説明

再生装置、再生方法

【課題】多様な装置環境状態で使用できる再生装置において、装置環境状態に応じて適切な出力動作が実行されるようにする。
【解決手段】
再生装置は、音楽や映像等のコンテンツ信号を再生するに際して、再生装置の接続状態や再生装置の周囲状況としての装置環境状態を判別する(F101)。そして装置環境状態に応じて設定された出力先情報や制御情報に応じた制御を行うようにする(F103,F104)。出力先情報に基づいて、本体出力手段や外部出力手段の一方又は両方を音声又は映像の出力実行の部位として制御する。また制御情報として登録されている制御を装置内部で実行するか、或いは接続された外部装置に制御内容の指示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツ信号等の音声信号、映像信号を再生する再生装置及び再生方法に関し、特に各種の装置環境状態で使用される再生装置及びその再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−39019号公報
【特許文献2】特開2004−140686号公報
【0003】
近年、車載用途の出力ユニットであるディスプレイ装置が高性能且つ多機能になりつつあり、単なるディスプレイ装置としてだけではなく、そのディスプレイ装置内に記憶装置部、再生処理部、スピーカ等を備えるようにしたものも開発されている。
そしてその場合、単に車載用途だけではなく、当該装置を携帯して単体で映像や音声のコンテンツの再生装置として使用したり、家庭用のAV(Audio Visual)システムに接続して使用できるようにすることも提案されている。
つまり、単なる車載用のディスプレイ装置としての性能を越え、車内、車外、家庭などの多様な装置環境状態で使用できる再生装置として機能するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような再生装置を考えた場合、携帯性を考慮すると、音声を出力するスピーカや映像を出力するディスプレイパネル部分は、小型のものとならざるを得ない。
音楽コンテンツや映像コンテンツを再生させる場合、携帯時には、小型ではあってもそのスピーカやディスプレイで再生出力させることは当然であるが、例えば家庭で使用する場合や自動車内で使用する場合などには、ユーザーにとって満足できる再生出力が得られないと感じられることがある。
例えば上記再生装置を家庭で使用すると、ユーザーは、家庭にあるAVシステム等の高性能のスピーカやモニタディスプレイの出力と比較してしまい、また自動車に持ち込んだ場合は、カーオーディオシステムのスピーカと比較してしまうため、上記再生装置で再生される映像や音声が物足りなく感じることとなる。
【0005】
また近年、自動車内においては運転手席に向けたナビゲーション用モニタとは別に、リアモニタ・リアスピーカなどを使って運転手以外の同乗者がテレビジョン放送映像や再生映像を見るための表示装置を備える車も普及してきている。
例えばこのようなカーAVシステムを備えた自動車に上記再生装置を持ち込んだ場合、その適切な使用性が求められる。例えば走行中の安全性とシステムの有効利用が求められる。
【0006】
即ち、車内、車外、家庭などの多様な装置環境状態で使用できる再生装置を考えた場合、各種の装置環境状態で適切かつ有効な使用が行われ、再生出力に対するユーザーの満足度を得、かつ車両走行中の安全性など個別の環境事情に対応できることが求められる。
そこで本発明は、多様な装置環境状態で使用できる再生装置において、その装置環境状態に応じて適切な動作が実行される機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の再生装置は、音声信号及び/又は映像信号を再生する再生手段と、上記再生手段で再生された映像信号又は音声信号の出力先となる、装置本体に設けられた本体出力手段と、上記再生手段で再生された映像信号又は音声信号の出力先となる、映像信号又は音声信号を接続された外部装置に出力する外部出力手段と、装置環境状態に対応して出力先情報と制御情報が登録された設定テーブルが記憶された記憶手段と、装置環境状態を判別するとともに上記設定テーブルを参照し、判別した装置環境状態に応じた出力先情報と制御情報を得、上記出力先情報に基づいて上記再生手段で再生された映像信号又は音声信号の出力先を設定し、また上記制御情報に基づく制御を行う制御手段とを備える。
【0008】
上記制御手段は、上記装置環境状態として、車載用機器に接続された状態、家庭用機器に接続された状態、及び非接続の状態を判別する。また上記制御手段は、上記車載用機器に接続された状態であると判別したときは、上記装置環境状態として、さらに、車両が走行中であるか停車中であるかを判別する。
また上記設定テーブルには、装置環境状態として、車載用機器に接続されて車両走行中の状態、車載用機器に接続されて車両停車中の状態、家庭用機器に接続された状態、及び非接続の状態のそれぞれに対して、出力先情報と制御情報が登録されている。
また上記設定テーブルに登録された出力先情報と制御情報の設定内容を変更する設定変更手段を、さらに備える。
また上記制御手段は、上記装置環境状態として外部装置に接続されていると判別したときは、上記制御情報に基づく制御として、上記制御情報に基づく信号を上記外部装置に出力する。
【0009】
本発明の再生方法は、装置環境状態を判別する判別ステップと、装置環境状態に対応して出力先情報と制御情報が登録された設定テーブルを参照し、上記判別ステップで判別した装置環境状態に対応する出力先情報と制御情報を得る制御内容取得ステップと、上記制御内容取得ステップで取得した上記出力先情報に基づいて、再生された音声信号及び/又は映像信号の出力先を設定し、また上記制御情報の内容に応じた制御を行う制御ステップとを備える。
【0010】
即ち本発明は、音楽や映像のコンテンツ信号等を再生するに際して、装置環境状態を判別する。装置環境状態とは、再生装置の接続状態や再生装置の周囲状況のことである。例えば再生装置が、外部装置と接続された状態か或いは単体であるかの状態や、接続された外部装置が車載用機器であるか家庭用機器であるかの状態や、或いは車載用機器に接続された場合の自動車の状況(例えば走行中か停車中か)などである。
これらの各種の装置環境状態によっては、再生装置の動作として、それぞれに好適な動作状態が異なる。そのため制御手段は、装置環境状態に応じて出力先情報や制御情報に応じた制御を行うようにする。出力先情報とは、本体出力手段や外部出力手段の一方又は両方を音声又は映像の出力実行の部位として指定する情報である。また制御情報は、コンテンツ信号の再生に際して制御する制御内容を示す情報である。制御手段は、制御情報として登録されている制御を装置内部で実行するか、或いは接続された外部装置に制御内容の指示を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、再生装置の使用に際して、その装置環境状態と設定テーブルに応じて出力先が設定され、また装置環境状態に応じた制御内容が実行される。これによって装置環境状態に応じて適切な動作が実行される。例えば単体で使用される場合は、本体出力手段を用いて再生されたコンテンツ信号等が出力され、外部装置に接続された状態では、コンテンツ信号等を外部装置側に供給して外部のディスプレイやスピーカを用いてコンテンツ信号等が再生出力されるようにできる。また、例えば車両内の装置に接続して使用する際には、本体出力手段の映像出力を実行しないようにするなどして、運転安全性の維持に好適な状態とすることもできる。
また制御情報に基づく制御により、装置環境状態に適した音声や映像を出力することができる。
つまりユーザは、使用場所が変わる度に出力先や制御内容の設定を変更する必要がなくなり、利便性が向上するとともに、家庭や車内でのシステムを利用した高品質で快適な再生出力や安全な動作状態を得ることができる。
また設定テーブルの登録内容を変更することにより、ユーザーの使用するシステム、設備に応じた設定が可能となり、個人毎に最適な動作状態を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、装置単体、家庭、自動車内のそれぞれで使用できる再生装置として説明する。説明は次の順序で行う。
[1.再生装置構成]
[2.車載AVシステムとの接続例]
[3.ホームAVシステムとの接続例]
[4.設定テーブル]
[5.出力制御処理]
[6.実施の形態の効果及び変形例]
【0013】
[1.再生装置構成]

図1(a)に実施の形態の再生装置1の外観例を示す。
再生装置1は携帯可能な程度のサイズとされ、例えば本体上に図示するように表示部2、スピーカ部3が設けられる。表示部2は液晶パネル等による小型のディスプレイパネルとされる。またスピーカ部3は、本体に搭載可能な小口径スピーカによるものとなる。なお、図ではスピーカ部3を1つしか示していないが、左右に配置されるステレオスピーカとしてもよい。また、スピーカ部3に加えて、或いはスピーカ部3に代えて、ヘッドホン出力端子を設けるようにしてもよい。この表示部2やスピーカ部3が、再生装置1における本体出力手段となる。
【0014】
