再生樹脂ペレットの製造方法並びにその製造装置
【課題】投入するロスフィルムの厚みや本数に関わらず、解れの生じ難い非常に高品質な樹脂再生ペレットを形成することが可能な再生ペレットの製造装置を提供する。
【解決手段】1または複数の合成樹脂製ロスフィルムFを捩ってコヨリ状紐材Kを形成し、該コヨリ状紐材Kを点圧縮して凹状圧痕付き紐材Sを形成し、凹状圧痕付き紐材Sを少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔で切断することによって再生樹脂ペレットPを形成する再生ペレットの製造方法において、1または複数のロスフィルムFに延伸力を与えて薄く引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムfを捩ることによりコヨリ状紐材Kを形成する。
【解決手段】1または複数の合成樹脂製ロスフィルムFを捩ってコヨリ状紐材Kを形成し、該コヨリ状紐材Kを点圧縮して凹状圧痕付き紐材Sを形成し、凹状圧痕付き紐材Sを少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔で切断することによって再生樹脂ペレットPを形成する再生ペレットの製造方法において、1または複数のロスフィルムFに延伸力を与えて薄く引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムfを捩ることによりコヨリ状紐材Kを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインフレーション成形で製造した円筒状で、これを上下の引取りローラで挟んで2重になるようにした2重フィルムの両端をスリッター機械で連続切断加工して所定幅のフィルムとする時の裁断屑である耳端やその他の製造工程で発生したロスフィルム(例えば、厚み不良や途中で破れた2重フィルム)を原料とした再生樹脂ペレットの製造方法並びにその装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルム等の製造過程で発生する大量のロスフィルムF(長尺で、ある程度の幅がある耳端や製品ロス)を加工して再生樹脂ペレット(以下、単に「再生ペレット」という。)として利用することが従来から広く行われている。なお、再生ペレット製造のためにロスフィルムを加熱溶融すると、樹脂の品質の劣化が進むため、非加熱で再生ペレットを製造することができる技術が求められていた。
【0003】
非加熱で再生ペレットを製造することが可能な再生ペレット製造装置の一例としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0004】
この従来の再生ペレット製造装置は、引き込まれた、ある程度の幅がある複数本のロスフィルムを細く束ねる一対の集束用ローラと、その表面に凹凸が形成された一対の圧縮ローラと、裁断用のカッターとを備えており、集束用ローラと圧縮ローラとが相対的に回転できるように構成されている。
【0005】
従来の再生ペレット製造装置において再生ペレットを製造する際には、ロスフィルムを集束用ローラおよび圧縮ローラにこの順で通過させつつ、集束用ローラに対して圧縮ローラを相対的に回転させる。すると、ロスフィルムが集束用ローラと圧縮ローラとの間で捩られてコヨリ状の紐となり、このコヨリ状の紐が圧縮ローラで圧縮されることにより、その表面に凹状圧痕が形成された紐材が形成されることになる。そして、この紐材を凹状圧痕よりも広い間隔で切断することによって、非加熱で比重が高くしかも粒径の揃った高品質な再生ペレットを得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4403064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の再生ペレット製造装置において、1枚であったとしても原料となるロスフィルムが分厚い場合や、予定本数以上のロスフィルムを投入した場合には、得られる再生ペレットの見掛け比重が小さくなったり、解れ易くなり、再生ペレットとしての利用価値が大きく低下するという問題があった。即ち、これらの場合は、捩って得られるコヨリ状の紐が太くなり過ぎて、コヨリ状紐の表面に形成される凹状圧痕がコヨリ状紐の中心にまで届かなくなる。コヨリ状紐の中心にまで凹状圧痕が届かないと、凹状圧痕によるフィルム同士の圧着が(特にコヨリ状紐の中心部分において)不十分となり、これを切断して得られる再生ペレットは解れやすく、内部に空気が入り込んで見掛け比重も低下してしまうこととなる。
【0008】
勿論、圧縮ローラによる圧縮力を高めれば、上記問題を或る程度解消することも可能ではあるが、その分、圧縮ローラに高負荷を与える必要が生じるために装置の大型化・高コスト化に繋がる結果となる。
【0009】
それ故、本発明の目的は、投入するロスフィルムの厚みや本数に関わらず、解れが生じ難く嵩密度の高い、非常に高品質な再生樹脂ペレットを形成することが可能な再生ペレットの製造方法ならびにその製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載した発明(第1〜3実施例)は、
(1a) 連続的に供給された1または複数の合成樹脂製ロスフィルムFを引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムfを下流側に配設された一対の圧縮ローラ52a、52bに送り出す延伸部14と、
(1b) 延伸部14の下流側に配設され、外周面に凹凸が形成された前記一対の圧縮ローラ52a、52bを有し、且つ、延伸部14に対して相対的に回転して延伸部14から引き取った薄肉延伸フィルムfに捩りを付与すると同時に該圧縮ローラ52a、52bにて薄肉延伸フィルムfを捩って形成されたコヨリ状紐材Kを点圧縮して凹状圧痕Y付き紐材Sを形成する回転圧縮部20と、
(1c) 回転圧縮部20の出口側に設けられ、該凹状圧痕付き紐材Sを少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔で切断する切断部22とで構成されたことを特徴とする再生ペレットPの製造装置10A〜10Cである。
【0011】
請求項2に記載した発明は、延伸部14を更に限定したもので(第1実施例 図2(a)参照)、延伸部14は、
(2a) 導入されたロスフィルムFと、巻き付け状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムfとが交差状態で送り出される入り口側の上流側ローラ28、および
(2b) 上流側ローラ28の下流側にて、上流側ローラ28から離間して配置され、且つ、上流側ローラ28より高速で回転し、延伸状態で上流側ローラ28から導入された薄肉延伸フィルムfと、巻き付けられた後、下流側の回転圧縮部20に供給される薄肉延伸フィルムfとが交差状態で送り出される出口側の下流側ローラ30により形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載した発明は、延伸部14に中間ローラ32を更に設けたもので(第2実施例 図2(b)参照)、延伸部14は、
(3a) 導入されたロスフィルムFと、巻き付け状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムfとが交差状態で送り出される入り口側の上流側ローラ28、
(3b) 上流側ローラ28の下流側にて上流側ローラ28から離間して配置され、且つ、上流側ローラ28より高速で回転し、延伸状態で上流側ローラ28から導入された薄肉延伸フィルムfと、巻き付けられた後、下流側の回転圧縮部20に供給される薄肉延伸フィルムfとが交差状態で送り出される出口側の下流側ローラ30、および
(3c) 上流側ローラ28と下流側ローラ30との間に配置され、上流側ローラ28から出、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfを懸架し、上流側ローラ28から出た薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfとの内角δが180°より小さい角となる位置に配置された中間ローラ32により形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載した発明は、延伸を圧縮ローラ52a、52b迄行うもので、延伸部14からの薄肉延伸フィルムfの送り出し速度よりも圧縮ローラ52a、52bの引き取り速度を早くすることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載した発明は、図11〜図12に示す第2〜第3実施例から給電用スリップリング132をなくし、本装置10Aの回転圧縮部20用の回転駆動源を装置本体24に固定して、その回転力を回転圧縮部20の圧縮ローラ52bに伝達する回転圧縮部20の実施例(図5〜図10)で、回転圧縮部20は、
(5a) 装置本体24に回転可能に取り付けられ、延伸された薄肉延伸フィルムKが捩られつつ通過する回転筒部42と、
(5b) 装置本体24に固定され、回転筒部42を回転駆動させる圧縮部回転用モータ44と、
(5c) 回転筒部42の出口に設けられ、回転筒部42と共に回転し、捩られたコヨリ状の薄肉延伸フィルムKの挟持押圧用の圧縮ローラ52a、52bを有する圧縮部18と、
(5d) 回転筒部42の外周に回転可能に装着された主伝達ギア外筒部88、主伝達ギア外筒部88に噛合し、装置本体24に回転自在に装着された圧縮部駆動伝達ギア部86、装置本体24に回転自在に装着され、前記圧縮部駆動伝達ギア部86を回転駆動させる圧縮部駆動モータ92、主伝達ギア外筒部88に噛合して圧縮部駆動伝達ギア部86の回転を圧縮ローラ52bに伝える従動伝達ギア列部90とで構成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載した発明は、請求項1〜4に記載された発明において、回転圧縮部20の圧縮ローラ52a、52bの圧縮力を調整するための圧縮力調整機構40(図8)を更に付加したもので、回転圧縮部20は、
(6a) 装置本体24に回転可能に取り付けられ、延伸された薄肉延伸フィルムKが捩られつつ通過する回転筒部42と、
(6b) 装置本体24に固定され、回転筒部42を回転駆動させる圧縮部回転用モータ44と、
(6b) 回転筒部42の出口に設けられ、回転筒部42と共に回転し、捩られたコヨリ状の薄肉延伸フィルムKの挟持押圧用の圧縮ローラ52a、52bを有する圧縮部18と、
(6c) 回転筒部42の外周にその軸方向に往復スライド可能装着され、回転筒部42と共に回転する往復移動中筒部96、往復移動中筒部96の外周に回転可能に装着され、その外周面にギアが刻設され、往復移動中筒部96と共に軸方向往復移動する主伝達ギア外筒部88、前記主伝達ギア外筒部88に噛合し、回転圧縮部取付部24aに回転自在に装着された圧縮部駆動伝達ギア部86、回転圧縮部取付部24aに回転自在に装着され、前記圧縮部駆動伝達ギア部86を回転駆動させる圧縮部駆動モータ92および主伝達ギア外筒部88に噛合して圧縮部駆動伝達ギア部86の回転を圧縮ローラ52bに伝える従動伝達ギア列部90と、
(6d) 装置本体24に回転可能に取り付けられ、往復移動中筒部96の外周に回転自在に設けられ、装置本体24に設けられたガイド機構100にてガイドされつつ往復移動中筒部96と共に往復移動する外鍔106に設けられた雌ネジ孔108に螺入され、往復移動中筒部96を回転筒部42の軸方向に往復移動させる圧縮力調整ねじ部98と、
(6e) 装置本体24に取り付けられ、圧縮力調整ねじ部98を回転駆動する軸方向往復駆動モータ104と、
(6f) 圧縮ローラ52a、52bを回転可能に軸支する圧縮部18の保持部材56に設けられ、一方の圧縮ローラ52bに対して弾接方向に他方の圧縮ローラ52aを支持するローラ弾性支持部35と、
(6g) 往復移動中筒部96に固定され、往復移動中筒部96の軸方向の移動に合わせてローラ弾性支持部35の弾発力を変化させる弾発力調整部102とで構成されたことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載した発明は、前記装置10A〜10Cにおける再生ペレットの製造方法で、
1または複数の合成樹脂製ロスフィルムFを捩ってコヨリ状紐材Kを形成し、該コヨリ状紐材Kを点圧縮して凹状圧痕付き紐材Sを形成し、凹状圧痕付き紐材Sを少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔で切断することによって再生樹脂ペレットPを形成する再生ペレットの製造方法において、
1または複数のロスフィルムFに延伸力を与えて薄く引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムfを捩ることによりコヨリ状紐材Kを形成するようにしたことを特徴とする再生ペレットPの製造方法である。
【0017】
請求項8に記載した発明は、延伸部14を越えて延伸を圧縮ローラ52a、52b迄行うもので、薄肉延伸フィルムfの捩り工程において、薄肉延伸フィルムfをさらに延伸させつつ捩ることにより強捩りコヨリ状紐材Kを形成するようにしたことを特徴とする再生ペレットの製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
これらの発明によれば、ロスフィルムFを薄く引き延ばし、この延伸後の薄肉延伸フィルムfを捩ってコヨリ状紐材Kを形成するようにしているので、予定以上に分厚い或いは予定以上に幅の広いロスフィルムFや予定本数以上のロスフィルムFを使用する場合であっても、捩って得られるコヨリ状紐材Kが極端に太くなることはない。この点、請求項4に示すように延伸部を越え、圧縮ローラ52a、52b迄延伸を続けると、コヨリ状紐材Kは更に強く捩じられる。(これを強捩りコヨリ状紐材とする。延伸部14だけの捩りと比べて強く捩じられるが、両者は捩り程度が相違するだけであるから特に断らない限りは同じKを使用する。)したがって、装置10A〜10Cを大型化することなくコヨリ状紐材Kの中心にまで凹状圧痕Yを形成することができ、嵩密度が高く、解れの生じ難い非常に高品質な再生樹脂ペレットPを形成することが可能となる。強捩りの場合はより嵩密度が高く、より解れにくくなる。
【0019】
この時、請求項2に示すように、上流側ローラ28と下流側ローラ30とにおいて、ロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfを交差状態にすることで、連続的に送りつつ張力を掛けて延伸したとしても交差した上流側ローラ28や下流側ローラ30に巻き付けられているロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfは擦れ合いながら上流側ローラ28や下流側ローラ30の中心部に引き寄せられ、上流側ローラ28や下流側ローラ30から脱落することがない。
【0020】
また、請求項3に示すように、延伸部14に中間ローラ32を更に設けると、薄肉延伸フィルムfの前記引き寄せ作用に加えて中間ローラ32の設定位置によって上流側ローラ28から出た薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfとの内角δを調整することができ、これによって上流側ローラ28や下流側ローラ30に対するロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfの巻き付き接触角度を調整すること、換言すれば、延伸状態における連続送り状態下で上流側ローラ28や下流側ローラ30に対するロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfのスリップ量を調整して延伸量を調整することが出来る。この場合、中間ローラ32を弾性支持により位置調整可能(テンションローラ状態)にしておくことが好ましい。
【0021】
請求項5、6に記載した発明では、回転圧縮部20及び圧縮部18の圧縮ローラ52a、52bの回転駆動源及び圧縮力調整機構の駆動源を装置本体24(本実施例では装置本体24の一部を構成する回転圧縮部取付部24a)に取り付け、回転力だけをギア機構で伝達するようにしたので、破損しやすい給電用スリップリング132をなくすことが出来る。
【0022】
そして、請求項6に示すように、一方の圧縮ローラ52bに対してローラ弾性支持部35が弾接方向に他方の圧縮ローラ52aを支持し、往復移動中筒部96に固定され、往復移動中筒部96の軸方向の移動に合わせて弾発力調整部102がローラ弾性支持部35の弾発力を変化させるので、供給されてきたコヨリ状紐材Kの太さに合わせて圧縮力を適正化させることができ、切断された再生ペレットPの品質を安定化させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例の再生ペレット製造装置を示す図である。
【図2】(a)本発明に適用される延伸部の第1実施例、(b)同第2実施例を示す図である。
【図3】本装置で形成される再生ペレットを示す斜視図である。
【図4】図1のA−A’断面図である。
【図5】図4のB−B’断面図である。
【図6】図4のC−C’断面図である。
【図7】本発明の第1実施例の再生ペレット製造装置における要部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1実施例の圧縮部を示す後方からの斜視図である。
