説明

再生装置、再生方法

【課題】ホモダイン方式による信号再生システムにおいて、光路長サーボを不要とし、かつ、従来の位相ダイバーシティ方式よりも再生信号のSNRの向上が図られるようにする。
【解決手段】受光素子とI/V変換アンプとをAC結合して、DC成分が除去された(AC成分のみを抽出した)信号について増幅を行うようにする。AC成分のみを有効に増幅できるので、DC成分を含む状態での信号増幅を行う従来の位相ダイバーシティ方式の場合よりも信号増幅率を高めることができ、SNRが改善される。また、AC結合により得られた各受光信号I,J,K,Lについて、I−J=a、K−L=bを計算し、これらa,bに基づきsin(φ−θ)及びcos(φ−θ)の値をそれぞれ算出した上で、これらsin/cosの値とa,bの値とを用いた演算により、再生信号値を計算する。これにより、AC結合でDC成分を除去した信号を用いる場合に対応して、信号再生が正しく行われるようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、いわゆるホモダイン検波による信号再生を行う再生装置とその方法とに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2008−269680号公報
【特許文献2】特開2008−65961号公報
【背景技術】
【0003】
光の照射により信号の記録/再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスク記録媒体(単に光ディスクとも称する)が普及している。
【0004】
このような光ディスクに関し、検出信号(再生信号)のSNR(信号対雑音比)の低下を改善するための手法として上記特許文献1や上記特許文献2などに開示されるようなホモダイン方式(ホモダイン検波方式)が提案されている。
周知のようにホモダイン方式は、検出対象とする光(信号光)に対し、参照光としてのコヒーレントな光(DC光)を干渉させた光を検波することで、信号増幅を図る技術である。
【0005】
上記特許文献1や特許文献2では、信号光と参照光とを干渉させた光を検波するホモダイン方式として、それぞれその位相差が90°ずつ異なるようにされた4つの信号光・参照光の組について検波を行うようにされている。具体的には、位相差がそれぞれ0°、90°、180°、270°とされた信号光・参照光の組について、それぞれ検波を行うものである。
これらの各検波は、信号光と参照光とを干渉させた光についての光強度をそれぞれ検出することで行われる。
【0006】
上記特許文献1,2に記載の発明では、これら位相差0°、90°、180°、270°となる信号光と参照光の各組を受光して、いわゆる位相ダイバーシティ方式により再生信号を得るようにされる。
具体的には、位相差0°の組についての受光信号IPD1、位相差180°の組についての受光信号IPD2、位相差90°の組についての受光信号IPD3、位相差270°の組についての受光信号IPD4をそれぞれ得た上で、これらを用いて以下のような演算により再生信号を得るものである。
【0007】
図14は、特許文献1,2に記載される従来の位相ダイバーシティ方式についての説明図である。
先ず、従来の位相ダイバーシティ方式では、図中の減算部100、減算部101のそれぞれにより、受光信号IPD1と受光信号IPD2、及び受光信号IPD3と受光信号IPD4のそれぞれについて、その差分を計算するようにされる。いわゆる差動検出と呼ばれるものである。
ここで、減算部100により得られる「IPD1−IPD2」による差分信号は差分信号Sig1、減算部101により得られる「IPD3−IPD4」による差分信号は差分信号Sig2と表記する。
そして、位相ダイバーシティ方式では、これら差分信号Sig1と差分信号Sig2を得た上で、二乗加算部102によりこれらの二乗加算を行う(Sig12+Sig22)。その上で、この二乗加算結果について、平方根演算部103によりその平方根を計算する。当該平方根演算部103により得られる平方根計算結果が、再生信号Sとして出力される。
【0008】
ここで、sigを信号光、refを参照光、Eを電界強度とすると、受光信号IPD1、IPD2、IPD3、IPD4は以下の[式1]〜[式4]と表すことができる。
但し各式において、(φsig−φref)は信号光と参照光の位相差を意味するものである。この信号光と参照光の位相差は、主にディスクの面ブレに応じて、信号光と参照光とに光路長差が生じることに起因して発生するものである。


【数1】


【数2】


【数3】


【数4】


また、これら[式1]〜[式4]より、上述した差分信号Sig1、差分信号Sig2は下記の[式5][式6]のように表すことができる。


【数5】


【数6】


さらに、再生信号Sは、下記[式7]に示すものとなる。


【数7】

【0009】
上記[式7]より、従来の位相ダイバーシティ方式によれば、参照光の光強度に応じて増幅された信号光の成分を、再生信号Sとして得ることができる。このように信号光が増幅されることで、再生信号SのSNRの改善が図られるものである。
【0010】
なお、[式7]を参照すると、最終的に得られる再生信号Sが、信号光と参照光の位相差の影響を受けないものとなっていることが分かる。この点からも理解されるように、位相ダイバーシティ方式によれば、特許文献1に従来技術として記載されるような、波長の数分の1程度のオーダーによる光路長差調整(いわゆる光路長サーボ)を不要とすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の位相ダイバーシティ方式は、受光信号IPD1、IPD2、IPD3、IPD4として、検出対象である信号成分(AC成分)以外のDC成分も含む信号を用いた演算を行う手法であるため、I/V変換時の信号増幅において、有効に信号光の成分を増幅することが困難となるという問題がある。
【0012】
ここで、図15に、受光信号IPD1、IPD2、IPD3、IPD4の各波形(図15A)と、差分信号Sig1、Sig2の各波形(図15B)とを示す。
なお確認のため述べておくと、これらの図において各信号の振幅が周期的に増減しているのは、光ディスクの面ブレに応じて信号光と参照光の光路長差(位相差)が周期的に増減することに伴うものである。
【0013】
図15Aに示すように、受光信号IPD1、IPD2、IPD3、IPD4のそれぞれは、所定の周期(面ブレの周期に相当)で増減を繰り返す略正弦波状の低周波成分(DC成分)に対して、高周波成分(AC成分)が重畳したものとなる。
DC成分は、主にミラー面(ランド部分)の反射成分に起因したものであり、AC成分は、主にピットの有/無に伴う変調成分(つまり検出対象とすべき信号成分)である。図のように、DC成分の振幅は、AC成分の振幅に対して非常に大となる。
【0014】
また、「IPD1−IPD2」としての差分信号Sig1、「IPD3−IPD4」としての差分信号Sig2の波形は、それぞれ図15Bに示すものとなる。図15Bでは、DC+AC成分の振幅をα、AC成分単体の振幅をβと表している。
【0015】
図16は、従来の位相ダイバーシティ方式で得られる差分信号の二乗加算信号(Sig12+Sig22)の波形を示している。
この図16を参照して分かるように、Sig12+Sig22による二乗加算信号としても、DC成分を含む(DCオフセットされた)信号が得られることになる。
【0016】
このように、従来の位相ダイバーシティ方式は、受光信号IPD1、IPD2、IPD3、IPD4として、検出対象であるAC成分以外のDC成分も含む信号を用いた演算を行うことを前提とした手法とされている。そして、この点より従来の位相ダイバーシティ方式では、I/V変換時の信号増幅としても、DC成分を含んだ受光信号を対象として行われることになる。
【0017】
しかしながら、上述のようにDC成分はAC成分に対してその振幅が非常に大であるため、増幅器のダイナミックレンジを考慮すると、真に検出したいAC成分の増幅率を有効に高めることができない。すなわち、増幅器のダイナミックレンジを考慮すると、AC成分単体について増幅するとした場合と比較して、増幅器の増幅率はより低く抑えなければならいものであり、従ってこの点より、DC成分を含む状態で信号増幅を行う従来の位相ダイバーシティ方式は、AC成分の増幅率を有効に高めることができないものである。
AC成分の増幅率を高めることができなければ、SNRの悪化を招来する。
【0018】
本技術は上記のような問題点に鑑みなされたもので、ホモダイン方式による信号再生システムにおいて、光路長サーボを不要とし、かつ、従来の位相ダイバーシティ方式よりも再生信号のSNRの向上が図られるようにすることをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このため本技術では、再生装置として以下のように構成することとした。
すなわち、光記録媒体からの戻り光としての信号光と、コヒーレント光としての参照光とを生成し、それらを重ね合わせて出射する光生成・出射部を備える。
また、上記光生成・出射部より出射された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光から、それぞれ位相差が0°、90°、180°、270°となる信号光と参照光の組をそれぞれ生成する検波光学系を備える。
また、位相差が0°による上記信号光と参照光の組を第1受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第1受光素子とAC結合された第1I/V変換アンプにより増幅して第1受光信号を得る第1受光増幅部を備える。
また、位相差が180°による上記信号光と参照光の組を第2受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第2受光素子とAC結合された第2I/V変換アンプにより増幅して第2受光信号を得る第2受光増幅部を備える。
また、位相差が90°による上記信号光と参照光の組を第3受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第3受光素子とAC結合された第3I/V変換アンプにより増幅して第3受光信号を得る第3受光増幅部を備える。
また、位相差が270°による上記信号光と参照光の組を第4受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第4受光素子とAC結合された第4I/V変換アンプにより増幅して第4受光信号を得る第4受光増幅部を備える。
また、上記第1受光信号と上記第2受光信号の差分を計算することで、