また再生装置1の筐体上には、ユーザーの操作入力のため赤外線受光部4や操作キー5が設けられている。ユーザーが図示しないリモートコマンダーを用いて操作を行うと、そのリモートコマンダーから出力された赤外線操作信号が受光部4に受光される。またユーザーは本体上の操作キー5を用いて操作を行うこともできる。
なお、リモートコマンダー及び受光部4と、本体上の操作キー5の一方が設けられるのみでもよい。またリモートコマンダーを電波出力方式のものとして、電波受信部を備えるようにしても良い。
またここでは筐体上のキーとして操作キー5を示しているが、ジョグダイヤルやスティックなどの操作子を設けても良い。
また、表示部2における表示画面上のタッチパネルとしての操作部を設ける場合もある。さらには表示部2に表示されたメニュー画面やアイコン表示に対して所定のポインティングデバイスやリモートコマンダー、或いは操作キー5によってカーソル移動やクリックを行う形態の操作も可能である。
また、操作入力のために、マイクロホンを備え、音声を入力できるようにしてもよいし、カメラ部を備え、画像入力ができるようにしても良い。そして、これらの場合、再生装置1内には、音声認識装置、画像認識装置を備え、入力された音声や画像を、操作情報として後述する演算処理部10に供給できるようにしても良い。
【0015】
この再生装置1の筐体下部にはコネクタ部(図2のコネクタ部24)が設けられており、この筐体下部のコネクタ部を図1(b)のように車載AVシステムのクレードル(以下、車載クレードル)50のコネクタ部51に接続させることで、再生装置1を、車載クレードル50及びケーブル52を介して車載AVシステムに接続することができる。
さらに筐体下部のコネクタ部を図1(c)のように家庭のAVシステムのクレードル(以下、ホームクレードル)60のコネクタ部61に接続させることで、再生装置1を、ホームクレードル60及びケーブル62を介してホームAVシステムに接続することができる。
【0016】
図2に再生装置1の内部構成を示す。この再生装置1は、音楽や映像等のコンテンツ信号を再生する装置として機能するだけでなく、ナビゲーション装置としての機能も有するものとしている。
【0017】
図2における記憶装置部6は、記録メディア6aに対してデータ読出(又は読出と書込)を行う部位であり、記録メディア6aに記録された音楽や映像のコンテンツデータ、地図データやPOI(Point of Interest)情報などのナビゲーション用データ等を再生する。
記憶装置部6は、例えばCD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)やDVD−ROM(Digital Versatile Disc - Read Only Memory)、ブルーレイディスク(Blu-Ray Disc)の様な光ディスクを記録媒体としたディスクドライブ装置や、ハードディスクドライブの様な磁気記録媒体に対する記録再生装置とされる。また固体メモリを内蔵したメモリカードを記録媒体とするカードリーダ/ライタとされてもよいし、固体メモリによる記憶装置部とされてもよい。
また後述する設定テーブルが記録メディア6aに記録される。
【0018】
位置検出部7は、当該再生装置1の位置を検出する装置部であり、例えばGPS(Global Positioning System)を利用したGPS測位装置である。既に公知の通り、GPS測位装置は、複数のGPS衛星から送られてくる電波を受信することで、静止衛星からの位置を計算し、自車の地図上の位置として緯度、経度を求める。
位置検出部4は測位した自車位置としての緯度、経度の情報を演算処理部10に供給する。
【0019】
通信部8は、外部機器との間での各種通信を行う部位である。例えば携帯電話通信やネットワーク通信などの通信回路としてもよいし、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワークインターフェース等としてもよい。また例えば、USB(Universal Serial Bus)等の有線通信手段 や ブルートゥース(Bluetooth)等の無線通信装置、メモリカード等のメモリメディア等を用いたオフライン通信装置等としてもよい。
【0020】
図1にも示した操作キー5或いは受光部4からの操作信号は、演算処理部10に供給される。
また表示部2は表示ドライブ21によって表示駆動される。表示ドライブ21は演算処理部10の制御や供給されるデータに基づいて表示部2に各種の映像表示を実行させる。例えば記憶装置部6で再生された映像コンテンツの再生映像や、オーディオコンテンツ再生時のイコライザや動作状態等を示す画像を表示させたり、或いは、ナビゲーション用の地図画像やメニュー画像、経路情報、その他各種のアイコン、操作メニュー、メッセージ、設定画面などの表示が行われる。
【0021】
オーディオ処理部22は、演算処理部10の制御に基づいてオーディオデータの処理を行い、スピーカ部3から音声として出力させる。例えば記憶装置部6で再生されたコンテンツデータのオーディオ信号のデコード、デジタルオーディオ処理、D/A変換、アナログ処理、増幅等を行ってコンテンツ再生としての音声出力を実行させる。
また、例えばナビゲーション動作時などに演算処理部10から指示されるメッセージ情報に応じて音声合成処理を行い、ガイド音声やメッセージ音声をスピーカ部3から出力させる。
【0022】
コネクタ部24は、図1(b)(c)に示した車載クレードル50のコネクタ部51,或いはホームクレードル60のコネクタ部61と接続されるコネクタである。
クレードルインターフェース23は、車載クレードル50、ホームクレードル60を介した外部装置との各種データ等の送受信を行う。
【0023】
電源部9は、各部に動作電源電圧VDDを供給する。電源部9は一次電池又は二次電池としてのバッテリー9aを備え、図1(a)のように再生装置1が単体で使用される場合は、バッテリー9aから動作電源電圧VDDを得る。
またコネクタ部24が車載クレードル50又はホームクレードル60に接続された状態では、クレードル(50又は60)から供給される電圧から必要な電源電圧VDDを得る。
電源部9から各部への電源電圧VDDの供給のオン/オフ、つまり再生装置1の電源オン/オフは演算処理部10の制御によって行われる。
【0024】
演算処理部10は再生装置1の主たる演算や制御を行う装置部であり、例えばCPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、不揮発性メモリ14、インターフェース部15を備えて構成される。
ROM12には動作プログラムや各種処理に用いる定数、固定情報が記憶される。なお、動作プログラムは、記憶装置部6における記録メディア6aに格納され、動作時に演算処理部10内にロードされるようにしてもよい。
RAM13は、ワーク領域やプログラムのロード領域に用いられたり、一時的な情報の蓄積に用いられる。
不揮発性メモリ14は書換え可能かつシステムの電源供給が途絶えた時にも記憶したデータを保持できるメモリであり、例えば電池によりバックアップされたSRAM(Static Random Access Memory)やフラッシュメモリ等である。この不揮発性メモリ14には、各種処理に用いる係数やユーザがナビゲーション用に登録した情報や指定した経路情報、過去の走行履歴情報などが記憶される。さらに後述する設定テーブルの記憶が、記録メディア6aではなく、この不揮発性メモリ14を用いて行われても良い。
【0025】
CPU11は、ROM12に記憶されたプログラムに基づいて、コンテンツ再生動作及びナビゲーション動作として必要な情報処理や制御処理を行う。これらの情報処理や制御処理のために、RAM13をワーク領域として用いたり、ROM12や不揮発性メモリ14に記憶された情報を参照する。
インターフェース15は、演算処理部1と他の各部、即ち操作キー5,受光部4、表示ドライブ21,オーディオ処理部22、位置検出部7、記憶装置部6、クレードルインターフェース23、通信部8,電源部9との間での入出力を行う。
即ちインターフェース部15は、操作キー5或いは受光部4からの操作情報や各種入力情報、位置検出部7からの位置情報、クレードルインターフェース23を介した外部装置からの入力情報等をCPU11に伝達する。またインターフェース部15は、CPU11が出力する制御情報や画像データ、音声データを表示ドライブ21,オーディオ処理部22に供給し、コンテンツ再生やナビゲーション動作にかかる映像や音声の出力を実行させる。またCPU11が出力する制御情報や画像データ、音声データについては、クレードルインターフェース23に供給して、クレードル(50又は60)を介して接続された外部装置に送信させる。
またインターフェース部15はCPU11からのアクセス要求を記憶装置部6に伝え、記憶装置部6に所要のデータ再生、さらに場合によってはデータ記録を実行させる。またインターフェース部15は、記憶装置部6から読み出されたコンテンツデータや地図データ等を演算処理部1内に取り込む。
また通信部8を用いて各種通信を行う場合、インターフェース部15は、通信制御情報や通信データについて演算処理部10と通信部8の間のやりとりを行う。
【0026】
コネクタ24が接続されたクレードル(50又は60)及びクレードルインターフェース23を介しては、再生装置1と外部機器の間で各種の信号伝送が行われるが、その信号伝送内容の例は以下のようになる。
【0027】
