説明

再構成可能光アド・ドロップ・モジュールのパッケージング

【課題】気密パッケージされたMEMSアレイ・ベースのROADMモジュールを提供する。
【解決手段】筐体の側壁および上蓋はコバールから作られ、また基部はアルミナ・セラミックから作られて、筐体の側壁にAuSnではんだ付けされる。MEMSアレイはセラミック基部に取り付けられる。光学系は取り外し可能なテンプレートを使用して予めパッシブ・アライメントされ、光学台にエポキシ樹脂で接着される。光学台は全体としてアクティブ・アライメントされ、セラミック基部に取り付けられる。複数の電気フィードスルー接触ピンがセラミック基部の底部から延びて、MEMSをプリント回路基板上のコネクタへ接続する。本発明の一実施形態では追加の電子部品、たとえばMEMSドライバ回路チップを筐体のセラミック基部へ直接取り付けるために、セラミック基部はモジュールの筐体の側壁の実装領域を越えて延びる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信ネットワーク向けの光クロスコネクト・モジュールに関し、より詳細には、再構成可能光アド・ドロップ・モジュールなどの光クロスコネクト・モジュールのパッケージングに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信ネットワークでは、個々の波長で複数の光チャネルを有する光信号は、「波長チャネル」と呼ばれ、通常光ファイバの長さを介して地点間を伝送される。光クロスコネクト・モジュールは、光ファイバ間の光信号のスイッチングを可能にする。波長選択光クロスコネクト、または再構成可能光アド・ドロップ・モジュール(ROADM)は、波長依存のスイッチングを可能にし、すなわち、特定の波長チャネルを第1の光ファイバから第2の光ファイバへ切り換えながら、他の波長チャネルに第1の光ファイバ内を伝播させることができ、または特定の波長チャネルを第3の光ファイバへ切り換えることができる。波長選択光スイッチングに基づく光ネットワーク・アーキテクチャは、「アジャイル(agile)」光ネットワーク・アーキテクチャと呼ばれることがあり、個々の波長チャネルの光路を自動的に作り出しまたは別の経路に変更できるため、多くの魅力的な特徴を有する。この光ネットワーク・アーキテクチャは、サービス展開を加速し、光ネットワークの障害点からの経路の変更を加速し、サービス・プロバイダの資本経費および運転経費を軽減し、ならびにネットワークの保証されたトポロジーを作り出す。
【0003】
現在利用可能な多くのROADMアーキテクチャの中で、自由空間光学系およびマイクロ電子機械システム(MEMS)アレイまたは液晶(LC)アレイに基づくアーキテクチャは、最も融通がききかつ高性能なアーキテクチャのうちの1つである。具体的には、Bouevitchらの米国特許第6498872号に教示されている折返し対称4−f構成は、Iyerらの米国特許第6760501号に教示されている任意選択のフィールド平坦化(field−flattening)光学くさびとともに、個々の波長チャネルの光出力値を等化するための動的利得等化器モジュール、すべての波長チャネルのあらゆるサブセットを完全に阻止するための波長ブロッカ・モジュール、および前述の波長チャネル・スイッチング機能を実施するための波長選択光スイッチ・モジュールなどのROADMの構築を可能にする。両特許は、JDS Uniphase Corporationに譲渡されており、参照により本明細書に組み込まれる。折返し4−f構成に基づくROADMの中には、Danagherらの米国特許第7014326号に教示されている波長ブロッカ・モジュールと、Ducellierらの米国特許第6707959号およびBouevitchの同第6810169号に教示されているマルチポート波長選択スイッチ・モジュール、ならびにKeyworthらの米国特許出願第20070242953号に教示されているマルチモジュール・ユニットがある。これらの特許は、JDS Uniphase Corporationに譲渡されており、参照により本明細書に組み込まれる。同出願は、参照により本明細書に組み込まれる。有利なことに、折返し4−f ROADMは、類似の機能をもつ他の既存の自由空間ROADM光学構成に比べて、光学素子の数が少なく、物理的寸法が小さい。折返し4−f ROADMの動作の光学原理に関するさらなる詳細は、前述の米国特許文献内に見ることができる。
【0004】
