円形板材の端面加工方法および端面加工装置
【課題】円形板材の外径寸法の精度出しを行うことができ、かつ加工単価を安くすることのできる円形板材の端面加工方法を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するための円形板材の端面加工方法は、複数の板材を厚み方向に積層することにより、円筒状部材を形成し、研磨面を構成する一対の定盤の各主面に、円筒状部材の曲面が当接するように挟み込み、前記円筒状部材に対して円周方向の回転を与えると共に、前記円筒状部材の中心軸と交差する方向への回転を与え、前記一対の定盤間に研磨剤を供給して前記円筒状部材の外周研磨を行うことで、前記板材の円形状の加工を行うことを特徴とする。
【解決手段】上記課題を解決するための円形板材の端面加工方法は、複数の板材を厚み方向に積層することにより、円筒状部材を形成し、研磨面を構成する一対の定盤の各主面に、円筒状部材の曲面が当接するように挟み込み、前記円筒状部材に対して円周方向の回転を与えると共に、前記円筒状部材の中心軸と交差する方向への回転を与え、前記一対の定盤間に研磨剤を供給して前記円筒状部材の外周研磨を行うことで、前記板材の円形状の加工を行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形板材の端面を加工する方法、およびこの加工方法を実施するための端面加工装置に係り、特に量産される円形板材の直径寸法精度の合わせ込みを行う場合に好適な円形板材の端面加工方法、および加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動片を構成するウェハー(またはチップ)は、厚み調整のためのラッピング加工(粗研磨)や、ラッピング加工後のポリッシング加工(仕上研磨)が施される。そして、ポリッシング加工を終えたウェハー(またはチップ)に対して、金属膜の形成やエッチングなどの加工を施し、水晶振動片が形成される。
【0003】
上記のようにして端面加工が施されたウェハー(またはチップ)は、主面に対してラッピング加工やポリッシング加工が施され、外径形状の形成工程や、電極膜の形成工程へと移行する。
【0004】
ここで、外径形状の形成や、電極膜の形成を行うためのエッチング工程では、ウェハー(またはチップ)を配置する枠に対するウェハー(またはチップ)の位置決め精度が問題となる。位置決め精度が悪いと、エッチングを行うためのマスクの形成位置などにズレが生ずるため、製造される振動片の特性にばらつきが生ずることとなるからである。また、ウェハー(またはチップ)の寸法は、要求される主振動を励起しやすい寸法とすると共に、不要波の重畳を抑制することのできる寸法(例えば不要波の腹が水晶振動片の端面に位置するようにした寸法)としているため、これがズレた場合には、不要波が重畳し易くなり、振動特性が悪化する。
【0005】
ウェハー(またはチップ)の位置決め精度を向上させるには、バッチ処理される各ウェハー間(またはチップ間)における寸法のバラツキを無くし、各個片における外径寸法の追い込みを行うようにすれば良いと考えられる。このため、ウェハー(またはチップ)の外径寸法の追い込みを行うことのできる研磨加工が注目される。
【0006】
ウェハーの端面(側面)に対して研磨を施すための技術としては、例えば特許文献1〜3に開示されているような技術が知られている。ここで、特許文献1、2に開示されている技術は、いずれも、切り出されたウェハーをワックス等の仮着剤によりブロック状に積層接着している。そして、積層接着したウェハーブロックの側面に、当該ウェハーブロックの長手方向に沿って回転軸が配置されたブラシ研磨機を接触させると共に研磨剤を付着させることで、ウェハー端面の一括研磨を実現している。また、特許文献3に開示されている技術は、ウェハーを積層接着する際に、ワックス等の仮着剤を用いずに、水分により積層接着を成すという点を特徴とするものである。このようにしてブロック状に積層したウェハーであっても、特許文献1や特許文献2に開示されている技術と同様に、ブラシ研磨機により端面加工が可能であり、かつウェハーブロックを分割する際に加熱等の処理を行う必要がなくなるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−310479号公報
【特許文献2】特開2006−231486号公報
【特許文献3】特開2009−178785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
確かに、上記特許文献に開示されているような方法によれば、ウェハー端面の研磨を行うことができる。しかし、上記特許文献に開示されている研磨技術はいずれもブラシ研磨である。このため、ウェハー端面(またはチップ端面)に研磨面(ブラシ先端)が接触した際には、研磨面に撓みが生ずることとなる。したがって、端面の鏡面加工は行うことができるが、外径の寸法の追い込みを行うには不向きであると考えられる。
【0009】
これに対し、研磨面を円筒研削機のように、ブラシに替えてダイヤモンド砥石のような物とすることにより、ウェハー寸法の精度出しも可能であると考えられるが、このような代替を行ったとしても、1度の加工で研磨を行うことのできるウェハーの数を増やすことができないため、加工単価の高騰が懸念されるという問題が残る。
【0010】
そこで本発明では、円形ウェハー(円形板材)の外径寸法の精度出しを行うことができ、かつ加工単価を安くすることのできる円形ウェハー(円形板材)の端面加工方法を提供すると共に、この加工方法を実施するための加工装置の提供を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]複数の円形板材を厚み方向に積層して円筒状部材を形成し、研磨面を構成する一対の定盤の各主面に、円筒状部材の曲面が当接するように挟み込み、前記円筒状部材をこの曲面の円周方向に回転させ、且つ前記円筒状部材の中心軸が前記主面に沿うようにしながら前記円筒状部材を自由移動させて、前記一対の定盤間に研磨剤を供給して前記円筒状部材の外周研磨を行うことで、前記複数の円形板材の円形状の加工を行うことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【0012】
このような特徴を有することにより、円形板材の外径寸法の精度出しを行うことができる。また、バッチ処理数を増やすことが可能となることより、加工単価を安くすることもできる。
【0013】
[適用例2]適用例1に記載の円形板材の端面加工方法であって、前記円筒状部材の挟み込みは、上定盤と下定盤を備えた研磨装置により行い、前記円筒状部材への回転付与は、前記研磨装置における前記上定盤と前記下定盤の間に挟まれて、自転と公転を付与されるキャリアに設けた保持孔に前記円筒状部材を配置することにより行うことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
このような特徴を持たせることにより、予め定められた自転と公転の割合で、円筒状部材の研磨を行うことができる。
【0014】
[適用例3]適用例2に記載の円形板材の端面加工方法であって、開口形状を矩形状とし、前記キャリアの自転中心軸を基点として放射状に配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【0015】
このような特徴を有することにより、1枚のキャリアに対して複数の円筒状部材を均等配置することができる。よって、加工効率を向上させることができ、加工単価を下げることができる。
【0016】
[適用例4]適用例3に記載の円形板材の端面加工方法であって、前記キャリアの半径方向に沿って前記矩形の長辺を配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【0017】