・電源ライン:例えば外部機器との間に電源電圧の供給ラインが形成され、外部機器又はクレードルから動作電源電圧を得ることができる。この動作電源電圧は電源部9に供給される。この場合、電源部9は外部から供給された電源電圧を用いて動作電源電圧VDDを発生させる。またバッテリー9aが二次電池の場合、外部から供給された電源電圧を用いてバッテリー9aの充電を行うようにしてもよい。
【0028】
・位置検出信号:外部の位置検出装置(例えば図4の位置検出装置82)からのGPS方式による緯度・経度等の位置検出信号である。本例の場合、再生装置1内に位置検出部7を備ているため、装置内で自己位置を判別できる。但し、自動車に持ち込まれて車載クレードル50に接続された場合、自動車側に搭載されている位置検出装置(GPSユニット)82からの位置検出信号をクレードルインターフェース23で受け取り、演算処理部10に供給されることで現在位置を判別することができる。
・センサ信号:外部のセンサ装置(例えば図4のセンサ装置83)からの検出信号である。例えば自動車に設けられた速度センサ、ギアポジションセンサ等からの検出信号であり、これら車両の検出情報がクレードルインターフェース23を介して演算処理部10に供給される。
【0029】
・オーディオ信号:記憶装置部6で再生された音楽コンテンツ、映像コンテンツの再生オーディオ信号である。演算処理部10は、クレードルインターフェース23に再生オーディオ信号を供給し、接続されたクレードル(50又は60)を介して外部装置に再生オーディオ信号を供給できる。なお、ナビゲーション機能で生成されたガイド音声等の音声信号の場合もある。
・ビデオ信号:記憶装置部6で再生された映像コンテンツの再生映像信号である。演算処理部10は、クレードルインターフェース23に再生映像信号を供給し、接続されたクレードル(50又は60)を介して外部装置に再生映像信号を供給できる。なお、ナビゲーション機能で生成された地図画像等の映像信号の場合もある。
【0030】
・操作入力信号:外部装置からの操作入力信号である。外部装置は、ユーザーが外部装置に対して行った操作入力に応じて、操作入力信号を再生装置1に転送する。この操作入力信号はクレードルインターフェース23を介して演算処理部10に供給される。
・制御信号:演算処理部10が外部装置に対して出力する制御信号である。演算処理部10はコンテンツの再生オーディオ信号、再生映像信号を外部機器に供給する際、その再生出力に関する制御信号も供給する。
【0031】
・クレードル判別信号:再生装置1が接続されたクレードル或いは非接続を判別するための信号であり、例えば車載クレードル50、ホームクレードル60の特定の端子が、それぞれ異なる端子レベル(H又はL)状態とされることで、再生装置1側で接続されたクレードルが車載クレードル50かホームクレードル60か、或いは非接続かを判別できるようにしている。
【0032】
なお、この図2に記載したクレードルインターフェース23を介して伝送される信号の種類は一例であり、また車載クレードル50、ホームクレードル60によっても異なる場合もある。本例の場合、クレードル50,60,及びコネクタ部24,51,61に、これらの信号伝送に必要な数の端子が設けられていればよい。
【0033】
図3(a)に、本実施の形態の再生装置1の動作のためにCPU11が有する機能、即ちROM12等に記憶されたプログラムに基づいた演算処理により実現される機能を示す。
CPU11の機能として、再生制御機能31、ナビゲーション演算制御機能32、入出力制御機能33、出力設定機能34が設けられる。これらの機能は、それぞれが個別のプログラムモジュールで実現されても良いし、1つのプログラム内に複数の機能を実行するためのプログラムが混在しても良い。
【0034】
再生制御機能31は、映像コンテンツ、音楽コンテンツ等のコンテンツ再生を制御する機能である。即ちユーザーの操作に応じて、記憶装置部6を制御し、記録メディア6aに記録されたコンテンツデータの再生を実行させる制御処理を行う。
記憶装置部6で再生されて演算処理部10に取り込まれたコンテンツデータについては所要の処理を行い、映像データについては表示ドライブ21に、オーディオデータについてはオーディオ処理部22に供給する。また、映像データ、オーディオデータを、クレードルインターフェース23に供給し、クレードル(50又は60)を介して外部装置に供給することもできる。
映像データ、オーディオデータの供給先については、入出力制御機能33の制御に基づくものとなる。
【0035】
ナビゲーション演算制御機能32は、ナビゲーション動作のために必要とされる処理を行う機能である。例えば、ユーザーの目的地や中継地点の登録処理、経路探索処理、記憶装置部6からの地図データやPOI(Point Of Interest)データ等の読込処理、地図画像等のナビゲーション画像の描画処理、位置検出部7や、車両に配備された位置検出部やセンサ部(後述する図4の位置検出装置82やセンサ装置83)からの情報に基づく自己位置或いは自車位置の判別処理、自車の進行に伴った案内表示処理、ガイド音声等の出力制御処理等を行う。
再生装置1が車載クレードル50に接続されて自動車内で使用される場合、自動車側に備え付けられた位置検出装置82やセンサ装置83、或いは位置検出部7からの信号を得て、自車位置判別を行うことができる。また再生装置1は位置検出部7を備えているため、単体で使用する場合も自己位置を判別することができ、携帯用ナビゲーション装置としても機能する。
【0036】
入出力制御機能33は、当該再生装置1の装置環境状態を判別し、その判別結果と設定テーブルを照らし合わせて出力先や制御内容を決定し、制御する。設定テーブルは例えば記憶装置部6における記録メディア6aに記録されている。
本例では、再生装置1の接続状態と車両の状態を判別し、次の4つの装置環境状態を判別する。
・再生装置1が非接続の状態、つまり単体で使用されている状態。
・再生装置1がホームクレードル60に接続されている状態。
・再生装置1が車載クレードル50に接続され車両が停車中である状態。
・再生装置1が車載クレードル50に接続され車両が走行中である状態。
これらの各装置環境状態に対応して、出力先情報と制御情報が設定テーブルに登録されている。
例えば図3(b)に記憶装置部6における記録メディア6aに記録されたデータを模式的に示しているが、記録メディア6aには、音楽や映像のコンテンツデータ群、ナビゲーション動作に用いる地図データやPOIデータ等のナビゲーションデータ群が記録されていると共に、設定テーブルが記録されている。この設定テーブルの内容の具体例については図8で後述するが、入出力制御機能33は判別した装置環境状態に対応する出力先情報と制御情報を設定テーブルから読み出し、それに応じて制御を行う。即ち出力先情報に応じて、コンテンツデータの供給先を再生制御機能31に指示し、また制御情報に応じて再生装置1の内部の制御や、或いは外部装置への制御情報の送信を行う。
また、クレードル(50又は60)に接続された状態においては、外部装置からの操作入力を受け付ける処理も行う。例えばユーザーが外部装置に対して実行した操作入力をクレードルインターフェース23を介して受け取った場合、その操作入力に応じて再生制御機能を支持し、コンテンツ再生に関してユーザー操作に応じた動作が行われるようにする。
【0037】
出力設定機能34は、設定テーブルに関する編集処理を行う機能である。
設定テーブルの情報は、デフォルトとして適切と想定される出力先情報や制御情報が登録されていればよいが、ユーザーの個人の所有するシステムや設備、或いは使用環境、好み等に応じて最適な設定状態が異なることがある。そこで出力設定機能34により、設定テーブルの登録内容をユーザーが編集し、任意に変更できるようにしている。出力設定機能34は、設定テーブルの編集のための操作画面表示制御や入力検出、さらにはユーザーの操作に応じた設定テーブルの更新等の処理を行う。
なお、図3(b)では設定テーブルが記録メディア6aに記録されるとしたが、これは記録メディア6aが可搬性のないハードディスクや固体メモリの場合に適切となる。このような場合、出力設定機能34は、記憶装置部6を制御して記録メディア6aでの設定テーブルの書換を実行させる。
一方、ハードディスクや固体メモリとしての記録メディア6aを使用する場合であっても、設定テーブルは不揮発性メモリ14に保持されるようにしても良い。また記憶装置部6がCD−ROM、DVD−ROM等の可搬性メディアの再生装置とされる場合、記録メディア6aに設定テーブルを登録することは適切でないため、その場合は不揮発性メモリ14に保持することが必要となる。このような場合は、出力設定機能34は不揮発性メモリ14に保持された設定テーブルについての更新処理を行うことになる。
【0038】
なお、図1、図2、図3で説明した実施の形態の再生装置1の構成例においては、コンテンツデータを再生する記憶装置部6が本発明請求項でいう再生手段に相当する。また、ナビゲーション用の映像や音声を発生させるナビゲーション演算制御機能32を有するCPU11も再生手段に相当する。
また表示部2、表示ドライブ21、スピーカ3、オーディオ処理部22が、本発明請求項でいう本体出力手段に相当する。
またクレードルインターフェース23及びコネクタ部24が本発明請求項でいう外部出力手段に相当する。
また記録メディア6a又は不揮発性メモリ14が、本発明請求項でいう記憶手段に相当する。