ROADMは一般に、光ネットワークの様々なノードに配置され、したがって、広い範囲の温度および湿度を特徴とする過酷な環境で確実に機能しなければならず、通常、気密筐体を使用してROADMをパッケージする必要がある。気密筐体は周知である。気密筐体は、フォトダイオードおよび光出力モニタ、レーザ・ダイオード、または受信器などの小型の光電子デバイスおよび電気光学デバイスをパッケージするためによく使用され、これらの大部分の最大外形寸法は0.5インチ以下である。良好な無線周波数(RF)電気性能を必要とするデバイス内には、小型のセラミック板が実装されることがある。しかし、ROADMの場合、光学系の実装領域が約1平方インチ以上と比較的大きく、また約50個から数百個という多数の電気フィードスルーが必要とされるので、気密パッケージングのこれらの方法は実用的でない。
【0005】
上に説明したように、光学系の実装領域が比較的大きく、MEMSまたはLC光スイッチング・エンジンへの電気接続の数が多いため、ROADMの機械的パッケージングは、大きな技術的課題である。上に述べたように、一般には、気密封止筐体ボックスを実装して、必要な程度の環境安定性および環境信頼性を確保する。従来技術では、フレキシブル・プリント回路基板(フレックスPCB)を使用して、気密筐体内の必要な電気接続を提供しながら、ボックスの壁に取り付けられた内部多ピン気密電気コネクタからスイッチング・エンジンを機械的に切り離す。すべてのファイバ・フィードスルー、フレックスPCBをはめ込み、ならびにパッケージ内部に光学素子をはめ込みかつ位置合わせするには、長い時間、ならびに相当な操作者の技能および労力を要し、ファイバ、光学系、またはスイッチング・エンジンの偶発的な損傷の可能性が高まるために、組立てのコストが増大し、かつ製造の歩留まりが低減する。さらに、光学系、フレックスPCBと、多ピン気密コネクタをどちらもパッケージの内部に収容する必要があるので、この既存の技術を使用して構築されたROADMパッケージの実装領域は比較的大きい。電気通信システムのプロバイダはしきりに、自身の回路カードの素子密度を高めて、システム寸法およびコストの低減を促進しようとするので、ROADMパッケージの寸法が大きいことはきわめて好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6498872号
【特許文献2】米国特許第6760501号
【特許文献3】米国特許第7014326号
【特許文献4】米国特許第6707959号
【特許文献5】米国特許第6810169号
【特許文献6】米国特許出願第20070242953号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、パッケージ寸法が大きく、組立てが非常に複雑であり、組立ての歩留まりが低く、かつ組立て時間が比較的長いという欠点のないROADMを提供することである。
【0008】
本発明は、前述の目的を満たす。さらに、有利でありかつ驚くべきことに、本発明は、ROADMパッケージングの融通性およびモジュール性を大幅に改善し、かつ直接的に基板上でROADM電子機器の一体化を実現し、それによって、アジャイル光ネットワーク・システム内でROADMを後に非常に簡単に利用できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、再構成可能光アド・ドロップ・モジュールであって、
複数の波長チャネルを有する入力光信号を送るための入力光ポートと、
前記波長チャネルのうちの少なくとも1つを有する出力光信号を出力するための出力光ポートと、
入力光信号を個々の波長チャネルに空間的に分散させ、かつ少なくとも1つの波長チャネルを再結合させて出力光信号にするための、入力光ポートおよび出力光ポートに光学的に結合された分散性光学素子と、
個々の波長チャネルを空間的に向けなおすための、分散性光学素子に光学的に結合された光スイッチング・エンジンと、
分散性素子から入力光ポート、出力光ポート、および光スイッチング・エンジンへの光結合を提供するための複数の光学部品と、
分散性光学素子および複数の光学部品をそれらの間で固定した関係で支持するための光学台と、
光スイッチング・エンジン、および光学素子が取り付けられた光学台をパッケージするための筐体とを備え、この筐体が、光学台および光スイッチング・エンジンを支持するための基部と、基部に取り付けられた、光学台および光スイッチング・エンジンを取り囲む閉じた側壁と、筐体を封止するための、側壁に取り付けられた蓋とを有し、
基部の少なくとも一部分が、光スイッチング・エンジンを支持するためのセラミック板を含み、
前記セラミック板の少なくとも一部分が、筐体の内側と外側の両方から機械的にアクセス可能であり、