このような特徴を有することによれば、1枚のキャリアに対して複数の円筒状部材を均等配置することができると共に、いずれの箇所に配置した円筒状部材に対しても、均等に複数方向からの研磨が施されることとなる。
【0018】
[適用例5]適用例3に記載の円形板材の端面加工方法であって、前記キャリアの半径方向と直交する方向に前記矩形の長辺を配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【0019】
このような特徴を有することによれば、キャリアのデッドスペースを低減することができる。よって、1枚のキャリアに対してより多くの円筒状部材を配置することが可能となる。
【0020】
[適用例6]適用例2乃至適用例5のいずれか1項に記載の円形板材の端面加工方法であって、前記保持孔の寸法は、前記円筒状部材を平面視した際の外径寸法よりも大きいことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【0021】
このような特徴を有することによれば、保持孔という規制枠内においては、円筒状部材が自由回転することが可能となる。これにより、研磨面の均等化、すなわち研磨されている部分と研磨不良な部分とを自動調整して研磨面の均一化を自動で行うことが可能となる。
【0022】
[適用例7]下定盤と上定盤とから成る一対の定盤と、前記一対の定盤間に配置されて公転と自転を付与されるキャリアを有する加工装置であって、前記キャリアには、加工対象物を前記一対の定盤における研磨面に転がり接触させつつ保持するための保持孔を備えたことを特徴とする加工装置。
【0023】
このような特徴を有することによれば、上記円形板材の端面加工方法を実施することができ、円形板材の外径寸法の精度出し、および加工単価の低減を図ることができる。
【0024】
[適用例8]適用例7に記載の加工装置であって、前記保持孔は、開口形状を矩形状とし、前記キャリアの自転中心軸を基点として放射状に配置したことを特徴とする加工装置。
【0025】
このような特徴を有することにより、1枚のキャリアに対して効率的に多くの円筒状部材を均等配置することができる。よって、加工効率を向上させることができ、加工単価を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係る円筒状部材の配置形態と、キャリアの構成を示す図である。
【図2】下定盤に対するキャリアの配置形態と、自転、公転の様子を示す図である。
【図3】キャリアの保持孔に配置された円筒状部材に作用する研磨押圧力と、円筒状部材の動きを説明するための図である。
【図4】研磨装置の概略構成を示す図である。
【図5】研磨剤のダイヤ砥粒の番手を170として粗研磨を行った際の円筒状部材の直径バラツキを示すグラフである。
【図6】研磨剤のダイヤ砥粒の番手を600として仕上げ研磨を行った際の円筒状部材の直径バラツキを示すグラフである。
【図7】研磨剤のダイヤ砥粒の番手を170として粗研磨を行った後、実施形態に係る加工を行った際の円筒状部材の直径バラツキを示すグラフである。
【図8】研磨剤のダイヤ砥粒の番手を600として仕上げ研磨を行った後、実施形態に係る加工を行った際の円筒状部材の直径バラツキを示すグラフである。
【図9】水晶ブロックから円筒状部材形成までの様子を説明するための図である。
【図10】第2の実施形態に係る円筒状部材の配置形態と、キャリアの構成を示す図である。
【図11】端面研磨加工を行わない場合と、端面研磨加工を行った場合とにおける主面研磨加工時における外観不良発生率の違いを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の円形板材の端面加工方法、および加工装置に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図4を参照して、本実施形態に係る円形板材の端面加工方法(以下、単に端面加工方法と称す)を実施するための加工装置について説明する。
図4に示す研磨装置50は、サンギヤ52と下定盤54、インターナルギヤ56、上定盤58、およびスラリー供給装置80を有する。サンギヤ52は、駆動軸60の上端に、この駆動軸60に一体形成されて回転駆動されるギヤである。
【0028】
下定盤54は、サンギヤ52の外径側に配置される円環状の定盤であり、その配置中心はサンギヤ52と同芯上とされている。下定盤54は、例えば鋳鉄の板材により構成され、その上面を研磨面55としており、ポリッシング加工を行う場合には、当該面に研磨パッドを配置する構成としている。
また、下定盤54は下定盤受部62により保持されており、下定盤受部62は駆動軸64により回転駆動可能な構成とされている。
【0029】
インターナルギヤ56は、サンギヤ52の外径側に配置した下定盤54のさらに外径側に配置されるギヤであり、円環の内側にギヤを備えている。なお、インターナルギヤ56は駆動軸66に連動可能な構成とされている。
【0030】
上定盤58は、下定盤54の上方に、昇降自在に吊下される定盤である。上定盤58は、例えば鋳鉄の板材により構成され、その下面を研磨面59としており、ポリッシング加工を行う場合には、当該面に研磨パッドを配置する構成としている。また、上定盤58の昇降動作は、吊下装置68により実現される。また、上定盤58には、スラリーを供給するスラリー供給孔84が設けられ、スラリー供給孔84の一方の開口部は、研磨面59に配置される。スラリー供給孔84の他方の開口部は、上定盤58の上部に配置され、ここにスラリー供給装置80を構成するスラリー供給管82が接続される。なお、上定盤58の中心には、駆動軸70に係合可能な係合手段が設けられており、上定盤58を研磨位置(降下状態)とした際には、駆動軸70を介して回転駆動されることとなる。
【0031】
なお、上述した、サンギヤ52、下定盤受部62、インターナルギヤ56、および上定盤58を回転駆動させる各駆動軸60,64,66,70は、それぞれ独立して回転駆動することを可能な構成とすると良い。また、各駆動軸60,64,66,70の回転方向や回転速度は、研磨する対象や研磨段階等により、それぞれ適正な値が選択される。また、研磨装置50は、下定盤54を回転駆動する際に、上定盤58を停止させるタイプであってもよいし、回転駆動させるタイプであっても良い。
【0032】
このような構成の研磨装置50において、本実施形態における研磨対象である円筒状部材14は、下定盤54と上定盤58の間に配置され、サンギヤ52とインターナルギヤ56とに噛合って回動されるキャリア10に設けられた保持孔12に配置され、研磨が施される。ここで、サンギヤ52とインターナルギヤ56とに噛合うキャリア10は、サンギヤ52及びインターナルギヤ56の回転方向及び回転速度により定まる方向及び回転速度で自転しつつ公転することとなる。
【0033】
次に、上記構成とされる研磨装置による端面加工方法に係る第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る端面加工方法では、円形状平面を有する複数のウェハーまたはチップ(以下、単に円形ウェハーと称す)を積層することにより、加工対象とする円筒状部材14を構成する。図9は、水晶ブロックから本実施形態で加工する円筒状部材を形成するまでの加工方法についての説明図である。
【0034】
まず、水晶の原石から矩形断面を有するブロック状の水晶(水晶ブロック14d)を切り出す。この際、切断面が、形成する水晶振動片を構成するためのカット角と直交する面を有するように切断を行う(図9(A)参照)。次に、水晶ブロック14dを予め定められた切断面に沿って板状に切断し、大型ウェハー14cを形成する(図9(B)参照)。次に、形成した大型ウェハー14cの結晶軸方向を合わせて並べ、ワックス等の仮着剤により、厚み方向へ積層して張り合わせてブロック状(ウェハー接合ブロック14b)にする(図9(C)参照)。次に、ダイヤモンド外周刃等の切断機を用いて、円形ウェハーを構成するために定められた所定の寸法を満たすサイズに分割切断し、個片ブロック14aを構成する(図9(D)参照)。分割して得られた個片ブロック14aを、ダイヤモンド円筒研削盤等の研削機により円筒研削加工する。このようにして、円筒状部材14を構成することにより、小型、薄型化された円形ウェハーの端面(曲面)をバッチ処理することが可能となる(図9(E)参照)。