また入出力制御機能33を有するCPU11が本発明請求項の制御手段に相当する。
また出力設定機能34を有するCPU11が本発明請求項の設定変更手段に相当する。
【0039】
[2.車載AVシステムとの接続例]

本例の再生装置1を車載クレードル50を介して車載AVシステムに接続した場合の接続例を図4,図5で説明する。
図4は、自動車内での配置例を示している。例えば再生装置1は、車内に持ち込んだ場合、運転席側で使用されるものとしている。このため運転席付近には車載クレードル50が取り付けられており、ユーザーは持ち込んだ再生装置1を図のように車載クレードル50に装着する。
この例の場合、車載クレードル50はケーブル52により、カーAVアンプ70に接続されている。これにより、再生装置1は車載クレードル50を介してカーAVアンプ70にとの間で上述した各種の信号伝送が行われるものとなる。
【0040】
自動車内には、後部座席側にディスプレイ85が配置される。このディスプレイ85はカーAVアンプ70と接続されカーAVアンプ70から供給される映像信号により映像表示を行う。
また自動車内には、2つのフロントスピーカ84F、84F、2つのリアスピーカ84R、84Rが配設されており、各スピーカ84F、84F、84R、84Rは、それぞれカーAVアンプ70から供給される音声信号により音声出力を行う。
【0041】
また自動車内には例えばGPSユニットとしての位置検出装置82が配備され、この位置検出装置82による位置検出情報はカーAVアンプ70に供給される。カーAVアンプ70は車載クレードル50を介して位置検出情報を再生装置1に供給できる。
【0042】
また自動車内にはセンサ装置83が設けられる。センサ装置83は、車の走行状況や挙動等を検出する装置である。センサ装置83の検出信号はカーAVアンプ70に供給される。カーAVアンプ70は車載クレードル50を介して検出信号を再生装置1に供給できる。
なお、図ではセンサ装置83として1つしか示していないが、各種自動車の挙動を検出する装置部として複数設けられても良い。
センサ装置83の例としては、例えば、ギアポジションのセンサ、車輪の回転数を検知する車速センサ、車体の回転角速度を検知する振動ジャイロセンサ、車の加速度を検知する加速度センサ、車の振動を検知する振動センサ、パーキングブレーキスイッチやブレーキランプスイッチ、ステアリング舵角センサ、スロットル開度センサなどが想定される。
再生装置1の演算処理部10では、これら各種のセンサ装置83による検出信号を用いて、自動車の挙動状態を判別することができる。また演算処理部10は、センサ装置83による検出信号と、位置検出装置82(又は位置検出部7)からの位置情報とを併せて用いることで、より精度の高い自車位置検出を実行することができる。
なお、図4には示していないが、カーバッテリーによる直流電源電圧が各部に供給される。
【0043】
この図4の例の車載AVシステムに再生装置1が接続された場合の信号伝送にかかる接続状態を図5に示す。なお、図5におけるカーAVアンプ70の構成としては、再生装置1との間での信号伝送に関連する部位のみを示している。
【0044】
カーバッテリー81による直流電源電圧V1は、例えばカーAVアンプ70、位置検出装置82,センサ装置83に供給される。また、この直流電源電圧V1は、カーAVアンプ70から車載クレードル50を介して再生装置1に供給される。また直流電源電圧V1は、カーAVアンプ70からディスプレイ85にも供給される。
【0045】
車載クレードル50のコネクタ部51においては特定の2つの端子が接続判別用端子53とされている。この接続判別用端子53は、例えばその端子電圧が一方がHレベル、他方がLレベルとされる。端子電圧は直流電源電圧V1を利用して生成すればよい。
再生装置1側では、接続判別用端子53の2つの端子がH、Lであることを検出することで、車載クレードル50に接続されたと判別できるものとなる。
【0046】
位置検出装置82からの位置検出情報S1、即ち緯度・経度の情報等は例えばカーAVアンプ70、車載クレードル50を介して再生装置1に供給される。
センサ装置83による各種車両情報の検出信号S2は、例えばカーAVアンプ70、車載クレードル50を介して再生装置1に供給される。
【0047】
カーAVアンプ70には、制御部71、操作入力部72、映像処理/インターフェース部74、オーディオ処理部73が設けられている。
制御部71はカーAVアンプ70内の動作を制御する。
操作入力部72は、例えばカーAVアンプ70の筐体に設けられた操作キー等である。
映像処理/インターフェース部74は、映像信号に対して各種必要な映像処理を行うと共に、ディスプレイ85に対して映像信号SVを供給し、映像出力を実行させる。
オーディオ処理部73は、オーディオ信号に対してイコライジング、音量調整、出力増幅などの処理を行って各スピーカ84F、84F、84R、84Rに供給し、音声出力を実行させる。
【0048】
再生装置1は、車載クレードル50を介してカーAVアンプ70の制御部71に制御信号C1を送信できる。制御部71は、再生装置1から送信されてきた制御情報に基づいて、オーディオ処理部73や映像処理/インターフェース部74の処理動作を制御する。
また再生装置1は、車載クレードル50を介してカーAVアンプ70のオーディオ処理部73に再生コンテンツのオーディオ信号SAを伝送できる。オーディオ処理部73が、供給されたオーディオ信号SAに対してイコライジング、音量調整、出力増幅などの処理を行って各スピーカ84F、84F、84R、84Rに供給することで、再生装置1で再生されたコンテンツの再生オーディオ信号を、車両内のスピーカ84F、84F、84R、84Rを用いて出力できることになる。
また再生装置1は、車載クレードル50を介してカーAVアンプ70の映像処理/インターフェース部74に再生コンテンツの映像信号SVを伝送できる。映像処理/インターフェース部74が、供給された映像信号SVに対して所要の映像処理を行い、ディスプレイ85に供給することで、再生装置1で再生されたコンテンツの再生映像信号を、車両内のディスプレイ85を用いて出力できる。
なお、再生装置1から出力される映像信号SV、音声信号SAは、記憶装置部6で再生された再生コンテンツの映像信号、音声信号だけでなく、演算処理部10のナビゲーション機能により生成されたナビゲーション画像やガイド音声等も含まれる。
【0049】
ディスプレイ85には、赤外線操作信号の受光部85aが設けられており、リモートコマンダーRCによる操作信号を受信することができる。例えば車内の後部座席に座った人は、リモートコマンダーRCをディスプレイ85に向けて操作することで、所望の操作が可能とされている。
ディスプレイ85で受信された操作信号S31はカーAVアンプ70の制御部71に供給される。また操作入力部72による操作信号S32も制御部71に供給される。
制御部71は、操作信号S31,S32の受信に応じて必要な制御を行うことができるが、再生装置1が接続されている場合、それらの操作情報S31,S32を操作信号S3として再生装置1に転送する。再生装置1の演算処理部10では、操作信号S3に応じて装置動作を制御する。
例えば再生装置1による再生コンテンツがディスプレイ85で表示出力されている場合に、ユーザーはリモートコマンダーRCを用いてディスプレイ85に対して再生に関する操作、例えば停止、一時停止、早送り、早戻し、頭出しなどの操作を行うことができる。その操作信号S31は、制御部71から操作信号S3として再生装置1の演算処理部10に伝えられる。演算処理部10はその操作内容に応じて記憶装置部6での再生動作状態や再生オーディオ信号SA、再生映像信号SVの出力状態を制御する。これにより、ディスプレイ85を見ているユーザーは、再生を行っている再生装置1を意識することなく、必要な操作を行うことができる。
【0050】
再生装置1とカーAVシステムの間は、以上のような信号伝送が行われることで、再生装置1の再生機能、或いはナビゲーション機能による映像や音声の出力を、カーAVシステムを利用して実行できる。
【0051】
[3.ホームAVシステムとの接続例]

次に、本例の再生装置1をホームクレードル60を介してホームAVシステムに接続した場合の接続例を図6,図7で説明する。
図6は、ホームAVシステムの配置例を示している。再生装置1を接続するためにホームAVシステムにはホームクレードル60が設けられており、ユーザーは家庭等において、再生装置1を図のようにホームクレードル60に装着する。
この例の場合、ホームクレードル60はケーブル62により、ホームAVアンプ90に接続されている。これにより、再生装置1はホームクレードル60を介してホームAVアンプ90にとの間で上述した各種の信号伝送が行われるものとなる。
【0052】
ホームAVシステムにおける映像出力部としては、例えば比較的大型のディスプレイ100が配置される。このディスプレイ100はホームAVアンプ90と接続されホームAVアンプ90から供給される映像信号により映像表示を行う。
またL/Rの2つのスピーカ101L、101Rが接続され、各スピーカ101L、101Rは、それぞれホームAVアンプ90から供給される音声信号により音声出力を行う。
【0053】
この図6の例のホームAVシステムに再生装置1が接続された場合の信号伝送にかかる接続状態を図7に示す。なお、図7におけるホームAVアンプ90の構成としては、再生装置1との間での信号伝送に関連する部位のみを示している。