セラミック板の前記部分が、前記光スイッチング・エンジンに結合された電気フィードスルーを有し、
前記フィードスルーが、筐体の外側から機械的かつ電気的にアクセス可能である、再構成可能光アド・ドロップ・モジュールが提供される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、再構成可能光アド・ドロップ・モジュールの組立ての方法であって、
(a)光学素子および分散性光学素子を光学台へ位置合わせするステップと、
(b)ステップ(a)の完了後、前記光学素子および前記分散性光学素子を光学台へ固定するステップと、
(c)基部を側壁へ取り付けるステップと、
(d)光スイッチング・エンジンをセラミック板へ取り付け、かつ前記光スイッチング・エンジンをセラミック板内のフィードスルーへ電気的に結合させるステップと、
(e)ステップ(b)および(d)の完了後、セラミック板上の光スイッチング・エンジンと光学台上の分散性素子との間に光結合を提供するように、光学台を光スイッチング・エンジンへ位置合わせするステップと、
(f)ステップ(e)の完了後、光学台を基部へ取り付けるステップと、
(g)ステップ(f)の完了後、筐体を封止するように、蓋と側壁を取り付けるステップとを含む方法がさらに提供される。
【0011】
次に例示的実施形態について、図面と併せて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】1Aおよび1Bは再構成可能光アド・ドロップ・マルチプレクサ(ROADM)向けの従来技術の一般的な4−f折返し対称光学構成の図である。
【図2】2Aおよび2Bは本発明によるROADM筐体の2つの実施形態の3次元図である。
【図3】3A〜3Dは本発明によるROADM筐体の4つの実施形態の横断面図である。
【図4】4Aおよび4Bは本発明によるROADMモジュールの組立ての工程を示す3次元図である。図4Aは、ROADMモジュールの分解図であり、図4Bは、蓋を持ち上げた、ROADMモジュールの組み立てた図である。
【図5】本発明によるマルチポート波長スイッチ(MWS)のパッケージの3次元図である。
【図6】図5のパッケージの3次元横断面図である。
【図7】蓋のないパッケージされたMWSの3次元図である。
【図8】8A〜8Bは100GHz光チャネル周波数間隔のためのパッケージされた1入力、4出力のMWSの3次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本教示について、様々な実施形態および例と併せて説明するが、本教示は、そのような実施形態に限定されるものではない。逆に、当業者には理解されるように、本教示は、様々な代替形態、修正形態、および等価物を包含する。次の図2A、2B〜8A、8Bでは、同様の番号は、同様の要素を表す。
【0014】
図1Aおよび1Bを参照すると、それぞれ再構成可能光アド・ドロップ・マルチプレクサ(ROADM)100Aおよび100B向けの従来技術の光学構成を示す。ROADM100Aおよび100Bの光学素子には、複数の波長チャネルを有する自由空間光ビームを送りかつ受け取るための前端部102と、光ビームを集束させかつ平行にするための凹面鏡104と、入力光ビームを波長チャネルに空間的に分散させ、かつ波長チャネルを結合させて出力光ビームにするための分散性素子106と、ROADM100aおよび100Bの光挿入損失を改善するためのフィールド平坦化くさび108と、個々の波長チャネルを入力光ポート111から出力光ポート112へ選択的に切り換えるための光スイッチング・エンジン110とがあり、前記ポートはどちらも、前端部102に光学的に結合される。図1Aおよび1Bは、素子102〜110の2つの可能な相対位置を示す。分散性素子106は、回折格子であることが好ましい。光スイッチング・エンジン110は、マイクロ電子機械システム(MEMS)マイクロミラー・アレイまたは液晶(LC)アレイであることが好ましい。
【0015】
動作の際には、入力光信号は、前端部102の入力光ポート111へ送られ、前端部102は、凹面鏡104によって分散性素子106に光学的に結合され、分散性素子106は、入射光ビーム114を個々の波長チャネル116に分散させる。凹面鏡104は、波長チャネル116を光スイッチング・エンジン110に結合させ、光スイッチング・エンジン110は、波長チャネル116を空間的に向けなおす。光スイッチング・エンジン110から反射すると、チャネル、またはビーム116は、鏡104によって平行になり、分散性素子106によって再結合され、かつ鏡104によって再び、出力光ポート112に結合された前端部102に集束される。光スイッチング・エンジン110の個々の画素(図示せず)の状態に応じて、個々の波長チャネルを、減衰させ、出力ポート112に切り換え、または少なくとも35dBだけ抑制することができる。100GHzのチャネル間隔に対する図1Aおよび1Bの光学構成の実装領域は、約2×3インチである。図1Aおよび1Bに示すROADM光学系の動作についての詳細な説明は、前述の米国特許文献に見ることができる。