【0035】
このようにして得られた、円形ウェハーから成る円筒状部材14は、上述した研磨装置50におけるキャリア10の保持孔12に配置して、加工を施す。ここで、本実施形態におけるキャリア10は、図1(A)に示すように、外縁部にギヤを備えた略円形状を成すものである。そして、円筒状部材14を配置する保持孔12は、キャリア10の中心点(自転中心軸)を基点として、放射状に配置している。保持孔12の開口形状は、円筒状部材14の平面視形状と略相似な矩形状としている。
【0036】
また、キャリア10は、図1(B)に、同図(A)におけるA−A´断面、図1(C)に、同図(A)におけるB−B´断面を示すように、加工対象とする円筒状部材14の直径dよりも、その厚みTを薄くしている。このような構成により、加工対象である円筒状部材14を下定盤54および上定盤58の研磨面55,59に転がり接触させることができるからである。また、保持孔12の寸法は、円筒状部材14を平面視した際の寸法よりも大きくすることで、保持孔12に配置された円筒状部材14の規制枠内における自由回転を可能としている。
【0037】
保持孔12の具体的な寸法比について、円筒状部材14の直径をd、円筒状部材14の長さをl、保持孔12の幅をW,保持孔12の長さをLとして示すと次のようになる。まず、保持孔12の幅Wは、円筒状部材14の直径dに対して概ね、直径dの16%〜50%程度大きくすれば良い。また、保持孔12の長さLは、円筒状部材14の長さlに対して概ね、長さlの20%程度大きくなるようにすれば良い。なお、キャリア10の厚みTは、円筒状部材14における直径dの57%〜75%程度の厚みとすると良い。これにより、保持孔12に配置した円筒状部材14が保持孔12の中で、その規制枠内を越えない限度で自由移動(自回転および水平移動)することが可能となるからである。
【0038】
キャリア10の構成材料としては、塩化ビニール等の樹脂とすることが望ましい。加工対象とする水晶よりも軟らかい材質とすることで、円筒状部材14が保持孔12の縁部に接触した場合であっても、接触部の破損や傷の発生を抑制することができるからである。また、厚さ2mmから4mm程度において、撓みによる円筒状部材14の保持力の低下を招くことが無い部材とする必要があるため、塩化ビニール等の樹脂が適当とされる。円筒状部材14の接触等によりキャリア10が撓んでしまうと、円筒状部材14が保持孔12から転がり出てしまう可能性が生ずるからである。
【0039】
また、本実施形態で使用するキャリア10は、矩形状の開口を成す保持孔12の長辺(長手方向中心軸)を、略円形とされるキャリア10主面の半径方向に沿って配置している。このような配置形態を採ることで、1つのキャリア10に対して複数の保持孔12を配置する際、均等かつ多くの保持孔12を配置することができる。これにより、円筒状部材14の曲面加工、すなわち、円形ウェハー端面の加工効率を向上させ、1枚あたりの加工コストを低減させることが可能となる。
【0040】
上記のような構成としたキャリア10は、研磨装置50に対して図1に示すように複数配置される。研磨工程においては、サンギヤ52とインターナルギヤ56を駆動させることにより、図2において矢印aで示すように、各キャリア10に対して自転が付与されると共に、矢印bで示すように公転も付与されることとなる。なお、サンギヤ52とインターナルギヤ56との回転角速度は、任意に異ならせるようにする。キャリア10に対して自転を付与するためである。
【0041】
上記のように動作するキャリア10の保持孔12に配置された円筒状部材14は、時々刻々と変化する各配置位置において、スラリー供給装置から供給された研磨剤(スラリー)と下定盤、および上定盤との摩擦により、それぞれ次のような研磨作用を受けることとなる。なお、研磨に適した研磨剤としては、酸化セリウムを主成分としたもの(例えばセロックス(商品名))や、炭化珪素を主成分としたもの(例えばGC#2000(商品名))などを挙げることができる。
【0042】
まず、図2中A、Eの位置に存在する保持孔12に配置された円筒状部材14は、公転と上定盤58、下定盤54の回転運動の影響により、長手方向、すなわち円形ウェハーの積層方向に直交する方向に、研磨面55,59からの押し圧力を受けることとなる。このため、円筒状部材14は、その円周方向に回転させられることとなる(図3(A)参照)。ここで、円筒状部材14に対して円周方向に回転を付与するためには、研磨装置50の下定盤54と上定盤58の回転速度を異ならせるようにすると良い。速度差による押し圧力(摩擦力)の違いにより、いずれかの方向へと回転が付与されるからである。
【0043】
次に、図2中C、Gの位置に存在する保持孔12に配置された円筒状部材14は、長手方向に沿った方向に、研磨面55,59からの押し圧力を受けることとなる。このため、円筒状部材14における研磨面55,59に接触している部分は、効率的に研磨されることとなる(図3(B)参照)。
【0044】
また、図2中B、D、F、Hの位置に存在する保持孔12に配置された円筒状部材14は、研磨面55,59からの押し圧力を、長手方向に対して斜めから受けることとなる。このため、研磨面55,59に接触している部分は、図2中C、Gの位置に存在する保持孔12に配置された場合とは異なる方向から、研磨を受けることとなる(図3(C)参照)。
【0045】
このように、円筒状部材14は、円周方向に回転が付与されると共に、円形ウェハーの積層方向(円筒状部材14の中心軸)と交差する方向への回転も付与されながら、曲面の研磨加工が行われることとなる。すなわち、円筒状部材14は、自転、および公転を伴いながらランダムな方向から端面を研磨されることとなる。下定盤54と上定盤58とは共に、研磨面55,59を平坦面としていることより、円筒状部材14のウェハー積層方向の直径寸法の均一化(追い込み)を行うことができる。これらの加工後、仮着剤を除去すれば、精度良く形状加工された複数の円形板材を得ることができる。
【0046】
図5は、研磨剤のダイヤ砥粒の番手を#170として粗研磨を行った場合における円筒状部材14のウェハー積層方向における直径のバラツキを示すグラフである。なお、本図を含める以下のグラフにおいて、図中プロットのA、B、Cは、円筒状部材14の量端部(A部、C部)と、中央部(B部)の寸法を示す(図1(B)参照)。図5からは、C部の寸法バラツキが大きく(約80μm)、A〜Cの全ての部位において、約50μm以上のバラツキが生じていることを読み取ることができる。
【0047】
次に、図6は、研磨剤のダイヤ砥粒の番手を#600として仕上げ研磨を行った場合における円筒状部材14のウェハー積層方向における直径のバラツキを示すグラフである。仕上げ研磨を行うことにより、図5中のC部のような突出した寸法バラツキを無くすことができることを読み取ることができるが、全体的な寸法バラツキとしては、約50μm程度の寸法バラツキを残していることを読み取ることができる。
【0048】
これらの現状に対し、本実施形態のように、円筒状部材14に対して自転と公転を付与しながら研磨を行った場合、図7、および図8に示すような結果を得ることができた。
【0049】
図7は、研磨剤のダイヤ砥粒の番手を#170として粗研磨を行った後、上記のような転がし研磨を行った場合における円筒状部材14のウェハー積層方向における直径のバラツキを示すグラフである。図7によれば、A〜C部の全てにおいて、直径のバラツキが約20μm以内に収まっていることを読み取ることができる。これにより、振動片形成時のマスクズレや、不要振動の重畳の発生を抑制し、振動特性の良好な振動片を提供することが可能となる。