「fRcos(φ−θ)」

(但し、Rは上記光記録媒体の記録面に形成されるミラー面(ランド部分)の反射成分、fは上記ピットの有/無に応じた変調成分、φは上記ピットの深さに相当する位相差、θは上記信号光と上記参照光の光路長差である)
により表される第1差分信号を生成する第1差分信号生成部を備える。
また、上記第3受光信号と上記第4受光信号の差分を計算することで、

「fRsin(φ−θ)」

により表される第2差分信号を生成する第2差分信号生成部を備える。
また、上記第1差分信号と上記第2差分信号とに基づき、sin(φ−θ)及びcos(φ−θ)の値をそれぞれ算出するsin・cos計算部を備える。
さらに、上記第1差分信号、上記第2差分信号、上記sin(φ−θ)、上記cos(φ−θ)の値を用いた演算により、再生信号を生成する再生信号生成部を備えるようにした。
【0020】
上記のように本技術では、受光素子とI/V変換アンプとをAC結合している。すなわち、DC成分を除去しAC成分のみを抽出した信号について、増幅を行うようにしたものである。
AC成分のみを有効に増幅できるので、DC成分を含む状態での信号増幅を行う従来の位相ダイバーシティ方式を採用する場合よりも信号増幅率を高めることができる。つまりその結果、再生信号のSNR(信号対雑音比)の改善を図ることができる。
但し、DC成分を除去した信号を用いて、光路長サーボを不要とするため(信号光と参照光の位相差成分の影響を排除するため)の従来の位相ダイバーシティ方式による演算、すなわち、

「I−J」=a、「K−L」=b
(ただし、I=第1受光信号、J=第2受光信号、K=第3受光信号、K=第4受光信号である)

で表される差動検出を行った後、

「a2+b2

の平方根を計算する、
という演算をそのまま行ってしまうと、信号再生を正しく行うことができないこととなる。具体的に、AC結合方式で増幅した第1受光信号〜第4受光信号(I〜L)を用いて上記「a2+b2」による演算を行ってしまうと、その計算結果は「f2・R2」となってしまい、結果、その平方根を計算しても、検出対象とすべきAC成分に相当する「f」の符号を正しく再生することができなくなってしまうものである。
そこで本技術では、第1差分信号(a)と第2差分信号(b)とに基づき、sin(φ−θ)、cos(φ−θ)の成分を取り出し、これらと第1差分信号、第2差分信号を用いた演算により、fの符号を正しく再現した再生信号を得るようにした。これにより、AC結合によってDC成分を除去した信号を用いる場合にも、信号光と参照光の光路長差の影響を受けない信号再生を正しく行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
上記のように本技術によれば、ホモダイン方式による信号再生システムにおいて、光路長サーボを不要とし、かつ、従来の位相ダイバーシティ方式よりも再生信号のSNRの向上が図られるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態で再生対象とする光記録媒体の断面構造を示した図である。
【図2】実施の形態の再生装置が備える主に光学系の構成について説明するための図である。
【図3】ホモダイン検波光学系の構成例を示した図である。
【図4】無偏光回折素子とウォラストンプリズムの分光方向について説明するための図である。
【図5】実施の形態の再生装置の信号生成系及びサーボ制御系の構成について説明するための図である。
【図6】実施の形態の再生装置が備える受光増幅部の構成を示した図である。
【図7】差動検出の実現のために採り得る従来構成についての説明図である。
【図8】各受光素子の同一基板への形成例を示した図である。
【図9】実施の形態の再生信号生成手法について説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態の再生信号生成手法を実現するための再生信号生成部の構成について説明するための図である。
【図11】DC成分を含む差分信号(Sig1,Sig2)、DC成分を除去した差分信号(a,b)、2ab(LPF前)、a2+b2(LPF前)の各信号の波形を示した図である。
【図12】2ab、a2−b2の各信号のLPF後の波形、及びcos(φ−θ)、sin(φ−θ)の各信号の波形を示した図である。
【図13】a・cos(φ−θ)、b・sin(φ−θ)、a・cos(φ−θ)+b・sin(φ−θ)の各信号の波形を示した図である。
【図14】従来の位相ダイバーシティ方式についての説明図である。
【図15】受光信号(IPD1〜IPD4)の各波形と差分信号(Sig1、Sig2)の各波形とを示した図である。
【図16】従来の位相ダイバーシティ方式で得られる差分信号の二乗加算信号(Sig12+Sig22)の波形を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。

<1.再生対象とする光記録媒体>
<2.再生装置の構成概要>
<3.受光増幅部の構成>
<4.AC結合方式の採用による問題点>
<5.実施の形態の再生信号生成手法>
<6.再生信号生成部の構成>
<7.変形例>
【0024】
<1.再生対象とする光記録媒体>

