説明

円筒型水槽等の天板の内部補強構造

【課題】 水槽等の貯槽において、内部液体が地震によって波打つスロッシング
現象によって発生する衝撃に強い、天板の構造を安価に提供することを目的とし
ている。
【解決の手段】 水槽の天板2のミミ8と側板1に取付けた水没梁4を主柱7で
支えその間を柱5で数ヶ所つなぎ、その間にブレス6を取付ける。この時天板は
多数の四方おりしたパネルを組み合わせて作られており、各パネルはミミを持っ
ている。この構造により天板2と水没梁4を使った大きなトラス梁を形作り、高
い強度を持たせ、且つ、水没梁とする事により二重天井とする必要がなくなり、
結果的に安価な水槽を製造することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステンレス製円筒型水槽等の天板を有効に補強し、且つ価格が安
く出来る構造に関する。
【背景技術】
【0002】
天板は、その自重及び地震力を支えるため型鋼による補強を行う必要があ
る。従来の水槽では、天板に沿わせて型鋼(ラフター)を配位置していた
。外部で補強を行うと安価な通常のステンレス鋼SUS304を使用でき
ますが、外部に出るため外観を損ねることになります。内部で補強を行う
と補強材は、天板に沿わせているため気相部に取付ける事になります。貯
留水中から発生する塩素ガス(消毒用に使用した次亜塩素酸ナトリウムに
より発生)が補強材に付いた水滴中に吸収されて濃縮し、ステンレス鋼を
サビさせることになり、高価な特殊ステンレス鋼を使う必要がありました
。この鋼種のステンレス鋼では型鋼(H鋼、チャンネル等)の製造が困難
で製造されていないという問題がありました。そこで従来工法では、外部
に接すし、自重と地震力を支える通常のステンレス鋼の天板に加え、型鋼
を挟んで内部の気相部と縁を切る高価な特殊ステンレス鋼の天井板を追加
で設けて対応していました。このため二重天板となり非常に高価な水槽と
なっていました。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自重と地震力を支える天板と耐食性を受け持つ天井板の二重構造では価格
が高くなるため、これを一重構造とし、且つ安い通常のステンレス製型鋼
の使用を可能とする構造を提供することを目的としている。
【0004】
本発明では、天板を特殊ステンレス鋼とし、補強用の型鋼(梁)は通常の
ステンレス鋼とし、これを水没出来る位置まで下げて取付け、その型鋼と
天板を短い特殊ステンレス鋼製の柱でつなぎ、且つ、特殊ステンレス鋼の
ブレスを入れたトラス構造として、強度を受け持たせ、耐食性と強度と価
格をバランスさせた構造とします。
天板と水没型鋼とブレスで組み立てたトラス梁を形作ることにより、水没
型鋼の大きさを小さくしても高強度の設計が出来るようになります。
【発明の効果】
【0005】
水槽・油槽に地震による揺れが加わると内部の液体は揺れに共振し波打ち
現象であるスロッシングが発生する。近年発生した十勝沖地震ではその波
は、側壁から天板面まで達し、天板に衝撃力を発生させ、破壊した天板か
ら漏れ出したオイルにより火災が発生し大事故になっている。
十勝沖地震では500KL以上の屋外石油タンク395基のうち205基
に油漏れや損傷などの被害が出ており、そのうち屋根に何らかの被害が出
たタンクは177基で全体の80%を超えており、その衝撃力の大きさが
想像される。
屋根にこの衝撃力によって損傷が発生した場合、安全性や清浄性を保つこ
とも出来なくなる。
この地震力をトラス構造の天板一体型の梁で受け持たせ、高強度の天板を
作り、且つ、安い通常のステンレス型鋼の使用を可能にする。
結果的に高強度、低価格の水槽を製造することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
特許の実施の形態を実施例に基づき、図面を参照して説明する。
図1において、槽の側板にリング状の補強3を取付け、それに水没梁4を
取付け、その逆側は主柱7の頂部に取付ける。図3に示す通り天板2は、
多数のパネルを組合わせて形成させており、1枚1枚は四方おりによりミ
ミを50mm程度設けてるいる。水没梁4と天板2のミミとを柱5で数ヶ
所つなぎ、その間にブレス6を取付ける。こうすることにより天板2と水
没梁4を使った大きなトラス梁を形成させ、高い強度を持たせ、且つ、鋼
材の重量を小さくすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】円筒形水槽の縦断面図である。
【図2】平面の断面図である。
【図3】天板パネル単品の平面図
【図4】天板パネル単品の断面図
【図5】従来工法の天板及び天井板の縦断面図
【符号の説明】
【0008】
1.側板
2.天板
3.リング状の側板補強材
4.水没梁
5.柱
6.ブレス
7.主柱
8.天板パネルのミミ
9.ラフター補強
10.天井板
11.通気ダクト
12.水面
13.通気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒型水槽のドーム形天板と側板から中央の柱との間に取付けた水没型鋼
を補助鋼材を使ってトラス状に組立てたことを特徴とする水槽等の天板の補強
構造

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−76572(P2006−76572A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259165(P2004−259165)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(500546673)株式会社小笠原工業所 (5)
【Fターム(参考)】