【0054】
この例ではホームクレードル60、ホームAVアンプ90、ディスプレイ100はそれぞれ家庭用交流電源から動作電源を得るものとしている。
ホームクレードル60は、電源コンセントプラグ65により家庭用交流電源に接続される。そしてAC/DCコンバータ64により、交流電源電圧から再生装置1に必要な直流電源電圧V2を得、この電源電圧V2を再生装置1に供給できるようにしている。
ホームAVアンプ90も電源コンセントプラグ96により家庭用交流電源に接続される。そして電源部95内のAC/DCコンバータで、交流電源電圧からホームAVアンプ90内で必要な直流電源電圧V3を得るようにしている。
ディスプレイ100も電源コンセントプラグ96により家庭用交流電源に接続され、図示していないが内部の電源部で必要な動作電源電圧を生成する。
【0055】
ホームクレードル60のコネクタ部61においては特定の2つの端子が接続判別用端子63とされている。この接続判別用端子63は、例えばその端子電圧が一方がLレベル、他方がHレベルとされる。端子電圧は直流電源電圧V2を利用して生成すればよい。
接続判別用端子63は、上記した車載クレードル50の接続判別用端子53と同一位置の端子である。つまり、車載クレードル50の2つの接続判別用端子53がH、Lとされていることに対して、ホームクレードル60の2つの接続判別用端子63がL、Hとされていることで、再生装置1は、接続されたクレードルの種別を判別できる。
この図7の場合、再生装置1側では、接続判別用端子63の2つの端子がL、Hであることを検出することで、ホームクレードル60に接続されたと判別できるものとなる。
【0056】
なお、接続判別用端子53、63として2つの端子を用いれば、その各端子レベルH/Lにより4種類の接続状態判別が可能となる。つまり2つの端子レベルについて、クレードルの種別に応じてを「L、L」「H、L」「L、H」「H、H」を決めておくことで、最大4種類のクレードル判別ができる。
例えば車両内のシステムとしてリアシート用のクレードルを設けるような場合、フロント側のクレードルと区別した接続判別も可能となる。
もちろんさらに多様なクレードルを想定した場合、3つ以上の端子を接続判別用端子として用いても良い。
なお本例では、車載クレードル50接続状態、ホームクレードル60接続状態、非接続状態を検出するが、この場合、2種類のクレードルを判別すればよいため、1つの接続判別用端子でも判別可能である。例えば当該端子がHレベルで車載クレードル50、Lレベルでホームクレードル60、ハイインピーダンス状態で非接続とすればよい。
【0057】
ホームAVアンプ90には、制御部91、操作入力部92、映像処理/インターフェース部94、オーディオ処理部93が設けられている。
制御部91はホームAVアンプ90内の動作を制御する。
操作入力部92は、例えばホームAVアンプ90の筐体に設けられた操作キー等である。
映像処理/インターフェース部94は、映像信号に対して各種必要な映像処理を行うと共に、ディスプレイ100に対して映像信号SVを供給し、映像出力を実行させる。
オーディオ処理部93は、オーディオ信号に対してイコライジング、音量調整、出力増幅などの処理を行って各スピーカ101L、101Rに供給し、音声出力を実行させる。
【0058】
再生装置1は、ホームクレードル60を介してホームAVアンプ90の制御部91に制御信号C1を送信できる。制御部91は、再生装置1から送信されてきた制御情報に基づいて、オーディオ処理部93や映像処理/インターフェース部94の処理動作を制御する。
また再生装置1は、ホームクレードル60を介してホームAVアンプ90のオーディオ処理部93に再生コンテンツのオーディオ信号SAを伝送できる。オーディオ処理部93が、供給されたオーディオ信号SAに対してイコライジング、音量調整、出力増幅などの処理を行って各スピーカ101L、101Rに供給することで、再生装置1で再生されたコンテンツの再生オーディオ信号を、家庭等に設置されたスピーカ101L、101Rを用いて出力できることになる。
また再生装置1は、ホームクレードル60を介してホームAVアンプ90の映像処理/インターフェース部94に再生コンテンツの映像信号SVを伝送できる。映像処理/インターフェース部94が、供給された映像信号SVに対して所要の映像処理を行い、ディスプレイ100に供給することで、再生装置1で再生されたコンテンツの再生映像信号を、家庭等に設置された例えば大型のディスプレイ100を用いて出力できる。
【0059】
ディスプレイ100には、赤外線操作信号の受光部100aが設けられており、リモートコマンダーRCによる操作信号を受信することができる。例えばホームAVシステムの使用時に、ユーザーはリモートコマンダーRCをディスプレイ100に向けて操作することで、所望の操作が可能とされている。
ディスプレイ100で受信された操作信号S33はホームAVアンプ90の制御部91に供給される。また操作入力部92による操作信号S34も制御部91に供給される。
制御部91は、操作信号S33,S34の受信に応じて必要な制御を行うことができるが、再生装置1が接続されている場合、それらの操作情報S33,S34を操作信号S3として再生装置1に転送する。再生装置1の演算処理部10では、操作信号S3に応じて装置動作を制御する。
例えば再生装置1による再生コンテンツがディスプレイ100で表示出力されている場合に、ユーザーはリモートコマンダーRCを用いてディスプレイ100に対して再生に関する操作、例えば停止、一時停止、早送り、早戻し、頭出しなどの操作を行うと、その操作信号S33は、制御部91から操作信号S3として再生装置1の演算処理部10に伝えられる。演算処理部10はその操作内容に応じて記憶装置部6での再生動作状態や再生オーディオ信号SA、再生映像信号SVの出力状態を制御する。これにより、ディスプレイ100を見ているユーザーは、再生を行っている再生装置1を意識することなく、必要な操作を行うことができる。
【0060】
再生装置1とホームAVシステムの間は、以上のような信号伝送が行われることで、再生装置1の再生機能、ホームAVシステムを利用して実行できる。またホームAVシステムによって再生装置1のナビゲーション機能による地図画像等を見ることも可能となる。
【0061】
[4.設定テーブル]

本例の再生装置1における設定テーブルの具体例を説明する。
例えば記憶装置部6における記録メディア6a(又は不揮発性メモリ14)に保存される設定テーブルは、例えば図8(a)のような情報となる。
上述したように、設定テーブルには、各種装置環境状態に対応して出力先情報と制御情報が登録されるものであるが、図8(a)の例では、装置環境状態として「ハンディ」「車・停車中」「車・走行中」「家」の4つに区別されている。
「ハンディ」は、再生装置1が単体で用いられる状態である。
「車・停車中」は、再生装置1が車載クレードル50により車載AVシステムに接続された状態であり、かつ車が停車している状態である。
「車・走行中」は、再生装置1が車載クレードル50により車載AVシステムに接続された状態であり、かつ車が走行している状態である。
「家」は。再生装置1がホームクレードル60によりホームAVシステムに接続された状態である。
【0062】
そして設定テーブルには、これら各種の装置環境状態に対応して、出力先情報と制御情報が登録されている。出力先情報としては映像出力先、音声出力先が登録される。制御情報としては出力時の音量レベルの情報が登録される。
「ハンディ」の場合、映像出力先は本体ディスプレイとされている。つまり表示部2を映像出力先として登録している。また音声出力先は本体スピーカとされている。つまりスピーカ部3を音声出力先として登録している。また音量レベルは「1」とされる。これはオーディオ処理部22での音量調整レベルの制御情報である。
「車・停車中」の場合、映像出力先は本体ディスプレイ及びリアディスプレイとされている。つまり表示部2と、車載AVシステムのディスプレイ85の両方を映像出力先として登録している。また音声出力先はF/Rスピーカとされている。つまり車載AVシステムにおけるフロントスピーカ84Fとリアスピーカ84Rを音声出力先として登録している。また音量レベルは「5」とされる。これはカーAVアンプ70のオーディオ処理部73での音量調整レベルの制御情報となる。
「車・走行中」の場合、映像出力先はリアディスプレイとされている。つまり車載AVシステムのディスプレイ85を映像出力先として登録している。また音声出力先はリアスピーカとされている。つまり車載AVシステムにおけるリアスピーカ84Rを音声出力先として登録している。また音量レベルは「7」とされる。これはカーAVアンプ70のオーディオ処理部73での音量調整レベルの制御情報となる。
「家」の場合、映像出力先はホームディスプレイとされている。つまりホームAVシステムのディスプレイ100を映像出力先として登録している。また音声出力先はホームスピーカとされている。つまりホームAVシステムにおけるL/Rスピーカ101L、101Rを音声出力先として登録している。また音量レベルは「3」とされる。これはホームAVアンプ90のオーディオ処理部93での音量調整レベルの制御情報となる。
【0063】