【0050】
また、図8は、研磨剤のダイヤ砥粒の番手を#600として仕上げ研磨を行った後、上記のような転がし研磨を行った場合における円筒状部材14のウェハー積層方向における直径のバラツキを示すグラフである。このような研磨形態を採ることによれば、A〜C部における直径の寸法バラツキは、約15μm以内の範囲に収めることができるということを読み取ることができる。したがって、粗研磨後に転がし研磨を行った場合と同様、あるいはそれ以上に、振動片形成時のマスクズレや不要振動の重畳の発生を抑制することができ、量産に係る振動片の振動特性の向上を図ることができる。
【0051】
なお、研磨精度は、研磨面55,59の表面粗さや平坦度に依存するが、本実施形態においては、粗研磨後の転がし研磨も、仕上げ研磨後の転がし研磨も、各研磨(粗研磨、仕上げ研磨)と同一機種により実施しているため、研磨面55,59の平坦度や表面粗さの影響による結果では無いということができる。
【0052】
次に、本発明の円形板材の端面加工方法に係る第2の実施形態について、図10を参照して説明する。なお、本実施形態に係る端面加工方法を実施する場合においても、使用する研磨装置は上述した第1実施形態で使用した研磨装置50と殆ど同じである。よって、その構成を同様とする箇所については図4を援用すると共に上記説明を援用し、詳細な説明を省略することとする。なお、本実施形態に係る端面加工方法と、第1の実施形態に係る端面加工方法との相違点としては、円筒状部材14の配置形態にある。このため、以下の説明では、研磨装置50に対する円筒状部材14の配置形態の詳細と共に、研磨装置50に対する円筒状部材14の配置形態を定めるキャリア10aの構成について説明する。
【0053】
本実施形態に係る端面加工方法では、キャリア10aの半径方向と直交する方向に、円筒状部材14の回転中心軸(長辺)が配置されるようにしている。このため、キャリア10aに形成する保持孔12も、矩形状とされる保持孔12の長辺が、キャリア10aの半径と直交する方向となるように設けられている。
【0054】
キャリア10aに設けられる保持孔12は、キャリア10aの半径方向と直交配置される長辺が平行となるように、半径方向に複数、並列配置する。これにより、キャリア10aの半径方向に複数の円筒状部材14を並列配置することが可能となり、一度の研磨加工により多くの円筒状部材14の曲面加工を可能とすることができる。また、保持孔12は、キャリア10aの回転中心を基点として、略十字状となるように半径方向に配置すると共に、この十字状に配置した保持孔12と略45度の回転角度を持った位置にも、半径方向と直交する方向に長辺を配置した保持孔12を持つようにする。このような保持孔12を配置することで、キャリア10a主面のデッドスペースを少なくし、1度の研磨処理により、より多くの円筒状部材14(円形ウェハー)の端面研磨加工を行うことができる。よって、加工単価の低減を図ることが可能となる。
なお、その他の構成、作用、効果については、上述した第1の実施形態に係る円形ウェハーの端面加工方法と同様である。
【0055】
上記実施形態においては、具体例として、キャリアの半径方向に沿って円筒状部材の長辺を配置する構成と、キャリアの半径方向と直交する方向に円筒状部材の長辺を配置する構成のみを記載した。しかしながら、本発明に係る円形板材の端面加工方法は、対を成す定盤間において、加工対象とする円筒状部材に対して自転および公転を付与しながら研磨することのできる種々の形態を含むものである。よって、キャリアに設ける保持孔の方向をランダムとした場合であっても、本発明による効果を奏することはでき、本発明の一部とみなすことができることはもちろん、キャリア以外の方法によりこれを実現させるようにしたものであっても良い。
【0056】
上記のようにして、円筒状部材14の転がし研磨を行うことにより円筒状部材14におけるウェハー積層方向の直径寸法の追い込みを行った後、研磨装置50における下定盤54の研磨面55と上定盤58の研磨面59のそれぞれに研磨パッドを配置して転がし研磨を行うことにより、円筒状部材14の端面、すなわちウェハーの端面を鏡面加工することができる。
【0057】
研磨パッドを用いた鏡面加工についても上述した実施形態と同様に、円筒状部材14には公転と自転、および円周方向の回転が付与されることとなる。このため、研磨は複数方向から均等に研磨が施されることとなり、円形ウェハーの主面を鏡面化するための加工を施す際の不良発生率を格段に低下させることができる。図11は、円形ウェハーの主面加工前に、端面研磨を施さない場合と、本実施形態に係る加工方法を実施した際の不良発生率の違いを示している。
【0058】
円形ウェハーの主面加工時における外観不良の発生割合としては、クラックやカケ・チッピングなどが最も多い。図11によれば、クラックの発生率は、従来は約8%程度であったのに対し、本件実施形態に係る曲面加工を施した場合には、約1%程度にまで減少している。また、カケ・チッピングに際しては、従来は約4%程度であったのに対し、本実施形態に係る曲面加工を施した場合には、約3.6%程度にまで減少している。そして、外観不良率全体としては、従来に比べ約半分以下の発生率とすることができていることを読み取ることができる。
【符号の説明】
【0059】
10………キャリア、12………保持孔、14………円筒状部材、50………研磨装置、52………サンギヤ、54………下定盤、56………インターナルギヤ、58………上定盤。
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形板材の端面を加工する方法、およびこの加工方法を実施するための端面加工装置に係り、特に量産される円形板材の直径寸法精度の合わせ込みを行う場合に好適な円形板材の端面加工方法、および加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動片を構成するウェハー(またはチップ)は、厚み調整のためのラッピング加工(粗研磨)や、ラッピング加工後のポリッシング加工(仕上研磨)が施される。そして、ポリッシング加工を終えたウェハー(またはチップ)に対して、金属膜の形成やエッチングなどの加工を施し、水晶振動片が形成される。
【0003】
上記のようにして端面加工が施されたウェハー(またはチップ)は、主面に対してラッピング加工やポリッシング加工が施され、外径形状の形成工程や、電極膜の形成工程へと移行する。
【0004】
ここで、外径形状の形成や、電極膜の形成を行うためのエッチング工程では、ウェハー(またはチップ)を配置する枠に対するウェハー(またはチップ)の位置決め精度が問題となる。位置決め精度が悪いと、エッチングを行うためのマスクの形成位置などにズレが生ずるため、製造される振動片の特性にばらつきが生ずることとなるからである。また、ウェハー(またはチップ)の寸法は、要求される主振動を励起しやすい寸法とすると共に、不要波の重畳を抑制することのできる寸法(例えば不要波の腹が水晶振動片の端面に位置するようにした寸法)としているため、これがズレた場合には、不要波が重畳し易くなり、振動特性が悪化する。
【0005】
ウェハー(またはチップ)の位置決め精度を向上させるには、バッチ処理される各ウェハー間(またはチップ間)における寸法のバラツキを無くし、各個片における外径寸法の追い込みを行うようにすれば良いと考えられる。このため、ウェハー(またはチップ)の外径寸法の追い込みを行うことのできる研磨加工が注目される。
【0006】
