説明

再生装置、再生装置の制御プログラム、および再生装置の制御プログラムを記録した記録媒体

【課題】入力された映像信号に基づく画像の再生結果を考慮して適切な鮮鋭感となるように調整する再生装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るテレビは、映像信号に対して、画像の鮮鋭感を増すように調整するシャープネス部24、調整された映像信号に基づき再生された画像の鮮鋭感を表す値である鮮鋭度を算出する鮮鋭感評価部25と、算出された鮮鋭度に応じて、上記シャープネス部24による、上記映像信号に対する調整量を決定する強度制御部26とを備え、シャープネス部24は、強度制御部26によって決定された調整量に応じて、映像信号に対する調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された映像信号に基づく画像を再生する再生装置に関するものである。特には、上記映像信号に対して、画像の見た目の鮮鋭感を増すように調整することができる再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビや、パーソナルコンピュータなどが備えるディスプレイにて表示する画像の画質は、デジタルハイビジョン放送のような高精細なものや、携帯電話機のカメラ機能で撮影した動画像データのような粗いものなど様々である。
【0003】
また、近年表示ディスプレイの大型化が進み、高精細のフルハイビジョン用液晶表示ディスプレイが増大してきた。しかし、例えば1920×1080画素の大型のフルハイビジョン用液晶表示ディスプレイに、フルハイビジョン用の解像度に満たない画像を画像処理により引き伸ばして表示するときなどは鮮鋭感に乏しい絵作りとなっていた。
【0004】
このように、様々な画質の画像を適切に表示できるようにするため、ディスプレイでは、画像データの入力形式(伝送形式)、あるいはディスプレイの表示能力にあわせて画像処理するように工夫されている。
【0005】
ディスプレイの表示能力にあわせて画像処理する例としては、ディスプレイにあわせて出力画像信号を変換する特許文献1に示す画像信号変換装置が開示されている。具体的には、この特許文献1に示す画像信号変換装置では、ディスプレイのデバイス種類に対応した画質情報を読出し、該画質情報に応じて、出力画像信号を変換させる。このため、出力画像信号による画像の画質を、ディスプレイに適応したものとすることができる。
【特許文献1】特開2001−309315号公報(2001年11月2日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の構成では、入力された映像信号に基づく画像の再生結果を考慮して適切な鮮鋭感となるように自動的に調整することができないという問題を生じる。
【0007】
例えば、1080pなど高解像度の画像を伝送できる伝送形式にて画像が入力される場合であっても、該画像がアップコンバードされた低解像度画像である場合がある。このような場合、高解像度の画像を伝送できる伝送形式にて画像データが入力されたとしても、実効解像度は低くなる。しかしながら、画像データの入力形式(伝送形式)にあわせて、画像データの鮮鋭感を調整する構成では、このような場合、高解像度の画像に対する鮮鋭感の調整量を、低解像度画像に適応することとなり、結果として鮮鋭感に乏しい絵作りとなる。
【0008】
また、特許文献1の画像信号変換装置のように、ディスプレイに適応させて出力画像信号を変換させる構成でも、入力画像において上述のように実効解像度の低い絵が含まれている場合、この絵を考慮した鮮鋭感となるように調整された出力画像とはならない。
【0009】
すなわち、上記従来の構成ではいずれも、入力された映像信号に基づく画像の再生結果を考慮して適切な鮮鋭感となるように自動的に調整することができない。もし、再生結果を考慮して鮮鋭感を調整する場合、このような従来の構成では、ユーザがこの再生結果を見て手動で行わなければならないこととなる。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、入力された映像信号に基づく画像の再生結果を考慮して適切な鮮鋭感となるように自動的に調整することができる再生装置、再生装置の制御プログラム、および再生装置の制御プログラムを記録した記録媒体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る再生装置は、上記した課題を解決するために、入力された映像信号に基づく画像を再生する再生装置であって、上記映像信号に対して、該映像信号に基づく画像の見た目の鮮鋭感を増すように調整するシャープネス調整手段を少なくとも有し、映像信号に基づき再生された画像の再生結果を調整する調整手段と、上記調整手段によって調整された映像信号に基づき再生された画像の鮮鋭感を表す値である鮮鋭度を算出する鮮鋭度算出手段と、上記鮮鋭度算出手段によって算出された鮮鋭度に応じて、上記シャープネス調整手段による、上記映像信号に対する調整量を決定する調整量決定手段とを備え、上記シャープネス調整手段は、上記調整量決定手段によって決定された調整量に応じて、上記映像信号に対する調整を行うことを特徴とする。
【0012】
上記した構成によると、調整手段を備えるため、入力された映像信号の再生結果が良好となるように調整することができる。特に、調整手段が、少なくとも、シャープネス調整手段を有するため映像信号に基づく再生結果の鮮鋭度を調整することができる。
【0013】
また、鮮鋭度算出手段および調整量決定手段を備えるため、上記調整手段によって調整された後の映像信号に基づき画像の鮮鋭感を求めることができる。そして、この求めた鮮鋭感に応じて、シャープネス調整手段による、上記映像信号に対する調整量を決定することができる。
【0014】
