手段としてのメモリ96とロボット12にケーブル71を介して接続され補正値に基づいてロボット12の動作を補正する例えば動作制御手段としてのコントローラ97とを備えているコントロールユニット72と、プローブ30に無線75を介して接続されプローブ30からの無線信号を受け取る無線インターフェース76と、この無線インターフェース76に接続されスポット溶接によって重ね合わせた2枚の鋼板間に形成されるナゲットの径を計算すると共にナゲット径の評価を行う例えばもう一つの画像処理手段としてのパソコン77と、からなる。
【0023】
なお、画像処理手段はパソコン74とパソコン77とで構成したが、1台のパソコンに集約してもよい。
また、画像処理手段はパソコンを適用したが、この他にデータの演算、記憶、表示等ができる機器であれば適用できるため、機器がパソコンに限定されるものではない。
【0024】
加えて、プローブ30の信号出力部及び一対のカメラ40、50の信号出力部から画像処理手段までを繋ぐ信号伝達経路の一部は、無線方式にしたことを特徴とする。具体的には、プローブ30の信号出力部とパソコン77との間を無線75で繋いだ。プローブ30にケーブルが接続されていると、ロボット12を動作させたときに誤って被測定部材にケーブルを接触させてしまうことがある。被測定部材にケーブルが接触すると、ケーブルは損傷するので、プローブ30からパソコン77への信号伝達が滞る虞がある。この点、本発明ではプローブ30からパソコン77までを繋ぐ信号伝達経路の一部を無線方式にしたので、プローブ30からパソコン77への信号伝達の安定化を実現することができる。
【0025】
なお、実施例では信号伝達経路の無線方式を無線75に適用したが、ケーブル73、73に無線方式を適用してもよい。
【0026】
78はティーチング用操作盤、79は車体、81は台車、82はレール、83は台車側爪部材、84はコンベヤ、85はコンベヤ側爪部材である。
【0027】
図2は図1の2部拡大図であり、一対のカメラ40、50は、車体(図1の符号79)の鋼板表面86に向かって2方向から見ることで2つの光軸87、88の先端が交わるように光軸87と光軸88とがV字をなし、このV字の谷が焦点89になるようにブラケット20の両端に取り付けられている。また、一対のカメラ40、50の高さH1は、ロボット(図1の符号12)のティーチング時に作業者が画像処理機器(図1の符号74)のディスプレイ(図1の符号91)で鋼板表面86を見て決定する高さである。
【0028】
さらに、カメラ50は、ブラケット20の右側に取付台51を介して取り付けられているCCDカメラ52と、このCCDカメラ52の先端に取り付けられているレンズ53と、このレンズ53の中間部を覆うように取付台51に取り付けられている例えば発光手段としてのLED照明54と、CCDカメラ52の後端に取り付けられているチューブ継手55と、このチューブ継手55に接続されケーブル(図1の符号73)を保護するチューブ56と、で構成される。
【0029】
したがって、一対のカメラ40、50の近傍に、発光手段としてのLED照明54を設けたことを特徴とする。そのため、一対のカメラ40、50から得られる出力画像がより鮮明になるので、より正確な測定部位の3次元座標を算出することができる。
【0030】
なお、発光手段はLED照明54に限らず、半導体レーザ照明であってもよい。
【0031】
57はロボットのアーム側フランジ、58はブラケット側フランジ、59はボルト、61はねじ、62はボルトである。なお、カメラ40の構成は、カメラ50と同様であるため、カメラ40の構成の説明は省略する。
【0032】
図3は図2の3矢視図であり、プローブ30は、鋼板表面86に接触させることにより鋼板の測定部位の磁束密度の変化を検出するものであり、ブラケット20の先端にガイド部材31を介してアーム13の軸方向に移動自在に取り付けられている。また、プローブ30の先端部32とガイド部材31との間には、アーム13の軸方向に沿って衝撃緩衝部材33、33が設けられている(衝撃緩衝部材33は全部で4個取り付けられている。図2参照)。そして、衝撃緩衝部材33は、例えばショックアブソーバ34とばねとしての圧縮コイルばね35とで構成されている。36はボルト、37はケーブルである。
【0033】
なお、衝撃緩衝部材33に用いられるばねは、圧縮コイルばねで説明したが、この他に板ばねや空気ばねを適用することができるため、一般のばねを適用することは差し支えない。
【0034】
前述の構成に加えて、カメラ50は、焦点89がプローブ30の中心軸38から一定の距離W1離れて、ブラケット20に支持部材39を介して取り付けられている。
【0035】
図4は本発明のブラケットの斜視図であり、プローブ30及び一対のカメラ40、50は、同一のブラケット20に取り付けられ、このブラケット20がロボット(図1の符号12)のアーム13の先端に装着されていることを特徴とする。
【0036】
プローブ30と一対のカメラ40、50の相対距離(図3の符号W1)を正確に保つことができるため、プローブ30の位置決め精度を向上させることができる。また、プローブ30と一対のカメラ40、50の相対距離を変更したい場合、相対距離の調整を容易に実施することができる。
【0037】