【図9】図8のD−D’断面図である。
【図10】本発明の第1実施例の切断部を示す図である。
【図11】本発明の第2実施例の再生ペレット製造装置を示す概略正面図である。
【図12】本発明の第3実施例の再生ペレット製造装置を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る再生樹脂ペレットP(以下、単に「再生ペレット」という。)の製造方法は、図1、図11又は図12に示す再生ペレット製造装置10A〜10Cを用いて実現されることから、以下には、まず再生ペレット製造装置10A(図1の実施例1)について説明し、その後、再生ペレットの製造方法について説明する。再生ペレット製造装置10Bについては(実施例2)で簡単に説明し、再生ペレット製造装置10Cについては(実施例3)で簡単に説明する。実施例間で同一機能を持つ部分は同じ符号を付した。
【0025】
なお、本発明で使用されるモータ類は、変速機付きモータでもよいが、速度制御が容易なようにするためにインバータモータ、サーボモータ或いはステッピングモータが主として使用される。また、ベルト類は、回転を正確に伝達するためにタイミングベルトが使用される。
【実施例1】
【0026】
第1実施例の再生ペレット製造装置10Aは、図1に示すように、合成樹脂性のロスフィルムFを材料として再生ペレットPを製造するものである。ここで、原料となるロスフィルムFや、目的物である再生ペレットPについて簡単に説明しておくと、ロスフィルムFとしては、捩ることができ、且つ、その表面に点状に凹状圧痕Y(図3参照)を形成し、この圧痕Y部分を形成する部分が互いに圧着して撚りを維持することができるようなものであればどのようなものであってもよく、本実施例では、従来例で説明したような樹脂フィルム等の製造過程で発生する、例えば、厚み10〜100μm、幅10〜100mmの大量のロスフィルムF(例えば、低密度ポリエチレン樹脂或いは高密度ポリエチレン樹脂)や、自動織機にて機織される合成樹脂糸を用いた布の両側端のカット部分(複数本の縦糸に短い横糸が絡まったもの)など、通常、耳端と呼ばれている部分が使用される。その他、フィルム生産現場で発生する不良品や規格外品も対象となる。
【0027】
ロスフィルムFの再生ペレット製造装置10Aへの供給方法としては、例えば、ロスフィルムFを図示しない筒軸に予め巻き上げることによってカートリッジ状とし、これを再生ペレット製造装置10Aに供給する方法や、フィルム製造装置から排出される耳端のような廃棄品としてのロスフィルムFを本装置10Aに直接インラインで供給する方法などがある(本実施例では、後者の方法が採用されている)。
【0028】
再生ペレットP(図3参照)は、ロスフィルムFをコヨリ状に捩り、その表面に凹状圧痕Yを形成することによって得られた紐材Sを凹状圧痕Yの間隔よりも広い間隔、更には少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔(含まれる凹状圧痕Yの大きさは、再生ペレットPが解れない程度であれば足る。)で切断することによって形成することができる。なお、「凹状」とは、表面形状が点状でその縦断面が略U状、略V状や略コ状等の形状を含む概念である。
【0029】
再生ペレット製造装置10Aは、図1に示すように、上流側からロスフィルム供給部12、延伸部14、後述する回転部16及びこの回転部16に続く圧縮部18が設けられている回転圧縮部20、切断部22及びこれらを支持する装置本体24により大略構成されている。
【0030】
ロスフィルム供給部12は、下流側の延伸部14にロスフィルムFを供給するもので、一対の固定ロール26a及び26bが所定の間隔を空けて装置本体24に設置されており、該固定ロール26a、26b間に、例えば、ばねや重錘のような負荷の下に固定ロール26a、26bに対して近接離間可能(図1では昇降可能)となるように縦ポール26dに昇降自在に配設されたダンサーロール26cが配設され、該固定ロール26a、26b間に掛け渡されて連続搬送されるロスフィルムFに対して一定の張力を付与している。
【0031】
なお、供給されるロスフィルムFは、適切な複数本のロスフィルムF、或いは1枚であったとしても幅が広かったり或いは予定以上の肉厚なロスフィルムFなど、適切な幅、肉厚、本数などのものから予定数範囲を超えるものまで様々なものがある。
【0032】
延伸部14は、原料であるロスフィルムFに強力な引っ張り力を加えてロスフィルムFを薄く引き伸ばし、薄肉延伸フィルムfとして下工程に送り出す部分であり、ロスフィルム供給部12の下流に設けられている。
【0033】
延伸部14の第1実施例は、図2(a)に示すように、いずれも装置本体24(図1参照)に回転可能に取り付けられており、延伸の起点となる上流側ローラ28と、張力が加えられて延伸されつつ送られている薄肉延伸フィルムfの出口部分に位置する下流側ローラ30とで構成されている。これに対して第2実施例(図2(b))では、前記上流側ローラ28及び下流側ローラ30に加え、上流側ローラ28と下流側ローラ30との間に配置され、上流側ローラ28から出て延伸された薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に巻き付く薄肉延伸フィルムfとの角度δが180°より小さい角度、図2(b)の実施例では鋭角となるように中間ローラ32が配置される。なお、該中間ローラ32は、両ローラ28、30の間において近接離間方向に移動可能とし、前記内角δを可変できるようにしておくことが好ましい。
【0034】
そして、延伸部14の上流側ローラ28及び下流側ローラ30には、それぞれの回転速度を制御する上流側回転速度制御部28a、下流側回転速度制御部30aがそれぞれ設けられている(図11〜図12では、簡略のため上流側回転速度制御部28aおよび下流側回転速度制御部30aの記載を省略している)。なお、延伸部14を構成するローラ群28、30及び32は円筒状で、ベアリングを介して支持軸28j、30j、32jに回転自在に取り付けられている。
【0035】
延伸部14において、外れることなく張力を掛けつつロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfを連続搬送するには、ロスフィルムFの上流側ローラ28や、薄肉延伸フィルムfの下流側ローラ30への掛け方が重要である。即ち、(a)上流側ローラ28に導入されたロスフィルムFと、上流側ローラ28に巻き付けた状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムfとが交差状態となるようにすること、(b)上流側ローラ28から導入された薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に巻き付けられ、下流側の回転圧縮部20に供給されつつ捩られる薄肉延伸フィルムKとが交差状態で送り出されるようにすることであり、中間ローラ32を設けた場合には、上流側ローラ28から出、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfを懸架し、上流側ローラ28から出た薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfとの内角δが180°より小さい角(好ましくは90°或いはこれに近い鋭角)となる位置に中間ローラ32を配置することである。
【0036】
また、ロスフィルムFの延伸をスムーズに行わせるためには、上流側ローラ28、下流側ローラ30に半周以上の接触範囲(角度的には180°〜360°、好ましくは270°或いはこれに近い角度、実験的には、270°±10°の範囲で接触していることが好ましかった。この角度をεで示す。)で巻き付けられていることである。
【0037】
換言すれば、上流側ローラ28と下流側ローラ30のそれぞれの中心を結ぶ直線に対して下流側ローラ30と中間ローラ32のそれぞれの中心を結ぶ直線のなす角度が、例えば直角或いはこれに近い角度(90°±10°)となり、上流側ローラ28と中間ローラ32のそれぞれの中心を結ぶ直線が斜辺となるように、各ローラ28、30、32が直角三角形或いはこれに近い三角形を形成するように各部材が配置されることが好ましい(このようにすることで、ロスフィルムFの連続供給と薄肉延伸フィルムfの延伸とを実験的にスムーズに行うことができた。)。
【0038】
なお、上流側ローラ28と下流側ローラ30とは、標準的なロスフィルムFが供給されている場合には、下流側ローラ30の回転数が、上流側ローラ28の回転数に比べて約1.5倍(換言すれば大略1.5倍±10%で、この場合、上流側ローラ28および下流側ローラ30におけるスリップは無視する。)の速さで回転するよう設定されている(なお、上流側ローラ28および下流側ローラ30の回転数は、上流側回転速度制御部28aおよび下流側回転速度制御部30aにおいて設定されるが、これらは後述するように、更に圧縮ローラ52a、52bの回転数を基準として決定される)。
【0039】
一方、供給されるロスフィルムFが標準的でない場合には、延伸された薄肉延伸フィルムfの太さが標準時の太さ或いは実用上問題がない程度の範囲内でこれに近くなるように回転比が設定される。
【0040】
第1実施例の装置本体24は、図1から分かるように回転圧縮部20を除く本発明に係る機構部分が装着される平板状の部分24bと、その中央部分において直角方向に飛び出すように構成され、回転圧縮部20が装着される平板状の回転圧縮部取付部24aとで大略構成されている。
【0041】
回転圧縮部20は、回転部16及びこれに続く圧縮部18にて構成され、装置本体24を構成する前記平板状の部分24bから直角方向に飛び出すように取り付けられた平板状の回転圧縮部取付部24aに装着されている。そして、回転部16は、円筒状のケーシング38に収容されており、圧縮部18には、圧縮ローラ52a、52bの圧縮力を調整する圧縮力調整機構40が設けられている。なお、本実施例では、後述するように、圧縮部18に圧縮力調整機構40を設けているが、圧縮ローラ52a、52bの圧縮力を調整する必要がない場合はこれを設けなくてもよい。以下の説明では、圧縮力調整機構40を設けた場合を説明する。
【0042】
回転部16は、延伸部14から圧縮部18に供給されている捩られた薄肉延伸フィルムf(即ち、コヨリ状紐材K)を回転中心とし、延伸部14に対して圧縮部18を相対回転させる部分であり、回転筒部42、圧縮部回転用モータ44ならびに後述する付属部材を備えている。
【0043】
回転筒部42は、金属等の剛性材料からなる円筒状の部材であり、その上流側が装置本体24の回転圧縮部取付部24aにベアリングを介して回転可能に挿通支持され、回転筒部42の下流側が回転筒部42の下流端に装着された後述する保持部材56を介して、ケーシング38の下流側端部に回転可能にベアリング支持されたケーシング38の下流側側壁38cに保持されている。そして、回転筒部42と保持部材56とは、回転筒部42の貫通孔と、保持部材56の貫通孔とが同軸となるよう位置決めされている(図5〜図6参照)。
【0044】
回転筒部42の上流側端部には、従動プーリ46が取り付けられており、この従動プーリ46と、圧縮部回転用モータ44の回転軸に取り付けられた圧縮部回転用プーリ48との間にベルト50が掛設されている。該圧縮部回転用モータ44は、装置本体24の前記回転圧縮部取付部24aに取り付けられている。装着方向は、ケーシング38の突出方向である。
【0045】
圧縮部18は、(延伸部14から送り出された)薄肉延伸フィルムfを延伸部14と圧縮部18との間でコヨリ状に捩って得られるコヨリ状紐材Kを点圧縮して紐材Sにすると共に、点圧縮して得られる紐材Sを下工程の切断部22へ向けて速やかに送り出す部分であり、大略、一対の圧縮ローラ52a、52b、これに続く一対の引取ローラ54a、54b及びこれらを懸架保持する保持部材56並びにローラ保持付属部材により構成されている。
【0046】
保持部材56は、ブロック状の本体部分56a、本体部分56aの後端面から二股状にて一体的に突設された左右一対の加圧側保持板部56b及び受圧側保持板部56cを備えており、左右の各加圧側保持板部56bおよび受圧側保持板部56cの間にはスリット溝56d(図8参照)が設けられており、これによって上下に分割されている。この部分の上側を加圧側保持板部56b1、56b2とし、下側を受圧側保持板部56c1、56c2とする。(なお、図示していないが、前記分割された加圧側保持板部56b1、56b2及び受圧側保持板部56c1、56c2の自由端を連結して圧縮ローラ52a、52b及び引取ローラ54a、54bを支持するこれらの部分を強化するようにしてもよい。)
【0047】
そして、保持部材56の本体部分56aの中心には、側面視でスリット溝56dに一致して上流側端部から下流側端部に至る保持側貫通孔56hが形成されており、既に述べたように回転筒部42の捩り用側貫通孔42aに保持部材56の保持側貫通孔56hが連通している。
【0048】
各圧縮ローラ52a、52bは、円柱状の部材(或いは、外周に多数のギザギザ突起が突設されている円板を多数円柱状に積層したもの)で、その外面には、先の尖ったいぼ状或いは台形状の突起58(図8参照)がその全面に亘って多数形成されている。なお、本実施例では、紐材Sの噛み込みを容易にするために、図5中上方に配置されている加圧側圧縮ローラ52aの外径が、下方に配置されている受圧側圧縮ローラ52bの外径よりも小径となるように設定されている。加圧側圧縮ローラ52a及び受圧側圧縮ローラ52bの中心には、回転軸60a、60bが同軸的に設けられており、その両端が保持部材56の二股状になった左右一対の上側の加圧側保持板部56b1、56b2及び下側の受圧側保持板部56c1、56c2に回転可能に支持されている。
【0049】
引取ローラ54a、54bは、圧縮ローラ52a、52bの下流側となるように配置され、圧縮ローラ52a、52bと同様に、それぞれの回転軸62a、62bが保持部材56の二股状になった左右一対の上側の加圧側保持板部56b1、56b2及び下側の受圧側保持板部56c1、56c2に回転可能に支持されている。各引取ローラ54a、54bは、円柱状の部材で、圧縮ローラ52a、52bにて圧縮されてできた紐材Sを引き取る際に紐材Sとの間でスリップすることがないよう、その材質としては、紐材Sとの摩擦係数が高いものを選択するのが望ましく、本実施例では、ウレタンゴムなどの弾性材料が使用されており、その外面は平滑面となっている。
【0050】
各加圧側保持板部56b1、56b2の上面には、ローラ弾性支持部35,35の一部を構成する凹穴56e,56fが加圧側圧縮ローラ52aの両端から突出している回転軸60a,62aと対応する位置にそれぞれ形成されている(図8〜図9参照)。
【0051】
ここで、加圧側圧縮ローラ52aの回転軸60aと対応する位置に設けられている凹穴56eには、圧力調整用プレート64が挿脱可能に取り付けられており、圧力調整用プレート64に穿設され、上下方向に伸びた略小判型のローラガイド孔64aに加圧側圧縮ローラ52aの回転軸60aが上下方向(換言すれば、受圧側圧縮ローラ52bに対して当接離間方向)にスライド可能に支持されている。
【0052】
前記ローラガイド孔64aの内側面64b、64bは平行に形成されており、圧縮ローラ52a,52b間に太いコヨリ状紐材Kが送り込まれて来て圧縮ローラ52aに離間方向の大きな力が加わった場合、内側面64b,64bに沿って加圧側圧縮ローラ52aの回転軸60aが僅かに上下(換言すれば、離間方向)にスライドする。そして、回転軸60aの挿入端の上面に凹設された凹所66に多数枚重ね合わせて嵌め込まれている皿ばね68がローラガイド孔64aの天井面に強く弾接して回転軸60aをローラガイド孔64aの孔底方向に強く押し返し、皿ばね68の弾発力でコヨリ状紐材Kを挟み付ける。換言すれば、皿ばね68の弾発力がコヨリ状紐材Kの挟み付け力となる。この場合、圧力調整用プレート64自体は弾発力調整部102に接触しているから動かない。
【0053】
前記圧力調整用プレート64の上面64cは、上流側から下流側に向かうにしたがって僅かな下向きに傾斜している。
【0054】
なお、加圧側圧縮ローラ52aを受圧側圧縮ローラ52bに対して弾接方向に支持する構成、即ち、凹穴56eと、凹穴56eに嵌り込んだ圧力調整用プレート64とで加圧側圧縮ローラ52aを、皿ばね68の弾発力でもって挟み込み支持する構成を「ローラ弾性支持部35」と呼ぶことにする。
【0055】
凹穴56eの下流側に設けられている引取ローラ54a用の凹穴56fも、凹穴56eと同様、上下方向に伸びた小判型に穿設されている。そしてその天井面に加圧側保持板部56b1、56b2の上面にそれぞれ開口するばね収納孔56gが穿設され、その開口が固定プレート70で覆われている。
【0056】
そして、凹穴56f内に上側の引取ローラ54aの両端から突出した回転軸62a、62aが上下方向にスライド(下側の引取ローラ54bに対して離間)可能に挿入されている。前記回転軸62aの挿入端部の上面には凹所72が凹設されており、この凹所72からばね収納孔56gに至る空間部分に圧縮コイルバネ74が収納されており、この固定プレート70によって圧縮コイルバネ74が凹所72に撓ませられて嵌り込んでおり、回転軸62aが常時圧縮コイルバネ74の弾発力により凹穴56fの穴底方向に押圧されている。なお、加圧側圧縮ローラ52a、加圧側引取ローラ54aと回転軸60a,62aとの間には、ベアリングがそれぞれ介装されている(図5参照)。