このように、本発明に係る再生装置は、調整手段により調整処理された後の映像信号に基づく画像の鮮鋭度を評価して、映像信号に対するシャープネス調整手段の調整量を決定することができる。
【0015】
また、調整処理された後の映像信号に基づく画像に対するシャープネス調整を、従来なら画像の再生結果を見てユーザが手動で行わなければならなかったところを本発明に係る再生装置では自動的に調整することができる。
【0016】
したがって、本発明に係る再生装置は、入力された映像信号に基づく画像の再生結果を考慮して適切な鮮鋭感となるように自動的に調整することができるという効果を奏する。
【0017】
本発明に係る再生装置は、上記した構成において、上記映像信号に基づき出力される画像が有する上記鮮鋭度として、予め規定された値である目標鮮鋭度を記憶する記憶装置を備え、上記調整量決定手段は、上記鮮鋭度算出手段によって算出された鮮鋭度と、上記記憶装置に記憶された目標鮮鋭度とを比較し、上記調整量を決定するように構成されていてもよい。
【0018】
また、本発明に係る再生装置は、上記した構成において、上記記憶装置は、上記調整量として上記シャープネス調整手段によって調整できる範囲を規定した調整量範囲情報をさらに記憶しており、上記調整量決定手段は、上記鮮鋭度算出手段によって算出された鮮鋭度と、上記記憶装置に記憶された目標鮮鋭度とを比較し、該鮮鋭度が該目標鮮鋭度よりも小さい場合は、上記調整量範囲情報により規定されている範囲内で調整量を大きくし、該鮮鋭度が該目標鮮鋭度よりも大きい場合は、上記調整量範囲情報により規定されている範囲内で調整量を小さくするように構成されていてもよい。
【0019】
上記した構成によると、上記調整量決定手段は、上記鮮鋭度算出手段によって算出された鮮鋭度と、上記記憶装置に記憶された目標鮮鋭度とを比較し、上記調整量を決定するため、映像信号に基づき再生される画像の鮮鋭度として、目標とするレベルを満たすように、調整量を決定することができる。したがって、シャープネス調整手段によって調整される調整量を適切な値となるように決定できる。
【0020】
また、上記調整量決定手段は、上記調整量範囲情報により規定されている範囲内で調整量を大きくしたり、小さくしたりするため、シャープネス調整手段によって調整できる範囲を超えた調整量を決定することはない。このため、シャープネス調整手段による調整能力を鑑みて、適切な鮮鋭度が得られるような調整量を決定することができる。
【0021】
さらにまた、上記鮮鋭度算出手段による画像鮮鋭度の計算結果が、人間の鮮鋭度に対する感覚とかけ離れた結果となり、シャープネス調整手段による調整後の画像のシャープネス強度が強すぎたり、あるいは弱すぎたりする場合がある。シャープネス強度が強すぎる場合はノイズが強調され、画質低下を招き、弱すぎる場合は鮮鋭感を損ない好ましくない。本発明に係る再生装置では、上記調整量決定手段が上記調整量範囲情報により規定されている範囲内で調整量を大きくしたり、小さくしたりするため、上記鮮鋭度算出手段による画像鮮鋭度の計算結果が、人間の鮮鋭度に対する感覚とかけ離れた結果となることを防ぐことができる。
【0022】
また、本発明に係る再生装置は、上記した構成において、上記調整量決定手段は、上記映像信号に基づく画像が動画であるか静止画であるかを判定し、動画であると判定した場合、上記調整量範囲情報によって規定されている調整量の範囲を小さくするように決定する範囲決定手段を備えるように構成されていることが好ましい。
【0023】
ところで、動画の場合、画像の内容が大きく変化することが多いため、再生された画像の鮮鋭度の変化は大きいものとなる。このため、動画像の鮮鋭度を評価して、調整量をリアルタイムで決定するように構成すると、この調整量を逐次変更する必要があり、変更される調整量が大きくなると不安定な再生結果となってしまう。また、デジタル放送などの動画像ではブロックノイズが発生しやすく、強い強度で鮮鋭感を高めるように調整すると、このノイズを強調してしまう結果ともなる。
【0024】
本発明に係る再生装置は、範囲決定手段を備えているため、動画であると判定した場合、上記調整量範囲情報によって規定されている調整量の範囲を小さくすることができる。このため、入力された映像信号が動画の場合、シャープネス調整手段による映像信号に対する調整量を抑えることができるため、不安定な再生結果となることを抑制し、ブロックノイズを強調することを回避することができる。
【0025】
本発明に係る再生装置は、上記した構成において、上記鮮鋭度算出手段は、上記調整手段による調整後の映像信号に基づく画像においてエッジを検出し、画素ごとの鮮鋭度を算出する画素鮮鋭度算出手段と、上記画素鮮鋭度算出手段によって算出された画素ごとの鮮鋭度から画像全体での鮮鋭度を求める画像鮮鋭度算出手段とを備えるように構成されていてもよい。
【0026】
上記した構成によると、本発明に係る再生装置は、画素鮮鋭度算出手段を備えているため、調整手段により調整された、映像信号に基づく画像における画素ごとの鮮鋭度を求めることができる。さらに、画像鮮鋭度算出手段を備えるため、画素ごとの鮮鋭度から映像信号に基づく画像全体での鮮鋭度を求めることができる。
【0027】
このように、上記画素鮮鋭度算出手段および上記画像鮮鋭度算出手段によって鮮鋭度を求めるシンプルな構成であるため、ハードウェアとして組み込む場合、その組み込みにかかるコストを低減することができる。また、シンプルな構成で鮮鋭度を求めることができるため、鮮鋭度を求める部材をワンチップICとして高集積化することもできる。
【0028】
また、本発明に係る再生装置は、上記した構成において、上記調整手段は、上記シャープネス調整手段に加えて、上記映像信号に基づき再生された画像のノイズを低減させるノイズ低減手段をさらに備えており、上記シャープネス調整手段は、上記ノイズ低減手段によって上記画像のノイズが低減された映像信号に対して、画像の見た目の鮮鋭感を増すように調整するように構成されていてもよい。