【0016】
次に図2Aおよび2Bを参照すると、それぞれ基部202Aおよび202Bと、閉じた側壁204と、ファイバ・フィードスルー206とを含む本発明のROADM筐体200Aおよび200Bを示す。基部202Aおよび202Bは、基部202Aおよび202Bから図2Aおよび2Bで下方向へ延びるコネクタ・ピン208を有するセラミック板である。図2Aでは、MEMSアレイ210は、コネクタ・ピン208間の一地点で基部202Aに直接取り付けられる。MEMSアレイ210は、ピン208に電気的に接触している接着パッド(図示せず)にワイヤボンディングされる。ROADM筐体200Aは、基部202Aの下に配置されたコネクタ・ソケットを有する外部システム基板212上に取り付けられる。システム基板212は、筐体200Aの一部ではない。基板コネクタ・ソケット(図示せず)は、ピン208のパターンに一致するピン・パターンを有する。筐体200Aが基板212上に取り付けられると、筐体200Aと基板212の間の電気接続が確立される。別法として、ピン208は、たとえばはんだボール・グリッド・アレイを使用して、一致する穴および、またははんだ付けパッド・パターンを有するシステム基板212に直接はんだ付けすることができる。基板212上の筐体200Aを固定するために、側壁204にはんだ付けまたはろう付けしたタブ214を使用することが好ましい。図2Aの筐体200Aでは、基部202Aは、側壁204と実質上同じ実装領域を有し、一方図2Bに示す筐体200Bは、側壁204の実装領域より大きい実装領域を有する。これにより、追加の電子部品216、たとえばMEMSアレイ210のためのドライバ回路を基部202B上に配置することができる。したがって、部品216は、基部202Bに直接ワイヤボンディングされた未処理の電子チップ、すなわちダイを含むことができる。
【0017】
図2Aおよび2Bに示す筐体200Aおよび200Bの他のすべての特徴、たとえば接着パッドにワイヤボンディングされたMEMSアレイ210は、実質上同じである。側壁204は、コバール(Kovar)(商標)から作られ、基部202Aおよび202Bは、コバールの熱膨張係数(CTE)に一致するアルミナ・セラミックから作られることが好ましい。セラミック基部202Aおよび202Bに亀裂が生じないように、側壁204と、図2Aの基部202Aまたは図2Bの基部202Bは、好ましくは温度280±40℃のAuSn合金で、はんだ付けによって合わせて取り付けられる。さらに、セラミック基部202Aおよび202Bは、側壁204の周長に一致する金コーティングのフレームを有することが好ましく、その結果、側壁204を金フレーム(図示せず)にろう付けまたははんだ付けすることができる。
【0018】
次に図3A〜3Dに移ると、本発明によるROADM筐体の4つの実施形態の横断面図を示す。図3Aの横断面図は、図2Aの3次元図に対応する。図3Aの実施形態では、側壁304および基部302Aの実装領域は、実質上同じである。基部302Aはアルミナ・セラミックから作られ、基部302Aから下方へピン308が延び、図示のように、ピン308は基部302Aの両側から電気的にアクセス可能である。図3Bの実施形態では、側壁304の実装領域は、アルミナ・セラミックから作られた基部302Bの実装領域より小さく、基部302Bから下方へピン308が延び、ピン308は基部302Bの両側から電気的にアクセス可能である。上に説明したように、セラミック基部302B上へ追加の電子部品(図3Bには図示せず)を取り付けるために、有利なことに、より実装領域の大きな基部302Bを使用できる。次に図3Cに移ると、基部302Cはセラミック・インサート303Cを有し、基部302Cから下方へピン308が延び、ピン308はインサート303Cの両側から電気的にアクセス可能である。セラミック・インサート303Cは、基部302Cの厚さ全体にわたる。インサート303Cおよび基部302Cは、互いに瞬時に取り付けられ、すなわち、図3C内の基部302Cおよびインサート303Cの下面は同じ高さになることが好ましい。