図1は、実施の形態において再生対象とする光記録媒体1の断面構造を示した図である。
光記録媒体1は、ディスク状の光記録媒体とされ、回転駆動される光記録媒体1に対するレーザ光照射が行われて記録信号の再生が行われる。なお、光記録媒体とは、光の照射により情報の再生が行われる記録媒体を総称したものである。
本例の場合、光記録媒体1は、ピット(エンボスピット)の形成により情報が記録されたいわゆるROM型(再生専用型)の光記録媒体とされる。
【0025】
図1に示されるように光記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、記録層(反射膜)3、基板4が形成されている。
ここで、本明細書において「上層側」とは、後述する実施の形態としての再生装置側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指す。つまりこの場合、光記録媒体1に対しては、カバー層2側からレーザ光が入射することになる。
【0026】
光記録媒体1において、基板4は、例えばポリカーボネートなどの樹脂で構成され、図示するようにその上面側にはピットの形成に伴う凹凸の断面形状が与えられている。
このようにピットが形成された基板4は、例えばスタンパを用いた射出成形などにより生成される。
そして、上記凹凸形状が与えられた基板4の上面側に対して、例えば金属などによる反射膜が成膜され、これにより記録層3が形成される。
【0027】
記録層3の上層側に形成されるカバー層2は、例えば紫外線硬化樹脂をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射による硬化処理を施すことで形成されたものとなる。
カバー層2は、記録層3の保護のために設けられている。
【0028】
<2.再生装置の構成概要>

図2は、上記により説明した光記録媒体1についてホモダイン方式による信号再生を行う実施の形態としての再生装置が備える主に光学ピックアップOPの内部構成について説明するための図である。
なお図中において、光記録媒体1とスピンドルモータ(SPM)25とを除いた部分が、光学ピックアップOPとなる。
【0029】
図2において、光記録媒体1は、再生装置に装填されると、図中のスピンドルモータ25によって回転駆動される。
光学ピックアップOPは、このように回転駆動される光記録媒体1についての再生を行うためのレーザ光を照射するように構成されている。
【0030】
光学ピックアップOP内には、再生のためのレーザ光源となるレーザ(半導体レーザ)10が設けられている。
該レーザ10より出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ11を介して平行光となるようにされた後、1/2波長板12を介して偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0031】
このとき、偏光ビームスプリッタ13は、例えばP偏光を透過しS偏光を反射するように構成されているとする。その上で、1/2波長板12の取り付け角度(レーザ光の入射面内において光軸を中心した回転角度)は、偏光ビームスプリッタ13を透過して出力される光(P偏光成分)と反射して出力される光(S偏光成分)との比率(すなわち偏光ビームスプリッタ13による分光比)がほぼ1:1となるように調整されているとする。
【0032】
偏光ビームスプリッタ13にて反射されたレーザ光は、1/4波長板14を介した後、2軸アクチュエータ16により保持された対物レンズ15を介して光記録媒体1の記録層3に集光するようにして照射される。
【0033】
2軸アクチュエータ16は、対物レンズ15をフォーカス方向(光記録媒体1に対して接離する方向)及びトラッキング方向(光記録媒体1の半径方向に平行な方向:上記フォーカス方向とは直交関係となる方向)に変位可能に保持する。
この場合の2軸アクチュエータ16にはフォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられており、これらフォーカスコイル、トラッキングコイルにそれぞれ後述するフォーカスドライブ信号FD、トラッキングドライブ信号TDが供給されることで、対物レンズ15を上記フォーカス方向、上記トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
【0034】
記録層3に対してレーザ光が照射されることに応じては、該記録層3からの反射光(信号光)が得られる。該反射光は、対物レンズ15→1/4波長板14を介した後、前述した偏光ビームスプリッタ13に入射する。
偏光ビームスプリッタ13に入射した上記反射光(復路光)は、1/4波長板14による作用と記録層3における反射時の作用とにより、その偏光方向が、レーザ10側から入射し該偏光ビームスプリッタ13にて反射された光(往路光とする)の偏光方向に対して90°異なったものとなっている。すなわち、上記反射光はP偏光で偏光ビームスプリッタ13に入射する。
このため、復路光としての上記反射光は偏光ビームスプリッタ13を透過する。
なお、以下、このように偏光ビームスプリッタ13を透過することになる光記録媒体1の記録信号を反映した反射光のことを、信号光と称する。
【0035】
また、図2において、レーザ10より出射され偏光ビームスプリッタ13を透過したレーザ光(P偏光)は、ホモダイン方式における参照光として機能する。
偏光ビームスプリッタ13を透過した参照光は、図中の1/4波長板17を介した後、ミラー18にて反射されて、再び1/4波長板17を通過する。その上で、図のように偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0036】
ここで、このように偏光ビームスプリッタ13に入射する参照光(復路光)は、1/4波長板17による作用とミラー18での反射時の作用とにより、その偏光方向が往路光としての参照光とは90°異なるものとされる(つまりS偏光となる)。従って、上記復路光としての参照光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射されることになる。
【0037】
図中では、このように偏光ビームスプリッタ13にて反射された参照光を破線矢印により示している。
また図中では、前述のように偏光ビームスプリッタ13を透過した信号光については実線矢印により示している。
【0038】
図のように、偏光ビームスプリッタ13によっては、これら信号光と参照光とが重ね合わされた状態で同方向に出射される。具体的にこの場合、信号光と参照光とはそれらの光軸が一致するように重ね合わされた状態で同方向に出射される。
ここで、参照光は、いわゆるコヒーレント光である。
【0039】
偏光ビームスプリッタ13から出力された信号光と参照光の重ね合わせ光は、偏光ビームスプリッタ19に入射する。
偏光ビームスプリッタ19は、P偏光の一部を透過させ、S偏光をほぼ100%反射するように構成されている。これにより当該偏光ビームスプリッタ19では、信号光の一部が透過、一部が反射し、参照光はほぼ100%反射されることになる。
【0040】
ここで、偏光ビームスプリッタ19を透過した信号光は、集光レンズ21を介して位置制御用受光部22の受光面上に集光する。
位置制御用受光部22は、対物レンズ15のフォーカスサーボ、トラッキングサーボを行うためのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEを生成するための受光部として機能する。ここで、フォーカスエラー信号FEやトラッキングエラー信号TEについては、光記録媒体1に記録された情報信号についての再生信号(RF信号)と比較してその周波数帯域が非常に低いため、検出光量が小であってもSNR(信号対ノイズ比)の悪化が抑制される。このため本例では、上記の光学系の構成により、エラー信号の検出用に光記録媒体1からの反射光を導き、これを独立に検出するものとしている。
なお、図示されているように、位置制御用受光部22にて得られた受光信号については、受光信号D_psと表記する。
【0041】
また、偏光ビームスプリッタ19を反射した信号光と参照光は、ホモダイン検波光学系20に入射する。
ホモダイン検波光学系20は、偏光ビームスプリッタ19から入射する信号光と参照光の重ね合わせ光に基づき、それぞれその位相差が異なるものとされる4組の信号光と参照光の組を生成し、それらの組をそれぞれ異なる位置に集光して、信号光・参照光の各組をそれぞれ対応する検出器(受光素子)上で光干渉させるように構成されている。
具体的に、本例の場合は、図中に光線L1、L2、L3、L4と示す4組の信号光と参照光の組を生成・集光するように構成されている。
ここで、光線L1は、位相差が0°(つまり同位相)の信号光と参照光の組、光線L2は位相差が180°の信号光と参照光の組、光線L3は位相差が90°の信号光と参照光の組、光線L4は位相差が270°の信号光と参照光の組をそれぞれ表す。
図示するように光線L1(位相差=0°)としての信号光と参照光の組は第1光検出部PD1に導かれ、光線L2(位相差=180°)としての信号光と参照光の組は第2光検出部PD2に導かれる。また、光線L3(位相差=90°)としての信号光と参照光の組は第3光検出部PD3に導かれ、光線L4(位相差=270°)としての信号光と参照光の組は第4光検出部PD4に導かれる。
【0042】
ここで、第1光検出部PD1により得られる受光信号については受光信号D_hm1と表記する。以下同様に、第2光検出部PD2により得られる受光信号については受光信号D_hm2、第3光検出部PD3により得られる受光信号については受光信号D_hm3、第4光検出部PD4により得られる受光信号については受光信号D_hm4とそれぞれ表記する。
【0043】
図3に、位相差が0°、90°、180°、270°となる4つの信号光と参照光の組を生成・集光するためのホモダイン検波光学系20の構成例を示す。
なお、この図3ではホモダイン検波光学系20の構成と共に、図2に示される第1光検出部PD1〜第4光検出部PD4も併せて示している。
この図3に示すホモダイン検波光学系20は、先に挙げた特許文献1に開示されるホモダイン検波光学系(偏光位相変換分離素子114及び集光レンズ115:特許文献1の図1,2を参照)とほぼ同等の構成となる。
【0044】
図3に示されるように、ホモダイン検波光学系20は、1/2波長板30、無偏光回折格子31、角度選択性位相差板32、ウォラストンプリズム33、及び集光レンズ34を有して構成される。
先の図2による説明からも理解されるように、ホモダイン検波光学系20には、偏光ビームスプリッタ19から出射された信号光と参照光の重ね合わせ光が入射することになる。そして、このようにホモダイン検波光学系20に入射する信号光と参照光は、平行光の状態とされ、且つ、互いの偏光方向が直交した関係にある(本例の場合、信号光はP偏光、参照光はS偏光となる)。
【0045】
1/2波長板30には、上記のように互いの偏光方向が直交した関係となる信号光・参照光が入射する。1/2波長板30は、その取り付け角度(レーザ光の入射面内において光軸を中心とした回転角度)が調整されることで、信号光と参照光の偏光方向を図のように45度回転させる。
【0046】
無偏光回折素子31は、1/2波長板30を介した平行光の状態の信号光と参照光の重ね合わせ光を分光して、2つの異なる進行方向の光線を出力する。本例の場合、一方は、直進する0次光、他方は所定の回折角で回折された1次光である。
【0047】
無偏光回折素子31で分光された上記2つの光線は、角度選択性位相差板32に入射する。
角度選択性位相差板32は、例えば水晶などの複屈折性をもった一軸の異方性結晶で構成され、その結晶の光学軸の方向が上記0次光の光軸に対して所定角度だけ傾いた方向に設定される。これにより、直進する上記0次光については、信号光と参照光とに90°の位相差が与えられるものとなり、一方、上記1次光については、信号光と参照光に位相差は与えられない(位相差は変化しない)ものとなる。
【0048】
角度選択性位相差板32を介した上記0次光及び上記1次光は、ウォラストンプリズム33に入射する。
ウォラストンプリズム33は、上記0次光(位相差=90°)、上記1次光(位相差=0°)をそれぞれ分光して、計4つの光線を生成する。すなわち、上記1次光を基に、位相差=0°の信号光と参照光の組による光線(L1)と、位相差=180°の信号光と参照光の組による光線(L2)を生成する。また、上記0次光を基に、位相差=90°の信号光と参照光の組による光線(L3)と、位相差=270°の信号光と参照光の組による光線(L4)とを生成する。
【0049】
なお、上記の構成により、ウォラストンプリズム33から位相差0°、90°、180°、270°による各光線が得られる原理は、下記の参考文献1で説明される原理([0015]の記載及び図3を参照)と同様である。

