説明

再生制御システム、再生制御方法、及び移動体

【課題】展示施設の利用者のために展示物に関する解説を含む案内情報を再生するシステムにおいて、利用者の移動速度を考慮して適切な案内情報の再生を行うことを可能とする。
【解決手段】移動体1は、搭乗者を載せて走行できるよう構成されている。制御部4は、移動体1が展示物の近傍に到達した場合に、移動体1の走行に伴って搭乗者と共に空間を移動する再生装置2により再生される案内情報の再生内容を、移動体1の移動速度又はこれと相関を有するパラメータに応じて変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば美術館、博物館、歴史建造物等の各種展示施設において、展示物に関する解説を含む案内情報の再生を行う案内システムに関し、特に、案内情報の再生を制御する再生制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
各種展示施設において、利用者が展示物の近傍に近づいた場合に、利用者が携帯する再生端末によって展示物に関する解説を含む案内情報を再生する案内システムが用いられている。例えば、音声による案内情報がエンコードされた放送信号を展示物周辺に設置されたアンテナから常に無線送信しておくシステムが知られている。このシステムでは、展示物の近くに到着した利用者が携帯する再生端末が無線信号を受信して案内情報を再生する。また、その他の案内システムが、例えば、特許文献1〜5に開示されている。
【0003】
特許文献1〜4では、展示物の識別情報を無線送信する送信装置を展示施設に配置しておく。そして、利用者が携帯する再生端末は、識別情報を受信した場合に、識別情報に対応する案内情報を再生端末内のメモリ又は無線ネットワークを介してサーバから取得する。そして、再生端末は、取得した案内情報を再生する。
【0004】
特許文献5では、館内の床下等にICカードの読み取り装置を配置しておく。利用者は、再生端末及びICカードを携帯する。読み取り装置がICカードからの識別情報を受信した場合、情報配信装置は、読み取り装置の設置場所に対応する案内情報を選択し、選択した案内情報を識別情報に対応する利用者の再生端末に無線送信する。再生端末は、受信した案内情報を再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−333799号公報
【特許文献2】特開平8−263006号公報
【特許文献3】特開2001−77746号公報
【特許文献4】特開2002−157371号公報
【特許文献5】特開2004−295795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の発明者は、上述した案内システムには以下に述べる問題点があることを見出した。上述した案内システムでは、利用者が携帯する再生端末が展示物に近づいたことを条件として、その展示物に関する案内情報の再生が開始されてしまう。このため、例えば、利用者が興味のない展示物の前を通過するだけであり展示物に関する解説を望んでいない場合であっても、案内情報の再生が開始されてしまう。
【0007】
また、例えば、利用者の時間的な余裕は様々であり、急いで展示物を観賞しなければならない人もいる。しかしながら、案内情報の内容は、利用者の移動速度に依らず画一的である。このため、急いで観賞しなければならない利用者は、案内情報を最後まで聞くことなく、展示物の前を離れなければならない場合がある。
【0008】
本発明は、発明者による上述した知見に基づいてなされたものであって、展示施設の利用者の移動速度を考慮して適切な案内情報の再生を行うことが可能な再生制御システム、
再生制御方法、及び移動体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、展示物に関する解説を含む案内情報の再生を制御する再生制御システムに関する。当該システムは、移動体および制御部を含む。前記移動体は、搭乗者を載せて走行できるよう構成されている。前記制御部は、前記移動体が前記展示物の近傍に到達した場合に、前記移動体の走行に伴って前記搭乗者と共に空間を移動する再生装置により再生される前記案内情報の再生内容を、前記移動体の移動速度又はこれと相関を有するパラメータに応じて変更する。
【0010】
本発明の第2の態様は、案内情報の再生制御方法に関する。当該方法は、搭乗者を載せて走行する移動体が展示物の近傍に到着した場合に、前記移動体の走行に伴って前記搭乗者と共に空間を移動する再生装置により再生される前記展示物に関する解説を含む案内情報の再生内容を、前記移動体の移動速度又はこれと相関を有するパラメータに応じて変更することを含む。