なお、説明上、出力先情報と制御情報を分けているが、出力先情報も制御情報の1つとなる。例えば図5の場合で再生装置1から制御部71に送信される制御情報C1や、図7の場合で再生装置1から制御部91に送信される制御情報C1としては、図8(a)の場合の音量レベルの情報のみではなく、映像出力先、音声出力先の情報も制御情報の1つとして含まれる場合がある。
【0064】
この設定テーブルの登録内容は、ユーザーが変更することができる。例えばディフォルトで図8(a)のように登録されている場合に、ユーザーは自分の所有するAVシステムの事情や好みに応じて、登録内容を変更できる。
再生装置1のCPU11は、図3(a)で説明した出力設定機能34により、ユーザーの設定テーブル更新操作や、それに応じた設定テーブルの書換を行う。
【0065】
例えばユーザーが設定テーブルの編集を指示する操作を行った場合、出力設定機能34は表示部2に図8(b)のような設定テーブルの編集用の画像を表示する。
ここでは、図8(a)の登録情報が、それぞれ設定ウインドウ110,111,112に表示される。この画面に対してユーザーは操作キー5やリモートコマンダー等を用いた操作で、カーソルK(又はハイライト表示等)で特定の登録内容を選択し、変更内容を入力することができる。即ち出力設定機能34はユーザーインターフェース処理として、ユーザーのカーソル操作に対応してカーソルKを画面上で移動させるようにし、また内容変更操作に応じて、登録情報の候補が切り換えられていくようにする。例えば映像出力先の内容として「本体ディスプレイ」「本体&リアディスプレイ」「本体&フロントディスプレイ」「リアディスプレイ」「フロントディスプレイ」「ホームディスプレイ」「本体&ホームディスプレイ」などが選択できるようにする。
また制御内容として、音量レベルを例えば「0」〜「10」など所定の段階で変更できるようにする。
出力設定機能34は、ユーザーは所望の登録内容変更を画面上で行い、決定操作を行ったら、その登録内容に従って記憶装置部6の記録メディア6a又は不揮発性メモリ14に記録された設定テーブルを書き換える。
【0066】
[5.出力制御処理]

再生装置1のCPU11は、その入出力制御機能33により、コンテンツ再生の場合などに、設定テーブルの登録内容に従った出力制御を行う。図9にその出力制御処理例を示す。この処理は、例えば再生装置1が電源オンとされている間に、継続して実行される。
【0067】
CPU11はステップF101として装置環境状態を判別する。即ち再生装置1が車載クレードル50に接続されているか、ホームクレードル60に接続されているか、或いは非接続であるかを判別する。上述のようにこの接続判別は、接続判別用端子(53,63)のレベル状態を確認すればよい。
また特に車載クレードル50に接続されている場合は、図5のセンサ装置83から車両の情報として検出信号S2が供給されるが、CPU11はこの検出信号S2により、自動車が走行中であるか停車中であるかをも判別する。なお、停車中/走行中の判別には、車両の速度情報などを検出しても良いが、例えば信号待ちの状態を「走行中」に含め、停車中とは完全に運転途中ではない停車状態とするのであれば、ギアポジションの検出情報を確認し、これがパーキングポジションとされていたら「停車中」と判断するようにするとよい。
CPU11は、クレードル接続状態と、自動車の走行状態を検出することで、現在が、図8の設定テーブルにおける4つの装置環境状態のいずれに該当するかを判別できることになる。
【0068】
ステップF101の装置環境状態を判別し、装置環境状態として変化があったらCPU11は処理をステップF102からF103に進め、設定テーブルを参照する。そして現在の装置環境状態に応じた出力先情報及び制御情報を取得する。
そしてステップF104で、出力先情報に応じて映像信号やオーディオ信号の出力先の設定制御を行い、また制御情報に応じた制御又は制御情報の送信を行う。
ステップF105でシステム終了、即ち電源オフと判別されるまで、この図9の処理を行う。
【0069】
設定テーブルの内容が図8(a)の例であった場合、ステップF104での処理は、具体的には以下のようになる。
【0070】
装置環境状態が、非接続状態と判別されてステップF103,F104に進んだ場合、CPU11は図8の設定テーブルから「ハンディ」に対応した映像出力先、音声出力先、音量レベルを確認する。この場合、映像出力先は本体ディスプレイと設定され、また音声出力先は本体スピーカと設定されているため、CPU11は、記憶装置部6で再生されるコンテンツ信号については、その再生映像信号は表示ドライブ21に供給するようにし、表示部2で映像出力させる。また再生オーディオ信号はオーディオ処理部22に供給するようにし、スピーカ部3から音声出力させるようにする。またCPU11はオーディオ処理部22における音量レベルは「1」として処理されるように制御する。
即ち再生装置1が単体で使用されてコンテンツ再生が行われる場合、その再生映像、再生音声は再生装置1に装備された表示部2,スピーカ部3で出力される。基本的な音量レベルは「1」とされる。もちろん音量レベルは「1」を基本値としてユーザーのボリューム操作に応じて可変される。
【0071】
装置環境状態が、車載クレードル50に接続され、かつ車両が停車中であると判別されてステップF103,F104に進んだ場合、CPU11は図8の設定テーブルから「車・停車中」に対応した映像出力先、音声出力先、音量レベルを確認する。
この場合、映像出力先は本体&リアディスプレイと設定され、また音声出力先はF/Rスピーカと設定されている。そこでCPU11は、記憶装置部6で再生されるコンテンツ信号については、その再生映像信号を表示ドライブ21に供給するようにし、表示部2で映像出力させるとともに、クレードルインターフェース23に供給するようにし、車載クレードル50を介して図5のカーAVアンプ70の映像処理/インターフェース部74にも出力させる。映像処理/インターフェース部74で処理された映像信号はディスプレイ85に供給されて表示出力される。
またCPU11は、再生オーディオ信号については、オーディオ処理部22には供給せず、クレードルインターフェース23に供給するようにし、車載クレードル50を介して図5のカーAVアンプ70のオーディオ処理部73に供給させる。オーディオ処理部73で処理されたオーディオ信号は、フロントスピーカ84F、及びリアスピーカ84Rから音声出力される。
またCPU11は音量レベル「5」とする制御情報C1をクレードルインターフェース23に送り、車載クレードル50を介してカーAVアンプ70の制御部71に出力させる。又この場合、映像出力先、音声出力先の情報も制御情報C1の1つとして音量レベルと共に制御部71に対して出力する。
カーAVアンプ70の制御部71は、制御情報C1として音声出力先がF/Rスピーカであり、音量レベルが「5」と指示されたことに応じて、オーディオ処理部73に、再生装置1から供給された再生オーディオ信号SAの処理を実行させ、また音量レベルを「5」として音量調整処理を実行させた上で、フロントスピーカ84F及びリアスピーカ84Rに供給させる。
また制御部71は、制御情報C1として映像出力先に「リアディスプレイ」が指定されていることに応じて、映像処理/インターフェース部74に、再生装置1から供給された再生映像信号SVの処理を実行させ、ディスプレイ85に供給させる。
【0072】
即ち再生装置1が車載AVシステムに接続され、車両が停車中の場合において、再生装置1でコンテンツ再生が行われる場合は、その再生映像は、表示部2とディスプレイ85で表示されることになる。
つまり図4のような車両内の配置の場合、運転席、助手席の人は再生装置1の表示部2で再生映像を見ることができ、後部座席の人は、ディスプレイ85で再生映像を見ることができる。
再生音声については車載AVシステムのフロントスピーカ84F、リアスピーカ84Fにより、再生装置1のスピーカ部3を用いたときよりも高音質な再生音声が得られる。また基本的な音量レベルは比較的高い「5」とされることで、比較的騒音の多い車内という環境に適したものとされる。もちろん音量レベルは「5」を基本値としてユーザーの操作に応じて可変される。
【0073】
装置環境状態が、車載クレードル50に接続され、かつ車両が走行中であると判別されてステップF103,F104に進んだ場合、CPU11は図8の設定テーブルから「車・走行中」に対応した映像出力先、音声出力先、音量レベルを確認する。
この場合、映像出力先はリアディスプレイと設定され、また音声出力先はリアスピーカと設定されている。このためCPU11は、記憶装置部6で再生されるコンテンツ信号については、その再生映像信号を表示ドライブ21には供給せず、クレードルインターフェース23に供給するようにし、車載クレードル50を介して図5のカーAVアンプ70の映像処理/インターフェース部74に出力させる。映像処理/インターフェース部74で処理された映像信号はディスプレイ85に供給されて表示出力される。
またCPU11は、再生オーディオ信号については、オーディオ処理部22には供給せず、クレードルインターフェース23に供給するようにし、車載クレードル50を介して図5のカーAVアンプ70のオーディオ処理部73に供給させる。オーディオ処理部73で処理されたオーディオ信号は、リアスピーカ84Rのみから音声出力される。