・参考文献1・・・特開2009−15944号公報
【0050】
ここで、ウォラストンプリズム33による分光方向は、無偏光回折素子31による分光方向とは直交する関係となる。
図4は、この点について説明するための図であり、図4Aは無偏光回折素子31による分光方向に平行な面を切断面とした場合のホモダイン検波光学系20の断面図を、図4Bは無偏光回折素子31による分光方向に平行な面に対して直交する面を切断面とした場合のホモダイン検波光学系20の断面図をそれぞれ示している。
【0051】
説明を図3に戻す。
ウォラストンプリズム33にて得られる上記4つの各光線は、集光レンズ34を介することで、第1光検出部PD1〜第4光検出部PD4のうちそれぞれ対応する1つに形成されている受光素子(後述するフォトダイオード)上に集光する。
【0052】
なお、ホモダイン検波光学系の構成は、上記により説明したホモダイン検波光学系20の構成に限定されるべきものではない。
例えば上記説明では、無偏光回折素子31による0次光を利用する光学系としたが、無偏光回折素子として、0次光を消光するように構成されたものを用い、±1次光を用いて光線L1〜光線L4を生成するように光学系を設計することもできる。
また、上記説明では、角度選択性位相差板として光軸に対して傾いた結晶光学軸を有するものを用いたが、光軸に平行な方向の結晶光学軸を有する角度選択性位相差板により位相差を付与するように構成することもできる。
【0053】
図5は、実施の形態の再生装置が備える信号生成系及びサーボ制御系の構成についての説明図である。
本実施の形態の再生装置には、位置制御用受光部22による受光信号D_psに基づき2軸アクチュエータ16(対物レンズ15)についてのサーボ制御を行うための構成として、エラー信号生成回路35、及びサーボ回路36が設けられる。
また当該再生装置には、第1光検出部PD1による受光信号D_hm1、第2光検出部PD2による受光信号D_hm2、第3光検出部PD3による受光信号D_hm3、第4光検出部PD2による受光信号D_hm4に基づき、光記録媒体1に記録された信号を再生した信号としての、RF信号を生成する再生信号生成部37が設けられる。
なお、再生信号生成部37の内部構成については後に改めて説明する。
【0054】
エラー信号生成回路35は、位置検出用受光部22からの受光信号D_psに基づき、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEを生成する。
また、サーボ回路36は、エラー信号生成回路35にて生成されたフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに基づき、フォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号をそれぞれ生成する。そして、これらフォーカスサーボ信号、トラッキングエラー信号から生成したフォーカスドライブ信号FD、トラッキングドライブ信号TDにより、光学ピックアップOP内の2軸アクチュエータ16のフォーカスコイル、トラッキングコイルをそれぞれ駆動する。
これにより、対物レンズ15についてのフォーカスサーボループ、トラッキングサーボループが形成され、フォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御が実現される。
【0055】
<3.受光増幅部の構成>