【0057】
一方、下方の受圧側圧縮ローラ52b及び引取ローラ54bの中心には、回転軸60b及び回転軸62bがそれぞれ同軸的に設けられており、その両端が左右一対の下側の加圧側保持板部56c1,56c2に回転可能に支持されている。
【0058】
なお、受圧側圧縮ローラ52bの回転軸60bと引取ローラ54bの回転軸62bとは、それぞれに設けられたプーリ76、78及びこのプーリ76、78に懸架されたベルト80にて互いに接続されており、両者が一体化して回転する。
【0059】
次に、圧縮力調整機構40を構成する弾発力調整部102について説明する。弾発力調整部102は、往復移動中筒部96の下流端に固着されていて往復移動中筒部96と一体に往復移動するようになっている。弾発力調整部102は、本体部分102bから先端部分102aが下流側に向けて二股状にて突設されており、これらは保持部材56の、加圧側圧縮ローラ52aの回転軸60aを支持する二股状の加圧側保持板部56b1、56b2上に沿う。
【0060】
弾発力調整部102の先端部分102aは、このように加圧側保持板部56b1、56b2に沿って設けられていて、加圧側保持板部56b1、56c1それぞれに設けられた圧力調整用プレート64の上面64c上を押圧しつつスライドする。二股に分かれた弾発力調整部102の先端部分102aの下面は、上流側から下流側に向かうにしたがって下向きに傾斜しており、この傾斜角度は、圧力調整用プレート64の上面64cの傾斜角度と一致するように設定されている。
【0061】
次に、圧縮ローラ52a、52bを駆動する圧縮ローラ回転機構84について説明する。これは、ギア列を構成し、圧縮部18の受圧側圧縮ローラ52bを回転させるためのもので、圧縮部駆動伝達ギア部86、主伝達ギア外筒部88、従動伝達ギア列部90、圧縮部駆動モータ92及びその付属部材により構成されている。
【0062】
圧縮部駆動伝達ギア部86は、シャフト86aと、シャフト86aの上流側端部に取り付けられた従動プーリ86bと、シャフト86aの下流側端部に取り付けられたギア86cとを有しており、ケーシング38が装着された上流側に位置する装置本体24の回転圧縮部取付部24aにベアリングを介して回転自在に支持されている。そして従動プーリ86bと、圧縮部駆動モータ92の回転軸に取り付けられた圧縮部駆動プーリ92aとの間には、ベルト94が掛設されている。
【0063】
主伝達ギア外筒部88は、圧縮力調整機構40の往復移動中筒部96の外面にてその周方向に回転可能に設けられた筒状の部材で、その外面は歯車状に形成されており、この外面に圧縮部駆動伝達ギア部86のギア86cと、後述する従動伝達ギア列部90の最初のギヤ21cとがそれぞれ反対の位置にて噛合している。
【0064】
従動伝達ギア列部90は、前段ギア部90aと後段ギア部90eとで構成されている。前段ギア部90aは、シャフト90bと、シャフト90bの上流側端部に取り付けられた上流側ギア90cと、シャフト90bの下流側端部に取り付けられた下流側ギア90dとを備えており、後段ギア部90eは、シャフト90fと、シャフト90fの上流側に取り付けられたギヤ90gと、シャフト90fの下流側に取り付けられた傘歯車90hとを備えている。ギヤ90gは、上述したように、前段ギア部90aの下流側ギア90dと噛合しており、傘歯車90hは、受圧側圧縮ローラ52bの回転軸60bに取り付けられた傘歯車82と噛合している。
【0065】
圧縮力調整機構40の調整機構は、既述の往復移動中筒部96、圧縮力調整ねじ部98、ガイド機構100、既述の弾発力調整部102、軸方向往復駆動モータ104及び駆動力を伝達するギア列とベルト機構を備えている。
【0066】
往復移動中筒部96の上流側端部の外周には、半月板状の外鍔106が取り付けられており、その中心にベアリングを介して回転筒部42が自転可能に挿通されており、更に、回転筒部42に平行に雌ネジ孔108が螺設され、雌ネジ孔108を中心にして、振り分け(例えば90°)でガイド軸受110が往復移動中筒部96と平行に設けられている。
【0067】
そして、ガイド軸受110に合わせて、ガイド棒112が往復移動中筒部96と平行にて装置本体24の回転圧縮部取付部24aに取り付けられ、且つ、ガイド軸受110にスライド可能に挿通されている。これによって、往復移動中筒部96は回転することなく、回転筒部42の回転に独立して回転筒部42の外面をその軸方向に移動する。
【0068】
圧縮力調整ねじ部98は、装置本体24の回転圧縮取付部24aにベアリングを介して回転自在に取り付けられたシャフト98aと、シャフト98aの上流側に設けられた従動プーリ98bとを有しており、従動プーリ98bと、軸方向往復駆動モータ104の回転軸に取り付けられた軸方向駆動プーリ104aとの間には、ベルト114が掛設されている。
【0069】
シャフト98aには、雄ネジ部98cが刻設されており、この雄ネジ部98cが外鍔106の雌ネジ部108に螺進螺退可能に螺入されている(図6参照)。
【0070】
図5から分かるように、往復移動中筒部96は、回転筒部42に対して往復移動をするが、共に回転もする。これに対して、装置本体24の回転圧縮部取付部24aに立設されているガイド機構100のガイド棒112は、ベアリングを介して往復移動中筒部96に取り付けられている外鍔106のガイド軸受110にスライド可能に挿通されており、従って、外鍔106は、往復移動中筒部96と共に往復移動するものの、往復移動中筒部96に対しては、往復移動中筒部96の回転を許容する。即ち、外鍔106は、回転圧縮部取付部24aに対して正対しつつ近接離間方向に移動して往復移動中筒部96の軸方向往復移動をガイドするものである。そして、往復移動中筒部96の下流側端部には、弾発力調整部102が取り付けられており、往復移動中筒部96と共に軸方向に往復移動、且つ、回転し、同様にこれらに一致して回転している保持部材56に対して相対的に往復移動する。
【0071】
往復移動中筒部96に取り付けられた弾発力調整部102は、前述のように往復移動中筒部96及び回転筒部42、圧縮部18と共に回転する。弾発力調整部102は、既に述べたように往復移動して加圧側保持板部56bの凹穴56eにスライド可能に嵌め込まれている圧力調整用プレート64の加圧側保持板部56bからの突出量を調整することによって圧縮ローラ52a、52b間の圧力を調整する。
【0072】
なお、本実施例では、回転圧縮部20が片持構造のもの(より具体的にいえば、回転部16を構成している回転筒部42の上流側が装置本体24に支持された構造)として構成されていたが、例えば、圧縮ローラ52a,52bや引取ローラ54a,54bを保持する保持部材56を回転可能に支持する支持部材を別途設けることにより、回転圧縮部20を両持構造のものとして構成することも可能であり、このようにすることで、回転圧縮部20を安定して支持することが可能となる。
【0073】
切断部22は、圧縮部18において形成された凹状圧痕付き紐材Sを、少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔で、好ましくはその表面に形成されている凹状圧痕Yの間隔よりも広い間隔で切断することによって再生ペレット化する部分であり、図10に示すように、切断部ケーシング116、一対のガイドローラ118a、118b、カッター120及び変速機付きモータ122により大略構成されている。
【0074】
切断部ケーシング116は、薄い箱状のもので、その上流側端部(図12中左側)には、紐材導入口116aが形成されており、その下端部(図10中下側端部)には、再生ペレット排出口116bが形成されている。
【0075】
紐材導入口116aの近傍には、一対のガイドローラ118a、118bが設けられている。各ガイドローラ118a、118bは、円柱状のローラ本体の表面に複数(本実施例では6枚)の羽根118cが突設されたものとして構成されており、可撓性を有し、且つ、紐材Sとの摩擦係数が高いウレタンゴム等のような弾性材料によって一体的に形成されている。各ガイドローラ118a、118bは、一方のガイドローラ118aの羽根118cと、他方のガイドローラ118bの羽根118cとが互いに重なり合わないように所定角度ずらした状態で(本実施例では30度ずらした状態で)配置されている。各ガイドローラ118a、118b間の距離は、一方のガイドローラ118aの最大半径と他方のガイドローラ118bの最大半径との和と略等しく設定されており、これにより、紐材Sがその上下両側から軽く挟持される(図10参照)。
【0076】
切断部ケーシング116の中心には、カッター120が回転可能に取り付けられており、カッター120の中心に変速機付きモータ122の回転軸が接続されている。カッター120の回転数は、紐材Sの送り速度ならびに紐材Sを切断することによって形成される再生ペレットPの大きさに応じて適宜設定される。
【0077】
切断部ケーシング116の再生ペレット排出口116bの下方(図10における下方)には、切断部22において切断されてできた再生ペレットPを回収する再生ペレット回収箱124が配設されている。
【0078】
再生ペレット製造装置10Aを用いて再生ペレットPを製造する際には、先ず原料となるロスフィルムFを所定の送り経路にセッティングする。なお、本実施例では、3本のロスフィルムFを原料とする場合について説明するが、その本数は3本に限定されるものではなく、例えば1本或いは2本でも良いし、4本以上であっても良い。1本の場合は、既に述べたように、これを絞った時に適正本数に匹敵するほどの幅或いは厚みを持っているものが使用される。
【0079】
3本のロスフィルムFを引き揃え、その先端部分を軽く捩じって一まとめにし、これをロスフィルム供給部12の固定ロール26a、26b、ダンサーロール26c、延伸部14の上流側ローラ28、中間ローラ32そして下流側ローラ30の順にセットする。上流側ローラ28にロスフィルムFをセットする際は、上流側ローラ28に向かうロスフィルムFと上流側ローラ28から出て行くロスフィルムFとが交差するようにセットする(図2(a)(b)参照)。下流側ローラ30にロスフィルムFをセットする際も、上述同様、下流側ローラ30に向かうロスフィルムFと下流側ローラ30から出て行くロスフィルムFとが交差するようにセットする。
【0080】
続いて、その先端を軽く捩って一まとめにした3本のロスフィルムFを、回転筒部42の捩り用側貫通孔に通し、その挿通端を一対の圧縮ローラ52a、52b間、一対の引取ローラ54a、54b間および一対のガイドローラ118a、118b間にこの順で挿通させればセッティングが完了する。
【0081】
なお、ロスフィルムFを一対の圧縮ローラ52a、52b間に通すときは、受圧側圧縮ローラ52bに対する加圧側圧縮ローラ52aの押圧力を予め解除して加圧側圧縮ローラ52aをフリーにしておくとよい。
【0082】
受圧側圧縮ローラ52bに対する加圧側圧縮ローラ52aの押圧力を解除するためには、圧縮力調整機構40の軸方向往復駆動モータ104を作動させて弾発力調整部102を下流側へスライドさせればよいのであるが、その機構について図9を参照しつつ説明する。
【0083】
まず、軸方向往復駆動モータ104を作動させると、その回転力が軸方向駆動プーリ104aおよびベルト114を介して圧縮力調整ねじ部98の従動プーリ98bに伝達され、圧縮力調整ねじ部98のシャフト98aが回転する。すると、圧縮力調整ねじ部98の雄ネジ部98cに螺入されている往復移動中筒部96の外鍔106が螺脱方向に移動し、往復移動中筒部96およびその下流側端部に接続されている弾発力調整部102が回転筒部42と共に下流側(圧縮ローラ52a、52b側)へスライドする。
【0084】
ここで、弾発力調整部102の先端部分102aの下面と、圧力調整用プレート64の上面64cとは、上流側から下流側に向かうにしたがって下向きに傾斜しているので(図9参照)、弾発力調整部102が下流側にスライドすると、圧力調整用プレート64は、皿バネ68の弾発力を受けて、図9中、上方(凹穴56eから離脱する方向)へと移動する。
【0085】
圧力調整用プレート64が、凹穴56eから離脱する方向に移動すると、皿バネ68が伸長してその弾発力(換言すれば、受圧側圧縮ローラ52bに対する加圧側圧縮ローラ52aの押圧力)は次第に弱まり、最終的に、受圧側圧縮ローラ52bに対する加圧側圧縮ローラ52aの押圧力が解除される。
【0086】
前記の方法で受圧側圧縮ローラ52bに対する加圧側圧縮ローラ52aの押圧力を解除した後は、一対の圧縮ローラ52a、52b間にロスフィルムFを通し、セッティングが完了したら、先ほどとは反対の手順にて、受圧側圧縮ローラ52bに対して加圧側圧縮ローラ52aの押圧力を付加しておく。
【0087】
また、一対の引取ローラ54a、54b間にロスフィルムFを通すときは、ボルトを緩めて圧縮コイルバネ74をフリーにしておき、受圧側引取ローラ54bから加圧側引取ローラ54aを予め離間させておくとよい。
【0088】
受圧側引取ローラ54bに対する加圧側引取ローラ54aの押圧力を解除し、一対の引取ローラ54a、54b間にロスフィルムFを挿通した後は、先ほどとは反対の手順にて加圧側引取ローラ54aに加圧力を加えるようにする。
【0089】
一対のガイドローラ118a、118b間にロスフィルムFをセッティングする際は、ロスフィルムFを撓ませつつガイドローラ118a、118b間の隙間を縫うようにして通せばよい。なお、図10は、ガイドローラ118a、118b間を紐材Sが通過している状態を示したものであるが、ロスフィルムFをセッティングした場合にも、凡そこのような状態となっている。
【0090】
以上のようにしてロスフィルムFのセッティングが完了すれば、再生ペレット製造装置10Cの電源を投入して延伸部14、回転圧縮部20(回転部16と圧縮部18)及び切断部22をそれぞれ作動させて再生ペレットPの製造を開始する。
【0091】
ロスフィルム供給部12では、ロスフィルムFに一定の張力を与えつつ延伸部14にロスフィルムFが供給される。そして、上流側ローラ28および下流側ローラ30が回転してロスフィルムFに張力を与えてこれを延伸させつつ下工程である圧縮部18へと送り出す。
【0092】
延伸部14から圧縮部18への薄肉延伸フィルムf(この段階では捩られつつあるコヨリ状紐材Kとなっている。)の引き取りにおいて、たるみが生じないように圧縮部18の引き取り速度を基準に延伸部14の送り速度が決定される。そして、下流側ローラ30の回転数は、上述したように、上流側ローラ28の回転数よりも高く設定されている(本実施例では下流側ローラ30が上流側ローラ28に比べて約1.5倍の速さで回転するように設定されている)ので、延伸部14に供給されたロスフィルムFは、上流側ローラ28と下流側ローラ30との間で強く引っ張られ、薄く、かつ、細長く引き伸ばされた薄肉延伸フィルムfとして下工程である圧縮部18に送られることになる。
【0093】
ここで重要な点は、延伸部14においては、上述したように、(a)上流側ローラ28に導入されたロスフィルムFと、上流側ローラ28に巻き付けた状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムfとが交差しており、(b)上流側ローラ28から導入された薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に巻き付けられ、下流側の回転圧縮部20に供給される、捩り状態にある薄肉延伸フィルムKとが交差状態で送り出されている点である。この時、薄肉延伸フィルムfとローラ28、30との接触角度εは270°±10°が好ましい。
【0094】
更に、図2(b)のように上流側ローラ28と下流側ローラ30との間に中間ローラ32を設けた場合には、上流側ローラ28から出、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfを懸架し、上流側ローラ28から出た薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfとの内角δが180°より小さい角(好ましくは鋭角)となる位置に中間ローラ32を配置した点も重要である。
【0095】
このように上流側ローラ28と下流側ローラ30とにおいて、ロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfを交差状態にすることで、連続的に送りつつ張力を掛けて延伸したとしても交差した上流側ローラ28や下流側ローラ30に巻き付けられているロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfは擦れ合いながら上流側ローラ28や下流側ローラ30の中心部に引き寄せられ、上流側ローラ28や下流側ローラ30から脱落することがないし、効果的に所定の延伸が施される。
【0096】
圧縮部18は、回転部16が作動することにより中心軸を共有して供回りして延伸部14に対して相対回転している。従って、延伸部14から供給される薄肉延伸フィルムfは、延伸部14の下流側ローラ30を越えた瞬間から、下流側ローラ30と圧縮部18の圧縮ローラ52a、52bとの間でコヨリ状に捻られてコヨリ状紐材Kとなる。
【0097】
ここで、回転部16をその一部に具備する回転圧縮部20を延伸部14に対して捩る、その捩り方法について、図7を参照しつつ説明する。