以上の構成からなる内部構造測定装置10の作用を次に説明する。具体的には、一対のカメラの焦点合わせ及びプローブの中心軸の位置決めについて説明する。
【0038】
図5は測定部位の3次元座標に一対のカメラの焦点を合致させるまでの作用図であり、(a)の被測定部材は、搬送中の車体水平部の鋼板の断面を示す。プローブ30と一対のカメラ40、50を車体(図1の符号79)の鋼板表面86に臨ませ、一対のカメラ40、50が鋼板表面86のくぼみ92を見ている。
【0039】
(b)は(a)のくぼみ92を3次元で示した図であり、図右斜め下に向かっている軸をx軸、右斜め上に向かっている軸をy軸、上に向かっている軸をz軸とする。また、点93はxyz座標の原点であると共に測定部位の3次元座標としてのくぼみ92の中心点である。このくぼみ92の中心点93に一対のカメラ40、50の焦点を合致させるように、ティーチングでロボット(図1の符号12)に中心点93の3次元座標をあらかじめ記憶させておく。
【0040】
しかしながら、現実に一対のカメラ40、50でくぼみ92を撮影してみると、一対のカメラ40、50の焦点89はくぼみ92が搬送中の車体上にあるので、原点で且つくぼみ92の中心点である点93から、x軸方向にx1だけ離れ、y軸方向にy1だけ離れ、z軸方向にz1だけ離れている。すなわち、あらかじめ予想されたくぼみ92の位置を原点とした場合、一対のカメラ40、50の焦点89は、原点である点93から座標(−x1、y1、z1)だけずれている。
【0041】
焦点89を現実のくぼみ92の中心点93に合致させるために、(c)に示すように、一対のカメラ40、50を矢印(1)、(1)のように移動させる。すなわち、一対のカメラ40、50で見たリアルタイムの画像データとあらかじめロボットにティーチングで記憶させた測定部位の3次元座標とを比較し、ずれ量を算出し、そのずれ量の補正をロボットに実施させる。
【0042】
その結果、(d)に示すように、くぼみ92の中心点93に焦点89が合致した。すなわち、一対のカメラによる測定部位の3次元座標への焦点合わせが完了した。
【0043】
図6はプローブを測定部位に接触させるまでの作用図であり、(a)はプローブと一対のカメラの平面図である。前述したとおり焦点合わせが完了したので、プローブ30を矢印(2)のように一定の距離W1だけ移動させる。
【0044】
(b)に示すように、くぼみ92の中心点にプローブ30の中心軸が合致した。すなわち、測定部位の3次元座標へのプローブの位置決めが完了した。
【0045】
(c)に示すように、プローブ30を鋼板表面86に向けて矢印(3)のように前進させる。プローブ30を鋼板表面86に接触させることで、スポット溶接後のくぼみ92の内部に形成されたナゲット94の径を測定することができる。
【0046】
ここで、測定部位は、スポット溶接された鋼板表面に形成されたくぼみ92であることを特徴とする。そのため、ナゲット径を測定することができる。これにより、スポット溶接の品質を向上させることができる。
次に、制御部70の指令に基づいた内部構造測定装置の作用を説明する。
【0047】
図7は本発明に係る内部構造測定装置のフロー図であり、ST01において、ロボットのティーチングが済みであるか否かを確認し、YESならST03に進み、NOならST02に進む。
ST02において、ロボットのティーチングを実施する。
【0048】
ST03において、測定部位の予想存在位置の3次元座標が一対のカメラで得られる出力画像の中心になるように、一対のカメラを測定部位に移動させる。具体的には、図5(a)に示すように、一対のカメラ40、50を車体(図1の符号79)の鋼板表面86に臨ませる。
【0049】
ST04において、測定部位の3次元座標から焦点までのずれ量を検出する。具体的には、図5(b)に示すように、測定部位の3次元座標としてのくぼみ92の中心点で且つ原点である点93に対する焦点89の座標(x、y、z)を算出する。
【0050】
ST05において、測定部位の3次元座標から焦点までのずれ量がゼロであるか否かを確認し、YESならST07に進み、NOならST06に進む。
【0051】
ST06において、測定部位の3次元座標から焦点までのずれ量を補正する。具体的には、焦点をくぼみの中心点に合致させるために、図5(c)に示すように、一対のカメラ40、50を矢印(1)、(1)のように移動させる。
【0052】
ST07において、一定の距離だけプローブを移動させる。具体的には、図6(a)に示すように、プローブ30を矢印(2)のように一定の距離W1だけ移動させる。
【0053】
ST08において、プローブを前進させる。具体的には、図6(c)に示すように、プローブ30を鋼板表面86に向けて矢印(3)のように前進させる。
【0054】
ST09において、測定部位の磁束密度の変化を検出する。
ST10において、ナゲット径の評価を行う。具体的には、図1に示すパソコン77のディスプレイ(図1の符号95)にナゲット径を表示する。
【0055】