【0011】
本発明の第3の態様は、搭乗者を載せて走行可能な移動体に関する。当該移動体は、検出部及び制御部を有する。前記検出部は、前記移動体の移動速度又は前記移動速度と相関を有するパラメータを検出する。前記制御部は、前記移動体が展示物の近傍に到着した場合に、前記移動体の走行に伴って前記搭乗者と共に空間を移動する再生装置により再生される前記展示物に関する解説を含む案内情報の再生内容を、前記移動体の移動速度又はこれと相関を有するパラメータに応じて変更する制御部を有する。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明の第1〜第3の態様によれば、展示物に関する案内情報の再生内容を移動体の移動速度に応じて変更できる。このため、本発明の第1〜第3の態様は、例えば、案内情報を再生するか否かを移動体の移動速度の大きさに基づいて決定することや、総再生時間の異なる複数の案内情報のうちいずれを再生するかを移動体の移動速度の大きさに応じて決定すること等の再生制御を行うことができる。つまり、本発明の第1〜第3の態様によれば、展示施設の利用者の移動速度を考慮して適切な案内情報の再生を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる案内システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる案内情報の再生制御手順を示すフローチャートである。
【図3】案内情報の再生内容決定手順の第1の具体例を示すフローチャートである。
【図4】案内情報の再生内容決定手順の第2の具体例を示すフローチャートである。
【図5】案内情報の再生内容決定手順の第3の具体例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる案内システムの構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる案内情報の再生制御手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3にかかる案内システムの構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態3にかかる案内情報の再生制御手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態4にかかる案内情報の再生を中断する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0015】
<発明の実施の形態1>
図1は、本実施の形態にかかる案内システムの構成例を示すブロック図である。当該案内システムは、移動体1の移動速度に応じて再生装置2によって再生される案内情報の再生内容を変更する。
【0016】
移動体1は、車輪、脚部リンク等の接地要素を有し、人を載せて走行できるよう構成されている。典型的には、移動体1は、接地要素を駆動するためのモータ又はエンジン等の駆動部を有する。しかしながら、移動体1は、例えば自転車のように、駆動部を有していない車両でもよい。移動体1は、搭乗者の手動操作によって走行するものでもよい。また、移動体1は、予め定められた走行経路に沿って走行し、搭乗者による停止・走行の指示を受け付けるよう構成されてもよい。美術館、博物館、歴史建造物等の展示施設では、歩行を補助する程度の最高速度、小回り性能、静粛性が要求されるから、電動式の平行二輪車、電動車椅子、電動カート等を移動体1として用いるとよい。しかしながら、移動体1は、その他の車両、例えば、自動車、オートバイ、軌道を走行する車両(電車、モノレール等)、自転車などでもよい。
【0017】
再生装置2は、移動体1が案内ポイントに到達した場合に、当該案内ポイントに対応付けられた案内情報を再生する。再生装置2によって再生される案内情報の内容は、後述する再生制御部4の指示に基づいて決定される。案内ポイントは、展示物の近傍であり、案内情報の再生を行うべき場所を意味する。案内情報は、音声、静止画像、映像、若しくはテキスト又はこれらの組合せである。案内情報によって利用者(移動体1の搭乗者)に伝達される内容は、美術品、博物品、書籍等の展示物の解説のほか、展示物(商品)の広告でもよい。再生装置2によって再生される案内情報は、特許文献1〜4にも記載されているように、再生装置2内の不揮発性メモリ(フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等)に保持されてもよいし、遠隔のコンピュータから再生装置2に無線ネットワークを介して転送されてもよい。案内情報のフォーマットおよび再生装置2の再生方式等の細部は本件発明の主題ではなく、これらには公知の技術を適用すればよいから、ここでは詳細説明を省略する。