またCPU11は音量レベル「7」とする制御情報C1をクレードルインターフェース23に送り、車載クレードル50を介してカーAVアンプ70の制御部71に出力させる。又この場合、映像出力先、音声出力先の情報も制御情報C1の1つとして音量レベルと共に制御部71に対して出力する。
カーAVアンプ70の制御部71は、制御情報C1として音声出力先がリアスピーカであり、音量レベルが「7」と指示されたことに応じて、オーディオ処理部73に、再生装置1から供給された再生オーディオ信号SAの処理を実行させ、また音量レベルを「7」として音量調整処理を実行させた上で、リアスピーカ84Rのみに供給させる。
また制御部71は、制御情報C1として映像出力先に「リアディスプレイ」が指定されていることに応じて、映像処理/インターフェース部74に、再生装置1から供給された再生映像信号SVの処理を実行させ、ディスプレイ85に供給させる。
【0074】
即ち再生装置1が車載AVシステムに接続され、車両が走行中の場合において、再生装置1でコンテンツ再生が行われる場合は、その再生映像は、ディスプレイ85のみで表示されることになる。
つまり図4のような車両内の配置の場合、運転席側に装着される再生装置1では再生映像は出力されないため、運転者は再生映像を見ることはできない。一方、後部座席の人は、ディスプレイ85で再生映像を見ることができる。
再生音声については車載AVシステムのフロントスピーカ84Fからは出力されず、リアスピーカ84Fのみにより、再生装置1のスピーカ部3を用いたときよりも高音質な再生音声が得られる。また基本的な音量レベルは比較的高い「7」とされることで、特に騒音状態の悪い走行中の車内という環境に適したものとされる。もちろん音量レベルは「7」を基本値としてユーザーの操作に応じて可変される。
走行中の場合に、後部座席側のディスプレイ85のみで映像表示され、またリアスピーカ84Rのみで音声出力が行われるということは、運転者が再生コンテンツを見ることができない状態となる。即ち運転中は、後部座席に対して再生コンテンツを出力するという状態とすることで、運転者が再生映像をみて安全性が損なわれるということが防止される。
【0075】
装置環境状態が、ホームクレードル60に接続されていると判別されてステップF103,F104に進んだ場合、CPU11は図8の設定テーブルから「家」に対応した映像出力先、音声出力先、音量レベルを確認する。
この場合、映像出力先はホームディスプレイと設定され、また音声出力先はホームスピーカと設定されている。このためCPU11は、記憶装置部6で再生されるコンテンツ信号については、その再生映像信号を表示ドライブ21には供給せず、クレードルインターフェース23に供給するようにし、ホームクレードル60を介して図7のホームAVアンプ90の映像処理/インターフェース部94に出力させる。映像処理/インターフェース部94で処理された映像信号は家庭用のディスプレイ100に供給されて表示出力される。
またCPU11は、再生オーディオ信号については、オーディオ処理部22には供給せず、クレードルインターフェース23に供給するようにし、ホームクレードル60を介して図7のホームAVアンプ90のオーディオ処理部93に供給させる。オーディオ処理部93で処理されたオーディオ信号は、スピーカ101L、101Rから音声出力される。
またCPU11は音量レベル「3」とする制御情報C1をクレードルインターフェース23に送り、ホームクレードル60を介してホームAVアンプ90の制御部91に出力させる。又この場合、映像出力先、音声出力先の情報も制御情報C1の1つとして音量レベルと共に制御部91に対して出力する。
ホームAVアンプ90の制御部91は、制御情報C1として音声出力先がホームスピーカであり、音量レベルが「3」と指示されたことに応じて、オーディオ処理部93に、再生装置1から供給された再生オーディオ信号SAの処理を実行させ、また音量レベルを「3」として音量調整処理を実行させた上で、スピーカ101L、101Rに供給させる。
また制御部91は、制御情報C1として映像出力先に「ホームディスプレイ」が指定されていることに応じて、映像処理/インターフェース部94に、再生装置1から供給された再生映像信号SVの処理を実行させ、ディスプレイ100に供給させる。
【0076】
即ち再生装置1がホームAVシステムに接続されて、再生装置1でコンテンツ再生が行われる場合は、その再生映像は、ディスプレイ100で表示される。つまり家庭等に配置されたディスプレイ100により、表示部2よりも高品位な再生映像を見ることができるようにされる。
また再生音声についてはホームAVシステムにおけるスピーカ101L、101Rにより、再生装置1のスピーカ部3を用いたときよりも高音質な再生音声が得られる。また基本的な音量レベルは比較的低い「3」とされることで、騒音のあまりない室内という環境に適したものとされる。もちろん音量レベルは「3」を基本値としてユーザーの操作に応じて可変される。
【0077】
具体的な処理例は以上のようになるが、これらの処理はあくまでも設定テーブルの登録内容に応じたものとなる。上述したように設定テーブルについてはユーザーが編集できるため、ユーザーの有するホームAVシステムや車載AVシステムに適した登録内容とされればよく、又それによって各装置環境状態に応じた適切な再生出力が実現される。
設定テーブルの登録内容によっては、ホームAVシステム接続時に、ディスプレイ100と本体の表示部2の両方で再生映像を出力したり、車載AVシステム接続時に、フロントスピーカ84F、リアスピーカ84Rに加えて本体のスピーカ部3からも音声を出力するといったことも可能である。
また、コンテンツ再生時の音声/映像の出力という例で説明したが、ナビゲーション動作により生成された映像信号や音声信号についても、各場合で同様に処理されればよい。
【0078】
[6.実施の形態の効果及び変形例]

以上の実施の形態の再生装置1によれば、再生装置1の使用に際して、その装置環境状態に応じて映像や音声の出力先が設定され、また装置環境状態に応じた制御内容が実行される。これによって装置環境状態に応じて適切な動作が実行される。
例えば上述のように単体で使用される場合は、本体の表示部2やスピーカ部3を用いて再生コンテンツの映像や音声が出力され、一方、車載AVシステムやホームAVシステムに接続された場合は、それらのシステムにおけるディスプレイ(85,100)やスピーカ(84F、84R、101L、101R)により映像や音声を出力させることができる。これによって、再生装置1の本体は、高性能な表示部2やスピーカ部3を備えていなくとも、ホームAVシステムや車載AVシステムの再生能力を活用でき、高品質な再生映像、再生音声を楽しむことができるようになる。また、このときにユーザが出力先を逐一切り換えるような操作をする必要もないため、面倒な操作は不要で取り扱いに好適である。
このためユーザーは再生装置1を、任意の取り扱いで、任意の接続又は非接続状態で使用するのみで、そのときの状態に応じた最適な再生出力が得られるものとなる。
さらには車載AVシステムにおける走行中、停車中にも出力先を切り換えることで、運転の安全性も確保できる。
【0079】
また設定テーブルの登録内容を変更することにより、ユーザーの使用するシステム、設備に応じた設定が可能となり、個人毎に最適な動作状態を得ることができる。
例えば家にスピーカがあるか否かや、車内に後部座席用のディスプレイ85を設置しているか否かなど、再生設備はユーザー毎に異なるが、れらに応じて設定テーブルの登録内容をカスタマイズすることで、各ユーザー毎に適切な再生出力を実現できる。
【0080】
また図5,図7で説明したように、リモートコマンダーRCや操作入力部72,92による操作は、操作信号S3として再生装置1に転送され、CPU11はその操作信号S3に応じた制御を行う。つまりユーザーは車載AVシステムやホームAVシステムでの操作手段をそのまま用いて再生装置1でのコンテンツ再生に関する操作やナビゲーション機能に関する操作などを行うことができ、利便性が高い。例えば車内の後部座席でディスプレイ85により再生コンテンツを見ている人にとっては、手元でリモートコマンダーRCをディスプレイ85に向けて操作することが自然である。このような操作信号が再生装置1に伝えられることで、ユーザーは自然な操作で、見ている再生コンテンツに関する操作を行うことなどができ、使用性の良い適切なユーザーインターフェースとなる。
【0081】
ところで、本発明は上記実施の形態の構成や動作に限らず、非常に多様な変形例が考えられる。
まず、再生装置1の装置環境状態の判別手法として、クレードルの種別を判別するには、上記の接続判別用端子を検出するほか、クレードルの種類毎に異なる突起/孔部の形状等を設け、コネクタ部24側のメカニカルスイッチで当該突起/孔部の形状等を判別することも考えられる。
またクレードル自体ではなく、クレードルを介して接続された外部装置、例えばカーAVアンプ70やホームAVアンプ90から、識別信号を再生装置1に供給するようにしても良い。
また接続先がカーAVシステムかホームAVシステムかという観点でいえば、クレードルを介して再生装置1に供給される電源電圧状態によって判別することもできる。つまりカーバッテリ81による電圧か、或いは家庭用交流電源からAC/DCコンバートした電圧かを検出する。また、カーバッテリ81による直流電源電圧或いは家庭用交流電源による交流電圧がいずれも直接再生装置1に供給されるような構成とした場合は、その供給される電源の違いを電圧変動、リップル成分、電圧値等で判別し、接続先を判断することも可能である。