最後に、図3Dでは、基部302Dは開口と、その開口を覆うセラミック・インサート303Dとを有し、基部302Dから下方へ開口内にピン308Dが延び、ピン308はインサート303Dの上側から電気的にアクセス可能である。さらに、ピン308Dは、図3Dに示す筐体の外側から機械的かつ電気的にアクセス可能である。この文脈では、「電気的にアクセス可能なピン」という用語は、好ましくはセラミック基部302Aおよび302Bならびにセラミック・インサート303Cおよび303D上に印刷された電気トレースを用いて、前記セラミック基部および前記セラミック・インサートの上側から、ピンとの電気的接触を確立できることを意味する。さらに、基部302Aおよび302Bならびにインサート303Cおよび303Dは多層セラミック板であり、セラミック板の層の一部の上に導電性トレースが印刷されており、前記トレースは、ピン308をワイヤボンディング・パッド(図3A〜3Dには図示せず)に電気的に接続させ、前記パッドは、図3A〜3D内の前記セラミック板の上側からアクセス可能であることが好ましい。
【0019】
図3Cおよび3Dの筐体を使用して、図3Aおよび3Bの筐体の光学系の実装領域より大きな実装領域を有する光学系をパッケージすることができ、したがって、基部302Cまたは302D全体を、通常脆い材料であるセラミックから作る必要はない。図3A〜3Dの側壁304ならびに図3Cおよび3Dの基部302Cおよび302Dはそれぞれ、コバールから作られることが好ましい。さらに、図3A〜3Dのセラミックおよびコバールの部分は、アルミナに亀裂が生じないように、温度280±40℃のAuSn合金ではんだ付けすることによって互いに取り付けることが好ましい。前述の金フレームを使用して、はんだ付け工程を容易にすることが好ましい。
【0020】
次に図4Aおよび4Bを参照すると、本発明によるROADMの組立ての工程を図示する。図4Aでは、ROADM組立体400の分解図を示す。組立体400は、セラミック基部402と、側壁404と、ファイバ・フィードスルー406と、MEMSまたはLCアレイなどの光スイッチング・エンジン410と、取付けタブ414と、光学素子419をその上に保持するための光学台418と、ファイバ420を封止しかつフィードスルー406内にはめ込むためのセロキャスト(cerrocast)421を有する入出力ファイバ420と、パッケージ400を封止するための上蓋422とを有する。光学素子419の位置を互いに対してかつ台418に対して規定するために、光学素子419は、テンプレート(図示せず)を使用して、予め位置合わせされかつ台418に取り付けられる。位置合わせは、テンプレートを光学台へ付着させ、かつテンプレート内へ光学素子および分散性光学素子を配置することによって実施される。次いで、光学素子419は、台418に取り付けられ、好ましくはエポキシ樹脂で接着される。光学素子419には、図1Aおよび1Bに示す素子、すなわち回折格子、球面鏡、前端部、ならびに回動および折返し鏡などの他の光学素子が含まれる。ガラスはんだなどの他の取付け方法を使用して、光学素子419を光学台418へ付着させることもできる。
【0021】
側壁404とセラミック基部402は、280±40℃のAuSn合金で合わせてはんだ付けされる。次いで、光スイッチング・エンジン410が、基部402にエポキシ樹脂で接着され、かつ基部402にろう付けされた下方に延びるピン408に電気的に接続された接着パッド(図示せず)にワイヤボンディングされる。次いで、光学素子419が取り付けられた光学台418を、光スイッチング・エンジン410にアクティブ・アライメントする。アクティブ・アライメント・ステップ中、光学台418は、平行移動および、または回転台(図示せず)を使用して、光スイッチング・エンジン410まで運ばれ、入力光信号、すなわち試験入力信号が、ファイバ420の入力ファイバへ送られ、出力光信号、すなわち試験出力信号が、ファイバ420の出力ファイバで検出され、試験出力信号の事前定義された光出力レベルを達成するように、光学台418の位置が光スイッチング・エンジン410に対して調整される。目標光出力レベルが達成された後、光学台418は、基部402に恒久的に取り付けられ、図4Bに示すように側壁404が台418を取り囲む。次いで、組立体400を気密封止するように、上蓋422が側壁404にはんだ付けされ、また好ましくは、抵抗溶接もしくはレーザ溶接される。この文脈では、「気密封止」という用語は、MIL−STD 883D method 1014.9として知られる業界標準、または類似の標準に従って封止することを意味する。