【0018】
再生装置2は、展示物の案内サービスの提供時において、移動体1及び利用者(搭乗者)と共に移動するものであればよい。例えば、再生装置2は、移動体1の筐体に着脱可能に取り付けられるよう構成されてもよいし、移動体1の筐体内に収容されてもよい。また、再生装置2は、利用者によって携帯される可搬型の端末であってもよい。この場合、再生装置2は、展示施設の運営者から利用者に貸し出される端末であってもよいし、利用者が所有する携帯電話端末等でもよい。
【0019】
移動体1と再生装置2の対応関係が予め定められていない場合、後述する再生制御部4によって再生装置2の再生を制御したり、再生装置2に対して遠隔のコンピュータから案内情報を供給したりするためには、移動体1と再生装置2とを対応付けておく必要がある。この対応付けは、例えば、展示施設の係員が移動体1を利用者に貸し出す際に、移動体1の識別情報および再生装置2として利用する端末の識別情報を、再生制御部4がアクセスできる記憶装置に関連付けて一時保存することで行えばよい。
【0020】
速度検出部3は、移動体1と一体的に構成されてもよいし、再生装置2と一体的に構成されてもよいし、移動体1又は再生装置2と無線通信可能な遠隔のコンピュータに配置されてもよい。速度検出部3は、移動体1の移動速度を検出する。速度検出部3が検出する移動速度は、厳密な計測値である必要はない。速度検出部3が検出する移動速度は、移動速度の大きさであってもよい。また、速度検出部3が検出する移動速度は、移動体1の移動速度と相関を有する他のパラメータ、例えば、接地要素としての車輪の回転数、車輪の回転速度、又は移動体1の位置の時間変化から計算される平均移動速度であってもよい。
【0021】
さらに、速度検出部3は、移動体1の移動速度又はこれと相関を有するパラメータとして、再生装置2の移動速度を検出してもよい。再生装置2は、移動体1及び搭乗者(利用者)と一体的に移動するから、再生装置2の移動速度は、移動体1の移動速度及び利用者の移動速度とみなすことができる。再生装置2の移動速度は、再生装置2の位置の時間変化から計算される平均移動速度とすればよい。再生装置2の位置は、例えば、再生装置2に搭載されたGPS(Global Positioning System)受信機によって得ることができる。また、再生装置2の位置は、展示施設に配置された送信機(例えば無線LAN(Local Area Network)アクセスポイント)から送信される無線信号(ビーコン信号)を再生装置2が受信することによって、逆に、再生装置2から送信される無線信号を展示施設に配置された受信機(例えば無線LANアクセスポイント)が受信することによって取得してもよい。
【0022】
再生制御部4は、再生装置2による案内情報の再生を制御する。具体的には、再生制御部4は、移動体1が展示物の案内ポイントに到達した場合に再生装置2により再生される案内情報の再生内容を、移動体1の移動速度に応じて変更する。再生制御部4は、移動体1と一体的に構成されてもよいし、移動体1と無線通信可能な遠隔のコンピュータに配置されてもよい。
【0023】
移動体1が展示物の案内ポイント(つまり展示物の近傍)に到達したことの判定は、特許文献1〜5に記載されているような、再生端末が展示物の案内ポイントに到達したことを判定する公知の手法を用いて行えばよい。移動体1が案内ポイント(つまり展示物の近傍)に到達したことの判定は、例えば、展示施設に配置された無線装置から送信される無線信号を移動体1が受信することによって、又は逆に、移動体1から送信される無線信号を展示施設に配置された無線装置が受信することによって行うことができる。また、移動体1の位置と、展示物の場所を定めた地図情報とを用いて、移動体1が案内ポイントに到達したことを判定してもよい。移動体1の位置は、移動体1に配置されたGPS受信機によって得ることができる。また、移動体1の接地要素としての車輪のオドメトリを取得し、オドメトリを用いて移動体1の位置を推定してもよい。
【0024】
続いて、再生制御部4による案内情報の再生制御の具体例について説明する。図2は、案内情報の再生制御手順の具体例を示すフローチャートである。ステップS10では、再生制御部4は、移動体1が展示物の案内ポイントに到着したか否かを判定する。移動体1が展示物の案内ポイントに到達した場合(ステップS10でYES)、再生制御部4は、速度検出部3によって検出された移動速度の値を取得する(ステップS11)。ステップS12では、再生制御部4は、移動体1の移動速度に応じて、再生装置2により再生される案内情報の再生内容を決定する。そして、再生制御部4は、決定した案内情報の再生を再生装置2に指示する。なお、ステップS12において案内情報を再生しないことを決定した場合、再生制御部4は、再生装置2に対して何も指示しなくてもよいし、必要に応じて再生の抑止を指示してもよい。ステップS12における再生内容決定手順の具体例については後述する。