【0098】
回転圧縮部20において、圧縮部18に捩り方向の回転力を与える役割を担っているのは、回転部16であるが、その圧縮部回転用モータ44が回転すると、その回転力が圧縮部回転用プーリ48、ベルト50、従動プーリ46を介して回転筒部42に伝達され、回転筒部42が回転する。
【0099】
回転筒部42が回転すると、回転筒部42の下流側端部に取り付けられている圧縮部18(即ち、保持部材30に支持されている圧縮ローラ52a、52bと引取ローラ54a、54b)も回転筒部42と一体となって回転する。圧縮部18が回転筒部42と一体となって捩り方向の回転を始めると、上述したように、装置本体24に取り付けられている延伸部14において薄く引き延ばされた薄肉延伸フィルムfが下流側ローラ30と圧縮ローラ52a、52bとの間でコヨリ状に捩られてコヨリ状紐材Kが形成される。このコヨリ状紐材Kは、圧縮部18の引き取り方向の回転によって引き取られ、下工程である切断部22に送られることになるが、以下この点を説明する。
【0100】
圧縮ローラ52a、52bの前記引き取り方向の回転は、圧縮ローラ回転機構84が作動することによって与えられる。圧縮ローラ回転機構84の圧縮部駆動モータ92が回転すると、その回転が圧縮部駆動プーリ92a、ベルト94および圧縮部駆動伝達ギア部86を介して主伝達ギア外筒部88に伝達される。
【0101】
主伝達ギア外筒部88は、往復移動中筒部96の外面に、その周方向に回転可能に設けられているが、圧縮ローラ52a、52bの圧縮力調整時に往復移動中筒部96と共に往復移動するので、往復移動長さのねじが刻設されている。そして、往復移動中筒部96の外周を回転するこの長い主伝達ギア外筒部88は、圧縮部駆動伝達ギア部86のギア86cと噛合し、圧縮部駆動伝達ギア部86の回転に合わせて往復移動中筒部96の外面を周方向に回転することとなる。
【0102】
主伝達ギア外筒部88が往復移動中筒部96の外面をその周方向に回転すると、主伝達ギア外筒部88に噛合している従動伝達ギア列部90の上流側ギア90cが回転し、その回転が、シャフト90b、下流側ギア90dを介して後段ギア部90eに伝達される。
【0103】
そして、後段ギア部90eに伝達された回転が、傘歯車90h、これと噛合する傘歯車82によって、その回転方向がコヨリ状紐材Kを下流側へ向けて送り出す方向への回転に変換されて受圧側圧縮ローラ52bに伝達される。
【0104】
受圧側圧縮ローラ52bには、皿ばね68の弾発力により加圧側圧縮ローラ52aが圧接されているので、受圧側圧縮ローラ52bが回転すると、加圧側圧縮ローラ52aも受圧側圧縮ローラ52bの動きに合わせて一緒に回転し、圧縮ローラ52a、52bに圧縮挟持されたコヨリ状紐材Kに圧痕Yを付与しつつ下流側へ送り出す。そして、受圧側圧縮ローラ52bの回転力は、プーリ76、ベルト80およびプーリ78を介して受圧側引取ローラ54bに伝達される。
【0105】
圧縮ローラ52a、52bにて点圧縮されて形成された紐材Sは、引取ローラ54a、54bによって引き取られて、下工程である切断部22に送られる。引取ローラ54a、54bによって送られてきた紐材Sは、前述のようにガイドローラ118a、118bによって切断部ケーシング116の紐材導入口116aに順次送られ、カッター120によって所定の間隔で切断されることにより再生ペレットPが形成される。なお、引取ローラ54a、54bによって送られてきた紐材Sは、ぐるぐると回転しながらガイドローラ118a、118bに送られてくるため、紐材Sそのものに捩れが生じて団子状態になりやすい。しかしながら、本実施例では、円柱状のローラ本体160の表面に設けた羽根118cによって紐材Sがその上下両側から軽く把持されているので、紐材Sそのものに捩れが発生していたとしても、紐材Sを安定してカッター120に供給することができる。
【0106】
以上のようにして形成された再生ペレットPは、再生ペレット排出口116bから外部に排出され、その下方に設けた再生ペレット回収箱124に回収される。
【0107】
なお、前記従動伝達ギア列部90は、圧縮部18の保持部材56と同様、ケーシング38の下流側側壁38cに支持され、且つ下流側側壁38cに対して回転可能となっているが、この下流側側壁38cは、ケーシング38に対して捩り方向に回転可能に取り付けられているので、従動伝達ギア列部90と主伝達ギア外筒部88とは噛合状態で圧縮部18及び弾発力調整部102と一緒に回転筒部42の周囲をその周方向に回転することとなる(即ち、従動伝達ギア列部90は、その上流側ギア90cが常に主伝達ギア外筒部88と噛合した状態で回転筒部42の周囲を回転することになる)。
【0108】
それ故、回転筒部42の回転数より主伝達ギア外筒部88の回転数が大きくなるように圧縮部駆動伝達ギア部86のギア86cの回転数を高めないと圧縮ローラ52a、52bの回転方向が引き取り方向に回転せず、逆転することになるので、このような関係(=引き取り方向に回転するような関係)が維持できるように圧縮部駆動モータ92の回転数を制御する必要がある。なお、圧縮ローラ52a、52bの引き取り方向回転数は装置全体の稼動速度を律するため、この回転数が上、下流側回転速度制御部28a、30aの制御基準となる。この場合、圧縮ローラ52a、52bの引き取り方向回転数は延伸部(14)の送り出し速度と一致させてもよいが、圧縮ローラ52a、52bの引き取り方向回転数を延伸部(14)の送り出し速度より大きくしてもよい。このようにすることで更なる延伸状態で捩りを加えることになり、更なる圧縮効果を高めることができるようになる。
【0109】
なお、圧縮ローラ52a、52bの圧縮力の可変調整は、既述の通りであるが、補足すると、軸方向往復駆動モータ104を作動させて外鍔106を往復移動させると往復移動中筒部96が共に往復移動して弾発力調整部102を往復移動させるが、その時、主伝達ギア外筒部88の外周面に刻設された長いギアが圧縮部駆動伝達ギア部86のギア86c及び従動伝達ギア列部90の上流側ギア90cと噛合状態を維持しつつ往復移動中筒部96と共に往復移動することになる。圧縮ローラ52a、52bの圧縮力の可変調整以外の時点では、その位置での静止状態が維持され、主伝達ギア外筒部88は、その位置で回転する。
【実施例2】
【0110】
延伸部14においてロスフィルムFを延伸させ、この延伸後の薄肉延伸ロスフィルムfを捩ってコヨリ状紐材Kを形成するという手法は、他の再生ペレット製造装置においても適用が可能である。
【0111】
例えば、図11に示す第2実施例の再生ペレット製造装置10Bは、延伸部14の下流側に圧縮部18と切断部22とをこの順で配置するとともに、圧縮部18の脇に回転部16を配置したものである。延伸部14の上流側には、ロスフィルム供給部12が設けられている。
【0112】
本実施例の再生ペレット製造装置10Bにおいて、回転部16は、圧縮部18に捩り方向の回転力を与える役割を担っている。即ち、回転部16のモータ44が回転すると、その回転力が、モータ44の回転軸に取り付けられた回転用プーリ126a、ベルト128、圧縮部18の回転軸に取り付けられた従動プーリ130を介して圧縮部18が回転する。なお、圧縮部18の圧縮ローラ52a、52bや引取ローラ54a、54bへの電力供給は、圧縮部18の上流側に設けたスリップリング132によって行われる。
【0113】
圧縮部18が捩り方向の回転を始めると、上述したように、延伸部14において薄く引き延ばされた薄肉延伸フィルムfが延伸部14の下流側ローラ30と、圧縮ローラ52a、52bとの間でコヨリ状に捩られてコヨリ状紐材Kが形成される。
【0114】
そして、このコヨリ状紐材Kが圧縮ローラ52a、52bによって点圧縮されることにより紐材Sが形成され、この紐材Sが引取ローラ54a、54bによって引き取られつつ、下流側の切断部22に送られる。
【0115】
切断部22では、上述実施例と同様、紐材Sがカッター120によって所定の間隔で切断され、再生ペレットPが形成される。形成された再生ペレットPは、切断部22直下の再生ペレット回収箱124に回収される。
【実施例3】
【0116】
次に、図12に示す第3実施例の再生ペレット製造装置10Cについて説明する。本実施例の再生ペレット製造装置10Cは、上述同様、ロスフィルム供給部12、延伸部14、回転部16、圧縮部18および切断部22を有するものであるが、本実施例の特徴は、回転筒部42の先端に取り付けられた圧縮部18と切断部22との一体物の周囲に、該一体物をとり囲み、かつ、該一体物の周囲を回転筒部42の周方向(コヨリ状紐材Kの捩り方向)に回転する回転フレーム134が設けられている点である(該回転フレーム134は、その回転軸の下流側端部が装置本体24に回転可能に支持されている)。
【0117】
本実施例の再生ペレット製造装置10Cにおいて、回転部16は、回転フレーム134に対して捩り方向の回転力を付与する役割を担っている。即ち、回転部16のモータ44が回転すると、その回転力が、モータ44の回転軸に取り付けられた回転用プーリ136a、ベルト138、回転フレーム134の回転軸に取り付けられた従動プーリ134aを介して回転フレーム134が回転する。なお、回転フレーム134は、回転筒部42ならびにその先端に取り付けられた圧縮部18と切断部22との一体物の周囲を、回転筒部42を軸として回転可能に設けられているので、回転フレーム134の回転時において、圧縮部18と切断部22との一体物は、その自重によって静止状態を保っている。
【0118】
回転体である回転フレーム134内に収容されている圧縮部18(圧縮ローラ52a、52bや引取ローラ54a、54b)や、切断部22(カッター120)への電力供給は、スリップリング132を介して行われる。
【0119】
本実施例の再生ペレット製造装置10Cにおいて電源を投入すると、上述同様、延伸部14においてロスフィルムFが薄く引き延ばされて薄肉延伸フィルムfが形成される。そして、この形成された薄肉延伸フィルムfが、回転筒部42を中心として回転している回転フレーム134の周囲を送られる最中にコヨリ状に捩られてコヨリ状紐材Kが形成される。
【0120】
ここで重要な点は、本実施例では、薄肉延伸フィルムfの送り方向が、回転フレーム134を通過する途中で反転している点であり、これにより、回転フレーム134が1回転する間に薄肉延伸フィルムfが2回捩られることとなる。つまり、単位時間あたりの捩り数が2倍になり、嵩密度がより高められることとなる。
【0121】
そして、このコヨリ状に捩られたコヨリ状紐材Kが、圧縮部18の圧縮ローラ52a、52bによって点圧縮されることにより紐材Sが形成され、この紐材Sが引取ローラ54a、54bによって引き取られつつ下流側の切断部22に送られる。
【0122】
切断部22では、上述実施例と同様、紐材Sがカッター120によって所定の間隔で切断され、再生ペレットPが形成される。
【符号の説明】
【0123】
10A、10B、10C…再生ペレット製造装置
12…ロスフィルム供給部
14…延伸部
16…回転部
18…圧縮部
20…回転圧縮部
22…切断部
24…装置本体
28…上流側ローラ
30…下流側ローラ
32…中間ローラ
40…圧縮力調整機構
42…回転筒部
64…圧力調整用プレート
120…カッター
124…再生ペレット回収箱
F…ロスフィルム
f…薄肉延伸フィルム
K…コヨリ状紐材
S…紐材
P…再生樹脂ペレット
Y…凹状圧痕
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインフレーション成形で製造した円筒状で、これを上下の引取りローラで挟んで2重になるようにした2重フィルムの両端をスリッター機械で連続切断加工して所定幅のフィルムとする時の裁断屑である耳端やその他の製造工程で発生したロスフィルム(例えば、厚み不良や途中で破れた2重フィルム)を原料とした再生樹脂ペレットの製造方法並びにその装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルム等の製造過程で発生する大量のロスフィルムF(長尺で、ある程度の幅がある耳端や製品ロス)を加工して再生樹脂ペレット(以下、単に「再生ペレット」という。)として利用することが従来から広く行われている。なお、再生ペレット製造のためにロスフィルムを加熱溶融すると、樹脂の品質の劣化が進むため、非加熱で再生ペレットを製造することができる技術が求められていた。
【0003】
非加熱で再生ペレットを製造することが可能な再生ペレット製造装置の一例としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0004】
この従来の再生ペレット製造装置は、引き込まれた、ある程度の幅がある複数本のロスフィルムを細く束ねる一対の集束用ローラと、その表面に凹凸が形成された一対の圧縮ローラと、裁断用のカッターとを備えており、集束用ローラと圧縮ローラとが相対的に回転できるように構成されている。
【0005】
従来の再生ペレット製造装置において再生ペレットを製造する際には、ロスフィルムを集束用ローラおよび圧縮ローラにこの順で通過させつつ、集束用ローラに対して圧縮ローラを相対的に回転させる。すると、ロスフィルムが集束用ローラと圧縮ローラとの間で捩られてコヨリ状の紐となり、このコヨリ状の紐が圧縮ローラで圧縮されることにより、その表面に凹状圧痕が形成された紐材が形成されることになる。そして、この紐材を凹状圧痕よりも広い間隔で切断することによって、非加熱で比重が高くしかも粒径の揃った高品質な再生ペレットを得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4403064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の再生ペレット製造装置において、1枚であったとしても原料となるロスフィルムが分厚い場合や、予定本数以上のロスフィルムを投入した場合には、得られる再生ペレットの見掛け比重が小さくなったり、解れ易くなり、再生ペレットとしての利用価値が大きく低下するという問題があった。即ち、これらの場合は、捩って得られるコヨリ状の紐が太くなり過ぎて、コヨリ状紐の表面に形成される凹状圧痕がコヨリ状紐の中心にまで届かなくなる。コヨリ状紐の中心にまで凹状圧痕が届かないと、凹状圧痕によるフィルム同士の圧着が(特にコヨリ状紐の中心部分において)不十分となり、これを切断して得られる再生ペレットは解れやすく、内部に空気が入り込んで見掛け比重も低下してしまうこととなる。
【0008】
勿論、圧縮ローラによる圧縮力を高めれば、上記問題を或る程度解消することも可能ではあるが、その分、圧縮ローラに高負荷を与える必要が生じるために装置の大型化・高コスト化に繋がる結果となる。
【0009】
それ故、本発明の目的は、投入するロスフィルムの厚みや本数に関わらず、解れが生じ難く嵩密度の高い、非常に高品質な再生樹脂ペレットを形成することが可能な再生ペレットの製造方法ならびにその製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載した発明(第1〜3実施例)は、
(1a) 連続的に供給された1または複数の合成樹脂製ロスフィルムFを引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムfを下流側に配設された一対の圧縮ローラ52a、52bに送り出す延伸部14と、
(1b) 延伸部14の下流側に配設され、外周面に凹凸が形成された前記一対の圧縮ローラ52a、52bを有し、且つ、延伸部14に対して相対的に回転して延伸部14から引き取った薄肉延伸フィルムfに捩りを付与すると同時に該圧縮ローラ52a、52bにて薄肉延伸フィルムfを捩って形成されたコヨリ状紐材Kを点圧縮して凹状圧痕Y付き紐材Sを形成する回転圧縮部20と、
(1c) 回転圧縮部20の出口側に設けられ、該凹状圧痕付き紐材Sを少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔で切断する切断部22とで構成されたことを特徴とする再生ペレットPの製造装置10A〜10Cである。
【0011】
請求項2に記載した発明は、延伸部14を更に限定したもので(第1実施例 図2(a)参照)、延伸部14は、
(2a) 導入されたロスフィルムFと、巻き付け状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムfとが交差状態で送り出される入り口側の上流側ローラ28、および
(2b) 上流側ローラ28の下流側にて、上流側ローラ28から離間して配置され、且つ、上流側ローラ28より高速で回転し、延伸状態で上流側ローラ28から導入された薄肉延伸フィルムfと、巻き付けられた後、下流側の回転圧縮部20に供給される薄肉延伸フィルムfとが交差状態で送り出される出口側の下流側ローラ30により形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載した発明は、延伸部14に中間ローラ32を更に設けたもので(第2実施例 図2(b)参照)、延伸部14は、
(3a) 導入されたロスフィルムFと、巻き付け状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムfとが交差状態で送り出される入り口側の上流側ローラ28、