ここで、前述もしたように、従来の位相ダイバーシティ方式は、位相差が0°、180°、90°、270°の信号光と参照光の各組についての受光信号IPD1、IPD2、IPD3、IPD4として、検出対象であるAC成分以外のDC成分も含む信号を用いた演算を行うことを前提とした手法とされている。そしてこの点より、従来の位相ダイバーシティ方式では、I/V変換時の信号増幅としても、DC成分を含んだ受光信号を対象として行われることになる。
【0056】
しかしながら、ホモダイン検波で得られるDC成分はAC成分に対してその振幅が非常に大であるため(先の図15を参照)、増幅器のダイナミックレンジを考慮すると、真に検出したいAC成分の増幅率を有効に高めることができない。すなわち、増幅器のダイナミックレンジを考慮すると、AC成分単体について増幅するとした場合と比較して、増幅器の増幅率はより低く抑えなければならいものであり、従ってこの点より、DC成分を含む状態で信号増幅を行う従来の位相ダイバーシティ方式は、AC成分の増幅率を有効に高めることができないこととなる。
【0057】
そこで本実施の形態では、AC成分の増幅率を高めて従来よりもSNR(信号対雑音比)の向上が図られるようにすべく、各光検出部PDを以下のように構成することとした。
図6は、各光検出部PD(受光増幅部)の構成を示している。
この図6を参照して分かるように、本実施の形態では、受光素子としてのフォトダイオード(40〜43)とI/V変換アンプ(IV-1〜IV-4)とをそれぞれAC結合するものとしている。
【0058】
具体的に、第1光検出部PD1について見ると、フォトダイオード40と抵抗R2との直列接続回路が形成され、当該直列接続回路にバイアス電圧が印加されている。そして、フォトダイオード40と抵抗R2との接続点からの出力電流が、カップリングコンデンサCcを介してI/V変換アンプIV-1に供給される。図のようにI/V変換アンプIV-1は、オペアンプampと帰還抵抗R1とを有して構成される。
なお、他の光検出部PD2、PD3、PD4の構成については、フォトダイオードの符号がそれぞれ41、42、43となり、またI/V変換アンプの符号がそれぞれIV-2、IV-3、IV-4と置き換わるのみで、その構成自体は第1光検出部PD1と同様となるため重複説明は避ける。
【0059】
図のように第1光検出部PD1におけるI/V変換アンプIV-1による増幅後の信号が、先に説明した受光信号D_hm1となる。同様に、第2光検出部PD2におけるI/V変換アンプIV-2、第3光検出部PD3におけるI/V変換アンプIV-3、第4光検出部PD4におけるI/V変換アンプIV-4による増幅後の信号が、それぞれ受光信号D_hm2、D_hm3、D_hm4となる。
【0060】
上記のように本実施の形態では、受光素子とI/V変換アンプとをそれぞれAC結合するものとしている。すなわち、DC成分を除去しAC成分のみを抽出した信号について、それぞれ増幅を行うようにしたものである。
AC成分のみを有効に増幅できるので、DC成分を含む状態での信号増幅を行う従来の位相ダイバーシティ方式を採用する場合よりも、I/V変換アンプにおける信号増幅率を高めることができる。つまりその結果、再生信号(RF信号)のSNRの改善を図ることができる。
【0061】
ここで、以下の説明において、上記のようなAC結合の構成を採ることでDC成分が除去された(AC成分が抽出された)ものとして得られる受光信号D_hm1、D_hm2、D_hm3、D_hm4のことを、それぞれ信号I、信号J、信号K、信号Lとも表記する。
【0062】
ところで、図6に示す本実施の形態の光検出部PDの構成を採用することによっては、AC結合による高増幅率化に伴うSNRの向上と共に、以下のような効果も得ることができる。
【0063】
図7は、差動検出の実現のために採り得る従来構成についての説明図である。
図7Aは、差動検出を実現するための回路構成を示し、図7Bはフォトダイオードの接続形態を表す構造図(断面図)を示している。
先ず前提として、前述のように位相ダイバーシティ方式では、位相差0°の信号光と参照光についての受光信号と位相差180°の信号光と参照光についての受光信号の組、及び位相差90°の信号光と参照光についての受光信号と位相差270°の信号光と参照光についての受光信号の組のそれぞれについて、その差分を計算するようにされる(いわゆる差動検出:前述のIPD1−IPD2=Sig1、IPD3−IPD4=Sig2に相当)。
従来、このような差動検出は、受光系の構成を図7Aに示すような構成とすることで実現するようにされたものがある。
【0064】
具体的に、図7Aに示すように、フォトダイオード111のアノードとフォトダイオード112のカソードとを接続した直列接続回路を形成する。当該直列接続回路には、フォトダイオード111及びフォトダイオード112を電流モードで動作させるための逆方向バイアス電圧を印加する。
そして、フォトダイオード111のアノードとフォトダイオード112のカソードとの接続点から出力される電流を、オペアンプampと帰還抵抗R1とで構成されるI/V変換アンプ113に入力する。
【0065】
ここで、上記のような構成によると、フォトダイオード111を流れる電流I1とフォトダイオード112を流れる電流I2は逆相の関係となる。従って、これらフォトダイオード111とフォトダイオード112との接続点からI/V変換アンプ113に流れる電流成分は、図のように「I1−I2」と表すことができる。
この点からも理解されるように、図7Aに示す構成によれば、その出力として、フォトダイオード111による受光信号とフォトダイオード112による受光信号との差動検出が実現されるものである。
このような構成により、差動検出を行うための減算部(後述するアナログ減算回路50,51)は省略することができる。
【0066】
しかしながら、図7Aに示すような構成を採った場合は、図7Bに示されるように、フォトダイオード111のアノード電極Taとフォトダイオード112のカソード電極Tkとの間を配線により接続しなければならない。このため、これらフォトダイオード111,112は分離して形成しなければならず、従って同一基板上に形成することができない。結果、図7Aに示したようなフォトダイオードの直列接続回路は、その作製が非常に困難なものとなる。
また、I/V変換アンプ113を含むIC(Integrated Circuit)化も非常に困難となるという問題もある。
【0067】
これに対し、先の図6に示した本実施の形態の受光増幅部の構成によれば、各フォトダイオードに関して、アノードとカソードを接続する必要性はないため、各フォトダイオードを同一基板上に容易に形成することができる。
さらには、I/V変換アンプを含むIC化も容易となる。
【0068】
図8は、4つのフォトダイオード40〜43の同一の基板44への形成例を示した図である。
この図8に示されるように、本実施の形態では、フォトダイオード40〜43を同一の基板(半導体基板)44に形成することができる。これは、本実施の形態においては、各光検出部PD間でフォトダイオード同士の配線による接続を要しないためである。
なお、本実施の形態の場合、4つのフォトダイオード40〜43の縦方向及び横方向の配置間隔は共に距離Dsで同じとされる。具体的に本例の場合、Ds=0.5mm程度に設定されているとする。
【0069】
ここで、図示による説明は省略したが、本実施の形態において、図6に示した光検出部PD1〜PD4は、同一IC上に形成されている(つまり1チップ上に形成されている)とする。
【0070】
<4.AC結合方式の採用による問題点>

上記のようにAC結合方式を採用した本実施の形態によれば、I/V変換アンプにおける増幅率を従来より高めることができ、再生信号のSNRの改善を図ることができる。
しかしながら、DC成分を除去した信号を用いて、従来の位相ダイバーシティ方式による演算をそのまま行ってしまうと、信号再生を正しく行うことができないことが判明した。
以下、この点について説明する。
【0071】
先ずは、従来の位相ダイバーシティ方式(含DC成分)を数式により表す。
ここで、以下の数式で用いる各記号の定義を示しておく。

R:参照光成分
A:光記録媒体の記録面に形成されるミラー面(ランド部分)の反射成分
f:ピットの有/無に応じた変調成分
t:サンプリング時間
φ:ピットの深さに相当する位相差
θ:信号光と参照光の光路長差(主に光記録媒体1の面ブレに起因して生じる)