【0022】
気密封止を完了する前に、窒素またはアルゴンのガス・パージを使用すると有利である。側壁404はコバールから作られることが好ましく、基部402はアルミナから作られることが好ましい。基部402に亀裂が生じないように、アルミナ基部402および側壁404のTCEは、摂氏1度当たり1〜1.5ppm(100万分の1)の範囲内まで互いに一致することが好ましい。アルミナ基部402上に基部を壁へ取り付けるためのメタライズ層(図示せず)を印刷した後、タングステンまたはモリブデン−マンガンを使用してアルミナを共焼成し、次いでNi/Auめっきして、その後基部402を側壁404へ容易にはんだ付けできるようにする。
【0023】
次に図5を参照すると、本発明によるマルチポート波長スイッチ(MWS)のパッケージ500の3次元図を示す。パッケージ500は、多層セラミック基部502と、基部502にはんだ付けされた側壁504と、側壁504にろう付けされたファイバ・フィードスルー506およびタブ514と、基部502にエポキシ樹脂で接着されたMEMSアレイ510とを有する。MEMSアレイ510は、タブ(図示せず)にワイヤボンディングされ、これらのタブは、パッケージ500の外側からアクセス可能なフィードスルー・ピン(図5には図示せず)に電気的に結合される。前記電気結合は、ピンをパッドへ電気的に結合させるように、多層セラミック基部502の個々の1つまたは複数の層の上に適切に印刷された導電性トレースを使用することによって実現されることが好ましい。ピンは、基部502にろう付けされることが好ましい。
【0024】
次に図6を参照すると、図5のパッケージ500に対応するパッケージ600の3次元横断面図を示す。パッケージ600は、多層セラミック基部602と、基部602にはんだ付けされた側壁604と、側壁504にろう付けされたファイバ・フィードスルー606と、多層基部602の厚さの一部分にわたるピン608と、基部602にエポキシ樹脂で接着されたMEMSアレイ610とを含む。
【0025】
次に図7に移ると、本発明によるマルチポート波長スイッチ・モジュール700の3次元図を示す。マルチポート波長スイッチ・モジュール700は、多層セラミック基部702と、基部702にはんだ付けされた側壁704と、側壁704にろう付けされたファイバ・フィードスルー706およびタブ714と、基部702にエポキシ樹脂で接着されたMEMSアレイ710と、光学部品719および回折格子719Aが取り付けられた光学台718と、ファイバ・フィードスルー706内へ挿入しかつ気密封止するためのセロキャスト721を有する3つの光ファイバ720と、光学台718を基部702に取り付けるための3つのガラス柱724とを含む。動作の際には、ファイバ720のうちの1つを入力ファイバとして使用して、入力ポート731から複数の波長チャネルを有する入力光信号を送り、ファイバ720のうちの別のファイバを出力ファイバとして使用して、前記波長チャネルのうちの少なくとも1つを有する出力光信号を出力ポート732へ出力する。回折格子719Aは分散性光学素子として使用して、入力光信号を個々の波長チャネルに空間的に分散させ、かつ少なくとも1つの波長チャネルを再結合させて出力光信号にする。光学素子719は、回折格子719Aを、入力ポート731、出力ポート732、およびMEMSアレイ710へ光学的に結合させるために使用する。MEMSアレイ710は、光スイッチング・エンジンとして使用され、所望の波長チャネルを出力ポート732内へ結合させるように、個々の波長チャネルを空間的に向けなおす。光学台718の機能は、回折格子719Aから入力ポート731、出力ポート732、およびMEMSアレイ710への前記光結合を確実にするように、回折格子719Aおよび光学部品719を、それらの間で固定した関係で支持することである。光学系の動作に関するさらなる詳細は、前述の米国特許文献に見ることができる。
【0026】
光学台718をMEMSアレイ710へ位置合わせする間、好ましくは、柱724の平坦な表面が、台718の平坦な表面と基部702の表面702Aの両方との瞬時の接触を維持できるように、光学台を平行移動させおよび、または傾斜させる。その後、光学台718を柱724へ、また柱724を表面702Aへエポキシ樹脂で接着する間、エポキシ樹脂の間隙は実質上均一であり、その結果、高度な機械的安定性が達成される。
【0027】
本明細書に記載の光クロスコネクト・パッケージ構築の複数の修正形態が可能である。たとえば、図7の柱724などのガラス柱の代わりにセラミック柱を使用することができ、3つの柱の代わりに2つまたは4つの柱を使用することができ、または回折格子719Aの代わりにグリズムを使用してもよい。