【0029】
上記した構成によると、上記ノイズ低減手段によって上記画像のノイズが低減された映像信号に対して、画像の見た目の鮮鋭感を増すように調整することができる。このため、ノイズが除去され、高い鮮鋭感となる画像を再生することができる。
【0030】
また、本発明に係る再生装置は、上記した構成において、上記映像信号に基づき画像を再生するための表示部を有し、上記調整手段は、上記シャープネス調整手段に加えて、上記映像信号の解像度を、表示部が持つ固有の解像度に変換するための解像度変換手段をさらに備えており、上記シャープネス調整手段は、上記解像度変換手段によって解像度が変換された映像信号に対して、画像の見た目の鮮鋭感を増すように調整するように構成されていてもよい。
【0031】
上記した構成によると、解像度変換手段によって上記表示部が有する固有の解像度に変換した映像信号に対して、鮮鋭感を増すように調整することができる。例えば1920×1080画素の大型のフルハイビジョン用液晶表示ディスプレイに、フルハイビジョン用の解像度に満たない画像を画像処理により引き伸ばして表示するときなどにおいても鮮鋭感が低下しないように調整することができる。
【0032】
なお、上記再生装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記再生装置をコンピュータにて実現させる再生装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る再生装置は、以上のように、入力された映像信号に基づく画像を再生する再生装置であって、上記映像信号に対して、該映像信号に基づく画像の見た目の鮮鋭感を増すように調整するシャープネス調整手段を少なくとも有し、映像信号に基づき再生された画像の再生結果を調整する調整手段と、上記調整手段によって調整された映像信号に基づき再生された画像の鮮鋭感を表す値である鮮鋭度を算出する鮮鋭度算出手段と、上記鮮鋭度算出手段によって算出された鮮鋭度に応じて、上記シャープネス調整手段による、上記映像信号に対する調整量を決定する調整量決定手段とを備え、上記シャープネス調整手段は、上記調整量決定手段によって決定された調整量に応じて、上記映像信号に対する調整を行うことを特徴とする。
【0034】
したがって、本発明に係る再生装置は、入力された映像信号に基づく画像の再生結果を考慮して適切な鮮鋭感となるように調整することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の一実施形態について図1ないし図7に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、本実施の形態に係るテレビ1は、放送波を受信し、該放送波に基づき放送番組を再生したり、外部周辺機器から入力された映像信号を受付け、該映像信号の再生を行ったりすることができるものである。
【0036】
まず、図2を参照して、テレビ1の概略構成について説明する。図2は、本発明の実施形態を示すものであり、テレビ1の概略構成を示すブロック図である。
【0037】
テレビ1は、図2に示すように、その概略構成として、外部入出力部8、メモリ9、アンテナ10、チューナ部11、復調部12、音声処理部13、映像処理部14、音声出力部15、表示制御部16、スピーカ17、表示装置18、およびCPU19を備えてなる構成である。
【0038】
テレビ1が備える各部のうち、特にチューナ部11、復調部12、音声処理部13、映像処理部14、音声出力部15、および表示制御部16は、バス20を介して、CPU19と各種データや信号の入出力、またはCPU19からの各部に対する命令の受け渡しなどが行われるようになっている。すなわち、CPU19は、バス20を介して、チューナ部11、復調部12、音声処理部13、映像処理部14、音声出力部15、および表示制御部16の各種制御を行うことができる。
【0039】
テレビ1では、アンテナ10を介してチューナ部11が放送信号を受信し、復調部12にてこの放送信号を復調する。復調部12にて復調された放送信号は多重化されており、不図示の分離部によって映像信号および音声信号それぞれに分離される。分離された音声信号は、音声処理部13に出力され、映像信号は、映像処理部14に出力される。あるいは、外部入出力部8を介して不図示の外部周辺機器から映像信号が入力された場合、復調部12は、多重化された映像信号を、不図示の分離部によって映像信号および音声信号それぞれに分離する。分離された音声信号は、音声処理部13に出力され、映像信号は、映像処理部14に出力される。
【0040】
音声処理部13は、音声信号をデコードし、音声出力部15によって、スピーカ17から出力できる形式であるオーディオ出力信号に変換する。そして、音声処理部13は、変換したオーディオ出力信号を音声出力部15に送信する。音声出力部15は、受信したオーディオ出力信号を、表示装置18に出力される映像信号と同期をとって、スピーカ17に出力する。
【0041】
一方、映像処理部14は、映像信号をデコードし、表示装置18において適切に表示できるように映像信号のノイズを低減させたり、コントラストやシャープネス強度を調整したり、適切な表示サイズとなるように拡大または縮小したりするなど、画像処理を施す。映像処理部14において画像処理が施された映像信号は、表示制御部16に出力される。表示制御部16は、音声出力部15から出力される音声信号と同期をとって映像信号を表示装置18に出力する。
【0042】
なお、表示装置18は、表示制御部16から出力された映像信号を表示するものであり、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイ等によって実現できる。
【0043】
また、テレビ1は、読み書き可能な記録媒体としてメモリ9を備えており、該メモリ9には、CPU19が各種制御を実行する際に利用する情報やプログラムが格納されている。