ウェハーの端面(側面)に対して研磨を施すための技術としては、例えば特許文献1〜3に開示されているような技術が知られている。ここで、特許文献1、2に開示されている技術は、いずれも、切り出されたウェハーをワックス等の仮着剤によりブロック状に積層接着している。そして、積層接着したウェハーブロックの側面に、当該ウェハーブロックの長手方向に沿って回転軸が配置されたブラシ研磨機を接触させると共に研磨剤を付着させることで、ウェハー端面の一括研磨を実現している。また、特許文献3に開示されている技術は、ウェハーを積層接着する際に、ワックス等の仮着剤を用いずに、水分により積層接着を成すという点を特徴とするものである。このようにしてブロック状に積層したウェハーであっても、特許文献1や特許文献2に開示されている技術と同様に、ブラシ研磨機により端面加工が可能であり、かつウェハーブロックを分割する際に加熱等の処理を行う必要がなくなるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−310479号公報
【特許文献2】特開2006−231486号公報
【特許文献3】特開2009−178785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
確かに、上記特許文献に開示されているような方法によれば、ウェハー端面の研磨を行うことができる。しかし、上記特許文献に開示されている研磨技術はいずれもブラシ研磨である。このため、ウェハー端面(またはチップ端面)に研磨面(ブラシ先端)が接触した際には、研磨面に撓みが生ずることとなる。したがって、端面の鏡面加工は行うことができるが、外径の寸法の追い込みを行うには不向きであると考えられる。
【0009】
これに対し、研磨面を円筒研削機のように、ブラシに替えてダイヤモンド砥石のような物とすることにより、ウェハー寸法の精度出しも可能であると考えられるが、このような代替を行ったとしても、1度の加工で研磨を行うことのできるウェハーの数を増やすことができないため、加工単価の高騰が懸念されるという問題が残る。
【0010】
そこで本発明では、円形ウェハー(円形板材)の外径寸法の精度出しを行うことができ、かつ加工単価を安くすることのできる円形ウェハー(円形板材)の端面加工方法を提供すると共に、この加工方法を実施するための加工装置の提供を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]複数の円形板材を厚み方向に積層して円筒状部材を形成し、研磨面を構成する一対の定盤の各主面に、円筒状部材の曲面が当接するように挟み込み、前記円筒状部材をこの曲面の円周方向に回転させ、且つ前記円筒状部材の中心軸が前記主面に沿うようにしながら前記円筒状部材を自由移動させて、前記一対の定盤間に研磨剤を供給して前記円筒状部材の外周研磨を行うことで、前記複数の円形板材の円形状の加工を行うことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【0012】
このような特徴を有することにより、円形板材の外径寸法の精度出しを行うことができる。また、バッチ処理数を増やすことが可能となることより、加工単価を安くすることもできる。
【0013】
[適用例2]適用例1に記載の円形板材の端面加工方法であって、前記円筒状部材の挟み込みは、上定盤と下定盤を備えた研磨装置により行い、前記円筒状部材への回転付与は、前記研磨装置における前記上定盤と前記下定盤の間に挟まれて、自転と公転を付与されるキャリアに設けた保持孔に前記円筒状部材を配置することにより行うことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
このような特徴を持たせることにより、予め定められた自転と公転の割合で、円筒状部材の研磨を行うことができる。
【0014】
[適用例3]適用例2に記載の円形板材の端面加工方法であって、開口形状を矩形状とし、前記キャリアの自転中心軸を基点として放射状に配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【0015】
このような特徴を有することにより、1枚のキャリアに対して複数の円筒状部材を均等配置することができる。よって、加工効率を向上させることができ、加工単価を下げることができる。
【0016】
[適用例4]適用例3に記載の円形板材の端面加工方法であって、前記キャリアの半径方向に沿って前記矩形の長辺を配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【0017】
このような特徴を有することによれば、1枚のキャリアに対して複数の円筒状部材を均等配置することができると共に、いずれの箇所に配置した円筒状部材に対しても、均等に複数方向からの研磨が施されることとなる。
【0018】
[適用例5]適用例3に記載の円形板材の端面加工方法であって、前記キャリアの半径方向と直交する方向に前記矩形の長辺を配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【0019】
このような特徴を有することによれば、キャリアのデッドスペースを低減することができる。よって、1枚のキャリアに対してより多くの円筒状部材を配置することが可能となる。
【0020】
[適用例6]適用例2乃至適用例5のいずれか1項に記載の円形板材の端面加工方法であって、前記保持孔の寸法は、前記円筒状部材を平面視した際の外径寸法よりも大きいことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【0021】
このような特徴を有することによれば、保持孔という規制枠内においては、円筒状部材が自由回転することが可能となる。これにより、研磨面の均等化、すなわち研磨されている部分と研磨不良な部分とを自動調整して研磨面の均一化を自動で行うことが可能となる。
【0022】
[適用例7]下定盤と上定盤とから成る一対の定盤と、前記一対の定盤間に配置されて公転と自転を付与されるキャリアを有する加工装置であって、前記キャリアには、加工対象物を前記一対の定盤における研磨面に転がり接触させつつ保持するための保持孔を備えたことを特徴とする加工装置。
【0023】
このような特徴を有することによれば、上記円形板材の端面加工方法を実施することができ、円形板材の外径寸法の精度出し、および加工単価の低減を図ることができる。
【0024】
[適用例8]適用例7に記載の加工装置であって、前記保持孔は、開口形状を矩形状とし、前記キャリアの自転中心軸を基点として放射状に配置したことを特徴とする加工装置。
【0025】
このような特徴を有することにより、1枚のキャリアに対して効率的に多くの円筒状部材を均等配置することができる。よって、加工効率を向上させることができ、加工単価を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係る円筒状部材の配置形態と、キャリアの構成を示す図である。
【図2】下定盤に対するキャリアの配置形態と、自転、公転の様子を示す図である。
【図3】キャリアの保持孔に配置された円筒状部材に作用する研磨押圧力と、円筒状部材の動きを説明するための図である。
【図4】研磨装置の概略構成を示す図である。
【図5】研磨剤のダイヤ砥粒の番手を170として粗研磨を行った際の円筒状部材の直径バラツキを示すグラフである。
【図6】研磨剤のダイヤ砥粒の番手を600として仕上げ研磨を行った際の円筒状部材の直径バラツキを示すグラフである。
【図7】研磨剤のダイヤ砥粒の番手を170として粗研磨を行った後、実施形態に係る加工を行った際の円筒状部材の直径バラツキを示すグラフである。
【図8】研磨剤のダイヤ砥粒の番手を600として仕上げ研磨を行った後、実施形態に係る加工を行った際の円筒状部材の直径バラツキを示すグラフである。
【図9】水晶ブロックから円筒状部材形成までの様子を説明するための図である。
【図10】第2の実施形態に係る円筒状部材の配置形態と、キャリアの構成を示す図である。
