説明

再生対応部品

【課題】 材質を問わず再生対応に優れた再生対応部品を提供する。
【解決手段】再利用する度にシート状部材を重ね貼りする再生対応部品1において、シート状部材の貼り付け部位2は凹状であり、凹状のシート状部材貼り付け部位は重ねて貼り合わせられた複数のシート状部材の厚み合計と同等もしくはそれ以上の深さを有し、シート状部材貼り付け部位の内周囲の少なくとも一部に階段状のシート状部材貼り付け位置3を有し、複数枚重ねて張り合わせるシート状部材の、最低面に貼られるシート状部材以外は、下層のシート状部材と前記階段状のシート状部材貼り付け位置に接着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生対応部品に関する。中でも特に複写機やプリンタやファクシミリやスキャナといったOA(Office Automation)機器を構成する部品の再生対応部品に関する。
【背景技術】
【0002】
OA機器は、樹脂製や金属製やガラス製といった数々の部品から構成されるが、これらの部品については、近年、資源や自然環境の保全を目的に、廃棄は極力減らし、可能な限り回収して再生し再び使用するというリサイクルやリユースへの対応が強く望まれる。
【0003】
ここで、OA機器には、OA機器そのもののケースやカバー、OA機器に搭載される各種ユニット(カートリッジを含む)のフレームやケース等を構成する部品には、自己に関する情報(例えば部品番号や製造番号や原料や製造元)が明記されたラベル、搭載されるOA機器や各種ユニットに関する情報(例えば規格や仕様)が明記されたラベル、操作手順等ため、不用意に剥がれないことを示すラベルといったシート材が貼り付けられていることが多い。このシート材は、当該部品に関する情報等を示す極めて重要なものである。
【0004】
再生対応部品においてのシート材の貼付け部分について、従来の構成を以下に説明する。従来の第1技術としては、シート材はほぼ矩形状であり、再生対応部品には、その表面に、これと同一面上にシート材よりも若干大きい程度の座が形成されており、シート材は、その座の上に貼り付けられている。
【0005】
また、座の一隅部には、シート材を取り除く際に活用される剥離補助部が形成されている。この剥離補助部は、再生対応部品にコの字状のスリットを貫通形成することで得られるものであって、その先端に負荷を与えることで根元を支点に撓むようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このような第1技術の構成では、再生対応部品を再生する際、剥離補助部の先端を表面側から押し込まれるので、シート材は、剥離補助部に対応する角部が剥がれ、そのままこの角部を抓んでシート材を座から剥ぎ取ることができる。
【0007】
従来の第2技術としては、シート材は、主領域がほぼ矩形状であり、四角部のうちの一角部には、外側に突出した抓み代を備える。再生対応部品には、その表面に、これと同一面上にシート材よりも若干大きい程度の座が形成されている。シート材は、抓み代を除く主領域の裏面の少なくとも周縁部に粘着層を備えており、座の上に貼り付けられている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
このような第2技術の構成では、再生対応部品を再生する際、座に対し接着されていない抓み代を抓んでシート材を座から剥ぎ取ることができる。
【0009】
また、ラベルとして、表層側の剥離によって次層側が露出するように二枚以上重なり合い、それぞれの裏面に接着層を有する積層ラベルが開示されている。(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−308018号公報
【特許文献2】特開平8−278739号公報
【特許文献3】特開平10−55136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記した従来の第1技術および第2技術はいずれも、シート材を剥がして再生対応部品を再利用しているが、既に強固に張り付けられているシート材を剥がすという、非常に手間のかかる作業を要し、リサイクルする際に作業性が著しく悪くなるという問題が発生する。
【0011】
また、再生対応部品を溶解等して材料としてリサイクルするのではなく、再生対応部品をメンテ後同じ部品として再利用する際には、従来の第1技術では、再生対応部品の形状が変化してしまうため部品として再利用できず、従来の第2技術では、上述したように作業性が悪くなるという問題が発生する。