(3b) 上流側ローラ28の下流側にて上流側ローラ28から離間して配置され、且つ、上流側ローラ28より高速で回転し、延伸状態で上流側ローラ28から導入された薄肉延伸フィルムfと、巻き付けられた後、下流側の回転圧縮部20に供給される薄肉延伸フィルムfとが交差状態で送り出される出口側の下流側ローラ30、および
(3c) 上流側ローラ28と下流側ローラ30との間に配置され、上流側ローラ28から出、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfを懸架し、上流側ローラ28から出た薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfとの内角δが180°より小さい角となる位置に配置された中間ローラ32により形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載した発明は、延伸を圧縮ローラ52a、52b迄行うもので、延伸部14からの薄肉延伸フィルムfの送り出し速度よりも圧縮ローラ52a、52bの引き取り速度を早くすることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載した発明は、図11〜図12に示す第2〜第3実施例から給電用スリップリング132をなくし、本装置10Aの回転圧縮部20用の回転駆動源を装置本体24に固定して、その回転力を回転圧縮部20の圧縮ローラ52bに伝達する回転圧縮部20の実施例(図5〜図10)で、回転圧縮部20は、
(5a) 装置本体24に回転可能に取り付けられ、延伸された薄肉延伸フィルムKが捩られつつ通過する回転筒部42と、
(5b) 装置本体24に固定され、回転筒部42を回転駆動させる圧縮部回転用モータ44と、
(5c) 回転筒部42の出口に設けられ、回転筒部42と共に回転し、捩られたコヨリ状の薄肉延伸フィルムKの挟持押圧用の圧縮ローラ52a、52bを有する圧縮部18と、
(5d) 回転筒部42の外周に回転可能に装着された主伝達ギア外筒部88、主伝達ギア外筒部88に噛合し、装置本体24に回転自在に装着された圧縮部駆動伝達ギア部86、装置本体24に回転自在に装着され、前記圧縮部駆動伝達ギア部86を回転駆動させる圧縮部駆動モータ92、主伝達ギア外筒部88に噛合して圧縮部駆動伝達ギア部86の回転を圧縮ローラ52bに伝える従動伝達ギア列部90とで構成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載した発明は、請求項1〜4に記載された発明において、回転圧縮部20の圧縮ローラ52a、52bの圧縮力を調整するための圧縮力調整機構40(図8)を更に付加したもので、回転圧縮部20は、
(6a) 装置本体24に回転可能に取り付けられ、延伸された薄肉延伸フィルムKが捩られつつ通過する回転筒部42と、
(6b) 装置本体24に固定され、回転筒部42を回転駆動させる圧縮部回転用モータ44と、
(6b) 回転筒部42の出口に設けられ、回転筒部42と共に回転し、捩られたコヨリ状の薄肉延伸フィルムKの挟持押圧用の圧縮ローラ52a、52bを有する圧縮部18と、
(6c) 回転筒部42の外周にその軸方向に往復スライド可能装着され、回転筒部42と共に回転する往復移動中筒部96、往復移動中筒部96の外周に回転可能に装着され、その外周面にギアが刻設され、往復移動中筒部96と共に軸方向往復移動する主伝達ギア外筒部88、前記主伝達ギア外筒部88に噛合し、回転圧縮部取付部24aに回転自在に装着された圧縮部駆動伝達ギア部86、回転圧縮部取付部24aに回転自在に装着され、前記圧縮部駆動伝達ギア部86を回転駆動させる圧縮部駆動モータ92および主伝達ギア外筒部88に噛合して圧縮部駆動伝達ギア部86の回転を圧縮ローラ52bに伝える従動伝達ギア列部90と、
(6d) 装置本体24に回転可能に取り付けられ、往復移動中筒部96の外周に回転自在に設けられ、装置本体24に設けられたガイド機構100にてガイドされつつ往復移動中筒部96と共に往復移動する外鍔106に設けられた雌ネジ孔108に螺入され、往復移動中筒部96を回転筒部42の軸方向に往復移動させる圧縮力調整ねじ部98と、
(6e) 装置本体24に取り付けられ、圧縮力調整ねじ部98を回転駆動する軸方向往復駆動モータ104と、
(6f) 圧縮ローラ52a、52bを回転可能に軸支する圧縮部18の保持部材56に設けられ、一方の圧縮ローラ52bに対して弾接方向に他方の圧縮ローラ52aを支持するローラ弾性支持部35と、
(6g) 往復移動中筒部96に固定され、往復移動中筒部96の軸方向の移動に合わせてローラ弾性支持部35の弾発力を変化させる弾発力調整部102とで構成されたことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載した発明は、前記装置10A〜10Cにおける再生ペレットの製造方法で、
1または複数の合成樹脂製ロスフィルムFを捩ってコヨリ状紐材Kを形成し、該コヨリ状紐材Kを点圧縮して凹状圧痕付き紐材Sを形成し、凹状圧痕付き紐材Sを少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔で切断することによって再生樹脂ペレットPを形成する再生ペレットの製造方法において、
1または複数のロスフィルムFに延伸力を与えて薄く引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムfを捩ることによりコヨリ状紐材Kを形成するようにしたことを特徴とする再生ペレットPの製造方法である。
【0017】
請求項8に記載した発明は、延伸部14を越えて延伸を圧縮ローラ52a、52b迄行うもので、薄肉延伸フィルムfの捩り工程において、薄肉延伸フィルムfをさらに延伸させつつ捩ることにより強捩りコヨリ状紐材Kを形成するようにしたことを特徴とする再生ペレットの製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
これらの発明によれば、ロスフィルムFを薄く引き延ばし、この延伸後の薄肉延伸フィルムfを捩ってコヨリ状紐材Kを形成するようにしているので、予定以上に分厚い或いは予定以上に幅の広いロスフィルムFや予定本数以上のロスフィルムFを使用する場合であっても、捩って得られるコヨリ状紐材Kが極端に太くなることはない。この点、請求項4に示すように延伸部を越え、圧縮ローラ52a、52b迄延伸を続けると、コヨリ状紐材Kは更に強く捩じられる。(これを強捩りコヨリ状紐材とする。延伸部14だけの捩りと比べて強く捩じられるが、両者は捩り程度が相違するだけであるから特に断らない限りは同じKを使用する。)したがって、装置10A〜10Cを大型化することなくコヨリ状紐材Kの中心にまで凹状圧痕Yを形成することができ、嵩密度が高く、解れの生じ難い非常に高品質な再生樹脂ペレットPを形成することが可能となる。強捩りの場合はより嵩密度が高く、より解れにくくなる。
【0019】
この時、請求項2に示すように、上流側ローラ28と下流側ローラ30とにおいて、ロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfを交差状態にすることで、連続的に送りつつ張力を掛けて延伸したとしても交差した上流側ローラ28や下流側ローラ30に巻き付けられているロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfは擦れ合いながら上流側ローラ28や下流側ローラ30の中心部に引き寄せられ、上流側ローラ28や下流側ローラ30から脱落することがない。
【0020】
また、請求項3に示すように、延伸部14に中間ローラ32を更に設けると、薄肉延伸フィルムfの前記引き寄せ作用に加えて中間ローラ32の設定位置によって上流側ローラ28から出た薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfとの内角δを調整することができ、これによって上流側ローラ28や下流側ローラ30に対するロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfの巻き付き接触角度を調整すること、換言すれば、延伸状態における連続送り状態下で上流側ローラ28や下流側ローラ30に対するロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfのスリップ量を調整して延伸量を調整することが出来る。この場合、中間ローラ32を弾性支持により位置調整可能(テンションローラ状態)にしておくことが好ましい。
【0021】
請求項5、6に記載した発明では、回転圧縮部20及び圧縮部18の圧縮ローラ52a、52bの回転駆動源及び圧縮力調整機構の駆動源を装置本体24(本実施例では装置本体24の一部を構成する回転圧縮部取付部24a)に取り付け、回転力だけをギア機構で伝達するようにしたので、破損しやすい給電用スリップリング132をなくすことが出来る。
【0022】
そして、請求項6に示すように、一方の圧縮ローラ52bに対してローラ弾性支持部35が弾接方向に他方の圧縮ローラ52aを支持し、往復移動中筒部96に固定され、往復移動中筒部96の軸方向の移動に合わせて弾発力調整部102がローラ弾性支持部35の弾発力を変化させるので、供給されてきたコヨリ状紐材Kの太さに合わせて圧縮力を適正化させることができ、切断された再生ペレットPの品質を安定化させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例の再生ペレット製造装置を示す図である。
【図2】(a)本発明に適用される延伸部の第1実施例、(b)同第2実施例を示す図である。
【図3】本装置で形成される再生ペレットを示す斜視図である。
【図4】図1のA−A’断面図である。
【図5】図4のB−B’断面図である。
【図6】図4のC−C’断面図である。
【図7】本発明の第1実施例の再生ペレット製造装置における要部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1実施例の圧縮部を示す後方からの斜視図である。
【図9】図8のD−D’断面図である。
【図10】本発明の第1実施例の切断部を示す図である。
【図11】本発明の第2実施例の再生ペレット製造装置を示す概略正面図である。
【図12】本発明の第3実施例の再生ペレット製造装置を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る再生樹脂ペレットP(以下、単に「再生ペレット」という。)の製造方法は、図1、図11又は図12に示す再生ペレット製造装置10A〜10Cを用いて実現されることから、以下には、まず再生ペレット製造装置10A(図1の実施例1)について説明し、その後、再生ペレットの製造方法について説明する。再生ペレット製造装置10Bについては(実施例2)で簡単に説明し、再生ペレット製造装置10Cについては(実施例3)で簡単に説明する。実施例間で同一機能を持つ部分は同じ符号を付した。
【0025】
なお、本発明で使用されるモータ類は、変速機付きモータでもよいが、速度制御が容易なようにするためにインバータモータ、サーボモータ或いはステッピングモータが主として使用される。また、ベルト類は、回転を正確に伝達するためにタイミングベルトが使用される。
【実施例1】
【0026】
第1実施例の再生ペレット製造装置10Aは、図1に示すように、合成樹脂性のロスフィルムFを材料として再生ペレットPを製造するものである。ここで、原料となるロスフィルムFや、目的物である再生ペレットPについて簡単に説明しておくと、ロスフィルムFとしては、捩ることができ、且つ、その表面に点状に凹状圧痕Y(図3参照)を形成し、この圧痕Y部分を形成する部分が互いに圧着して撚りを維持することができるようなものであればどのようなものであってもよく、本実施例では、従来例で説明したような樹脂フィルム等の製造過程で発生する、例えば、厚み10〜100μm、幅10〜100mmの大量のロスフィルムF(例えば、低密度ポリエチレン樹脂或いは高密度ポリエチレン樹脂)や、自動織機にて機織される合成樹脂糸を用いた布の両側端のカット部分(複数本の縦糸に短い横糸が絡まったもの)など、通常、耳端と呼ばれている部分が使用される。その他、フィルム生産現場で発生する不良品や規格外品も対象となる。
【0027】
ロスフィルムFの再生ペレット製造装置10Aへの供給方法としては、例えば、ロスフィルムFを図示しない筒軸に予め巻き上げることによってカートリッジ状とし、これを再生ペレット製造装置10Aに供給する方法や、フィルム製造装置から排出される耳端のような廃棄品としてのロスフィルムFを本装置10Aに直接インラインで供給する方法などがある(本実施例では、後者の方法が採用されている)。
【0028】
再生ペレットP(図3参照)は、ロスフィルムFをコヨリ状に捩り、その表面に凹状圧痕Yを形成することによって得られた紐材Sを凹状圧痕Yの間隔よりも広い間隔、更には少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔(含まれる凹状圧痕Yの大きさは、再生ペレットPが解れない程度であれば足る。)で切断することによって形成することができる。なお、「凹状」とは、表面形状が点状でその縦断面が略U状、略V状や略コ状等の形状を含む概念である。
【0029】
再生ペレット製造装置10Aは、図1に示すように、上流側からロスフィルム供給部12、延伸部14、後述する回転部16及びこの回転部16に続く圧縮部18が設けられている回転圧縮部20、切断部22及びこれらを支持する装置本体24により大略構成されている。
【0030】
ロスフィルム供給部12は、下流側の延伸部14にロスフィルムFを供給するもので、一対の固定ロール26a及び26bが所定の間隔を空けて装置本体24に設置されており、該固定ロール26a、26b間に、例えば、ばねや重錘のような負荷の下に固定ロール26a、26bに対して近接離間可能(図1では昇降可能)となるように縦ポール26dに昇降自在に配設されたダンサーロール26cが配設され、該固定ロール26a、26b間に掛け渡されて連続搬送されるロスフィルムFに対して一定の張力を付与している。
【0031】
なお、供給されるロスフィルムFは、適切な複数本のロスフィルムF、或いは1枚であったとしても幅が広かったり或いは予定以上の肉厚なロスフィルムFなど、適切な幅、肉厚、本数などのものから予定数範囲を超えるものまで様々なものがある。
【0032】
延伸部14は、原料であるロスフィルムFに強力な引っ張り力を加えてロスフィルムFを薄く引き伸ばし、薄肉延伸フィルムfとして下工程に送り出す部分であり、ロスフィルム供給部12の下流に設けられている。
【0033】
延伸部14の第1実施例は、図2(a)に示すように、いずれも装置本体24(図1参照)に回転可能に取り付けられており、延伸の起点となる上流側ローラ28と、張力が加えられて延伸されつつ送られている薄肉延伸フィルムfの出口部分に位置する下流側ローラ30とで構成されている。これに対して第2実施例(図2(b))では、前記上流側ローラ28及び下流側ローラ30に加え、上流側ローラ28と下流側ローラ30との間に配置され、上流側ローラ28から出て延伸された薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に巻き付く薄肉延伸フィルムfとの角度δが180°より小さい角度、図2(b)の実施例では鋭角となるように中間ローラ32が配置される。なお、該中間ローラ32は、両ローラ28、30の間において近接離間方向に移動可能とし、前記内角δを可変できるようにしておくことが好ましい。
【0034】
そして、延伸部14の上流側ローラ28及び下流側ローラ30には、それぞれの回転速度を制御する上流側回転速度制御部28a、下流側回転速度制御部30aがそれぞれ設けられている(図11〜図12では、簡略のため上流側回転速度制御部28aおよび下流側回転速度制御部30aの記載を省略している)。なお、延伸部14を構成するローラ群28、30及び32は円筒状で、ベアリングを介して支持軸28j、30j、32jに回転自在に取り付けられている。
【0035】
延伸部14において、外れることなく張力を掛けつつロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfを連続搬送するには、ロスフィルムFの上流側ローラ28や、薄肉延伸フィルムfの下流側ローラ30への掛け方が重要である。即ち、(a)上流側ローラ28に導入されたロスフィルムFと、上流側ローラ28に巻き付けた状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムfとが交差状態となるようにすること、(b)上流側ローラ28から導入された薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に巻き付けられ、下流側の回転圧縮部20に供給されつつ捩られる薄肉延伸フィルムKとが交差状態で送り出されるようにすることであり、中間ローラ32を設けた場合には、上流側ローラ28から出、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfを懸架し、上流側ローラ28から出た薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfとの内角δが180°より小さい角(好ましくは90°或いはこれに近い鋭角)となる位置に中間ローラ32を配置することである。
【0036】