なお確認のために述べておくと、下記の[式8]〜[式14]では、従来の位相ダイバーシティ方式についての数式を、AC成分(主にfの成分)とDC成分とを区別したかたちで表現しているものであり、この点で、先の[式1]〜[式7]と表記が異なるものとなっている。
【0072】
先ず、従来の位相ダイバーシティ方式における各受光信号IPD1、IPD2、IPD3、IPD4は、以下の[式8]〜[式11]と表すことができる。


【数8】


【数9】


【数10】


【数11】


また、これら[式8]〜[式11]より、差分信号Sig1、差分信号Sig2は下記の[式12][式13]のように表すことができる。


【数12】


【数13】


さらに、これら差分信号Sig1、差分信号Sig2を二乗加算した「Sig12+Sig22」については、[式14]のように表すことができる。


【数14】

【0073】
ここで、上記の[式8]〜[式14]を踏まえた上で、先の図6の構成によりDC成分が除去されたものとして得られる受光信号I、J、K、Lを用い、上記と同様の差分信号の演算(つまりこの場合はI−J=a、K−L=b)を行った場合、その結果は、次の[式15][式16]にそれぞれ示すものとなる。


【数15】


【数16】


つまり、差分信号aについては、従来の差分信号Sig1を表す[式12]からDC成分に相当する「ARcosθ」が除去されたものとなり、また差分信号bについては、従来の差分信号Sig2を表す[式13]からDC成分に相当する「ARsinθ」が除去されたものと表すことができる。
【0074】
これら[式15][式16]に表される差分信号a、差分信号bを用いて、従来の位相ダイバーシティ方式と同様にこれらの二乗加算を計算すると、その結果は、次の[式17]に示すものとなる。


【数17】

【0075】
ここで、ピットによる変調成分としての「f」の値は、その符号として正又は負をとり得るものである。換言すれば、当該「f」の符号を再生できなければ、正しい再生信号値を得ることができないものである。
【0076】
この点を考慮すると、上記[式17]のような二乗加算結果(=f22)が得られることによると、当該二乗加算結果について従来の位相ダイバーシティ方式と同様にその平方根を計算したとしても、「f」の符号を正しく再生することができないことが分かる。つまりこの点で、AC結合によりDC成分を除去する構成を採った場合は、単純に従来の位相ダイバーシティ方式による演算をそのまま行ってしまうと、信号再生を正しく行うことができないものである。
【0077】
<5.実施の形態の再生信号生成手法>

そこで本実施の形態では、従来の位相ダイバーシティ方式による演算とは異なる演算を行うことで、AC結合方式を採用する場合にも、信号光と参照光の光路長差の影響を受けない(つまり光路長サーボを省略可能な)信号再生を行うことができるようにする。
【0078】
ここで、先の[式15][式16]に示した差分信号a、差分信号bをそれぞれ参照すると、仮に、「cos(φ−θ)」「sin(φ−θ)」の値を正しく抽出することができれば、

「a・cos(φ−θ)+b・sin(φ−θ)」

という計算を行うことにより、後の[式20]に表されるように、これら「cos(φ−θ)」「sin(φ−θ)」の成分を消すことができ、結果、ピットによる変調成分「f」が参照光成分「R」に応じて増幅された信号を得ることができる。すなわち、「f」の符号が保たれた正しい再生信号値を得ることができる。
【0079】
この点を踏まえ本実施の形態では、以下のような手法により再生信号の算出を行うものとする。
【0080】
図9は、本実施の形態の再生信号生成手法について説明するためのフローチャートである。
図9において、先ずステップS101においては、「2ab」「a2−b2」の計算を行う。
すなわち、受光信号I〜Lについて、「I−J=a」「K−L=b」を計算した上で、「2ab」「a2−b2」による演算を行う。これら「2ab」「a2−b2」を数式で表現すると、それぞれ[式18][式19]のようになる。


【数18】


【数19】

【0081】
「2ab」「a2−b2」を計算した後は、ステップS102において、LPF(ローパスフィルタ)により「2ab」「a2−b2」における「f」の成分をそれぞれ除去する。すなわち、高周波成分としての「f」の成分をLPFによりそれぞれ除去するものである。
これにより、「2ab」については

「sin[2(φ−θ)]」

という結果が得られ、また「a2−b2」については

「cos[2(φ−θ)]」

という結果が得られる。
【0082】
以下、「2ab」をローパスフィルタリングして得られる「sin[2(φ−θ)]」のことを「信号c」と表記する。
また、「a2−b2」をローパスフィルタリングして得られる「cos[2(φ−θ)]」は「信号d」と表記する。
【0083】
ここで、上記のように「f」の成分が除去され、それぞれsin、cosの成分が抽出された信号c=sin[2(φ−θ)]、信号d=cos[2(φ−θ)]が得られれば、これらの値を用いて、「φ−θ」の値を算出できる。
【0084】
具体的に、ステップS102によるローパスフィルタリングを行った後は、ステップS103において、

「tan-1(c,d)/2」

により「φ−θ」の値を計算する。
確認のため述べておくと、「tan-1」は逆三角関数(arctan)を意味するものである。
【0085】
なお、当該ステップS103による計算においては、算出される「φ−θ」の値について、「φ−θ+π」と「φ−θ」とを区別することができないが、一旦「φ−θ」の値を計算した後は連続になるように、サンプリング時間ごとに逐次計算を行ってゆく。
【0086】
ステップS103において「φ−θ」を計算した後は、ステップS104において、「sin(φ−θ)」「cos(φ−θ)」をそれぞれ計算する。
【0087】
ステップS104において「sin(φ−θ)」「cos(φ−θ)」の値をそれぞれ計算した後は、ステップS105において、差分信号a及び差分信号bと「sin(φ−θ)」「cos(φ−θ)」の値とを用いて、

「a・cos(φ−θ)+b・sin(φ−θ)」

を計算する。すなわち、当該計算によりRF信号値を得るものである。
【0088】
ここで、ステップS105による計算結果を数式で表すと、次の[式20]に示すものとなる。


【数20】


前述もしたように、当該[式20]に示される演算を行うことで、差分信号a、差分信号bにそれぞれ含まれていた「cos(φ−θ)」「sin(φ−θ)」の成分を消すことができ、結果、ピットによる変調成分「f」が参照光成分「R」に応じて増幅された信号を得ることができる。つまりこの結果、「f」の符号が保たれた正しい再生信号値を得ることができるものである。
【0089】
なお確認のため述べておくと、図9にて説明した各演算は、サンプリング時間(t)ごとに逐次行われるものである。この点を考慮すると、上記[式20]については、

「f(t)R=a・cos(φ−θ)+b・sin(φ−θ)」

と表記することもできる。
【0090】
上記のように本実施の形態の再生信号生成手法によれば、AC結合方式を採用する場合にも、信号光と参照光の光路長差(θ)の影響を受けない(つまり光路長サーボを省略可能な)信号再生を実現することができる。
すなわち、ホモダイン方式による信号再生システムとして、AC結合方式の採用により従来の位相ダイバーシティ方式よりも再生信号のSNRの向上を図りつつ、光路長サーボを不要とした信号再生を実現することができる。
【0091】
<6.再生信号生成部の構成>