【0012】
また、特許文献3に記載のラベルを再生対応部品に貼り付けた場合、積層構造であるラベルの厚みが大きいため、ラベル表面が再生対応部品の表面から突出し、ラベルが剥がれやすくなったり、汚れてしまうという問題がある。
【0013】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、材質を問わず再生対応に優れた再生対応部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、再生対応部品において、以下の点を特徴とする。第1の構成としては、
シート状部材を少なくとも複数枚重ねて張り合わせるシート状部材貼り付け部位を有する再利用可能部品において、前記シート状部材貼り付け部位は凹状であり、前記凹状のシート状部材貼り付け部位は重ねて張り合わせられる複数のシート状部材の厚み合計と同等以上の深さを有し、前記シート状部材貼り付け部位の内周囲の少なくとも一部に階段状のシート状部材貼り付け位置を有することを特徴とする。
【0015】
これにより、再利用可能部品を部品として再利用する度に、シート状部材を重ね張りし、シート状部材の合計厚みが大きくなっても、シート状部材が突出することが無いので、シート状部材の剥がれや汚れを防止することができる。また、凹状のシート状部材貼り付け部位はその内周囲が階段状となったシート状部材貼り付け位置を有しているので、シート状部材を重ね貼りする際に、貼り付けるシート状部材は下面に位置するシート状部材だけに接着するのでははく、シート状部材貼り付け位置にも接着するため、より接着強度が向上する。
【0016】
第2の構成としては、前記シート状部材貼り付け部位は、利用回数を刻印しており、複数枚重ねて張り合わせる前期シート状部材の、最低面に貼られるシート状部材以外は前記刻印を覆うように前記シート状部材貼り付け部位に接着されることを特徴とする。これにより、再利用回数を重ねる毎に新しいシート状部材を重ね貼りしても、現在は何度目の再利用であるか一目で判断することができる。
【0017】
第3の構成としては、複数枚重ねて張り合わせる前期シート状部材は上層ほど前期シート状部材の大きさが大きくなることを特徴とする。これにより、いずれの再利用工程においても、シート状部材がシート状部材貼り付け部位に貼り付けやすく、下方に接着されたシート状部材の全域を上層に接着されたシート状部材によって覆うので、シート状部材が剥がれにくくなる。また、シート状部材貼り付け部位に刻印された再利用回数を示す数字を簡単に覆うことができる。
【0018】
第4の構成としては、前記シート状部材貼り付け部位は、底面にシート状部材剥がし用のスリットを設けていることを特徴とする。これにより、再利用回数が規定の回数を満たし、再利用可能部品の寿命が終了し、部品を溶解などしてマテリアルリサイクルする場合に、強固に重ね貼りされたシート状部材を簡単に剥がして取り除くことができる。
【0019】
第5の構成としては、前記シート状部材は、シート状部材が貼り付けられる階段状のシート状部材貼り付け位置の大きさ分を切り取ることができるように、1箇所以上のミシン目加工が施されていることを特徴とする。これによれば複数種のシート状部材を製造、管理する必要が無く、1種類のシート状部材の一部を切り取ることで、全ての再利用段階に応じたシート状部材を得ることができるので、シート状部材にかかるコストを削減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の再生対応部品によれば、当該再生対応部品に関する情報等を示すシート材が、再生に移る前の段階では不用意に剥がれたり、汚れることはなく、しかも部品として再生する際には、新たなシート材を重ね貼りするだけでいいので、この再生対応部品は、再生対応に優れたものと言える。勿論、材質を制限する要素はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述する。先ず、本発明の第1実施形態を図1、図2を用いて説明する。図1は再生対応部品のシート状部材を張る前の平面図、図2は図1にシート状部材を接着したときのA−A断面図である。
【0022】
図1に示すように、凹状のシート状部材貼り付け部位2はシート部材を貼り付ける底面5を有しており、凹状のシート状部材貼り付け部位2の内周の端部は階段状部3を有している。階段状部3の各高さは各階段上部の横に貼り合わされるシート状部材と同じ高さである。最初に再生対応部品1に貼り付けられる、図2(a)に示される第1のシート状部材4は、凹状のシート状部材貼り付け部位2の最底面5に貼り付けられる。シート状部材4はほぼ矩形状であって、この裏面に接着層を備えており、表面には基番や製造元、操作手順等が明記されている。