また、ロスフィルムFの延伸をスムーズに行わせるためには、上流側ローラ28、下流側ローラ30に半周以上の接触範囲(角度的には180°〜360°、好ましくは270°或いはこれに近い角度、実験的には、270°±10°の範囲で接触していることが好ましかった。この角度をεで示す。)で巻き付けられていることである。
【0037】
換言すれば、上流側ローラ28と下流側ローラ30のそれぞれの中心を結ぶ直線に対して下流側ローラ30と中間ローラ32のそれぞれの中心を結ぶ直線のなす角度が、例えば直角或いはこれに近い角度(90°±10°)となり、上流側ローラ28と中間ローラ32のそれぞれの中心を結ぶ直線が斜辺となるように、各ローラ28、30、32が直角三角形或いはこれに近い三角形を形成するように各部材が配置されることが好ましい(このようにすることで、ロスフィルムFの連続供給と薄肉延伸フィルムfの延伸とを実験的にスムーズに行うことができた。)。
【0038】
なお、上流側ローラ28と下流側ローラ30とは、標準的なロスフィルムFが供給されている場合には、下流側ローラ30の回転数が、上流側ローラ28の回転数に比べて約1.5倍(換言すれば大略1.5倍±10%で、この場合、上流側ローラ28および下流側ローラ30におけるスリップは無視する。)の速さで回転するよう設定されている(なお、上流側ローラ28および下流側ローラ30の回転数は、上流側回転速度制御部28aおよび下流側回転速度制御部30aにおいて設定されるが、これらは後述するように、更に圧縮ローラ52a、52bの回転数を基準として決定される)。
【0039】
一方、供給されるロスフィルムFが標準的でない場合には、延伸された薄肉延伸フィルムfの太さが標準時の太さ或いは実用上問題がない程度の範囲内でこれに近くなるように回転比が設定される。
【0040】
第1実施例の装置本体24は、図1から分かるように回転圧縮部20を除く本発明に係る機構部分が装着される平板状の部分24bと、その中央部分において直角方向に飛び出すように構成され、回転圧縮部20が装着される平板状の回転圧縮部取付部24aとで大略構成されている。
【0041】
回転圧縮部20は、回転部16及びこれに続く圧縮部18にて構成され、装置本体24を構成する前記平板状の部分24bから直角方向に飛び出すように取り付けられた平板状の回転圧縮部取付部24aに装着されている。そして、回転部16は、円筒状のケーシング38に収容されており、圧縮部18には、圧縮ローラ52a、52bの圧縮力を調整する圧縮力調整機構40が設けられている。なお、本実施例では、後述するように、圧縮部18に圧縮力調整機構40を設けているが、圧縮ローラ52a、52bの圧縮力を調整する必要がない場合はこれを設けなくてもよい。以下の説明では、圧縮力調整機構40を設けた場合を説明する。
【0042】
回転部16は、延伸部14から圧縮部18に供給されている捩られた薄肉延伸フィルムf(即ち、コヨリ状紐材K)を回転中心とし、延伸部14に対して圧縮部18を相対回転させる部分であり、回転筒部42、圧縮部回転用モータ44ならびに後述する付属部材を備えている。
【0043】
回転筒部42は、金属等の剛性材料からなる円筒状の部材であり、その上流側が装置本体24の回転圧縮部取付部24aにベアリングを介して回転可能に挿通支持され、回転筒部42の下流側が回転筒部42の下流端に装着された後述する保持部材56を介して、ケーシング38の下流側端部に回転可能にベアリング支持されたケーシング38の下流側側壁38cに保持されている。そして、回転筒部42と保持部材56とは、回転筒部42の貫通孔と、保持部材56の貫通孔とが同軸となるよう位置決めされている(図5〜図6参照)。
【0044】
回転筒部42の上流側端部には、従動プーリ46が取り付けられており、この従動プーリ46と、圧縮部回転用モータ44の回転軸に取り付けられた圧縮部回転用プーリ48との間にベルト50が掛設されている。該圧縮部回転用モータ44は、装置本体24の前記回転圧縮部取付部24aに取り付けられている。装着方向は、ケーシング38の突出方向である。
【0045】
圧縮部18は、(延伸部14から送り出された)薄肉延伸フィルムfを延伸部14と圧縮部18との間でコヨリ状に捩って得られるコヨリ状紐材Kを点圧縮して紐材Sにすると共に、点圧縮して得られる紐材Sを下工程の切断部22へ向けて速やかに送り出す部分であり、大略、一対の圧縮ローラ52a、52b、これに続く一対の引取ローラ54a、54b及びこれらを懸架保持する保持部材56並びにローラ保持付属部材により構成されている。
【0046】
保持部材56は、ブロック状の本体部分56a、本体部分56aの後端面から二股状にて一体的に突設された左右一対の加圧側保持板部56b及び受圧側保持板部56cを備えており、左右の各加圧側保持板部56bおよび受圧側保持板部56cの間にはスリット溝56d(図8参照)が設けられており、これによって上下に分割されている。この部分の上側を加圧側保持板部56b1、56b2とし、下側を受圧側保持板部56c1、56c2とする。(なお、図示していないが、前記分割された加圧側保持板部56b1、56b2及び受圧側保持板部56c1、56c2の自由端を連結して圧縮ローラ52a、52b及び引取ローラ54a、54bを支持するこれらの部分を強化するようにしてもよい。)
【0047】
そして、保持部材56の本体部分56aの中心には、側面視でスリット溝56dに一致して上流側端部から下流側端部に至る保持側貫通孔56hが形成されており、既に述べたように回転筒部42の捩り用側貫通孔42aに保持部材56の保持側貫通孔56hが連通している。
【0048】
各圧縮ローラ52a、52bは、円柱状の部材(或いは、外周に多数のギザギザ突起が突設されている円板を多数円柱状に積層したもの)で、その外面には、先の尖ったいぼ状或いは台形状の突起58(図8参照)がその全面に亘って多数形成されている。なお、本実施例では、紐材Sの噛み込みを容易にするために、図5中上方に配置されている加圧側圧縮ローラ52aの外径が、下方に配置されている受圧側圧縮ローラ52bの外径よりも小径となるように設定されている。加圧側圧縮ローラ52a及び受圧側圧縮ローラ52bの中心には、回転軸60a、60bが同軸的に設けられており、その両端が保持部材56の二股状になった左右一対の上側の加圧側保持板部56b1、56b2及び下側の受圧側保持板部56c1、56c2に回転可能に支持されている。
【0049】
引取ローラ54a、54bは、圧縮ローラ52a、52bの下流側となるように配置され、圧縮ローラ52a、52bと同様に、それぞれの回転軸62a、62bが保持部材56の二股状になった左右一対の上側の加圧側保持板部56b1、56b2及び下側の受圧側保持板部56c1、56c2に回転可能に支持されている。各引取ローラ54a、54bは、円柱状の部材で、圧縮ローラ52a、52bにて圧縮されてできた紐材Sを引き取る際に紐材Sとの間でスリップすることがないよう、その材質としては、紐材Sとの摩擦係数が高いものを選択するのが望ましく、本実施例では、ウレタンゴムなどの弾性材料が使用されており、その外面は平滑面となっている。
【0050】
各加圧側保持板部56b1、56b2の上面には、ローラ弾性支持部35,35の一部を構成する凹穴56e,56fが加圧側圧縮ローラ52aの両端から突出している回転軸60a,62aと対応する位置にそれぞれ形成されている(図8〜図9参照)。
【0051】
ここで、加圧側圧縮ローラ52aの回転軸60aと対応する位置に設けられている凹穴56eには、圧力調整用プレート64が挿脱可能に取り付けられており、圧力調整用プレート64に穿設され、上下方向に伸びた略小判型のローラガイド孔64aに加圧側圧縮ローラ52aの回転軸60aが上下方向(換言すれば、受圧側圧縮ローラ52bに対して当接離間方向)にスライド可能に支持されている。
【0052】
前記ローラガイド孔64aの内側面64b、64bは平行に形成されており、圧縮ローラ52a,52b間に太いコヨリ状紐材Kが送り込まれて来て圧縮ローラ52aに離間方向の大きな力が加わった場合、内側面64b,64bに沿って加圧側圧縮ローラ52aの回転軸60aが僅かに上下(換言すれば、離間方向)にスライドする。そして、回転軸60aの挿入端の上面に凹設された凹所66に多数枚重ね合わせて嵌め込まれている皿ばね68がローラガイド孔64aの天井面に強く弾接して回転軸60aをローラガイド孔64aの孔底方向に強く押し返し、皿ばね68の弾発力でコヨリ状紐材Kを挟み付ける。換言すれば、皿ばね68の弾発力がコヨリ状紐材Kの挟み付け力となる。この場合、圧力調整用プレート64自体は弾発力調整部102に接触しているから動かない。
【0053】
前記圧力調整用プレート64の上面64cは、上流側から下流側に向かうにしたがって僅かな下向きに傾斜している。
【0054】
なお、加圧側圧縮ローラ52aを受圧側圧縮ローラ52bに対して弾接方向に支持する構成、即ち、凹穴56eと、凹穴56eに嵌り込んだ圧力調整用プレート64とで加圧側圧縮ローラ52aを、皿ばね68の弾発力でもって挟み込み支持する構成を「ローラ弾性支持部35」と呼ぶことにする。
【0055】
凹穴56eの下流側に設けられている引取ローラ54a用の凹穴56fも、凹穴56eと同様、上下方向に伸びた小判型に穿設されている。そしてその天井面に加圧側保持板部56b1、56b2の上面にそれぞれ開口するばね収納孔56gが穿設され、その開口が固定プレート70で覆われている。
【0056】
そして、凹穴56f内に上側の引取ローラ54aの両端から突出した回転軸62a、62aが上下方向にスライド(下側の引取ローラ54bに対して離間)可能に挿入されている。前記回転軸62aの挿入端部の上面には凹所72が凹設されており、この凹所72からばね収納孔56gに至る空間部分に圧縮コイルバネ74が収納されており、この固定プレート70によって圧縮コイルバネ74が凹所72に撓ませられて嵌り込んでおり、回転軸62aが常時圧縮コイルバネ74の弾発力により凹穴56fの穴底方向に押圧されている。なお、加圧側圧縮ローラ52a、加圧側引取ローラ54aと回転軸60a,62aとの間には、ベアリングがそれぞれ介装されている(図5参照)。
【0057】
一方、下方の受圧側圧縮ローラ52b及び引取ローラ54bの中心には、回転軸60b及び回転軸62bがそれぞれ同軸的に設けられており、その両端が左右一対の下側の加圧側保持板部56c1,56c2に回転可能に支持されている。
【0058】
なお、受圧側圧縮ローラ52bの回転軸60bと引取ローラ54bの回転軸62bとは、それぞれに設けられたプーリ76、78及びこのプーリ76、78に懸架されたベルト80にて互いに接続されており、両者が一体化して回転する。
【0059】
次に、圧縮力調整機構40を構成する弾発力調整部102について説明する。弾発力調整部102は、往復移動中筒部96の下流端に固着されていて往復移動中筒部96と一体に往復移動するようになっている。弾発力調整部102は、本体部分102bから先端部分102aが下流側に向けて二股状にて突設されており、これらは保持部材56の、加圧側圧縮ローラ52aの回転軸60aを支持する二股状の加圧側保持板部56b1、56b2上に沿う。
【0060】
弾発力調整部102の先端部分102aは、このように加圧側保持板部56b1、56b2に沿って設けられていて、加圧側保持板部56b1、56c1それぞれに設けられた圧力調整用プレート64の上面64c上を押圧しつつスライドする。二股に分かれた弾発力調整部102の先端部分102aの下面は、上流側から下流側に向かうにしたがって下向きに傾斜しており、この傾斜角度は、圧力調整用プレート64の上面64cの傾斜角度と一致するように設定されている。
【0061】
次に、圧縮ローラ52a、52bを駆動する圧縮ローラ回転機構84について説明する。これは、ギア列を構成し、圧縮部18の受圧側圧縮ローラ52bを回転させるためのもので、圧縮部駆動伝達ギア部86、主伝達ギア外筒部88、従動伝達ギア列部90、圧縮部駆動モータ92及びその付属部材により構成されている。
【0062】
圧縮部駆動伝達ギア部86は、シャフト86aと、シャフト86aの上流側端部に取り付けられた従動プーリ86bと、シャフト86aの下流側端部に取り付けられたギア86cとを有しており、ケーシング38が装着された上流側に位置する装置本体24の回転圧縮部取付部24aにベアリングを介して回転自在に支持されている。そして従動プーリ86bと、圧縮部駆動モータ92の回転軸に取り付けられた圧縮部駆動プーリ92aとの間には、ベルト94が掛設されている。
【0063】
主伝達ギア外筒部88は、圧縮力調整機構40の往復移動中筒部96の外面にてその周方向に回転可能に設けられた筒状の部材で、その外面は歯車状に形成されており、この外面に圧縮部駆動伝達ギア部86のギア86cと、後述する従動伝達ギア列部90の最初のギヤ21cとがそれぞれ反対の位置にて噛合している。
【0064】
従動伝達ギア列部90は、前段ギア部90aと後段ギア部90eとで構成されている。前段ギア部90aは、シャフト90bと、シャフト90bの上流側端部に取り付けられた上流側ギア90cと、シャフト90bの下流側端部に取り付けられた下流側ギア90dとを備えており、後段ギア部90eは、シャフト90fと、シャフト90fの上流側に取り付けられたギヤ90gと、シャフト90fの下流側に取り付けられた傘歯車90hとを備えている。ギヤ90gは、上述したように、前段ギア部90aの下流側ギア90dと噛合しており、傘歯車90hは、受圧側圧縮ローラ52bの回転軸60bに取り付けられた傘歯車82と噛合している。
【0065】
圧縮力調整機構40の調整機構は、既述の往復移動中筒部96、圧縮力調整ねじ部98、ガイド機構100、既述の弾発力調整部102、軸方向往復駆動モータ104及び駆動力を伝達するギア列とベルト機構を備えている。
【0066】
往復移動中筒部96の上流側端部の外周には、半月板状の外鍔106が取り付けられており、その中心にベアリングを介して回転筒部42が自転可能に挿通されており、更に、回転筒部42に平行に雌ネジ孔108が螺設され、雌ネジ孔108を中心にして、振り分け(例えば90°)でガイド軸受110が往復移動中筒部96と平行に設けられている。
【0067】
そして、ガイド軸受110に合わせて、ガイド棒112が往復移動中筒部96と平行にて装置本体24の回転圧縮部取付部24aに取り付けられ、且つ、ガイド軸受110にスライド可能に挿通されている。これによって、往復移動中筒部96は回転することなく、回転筒部42の回転に独立して回転筒部42の外面をその軸方向に移動する。
【0068】
圧縮力調整ねじ部98は、装置本体24の回転圧縮取付部24aにベアリングを介して回転自在に取り付けられたシャフト98aと、シャフト98aの上流側に設けられた従動プーリ98bとを有しており、従動プーリ98bと、軸方向往復駆動モータ104の回転軸に取り付けられた軸方向駆動プーリ104aとの間には、ベルト114が掛設されている。
【0069】
シャフト98aには、雄ネジ部98cが刻設されており、この雄ネジ部98cが外鍔106の雌ネジ部108に螺進螺退可能に螺入されている(図6参照)。
【0070】
図5から分かるように、往復移動中筒部96は、回転筒部42に対して往復移動をするが、共に回転もする。これに対して、装置本体24の回転圧縮部取付部24aに立設されているガイド機構100のガイド棒112は、ベアリングを介して往復移動中筒部96に取り付けられている外鍔106のガイド軸受110にスライド可能に挿通されており、従って、外鍔106は、往復移動中筒部96と共に往復移動するものの、往復移動中筒部96に対しては、往復移動中筒部96の回転を許容する。即ち、外鍔106は、回転圧縮部取付部24aに対して正対しつつ近接離間方向に移動して往復移動中筒部96の軸方向往復移動をガイドするものである。そして、往復移動中筒部96の下流側端部には、弾発力調整部102が取り付けられており、往復移動中筒部96と共に軸方向に往復移動、且つ、回転し、同様にこれらに一致して回転している保持部材56に対して相対的に往復移動する。
【0071】
往復移動中筒部96に取り付けられた弾発力調整部102は、前述のように往復移動中筒部96及び回転筒部42、圧縮部18と共に回転する。弾発力調整部102は、既に述べたように往復移動して加圧側保持板部56bの凹穴56eにスライド可能に嵌め込まれている圧力調整用プレート64の加圧側保持板部56bからの突出量を調整することによって圧縮ローラ52a、52b間の圧力を調整する。
【0072】
なお、本実施例では、回転圧縮部20が片持構造のもの(より具体的にいえば、回転部16を構成している回転筒部42の上流側が装置本体24に支持された構造)として構成されていたが、例えば、圧縮ローラ52a,52bや引取ローラ54a,54bを保持する保持部材56を回転可能に支持する支持部材を別途設けることにより、回転圧縮部20を両持構造のものとして構成することも可能であり、このようにすることで、回転圧縮部20を安定して支持することが可能となる。
【0073】
切断部22は、圧縮部18において形成された凹状圧痕付き紐材Sを、少なくとも1以上の凹状圧痕Yを含む間隔で、好ましくはその表面に形成されている凹状圧痕Yの間隔よりも広い間隔で切断することによって再生ペレット化する部分であり、図10に示すように、切断部ケーシング116、一対のガイドローラ118a、118b、カッター120及び変速機付きモータ122により大略構成されている。
【0074】
切断部ケーシング116は、薄い箱状のもので、その上流側端部(図12中左側)には、紐材導入口116aが形成されており、その下端部(図10中下側端部)には、再生ペレット排出口116bが形成されている。