【0028】
次に図8Aおよび8Bに移ると、1入力、4出力のパッケージされたMWSモジュール800の上面図および底面図をそれぞれ示す。モジュール800は、セラミック基部802と、基部802から外方へ延び、光スイッチング・エンジン(モジュール800の内側に位置するため図示せず)に電気的に結合されたピン808と、閉じた側壁804に取り付けられたファイバ・フィードスルー806と、側壁804に溶接された上蓋822とを有する。セラミック基部802の寸法は、わずか56mm×79mmである。モジュール800は、ピン808を外部回路基板(図示せず)へ直接はんだ付けすることによって、外部基板に固定して取り付けるのに十分なほど小さい。したがって、波長アジャイル光ネットワーク・システムへのモジュール800の一体化が、著しく簡単になる。
【符号の説明】
【0029】
200A ROADM筐体
200B ROADM筐体
202A セラミック基部
202B セラミック基部
204 閉じた側壁
206 ファイバ・フィードスルー
208 コネクタ・ピン
210 MEMSアレイ
212 外部システム基板
214 タブ
216 追加の電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再構成可能光アド・ドロップ・モジュールであって、
複数の波長チャネルを有する入力光信号を送るための入力光ポートと、
前記波長チャネルのうちの少なくとも1つを有する出力光信号を出力するための出力光ポートと、
前記入力光信号を個々の波長チャネルに空間的に分散させ、かつ前記少なくとも1つの波長チャネルを再結合させて前記出力光信号にするための、前記入力光ポートおよび前記出力光ポートに光学的に結合された分散性光学素子と、
前記少なくとも1つの波長チャネルを前記入力光ポートから前記出力光ポートへ空間的に向けなおすための、前記分散性光学素子に光学的に結合された光スイッチング・エンジンと、
前記分散性素子から前記入力光ポート、前記出力光ポート、および前記光スイッチング・エンジンへの光結合を提供するための複数の光学部品と、
前記分散性光学素子および前記複数の光学部品をそれらの間で固定した関係で支持するための光学台と、
前記光スイッチング・エンジン、および前記光学素子が取り付けられた前記光学台をパッケージするための筐体とを備え、前記筐体が、前記光学台および前記光スイッチング・エンジンを支持するための基部と、前記基部に取り付けられた、前記光学台および前記光スイッチング・エンジンを取り囲む閉じた側壁と、前記筐体を封止するための、前記側壁に取り付けられた蓋とを有し、
前記基部の少なくとも一部分が、前記光スイッチング・エンジンを支持するためのセラミック板を含み、
前記セラミック板の少なくとも一部分が、前記筐体の内側と外側の両方から機械的にアクセス可能であり、
セラミック板の前記アクセス可能な部分が、前記光スイッチング・エンジンに結合された電気フィードスルーを有し、
前記フィードスルーが、前記筐体の外側から機械的かつ電気的にアクセス可能である、再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項2】
前記筐体が、気密封止された筐体である、請求項1に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項3】
前記光スイッチング・エンジンがMEMSアレイを備える、請求項2に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項4】
前記MEMSアレイが、前記セラミック板上に配置された接触パッドにワイヤボンディングされ、前記接触パッドが、前記セラミック板内の前記電気フィードスルーに電気的に結合された、請求項3に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項5】
前記分散性素子が回折格子を備える、請求項1に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項6】
前記セラミック板が前記基部より小さい、請求項1に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項7】
前記セラミック板が前記基部である、請求項1に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項8】