【0025】
上述したように、本実施の形態では、展示物に関する案内情報の再生内容を移動体1の移動速度に応じて変更できる。これにより、移動体1に搭乗して移動する展示施設の利用者の移動速度を考慮して適切な案内情報の再生を行うことが可能となる。以下では、図2のステップS12における再生内容決定手順の具体例について説明する。
【0026】
[第1の具体例]
図3は、第1の具体例を示すフローチャートである。ステップS20では、再生制御部4は、移動体1の移動速度を予め定められた閾値V1と比較する。移動体1の移動速度の大きさが閾値V1未満である場合(ステップS20でYES)、再生制御部4は、展示物に関する案内情報の再生を行うことを決定する(ステップS21)。一方、移動体1の移動速度の大きさが閾値V1以上である場合(ステップS20でNO)、再生制御部4は、展示物に関する案内情報の再生を行わないことを決定する(ステップS22)。
【0027】
図3に示した第1の具体例では、移動体1が展示物の案内ポイントに到達したことに加えて、移動体1の移動速度の大きさが閾値V1より小さいことを条件として、当該展示物に関する案内情報の再生が開始される。このため、時間的余裕がない、又は展示物に興味が無い等の何らかの事情によって利用者が案内ポイントを通過しており、展示物に関する解説を望んでいない場合には、案内情報の再生を抑止できる。
【0028】
[第2の具体例]
図4は、第2の具体例を示すフローチャートである。ステップS30では、再生制御部4は、移動体1の移動速度を予め定められた閾値V1と比較する。移動体1の移動速度の大きさが閾値V1未満である場合(ステップS30でYES)、再生制御部4は、展示物に関する第1の案内情報の再生を行うことを決定する(ステップS31)。一方、移動体1の移動速度の大きさが閾値V1以上である場合(ステップS30でNO)、再生制御部4は、展示物に関する第2の案内情報の再生を行うことを決定する(ステップS32)。ここで、第2の案内情報は、第1の案内情報に比べて総再生時間が短い。第2の案内情報は、例えば、第1の案内情報のうち主要な部分をかいつまんで説明する内容であってもよいし、第1の案内情報を要約した内容であってもよい。
【0029】
図4に示した第2の具体例では、案内ポイントに到達した移動体1の移動速度が大きい場合には、第1の案内情報に比べて総再生時間の短い第2の案内情報が再生される。このため、時間的余裕がない、又は展示物に興味が無い等の何らかの事情によって利用者が展示物の案内ポイントを速く通過する場合に、展示物に関する簡潔な解説を利用者に提供することができる。一方、時間的余裕があり展示物をゆっくり鑑賞できる利用者には、展示物に関する十分な解説を提供することができる。
【0030】
[第3の具体例]
図5は、第3の具体例を示すフローチャートである。ステップS40では、再生制御部4は、移動体1の移動速度を予め定められた閾値V1と比較する。移動体1の移動速度の大きさが閾値V1未満である場合(ステップS40でYES)、再生制御部4は、展示物に関する案内情報の再生を行うことを決定する(ステップS41)。一方、移動体1の移動速度の大きさが閾値V1以上である場合(ステップS40でNO)、さらに再生制御部4は、移動体1が到着した案内ポイントの優先度を閾値P1と比較する(ステップS42)。案内ポイントの優先度は、展示物の価値、重要度、人気等を指標として予め設定しておけばよい。案内ポイントの優先度が閾値P1より大きい場合、再生制御部4は、展示物に関する案内情報の再生を行うことを決定する(ステップS41)。そして、案内ポイントの優先度が閾値P1以下である場合、再生制御部4は、案内情報の再生を行わないことを決定する(ステップS43)。
【0031】
図5に示した第3の具体例では、移動体1の移動速度の大きさが閾値V1以上である場合は、優先度の低い展示物に関する案内を省略し、優先度の高い展示物に関する案内のみを行う。このため、時間的余裕がない、又は展示物に興味が無い等の何らかの事情によって利用者が展示物の案内ポイントを速く通過する場合に、主要な重要性の高い展示物に関する案内のみを利用者に選択的に提供することができる。
【0032】