【0075】
紐材導入口116aの近傍には、一対のガイドローラ118a、118bが設けられている。各ガイドローラ118a、118bは、円柱状のローラ本体の表面に複数(本実施例では6枚)の羽根118cが突設されたものとして構成されており、可撓性を有し、且つ、紐材Sとの摩擦係数が高いウレタンゴム等のような弾性材料によって一体的に形成されている。各ガイドローラ118a、118bは、一方のガイドローラ118aの羽根118cと、他方のガイドローラ118bの羽根118cとが互いに重なり合わないように所定角度ずらした状態で(本実施例では30度ずらした状態で)配置されている。各ガイドローラ118a、118b間の距離は、一方のガイドローラ118aの最大半径と他方のガイドローラ118bの最大半径との和と略等しく設定されており、これにより、紐材Sがその上下両側から軽く挟持される(図10参照)。
【0076】
切断部ケーシング116の中心には、カッター120が回転可能に取り付けられており、カッター120の中心に変速機付きモータ122の回転軸が接続されている。カッター120の回転数は、紐材Sの送り速度ならびに紐材Sを切断することによって形成される再生ペレットPの大きさに応じて適宜設定される。
【0077】
切断部ケーシング116の再生ペレット排出口116bの下方(図10における下方)には、切断部22において切断されてできた再生ペレットPを回収する再生ペレット回収箱124が配設されている。
【0078】
再生ペレット製造装置10Aを用いて再生ペレットPを製造する際には、先ず原料となるロスフィルムFを所定の送り経路にセッティングする。なお、本実施例では、3本のロスフィルムFを原料とする場合について説明するが、その本数は3本に限定されるものではなく、例えば1本或いは2本でも良いし、4本以上であっても良い。1本の場合は、既に述べたように、これを絞った時に適正本数に匹敵するほどの幅或いは厚みを持っているものが使用される。
【0079】
3本のロスフィルムFを引き揃え、その先端部分を軽く捩じって一まとめにし、これをロスフィルム供給部12の固定ロール26a、26b、ダンサーロール26c、延伸部14の上流側ローラ28、中間ローラ32そして下流側ローラ30の順にセットする。上流側ローラ28にロスフィルムFをセットする際は、上流側ローラ28に向かうロスフィルムFと上流側ローラ28から出て行くロスフィルムFとが交差するようにセットする(図2(a)(b)参照)。下流側ローラ30にロスフィルムFをセットする際も、上述同様、下流側ローラ30に向かうロスフィルムFと下流側ローラ30から出て行くロスフィルムFとが交差するようにセットする。
【0080】
続いて、その先端を軽く捩って一まとめにした3本のロスフィルムFを、回転筒部42の捩り用側貫通孔に通し、その挿通端を一対の圧縮ローラ52a、52b間、一対の引取ローラ54a、54b間および一対のガイドローラ118a、118b間にこの順で挿通させればセッティングが完了する。
【0081】
なお、ロスフィルムFを一対の圧縮ローラ52a、52b間に通すときは、受圧側圧縮ローラ52bに対する加圧側圧縮ローラ52aの押圧力を予め解除して加圧側圧縮ローラ52aをフリーにしておくとよい。
【0082】
受圧側圧縮ローラ52bに対する加圧側圧縮ローラ52aの押圧力を解除するためには、圧縮力調整機構40の軸方向往復駆動モータ104を作動させて弾発力調整部102を下流側へスライドさせればよいのであるが、その機構について図9を参照しつつ説明する。
【0083】
まず、軸方向往復駆動モータ104を作動させると、その回転力が軸方向駆動プーリ104aおよびベルト114を介して圧縮力調整ねじ部98の従動プーリ98bに伝達され、圧縮力調整ねじ部98のシャフト98aが回転する。すると、圧縮力調整ねじ部98の雄ネジ部98cに螺入されている往復移動中筒部96の外鍔106が螺脱方向に移動し、往復移動中筒部96およびその下流側端部に接続されている弾発力調整部102が回転筒部42と共に下流側(圧縮ローラ52a、52b側)へスライドする。
【0084】
ここで、弾発力調整部102の先端部分102aの下面と、圧力調整用プレート64の上面64cとは、上流側から下流側に向かうにしたがって下向きに傾斜しているので(図9参照)、弾発力調整部102が下流側にスライドすると、圧力調整用プレート64は、皿バネ68の弾発力を受けて、図9中、上方(凹穴56eから離脱する方向)へと移動する。
【0085】
圧力調整用プレート64が、凹穴56eから離脱する方向に移動すると、皿バネ68が伸長してその弾発力(換言すれば、受圧側圧縮ローラ52bに対する加圧側圧縮ローラ52aの押圧力)は次第に弱まり、最終的に、受圧側圧縮ローラ52bに対する加圧側圧縮ローラ52aの押圧力が解除される。
【0086】
前記の方法で受圧側圧縮ローラ52bに対する加圧側圧縮ローラ52aの押圧力を解除した後は、一対の圧縮ローラ52a、52b間にロスフィルムFを通し、セッティングが完了したら、先ほどとは反対の手順にて、受圧側圧縮ローラ52bに対して加圧側圧縮ローラ52aの押圧力を付加しておく。
【0087】
また、一対の引取ローラ54a、54b間にロスフィルムFを通すときは、ボルトを緩めて圧縮コイルバネ74をフリーにしておき、受圧側引取ローラ54bから加圧側引取ローラ54aを予め離間させておくとよい。
【0088】
受圧側引取ローラ54bに対する加圧側引取ローラ54aの押圧力を解除し、一対の引取ローラ54a、54b間にロスフィルムFを挿通した後は、先ほどとは反対の手順にて加圧側引取ローラ54aに加圧力を加えるようにする。
【0089】
一対のガイドローラ118a、118b間にロスフィルムFをセッティングする際は、ロスフィルムFを撓ませつつガイドローラ118a、118b間の隙間を縫うようにして通せばよい。なお、図10は、ガイドローラ118a、118b間を紐材Sが通過している状態を示したものであるが、ロスフィルムFをセッティングした場合にも、凡そこのような状態となっている。
【0090】
以上のようにしてロスフィルムFのセッティングが完了すれば、再生ペレット製造装置10Cの電源を投入して延伸部14、回転圧縮部20(回転部16と圧縮部18)及び切断部22をそれぞれ作動させて再生ペレットPの製造を開始する。
【0091】
ロスフィルム供給部12では、ロスフィルムFに一定の張力を与えつつ延伸部14にロスフィルムFが供給される。そして、上流側ローラ28および下流側ローラ30が回転してロスフィルムFに張力を与えてこれを延伸させつつ下工程である圧縮部18へと送り出す。
【0092】
延伸部14から圧縮部18への薄肉延伸フィルムf(この段階では捩られつつあるコヨリ状紐材Kとなっている。)の引き取りにおいて、たるみが生じないように圧縮部18の引き取り速度を基準に延伸部14の送り速度が決定される。そして、下流側ローラ30の回転数は、上述したように、上流側ローラ28の回転数よりも高く設定されている(本実施例では下流側ローラ30が上流側ローラ28に比べて約1.5倍の速さで回転するように設定されている)ので、延伸部14に供給されたロスフィルムFは、上流側ローラ28と下流側ローラ30との間で強く引っ張られ、薄く、かつ、細長く引き伸ばされた薄肉延伸フィルムfとして下工程である圧縮部18に送られることになる。
【0093】
ここで重要な点は、延伸部14においては、上述したように、(a)上流側ローラ28に導入されたロスフィルムFと、上流側ローラ28に巻き付けた状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムfとが交差しており、(b)上流側ローラ28から導入された薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に巻き付けられ、下流側の回転圧縮部20に供給される、捩り状態にある薄肉延伸フィルムKとが交差状態で送り出されている点である。この時、薄肉延伸フィルムfとローラ28、30との接触角度εは270°±10°が好ましい。
【0094】
更に、図2(b)のように上流側ローラ28と下流側ローラ30との間に中間ローラ32を設けた場合には、上流側ローラ28から出、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfを懸架し、上流側ローラ28から出た薄肉延伸フィルムfと、下流側ローラ30に送られる薄肉延伸フィルムfとの内角δが180°より小さい角(好ましくは鋭角)となる位置に中間ローラ32を配置した点も重要である。
【0095】
このように上流側ローラ28と下流側ローラ30とにおいて、ロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfを交差状態にすることで、連続的に送りつつ張力を掛けて延伸したとしても交差した上流側ローラ28や下流側ローラ30に巻き付けられているロスフィルムFや薄肉延伸フィルムfは擦れ合いながら上流側ローラ28や下流側ローラ30の中心部に引き寄せられ、上流側ローラ28や下流側ローラ30から脱落することがないし、効果的に所定の延伸が施される。
【0096】
圧縮部18は、回転部16が作動することにより中心軸を共有して供回りして延伸部14に対して相対回転している。従って、延伸部14から供給される薄肉延伸フィルムfは、延伸部14の下流側ローラ30を越えた瞬間から、下流側ローラ30と圧縮部18の圧縮ローラ52a、52bとの間でコヨリ状に捻られてコヨリ状紐材Kとなる。
【0097】
ここで、回転部16をその一部に具備する回転圧縮部20を延伸部14に対して捩る、その捩り方法について、図7を参照しつつ説明する。
【0098】
回転圧縮部20において、圧縮部18に捩り方向の回転力を与える役割を担っているのは、回転部16であるが、その圧縮部回転用モータ44が回転すると、その回転力が圧縮部回転用プーリ48、ベルト50、従動プーリ46を介して回転筒部42に伝達され、回転筒部42が回転する。
【0099】
回転筒部42が回転すると、回転筒部42の下流側端部に取り付けられている圧縮部18(即ち、保持部材30に支持されている圧縮ローラ52a、52bと引取ローラ54a、54b)も回転筒部42と一体となって回転する。圧縮部18が回転筒部42と一体となって捩り方向の回転を始めると、上述したように、装置本体24に取り付けられている延伸部14において薄く引き延ばされた薄肉延伸フィルムfが下流側ローラ30と圧縮ローラ52a、52bとの間でコヨリ状に捩られてコヨリ状紐材Kが形成される。このコヨリ状紐材Kは、圧縮部18の引き取り方向の回転によって引き取られ、下工程である切断部22に送られることになるが、以下この点を説明する。
【0100】
圧縮ローラ52a、52bの前記引き取り方向の回転は、圧縮ローラ回転機構84が作動することによって与えられる。圧縮ローラ回転機構84の圧縮部駆動モータ92が回転すると、その回転が圧縮部駆動プーリ92a、ベルト94および圧縮部駆動伝達ギア部86を介して主伝達ギア外筒部88に伝達される。
【0101】
主伝達ギア外筒部88は、往復移動中筒部96の外面に、その周方向に回転可能に設けられているが、圧縮ローラ52a、52bの圧縮力調整時に往復移動中筒部96と共に往復移動するので、往復移動長さのねじが刻設されている。そして、往復移動中筒部96の外周を回転するこの長い主伝達ギア外筒部88は、圧縮部駆動伝達ギア部86のギア86cと噛合し、圧縮部駆動伝達ギア部86の回転に合わせて往復移動中筒部96の外面を周方向に回転することとなる。
【0102】
主伝達ギア外筒部88が往復移動中筒部96の外面をその周方向に回転すると、主伝達ギア外筒部88に噛合している従動伝達ギア列部90の上流側ギア90cが回転し、その回転が、シャフト90b、下流側ギア90dを介して後段ギア部90eに伝達される。
【0103】
そして、後段ギア部90eに伝達された回転が、傘歯車90h、これと噛合する傘歯車82によって、その回転方向がコヨリ状紐材Kを下流側へ向けて送り出す方向への回転に変換されて受圧側圧縮ローラ52bに伝達される。
【0104】
受圧側圧縮ローラ52bには、皿ばね68の弾発力により加圧側圧縮ローラ52aが圧接されているので、受圧側圧縮ローラ52bが回転すると、加圧側圧縮ローラ52aも受圧側圧縮ローラ52bの動きに合わせて一緒に回転し、圧縮ローラ52a、52bに圧縮挟持されたコヨリ状紐材Kに圧痕Yを付与しつつ下流側へ送り出す。そして、受圧側圧縮ローラ52bの回転力は、プーリ76、ベルト80およびプーリ78を介して受圧側引取ローラ54bに伝達される。
【0105】
圧縮ローラ52a、52bにて点圧縮されて形成された紐材Sは、引取ローラ54a、54bによって引き取られて、下工程である切断部22に送られる。引取ローラ54a、54bによって送られてきた紐材Sは、前述のようにガイドローラ118a、118bによって切断部ケーシング116の紐材導入口116aに順次送られ、カッター120によって所定の間隔で切断されることにより再生ペレットPが形成される。なお、引取ローラ54a、54bによって送られてきた紐材Sは、ぐるぐると回転しながらガイドローラ118a、118bに送られてくるため、紐材Sそのものに捩れが生じて団子状態になりやすい。しかしながら、本実施例では、円柱状のローラ本体160の表面に設けた羽根118cによって紐材Sがその上下両側から軽く把持されているので、紐材Sそのものに捩れが発生していたとしても、紐材Sを安定してカッター120に供給することができる。
【0106】
以上のようにして形成された再生ペレットPは、再生ペレット排出口116bから外部に排出され、その下方に設けた再生ペレット回収箱124に回収される。
【0107】
なお、前記従動伝達ギア列部90は、圧縮部18の保持部材56と同様、ケーシング38の下流側側壁38cに支持され、且つ下流側側壁38cに対して回転可能となっているが、この下流側側壁38cは、ケーシング38に対して捩り方向に回転可能に取り付けられているので、従動伝達ギア列部90と主伝達ギア外筒部88とは噛合状態で圧縮部18及び弾発力調整部102と一緒に回転筒部42の周囲をその周方向に回転することとなる(即ち、従動伝達ギア列部90は、その上流側ギア90cが常に主伝達ギア外筒部88と噛合した状態で回転筒部42の周囲を回転することになる)。
【0108】
それ故、回転筒部42の回転数より主伝達ギア外筒部88の回転数が大きくなるように圧縮部駆動伝達ギア部86のギア86cの回転数を高めないと圧縮ローラ52a、52bの回転方向が引き取り方向に回転せず、逆転することになるので、このような関係(=引き取り方向に回転するような関係)が維持できるように圧縮部駆動モータ92の回転数を制御する必要がある。なお、圧縮ローラ52a、52bの引き取り方向回転数は装置全体の稼動速度を律するため、この回転数が上、下流側回転速度制御部28a、30aの制御基準となる。この場合、圧縮ローラ52a、52bの引き取り方向回転数は延伸部(14)の送り出し速度と一致させてもよいが、圧縮ローラ52a、52bの引き取り方向回転数を延伸部(14)の送り出し速度より大きくしてもよい。このようにすることで更なる延伸状態で捩りを加えることになり、更なる圧縮効果を高めることができるようになる。
【0109】
なお、圧縮ローラ52a、52bの圧縮力の可変調整は、既述の通りであるが、補足すると、軸方向往復駆動モータ104を作動させて外鍔106を往復移動させると往復移動中筒部96が共に往復移動して弾発力調整部102を往復移動させるが、その時、主伝達ギア外筒部88の外周面に刻設された長いギアが圧縮部駆動伝達ギア部86のギア86c及び従動伝達ギア列部90の上流側ギア90cと噛合状態を維持しつつ往復移動中筒部96と共に往復移動することになる。圧縮ローラ52a、52bの圧縮力の可変調整以外の時点では、その位置での静止状態が維持され、主伝達ギア外筒部88は、その位置で回転する。
【実施例2】
【0110】
延伸部14においてロスフィルムFを延伸させ、この延伸後の薄肉延伸ロスフィルムfを捩ってコヨリ状紐材Kを形成するという手法は、他の再生ペレット製造装置においても適用が可能である。
【0111】
例えば、図11に示す第2実施例の再生ペレット製造装置10Bは、延伸部14の下流側に圧縮部18と切断部22とをこの順で配置するとともに、圧縮部18の脇に回転部16を配置したものである。延伸部14の上流側には、ロスフィルム供給部12が設けられている。
【0112】
本実施例の再生ペレット製造装置10Bにおいて、回転部16は、圧縮部18に捩り方向の回転力を与える役割を担っている。即ち、回転部16のモータ44が回転すると、その回転力が、モータ44の回転軸に取り付けられた回転用プーリ126a、ベルト128、圧縮部18の回転軸に取り付けられた従動プーリ130を介して圧縮部18が回転する。なお、圧縮部18の圧縮ローラ52a、52bや引取ローラ54a、54bへの電力供給は、圧縮部18の上流側に設けたスリップリング132によって行われる。
【0113】
圧縮部18が捩り方向の回転を始めると、上述したように、延伸部14において薄く引き延ばされた薄肉延伸フィルムfが延伸部14の下流側ローラ30と、圧縮ローラ52a、52bとの間でコヨリ状に捩られてコヨリ状紐材Kが形成される。
【0114】
そして、このコヨリ状紐材Kが圧縮ローラ52a、52bによって点圧縮されることにより紐材Sが形成され、この紐材Sが引取ローラ54a、54bによって引き取られつつ、下流側の切断部22に送られる。