前記セラミック板が実装領域を有し、前記側壁が、前記セラミック板の実装領域の平面内に実装領域を有し、前記セラミック板の前記実装領域が、前記側壁の前記実装領域より大きく、前記再構成可能光アド・ドロップ・モジュールが、前記セラミック板のうちの前記側壁の前記実装領域の外側に取り付けられた電子部品をさらに備える、請求項7に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項9】
前記側壁がコバールから作られた、請求項1に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項10】
前記光学台が、断面が多角形の少なくとも2つの柱を有する前記基部に取り付けられた、請求項1に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項11】
前記セラミック板の実装領域が、少なくとも幅50mmおよび少なくとも長さ70mmである、請求項1に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュール。
【請求項12】
請求項1に記載の再構成可能光アド・ドロップ・モジュールの組立ての方法であって、
(a)前記光学素子および前記分散性光学素子を前記光学台へ位置合わせするステップと、
(b)ステップ(a)の完了後、前記光学素子および前記分散性光学素子を前記光学台へ固定するステップと、
(c)前記基部を前記側壁へ取り付けるステップと、
(d)前記光スイッチング・エンジンを前記セラミック板へ取り付け、かつ前記光スイッチング・エンジンを前記セラミック板内の前記フィードスルーへ電気的に結合させるステップと、
(e)ステップ(b)および(d)の完了後、前記セラミック板上の前記光スイッチング・エンジンと前記光学台上の前記分散性素子との間に光結合を提供するように、前記光学台を前記光スイッチング・エンジンへ位置合わせするステップと、
(f)ステップ(e)の完了後、前記光学台を前記基部へ取り付けるステップと、
(g)ステップ(f)の完了後、前記筐体を封止するように、前記蓋を前記側壁へ取り付けるステップとを含む、方法。
【請求項13】
ステップ(a)で、前記位置合わせするステップが、前記光学台へテンプレートを付着させ、かつ前記テンプレート内へ前記光学素子および前記分散性光学素子を配置することによって実施される、請求項12に記載の組立ての方法。
【請求項14】
ステップ(b)で、前記固定するステップが、前記光学素子および前記分散性光学素子を前記光学台へエポキシ樹脂で接着することによって実施される、請求項13に記載の組立ての方法。
【請求項15】
ステップ(c)で、前記取り付けるステップが、はんだ付けによって実施される、請求項12に記載の組立ての方法。
【請求項16】
前記はんだ付けが、融解温度280±40℃のAuSn合金を使用することによって実施される、請求項15に記載の組立ての方法。
【請求項17】
ステップ(d)で、前記電気的に結合させるステップが、ワイヤボンディングによって実施される、請求項12に記載の組立ての方法。
【請求項18】
ステップ(e)で、前記位置合わせするステップが、
(h)前記光学台を前記光スイッチング・エンジンまで運ぶステップと、
(i)前記入力光ポート内へ、所定の光出力レベルを有する試験入力光信号を送るステップと、
(j)前記出力光ポートで試験出力光信号を検出するステップと、
(k)前記試験出力光信号の事前定義された光出力レベルを達成するように、前記光学台の位置を、前記光スイッチング・エンジンに対して調整するステップとを含む、請求項12に記載の組立ての方法。
【請求項19】
ステップ(f)で、前記取り付けるステップが、断面が多角形の少なくとも2つの柱を使用することによって実施され、前記柱がそれぞれ、前記光学台と前記基部の両方に取り付けられる、請求項12に記載の組立ての方法。
【請求項20】
ステップ(g)で、前記取り付けるステップが、溶接またははんだ付けによって実施される、請求項12に記載の組立ての方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−145887(P2009−145887A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−313180(P2008−313180)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】430 N. McCarthy Boulevard, Milpitas, California, 95035, USA
【Fターム(参考)】