【0044】
上記のような各部を備えるテレビ1では、映像処理部14において画像処理された結果を踏まえ、シャープネス強度を調整することができるようになっている。なお、シャープネス強度の調整とは、画像の輪郭などを強調することであり、輪郭部分の輝度勾配を高くすることにより、見た目のシャープ感を増すことができる。
【0045】
以下において本実施の形態に係るテレビ1が備える映像処理部14におけるシャープネス強度の調整処理について図1、図3〜図7を参照して説明する。
【0046】
(シャープネス強度の調整処理に係る構成)
シャープネス強度の調整処理に係る映像処理部14の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態を示すものであり、シャープネス強度の調整処理に係る映像処理部14の要部構成を示すブロック図である。
【0047】
映像処理部14は、図1に示すように、ノイズリダクション部21、スケーラ部22、コントラスト部23、シャープネス部24、鮮鋭感評価部25、および強度制御部26を備えてなる構成である。また、メモリ9には、映像信号に基づく画像が有する鮮鋭度の目標値である目標鮮鋭度91と、シャープネス部24において調整可能なシャープネス強度の範囲(シャープネス強度の最大値と最小値)を示す強度範囲情報92とが記憶されている。
【0048】
ノイズリダクション部21は、映像信号を分析してノイズ成分を抽出し、該ノイズ成分をカットするものである。ノイズリダクション部21は、ノイズ成分をカットした後の映像信号をスケーラ部22に出力する。
【0049】
なお、ノイズリダクション処理としては多くの手法を利用することができるが、本実施の形態に係るテレビ1では、シャープネス強度の調整の前処理として、このノイズリダクション処理を行っている。このため、本実施の形態に係るテレビ1で実行するノイズリダクション処理の手法は、鮮鋭感を下げない手法に限られる。このような手法の代表例としては、水平・垂直・時間軸方向の中央値によるノイズリダクション処理が挙げられる。これは処理対象画素の水平・垂直・時間軸方向の近傍画素が構成する色集合の最も中央に位置する色を、処理対象画素に割り当てることでノイズを軽減する手法である。なお、水平・垂直軸方向の平均化によるノイズリダクション処理はシャープネス強度の調整と相反する機能となり、シャープネス強度の調整の前処理としては利用できない。
【0050】
スケーラ部22は、ノイズリダクション部21から入力された映像信号の解像度を、表示装置18が持つ固有の解像度に変換するためのものである。すなわち、スケーラ部22は、映像信号を、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ等が持つ固有の解像度に変換する。
【0051】
コントラスト部23は、映像信号に対してコントラストを高め色彩がくっきりするように処理を施すものである。すなわち、コントラストを高くしていくと、明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗くなる。逆に低くしていくと、明るい部分も暗い部分も平均の明るさに近付いていく。コントラスト部23は、コントラストを調整した映像信号をシャープネス部24に出力する。
【0052】
シャープネス部24は、コントラスト部23から入力された映像信号から得られる画像に対して、後述する強度制御部26からの制御指示に応じてシャープネス強度の調整を行うものである。シャープネス部24は、シャープネスの調整を行った画像を表示制御部16に出力する。
【0053】
鮮鋭感評価部25は、上記映像信号による画像の鮮鋭感を評価するためのものであり、この鮮鋭感評価部25は、映像処理部14における最後段に配置される。図1に示す例では、鮮鋭感評価部25は、シャープネス部24と表示制御部16との間に設けられている。
【0054】
本実施の形態に係るテレビ1では、鮮鋭感評価部25による鮮鋭感の評価方法として、微分画像を用いる技術を利用する。微分画像は元画像の変化(エッジ)の強さを示す画像であり、微分画像の信号強度が強い場合、鋭いエッジが存在することを意味するため、鮮鋭感の評価基準として用いることが出来る。
【0055】
すなわち、図3に示す上段のグラフと下段のグラフとの対応関係から分かるように、上段のグラフにおいて輝度値の変化が無い箇所(エッジの無い箇所)では、下段のグラフに示すように、その微分は0に近い値をとり、強いエッジ箇所(輝度値が大きく変化する箇所)では高い値を取ることが分かる。
【0056】
そこで、微分画像の信号強度からエッジの強い部分と弱い部分とを把握し、鮮鋭感の評価を行うことができる。なお、図3は、ソーベルフィルタを用いてエッジ強度の検出を行った結果の一例を示すものであり、上段のグラフでは、縦軸を入力画像の輝度値、横軸を水平/垂直軸とし、入力画像における輝度値の変化を示す。一方、下段のグラフでは、縦軸を入力画像に微分フィルタとソーベルフィルタとを適用した結果を示し、横軸を水平/垂直軸とし、入力画像に対してエッジ強度を求めた結果を示すグラフである。
【0057】
以下において、さらに鮮鋭感評価部25の詳細な構成について説明する。鮮鋭感評価部25は、図1に示すように、画素鮮鋭感評価部31および画像鮮鋭感評価部32を備えている。
【0058】
画素鮮鋭感評価部31は映像処理部14の最後段での画像、すなわち、ノイズリダクション部21、スケーラ部22、およびコントラスト部23にて処理された後の映像信号に基づく画像を取得する。
【0059】
画素鮮鋭感評価部31では、取得した画像(元画像)においてエッジを検出し、各画素で鮮鋭感を評価するものである。より具体的には、画素鮮鋭感評価部31は、上述したソーベルフィルタによる水平/垂直に対する微分の二乗平均の平方根を計算して、1画素ごとの鮮鋭度を(画素鮮鋭度61)を求める。