本実施の形態で述べた再生制御部4による再生装置2の再生制御処理、例えば図2〜図5のフローチャートに示した処理は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)若しくはCPU(Central Processing Unit)又はこれらの組み合わせを含むコンピュータ・システムを用いて実現することができる。具体的には、これらの処理手順に関する命令群を含む1又は複数のプログラムをコンピュータ・システムに実行させればよい。
【0033】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給される。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0034】
<発明の実施の形態2>
本実施の形態では、発明の実施の形態1で述べた移動体1が案内ポイントへ到着したことを判定する手法の具体例について説明する。図6は、本実施の形態に係る案内システムの構成例を示すブロック図である。図6は、再生装置2、速度検出部3、再生制御部4が移動体1に配置される例を示しているが、発明の実施の形態1で述べた通り、これらは移動体1と分離されてもよい。
【0035】
図6に示す例では、展示物90の近傍に無線送信機91が設置される。無線送信機91は、案内ポイント信号を無線送信することによって、案内ポイント(展示物の近傍エリア)を形成する。案内ポイント識別信号は、例えば、案内ポイントを識別可能なデジタル情報(案内ポイントID)を含む送信データに基づいて搬送波を変調することによって生成すればよい。具体例を示すと、無線送信機91は、無線LANのアクセスポイント装置であってもよい。
【0036】
本実施の形態では、再生制御部4は、移動体1に配置された通信部11による案内ポイント信号の受信によって、移動体1が案内ポイントに到着したことを判定する。例えば、通信部11は、案内ポイント信号を受信し、案内ポイント信号を復調することで得られる案内ポイントIDを再生制御部4に引き渡せばよい。再生制御部4は、案内ポイントIDを受信することで、案内ポイントIDによって特定される案内ポイントに到着したことを判定すればよい。
【0037】
図7は、本実施の形態に係る案内情報の再生制御手順の具体例を示すフローチャートである。図7のフローチャートでは、図2に示したフローチャートのステップS10がステップS50によって置き換えられている。ステップS50では、再生制御部4は、通信部11が案内ポイント信号を受信したか否かを判定する。案内ポイント信号を受信した場合、つまり案内ポイントに到着した場合(ステップS50でYES)、再生制御部4は、ステップS11及びS12を行う。図7のステップS11及びS12における処理内容は、発明の実施の形態1で既に説明した通りである。
【0038】
<発明の実施の形態3>
本実施の形態では、移動体1が案内ポイントへ到着したことを判定する手法の他の具体例について説明する。図8は、本実施の形態に係る案内システムの構成例を示すブロック図である。図8は、再生装置2、速度検出部3、再生制御部4が移動体1に配置される例を示しているが、発明の実施の形態1で述べた通り、これらは移動体1と分離されてもよい。また、後述する位置計測部12及び地図情報13の保存場所も移動体1と分離されてもよい。
【0039】
本実施の形態では、再生制御部4は、位置計測部12によって得られた位置情報と、案内ポイントの場所を指定する地図情報13を用いて、移動体1が案内ポイントに到着したことを判定する。例えば、位置計測部12は、GPS受信機を含んでもよい。また、位置計測部12は、移動体1の接地要素としての車輪のオドメトリを取得し、オドメトリを用いて移動体1の位置を推定してもよい。
【0040】
図9は、本実施の形態に係る案内情報の再生制御手順の具体例を示すフローチャートである。図9のフローチャートでは、図2に示したフローチャートのステップS10がステップS60〜S62によって置き換えられている。ステップS60では、再生制御部4は、位置計測部12によって得られた移動体1の位置情報を取得する。ステップS61では、再生制御部4は、地図情報13を参照し、移動体1の位置を、地図情報13に規定された案内ポイントの位置と照合する。移動体1の位置と地図情報13との照合によって案内ポイントへの到着を判定した場合(ステップS62でYES)、再生制御部4は、ステップS11及びS12を行う。図9のステップS11及びS12における処理内容は、発明の実施の形態1で既に説明した通りである。
【0041】
図8の構成によれば、移動体1の案内ポイントへの到着判定、及び移動体1の移動速度に基づく再生装置2の再生制御を、展示施設に設置された装置を用いることなく、移動体1内で行うことができる。
【0042】
<発明の実施の形態4>