図10は、上記により説明した本実施の形態としての再生信号生成手法を実現するための再生信号生成部37の構成を示した図である。
この図10に示されるように、再生信号生成部37には、アナログ減算回路50、アナログ減算回路51、第1演算部52、第2演算部53、LPF54、LPF55、第3演算部56、第4演算部57、第5演算部58、乗算部59、乗算部60、及び加算部61が設けられている。
【0092】
図示するように受光信号I(D_hm1)、受光信号J(D_hm2)はアナログ減算回路50に入力され、受光信号K(D_hm3)、受光信号L(D_hm4)はアナログ減算回路51に入力される。
アナログ減算回路50においては「I−J」が計算され、これにより差分信号aが得られる。
またアナログ減算回路51においては「K−L」が計算されて差分信号bが得られる。
【0093】
アナログ減算回路50にて得られた差分信号aは、乗算部59に供給されると共に、第1演算部52及び第2演算部53に供給される。
また、アナログ減算回路51で得られた差分信号bは乗算部60に供給されると共に、第1演算部52及び第2演算部53に供給される。
【0094】
第1演算部52は、差分信号a,bに基づき「2ab」を計算する。
また第2演算部53は、差分信号a,bに基づき「a2−b2」を計算する。
【0095】
LPF54は、第1演算部52で得られた「2ab」としての信号についてローパスフィルタリングを行って、「f」の成分を除去する。すなわちこれにより、前述した信号cが得られる。
またLPF55は、第2演算部53で得られた「a2−b2」としての信号についてローパスフィルタリングを行って「f」の成分を除去し、これにより前述した信号dを得る。
【0096】
第3演算部56は、信号c及び信号dに基づき、「tan-1(c,d)/2」を計算し、「φ−θ」の値を得る。
なお先の説明からも理解されるように、第3演算部56では、「φ−θ」の位相状態(+πか否か)が正確に表されるべく、一旦「φ−θ」の値を計算した後は連続になるようにサンプリング時間ごとに逐次計算を行ってゆく。
【0097】
第4演算部57は、第3演算部56で計算された「φ−θ」の値を用いて「cos(φ−θ)」の値を計算する。
また第5演算部58は、第3演算部56で計算された「φ−θ」の値を用いて「sin(φ−θ)」の値を計算する。
第4演算部57で計算された「cos(φ−θ)」の値は乗算部59に供給され、第5演算部58で計算された「sin(φ−θ)」の値は乗算部60に供給される。
【0098】
乗算部59は、差分信号aの値に「cos(φ−θ)」の値を乗算する。すなわち、「a・cos(φ−θ)」を計算する。
また乗算部60は、差分信号bの値に「sin(φ−θ)」の値を乗算することで「b・sin(φ−θ)」を計算する。
【0099】
加算部61は、乗算部59の乗算結果と乗算部60の乗算結果とを加算することで、先の[式20]として示した「a・cos(φ−θ)+b・sin(φ−θ)=fR」を計算する。
これにより、光記録媒体1においてピットの有無のパターンで記録された信号を再生したRF信号が得られる。
【0100】
ここで、参考として、以下の図11〜図13に再生信号生成部37内の各部で得られる信号波形の例を示しておく。
図11において、図11AはAC結合を行わない従来システムで得られる差分信号Sig1,Sig2の波形を示し、図11Bは本実施の形態の差分信号a,bの波形を示している。また図11CはLPF前の「2ab」及び「a2−b2」(aa−bb)の波形を示している。
また図12において、図12AはLPF後の「2ab」及び「a2−b2」(aa−bb)の波形を示し、図12Bは「cos(φ−θ)」及び「sin(φ−θ)」の波形を示している。
また図13において、図13Aは「a・cos(φ−θ)」及び「b・sin(φ−θ)」の波形を示し、図13Bは「a・cos(φ−θ)+b・sin(φ−θ)」の波形、すなわちRF信号の波形を示している。
【0101】
ここで、これら各図(図11Aは除く)を参照すると、本実施の形態の場合における各信号は、RF信号を含めて、DC成分が除去された信号であることが確認できる。
【0102】
<7.変形例>

以上、本技術に係る実施の形態について説明したが、本技術としてはこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えば光学系の構成は、実際の実施形態に応じて適宜最適とされる構成が採られればよく、これまでで説明した構成に限定されるべきものではない。
【0103】
また、再生信号の生成(演算)手法についても、上記により説明した手法に限定されるべきものではない。
本技術の再生信号生成手法は、少なくとも、差分信号a,bに含まれるcos、sinの成分を取り出し、それらの値を利用して差分信号a,bに含まれるcos、sinの成分が除去されるようにすることで、再生信号として、信号光と参照光の光路長差の影響を受けず且つ「f」の符号を正しく再現した信号が得られるようにするものであればよい。
【0104】
また、再生対象とする光記録媒体については、ROM型の光記録媒体を例示したが、本技術は、光記録媒体一般に広く好適に適用可能なものであり、もちろん、記録可能型の光記録媒体についての信号再生にも好適に適用できる。
【0105】
また、本技術は、以下に示す構成とすることもできる。
(1)
光記録媒体からの戻り光としての信号光と、コヒーレント光としての参照光とを生成し、それらを重ね合わせて出射する光生成・出射部と、
上記光生成・出射部より出射された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光から、それぞれ位相差が0°、90°、180°、270°となる信号光と参照光の組をそれぞれ生成する検波光学系と、
位相差が0°による上記信号光と参照光の組を第1受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第1受光素子とAC結合された第1I/V変換アンプにより増幅して第1受光信号を得る第1受光増幅部と、
位相差が180°による上記信号光と参照光の組を第2受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第2受光素子とAC結合された第2I/V変換アンプにより増幅して第2受光信号を得る第2受光増幅部と、
位相差が90°による上記信号光と参照光の組を第3受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第3受光素子とAC結合された第3I/V変換アンプにより増幅して第3受光信号を得る第3受光増幅部と、
位相差が270°による上記信号光と参照光の組を第4受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第4受光素子とAC結合された第4I/V変換アンプにより増幅して第4受光信号を得る第4受光増幅部と、
上記第1受光信号と上記第2受光信号の差分を計算することで、

「fRcos(φ−θ)」

(但し、Rは上記光記録媒体の記録面に形成されるミラー面(ランド部分)の反射成分、fは上記ピットの有/無に応じた変調成分、φは上記ピットの深さに相当する位相差、θは上記信号光と上記参照光の光路長差である)
により表される第1差分信号を生成する第1差分信号生成部と、
上記第3受光信号と上記第4受光信号の差分を計算することで、

「fRsin(φ−θ)」

により表される第2差分信号を生成する第2差分信号生成部と、
上記第1差分信号と上記第2差分信号とに基づき、sin(φ−θ)及びcos(φ−θ)の値をそれぞれ算出するsin・cos計算部と、
上記第1差分信号、上記第2差分信号、上記sin(φ−θ)、上記cos(φ−θ)の値を用いた演算により、再生信号を生成する再生信号生成部と
を備える再生装置。
(2)
上記第1差分信号をa、上記第2差分信号をbとしたとき、
上記sin・cos計算部は、
「2ab」及び「a2−b2」を計算し、それらをローパスフィルタリングして得た信号に基づき上記sin(φ−θ)及び上記cos(φ−θ)の値をそれぞれ算出する
上記(1)に記載の再生装置。
(3)
上記「2ab」及び上記「a2−b2」について上記ローパスフィルタリングを行って得た信号をそれぞれc、dとしたとき、
上記sin・cos計算部は、
「tan-1(c,d)/2」による計算を行うことで(φ−θ)を算出し、当該(φ−θ)の値を用いて上記sin(φ−θ)及び上記cos(φ−θ)の値をそれぞれ得る
上記(2)に記載の再生装置。
(4)
上記第1差分信号をa、上記第2差分信号をbとしたとき、
上記再生信号生成部は、