【0023】
再生対応部品1は、例えばPC(ポリカーボネイト)やABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等の樹脂材料から射出成型されて成る。
【0024】
次に、再生対応部品1を再生するときには、既に貼り付けられている第1のシート状部材4の上面に第2のシート状部材6を重ねて貼る。このとき第2のシート状部材6の下面全域が第1のシート状部材4の上面に重ねられるのではなく、第2のシート状部材6の右端部は階段状部3の上にも重ねられる。このように、重ね貼られる第2のシート状部材の一部を例えば樹脂材料からなる凹状のシート状部材貼り付け部位2の一部に直接貼り合わすことができるため、シート状部材を剥がれにくくすることができる。
【0025】
また、再度、再生対応部品1を再生する場合には、上述したように図示しない第3のシート状部材を第2のシート状部材6の上面に重ね貼りし、その右端部は階段状部3の上に重ねられる。階段状部3は右端部に限られることはなく、左端部でもよく、また、凹状のシート状部材貼り付け部位2の内周全域に階段状部3を設けても良い。
【0026】
図1および図2(a)に示すように階段状部3が凹状のシート状部材貼り付け部位2の端部にある場合、シート状部材の長手方向の長さは、凹状のシート状部材貼り付け部位2を隙間無く埋めるために、第1のシート状部材の長さL1<第2のシート状部材の長さL2<第3のシート状部材の長さL3(L3は図示せず)であることが好ましい。
【0027】
右端部に階段状部3を有する凹状のシート状部材貼り付け部位2の深さDは、複数枚重ね張りされるシート状部材の厚さの合計値と略同一である。つまり再生対応部品1が2回再生され、合計3回使用される場合には、第1のシート状部材4、第2のシート状部材6及び図示しない第3のシート状部材の合計3枚のシート状部材を重ね貼りすることになるので、凹状のシート状部材貼り付け部位2の深さDは、第1〜3のシート状部材の厚みを合計した深さと略同一である。
【0028】
まだ再利用を1度もしていな場合は、第1のシート状部材のみしか凹状のシート状部材貼り付け部位2に張られていないので、第1のシート状部材4の表面は、再生対応部品の表面よりも窪んだ位置に存在する。
【0029】
図2(a)においては上部に張られるシート状部材ほどその大きさが大きいが、図2(b)のように同じ大きさのシート状部材を使用することもできる。図2(b)において、第1のシート状部材4‘と第2のシート状部材6‘の大きさは等しい。つまり、同じシート状部材を貼り付けている。
次に、本発明の第2実施形態を図3、図4を用いて説明する。図3は再生対応部品のシート状部材を貼る前の平面図、図4は図3にシート状部材を接着したときのA−A断面図である。
【0030】
図3は凹状のシート状部材貼り付け部位2aの全ての辺に階段状部3aを設けた場合を示す。尚、図1および図2の説明と重複する点については省略する。
【0031】
図3においては、凹状のシート状部材貼り付け部位2aはその周の全周にわたって階段状部3aを有している。従って、図4に図示されるように、第2のシート状部材6aは第1のシート状部材4aよりも、シート状部材の長辺および短辺の長さが第1のシート状部材も長く、図示しない第3のシート状部材も、同様にシート状部材の長辺および短辺の両方の長さが第2のシート状部材よりも長いものを使用している。
【0032】
以上のような構成にすることにより、重ね貼られる第2のシート状部材の全周を、例えば樹脂材料からなる凹状のシート状部材貼り付け部位2の一部に直接貼り合わすことができるため、シート状部材をさらに剥がれにくくすることができる。
【0033】
図1から図4においては凹状のシート状部材貼り付け部位2、2aは長方形であるが、長方形でなくとも、正方形、円形、楕円形、ひし形などでもかまわない。その場合は、シート状部材も凹状のシート状部材貼り付け部位に合わせた形とし、上層のシート状部材ほど、その面積が大きいほうが好ましい。
【0034】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図5は図1のシート状部材貼り付け部位2の斜視図である。図5(a)は再生対応部品1の再利用を一度もしていないので凹状のシート状部材貼り付け部位2の底面5(図1参照)にのみ、第1のシート状部材4が貼られている。図5(b)は再生対応部品1は一度再利用されているので、第1のシート状部材4の上に第2のシート状部材6が貼られている。図2の説明と重複する点については省略する。シート状部材4および6の表面には、必要な情報が明記してある。(ここでは十字型である。)