本実施の形態では、上述した発明の実施の形態1の変形例について説明する。本実施の形態にかかる案内システムの全体構成は、図1と同様とすればよい。本実施の形態に係る再生制御部4は、実施の形態1で述べた再生装置2による案内情報の再生開始の処理に加えて、再生装置2による案内情報の再生の中断処理を行う。
【0043】
図10は、本実施の形態に係る案内情報の再生中断手順の具体例を示すフローチャートである。ステップS70では、再生制御部4は、案内情報の再生を開始した後の経過時間を所定時間と比較する。この所定時間は、案内情報の総再生時間とすればよい。所定時間が経過した場合(ステップS70でYES)、再生制御部4は、再生装置2による案内情報の再生情報を正常終了する(ステップS71でYES)。所定時間の経過前である場合(ステップS70でNO)、再生制御部4は、移動体の移動速度が閾値V2と比較する。閾値V2は、移動体1の移動開始を判定する指標であり、上述の閾値V1と同じ値でもよい。移動体の移動速度が閾値V2以下である場合(ステップS72でNO)、再生制御部43は、ステップS70に戻って繰り返し判定を行う。一方、移動体の移動速度が閾値V2を超える場合(ステップS72でYES)、再生制御部4は、再生装置2による案内情報の再生を途中で中止する。
【0044】
本実施の形態によれば、案内情報の再生が終了する前に利用者が移動を開始したことを検出して、案内情報の再生を途中で中止することができる。
【0045】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 移動体
2 再生装置
3 速度検出部
4 再生制御部
11 通信部
12 位置計測部
13 地図情報
90 展示物
91 無線送信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
展示物に関する解説を含む案内情報の再生を制御する再生制御システムであって、
搭乗者を載せて走行可能な移動体と、
前記移動体が前記展示物の近傍に到達した場合に、前記移動体の走行に伴って前記搭乗者と共に空間を移動する再生装置により再生される前記案内情報の再生内容を、前記移動体の移動速度又は前記移動速度と相関を有するパラメータに応じて変更する制御部と、
を備える再生制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、総再生時間の異なる複数の案内情報のうちいずれを再生するかを前記移動速度又は前記パラメータに応じて決定する、請求項1に記載の再生制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが基準に比べて低速であると判定される場合に、第1の案内情報が前記再生装置によって再生されるようにし、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが前記基準に比べて高速であると判定される場合に、前記第1の案内情報に比べて総再生時間の短い第2の案内情報が前記再生装置によって再生されるようにする、
請求項1又は2に記載の再生制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記移動速度に基づいて前記案内情報を再生するか否かを決定する、請求項1に記載の再生制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが基準に比べて低速であると判定される場合に、前記案内情報が前記再生装置によって再生されるようにし、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが前記基準に比べて高速であると判定される場合に、前記案内情報の前記再生装置による再生を抑止する、
請求項1又は4に記載の再生制御システム。
【請求項6】
前記再生装置又は前記移動体の位置を計測する位置計測部をさらに備え、
前記制御部は、前記位置計測部によって計測された位置と、前記展示物の場所を定めた地図情報を用いて、前記移動体が前記展示物の近傍に到達したことを判定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の再生制御システム。
【請求項7】
前記展示物の近傍に設置され、無線信号を送信する送信装置と、
前記移動体又は前記再生装置に配置された前記無線信号を受信する受信装置と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記受信装置による前記無線信号の受信に基づいて、前記移動体又は前記再生装置が前記展示物の近傍に到達したことを判定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の再生制御システム。
【請求項8】