以上から図1において、内部構造測定装置10は、被測定部材に接触させることにより測定部位の磁束密度の変化を検出するプローブ30と光軸が交わるように配置された少なくとも一対のカメラ40、50とを備えたロボット12と、測定部位の3次元座標をあらかじめ記憶する記憶手段としてのメモリ96と、一対のカメラ40、50から得られる出力画像を解析して、測定部位の3次元座標に基づく測定部位の予想存在位置と現実の測定部位の存在位置とのずれを解消する補正値を算出すると共にプローブ30からの出力信号を受けて被測定部材の内部構造の評価を行う画像処理手段としてのパソコン74及びパソコン77と、補正値に基づいてロボット12の動作を補正する動作制御手段としてのコントローラ97とを有することを特徴とする。
【0056】
パソコン74で算出された補正値に基づいてコントローラ97でロボット12を動作させるので、測定部位の3次元座標に基づく測定部位の予想存在位置と現実の測定部位の存在位置を示す測定部位に対する一対のカメラ40、50の焦点とにずれが生じた場合でもずれを解消することができる。測定部位の予想存在位置の3次元座標と一対のカメラ40、50の焦点が合致した後は、一対のカメラ40、50の焦点からプローブ30の中心軸までの距離分だけプローブ30を移動させれば、測定部位の3次元座標に対するプローブ30の位置決めが完了する。このように、測定部位の3次元座標から一対のカメラ40、50の焦点までのずれを解消した後にプローブ30の位置決めを実施するので、プローブ30を高精度に測定部位に位置決めすることができる。
【0057】
また、プローブ30を高精度に位置決めすることができれば、測定では適当な測定結果を得ることができるため、測定をやり直す必要がない。すなわち、測定作業を効率よく実施することができる。よって、プローブ30を高精度で位置決めすることができ、且つ測定作業を効率よく実施することができる内部構造測定装置10を提供することができる。
【0058】
尚、本発明に係る被測定部材の内部構造は、実施の形態では重ね合わせた2枚の鋼板をスポット溶接することにより鋼板間に形成されるナゲットに適用したが、この他に溶接金属中に生成される内部欠陥にも適用可能であり、一般の溶接欠陥に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の内部構造測定装置は、2枚の鋼板をスポット溶接することにより鋼板間に形成されるナゲット径の測定に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る内部構造測定装置の構成図である。
【図2】図1の2部拡大図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】本発明のブラケットの斜視図である。
【図5】測定部位の3次元座標に一対のカメラの焦点を合致させるまでの作用図である。
【図6】プローブを測定部位に接触させるまでの作用図である。
【図7】本発明に係る内部構造測定装置のフロー図である。
【図8】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0061】
10…内部構造測定装置、12…ロボット、20…ブラケット、30…プローブ、38…中心軸、40、50…カメラ、54…LED照明(発光手段)、70…制御部、72…コントロールユニット、73…ケーブル、74、77…パーソナルコンピュータ(画像処理手段)、75…無線、76…無線インターフェース、86…鋼板表面、87、88…光軸、89…焦点、92…くぼみ、93…中心点、94…ナゲット、96…メモリ(記憶手段)、97…コントローラ(動作制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定部材の内部構造測定装置において、
この内部構造測定装置は、前記被測定部材に接触させることにより測定部位の磁束密度の変化を検出するプローブと光軸が交わるように配置された少なくとも一対のカメラとを備えたロボットと、
前記測定部位の3次元座標をあらかじめ記憶する記憶手段と、
前記一対のカメラから得られる出力画像を解析して、前記測定部位の3次元座標に基づく測定部位の予想存在位置と現実の測定部位の存在位置とのずれを解消する補正値を算出すると共に前記プローブからの出力信号を受けて前記被測定部材の内部構造の評価を行う画像処理手段と、
前記補正値に基づいて前記ロボットの動作を補正する動作制御手段とを有することを特徴とする内部構造測定装置。
【請求項2】
前記プローブ及び前記一対のカメラは、同一のブラケットに取り付けられ、このブラケットが前記ロボットに装着されていることを特徴とする請求項1記載の内部構造測定装置。
【請求項3】
前記測定部位は、スポット溶接された鋼板表面に形成されたくぼみであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の内部構造測定装置。
【請求項4】
前記プローブの信号出力部及び前記一対のカメラの信号出力部から前記画像処理手段までを繋ぐ信号伝達経路の一部は、無線方式にしたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の内部構造測定装置。
【請求項5】
前記一対のカメラの近傍に、発光手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の内部構造測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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