【0060】
元画像の輝度値に対する微分結果は、エッジが無い所では0に近い値をとり、輝度値が大きく変化し、強いエッジが現れる所では高い値となる。より具体的には、弱いエッジ箇所と強いエッジ箇所とを図示すると、図4a,図4bに示すようになり、暗い部分が弱いエッジを、明るい部分が強いエッジを示す。図4aと図4bとを比較しても明らかなように、鮮鋭度が小さい画像では、輝度値の変化も小さくなり図4bに示すように全体として黒っぽい感じとなる。なお、この図4は、画素鮮鋭度の強弱を図形で示した図であり、同図(a)は、元画像が高鮮鋭度である場合を示し、同図(b)は、元画像が低鮮鋭度である場合を示す。
【0061】
画像鮮鋭感評価部32は、画像全体の鮮鋭感を評価するものであり、画像全体の鮮鋭度を求める。画素鮮鋭感評価部31にて算出した微分結果には、部分的な高鮮鋭領域やノイズによる影響から、外れ値が存在する。この外れ値の影響を防ぐため、画像鮮鋭感評価部32は、全画素について求めた鮮鋭度のうち、上位一定割合の結果を捨てる。この割合は経験や実動作に基づいて決める数値である。そして、残された数値の中で最大のものを画像の鮮鋭度として出力する。
【0062】
なお、鮮鋭感評価部25における鮮鋭感の評価方法としては、上述した微分画像を用いて画像の鮮鋭度を求める構成に限定されるものではなく、例えばフーリエ変換などの周波数変換を利用する構成であってもよい。
【0063】
強度制御部26は、画像鮮鋭感評価部32から画像鮮鋭度62を受信すると、メモリ9に記憶した目標鮮鋭度91と比較し、シャープネス部24に対してシャープネス強度の調整量を指示するものである。
【0064】
すなわち、強度制御部26は、受信した画像鮮鋭度62が目標鮮鋭度91よりも小さい場合、鮮鋭度が大きくなるようシャープネス強度を調整するようにシャープネス部24に指示する。一方、強度制御部26は、受信した画像鮮鋭度62が目標鮮鋭度91よりも大きい場合、鮮鋭度が小さくなるようシャープネス強度を調整するようにシャープネス部24に指示する。
【0065】
なお、強度制御部26は、シャープネス部24において調整するシャープネス強度を強度範囲情報92にて規定された強度範囲内で決定する。そして、強度制御部26は、決定したシャープネス強度を示すパラメータを制御情報としてシャープネス部24に出力する。
【0066】
次に上記した構成を有するテレビ1におけるシャープネス強度の調整処理の処理フローについて、図5を参照して説明する。図5は、本発明の実施形態を示すものであり、シャープネス強度の調整処理を示すフローチャートである。
【0067】
まず、ノイズリダクション部21、スケーラ部22、およびコントラスト部23、シャープネス部24それぞれにて調整された映像信号を鮮鋭感評価部25が備える画素鮮鋭感評価部31が取得する。なお、映像信号に基づき再生される画像の鮮鋭度を算出する前段階では、シャープネス部24は、あらかじめ設定されている調整値によって映像信号に対するシャープネス強度の調整を行っている。
【0068】
そして、画素鮮鋭感評価部31は、この取得した映像信号に基づく画像における各画素の画素鮮鋭度61を求め、各画素での鮮鋭感を評価する(ステップS11、これ以降S11のように称する)。
【0069】
画素鮮鋭感評価部31は、算出した各画素の画素鮮鋭度61を画像鮮鋭感評価部32に出力する。画像鮮鋭感評価部32は、画素鮮鋭感評価部31から受信した各画素の画素鮮鋭度61に基づき、画像全体での鮮鋭度である画像鮮鋭度62を求め、画像全体での鮮鋭感を評価する(S12)。そして、画像鮮鋭感評価部32は、求めた画像鮮鋭度62を強度制御部26に出力する。
【0070】
強度制御部26は、画像鮮鋭感評価部32から画像の鮮鋭度を受信すると、メモリ9から読み出した目標鮮鋭度91と比較する。そして、その比較結果に応じて、強度範囲情報92によって規定された範囲内で、シャープネス部24によって調整するシャープネス強度を決定する(S13)。強度制御部26は、シャープネス部24によって調整するシャープネス強度を決定すると、決定した強度を示すパラメータをシャープネス部24に出力する。
【0071】
シャープネス部24は、強度制御部26から入力されたパラメータ、すなわち、強度制御部26によって決定されたシャープネス強度に従って、復調部12から入力されている映像信号に対してシャープネス処理を行う(S14)。
【0072】
なお、本実施の形態に係る映像処理部14では、鮮鋭感評価部25は、映像処理部14が備える各部による各種の映像処理結果が反映された画像の鮮鋭度が良好な状態で表示されるようにするために、映像処理部14が備える各部の最後段に設けられている。しかしながら、ノイズリダクション部21の後段にシャープネス部24が配置され、さらにその後段に鮮鋭感評価部25が設けられてさえいればそれ以外の部材(スケーラ部22、コントラスト部)の配置は自由である。
【0073】
ただし、映像処理部14が備える各部による各種の映像処理結果をすべて反映させた画像についてシャープネス強度を調整できるという点から、映像処理部14の最後段に鮮鋭感評価部25が設けられている方が好ましい。
【0074】
以上のように本実施の形態に係るテレビ1では、映像処理された画像の鮮鋭度を鮮鋭感評価部25が算出することができる。また、この算出結果に応じて、シャープネス部24により調整するシャープネス強度を強度制御部26が決定することができる。
【0075】
このため、本実施の形態に係るテレビ1では、映像処理された映像信号の鮮鋭度に応じて、画像の鮮鋭感が適切なものとなるよう調整することができる。すなわち、動的にシャープネス部24にて調整するシャープネス強度を変更させることができる。
【0076】
したがって、高解像度画像を伝送できる伝送形式で低解像度画像をアップコンバートした画像が入力される場合であっても、入力された画像の鮮鋭度に応じてシャープネス部により調整されるシャープネス強度を自動的に強くし、鮮鋭度が高い画像を出力することができる。