前記再生装置は、前記移動体に物理的に結合されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の再生制御システム。
【請求項9】
前記パラメータは、前記移動速度の大きさ、前記移動体が有する車輪の回転数、前記車輪の回転速度、又は前記再生装置の平均移動速度の大きさである、請求項3又は5に記載の再生制御システム。
【請求項10】
搭乗者を載せて走行する移動体が展示物の近傍に到着した場合に、前記移動体の走行に伴って前記搭乗者と共に空間を移動する再生装置により再生される前記展示物に関する解説を含む案内情報の再生内容を、前記移動体の移動速度又は前記移動速度と相関を有するパラメータに応じて変更すること、
を備える案内情報の再生制御方法。
【請求項11】
前記案内情報の再生内容を変更することは、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが基準に比べて低速であると判定される場合に、第1の案内情報が前記再生装置によって再生されるようにし、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが前記基準に比べて高速であると判定される場合に、前記第1の案内情報に比べて総再生時間の短い第2の案内情報が前記再生装置によって再生されるようにすること、
を備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記案内情報の再生内容を変更することは、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが基準に比べて低速であると判定される場合に、前記案内情報が前記再生装置によって再生されるようにし、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが前記基準に比べて高速であると判定される場合に、前記案内情報の前記再生装置による再生を抑止すること、
を備える請求項10に記載の方法。
【請求項13】
搭乗者を載せて走行可能な移動体であって、
前記移動体の移動速度又は前記移動速度と相関を有するパラメータを検出する検出部と、
前記移動体が展示物の近傍に到着した場合に、前記移動体の走行に伴って前記搭乗者と共に空間を移動する再生装置により再生される前記展示物に関する解説を含む案内情報の再生内容を、前記移動速度又は前記パラメータに応じて変更する制御部を備える、
移動体。
【請求項14】
前記制御部は、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが基準に比べて低速であると判定される場合に、第1の案内情報が前記再生装置によって再生されるようにし、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが前記基準に比べて高速であると判定される場合に、前記第1の案内情報に比べて総再生時間の短い第2の案内情報が前記再生装置によって再生されるようにする、
請求項13に記載の移動体。
【請求項15】
前記制御部は、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが基準に比べて低速であると判定される場合に、前記案内情報が前記再生装置によって再生されるようにし、
前記移動速度又は前記パラメータに基づいて、前記移動速度の大きさが前記基準に比べて高速であると判定される場合に、前記案内情報の前記再生装置による再生を抑止する、
請求項13に記載の移動体。
【請求項16】
前記移動体の位置を計測する位置計測部をさらに備え、
前記制御部は、前記位置計測部によって計測された位置と、前記展示物の場所を定めた地図情報を用いて、前記移動体が前記展示物の近傍に到達したことを判定する、請求項13〜15のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項17】
前記展示物の近傍に設置された送信装置から送信される無線信号を受信可能な受信装置をさらに備え、
前記制御部は、前記受信装置による前記無線信号の受信に基づいて、前記移動体が前記展示物の近傍に到達したことを判定する、請求項13〜15のいずれか1項に記載の移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−83682(P2012−83682A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232117(P2010−232117)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】