【図11】端面研磨加工を行わない場合と、端面研磨加工を行った場合とにおける主面研磨加工時における外観不良発生率の違いを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の円形板材の端面加工方法、および加工装置に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図4を参照して、本実施形態に係る円形板材の端面加工方法(以下、単に端面加工方法と称す)を実施するための加工装置について説明する。
図4に示す研磨装置50は、サンギヤ52と下定盤54、インターナルギヤ56、上定盤58、およびスラリー供給装置80を有する。サンギヤ52は、駆動軸60の上端に、この駆動軸60に一体形成されて回転駆動されるギヤである。
【0028】
下定盤54は、サンギヤ52の外径側に配置される円環状の定盤であり、その配置中心はサンギヤ52と同芯上とされている。下定盤54は、例えば鋳鉄の板材により構成され、その上面を研磨面55としており、ポリッシング加工を行う場合には、当該面に研磨パッドを配置する構成としている。
また、下定盤54は下定盤受部62により保持されており、下定盤受部62は駆動軸64により回転駆動可能な構成とされている。
【0029】
インターナルギヤ56は、サンギヤ52の外径側に配置した下定盤54のさらに外径側に配置されるギヤであり、円環の内側にギヤを備えている。なお、インターナルギヤ56は駆動軸66に連動可能な構成とされている。
【0030】
上定盤58は、下定盤54の上方に、昇降自在に吊下される定盤である。上定盤58は、例えば鋳鉄の板材により構成され、その下面を研磨面59としており、ポリッシング加工を行う場合には、当該面に研磨パッドを配置する構成としている。また、上定盤58の昇降動作は、吊下装置68により実現される。また、上定盤58には、スラリーを供給するスラリー供給孔84が設けられ、スラリー供給孔84の一方の開口部は、研磨面59に配置される。スラリー供給孔84の他方の開口部は、上定盤58の上部に配置され、ここにスラリー供給装置80を構成するスラリー供給管82が接続される。なお、上定盤58の中心には、駆動軸70に係合可能な係合手段が設けられており、上定盤58を研磨位置(降下状態)とした際には、駆動軸70を介して回転駆動されることとなる。
【0031】
なお、上述した、サンギヤ52、下定盤受部62、インターナルギヤ56、および上定盤58を回転駆動させる各駆動軸60,64,66,70は、それぞれ独立して回転駆動することを可能な構成とすると良い。また、各駆動軸60,64,66,70の回転方向や回転速度は、研磨する対象や研磨段階等により、それぞれ適正な値が選択される。また、研磨装置50は、下定盤54を回転駆動する際に、上定盤58を停止させるタイプであってもよいし、回転駆動させるタイプであっても良い。
【0032】
このような構成の研磨装置50において、本実施形態における研磨対象である円筒状部材14は、下定盤54と上定盤58の間に配置され、サンギヤ52とインターナルギヤ56とに噛合って回動されるキャリア10に設けられた保持孔12に配置され、研磨が施される。ここで、サンギヤ52とインターナルギヤ56とに噛合うキャリア10は、サンギヤ52及びインターナルギヤ56の回転方向及び回転速度により定まる方向及び回転速度で自転しつつ公転することとなる。
【0033】
次に、上記構成とされる研磨装置による端面加工方法に係る第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る端面加工方法では、円形状平面を有する複数のウェハーまたはチップ(以下、単に円形ウェハーと称す)を積層することにより、加工対象とする円筒状部材14を構成する。図9は、水晶ブロックから本実施形態で加工する円筒状部材を形成するまでの加工方法についての説明図である。
【0034】
まず、水晶の原石から矩形断面を有するブロック状の水晶(水晶ブロック14d)を切り出す。この際、切断面が、形成する水晶振動片を構成するためのカット角と直交する面を有するように切断を行う(図9(A)参照)。次に、水晶ブロック14dを予め定められた切断面に沿って板状に切断し、大型ウェハー14cを形成する(図9(B)参照)。次に、形成した大型ウェハー14cの結晶軸方向を合わせて並べ、ワックス等の仮着剤により、厚み方向へ積層して張り合わせてブロック状(ウェハー接合ブロック14b)にする(図9(C)参照)。次に、ダイヤモンド外周刃等の切断機を用いて、円形ウェハーを構成するために定められた所定の寸法を満たすサイズに分割切断し、個片ブロック14aを構成する(図9(D)参照)。分割して得られた個片ブロック14aを、ダイヤモンド円筒研削盤等の研削機により円筒研削加工する。このようにして、円筒状部材14を構成することにより、小型、薄型化された円形ウェハーの端面(曲面)をバッチ処理することが可能となる(図9(E)参照)。
【0035】
このようにして得られた、円形ウェハーから成る円筒状部材14は、上述した研磨装置50におけるキャリア10の保持孔12に配置して、加工を施す。ここで、本実施形態におけるキャリア10は、図1(A)に示すように、外縁部にギヤを備えた略円形状を成すものである。そして、円筒状部材14を配置する保持孔12は、キャリア10の中心点(自転中心軸)を基点として、放射状に配置している。保持孔12の開口形状は、円筒状部材14の平面視形状と略相似な矩形状としている。
【0036】
また、キャリア10は、図1(B)に、同図(A)におけるA−A´断面、図1(C)に、同図(A)におけるB−B´断面を示すように、加工対象とする円筒状部材14の直径dよりも、その厚みTを薄くしている。このような構成により、加工対象である円筒状部材14を下定盤54および上定盤58の研磨面55,59に転がり接触させることができるからである。また、保持孔12の寸法は、円筒状部材14を平面視した際の寸法よりも大きくすることで、保持孔12に配置された円筒状部材14の規制枠内における自由回転を可能としている。
【0037】
保持孔12の具体的な寸法比について、円筒状部材14の直径をd、円筒状部材14の長さをl、保持孔12の幅をW,保持孔12の長さをLとして示すと次のようになる。まず、保持孔12の幅Wは、円筒状部材14の直径dに対して概ね、直径dの16%〜50%程度大きくすれば良い。また、保持孔12の長さLは、円筒状部材14の長さlに対して概ね、長さlの20%程度大きくなるようにすれば良い。なお、キャリア10の厚みTは、円筒状部材14における直径dの57%〜75%程度の厚みとすると良い。これにより、保持孔12に配置した円筒状部材14が保持孔12の中で、その規制枠内を越えない限度で自由移動(自回転および水平移動)することが可能となるからである。
【0038】
キャリア10の構成材料としては、塩化ビニール等の樹脂とすることが望ましい。加工対象とする水晶よりも軟らかい材質とすることで、円筒状部材14が保持孔12の縁部に接触した場合であっても、接触部の破損や傷の発生を抑制することができるからである。また、厚さ2mmから4mm程度において、撓みによる円筒状部材14の保持力の低下を招くことが無い部材とする必要があるため、塩化ビニール等の樹脂が適当とされる。円筒状部材14の接触等によりキャリア10が撓んでしまうと、円筒状部材14が保持孔12から転がり出てしまう可能性が生ずるからである。
【0039】
また、本実施形態で使用するキャリア10は、矩形状の開口を成す保持孔12の長辺(長手方向中心軸)を、略円形とされるキャリア10主面の半径方向に沿って配置している。このような配置形態を採ることで、1つのキャリア10に対して複数の保持孔12を配置する際、均等かつ多くの保持孔12を配置することができる。これにより、円筒状部材14の曲面加工、すなわち、円形ウェハー端面の加工効率を向上させ、1枚あたりの加工コストを低減させることが可能となる。