【0077】
また、鮮鋭感評価部25およびシャープネス部24が、ノイズリダクション部21よりも後段に配置されるため、ノイズリダクション部21によりノイズが低減された画像に対して鮮鋭度を高めることができる。
【0078】
また、鮮鋭感評価部25およびシャープネス部24が、スケーラ部22よりも後段に配置される。このため、スケーラ部22によって、表示装置18が有する固有の解像度に、入力された映像信号が変換されたとしても、変換後の映像信号に基づく画像の鮮鋭度に応じてシャープネス強度を調整して高い鮮鋭度を得ることができる。例えば、解像度1024x768の画像を1920x1080のディスプレイに表示する場合、入力信号の1画素をディスプレイの1画素に表示するドットバイドット(Dot by Dot)表示では高い鮮鋭感が得られる。しかし、画面いっぱいに表示するフルスクリーン表示の場合には拡大のために鮮鋭感が下がるが、本実施の形態に係る映像処理部14では、拡大後の画像にシャープネスを強くするように調整することができるため、鮮鋭感の低下を回避できる。
【0079】
ところで、表示装置18にて表示する画像としては、動画と静止画とが考えられる。表示する画像が動画の場合、以下の理由により、上述したような動的なシャープネスの制御を抑制する、つまり、調整可能なシャープネス強度の範囲を低減させる方が好ましい。
【0080】
すなわち、動画の場合、画像の内容が大きく変化することが多く、上述したような動的なシャープネス制御を行うと、適切な鮮鋭度を維持して画像を表示することが困難となる場合がある。また、特にデジタル放送ではブロックノイズが発生しやすく、強い強度でシャープネス処理を行うと、このノイズを強調してしまう結果となる。
【0081】
これらの問題を回避するために、入力された映像信号が動画の場合では、一時的に強度範囲情報92により規定されている範囲を狭め、シャープネス部24でのシャープネス処理による影響を抑制することが好ましい。あるいは、シャープネス部24において、過度に大きなシャープネス強度によりシャープネス処理が実行されないように構成することが好ましい。
【0082】
そこで、テレビ1は、図6に示すように図1に示した映像処理部14の構成において、強度制御部26が強度範囲決定部33を備え、入力された映像信号が動画であるのか静止画であるのかに応じて、強度範囲情報92にて規定されている強度範囲を変更できるように構成してもよい。図6は、本発明の他の実施形態を示すものであり、シャープネス強度の調整処理に係る映像処理部14の要部構成を示すブロック図である。
【0083】
なお、図6に示す映像処理部14の構成では、強度制御部26が強度範囲決定部33を備え、復調部12から入力信号が動画であるのか静止画であるのかに関する情報を受信する点を除き、図1に示した映像処理部14が備える各部と同じである。このため、図6では、強度範囲決定部33以外の映像処理部14が備える各部については、図1で付した符号と同じ符号を付しその説明は省略する。
【0084】
強度範囲決定部33は、復調部12から入力信号が動画であるのか静止画であるのかに関する情報を受信し、その情報が動画を示すものである場合、強度範囲情報92によって規定された強度範囲を狭めるように訂正するものである。
【0085】
このように構成される場合、強度制御部26は、図7に示すようにシャープネス強度の設定処理を行う。図7は、本発明の他の実施形態を示すものであり、強度制御部26によるシャープネス強度の設定処理のフローチャートである。
【0086】
まず、強度制御部26は、入力信号が動画か静止画かに応じて強度範囲情報92により規定されている強度範囲を変更させる動画/静止画依存制御を行うか否か判定する(S21)。この動画/静止画依存制御の実行の有無は、不図示の操作部からの操作指示によりユーザによって設定される。
【0087】
ステップS21において「NO」の場合、強度範囲情報92にて規定しているシャープネスの強度範囲を工場出荷時に予め設定されている値(初期値)のままとする(S22)。
【0088】
一方、ステップS21において「YES」の場合、復調部12から受信した情報から入力信号が動画か否か判定する(S27)。ここで、入力信号が動画ではない場合(S27において「NO」)、すなわち、静止画である場合、上記したステップS22に進む。入力信号が動画である場合(S27において「YES」)は、強度範囲情報92により規定されているシャープネスの強度範囲を所定の範囲まで一時的に狭める(S28)。なお、ステップS28において上記強度範囲を狭め、どの範囲内とするかについては、予めユーザにより設定されており、この範囲は、動画を再生した際にその再生結果に違和感が出ない程度で規定される。
【0089】
以上のようにして強度制御部26が動画/静止画依存制御を行うと、次は、入力信号に対して施すシャープネスの強度を入力信号による画像の鮮鋭度に応じて動的に変更させるシャープネス動的制御を行うか否か判定する(S23)。なお、テレビ1においてシャープネス動的制御を行うか否かについては、不図示の操作部を操作してユーザにより予め設定されている。
【0090】
ここで、シャープネスの動的制御を行わない場合(S23において「NO」)、シャープネスの強度を工場出荷時等に予め設定されている値(初期値)とする(S29)。
【0091】
一方、シャープネスの動的制御を行う場合(S23において「YES」)、強度制御部26は、鮮鋭感評価部25の画像鮮鋭感評価部32から画像鮮鋭度62を受け取り、メモリ9の目標鮮鋭度91と比較する。
【0092】