図5の凹状のシート状部材貼り付け部位2の階段状部3には、それぞれ番号1、2、3が刻印されている。この番号は再利用回数を示している。つまり、図5(a)に示すように、まだ一度も再生対応部品1を再生して再利用していないときは、第1のシート状部材4のみが凹状のシート状部材貼り付け部位2の底面5に張られている状態なので、階段状部3にはシート状部材が貼られておらず、階段状部3に刻印された数字はシート状部材に隠れることが無いので1、2、3の番号を見ることができる。
【0035】
このように1、2、3の番号を見ることができる場合は一度も再利用されておらず、1度目の使用であることが分かる。
【0036】
次に再生対応部品1を一度再生した場合には、図5(b)に示されているように、階段状部3の、図5(a)において1の数字が刻印されている階段状部3および第1のシート状部材4の上面に第2のシート状部材6が貼られるので、階段状部3には、2と3の数字しか見ることができない。
【0037】
このような場合、再生対応部品1は一度再利用し、2度目の使用であることがわかる。再生対応部品1を二度再生した場合には、第2のシート状部材6の上面および2の数字が刻印されている階段状部3に、図示しない第3のシート状部材を重ね貼りするので、3の数字しか見ることができず、3度目の使用であることがわかる。
【0038】
また、第1〜第3のシート状部材にはシート状部材を重ね貼りしたときに同じ位置に来る位置に、同じ内容の情報が書かれている。
【0039】
以上のように、凹状のシート状部材貼り付け部位2の階段状部3に数字を刻印したので、再生対応部品1が何度目の使用であるか簡単に判別でき、再生対応部品1の寿命を過ぎても再利用してしまうということが無く、部品の不具合を防ぐことができる。
【0040】
また、第1のシート状部材の長さL1=第2のシート状部材の長さL2=第3のシート状部材の長さL3であっても、階段状部3の刻印を隠すように貼り付ければ、何度目の使用であるかを判別できるという効果を有することができるが、凹状のシート状部材貼り付け部位2を隙間無く埋め、下層に存在するシート状部材の全域を覆うことができるように、第1のシート状部材の長さL1<第2のシート状部材の長さL2<第3のシート状部材の長さL3とすることが好ましい。
【0041】
また、凹状のシート状部材貼り付け部位2aの全ての辺に階段状部3aを設けた、図2のシート状部材貼り付け部位2aであっても、上述したように階段状部3aに再利用回数を表わす数字を刻印することができる。シート状部材の大きさは上述した理由により、上層に張るシート状部材ほど大きい方が好ましい。
【0042】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図6、図7は本発明で使用されるシート状部材を説明する図である。
【0043】
図6および図7はシート状部材貼り付け部位に貼り付けられる前のシート状部材を示す図である。図6は図1に示される凹状のシート状部材貼り付け部位2に使用されるシート状部材7を表わす図である。図7は図3に示される凹状のシート状部材貼り付け部位2aに適応するシート状部材8を表わす図である。
【0044】
本発明では上述したように第1のシート状部材の大きさ<第2のシート状部材の大きさ<第3のシート状部材の大きさが好ましい。しかし、複数種類のシート状部材を製造するとコストがかかるのと共に、ある特定の大きさのシート状部材が欠品になってしまうという不具合も考えられる。
【0045】
そこで上述した問題を解決するために、シート状部材7またはシート状部材8にミシン目加工を施し、大きさが適宜調整できるシート状部材が好ましい。
【0046】
図6のシート状部材は、右側に複数のミシン目加工9aおよび9bを施しており、必要に応じてミシン目部より右側が切り離されるようになっている。シート状部材に書き込まれる情報は、より中央よりにあるミシン目9aよりもシート状部材の中央寄りに書き込まれている。
【0047】
ミシン目9aのみによって切り離されるシート状部材10aの長さL101は図2に示される凹状のシート状部材貼り付け部位2の階段状部3の全体長さL12と略同一長さであり、ミシン目加工9bによって切り離されるシート状部材10bの長さL102はシート状部材貼り付け部位2の階段状部3の部分長さL11の長さと略同一である。