「a・cos(φ−θ)+b・sin(φ−θ)」

による演算を行って上記再生信号を生成する
上記(1)〜(3)に記載の再生装置。
(5)
上記第1〜第4受光素子が同一基板上に形成されている上記(1)〜(4)に記載の再生装置。
(6)
上記第1〜第4受光増幅部が同一IC(Integrated Circuit)に形成されている上記(1)〜(5)に記載の再生装置。
【符号の説明】
【0106】
1 光記録媒体、2 カバー層、3 記録層、4 基板、10 レーザ、11 コリメーションレンズ、12,30 1/2波長板、13,19 偏光ビームスプリッタ、14,17 1/4波長板、15 対物レンズ、16 2軸アクチュエータ、18 ミラー、20 ホモダイン検波光学系、21,34 集光レンズ、22 位置制御用受光部、25 スピンドルモータ(SPM)、PD1 第1光検出部、PD2 第2光検出部、PD3 第3光検出部、PD4 第4光検出部、OP 光学ピックアップ、31 無偏光回折素子、32 角度選択性位相差板、33 ウォラストンプリズム、35 エラー信号生成回路、36 サーボ回路、37 再生信号生成部、40,41,42,43 フォトダイオード、R1 帰還抵抗、R2 抵抗、Cc カップリングコンデンサ、amp オペアンプ、IV-1,IV-2,IV-3,IV-4 I/V変換アンプ、44 基板(半導体基板)、50,51 アナログ減算回路、52 第1演算部、53 第2演算部、54,55 LPF、56 第3演算部、57 第4演算部、58 第5演算部、59,60 乗算部、61 加算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光記録媒体からの戻り光としての信号光と、コヒーレント光としての参照光とを生成し、それらを重ね合わせて出射する光生成・出射部と、
上記光生成・出射部より出射された上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光から、それぞれ位相差が0°、90°、180°、270°となる信号光と参照光の組をそれぞれ生成する検波光学系と、
位相差が0°による上記信号光と参照光の組を第1受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第1受光素子とAC結合された第1I/V変換アンプにより増幅して第1受光信号を得る第1受光増幅部と、
位相差が180°による上記信号光と参照光の組を第2受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第2受光素子とAC結合された第2I/V変換アンプにより増幅して第2受光信号を得る第2受光増幅部と、
位相差が90°による上記信号光と参照光の組を第3受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第3受光素子とAC結合された第3I/V変換アンプにより増幅して第3受光信号を得る第3受光増幅部と、
位相差が270°による上記信号光と参照光の組を第4受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第4受光素子とAC結合された第4I/V変換アンプにより増幅して第4受光信号を得る第4受光増幅部と、
上記第1受光信号と上記第2受光信号の差分を計算することで、

「fRcos(φ−θ)」

(但し、Rは上記光記録媒体の記録面に形成されるミラー面(ランド部分)の反射成分、fは上記ピットの有/無に応じた変調成分、φは上記ピットの深さに相当する位相差、θは上記信号光と上記参照光の光路長差である)
により表される第1差分信号を生成する第1差分信号生成部と、
上記第3受光信号と上記第4受光信号の差分を計算することで、

「fRsin(φ−θ)」

により表される第2差分信号を生成する第2差分信号生成部と、
上記第1差分信号と上記第2差分信号とに基づき、sin(φ−θ)及びcos(φ−θ)の値をそれぞれ算出するsin・cos計算部と、
上記第1差分信号、上記第2差分信号、上記sin(φ−θ)、上記cos(φ−θ)の値を用いた演算により、再生信号を生成する再生信号生成部と
を備える再生装置。
【請求項2】
上記第1差分信号をa、上記第2差分信号をbとしたとき、
上記sin・cos計算部は、
「2ab」及び「a2−b2」を計算し、それらをローパスフィルタリングして得た信号に基づき上記sin(φ−θ)及び上記cos(φ−θ)の値をそれぞれ算出する
請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
上記「2ab」及び上記「a2−b2」について上記ローパスフィルタリングを行って得た信号をそれぞれc、dとしたとき、
上記sin・cos計算部は、
「tan-1(c,d)/2」による計算を行うことで(φ−θ)を算出し、当該(φ−θ)の値を用いて上記sin(φ−θ)及び上記cos(φ−θ)の値をそれぞれ得る
請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
上記第1差分信号をa、上記第2差分信号をbとしたとき、
上記再生信号生成部は、

「a・cos(φ−θ)+b・sin(φ−θ)」

による演算を行って上記再生信号を生成する
請求項1に記載の再生装置。
【請求項5】
上記第1〜第4受光素子が同一基板上に形成されている請求項1に記載の再生装置。
【請求項6】
上記第1〜第4受光増幅部が同一IC(Integrated Circuit)に形成されている請求項1に記載の再生装置。
【請求項7】
光記録媒体からの戻り光としての信号光と、コヒーレント光としての参照光とを生成し、それらを重ね合わせて出射する光生成・出射手順と、
上記光生成・出射手順より出射した上記信号光と上記参照光の重ね合わせ光から、それぞれ位相差が0°、90°、180°、270°となる信号光と参照光の組をそれぞれ生成する検波光生成手順と、
位相差が0°による上記信号光と参照光の組を第1受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第1受光素子とAC結合された第1I/V変換アンプにより増幅して第1受光信号を得る第1受光増幅手順と、
位相差が180°による上記信号光と参照光の組を第2受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第2受光素子とAC結合された第2I/V変換アンプにより増幅して第2受光信号を得る第2受光増幅手順と、
位相差が90°による上記信号光と参照光の組を第3受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第3受光素子とAC結合された第3I/V変換アンプにより増幅して第3受光信号を得る第3受光増幅手順と、
位相差が270°による上記信号光と参照光の組を第4受光素子により受光し、その受光光量に応じた信号を上記第4受光素子とAC結合された第4I/V変換アンプにより増幅して第4受光信号を得る第4受光増幅手順と、
上記第1受光信号と上記第2受光信号の差分を計算することで、

「fRcos(φ−θ)」

(但し、Rは上記光記録媒体の記録面に形成されるミラー面(ランド部分)の反射成分、fは上記ピットの有/無に応じた変調成分、φは上記ピットの深さに相当する位相差、θは上記信号光と上記参照光の光路長差である)
により表される第1差分信号を生成する第1差分信号生成手順と、
上記第3受光信号と上記第4受光信号の差分を計算することで、

「fRsin(φ−θ)」

により表される第2差分信号を生成する第2差分信号生成手順と、
上記第1差分信号と上記第2差分信号とに基づき、sin(φ−θ)及びcos(φ−θ)の値をそれぞれ算出するsin・cos計算手順と、
上記第1差分信号、上記第2差分信号、上記sin(φ−θ)、上記cos(φ−θ)の値を用いた演算により、再生信号を生成する再生信号生成手順と
を有する再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−54801(P2013−54801A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192308(P2011−192308)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】