比較した結果、目標鮮鋭度91よりも画像鮮鋭感評価部32から受け取った画像鮮鋭度62の方が小さい場合、すなわち、表示制御部16に出力する映像信号に基づく画像の鮮鋭感が低い場合(S24において「YES])、規定されているシャープネスの強度範囲内でシャープネス強度を高める(S30)。ここで、規定されているシャープネスの強度範囲とは、動画/静止画依存制御を行わない場合、もしくは、入力信号が静止画の場合は、初期値の範囲である。動画/静止画依存制御を行い、かつ入力信号が動画の場合は、ステップS28において一時的に所定の範囲だけ狭められた強度範囲となる。
【0093】
比較した結果、目標鮮鋭度91よりも画像鮮鋭感評価部32から受け取った画像鮮鋭度62の方が大きい場合、すなわち、表示制御部16に出力する映像信号に基づく画像の鮮鋭感が高い場合(S25において「YES」)、規定されているシャープネスの強度範囲内でシャープネス強度を弱める(S31)。ここで、規定されているシャープネスの強度範囲とは、動画/静止画依存制御を行わない場合、もしくは、入力信号が静止画の場合は初期値の範囲である。動画/静止画依存制御を行い、かつ入力信号が動画の場合は、ステップS28において一時的に所定の範囲だけ狭められた強度範囲となる。
【0094】
また、比較した結果、目標鮮鋭度91に画像鮮鋭度62が一致する場合、すなわち、表示制御部16に出力する映像信号に基づく画像の鮮鋭感が高くもなく、低くもない場合(S25において「NO」)、シャープネス部24にてシャープネス処理されるシャープネス強度について現状を維持する(S26)。
【0095】
以上のように、強度制御部26が、強度範囲決定部33をさらに備える構成では、入力される映像信号が動画の場合、調整可能なシャープネス強度の範囲を狭め、静止画の場合は、シャープネス強度の範囲を維持することができる。
【0096】
このように、映像処理部14は、入力された映像信号が動画であるのか、静止画であるのかを基準に、動的なシャープネスの制御を抑制する構成であるが、表示パターンの細かさなど、他の基準で、動的なシャープネス制御を抑制する構成であってもよい。
【0097】
また、動画/静止画依存制御を実行し、かつ入力された映像信号が動画である場合、シャープネス強度の強度範囲を狭める構成であったがこれに限定されるものではない。例えば、強度範囲を狭める代わりに、予め設定された一定のシャープネス強度とする構成であってもよい。
【0098】
また、本実施の形態に係るテレビ1では、映像処理部14が鮮鋭感評価部25および強度制御部26を備える構成であったが、映像処理部14によって映像処理された映像信号について鮮鋭感評価部25が鮮鋭度を求めることができる位置に配置されるのであれば、鮮鋭感評価部25および強度制御部26は、映像処理部14とは別体に設けられてもよい。
【0099】
また、上述のように微分画像全体の平均強度を計算すれば、元画像全体の鮮鋭度を評価でき、また微分画像を分割し、領域ごとに平均強度を計算すれば、元画像の領域ごとの鮮鋭度を評価できる。そこで、本実施の形態に係るテレビ1は、所定の領域ごとに鮮鋭度を求め、各領域のシャープネス強度の調整を行うように構成されていてもよい。このように、所定の領域ごとでシャープネス強度の調整を行うように構成されている場合、例えば、低解像度画像をアップコンバートした画像と高解像度画像とが混在する画像など、鮮鋭感の異なる画像が組み合わされた画像であっても画像全体で鮮鋭感を増すことが出来る。
【0100】
最後に、テレビ1の各ブロック、特に映像処理部14が備えるノイズリダクション部21、スケーラ部22、コントラスト部23、シャープネス部24、鮮鋭感評価部25(画素鮮鋭感評価部31、画像鮮鋭感評価部32)、および強度制御部26は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPU19を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0101】
すなわち、テレビ1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)19、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ9等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるテレビ1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記テレビ1に供給し、そのコンピュータ(CPU19)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0102】
また、テレビ1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。
【0103】
なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0104】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本実施の形態に係るテレビ1は、鮮鋭感評価部25が、映像処理された映像信号に基づく画像の鮮鋭度を求め、この鮮鋭度に応じて強度制御部26が、映像信号に対しシャープネス部24が調整するシャープネス強度を決定できる。このため、様々な映像処理が施される場合であっても、その映像処理後の映像信号に基づく画像の鮮鋭度の向上が求められる再生装置全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、シャープネス強度の調整処理に係る映像処理部の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、テレビの概略構成を示すブロック図である。
【図3】ソーベルフィルタを用いてエッジ強度の検出を行った結果の一例を示すものであり、上段のグラフでは、縦軸を入力画像の輝度値、横軸を水平/垂直軸とし、入力画像における輝度値の変化を示し、下段のグラフでは、縦軸を入力画像に微分フィルタとソーベルフィルタとを適用した結果を示し、横軸を水平/垂直軸とし、入力画像に対してエッジ強度を求めた結果を示すグラフである。