【0115】
切断部22では、上述実施例と同様、紐材Sがカッター120によって所定の間隔で切断され、再生ペレットPが形成される。形成された再生ペレットPは、切断部22直下の再生ペレット回収箱124に回収される。
【実施例3】
【0116】
次に、図12に示す第3実施例の再生ペレット製造装置10Cについて説明する。本実施例の再生ペレット製造装置10Cは、上述同様、ロスフィルム供給部12、延伸部14、回転部16、圧縮部18および切断部22を有するものであるが、本実施例の特徴は、回転筒部42の先端に取り付けられた圧縮部18と切断部22との一体物の周囲に、該一体物をとり囲み、かつ、該一体物の周囲を回転筒部42の周方向(コヨリ状紐材Kの捩り方向)に回転する回転フレーム134が設けられている点である(該回転フレーム134は、その回転軸の下流側端部が装置本体24に回転可能に支持されている)。
【0117】
本実施例の再生ペレット製造装置10Cにおいて、回転部16は、回転フレーム134に対して捩り方向の回転力を付与する役割を担っている。即ち、回転部16のモータ44が回転すると、その回転力が、モータ44の回転軸に取り付けられた回転用プーリ136a、ベルト138、回転フレーム134の回転軸に取り付けられた従動プーリ134aを介して回転フレーム134が回転する。なお、回転フレーム134は、回転筒部42ならびにその先端に取り付けられた圧縮部18と切断部22との一体物の周囲を、回転筒部42を軸として回転可能に設けられているので、回転フレーム134の回転時において、圧縮部18と切断部22との一体物は、その自重によって静止状態を保っている。
【0118】
回転体である回転フレーム134内に収容されている圧縮部18(圧縮ローラ52a、52bや引取ローラ54a、54b)や、切断部22(カッター120)への電力供給は、スリップリング132を介して行われる。
【0119】
本実施例の再生ペレット製造装置10Cにおいて電源を投入すると、上述同様、延伸部14においてロスフィルムFが薄く引き延ばされて薄肉延伸フィルムfが形成される。そして、この形成された薄肉延伸フィルムfが、回転筒部42を中心として回転している回転フレーム134の周囲を送られる最中にコヨリ状に捩られてコヨリ状紐材Kが形成される。
【0120】
ここで重要な点は、本実施例では、薄肉延伸フィルムfの送り方向が、回転フレーム134を通過する途中で反転している点であり、これにより、回転フレーム134が1回転する間に薄肉延伸フィルムfが2回捩られることとなる。つまり、単位時間あたりの捩り数が2倍になり、嵩密度がより高められることとなる。
【0121】
そして、このコヨリ状に捩られたコヨリ状紐材Kが、圧縮部18の圧縮ローラ52a、52bによって点圧縮されることにより紐材Sが形成され、この紐材Sが引取ローラ54a、54bによって引き取られつつ下流側の切断部22に送られる。
【0122】
切断部22では、上述実施例と同様、紐材Sがカッター120によって所定の間隔で切断され、再生ペレットPが形成される。
【符号の説明】
【0123】
10A、10B、10C…再生ペレット製造装置
12…ロスフィルム供給部
14…延伸部
16…回転部
18…圧縮部
20…回転圧縮部
22…切断部
24…装置本体
28…上流側ローラ
30…下流側ローラ
32…中間ローラ
40…圧縮力調整機構
42…回転筒部
64…圧力調整用プレート
120…カッター
124…再生ペレット回収箱
F…ロスフィルム
f…薄肉延伸フィルム
K…コヨリ状紐材
S…紐材
P…再生樹脂ペレット
Y…凹状圧痕
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に供給された1または複数の合成樹脂製ロスフィルムを引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムを下流側に配設された一対の圧縮ローラに送り出す延伸部と、
前記延伸部の下流側に配設され、外周面に凹凸が形成された一対の圧縮ローラを有し、且つ、前記延伸部に対して相対的に回転して前記延伸部から引き取った前記薄肉延伸フィルムに捩りを付与すると同時に該圧縮ローラにて前記薄肉延伸フィルムを捩って形成されたコヨリ状紐材を点圧縮して凹状圧痕付き紐材を形成する回転圧縮部と、
前記回転圧縮部の出口側に設けられ、該凹状圧痕付き紐材を少なくとも1以上の凹状圧痕を含む間隔で切断する切断部とで構成されたことを特徴とする再生ペレットの製造装置。
【請求項2】
前記延伸部は、
導入されたロスフィルムと、巻き付け状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムとが交差状態で送り出される入り口側の上流側ローラ、および
前記上流側ローラの下流側にて、前記上流側ローラから離間して配置され、且つ、前記上流側ローラより高速で回転し、延伸状態で前記上流側ローラから導入された薄肉延伸フィルムと、巻き付けられた後、下流側の前記回転圧縮部に供給される薄肉延伸フィルムとが交差状態で送り出される出口側の下流側ローラにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の再生ペレットの製造装置。
【請求項3】
前記延伸部は、
導入されたロスフィルムと、巻き付け状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムとが交差状態で送り出される入り口側の上流側ローラ、
前記上流側ローラの下流側にて前記上流側ローラから離間して配置され、且つ、前記上流側ローラより高速で回転し、延伸状態で前記上流側ローラから導入された薄肉延伸フィルムと、巻き付けられた後、下流側の前記回転圧縮部に供給される薄肉延伸フィルムとが交差状態で送り出される出口側の下流側ローラ、および
前記上流側ローラと前記下流側ローラとの間に配置され、前記上流側ローラから出、前記下流側ローラに送られる薄肉延伸フィルムを懸架し、前記上流側ローラから出た薄肉延伸フィルムと、前記下流側ローラに送られる薄肉延伸フィルムとの内角が180°より小さい角となる位置に配置された中間ローラにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の再生ペレットの製造装置。
【請求項4】
前記延伸部からの薄肉延伸フィルムの送り出し速度よりも前記圧縮ローラの引き取り速度を早くすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の再生ペレットの製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された再生ペレットの製造装置において、
前記回転圧縮部は、
装置本体に回転可能に取り付けられ、延伸された薄肉延伸フィルムが捩られつつ通過する回転筒部と、
前記装置本体に固定され、前記回転筒部を回転駆動させる圧縮部回転用モータと、
前記回転筒部の出口に設けられ、前記回転筒部と共に回転し、捩られたコヨリ状の薄肉延伸フィルムの挟持押圧用の圧縮ローラを有する圧縮部と、
前記回転筒部の外周に回転可能に装着された主伝達ギア外筒部、前記主伝達ギア外筒部に噛合し、前記装置本体に回転自在に装着された圧縮部駆動伝達ギア部、前記装置本体に回転自在に装着され、前記圧縮部駆動伝達ギア部を回転駆動させる圧縮部駆動モータ、前記主伝達ギア外筒部に噛合して前記圧縮部駆動伝達ギア部の回転を前記圧縮ローラに伝える従動伝達ギア列部とで構成されたことを特徴とする再生ペレットの製造装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載された再生ペレットの製造装置において、
前記回転圧縮部は、
装置本体に回転可能に取り付けられ、延伸された薄肉延伸フィルムが通過する回転筒部と、
前記装置本体に固定され、前記回転筒部を回転駆動させる圧縮部回転用モータと、
前記回転筒部の出口に設けられ、前記回転筒部と共に回転し、捩られたコヨリ状の薄肉延伸フィルムの挟持押圧用の圧縮ローラを有する圧縮部と、
前記回転筒部の外周にその軸方向に往復スライド可能に装着され、前記回転筒部と共に回転する往復移動中筒部、前記往復移動中筒部の外周に回転可能に装着され、その外周面にギアが刻設され、前記往復移動中筒部と共に軸方向往復移動する主伝達ギア外筒部、前記主伝達ギア外筒部に噛合し、回転圧縮部取付部に回転自在に装着された圧縮部駆動伝達ギア部、前記回転圧縮部取付部に回転自在に装着され、前記圧縮部駆動伝達ギア部を回転駆動させる圧縮部駆動モータおよび前記主伝達ギア外筒部に噛合して前記圧縮部駆動伝達ギア部の回転を前記圧縮ローラに伝える従動伝達ギア列部と、
前記装置本体に回転可能に取り付けられ、前記往復移動中筒部の外周に回転自在に設けられ、前記装置本体に設けられたガイド機構にてガイドされつつ前記往復移動中筒部と共に往復移動する外鍔に設けられた雌ネジ孔に螺入され、前記往復移動中筒部を前記回転筒部の軸方向に往復移動させる圧縮力調整ねじ部と、
前記装置本体に取り付けられ、前記圧縮力調整ねじ部を回転駆動する軸方向往復駆動モータと、
前記圧縮ローラを回転可能に軸支する前記圧縮部の保持部材に設けられ、前記一方の圧縮ローラに対して弾接方向に前記他方の圧縮ローラを支持するローラ弾性支持部と、
前記往復移動中筒部に固定され、前記往復移動中筒部の軸方向の移動に合わせて前記ローラ弾性支持部の弾発力を変化させる弾発力調整部とで構成されたことを特徴とする再生ペレットの製造装置。
【請求項7】
1または複数の合成樹脂製ロスフィルムを捩ってコヨリ状紐材を形成し、該コヨリ状紐材を点圧縮して凹状圧痕付き紐材を形成し、該凹状圧痕付き紐材を少なくとも1以上の凹状圧痕を含む間隔で切断することによって再生樹脂ペレットを形成する再生ペレットの製造方法において、
1または複数のロスフィルムに延伸力を与えて薄く引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムを捩ることによりコヨリ状紐材を形成するようにしたことを特徴とする再生ペレットの製造方法。
【請求項8】
前記薄肉延伸フィルムの捩り工程において、薄肉延伸フィルムをさらに延伸させつつ捩ることにより強捩りコヨリ状紐材を形成するようにしたことを特徴とする請求項8に記載の再生ペレットの製造方法。
【請求項1】
連続的に供給された1または複数の合成樹脂製ロスフィルムを引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムを下流側に配設された一対の圧縮ローラに送り出す延伸部と、
前記延伸部の下流側に配設され、外周面に凹凸が形成された一対の圧縮ローラを有し、且つ、前記延伸部に対して相対的に回転して前記延伸部から引き取った前記薄肉延伸フィルムに捩りを付与すると同時に該圧縮ローラにて前記薄肉延伸フィルムを捩って形成されたコヨリ状紐材を点圧縮して凹状圧痕付き紐材を形成する回転圧縮部と、
前記回転圧縮部の出口側に設けられ、該凹状圧痕付き紐材を少なくとも1以上の凹状圧痕を含む間隔で切断する切断部とで構成されたことを特徴とする再生ペレットの製造装置。
【請求項2】
前記延伸部は、
導入されたロスフィルムと、巻き付け状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムとが交差状態で送り出される入り口側の上流側ローラ、および
前記上流側ローラの下流側にて、前記上流側ローラから離間して配置され、且つ、前記上流側ローラより高速で回転し、延伸状態で前記上流側ローラから導入された薄肉延伸フィルムと、巻き付けられた後、下流側の前記回転圧縮部に供給される薄肉延伸フィルムとが交差状態で送り出される出口側の下流側ローラにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の再生ペレットの製造装置。
【請求項3】
前記延伸部は、
導入されたロスフィルムと、巻き付け状態から引き出され、この状態で加えられた張力により延伸を開始させられる薄肉延伸フィルムとが交差状態で送り出される入り口側の上流側ローラ、
前記上流側ローラの下流側にて前記上流側ローラから離間して配置され、且つ、前記上流側ローラより高速で回転し、延伸状態で前記上流側ローラから導入された薄肉延伸フィルムと、巻き付けられた後、下流側の前記回転圧縮部に供給される薄肉延伸フィルムとが交差状態で送り出される出口側の下流側ローラ、および
前記上流側ローラと前記下流側ローラとの間に配置され、前記上流側ローラから出、前記下流側ローラに送られる薄肉延伸フィルムを懸架し、前記上流側ローラから出た薄肉延伸フィルムと、前記下流側ローラに送られる薄肉延伸フィルムとの内角が180°より小さい角となる位置に配置された中間ローラにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の再生ペレットの製造装置。
【請求項4】
前記延伸部からの薄肉延伸フィルムの送り出し速度よりも前記圧縮ローラの引き取り速度を早くすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の再生ペレットの製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された再生ペレットの製造装置において、
前記回転圧縮部は、
装置本体に回転可能に取り付けられ、延伸された薄肉延伸フィルムが捩られつつ通過する回転筒部と、
前記装置本体に固定され、前記回転筒部を回転駆動させる圧縮部回転用モータと、
前記回転筒部の出口に設けられ、前記回転筒部と共に回転し、捩られたコヨリ状の薄肉延伸フィルムの挟持押圧用の圧縮ローラを有する圧縮部と、
前記回転筒部の外周に回転可能に装着された主伝達ギア外筒部、前記主伝達ギア外筒部に噛合し、前記装置本体に回転自在に装着された圧縮部駆動伝達ギア部、前記装置本体に回転自在に装着され、前記圧縮部駆動伝達ギア部を回転駆動させる圧縮部駆動モータ、前記主伝達ギア外筒部に噛合して前記圧縮部駆動伝達ギア部の回転を前記圧縮ローラに伝える従動伝達ギア列部とで構成されたことを特徴とする再生ペレットの製造装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載された再生ペレットの製造装置において、
前記回転圧縮部は、
装置本体に回転可能に取り付けられ、延伸された薄肉延伸フィルムが通過する回転筒部と、
前記装置本体に固定され、前記回転筒部を回転駆動させる圧縮部回転用モータと、
前記回転筒部の出口に設けられ、前記回転筒部と共に回転し、捩られたコヨリ状の薄肉延伸フィルムの挟持押圧用の圧縮ローラを有する圧縮部と、
前記回転筒部の外周にその軸方向に往復スライド可能に装着され、前記回転筒部と共に回転する往復移動中筒部、前記往復移動中筒部の外周に回転可能に装着され、その外周面にギアが刻設され、前記往復移動中筒部と共に軸方向往復移動する主伝達ギア外筒部、前記主伝達ギア外筒部に噛合し、回転圧縮部取付部に回転自在に装着された圧縮部駆動伝達ギア部、前記回転圧縮部取付部に回転自在に装着され、前記圧縮部駆動伝達ギア部を回転駆動させる圧縮部駆動モータおよび前記主伝達ギア外筒部に噛合して前記圧縮部駆動伝達ギア部の回転を前記圧縮ローラに伝える従動伝達ギア列部と、
前記装置本体に回転可能に取り付けられ、前記往復移動中筒部の外周に回転自在に設けられ、前記装置本体に設けられたガイド機構にてガイドされつつ前記往復移動中筒部と共に往復移動する外鍔に設けられた雌ネジ孔に螺入され、前記往復移動中筒部を前記回転筒部の軸方向に往復移動させる圧縮力調整ねじ部と、
前記装置本体に取り付けられ、前記圧縮力調整ねじ部を回転駆動する軸方向往復駆動モータと、
前記圧縮ローラを回転可能に軸支する前記圧縮部の保持部材に設けられ、前記一方の圧縮ローラに対して弾接方向に前記他方の圧縮ローラを支持するローラ弾性支持部と、
前記往復移動中筒部に固定され、前記往復移動中筒部の軸方向の移動に合わせて前記ローラ弾性支持部の弾発力を変化させる弾発力調整部とで構成されたことを特徴とする再生ペレットの製造装置。
【請求項7】
1または複数の合成樹脂製ロスフィルムを捩ってコヨリ状紐材を形成し、該コヨリ状紐材を点圧縮して凹状圧痕付き紐材を形成し、該凹状圧痕付き紐材を少なくとも1以上の凹状圧痕を含む間隔で切断することによって再生樹脂ペレットを形成する再生ペレットの製造方法において、
1または複数のロスフィルムに延伸力を与えて薄く引き伸ばし、延伸後の薄肉延伸フィルムを捩ることによりコヨリ状紐材を形成するようにしたことを特徴とする再生ペレットの製造方法。
【請求項8】
前記薄肉延伸フィルムの捩り工程において、薄肉延伸フィルムをさらに延伸させつつ捩ることにより強捩りコヨリ状紐材を形成するようにしたことを特徴とする請求項8に記載の再生ペレットの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−81605(P2012−81605A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227813(P2010−227813)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(591038451)株式会社マルヤス (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(591038451)株式会社マルヤス (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]