【0048】
すなわち、再生対応部品1が一度も再利用されず、初めて使用する場合には、再生対応部品や再生対応部品が備えられた、OA機器などの製造工程において、シート状部材7のミシン目9aより右側を切り取り、第1のシート状部材4とし、凹状のシート状部材貼り付け部位2の底面5に貼り付ける。
【0049】
また、再生対応部品1を再利用する場合には、例えば、1度目の再利用工程(再生対応部品1の使用2度目)であれば、シート状部材7のミシン目9bを利用してミシン目9bより右側を切り取り、第2のシート状部材6とし、第1のシート状部材4および階段状部3に接着する。
【0050】
図7のシート状部材8は、シート状部材の周囲全体に複数のミシン目加工11aおよび11bを施しており、必要に応じてミシン目部より外側が切り離されるようになっている。シート状部材に書き込まれる情報は、より中央よりにあるミシン目11aよりもシート状部材の中央寄りに書き込まれており、再生対応部品1の再利用回数に応じて、シート部材8の大きさを調整することができる。
【0051】
すなわち、再生対応部品1が一度も再利用されず、初めて使用する場合には、OA機器などの製造工程において、シート状部材8のミシン目11aより外側を切り取って第1のシート状部材4aとし、凹状のシート状部材貼り付け部位2aの底面5aに貼り付ける。
【0052】
また、再生対応部品1を再利用する場合には、例えば、1度目の再利用工程(再生対応部品1の使用2度目)であれば、シート状部材8のミシン目11bを利用してミシン目11bより外側を切り取り、第2のシート状部材6aとし、第1のシート状部材4aおよび階段状部3aに接着する。
【0053】
ミシン目11aによって切り離される中抜けの長方形状シート状部材12aの、内側長辺長さL201a、内側短辺長さL201bおよび幅L201cは、それぞれ図3および図4に示される凹状のシート状部材貼り付け部位2aの底面5aの各辺の長さL211、L212および階段状部3aの全体長さL213と略同一長さである。ミシン目加工11bのみによって切り離されるシート状部材12bの長さも同様に、凹状のシート状部材貼り付け部位2aと階段状部3aの長さに対応している。
【0054】
上述したように、ミシン目加工を施したシールを、ミシン目を利用して大きさを調整し、凹状のシート状部材貼り付け部位2に重ね貼りするが、最上部にあるシート状部材はミシン目によって大きさを調整する必要がないので、最上部にあるシート状部材はミシン目を有したまま貼られている。
【0055】
以上のようにシート状部材7または8にミシン目加工を施すことによって、シート状部材7または8の大きさを調整することができるので、複数種類のシート状部材を製造し、管理する必要が無く、コストを抑えることができる。
【0056】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。予め規定された再利用回数を終了した再生対応部品1は、例えば溶解して、マテリアルリサイクルすることができるが、その場合にシート状部材が別素材であれば、重ね貼りされたシート状部材を剥がす必要がある。しかし、シート状部材が再生対応部品1と同じ材料で構成されていれば、剥がす必要が無く、リサイクルしやすい。例えば、PC(ポリカーボネイト)が原料である再生対応部品1に使用するシート状部材も、PC(ポリカーボネイト)であれば、シート状部材を剥がす必要が無く、リサイクルが容易に行える。
【0057】
一方、再生対応部品1とは異なる素材でシート状部材が製造されている場合は、予め規定された再利用回数を終了した再生対応部品1を材料としてマテリアルリサイクルする時に、重ね貼りされたシート状部材を剥がす必要がある。しかし、再生対応部品1を使用しているときはシート状部材が剥がれないように強固に接着されているため、容易に剥がすことができない。
【0058】
図8は上記の問題を解決するために、シート状部材貼り付け部位にシート状部材を剥がすための道具を挿入し、シート状部材を押し上げることでシート状部材を剥がすことができるシート状部材貼り付け部位を示す図である。
【0059】
凹状のシート状貼り付け部位2bはその底面の一部にスリット13を有している。シート状部材14は凹状のシート状貼り付け部位2bおよび下部のシート状部材に強固に接着されているため、シート状部材14の上面側から手によって剥がすのは困難である。
【0060】