【0040】
上記のような構成としたキャリア10は、研磨装置50に対して図1に示すように複数配置される。研磨工程においては、サンギヤ52とインターナルギヤ56を駆動させることにより、図2において矢印aで示すように、各キャリア10に対して自転が付与されると共に、矢印bで示すように公転も付与されることとなる。なお、サンギヤ52とインターナルギヤ56との回転角速度は、任意に異ならせるようにする。キャリア10に対して自転を付与するためである。
【0041】
上記のように動作するキャリア10の保持孔12に配置された円筒状部材14は、時々刻々と変化する各配置位置において、スラリー供給装置から供給された研磨剤(スラリー)と下定盤、および上定盤との摩擦により、それぞれ次のような研磨作用を受けることとなる。なお、研磨に適した研磨剤としては、酸化セリウムを主成分としたもの(例えばセロックス(商品名))や、炭化珪素を主成分としたもの(例えばGC#2000(商品名))などを挙げることができる。
【0042】
まず、図2中A、Eの位置に存在する保持孔12に配置された円筒状部材14は、公転と上定盤58、下定盤54の回転運動の影響により、長手方向、すなわち円形ウェハーの積層方向に直交する方向に、研磨面55,59からの押し圧力を受けることとなる。このため、円筒状部材14は、その円周方向に回転させられることとなる(図3(A)参照)。ここで、円筒状部材14に対して円周方向に回転を付与するためには、研磨装置50の下定盤54と上定盤58の回転速度を異ならせるようにすると良い。速度差による押し圧力(摩擦力)の違いにより、いずれかの方向へと回転が付与されるからである。
【0043】
次に、図2中C、Gの位置に存在する保持孔12に配置された円筒状部材14は、長手方向に沿った方向に、研磨面55,59からの押し圧力を受けることとなる。このため、円筒状部材14における研磨面55,59に接触している部分は、効率的に研磨されることとなる(図3(B)参照)。
【0044】
また、図2中B、D、F、Hの位置に存在する保持孔12に配置された円筒状部材14は、研磨面55,59からの押し圧力を、長手方向に対して斜めから受けることとなる。このため、研磨面55,59に接触している部分は、図2中C、Gの位置に存在する保持孔12に配置された場合とは異なる方向から、研磨を受けることとなる(図3(C)参照)。
【0045】
このように、円筒状部材14は、円周方向に回転が付与されると共に、円形ウェハーの積層方向(円筒状部材14の中心軸)と交差する方向への回転も付与されながら、曲面の研磨加工が行われることとなる。すなわち、円筒状部材14は、自転、および公転を伴いながらランダムな方向から端面を研磨されることとなる。下定盤54と上定盤58とは共に、研磨面55,59を平坦面としていることより、円筒状部材14のウェハー積層方向の直径寸法の均一化(追い込み)を行うことができる。これらの加工後、仮着剤を除去すれば、精度良く形状加工された複数の円形板材を得ることができる。
【0046】
図5は、研磨剤のダイヤ砥粒の番手を#170として粗研磨を行った場合における円筒状部材14のウェハー積層方向における直径のバラツキを示すグラフである。なお、本図を含める以下のグラフにおいて、図中プロットのA、B、Cは、円筒状部材14の量端部(A部、C部)と、中央部(B部)の寸法を示す(図1(B)参照)。図5からは、C部の寸法バラツキが大きく(約80μm)、A〜Cの全ての部位において、約50μm以上のバラツキが生じていることを読み取ることができる。
【0047】
次に、図6は、研磨剤のダイヤ砥粒の番手を#600として仕上げ研磨を行った場合における円筒状部材14のウェハー積層方向における直径のバラツキを示すグラフである。仕上げ研磨を行うことにより、図5中のC部のような突出した寸法バラツキを無くすことができることを読み取ることができるが、全体的な寸法バラツキとしては、約50μm程度の寸法バラツキを残していることを読み取ることができる。
【0048】
これらの現状に対し、本実施形態のように、円筒状部材14に対して自転と公転を付与しながら研磨を行った場合、図7、および図8に示すような結果を得ることができた。
【0049】
図7は、研磨剤のダイヤ砥粒の番手を#170として粗研磨を行った後、上記のような転がし研磨を行った場合における円筒状部材14のウェハー積層方向における直径のバラツキを示すグラフである。図7によれば、A〜C部の全てにおいて、直径のバラツキが約20μm以内に収まっていることを読み取ることができる。これにより、振動片形成時のマスクズレや、不要振動の重畳の発生を抑制し、振動特性の良好な振動片を提供することが可能となる。
【0050】
また、図8は、研磨剤のダイヤ砥粒の番手を#600として仕上げ研磨を行った後、上記のような転がし研磨を行った場合における円筒状部材14のウェハー積層方向における直径のバラツキを示すグラフである。このような研磨形態を採ることによれば、A〜C部における直径の寸法バラツキは、約15μm以内の範囲に収めることができるということを読み取ることができる。したがって、粗研磨後に転がし研磨を行った場合と同様、あるいはそれ以上に、振動片形成時のマスクズレや不要振動の重畳の発生を抑制することができ、量産に係る振動片の振動特性の向上を図ることができる。
【0051】
なお、研磨精度は、研磨面55,59の表面粗さや平坦度に依存するが、本実施形態においては、粗研磨後の転がし研磨も、仕上げ研磨後の転がし研磨も、各研磨(粗研磨、仕上げ研磨)と同一機種により実施しているため、研磨面55,59の平坦度や表面粗さの影響による結果では無いということができる。
【0052】
次に、本発明の円形板材の端面加工方法に係る第2の実施形態について、図10を参照して説明する。なお、本実施形態に係る端面加工方法を実施する場合においても、使用する研磨装置は上述した第1実施形態で使用した研磨装置50と殆ど同じである。よって、その構成を同様とする箇所については図4を援用すると共に上記説明を援用し、詳細な説明を省略することとする。なお、本実施形態に係る端面加工方法と、第1の実施形態に係る端面加工方法との相違点としては、円筒状部材14の配置形態にある。このため、以下の説明では、研磨装置50に対する円筒状部材14の配置形態の詳細と共に、研磨装置50に対する円筒状部材14の配置形態を定めるキャリア10aの構成について説明する。
【0053】
本実施形態に係る端面加工方法では、キャリア10aの半径方向と直交する方向に、円筒状部材14の回転中心軸(長辺)が配置されるようにしている。このため、キャリア10aに形成する保持孔12も、矩形状とされる保持孔12の長辺が、キャリア10aの半径と直交する方向となるように設けられている。
【0054】
キャリア10aに設けられる保持孔12は、キャリア10aの半径方向と直交配置される長辺が平行となるように、半径方向に複数、並列配置する。これにより、キャリア10aの半径方向に複数の円筒状部材14を並列配置することが可能となり、一度の研磨加工により多くの円筒状部材14の曲面加工を可能とすることができる。また、保持孔12は、キャリア10aの回転中心を基点として、略十字状となるように半径方向に配置すると共に、この十字状に配置した保持孔12と略45度の回転角度を持った位置にも、半径方向と直交する方向に長辺を配置した保持孔12を持つようにする。このような保持孔12を配置することで、キャリア10a主面のデッドスペースを少なくし、1度の研磨処理により、より多くの円筒状部材14(円形ウェハー)の端面研磨加工を行うことができる。よって、加工単価の低減を図ることが可能となる。
なお、その他の構成、作用、効果については、上述した第1の実施形態に係る円形ウェハーの端面加工方法と同様である。
【0055】