【図4】画素鮮鋭度の強弱を図形で示した図であり、同図(a)は、元画像が高鮮鋭度である場合を示し、同図(b)は、元画像が低鮮鋭度である場合を示す。
【図5】本発明の実施形態を示すものであり、シャープネス強度の調整処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態を示すものであり、シャープネス強度の調整処理に係る映像処理部の要部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示すものであり、強度制御部によるシャープネス強度の設定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
1 テレビ(再生装置)
9 メモリ(記憶装置)
14 映像処理部(調整手段)
18 表示装置(表示部)
19 CPU
21 ノイズリダクション部(ノイズ低減手段)
22 スケーラ部(解像度変換手段)
23 コントラスト部
24 シャープネス部(シャープネス調整手段)
25 鮮鋭感評価部(鮮鋭度算出手段)
26 強度制御部(調整量決定手段)
31 画素鮮鋭感評価部(鮮鋭度算出手段・画素鮮鋭度算出手段)
32 画像鮮鋭感評価部(鮮鋭度算出手段・画像鮮鋭度算出手段)
33 強度範囲決定部(範囲決定手段)
61 画素鮮鋭度(鮮鋭度)
62 画像鮮鋭度(鮮鋭度)
91 目標鮮鋭度
92 強度範囲情報(調整量範囲情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像信号に基づく画像を再生する再生装置であって、
上記映像信号に対して、該映像信号に基づく画像の見た目の鮮鋭感を増すように調整するシャープネス調整手段を少なくとも有する、映像信号に基づき再生された画像の再生結果を調整する調整手段と、
上記調整手段によって調整された映像信号に基づき再生された画像の鮮鋭感を表す値である鮮鋭度を算出する鮮鋭度算出手段と、
上記鮮鋭度算出手段によって算出された鮮鋭度に応じて、上記シャープネス調整手段による、上記映像信号に対する調整量を決定する調整量決定手段とを備え、
上記シャープネス調整手段は、上記調整量決定手段によって決定された調整量に応じて、上記映像信号に対する調整を行うことを特徴とする再生装置。
【請求項2】
上記映像信号に基づき出力される画像が有する上記鮮鋭度として、予め規定された値である目標鮮鋭度を記憶する記憶装置を備え、
上記調整量決定手段は、上記鮮鋭度算出手段によって算出された鮮鋭度と、上記記憶装置に記憶された目標鮮鋭度とを比較し、上記調整量を決定することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
上記記憶装置は、上記調整量として上記シャープネス調整手段によって調整できる範囲を規定した調整量範囲情報をさらに記憶しており、
上記調整量決定手段は、上記鮮鋭度算出手段によって算出された鮮鋭度と、上記記憶装置に記憶された目標鮮鋭度とを比較し、該鮮鋭度が該目標鮮鋭度よりも小さい場合は、上記調整量範囲情報により規定されている範囲内で調整量を大きくし、該鮮鋭度が該目標鮮鋭度よりも大きい場合は、上記調整量範囲情報により規定されている範囲内で調整量を小さくすることを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
上記調整量決定手段は、上記映像信号に基づく画像が動画であるか静止画であるかを判定し、動画であると判定した場合、上記調整量範囲情報によって規定されている調整量の範囲を小さくするように決定する範囲決定手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の再生装置。
【請求項5】
上記鮮鋭度算出手段は、上記調整手段による調整後の映像信号に基づく画像においてエッジを検出し、画素ごとの鮮鋭度を算出する画素鮮鋭度算出手段と、
上記画素鮮鋭度算出手段によって算出された画素ごとの鮮鋭度から画像全体での鮮鋭度を求める画像鮮鋭度算出手段とを備えることを特徴とする請求項1から4のいずか1項に記載の再生装置。
【請求項6】
上記調整手段は、上記シャープネス調整手段に加えて、上記映像信号に基づき再生された画像のノイズを低減させるノイズ低減手段をさらに備えており、
上記シャープネス調整手段は、上記ノイズ低減手段によって上記画像のノイズが低減された映像信号に対して、画像の見た目の鮮鋭感を増すように調整することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の再生装置。
【請求項7】
上記映像信号に基づき画像を再生するための表示部を有し、
上記調整手段は、上記シャープネス調整手段に加えて、上記映像信号の解像度を、表示部が持つ固有の解像度に変換するための解像度変換手段をさらに備えており、
上記シャープネス調整手段は、上記解像度変換手段によって解像度が変換された映像信号に対して、画像の見た目の鮮鋭感を増すように調整することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の再生装置。
【請求項8】
コンピュータを請求項1から7のいずれか1項に記載の再生装置の各手段として機能させるための再生装置の制御プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の再生装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−118753(P2010−118753A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288899(P2008−288899)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】