そこでシート状部材を剥がす必要がある場合は、シート状貼り付け部位の底面に設けられたスリット13からドライバー等の道具15を挿入し、重ね貼りされたシート状部材を底面から押し上げる力(矢印方向)によって、シート状部材14を持ち上げ、持ち上げられた部分を引っ張るなどして、凹状のシート状貼り付け部位2の底面5および階段状部3に強固に貼り付けられたシート状部材を剥がすことが出来る。スリットの幅は、シート状部材14を押すための道具が挿入される幅だけ開いていればよく、3mm〜10mmの幅でスリットが設けられているのが好ましい。10mmより大きくなると再生対応部品の強度が低下するので好ましく無い。
【0061】
上記実施例では、再生対応部品1の利用回数を3回としたが、2回以上であれば本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、何度でも良い。
【0062】
その他本発明は上記の各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、OA機器などを構成する部品の再生対応部品に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態の再生対応部品の要部を示す平面図である。
【図2】図1のA-A断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態の再生対応部品の要部を示す平面図である。
【図4】図3のA-A断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態の再生対応部品の要部を示す斜視図である。
【図6】本発明のシート状部材の一例を示す平面図である。
【図7】本発明のシート状部材の一例を示す平面図である。
【図8】本発明の第5実施形態の再生対応部品の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 再生対応部品
2 シート状部材貼り付け部位
3 階段状部
4 第1のシート状部材
5 底面
6 第2のシート状部材
9a ミシン目
13 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材を少なくとも複数枚重ねて張り合わせるシート状部材貼り付け部位を有する再利用可能部品において、前記シート状部材貼り付け部位は凹状であり、前記凹状のシート状部材貼り付け部位は重ねて張り合わせられた複数のシート状部材の厚み合計と同等もしくはそれ以上の深さを有し、前記シート状部材貼り付け部位の内周囲の少なくとも一部に階段状のシート状部材貼り付け位置を有し、複数枚重ねて張り合わせる前期シート状部材の、最低面に貼られるシート状部材以外は、少なくとも前記階段状のシート状部材貼り付け位置に接着していることを特徴とする再利用可能部品。
【請求項2】
前記シート状部材貼り付け部位は、利用回数を刻印しており、複数枚重ねて張り合わせる前期シート状部材の、最低面に貼られるシート状部材以外は前記刻印を覆うように前記シート状部材貼り付け部位に接着されていることを特徴とする請求項1記載の再利用可能部品。
【請求項3】
複数枚重ねて張り合わせる前期シート状部材は上層ほど前期シート状部材の大きさが大きくなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の再利用可能部品。
【請求項4】
前記シート状部材貼り付け部位は、前記シート状部材を剥がすためのスリットを底面に設けていることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の再利用可能部品。
【請求項5】
重ねて張り合わされた複数のシート状部材の厚み合計と同等もしくはそれ以上の深さを有し、その内周囲の少なくとも一部に前記シート状部材の一部が貼り付けられる階段状のシート状部材貼り付け位置を有する凹状のシート状部材張り付け部位を備えた再利用可能部品に使用されるシート状部材であって、
前記シート状部材は前記階段状のシート状部材貼り付け位置の大きさ分を切り取ることができるように、1箇所以上のミシン目加工が施されていることを特徴とするシート状部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−95995(P2006−95995A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287762(P2004−287762)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】