上記実施形態においては、具体例として、キャリアの半径方向に沿って円筒状部材の長辺を配置する構成と、キャリアの半径方向と直交する方向に円筒状部材の長辺を配置する構成のみを記載した。しかしながら、本発明に係る円形板材の端面加工方法は、対を成す定盤間において、加工対象とする円筒状部材に対して自転および公転を付与しながら研磨することのできる種々の形態を含むものである。よって、キャリアに設ける保持孔の方向をランダムとした場合であっても、本発明による効果を奏することはでき、本発明の一部とみなすことができることはもちろん、キャリア以外の方法によりこれを実現させるようにしたものであっても良い。
【0056】
上記のようにして、円筒状部材14の転がし研磨を行うことにより円筒状部材14におけるウェハー積層方向の直径寸法の追い込みを行った後、研磨装置50における下定盤54の研磨面55と上定盤58の研磨面59のそれぞれに研磨パッドを配置して転がし研磨を行うことにより、円筒状部材14の端面、すなわちウェハーの端面を鏡面加工することができる。
【0057】
研磨パッドを用いた鏡面加工についても上述した実施形態と同様に、円筒状部材14には公転と自転、および円周方向の回転が付与されることとなる。このため、研磨は複数方向から均等に研磨が施されることとなり、円形ウェハーの主面を鏡面化するための加工を施す際の不良発生率を格段に低下させることができる。図11は、円形ウェハーの主面加工前に、端面研磨を施さない場合と、本実施形態に係る加工方法を実施した際の不良発生率の違いを示している。
【0058】
円形ウェハーの主面加工時における外観不良の発生割合としては、クラックやカケ・チッピングなどが最も多い。図11によれば、クラックの発生率は、従来は約8%程度であったのに対し、本件実施形態に係る曲面加工を施した場合には、約1%程度にまで減少している。また、カケ・チッピングに際しては、従来は約4%程度であったのに対し、本実施形態に係る曲面加工を施した場合には、約3.6%程度にまで減少している。そして、外観不良率全体としては、従来に比べ約半分以下の発生率とすることができていることを読み取ることができる。
【符号の説明】
【0059】
10………キャリア、12………保持孔、14………円筒状部材、50………研磨装置、52………サンギヤ、54………下定盤、56………インターナルギヤ、58………上定盤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の円形板材を厚み方向に積層して円筒状部材を形成し、
研磨面を構成する一対の定盤の各主面に、円筒状部材の曲面が当接するように挟み込み、
前記円筒状部材をこの曲面の円周方向に回転させ、且つ前記円筒状部材の中心軸が前記主面に沿うようにしながら前記円筒状部材を自由移動させて、
前記一対の定盤間に研磨剤を供給して前記円筒状部材の外周研磨を行うことで、前記複数の円形板材の円形状の加工を行うことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の円形板材の端面加工方法であって、
前記円筒状部材の挟み込みは、上定盤と下定盤を備えた研磨装置により行い、
前記円筒状部材への回転付与は、前記研磨装置における前記上定盤と前記下定盤の間に挟まれて、自転と公転を付与されるキャリアに設けた保持孔に前記円筒状部材を配置することにより行うことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の円形板材の端面加工方法であって、
開口形状を矩形状とし、前記キャリアの自転中心軸を基点として放射状に配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項4】
請求項3に記載の円形板材の端面加工方法であって、
前記キャリアの半径方向に沿って前記矩形の長辺を配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項5】
請求項3に記載の円形板材の端面加工方法であって、
前記キャリアの半径方向と直交する方向に前記矩形の長辺を配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の円形板材の端面加工方法であって、
前記保持孔の寸法は、前記円筒状部材を平面視した際の外径寸法よりも大きいことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項7】
下定盤と上定盤とから成る一対の定盤と、前記一対の定盤間に配置されて公転と自転を付与されるキャリアを有する加工装置であって、
前記キャリアには、加工対象物を前記一対の定盤における研磨面に転がり接触させつつ保持するための保持孔を備えたことを特徴とする加工装置。
【請求項8】
請求項7に記載の加工装置であって、
前記保持孔は、開口形状を矩形状とし、前記キャリアの自転中心軸を基点として放射状に配置したことを特徴とする加工装置。
【請求項1】
複数の円形板材を厚み方向に積層して円筒状部材を形成し、
研磨面を構成する一対の定盤の各主面に、円筒状部材の曲面が当接するように挟み込み、
前記円筒状部材をこの曲面の円周方向に回転させ、且つ前記円筒状部材の中心軸が前記主面に沿うようにしながら前記円筒状部材を自由移動させて、
前記一対の定盤間に研磨剤を供給して前記円筒状部材の外周研磨を行うことで、前記複数の円形板材の円形状の加工を行うことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の円形板材の端面加工方法であって、
前記円筒状部材の挟み込みは、上定盤と下定盤を備えた研磨装置により行い、
前記円筒状部材への回転付与は、前記研磨装置における前記上定盤と前記下定盤の間に挟まれて、自転と公転を付与されるキャリアに設けた保持孔に前記円筒状部材を配置することにより行うことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の円形板材の端面加工方法であって、
開口形状を矩形状とし、前記キャリアの自転中心軸を基点として放射状に配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項4】
請求項3に記載の円形板材の端面加工方法であって、
前記キャリアの半径方向に沿って前記矩形の長辺を配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項5】
請求項3に記載の円形板材の端面加工方法であって、
前記キャリアの半径方向と直交する方向に前記矩形の長辺を配置した前記保持孔に、前記円筒状部材を配置することを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の円形板材の端面加工方法であって、
前記保持孔の寸法は、前記円筒状部材を平面視した際の外径寸法よりも大きいことを特徴とする円形板材の端面加工方法。
【請求項7】
下定盤と上定盤とから成る一対の定盤と、前記一対の定盤間に配置されて公転と自転を付与されるキャリアを有する加工装置であって、
前記キャリアには、加工対象物を前記一対の定盤における研磨面に転がり接触させつつ保持するための保持孔を備えたことを特徴とする加工装置。
【請求項8】
請求項7に記載の加工装置であって、
前記保持孔は、開口形状を矩形状とし、前記キャリアの自転中心軸を基点として放射状に配置したことを特徴とする加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−161560(P2011−161560A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26244(P2010−26244)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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