さらに車両内であるか否かは、センサ装置83による検出信号や位置検出装置82からの位置情報を用いても判定できる。
また通信部8によるネットワーク通信等より得られた情報で装置環境状態を判別することも考えられる。
装置環境状態として 使用場所を検出する場合は、LAN(Locai Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワーク等との通信手段111を備えてもよい。例えば、USB等の有線通信手段やブルートゥース(Bluetooth)等の無線通信手段、メモリカード等のメモリメディア等を用いたオフライン通信等である。
【0082】
再生装置1はクレードル50、60によりAVシステムに接続される形態だけでなく、コネクタによる接続やPAN(Personal Area Network)などのワイヤレス通信で接続するといった方式も考えられる。もちろん車載AVシステムやホームAVシステムを構成する各装置同志も、無線LANなどの無線通信を利用して接続されていても良い。
また、上記の車載AVシステム、ホームAVシステムの構成例、接続例では、カーAVアンプ70、ホームAVアンプ90が、クレードル50、60を介して再生装置1と直接的に各種信号の送受信が行われる例としたが、これに限られるものではない。再生装置1が複数の機器に並列的に接続されて、各機器との間で各種信号の送受信を行うようにしても良い。
【0083】
また例えばクレードル50、60を介して再生装置1と外部装置(カーAVアンプ70等)の間で送受信される信号の例は多様に考えられる。コンテンツ信号についてはアナログ信号形態で伝送されても良いし、デジタル信号形態でもよい。
またクレードル自体が、カーAVアンプ70、ホームAVアンプ90のような機能、即ちAVシステムの中心ユニットとしての機能を備えることも考えられる。
【0084】
設定テーブルで区別される装置環境状態としては、上記4種類に限られない。例えば車載AVシステムに接続されているが自動車のエンジンがオフという状態や、ホームAVシステムであるが、ホームAVシステムが複数構築されている場合に、そのホームAVシステムであるかの各状態なども、装置環境状態の種類として考えられる。
さらに接続先や車両動作だけではなく、時間、季節なども装置環境状態を区別する条件とできる。例えば時間として午前、午後、夜間などを装置環境状態として区別するようにすれば、各時間帯に応じた出力設定ができることになる。例えば音量レベルを時間帯に応じて設定するなどである。
また映像出力先、音声出力先、音量レベルの他に、多様な登録内容が考えられる。
例えば映像再生の際における表示輝度、解像度などが各装置環境状態に応じて指定できるようにしてもよい。すると、出力されるディスプレイの性能や、ディスプレイが設置されている場所の輝度状態に応じた制御もできる。例えば車内と自宅では基本となる輝度レベルを異なるようにしたり、或いは上記のように時間帯が装置環境状態の要素の1つとされていれば、時間帯によって輝度レベルを設定するなどである。
また音声再生に関して、音量レベルだけでなく、イコライザ設定、バスブースト設定、出力チャンネル設定なども設定テーブルの登録内容としても良い。例えば車内と自宅では適切なイコライジングやバスブーストが異なると考えられるため、装置環境状態に応じてこれらが自動制御されることは好適である。
また出力チャンネル設定として、モノラル、L/Rステレオ、L/R/リアの3チャンネル、5.1サラウンドなどが設定できるようにすれば、ユーザーの使用するシステムに合わせた制御ができるようになる。
【0085】
また再生装置1において本発明請求項の再生手段に相当する構成として、テレビジョン放送、ラジオ放送等の受信部を備えるようにしても良い。その場合、受信された音声信号、映像信号の出力については、記憶装置部6での再生コンテンツと同様に、設定テーブルに応じて出力先が決定されればよい。
【0086】
また、図4のような車載AVシステムとして、リア側のディスプレイ85も、再生装置1を用いるものとしても良い。つまりリア側にも車載クレードル50を設け、再生装置1を着脱可能とする。
再生装置1は、接続された車載用クレードル50が、フロント側のクレードルであるかリア側のクレードルであるかを検出して、装置環境状態を判別してもよい。例えばリア側に装着されたのであれば、走行中であっても再生コンテンツの映像を出力することに問題ないため、リア側のクレードルに装着された場合は、設定テーブルに、映像出力先として本体ディスプレイ(表示部2)が指定されるようにしておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態の再生装置の外観及び接続構成の説明図である。
【図2】実施の形態の再生装置のブロック図である。
【図3】実施の形態の再生装置のCPUの機能及び記憶データの説明図である。
【図4】実施の形態の再生装置が接続される車載AVシステムの説明図である。
【図5】実施の形態の再生装置の車載AVシステム接続時の信号伝送の説明図である。
【図6】実施の形態の再生装置が接続されるホームAVシステムの説明図である。
【図7】実施の形態の再生装置のホームAVシステム接続時の信号伝送の説明図である。
【図8】実施の形態の設定テーブルの説明図であ
【図9】実施の形態の出力制御処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1 再生装置、2 表示部、3 スピーカ部、4 受光部、5 操作キー、6 記憶装置部、6a 記録メディア、7 位置検出部、10 演算処理部、11 CPU、12 ROM、13 RAM、14 不揮発性メモリ、15 インターフェース部、31 再生制御機能、32 ナビゲーション演算制御機能、33 入出力制御機能、34 出力設定機能、50 車載クレードル、60 ホームクレードル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号及び/又は映像信号を再生する再生手段と、
上記再生手段で再生された映像信号又は音声信号の出力先となる、装置本体に設けられた本体出力手段と、
上記再生手段で再生された映像信号又は音声信号の出力先となる、映像信号又は音声信号を接続された外部装置に出力する外部出力手段と、
装置環境状態に対応して出力先情報と制御情報が登録された設定テーブルが記憶された記憶手段と、
装置環境状態を判別するとともに上記設定テーブルを参照し、判別した装置環境状態に応じた出力先情報と制御情報を得、上記出力先情報に基づいて上記再生手段で再生された映像信号又は音声信号の出力先を設定し、また上記制御情報に基づく制御を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とする再生装置。
【請求項2】
上記制御手段は、上記装置環境状態として、車載用機器に接続された状態、家庭用機器に接続された状態、及び非接続の状態を判別することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記車載用機器に接続された状態であると判別したときは、上記装置環境状態として、さらに、車両が走行中であるか停車中であるかを判別することを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
上記設定テーブルには、装置環境状態として、車載用機器に接続されて車両走行中の状態、車載用機器に接続されて車両停車中の状態、家庭用機器に接続された状態、及び非接続の状態のそれぞれに対して、出力先情報と制御情報が登録されていることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項5】
上記設定テーブルに登録された出力先情報と制御情報の設定内容を変更する設定変更手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項6】
上記制御手段は、上記装置環境状態として外部装置に接続されていると判別したときは、上記制御情報に基づく制御として、上記制御情報に基づく信号を上記外部装置に出力することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項7】
装置環境状態を判別する判別ステップと、
装置環境状態に対応して出力先情報と制御情報が登録された設定テーブルを参照し、上記判別ステップで判別した装置環境状態に対応する出力先情報と制御情報を得る制御内容取得ステップと、
上記制御内容取得ステップで取得した上記出力先情報に基づいて、再生された音声信号及び/又は映像信号の出力先を設定し、また上記制御情報の内容に応じた制御を行う制御ステップと、
を備えたことを特徴とする再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−309880(P2006−309880A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131539(P2005−131539)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】